JP6331480B2 - インバータ装置及びプラズマ発生装置 - Google Patents

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Description

この発明は、入力電圧をスイッチングして昇圧トランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、二次側の出力巻線から交流電圧を出力するインバータ装置、及びそれを用いたプラズマ発生装置に関する。
大型プラズマディスプレー用放電管、プラズマ発生装置など、種々の放電装置に交流高電圧を供給するためにインバータ装置が用いられている。
例えば、大気圧プラズマは、表面処理の一つの手段として、被処理材の表面改質や汚染物の除去等、種々の工業製品の価値向上に応用されている。樹脂等に接着や印刷、コーティング等を施す場合に、大気圧プラズマにより前処理を施すことによって濡れ性を向上させ、それらを容易に且つ確実に行うことが可能になる。
その大気圧プラズマを発生させるためには高電圧が必要である。そのための電源装置としては、商用電源からの交流を全波整流及び平滑した直流、もしくは直流成分に脈流が重畳された電圧を昇圧して高電圧を発生させる装置がある。
入力電圧Vinから所要の出力電圧Voutを得るためには、数10倍から数100倍の昇圧比nが必要となる。
これを実現するためには、コッククロフトウオルトン回路(Cockcroft-Walton circuit)等のN倍整流回路がある。しかし、この回路はコンデンサによる充放電で行うものであるため、瞬間的な単発出力は引き出せるが、連続的に出力電力を取り出すことは困難である。
そのため、安定した高電圧出力を得るには、一般に、入力電圧をスイッチングしてトランスの一次側の励磁巻線に断続的に励磁電流を流し、二次側の出力巻線に交流高電圧を発生させるインバータ装置が使用される。
しかし、上述のように高い昇圧比の高電圧を得るためには、励磁巻線と出力巻線との巻数比が大きな大型のトランスを使用しなければならない。
トランスを決定する一般定義は次式のように表記される。すなわち、励磁巻線の巻数Np、励磁巻線に流れる電流Ip、および出力巻線の巻数Noutは、次式で求められる。
Np= Vin・Ton/Ae・B
Ip=Nout・Iout/Np
Nout =Vout・Np・Ton/Vin
ここで、Ton:時比率(sec) Ae:コアの実効断面積(cm
B:磁束密度(gauss) Vin:入力電圧(V)
Vout:出力電圧(V) Iout:出力電流(A)
これらの定義から分かるように、励磁巻線の巻数Npは、トランスの持つコアの磁束密度Bもしくは実効断面積Aeとの関係が反比例となっているため、それらによって制約されてしまう。励磁巻線の巻数Npは、なるべく少ない正の整数であることが必要になってくる。しかし、その巻数が少ないとコアの磁束密度Bが大きくなり、損失が増大すると共に磁気飽和の方向に進み、トランスとしての機能がなくなってしまう。また、逆に巻数が多すぎると巻線長さが増えるため、そこに流れる電流による損失が増加してしまう。
図11に示すフェライトコアのB−Hカーブから、コアの磁束密度Bは、ΔBで示す特定の範囲のみで磁界の強さHに略比例して変化し、磁界の強さHがΔHで示す範囲を超えると磁気飽和になる。したがって、この範囲でのみトランスとして機能することになる。B−Hカーブにおいて、磁界の強さHが増加する時と減少する時の経路に囲まれた部分の面積(斜線部)が、一般的にはヒステリシス損(鉄損)といわれる。
このような理由で、励磁巻線の巻数Npは特定の範囲のみとなり、トランスから引き出せる出力は、この励磁巻線の巻数Npとコアの磁束密度Bとの兼ね合いにかかっているが、結果的には特定の範囲に限定される。
磁束密度Bが必要十分に取り出せればトランスの特性低下が生じない。しかし現実的にはコアの材料(例えばフェライト0.2〜0.3tesla、珪素鋼板1tesla:ただし使用したい周波数による、アモルファス1tesla、パーマロイ等がある)により磁束が不足する。
このような問題を解決するために、本発明者は先に、特許文献1に記載されている高電圧インバータ装置を提案した。
その高電圧インバータ装置は図12に示すように、磁路が全く違う別個のコアを持ち、同じ特性を持つ複数のトランスT1,T2によって昇圧トランスを構成する。
