以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置のブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置100は、制御装置10、自車両の外部に固定された4つのカメラ1a〜1d、レーダ2、車速センサ3、操舵角センサ4、加速度センサ5、モニタ6、照度センサ7、雨滴センサ8、およびナビゲーションシステム20を備えている。これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
カメラ1a〜1dは、自車両の近傍を撮像するための車載用のカメラであって、車両の外部の異なる位置に各々設置され、車両周囲の4方向の画像をそれぞれ撮像する。図2に、カメラ1a〜1dの配置例を示す。たとえば、図2に示すように、フロントグリル近傍などの車両前方の所定位置に設置されたカメラ1aは、車両前方の所定撮像エリアの画像(フロントビュー画像)を撮像する。左サイドミラーなどの車両左側方の所定位置に設置されカメラ1bは、車両左側方の所定撮像エリアの画像(左サイドビュー画像)を撮像する。ルーフスポイラーなどの車両後方の所定位置に設置されたカメラは、車両後方の所定撮像エリアの画像(リアビュー画像)を撮像する。右サイドミラーなどの車両右側方の所定位置に設置されたカメラ1dは、車両右側方の所定撮像エリアの画像(右サイドビュー画像)を撮像する。これら4台のカメラ1a〜1dは所定周期で撮像画像を制御装置10へ送出する。制御装置10は、カメラ1a〜1dから撮像画像をそれぞれ取得する。カメラ1a〜1dは、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラで構成されている。これらカメラ1a〜1dは、車両周辺を所定の周期で撮像し、得られた撮像画像を制御装置10に出力する。
レーダ2は、ミリ波レーダ等の発信し、発信された電波の反射信号を測定する装置であって、車両の外部に対して電波を発信できる位置に設けられている。レーダ2は、自車両の周囲に配置された構造物からの反射波を測定することで、自車両の周囲を走行する他車両や、電柱、壁等の障害物を検出する。レーダ2は、検出信号を制御装置10に出力する。これにより、カメラ1a〜1d、及びレーダ2は、自車両の近傍の情報を取得するためのセンサとして機能する。
車速センサ3、操舵角センサ4および加速度センサ5は、自車両の走行状態を検出する。具体的には、車速センサ3は、自車両の車速を検出する。また、操舵角センサ4は、自車両のハンドル操舵角を検出する。さらに、加速度センサ5は、自車両の加速度を検出する。なお、車速センサ3、操舵角センサ4および加速度センサ5による、車速の検出、加速度の検出、及び操舵角の検出は所定の周期で繰り返し実行される。そして、車速センサ3、操舵角センサ4および加速度センサ5は、車速信号、加速度信号、および操舵角信号を制御装置10に出力する。なお、自車両の挙動を検出するセンサは、上記の車速センサ3等に限らず、他のセンサであってもよい。
本実施形態の運転支援装置100は、運転操作を支援する各種情報を運転者に提示するモニタ6を備える。モニタ6は、自車両の近傍から遠方までの画像を表示画面上に表示させる。モニタ6は、図2に示すように、運転手の前方のインストルメントパネルに設けられる。モニタ6は、タコメータ、スピードメータの表示も兼用している。なお、モニタ6の表示画面は後述する。
照度センサ7及び雨滴センサ8は、車両の外部環境の状態を検出する。具体的には、照度センサ7は、車両の外部の照度を検出するセンサである。照度センサ7の検出信号は制御装置10に出力される。制御装置10は、照度センサ7の検出値に基づいて、例えばヘッドライトのオン、オフを切り替える。また、雨滴センサ8は、例えばフロントガラスに付着した雨を検出するセンサであり、赤外線センサ等で構成されている。雨滴センサ8の検出信号は制御装置10に出力される。制御装置10は、雨滴センサ8の検出値に基づいて、例えばワイパーのオン、オフを切り替える。
制御装置10は、各種プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
