ところで、特許文献1の給湯装置では、給湯温度センサの計測値が閾値を超えない限り、給湯路における漏水の発生は検出されない。すなわち、例えば温水利用機器で利用される水の温度が比較的低い場合には、加熱部の加熱量が比較的少ないために給湯路の水はさほど高温にならない。その結果、給湯路で漏水が発生していても給湯温度センサの計測値が閾値を超えず、漏水の発生が検出されないおそれがある。このように、特許文献1の給湯装置では、その運転条件によっては給湯路における漏水の発生を正しく検出できないおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、給湯装置の運転条件によらず給湯路における漏水の発生を検出できるようにすることにある。
第1の発明は、給湯栓(25)に接続されて水が流れる給湯路(15)、および、温水利用機器(34)との間で水を循環させるための温水回路(30)に接続される温水循環路(16)が設けられ、上記給湯路(15)および上記温水循環路(16)の水を同時に加熱する加熱部(14,17)と、上記温水利用機器(34)の運転中に上記温水回路(30)の水を循環させる循環ポンプ(35)とを備える給湯装置(10)を対象とする。
そして、本発明に係る給湯装置(10)は、上記給湯路(15)における水の流量が基準流量以上である流動状態か否かを検知する流動検知部(51)と、上記流動検知部(51)が流動状態を検知している間は上記循環ポンプ(35)の作動を禁止し、上記流動検知部(51)が流動状態を検知していない間は上記循環ポンプ(35)の作動を許可するポンプ制御部(61)と、上記流動検知部(51)が流動状態を検知しているかまたは上記循環ポンプ(35)が作動している間は上記加熱部(14,17)を作動させ、上記流動検知部(51)が流動状態を検知しておらずかつ上記循環ポンプ(35)が停止している間は上記加熱部(14,17)を作動させない加熱制御部(62)と、上記加熱部(14,17)の上記給湯路(15)の出口の水温を計測する給湯温度センサ(52)と、上記加熱部(14,17)の上記温水循環路(16)の出口の水温を計測する循環水温度センサ(53)と、上記循環ポンプ(35)の作動中に、上記給湯温度センサ(52)および上記循環水温度センサ(53)の計測値に基づいて上記給湯路(15)における漏水の発生を判定する漏水判定部(63)とをさらに備えていることを特徴とする。
第1の発明では、給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値に基づいて給湯路(15)における漏水の発生を判定する。具体的に、給湯を行わずに温水利用機器(34)の運転のみを行うときには、循環ポンプ(35)および加熱部(14,17)が作動する。このため、加熱部(14,17)では、温水循環路(16)の水だけでなく給湯路(15)の水も同時に加熱される。このとき、温水循環路(16)および温水回路(30)では水が循環しながら加熱されるので、温水循環路(16)の出口の水温、すなわち循環水温度センサ(53)の計測値は上昇する。一方、給湯路(15)では漏水が発生していない限り水が流れないので、給湯路(15)の出口の水温、すなわち給湯温度センサ(52)の計測値は安定している。しかし、給湯路(15)において漏水が発生している場合には、給湯路(15)から加熱された水が少量ずつ流れ出すので、給湯温度センサ(52)の計測値が上昇する。このように、漏水が生じている場合は、両センサ(52,53)の計測値に関連性があるので、これを利用して給湯路(15)における漏水の発生を判定することが可能である。なお、当該関連性は、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず存在するので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記漏水判定部(63)は、上記給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と上記循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが一致する状態が所定の基準時間に亘って継続すると、上記給湯路(15)における漏水が発生していると判定することを特徴とする。
第2の発明では、給湯路(15)で漏水が発生している場合に、給湯路(15)の出口の水温の変動傾向と温水循環路(16)の出口の水温の変動傾向とが一致することを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出する。すなわち、例えば、給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値が同様に上昇し、または同様に下降するといった状態が所定の基準時間に亘って継続した場合には、給湯路(15)と温水循環路(16)の両方において水が流れていると推定できる。そこで、この場合、漏水判定部(63)は、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する。かかる変動傾向の一致は、給湯路(15)で漏水が発生していれば、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記漏水判定部(63)は、上記基準時間よりも短い所定の判定用時間における上記給湯温度センサ(52)の計測値の変動量と上記循環水温度センサ(53)の計測値の変動量との差が所定値以下である状態が上記基準時間に亘って継続すると、上記給湯路(15)における漏水が発生していると判定することを特徴とする。
