JP6333770B2 - フェロニッケルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェロニッケルの製造方法に関し、より詳しくは、ダストの発生量を抑えて効率的にフェロニッケルを製造することができるフェロニッケルの製造方法に関する。
従来、鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルの一般的な製造方法としては、ニッケルを含有するサプロライト鉱石等のニッケル酸化鉱石(以下、単に「鉱石」ともいう)を原料として、乾燥工程と、焼成予備還元工程と、熔融還元工程と、精製工程とを有する乾式製錬方法が用いられている。
具体的に、乾燥工程では、原料の鉱石を、ロータリーキルンを使用して乾燥させ乾燥鉱石を得る。なお、以下では、この乾燥工程で使用するロータリーキルンを「ロータリードライヤー」ともいう。次に、焼成予備還元工程では、ロータリーキルンを使用して、得られた乾燥鉱石を800〜1000℃程度まで加熱し、その乾燥鉱石に含まれる残りの付着水、並びに結晶水を除去(以下、この処理を「焼成」という)するとともに、鉱石に含まれるニッケルや鉄の一部を還元して(以下、この処理を「予備還元」という)、鉄とニッケルとが部分的に還元された鉱石(以下、「焼鉱」という)を得る。
次に、熔融還元工程では、得られた焼鉱に対して電気炉を使用して熔融還元処理を施し、ニッケルと鉄を含有するフェロニッケルと、シリカとマグネシアを主な成分とするフェロニッケルスラグとを得る。そして、精製工程では、熔融還元により得られたフェロニッケルから、スターラー等の脱硫設備を使用して硫黄等の不純物を除去する。
ここで、鉱石中には、結晶水が10%程度含まれるため、上述した焼成予備還元工程における乾燥鉱石に対する焼成が不十分であると、得られた焼鉱を電気炉に装入したときに、その熔体中に結晶水が持ち込まれることとなる。すると、その結晶水が電気炉内の熔体の中で蒸発して、水蒸気爆発を引き起こす可能性がある。
さて、ロータリードライヤーでの乾燥処理、及び、ロータリーキルンでの焼成予備還元処理において発生し、ロータリードライヤー又はロータリーキルンの排ガスに混じっているダストは、鉱石と同程度のニッケル分を含有する。そのため、ロータリードライヤー又はロータリーキルンに続けて設けられている排ガス処理設備においては、ダストの回収が行われ、回収したダストはロータリーキルン等に繰り返し装入されている。
このようなダストは、未焼成の鉱石、及び、排ガス処理設備で回収した後にロータリーキルンに繰り返したダストの再飛散分である。したがって、そのダスト中には、8%程度の結晶水が含まれている。また、ダストは、嵩密度が0.8以下の粉状であり飛散性が高い。そのため、ダストを電気炉へ直接装入することはできず、上述したようにロータリードライヤーに装入するか、若しくはペレタイザー等によって得られる造粒物をロータリーキルンで焼成させた後に電気炉へ装入するという方法が採られている。
原料の鉱石が粘土質であって自己造粒性を有する鉱石であれば、ダストとなって飛散する割合は少ないと考えられるが、近年は自己造粒性を有している鉱石が少ないため、鉱石からの発生ダスト量も多くなっている。また、回収後に繰り返しロータリーキルンに装入するダストも自己造粒性を持たないため、多くがダストとして再飛散することになる。
また、ダストをペレタイザー等の造粒機で造粒してロータリーキルンに繰り返す方法では、その造粒物が高強度を有するものであれば、ロータリーキルンの転動運動に耐えて再飛散は少なくなるものの、ペレットの強度が例えば5kgf/p未満という低強度の造粒物であると、そのペレットからダストが再飛散してしまう。なお、「kgf/p」とは、1個のペレットの強度を示す単位である。
近年は、鉱石中のニッケル品位が低下しており、従来以上のフェロニッケル生産量を確保するためには、鉱石処理量を増やす必要がある。しかしながら、ロータリーキルンの処理能力はロータリーキルン容積によって決まるため、容易に処理量を増加させることができない。このような状況下で、ダストをロータリーキルンへ繰り返して処理をするということは、繰り返しているダスト分がロータリーキルンの処理能力を圧迫していることを意味していた。
