JP6342306B2 - 車両用電池制御装置及び車両用電池制御方法 - Google Patents

車両用電池制御装置及び車両用電池制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気自動車やハイブリッド車両等の車両に搭載される電池の制御に用いられる車両用電池制御装置、及び、車両用電池制御方法に関する。
ニッケル水素電池等の二次電池は、例えば過放電を繰り返すことにより、容量の低下や、内部抵抗の増大等の電池特性の劣化が徐々に進行することが知られている。そこで二次電池が過放電とはならない電圧として定めた下限電圧に基づいて二次電池の放電を制御する電池制御装置が特許文献1に提案されている。
特許文献1に記載の電池制御装置は、電池の入出力電圧の下限電圧を電池温度に応じて設定し、電池温度が低いときの下限電圧を電池温度が高いときの下限電圧以下とする。
特許第4200956号公報
特許文献1に記載の電池制御装置によれば、放電時の電圧が下限電圧よりも下がらないように規制されることで二次電池の劣化が抑制されるようになる。ただし近年は、二次電池の蓄電量をより有効に利用することが求められている。このとき、必要以上に下限電圧を低く設定してしまうと、急激な放電などが生じたときなどに過放電を生じるおそれが高まる。そこで、放電を規制することとなる上記下限電圧についてもより適切に設定することが求められている。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであってその目的は、電池の放電を規制する下限電圧をより適切に設定することのできる車両用電池制御装置、及び、車両用電池制御方法を提供することにある。
上記課題を解決する車両用電池制御装置は、主活物質と添加物としての金属化合物とを含む正極を有する車両用の二次電池の放電を制御する車両用電池制御装置であって、前記二次電池の蓄電量に関する充電状態を取得する充電状態取得部と、前記二次電池の温度を取得する温度取得部と、前記二次電池の下限電圧を設定する下限電圧設定部とを備え、前記下限電圧設定部は、前記下限電圧を、前記充電状態から得られる蓄電量が多いときほど高い値とし、該蓄電量が少ないときほど低い値として設定するとともに、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化が前記取得される温度が高いときほど大きくなり、前記取得される温度が低いときほど小さくなるように設定することを要旨とする。
上記課題を解決する車両用電池制御方法は、主活物質と添加物としての金属化合物とを含む正極を有する車両用の二次電池の放電を制御する車両用電池制御方法であって、前記二次電池の蓄電量に関する充電状態を取得するステップと、前記二次電池の温度を取得するステップと、前記二次電池の下限電圧を設定するステップとを備え、前記下限電圧を設定するステップでは、前記下限電圧を、前記充電状態から得られる蓄電量が多いときほど高い値とし、該蓄電量が少ないときほど低い値として設定するとともに、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化が前記取得される温度が高いときほど大きくなり、前記取得される温度が低いときほど小さくなるように設定することを要旨とする。
上記課題を解決する下限電圧の決定方法は、主活物質と添加物としての金属化合物とを含む正極を有する車両用の二次電池の放電制御に用いられる下限電圧を決定する方法であって、前記下限電圧を、前記二次電池を放電して、前記正極の電位が金属化合物の金属溶出反応の開始電位に到達したときの二次電池の電圧に基づいて決定する工程を有し、前記下限電圧を、前記放電を行う前の二次電池の蓄電量に関する充電状態及び温度毎にそれぞれ設定することを要旨とする。
このような構成又は方法によれば、下限電圧が二次電池の温度に加えて該二次電池の蓄電量に基づいて設定される。これにより、二次電池の放電を規制する下限電圧がより適切に設定されるようになる。そして、こうした下限電圧の設定により、二次電池の過放電が抑制されて該二次電池の性能の劣化も抑制され、電池寿命を延ばすことができるようになる。また、下限電圧が適切かつ低く設定されることから二次電池の出力範囲が広げられより多くの電力出力が可能になり、二次電池の出力性能が高められる。
なお通常、二次電池の電圧はその使用にともなって徐々に低下するものであることから、ここで蓄電量に応じて定められる下限電圧は、急激な放電によって生じる急激な電圧低下を規制するときのみに利用されてもよい。
好ましい構成として、前記下限電圧は、前記二次電池を所定の出力電流で放電したとき、前記正極の電位が前記金属化合物の金属溶出反応の開始電位であるときの前記二次電池の端子間電圧に対応して定められている。
このような構成によれば、下限電圧が金属溶出反応の開始電位に対応して定められることにより、この下限電圧によれば正極に金属化合物の溶出反応が生じることが抑制され、ひいては、二次電池の性能の低下も抑制される。
好ましい構成として、前記下限電圧設定部は、前記取得される温度が特定温度以上のとき、前記下限電圧を前記取得される充電状態から得られる蓄電量に応じて設定する。
上述したように、下限電圧の設定に関し、二次電池の温度が高くなると二次電池の蓄電量が下限電圧に与える影響が大きくなる。そこで、この構成によるように、特定温度以上(例えば、0℃以上)のときに二次電池の蓄電量による影響を考慮するようにすることで、蓄電量の影響を大きく受ける温度において下限電圧の設定が適切になされるようになる。
好ましい構成として、前記充電状態取得部は、前記充電状態を随時取得し、前記下限電圧設定部は、前記取得された充電状態に基づいて、前記下限電圧の設定を更新する。
このような構成によれば、最新の蓄電量に応じて下限電圧が更新されることで、二次電池の制御を蓄電量に応じた適切なものとすることが可能になる。