第3の発明では、給湯路(15)で漏水が発生している場合に、給湯路(15)の出口の水温の単位時間当たりの変動量と温水循環路(16)の出口の水温の単位時間当たりの変動量とが近似することを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出する。すなわち、両センサ(52,53)の計測値が所定の判定用時間中に略同じだけ変動する状態が所定の基準時間に亘って継続した場合に、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する。
第4の発明は、上記第1の発明において、上記漏水判定部(63)は、上記給湯温度センサ(52)の計測値が上記循環水温度センサ(53)の計測値よりも高い状態が所定の基準時間に亘って継続すると、上記給湯路(15)における漏水が発生していると判定することを特徴とする。
第4の発明では、給湯路(15)で漏水が発生していると、給湯路(15)の出口の水温と温水循環路(16)の出口の水温よりも高くなることを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出する。すなわち、給湯路(15)で漏水が発生しているときは、給湯路(15)における水の流量が温水循環路(16)における水の流量よりも少ない。このため、加熱部(14,17)が給湯路(15)および温水循環路(16)の水を同時に加熱すると、給湯路(15)の出口の水温が温水循環路(16)の出口の水温よりも高くなる。そこで、漏水判定部(63)は、この現象を利用して漏水の発生を検出する。かかる現象は、給湯路(15)で漏水が発生していれば、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記漏水判定部(63)は、上記加熱部(14,17)の上記給湯路(15)の出口の水温の目標値が上記加熱部(14,17)の上記温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも低く、かつ上記給湯温度センサ(52)の計測値が上記循環水温度センサ(53)の計測値よりも高い状態が所定の基準時間に亘って継続すると、上記給湯路(15)における漏水が発生していると判定することを特徴とする。
第5の発明では、給湯路(15)で漏水が発生していると、給湯路(15)の出口の水温と温水循環路(16)の出口の水温よりも高くなることを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出する。さらに、給湯路(15)の出口および温水循環路(16)の出口の水温の目標値を考慮することで、給湯路(15)における漏水発生の誤検出を防止する。すなわち、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも高い場合には、給湯が終了してからしばらくの間は、給湯中に加熱された水が給湯路(15)の出口付近に滞留しているため、たとえ給湯路(15)で漏水が発生していなくても、給湯温度センサ(52)の計測値は循環水温度センサ(53)の計測値よりも高くなる。一方、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも低い場合には、給湯路(15)で漏水が発生しない限り、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高くなることはない。よって、後者の場合に限って、両センサ(52,53)の計測値に基づいて漏水発生を判定することにより、漏水発生の誤検出を確実に防止することができる。
第6の発明は、上記第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、上記漏水判定部(63)が給湯路(15)における漏水の発生を判定すると、ユーザに漏水の発生を報知する報知部(19,64)をさらに備えていることを特徴とする。
第6の発明では、給湯路(15)で漏水が発生すると、報知部(19,64)によりユーザに漏水の発生が報知される。これにより、ユーザは、漏水に対して素早く対処することができる。
本発明によれば、給湯路(15)で漏水が発生している場合、給湯温度センサ(52)の計測値と循環水温度センサ(53)の計測値とに関連性があることを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を判定することができる。当該関連性は、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず存在するので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
