JP6335025B2 - 医療用電気刺激電極 - Google Patents
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Description
これらの刺激発生装置は、電気的刺激を伝達する電極リードを生体内の刺激対象と密着させるため、電極リード(医療用電気刺激電極)を生体に埋め込んで使用される場合がある。
一般に、電極リードは、生体組織に電気的刺激を与え、もしくは生体組織に生じる電気的興奮を検出するための少なくとも1つの電極部と、刺激発生装置と電気的に接続するための電気コネクタと、電極部と刺激発生装置との間に設けられ電気的刺激を伝達するためのリードボディとを有している。
このような電極リードの例として、例えば、特許文献1には、パルス発生器に接続するように構成された基端を有する導電性リード本体と、血管壁を越えて電気パルスを送るように構成された少なくとも1つの電極を具備する先端部と、リードアンカーとを具備する神経細胞刺激用リードが記載されている。
この神経細胞刺激用リードにおけるリードアンカーは、折り畳まれた形状から予め形成された拡張形状へと拡がるように構成されており、折り畳み形状のとき、先端部は、折り畳まれたリードアンカーの有効長と実質的に等しい有効長を有する。先端部はリードアンカーの外側に結合されており、拡張形状のとき、リードアンカーが、リードが拡張配置されている血管の少なくとも1つの血管壁にリードの先端部を押しつけて、血管内でリード先端部を配備し、固定する。
また、リードの先端部は、リード本体と同じ、またはリード本体よりも硬い構成が記載され、リードアンカーは、超弾性材料のワイヤからなることが記載されている。
特許文献1に記載の神経細胞刺激用リードは、電極を有するリードの先端部を外側とするケージ状またはバスケット状のリードアンカーを血管内で拡張させることにより、リードの先端部の電極を血管壁に押圧して当接させている。
しかし、リードアンカーが超弾性材料からなるワイヤの集合体であるのに対して、リードの先端部は、リード本体と同様に柔らかいか、リード本体よりも硬い構成であり、外径もワイヤよりも明らかに大きい。したがって、リードの先端部の剛性は、リードアンカーの剛性とは異なっている。
リードの先端部は、電極と反対側からリードアンカーによって押圧されて血管壁に当接しているため、リードアンカーの変形に応じて常に適切な方向に押圧力が作用しないと、電極を安定した状態で血管壁に当接することができない。
特許文献1では、リードアンカーの先端と基端とで各ワイヤを集合させて、中間部で拡径し、両端部で集束するケージ状またはバスケット状の形状をとることにより、径方向外側に向かう押圧力を発生させている。
このような構成では、リードアンカーの先端と基端との両方において、複数のワイヤが血管の内部を横断するように配置される構成となり、血流が阻害されやすくなっている。
このため、さらに押圧力を安定させるため、ワイヤの配置数を増やしたり、太いワイヤを用いたりすると、血栓が発生する可能性が増大してしまうという問題がある。
本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極の構成を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図3は、図2におけるA視の側面図である。図4は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極の弾性部材の構成を示す模式的な斜視図である。図5は、図4におけるB視の平面図である。図6は、図4におけるC視の側面図である。図7(a)は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極の刺激電極部の構成を示す模式的な平面図である。図7(b)は、図7(a)におけるD−D断面図である。図8(a)は、図2におけるE視図である。図8(b)は、図8(a)におけるF−F断面図である。
電気刺激システム100は、血管内から神経を刺激するための医療用電気刺激電極1と、医療用電気刺激電極1に刺激パルスを印加する電気刺激装置8とを備える。
医療用電気刺激電極1は、リード部3が管状のガイドシース7に挿通され、電極支持体部2をガイドシース7の先端に折りたたんで収容した状態で、患者の血管内に導入され、留置位置において、電極支持体部2がガイドシース7から押し出されることにより、患者の血管内に留置される。
なお、電気刺激システム100において、患者の血管内に挿入される部材や部位には、血栓の発生を抑制するため、血液と接触する表面に、抗血栓コーティングを施しておくことが好ましい。
本実施形態におけるガイドシース7の管状部の寸法は、一例として、外径2.8mm、内径2mm、長さ400mmである。
ガイドシース7の基端部には、分岐部7bが設けられ、この分岐部7bの側部に、ガイドシース7の内部に形成された管路を通して、例えば、抗血栓防止剤であるヘパリンなどの薬液を持続投与するための送液管6が接続されている。
分岐部7bの端部には、ガイドシース7内の管路の水密を保ちつつ、リード部3を挿通するため、例えば、Oリングなどからなるシール部7aが設けられている。
送液管6における分岐部7bと反対側の端部には、図示略の送液手段、例えば、シリンジピストンポンプなどを接続するルーアロックコネクタなどからなるコネクタ6aが設けられている。
配線部3dは、分岐部3cの開口から外部に延出されており、端部には、電気刺激装置8と電気的に接続するため、例えば、公知のIS1型などのコネクタ3eが連結されている。
ただし、リードチューブ3aの外径は、ガイドシース7の内径よりも小径でガイドシース7の内周面との間に隙間ができ、かつガイドシース7のシール部7aに進退可能に嵌合できる寸法とする。例えば、ガイドシース7の内径が2.8mmの場合、2.5mm程度が好適である。
