自動二輪車や電動補助自転車に設けられた駆動ユニットは、モータの駆動力によって回転する駆動軸を有する。この駆動ユニットでは、モータの駆動力によって駆動軸に取り付けられたスプロケットが回転し、スプロケットに巻きかけられたチェーンを介して駆動力が車輪に伝わる。これにより、車両が前進する。
本発明者は、電動補助自転車の走行中に発生する異音についての検討を重ねた。その結果、本発明者は、電動補助自転車の走行中に発生する異音が駆動軸の周辺から発生しているとの知見を得た。より詳細に検討した結果、本発明者は、その異音が、駆動軸に対するスプロケットの固定方法に起因していることを突き止めた。さらに、本発明者は、異音発生の具体的な原因のひとつが、スプロケットが駆動軸の軸方向のがたつきであることを明らかにした。
図11を参照して、本発明者が見出したスプロケット1043のがたつきについて説明する。スプロケット1043は、駆動軸1081に対してスプライン1081Baとスプライン1043aとが噛み合わされて固定されている。これにより、スプロケット1043の駆動軸1081に対する軸Lを回転中心とする回転運動が規制され、スプロケット1043の回転運動によるがたつきは抑制される。一方、スプロケット1043は、段差1081Dとサークリップ1142とで挟まれることのみによって駆動軸1081の軸方向の移動が規制されているので、軸方向の移動を完全に抑制することが困難である。したがって、スプロケット1043が駆動軸1081の軸方向に沿って、がたついてしまう。
本発明者は、上記説明したスプロケットの取付方法に起因する異音の発生を抑制する方法について、検討を重ねた。その結果、本発明者は、駆動軸と一体に回転する第1部材と、スプロケットとの間にダンパを介在させる構成に着目した。そして、ダンパを第1部財とスプロケットの両方に接触させることで、上記異音の発生を抑制する、という知見を見出した。
[実施の形態]
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、ハンドル23を握りつつ電動補助自転車1のシート24に着座した使用者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
[実施形態1]
[電動補助自転車の全体構成]
図1は、実施形態1に係る電動補助自転車1を示す右側面図である。図2は、実施形態1に係る電動補助自転車1の駆動ユニット40及び従動スプロケット45を示す右側面図である。
図1に示すように、電動補助自転車1は、車体フレーム11を有する。車体フレーム11は、前後方向に延びている。車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、ダウンフレーム13、シートフレーム14、一対のチェーンステイ16、及び一対のシートステイ17を有している。ヘッドパイプ12は、電動補助自転車1の前部に配置されている。ヘッドパイプ12には、ダウンフレーム13の前端が接続されている。ダウンフレーム13は、前後方向に延びている。ダウンフレーム13は、ヘッドパイプ12との接続部分から斜め下方に向かって延びている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後端に接続されている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後端から上方且つ斜め後方に向かって延びている。
図2に示すように、ダウンフレーム13の後端には、ブラケット15が取り付けられている。ブラケット15の後端には、一対のチェーンステイ16が接続されている。一対のチェーンステイ16は、図1に示すように、後輪22を左右から挟むように配置されている。図2に示すように、各チェーンステイ16の後端には、それぞれシートステイ17の一方の端部が接続されている。図1に示すように、一対のシートステイ17は、後輪22を左右から挟むように配置されている。図1に示すように、各シートステイ17の他方の端部は、それぞれ、シートフレーム14の上部に接続されている。
ヘッドパイプ12には、図1に示すように、ハンドルステム25が回転自在に挿入されている。ハンドルステム25の上端には、ハンドル23が固定されている。ハンドルステム25の下端には、フロントフォーク26が固定されている。フロントフォーク26の下端には、前輪21が車軸27によって回転可能に支持されている。
ハンドル23の左右端には、それぞれグリップ73が取り付けられている。ハンドル23の左部には、左ブレーキレバー74が取り付けられ、ハンドル23の右部には、右ブレーキレバー75が取り付けられている。左ブレーキレバー74は、後輪22のブレーキ(不図示)を操作するためのレバーである。右ブレーキレバー75は、前輪21のブレーキ(不図示)を操作するためのレバーである。
円筒状のシートフレーム14には、図1に示すように、シートパイプ28が挿入されている。シートパイプ28の上端には、シート24が設けられている。
一対のチェーンステイ16の後端には、後輪22が車軸29によって回転可能に支持されている。後輪22の右方には、車軸29と同軸に従動スプロケット45が設けられている。従動スプロケット45は、一方向クラッチ(不図示)を介して後輪22に連結されている。
車体フレーム11にはチェーンカバー47が取り付けられている。チェーンカバー47は、メインカバー48、及びサブカバー49を有している。メインカバー48は、前後方向に延びている。メインカバー48は、駆動ユニット40の右前部及びチェーン46を覆っている。サブカバー49は、駆動ユニット40の右後部を覆っている。