すなわち、繰り返しているダストは結晶水を含むため、焼成工程を経なければ電気炉へ装入できないが、通常の原料鉱石と同じ工程のロータリーキルンにダストを繰り返してしまうと、そのロータリーキルンの鉱石処理量が、必要な鉱石処理量を下回ってしまうことがあった。
特許文献1では、低品位の酸化ニッケル含有原料を用いた場合でも、ニッケル含有量の高いフェロニッケルを安定して高効率でかつ安価に製造できるフェロニッケルの製造方法について開示されている。具体的には、酸化ニッケル及び酸化鉄を含有する原料と炭素質還元剤とからなる混合物を造粒機で塊成化した塊成物(以下、「ブリケット」ともいう)を移動炉床炉内で加熱還元するに際し、塊成物の炉内滞留時間を調整することによってニッケルの金属化率が40%以上、好ましくは85%以上で、かつ鉄の金属化率がニッケルの金属化率より15%以上低い還元塊成物し、ニッケルが鉄より優先的に還元されたこの還元塊成物を溶解炉で溶解することによって、ニッケル含有量の高いフェロニッケルを得る方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているブリケットは、ペレットよりも高強度であることが期待されるものの、濡れ性が低い炭素質還元剤と混合すると、塊成物成型直後の成型性を悪化させ、ベルトコンベヤで搬送するにあたって必要な強度を確保することは困難であった。さらに、フェロニッケル製錬においては、鉱石中のニッケルと鉄との含有比率(Ni/Fe比)、目標とするメタル中のニッケル品位、及びスラグ中の鉄品位から、鉱石乾量基準Tに対する還元剤量が決まっており、原料鉱石に対する還元剤の割合は、鉱石全量中1〜20%程度内で変動させている。したがって、ブリケットの成型性に影響を及ぼす還元剤量は、鉱石組成で変動するため、成型性にも影響を及ぼし、原料鉱石と炭素質還元剤とを混合する工程や得られた混合物を成型する工程における制御を、より困難なものとしていた。
このように工程における制御が困難なために、電気炉に装入することができる強度のブリケットを圧縮成型機や回転炉床炉から得ることは非常に困難であり、このことから、強度の低いブリケットを使用せざるを得ず、搬送系統及び回転炉床炉からのダスト発生量が増えてしまっていた。そして、ダスト発生量が増えるために、還元用の炭剤を含有するブリケットを使用することは難しかった。
特開2004−156140号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、フェロニッケル製錬において、ロータリーキルン等からのダスト発生量を抑え、効率よくフェロニッケルを製造することができるフェロニッケルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、乾燥鉱石を篩別して得られた篩下の粉乾燥鉱石と、ロータリーキルン等から発生するダストとを混合してブリケットとし、回転炉床炉で焼成して得られた焼成ブリケットと、乾燥鉱石を焼成して得られた焼鉱とを電気炉で熔融還元してフェロニッケルを製造することにより、ダストの発生量を効果的に抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、ニッケル酸化鉱石を原料として、ロータリーキルン、回転炉床炉、及び電気炉を使用してフェロニッケルを製造する方法であって、前記ニッケル酸化鉱石を、ロータリーキルンを使用して乾燥させて乾燥鉱石を得る乾燥工程と、前記乾燥鉱石のうちの所定量を、所定の目開きの篩を使用して篩別し、篩上の粒乾燥鉱石と篩下の粉乾燥鉱石とを得る篩別工程と、前記乾燥工程にて得られた乾燥鉱石と、前記篩別工程にて篩別された粒乾燥鉱石と、還元用炭剤とをロータリーキルンに装入して、温度800〜1000℃で焼成するとともに予備還元して焼鉱を得る焼成予備還元工程と、前記篩別工程にて篩別された粉乾燥鉱石と、前記乾燥工程及び前記焼成予備還元工程におけるロータリーキルンから発生したダストとを混合し、混合物からブリケットを成形するブリケット成形工程と、回転炉床炉を使用して、得られたブリケットを温度800〜1100℃で焼成して焼成ブリケットを得るブリケット焼成工程と、前記焼鉱と、前記