好ましい構成として、前記温度取得部は、前記二次電池の温度を随時取得し、前記下限電圧設定部は、前記取得された前記二次電池の温度に基づいて、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化の大きさが異なるように前記下限電圧を設定する。
このような構成によれば、温度に応じて下限電圧の蓄電量当たりの変化の大きさの設定が更新されることで、二次電池の制御を温度に応じた適切なものとすることが可能になる。
好ましい構成として、前記二次電池はニッケル水素二次電池であり、前記主活物質がニッケル酸化物であり、前記金属化合物がコバルト化合物である。
このような構成によれば、ニッケル水素二次電池において、正極からのコバルトの溶出が抑制されるようになる。
このような車両用電池制御装置、及び、車両用電池制御方法によれば、電池の放電を規制する下限電圧をより適切に設定することができる。
この車両用電池制御の原理説明として、下限電圧と温度との関係をSOCとの関係も含めて示すグラフ。 上記下限電圧を測定するための構成の概略を示すブロック図。 上記原理説明として、下限電圧の求め方の具体例を示す図。 上記原理に基づく車両用電池制御装置の一実施形態についてその構成の概略を示すブロック図。 同実施形態において下限電圧を設定する処理の処理手順を示すフローチャート。
(原理説明)
図1〜図3を参照して、アルカリ蓄電池としてのニッケル水素二次電池の利用にあたって設定される下限電圧について説明する。ここではニッケル水素二次電池は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載され、走行用モータの電源として用いられる。
一般的に、ニッケル水素二次電池では、満充電された電池容量に対する残存容量の割合がSOC(State Of Charge)[%]で示される。このSOCは、請求項でいう「二次電池の蓄電量に関する充電状態」に対応する。そして一般に、ニッケル水素二次電池は、その充放電を、使用範囲として定められたSOCの範囲内(例えば、20%〜80%の間)に規制されている。
またニッケル水素二次電池では、電池性能を劣化させるおそれのある電圧としての下限電圧が放電を規制する電圧として設定されている。下限電圧は、その設定が低いほどニッケル水素二次電池の出力範囲が広がって出力できる電気量が増加するため出力低下が抑制される。一方、下限電圧は、その設定値が低すぎると過放電による電池の性能劣化を招くおそれが高まる。
ところでニッケル水素二次電池では、そのSOCが放電開始時には使用範囲内にあったとしても、大電流による充放電によって、その出力電圧が下限電圧を超えて低下してしまうおそれもある。とりわけ、車両に搭載されたニッケル水素二次電池は、走行負荷の急激な上昇に応じて要求される大電流の放電により過放電が生じるおそれがあるため、過放電を規制する適切な下限電圧が設定されることが望ましい。
そこで、ここでは適切な下限電圧の定め方の原理について説明する。なお、後に詳述するが、下限電圧は、ニッケル水素二次電池の正極に含有される金属化合物の非可逆的に進行する金属溶出反応の開始電圧に応じて定められる値であって、金属溶出反応の開始電圧は、ニッケル水素二次電池を所定の出力電流で放電させることに応じて求められる。
そうした事情のもと、発明者らは、ニッケル水素二次電池の正極のオキシ水酸化コバルトのコバルトが溶出する金属溶出反応に基づいて適切な下限電圧を把握できることを見出した。そして、下限電圧を、電池温度とSOCとの関係に基づいて適切に設定することができることを見出した。これにより、発明者らは、ニッケル水素二次電池の出力範囲を広げて出力低下を抑制させるとともに、過放電による電池性能の劣化が抑制される下限電圧を設定することができた。
以下、この原理説明では、ニッケル水素二次電池を構成する単電池100(図2参照)について下限電圧を設定する場合について説明する。
図1には、発明者らにより設定される下限電圧が、「電池温度」と「大電流の放電が開始される直前のSOC」(以下、直前SOCと称す)との関係も含めてグラフで示されている。この図1を参照して、下限電圧と電池温度との関係を直前SOCとの関係を含めて説明する。なお、大電流の放電はその放電中にSOCを大きく変化させるため、ここでは下限電圧が直前SOCとの関係によって設定されるようになっている。以下、蓄電量が多いときSOCが「高い」といい、蓄電量が少ないときSOCが「低い」という。
本発明では、まず、単電池100は、電池温度が低いほど下限電圧が低く設定され、電池温度が高いほど下限電圧が高くなるように設定される。こうした下限電圧の態様が、図1のグラフL10,L11,L12,L13に示されている。
また、下限電圧と直前SOCとの関係について説明する。下限電圧に直前SOCが与える影響の度合いは、電池温度が高いほど大きく、電池温度が低いほど小さい。そこで、下限電圧と電池温度との関係にSOCの与える影響が大きいか小さいかを区分けするための温度を特定温度とする。ここでは、特定温度を、例えば摂氏0度(0℃)とする。なお、特定温度は、経験、実験、理論などに基づいて予め設定することができる。電池温度が特定温度より低ければ、下限電圧と電池温度との関係に直前SOCが及ぼす影響は小さいことから直前SOCの高低にかかわらず、下限電圧は電池温度との関係により設定される。そして電池温度が特定温度よりも低いときの下限電圧の態様が図1のグラフL10に示されている。一方、特定温度(0℃)以上では、下限電圧と電池温度との関係に直前SOCが及ぼす影響が大きくなることから、直前SOCの高低の別に下限電圧と電池温度との関係が定められる。こうした電池温度が特定温度以上における下限電圧の態様が、図1に、SOCの高さの別にグラフL11,L12,L13でそれぞれ示されている。なお、SOCの高さは、グラフL11>グラフL12>グラフL13の関係にある。また下限電圧の高さも、グラフL11>グラフL12>グラフL13の関係にある。このように下限電圧は、直前SOCが高いほど高く設定され、直前SOCが低いほど低く設定される。
