JP6346873B2 - 人工皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、天然皮革に近い風合いや外観を有する人工皮革に関する。
従来から、繊維基材の表面に着色された表面層を形成した、天然皮革に似せた、人工皮革が知られている。このような人工皮革は天然皮革の代替品として、靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリア、車輌のインテリア用途などに広く用いられている。
天然皮革は、低反発感、細かい折れシボ感、及び高い表面クッション性を備える。このような天然皮革の特性は、コラーゲン繊維を含む空隙の少ない緻密な組織が表層を形成しているために発現する。低反発感は、例えば、天然皮革を丸めるように手で握った後、手を開いて解放したとき、丸めたときの形状を留めるような性質や、しなやかなドレープ感を表出する。また、天然皮革には、折り曲げたときには丸みのある繊細な折れシボが生じる。さらに、表面を指で押したときには、低反発でありながら時間が経つと元の形状に回復するようなクッション性を有する。
一方、従来知られた一般的な人工皮革は、不織布中に高分子弾性体を充填した繊維基材を含む。このような繊維基材には、高分子弾性体で充填されていない空隙が存在するために、天然皮革に比べて緻密さや充実感が低い。そのために、折り曲げたときにはボキ折れとも称されるように座屈して折れ曲がる高級感のない折れ方をする。不織布中の高分子弾性体の含有割合を高めることにより空隙を低減させることもできるが、この場合には、反発感が高くなってゴムライクで剛直な風合いが顕著になる。
天然皮革の特性により近づけた人工皮革としては、例えば、下記特許文献1は、繊維絡合体と、繊維絡合体に含浸付与された、充填剤と高分子弾性体と液状の不揮発性油と、を含む人工皮革基材を開示する。このような人工皮革は、しなやかさを有しながら高い充実感を有する。しかしながらこのような人工皮革であっても、例えば、丸めるように手で握った後、手を開いて解放されたとき、反発力により丸めたときの形状から速やかに元の形状に回復するようなしなやかさのない特性を発現する。また、このような人工皮革は、繊維基材の充実感が高すぎるために、表面クッション性にも乏しかった。また、平滑性や型押し性に乏しかった。このような点から、特許文献1に開示された人工皮革においても、しなやかさを有しながら高い充実感や表面クッション性において、また、平滑性においても、天然皮革に充分に似たものが得られていなかった。
ところで、従来、天然皮革が広く用いられている、例えば、自動車のカーシートの表皮材等の用途において、染料堅牢性や耐光性等のさらなる向上が求められている。例えば、座部を温めるためのシートヒーターを取り付けたカーシートが普及し始めている。このようなシートヒーターを取り付けたカーシートの表皮材として染料で染められた天然皮革を用いた場合、ヒーターの熱により染料が昇華移行したり、染料が変質して変色したりするおそれがあった。さらに、例えば、アニリン革をカーシートの表皮材に適用しようとした場合、アニリン革の塗膜は、耐久性が低く、色落ちや水ジミを起こしやすい等の欠点もあるために採用することが困難であった。
WO2014/132630号パンフレット
本発明は、天然皮革のような、細かい折れシボ感、低反発感、高い表面クッション性及び平滑性を備える人工皮革を提供することを目的とする。
本発明に係る人工皮革は、繊維基材と、繊維基材に積層された多孔質層と、多孔質層に積層された表皮層とを備え、繊維基材は、極細繊維の繊維絡合体100質量部に対して、充填剤3〜30質量部,高分子弾性体5〜12質量部,及び液状の不揮発性油2〜20質量部で、且つ、(充填剤+高分子弾性体)/液状の不揮発性油=1.5〜10の比率で含有し、0.55g/cm以上の見かけ密度を有する基材であり、多孔質層は、厚さ50〜800μmで膨張率1.5〜5倍の弾性層である人工皮革である。上述のような繊維基材は、緻密な繊維絡合体を含み、反発感を高くする高分子弾性体を多く含まず、代わりに充填剤及び不揮発性油により充実感を付与している。このような繊維基材は充実感としなやかさとを兼ね備えている。また、このような充実感としなやかさとを兼ね備えた繊維基材に、厚さ50〜800μmで膨張率1.5〜5倍の多孔質層を配することにより、低反発感により優れるとともに、表面クッション性及び平滑性にも優れた人工皮革が得られる。
繊維基材は、0.5μm以上の平均粒径を有する顔料を含有することが好ましい。このような顔料は、繊維絡合体に対して固定されやすく、また、隠蔽力と着色力とのバランスに優れる点から好ましい。
また、表皮層は、0.5μm未満の平均粒径を有する顔料で着色された全光線透過率が5%以上の光透過性皮膜から形成されていることが好ましい。このような構成によれば、透明感及び深みのあるアニリン革のような色味が表現される。また、染色された天然皮革に比べると、顔料で着色されているために着色剤の堅牢性や耐光性等の耐久性にも優れる。
また、不揮発性油は、流動パラフィン,シリコーンオイル,鉱物油,及びフタル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、充填剤は、無機フィラー及び有機フィラーから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明によれば、天然皮革のような、細かい折れシボ感、低反発感、高い表面クッション性及び平滑性を備える人工皮革が得られる。