焼成ブリケットとを、電気炉を使用して熔融還元する熔融還元工程とを有することを特徴とするフェロニッケルの製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記焼成ブリケットを熔融還元するための還元剤を、15〜40kg固定炭素/ブリケット乾量基準Tの割合の量で、前記焼成予備還元工程における前記ロータリーキルンに投入することを特徴とするフェロニッケルの製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記焼成ブリケットを熔融還元するための還元剤を、15〜40kg固定炭素/ブリケット乾量基準Tの割合の量で、前記熔融還元工程における前記電気炉に投入することを特徴とするフェロニッケルの製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記篩別工程では、目開き5〜15mmの篩を使用して篩別することを特徴とするフェロニッケルの製造方法である。
本発明によれば、ロータリーキルン等からのダスト発生量を抑え、効率よくフェロニッケルを製造することができる。
フェロニッケルの製造方法の流れを示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.概要≫
本実施の形態に係るフェロニッケルの製造方法は、ニッケル酸化鉱石を原料として、ロータリーキルン、回転炉床炉、及び電気炉を使用してフェロニッケルを製造する方法である。図1に、このフェロニッケルの製造方法の流れを示す工程図を示す。
本実施の形態に係るフェロニッケルの製造方法は、ニッケル酸化鉱石を乾燥させる乾燥工程S1と、得られた乾燥鉱石のうちの所定量を篩別して粒乾燥鉱石と粉乾燥鉱石とを得る篩別工程S2と、乾燥鉱石と篩別された粒乾燥鉱石と還元用炭剤とをロータリーキルンに装入して焼成するとともに予備還元して焼鉱を得る焼成予備還元工程S3と、粉乾燥鉱石とダストとからブリケットを成形するブリケット成形工程S4と、成形したブリケットを回転炉床炉にて焼成して焼成ブリケットを得るブリケット焼成工程S5と、焼鉱と焼成ブリケットとを電気炉にて熔融還元する熔融還元工程S6とを有する。
このようなフェロニッケルの製造方法によれば、ロータリーキルン等からのダストの発生量を抑えることができ、効率的にフェロニッケルを製造することができる。以下では、各工程について順に説明する。
≪2.フェロニッケルの製造方法の各工程について≫
(1)乾燥工程
乾燥工程S1では、原料であるニッケル酸化鉱石を、ロータリーキルンを使用して乾燥させて乾燥鉱石を得る。なお、以下では、乾燥工程S1における乾燥処理に用いるロータリーキルンを「ロータリードライヤー」という。
ニッケル酸化鉱石としては、一般的に、ラテライト鉱石の数種類をブレンドして調合したものを使用する。乾燥工程S1においては、所定の品位となるようニッケル酸化鉱石を調合した後に、ロータリードライヤーを使用して乾燥し、その原料鉱石に付着する水分を20%程度まで低減させた乾燥鉱石を得る。
(2)篩別工程
篩別工程S2では、得られた乾燥鉱石のうちの所定量を、所定の目開きの篩を使用して篩別し、篩上の粒乾燥鉱石と篩下の粉乾燥鉱石とを得る。なお、粒乾燥鉱石とは、所定の目開きの篩を用いて篩別を行った際に篩上に残留する、その目開きよりも大きい粒径を有する粒状の乾燥鉱石である。粉乾燥鉱石とは、所定の目開きの篩を用いて篩別を行った際に篩を通過して篩下に移行する、その目開き以下の大きさの粉状の乾燥鉱石である。
ここで、上述した乾燥工程S1においてニッケル酸化鉱石を乾燥させて得られた乾燥鉱石は、粒径が大きいものであれば飛散しにくいものの、例えば粒径1〜9mm程度の小さい粉鉱石であると飛散しやすくなる。このことから、この篩別工程S2では、得られた乾燥鉱石を、目開きが5〜15mm、好ましくは5〜10mmの振動篩等の篩機を使用して、篩上の粒乾燥鉱石と篩下の粉乾燥鉱石とに篩別する。
そして、篩別処理を行った乾燥鉱石のうち、飛散しにくい、つまりダストとなりにくい篩上の粒乾燥鉱石のみを次工程の焼成予備還元工程S3に移送して焼成処理を行うようにする。一方で、飛散しやすい篩下の粉乾燥鉱石は、後述するブリケット成形工程S4においてブリケットに成形される。
