JP6342612B2 - 二次電池診断装置及び二次電池診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池診断装置及び二次電池診断方法に関し、より詳細には、例えば、リチウムイオン二次電池などの二次電池(以下、「二次電池」という)の劣化要因や容量といった電池状態を判定する二次電池診断装置及び二次電池診断方法に関する。
現在、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、ビデオカメラ等の電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池などの高容量密度の二次電池が既に広く用いられている。更に、今後は、ハイブリッド自動車、電気自動車、家庭設置蓄電装置などの用途で従来の電子機器用途に比べより大容量の高容量密度の二次電池が一層普及していく趨勢にある。
これら大容量の高容量密度の二次電池では、従来の一般的な二次電池に比べ、容量が大きいだけではなく、自動車内、屋外など温度環境が格段に厳しい条件下で長期間にわたって既定の仕様を満足する状態を維持することが要求されている。
ところが、二次電池は、高い充電状態(満充電状態ないしこれに近い状態)で高温環境下に長時間置かれたり、過度な充放電サイクルを繰り返す状態で用いられたりすると、電池特性の劣化が生じる場合がある。
このような劣化を起こした電池では、正規の方法で充電を行っても仕様のように電池容量を回復することができなかったり、或いは、仕様のように電力が引き出せないなどの現象を呈する場合がある。
二次電池がこのような劣化を起こした場合は、その劣化の程度に応じた使用方法で用いるようにしたり、新しいものに交換するなどの処置が必要となる。従って、温度環境が厳しい状態で長期間にわたって二次電池を使用する上では、その二次電池の劣化の程度を実用上十分な精度で推定する方法の確立が求められている。
しかしながら、現在のところ、実際の二次電池の使用の場において劣化の程度を十分な精度で推定する方法は未だ確立しておらず、一般的には、電池特性の劣化の程度を大まかに推定しているに過ぎない。
また、ある程度高い精度で劣化の程度が算出できる方法が提案されているが、実際の二次電池の使用の場で応用するには、装置が複雑すぎる、長時間の測定が必要である、十分な精度がないなどの問題があり利用が難しい。
これまでに提案されている二次電池の劣化の程度を推定する方法のうち主なものは、以下のようなものがある。
(1)二次電池の内部抵抗を計測する方法。例えば、所定の方法により二次電池の内部抵抗に関連する内部抵抗関連値を、事前に把握しておいた内部抵抗関連値と電池状態との対応関係に照らし合わせて二次電池の電池状態を判定する。
(2)放電、放電休止、充電、充電休止の充放電サイクルを与えて放電中止時と充電中止時の電圧を計測する方法。例えば、二次電池に対して電流の放電、放電中止後の休止、電流の充電、充電中止後の休止を所定時間行う単位充放電サイクルを1回又は連続して複数回繰り返し、最後の単位充放電サイクルにおける放電の中止時の電圧と充電の中止時の電圧との電圧差を求め、予め設定した所定の設定値とこの電圧差とを比較して二次電池の劣化状態を判定する。
(3)複数の周波数の異なる交流を順次印加して交流インピーダンスを計測する交流インピーダンス方法。例えば、バッテリの内部インピーダンスに基づきバッテリの劣化状態を判定する。この交流インピーダンス法は、バッテリの内部抵抗を測定する方法の一つで、バッテリに交流を印加し得られた複素インピーダンスに基づき等価回路を生成し内部抵抗を算出する。
(4)定電流定電圧充電法において定電圧充電に切り替わった後の電流挙動を測定する方法。例えば、定電流充電によりリチウムイオン二次電池の閉路電圧が第2規定電圧値に到達し、充電方法が定電圧充電に切り替わった後のリチウムイオン二次電池に流れる電流挙動を測定し、リチウムイオン二次電池の劣化度合いを推定する。
また、複数の二次電池を直列接続した電池パックを含むエネルギー蓄積装置は、例えば、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やUPS(Uninterruptible Power Systems)の電源装置として用いられる。HEVの電源装置には、100V以上の高電圧が要求される。この電源装置に使用される二次電池としては、ニッケル水素(Ni−MH)電池、またはリチウムイオン(Li−ion)電池を用いたものが実用化されている。しかしながら、これらの蓄電素子の1セルあたりの平均電圧は、ニッケル水素電池で約1.2V、リチウムイオン電池では約3.6Vであるにすぎない。そのため、100Vの電源装置を構成するには、ニッケル水素電池で83セル、リチウムイオン電池では28セルを直列に接続する必要がある。
このように多数のセルを直列接続したエネルギー蓄積装置で充放電を繰り返すと、各セルの電圧にばらつきが生じる。ばらつきを生じる原因としては、セル間容量や内部抵抗のばらつき、セルの配置による動作温度の差などが挙げられる。一般に、セルの直列接続数が多いほどセル間の電圧差は大きくなる。
セルがリチウムイオン電池である場合は、過充電及び/又は過放電保護回路によって、充電時には最大電圧、放電時には最小電圧が制限される。このために、多数直列接続されたセル間の電圧がばらつくと以下の問題が生じる。
すなわち、充電の際には、一つのセルが最大電圧に達した時点で充電停止することになるため、その他のセルの電圧が低いままで充電が終了してしまい、装置全体での最大容量に達する前に充電が停止してしまう。一方、放電の際には逆の現象が起こる。放電の際には、一つのセルが最小電圧に達した時点で放電停止することになるため、その他のセルの電圧が高いままで放電が終了してしまい、セルにエネルギーを残したまま放電が停止してしまう。
セルがリチウムイオン二次電池以外の場合でも、必要に応じて保護回路によって充電停止・放電停止をさせることもあるが、そうでない場合であっても、多数直列接続されたセル間の電圧がばらつくことは同様であるため、耐電圧の近傍まで充電して繰返し使用する間にセル電圧が耐電圧以上に上昇することによって寿命劣化するセルが発生する。多数のセルを直列接続したエネルギー蓄積装置の寿命は、最も寿命の短いセルによって制限されるために、充放電によって他のセルより電圧が高くなるセルの発生は好ましくない。
例えば、特許文献1では、ニッケル系二次電池において交流インピーダンスの虚数部の値から電池容量を推定している。
また、特許文献2では、交流インピーダンスの絶対値又は実数部の値から電池容量を推定している。
また、特許文献3では、交流インピーダンスの虚数部の値が0に近い周波数での絶対値または実数部の値から電池容量を推定している。
また、特許文献4では、主にNiH電池に関して、内部抵抗関連値又は交流インピーダンス関連電気量で電池を正常領域と3つの劣化領域の4つに分類している。それとは別に交流インピーダンスの値から最大出力密度を求める方法を開示している。
また、特許文献5では、交流インピーダンス法によるインピーダンス測定データを基に、サイクル劣化により劣化した二次電池においてのみ、現在の劣化状態を推定し、放電容量を推定している。
特開平8−250159号公報 特開平8−43507号公報 特開平8−43506号公報 特開2007−85772号公報 特開2011−133443号公報
しかしながら、特許文献1,2及び3では、二次電池の劣化は保存劣化、サイクル劣化及びそれぞれの劣化の温度環境によって異なる劣化状態を呈する。すなわち正確な現在の劣化状態を推定するためにはそれら劣化要因を正しく推定する必要がある。
また、特許文献4では、放電容量の推定の仕方については開示していない。また、劣化領域と領域ごとの交流インピーダンスの値と最大出力密度の関係についても開示していない。
特許文献5では、二次電池の劣化は、サイクル劣化であってもその劣化が進む温度環境により劣化状態が異なる。さらに保存劣化に起因する劣化は、サイクル劣化とは異なる劣化状態を呈する。すなわち、正確な現在の劣化状態を推定するためにはそれら劣化要因を正しく推定する必要がある。上述した特許文献では、劣化要因を推定した上で現在の劣化状態を推定し放電容量を推定する方法を開示していない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、交流インピーダンス法による複素インピーダンス測定データを基に劣化要因や容量といった電池状態を判定する二次電池診断装置及び二次電池診断方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、二次電池の電池状態を判定する二次電池診断装置において、データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、前記データ収集測定二次電池の複素インピーダンスの値そのものの情報とが関連付けられた参照用データが記憶される参照用データ保持部(2)と、電池状態を判定する対象である被測定二次電池(1)の複素インピーダンスを算出するインピーダンス算出部(3)と、前記参照用データ保持部(2)に記憶された前記参照用データと、前記インピーダンス算出部(3)により算出された複素インピーダンスの値そのものの情報とにより、前記被測定二次電池(1)の劣化要因を推定する劣化要因推定部(4)と、前記劣化要因推定部(4)の推定結果に基づいて診断判定を行い、その診断結果を出力する診断判定部(5)とを備えていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、少なくとも2種類の複素インピーダンスであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、特定の周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部と、前記特定の周波数とは異なる周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、二次電池の電池状態を判定する二次電池診断方法において、データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、前記データ収集測定二次電池の複素インピーダンスの値そのものの情報とが関連付けられた参照用データを参照用データ保持部(2)に記憶するステップと、電池状態を判定する対象である被測定二次電池(1)の複素インピーダンスをインピーダンス算出部(3)で算出するステップと、前記参照用データ保持部(2)に記憶された前記参照用データと、前記インピーダンス算出部(3)により算出された複素インピーダンスの値そのものの情報とにより、劣化要因推定部(4)で前記被測定二次電池(1)の劣化要因を推定するステップと、前記劣化要因推定部(4)の推定結果に基づいて、診断判定部(5)により診断判定を行い、その診断結果を出力するステップとを有していることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、少なくとも2種類の複素インピーダンスであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項5,6又は7に記載の発明において、前記複素インピーダンスが、特定の周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部と、前記特定の周波数とは異なる周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部であることを特徴とする。
本発明によれば、交流インピーダンス法による複素インピーダンス測定データを基に劣化要因や容量といった電池状態を判定する二次電池診断装置及び二次電池診断方法を実現することができる。
本発明に係る二次電池診断装置の実施例1を説明するためのブロック構成図である。 本発明に係る二次電池診断装置の実施例2を説明するためのブロック構成図である。 本発明の二次電池診断方法を説明するためのフローチャートを示す図である。 データ収集測定二次電池のデータ収集を説明するためのフローチャートを示す図である。 すべての劣化要因の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 45℃サイクルと60℃サイクルの0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 45℃サイクルと60℃サイクルを除いた25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに25℃保存を除いた25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)の関係を示す図である。 さらに60℃保存を除いた25℃サイクルと45℃保存の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 図5乃至図9の内容を説明するためのフローチャートを示す図である。 8次元特徴量データの劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。 すべての劣化要因の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 60℃サイクルと60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 60℃サイクルと60℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに25℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクルと45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに45℃サイクルを除いた25℃サイクルと45℃保存の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。 すべての劣化要因の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 60℃サイクルと60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 60℃サイクルと60℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに25℃サイクルを除いた45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに25℃保存を除いた45℃サイクルと45℃保存の10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。 すべての劣化要因の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 25℃サイクルを除いた45℃サイクル、60℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 45℃保存と60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに45℃保存と60℃保存を除いた45℃サイクル、60℃サイクルと25℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 さらに25℃保存を除いた45℃サイクルと60℃サイクルの0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その6)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その7)である。 4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その8)である。 4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。 4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。 すべての劣化要因の4.10V休止後の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 すべての劣化要因の3.20V休止後の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その1)である。 劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その2)である。 すべての劣化要因の4.10V休止後の1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 25℃サイクルを除いた50℃サイクルと50℃保存の4.10V休止後の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 すべての劣化要因の3.20V休止後の1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。 25℃サイクルを除いた50℃サイクルと50℃保存の3.20V休止後の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。 劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その3)である。 劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その4)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その1)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その2)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その3)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その4)である。 1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その5)である。