図1は本発明に係る一実施形態の人工皮革10の模式断面図である。 図2は実施例1で得られた人工皮革の断面のSEM写真である。 図3は実施例1で得られた人工皮革の表面のSEM写真である。 図4は比較例1で得られた人工皮革の断面のSEM写真である。 図5は比較例1で得られた人工皮革の表面のSEM写真である。 図6は比較例2で得られた人工皮革の断面のSEM写真である。
図1は本発明に係る一実施形態の人工皮革10の模式断面図である。人工皮革10は、繊維絡合体1aを含む繊維基材1と繊維基材1の表面に形成された多孔質層2と表皮層3とを備える。繊維基材1は極細繊維の繊維絡合体100質量部に対して、充填剤4を3〜30質量部,高分子弾性体5を5〜12質量部,及び液状の不揮発性油6を2〜20質量部で、且つ、(充填剤+高分子弾性体)/液状の不揮発性油=1.5〜10の比率で含有し、0.55g/cm以上の見かけ密度を有する高密度の繊維基材である。また、多孔質層2は膨張率が1.5〜5倍で、厚さ50〜800μmの弾性層である。
以下、本実施形態の人工皮革をその製造方法の一例に沿って詳しく説明する。
繊維基材は、極細繊維の繊維絡合体を含む。極細繊維の繊維絡合体は、例えば、海島型複合繊維のような極細繊維発生型繊維を絡合処理して繊維絡合体を形成し、極細繊維化処理することにより得られる。なお、本実施形態においては、海島型複合繊維を用いる場合について詳しく説明するが、海島型複合繊維以外の極細繊維発生型繊維を用いても、また、極細繊維発生型繊維を用いずに、直接極細繊維を紡糸してもよい。なお、海島型複合繊維以外の極細繊維発生型繊維の具体例としては、紡糸直後に複数の極細繊維が軽く接着されて形成され、機械的操作により解きほぐされることにより複数の極細繊維が形成されるような剥離分割型繊維や、溶融紡糸工程において花弁状に複数の樹脂を交互に集合させてなる花弁型繊維等が挙げられ、極細繊維を形成しうる繊維であれば特に限定されずに用いられる。
極細繊維絡合体の製造においては、はじめに、選択的に除去できる海島型複合繊維の海成分を構成する熱可塑性樹脂と、極細繊維を形成する樹脂成分である海島型複合繊維の島成分を構成する熱可塑性樹脂とを溶融紡糸し、延伸することにより海島型複合繊維を得る。
海成分の熱可塑性樹脂としては、島成分の樹脂とは溶剤に対する溶解性または分解剤に対する分解性を異にする熱可塑性樹脂が選ばれる。海成分を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、スチレンエチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、などが挙げられる。
島成分を形成し極細繊維を形成する樹脂成分である熱可塑性樹脂としては、海島型複合繊維及び極細繊維を形成可能な樹脂であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),イソフタル酸変性PET,スルホイソフタル酸変性PET,ポリブチレンテレフタレート,ポリヘキサメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸,ポリエチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート樹脂等の脂肪族ポリエステル;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド10,ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6−12等のポリアミド;ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリブテン,ポリメチルペンテン,塩素系ポリオレフィンなどのポリオレフィン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極細繊維の繊維絡合体の製造方法としては、例えば、海島型複合繊維を溶融紡糸してウェブを製造し、ウェブを絡合処理した後、海島型複合繊維から海成分を選択的に除去して極細繊維を形成するような方法が挙げられる。ウェブを製造する方法としては、スパンボンド法などにより紡糸した長繊維の海島型複合繊維をカットせずにネット上に捕集して長繊維ウェブを形成する方法や、長繊維をステープルにカットして短繊維ウェブを形成する方法等が挙げられる。これらの中では、緻密さ及び充実感に優れている点から長繊維ウェブが特に好ましい。また、形成されたウェブには形態安定性を付与するために融着処理を施してもよい。
通常、海島型複合繊維からなるウェブの海成分を除去して極細繊維を形成するまでの何れかの工程において、絡合処理、水蒸気による熱収縮処理等の繊維収縮処理を施すことにより繊維の緻密化処理を施すことが好ましい。絡合処理としては、例えば、得られたウェブを5〜100枚程度重ね、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いてウェブに絡合処理を行うような方法が用いられる。
海島型複合繊維の海成分は、ウェブを形成させた後の適当な段階で抽出または分解して除去することができる。このような分解除去または抽出除去により海島型複合繊維が極細繊維化されて繊維束状の極細繊維が形成される。