このように本実施の形態においては、所定量の乾燥鉱石に対して篩別処理を行い、ダストとなりにくい粒乾燥鉱石をロータリーキルンに装入して焼成するようにしている。これにより、その焼成処理に際してロータリーキルンから発生するダストの発生を効果的に抑えることができる。
乾燥工程S1にて得られた乾燥鉱石のうち、この篩別工程S2にて篩別を行う乾燥鉱石の所定量は、原料とするニッケル酸化鉱石の処理量等に応じて適宜調整することが好ましいが、例えば、得られた乾燥鉱石のうちの質量で2〜20%の割合の量とする。
(3)焼成予備還元工程
焼成予備還元工程S3では、乾燥鉱石と、篩別工程S2にて篩別された粒乾燥鉱石と、還元用炭剤とをロータリーキルンに装入して焼成するとともに予備還元して焼鉱を得る。なお、ここでロータリーキルンに粒乾燥鉱石等と共に装入する乾燥鉱石とは、乾燥工程S1において得られた乾燥鉱石であって、篩別工程S2にて篩別処理を行った所定量の乾燥鉱石以外のものである。
ロータリーキルンから排出される焼鉱に結晶水が含まれていると、後工程である熔融還元工程S6で使用する電気炉において水蒸気爆発を引き起こす可能性がある。そのため、焼成予備還元工程S3では、その水蒸気爆発の可能性を回避するために、例えば、焼成温度を800〜1000℃とし、また滞留時間1〜3時間に維持して焼成を行うようにし、これによりニッケル酸化鉱石に残留する結晶水を除去する。
上述のように、焼成予備還元工程S3のロータリーキルンに装入される鉱石は、ダストとなりやすい粒径の小さな粉状の乾燥鉱石の一部を除いたものである。このことから、焼成処理に際してロータリーキルンから発生するダスト量を効果的に抑えることができる。
(4)ブリケット成形工程
ブリケット成形工程S4では、篩別工程S2にて篩別された粉乾燥鉱石と、ダストとからブリケットを成形する。ダストは、乾燥工程S1での乾燥処理に用いたロータリードライヤー、及び、焼成予備還元工程S3での焼成処理に用いたロータリーキルンから発生した排ガスから回収されるダストである。
ここで、ロータリードライヤーを含むロータリーキルンは転動作用を利用しており、ロータリーキルンの内部では鉱石が擦れ合うことによってダストが発生する。また、ロータリーキルンでは、その排出端側又は装入端側に設けられているバーナーの燃焼に必要な空気あるいは酸素を、常時、ロータリーキルン内に供給する必要があるため、発生したダストは内部を流れる空気あるいは酸素によって巻き上げられ、その結果としてダスト発生量は多くなってしまう。
従来、発生したダストは、乾燥鉱石と共に繰り返しロータリーキルンに装入して処理するようにしていた。しかしながら、例えば乾燥鉱石と共にダストをロータリーキルンに装入して焼成予備還元を行った場合、そのロータリーキルンからは、乾燥鉱石及び繰り返したダストの装入量に対して20〜30%の割合で再びダストが発生する。また、ダストをロータリーキルンに繰り返し装入して処理した場合において、その再び発生したダスト成分の内訳としては、繰り返し処理を行っているダストの再飛散分が52%程度、乾燥鉱石を処理したことによる新規ダストが47%程度、還元剤の石炭が1%程度となる。
このように、乾燥鉱石と共に、発生したダストを繰り返し処理すると、新たに装入できる乾燥鉱石の量、すなわちロータリーキルンの鉱石処理量が減少してしまうことになる。
これに対して、本実施の形態においては、ブリケット成形工程S4として、乾燥工程S1で用いたロータリードライヤー、及び、焼成予備還元工程S3で用いたロータリーキルンからそれぞれ発生したダストを回収し、それらダストと、篩別工程S2にて篩別された篩下の粉乾燥鉱石とを混合して混合物を得て、得られた混合物をブリケットに成形する工程を有している。このようなブリケット成形工程S4における処理を行うことで、発生したダストをロータリーキルンに繰り返し装入する場合に生じていた乾燥鉱石の処理量の減少を抑えることができ、効率的にフェロニッケルを製造できる。