さらに、下限電圧は、電池温度が特定温度以上のとき、電池温度に対する変化が、直前SOCが高いほど大きく、直前SOCが低いほど小さい。よって、図1に示すように、直前SOCが高いときの下限電圧を示すグラフL11の温度変化に対する変化量(傾き)は、直前SOCが中程度のときの下限電圧を示すグラフL12の電池温度に対する変化量(傾き)よりも大きい。また、前記グラフL12の変化量(傾き)は、直前SOCが低いときの下限電圧を示すグラフL13の電池温度に対する変化量(傾き)よりも大きい。ここでは、電池温度が特定温度であるとき、下限電圧は、直前SOCの高低にかかわらず略同じであることから、電池温度が特定温度より高いときの下限電圧は、直前SOCの高さに応じて高くなり、グラフL11>グラフL12>グラフL13の関係になる。
また、グラフL11の傾き>グラフL12の傾き>グラフL13の傾きの関係から、直前SOCの高さが高いほど、電池温度に対する電圧の上昇率が高いことが示されている。よって、特定温度以上では、電池温度が高くなるにつれて各直前SOCに対応するグラフL11,L12,L13からそれぞれ得られる各下限電圧間の差が大きくなる。例えば、第1の温度<第2の温度とするとき、第1の温度でのグラフL11とグラフL12とからそれぞれ得られる各下限電圧間の電圧差ΔD11と、第2の温度でのグラフL11とグラフL12とからそれぞれ得られる各下限電圧間の電圧差ΔD21とは、電圧差ΔD11<電圧差ΔD21の関係になる。同様に、第1の温度<第2の温度とするとき、第1の温度でのグラフL12とグラフL13とからそれぞれ得られる各下限電圧間の電圧差ΔD12と、第2の温度でのグラフL12とグラフL13とからそれぞれ得られる各下限電圧間の電圧差ΔD22とは、電圧差ΔD12<電圧差ΔD22の関係になる。
つまり、下限電圧の各直前SOC間での差(例えば、電圧差ΔD11や電圧差ΔD21)は取得される電池温度が高いほど大きくなり、取得される温度が低いほど小さくなる。例えば、第2の温度で取得される電圧差ΔD21は、第1の温度で取得される電圧差ΔD11より大きい。
これらのことから、下限電圧は、直前SOCが高い(蓄電量が多い)ときほど高い値として設定され、直前SOCが低い(蓄電量が少ない)ときほど低い値として設定される。また、下限電圧は、下限電圧の各直前SOC間での差が、電池温度が高いときほど大きく、電池温度が低いときほど小さく設定される。
上述のように下限電圧を定めた理由について述べる。
本発明者らは、過放電による単電池100の劣化が、正極の劣化に起因することを見出し、その正極の劣化する電圧をもとに下限電圧を算出した。ここでいう過放電による単電池100の劣化は、正極に添加物として含まれる金属化合物(例えば、コバルト化合物)の非可逆的に進行する金属溶出(コバルトの溶出)反応が開始したときである(詳細は後述)。
また、単電池100は、大電流での放電より受ける高い負荷によれば劣化を生じやすくなる。そこで、大電流での放電のとき、過放電となることを抑制させるために下限電圧を設定することは、電池性能の維持や寿命の延長の観点から望ましい。
そこで単電池100の下限電圧を、各設定SOCから所定の出力電流としての大電流の放電(例えば、25C)を行ったとき、正極電位Vpが上記単電池100の劣化を生じさせない最低電圧としての所定の電位Vth(例えば、0.28[V])に達した時のセル電圧Vc(図2の単電池100の端子間電圧)として定めた。つまり、正極電位Vpが電位Vthを下回ったとき、正極の劣化が起きることから、正極電位Vpが電位Vthのときのセル電圧Vcを求め、これを下限電圧とする。
以下、図2及び図3を参照して、図1に示す下限電圧の求め方の具体例を示す。
図2に示すように、ニッケル水素二次電池は、複数の単電池100(第1〜第6セル101〜106)が直列に接続された電池モジュール10として構成されている。電池モジュール10は、各セル101〜106を電気的に直列接続させてなる正極端子11と、負極端子12とを充放電に用いる入出力端子として備える。正極端子11及び負極端子12にはそれぞれ、外部配線である正側配線PL及び負側配線NLが接続され、これら正側配線PL及び負側配線NLを介して電動モータや電源等が接続されている。電池モジュール10は、一体電槽がその内側の空間を隔壁によって仕切ることにより6つの電槽が設けられ、各電槽が各セル101〜106に対応する。単電池100は、水素吸蔵合金を含む所定枚数の負極111と、水酸化ニッケル(Ni(OH))を含む所定枚数の正極112とを、耐アルカリ性樹脂の不織布から構成されるセパレータ(図示略)を介して積層した電極群113を備えている。そして、単電池100は、電極群113の負極111を負極側の集電板114に接続させ、電極群113の正極112を正極側の集電板115に接続させ、電解液(図示略)とともに樹脂製の電槽内に収容して構成される。
正極112は、金属多孔体である発泡ニッケル基板と、発泡ニッケル基板に充填された水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル酸化物を主成分とする正極活物質、添加剤(導電剤等)を有する。
導電剤は、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)等のコバルト化合物であり、ニッケル酸化物の表面を被覆している。
負極111は、パンチングメタルなどからなる電極支持体と、電極支持体に塗布された水素吸蔵合金(MH)とを有する。