極細繊維の繊度は、0.001〜0.9dtex、さらには0.01〜0.6dtex、とくには0.02〜0.5dtexであることが好ましい。繊度が高すぎる場合には、緻密感が不充分になり、粗密感のある繊維絡合体が得られる傾向がある。また、繊度が低すぎる繊維は製造しにくく、また、繊維同士が解けないで集束してしまい、得られる繊維絡合体の剛性が高くなる傾向がある。
このようにして得られた極細繊維の繊維絡合体は、必要に応じてスライス処理またはバフィング処理することにより厚さ調整及び平坦化処理される。このようにして、極細繊維の繊維絡合体が得られる。
繊維絡合体の厚さは、特に限定されないが、100〜3000μm、さらには300〜2000μm程度であることが好ましい。また、繊維絡合体の見かけ密度は、特に限定されないが、0.25〜0.70g/cm、さらには0.45〜0.65g/cm、とくには0.55〜0.60g/cm、程度であることが充実感としなやかさとのバランスに優れた人工皮革が得られる点から好ましい。
繊維絡合体には、極細繊維の繊維絡合体100質量部に対して、充填剤3〜30質量部,高分子弾性体5〜12質量部,及び液状の不揮発性油2〜20質量部が含浸付与される。充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油は、繊維絡合体の空隙を埋めてしなやかさを失わせずに充実感を付与し、また、多孔質層や表皮層を塗液を塗布することにより形成する場合に、繊維基材に塗液が過剰に浸透することを抑制する。
充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油を繊維絡合体に含浸させるためには、例えば、水または水とアルコール等の極性溶媒の混合液等の分散媒に、これらの成分を均質に混合分散させたものが用いられる。
繊維絡合体に分散液を含浸させた後、乾燥させて分散媒等の揮発成分を乾燥除去することにより、充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油が繊維絡合体の繊維間に残留する。乾燥条件は特に限定されないが、例えば70〜150℃で1〜10分間程度乾燥させるような条件が挙げられる。充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油は、例えば、粘土状、またはペースト状で空隙に残留する。
充填剤としては、無機フィラーまたは有機フィラーが挙げられる。
無機フィラー、及び有機フィラーとしては、例えば、平均粒子径0.5〜15μm、さらには1〜10μm程度の金属、金属酸化物、無機化合物、有機化合物等からなる各種フィラーが用いられる。その具体例としては、アルミナ(Al),二酸化チタン(TiO),酸化亜鉛(ZnO),二酸化セリウム(CeO)等の金属酸化物のフィラー;シリカ(SiO),タルク,マイカ,籠状ポリシルセスキオキサン(POSS)等の無機化合物のフィラー;ポリリン酸アンモニウム,ジアルキルホスフィン酸アルミニウム,ポリ化リン酸メラミン等の難燃性フィラー;カーボンナノチューブ(CNT),カーボンファイバー(CF),カーボンブラック(CB),グラファイト(GF),アセチレンブラック(AB)とのカーボン系フィラー等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、各種難燃性フィラーが難燃性を同時に付与できる点からとくに好ましい。
また、高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリル系弾性体、シリコーン系弾性体、ジエン系弾性体、ニトリル系弾性体、フッ素系弾性体、ポリスチレン系弾性体、ポリオレフィン系弾性体、ポリアミド系弾性体、ハロゲン系弾性体等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中ではポリウレタンが耐摩耗性や機械的特性に優れる点から好ましい。
ポリウレタンとしては、エマルジョンに調製されたポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタン等の水系ポリウレタンが分散液を調製するのが容易であり、また、架橋構造を形成させることにより、繊維に密着させすぎずに空隙に存在させることにより、より柔らかな風合いを発現する点から特に好ましい。
液状の不揮発性油としては、沸点が150℃以上で、且つ、極性溶媒に実質的に溶解しない液体であり、具体的には、例えば、流動パラフィン,鉱物油,シリコーンオイル,フタル酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、流動パラフィンが化学的な安定性に優れ、酸化を受けにくい点からとくに好ましい。
繊維絡合体100質量部に対する充填剤の量は、3〜30質量部であり、5〜20質量部であることが好ましい。繊維絡合体100質量部に対する充填剤の量が3質量部未満の場合には充実感が低下し、30質量部を超える場合にはしなやかさが低下する。
また、繊維絡合体100質量部に対する高分子弾性体の量は、5〜12質量部、さらには6〜10質量部であることが好ましい。繊維絡合体100質量部に対する高分子弾性体の量が12質量部を超える場合には、反発性が高くなってゴム感が増すことにより、しなやかさが低下する。また、5質量部未満の場合には、クッション性が低下し、折曲げた際に折れ皺が残り、品位が低下する。