そして、制御回路ICによってオン・オフ制御されるスイッチング素子Qswによって入力電圧Vinをスイッチングして、その各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に同時に励磁電流を流して励磁させる。その複数のトランスT1,T2の各出力巻線Nout,Nout(sub)を互いに直列に接続して、その両端の出力電圧Voutを出力端子OUTから出力させる。
そのスイッチング素子Qswが周期的にオン・オフ動作したときに発生する各部の電圧及び電流波形を、図13のタイミングチャートに示す。
ここで、Vgsはスイッチング素子Qswのドライブ電圧(ゲート・ソース間電圧)、VNp1、VNp2は励磁巻線Np1、Np2の電圧、Idsはスイッチング素子Qswのドレイン・ソース間に流れる電流、すなわち励磁巻線Np1、Np2に流れる励磁電流の合成電流、Vdsはスイッチング素子Qswのドレイン・ソース間電圧である。
そして、スイッチング素子Qswがターンオフしたときに、トランスT1の出力巻線Noutに出力電圧VNoutが、トランスT2の出力巻線Nout(sub)に出力電圧VNout(sub)が発生し、その波形の時間軸が同期している。その二つの電圧波形が重畳された出力電圧Voutが出力端子OUTから出力される。
このように、複数のトランスT1、T2の励磁巻線Np1、Np2に同時に励磁電流を流し、ターンオフ時にその各出力巻線Nout,Nout(sub)に発生する電圧を電圧加算によって積み上げて昇圧する。したがって、各トランスの励磁巻線に偏磁が生じることがなく、トランス全体として出力巻線の巻数を多くすることができるので、昇圧比が高い高電圧を連続して、安定にしかも安全に得ることができる。
しかし、この高電圧インバータ装置では、交番される出力電圧は正方向が主成分である。
スイッチング素子QswがON期間、すなわち各トランスの励磁巻線Np1、Np2に同時に励磁電流を流している期間は、各トランスに励磁エネルギーを貯めている期間であり、出力電圧は発生しない。
そのため、表面改質処理を行うための大気圧プラズマ放電を連続して安定に発生させる場合等に必要になる、波高値が10kV以上のような高電圧で大きなエネルギーの電力を十分効率よく得ることは困難であるという問題があった。
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、インバータ装置を大型化することなく、トランスの磁束密度不足を招かずに、高電圧で大きなエネルギーの電力を効率よく得られるようにすることを目的とする。
この発明によるインバータ装置は上記の目的を達成するため、入力電圧をスイッチングして昇圧トランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、その昇圧トランスの二次側の出力巻線から交流電圧を出力するインバータ装置において、上記昇圧トランスを第1のトランス群と第2のトランス群によって構成し、その第1、第2の各トランス群を、それぞれ同数の同一の特性を持つ個別の複数のトランスによって構成し、その複数の各トランスの励磁巻線を並列に接続して同時に励磁されるようにする。
そして、上記第1、第2の各トランス群の上記複数のトランスの各出力巻線を、いずれも互いに直列又は並列に接続し、上記各トランス群の互いに直列又は並列に接続した出力巻線の各一端を互いに接続した中点を接地し、各他端を負荷に出力電圧を出力する一対の出力端子に個別に接続し、上記第1、第2の各トランス群の各トランスの互いに直列又は並列に接続した出力巻線の両端間にそれぞれスイッチ素子を接続する。
さらに、上記第1のトランス群の各トランスの励磁巻線にのみ第1の励磁電流を流す制御と、上記第2のトランス群の各トランスの励磁巻線にのみ第2の励磁電流を流す制御とを交互に行うことを、所定の周期で繰り返し行うスイッチング制御手段を設け、上記第1のトランス群の各出力巻線と上記第2のトランス群の各出力巻線に、上記中点に対して逆極性の電圧を交互に発生させる。
その際、上記スイッチング制御手段が、上記第1の励磁電流を流す期間は前記第1のトランス群の上記出力巻線の両端間に接続したスイッチ素子をオン状態にし、上記第2の励磁電流を流す期間は上記第2のトランス群の上記出力巻線の両端間に接続したスイッチ素子をオン状態にするようにした。
この発明によれば、インバータ装置を大型化することなく、トランスの磁束密度不足を招かずに、高電圧で大きなエネルギーの電力を効率よく得ることができる。