シートフレーム14の後方には、図1に示すように、バッテリユニット35が配置されている。バッテリユニット35は、駆動ユニット40の電動モータ61(図2参照)に電力を供給する。バッテリユニット35は、図示しないバッテリ及び電池制御部を有する。バッテリは、充放電可能な充電池である。電池制御部は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流及び残容量等を監視する。
図2に示すように、駆動ユニット40は、本体部51、クランク軸41、駆動力発生部60、及びチェーンテンショナ86を含む。図3は、図2の駆動ユニット40をIII−III線で切断した断面図である。
本体部51は、図3に示すように、ハウジング蓋体52及びハウジング本体53を有する。ハウジング蓋体52及びハウジング本体53は、左右から互いに組み合わされ、複数の締結金具54によって互いに固定されている。本体部51は、締結金具30によって、ブラケット15に取り付けられている。ハウジング本体53は、図3に示すように、駆動ユニット40の右部を構成する第1収容部53Rと、駆動ユニット40の左部を構成する第2収容部53Lとを有する。第1収容部53Rは、第2収容部53Lよりも大きく形成されている。第1収容部53Rと第2収容部53Lとは、壁面53Pで分割されている。ハウジング蓋体52は、ハウジング本体53の第1収容部53Rを塞ぐように、ハウジング本体53に固定されている。
ハウジング本体53の前部には、クランク軸41が貫通する軸孔53aが形成されている。また、ハウジング蓋体52の前部には、クランク軸41が貫通する軸孔52aが形成されている。クランク軸41は、軸孔53a、52aを貫通することにより、駆動ユニット40を貫通している。クランク軸41は、転がり軸受44A、44Bを介して、ハウジング本体53及びハウジング蓋体53に介して回転可能に支持されている。
クランク軸41の両端には、図1に示すように、クランクアーム31、32が取り付けられている。クランクアーム31、32の先端には、それぞれ、ペダル33、34が取り付けられている。使用者がペダル33、34を踏み込むことにより、クランク軸41が回転する。第1スプロケット42には、従動スプロケット45との間にチェーン46が巻き掛けられている。
クランク軸41には、図3に示すように、回転部材56、一方向クラッチ55、及び第1スプロケット42が、クランク軸41と同軸に配置されている。回転部材56、及び一方向クラッチ55は、ハウジング本体53の第1収容部53Rに収容されている。回転部材56は、クランク軸41の左右方向で中央やや左寄りに配置されている。回転部材56は、略円筒状である。回転部材56の右端は、円筒状の滑り軸受71を介してクランク軸41に支持されている。回転部材56の中央部及び左部は、クランク軸41に接続されている。回転部材56の中央部及び左部とクランク軸41は、例えばスプライン構造によって接続されている。これにより、回転部材56は、クランク軸41と一体で回転する。
一方向クラッチ55は、クランク軸41の右部に配置される。一方向クラッチ55は、インナー部材55a及びアウター部材55bを有する。
インナー部材55aは、回転部材56の右方に配置されている。インナー部材55aは、略円筒状であり、クランク軸41に対して回転可能である。インナー部材55aの右端の外周面には、第1スプロケット42が取り付けれ、固定されている。これにより、インナー部材55aと第1スプロケット42は、一体で回転する。第1スプロケット42は、ハウジング蓋体52の右方に配置されている。
アウター部材55bは、回転部材56の右部と、インナー部材55aの左部とに被さるように配置されている。アウター部材55bは、略円筒状である。アウター部材55bと回転部材56は接続されている。アウター部材55bと回転部材56は、例えばスプライン構造によって接続されている。これにより、アウター部材55b及び回転部材56は、一体で回転する。
アウター部材55bとインナー部材55aは、アウター部材55bからインナー部材55aに、前転方向(図1に示すように電動補助自転車1を右側から見て時計回りの方向をいう。以下、同様とする)の回転力のみを伝達するように接続されている。アウター部材55bとインナー部材55aは、例えばラチェット構造によって接続されている。アウター部材55bからインナー部材55aに、後転方向(図1に示すように電動補助自転車1を右側から見て反時計回りの方向をいう。以下、同様とする)の回転力は伝達されない。
クランク軸41、第1スプロケット42、一方向クラッチ55、及び回転部材56は、上記のように構成されている。これにより、使用者が電動補助自転車1を前進させるようにペダル33、34を踏み込んでクランク軸41を前転方向に回転させた場合には、使用者のペダル踏力がクランク軸41から回転部材56及びアウター部材55bに伝達される。アウター部材55bの前転方向の回転は、インナー部材55aに伝達される。このため、インナー部材55aに取り付けられた第1スプロケット42が前転方向に回転する。一方、使用者がクランク軸41を後転方向に回転させた場合、後転方向の回転は、ラチェット構造によりアウター部材55bからインナー部材55aには伝達されない。したがって、インナー部材55a及び第1スプロケット42は後転方向に回転しない。
駆動ユニット40には、図3に示すように、回転部剤56の外周付近に、トルク検出部57が設けられている。トルク検出部57は、ハウジング本体53の第1収容部53Rに収容されている。トルク検出部57は、ペダル踏力によってクランク軸41に発生するトルクを検出する。トルク検出部57は、例えば、磁歪式のトルクセンサである。駆動ユニット40には、トルク検出部57の他、例えば、クランク回転検出部(不図示)等が設けられていてもよい。