また、繊維絡合体100質量部に対する不揮発性油の量は、2〜20質量部であり、3〜8質量部であることが好ましい。繊維絡合体100質量部に対する不揮発性油の量が2質量部未満の場合にはしなやかさが充分に得られにくくなり、20質量部を超える場合には、繊維絡合体が不揮発性油を保持できなくなり脱落しやすくなる。
また、(充填剤+高分子弾性体)/液状の不揮発性油の比率は、1.5〜10であり、2〜8、とくには3〜7であることが好ましい。前記比率が10を超える場合にはしなやかさが低下し、1.5未満の場合には充実感が低下する。
繊維絡合体を含む繊維基材は、顔料を含有することが好ましい。顔料は、繊維絡合体にバインダとなる高分子弾性体で固着されたり、繊維絡合体を形成する繊維自身に混練されたりしてもよいが、繊維絡合体に高分子弾性体で固着されることが着色性及び色合わせが容易である点から好ましい。
顔料の種類は特に限定されない。その具体例としては、例えば、赤〜橙系としては、ジケトピロロピロール系顔料,キナクリドン系顔料,アントラキノン系顔料等の有機顔料や、酸化鉄等の無機顔料;黄色系としては、イソインドリン系顔料,キノフタロン系顔料,縮合アゾ系顔料,アゾ錯体系顔料等の有機顔料や、ビスマスイエロー,チタンイエロー等の無機顔料;緑〜青系としては、銅フタロシアニン系顔料や、コバルトブルー,紺青,ウルトラマリン等の無機顔料;黒色系としてはカーボンブラック等が挙げられる。このような顔料は、単独でも、目的とする色に調色するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
繊維絡合体に含有させる顔料の平均粒径は特に限定されないが、0.5μm以上、さらには0.6μm以上であり、200μm以下、さらには150μm以下であることが好ましい。顔料の平均粒径が小さすぎる場合には、繊維絡合体に高分子弾性体で固着される場合に高分子弾性体で包埋されることにより、着色性が低下する傾向がある。また、顔料の平均粒径が大きすぎる場合には、極細繊維の緻密な繊維絡合体を用いた場合には、繊維絡合体が形成する空隙に侵入しにくくなって固着されにくくなることにより、芯部の着色性が低下する傾向がある。
顔料の平均粒径とは、一次粒子がビヒクルで固着されて形成された凝集体状の顔料の平均粒径を意味する。このような顔料の平均粒径は、顔料粒子の分散粒子径を表しており、分散液を用いる場合には、動的光散乱方式粒度分布計で原料となる分散液を測定して得られるメジアン径に実質的に同程度である。
このようにして極細繊維の繊維絡合体100質量部に対して、充填剤3〜30質量部,高分子弾性体5〜12質量部,及び液状の不揮発性油2〜20質量部含有する繊維基材が得られる。繊維基材は、必要に応じてスライス処理またはバフィング処理により厚さ調整及び平坦化処理されたり、揉み柔軟化処理、空打ち柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されてもよい。
繊維基材の見かけ密度は、0.55〜0.85g/cmであり、0.6〜0.75g/cmであることが好ましい。繊維基材の見かけ密度が0.55g/cm未満の場合には充実感が低下する。また、高すぎる場合にはしなやかさが低下する傾向がある。また、繊維基材の厚さは、100〜3000μm、さらには300〜2000μm程度であることが好ましい。
そして、繊維基材の表面には厚さ50〜800μmで膨張率1.5〜5倍の弾性を有する多孔質層が形成される。このような多孔質層は、得られる人工皮革に低反発感を付与するとともに、高い表面クッション性及び平滑性を付与する。
多孔質層は、多孔質層を形成するための液状の樹脂組成物である塗液を繊維基材の表面に直接、ロールコーターやスプレーコーターを用いて塗布した後、乾燥または湿式凝固させることにより形成される。なお、従来の繊維基材に厚い多孔質層を形成させようとした場合、繊維基材に塗液が浸透しすぎて表層が固くなり、しなやかさを損なうことがあった。一方、上述したような繊維基材は緻密であるとともに不揮発性油の撥水性により、塗液が浸透しすぎることが抑制されて厚い多孔質層を形成しやすい。
多孔質層を形成するための樹脂成分の具体例としては、ポリウレタン、アクリル系弾性体、シリコーン系弾性体、ジエン系弾性体、ニトリル系弾性体、フッ素系弾性体、ポリスチレン系弾性体、ポリオレフィン系弾性体、ポリアミド系弾性体、ハロゲン系弾性体等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中ではポリウレタンが耐摩耗性や機械的特性とのバランスに優れる点から好ましい。また、多孔質層も上述したような顔料を含有することが好ましい。
多孔質層の形成方法は特に限定されず、乾式発泡法、機械発泡法、湿式凝固発泡法等により多孔質層を形成させるような方法が挙げられる。乾式発泡法は、乾式造面に用いられる樹脂に発泡剤やマイクロカプセルをブレンドし、乾燥することにより多孔質層を形成する方法である。また、機械発泡法は乾式造面に用いられる樹脂を機械的に攪拌して空気等の非反応性気体を噛み込ませて多孔質層を形成する方法である。また、湿式凝固法は、多孔質層を形成するためのポリウレタン溶液をジメチルホルムアミド(DMF)水溶液または水のみからなる凝固槽に浸漬し凝固させることにより多孔質層を形成する方法である。これらの中では、機械発泡法が非反応性気体の混入量を調節することにより、容易にポリウレタン発泡体の比重を調整することができるため好ましい。また、略球状の微細気泡を有するポリウレタン発泡体を連続成形することができるため製造効率がよく、多孔質層の膨張率を制御しやすい点から好ましい。