また、上記第2および第3の発明によれば、給湯路(15)で漏水が発生している場合、給湯路(15)の出口の水温の変動傾向と温水循環路(16)の出口の水温の変動傾向とが一致することを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を判定することができる。かかる変動傾向の一致は、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
また、上記第4および第5の発明によれば、給湯路(15)で漏水が発生している場合、給湯路(15)の出口の水温が温水循環路(16)の出口の水温よりも高くなる現象を利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出できる。かかる現象は、加熱部(14,17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。また、第5の発明によれば、給湯路(15)における漏水発生の誤検出を確実に防止することができる。
また、上記第6の発明によれば、給湯路(15)における漏水の発生を報知部(19,64)がユーザに報知するので、ユーザは、漏水に対して素早く対処することができる。このため、給湯装置(10)の安全性を向上させることができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る給湯装置(10)の概略を示す図である。同図に示すように、給湯装置(10)は、筐体(11)と、この筐体(11)の内部に設けられた熱交換器(14)と、この熱交換器(14)の近傍に設けられたバーナ(17)と、熱交換器(14)が接続される給湯通路(20)および温水回路(30)と、循環ポンプ(35)と、流量センサ(51)と、給湯温度センサ(52)と、循環水温度センサ(53)と、コントローラ(60)とを備えている。熱交換器(14)およびバーナ(17)は、加熱部を構成している。
筐体(11)は箱体に形成されていて、その外面部に、第1および第4給湯接続部(12a,12d)と、第1および第4循環接続部(13a,13d)とを有している。
熱交換器(14)は、第2および第3給湯接続部(12b,12c)と、第2および第3循環接続部(13b,13c)とを有している。また、熱交換器(14)は、給湯路(15)と温水循環路(16)とを有している。給湯路(15)は、一端が第2給湯接続部(12b)に接続されかつ他端が第3給湯接続部(12c)に接続されて、熱交換器(14)の内部を蛇行して延びている。給湯路(15)は、第2および第3給湯接続部(12b,12c)を介して給湯通路(20)に接続されている。温水循環路(16)は、一端が第2循環接続部(13b)に接続されかつ他端が第3循環接続部(13c)に接続されて、熱交換器(14)の内部を蛇行して延びている。温水循環路(16)は、第2および第3循環接続部(13b,13c)を介して温水回路(30)に接続されている。
バーナ(17)は、外部から供給された天然ガス等の燃料ガスを燃焼させることにより、熱交換器(14)の給湯路(15)および温水循環路(16)を流れる水を同時に加熱するためのものである。バーナ(17)に対する燃料ガスの供給量は、ガス流量制御弁(18)により調節される。
給湯通路(20)は、図示しない上水道から後述する給湯栓(25)まで水を流すためのものであって、外部給水管(21)および内部給水管(22)と、内部給湯管(23)および外部給湯管(24)とを有している。
外部給水管(21)は、筐体(11)の外部に設けられていて、一端が第1給湯接続部(12a)に接続されかつ他端が上水道に接続されている。また、内部給水管(22)は、筐体(11)の内部に設けられていて、一端が第1給湯接続部(12a)に接続されかつ他端が第2給湯接続部(12b)に接続されている。つまり、外部給水管(21)、内部給水管(22)および給湯路(15)は、第1および第2給湯接続部(12a,12b)を介して互いに連通している。なお、外部給水管(21)の他端は井戸に接続されていてもよい。
内部給湯管(23)は、筐体(11)の内部に設けられていて、一端が第3給湯接続部(12c)に接続されかつ他端が第4給湯接続部(12d)に接続されている。また、外部給湯管(24)は、筐体(11)の外部に設けられていて、一端が第4給湯接続部(12d)に接続されている。つまり、給湯路(15)、内部給湯管(23)および外部給湯管(24)は、第3および第4給湯接続部(12c,12d)を介して互いに連通している。また、外部給湯管(24)の他端には給湯栓(25)が取り付けられている。つまり、給湯路(15)は、内部給湯管(23)および外部給湯管(24)を介して給湯栓(25)に接続されている。