トルク検出部57は、ペダル踏力を検出可能な構成であれば、磁歪式のトルクセンサに限定されない。また、トルク検出部57は、クランク軸41のトルクを直接検出せず、チェーン46に発生する張力からクランク軸41のトルクを検出する構成であってもよい。
本体部51の前後方向の中央には、図3に示すように、駆動力発生部60が配置されている。駆動力発生部60は、電動モータ61、出力軸81及びギヤ82を有する。
電動モータ61は、ハウジング本体53の第2収容部53Lに収容されている。ハウジング本体53には、電動モータ61の左側を覆うモータカバー65が取り付けられている。モータカバー65は、複数の締結金具68によってハウジング本体53に固定されている。電動モータ61は、制御基板38のアシスト制御部(不図示)から出力される制御信号に基づいて、ペダル踏力による電動補助自転車1の走行をアシストするための補助駆動力を発生する。
電動モータ61は、図3に示すように、ステータ62、ロータ63及びモータ軸64を有する。ステータ62は、ハウジング本体53に固定されている。ハウジング本体53の壁面53Pには、モータ軸64が貫通する軸孔53cが形成されている。また、モータカバー65の右側面には、モータ軸64を支持するモータ軸支持部65cが形成されている。モータ軸64は、軸孔53cを貫通し、さらにモータ軸支持部65cで支持されることにより、第2収容部53Lから第1収容部53Rにわたって位置づけられている。モータ軸64は、転がり軸受66及び67を介して、ハウジング本体53及びモータカバー65に回転可能に支持されている。モータ軸64には、ロータ63が固定されている。モータ軸64の外周には、右端から中央に向けて、ギヤ溝64aが形成されている。電動モータ61は、その他、例えば、モータ回転検出部(不図示)等を備えていてもよい。
ハウジング蓋部52の後部には、出力軸81が貫通する軸孔52bが形成されている。また、ハウジング本体53の後部且つ右側面には、出力軸81を支持する出力軸支持部53bが形成されている。出力軸81は、軸孔52bを貫通し、さらに出力軸支持部53bで支持されることにより、第1収容部53Rからハウジング蓋体52の右方に突出するように位置づけられている。
出力軸81は、転がり軸受83、84を介してハウジング蓋体52及びハウジング本体53と回転可能に支持されている。転がり軸受83は、後出の図6を参照して、インナーレース83A、アウターレース83B、転動体83C、保持器(不図示)、及びオイルシール83D,83Eを含む。転がり軸受84は、図3を参照して、インナーレース84A、アウターレース84B、転動体84C、保持器(不図示)、及びオイルシール(不図示)を含む。転がり軸受83、84のインナーレース83A、84Aは、出力軸81に固定されている。一方、転がり軸受83のアウターレース83Bはハウジング蓋体52に固定されている。また、転がり軸受84のアウターレース84Bはハウジング本体53に固定されている。これにより、出力軸81は、ハウジング本体53及びハウジング蓋体52とは独立に、軸Lを回転中心として回転することができる。
図4は、出力軸81の一端を拡大して示す斜視図である。出力軸81のうちインナーレース83Aが固定された部分より端部は、第1部分81A,第1部分81Aより端部の第2部分81B、及び第2部分81Bより端部の第3部分を含む。第1部分81Aには、後述するダンパ141が装着される。第2部分81Bには、後述する第2スプロケット43が取り付けられる。第3部分81Cには、後述するサークリップ142が取り付けられる。第2部分81Bの径は、第1部分81Aの径よりも小さく、これにより、第1部分81Aと第2部分81Bとの間に段差81Dが形成されている。第2部分81Bの表面には、スプライン81Baが形成されている。
出力軸81には、一方向クラッチ85を介してギヤ82が取り付けられている。ギヤ82は、転がり軸受83と転がり軸受84との間に、出力軸81と同軸に配置されている。ギヤ82は、電動モータ61のモータ軸64に形成されたギヤ溝64aと噛み合っている。モータ軸64に形成されたギヤ溝64aとギヤ82は減速機を構成している。本実施形態では、電動モータ61が作動するとモータ軸64は前転方向に回転する。このため、ギヤ82は、モータ軸64の前転方向の回転によって後転方向に回転する。
一方向クラッチ85は、ギヤ82又は出力軸81に生じた後転方向の回転のみ伝達するように構成されている。このため、電動モータ61が作動してギヤ82が後転方向に回転した場合には、その回転は出力軸81に伝達されて出力軸81は後転方向に回転する。一方、出力軸81に前転方向の回転が生じても、ギヤ82には前転方向の回転は伝達されない。
ハウジング本体53には、図3に示すように、ギヤ82及びモータ軸64の右方を覆う樹脂カバー59が取り付けられている。制御基板38は、樹脂カバー59の右方に配置され、締結金具39によって樹脂カバー59及びハウジング本体53に固定される。
出力軸81の一端、つまり、出力軸81の右端且つ樹脂カバー59の右方には、スプロケット取付機構140によって、第2スプロケット43が取り付けられている。第2スプロケット43と出力軸81は、例えばスプライン構造によって接続されている。第2スプロケット43は、出力軸81と一体に回転する。これにより、電動モータ61が作動すると、電動モータ61のモータ軸64の回転は、ギヤ82、一方向クラッチ85、及び出力軸81を介して第2スプロケット43に伝達される。つまり、駆動力発生部60で発生した補助駆動力が出力軸81から第2スプロケット43に伝達され、第2スプロケット43が後転方向に回転する。スプロケット取付機構140の詳細については後述する。