先端部3bの外径は、リードチューブ3aの外径と略同一(同一の場合を含む)であり、外周面における段差は0mm以上0.2mm以下である。
このため、先端部3bは、ガイドシース7の先端部(遠位端側)において進退可能に挿通することができる。
本実施形態では、先端部3bの材質は、チタンを採用している。係合穴3fの穴形状として、後述する集束部27の外形に対応して六角穴を採用している。
分岐部3cは、ガイドシース7の外部に露出されたリード部3の基端部に設けられている。
送液管5は、リード部3内の図示略の管路および先端側に設けられた図示略の放出口を通して、抗血栓防止剤であるヘパリンなどの薬液を持続投与するためものである。
送液管5におけるリード部3と反対側の端部には、図示略の送液手段、例えば、シリンジピストンポンプなどを接続するルーアロックコネクタなどからなるコネクタ5aが設けられている。
電極支持体部2の外形状は、リード部3の先端部3bからその中心軸線Oに沿って前方(遠位端側、図2の図示左側)に進むにつれて漸次拡径してから略一定の外径に収束する弾性変形可能な籠状に形成されている。
電極支持体部2の外径は、電極支持体部2を留置する血管内で、血管の内壁を押圧できるように、血管の内径よりも大径とされている。
軸方向においては、近位端側となる先端部3bに近い方を基端部(側)、遠位端側となる先端部3bから遠い方を先端部(側)と称する場合がある。
径方向においては、中心軸線Oから離れる方を径方向外方(外側)、中心軸線Oに近づく方を径方向内方(内側)と称する場合がある。
例えば、線状弾性部材20B(20C)における連結端部20aB(20aC)は、線状弾性部材20Aにおける連結端部20aAと対応する同一形状の部位を指す。
また、添字A、B、Cによって区別している部材、部位を特に区別する必要がなくどれにも当てはまる場合には、明細書の記載の簡素化のために添字A、B、Cを省略する場合がある。ただし、図面では見にくくなるため、添字A、B、Cを付した符号のみを記載する。
例えば、「線状弾性部材20」、「連結端部20a」は、それぞれ、線状弾性部材20A、20B、20Cのいずれか、連結端部20aA、20aB、20aCのいずれかを表す。また、「各線状弾性部材20」、「各連結端部20a」は、それぞれ、線状弾性部材20A、20B、20Cのすべて、連結端部20aA、20aB、20aCのすべてを表す。
線状弾性部材20Aは、図4に示すように、一端部から他端部に向かって、連結端部20aA、基端側線状部20bA(第1の線状部)、先端側線状部20cA(第2の線状部)、基端側線状部20dA(第1の線状部)、および連結端部20eAを、この順に備える。
連結端部20aA、20eAは、先端部3bの中心軸線Oに、第1軸線O1が整列するように、集束部27を介して先端部3bと係合される。
連結端部20aA、20eAと集束部27との固定方法は特に限定されず、集束部27の材質に応じて、例えば、接着、溶接、カシメなどの固定方法を適宜選択することができる。
基端側線状部20bA、20dAにおいて先端側線状部20cAの端部と接する端部(以下、先端側端部と称する)を通る第3軸線O3は、第1軸線O1と直交する位置関係にある。
すなわち、基端側線状部20bA、20dAは、それぞれ、連結端部20aA、20eAに接続する端部(基端側端部)から、互いに離間するように、前方(図5における図示左側)に向かって斜め方向に延ばされ、それぞれ第1軸線O1から漸次離間している。そして、先端側端部の近傍では、第1軸線O1と略平行(平行の場合を含む)になっている。
本実施形態では、基端側線状部20bA(20dA)の形状は、一例として、連結端部20aA(20eA)に近い基端側領域b1(d1)では、先端側線状部20cAに近い先端側領域b2(d2)に比べて、第1軸線O1に対する傾斜の平均変化率がより大きくなる曲線形状を採用している。
基端側領域b1(d1)と、先端側線状部20cAとの境界における曲率の変化は、連続的でもよいし、不連続でもよい。
本実施形態では、基端側線状部20bA、20dAは、先端側端部に向かうにつれて互いに離間するように傾斜する形状を採用している。このため、基端側線状部20bA、20dAの先端側端部は、自然状態において、線状弾性部材20Aの第1軸線O1と直交する方向の最大幅となる部位になっている。
本実施形態では、先端側線状部20cAは、一例として、第3軸線O3を含み平面S2に対して角度θをなして交差する平面S3上に整列し、第1軸線O1を含み平面S2と直交する平面S1(第1の平面)に関して面対称なC字状に形成されている。
このため、平面S1、S3の交線からなる第2軸線O2が、先端側線状部20cAと交差する位置に、先端側線状部20cAの頂部20gAが形成されている。
平面S3の角度θは、5°以上90°以下が好ましい。
本実施形態では、図5、6に示すように、先端側線状部20cAの形状は、一例として、基端側線状部20bA(20dA)に近い基端側領域c1(c3)では、基端側線状部20bA(20dA)の先端側端部から平面S1に向かって傾斜する曲線状または直線状に延ばされている。
また、基端側領域c1、c3の間の先端側領域c2では、頂部20gAを頂点とする山形の形状を有する。先端側領域c2における山形は、例えば、円弧、楕円弧などの曲線からなる山形や、複数の折れ線で形成された山形も可能である。本実施形態では、一例として、頂部20gAの曲率が最大となり頂部20gAの近傍に屈曲状の部位が形成された曲線形状を採用している。
このような構成により、線状弾性部材20Aは、平面S1に関して面対称な形状になっている。
図7(a)、(b)に示すように、線状弾性部材20Aは、ワイヤ部23の外周面が外部被覆26で覆われた線状体で構成される。