温水回路(30)は、熱交換器(14)と後述する床暖房ユニット(34)との間で水を循環させるためのものであって、外部循環路(31)と、第1および第2内部循環路(32,33)とを有している。
外部循環路(31)は、筐体(11)の外部に設けられていて、一端が第1循環接続部(13a)に接続されかつ他端が第4循環接続部(13d)に接続されている。一方、第1内部循環路(32)は、筐体(11)の内部に設けられていて、一端が第1循環接続部(13a)に接続されかつ他端が第2循環接続部(13b)に接続されている。第2内部循環路(33)は、筐体(11)の内部に設けられていて、一端が第3循環接続部(13c)に接続されかつ他端が第4循環接続部(13d)に接続されている。つまり、外部循環路(31)、第1内部循環路(32)および第2内部循環路(33)は、第1および第4循環接続部(13a,13d)を介して互いに連通しており、これらを有する温水回路(30)は、第2および第3循環接続部(13b,13c)を介して熱交換器(14)の温水循環路(16)に接続されている。
外部循環路(31)には、床暖房ユニット(34)が設けられている。この床暖房ユニット(34)は、内部を流通する温水の熱を利用して室内を暖めるためのものである。床暖房ユニット(34)は、温水利用機器を構成している。
循環ポンプ(35)は、上記第1内部循環路(32)に設けられている。この循環ポンプ(35)は、床暖房ユニット(34)の運転中に温水回路(30)の水を循環させるためのものである。
流量センサ(51)は、上記内部給水管(22)に設けられている。この流量センサ(51)は、内部給水管(22)における水の流量、すなわち給湯路(15)における水の流量が基準流量(例えば、2L/min)以上である流動状態か否かを検知できるように構成されている。流量センサ(51)の検知結果はコントローラ(60)に送られる。流量センサ(51)は、流動検知部を構成している。
給湯温度センサ(52)は、内部給湯管(23)の第3給湯接続部(12c)寄り(図1で上寄り)、すなわち給湯路(15)の出口近傍に設けられていて、この給湯路(15)の出口の水温を計測できるように構成されている。給湯温度センサ(52)は、給湯路(15)の出口の水温を所定の判定用時間(例えば、5秒)毎に計測する。給湯温度センサ(52)の計測値はコントローラ(60)に送られる。なお、給湯温度センサ(52)は、給湯路(15)の出口の水温を計測できるのであれば、その他の位置に設けられていてもよい。
循環水温度センサ(53)は、第2内部循環路(33)の第3循環接続部(13c)寄り(図1で上寄り)、すなわち温水循環路(16)の出口近傍に設けられていて、この温水循環路(16)の出口の水温を計測できるように構成されている。循環水温度センサ(53)は、温水循環路(16)の出口の水温を所定の判定用時間(例えば、5秒)毎に計測する。循環水温度センサ(53)の計測値はコントローラ(60)に送られる。なお、循環水温度センサ(53)は、温水循環路(16)の出口の水温を計測できるのであれば、その他の位置に設けられていてもよい。
コントローラ(60)は、給湯装置(10)の動作を制御するためのものである。このコントローラ(60)は、図2に示すように、ポンプ制御部(61)と、加熱制御部(62)と、漏水判定部(63)と、警報発生部(64)と、強制停止部(65)とを有している。
ポンプ制御部(61)は、流量センサ(51)の検知結果等に基づいて循環ポンプ(35)の動作を制御する。すなわち、ポンプ制御部(61)は、流量センサ(51)が流動状態を検知している間は循環ポンプ(35)の作動を禁止し、流量センサ(51)が流動状態を検知していない間は循環ポンプ(35)の作動を許可する。また、ポンプ制御部(61)は、室内の暖房要求に応じて床暖房ユニット(34)を運転するとき、温水回路(30)の水を循環させるために循環ポンプ(35)を作動させる。つまり、ポンプ制御部(61)は、循環ポンプ(35)の作動が許可されており、かつ床暖房ユニット(34)の運転要求があるときに、循環ポンプ(35)を作動させる。
加熱制御部(62)は、流量センサ(51)の検知結果と、循環ポンプ(35)の動作状態と、給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値とに基づいてガス流量制御弁(18)の開度を調節する。すなわち、加熱制御部(62)は、流量センサ(51)が流動状態を検知しているかまたは循環ポンプ(35)が作動している間は、ガス流量制御弁(18)を開いてバーナ(17)で燃料ガスを燃焼させる。ここで、加熱制御部(62)は、流量センサ(51)が流動状態を検知している場合、給湯温度センサ(52)の計測値が予め設定された目標値となるように、バーナ(17)に対する燃料ガスの供給量を調節する。また、加熱制御部(62)は、循環ポンプ(35)が作動している場合、循環水温度センサ(53)の計測値が予め設定された目標値となるように、バーナ(17)に対する燃料ガスの供給量を調節する。一方、加熱制御部(62)は、流量センサ(51)が流動状態を検知しておらずかつ循環ポンプ(35)が停止している間は、ガス流量制御弁(18)を閉じてバーナ(17)を燃焼させない。