ナビゲーションシステム20は、車両の現在地を測位し、目的地までの走行ルートを検索し、モニタ6に表示することで、運転を支援するシステムである。ナビゲーションシステム20は、データベース21、受信器22、及びCPU23を有している。データベース21は、半導体メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶媒体であり、地図データ等を記憶している。受信器22は、衛星受信用のアンテナ、渋滞や交通規制などの道路交通情報を受信するアンテナ等である。CPU23は、データベース21に記録されている地図データと、受信器22を利用した衛星通信によるグローバルポジションシステムとを組みあわせることで、車両の現在地、目的地までの経路誘導を行うコントローラである。また、CPU23は、受信器22で受信した交通情報をモニタ6への表示などで報知している。ナビゲーションシステム20による制御信号はモニタ6及び制御装置10に出力される。そして、ナビゲーションシステム20で管理されている地図データを利用することで、制御装置10は、自車両の近傍の情報に限らず、自車両の近傍よりも遠方の情報を取得する。
次に、図1〜図4を用いて、運転支援装置100により、モニタ6に表示される表示画面の制御について説明する。制御装置10は、表示画像を生成し、生成した画像をモニタ6に表示させるために、撮像画像取得機能と、画像変換機能と、画像生成機能と、白線検出機能と、地図データ取得機能と、表示制御機能とを備えている。制御装置10は、上記各機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
図3は、運転支援装置100のブロック図である。図3では、制御装置10のうち、上記機能を発揮するための構成を示している。図4は、運転支援装置100によりモニタ6に表示される表示画面の一例を示している。
図3に示すように、制御装置10は、近傍画像制御部110、接続画像生成部120、遠方画像制御部130、画像結合部140及び表示比率設定部150を有している。近傍画像制御部110は、カメラ1a〜1dの撮像画像等に基づき、自車両の近傍を示す近傍画像を生成しつつ、生成した画像の検出を行う。
ここで、図3に示す各構成を説明する前に、運転支援装置100で生成され、モニタ6で表示される表示画面について、図4を用いて説明する。本例の運転支援装置100により生成され、モニタ6に表示される表示画面は、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を有している。近傍画像201は自車両の近傍を示す画像である。接続画像202及び遠方画像203を含む画像は、自車両の近傍よりも遠方を示す画像である。
近傍画像201は、自車両上方の仮想視点から自車両および自車両周囲を見下ろした俯瞰画像であって、自車両の左右の周囲と、車両前方及び後方の近傍部分を表示している。近傍画像201において、自車両Aの前方及び後方のそれぞれの距離は、例えばレーダ2の検出範囲等に設定され、数十メートル程度である。
遠方画像203は、自車両の近傍よりも遠方の位置を示す画像であって、後述する接続画像202よりも遠方の位置を表している。遠方画像203は、ナビゲーションシステムで利用される地図データから生成される画像あって、自車両の位置から進行方向に向かって数百メートルの位置を示している。近傍画像201が、自車両の周囲を画像で示しているのに対して、遠方画像203は、交差点などの道路形状(道路線形)、走行経路上の目標物(例えば、右左折などの進路変更の際に目印になる建物など)を画像で示している。
接続画像202は、近傍画像201で示す位置より遠方を表し、かつ、遠方画像203で示す位置より近傍を表し、近傍画像201と遠方画像203とを接続する仮想画像である。接続画像202は、モニタ6に、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を表示したときに、表示画面上の平面内で、近傍画像201を近くに、遠方画像を遠くに写すための画像である。近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203は、それぞれ、平面視で長方形に形成されている。ただし、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203は、モニタ6に表示した場合には、各画像で継ぎ目の無い、1枚の連続画像で表示される。