本体部51の後部には、図2に示すように、チェーンテンショナ86が配置されている。チェーンテンショナ86には、テンションスプロケット90が支持ボルト89によって回転可能に取り付けられている。図2に示すように、チェーンテンショナ86は、一端が支持ボルト88によってハウジング蓋体52に対して回転可能に接続されている。チェーンテンショナ86の他端は、引張バネ87を介してハウジング蓋体52に接続されている。テンションスプロケット90には、テンションスプロケット90を後上方に押すようにチェーン46が巻き掛けられる。チェーンテンショナ86は、引張バネ87の弾性力によってチェーン46に対して適度な張力を付与する。
図2に示すように、本実施形態の電動補助自転車1において、第1スプロケット42及び第2スプロケット43は、チェーン46を介して、後輪22に駆動力を伝達する。具体的には、使用者がペダル33、34を踏み込むことにより発生するペダル踏力は、第1スプロケット42を前転方向に回転させ、チェーン46を介して後輪22を前転方向に回転させる駆動力として伝達される。また、電動モータ61が作動することにより発生する回転力は、第2スプロケット43を後転方向に回転させ、チェーン46を介して後輪22を前転方向に回転させる補助駆動力として伝達される。これにより、使用者がペダル33、34を踏み込んで発生させるペダル踏力を、電動モータ61から出力される駆動力によってアシストする。
図5は、第1スプロケット42、第2スプロケット43、テンションスプロケット90、及び従動スプロケット45にチェーン46を巻きかけたときの駆動ユニット40の右側面図である。なお、図5では、第1スプロケット42及び第2スプロケット43へチェーン46が巻きかけられた状態を詳細に示し、テンションスプロケット90等の構成の図示を省略している。第1スプロケット42では、チェーン46の内周面46Aが第1スプロケット42の回転中心を向くように、チェーン46が巻きかけられている。また、第2スプロケット43では、チェーン46の外周面46Bが第2スプロケット43の回転中心を向くように、チェーン46が巻きかけられている。チェーン46は、第1スプロケット42から第2スプロケット43にわたって巻きかけられる部分において、チェーン46の内周に向かって屈曲している。チェーン46は、第2スプロケット43が存在することにより、第1スプロケット42及び従動スプロケット45のみに巻きかけられる場合よりも内方に屈曲している。
図6は、第2スプロケット43が出力軸81に取り付けられたスプロケット取付機構140を示す断面図である。スプロケット取付機構140において、出力軸81には、ダンパ141、第2スプロケット43、及びサークリップ142が取り付けられている。具体的には、図4に示すように、ダンパ141は出力軸81の第1部分81Aに装着されている。第2スプロケット43は、出力軸81の第2部分81Bに取り付けられている。第2スプロケット43は、第1部分81Aと第2部分81Bの間に形成された段差81Dにより、インナーレース83Aに向かう軸方向の移動が規制される。サークリップ142は、出力軸81の第3部分81Cに取り付けられる。
図7(a)は、ダンパ141の軸Laを含む平面で切断したダンパ141の断面図である。また、図7(b)は、ダンパ141の側面図である。ダンパ141は、全体として円環状である。ダンパ141は、大径部141A及び小径部141Bを有する。大径部141A及び小径部141Bは、一体に形成されている。ダンパ141には、軸Laに沿った軸孔141Cが形成されている。ダンパ141の軸孔141Cには、出力軸81が挿入される。
ダンパ141の大径部141Aの径は、例えば、20〜40mmである。ダンパ141の小径部141Bの径は、例えば、10〜30mmである。また、軸孔141Cの径は、例えば、5〜25mmである。ダンパ141の軸La方向の大きさ(図7(a)の符号141bを参照)は、例えば、5〜20mmである。ダンパ141は、弾性部材で形成されている。詳しくは、ダンパ141は、例えば、ウレタン樹脂で形成されている。ダンパ141は、軸141Laと出力軸81の軸Lとが一致するように、出力軸81の第1部分81Aに取り付けられる。ダンパ141の軸La方向の大きさは、出力軸81の第1部分81の軸方向の大きさ(図4の符号81Abを参照)よりもわずかに大きい。
以下、図7に示すように、ダンパ141の表面のうち内周面(軸孔141Cを構成する面)を、符号141Dを用いて参照する。ダンパ141の大径部141Aの外周面を、符号141Eを用いて参照する。ダンパ141の小径部141Bの外周面を、符号141Fを用いて参照する。ダンパ141の表面のうち、大径部141Aを構成する底面(つまり、ダンパ141が駆動ユニット40に取り付けられた状態における右側面)を、符号141Gを用いて参照する。ダンパ141の表面のうち、小径部141Bを構成する底面(つまり、ダンパ141が駆動ユニット40に取り付けられた状態における左側面)を、符号141Hを用いて参照する。
ダンパ141の内周面141Cは、好ましくは、均一な径を有する。これにより、ダンパ141が出力軸81に取り付けられたとき、ダンパ141が出力軸81に対して軸Lを回転中心として回転することができる。