ワイヤ本体23aは、電極支持体部2を折りたたんでガイドシース7内に収容する際に受ける外力によっても塑性変形せず、外力が解除されると自然状態に戻る良好な弾性を有する適宜の金属ワイヤを採用することができる。ワイヤ本体23aに好適な金属ワイヤとしては、例えば、形状記憶合金や超弾性ワイヤなどを挙げることができる。ワイヤ本体23aの外径は、例えば、0.1mm〜0.4mmに設定される。
本実施形態では、ワイヤ本体23aは、一例として、直径0.3mmの超弾性ワイヤを採用している。
このため、外部被覆26は、ワイヤ部23とともに変形可能な絶縁性材料であって、生体適合性に優れる材料で形成される。また、外部被覆26の表面は、血栓を生じさせないように滑らかに形成される。
外部被覆26に好適な材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などを採用することができる。
外部被覆26は、熱融着により、ワイヤ部23との間に空気層を含まないように溶融結合されている。
内部被覆23b、外部被覆26の厚さは、例えば、50μm〜400μmとなるように形成されている。
刺激電極21(22)は、例えば、白金イリジウム合金などの生体適合性を有する金属管で形成され、一部が外部被覆26の開口26aを通して、線状弾性部材20Aの外周に露出されている。この露出部分は、外部被覆26の外周面に沿う曲率を有する円筒面状であり、露出部分の第3軸線O3に沿う方向から見た(図7(a)の紙面垂直方向から見た)形状が略矩形状である。
本実施形態では、一例として、刺激電極21(22)として、直径0.8mm、長さ4mmの円筒状の管部材を採用し、露出部分の形状は、幅0.5mm、長さ3.8mmとしている。ここで、露出部分の長手方向は、外部被覆26の延在方向に一致されている。
ただし、ただし、刺激電極21(22)の露出形状はこれには限定されず、例えば、ワイヤ部23の軸線方向に長い長円形状や楕円形状などの形状も可能である。
また、外部被覆26に埋没された刺激電極21(22)の内周面には、配線部3dを構成する配線25が電気的に接続されている。
配線25としては、例えば、耐屈曲性を有するニッケルコバルト合金(35NLT25%Ag材)からなる撚り線を、電気的絶縁材(例えば、厚さ20μmのETFE(ポリテトラフルオロエチレン)等)で被覆したものを好適に用いることができる。
配線25は、外部被覆26内に配置されてワイヤ部23に沿って延び、それぞれ、連結端部20aA、20eAの基端部から、リード部3側に延出されている。
電気刺激を効率的に印加するには、刺激電極21、22の間隔が離間しすぎないことが重要である。このため、刺激電極21、22は、線状弾性部材20Aの自然状態において、それぞれの露出部分の最短距離dが3mm〜8mm程度になる位置に、配置することが好ましい。
そして、図8(a)に示すように、連結端部20aA、20eA、20aB、20eB、20aC、20eCが集束部27によって一体に束ねられた集合状態で固定されている。
集束部27は、例えば、チタンからなる管状部材の内部に、各連結端部20a、各連結端部20eを挿入した後、カシメ加工を行うことにより、外形が六角形に形成された六角柱状の部材である。
集束部27は、図8(b)に示すように、先端部3bにおいて中心軸線Oと同軸に形成された六角形形状の係合穴3fに挿入されて周方向に係合され、例えば、接着などによって先端部3bと固定されている。このため、集束部27の外形は、係合穴3fと嵌合可能な六角柱状に形成されている。
このように、集束部27と先端部3bとは、互いに嵌合する六角形断面を有する軸部と穴部との関係にあり、中心軸線O回りに回転不能に係合されている。このため、リード部3を中心軸線O回りに回転させると、リード部3の回転角度に応じて、電極支持体部2も中心軸線O回りに回転するようになっている。
配線部3dは、リードチューブ3a内の固定部3gで位置が固定され、リードチューブ3aの基端部まで延ばされて、分岐部3cから外部に延出されている(図1参照)。
このため、図3に示すように、中心軸線Oに沿う方向から見ると、基端側線状部20bA、20dC、20bB、20dA、20bC、20dBが、円周を6等分する放射状に配置されている。
また、図2に示すように、中心軸線Oに交差する方向から見ると、各基端側線状部20b、各基端側線状部20dは、中心軸線Oを中心としてU字形を回転してできる半紡錘形の立体形状に沿って配置され、籠状をなしている。
したがって、電極支持体部2の組立状態の自然状態では、各線状弾性部材20は、それぞれの単体の自然状態の形状とは異なる形状に変形している。ただし、各線状弾性部材20の配置位置は、中心軸線Oに関して3回回転対称になっているため、各線状弾性部材20の変形形状はまったく同じになる。このため、電極支持体部2は、組立状態の自然状態では、中心軸線Oに関して3回回転対称の立体形状になる。
頂部20gA、20gB、20Cは、中心軸線Oを中心とする同心円上に整列している。
同じく先端側線状部20cBは、先端側線状部20cCと点X2において、先端側線状部20cCよりも径方向内側となるように交差している。
同じく先端側線状部20cCは、先端側線状部20cAと点X3において、先端側線状部20cAよりも径方向内側となるように交差している。
したがって、これら先端側線状部20cA、20cB、20cCは、これらの交差点である点X1、X2、X3の間の領域が、中心軸線Oに沿う方向から見ると、図3に示すように、中心軸線Oを中心とする円状または円形に近い3回回転対称の閉ループ状の開口部LPを構成している。
開口部LPは、電極支持体部2の自然状態において、電極支持体部2の先端部に形成された最大の開口部である。
電気刺激装置8は、図1に示すように、コネクタ3eを介して、リード部3内の配線部3dと電気的に接続されている。