モニタ6の表示画面上で、運転手に近い側から、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203の順で配置される。
図4に示すように、近傍画像201が表示する車線と、遠方画像203の前後方向(自車両Aの進行方向に沿った方向)の車線とが同一の車線を示している。この車線は、表示画面の中央に位置し、近傍画像201で示される当該車線の幅は、遠方画像203で示される当該車線の幅より広がっている。接続画像202は、近傍画像201の車線、遠方画像の203の車線とを接続するために、車線の両側に位置する白線aと白線bとの間の間隔が徐々に狭まるような、直線で、白線a、bを描いている。また2車線の走行車線の中央線(図4の点線c)、自車両Aと反対側の走行車線の中央線(図4の点線d)、及び自車両Aの走行車線と反対側の走行車線との境界線(図4の点線e)も、同様に直線で描かれている。
モニタ6の表示画面は、水平方向に対して傾斜している。水平方向の面と傾斜面とで作られる角度は鋭角になっている。そして、この傾斜面に、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を表示すると、運転手は、モニタ6の表示画面のうち、運転手に近い側の画像(手前側の画像)を、近くの画像として認識し、モニタ6の表示画面の遠い位置ほど、遠くの画像として認識する。
車両が走行すると、図4の遠方画像203で表示される交差点は、自車両Aに近づいてくる。そのため、遠方画像203の交差点の位置は、車両の走行に伴い、遠方画像203から接続画像202に、モニタ6の画面上で移動し、さらに車両の走行に伴い、接続画像202から近傍画像201に移動する。これにより、遠方画像で表示される道路線形が、車両の走行に伴い、自車両Aに近づくように表示される。そして、表示画面上における道路線形の移動速度は、自車両Aの車速に対応している。
また、図4に示すように、近傍画像201において、自車両Aが走行する走行車線の道幅が、当該走行車両に隣接する隣接車線の道幅よりも大きくなっている。これにより、車両のユーザは、自車両Aの走行車線の道路の状況、及び、自車両Aの進行方向と同方向に走行する走行車線の道路の状況を、容易に認識できる。
図3に戻り、近傍画像制御部110は、近傍画像生成部111、及び第1接続点設定部112を有している。近傍画像生成部111は、カメラ1a〜1dの撮像画像、レーダ2の検出値、及び車速センサ3で検出された車速を取得することで、自車両の近傍の情報を取得する。そして、近傍画像生成部111は、これらの情報から自車両の近傍画像を生成し、生成した近傍画像を、第1接続点設定部112及び画像結合部140に出力する。
近傍画像生成部111は、各カメラ1a〜1dから撮像画像を取得して、自車両上方の仮想視点から自車両および自車両周囲を見下ろした俯瞰画像に変換するとともに、これらを繋ぎ合わせて、一つの合成俯瞰画像を生成する。具体的には、制御装置10は、異なる位置のカメラ1a〜1dによって取得された各撮像画像を、各撮像画像の画素アドレスと合成俯瞰画像におけるアドレスとの対応関係を示す変換テーブルを参照して、合成俯瞰画像の座標へ変換する。
また近傍画像生成部111は、合成俯瞰画像の座標へ変換する際、自車両Aの走行方向と、同方向を走行する走行車線の道幅を、反対側の車線の道幅よりも大きくなるように、画像を生成する。そして、制御装置10は、座標変換された各撮像画像を繋ぎ合せ、自車両周囲の様子を示す一つの合成俯瞰画像を生成する。
さらに、近傍画像生成部111は、レーダ2で検出した構造物を画像で表して、上記で合成した俯瞰画像にさらに合成する。これにより、図4に示す近傍画像201が生成される。カメラ1a〜1dは、車両の走行中に、所定の周期で撮影を行っている。そして、近傍画像生成部111は、撮影周期の間の画像を生成するために、合成した画像が、車速センサ3で検出された車速で、モニタ6上を移動するように、合成画像を生成している。
第1接続点設定部112は、近傍画像生成部111で生成された近傍画像201と接続画像202とを接続する第1接続線上の第1接続点を設定する。第1接続点は、接続画像202で描かれる直線の基準点(始点)であり、言い換えると、接続画像202内で道路を示す中央線又は境界線の基準点(始点)である。第1接続点は、近傍画像201と接続画像202の接続線上の点である。
