JP6340280B2 - 鉄道車両の車軸用軸受の密封装置 - Google Patents

鉄道車両の車軸用軸受の密封装置 Download PDF

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Description

本発明は鉄道車両の車軸用軸受の密封装置に関する。
鉄道車両において、車軸用の軸受装置には、軸受の内外輪間の環状空間の両端を密封するための密封装置が設けられている。この密封装置によって、軸受内部のグリースなどの潤滑剤が外部に流出すること、および、外部から異物や水分が軸受内部に侵入することを防止している。
従来の一般的な密封装置は、外輪の端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、このシールケースの内周面に固定される芯金と、この芯金に固着されるシール体とを備えている。そして、シール体のリップを相手方部材(回転側部材)の表面に接触させる構造によって、および、選択的に当該シール体と相手方部材との間の微小隙間によるラビリンス構造を併用することによって、前記グリースの流出などを防止している(例えば、特許文献1〜2参照)。
図6は、従来の密封装置の一例の断面説明図である。図6において、右側が軸受側であり、左側が大気側である。軸受の外輪50の端部内周に内嵌された環状のシールケース51に、同じく環状の芯金52が固定されており、当該芯金52にシール体53が固着されている。シール体53は、主リップ53a、補助リップ53bおよびサイドリップ53cを有しており、このうち主リップ53aの先端は、図示しない車軸に固定された環状部材54の外周面に配設されたシールド板55の周面55aと接触している。かかる主リップ53aの締め代は、例えば、上限が1.73mm、下限が0.81mmに設定されている。一方、補助リップ53bおよびサイドリップ53cの各先端は、前記シールド板55の周面55aまたは周面55bとは非接触の状態にされている。
また、主リップ52aの軸受内部側には環状の金属製保護板56が配設されている。保護板56は前記芯金52の内周に固定されている。この保護板56は、軸受の内輪57の回転によって振り切られたグリースの動圧が主リップ53aにかかることを防止するとともに、グリースが外部に漏れにくくする役割を果たしている。
特開2005−299753号公報 特許第4696415号明細書
しかし、接触式のリップの場合、相手方部材と摺接することによって摺動発熱が生じる。この摺動発熱は車両速度が高速になると無視できない大きさになり、例えば車両速度が320km/hの場合、リップの摺動する部分は最大で30〜40℃程度も昇温する。そして、リップが昇温すると、その熱が軸受の外輪に伝達され当該外輪の温度上昇に影響を与えていた。軸受の外輪温度は、軸受の寿命に大きな影響を及ぼす項目の一つであることから、新幹線などの高速走行をする車両の車軸にとっては重要な項目であり、今後、さらに車両の高速化を推進するにあたり、シール体のリップからの発熱を低減させることが望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、必要なシール性を確保しつつシールからの発熱を低減させることができる、鉄道車両の車軸用軸受の密封装置を提供することを目的としている。
本発明の一態様に係る、鉄道車両の車軸用軸受の密封装置(以下、単に「密封装置」ともいう)は、外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
この芯金に固着されるシール体と
を備えており、
前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
前記シール体は、前記ラビリンス部の軸受内部側に、潤滑用グリースを受けることができる径外側が凹となる樋状の受け部を有する保護リップをさらに備えている。
また、本発明の別の態様に係る密封装置は、外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
この芯金に固着されるシール体と
を備えており、
前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
前記ラビリンス部が、前記シール体の内周面に形成された複数の環状凸部を備えており、
最も主リップ側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間が、最も軸受内部側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間よりも小さくされている。
上記発明によれば、必要なシール性を確保しつつシールからの発熱を低減させることができる。
