JP6351492B2 - 合成樹脂ボトル - Google Patents
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Description
キャップをボトル口部に打栓装着した合成樹脂製容器の従来技術として、外周に環状に突出した係合突条を有する口部をキャップの嵌合溝に嵌入し、口部の前記係合突条がキャップ側の縮径突条に係合するとともに、嵌合溝が口部を挟持してキャップを口部に装着固定する口部構造を有する液注出容器がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
ボトルAaは、胴部101の上部に肩部102が形成され、肩部102の上端には略円筒状の口部103が立設されている。
図6(b)に示すように、口部103の上端部には、外周に突出する係合突条104が設けられており、係合突条104は、天面105と同一平面に形成された上面と、上面の外縁に接続する湾曲面110と、湾曲面110に続いて外周面を形成する傾斜面106および円筒面107と、円筒面107に続いて係合突条104の下端面を形成する下端係合部108とを有している。
天面105と傾斜面106とが交差する上端角部a1では、丸め付けされた湾曲面110が形成され、傾斜面106と円筒面107とが交差する部位には、中央角部bが環状に形成されている。
125は内容液を案内する注出筒であり、内筒121の上部内周側で連設している。
外筒122の内周面の下端部には、内方に突出する縮径突条124が設けられ、口部103が嵌合溝123に嵌合したときには、縮径突条124が係合突条104の下端係合部108に係合して、キャップがボトルAaから脱落しないように装着固定されるとともに、内筒121の外周面と外筒122の内周面が口部103を挟持している。
このような材料のヒケによって凹部111が発生すると、口部103は主として内周面112が内筒121の外周面と密接することによってキャップとのシールを達成しているため、凹部111によってシール圧が低下して内容液が漏出するような場合があった。
そのためにダイレクトブロー成形ボトルの口部形状を変えると、2軸延伸ブロー成形等による通常のPETボトルに使用される打栓キャップを、そのままダイレクトブロー成形ボトルに併用することができなかった。
また、複数の突出環と1つの係合環の間には環状溝が設けられるので、従来例の係合突条のように肉厚部が連続せず、環状溝の分だけ肉抜きされているので、口部内周面にヒケが発生せず、ダイレクトブロー成形によってもシール性を低下させることがない。そのため、従来例で用いられる通常のPETボトル用打栓キャップをそのまま使用できる。
キャップCは、キャップ本体C1、およびキャップ本体C1にヒンジC2を介して連設された上蓋C3とからなっている。
口部3の外周には、下部にネックリング5が突設され、上部には先端側から第1突出環7、第2突出環8、係合環9が、それぞれ口部3の軸方向に並列して環状に突出し、キャップCとの係合部を形成している。
口部3の上端には平坦な天面10が形成され、第1突出環の上面と同一平面を形成している。
係合環9の下面には、後述するキャップCの縮径突条60に係合する下端係合部11が、口部3の軸方向に略垂直な面に形成されている。
第1突出環7と第2突出環8との間には第1環状溝12が、第2突出環8と係合環9との間には第2環状溝13が形成される。
なお、第1傾斜面21、第2傾斜面23、係合傾斜面25を設けることで、キャップCを打栓する際、キャップ本体C1の下端部が各傾斜面に沿って拡径するため、打栓し易くなる。
また、本実施例の口部3の内径は27mm程度であるが、下端係合部11から天面10までの高さ、すなわち第1,2突出環7,8と係合環9が設けられた係合部全体の高さ約4.5mmに対して、第1環状溝12および第2環状溝13の(軸方向の)幅はそれぞれ約1mm前後である。
そして、第1、2突出環7,8は、約0.5mm〜1mm程度の(軸方向の)幅を有し、係合環9は、縮径突条60との係合強度を得るため、約1mm以上の(軸方向の)幅を有することが望ましく、とくに、第1突出環7、第2突出環8、係合環9の順で、徐々に(軸方向の幅を)肉厚にするとバランスがとれ、キャップとの嵌合状態が良好となる。
係合環9の下端係合部11と係合円筒面26とは、従来例の係合突条104のそれぞれ下端係合部108,円筒面107とほぼ一致した形状をなしている。
第2突出環8の第2傾斜面23および第2円筒面24は、実施例では、従来例のそれぞれ傾斜面106,円筒面107よりわずかに小さい径となっているが、従来例と同一の径でもよい。
第2傾斜面23と第2円筒面24とが交差する部位は、従来例の中央角部bの軸方向の高さと略一致している。
係合部が単一の係合突条104からなる2軸延伸ブロー成形された通常のPETボトルでは、従来例のように上端角部a1付近に湾曲面110を容易に形成することができるため、キャップの打栓をスムーズに進めることができるのに対して、ダイレクトブロー成形による場合には、第1突出環7にこの微小隙間sを設けないと、上端角部a付近の外縁部形状が鋭利になりやすく、キャップを打栓したときに尖った外縁部がキャップの下端部や嵌合溝51の内面に引っかかり、打栓が困難になる場合があるため、微小隙間sを設けることが望ましい。
また、各環状溝の深さや幅は、実施例に限定されず、ヒケを生じないだけの肉抜きとシール性の確保、および係合強度が得られる範囲で適宜設定できる。
キャップ本体C1の嵌合溝51は、内周側で注出筒52に連設する内筒54の外周面と、内筒54の上部で連設する上壁55の下面と、上壁55の外周側から垂設される外筒56の内周面とによって形成されている。