図5を用いて、第1接続点設定部112による接続点の設定の制御について説明する。図5は、図4の表示画面から、自車両A等を省略して、道路のみを表している。図5のX方向は車線の道幅方向(自車両Aの進行方向に対して垂直な方向)を示し、Y方向は車線に対して平行な方向(自車両Aの進行方向)を示している。
第1接続点設定部112は、第1接続点を設定するために、まず近傍画像201から画像認識により車線f1〜f5を検出する。そして、第1接続点設定部112は、近傍画像201内で検出された車線を示す線(境界線又は中央線)と、近傍画像201の周囲に位置する4辺のうち接続画像202と接する側の1辺(第1接続線に相当)との交点を、第1接続点に設定する。
本例では、第1接続線上の5つの交点の内、最も外側(X方向への外側)の交点を、第1接続点P1、P3とし、自車両Aの走行側の走行車線(直線f1〜f3で描かれる2車線)と反対側の走行車線(直線f3〜f5で描かれる2車線)との境界線(直線f3で描かれる車線)と第1接続線との交点を、第1接続点P2としている。すなわち、第1接続点(P1〜P3)は走行車線の道幅に相当する線分の両端の二点をそれぞれ示している。ここで、走行車線は、必ずしも1車線に限らず複数車線であってもよく、また一方向の車線に限らず、反対方向の車線も含めた複数車線でもよい。
第1接続点(P1〜P3)は、表示画面上の座標により表される。そして、第1接続点設定部112は、設定した第1接続点(P1〜P3)の情報を、接続画像生成部120に出力する。
遠方画像制御部130は、遠方画像生成部131、及び第2接続点設定部132を有している。遠方画像生成部131は、ナビゲーションシステム20のデータベース21に記憶されている地図データから、遠方画像203を生成する。自車両の位置に対して、遠方画像203で表示する道路線形までの距離は予め決まっている。そのため、遠方画像生成部131は、自車両の位置に対して遠方画像203として表示される画像内の地図データをデータベース21から抽出する。そして、遠方画像生成部131は、遠方画像地図データに含まれる道路線形のデータ及び目標物のデータから、遠方画像203を作成する。遠方画像には、道路線形及び目標物が配置される。これにより、遠方画像203が生成される。遠方画像生成部131は、遠方画像203を、第2接続点設定部132及び画像結合部140に出力する。
第2接続点設定部132は、遠方画像生成部131で生成された遠方画像203と接続画像202とを接続する第2接続線上の第2接続点を設定する。第2接続点は、接続画像202で描かれる直線の基準点(終点)であり、言い換えると、接続画像202内で道路を示す中央線又は境界線の基準点(終点)である。第2接続点は、遠方画像203と接続画像202の接続線上の点である。
第2接続点設定部132は、遠方画像203の周囲に位置する4辺のうち接続画像202と接続する接続線(第2接続線に相当)を特定する。そして、第2接続点設定部132は、第2接続線の中点の位置に、第2接続点Q2を設定する。また、第2接続点設定部132は、第2接続線上で、第2接続点Q2に対して所定の間隔を空けた位置に、第2接続点Q1、Q3を設定する。所定の間隔は、遠方画像203上で、表示画面の中心線と平行な車線の道幅(X方向への道幅)に相当する。
すなわち、第2接続点(P1〜P3)は走行車線の道幅に相当する線分の両端の二点をそれぞれ示している。第2接続点Q1とQ2との間隔、及び、第2接続点Q2とQ3との間隔は、表示画面上の中心線に沿う車線の幅に応じて設定してもよく、車線の幅が広いほど、それぞれの間隔が広くなるように設定してもよい。ただし、第2接続点Q1とQ2との間隔、及び、第2接続点Q2とQ3との間隔は、第1接続点P1とP2との間隔、及び、第2接続点P2とP3との間隔より狭くなっている。第2接続点(Q1〜Q3)は、表示画面上の座標により表される。そして、第2接続点設定部132は、設定した第2接続点(Q1〜Q3)の情報を、接続画像生成部120に出力する。
接続画像生成部120は、第1接続点(P1〜P3)と第2接続点(Q1〜Q3)とを直線で接続した接続画像を生成する。図5を用いて、接続画像の生成制御について説明する。