単電池100の出荷時の状態である初期状態では、負極容量が正極容量よりも大きい正極規制とされている。このため、負極容量には、正極容量に対して余分に設けられた充電リザーブ及び放電リザーブが設けられている。従って、正極112のSOCが100%に到達した状態が、単電池100においてもSOCが100%の状態(満充電状態)である。また、正極112のSOCが0%に到達した状態、即ち正極112の活物質の充電部分がなくなった状態が、単電池100のSOCが0%の状態である。
そうした単電池100は、正極112のSOCが0%を下回っても放電が継続されると正極112に劣化が生じる。
また単電池100は、直前SOCが使用範囲内であっても、大電流の放電によってそのセル電圧Vcが低下して正極112の正極電位Vpが所定の電位Vthよりも低下することで、コバルトの溶出反応が生じるおそれが高まる。
図2を参照して、下限電圧を測定する構成について説明する。ここでは、電池モジュール10の単電池100のうち、第3のセル103を例に説明する。なお、その他のセル101,102,104,105,106についても、第3のセル103と同様に下限電圧を測定することができる。
第3のセル103には、各測定器を介して下限電圧を測定する測定装置30が接続されている。第3のセル103には、その正極側の集電板115に正極ピン21Pが電気的に接続され、負極側の集電板114に負極ピン21Nが電気的に接続され、正極112と負極111との間に正極電位Vp及び負極電位Vnを測定するための参照極21Cが設けられている。参照極21Cは、通常、電解液に適したものが使用される。本実施形態では、アルカリ電解液に適した酸化水銀参照極(Hg/HgO)を用いている。
第3のセル103には、参照極21Cに対する正極電位Vpを測定する第1の電圧計23Pと、参照極21Cに対する負極電位Vnを測定する第2の電圧計23Nとが接続されている。第1の電圧計23Pは、正極ピン21P(配線22P)と参照極21C(配線22C)との間に電気的に接続されており、第2の電圧計23Nは、負極ピン21N(配線22N)と参照極21C(配線22C)との間に電気的に接続されている。また、第3のセル103には、第3のセル103を放電させる放電回路26と、放電回路26に流れる電流を測定する電流計25とが接続されている。放電回路26と電流計25とは、正極ピン21P(配線22P)及び負極ピン21N(配線22N)の間に直列接続されている。
各電圧計23P,23N、放電回路26及び電流計25は、測定装置30に接続されている。第1及び第2の電圧計23P,23Nはそれぞれの測定した電圧に応じた信号を、電流計25は測定した電流に応じた信号をそれぞれ測定装置30に出力する。なお、第3のセル103の正極ピン21Pと負極ピン21Nとの間のセル電圧Vcは、各電圧計23P,23Nの測定結果より算出できる。
また、第3のセル103には、電池温度を測定する温度計20が温度測定可能に設けられている。温度計20は測定した電池温度に応じた信号を測定装置30に出力する。
測定装置30は、演算部や記憶部を有するコンピュータを含み構成されており、記憶部等に記憶されたプログラムの演算部での演算処理を通じて下限電圧測定処理などの各種処理を行う。また測定装置30は、入力される各信号から第3のセル103の正極電位、負極電位、放電電流及び電池温度を取得する。また、測定装置30は、放電させる電流量の指示を出力し、その出力に応じた電流を放電回路26から放電させる。
また、測定装置30は、SOC算出部31と下限電圧取得部32とを備える。
SOC算出部31は、公知の手法により第3のセル103の大電流を流す直前の直前SOCを算出する。SOC算出部31は、必要に応じて、電池モジュール10の端子間電圧や入出力電流などを用いてもよい。
下限電圧取得部32は、下限電圧を取得する処理手順に従って第3のセル103の下限電圧を取得する。下限電圧取得部32は、下限電圧を、電池温度が「高温」のとき直前SOCが「低SOC」、「中SOC」及び「高SOC」の場合、「中温」のとき直前SOCが「低SOC」、「中SOC」及び「高SOC」の場合、「低温」のとき直前SOCが「低SOC」、「中SOC」及び「高SOC」の場合についてそれぞれ取得する。ここでは「低SOC」は20%、「中SOC」は40%、「高SOC」は80%とする。なお、下限電圧を取得する処理の行われた単電池100の正極には金属溶出反応が生じてしまうことから、下限電圧を取得する電池温度及び直前SOCの組合せが変わる都度、単電池100は新しいものに交換される。
まず、下限電圧取得部32は、下限電圧を取得する電池温度及び直前SOCの組合せを特定し、この特定した組合せに対応する状態に、第3のセル103の電池温度及び直前SOCがなることに応じて下限電圧の測定を開始する。例えば、下限電圧を取得する組合せとして「高温」かつ「低SOC」が特定されているとき、下限電圧取得部32は、電池温度が「高温」であり、かつ、SOCが「20%」であることを条件に、下限電圧の取得を開始する。
下限電圧の取得が開始されると、下限電圧取得部32は、第3のセル103に蓄電されている電気を放電回路26から大電流で放電させる。図3において「高温」かつSOC「低」に示されるように、第3のセル103は、大電流での放電が継続されることに応じてSOCが低下し、また、セル電圧Vcも低下する。セル電圧Vcは、正極電位Vpと負極電位Vnとの間の電位差であり、正極電位Vpの低下、及び、負極電位Vnの上昇により電位差が小さくなることによって低下する。そして、下限電圧取得部32は、正極電位Vpが所定の電位Vthに到達したときのセル電圧Vcを下限電圧として取得する。
同様の方法で、電池温度と直前SOCとの各組合せについてもそれぞれ測定されたセル電圧Vcを下限電圧として取得する。そして下限電圧は、図1に示される各点のデータのように取得され、これら点から各グラフL10,L11,L12,L13が求められる。
図3には、電池温度と直前SOCとの各組合せについて測定される各電圧を示す。なお、電池温度は、「高温」>「中温」>「特定温度」≧「低温」の関係にあるものとする。