以下、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。
なお、本発明では、複数の二次電池を各種条件で劣化させ、劣化要因ごとに複素インピーダンスや容量といったデータを収集し、それらのデータに関する情報を関連付けることによって参照用データを作成する。このようなデータ収集を行うための二次電池をデータ収集測定二次電池と称する。また、実際の使用に供され、劣化要因や容量に関する情報を診断する対象となる二次電池を被測定二次電池と称する。当然のことながら、データ収集測定二次電池と被測定二次電池は、同一材料、同一設計、同一製造プロセスで作られた同じ製品の二次電池である。
本発明における容量に関する情報とは、充電または放電時の電流容量、電力容量、あるいは容量維持率といった、二次電池の容量を把握する指標の総称である。
また、「電流容量」とは、充電電流容量と放電電流容量の総称をいう。また、「充電電流容量」とは、電池が完全放電状態から満充電状態になる間に蓄えられた電気量を示す。また、「満充電状態」とは、仕様の充電電圧に達した状態をいう。また、「完全放電状態」とは、仕様の放電電圧に達した状態をいう。
また、「放電電流容量」とは、電池が、満充電状態から完全放電状態になる間に放出される電気量をいう。また、「電力容量」とは、充電電力容量と放電電力容量の総称をいう。また、「充電電力容量」とは、電池が、完全放電状態から満充電状態になる間に蓄えられた電力量をいう。また、「放電電力容量」とは、電池が、満充電状態から完全放電状態になる間に放出される電力量をいう。
図1は、本発明に係る二次電池診断装置の実施例1を説明するためのブロック構成図である。図中符号1は被測定二次電池、2は参照用データ保持部、3はインピーダンス算出部、4は劣化要因推定部、5は診断判定部を示している。
本実施例1の二次電池診断装置は、充電又は放電の際に二次電池の電池状態を判定する二次電池診断装置である。
参照用データ保持部2は、データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、データ収集測定二次電池の複素インピーダンスに関する情報とが関連付けられた参照用データが記憶されるものである。また、インピーダンス算出部3は、被測定二次電池1の複素インピーダンスを算出するものである。
また、劣化要因推定部4は、参照用データ保持部2に記憶された参照用データと、インピーダンス算出部3により算出された複素インピーダンスの出力情報とにより、被測定二次電池1の劣化要因を推定するものである。また、診断判定部5は、劣化要因推定部4の推定結果に基づいて診断判定を行い、その診断結果を出力するものである。
本発明における複素インピーダンスは、少なくとも2種類の複素インピーダンスであることが好ましい。ここで、少なくとも2種類の複素インピーダンスとは、例えば、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスや、異なる電圧で算出される複素インピーダンス、複素インピーダンスの実部又は虚部の組み合わせ、等が挙げられる。なお、少なくとも2種類の複素インピーダンスの定義に合致するものであれば特に制限はないが、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスであることが好ましい。
また、複素インピーダンスは、特定の周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部と、特定の周波数とは異なる周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部であることがより好ましい。
図2は、本発明に係る二次電池診断装置の実施例2を説明するためのブロック構成図である。図中符号6は容量推定部を示している。なお、図1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
本実施例2の二次電池診断装置における参照用データ保持部2には、データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、データ収集測定二次電池の複素インピーダンスに関する情報と、さらにデータ収集測定二次電池の容量に関する情報とが関連付けられた参照用データが記憶されている。
また、容量推定部6は、参照用データと、劣化要因推定部4からの出力情報と、インピーダンス算出部3により算出された複素インピーダンスの出力情報とにより、被測定二次電池1の容量に関する情報を推定するものである。
図3は、本発明の二次電池診断方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
まず、所定の条件(劣化要因)で劣化させたデータ収集測定二次電池の充放電データと、EIS(Electrochemical Impedance Spectrocopy:電気化学インピーダンス分光法)測定による複素インピーダンスデータを取得し、これら測定データを保存することによるデータ収集を実施する(ステップS1)。次に、データ収集により取集された複素インピーダンスより特徴量を決定し、特徴量データを作成する(ステップS2)。次に、特徴量データから学習用データと評価用データを作成し、学習用データから評価用劣化要因モデルを作成する(ステップS3)。次に、評価用データを用いて評価用劣化要因モデルの推定精度の評価を実施する(ステップS4)。次に、推定精度は所定の精度以上かどうかを判断する(ステップS5)。次に、精度以下であれば、ステップS2に戻り、精度以上であれば、各評価用劣化要因モデルを劣化要因モデル(識別関数)として採用する(ステップS6)。次に、電池状態を判定する対象の被測定二次電池において特徴量を測定する(ステップS7)。次に、劣化要因モデルと被測定二次電池の特徴量を比較する(ステップS8)。次に、比較結果により被測定二次電池の劣化要因を推定する(ステップS9)。上述したステップS2において特徴量データを作成した後に、特徴量データと、データ収集測定二次電池の容量に関する情報との関係データを劣化要因別に作成する(ステップS10)。次に、被測定二次電池の推定された劣化要因と劣化要因別に作成されたデータ収集測定二次電池の容量に関する情報との関係データから被測定二次電池の容量を推定する(ステップS11)。
以下、本発明の二次電池診断装置の具体的な機能について、順次図面に沿って説明する。
<被測定二次電池のデータ収集>
正極材にコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極材に炭素系材料を使った市販のノートPCバッテリ用高電流容量(2.5Ah)18650円筒電池(以下、「A電池」という)でのデータ収集を実施する。標準環境を室温(25℃)とし、劣化を進める条件(劣化要因)は、次の6種類とした。
1)25℃環境下でのサイクル劣化(25℃サイクル劣化)
2)45℃環境下でのサイクル劣化(45℃サイクル劣化)
3)60℃環境下でのサイクル劣化(60℃サイクル劣化)
4)25℃環境下での満充電保存劣化(25℃保存劣化)
5)45℃環境下での満充電保存劣化(45℃保存劣化)
6)60℃環境下での満充電保存劣化(60℃保存劣化)
サイクル劣化とは、所定の温度環境下で充放電を繰り返す劣化条件である。充電は、1CでCC(定電流)充電し電池電圧が4.2Vに達したならば、電池電圧が4.2Vに保たれるよう電流をコントロールするCV(定電圧充電)に切り替え、電流が50mAに達した時点で充電を打ち切るCC−CV充電とした(以下、CC−CV充電を「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」という)。
放電は、0.5Cで放電を行い、電池電圧が3.0Vに達した時点で充電を打ち切る、CC放電とした(以下、CC放電を「0.5C3.0V打ち切りCC放電」という)。
サイクル劣化の充放電プロファイルは、この「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」と「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を所定の時間の休止(充電も放電も行わない状態)を挟んで繰り返すものとした。
具体的には、最初に3時間の休止(被検電池が所定の温度環境と同一温度になるのを待つ時間)を行い、その後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止の後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い10分間の休止という「充電−休止−放電−休止」を25回繰り返す充放電プロファイルである。ここで、本発明における被検電池とは、データ収集測定二次電池と被測定二次電池の総称である。
サイクル劣化の被検電池は、所定の温度環境下でのサイクル劣化の充放電プロファイルを1回実施するごとに標準環境に移し、所定の容量測定充放電プロファイルにより容量と、所定のEISプロファイルによるEIS測定により各周波数の複素インピーダンスを測定した。
サイクル劣化の容量測定の充放電プロファイルは、最初に3時間の休止(被検電池が標準環境と同一温度になるのを待つ時間)を行い、その後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止の後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い、10分間の休止の後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止という「3時間休止−充電−休止−放電−休止−充電−休止」を1回行う充放電プロファイルである。
満充電保存劣化とは、標準環境下で満充電状態にした被検電池を所定の温度環境下に移して一定日数放置する劣化である。
A電池の満充電状態は、標準環境下での「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」による充電直後の状態とする。同様に、完全放電状態は、標準環境下での「0.5C3.0V打ち切りCC放電」による放電直後の状態とする。
満充電劣化の被検電池は、満充電状態で所定の温度環境下に5日間放置するごとに標準環境に移し、所定の容量測定充放電プロファイルにより容量と、所定のEISプロファイルによるEIS測定により各周波数の複素インピーダンスを測定した。
満充電劣化の容量測定の充放電プロファイルは、最初に3時間の休止(被検電池が標準環境と同一温度になるのを待つ時間)を行い、その後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い、10分間の休止の後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止の後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い、10分間の休止の後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止という「3時間休止−放電−休止−充電−休止−放電−休止−充電−休止」を1回行う充放電プロファイルである。
容量測定のプロファイルでの充電時、放電時には、それぞれ充電電流容量と電圧、放電電流容量と電圧を測定している。従って、劣化による充電電流容量、放電電流容量、充電電力容量、放電電力容量が測定できる。これらの容量は劣化が進むにつれ減少していく。
なお、劣化要因下の影響を排除するため、使用する容量の測定値は、各容量測定プロファイルの後半の放電と充電を採用した。
所定のEISプロファイルとは、満充電状態の被検電池を0.5C放電し、被検電池の電圧が所定の電圧に達した時点で15分間の休止の後にEIS測定を行い、EIS測定の後に再度0.5C放電し、被検電池の電圧が次の所定の電圧に達した時点で15分間の休止の後にEIS測定を行うということを繰り返し、被検電池電圧が3.0Vに達したならば放電を打ち切り、15分間の休止を行った後に終了するというEISプロファイルである。
EISを行うために放電を休止する被検電池の電圧は、4.0V、3.8V、3.6V、3.4V、3.2Vの5つとした。なお、EIS測定条件を特定するため、それぞれの被検電池の電圧に達した後の15分の休止後のEIS測定を、「4.0V休止後EIS」「3.8V休止後EIS」「3.6V休止後EIS」「3.4V休止後EIS」「3.2V休止後EIS」という。なお、特定の電圧に達した後に放電を休止すると、被検電池の内部抵抗とその変化により被検電池の電圧は、急激に上昇した後、さらに徐々に上昇し、15分程度で概ね安定する。従って、各電圧で休止後、EISを測定する際の被検電池の電圧は休止時の電圧と異なる。
なお、放電レートはデータ収集において一定に定めておく必要があるが、0.5C放電に限られるものではない。休止する被検電池の電圧は、データ収集において一定に定めておく必要があるが、4.0V、3.8V、3.6V、3.4V、3.2V以外の値としてもよいし、5つに限る必要もない。また被検電池の電圧に達した後からEIS測定までの休止も被検電池の電圧がおおむね安定する時間であればよく、15分に限られるものではない。さらに、放電ではなく、充電により被検電池が一定の電圧に達したのち休止して測定するプロファイルであってもよい。
EISの測定周波数範囲は、0.1Hz〜1,000Hzとし、各一桁の間が10を底とした対数値で10等分となる周波数で測定している。具体的には、1.00×10Hz、1.26×10Hz、1.59×10Hz、2.00×10Hz、2.52×10Hz、3.17×10Hz、3.99×10Hz、5.02×10Hz、6.32×10Hz、7.96×10Hz(n=−1、0、1、2、3)である。
EIS測定後、サイクル劣化の被検電池はそれぞれのサイクル劣化を再開し、満充電劣化の被検電池は満充電にした後、それぞれの満充電劣化を再開する。上述したような劣化と測定を繰り返し、電流容量が劣化前の初期の値の概ね70%(電流容量維持率70%)になった時点でデータの収集を終了した。
但し、60℃サイクル劣化の被検電池は、70%に達する前に故障が起こったため、故障発生時でデータ収集を終了した。また、25℃保存劣化は劣化速度が遅いため、概ね80%になった時点までのデータの収集である。さらに、25℃保存劣化の測定間隔は、途中から1ヶ月から2ヶ月程度の間隔としている。
なお、1C充電の0.5C放電などのCとは、電池の電流容量に対する相対的な電流値である。1Cはその電池が満充電状態から定電流放電で完全放電状態までに1時間放電できる電流値と定義される。従って、0.5Cは同じ電池であれば1Cの半分であり、放電に2時間かかる電流値である。A電池の定格電流容量は2.5Ahであるので、1Cは、2.5A、0.5Cは1.25Aとした。
劣化が進めば、電流容量は減少するが、1Cの値は、定格電流容量(劣化前の初期状態)に対して定め、変更はしない。
1Cは、定格電流容量で決定したが、各被検電池に対しては、劣化前の初期状態で充電電流容量、放電電流容量、充電電力容量、放電電力容量を標準環境下にて満充電劣化の容量測定の充放電プロファイルを使って測定している。電流容量低下の割合である電流容量維持率は、この初期値を基に算出している。各周波数の複素インピーダンスに関しても各被検電池に対しては、劣化前の初期状態でEISプロファイルで測定している。また、本発明における実施例では、特に断りがある場合を除き、容量は放電容量を用い、電流容量は放電電流容量を用い、容量維持率は放電電流容量維持率を用いる。
図4は、データ収集測定二次電池のデータ収集を説明するためのフローチャートを示す図であり、図3のS1の詳細な説明である。
まず、標準環境で劣化前新品のデータ収集測定二次電池の初期容量を測定する(ステップS21)。次に、複数の所定の条件(劣化要因)でデータ収集測定二次電池を劣化させる(ステップS22)。次に、定期的にデータ収集測定二次電池を標準環境に移し、所定の充放電プロファイルにより容量と、所定のEISプロファイルによるEIS測定により各周波数の複素インピーダンスを測定する(ステップS23)。次に、測定値した容量と初期容量から劣化度(容量維持率=(容量/初期容量)×100)を算出する(ステップS24)。次に、容量、劣化度及び測定した各周波数の複素インピーダンスを保存する(ステップS25)。次に、劣化度は所定の閾値以上かどうかを判断する(ステップS26)。次に、閾値以上であれば、ステップS22に戻り、閾値以下であれば、データ収集を完了する(ステップS27)。
<2次元特徴量データ作成>
A電池で収集した複素インピーダンスの値の中で容量維持率93%から70%のデータに対して、4.0V休止後に、次に示す周波数のデータを抽出した。