また、ブリケット成形工程S4では、発生したダストと、篩別工程S2にて篩別された篩下の粉乾燥鉱石とを混合してブリケットを成形するようにしており、そのブリケットを焼成した後に、焼成ブリケットを熔融還元工程S6の電気炉に装入する。このような処理によれば、得られたブリケットに含まれる粉乾燥鉱石から発生する新規ダスト量や、ブリケットに含まれるダストから再飛散するダスト量を効果的に低減させることができる。
特に、ブリケットを成形するに際しては、還元剤を混合させずに成形させる。このことにより、還元剤に起因するブリケットの強度低下を抑え、高い強度のブリケットを成形することができる。また、篩別工程S2にて篩別された粉乾燥鉱石を用いて、それをいわゆる芯材のようにしてダストと混合させてブリケットを成形しているため、ブリケットの成形性を良好なものとし、より一層に強度の高いものとすることができる。この点においても、新規のダストや、再飛散するダストの発生を効果的に抑えることができる。
なお、ダストと粉乾燥鉱石との混合物の質量比率としては、ブリケットの成形性の観点から、ダスト:粉乾燥鉱石=6:4〜8:2程度であることが好ましい。
(5)ブリケット焼成工程
ブリケット焼成工程S5では、成形したブリケットを、回転炉床炉を用いて焼成して焼成ブリケットを得る。ブリケットに対する焼成条件としては、特に限定されないが、例えば焼成温度を800〜1100℃とし、滞留時間を20〜70分として焼成を行う。
焼成に使用する回転炉床炉では、転動作用がないため、装入物同士の衝突や装入物と内壁面との衝突が起こらない。そのため、ほとんどの装入物が、装入したときの形状のままで焼成されることになる。したがって、例えばロータリーキルンを使用して鉱石を焼成した場合と比較して、そのブリケットを焼成したときのダストの発生率が低い。また加えて、一般的に回転炉床炉の形状はドーナツ型であるため、ロータリーキルンと同程度に焼成させようとした場合、ロータリーキルンと比較して省スペースで設置することができる。さらに、回転炉床炉では、ロータリーキルンと比較して熱効率が良好であるという利点も有している。
具体的に、回転炉床炉としては、一般的なものを用いることができ、炉床回転速度が調整可能であって一定速度で回転させることができる回転炉床炉であればよい。例えば、外径が10〜50m、床幅が1〜5m、高さが500〜1500mm程度の空間を保有する回転炉床炉を使用することができる。また、回転炉床炉に装入するブリケットの鉱層厚さとしては、20〜200mm程度とする。
また、回転炉床炉は、例えば、等間隔で4つのゾーンにバーナーが設置されており、ゾーン[1]で昇温し、ゾーン[2]〜[4]で焼成処理を行う。焼成対象であるブリケットは、回転炉床炉のゾーン[1]の上部から装入され、ゾーン[1]、[2]、[3]、[4]の順番で各ゾーンを一定速度で一周した後、ゾーン[4]に設けられているスクリューにより排出される。
また、回転炉床炉では、燃料として重油、LPG、LNGを使用し、燃料の種類や使用量は、ブリケットの処理量や焼成状態に応じて適宜決めることができる。また、排ガスの出口は、例えば、上述した構造の回転炉床炉におけるゾーン[1]に設け、ゾーン[1]の昇温帯では排ガスも利用して昇温するようにする。なお、回転炉床炉から排出される排ガスは、例えばスプレー冷却塔で冷却され、その後にバグフィルターで集塵する。また、排ガスを、ロ―タリードライヤー等に使用する乾燥用の熱風として装入して廃熱をリサイクルしてもよい。
なお、ブリケットには、ダストに由来する炭素が1〜3%、例えば2%程度含まれるため、このブリケット焼成工程S5ではニッケル金属化率が40%未満の焼成ブリケットが得られる。焼成処理により得られた焼成ブリケットは、既存のロータリーキルンによる焼成予備還元工程から熔融還元工程に焼鉱を搬送するための搬送手段に装入して次工程の熔融還元工程S6に搬送するようにすればよく、したがって既存の設備を有効に活用することができる。具体的には、例えば、ロータリーキルンの焼鉱排出口に続けて設けられているホッパーに、焼成ブリケットを投入することが好ましい。
(6)熔融還元工程
熔融還元工程S6では、焼成予備還元工程S3で得られた焼鉱と、ブリケット焼成工程S5で得られた焼成ブリケットとを、電気炉にて熔融還元する。