本発明の一態様に係る密封装置を備えた鉄道車両の車軸用軸受の構成を示す断面説明図である。 図1に示される密封装置の断面説明図である。 本発明の他の態様に係る密封装置の断面説明図である。 試験例1における車軸の回転数と昇温との関係を示すグラフである。 比較試験例1における車軸の回転数と昇温との関係を示すグラフである。 従来の密封装置の断面説明図である。
〔本発明の実施形態の説明〕
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る密封装置は、
(1)外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
この芯金に固着されるシール体と
を備えており、
前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
前記シール体は、前記ラビリンス部の軸受内部側に、潤滑用グリースを受けることができる径外側が凹となる樋状の受け部を有する保護リップをさらに備えている。
本態様に係る密封装置におけるシール体は、主リップと、ラビリンス部とを有しており、このうち主リップの先端は、軸受の回転側部材の外周面と実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されている。すなわち、本態様に係る密封装置におけるシール体は、対向する回転側部材の表面と実質的に摺接しない構造であるので、従来のような摺動発熱が発生しない。したがって、シール体の熱が外輪に伝達され当該外輪の温度上昇に影響を与えることを防ぐことができる。
また、シール体は、潤滑用グリースを受けることができる径外側が凹となる樋状の受け部を有する保護リップを備えているので、内輪の回転により振り切られたグリースを軸受の回転側部材に落下させずに受け部を伝って軸受の下側に落とすことができる。これにより、外部へのグリースの流出を抑制することができ、密封装置の密封性を維持することができる。
(2)上記(1)の密封装置において、前記ラビリンス部が、前記シール体の内周面に形成された複数の環状凸部を備えていることが好ましい。この場合、複数の環状凸部によりラビリンスを構成することで、優れたラビリンス効果を得ることができる。
また、本発明の別の態様に係る密封装置は、
(3)外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
この芯金に固着されるシール体と
を備えており、
前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
前記ラビリンス部が、前記シール体の内周面に形成された複数の環状凸部を備えており、
最も主リップ側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間が、最も軸受内部側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間よりも小さくされている。
本発明の別の態様に係る密封装置では、複数の環状凸部によりラビリンスを構成することで、優れたラビリンス効果を得ることができる。また、主リップ側に位置する環状凸部のラビリンス隙間の方を小さくすることにより、主リップと環状凸部の間にグリースを溜めることができ、このグリースに外部からのダストを付着させて軸受内部への侵入を抑制することができる。
(4)上記(1)〜()の密封装置において、前記主リップの先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の片側の隙間を0.385〜0.685mmに設定することができる。この場合、主リップの先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間を実質的に非接触の状態としつつ、当該隙間からのグリースの流出などを最小限にして、密封装置に必要とされるシール性を確保することができる。








〔本発明の実施形態の詳細〕
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の密封装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一態様(第1実施形態)に係る密封装置1を備えた車軸用軸受(以下、単に「軸受」ともいう)2を、鉄道車両の車軸Sに装着した状態の断面説明図であり、図2は、図1に示される密封装置1の断面説明図である。
本態様に係る軸受2は、鉄道車両の車軸Sの端部に外嵌された複列の円すいころ軸受であり、この円すいころ軸受の両端部を密封する一対の密封装置1を備えている。また、軸受2の軸方向両端には、車軸Sに一体回転可能に外嵌された環状部材3,4が配置されている。
軸受2は、車両側に固定された外輪5と、車軸Sに一体回転可能に固定された一対の内輪6、7と、これら内外輪間に複列にて転動自在に配置された転動体としての円すいころ8,9と、当該円すいころ8,9をそれぞれ周方向において所定間隔で保持する保持器10、11と、外輪5と内輪6,7との間の環状空間の軸方向両端にそれぞれ設けられた密封装置1とを備えている。