0.1Hz、4Hz(3.99Hz)、10Hz、50.2Hz、100Hz、1,000Hz
上記のデータに関して、分離する劣化要因を分離するための特徴量となる複素インピーダンスの「異なる周波数の実数部の値と実数部の値」、「異なる周波数の虚数部の値と虚数部の値」、「異なる周波数の実数部の値と虚数部の値」又は「同じ周波数の実数部の値と虚数部の値」の組を選択するために、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ36種類(各周波数の虚数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの実数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ15種類(各周波数の実数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの虚数部としたグラフ15種類(各周波数の虚数部と虚数部の異なる組み合わせ全て)を観察し特徴量を決定した。
但し、慣習上、測定した複素インピーダンスの虚数部の値にマイナス1を掛けた値で虚数部を扱うため、今後グラフなどで示す虚数部の値は実際の値と正負が逆になっている。
なお、ここで、容量維持率93%から70%のデータと言っている各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計133サンプルである。
25℃サイクル:19サンプル(容量維持率:91.9%〜71.1%)
45℃サイクル:25サンプル(容量維持率: 90.4%〜71.0%)
60℃サイクル:18サンプル(容量維持率: 92.9%〜73.2%)
25℃保存:32サンプル(容量維持率: 93.0%〜81.1%)
45℃保存:28サンプル(容量維持率: 92.1%〜69.1%)
60℃保存:11サンプル(容量維持率: 92.8%〜70.2%)
図5は、すべての劣化要因の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図6は、45℃サイクルと60℃サイクルの0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
観察の結果、100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部から「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と他の「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」が区別(分離)できることが示唆される(図5の破線)。すなわち、100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部は「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と他の「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」を分離するための特徴量となることがわかる。
分離後の「45℃サイクルと60℃サイクルの組」だけを取り出して0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部の関係を見ると、「45℃サイクル」と「60℃サイクル」が分離できることが示唆される(図6の破線)。すなわち、0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部は、「45℃サイクル」と「60℃サイクル」を分離するための特徴量となることがわかる。
図7は、45℃サイクルと60℃サイクルを除いた25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
「45℃サイクルと60℃サイクルの組」分離後の「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」だけを取り出して100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部の関係を見ると、「25℃保存」が他の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」から分離できることが示唆される(図7の破線)。すなわち、100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部は「25℃保存」と他の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」を分離するための特徴量となることがわかる。
図8は、さらに25℃保存を除いた25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)の関係を示す図である。
「25℃保存」分離後の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」だけを取り出して4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部の関係を見ると、「60℃保存」が他の「25℃サイクルと45℃保存の組」から分離できることが示唆される(図8の破線)。すなわち、4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部は「60℃保存」と他の「25℃サイクルと45℃保存の組」を分離するための特徴量となることがわかる。
図9は、さらに60℃保存を除いた25℃サイクルと45℃保存の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
「60℃保存」分離後の「25℃サイクルと45℃保存の組」だけを取り出して0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部の関係を見ると、「25℃サイクル」と「45℃保存」から分離できることが示唆される(図9の破線)。すなわち、0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部は、「25℃サイクル」と「45℃保存」を分離するための特徴量となることがわかる。
図10は、図5乃至図9の内容を説明するためのフローチャートを示す図である。2次元の特徴量で図10に示したように、ステップS31からステップS35の5ステップでA電池の6種類の劣化要因を分離できることがわかる。すなわち、ステップS31で「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数」を特徴量として「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と他の「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」を分離する。
ステップS32で「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「45℃サイクル」と「60℃サイクル」を分離する。
ステップS33で「100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「25℃保存」と他の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」を分離する。
ステップS34で「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「60℃保存」と他の「25℃サイクルと45℃保存の組」を分離する。ステップS35で「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「25℃サイクル」と「45℃保存」を分離する。
以上のように、「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」、「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」、「100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」、「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」、「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」をA電池の4.0V休止後の2次元特徴量データとして作成した。
<2次元特徴量データ評価用劣化要因モデルの作成と推定精度の評価>
A電池の4.0V休止後の2次元特徴量での劣化要因推定精度を評価するために、評価用劣化要因モデル作成のための学習用データと、学習用データで作成した評価用劣化モデルの劣化要因推定精度を評価するための評価用データを作成した。その上で、学習用データでSVM(Support Vector Machine;サポートベクターマシン)による評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。SVM(サポートベクターマシン)は、教師あり学習を用いる識別手法の一つであり、パターン認識や回帰分析へ適用できる。また、このサポートベクターマシンは、現在知られている多くの手法の中で一番認識性能が優れた学習モデルの一つである。評価用データを、作成した劣化要因モデルを使って劣化要因の推定(分離)し、どの程度正しく推定できたかの割合により劣化要因推定精度を評価した。以下にステップごとに詳細を説明する。なお、学習用データは次の3点を考慮して選ぶ。
1)分離する二つの劣化要因の組で学習データの特徴量の個数を概ね同じにする。
2)複数の劣化要因を含む劣化要因の組の場合、各劣化要因の特徴量の個数が各劣化要因のデータ数に概ね比例するようにする。
3)各劣化要因の学習用データに含まれる特徴量に対応する劣化度(容量維持率)が偏らないように選ぶ。
学習用データに選ばなかったデータは全て評価用データとした。また、累積の劣化要因分離精度ではなく、各ステップのステップごとの劣化要因分離精度を見たため、前のステップで誤分離されたサンプルを次のステップで考慮することはせず、各ステップで独立に評価した。この後に示す劣化要因分離精度はすべてこの方針で評価する。
ステップS31;「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」を分離、特徴量は「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数」での学習データと評価データと評価用劣化要因モデルの作成は次のように行った。
「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプル、「60℃サイクル」の特徴量は18サンプルで合計43サンプルであった。一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「25℃保存」の特徴量は32サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプル、「60℃保存」の特徴量のデータは11サンプルで合計90サンプルであった。
容量維持率の値で並べた「45℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で13サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「60℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で9サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計22サンプルを「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の学習用データとし、残り21サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「25℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で9サンプル選び、これを学習用データとした。同様にして「45℃保存」の特徴量を全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。同様に「60℃保存」の特徴量を全部で3サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計25サンプルを「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の学習用データとし、残り65サンプルを評価用データとした。
「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の学習用データ22サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ25サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の評価用データ21サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ65サンプル合計86サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち1サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は98.8%であった。
ステップS32;「45℃サイクル」と「60℃サイクル」を分離、特徴量は「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」での学習データと評価データと評価用劣化要因モデルの作成は次のように行った。ステップS31で選んだ「45℃サイクル」の学習用データ13サンプルを学習用データとし、残り12サンプルを評価用データとした。同様にステップS51で選んだ「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルを学習用データとし、残り9サンプルを評価用データとした。
「45℃サイクル」の学習用データ13サンプルと「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクル」の評価用データ12サンプルと「60℃サイクル」の評価用データ9サンプル合計21サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち2サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は90.5%であった。
ステップS33;「25℃保存」と他の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」を分離、特徴量は「100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」での学習データと評価データと評価用劣化要因モデルの作成は次のように行った。
「25℃保存」の特徴量は32サンプルである、一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプル、「60℃保存」の特徴量のデータは11サンプルで合計58サンプルである。
容量維持率の値で並べた「25℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で16サンプル選び、これを学習用データとし、残り16サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「45℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。同様に「60℃保存」の特徴量を全部で3サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計16サンプルを「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」の学習用データとし、残り42サンプルを評価用データとした。
「25℃保存」の学習用データ16サンプルと「25℃サイクル45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃保存」の評価用データ16サンプルと「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ42サンプル合計58サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち4サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は93.1%であった。
ステップS34;「60℃保存」と他の「25℃サイクルと45℃保存の組」を分離、特徴量は「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」での学習データと評価データと評価用劣化要因モデルの作成は次のように行った。