再び図6を参照して、ダンパ141は、出力軸81に装着されている。ダンパ141は、第2スプロケット43とインナーレース83Aの間に挟まれて、出力軸81の軸方向に弾性圧縮された状態となっている。これにより、ダンパ141の取り付け状態においては、ダンパ141の軸方向の大きさ141aは、図7(a)に示す取り付け前の状態のダンパ141の大きさ141bよりもわずかに縮んでいる。
ダンパ141の内周面141Dは、出力軸81の外周面81Aaに接する。ダンパ141の大径部141Aの外周面141Eは、巻きかけられるチェーン46の外周面46Bに接している。さらに、ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸方向における出力軸81の一端を向いた第1の面141Gは、第2スプロケット43に接している。第1の面141Gは、内周面141Dから外周面141Eにわたって平面で構成されている。ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸方向における出力軸81の他端を向いた第2の面141Hは、インナーレース83Aの右側面83Fに接している。
第2スプロケット43は、上述したように、スプライン構造によって出力軸81に取り付けられている。第2スプロケット43は、出力軸81と一体に回転する。
サークリップ142は、周の一部に切り欠きを有する円環形状の板状部材である。
図8は、スプロケット取付機構140の分解斜視図である。ダンパ141及び第2スプロケット43を出力軸81に嵌め込み、さらに、出力軸81にサークリップ142を取り付けることにより、第2スプロケット43が出力軸81に固定された状態で取り付けられる。このとき、第2スプロケット43の内周に形成されたスプラインと第2部分81Bに形成されたスプライン81Baが噛み合うので、第2スプロケット43は、出力軸81に対して回転不可能となっている。したがって、ダンパ141、第2スプロケット43、及びサークリップ142を出力軸81に取り付けるのみの容易な作業のみを経て、スプロケット取付機構140を形成することができる。
また、ダンパ141は、出力軸81、第2スプロケット43、及びインナーレース83Aのいずれの部材に対しても焼付け又は接着による固定がされていないので、ダンパ141が消耗したとき、容易に部品交換することができる。
図8に示すように、サークリップ142を第3部分81Cに取り付けるとき、サークリップ142は第3部分81Cのうち第2部分81Bとの境界部分にまで押し込まれる。これにより、第2スプロケット43は、第2部分81Bにおいて、段差81Dとサークリップ142との間を軸L方向にわずかに移動可能となる。つまり、第2スプロケット43は、段差81Dとサークリップ142との間においてがたつくことがある。そして、このがたつきが異音発生の原因となる虞がある。しかしながら、ダンパ141の軸L方向の大きさ141bは、第1部分81の軸L方向の大きさAbよりもわずかに大きく、軸方向に弾性圧縮された状態となっているので、ダンパ141が常に第2スプロケット141に接触して第2スプロケット43の軸方向の移動を規制することができる。その結果、第2スプロケット43の軸方向のがたつきによる異音の発生を抑制することができる。
再び図6を参照し、チェーン46が第2スプロケット43に巻きかけられた状態について説明する。ダンパ141が大径部141Aを含み、大径部141Aの外周面141Eがチェーン46の外周面46Bに接することが可能な大きさなので、第2スプロケット43に巻きかけられたチェーン46はダンパ141の大径部141Aに接することとなる。そのため、チェーン46が回転するときに、ダンパ141が、チェーン46と第2スプロケット43との間のクッション材として作用し、結果として、電動補助自転車1の走行時における異音の発生を抑制することができる。
電動補助自転車1の走行状態(つまり、チェーン46の回転状態)においては、チェーン46に加えられる張力により、チェーン46には、第2スプロケット43の中心方向に向かって押し付けられる力が働く。また、ダンパ141は、弾性部材で形成されている。そのため、チェーン46の回転状態においては、チェーン46は、図6に示すように、ダンパ141の大径部141Aの外周面141Eに食い込んだ状態となっている。換言すると、電動補助自転車1の走行中は、ダンパ141の大径部141Aは、軸Lに垂直な方向に弾性圧縮された状態となっている。ダンパ141が軸Lに垂直な方向に弾性圧縮されているので、チェーン46はダンパ141から第2スプロケット43の外径方向の弾性力を受けることとなる。そのため、チェーン46と第2スプロケット43との間に異音が発生するのをより確実に抑制することができる。
本実施形態のスプロケット取付機構140においては、第2スプロケット43は、サークリップ142で出力軸81に固定されているので、ボルト等により第2スプロケット43を固定する場合と比較して、出力軸81のうち第2スプロケット43よりも右に突出する長さ(つまり、図6に示す、第3部分81Cの軸方向の大きさ1Ca)を小さくすることができる。その結果として、駆動ユニット40の左右方向の大きさを小型化することができる。
本実施形態において、ダンパ141の内周面141Dの径が均一な大きさであるので、ダンパ141が出力軸81及び第2スプロケット43に対して、軸方向に相対的に回転することができる。したがって、ダンパ141の内周面141Dが、出力軸81の外周面81Aaに設けられたスプラインの凹凸に関わらず、均一に磨耗することとなる。その結果として、優れた耐久性のダンパ141を得ることができる。