電気刺激装置8が出力する信号波形は、本実施形態では、定電流方式又は定電圧方式のバイフェージック波形群が、所定の間隔を有して発生される。信号波形の条件は、電気刺激に必要に応じて適宜設定することができる。具体的には、例えば、周波数20Hz、パルス幅50μsecから400μsecのプラス数ボルトからマイナス数ボルトのバイフェージック波形を1分間あたり3sec〜20secの間、発生させる、といった信号波形の出力が可能である。
このような信号波形の出力時に、刺激電極21、22は、一方がプラス側電極として作用し、他方がマイナス側電極として作用する。
また、必要な電気刺激が終了したら、電極支持体部2を患者の体外に抜去する。
以下では、電気刺激システム100の作用について、このような留置および抜去における作用を中心として説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極を患者の体内に留置した際の患者の体外の様子を示す模式図である。図10は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極を上大静脈に留置した状態を示す模式図である。図11(a)は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の血管内の変形の状態を示す模式図である。図11(b)は、図11(a)におけるG視の側面図である。図12(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の医療用電気刺激電極を患者の体内から抜去する際の様子を示す模式図である。図12(c)は、図12(a)におけるU視図である。図12(d)は、図12(b)におけるW視図である。
右外頚静脈P2(血管)を通って、ガイドシース7の先端が上大静脈P3(血管)における留置位置の近傍に到達したら、医療用電気刺激電極1の電極支持体部2をガイドシース7の外側に押し出す。そして、ガイドシース7を近位端側に引き抜いて、図10に示すように、医療用電気刺激電極1のみを血管内に残す。
上大静脈P3内に押し出された電極支持体部2は、弾性復元力により自然状態の形状に戻ろうとするため、上大静脈P3内で拡径する。
電極支持体部2の自然状態の外径は、上大静脈P3の内径よりも大きいため、電極支持体部2は、上大静脈P3の内壁V1に押しつけられる。
これにより、電極支持体部2は、自然状態よりも小径とされ、内壁V1からの反作用によって弾性的に変形している。また、内壁V1は、電極支持体部2からの押圧力を受けて変形しつつ、電極支持体部2の外周部に密着している。
このため、電極支持体部2は、摩擦力により当接した上大静脈P3の内壁V1に係止されている。
電極支持体部2は、径方向の最外部となる部分から、内壁V1に当接し、これらの当接部から径方向内側に反作用を受ける結果、線状弾性部材20A、20B、20Cが変形する。
具体的には各頂部20gが径方向内側に押圧されることで、それぞれ内壁V1に食い込むとともに、各先端側線状部20cがそれぞれの基端部を回転中心として径方向内側にたわみ変形する。これにより、各先端側線状部20cが、全体的に、内壁V1に沿って当接する。
その際、自然状態におけるそれぞれの交差点である点X1、X2、X3は、図11(a)に示すように、電極支持体部2の先端側にずれた点X1’、X2’、X3’に移動する。中心軸線Oに沿う方向から見ると、開口部LPは、図11(b)に示すように、内壁V1の内径に略等しい開口部LP’に変化する。
例えば、図11(a)に示すように、互いに周方向に隣接する屈曲部20hC、20fAは、各屈曲点同士がより近づくような周方向に移動する。
このため、各基端側線状部20b、各基端側線状部20dは、例えば、基端側線状部20bAの先端側領域d2と、基端側線状部2dCの先端側領域b2とが、自然状態と比べると、周方向により接近した状態で、内壁V2と当接している。
本実施形態では、例えば、基端側線状部20bBにおける頂部20gBを通り、中心軸線Oに平行な軸線に沿って延びる領域Y2に、先端側線状部20cBの先端部、屈曲部20hC、20fA、基端側線状部20bAの先端部、および基端側線状部20dCの先端部が集まる。これにより、押圧力が大きくなる部位が領域Y2に集中する。
変形の対称性から、図11(b)に示すように、領域Y2から120°回転した、領域Y1、Y3にも、同様に押圧力が集中する領域が発生する。
すなわち、電極支持体部2から内壁V1には、中心軸線Oを中心として円周を3等分する位置に形成された領域Y1、Y2、Y3から、径方向外側に均等な押圧力が作用し、先端部3bは、上大静脈P3の中心に保持されている。
このような変形の対称性によって、刺激電極21、22が設けられた、屈曲部20hAは、径方向外側に安定した押圧力で押圧されて内壁V1に当接し、外部被覆26から露出した刺激電極21、22は、内壁V1に密着する。
このため、円形、紡錘形に沿う形状など長手方向の中間部のみで血管に当接する形状に比べて、電極支持体部2内で、内壁V1への押圧力が発生する部位が多くなるため、同じ押圧力で同じ押圧範囲を押圧する場合に、より小型化を図ることができる。
また、各線状弾性部材20が、互いに交差して籠状を形成しているため、1つの線状弾性部材20が受ける外力が交差位置を通して、他の線状弾性部材20にも伝達されて、変形状態が連動し、各線状弾性部材20の間に変形量が分散される。
このため、特定の線状弾性部材20が外力を受けた場合でも、半紡錘形の回転対称の形状が崩れにくくなるため、例えば、円弧状の弾性部材が周方向に離間して配置された場合に比べると、より安定して内壁V1を付勢することができる。
続いて、図9に示すように、患者Pの体外において、配線部3dのコネクタ3eに電気刺激装置8を、送液管6のコネクタ6aに薬液が満たされシリンジピストンポンプを有するディスペンサ9を、それぞれ接続する。また、図9では図示略の送液管5のコネクタ5aにも、図示略のディスペンサを接続する。
そして、刺激電極21、22を電気刺激位置に位置合わせする周知の探索動作を行う。