外輪5の内周には複列の外輪軌道面5aが形成されており、当該外輪5の軸方向両端部には、各外輪軌道面5aよりも軸方向外方に位置する肩部12が形成されている。この肩部12の内周に、図2に示されるように、密封装置1の後述するシールケース13が内嵌される。
一対の内輪6,7は車軸Sに外嵌固定されており、その外周には、前記外輪軌道面5aと対向する複列の内輪軌道面6a、7aが形成されている。また、内輪6と内輪7との間には環状の間座14が配置されている。
環状部材3,4は、一対の内輪6,7を挟み込んだ状態で配置されている。一方の環状部材4は、車軸Sに形成された段部15に係止されて、車軸中央側(図1において右側)への移動が規制されている。一方、車軸Sの先端側(図1において左側)に設けられた他方の環状部材3は、車軸Sの先端部にボルト16で固定された蓋部材17によって締め付けられて、一方の内輪7の端面を押圧している。これにより、軸受2に予圧が付与されている。
密封装置1は、図2に示されるように、シールケース13と、芯金18と、シール体19とを備えている。シールケース13は、円筒形状を呈しており、大径円筒部13a、中径円筒部13bおよび小径円筒部13cからなる3段構造を有している。シールケース13の大径円筒部13aが外輪5の肩部12の内周に内嵌されている。シールケース13は、例えばSPCC材(冷間圧延鋼板)により作製することができる。
芯金18は、シールケース13の中径円筒部13bの内周面に、例えば嵌合により固定されている。芯金18は、外径側部材18aと、この外径側部材18aよりも軸方向長さが短い内径側部材18bと、両部材18a、18bの端部同士を接続する中間部材18cとからなる環状の部材である。芯金18は、例えばSPCC材(冷間圧延鋼板)により作製することができる。
シール体19は、主に芯金18の内径側部材18bの車軸S側の表面と、同じく中間部材18cの車軸先端側の表面とに固着されている。シール体19は、主リップ20と、ラビリンス部21と、サイドリップ22とを有している。ラビリンス部21は、主リップ20の軸受内部側に設けられており、サイドリップ22は、主リップ20よりも外方に設けられている。図2に示されるように、主リップ20の先端は軸受2の外部側かつ車軸Sの内径側を向いており、サイドリップ22の先端は軸受2の外部側かつ車軸Sの外径側を向いている。
主リップ20の締め代は、例えば、上限が「−0.77mm」、下限が「−1.37mm」となるように設定されている。換言すれば、主リップ20の先端と、回転側部材である環状部材3の外周に固定されたシールド板23の表面23aとの間の隙間は、片側で0.77/2〜1.37/2mmになるように設定されている。また、サイドリップ22の先端と、前記シールド板23の表面23bとの間の隙間は、片側で0.025〜0.425mmになるように設定されている。すなわち、本実施形態に係る密封装置1では、実質的に非接触タイプのリップが採用されている。したがって、シール体19は、従来の密封装置におけるシール体のような耐熱性が要求されないので、耐熱性がよいが高価であるフッ素ゴムに代えて、例えばニトリルゴム(NBR)などの比較的安価なゴム材で作製することができる。
ラビリンス部21は、シール体19のうち、芯金18の内径側部材18bの車軸S側の表面に固着された部分により構成されている。本実施形態におけるラビリンス部21は、シール体19の内周面に形成された3つの環状凸部24、25、26を備えている。3つの環状凸部24、25、26は、軸方向に沿って並んで配置されている。そして、これら3つの環状凸部24、25、26の各先端部と、当該先端部と対向するシールド板23の表面23aとによってラビリンスが構成されている。したがって、本実施形態におけるラビリンスは、円筒形状を呈している。
3つの環状凸部24、25、26のうち、最も主リップ20側に位置する環状凸部24の先端と、この先端と対向するシールド板23の表面23aとの間の隙間は、例えば片側で0.75mm(公差0〜+0.15mm)となるように設定することができ、また、最も軸受内部側に位置する環状凸部26の先端と、この先端と対向するシールド板23の表面23aとの間の隙間は、例えば片側で0.9mm(公差0〜0.15mm)となるように設定することができる。また、中央の凸部25の先端と、この先端と対向するシールド板23の表面23aとの間の隙間は、例えば片側で0.9mm(公差0〜0.15mm)となるように設定することができる。