図5の例では、第1接続点(P1、P2、P3)は、第2接続点(Q1、Q2、Q3)にそれぞれ対応しているため、接続画像生成部120は、第1接続点(P1)を始点として、直線の終点が第2接続点(Q1)になるような直線g1を算出する。また、接続画像生成部120は、第1接続点(P2、P3)と第2接続点(Q2、Q3)とを接続する直線g2、g5についても、同様に算出する。さらに、直線g1とg3との間の直線g2(直線f2と接続する直線)については、接続画像生成部120は、直線g1とg3との中点の軌跡から直線を算出する。直線g1とg5との間の直線g4(直線f4と接続する直線)についても同様に、接続画像生成部120は、直線g3とg5との中点の軌跡から直線を算出する。これにより、直線(g1、g3、g5)は、第1接続点(P1、P2、P3)と第2接続点(Q1、Q2、Q3)をそれぞれ接続しつつ、複数の直線(g1、g3、g5)の間隔は、走行車線の道幅を表す。
そして、接続画像生成部120は、算出した直線gが表示画面上で表示されるように、合成画像を生成する。また、接続画像生成部120は、遠方画像制御部130により生成された交差点の道路線形を表示する場合には、車両の車速に応じて、道路線形が連続的に、接続画像内で移動するように、道路線形の画像を生成する。これにより、接続画像202が生成される。接続画像生成部120は、生成した接続画像202を画像結合部140に出力する。
画像結合部140は、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203の順で、図5のY方向に沿って配列しつつ、各画像を結合し、結合画像をモニタ6に出力する。また、画像結合部140は、表示比率設定部150により設定された表示比率で、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を表示する。モニタ6は、画像結合部140により結合された画像を表示することで、図4に示す画像を表示する。
表示比率設定部150は、自車両の走行状態、自車両の外部環境の状態、又はドライバの状態のうち少なくとも一つの状態の検出結果に基づいて、近傍画像201に対する、接続画像202及び遠方画像203を含む画像の表示比率を設定する。本例では、自車両の走行状態として、車速センサ3で車速を検出し、表示比率設定部150は、検出された車速に基づいて表示比率を設定する。以下、近傍画像201を第1画像210とも称し、接続画像202及び遠方画像203を含む画像を第2画像220とも称す(図4を参照)。
図4に示すように、モニタ6の表示画面上において、表示比率は、第1画像210の表示範囲のうち自車両Aの進行方向に沿う方向(Y方向)の長さ(L1)と、第2画像220の表示範囲のうち自車両Aの進行方向に沿う方向(Y方向)の長さ(L2)との比率を示す。
表示比率設定部150は、第1画像210及び第2画像220の表示範囲のうち、自車両の進行方向に対して垂直な方向の長さを固定しつつ、車速が大きいほど表示比率を大きくする。これにより、モニタ6の表示範囲のうち第2画像220の表示範囲の占める割合を大きくし、第1画像の210の表示割合を小さくする。
また、表示比率設定部150は、車速が小さいほど表示比率を小さくするため、モニタ6の表示範囲のうち第1画像210の表示範囲の占める割合が大きくなり、第2画像220の表示範囲が小さくなる。なお、表示比率は、車速の上昇に伴って連続的に上昇する必要はなく、段階的に上昇してもよい。また、表示比率は、車速の下降に伴って連続的に下降する必要はなく、段階的に下降してもよい。
図6に車速が大きい場合のモニタ6の表示画面を示し、図7に車速が小さい場合のモニタ6の表示画面を示す。例えば高速道路等、車速が大きい場合には、自車両は遠方の位置に早く到達する。そのため、図6に示すように、第2画像220の表示範囲を大きくすることで、ドライバは遠方の交通状況を容易に把握することができる。また、自車両の車速が大きい場合には、通常、周囲を走行する車両も大きい車速で走行しており、ドライバにとっては、自車両の近傍の情報よりも、自車両の遠方の情報の方が有用である。そのため、第1画像210の表示範囲を小さくすることで、有用性の低い情報が、モニタ9を通じてドライバに伝わらないようにしている。
一方、見通しの悪い狭い道路の走行中等、車速が小さい場合には、自車両は遠方の位置に到着するまで、時間を必要とする。そのため、図7に示すように、第1画像210の表示範囲を大きくすることで、ドライバは自車両の近傍の状態を容易に把握することができる。
表示比率は、離散的な値で予め設定されており、速度の上昇に伴って表示比率が増加するときの特性及び速度の低下に伴って表示比率が減少するときの特性がヒステリシス特性になっている。図8に車速に対する表示比率の特性を示す。