図3に示すように、単電池100は、大電流の放電に伴って正極電位Vp及び負極電位Vnが変化する。正極電位Vpは、放電の継続によってSOCが低下することにともなって低くなり、電位Vthに達する。一方、負極電位Vnは、正極電位Vpが電位Vthに達するまでの間に上昇するが、電池温度が低くなるほど上昇が大きく、また、SOCが低くなるほど上昇が大きくなる。よって負極電位Vnは、「高温」かつ「高SOC」のとき、大電流の放電による上昇は小さい。ゆえに、正極電位Vpの電位Vthと負極電位Vnとの差は大きく維持されるため、正極電位Vpが電位Vthのときのセル電圧Vcに対応する下限電圧は高くなる。逆に負極電位Vnは、「低温」かつ「低SOC」のとき、大電流の放電による上昇が大きい。ゆえに、正極電位Vpの電位Vthと負極電位Vnとの差が小さくなり下限電圧が低くなる。
図3を参照して、まず「低SOC」の例を説明する。「高温」かつ「低SOC」のとき、正極電位Vpが電位Vthのとき測定される負極電位Vnとの関係から、正極電位Vpが電位Vthのときのセル電圧Vcである下限電圧は、電圧V11(1.05[V])として求められる。また、同様の関係から、下限電圧は、「中温」かつ「低SOC」のとき、電圧V12(0.98[V])となり、「低温」かつ「低SOC」のとき、電圧V13(0.88[V])となる。低SOCのとき、電池温度に対して下限電圧は、電圧V11>電圧V12>電圧V13の関係を有しており、こうして得られた下限電圧に基づいて、図1のグラフL13が得られる。
続いて「中SOC」の例を説明する。上記と同様の関係から、下限電圧は、「高温」かつ「中SOC」のとき、電圧V21(1.07[V])となり、「中温」かつ「中SOC」のとき、電圧V22(0.99[V])となり、「低温」かつ「中SOC」のとき、電圧V23(0.88[V])となる。中SOCのとき、電池温度に対して下限電圧、電圧V21>電圧V22>電圧V23の関係を有しており、こうして得られた下限電圧に基づいて、図1のグラフL12が求められる。
引き続き「高SOC」の例を説明する。上記と同様の関係から、セル電圧Vcは、「高温」かつ「高SOC」のとき、電圧V31(1.09[V])となり、「中温」かつ「高SOC」のとき、電圧V32(1.00[V])となり、「低温」かつ「高SOC」のとき、電圧V33(0.88[V])となる。高SOCのとき、電池温度に対して下限電圧は、電圧V31>電圧V32>電圧V33の関係を有しており、こうして得られた下限電圧に基づいて、図1のグラフL11が求められる。
また、電池温度を中心に説明する。下限電圧は、同じ電池温度であれば、直前SOCが高いほど高くなる。よって、「高温」の場合、電圧V31>電圧V21>電圧V11との関係を有し、「中温」の場合、電圧V32>電圧V22>電圧V12との関係を有する。なお、「低温」の場合、直前SOCの影響が小さいため、ここでは、電圧V33≒電圧V23≒電圧V13となる。
これらより、下限電圧は、同じ電池温度であれば、直前SOCが高いほど高くなる。さらに、下限電圧は、同じ直前SOCであれば、電池温度が高いほど高くなる。よって、下限電圧は、電池温度が高いほど高く、及び、直前SOCが高いほど高くなる。また、電池温度における下限電圧の直前SOC当たりの変化は電池温度が高温のときほど大きくなり、電池温度が低温のときほど小さくなる。そして、直前SOCが下限電圧に与える影響は、電池温度が特定温度より高いときに大きい。
なお、大電流の放電による正極電位Vpの低下態様や負極電位Vnの上昇態様は、放電量や電池容量、電極の構成、直前SOC、電池温度などによって相違する。また、大電流の放電によりSOCが低下する態様も、放電量や電池容量、電極の構成、直前SOC、電池温度などによって相違する。そのため、下限電圧は、放電量や電池容量、電極の構成、直前SOC、電池温度などに応じて設定されることが好ましい。
ところで、SOCは、大電流の放電に応じて逐次変化するものであるが、ここで直前SOCに基づいて取得される下限電圧は、放電中のSOCの変化を考慮しなくとも、電池の性能劣化が抑えられる好適な下限電圧として得られる。
(一実施形態)
図4及び図5を参照して、車両用電池制御装置及び車両用電池制御方法を具体化した一実施形態について説明する。なお、電池モジュール10の構造は上述と同様であることから詳細な説明については割愛する。また、本実施形態では、上述のようにして得られた単電池100の下限電圧を、電池モジュール10を構成するセル数倍である6倍にして電池モジュール10用の下限電圧として設定する。よって、電池モジュール10用の下限電圧は、電池モジュール10を所定の出力電流で放電したとき、正極電位Vpが正極112に含まれているコバルト化合物の金属溶出反応の開始電位に基づくものとして定められる。
図4に示すように、正極端子11に接続される正側配線PL及び負極端子12に接続される負側配線NLには負荷(電動モータ)や電源等が接続されている。
電池モジュール10には、電池の放電を制御する車両用電池制御装置としての制御装置50が接続されている。制御装置50は、上述した下限電圧を電池モジュール10の電池状態に応じて設定する。そして、制御装置50は、電動モータなどの放電回路(図示略)による大電流の放電によっても電池モジュール10の端子間電圧が電池モジュール10用に設定された下限電圧よりも低下することがないように電池モジュール10からの放電を規制する。
電池モジュール10は、正極端子11と負極端子12との間に端子間電圧を測定する電圧計40が電気的に接続され、負側配線NLに入出力電流を測定する電流計41が電気的に直列接続されている。電圧計40は測定した端子間電圧に応じた信号を、電流計41は測定した電流に応じた信号をそれぞれ制御装置50に出力する。