この発明によるインバータ装置の第1の実施形態の回路図である。 図1における負荷2がプラズマ放電を発生する放電部である場合の構成例を示す図である。 図1における制御回路15が出力する二つのスイッチング信号Sp1,Sp2の波形図である。 図1のインバータ装置の第1、第2のトランス群によって発生する電圧+Vout,−Voutとそれらによる出力電圧Voutの電圧波形の例を示す波形図である。 従来のインバータ装置とこの発明によるインバータ装置の出力電圧波形を簡略化して比較する波形図である。 この発明によるインバータ装置の第2の実施形態の回路図である。 この発明によるインバータ装置の第3の実施形態の回路図である。 この発明によるインバータ装置の第4の実施形態の回路図である。 この発明によるインバータ装置の第5の実施形態の回路図である。 この発明によるインバータ装置の第6の実施形態の回路図である。 一般的なトランスのコアのB−Hカーブの例を示す線図である。 先に提案した高電圧インバータ装置の構成例を示す回路図である。 図12に示した高電圧インバータ装置の動作中の各部の電圧波形の変化を示すタイミングチャートである。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔第1の実施形態〕
まず、この発明によるインバータ装置の第1の実施形態について詳細に説明するが、それは他の実施形態にも殆ど共通している。
図1はその第1の実施形態のインバータ装置の構成を示す回路図である。このインバータ装置1は、入力端子11a,11b間に入力される入力電圧Vinをスイッチングして、昇圧トランス10の一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、その昇圧トランス10の二次側の出力巻線から交流電圧を出力するインバータ装置である。
そして、昇圧トランス10を、第1のトランス群10Aと第2のトランス群10Bとによって構成し、その第1、第2の各トランス群10A,10Bを、それぞれ同数の同一の特性を持つ個別の複数のトランスT1,T2とT3,T4によって構成している。
その第1のトランス群10Aの複数の各トランスT1,T2の励磁巻線Np1とNp2を並列に接続し、第1の励磁電流iaを流してトランスT1,T2が同時に励磁されるようにしている。また、第2のトランス群10Bの複数の各トランスT3,T4の励磁巻線Np3とNp4も並列に接続して、第1の励磁電流iaとは逆方向に第2の励磁電流ibを流して、トランスT3,T4が同時に励磁されるようにしている。
一方、第1、第2の各トランス群10A,10Bのそれぞれ複数のトランスT1,T2及びT3,T4の各出力巻線Ns1とNs2及びNs3とNs4を、いずれも互いに直列に接続している。その各トランス群10A,10Bにおける出力巻線Ns1とNs2の直列回路及び出力巻線Ns3とNs4の直列回路の互いに隣接する一端を接続した中点mをグランドGNDに接続して接地している。そして、第1のトランス群10Aの出力巻線Ns1とNs2の直列回路の他端である端点aを出力端子12aに接続し、第2のトランス群10Bの出力巻線Ns3とNs4の直列回路の他端である端点bを出力端子12bに接続している。出力端子12a,12bは、負荷2に出力電圧を出力する一対の出力端子である。
この場合、一方の出力端子12aは、グランドGNDに接続された中点mに対して負の出力電圧−Voutを出力する負側出力端子となる。他方の出力端子12bは、同じく中点mに対して正の出力電圧+Voutを出力する正側出力端子となる。
その一方の出力端子12aと他方の出力端子12bの間の電圧を出力電圧Voutとして、負荷2に出力する。
このインバータ装置1がプラズマ発生装置の電源部である場合、負荷2は、例えば図2に示すような放電電極21とカウンタ電極22を有する放電部であり、負荷容量Coを有する。その放電電極21とカウンタ電極22の間に出力電圧Voutを印加することによってプラズマ放電を発生する。出力端子12a,12bにこの負荷2を接続したときに流れる電流を図1にIoで示す。
図2に示す放電部(負荷2)は、複数本(図示の例では15本)の放電電極21と、それに対向するカウンタ電極22と、その放電電極21とカウンタ電極22との間に介在する誘電体23とによって構成されている。
放電電極21は、この例では銅やアルミニウム等の導電性のよい金属線21aの周囲に、誘電体(絶縁体)21bを被覆した丸棒状に形成されている。そして、複数本の放電電極21が、平板状のカウンタ電極22の対向面22aに平行な面内で、図2で左右方向に互いに隣接する電極同士の外周が接するように並んで、紙面に垂直な方向に延びて配列されている。各放電電極21の直径(φ)は、例えば8mm程度である。各放電電極21の金属線21aは互いに導通するように接続されている。