図8に示すように、第2画像220の表示範囲と第1画像210の表示範囲との比が、90:10、60:40、40:60、20:80になるように、表示比率が、離散的に、それぞれ設定されている。
表示比率にヒステリシス特性をもたせるために、車速に対して、以下のように表示比率が設定されている。車速がV1以下である場合には表示比率(第2画像:第1画像)は20:80に設定され、車速がV2以上でV3以下である場合には表示比率(第2画像:第1画像)は40:60に設定され、車速がV4以上でV5以下である場合には表示比率(第2画像:第1画像)は60:40に設定され、車速がV6以上である場合には表示比率(第2画像:第1画像)は90:10に設定されている。車速(V1)と車速(V2)との間の表示比率の特性はヒステリシス特性になっており、車速がV1以下の状態からV1より大きくなった場合には、車速がV2になるまで、表示比率は20:80で維持され、車速がV2以上であれば、表示比率は40:60となる。また、車速がV2以上の状態から減少しV2より小さくなった場合には、車速がV1になるまで、表示比率は40:60で維持され、車速がV1以下であれば、表示比率は20:80となる。車速(V3)と車速(V4)との間の表示比率の特性、及び、車速(V5)と車速(V6)との間の表示比率の特性も、同様に、ヒステリシス特性になっている。
車速の変化に対して、第1画像210の表示範囲及び第2画像220の表示範囲を連続的に変化した場合には、例えば車速の加速中に、それぞれの表示範囲も変化することになってしまうため、モニタ6の表示画面が、かえって見づらくなる。そのため、本例は、表示比率を離散値で設定している。
また、例えば、車速V2を境にして、第1画像210と第2画像220との表示範囲が変化する場合には、車速がV2の付近で増減を繰り返した場合には、モニタ6の表示画面でハンチング現象が生じてしまう。そのため、本例では、ハンチング現象を防ぐために、表示比率の特性にヒステリシスをもたせている。
次に、制御装置10の制御フローを、図9を用いて説明する。図9は、制御装置10の制御手順を示すフローチャートである。
ステップS1にて、制御装置10は、カメラ1a〜1d等で検出される検出データを取得する。ステップS2にて、近傍画像生成部111は、取得した検出データに基づき、近傍画像201を生成する。ステップS3にて、第1接続点設定部112は、近傍画像201又はカメラ1a〜1dの撮像画像から、車線を検出する。ステップS4にて、第1接続点設定部112は、検出した車線に基づき、第1接続点を設定する。
ステップS5にて、制御装置10は、ナビゲーションシステム20から地図データを取得する。ステップS6にて、遠方画像生成部131は、取得した地図データに基づき遠方画像203を生成する。ステップS7にて、第2接続点設定部132は、遠方画像203に含まれる車線に基づき、第2接続点を設定する。
ステップS8にて、接続画像生成部120は、第1接続点と第2接続点とをむすぶ直線を算出する。ステップS9にて、接続画像生成部120は、算出した直線を含んだ接続画像202を生成する。ステップS10にて、表示比率設定部150は、車速に基づいて、表示比率を設定する。ステップS11にて、画像結合部140は、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を結合しつつ、表示比率設定部150で設定された表示比率になるよう、近傍画像201である第1画像210の表示画面と、接続画像202及び遠方画像203を含む第2画像220の表示画面とを調整する。ステップS12にて、モニタ6は、調整された表示画像を表示し、制御装置10は、本例の制御フローを終了する。
上記のように本例は、第1画像210と第2画像220とを生成し、モニタ6に表示される表示画面上で第1画像210の表示範囲に対する第2画像220の表示範囲の表示比率を、自車両の走行状態を示す車速に応じて設定し、第1画像210及び第2画像220を連続的に接続してモニタ6に表示する。これにより、車両の状態に基づいてドライバにとって必要な情報を表示する範囲が拡大されるため、場面に応じてドライバに対して有意義な情報を表示することができる。
また、本例は、車速が大きいほど、表示比率を大きくする。これにより、車速が大きい場合には、自車両の遠方を示す第2画像の表示画面が大きくなり、車速が小さい場合には、自車両の近傍を示す第1画像の表示画面が大きくなるため、車速に応じて、ドライバにとって有意義な情報を表示することができる。