「60℃保存」の特徴量は11サンプルである、一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルで合計47サンプルである。
容量維持率の値で並べた「60℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で6サンプル選び、これを学習用データとし、残り5サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「45℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計13サンプルを「25℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データとし、残り34サンプルを評価用データとした。
「60℃保存」の学習用データ6サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「60℃保存」の評価用データ6サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の評価用データ34サンプル合計40サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS35;「25℃サイクル」と「45℃保存」を分離、特徴量は「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」での学習データと評価データと評価用劣化要因モデルの作成は次のように行った。
ステップS34で選んだ「25℃サイクル」の学習用データ5サンプルを学習用データとし、残り14サンプルを評価用データとした。同様にステップS34で選んだ「45℃保存」の学習用データ8サンプルを学習用データとし、残り20サンプルを評価用データとした。
「25℃サイクル」の学習用データ5サンプルと「45℃保存」の学習用データ8サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃サイクル」の評価用データ14サンプルと「45℃保存」の評価用データ20サンプル合計34サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
<8次元特徴量データの作成及び8次元特徴量データ評価用劣化要因モデルの作成と推定精度の評価>
A電池で決定した2次元特徴量は、「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数」「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」「100Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」であった。
すなわち、0.1Hzの複素インピーダンス、4Hzの複素インピーダンス、100Hzの複素インピーダンス、1,000Hzの複素インピーダンス、すなわち0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスで各劣化要因のEIS特性が分離できることを示している。従って、これら4周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる8次元のデータは劣化要因分離(推定)の特徴量として使えることがわかる。
図11は、8次元特徴量データの劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。SVMによる評価用劣化モデルを作成して、図11に示すステップで劣化要因推定精度を調べる。
ステップS71;「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」を分離、特徴量は「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は、2次元特徴量でのステップ31と同様の方法で行った。
「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の学習用データ22サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ25サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の評価用データ21サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ65サンプル合計86サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち1サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は98.8%であった。
ステップS72;「45℃サイクル」と「60℃サイクル」を分離、特徴量は「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は2次元特徴量でのステップ32と同様の方法で行った。
「45℃サイクル」の学習用データ13サンプルと「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクル」の評価用データ12サンプルと「60℃サイクル」の評価用データ9サンプル合計21サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS73;「25℃保存」と他の「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」を分離、特徴量は「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は、2次元特徴量でのステップ33と同様の方法で行った。
「25℃保存」の学習用データ16サンプルと「25℃サイクル45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃保存」の評価用データ16サンプルと「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ42サンプル合計58サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として、評価用データのうち5サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は91.8%であった。
ステップS74;「60℃保存」と他の「25℃サイクルと45℃保存の組」を分離、特徴量は「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は2次元特徴量でのステップS34と同様の方法で行った。
「60℃保存」の学習用データ6サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「60℃保存」の評価用データ6サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の評価用データ34サンプル合計40サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS75;「25℃サイクル」と45℃保存」を分離、特徴量は「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は、2次元特徴量でのステップS35と同様の方法で行った。
「25℃サイクル」の学習用データ5サンプルと「45℃保存」の学習用データ8サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃サイクル」の評価用データ14サンプルと「45℃保存」の評価用データ20サンプル合計34サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として、評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
以上の結果から、2次元特徴量で選んだ特徴量を全て含むn種類の周波数の複素インピーダンスからなる(n×2)次元のデータは劣化要因推定のための特徴量となることが確認された。
なお、SVMはサンプルを二つに分けるモデル(評価関数)しか作ることができないため、m種類の劣化要因のどれに当たるかを推定(分離)する場合、m−1ステップを準備する必要があり、その推定(分離)順番を適切に選ぶことが、推定精度を上げる上で必要である。その順番はn種類の周波数の複素インピーダンスを選ぶ際に検討した2次元特徴量から決定すのが適切である。
また、SVMはサンプルを二つに分けるモデル(評価関数)しか作ることができないため、m種類の劣化要因のどれに当たるかを推定(分離)する場合、m−1ステップを準備する必要があるが、同時にm種類の劣化要因のどれに当たるかを推定するようなモデルを実現する手法であれば、1ステップでの劣化要因推定が可能である。
<A電池3.2V休止後8次元特徴量>
A電池で収集した複素インピーダンスの値の中で容量維持率93%から70%のデータで3.2V休止後に対して、次に示す4.0V休止後と同じ周波数のデータを抽出した。
0.1Hz、4Hz(3.99Hz)、10Hz、50.2Hz、100Hz、1,000Hz
3.2V休止後でも、4.0V休止後と同様に上記のデータに関して、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ36種類(各周波数の虚数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの実数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ15種類(各周波数の実数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの虚数部としたグラフ15種類(各周波数の虚数部と虚数部の異なる組み合わせ全て)を観察した。
まず、4.0V休止後で特徴量とした8次元特徴量の周波数0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスで各劣化要因のEIS特性が分離できるかを2次元特徴量で調べた所、以下の様に分離可能であることがわかった。
まず、2次元の特徴量で次に示すステップS91からステップS95の5ステップでA電池の6種類の劣化要因を分離できることがわかった。
図12は、すべての劣化要因の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS91で図12に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス実数」を特徴量として「60℃サイクルと60℃保存の組」と他の「25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」の分離が可能であることが示唆される。
図13は、60℃サイクルと60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS92で図13に示すように「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「60℃サイクル」と「60℃保存」の分離が可能であることが示唆される。
図14は、60℃サイクルと60℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS93で図14に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「25℃保存」と他の「25℃サイクル、45℃サイクルと45℃保存の組」の分離が可能であることが示唆される。
図15は、さらに25℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクルと45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS94で図15に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「45℃サイクル」と他の「25℃サイクルと45℃保存の組」の分離が可能であることが示唆される。
図16は、さらに45℃サイクルを除いた25℃サイクルと45℃保存の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS95で図16に示すように「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「25℃サイクル」と「45℃保存」の分離が可能であることが示唆される。
以上で確認できた2次元特徴量は、「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス実数」「100Hzの複素インピーダンス虚数部と0.1Hzの複素インピーダンス実数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と4Hzの複素インピーダンス虚数部」であり、4.0V休止後と同様の0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる8次元のデータは劣化要因分離(推定)の特徴量として使えることがわかる。
図17は、劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。この特徴量の劣化要因推定精度をSVMによる評価用劣化モデルを作成して、図17に示すステップで調べた結果を以下に示す。
ステップS91;「60℃サイクル」の特徴量のデータは18サンプル、「60℃保存」の特徴量は11サンプルで合計29サンプルであった。一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプル、「25℃保存」の特徴量は32サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプル、で合計104サンプルであった。
容量維持率の値で並べた「60℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で9サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「60℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計14サンプルを「60℃サイクルと60℃保存の組」の学習用データとし、残り15サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「45℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様にして「25℃保存」の特徴量を全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に「45℃保存」の特徴量を全部で6サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計21サンプルを「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の学習用データとし、残り83サンプルを評価用データとした。
「60℃サイクルと60℃保存の組」の学習用データ14サンプルと「25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」の学習用データ21サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の評価用データ15サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ83サンプル合計98サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS92;ステップS91で選んだ「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルを学習用データとし、残り9サンプルを評価用データとした。同様にステップS91で選んだ「60℃保存」の学習用データ5サンプルを学習用データとし、残り6サンプルを評価用データとした。
「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルと「60℃保存」の学習用データ6サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「60℃サイクル」の評価用データ9サンプルと「60℃保存」の評価用データ6サンプル合計15サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS93;「25℃保存」の特徴量は32サンプルである、一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルである。
容量維持率の値で並べた「25℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で16サンプル選び、これを学習用データとし、残り16サンプルを評価用データとした。