漏水判定部(63)は、循環ポンプ(35)の作動中に、給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値に基づいて給湯路(15)における漏水の発生を判定する。
警報発生部(64)は、漏水判定部(63)が給湯路(15)における漏水の発生を判定すると、ユーザに対する警報を発生する。具体的に、警報発生部(64)は、漏水発生の判定がされると、漏水の発生をユーザに報知するための警報をブザー(19)により発生させる。警報発生部(64)およびブザー(19)は、報知部を構成している。なお、警報発生部(64)は、漏水発生をユーザに知らせるためのメッセージを図示しない表示パネルに表示してもよいし、図示しないランプを点滅させることにより漏水発生をユーザに知らせてもよい。
強制停止部(65)は、上記警報発生部(64)によりユーザに漏水発生を知らせた後に所定の待機時間が経過しても漏水が止まらない場合に、給湯装置(10)の運転を強制停止させる。具体的に、強制停止部(65)は、ブザー(19)から警報を発生させた後、所定の待機時間(例えば、5分)が経過しても給湯路(15)における漏水が続いているならば、ガス流量制御弁(18)を閉じてバーナ(17)における燃焼を中止させると共に、循環ポンプ(35)を停止させる。
−運転動作−
次に、本実施形態に係る給湯装置(10)の運転動作について説明する。この給湯装置(10)では、ユーザの要求に応じて、給湯動作および暖房動作のいずれかが行われる。
〈給湯動作〉
給湯動作は、上水道から流入した水を、加熱した後にユーザに供給するものである。図3に示すように、この動作では、ユーザが給湯栓(25)を開けることにより、上水道から外部給水管(21)を流れて内部給水管(22)に水が流入する。このとき、流量センサ(51)が流動状態を検知し、当該検知結果を受けた加熱制御部(62)によりガス流量制御弁(18)が開かれ、バーナ(17)が燃焼する。内部給水管(22)から給湯路(15)に流入した水はバーナ(17)により加熱される。このとき、加熱制御部(62)は、給湯温度センサ(52)の計測値が所定の目標値(例えば、60℃)となるように、バーナ(17)に対する燃料ガスの供給量を調節する。そして、加熱された水は、内部給湯管(23)および外部給湯管(24)を流れて給湯栓(25)からユーザに供給される。
なお、給湯動作を行っている間、すなわち流量センサ(51)が流動状態を検知している間は、ポンプ制御部(61)により循環ポンプ(35)の作動が禁止される。
〈暖房動作〉
暖房動作は、温水回路(30)で水を加熱しながら循環させることにより、床暖房ユニット(34)で室内の暖房を行うものである。また、暖房動作は、給湯動作を行っていないとき、すなわち流量センサ(51)が流動状態を検知しておらず、ポンプ制御部(61)により循環ポンプ(35)の作動が許可されているときに限り行うことができる。図4に示すように、この動作では、室内の暖房要求に応じて、ポンプ制御部(61)により循環ポンプ(35)が作動し、温水回路(30)および温水循環路(16)を水が循環する。また、循環ポンプ(35)が作動している間は、加熱制御部(62)によりガス流量制御弁(18)が開かれ、バーナ(17)が燃焼する。このとき、加熱制御部(62)は、循環水温度センサ(53)の計測値が所定の目標値(例えば、80℃)となるように、バーナ(17)に対する燃料ガスの供給量を調節する。これにより、温水循環路(16)において水が加熱されると共に、温水回路(30)および温水循環路(16)を加熱された水が循環する。そして、床暖房ユニット(34)は、内部を流通する温水の熱を利用して室内を暖める。
ここで、暖房動作中に、給湯路(15)において漏水が発生していると、上述のとおり、給湯装置(10)の運転条件によらず、漏水判定部(63)により当該漏水の発生が検出される。漏水の発生が検出されると、警報発生部(64)により、漏水発生をユーザに知らせるための警報がブザー(19)から発生する。そして、ユーザの対処により警報発生から所定の待機時間が経過するまでに漏水が止まると、ブザー(19)が止まって暖房動作が継続して行われる。一方、警報発生から所定の待機時間が経過しても漏水が続いていれば、強制停止部(65)により、バーナ(17)における燃焼が中止されると共に、循環ポンプ(35)が停止される。
−漏水の判定動作−
次に、本実施形態における漏水の判定動作について説明する。具体的には、漏水判定部(63)が給湯路(15)における漏水の発生を判定する動作について説明する。
〈暖房動作中における判定〉
暖房動作中において、漏水判定部(63)は、給湯路(15)における漏水の発生を次のようにして判定する。すなわち、循環ポンプ(35)が作動するのは、上述のとおり、流量センサ(51)が流動状態を検知しておらずかつ床暖房ユニット(34)を運転するときである。このとき、循環水温度センサ(53)の計測値が所定の目標値となるように、バーナ(17)における燃焼により温水循環路(16)および温水回路(30)の水が加熱され、循環水温度センサ(53)の計測値が変動する。また、バーナ(17)における燃焼により給湯路(15)の水も同時に加熱される。