機械発泡法における、微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的にも最も好ましい。また、目的とするポリウレタン発泡体を得るためには、撹拌翼の回転数は500〜2000rpmであることが好ましく、より好ましくは500〜1200rpmである。また、撹拌時間は目的とする比重に応じて適宜調整する必要があるが、通常2〜5分程度である。また、ポリウレタン発泡体には、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、難燃剤、顔料、柔軟剤、充填剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、その他の添加剤を加えてもよい。
多孔質層の膨張率は1.5〜5倍であり、2〜3倍であることが好ましい。なお、膨張率は多孔質層のみかけ体積が、空孔を除いた同質量の樹脂体積の何倍に膨張しているかを示す倍率を意味する。多孔質層の膨張率が1.5倍未満の場合には低反発感、高い表面クッション性が低下し、多孔質層の膨張率が5倍を超える場合には細かい折れシボ感が低下する。
また、多孔質層の厚さは、50〜800μmであり、200〜600μmであることが好ましい。多孔質層の厚さが50μm未満の場合には平滑性、低反発感、高い表面クッション性が低下し、800μmを超える場合には、反発感が大きくなる。
そして、繊維基材の表面に形成された多孔質層に表皮層を形成することにより本実施形態の人工皮革が得られる。
表皮層を形成する樹脂は、多孔質層で用いる樹脂成分と同様の樹脂成分であって非多孔質の樹脂が挙げられる。また、表皮層は単層であっても異なる種類の層を積層したものであってもよい。多孔質層の表面に表皮層を形成する方法は特に限定されない。例えば、多孔質層の表面に、表皮層を形成するための樹脂成分を含有する塗料を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥または湿式凝固させて膜を形成するような方法が挙げられる。なお、塗料を塗布する方法は特に限定されず、スプレーコート、ロールコート、ナイフコート(コンマコーター)等のような手段が特に限定なく用いられる。仕上げ工程である表皮層の形成工程において、スプレー塗布等による簡単な塗装工程で色味を調整することができるために、生産効率にとくに優れている。
表皮層の厚さは5〜200μm、さらには10〜100μmであることが好ましい。
表皮層は、0.5μm未満の平均粒径を有する、いわゆる透明顔料で着色されるか、染色されていることが好ましい。とくには透明顔料で着色されていることが染料仕上げのアニリン革のような、透明感及び深みのある色味を感じさせることができる点から好ましい。0.5μm未満の平均粒径を有する透明顔料で着色された場合には、表皮層をその透明性を維持させながら着色することができる。
透明顔料の平均粒径は0.5μm未満、さらには、0.4μm以下、とくには0.3μm以下であることが好ましい。透明顔料の平均粒径が0.5μm以上の場合には、表皮層の光透過性が低下する傾向がある。また、透明顔料の平均粒径の下限は特に限定されないが、0.1μm程度であることが着色性と生産性の点から好ましい。なお、このような透明顔料の分散液は、例えば、日弘ビックス(株)から市販されている。透明顔料は、単独でも、目的とする色に調色するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表皮層中の顔料の含有割合は特に限定されないが、0.1〜10質量%、さらには0.5〜5質量%であることが好ましい。表皮層中の顔料の含有割合が高すぎる場合には光透過性が低下する傾向があり、低すぎる場合には、着色性が低下する傾向がある。
また、表皮層は、全光線透過率が5%以上、さらには20%以上、とくには30%以上の光透過性を有することが好ましい。このような場合には、人工皮革に光が当たったときに、光の一部が表皮層を透過して顔料で着色された繊維基材の色が視認される。その結果、表面を視認する者に、顔料による繊維基材の着色による発色と表皮層の着色による発色を視認させることにより、染料仕上げのアニリン革のような、透明感及び深みのある色味を感じさせることができる。なお、表皮層の全光線透過率は、例えば、全光線透過率が98%以上のガラス板をコントロールとし、そのガラス板に表皮層と同じ厚み及び同じ組成の皮膜を形成し、JIS−K7136に規定される全光線透過率(%)測定法に準拠した方法により測定することができる。
このようにして得られた人工皮革は、さらに必要に応じて、表面を保護するためのクリア層を設けたり、揉み柔軟化処理、空打ち柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されたりしてもよい。
さらに、人工皮革の表面には、型押し(エンボス加工等)により型押し柄を付与してもよい。本実施形態の人工皮革は、充実感の高い繊維基材の表面に多孔質層が形成されているために、型押しした場合に多孔質層が圧縮されて潰されやすい。そのために、本実施形態の人工皮革は、型押し性に特に優れている。
実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。また、以下の説明において、「部」または「%」は特記のない限り質量基準とする。