「25℃サイクル」の特徴量のデータからステップ1と同じ5サンプルを選び、これを学習用データとした。同様に「45℃サイクル」の特徴量のデータからステップ1と同じ5サンプルを選び、これを学習用データとした。同様にして「45℃保存」の特徴量のデータからステップ1と同じ6サンプルを選び、これを学習用データとした。これら合計16サンプルを「25℃サイクル、45℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データとし、残り56サンプルを評価用データとした。
「25℃保存」の学習用データ16サンプルと「25℃サイクル45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃保存」の評価用データ16サンプルと「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ56サンプル合計72サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として、評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS94;「45℃サイクル」の特徴量は25サンプルである、一方「25℃サイクル」の特徴量のデータは19サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルで合計47サンプルである。
容量維持率の値で並べた「45℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で13サンプル選び、これを学習用データとし、残り12サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で5サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「45℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計13サンプルを「25℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データとし、残り34サンプルを評価用データとした。
「45℃サイクル」の学習用データ13サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データ13サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクル」の評価用データ12サンプルと「25℃サイクルと45℃保存の組」の評価用データ34サンプル合計46サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS95;ステップS94で選んだ「25℃サイクル」の学習用データ5サンプルを学習用データとし、残り14サンプルを評価用データとした。同様にステップS94で選んだ「45℃保存」の学習用データ8サンプルを学習用データとし、残り20サンプルを評価用データとした。
「25℃サイクル」の学習用データ5サンプルと「45℃保存」の学習用データ8サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃サイクル」の評価用データ14サンプルと「45℃保存」の評価用データ20サンプル合計34サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
<A電池3.2V休止後6次元特徴量>
A電池で収集した複素インピーダンスの値の中で容量維持率93%から70%のデータで3.2V休止後に対して、抽出した周波数0.1Hz、4Hz(3.99Hz)、10Hz、50.2Hz、100Hz、1,000Hzのデータを観察すると、4.0V休止後と同様の0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4種類だけではなく、4Hz,10Hz,100Hzの3種類の周波数のデータであってもA電池の6種類の劣化要因を分離できることがわかった。
まず、2次元の特徴量を観察することにより、次に示すステップS101からステップS105の5ステップで4Hz(3.99Hz)、10Hz、100Hzの3種類、すなわち6次元の特徴量を用いてA電池の6種類の劣化要因を分離できることがわかった。
図18は、すべての劣化要因の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
すなわち、ステップS101で図18に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と10Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「60℃サイクルと60℃保存の組」と他の「25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」を分離する。
図19は、60℃サイクルと60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS102で図19に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「60℃サイクル」と「60℃保存」を分離する。
図20は、60℃サイクルと60℃保存を除いた25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS103で図20に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と10Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「25℃サイクル」と他の「45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」を分離する。
図21は、さらに25℃サイクルを除いた45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS104で図21に示すように「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス実数部」を特徴量として「25℃保存」と他の「45℃サイクルと45℃保存の組」を分離する。
図22は、さらに25℃保存を除いた45℃サイクルと45℃保存の10Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
ステップS105で図22に示すように「10Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」を特徴量として「45℃サイクル」と「45℃保存」を分離する。
以上で確認できた2次元特徴量は、「4Hzの複素インピーダンス虚数部と10Hzの複素インピーダンス虚数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と10Hzの複素インピーダンス虚数部」「4Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス実数部」「10Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」であり、4Hz、10Hz、100Hzの3周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる6次元のデータは劣化要因分離(推定)の特徴量として使えることがわかる。
図23は、劣化要因推定精度を調べるフローチャートを示す図である。この特徴量の劣化要因推定精度をSVMによる評価用劣化モデルを作成して、図23に示すステップで調べた結果を以下に示す。
ステップS101;学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は、8次元特徴量でのステップ1と同様の方法で行った。
「60℃サイクルと60℃保存の組」の学習用データ14サンプルと「25℃サイクル、45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」の学習用データ21サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクルと60℃サイクルの組」の評価用データ15サンプルと「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ83サンプル合計98サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS102;学習用データと評価用データの作成方法(選び方)は、8次元特徴量でのステップ2と同様の方法で行った。
「60℃サイクル」の学習用データ9サンプルと「60℃保存」の学習用データ6サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「60℃サイクル」の評価用データ9サンプルと「60℃保存」の評価用データ6サンプル合計15サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS103;「25℃サイクル」の特徴量は19サンプルである、一方「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプル、「25℃保存」の特徴量のデータは32サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルである。
容量維持率の値で並べた「25℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で9サンプル選び、これを学習用データとし、残り10サンプルを評価用データとした。
「25℃保存」の特徴量のデータからステップ1と同じ5サンプルを選び、これを学習用データとした。同様に「45℃サイクル」の特徴量のデータからステップS101と同じ5サンプルを選び、これを学習用データとした。同様にして「45℃保存」の特徴量のデータからステップS101と同じ6サンプルを選び、これを学習用データとした。これら合計16サンプルを「45℃サイクル、25℃保存と45℃保存の組」の学習用データとし、残り69サンプルを評価用データとした。
「25℃サイクル」の学習用データ9サンプルと「25℃サイクル45℃保存と60℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃保存」の評価用データ10サンプルと「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」の評価用データ69サンプル合計79サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS104;「25℃保存」の特徴量は32サンプルである、一方「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプル、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルで合計47サンプルである。
容量維持率の値で並べた「25℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で16サンプル選び、これを学習用データとし、残り16サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「45℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。同様に容量維持率の値で並べた「45℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうからなるべく等間隔になるように抜き出して全部で8サンプル選び、これを学習用データとした。これら合計16サンプルを「45℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データとし、残り37サンプルを評価用データとした。
「25℃保存」の学習用データ16サンプルと「45℃サイクルと45℃保存の組」の学習用データ16サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「25℃保存」の評価用データ16サンプルと「45℃サイクルと45℃保存の組」の評価用データ37サンプル合計53サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップS105;「45℃サイクル」の特徴量のデータは25サンプルである。一方、「45℃保存」の特徴量のデータは28サンプルである。
容量維持率の値で並べた「45℃サイクル」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で12サンプル選び、これを学習用データとし、残り13サンプルを評価用データとした。
容量維持率の値で並べた「45℃保存」の特徴量のデータを、容量維持率の大きいほうから一つ置きに全部で14サンプル選び、これを学習用データとし、残り14サンプルを評価用データとした。
「45℃サイクル」の学習用データ12サンプルと「45℃保存」の学習用データ14サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成した。次に、「45℃サイクル」の評価用データ13サンプルと「45℃保存」の評価用データ14サンプル合計27サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
<1周波数での複素インピーダンス>
A電池4.0V休止後において2次元特徴量データを作成する際に、異なる周波数の虚数部と実数部、または異なる周波数の虚数部と虚数部を使用した。しかし、同一周波数の実数部と虚数部を使って2次元特徴量データを作成することで劣化要因の分離することも可能である。具体的にA電池4.0V休止後の0.1Hz、4Hz、100Hzの複素インピーダンスデータで見てみる。
図24は、すべての劣化要因の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図25は、25℃サイクルを除いた45℃サイクル、60℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図26は、45℃保存と60℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図27は、さらに45℃保存と60℃保存を除いた45℃サイクル、60℃サイクルと25℃保存の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図28は、さらに25℃保存を除いた45℃サイクルと60℃サイクルの0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と0.1Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図である。
図24に示すように1Hzの複素インピーダンスのデータからは「25℃サイクル」と「45℃サイクル、60℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」が分離できる。「25℃サイクル」の分離後、図25に示すように「45℃サイクル、60℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」は100Hz複素インピーダンスにより「45℃サイクル、60℃サイクルと25℃保存の組」と他の「45℃保存と60℃保存の組」が分離できる。図26に示すように「45℃保存と60℃保存の組」の4Hzの複素インピーダンスを使うことにより「45℃保存」と「60℃保存」が分離できる。同様に図27に示すように「45℃サイクル、60℃サイクルと25℃保存の組」の4Hzの複素インピーダンスを使うことにより「25℃保存」と「45℃サイクルと60℃サイクルの組」が分離できる。次に、図28に示すように「45℃サイクルと60℃サイクルの組」を再び0.1Hzの複素インピーダンスを使うことにより「45℃サイクル」と「60℃サイクル」に分離できる。
<A電池複素インピーダンス測定による容量維持率推定>
図29は、4Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。A電池において、容量維持率93%から70%のデータで、4.0V休止後の8次元特徴量に含まれる4Hzの複素インピーダンスの実数部をX軸、4Hzの複素インピーダンスの実数部のデータに対応する容量維持率をY軸にとったグラフを図29に示す。容量維持率97%から80%の各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計133サンプルである。
25℃サイクル:19サンプル(容量維持率:91.9%〜71.1%)
45℃サイクル:25サンプル(容量維持率: 90.4%〜71.0%)
60℃サイクル:18サンプル(容量維持率: 92.9%〜73.2%)
25℃保存:32サンプル(容量維持率: 93.0%〜81.1%)
45℃保存:28サンプル(容量維持率: 92.1%〜69.1%)
60℃保存:11サンプル(容量維持率: 92.8%〜70.2%)
これらのデータで4.0V放電休止後の4Hz複素インピーダンス実数値から容量維持率を推定する場合の推定精度を検証する。