本実施形態においては、ダンパ141の第1の面141Gは、第2スプロケット43に接している。第1の面141Gは、出力軸81から外周面141Eにわたって平面で構成されている。そして、平面である第1の面141Gは第2スプロケット43を構成する平面に沿っているので、ダンパ141がチェーン46からの押圧力を受けて変形するとき、第2スプロケット43に沿って変形することができる。そのため、ダンパ141の変形方向を、軸Lに垂直な方向に規制することができ、結果として、ダンパ141の耐久性を高めることができる。
本実施形態の駆動ユニット40は、電動補助自転車1に搭載される駆動ユニット40であって、電動モータ61と、電動モータ61の駆動力によって回転する出力軸81と、出力軸81の外周面81Aaに固定され、出力軸81と一体に回転するインナーレース83Aと、出力軸81の一端に取り付けられると共に、巻きかけられたチェーン46に電動モータ61の駆動力を伝達する第2スプロケット43と、出力軸81に装着されると共に、第2スプロケット43とインナーレース83Aの間に位置づけられた円環状のダンパ141と、を有する。ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の一端を向いた第1の面141Gが第2スプロケット43に接触する。ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の他端を向いた第2の面141Hがインナーレース83Aに接触する。
上記の構成によれば、円環状のダンパ141が出力軸81に嵌め合わされている。そして、ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の一端を向いた第1の面141Gが第2スプロケット43に接触し、ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の他端を向いた第2の面141Hがインナーレース83Aに接触する。そのため、第2スプロケット43にチェーン46を巻きかけてチェーン46を回転させたとき、ダンパ141が、第2スプロケット43の出力軸81の軸Lの方向に対する移動を規制する。したがって、第2スプロケット43の軸Lの方向の移動に起因する異音の発生を抑制することができる。つまり、第2スプロケット43の固定方法に起因する異音の発生を抑制することができる。
本実施形態のダンパ141は、軸Lの方向に弾性圧縮された状態で設けられている。
上記の構成によれば、ダンパ141が軸Lの方向に弾性圧縮された状態で設けられているので、第2スプロケット43が出力軸81の軸Lの方向に対して移動するのが、より効果的に抑制される。そのため、第2スプロケット43の軸Lの方向の移動に起因する異音の発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態の第2スプロケット43は、出力軸81に設けられたサークリップ142と、ダンパ141とで挟まれて出力軸81に固定されている。
上記の構成によれば、第2スプロケット43がサークリップ142で出力軸81に固定されているので、第2スプロケット43及びサークリップ142の取り付け作業を容易に行うことができる。また、第2スプロケット43がサークリップ142で出力軸81に固定されているので、ナット等を用いて第2スプロケット43を固定する場合と比較して、第2スプロケット43のインナーレース83Aとは反対方向に突出する出力軸81Cの長さを短くすることができる。その結果として、駆動ユニット40の軸Lの方向の大きさを小型化することができる。
本実施形態のダンパ141の第1の面141Gは、第1の面141Gの内周から第1の面141Gの外周に渡って第2スプロケット43に接触可能に位置づけられている。
上記の構成によれば、ダンパ141の第1の面141Gが、第1の面141Gの内周から第1の面141Gの外周に渡って第2スプロケット43に接触可能に位置づけられているので、ダンパ141は、チェーン46からの押圧力を受けて変形するとき、第2スプロケット43に沿って変形することができる。そのため、ダンパ141の変形方向を出力軸81の軸Lに垂直な方向に規制することができ、結果として、ダンパ141の耐久性を向上させることができる。
本実施形態のダンパ141は、出力軸81、第2スプロケット43及びインナーレース83Aのいずれにも固定されていない。また、本実施形態のダンパ141は、出力軸81に対して回転可能に装着されている。
上記の構成によれば、ダンパ141は、出力軸81、第2スプロケット43及びインナーレース83Aのいずれにも固定されていないので、ダンパ141の焼付けや接着などの作業が不要となる。したがって、出力軸81にダンパ141を取り付ける作業を容易に行うことができる。
また、上記の構成によれば、ダンパ141は、出力軸81、第2スプロケット43及びインナーレース83Aのいずれにも固定されていない。そのため、ダンパ141は、出力軸81が回転するとき、出力軸81及び第2スプロケット43に対して、出力軸81の軸Lを回転中心として相対的に回転することが可能となる。ダンパ141が出力軸81及び第2スプロケット43に対して相対的に回転できるので、出力軸81の外周面81Aaの形状に凹凸が存在していても、ダンパ141の内周面141Dが、出力軸81の外周面81Aaの凹凸に関わらず、均一に磨耗することとなる。したがって、上記の構成によれば、優れた耐久性のダンパ141を得ることができる。
さらに、上記の構成によれば、ダンパ141が出力軸81、第2スプロケット43及びインナーレース83Aのいずれにも固定されていないので、ダンパ141の部品交換を容易に行うことができる。
本実施形態のダンパ141の内周面141Dの径は、均一な大きさである。