以下の動作中は、送液管5、6を通して、適宜、抗血栓防止剤などの薬液を持続的に供給し、血管内に流通させておく。
電気刺激位置の位置合わせが終了し、留置位置が決定したら、適宜のタイミングによって、電気刺激装置8によって電気刺激を与えるためのバイフェージック信号を印加し、迷走神経P6の電気刺激を行う。これにより、患者Pの心拍数を適正な範囲に抑制するなどの効果が得られる。
また、先端部3bは、内壁V1の中心部に保持され径方向には、先端部3bに比べて細径の各基端側線状部20b、各基端側線状部20dが放射状に配置され、周方向には互いに離間しているため、血液が円滑に流れる。
このため、弾性ワイヤが先端部と基端部との両方で集合されて固定されている従来技術に比べると、先端側に開口部LP’が形成されている分だけ、より確実に血流が阻害されにくくなっている。これにより、電極支持体部2の留置状態において、血栓が発生することを、より確実に防止することができる。
その際、図10に示すように、血管の内径は、上大静脈P3における内壁V1、鎖骨下静脈付近の内壁V2、右外頚静脈P2の内壁V3の順に小さくなっていく。
このため、例えば、図12(a)、(b)に示すように、内壁V2、V3に到達すると、それぞれの内径の変化に応じて縮径が進んでいく。
このとき、電極支持体部2は3回回転対称の形状を保って均等に縮径しようとして変形する。例えば、内壁V2に到達した場合、図12(c)に示すように、内壁V1よりも縮径しているが、開口部LP’’は、内壁V2にほぼ沿って円状に開口している。
すなわち、開口部LP’’’の面積が血管の内径や基端側の電極支持体部2の外形に比べて狭くなって、先端が閉塞状態に近い籠状になる。このため、万一、電極支持体部2に血栓が形成されて剥離した場合でも、電極支持体部2の内部に取り込まれて、電極支持体部2とともに外部に排出されやすくなる。
また、このように、縮径するにつれて、電極支持体部2の各線状弾性部材20は、中心軸線Oに沿う直線状に延びていくため、引っ張り方向の抵抗が軽減されていく。
医療用電気刺激電極1は、基端側線状部20b、20d、先端側線状部20cをそれぞれ有する線状弾性部材20A、20B、20Cを回転対称に配置して、各先端側線状部20cにより伸縮可能な開口部LPが形成された籠状の電極支持体部2に刺激電極21、22を配置している。このため、血流を阻害しにくく、刺激電極21、22を血管の内壁に安定して押圧することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図14は、図13におけるH視の側面図である。図15(a)は、本発明の第2の実施形態の医療用電気刺激電極の弾性部材の構成を示す模式的な斜視図である。図15(b)、(c)は、図15(a)におけるJ視図である。
医療用電気刺激電極31は、上記第1の実施形態の電極支持体部2に代えて、電極支持体部32を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、線状弾性部材33A、33B、33Cは、線状弾性部材33Aが、刺激電極21、22を備える点を除いて同様な形状を有する。このため、以下では、電極支持体部32に関しては、上記第1の実施形態と同様にして、同形状の部材、部位に「数字+英小文字」の符号を用いて適宜説明を省略し、互いに区別する必要がある場合には、添字A、B、Cを付して表す。添字A、B、Cの省略表記の規則は上記第1の実施形態と同様である。
本明細書では、「U字状」は、平行な2つの直線部が円弧状の湾曲部で接続された形状には限定されない。例えば、2つの直線部は非平行に並行していてもよく、湾曲部は円弧以外の曲線で湾曲していてもよい。さらに、湾曲部は、直線または曲線からなる折れ線で構成されていてもよいし、本実施形態のように、2つの直線部の端部で屈曲された1つの直線部からなる形状(コ字状)であっていてもよい。
本実施形態の屈曲部33hAは、第1部分h1(第3の線状部)、第2部分h2(中間線状部)、および第3部分h3(第4の線状部)を備える。
第1部分h1の屈曲角度φ1は、90°±30°の範囲内程度が好ましく、長さは、刺激電極22の長手方向よりも長く、例えば、4.5mm〜7.0mmが好ましい。
第2部分h2の長さは、例えば、3.0mm〜7.0mmが好ましい。
第3部分h3の屈曲角度φ2は、90°±30°の範囲内程度が好ましい。
先端側線状部20cAとの接続部は、屈曲していてもよいし、角度θの大きさによっては、屈曲しない構成も可能である。
刺激電極22は、その長手方向が、第3部分h3の中心軸線方向に沿うように、第3部分h3の中間部に配置され、第1軸線O1に関して径方向外側となる表面に一部が露出するように設けられている。
本明細書では、面対称な形状と、一部分のみが面対称でなく全体としては面対称に近い形状とを合わせて、「略面対称」と称する。
このため、医療用電気刺激電極31は、基端側線状部20b、20d、先端側線状部20cをそれぞれ有する線状弾性部材33A、33B、33Cを回転対称に配置して、各先端側線状部20cにより伸縮可能な開口部LPが形成された籠状の電極支持体部32に刺激電極21、22を配置している。このため、上記第1の実施形態と同様に、血流を阻害しにくく、刺激電極21、22を血管の内壁に安定して押圧することができる。
このように、屈曲部33hを有することで、血管への押圧力が高くなる部位の線長が上記第1の実施形態に比べて増大するため、血管との接触面積が増えて、より安定した押圧、係止が可能となる。
また、屈曲部33hの近傍では、屈曲部33hのU字状の外形からなる片状の小領域に押圧力が集中しやすくなる点でも、より安定した押圧が可能になる。
このため、探索動作の動きや、刺激印加時の体動によって、電極支持体部32が変形しても、刺激電極21、22の相対位置が安定し、安定した電気刺激を発生させやすくなる。