劣化要因を問わず、全データをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図29に示す。この3次近似曲線を用いることにより4.0V放電休止後の4Hzインピーダンスの測定から、その電池の容量維持率をある精度で推定できる。
この精度(近似曲線の容量維持率推定精度)を実測されたサンプルの容量維持率と、そのサンプルの4.0V放電休止後の4Hz複素インピーダンス実数値を近似曲線に代入し得られた容量維持率との誤差をΔCとしたとき、ΔCの標準偏差の2倍(2σΔC)、すなわち、ΔCが正規分布すると仮定した場合、推定値から±何パーセントの幅を想定すれば95%の実測値がその誤差の間に入るか、で評価する。2σΔCが0%に近いほど、推定精度が高いことになる。
評価の結果は、次の通りである。
全データ:133サンプル(2σΔC=5.83%)
25℃サイクル:19サンプル(2σΔC=7.98%)
45℃サイクル:25サンプル(2σΔC=4.02%)
60℃サイクル:18サンプル(2σΔC=3.06%)
25℃保存:32サンプル(2σΔC=2.93%)
45℃保存:28サンプル(2σΔC=3.92%)
60℃保存:11サンプル(2σΔC=4.04%)
各劣化要因ごとの精度評価値は、各劣化要因のデータだけで近似曲線に対する2σΔCを計算した結果である。
図30は、4Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。図30は、図29と同じグラフで、各点がどの劣化要因で劣化した電池かを分類して表示したものを示す。図30から明らかなように、劣化要因が異なると4Hz複素数インピーダンス実数部と容量維持率の変化の関係は異なる。従って、劣化要因ごとに別々に4Hz複素数インピーダンス実数部と容量維持率の関係の二乗誤差が最小となる3次曲線を求めることにより、4Hz複素数インピーダンス実数部の測定から推定した容量維持率推定の推定精度が高くなる。以下にその精度を具体的に示す。
図31は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。
25℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図31に示す。このときの2σΔCは5.95%である。この精度は全データでの推定精度5.83%より少し悪く、全データを使った近似曲線で25℃サイクルの推定精度7.98%よりは精度が高くなっている。
図32は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。
45℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図32に示す。このときの2σΔCは3.30%である。この精度は全データでの推定精度5.83%、全データを使った近似曲線で45℃サイクルの推定精度4.02%より精度が高くなっている。
図33は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。
60℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図33に示す。このときの2σΔCは2.59%である。この精度は全データでの推定精度5.83%、全データを使った近似曲線で60℃サイクルの推定精度3.06%より精度が高くなっている。
図34は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その6)である。
25℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図34に示す。このときの2σΔCは1.88%である。この精度は全データでの推定精度5.83%、全データを使った近似曲線で25℃保存の推定精度2.93%より精度が高くなっている。
図35は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その7)である。
45℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図35に示す。このときの2σΔCは2.98%である。この精度は全データでの推定精度5.83%、全データを使った近似曲線で45℃保存の推定精度3.92%より精度が高くなっている。
図36は、4Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その8)である。
60℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図36に示す。このときの2σΔCは1.46%である。この精度は全データでの推定精度5.83%、全データを使った近似曲線で60℃保存の推定精度4.04%より精度が高くなっている。
以上の結果より、劣化要因を推定識別することにより容量維持率の推定精度が向上することが判る。
複素インピーダンスは、実数部に限らず虚数値を用いても同様である。
図37は、4Hzの複素インピーダンスの虚数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。A電池において、容量維持率93%から70%のデータで、4.0V休止後の8次元特徴量に含まれる4Hzの複素インピーダンスの虚数部をX軸、4Hzの複素インピーダンスの虚数部のデータに対応する容量維持率をY軸にとったグラフを図37に示す。4.0V放電休止後の4Hz複素インピーダンス実数値の場合と同じ容量維持率97%から80%の各劣化要因での実際の測定データ、合計133サンプルにおいて、4.0V放電休止後の4Hz複素インピーダンス虚数値から容量維持率を推定する場合の推定精度を検証する。
劣化要因を問わず、全データをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図37に示す。この3次近似曲線を用いることにより4.0V放電休止後の4Hzインピーダンスの測定から、その電池の容量維持率をある精度で推定できる。
この精度(近似曲線の容量維持率推定精度)を実測されたサンプルの容量維持率と、そのサンプルの4.0V放電休止後の4Hz複素インピーダンス虚数値を近似曲線に代入し得られた容量維持率との誤差をΔCとしたとき、ΔCの標準偏差の2倍(2σΔC)、すなわち、ΔCが正規分布すると仮定した場合、推定値から±何パーセントの幅を想定すれば95%の実測値がその誤差の間に入るか、で評価する。2σΔCが0%に近いほど、推定精度が高いことになる。
評価の結果は、次の通りである。
全データ:133サンプル(2σΔC=8.42%)
25℃サイクル:19サンプル(2σΔC=8.89%)
45℃サイクル:25サンプル(2σΔC=6.05%)
60℃サイクル:18サンプル(2σΔC=4.69%)
25℃保存:32サンプル(2σΔC=3.58%)
45℃保存:28サンプル(2σΔC=7.40%)
60℃保存:11サンプル(2σΔC=9.73%)
各劣化要因ごとの精度評価値は、各劣化要因のデータだけで近似曲線に対する2σΔCを計算した結果である。
図38は、4Hzの複素インピーダンスの虚数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。図38は、図37と同じグラフで、各点がどの劣化要因で劣化した電池かを分類して表示したものを示す。図38から明らかなように、劣化要因が異なると4Hz複素数インピーダンス虚数部と容量維持率の変化の関係は異なる。従って、劣化要因ごとに別々に4Hz複素数インピーダンス虚数部と容量維持率の関係の二乗誤差が最小となる3次曲線を求めることにより、4Hz複素数インピーダンス虚数部の測定から推定した容量維持率推定の推定精度が高くなる。以下にその精度を具体的に示す。
25℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線での近似曲線では2σΔCは3.09%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で25℃サイクルの推定精度8.89%より精度が高くなっている。
45℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線の近似曲線では2σΔCは3.17%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で45℃サイクルの推定精度6.05%より精度が高くなっている。
60℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線の近似曲線では2σΔCは2.69%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で60℃サイクルの推定精度4.69%より精度が高くなっている。
25℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線での近似曲線では2σΔCは2.48%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で25℃保存の推定精度3.58%より精度が高くなっている。
45℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線での近似曲線では2σΔCは5.60%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で45℃保存の推定精度7.40%より精度が高くなっている。
60℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線での近似曲線では2σΔCは2.29%である。この精度は全データでの推定精度8.42%、全データを使った近似曲線で60℃保存の推定精度9.74%より精度が高くなっている。
以上の結果より、劣化要因を推定識別することにより容量維持率の推定精度が向上することが判る。
<実際の応用>
これらの結果から、今回のA電池で測定した4.0V休止後の8次元特徴量をSVNを劣化要因モデルとして使い、データ収集測定二次電池とは別に劣化させた被測定二次電池の容量維持率を推定する場合について述べる。
特徴量がどの程度の劣化要因推定の精度があるかを見るために、学習用データと評価用データに分け学習用データから評価用劣化要因モデルを作成し、評価用データで推定精度をみる。推定精度が所定の精度(例えば、90%以上)を満たしていた場合は、これを劣化推定の特徴量とする。満たしていない場合は、他の周波数の複素インピーダンスの組み合わせを調べたり、特徴量の次元を上げるなどの手法で所定の推定精度を得られる特徴量を探す。
今回「0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」は推定精度が90%を超えていたので、これを劣化要因推定の特徴量として採用し、このときに用いた評価用劣化要因モデルを劣化要因モデル(識別関数)として採用する。SVMはサンプルを二つに分けるモデル(評価関数)しか作ることができないため、m種類の劣化要因のどれに当たるかを推定(分離)する場合、m−1ステップを準備する必要があり、m−1個の劣化要因モデルを作成する必要がある。
このように作成され、採用されたm−1個の劣化要因モデルが図1および図2の参照用データ保持部2のデータ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、データ収集測定二次電池の複素インピーダンスに関する情報とが関連付けられた参照用データの具体例である。
被測定二次電池の特徴量(0.1Hz、4Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンス)を測定する。図1及び図2ではこれらの測定が3インピーダンス算出部で行われる。
測定した被測定二次電池の特徴量を、まず、ステップS111(図示せず)の劣化要因モデルで劣化要因が「45℃サイクルと60℃サイクルの組」なのか「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」なのかを推定する。次に、推定の結果「45℃サイクルと60℃サイクルの組」と推定された場合は特徴量をステップS112の劣化要因推定モデルで劣化要因が「45℃サイクル」なのか「60℃サイクル」なのかを推定する。次に、推定の結果「45℃サイクル」か「60℃サイクル」のどちらかに推定され、劣化要因推定は終了する。
ステップS111で作成した劣化要因モデルで劣化要因を推定した結果「25℃サイクル、25℃保存、45℃保存と60℃保存の組」と推定された場合は、特徴量をステップS113の劣化要因モデルで劣化要因が「25℃保存」なのか「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」なのかを推定する。推定の結果「25℃保存」と推定されたならば、劣化要因推定は終了する。
ステップS113で作成した劣化要因モデルで劣化要因を推定した結果「25℃サイクル、45℃保存と60℃保存の組」と推定された場合は、特徴量をステップS114の劣化要因モデルで劣化要因が「60℃保存」なのか「25℃サイクルと45℃保存の組」なのかを推定する。推定の結果「60℃保存」と推定されたならば、劣化要因推定は終了する。
ステップS114の推定の結果「25℃サイクルと45℃保存の組」と推定された場合は特徴量をステップ5の劣化要因モデルで劣化要因が「25℃サイクル」なのか「45℃保存」なのかを推定する。推定の結果「25℃サイクル」か「45℃保存」のどちらかに推定され、劣化要因推定は終了する。
図1及び図2ではこれらの劣化要因推定が劣化要因推定部4で行われる。
実施例1では劣化要因推定部4の推定結果に基づいて診断判定を行い、その診断結果をたとえば人間にわかるようなテキストなどの表示として、また、たとえば他の装置への電気信号に変換された出力として診断判定部5から出力する。
実施例2では、図2の参照用データ保持部2には、データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、データ収集測定二次電池の複素インピーダンスに関する情報と、さらにデータ収集測定二次電池の容量に関する情報とが関連付けられた参照用データが記憶されているが、たとえば、データ収集測定二次電池の容量に関する情報とが関連付けられた参照用データとして、各劣化要因ごとの4Hz複素インピーダンスの実数部の値と容量維持率の近似曲線を保持している。
図2の容量推定部6は、参照用データと、劣化要因推定部4からの出力情報と、インピーダンス算出部3により算出された複素インピーダンスの出力情報とにより、被測定二次電池1の容量を推定する。具体的には被測定二次電池の劣化要因が推定されたならば、4Hz複素インピーダンスの実数部の値を、推定された劣化要因のデータから近似された容量維持率の近似曲線に代入して被測定二次電池の容量維持率を推定する。
例えば、被測定二次電池の劣化要因が「45℃サイクル」と推定されたならば、図32に示した3次近似曲線に4Hz複素インピーダンスの実数部の値を代入することにより、容量維持率の推定値を求めることができる。
実施例2では、容量推定部6の推定結果に基づいて診断判定を行い、その診断結果をたとえば人間にわかるようなテキストなどの表示として、また、たとえば他の装置への電気信号に変換された出力として診断判定部5から出力する。出力は推定された容量維持率や、劣化要因と容量維持率の組み合わせから判定される被測定二次電池を使用し続けてもよいか、交換の時期かの判定結果などである。
<B電池4次元特徴量>
A電池とは異なる、三元系の正極材(Li(NiCoMn)O)、負極材に炭素系材料を使った市販のパワーツール用高出力低電流容量(1.6Ah)18650円筒電池(以下、「B電池」という)でのデータ収集を実施する。標準環境を室温(25℃)とし、劣化を進める条件(劣化要因)は、次の3種類とした。
1)25℃環境下でのサイクル劣化(25℃サイクル劣化)
2)50℃環境下でのサイクル劣化(50℃サイクル劣化)
3)50℃環境下での満充電保存劣化(50℃保存劣化)
サイクル劣化とは、所定の温度環境下で充放電を繰り返す劣化条件である。充電は、1CでCC(定電流)充電し電池電圧が4.2Vに達したならば、電池電圧が4.2Vに保たれるよう電流をコントロールするCV(定電圧充電)に切り替え、電流が50mAに達した時点で充電を打ち切るCC−CV充電とした(以下、CC−CV充電を「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」という)。
放電は、0.5Cで放電を行い、電池電圧が3.0Vに達した時点で充電を打ち切る、CC放電とした(以下、CC放電を「0.5C3.0V打ち切りCC放電」という)。
サイクル劣化の充放電プロファイルは、この「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」と「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を所定の時間の休止(充電も放電も行わない状態)を挟んで繰り返すものとした。
具体的には、最初に3時間の休止(被検電池が所定の温度環境と同一温度になるのを待つ時間)を行い、その後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止の後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い10分間の休止という「充電−休止−放電−休止」を25回繰り返す充放電プロファイルである。ここで、本発明における被検電池とは、データ収集測定二次電池と被測定二次電池の総称である。