[実施例1]
〈絡合不織布の製造〉
海成分として水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)、島成分として変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−トを用い、口金温度260℃に設定された、海成分中に均一な断面積の島成分が25個分布した断面を形成するノズル孔が並列状に配置された複数紡糸用口金に溶融樹脂を供給し、ノズル孔から吐出させた。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。
そして、吐出された溶融繊維を平均紡糸速度が3700m/分となるように吸引装置で吸引することにより延伸し、繊度が2.1dtexの海島型複合繊維の長繊維を紡糸した。紡糸された海島型複合繊維の長繊維は、可動型のネット上に連続的に堆積され、42℃の金属ロールで軽く押さえ、表面の毛羽立ちを抑えた。そして、海島型複合繊維の長繊維をネットから剥離し、表面温度55℃の格子柄の金属ロールとバックロールとの間を通過させることにより、線圧200N/mmで熱プレスして目付31g/mの長繊維ウェブを得た。
次に、総目付が250g/mになるようにウェブをクロスラッパー装置を用いて8層に重ね、重ね合わせウェブを作製し、更に針折れ防止油剤をスプレーした。次いで、針先端から第1バーブまでの距離が3.2mmの6バーブ針を用い、針深度8.3mmにて両面から交互に3300パンチ/cmでニードルパンチした。このニードルパンチ処理による面積収縮率は68%であり、ニードルパンチ後の絡合ウェブの目付は550g/mであった。
絡合ウェブを巻き取りライン速度10m/分で70℃の熱水中に14秒間浸漬して面積収縮を生じさせた。ついで95℃の熱水中で繰り返しディップ・ニップ処理を実施してPVAを溶解除去することにより、繊度0.1dtexの極細長繊維を25本含む繊度2.5dtexの繊維束が3次元的に交絡した絡合不織布を作製した。乾燥後に測定した面積収縮率は52%であり、目付は576g/m、見掛け密度は0.565g/cmである不織布を得た。そして不織布をスライスし、バフィングすることにより厚みを1.05mmに調整することにより、極細繊維の繊維絡合体を得た。
一方、平均粒径約0.6μm(粒径分布0.5〜20μm)の顔料を含む水性顔料分散液とアクリル系エマルジョンとを混合することにより、繊維基材100部に顔料4.3部及びアクリルエラストマー2部を付与するための顔料含浸用分散液を調製した。なお、アクリル系エマルジョンとしては、R/W バインダ5KS(DIC(株)製)を用いた。また、顔料としては、R/WブラウンFFM(DIC(株)製)4%及びR/WブラックB(DIC(株)製)0.3%を配合して濃茶色に調色した。そして、繊維絡合体に、調製された顔料含浸用分散液をピックアップ率60%になるようにディップ・ニップすることにより含浸させ、乾燥することにより、繊維絡合体に顔料を固着させた。
その後、固形分30%のポリウレタンエマルジョン2%、38%owfの平均粒子径5μmのジアルキルホスフィン酸アルミニウムの分散液(固形分40%)、及び15%owfの流動パラフィン(濃度30%)を、全層にピックアップ率80%になるように含浸し、乾燥をおこなった。なお、ポリウレタンエマルジョンとしては、ソフトセグメントがポリへキシレンカーボネートジオールとポリメチルペンタンジオールの70:30の混合物からなり、ハードセグメントが主として水添メチレンジイソシアネートからなる架橋タイプのポリウレタン(融点180〜190℃、損失弾性率のピーク温度−15℃、130℃での熱水膨潤率が35%)のエマルジョンを用いた。
そして、繊維絡合体を収縮加工装置(小松原鉄工(株)製、サンフォライズ機)を用いて、その収縮部のドラム温度120℃、ヒートセット部のドラム温度120℃、搬送速度10m/分で処理してタテ方向(長さ方向)に5.5%収縮させて繊維基材を得た。得られた繊維基材は、繊維絡合体100部に対して、充填剤13部,高分子弾性体10部,及び液状の不揮発性油4部を含有し、且つ、(充填剤+高分子弾性体)/液状の不揮発性油=5.8であった。また、繊維基材は、目付709g/m、見掛け密度0.645g/cmであった。
得られた繊維基材の表面に、多孔質層を形成するための塗液をリバースコーターを用いて塗布量300g/m2でロールコートし、熱処理することにより厚さ280μm、膨張率3倍の多孔質層を形成した。なお、多孔質層を形成するための塗液としては、ポリウレタン溶液(STAHL(株)製 Permutex EVO RC-2102固形分50%)400部と、平均粒径約0.6μm(粒径分布0.5〜20μm)の顔料の分散液(固形分25%)100部と、架橋剤(STAHL(株)製 XR-22-419 )3部を混合して機械発泡機(HANSA MIXER)により比重0.500g/cmになるように調整されたフォーム塗液を用いた。
そして、表皮層の一部として、膜厚30μmの無孔性のカラーコート層を形成するために、カラーコート液を塗布量140g/m2になるようにGemata製のSTARPLUSでスプレーした。なお、カラーコート液としては、平均粒径0.2μm(粒径分布0.1〜0.5μm)の透明顔料を含む顔料水系分散液(日弘ビックス(株)製のNSP-WG series、固形分約20%)50部と、ポリウレタン樹脂(DIC(株)製 LCCバインダUB1770 固形分30%)400部とを混合し、岩田カップ(IWATA NK-2 12s)で30cpになるように増粘剤で調整したものを用いた。