上記の構成によれば、ダンパ141の内周面141Dの径が均一な大きさであるので、ダンパ141が出力軸81及び第2スプロケット43に対して、出力軸81の軸Lを回転中心として相対的に回転することができる。したがって、ダンパ141の内周面141Dが、出力軸81の外周面81Aaの凹凸に関わらず、均一に磨耗することとなる。したがって、上記の構成によれば、優れた耐久性のダンパ141を得ることができる。
本実施形態のインナーレース83Aは、出力軸81が挿入されると共に出力軸81と一体に回転する転がり軸受83に含まれる部材である。
上記の構成によれば、インナーレース83Aは、出力軸81が挿入されると共に出力軸81と一体に回転する転がり軸受83に含まれる部材であるので、従来存在している構成を用いて軸Lの方向のダンパ141の移動を規制することができる。
本実施形態のダンパ141の内周面141Dは、出力軸81の外周面81Aaに接している。本実施形態のダンパ141の外周面の少なくとも一部は、チェーン46に接触可能に位置づけられている。
上記の構成によれば、円環状のダンパ141が出力軸81に装着されると共に、第2スプロケット43とインナーレース83Aの間に位置づけられている。そして、ダンパ141の内周面141Dが出力軸81の外周面81Aaに接すると共にダンパ141の外周面の少なくとも一部がチェーン46に接触可能であるので、第2スプロケット43にチェーン46を巻きかけてチェーン46を回転させたとき、ダンパ141がクッション材として作用する。そのため、チェーン46を回転させたときにチェーン46と第2スプロケット43との間に異音が発生するのを抑制することができる。
本実施形態のダンパ141は、チェーン46と噛み合うように位置づけられた大径部141Aと、大径部141Aのインナーレース83A側に大径部141Aと一体に形成され、大径部141Aよりも小さい径を有する小径部141Bと、で構成されている。
上記の構成によれば、ダンパ141のうちチェーン46と噛み合う部分が大径部141Aとなっている一方で、チェーン46と接触しない部分が小径部141Bとなっているので、ダンパ141の全体が大径部141Aと同一の径である場合と比較して、ダンパ141が変形しやすくなっている。そのため、チェーン46が第2スプロケット43に巻きかけられたときに、チェーン46がダンパ141の大径部141Aに接触すると、大径部141Aが変形して、チェーン46が大径部141Aに食い込みやすくなっている。したがって、第2スプロケット43にチェーン46を巻きかけてチェーン46を回転させたとき、ダンパ141が、クッション材としてより効果的に作用し、結果として、より優れた異音発生抑制効果が得られる。
本実施形態のダンパ141は、弾性部材で形成されている。
上記の構成によれば、ダンパ141が弾性部材で形成されているので、安価に駆動ユニット40を形成することができる。また、ダンパ141が弾性部材で形成されているので、ダンパ141が変形しやすく、ダンパ141が効果的にクッション材として作用することができる。
本実施形態の電動補助自転車1は、上記の駆動ユニット40を備えるので、チェーン46を回転させたとき、チェーン46と第2スプロケット43との間に異音が発生するのを抑制することができる。
本実施形態の第2スプロケット43の取付機構140は、出力軸81と、出力軸81の外周面81Aaに固定され、出力軸81と一体に回転するインナーレース83Aと、出力軸81の一端に取り付けられた第2スプロケット43と、第2スプロケット43に巻きかけられたチェーン46と、出力軸81に装着されると共に、第2スプロケット43とインナーレース83Aの間に位置づけられた円環状のダンパ141と、を有する。ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の一端を向いた第1の面141Gが第2スプロケット43に接触する。ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の他端を向いた第2の面141Hがインナーレース83Aに接触する。
上記の構成によれば、円環状のダンパ141が出力軸81に嵌め合わされている。そして、ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の一端を向いた第1の面141Gが第2スプロケット43に接触し、ダンパ141の表面のうち、出力軸81の軸Lの方向における出力軸81の他端を向いた第2の面141Hがインナーレース83Aに接触する。そのため、第2スプロケット43に巻きかけられたチェーン46を回転させたとき、ダンパ141が、第2スプロケット43の出力軸81の軸Lの方向に対する移動を規制する。したがって、第2スプロケット43の軸Lの方向の移動に起因する異音の発生を抑制することができる。つまり、第2スプロケット43の固定方法に起因する異音の発生を抑制することができる。
[その他の実施形態]
以下、本発明の変形実施形態について説明する。
本実施形態では、ダンパ141が大径部141A及び小径部141Bで構成されていると説明したが、特にこれに限定されない。例えば、ダンパ141の外周面の径が一定であってもよい。この場合には、本実施形態の小径部141Bに相当する部分が、大径部141Aに相当する部分と同一の径を有することとなる。ただし、ダンパ141の外周面のうちチェーン46が接する部分(本実施形態の大径部141Aに相当する部分)において、チェーン46が軸Lの方向に向かって食い込みやすくする点からは、ダンパ141が大径部141A及び小径部141Bで構成されていることが好ましい。また、ダンパ141の左部(本実施形態の小径部141Bに相当する部分)を設ける空間が狭くなっているので、設計の自由度を高める観点から、ダンパ141の左部が右部よりも小径であることが好ましい。