制御装置50は、演算部や記憶部を有するコンピュータを含み構成されており、記憶部等に記憶されたプログラムの演算部での演算処理を通じて下限電圧設定処理などの各種処理を行う。制御装置50は、入力される各信号から電池モジュール10の端子間電圧、入出力電流及び電池温度を得るとともに、放電を規制する信号などを電動モータの駆動を制御する負荷制御装置などに出力する。
制御装置50は、充電状態取得部としてのSOC算出部51と、温度取得部52と、下限電圧設定部53と、記憶部等に記憶された下限電圧データ54とを備えている。下限電圧データ54には、図1に示される各グラフL10,L11,L12,L13に対応するデータが保持されている。なお、この対応するデータは、電池温度と直前SOCとに基づいて対応する下限電圧が取得される関数や、各グラフL10,L11,L12,L13を曲線又は直線で近似する関数などであってもよい。また、本実施形態では、説明の便宜上、下限電圧の設定に際し、グラフL10に対応するデータ、グラフL11の「高SOC」に対応するデータ、及びグラフL13の「低SOC」に対応するデータを使用する一方、グラフL12の「中SOC」に対応するデータは使用しないものとする。
SOC算出部51は、公知の方法により電池モジュール10の最新のSOCを算出し、この最新のSOCが下限電圧を設定するときに直前SOCとして用いられる。例えば、SOCは、電池モジュール10の端子間電圧や入出力電流などに基づいて算出される。
温度取得部52は、温度計20から得られる最新の電池温度を取得し、この最新の電池温度が下限電圧を設定するときに電池温度として用いられる。
下限電圧設定部53は、最新のSOC及び最新の電池温度を下限電圧データ54と照合することによって、電池モジュール10の最新の電池状態に対応する下限電圧を取得する。そして、下限電圧設定部53は、下限電圧データ54に保持されている単電池100用の下限電圧をセル数倍である6倍した値を基にして、電池モジュール10用の下限電圧として設定又は更新する。
図5を参照して、下限電圧設定部53による電池モジュール10用の下限電圧を設定する処理の手順について説明する。下限電圧を設定する処理は、所定の周期又は所定の間隔で繰り返し随時行われる。なお、下限電圧を設定する処理は、直前SOCの値や電池温度が更新又は変更されたタイミングなどで行われてもよい。処理の繰り返し実行の間隔は、定期的でも不定期的でもよいが、電池モジュール10の電池状態の変化に対応するかたちで随時実行されることが好ましい。
下限電圧の設定処理が開始されると、下限電圧設定部53は温度取得部52によって測定された電池温度を取得する(図5のステップS10)。そして、下限電圧設定部53は、取得した電池温度が特定温度T1よりも小さいか否かを判断する(図5のステップS11)。上述の通り、特定温度T1よりも低い温度であれば下限電圧に直前SOCが及ぼす影響が小さい。特定温度T1は、予め制御装置50の記憶部などに保持されている。
測定した電池温度が特定温度T1よりも低いと判断された場合(図5のステップS11でYES)、下限電圧設定部53は、取得した電池温度が特定温度T1未満であることに対応するデータとして、図1のグラフL10に対応するデータを下限電圧データ54から選択する(図5のステップS12:温度特性選択)。そして、下限電圧設定部53は、選択したデータに取得した電池温度を照合させることで、該取得した電池温度に対応する下限電圧を取得し、電池モジュール10用の下限電圧を算出する(図5のステップS13)。こうして算出された下限電圧が、電池モジュール10用の下限電圧として制御装置50に設定又は更新される。
一方、取得した電池温度が特定温度T1以上であると判断された場合(図5のステップS11でNO)、下限電圧設定部53は、SOC算出部51により算出された電池モジュール10の直前SOCを取得する(図5のステップS14)。ここでは、電池モジュール10の直前SOCと単電池100の直前SOCとは実質的に同じであるものとする。そして、下限電圧設定部53は、取得した直前SOCが判定割合R1よりも小さいか否かを判断する(図5のステップS15)。判定割合R1は、電池温度が特定温度T1以上のときに直前SOCに基づいて、下限電圧の算出に適したデータを下限電圧データ54から選択するための値である。判定割合R1は、「高SOC」(80%)と「低SOC」(20%)との間の値(例えば40%)とされており、予め制御装置50の記憶部などに保持されている。そして判定割合R1に対する大小を区分することで、直前SOCに近いSOCに対応するデータを選択することができる。具体的には、直前SOCを判定割合R1と比較することで、図1に示すグラフL11又はグラフL13のいずれかに対応するデータが下限電圧の設定のために選択される。
直前SOCが判定割合R1よりも小さいと判断された場合(図5のステップS15でYES)、下限電圧設定部53は、低SOCに対応するデータとして、例えば図1のグラフL13に対応するデータを選択する(図5のステップS16:低SOC特性選択)。
一方、直前SOCが判定割合R1以上と判断された場合(図5のステップS15でNO)、下限電圧設定部53は、高SOCに対応するデータとして、例えば図1のグラフL11に対応するデータを選択する(図5のステップS17:高SOC特性選択)。
そして、下限電圧を取得するためのデータが選択されると、下限電圧設定部53は、選択したデータに測定した電池温度を照合して、該測定した電池温度に対応する下限電圧を取得し、電池モジュール10用の下限電圧を算出する(図5のステップS13)。こうして算出された電池モジュール10用の下限電圧が制御装置50に設定・更新される。そして、電池モジュール10用の下限電圧の設定処理が終了される。