ブリケット焼成工程S5にて得られた焼成ブリケットは、上述したように例えばホッパーに投入され、焼成予備還元工程S3にて得られた焼鉱と共に、電気炉へ投入される。電気炉では、ロータリーキルンを経て焼鉱と共に排出された還元用炭剤によって、投入された焼鉱と焼成ブリケットとが熔融還元される。
この電気炉における熔融還元により、フェロニッケルメタルとフェロニッケルスラグとが得られる。
ここで、ブリケットには炭剤等の還元剤を含有させないため、ブリケットに含まれるダストに由来する炭素比率は2%程度となる。したがって、ブリケットは焼成後にほとんど還元されていない。そのため、ブリケット焼成工程S5にて得られた焼成ブリケットを熔融還元工程S6にて還元するためには、ブリケット還元用の還元剤が必要となる。
このことから、ブリケット還元用の還元剤として、ブリケット乾量基準Tに対して15〜40kgの固定炭素(「15〜40kgの固定炭素/ブリケット乾量基準T」と表記する)を、例えば焼成予備還元工程S3におけるロータリーキルンに、通常の乾燥鉱石の部分還元のために添加する還元剤量に追加して装入することが好ましい。なお、装入に際しては、ロータリーキルンの装入端、もしくは投炭設備から装入することが好ましい。
また、ブリケット還元用として追加装入する還元剤は、乾燥した炭剤、例えばコークスを用いて、熔融還元工程S6における電気炉に投入してもよい。ただし、コークスの価格は石炭価格と比較して1.5〜3倍程度でありコストが増加するため、上述したように15〜40kg固定炭素/ブリケット乾量基準Tの石炭を、焼成予備還元工程S3におけるロータリーキルンに投入する方がより好ましい。
このように、焼成ブリケットと、その焼成ブリケットの量に見合う還元剤が追加で投入されて電気炉において熔融還元が行われることによって、より効果的に且つ効率的にフェロニッケルを製造することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るフェロニッケルの製造方法によれば、ロータリーキルン等からのダストの発生量を効果的に抑えることができ、効率よくフェロニッケルを生産することができる。
以下、本発明の実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(乾燥工程)
原料としてのニッケル酸化鉱石を、ロータリードライヤーを使用して乾燥させることによって、付着水の水分率が20%の乾燥鉱石を得た。
(篩別工程)
次に、得られた乾燥鉱石の20%を見開き10mmの篩を使用して篩上と篩下に篩別し、篩上に別けられた粒乾燥鉱石と、篩下に別けられた粉乾燥鉱石とを得た。
(焼成予備還元工程)
篩別処理を行わなかった乾燥鉱石と、篩別されて得られた篩上の粒乾燥鉱石と、還元用炭剤としての石炭とをロータリーキルンに装入し、焼成温度800℃、滞留時間3時間の条件で焼成予備還元を行い、焼鉱を得た。
(ブリケット成形工程)
一方、篩別処理で別けられた篩下の粉乾燥鉱石と、乾燥処理で用いたロータリードライヤー及び焼成予備還元処理で用いたロータリーキルンからそれぞれ発生したダストとを混合し、その混合物を圧縮成形機(一般的には、「ブリケットマシーン」ともよぶ)を使用してブリケットを成形した。なお、ダストと粉乾燥鉱石との混合物の質量比率としては、ダスト:粉乾燥鉱石=7:3となるように混合し、ブリケットを成形した。
(ブリケット焼成工程)
次に、成形したブリケットを回転炉床炉により焼成した。具体的には、回転炉床炉において、ブリケットを5wt/hの速度で回転移動させ、焼成温度を850℃、滞留時間を30分の条件として焼成させた。その結果、結晶水分が完全に除去された焼成ブリケットが得られた。なお、焼成ブリケットのニッケル金属化率は2%であった。
(熔融還元工程)
そして、焼鉱と、焼成ブリケットと、還元用炭剤とを電気炉へ装入して熔融還元処理を施し、フェロニッケルメタルとフェロニッケルスラグとを得た。なお、焼鉱、並びに焼成ブリケットから結晶水が完全に除かれていたため、電気炉からの排ガス中の水分濃度が増加するといった水蒸気爆発が起こる兆候は認められなかった。
このようなフェロニッケルの製造操業において、ロータリーキルン及び回転炉床炉を合せたダストの発生率は15%となり、低い水準で抑えることができた。そして、このダスト発生率の低下に伴い、効率よくフェロニッケルを得ることができた。なお、ここでいうダスト発生率とは、次式で求められる値の百分率を意味する。