また、本例は、表示比率を離散的な値に設定している。これにより、第1画像210及び第2画像220の表示範囲が頻繁に変わることを防ぐ。
また、本例は、表示比率が増加するときの特性及び表示比率が減少するときの特性にヒステリシスをもたせている。これにより、表示比率が変化する際のハンチング現象を防ぐことができる。
また、本例は、カメラ1a〜1dの撮像画像から第1画像210を生成している。これにより、自車両の周囲の状態を、モニタ6に表示することができる。
また、本例は、ナビゲーションシステム20で管理されている地図データを用いて、第2画像220を生成している。これにより、カメラ1a〜1dの撮像画像では取得できない、自車両Aの遠方の情報を取得し、モニタ6に表示することができる。
また、本例は、近傍画像201と接続画像202とを接続する第1接続線上の第1接続点と、遠方画像203と接続画像202とを接続する第2接続線上の第2接続点とを連続した直線で接続した接続画像を生成し、近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203を連続的に接続してモニタ6に表示する。これにより、自車両Aの近傍部分と、自車両Aの遠方部分を同時に、モニタ6に表示しつつ、これらの部分を表す近傍画像201及び遠方画像203を、接続画像202でつないで、モニタ6に表示することができる。その結果として、例えば、自車両が左右方向に大きく動くような場合や、自車両の速度が大きい場合であっても、遠方画像203及び近傍画像201を含んだ画像を、1枚の連続した表示画像で表示することができる。
また、本例は、第1画像210の表示範囲のうち自車両の進行方向に沿う長さと、第2画像220の表示範囲のうち自車両の進行方向に沿う長さと比率で、表示比率を規定し、第1画像210及び第2画像の表示範囲のうち、自車両の進行方向に対して垂直な方向を固定した上で、第1画像210及び第2画像の表示範囲を設定する。これにより、モニタ6の表示画面を見やすい状態に保ちつつ、自車両の状態等に応じて、ドライバにとって有用な情報を示す表示範囲を拡大することができる。
なお、本発明の変形例として、表示比率設定部150は、加速度センサ5で検出した加速度が大きいほど、表示比率を大きくする。これにより、加速度が大きい場合には、自車両の遠方を示す第2画像の表示画面が大きくなり、加速度が小さい場合には、自車両の近傍を示す第1画像の表示画面が大きくなるため、加速度に応じて、ドライバにとって有意義な情報を表示することができる。
また、本発明の変形例として、制御装置10は、カメラ1a〜1dの撮像画像から自車両の走行車線を検出することで、自車両の走行環境を検出する。検出した走行車線の道幅が狭ければ、自車両は狭い道幅の走行環境で走行していることを示す。そして、表示比率設定部150は、検出した走行車線の道幅が狭いほど、表示比率を小さくする。これにより、走行車線の道幅が狭い場合には、自車両の近傍を示す第1画像の表示画面が大きくなるため、ドライバは狭い道路の周囲を確認することができる。また、ドライバにとって有用な情報を示さない、遠方の画像の表示範囲は小さくなるため、自車両の周囲の状況を示す情報の表示範囲をモニタ6内で広げることができる。
また、本発明の変形例として、制御装置10は、目的地までの走行経路の情報をナビゲーションシステム20から取得し、当該情報から走行経路上にある交差点又は信号機を検出することで、自車両の走行環境を検出する。例えば、検出した交差点で右折する場合には、当該交差点を目標物となる。また、自車両の位置と目標物との位置が近いほど、右折するために、車両の速度は低下する。そのため、上記と同様に、車速が小さい場合には、第1画像の表示範囲を大きくすることで、ドライバにとって有意義な情報を、モニタ6上に表示させることができる。
すなわち、表示比率設定部150は、目標物となる交差点又は信号機から、自車両の現在の位置までの距離が短いほど、表示比率を小さくする。これにより、自車両と目標物との距離が短いほど、自車両の近傍を示す第1画像の表示画面が大きくなるため、ドライバにとって有意義な情報を表示することができる。