この下限電圧の設定処理によって、SOC当たりの下限電圧の変化の大きさが異なる「高SOC」のデータ及び「低SOC」のデータの関係に電池温度を適用することにより、選択された「高SOC」のデータ又は「低SOC」のデータから電池温度に対応する下限電圧が取得され、電池モジュール10用の下限電圧が設定される。換言すると、この下限電圧の設定処理によれば、電池温度に応じて下限電圧のSOC当たりの変化の大きさの設定が、設定又は更新される。
このように、電池モジュール10の現在の電池状態に対応する下限電圧が随時設定されることで、大電流での放電が急に要求されたとしても、適切な下限電圧が設定されているようになる。そして、大電流による放電がなされたとしても、電池モジュール10の端子間電圧が下限電圧に達することで放電が規制され、電池モジュール10の過放電が抑制されるようになる。電池モジュール10の過放電が抑制されることで、各単電池100の性能を劣化させる正極112の性能の劣化が抑制され、電池寿命が延ばされるようになる。また、下限電圧が適切かつ低く設定されることによって電圧出力の範囲が広がるため電池モジュール10からより多くの電力出力が可能になり、電池モジュール10の出力性能が高められる。
以上説明したように、本実施形態の車両用電池制御装置、及び、車両用電池制御方法によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)下限電圧が電池モジュール10の電池温度に加えて該電池モジュール10の直前SOCに基づいて設定される。これにより、電池モジュール10の放電を規制する下限電圧がより適切に設定されるようになる。そして、こうした下限電圧の設定により、電池モジュール10の過放電が抑制されて該電池モジュール10の性能の劣化も抑制され、電池寿命を延ばすことができるようになる。また、下限電圧が適切かつ低く設定されることからより多くの電力出力が可能になり、電池モジュール10の出力性能が高められる。
なお通常、電池モジュール10の電圧はその使用にともなって徐々に低下するものであることから、ここで直前SOCに応じて定められる下限電圧は、急激な放電によって生じる急激な電圧低下を規制するときにのみ利用されてもよい。
(2)下限電圧の設定に関し、電池モジュール10の電池温度が高くなると電池モジュール10の直前SOCが下限電圧に与える影響が大きくなる。そこで、特定温度以上(例えば0℃以上)のときに電池モジュール10の直前SOCによる影響を考慮するようにすることで、直前SOCの影響を大きく受ける電池温度において下限電圧の設定が適切になされるようになる。
(3)随時取得する直前SOCに応じて下限電圧が更新されることで、電池モジュール10の制御を直前SOCに応じた適切なものとすることが可能になる。
(4)図1に示したグラフに対応するデータから電池温度に基づき下限電圧を取得することで、電池温度に応じて下限電圧の直前SOC当たりの変化の大きさの設定が更新されることとなり、電池モジュール10の制御を温度に応じた適切なものとすることが可能になる。
(5)下限電圧が正極112のコバルト化合物の溶出反応の開始電位に対応して定められることにより、この下限電圧によれば正極112にコバルト化合物の溶出反応が生じることが抑制され、ひいては、電池モジュール10の性能の低下も抑制される。
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、図1に示すように、SOCが高いほど下限電圧は高く設定される場合について例示した。しかしこれに限らず、他の要因により、SOCが高いほど下限電圧が高くなる関係性が変化する可能性もある。例えば、SOCが低い場合、設定した下限電圧に達するまでに要する時間が、SOCが高い場合に比べて早くなる。そのため、SOCが低い場合、安全性を考慮して下限電圧を上記実施形態よりも高く設定し、SOCが高い場合、そのまま又はSOCが低い場合よりも小さい幅で高く設定するようにしてもよい。
・上記実施形態等では、電池モジュール10は6つのセルが直列接続されて構成される場合について例示した。しかしこれに限らず、電池モジュールは5つ以下のセル、又は、7つ以上のセルが直列接続された構成されていてもよい。また、電池モジュールは単電池であってもよい。いずれにしろ、電池モジュールを構成している直列接続されるセルの数に応じて下限電圧を設定するようにすればよい。また、電池モジュールが複数直列又は並列に接続された電池ブロック毎に下限電圧を設定してもよい。
・上記実施形態では、下限電圧が金属溶出反応を生じる電位の測定に基づき定められる場合について例示した。しかしこれに限らず、上記実施形態の下限電圧と、その他の方法で求められた下限電圧とを組み合わせて用いてもよい。例えば、下限電圧を、特定温度以上の温度範囲では上記実施形態で求めたものとし、特定温度未満のときにはその他の方法で求めたものとするようにしてもよい。
・上記実施形態等では、下限電圧は金属溶出反応が生じる電位である場合について例示した。しかしこれに限らず、下限電圧は、金属溶出反応を生じさせない電圧であれば、金属溶出反応を生じる電圧よりも所定のマージンなどが加算されてより高く設定されてもよい。
・上記実施形態等では、下限電圧は、電池温度が特定温度以上のとき「高温」、「中温」及び「低温」のときのそれぞれについて、直前SOCが「低SOC」、「中SOC」及び「高SOC」の3つの場合についてそれぞれ取得される場合について例示した。しかしこれに限らず、下限電圧が取得される電池温度と直前SOCの組合せはこれより多くても少なくてもよい。例えば、電池温度は複数かつ任意の温度とされてもよく、各電池温度に組み合わされる直前SOCも複数かつ任意の値とされてもよい。下限電圧を取得するときの組合せの数は、少なければ取得に要する時間を短縮することができるようになり、多ければ取得精度を高めることができるようになる。