嵌合溝51の上面を形成する上壁55の下面は、内周側の平坦な頂面58と外周側の角部傾斜面59とが形成され、外筒56内周面の下端部には、内方に突出した縮径突条60が設けられている。
キャップCが打栓工程で上部から押圧され、縮径突条60が第1突出環7、第2突出環8、係合環9を乗り越えて係合環9の下端係合部11に係合し、嵌合溝51に口部3が嵌合して、合成樹脂ボトルAに装着される(図2参照)。
このとき、第1傾斜面21,第2傾斜面23,係合傾斜面25の各傾斜面は、縮径突条60を案内して口部3への嵌合を容易にする。
また、第1突出環7の上面と第1傾斜面21が交差する上端角部aの径方向高さが、従来例の係合突条104の上端角部a1の径方向高さより微少高さhだけ低く形成され、第1傾斜面21が従来例の傾斜面106に対して微小隙間sを有するように径方向高さが低く形成されているから、容易に打栓工程を進めることができる。
本実施例では、第1、第2の突出環7,8および係合環9が3点で外筒56内周面と圧接し、従来例の単一の肉厚部からなる係合突条104より柔軟性をもって接触圧が3点にバランスよく配分され、キャップCを口部3に確実に係合するとともに、口部内周面15を内筒54の外周面にしっかり圧接して必要なシール圧を確保することができる。
そのため、口部3の内周面15が内筒54の外周面に確実に圧接し、ダイレクトブロー成形法によって成形された合成樹脂ボトルであっても、シール性を低下させることがない。
そのため、本実施例の合成樹脂ボトルは、従来例の単一の係合突条104からなるPETボトル等に嵌合するキャップを使用することができ、ボトルに応じて使い分けなどをする必要がないから部品管理が容易となり、合成樹脂容器を効率的で低コストに製造することができる。
打栓力は、打栓時に要する押圧力を示し、離脱力は、嵌合したキャップを口部から引きはがすときに必要な力を示す。
とくに、熱充填する容器に必要なキャップ回転トルクの基準値は、150N・cm以上であり、突出環が1つのダイレクトブロー成形の合成樹脂ボトルでは、128N・cmと基準値を下回っている。
したがって、本実施例では、合成樹脂ボトルAに対してキャップが容易に回転しないため、口部3と液密に嵌合している内筒54外周面とのシール性を保持することができ、65度以上の高温充填にも充分対応可能な構造となっている。
また、キャップの離脱力も突出環が1つのものが20Nであるのに対して、2つの突出環を有する本実施例は、33Nと上回っており、キャップが脱落しにくくなっている。
このように、ダイレクトブロー成形でヒケを生じないように環状溝を形成しても、突出環が1つだけでは必要なシール圧を得ることができないが、本実施例のように突出環を2つ形成すれば、キャップとの高い嵌合力を得られ、同時に高い密着力、高いシール圧が確保されることがわかる。
この実験結果から、口部係合部の突出環は、少なくとも2つ以上必要であることがわかる。
Ba 中栓
Ca 上蓋
C キャップ
C1 キャップ本体
C2 ヒンジ
C3 上蓋
a,a1 上端角部
b 中央角部
h 微小高さ
s 微小隙間
1,101 胴部
2,102 肩部
3,103 口部
5,109 ネックリング
7 第1突出環
8 第2突出環
9 係合環
10,105 天面
11,108 下端係合部
12 第1環状溝
13 第2環状溝
14 口部基部
15,112 内周面
21 第1傾斜面
22 第1円筒面
23 第2傾斜面
24 第2円筒面
25 係合傾斜面
26 係合円筒面
50,120 嵌合筒部
51,123 嵌合溝
52,125 注出筒
54,121 内筒
55 上壁
56,122 外筒
58 頂面
59 角部傾斜面
60,124 縮径突条
104 係合突条
106 傾斜面
107 円筒面
110 湾曲面
111 凹部
Claims (4)
- 打栓によってキャップの嵌合溝に嵌入装着される筒状の口部を具えたダイレクトブロー成形法により成形された合成樹脂ボトルであって、
口部外周には、複数の突出環と1つの係合環が口部の軸方向に並列して環状に突設され、複数の突出環より下方に配置された係合環は、キャップの嵌合溝内に突出する縮径突条と係合する位置に配置されており、
隣り合う突出環との間、および突出環と係合環との間に環状溝が設けられた口部構造を有することを特徴とする合成樹脂ボトル。 - 複数の突出環および係合環は、それぞれ外周面に下方に向けて拡径する傾斜面と該傾斜面の大径部側に連続する円筒面とを有することを特徴とする請求項1記載の合成樹脂ボトル。
- 複数の突出環が、口部の最も先端側の第1突出環とその下方の第2突出環とからなり、第1突出環の円筒面より第2突出環の円筒面の径の方が大きく、第2突出環の円筒面は係合環の円筒面よりわずかに小さい径であるか、ないしは同一径であることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂ボトル。
- 上面が口部先端の天面と同一平面をなす第1突出環における、傾斜面に接続する上面外縁の上端角部は、複数の突出環と1つの係合環に代えて、キャップとの単一の係合部として形成され、天面と同一平面をなす上面から湾曲面を経て傾斜面とその下方の円筒面とが形成される係合突条とした場合の、上面と傾斜面とが交差する上端角部に比較して、径方向高さが低く形成され、第1突出環の傾斜面は前記係合突条の傾斜面と微小隙間を有するように形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の合成樹脂ボトル。
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