本実施形態に係る密封装置1におけるシール体19は、前述したように非接触タイプのリップ(主リップ20およびサイドリップ22)およびラビリンス部21によりシール性を確保しており、当該シール体19と対向するシールド板23の表面と実質的に摺接しない構造である。したがって、シール部が摺接することによる摺動発熱が発生しない。その結果、シール体19の熱が外輪5に伝達され当該外輪5の温度上昇に影響を与えることを防ぐことができる。一方、非接触タイプのリップとラビリンス部21によりシール性を確保する構造であるので、従来のような接触タイプのリップに比べると、わずかではあるがグリースの外部への漏れ量は多くなる。
また、本実施形態に係る密封装置1では、シール体19の内周面に形成された3つの環状凸部24,25,26によって円筒形状のラビリンスが形成されるので、優れたラビリンス効果を得ることができる。そして、芯金18の内径側部材18bとシール体19とが一体となってラビリンスを構成しているので、密封性を低下させることなく、従来技術において採用されていた保護板(図6において符号56で示される部材)を省略して部品点数を削減することができる。
また、本実施形態に係る密封装置1では、最も主リップ20側に位置する環状凸部24の先端と、この先端と対向するシールド板23の表面23aとの間の隙間が、最も軸受内部側に位置する環状凸部26の先端と、この先端と対向するシールド板23の表面23aとの間の隙間よりも小さくなるように設定されている。主リップ側に位置する環状凸部24のラビリンス隙間の方を小さくすることにより、主リップ20と環状凸部24の間にグリースを溜めることができ、このグリースに外部からのダストを付着させて軸受内部への侵入を抑制することができる。
[第2実施形態]
図3は、本発明の他の態様(第2実施形態)に係る密封装置31の断面説明図である。本態様に係る密封装置31が、図1〜2に示される密封装置1と異なる点は、シール体32が、ラビリンス部の軸受内部側に後述する保護リップ33をさらに有すること、および、最も軸受内部側に位置する環状凸部が当該保護リップ33と一体になっていることである。したがって、両密封装置1、31において共通する要素には同一の符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
保護リップ33は、径外側が凹となる樋状の受け部34を有している。軸受2には、外輪5と内輪6,7との間の環状空間に潤滑剤としてグリースが充填されているが、樋状の受け部34は、内輪6,7の回転によって振り切られたグリースがシールド板23に落下するのを防止する。グリースがシールド板23に落下すると、このグリースは当該シールド板23の表面を伝わり、主リップ20およびサイドリップ22の先端の隙間を通過して外部に漏れる可能性があるが、受け部34により前記振り切られたグリースを受け止めることで、グリースの外部への漏れを抑制することができる。受け部34に受け止められたグリースは、当該受け部34を伝って軸受2の下部に落とすことができる。
〔試験例〕
つぎに、試験例に基き本発明に係る密封装置の発熱低減効果について説明する。
<試験例1>
試験例1のサンプルとして、図3に示される形態のシール体32を備えた密封装置31を用いて昇温試験を行った。
シール体32は、ニトリルゴム(NBR)で作製されており、主リップ20、サイドリップ22およびラビリンス部21を有している。主リップ20の締め代の上限は「−0.77mm」であり、下限は「−1.37mm」 である。
主リップ20、および、外輪5の肩部12の内周に内嵌されるシールケース13の大径円筒部13aの2箇所について、それぞれの温度を熱電対で測定した。
車軸の回転数を以下の表1に示されるように変化させて温度測定を行った。車軸の直径は800mmであったので、その回転数を車両速度に換算すると表1のようになる。
Figure 0006340280
試験結果(昇温データ)を表2および図4に示す。表2および図4に示される値は、測定された主リップ20などの温度と、測定時における室温との差を表している。室温は25〜27℃の範囲内であった。
Figure 0006340280
<比較試験例1>
サンプルとして、図6に示される形態のシール体53を備えた密封装置を用いて試験例1と同様に昇温試験を行った。
シール体53は、フッ素ゴム(FKM)で作製されており、主リップ53a、補助リップ53bおよびサイドリップ53cを有している。主リップ53aの先端は、シールド板55の周面55aと接触しており、その締め代の上限は「1.73mm」であり、下限は「0.81mm」である。
車軸の回転数を以下の表3に示されるように変化させて温度測定を行った。車軸の直径は800mmであったので、その回転数を車両速度に換算すると表3のようになる。また、試験結果(昇温データ)を表4および図5に示す。
Figure 0006340280
Figure 0006340280