特に、刺激電極21、22が電極支持体部32の軸方向に沿って対向する位置関係に配置すれば、刺激電極21、22の両方が迷走神経P6を横断する幅が広くなり、電極支持体部32の周方向の回転に対する配置自由度が増大するためより好ましい。この場合、刺激電極21、22を刺激位置に配置することがより容易となる。また、電極支持体部32の周方向の位置ズレの余裕が増えて、より安定した電気刺激を行うことが可能になる。
次に、本発明の第3の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図16は、本発明の第3の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図17は、図16におけるK視の側面図である。図18(a)は、本発明の第3の実施形態の医療用電気刺激電極の弾性部材の構成を示す模式的な斜視図である。図18(b)は、図18(a)におけるL視の側面図である。図18(c)は、図18(b)におけるM視図である。
医療用電気刺激電極41は、上記第2の実施形態の電極支持体部32に代えて、電極支持体部42を備える。
以下、上記第1および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、線状弾性部材43A、43B、43Cは、線状弾性部材43Aが、刺激電極21、22を備える点を除いて同様な形状を有する。このため、以下では、電極支持体部42に関しては、上記第1の実施形態と同様にして、同形状の部材、部位に「数字+英小文字」の符号を用いて適宜説明を省略し、互いに区別する必要がある場合には、添字A、B、Cを付して表す。添字A、B、Cの省略表記の規則は上記第1の実施形態と同様である。
本実施形態の屈曲部43fAは、第1部分f1(第3の線状部)、第2部分f2(中間線状部)、および第3部分f3(第4の線状部)を備える。
屈曲部43fAの外形は、径方向に対向する位置に設けられた屈曲部33hAと異なっていてもよいが、本実施形態では、平面S1に関して、屈曲部33hAと面対称な形状を採用している。
このため、本実施形態の各線状弾性部材43の外形は、いずれも、平面S1に関して面対称な形状を有しており、第1部分f1、第2部分f2、および第3部分f3は、それぞれ屈曲部33hAにおける第1部分h1、第2部分h2、および第3部分h3と同じ外形状を有する。
ただし、屈曲部43fAは、屈曲部33hAとは異なり、刺激電極21、22は設けられていない。
このため、医療用電気刺激電極41は、基端側線状部20b、20d、先端側線状部20cをそれぞれ有する線状弾性部材43A、43B、43Cを回転対称に配置して、各先端側線状部20cにより伸縮可能な開口部LPが形成された籠状の電極支持体部42に刺激電極21、22を配置している。このため、上記第1および第2の実施形態と同様に、血流を阻害しにくく、刺激電極21、22を血管の内壁に安定して押圧することができる。
このため、屈曲部33hの径方向反対側でも、屈曲部43fにより、屈曲部33hと同様の作用が得られるため、より安定した押圧が可能になる。
次に、本発明の第4の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図19は、本発明の第4の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図20は、図19におけるN視の側面図である。図21(a)は、本発明の第4の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の血管内の変形の状態を示す模式図である。図21(b)は、図21(a)におけるQ視の側面図である。
医療用電気刺激電極51は、上記第3の実施形態の電極支持体部42に代えて、電極支持体部52を備える。
以下、上記第1および第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
すなわち、屈曲部33hAの第2部分h2と、屈曲部43fBの第2部分f2とが、弾性部材固定部54によって固定され、屈曲部33hBの第2部分h2と、屈曲部43fCの第2部分f2とが、弾性部材固定部54によって固定され、屈曲部33hCの第2部分h2と、屈曲部43fAの第2部分f2とが、弾性部材固定部54によって固定されている。
なお、各弾性部材固定部54は、各第2部分h2、f2の全長にわたって設けてもよいし、長手方向に離間した複数の点状に設けてもよい。
例えば、図19に示すように、屈曲部33hAと屈曲部43fBとで形成された押圧部55は、基端側では、基端側線状部20dA、20bBの2つの線状部によって弾性的に支持されており、先端側では、先端側線状部20cA、20cBの2つの線状部に接続されている。
また、図20に示すように、自然状態における開口部LPは、各押圧部55よりも径方向内側に形成されている。
例えば、屈曲部33hAと屈曲部43fBとで形成された押圧部55と、頂部20gCの近傍の先端側線状部20cBとは、電極支持体部52の周方向において略同位置であって、軸方向に離間した位置で内壁V1と当接する。他の部位においては、これと3回回転対称な形状に変形している。
このため、自然状態とは異なり、開口部LP’は、内壁V1と略整列した領域に形成される。
このように変形した状態の電極支持体部52においては、弾性部材固定部54で固定された2つの線状弾性部材20の押圧部55と、他の線状弾性部材20の頂部20gとが、軸方向に離間してなる2つの主要な当接部が、周方向に120°離れて、3組形成されている。これにより、内壁V1を3方向に均等に押圧している。
このように、押圧部55は、当接する内壁V1と反対側の内壁V1と先端部3bとに支持された2つの湾曲した線状部の中間部に位置しており、このような一対の線状部の弾性復元力によって内壁V1を押圧している。