本実施形態では、ダンパ141の大径部141Aを構成する第1の面141Gが平面であり、第2スプロケット43の側面に沿って取り付けられていると説明したが、ダンパ141の外周面の少なくとも一部がチェーン46と接触可能であれば、特にこれに限定されない。例えば、ダンパ141の外周面のうちチェーン46と接触する部分よりも右方が、チェーン接触部分より小径となっていてもよい。ただし、ダンパ141がチェーン46からの押圧力を受けて変形するとき、第1の面141Gが第2スプロケット43の側面に沿った平面である場合には、ダンパ141の変形方向を軸Lに垂直な方向に規制され、その結果、ダンパ141の耐久性を高めることができる。したがって、第1の面141Gは、第2スプロケット43の側面に沿った平面であることが好ましい。
本実施形態では、ダンパ141が弾性部材であると説明したが、特にこれに限定されない。ダンパ141が弾性部材ではない場合には、ダンパ141は、軸方向に弾性圧縮されないこととなる。また、ダンパ141の大径部141Aにチェーン46が巻きかけられても、軸Lの方向に向かってダンパ141Aが圧縮されにくくなる。ただし、ダンパ141が軸方向に弾性圧縮されることにより、第2スプロケット43の軸方向の移動を抑制する効果を高めることができるので、ダンパ141は弾性部材で形成されていることが好ましい。また、ダンパ141の大径部141Aにチェーン46が巻きかけられたとき、軸Lの方向に向かってダンパ141Aが圧縮されることによりダンパ141のクッション材としての機能が高められる点からも、ダンパ141は弾性部材で形成されていることが好ましい。
本実施形態では、ダンパ141は、出力軸81の外周面81Aaとチェーン46の両方に接触した状態となっていると説明したが、これは、本発明の必須の構成ではない。ダンパ141は、出力軸81の外周面81Aaとチェーン46の両方に接していなくてもよい。この場合でも、ダンパ141が第2スプロケット43とインナーレース83Aの間に挟まれて、軸方向に弾性圧縮された状態となっているので、第2スプロケット43の軸方向の移動(がたつき)による異音を抑制することができる。ただし、第2スプロケット43の軸方向の移動による異音の抑制に加え、チェーン46と第2スプロケット43との間に発生する異音をも抑制するためには、ダンパ141は、出力軸81の外周面81Aaとチェーン46の両方に接していることが好ましい。
本実施形態では、ダンパ141の内周面141Dの径が一定であり、出力軸81に対して軸Lを回転中心として回転すると説明したが、特にこれに限定されない。例えば、図9に示すように、ダンパ141取り付けられる第1部分81Aにまで出力軸81のスプライン81Acが形成されている場合には、ダンパ141の内周面141Dに、スプライン81Acに沿った凹凸が形成され、出力軸81とダンパ141とがスプライン結合されていてもよい。この場合、ダンパ141は、出力軸81に対して回転不可能となっている。出力軸81に対してダンパ141が回転不可能となっている場合、出力軸81のスプラインの凸部は、ダンパ141の一定の部分に対して接触することとなる。つまり、ダンパ141の内周面141Dのうち出力軸81のスプライン凸部による磨耗の生じる部分と、スプライン凸部による磨耗が生じない部分とが存在することとなる。したがって、ダンパ141の磨耗が不均一になり、ダンパ141の耐久性が低下する虞がある。かかる点を鑑みると、ダンパ141の内周面141Dの径は一定であり、出力軸81に対して回転可能であることが好ましい。なお、ダンパ141の成型が容易である点からも、ダンパ141の内周面141Dの径が一定であることが好ましい。
本実施形態では、ダンパ141の小径部141Bを構成する第2の面141Hは、軸受83のインナーレース83Aを構成する面83Fと接していると説明したが、特にこれに限定されない。第2の面141Hは、インナーレース83Aに限らず、出力軸81の外周面に固定され、出力軸81と一体に回転する部材と接していればよい。例えば、第2の面141Hが接する部材として、インナーレース83Aの右方に円環状の第1部材を設けてもよい。ただし、第2の面141Hが接する部材を別途設ける必要がない点からは、第2の面141Hがインナーレース83Aと接していることが好ましい。
本実施形態において、第2スプロケット43の右方にはサークリップ142が出力軸81に嵌め合わされ、サークリップ142により第2スプロケット43が固定されている状態を説明したが、第2スプロケット43は、サークリップ142以外の手段によって固定されていてもよい。例えば、ボルト等を用いて第2スプロケット43を固定してもよい。ただし、駆動ユニット40の左右方向の大きさを小型化する観点からは、サークリップ142によって第2スプロケット43を固定し、出力軸81の長さを短くすることが好ましい。
本実施形態では、駆動ユニット40がクランク軸41、モータ軸64、及び出力軸81の3本の軸を含むと説明したが、モータ軸及び出力軸が一体になった構成の駆動ユニット(つまり、クランク軸及びモータ出力軸の2本の軸を含んだ構成の駆動ユニット)であっても、本発明のスプロケット取付け構造を適用することができる。駆動ユニットが2本の軸を含む場合、モータ出力軸のスプロケットには、チェーン46の外周面46Bが接するチェーン46が巻きかけられるので、モータ出力軸のスプロケットに対して本発明のスプロケット取付け構造を適用することが好ましい。