表3〜4および図4〜5より、主リップをシールド板と非接触の状態にしている試験例1は、主リップをシールド板と接触状態にしている比較試験例1よりも、主リップおよびシールケースの取付部(シールケース13の大径円筒部13a。この部分の温度は外輪の外径の温度に最も影響を及ぼすと考えられる)の昇温の程度が大幅に低減されることがわかる。特に、締め代を下限にした場合の試験例1の昇温は0℃であり、外輪の温度上昇に全く影響を与えないことがわかる。なお、試験例1の締め代上限の場合においても、設計上は主リップとシールド板との間には隙間が設定され、主リップはシールド板と非接触の状態である。しかし、軸受に不可避的に存在する隙間の影響により、主リップの内周の一部がシールド板と接触してしまうことから、締め代上限の場合には主リップおよびシールケースの取付部に温度上昇が発生するものと考えられる。
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、3つの環状凸部によりラビリンスを構成しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、かかる環状凸部の数は2つ以下でもよいし、4つ以上であってもよい。
1 :密封装置
2 :車軸用軸受
3 :環状部材
4 :環状部材
5 :外輪
6 :内輪
7 :内輪
8 :円すいころ
9 :円すいころ
10 :保持器
11 :保持器
12 :肩部
13 :シールケース
13a:大径円筒部
13b:中径円筒部
13c:小径円筒部
14 :間座
15 :段部
16 :ボルト
17 :蓋部材
18 :芯金
18a:外径側部材
18b:内径側部材
18c:中間部材
19 :シール体
20 :主リップ
21 :ラビリンス部
22 :サイドリップ
23 :シールド板
23a:表面
23b:表面
24 :環状凸部
25 ;環状凸部
26 :環状凸部
31 :密封装置
32 :シール体
33 :保護リップ
50 :外輪
51 :シールケース
52 :芯金
53 :シール体
53a:主リップ
53b:補助リップ
53c:サイドリップ
54 :環状部材
55 :シールド板
55a:表面
55b:表面
56 :保護板
57 :内輪
S :車軸

Claims (4)

  1. 外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
    前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
    このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
    この芯金に固着されるシール体と
    を備えており、
    前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
    前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
    前記シール体は、前記ラビリンス部の軸受内部側に、潤滑用グリースを受けることができる径外側が凹となる樋状の受け部を有する保護リップをさらに備えている、鉄道車両の車軸用軸受の密封装置。
  2. 前記ラビリンス部が、前記シール体の内周面に形成された複数の環状凸部を備えている、請求項1に記載の鉄道車両の車軸用軸受の密封装置。
  3. 外輪と、この外輪の内方において当該外輪と同軸に配設される内輪と、前記外輪と内輪との間の環状空間に転動自在に配設される転動体とを備えた、鉄道車両の車軸用軸受における前記環状空間の軸方向両端をシールする密封装置であって、
    前記外輪の軸方向端部内周に内嵌される円筒状のシールケースと、
    このシールケースの内周面に固定される環状の芯金と、
    この芯金に固着されるシール体と
    を備えており、
    前記シール体は、主リップと、この主リップの軸受内部側に設けられたラビリンス部とを有しており、
    前記主リップの先端と、この先端と対向する前記軸受の回転側部材の外周面とが実質的に非接触の状態となるように前記芯金がシールケースの内周面に固定されており、
    前記ラビリンス部が、前記シール体の内周面に形成された複数の環状凸部を備えており、
    最も主リップ側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間が、最も軸受内部側に位置する環状凸部の先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の隙間よりも小さくされている、鉄道車両の車軸用軸受の密封装置。
  4. 前記主リップの先端と、この先端と対向する回転側部材の外周面との間の片側の隙間が0.385〜0.685mmに設定されている、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の鉄道車両の車軸用軸受の密封装置。
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