これにより、刺激電極21、22をより確実に安定して内壁V1に押圧することができる。
このため、医療用電気刺激電極51は、上記第3の実施形態と同様に、血流を阻害しにくく、刺激電極21、22を血管の内壁に安定して押圧することができる。
特に、押圧部55が形成されることで、血管内に挿入する際に、主要な押圧部位が、血管内壁を周方向に3等分する3箇所に形成されているため、より安定した押圧が可能となる。このため、留置位置をより安定させることができるとともに、より安定した電気刺激を行うことができる。
次に、本発明の第5の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図22は、本発明の第5の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図23は、図22におけるR視の側面図である。
医療用電気刺激電極61は、上記第3の実施形態の電極支持体部42に代えて、電極支持体部62を備える。
以下、上記第1および第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
すなわち、基端側線状部20dA、20bC、基端側線状部20bA、20dB、および基端側線状部20dC、20bBの基端側の部位が、弾性部材固定部64によって固定されている。
弾性部材固定部64の位置、長さは、変形時の押圧力のバランスを考慮して適宜設定することができる。
本実施形態では、一例として、各基端側線状部20b、20dにおいて、先端部3b側から2/3までの範囲を固定している。
各弾性部材固定部64は、各線状弾性部材43の外部被覆26同士を融着、溶着したり、接着剤などによって接着したりすることで形成することができる。
なお、弾性部材固定部64は、基端側線状部20b、20dの長手方向に途切れることなく設けてもよいが、長手方向に離間した複数の点状に設けてもよい。
このため、線状部の間の周方向の隙間が広くなるため、血流がより阻害されにくくなる。
次に、本発明の第6の実施形態の医療用電気刺激電極について説明する。
図24は、本発明の第6の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の構成を示す模式的な正面図である。図25は、図24におけるS視の側面図である。図26(a)は、本発明の第6の実施形態の医療用電気刺激電極の電極支持体部の血管内の変形の状態を示す模式図である。図26(b)は、図26(a)におけるT視の側面図である。
医療用電気刺激電極71は、上記第5の実施形態の電極支持体部62に代えて、電極支持体部72を備える。
以下、上記第1および第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
このため、図23に示すように、各弾性部材固定部74よりも先端側には、先端側線状部20cA、20cB、20cCの先端側部分で構成される開口部LPが形成されている。
各弾性部材固定部74は、各線状弾性部材43の外部被覆26同士を融着、溶着したり、接着剤などによって接着したりすることで形成することができる。
各弾性部材固定部74、64の間には、先端側線状部20cの基端側部分と、屈曲部33h、43fと、基端側線状部20b、20dの先端側部分とで構成される押圧部75が形成されている。
図24に示すように、例えば、線状弾性部材43A、43Cによって形成された押圧部75は、先端側線状部20cAの基端側部分と、屈曲部33hAと、基端側線状部20dAの先端側部分とで構成される折れ線部が、周方向の一方に突出されている。
また、先端側線状部20cCの基端側部分と、屈曲部43fBと、基端側線状部20bCの先端側部分とで構成される折れ線部が、周方向の他方に突出されている。
このうち、屈曲部33hA、43fBは、第1部分h1、f1、第3部分h3、f3が、電極支持体部72の周方向に略沿って延ばされ、第2部分h2、f2が、周方向に離間するとともに、軸方向に略平行に延ばされている。
このため、図25に示すように、屈曲部33hA、43fBは、電極支持体部72の最外周に配置されており、血管内に挿入したときに、血管の内壁に確実に当接する部位になっている。
このため、電極支持体部72の外形は、中心軸線Oを回転対称軸として、3回回転対称となる形状を有している。
また、自然状態における開口部LPは、各押圧部75における屈曲部33h、43fよりも径方向内側に形成されている。
なお、図26(a)、(b)では、T視の図示を見やすくするため、内壁V1がやや大径の場合に対応して、各頂部20gがわずかに内壁V1から離れている状態を図示している。
ただし、本実施形態の開口部LPは、弾性部材固定部74によって固定されることにより線長が一定の閉ループ状になっており、径方向に伸縮可能なリング状のばね部材になっている。このため、図示のように、各頂部20gが内壁V1に当接していない状態でも、変形による弾性復元力による反作用が弾性部材固定部74に加わり、押圧部75を径方向外側に付勢している。内壁V1に対する各頂部20gの距離は、各弾性部材固定部74を設ける交差位置を適宜設定して、ばね部材としての剛性を調整することで適宜変更することができる。
このような構成により、各押圧部75は、電極支持体部72における軸方向の先端および基端がそれぞれ2つの線状部によって弾性支持された状態になっており、上記第4の実施形態の押圧部55と同様に、内壁V1を3方向に均等に押圧している。
このように、電極支持体部72では、押圧部75が周方向の3箇所に集約されているため、より強固に押圧することができる。
これにより、刺激電極21、22をより確実に安定して内壁V1に押圧することができる。
このため、医療用電気刺激電極71は、開口部LP’が内壁V1に近接もしくは当接しているため、上記第5の実施形態と同様に、血流を阻害しにくく、刺激電極21、22を血管の内壁に安定して押圧することができる。