カラーコート層中の顔料の含有割合は2.2%であった。また、全光線透過率が98%以上のガラス板をコントロールとし、そのガラス板にカラーコート層と同じ厚み及び同じ組成の皮膜を形成し、JIS−K7136に規定される全光線透過率(%)測定法に準拠した方法により測定されたカラーコート層の全光線透過率は45%であった。
そして、さらに40〜50℃で2〜4時間空打ち処理を行った。そして、125℃,50kg/cmのエンボスロールを用いてライン速度7.0m/分で表層にエンボス処理を施した。そしてその表面に、岩田カップ(IWATA NK-2 12s)で30cpに調整したトップコート塗料(スタール製のクリア塗料)を塗布し、表皮層の一部として、膜厚15μmのトップコートを形成することにより目付740g/m、見かけ密度0.704g/cmの人工皮革を得た。このようにして得られた人工皮革の断面の50倍の走査型顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。また、表面の50倍のSEM写真を図3に示す。
〈人工皮革の評価〉
得られた人工皮革を以下の評価方法に従って評価した。
(低反発感)
得られた人工皮革を20×20cmに切りだしてサンプルを調整した。そして、人工皮革を丸めるように手で握った後、手を開いて解放したときの様子を以下のように判定した。
A:天然皮革のように、丸めたときの形状を留めた。
B:丸めたときの形状をしばらく留め、その後徐々に元の形状に回復した。
C:反発力により丸めたときの形状からすぐに元の形状に回復した。
(折れシボ感)
得られた人工皮革を20×20cmに切りだしてサンプルを調整した。そして、中央部を境にして内側に折り曲げる等して外観を以下の基準で判定した。
A:折りまげたときに緻密で細かな折れシボ及び丸みを帯びたような充実感のある折れしわが発生した。また、ドレープ性にも優れていた。
B:折れシボは座屈の大きな粗いシボや深いシワが発生して緻密な折れシボ感が得られず充実感に乏しい風合いであった。また、ドレープ性にも劣っていた。
C:充実感が著しく低かった。
(表面クッション性)
得られた人工皮革を20×20cmに切りだしてサンプルを調整した。そして、中央部を境にして内側に4つ折りした中央部分の外観を以下の基準で判定した。
A:4つ折りした角にヘタリがなく、丸みがあった。
B:4つ折りした角にヘタリがなかったが、丸みはなかった。
C:4つ折りした角にヘタリがあった。
(平滑性)
人工皮革の表面をSEM観察し、次のように判定した。
A:表皮層の沈み込みがほとんどなく、平滑で滑らかな表面が形成された。
B:表皮層の沈み込みが少しあり、表面の繊維のざらつきが少し感じられた。
C: 表皮層がほとんど沈み込み、表面が繊維で露出して毛羽立っていた。
(型押し性)
A:型押ししたものを空打ち4時間処理した後もそのままの型押形状を保持していた。
B:型押ししたものを空打ち2時間処理後は型押形状を保持しているが、4時間処理後は保持できしなかった。
C:型押ししたものを空打ち2時間処理した後、型押形状を保持できなかった。
(表面の色感)
A:染料仕上げアニリン革のような、透明感及び深みのある色味であった。
B:顔料仕上革のような、透明感がなく少し深みある色味であった。
C:透明感がなく高級感が低い色味であった。
以上の評価結果を下記表1に示す。
[実施例2]
実施例1の多孔質層の形成において、繊維基材の表面に多孔質層を形成するための塗液を塗布量300g/m2でロールコートして膜厚280μmの多孔質層を形成した代わりに、塗布量約500g/m2でロールコートして厚さ460μm、膨張率3倍の多孔質層を形成した以外は同様にして多孔質層を形成し、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の多孔質層の形成において、繊維基材の表面に多孔質層を形成するための塗液を塗布量300g/m2でロールコートして膜厚280μmの多孔質層を形成した代わりに、塗布量約220g/m2でロールコートして厚さ200μm、膨張率3倍の多孔質層を形成した以外は同様にして多孔質層を形成し、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の多孔質層の形成において、多孔質層を形成するフォーム塗液として、比重0.500g/cmに調整した代わりに、比重0.300g/cmに調整した以外は同様にして調製された多孔質層を形成するためのフォーム塗液を用いた。そして、調製されたフォーム塗液を塗布量約300g/m2でロールコートして厚さ280μm、膨張率5倍の多孔質層を形成した以外は、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の多孔質層の形成において、多孔質層を形成する塗液として、比重0.500g/cmに調整した代わりに、比重0.750g/cmに調整した以外は同様にして調製されたフォーム塗液を用いた。そして、調製されたフォーム塗液を塗布量約300g/m2でロールコートして厚さ280μm、膨張率2倍の多孔質層を形成した以外は同様にして多孔質層を形成し、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例6〜9]