サイクル劣化の被検電池は、所定の温度環境下でのサイクル劣化の充放電プロファイルを1回実施するごとに標準環境に移し、所定の容量測定充放電プロファイルにより容量と、所定のEISプロファイルによるEIS測定により各周波数の複素インピーダンスを測定した。
サイクル劣化の容量測定の充放電プロファイルは、最初に3時間の休止(被検電池が標準環境と同一温度になるのを待つ時間)を行い、その後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止の後に「0.5C3.0V打ち切りCC放電」を行い、10分間の休止の後に「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」を行い、10分間の休止という「3時間休止−充電−休止−放電−休止−充電−休止」を1回行う充放電プロファイルである。
満充電保存劣化とは、標準環境下で満充電状態にした被検電池を所定の温度環境下に移して一定日数放置する劣化である。
B電池の満充電状態は、標準環境下での「1CCC−4.2V50mA打ち切りCV充電」による充電直後の状態とする。同様に、完全放電状態は、標準環境下での「0.5C3.0V打ち切りCC放電」による放電直後の状態とする。B電池の定格電流容量は1.6Ahであるので、1Cは、1.6A、0.5Cは0.8Aとした。
EISプロファイルはA電池と同様に、満充電状態の被検電池を0.5C放電し、被検電池の電圧が所定の電圧に達した時点で15分間の休止の後にEIS測定を行い、EIS測定の後に再度0.5C放電し、被検電池の電圧が次の所定の電圧に達した時点で15分間の休止の後にEIS測定を行うということを繰り返し、被検電池電圧が3.0Vに達したならば放電を打ち切り、15分間の休止を行った後に終了する。
B電池ではEISを行うために放電を休止する被検電池の電圧は、4.10V、3.80V、3.60V、3.45V、3.20Vの5つとした。なお、EIS測定条件を特定するため、それぞれの被検電池の電圧に達した後の15分の休止後のEIS測定を、「4.10V休止後EIS」「3.80V休止後EIS」「3.60V休止後EIS」「3.45V休止後EIS」「3.2V0休止後EIS」という。B電池で収集した複素インピーダンスの値の中で容量維持率93%から70%のデータに対して、4.10V休止後と3.20V休止後の次に示す周波数のデータを抽出した。
0.1Hz、1Hz、4Hz(3.99Hz)、10Hz、50.2Hz、100Hz、502Hz、1,000Hz
4.10V休止後と3.20V休止後で、上記のデータに関して、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ64種類(各周波数の虚数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの実数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ28種類(各周波数の実数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの虚数部としたグラフ28種類(各周波数の虚数部と虚数部の異なる組み合わせ全て)を観察した。
なお、ここで、容量維持率93%から70%のデータと言っている各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計37サンプルである。
25℃サイクル:8サンプル(容量維持率:93.5%〜84.2%)
50℃サイクル:14サンプル(容量維持率: 93.8%〜70.5%)
50℃保存:15サンプル(容量維持率: 93.0%〜81.1%)
図39は、すべての劣化要因の4.10V休止後の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図で、図40は、すべての劣化要因の3.20V休止後の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
観察の結果、4.10V休止後は、図39に示すとおり「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」で、3.20V休止後は、図40に示すとおり「4Hzの複素インピーダンス虚数部と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部」でそれぞれ劣化要因が分離できることがわかり、従って、それぞれ4.10V休止後は、0.1Hz、100Hzの2周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる4次元との、3.20V休止後は、4Hz、50.2Hzの2周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる4次元とのデータが劣化要因分離(推定)の特徴量となることがわかった。これらの特徴量での劣化要因推定精度をA電池と同様にSVMを用いて確認した。
B電池でも学習用データは、A電池と同様に以下を考慮して選んだ。
1)分離する二つの劣化要因の組で学習データの特徴量の個数を概ね同じにする。
2)複数の劣化要因を含む劣化要因の組の場合各劣化要因の特徴量の個数が各劣化要因のデータ数に概ね比例するようにする。
3)各劣化要因の学習用データに含まれる特徴量に対応する劣化度(容量維持率)が偏らないように選ぶ。
学習用データに選ばなかったデータは全て評価用データとするのもA電池の場合と同様である。
図41は、劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その1)である。
4.10V休止後の場合は、図41に示したとおりのステップで劣化要因を分離した。
ステップ121;「25℃サイクル」と他の「50℃サイクルと50℃保存の組」を分離、特徴量は「0.1Hz、100Hzの2周波数の複素インピーダンスからなる4次元データ」である。
「25℃サイクル」の学習データ4サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「25℃サイクル」の評価用データ4サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の評価用データ20サンプル合計24サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップ122;「50℃サイクル」と「50℃保存」を分離、特徴量は「0.1Hz、100Hzの2周波数の複素インピーダンスからなる4次元データ」である。
「50℃サイクル」の学習データ6サンプルと「50℃保存」の学習用データ7サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「50℃サイクル」の評価用データ8サンプルと「50℃保存」の評価用データ8サンプル合計16サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
図42は、劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その2)である。
3.20V休止後の場合は、図42に示したとおりのステップで劣化要因を分離した。
ステップ131;「25℃サイクル」と他の「50℃サイクルと50℃保存の組」を分離、特徴量は「4Hz、50.2Hzの2周波数の複素インピーダンスからなる4次元データ」である。
「25℃サイクル」の学習データ4サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「25℃サイクル」の評価用データ4サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の評価用データ20サンプル合計24サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
ステップ132;「50℃サイクル」と「50℃保存」を分離、特徴量は「4Hz、50.2Hzの2周波数の複素インピーダンスからなる4次元データ」である。
「50℃サイクル」の学習データ6サンプルと「50℃保存」の学習用データ7サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「50℃サイクル」の評価用データ8サンプルと「50℃保存」の評価用データ8サンプル合計16サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
<B電池8次元特徴量>
B電池の4.10V休止後と3.20V休止後で収集した複素インピーダンスの値の中で容量維持率97%から70%のデータに対して、93%から70%のデータと同じ周波数のデータを抽出した。
0.1Hz、1Hz、4Hz(3.99Hz)、10Hz、50.2Hz、100Hz、502Hz、1,000Hz
4.10V休止後と3.20V休止後で、上記のデータに関して、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ64種類(各周波数の虚数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの実数部、Y軸をインピーダンスの実数部としたグラフ28種類(各周波数の実数部と実数部の異なる組み合わせ全て)、X軸をインピーダンスの虚数部、Y軸をインピーダンスの虚数部としたグラフ28種類(各周波数の虚数部と虚数部の異なる組み合わせ全て)を観察した。
なお、ここで、容量維持率97%から70%のデータと言っている各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計46サンプルである。
25℃サイクル:10サンプル(容量維持率:97.2%〜84.2%)
50℃サイクル:17サンプル(容量維持率: 97.1%〜70.5%)
50℃保存:19サンプル(容量維持率: 97.2%〜81.1%)
図43は、すべての劣化要因の4.10V休止後の1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図44は、25℃サイクルを除いた50℃サイクルと50℃保存の4.10V休止後の0.1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と100Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
観察の結果、4.10V休止後は、図43から「1Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」で、「25℃サイクル」とその他の「50℃サイクルと50℃保存の組」が、図44から「0.1Hzの複素インピーダンス虚数部と100Hzの複素インピーダンス虚数部」で、「50℃サイクル」と「50℃保存」が分離できることがわかった。
図45は、すべての劣化要因の3.20V休止後の1Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と1,000Hzの複素インピーダンス実数部(Ω)との関係を示す図で、図46は、25℃サイクルを除いた50℃サイクルと50℃保存の3.20V休止後の4Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部(Ω)との関係を示す図である。
3.20V休止後は、図45から「1Hzの複素インピーダンス虚数部と1,000Hzの複素インピーダンス実数部」で、「25℃サイクル」とその他の「50℃サイクルと50℃保存の組」が、図46から「4Hzの複素インピーダンス虚数部と50.2Hzの複素インピーダンス虚数部」で、「50℃サイクル」と「50℃保存」が分離できることがわかった。
従って、4.10V休止後は、0.1Hz、1Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる8次元のデータが劣化要因分離(推定)の特徴量となることがわかった。また、3.20V休止後は、1Hz、4Hz、50.2Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスの虚数部、実数部からなる8次元とのデータが劣化要因分離(推定)の特徴量となることがわかった。
図47は、劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その3)である。
4.10V休止後の場合は、図47に示したとおりのステップで劣化要因を分離した。
ステップ141;「25℃サイクル」と他の「50℃サイクルと50℃保存の組」を分離、特徴量は「0.1Hz、1Hz、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
「25℃サイクル」の学習データ5サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の学習用データ12サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「25℃サイクル」の評価用データ5サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の評価用データ24サンプル合計29サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち1サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は96.6%であった。
ステップ142;「50℃サイクル」と「50℃保存」を分離、特徴量は「0.1Hz、1HZ、100Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
「50℃サイクル」の学習データ8サンプルと「50℃保存」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「50℃サイクル」の評価用データ9サンプルと「50℃保存」の評価用データ10サンプル合計19サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
図48は、劣化要因の分離を説明するためのフローチャートを示す図(その4)である。3.20V休止後の場合は、図48に示したとおりのステップで劣化要因を分離した。
ステップ151;「25℃サイクル」と他の「50℃サイクルと50℃保存の組」を分離、特徴量は「1Hz、4Hz、50.2Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
「25℃サイクル」の学習データ5サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の学習用データ12サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「25℃サイクル」の評価用データ5サンプルと「50℃サイクルと50℃保存の組」の評価用データ24サンプル合計29サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち1サンプルが誤推定され劣化要因推定精度は96.6%であった。
ステップ152;「50℃サイクル」と「50℃保存」を分離、特徴量は「1Hz、4Hz、50.2Hz、1,000Hzの4周波数の複素インピーダンスからなる8次元データ」である。
「50℃サイクル」の学習データ8サンプルと「50℃保存」の学習用データ9サンプルでSVMによる評価用劣化要因モデル(識別関数)を作成し、「50℃サイクル」の評価用データ9サンプルと「50℃保存」の評価用データ10サンプル合計19サンプルに対して作成した劣化要因モデルを用い劣化要因を推定した。結果として評価用データのうち誤推定されたサンプルは無く、劣化要因推定精度は100%であった。
<B電池複素インピーダンス測定による容量維持率推定>
図49は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。B電池において、容量維持率97%から80%のデータ(50℃保存以外は容量維持率80%程度までのデータしかないため)で、4.10V休止後の8次元特徴量に含まれる1,000Hzの複素インピーダンスの実数部をX軸、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部のデータに対応する容量維持率をY軸にとったグラフを図49に示す。容量維持率97%から80%の各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計38サンプルである。
25℃サイクル:10サンプル(容量維持率:97.2%〜84.2%)
50℃サイクル:9サンプル(容量維持率: 97.1%〜81.0%)
50℃保存:19サンプル(容量維持率: 97.2%〜81.1%)
これらのデータで4.10V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値から容量維持率を推定する場合の推定精度を検証する。