特に、押圧部75が形成されることで、血管内に挿入する際に、主要な押圧部位が、血管内壁を周方向に3等分する3箇所に形成されているため、より安定した押圧が可能となる。このため、留置位置をより安定させることができるとともに、より安定した電気刺激を行うことができる。
例えば、上記第2の実施形態のように、刺激電極21、22を屈曲部33hAに設けると、刺激電極21、22の長軸方向(長手方向)と迷走神経の走行方向が交差するため、電極支持体部2の周方向の回転移動に対して安定に刺激可能となるため好ましいが、各屈曲部33hに代えて、上記第3の実施形態の各屈曲部43fを備え、屈曲部43fAに刺激電極21、22を設けることも可能である。
2、32、42、52、62、72 電極支持体部
3 リード部
3a リードチューブ
3b 先端部(リード部の端部)
3d 配線部
8 電気刺激装置
20、20A、20B、20C、33、33A、33B、33C、43、43A、43B、43C 線状弾性部材(線状の弾性部材)
20a、20aA、20aB、20aC、20e、20eA、20eB、20eC 連結端部
20b、20bA、20bB、20bC、20d、20dA、20dB、20dC 基端側線状部(第1の線状部)
20c、20cA、20cB、20cC 先端側線状部(第2の線状部)
20f、20fA、20fB、20fC、20h、20hA、20hB、20hC、33h、33hA、33hB、33hC、43f、43fA、43hB、43hC 屈曲部
20g、20gA、20gB、20gC 頂部
21、22 刺激電極(刺激電極部、電極)
23 ワイヤ部
23a ワイヤ本体
25 配線
26 外部被覆
26a 開口
27 集束部
54、64、74 弾性部材固定部
55、75 押圧部
100 電気刺激システム
b1、d1、c1、c3 基端側領域
b2、d2 先端側領域
f1、h1 第1部分(第3の軸状部)
f2、h2 第2部分(中間軸状部)
f3、h3 第3部分(第4の軸状部)
LP、LP’、LP’’、LP’’’ 開口部
O 中心軸線
O1 第1軸線
O2 第2軸線
O3 第3軸線
P 患者
P2 右外頚静脈(血管)
P3 上大静脈(血管)
P6 迷走神経(神経)
S1 平面(第1の平面)
S2 平面(第2の平面)
S3 平面
V1、V2、V3 内壁
Claims (7)
- 血管内から神経を刺激するための医療用電気刺激電極であって、
血管の内壁を通して電気刺激を与えるための刺激電極部と、
該刺激電極部に電気的に接続された配線を挿通する線状のリード部と、
該リード部の端部に配置され、3以上の線状の弾性部材を組み合わせることにより、前記リード部の端部からその中心軸線に沿って前方に進むにつれて漸次拡径してから略一定の外径に収束する弾性変形可能な籠状に形成され、前記外径は前記血管の内径よりも大きく、前記血管内において前記中心軸線に関する径方向内側に弾性変形することで生じる押圧力によって前記血管の前記内壁を押圧する電極支持体部と、
を備え、
前記弾性部材は、単体の自然状態において、
前記リード部の端部と連結する一対の連結端部を有し、該連結端部のそれぞれから延びて、第1の平面に関して略面対称なループ形状に形成され、
前記第1の平面に直交する第2の平面において、前記第1の平面を挟んで対向する第1の線状部と、
前記第2の平面の側方に張り出す凸状に湾曲した第2の線状部と、
前記第1の線状部の端部と前記第2の線状部の端部とを連結する屈曲部と、
を有し、
前記電極支持体部は、組立状態の自然状態において、
前記中心軸線回りに回転対称となるように配置されるとともに、前記第2の線状部が、隣接する他の第2の線状部と交差することにより、
前記第2の線状部の頂部が前記中心軸線の同心円上に整列するとともに、前記第2の線状部によって前記中心軸線を中心とする伸縮可能な閉ループ状の開口部が形成され、
前記刺激電極部は、前記電極支持体部のうち、前記屈曲部または前記屈曲部の周辺であって、かつ前記血管の前記内壁に接触可能な位置に、前記中心軸線に関して径方向外側に向いて配置された、医療用電気刺激電極。 - 前記刺激電極部は、
対をなす電極が、前記屈曲部の1つにおいて屈曲された部位を間に挟んで配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記屈曲部は、
前記第1の線状部の端部から前記第2の線状部の張り出し方向と反対側に張り出す第3の線状部と、
前記第2の線状部の端部から、該第2の線状部の張り出し方向と反対側に張り出す第4の線状部と、
前記第3の線状部および前記第4の線状部を接続する中間線状部と、
を備えるU字状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記刺激電極部は、
対をなす電極が、前記屈曲部の1つにおいて、前記第3の線状部と、前記第4の線状部に1つずつ配置されている
ことを特徴とする、請求項3に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記弾性部材は、
他の前記弾性部材と、互いの前記中間線状部において固定されている
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記弾性部材は、
他の前記弾性部材と、互いの前記第1の線状部の少なくとも一部において固定されている
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記弾性部材は、
他の前記弾性部材と、互いの前記第2の線状部が交差する位置において固定されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用電気刺激電極。
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