ここで、給湯栓(25)がきちんと閉まって給湯路(15)から水が漏れていなければ、給湯温度センサ(52)の計測値は略一定に保たれる。そして、漏水判定部(63)は、循環水温度センサ(53)の計測値が変動している一方、給湯温度センサ(52)の計測値が変動しないことに基づいて、給湯路(15)における漏水が発生していないと判定する。
一方、給湯栓(25)が閉まりきっていない、または給湯通路(20)を構成する配管の破損等の原因によって給湯路(15)から水が漏れていると、給湯路(15)で加熱された水が内部給湯管(23)を流れて給湯温度センサ(52)の計測値が変動する。このような原因で漏水が生じている場合、給湯路(15)における水の流量はわずかなので、流量センサ(51)では漏水の発生を検出できない場合が多い。
そこで、漏水判定部(63)は、給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが一致することを利用して、両者が一致する状態が所定の基準時間(例えば、5分)に亘って継続すると、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する。当該判定に要する基準時間は、上記判定用時間(本実施形態では5秒)よりも十分に長く設定されている。
給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが一致する状態とは、|(T1−T1’)−(T2−T2’)|≦THで表される条件が満たされる状態をいう。ここで、T1およびT2は、それぞれ、ある時刻における給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値である。T1’およびT2’は、それぞれ、当該時刻から上記判定用時間が経過した後の給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の計測値である。また、T1−T1’は、判定用時間における給湯温度センサ(52)の計測値の変動量であり、T2−T2’は、判定用時間における循環水温度センサ(53)の計測値の変動量である。そして、THは所定値であって、例えば2℃に設定される。漏水判定部(63)は、上記条件を満たす状態が所定の基準時間に亘って継続すると、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する。
給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とは、給湯路(15)における漏水が発生していれば、バーナ(17)による加熱の強弱によらず一致する。このため、本実施形態の給湯装置(10)は、当該給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
なお、漏水判定部(63)は、循環ポンプ(35)の動作中のみならず、循環ポンプ(35)の停止中にも給湯路(15)における漏水の発生を判定するように構成されていてもよい。つまり、漏水判定部(63)は、循環ポンプ(35)の作動状態にかかわらず、|(T1−T1’)−(T2−T2’)|≦THの成否を常に判断するように構成されていてもよい。ここで、循環ポンプ(35)の停止中は、給湯路(15)で漏水が発生していなければ両センサ(52,53)の計測値の変動傾向は一致しない。このため、循環ポンプ(35)の停止中に漏水の発生を判定するようにしても、実際に漏水が発生していないときに漏水判定部(63)が漏水の発生を誤検出する可能性は低い。
〈給湯動作から暖房動作への切替え直後における判定〉
次に、給湯動作から暖房動作へ切り替えた直後における漏水判定について説明する。具体的には、室内の暖房要求が存在するものの、給湯動作を行うために循環ポンプ(35)の作動が禁止されている状態から、ユーザが給湯栓(25)を閉めたことで給湯動作が終了して暖房動作が開始した直後における漏水判定について説明する。
まず、室内の暖房要求がある状態で給湯動作を行っている場合、上述のとおり、流量センサ(51)が流動状態を検知しており、当該検知結果を受けた加熱制御部(62)によりバーナ(17)が作動すると共に、当該検知結果を受けたポンプ制御部(61)により循環ポンプ(35)の作動が禁止される。そして、加熱制御部(62)がバーナ(17)に対する燃料ガスの供給量を調節することで、給湯温度センサ(52)の計測値が所定の目標値(例えば、60℃)と略一致している。
かかる状態でユーザが給湯栓(25)を閉めると、流量センサ(51)が流動状態を検知しなくなり、ポンプ制御部(61)により循環ポンプ(35)の作動が許可される。そして、室内の暖房要求があるので、すぐに循環ポンプ(35)が作動して暖房動作が開始される。