実施例1において、繊維絡合体100部に充填剤13部,高分子弾性体10部,及び液状の不揮発性油4部を含浸付与する代わりに、繊維絡合体100部に対する充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油の割合を表1に示したように変更した以外は同様にして人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1において、カラーコート液に配合した顔料の分散液として、平均粒径約0.6μm(粒径分布0.5〜20μm)の顔料の分散液を用いた以外は実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の多孔質層の形成において、多孔質層を形成するフォーム塗液として、比重0.500g/cmに調整した代わりに、比重0.980g/cmに調整した以外は同様にして塗液を調製した。そして、繊維基材の表面に塗液を塗布量300g/m2でロールコートして膜厚280μmの多孔質層を形成した代わりに、塗液を塗布量約120g/m2でロールコートして厚さ100μmの無孔質層を形成した以外は同様にして、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。また、このようにして得られた人工皮革の断面の50倍の走査型顕微鏡(SEM)写真を図3に、表面の50倍のSEM写真を図4に示す。
[比較例2]
実施例1の多孔質層の形成において、繊維基材の表面に多孔質層を形成するための塗液を塗布量300g/m2でロールコートして膜厚280μmの多孔質層を形成した代わりに、湿式凝固発泡法により、厚さ280μm、膨張率6倍の多孔質層を形成した以外は同様にして多孔質層を形成し、実施例1と同様の工程を経て、人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。また、このようにして得られた人工皮革の断面の50倍の走査型顕微鏡(SEM)写真を図6に示す。
[比較例3]
実施例1において、繊維絡合体100部に充填剤13部,高分子弾性体10部,及び液状の不揮発性油4部を含浸付与する代わりに、繊維絡合体に対して固形分で12.5部になるように実施例1で用いたのと同様の水系ポリウレタンの分散液を含浸させ、120℃で乾燥させた以外は同様にして人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、繊維絡合体100部に充填剤13部,高分子弾性体10部,及び液状の不揮発性油4部を含浸付与する代わりに、繊維絡合体100部に対する充填剤,高分子弾性体,及び液状の不揮発性油の割合を表1に示したように変更した以外は同様にして人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜10で得られた人工皮革は何れも、天然皮革のような、細かい折れシボ感、低反発感、高い表面クッション性及び平滑性を備えていた。一方、多孔質層の代わりに無孔質層を形成した比較例1の人工皮革は、細かい折れシボ感、低反発感、高い表面クッション性及び平滑性に乏しかった。また、例えば、図3と図5とを比較すれば、本発明に係る実施例1の人工皮革の表面は、無孔質層を形成した比較例1の人工皮革の表面に比べて顕著に平滑性に優れていることがわかる。また、図2と図6とを比較すれば、本発明に係る実施例1の人工皮革の多孔質層は、比較例2の人工皮革の多孔質層に比べて均質に空隙が形成されていることがわかる。
本発明の人工皮革は、靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリア、車輌用途などの天然皮革の代替素材として用いられる。
1 繊維基材
1a 繊維絡合体
2 多孔質層
3 表皮層
4 高分子弾性体
5 多孔質層
6 液状の不揮発性油
10 人工皮革

Claims (5)

  1. 繊維基材と、前記繊維基材に積層された多孔質層と、前記多孔質層に積層された表皮層とを備え、
    前記繊維基材は、極細繊維の繊維絡合体100質量部に対して、充填剤3〜30質量部,高分子弾性体5〜12質量部,及び液状の不揮発性油2〜20質量部で、且つ、(前記充填剤+前記高分子弾性体)/前記液状の不揮発性油=1.5〜10の比率で含有する、0.55g/cm以上の見かけ密度を有する基材であり、
    前記多孔質層は、厚さ50〜800μmで膨張率1.5〜5倍の弾性層であることを特徴とする人工皮革。
  2. 前記繊維基材は、0.5μm以上の平均粒径を有する顔料を含有する請求項1に記載の人工皮革。
  3. 前記表皮層は、0.5μm未満の平均粒径を有する顔料で着色された全光線透過率が5%以上の光透過性皮膜から形成されている請求項1または2に記載の人工皮革。
  4. 前記不揮発性油が流動パラフィン,シリコーンオイル,鉱物油,及びフタル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の人工皮革。
  5. 前記充填剤が、無機フィラー及び有機フィラーから選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の人工皮革。
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