・上記実施形態では、下限電圧データ54の高SOCと低SOCとの2つのデータが使用され、判定割合R1が1つである場合について例示した。しかしこれに限らず、下限電圧データとして3種類以上のSOCに対応する各データが使用されていてもよい。この場合、SOCの種類より1つ少ない数の判定割合を設ける。この設けた判定割合で取得したSOCを区分することで、該取得したSOCに対応する適切なデータを下限電圧データから選択することができる。
・上記実施形態では、コバルトが溶出されない最低電圧である所定の電位Vthを0.28[V]とする場合について例示した。しかしこれに限らず、所定の電位は、正極からコバルトが溶出されない最低電圧よりも高い電位であればよい。例えば、金属溶出反応が生じる範囲を0.1〜0.5[V]の範囲から選択してもよい。
・上記実施形態では、特定温度T1が0℃である場合について例示した。しかしこれに限らず、特定温度T1は、0℃よりも高くても、逆に0℃よりも低くてもよい。これにより、電池の下限電圧と温度との関係に、さらに直前SOCとの関係を考慮するときの電池温度を電池の態様に併せて適切な値にすることができる。
・上記実施形態では、正極を構成する活物質がニッケル化合物、添加物がコバルト化合物である場合について例示した。しかしこれに限らず、正極を構成する活物質と添加物の関係が、「活物質の劣化が生じる電位」>「添加物の金属溶出反応が生じる電位」の関係にあれば、活物質や添加物がその他の化合物から構成されていてもよい。
・上記実施形態等では、ニッケル水素二次電池の蓄電量に関する充電状態がSOCである場合について例示した。しかしこれに限らず、ニッケル水素二次電池の蓄電量に関する充電状態は、実際の蓄電量(充電量)であってもよい。通常、蓄電量(充電量)とSOCとは相互に変換可能である。同様に、下限電圧に関するデータについても、SOCとの関係に代えて蓄電量(充電量)との関係をもちいてもよい。
・上記実施形態では、ニッケル水素二次電池は自動車の電源として用いられる場合について例示した。しかしこれに限らず、ニッケル水素二次電池は、電源として用いられるものであれば、自動車以外の電源として用いられてもよい。
10…電池モジュール、11…正極端子、12…負極端子、20…温度計、21C…参照極、21N…負極ピン、21P…正極ピン、23P…第1の電圧計、23N…第2の電圧計、25…電流計、26…放電回路、30…測定装置、31…SOC算出部、32…下限電圧取得部、40…電圧計、41…電流計、50…制御装置、51…SOC算出部、52…温度取得部、53…下限電圧設定部、54…下限電圧データ、100…単電池、101〜106…第1〜第6セル、111…負極、112…正極、113…電極群、114…集電板、115…集電板、NL…負側配線、PL…正側配線。

Claims (7)

  1. 主活物質と添加物としての金属化合物とを含む正極を有する車両用の二次電池の放電を制御する車両用電池制御装置であって、
    前記二次電池の蓄電量に関する充電状態を取得する充電状態取得部と、
    前記二次電池の温度を取得する温度取得部と、
    前記二次電池の下限電圧を設定する下限電圧設定部とを備え、
    前記下限電圧設定部は、前記下限電圧を、前記充電状態から得られる蓄電量が多いときほど高い値とし、該蓄電量が少ないときほど低い値として設定するとともに、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化が前記取得される温度が高いときほど大きくなり、前記取得される温度が低いときほど小さくなるように設定する
    ことを特徴とする車両用電池制御装置。
  2. 前記下限電圧は、前記二次電池を所定の出力電流で放電したとき、前記正極の電位が前記金属化合物の金属溶出反応の開始電位であるときの前記二次電池の端子間電圧に対応して定められている
    請求項1に記載の車両用電池制御装置。
  3. 前記下限電圧設定部は、前記取得される温度が特定温度以上のとき、前記下限電圧を前記取得される充電状態から得られる蓄電量に応じて設定する
    請求項1又は2に記載の車両用電池制御装置。
  4. 前記充電状態取得部は、前記充電状態を随時取得し、
    前記下限電圧設定部は、前記取得された充電状態に基づいて、前記下限電圧の設定を更新する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  5. 前記温度取得部は、前記二次電池の温度を随時取得し、
    前記下限電圧設定部は、前記取得された前記二次電池の温度に基づいて、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化の大きさが異なるように前記下限電圧を設定する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  6. 前記二次電池はニッケル水素二次電池であり、前記主活物質がニッケル酸化物であり、前記金属化合物がコバルト化合物である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用電池制御装置。
  7. 主活物質と添加物としての金属化合物とを含む正極を有する車両用の二次電池の放電を制御する車両用電池制御方法であって、
    前記二次電池の蓄電量に関する充電状態を取得するステップと、
    前記二次電池の温度を取得するステップと、
    前記二次電池の下限電圧を設定するステップとを備え、
    前記下限電圧を設定するステップでは、前記下限電圧を、前記充電状態から得られる蓄電量が多いときほど高い値とし、該蓄電量が少ないときほど低い値として設定するとともに、前記下限電圧の前記蓄電量当たりの変化が前記取得される温度が高いときほど大きくなり、前記取得される温度が低いときほど小さくなるように設定する
    ことを特徴とする車両用電池制御方法。
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