暖房動作が開始された直後は、給湯動作中に加熱された水が給湯路(15)の出口付近に滞留しているため、給湯温度センサ(52)の計測値は所定の目標値のままである。そして、給湯路(15)における漏水が発生していなければ、暖房動作の開始後に加熱された水が当該給湯路(15)の出口まで流れてこないので、給湯温度センサ(52)の計測値は徐々に低下していく。一方、給湯路(15)における漏水が発生していると、暖房動作の開始後に加熱された水が当該給湯路(15)の出口から給湯栓(25)まで流れる。この場合、給湯路(15)の水と温水循環路(16)の水とが同時に加熱されるため、給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが一致する。よって、漏水判定部(63)は、上記と同様の判定方法により、給湯路(15)における漏水の発生を検出することができる。
ここで、仮に、給湯温度センサ(52)の計測値のみに基づいて給湯路(15)における漏水の発生を判定しようとすれば、暖房動作開始後のある程度の時間は誤判定をしてしまうおそれがある。すなわち、給湯温度センサ(52)の計測値のみを判定に用いる場合には、当該計測値が所定の閾値を上回った場合に漏水の発生を判定することが考えられる。しかし、暖房動作の開始直後には、それまで給湯動作を行っていたために給湯温度センサ(52)の計測値が比較的高く、当該閾値を上回っていることがある。このため、給湯路(15)における漏水は発生していなくても、ある程度の時間が経過して給湯温度センサ(52)の計測値が十分に低下するまでの間は、給湯路(15)で漏水が発生していると誤判定するおそれがある。
一方、本実施形態の給湯装置(10)のように、給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)の双方の計測値に基づいて判定を行うのであれば、上記誤判定の問題は発生しない。すなわち、給湯動作から暖房動作に切り替わった直後において、給湯路(15)で漏水が発生していなければ、給湯温度センサ(52)の計測値が低下するのに対して循環水温度センサ(53)の計測値は上昇する。つまり、給湯路(15)で漏水が発生していなければ、給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが所定の基準時間に亘って一致することはないので、本実施形態の漏水判定部(63)が漏水の発生を誤判定するおそれがない。よって、本実施形態の給湯装置(10)によれば、給湯動作から暖房動作に切り替わった直後でも、給湯路(15)における漏水の発生を正しく判定することができる。
−実施形態1の効果−
本実施形態の給湯装置(10)では、給湯路(15)で漏水が発生している場合に、給湯路(15)の出口の水温の変動傾向と温水循環路(16)の出口の水温の変動傾向とが一致することを利用して、給湯路(15)における漏水の発生を判定することができる。かかる変動傾向の一致は、バーナ(17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
また、給湯温度センサ(52)の計測値の変動傾向と循環水温度センサ(53)の計測値の変動傾向とが所定の基準時間に亘って一致することを、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する条件としている。このため、給湯動作から暖房動作に切り替わった直後でも、給湯路(15)における漏水の発生を正しく判定することができる。
また、給湯路(15)における漏水の発生を警報発生部(64)がユーザに報知するので、ユーザは、漏水に対して素早く対処することができる。このため、給湯装置(10)の安全性を向上させることができる。
また、漏水発生の判定に用いる給湯温度センサ(52)および循環水温度センサ(53)は、いずれも当該判定以外に用途がある。すなわち、給湯温度センサ(52)は、給湯動作において給湯栓(25)から供給される湯水の温度を制御するために用いられ、循環水温度センサ(53)は、暖房動作において床暖房ユニット(34)で利用される温水の温度を制御するために用いられる。つまり、給湯装置(10)の主な機能を実現するために用いられるセンサ(52,53)を、給湯路(15)における漏水の発生を判定するのにも用いている。このため、当該判定のためだけに新たなセンサを追加する必要がなく、給湯装置(10)を低コストに製造することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において、漏水判定部(63)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の漏水判定部(63)について説明する。
−漏水判定部−
本実施形態の漏水判定部(63)は、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高いか否かに基づいて給湯路(15)における漏水の発生を判定する。具体的に、漏水判定部(63)は、以下のようにして、給湯路(15)における漏水の発生を判定する。