また、本発明の変形例として、制御装置10は、操舵角センサ4の検出値からドライバの技量を検出することで、ドライバの状態を検出する。例えば、制御装置10は、操舵角センサ4の検出値から、ステアリングの操作回数を演算する。ステアリングの操作回数は、例えば単位時間あたりの操舵角センサの検出値の変位量が、所定の変位量より大きくなった場合に、操作回数を1回としてカウントすればよい。
ドライバの技量が低い場合には、ステアリングの操作回数が多くなるため、ドライバの運転を支援するためには、自車両の遠方の状態よりも、周囲の状態をモニタ6に表示させた方がよい。そのため、表示比率設定部150は、ドライバの技量が低いほど、表示比率を小さくする。これにより、ドライバの技量が低い場合には、自車両の近傍を示す第1画像の表示画面が大きくなるため、ドライバは自車両の周囲を確認することができる。
また、本発明の変形例として、制御装置10は、ナビゲーションシステム20で管理する地図データから、自車両の近傍に位置する道路の形状、又は、自車両の遠方の位置する道路の形状のいずれか一方の形状を検出することで、自車両の外部環境の状態を検出する。そして、表示比率設定部150は、検出した道路形状に応じて、表示比率を設定する。
例えば、自車両の遠方の位置の道路形状が曲がっていたり、S字状になっていたりする場合には、遠方の道路形状の情報を、ドライバに早く伝えた方がよい。そのため、表示比率設定部150は、自車両の遠方の位置の道路形状が曲がっていることを検出した場合には、第2画像220の表示範囲を第1画像210の表示範囲よりも大きくなるように、表示比率を設定する。これにより、ドライバにとって有意義な情報を、的確なタイミングでモニタ6に表示することができる。
また、本発明の変形例として、制御装置10は、照度センサ7の検出値から、自車両の外部の明るさを検出することで、自車両の外部環境を検出する。制御装置10は、照度センサ7の検出値が所定の閾値より低い場合には、夜と判断する。そして、表示比率設定部150は、夜と判断した場合には、第2画像220の表示範囲を第1画像210の表示範囲よりも大きくなるように、表示比率を設定する。これにより、夜間のため、自車両の周囲が見づらくなった場合には、自車両の周囲の画像を、モニタ6上で大きく表示することで、ドライバは自車両の周囲の状態を把握し易くなる。
また。本発明の変形例として、制御装置10は、雨滴センサ8の検出値から、雨を検出することで、自車両の外部環境を検出する。表示比率設定部150は、雨滴センサ8により雨を検出した場合には、第2画像220の表示範囲を第1画像210の表示範囲よりも大きくなるように、表示比率を設定する。これにより、雨により、自車両の周囲が見づらくなった場合には、自車両の周囲の画像を、モニタ6上で大きく表示することで、ドライバは自車両の周囲の状態を把握し易くなる。
また本発明の変形例として、車室内を撮像するカメラが設置され、制御装置10は、ドライバの状態として当該カメラの撮像画像からドライバの眠気を検出してもよい。ドライバの眠気は、例えば撮像画像を画像解析して、ドライバの目の位置、目を閉じている時間などから検出される。そして、表示比率設定部150は、ドライバが眠気を感じていることを検出した場合には、第2画像220の表示範囲を第1画像210の表示範囲よりも大きくなるように、表示比率を設定する。これにより、自車両の近傍を走行する他車両との衝突を回避することができる。
なお、本例において、近傍画像生成部111は、カメラ1a〜1dのうち少なくとも一つのカメラの撮像画像から、近傍画像201を生成してもよい。
なお、本例において、モニタ6に表示する表示画像は、必ずしも近傍画像201、接続画像202、及び遠方画像203である必要なく、例えば、自車両の近傍を示す画像と、自車両の近傍より遠い位置を示す画像との2画面を連続的に接続した画像であってもよい。このときに、表示比率は2画面の表示範囲の比率となる。
上記のカメラ1a〜1d、レーダ2、車速センサ3、操舵角センサ4、加速度センサ5、照度センサ7、雨滴センサ8、ナビゲーションシステム20、及び制御装置のうち、これらの構成を制御する部分が、本発明の「検出手段」に相当する。また、カメラ1a〜1d、レーダ2が本発明の「第1取得手段」に、ナビゲーションシステム20が「第2取得手段」に、近傍画像制御部110が「第1画像生成手段」に、接続画像生成部120及び遠方画像制御部130が「第2画像生成手段」に、モニタ6が「表示手段」に、表示比率設定部150が「表示比率設定手段」に相当する。