「ダスト発生率」
=ロータリーキルン及び回転炉床炉から発生したダスト重量
/ロータリーキルン及び回転炉床炉への装入物総重量
このことは、篩別処理により得られた篩下の粉乾燥鉱石を用いてダストと共に混合し、さらには還元用炭剤を添加せずにブリケットを成形したことによって、高い強度のブリケットを得ることができたため、ダストの発生を抑えることができたと考えられる。
[実施例2]
焼成予備還元工程において、そのロータリーキルンに、回転炉床炉で焼成させるブリケット乾量基準Tに対して還元用石炭を30kg固定炭素の割合(「30kg固定炭素/ブリケット乾量基準T」と表記する)で装入したことを除き、実施例1と同様にしてフェロニッケルの製造操業を行った。
その結果、電気炉から効率良くフェロニッケルを得ることができた。また、ダストの発生率も実施例1と同様に15%と低い水準となった。
[比較例1]
篩別工程、ブリケット成形工程、ブリケット焼成工程を行わなかったことを除き、実施例1と同様にしてフェロニッケルの製造操業を行った。
その結果、ダスト発生率が22%と高い水準となり、実施例1に比べてフェロニッケルの生産効率は8%低下した。
[参照例1]
ブリケット焼成工程において、成形したブリケットを回転炉床炉に装入し、焼成温度を600℃、滞留時間を30分とした条件で焼成を行い、得られた焼成ブリケットを電気炉へ装入したことを除き、実施例1と同様にしてフェロニッケルの製造操業を行った。
その結果、電気炉からの排ガス中のHO濃度が上昇し、水蒸気爆発の可能性が出てきたため操業を中断した。
[参照例2]
焼成予備還元工程において、乾燥鉱石と、篩別された篩上の粒乾燥鉱石と、還元用炭剤とをロータリーキルンに挿入し、焼成温度を600℃、滞留時間を1時間とした条件で焼成を行い、得られた焼鉱を電気炉へ装入したことを除き、実施例1と同様にしてフェロニッケルの製造操業を行った。
その結果、電気炉からの排ガス中のHO濃度が上昇し、水蒸気爆発の可能性が出てきたため操業を中断した。

Claims (4)

  1. ニッケル酸化鉱石を原料として、ロータリーキルン、回転炉床炉、及び電気炉を使用してフェロニッケルを製造する方法であって、
    前記ニッケル酸化鉱石を、ロータリーキルンを使用して乾燥させて乾燥鉱石を得る乾燥工程と、
    前記乾燥鉱石のうちの所定量を、所定の目開きの篩を使用して篩別し、篩上の粒乾燥鉱石と篩下の粉乾燥鉱石とを得る篩別工程と、
    前記乾燥工程にて得られた乾燥鉱石と、前記篩別工程にて篩別された粒乾燥鉱石と、還元用炭剤とをロータリーキルンに装入して、温度800〜1000℃で焼成するとともに予備還元して焼鉱を得る焼成予備還元工程と、
    前記篩別工程にて篩別された粉乾燥鉱石と、前記乾燥工程及び前記焼成予備還元工程におけるロータリーキルンから発生したダストとを混合し、還元剤を混合せず、該粉乾燥鉱石とダストとの混合物からブリケットを成形するブリケット成形工程と、
    回転炉床炉を使用して、得られたブリケットを温度800〜1100℃で焼成して焼成ブリケットを得るブリケット焼成工程と、
    前記焼鉱と、前記焼成ブリケットとを、電気炉を使用して熔融還元する熔融還元工程と
    を有することを特徴とするフェロニッケルの製造方法。
  2. 前記焼成ブリケットを熔融還元するための還元剤を、15〜40kg固定炭素/ブリケット乾量基準Tの割合の量で、前記焼成予備還元工程における前記ロータリーキルンに投入することを特徴とする請求項1に記載のフェロニッケルの製造方法。
  3. 前記焼成ブリケットを熔融還元するための還元剤を、15〜40kg固定炭素/ブリケット乾量基準Tの割合の量で、前記熔融還元工程における前記電気炉に投入することを特徴とする請求項1に記載のフェロニッケルの製造方法。
  4. 前記篩別工程において、目開き5〜15mmの篩を使用して篩別することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフェロニッケルの製造方法。
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