すなわち、暖房動作では、循環水温度センサ(53)の計測値が所定の目標値となるように、バーナ(17)における燃焼により温水循環路(16)および温水回路(30)の水が加熱され、循環水温度センサ(53)の計測値が上昇する。また、バーナ(17)における燃焼により給湯路(15)の水も同時に加熱される。
ここで、給湯栓(25)がきちんと閉まって給湯路(15)から水が漏れていなければ、加熱された水は給湯路(15)から流出してこないので、給湯温度センサ(52)の計測値は上昇しない。そこで、漏水判定部(63)は、循環水温度センサ(53)の計測値が給湯温度センサ(52)の計測値よりも高いことに基づいて、給湯路(15)における漏水が発生していないと判定する。
一方、給湯栓(25)が閉まりきっていない、または給湯通路(20)を構成する配管の破損等の原因によって給湯路(15)から水が漏れていると、給湯路(15)で加熱された水が内部給湯管(23)を流れて給湯温度センサ(52)の計測値が上昇する。ここで、給湯路(15)における水の流量はわずかであるので、給湯路(15)を流れる水は、温水回路(30)を流れる水よりも高い温度まで加熱される。そして、漏水判定部(63)は、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高い状態が所定の基準時間(例えば、5分)に亘って継続すると、給湯路(15)における漏水が発生していると判定する。
ここで、漏水判定部(63)は、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも低い場合に限って、給湯路(15)における漏水が発生していると判定するように構成されている。
すなわち、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも高い場合、例えば給湯動作から暖房動作に切り替わった直後には、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高くなっている。このため、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高いことのみを判定の条件とすると、給湯路(15)で漏水が発生していると誤判定するおそれがある。
一方、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも低いのであれば、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高くなるのは、給湯路(15)で漏水が発生したときに限られる。このため、本実施形態の給湯装置(10)によれば、給湯路(15)における漏水の発生を正しく判定することができる。
また、給湯路(15)における漏水が発生していれば、バーナ(17)による加熱の強弱によらず、給湯温度センサ(52)の計測値は循環水温度センサ(53)の計測値よりも高くなる。このため、本実施形態の給湯装置(10)は、当該給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
−実施形態2の効果−
本実施形態の給湯装置(10)では、給湯路(15)で漏水が発生している場合、給湯路(15)の出口の水温が温水循環路(16)の出口の水温よりも高くなる現象を利用して、給湯路(15)における漏水の発生を検出できる。かかる現象は、バーナ(17)による加熱の強弱によらず生じるので、給湯装置(10)の運転条件によらず漏水の発生を検出することができる。
また、漏水判定部(63)は、給湯路(15)の出口の水温の目標値が温水循環路(16)の出口の水温の目標値よりも低い場合に限って、給湯路(15)における漏水が発生していると判定するように構成されている。このため、給湯路(15)における漏水発生の誤検出を確実に防止することができる。
−実施形態2の変形例−
実施形態2の給湯装置(10)では、給湯路(15)の出口の水温の目標値と温水循環路(16)の出口の水温の目標値との関係によらず、給湯温度センサ(52)の計測値が循環水温度センサ(53)の計測値よりも高い状態が所定の基準時間に亘って継続したときに、給湯路(15)で漏水が発生していると判定してもよい。この場合、給湯動作から暖房動作に切り替わった直後における誤判定を避けるために、暖房動作が開始してから給湯路(15)の出口の水温が十分に低下するまでの間は漏水判定部(63)による判定を禁止することが好ましい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、熱交換器(14)およびバーナ(17)が加熱部を構成しているが、これに限らず、例えば、給湯路(15)および温水循環路(16)にそれぞれ導電性部材を設けると共に、当該導電性部材に交番磁界を印加するためのコイルを設けてもよい。この場合、導電性部材およびコイルが加熱部を構成する。
また、上記各実施形態では、床暖房ユニット(34)が温水利用機器を構成しているが、これに限らず、例えば、風呂追焚き装置が温水利用機器を構成していてもよい。