劣化要因を問わず、全データをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図49に示す。この3次近似曲線を用いることにより4.10V放電休止後の1,000Hzインピーダンスの測定から、その電池の容量維持率をある精度で推定できる。
この精度(近似曲線の容量維持率推定精度)をA電池の場合と同様に実測されたサンプルの容量維持率と、そのサンプルの4.10V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値を近似曲線に代入し得られた容量維持率との誤差をΔCとしたとき、ΔCの標準偏差の2倍(2σΔC)、すなわち、ΔCが正規分布すると仮定した場合、推定値から±何パーセントの幅を想定すれば95%の実測値がその誤差の間に入るか、で評価する。2σΔCが0%に近いほど、推定精度が高いことになる。
評価の結果は、次の通りである。
全データ:38サンプル(2σΔC=6.79%)
25℃サイクル:10サンプル(2σΔC=4.35%)
50℃サイクル:9サンプル(2σΔC=8.05%)
50℃保存:19サンプル(2σΔC=4.09%)
各劣化要因ごとの精度評価値は、各劣化要因のデータだけで近似曲線に対する2σΔCを計算した結果である。
図50は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。図50は、図49と同じグラフで、各点がどの劣化要因で劣化した電池かを分類して表示したものを示す。図50から明らかなように、劣化要因が異なると1,000Hz複素数インピーダンス実数部と容量維持率の変化の関係は異なる。特に25℃、50℃サイクル劣化と50℃保存劣化では全く異なる曲線状に乗っている。従って、劣化要因ごとに別々に1,000Hz複素数インピーダンス実数部と容量維持率の関係の二乗誤差が最小となる3次曲線を求めることにより、1,000Hz複素数インピーダンス実数部の測定から推定した容量維持率推定の推定精度が高くなる。以下にその精度を具体的に示す。
図51は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。
25℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図51に示す。このときの2σΔCは2.46%である。この精度は全データでの推定精度6.79%、全データを使った近似曲線で25℃サイクルの推定精度4.35%より精度が高くなっている。
図52は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。
50℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図52に示す。このときの2σΔCは1.36%である。この精度は全データでの推定精度6.79%、全データを使った近似曲線で50℃サイクルの推定精度8.05%より精度が高くなっている。
図53は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。
50℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図53に示す。このときの2σΔCは1.54%である。この精度は全データでの推定精度6.79%、全データを使った近似曲線で50℃保存の推定精度4.09%より精度が高くなっている。
以上の結果より、劣化要因を推定識別することにより容量維持率の推定精度が向上することが判る。
<B電池複素インピーダンス測定による電力容量維持率推定>
図54は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その1)である。B電池において、電力容量維持率97%から80%のデータ(50℃保存以外は電力容量維持率80%程度までのデータしかないため)で、4.10V休止後の8次元特徴量に含まれる1,000Hzの複素インピーダンスの実数部をX軸、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部のデータに対応する電力容量維持率をY軸にとったグラフを図54に示す。各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と電力容量維持率の範囲は以下の通りで、合計38サンプルである。
25℃サイクル:10サンプル(電力容量維持率:96.7%〜83.1%)
50℃サイクル:9サンプル(電力容量維持率:97.0%〜80.6%)
50℃保存:19サンプル(電力容量維持率:97.1%〜81.2%)
これらのデータで4.10V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値から電力容量維持率を推定する場合の推定精度を検証する。劣化要因を問わず、全データをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図54に示す。この3次近似曲線を用いることにより4.10V放電休止後の1,000Hzインピーダンスの測定から、その電池の電力容量維持率をある精度で推定できる。
この精度(近似曲線の電力容量維持率推定精度)を容量維持率の場合と同様に実測されたサンプルの電力容量維持率と、そのサンプルの4.10V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値を近似曲線に代入し得られた電力容量維持率との誤差をΔCとしたときの、ΔCの標準偏差の2倍(2σΔC)、すなわち、ΔCが正規分布すると仮定した場合、推定値から±何パーセントの幅を想定すれば95%の実測値がその誤差の間に入るか、で評価する。2σΔCが0%に近いほど、推定精度が高いことになる。
評価の結果は、次の通りである。
全データ:38サンプル(2σΔC=7.19%)
25℃サイクル:10サンプル(2σΔC=4.79%)
50℃サイクル:9サンプル(2σΔC=8.36%)
50℃保存:19サンプル(2σΔC=4.92%)
各劣化要因ごとの精度評価値は、各劣化要因のデータだけで近似曲線に対する2σΔCを計算した結果である。
図55は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その2)である。図55は、図54と同じグラフで、各点がどの劣化要因で劣化した電池かを分類して表示したものを示す。図55から明らかなように、劣化要因が異なると1,000Hz複素インピーダンス実数部と電力容量維持率の変化の関係は異なる。特に25℃、50℃サイクル劣化と50℃保存劣化では全く異なる曲線状に乗っている。従って、劣化要因ごとに別々に1,000Hz複素インピーダンス実数部と電力容量維持率の関係の二乗誤差が最小となる3次曲線を求めることにより、1,000Hz複素インピーダンス実数部の測定から推定した電力容量維持率推定の推定精度が高くなる。以下にその精度を具体的に示す。
図56は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その3)である。25℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図56に示す。このときの2σΔCは2.60%である。この精度は全データでの推定精度7.19%、全データを使った近似曲線で25℃サイクルの推定精度4.79%より精度が高くなっている。
図57は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その4)である。50℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図57に示す。このときの2σΔCは1.39%である。この精度は全データでの推定精度7.19%、全データを使った近似曲線で50℃サイクルの推定精度8.36%より精度が高くなっている。
図58は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と電力容量維持率(%)との関係を示す図(その5)である。50℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図58に示す。このときの2σΔCは1.51%である。この精度は全データでの推定精度7.19%、全データを使った近似曲線で50℃保存の推定精度4.92%より精度が高くなっている。
以上の結果より、劣化要因を推定識別することにより電力容量維持率の推定精度が向上することが判る。
<B電池複素インピーダンス測定による残存電流容量推定>
図59は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その1)である。なお、「4.0Vでの残存電流容量」とは、4.0Vの状態から完全放電状態まで0.5Cで放電させた際の放電電流容量をいうものとする。
B電池において、容量維持率97%から80%のデータ(50℃保存以外は電力容量維持率80%程度までのデータしかないため)で、4.10V休止後の8次元特徴量に含まれる1,000Hzの複素インピーダンスの実数部をX軸、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部のデータに対応する放電時の4.0Vでの残存電流容量をY軸にとったグラフを図59に示す。各劣化要因での実際の測定データのサンプル数と容量維持率の範囲は以下の通りで、合計38サンプルである。
25℃サイクル:11サンプル(電力容量維持率:96.9%〜83.2%)
50℃サイクル:9サンプル(電力容量維持率:96.0%〜80.2%)
50℃保存:18サンプル(電力容量維持率:96.7%〜81.3%)
これらのデータで4.10V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値から4.0V残存電流容量を推定する場合の推定精度を検証する。劣化要因を問わず、全データをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図59に示す。この3次近似曲線を用いることにより4.10V放電休止後の1,000Hzインピーダンスの測定から、その電池の4.0V残存電流容量をある精度で推定できる。なお、電池の電圧は容易に測定できるので、電池電圧から残存電流容量を正確に推定することは実用上重要である。
この精度(近似曲線の4.0V残存電流容量推定精度)を容量維持率の場合と同様に実測されたサンプルの4.0V残存電流容量と、そのサンプルの4.0V放電休止後の1,000Hz複素インピーダンス実数値を近似曲線に代入し得られた4.0V残存電流容量との誤差をΔCとしたときの、ΔCの標準偏差の2倍(2σΔC)、すなわち、ΔCが正規分布すると仮定した場合、推定値から±何パーセントの幅を想定すれば95%の実測値がその誤差の間に入るか、で評価する。2σΔCが0%に近いほど、推定精度が高いことになる。
評価の結果は、次の通りである。
全データ:38サンプル(2σΔC=8.15%)
25℃サイクル:11サンプル(2σΔC=5.14%)
50℃サイクル:9サンプル(2σΔC=8.01%)
50℃保存:18サンプル(2σΔC=5.57%)
各劣化要因ごとの精度評価値は、各劣化要因のデータだけで近似曲線に対する2σΔCを計算した結果である。
図60は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その2)である。図60は、図59と同じグラフで、各点がどの劣化要因で劣化した電池かを分類して表示したものを示す。図60から明らかなように、各劣化要因が異なると1,000Hz複素数インピーダンス実数部と4.0V残存電流容量の変化の関係は異なる。特に25℃、50℃サイクル劣化と50℃保存劣化では全く異なる曲線状に乗っている。従って、劣化要因ごとに別々に1,000Hz複素数インピーダンス実数部と4.0V残存電流容量の関係の二乗誤差が最小となる3次曲線を求めることにより、1,000Hz複素数インピーダンス実数部の測定から推定した4.0V残存電流容量の推定精度が高くなる。以下にその精度を具体的に示す。
図61は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その3)である。
25℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図61に示す。このときの2σΔCは3.71%である。この精度は全データでの推定精度8.15%、全データを使った近似曲線で25℃サイクルの推定精度5.14%より精度が高くなっている。
図62は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その4)である。
50℃サイクルのサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図62に示す。このときの2σΔCは1.83%である。この精度は全データでの推定精度8.15%、全データを使った近似曲線で50℃サイクルの推定精度8.01%より精度が高くなっている。
図63は、1,000Hzの複素インピーダンスの実数部(Ω)と4.0Vでの残存電流容量(Ah)との関係を示す図(その5)である。
50℃保存のサンプルのみをプロットし、二乗誤差が最小となる3次曲線で近似したグラフを図63に示す。このときの2σΔCは0.88%である。この精度は全データでの推定精度8.15%、全データを使った近似曲線で50℃保存の推定精度5.57%より精度が高くなっている。
以上の結果より、劣化要因を推定識別することにより4.0V残存電流容量の推定精度が向上することが判る。ここでは具体的に電池電圧4.0Vの場合を見たが、他の電圧においても劣化要因を推定識別することによりその電池電圧での残存電流容量の推定精度を向上させることが可能である。
本発明によって、交流インピーダンス法による複素インピーダンス測定データを基に劣化要因や容量といった電池状態を判定する二次電池診断装置及び二次電池診断方法を提供することができる。
1 被測定二次電池
2 参照用データ保持部
3 インピーダンス算出部
4 劣化要因推定部
5 診断判定部
6 容量推定部

Claims (8)

  1. 二次電池の電池状態を判定する二次電池診断装置において、
    データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、前記データ収集測定二次電池の複素インピーダンスの値そのものの情報とが関連付けられた参照用データが記憶される参照用データ保持部と、
    電池状態を判定する対象である被測定二次電池の複素インピーダンスを算出するインピーダンス算出部と、
    前記参照用データ保持部に記憶された前記参照用データと、前記インピーダンス算出部により算出された複素インピーダンスの値そのものの情報とにより、前記被測定二次電池の劣化要因を推定する劣化要因推定部と、
    前記劣化要因推定部の推定結果に基づいて診断判定を行い、その診断結果を出力する診断判定部と
    を備えていることを特徴とする二次電池診断装置。
  2. 前記複素インピーダンスが、少なくとも2種類の複素インピーダンスであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池診断装置。
  3. 前記複素インピーダンスが、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスであることを特徴とする請求項2に記載の二次電池診断装置。
  4. 前記複素インピーダンスが、特定の周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部と、前記特定の周波数とは異なる周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部であることを特徴とする請求項3に記載の二次電池診断装置。
  5. 二次電池の電池状態を判定する二次電池診断方法において、
    データ収集測定二次電池の劣化要因に関する情報と、前記データ収集測定二次電池の複素インピーダンスの値そのものの情報とが関連付けられた参照用データを参照用データ保持部に記憶するステップと、
    電池状態を判定する対象である被測定二次電池の複素インピーダンスをインピーダンス算出部で算出するステップと、
    前記参照用データ保持部に記憶された前記参照用データと、前記インピーダンス算出部により算出された複素インピーダンスの値そのものの情報とにより、劣化要因推定部で前記被測定二次電池の劣化要因を推定するステップと、
    前記劣化要因推定部の推定結果に基づいて、診断判定部により診断判定を行い、その診断結果を出力するステップと
    を有していることを特徴とする二次電池診断方法。
  6. 前記複素インピーダンスが、少なくとも2種類の複素インピーダンスであることを特徴とする請求項5に記載の二次電池診断方法。
  7. 前記複素インピーダンスが、異なる周波数を用いて算出される複素インピーダンスであることを特徴とする請求項6に記載の二次電池診断方法。
  8. 前記複素インピーダンスが、特定の周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部と、前記特定の周波数とは異なる周波数で測定した時の複素インピーダンスの実部又は虚部であることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の二次電池診断方法。
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