カウンタ電極22は、銅やアルミニウム等の導電性のよい金属による平板状の電極であり、放熱板も兼ねている。そのカウンタ電極22の放電電極21との対向面22aに、シリコン系シート等の誘電体23を被着している。図2においては、分り易くするためにカウンタ電極22と誘電体23との間に隙間を設けているが、実際には接着等によって密着している。
放電電極21と誘電体23との間も間隔を拡げて示しているが、実際には、表面改質を施す印刷用紙等のシート材が通過できる程度の隙間があればよい。
このように構成した負荷2である放電部の各放電電極21とカウンタ電極22との間に、インバータ装置1の出力端子12a,12bから実効値が6KV以上の出力電圧Voutが、給電線24,25によって印加される。
それによって、各放電電極21とカウンタ電極22との間の大気圧中で、大気圧プラズマ放電の一種である沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電による誘電体バリヤ放電を発生させることができる。放電電極21とカウンタ電極22との間に印加する電圧は、正負逆転してもその作用効果に殆ど差異はない。
この放電部(負荷2)内を、シート材を一点鎖線の矢印Fで示すように誘電体23に沿って搬送して通過させることによって、その表面が上述した誘電体バリヤ放電によって生成されるラジカルやイオンなどの活性種に触れて改質が進行する。
それは、プラズマにより、空気中の成分やシート材自体に含まれている成分によって形成される種々の親水性官能基等の基が、シート材の表面に形成されて表面エネルギーが高くなることによって進行する。
例えば、電子写真方式による画像形成装置により樹脂トナーが印刷された印刷物に、紫外線硬化型のニスをコーティングしようとすると、樹脂トナーに含まれるワックス成分により、樹脂トナー印刷部分のニスを弾いてしまう場合がある。しかし、大気圧プラズマによる表面処理を行うと濡れ性が向上するため、均一なニスコーティングが可能になり、印刷物の付加価値が向上する。
しかし、この発明によるプラズマ発生装置の放電部の構成は上述した構成に限るものではなく、種々の変更が可能である。また、コロナ放電によってプラズマを発生する装置や、多少ガスが入った低圧雰囲気でプラズマ放電を発生する装置にも適用可能である。
ところで、図1に示したインバータ装置1においては、入力電圧Vinが入力する入力端子11aと11bの間に、第1のトランス群10AのトランスT1,T2の励磁巻線Np1とNp2を並列に接続した回路に直列にスイッチング素子Q1を接続している。同じくその入力端子11aと11bの間に、第2のトランス群10BのトランスT3,T4の励磁巻線Np3とNp4を並列に接続した回路に直列にスイッチング素子Q2を接続している。
したがって、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に、入力電圧Vinによって第1の励磁電流iaを流す経路に直列に第1のスイッチング素子Q1を設けている。また、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に、入力電圧Vinによって第2の励磁電流ibを流す経路に直列に第2のスイッチング素子Q2を設けている。
その各スイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに、制御回路15から出力する矩形波状のスイッチング信号Sp1,Sp2を印加して、各スイッチング素子Q1とQ2を交互にオン・オフさせる。
この二つのスイッチング素子Q1,Q2と制御回路15とによってスイッチング制御手段を構成している。
そのスイッチング制御手段によって、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2にのみ第1の励磁電流iaを所定期間流す制御と、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4にのみ第2の励磁電流ibを所定期間流す制御とを交互に行なうことを、所定の周期で繰り返す。
したがって、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaを流す期間には、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4には第2の励磁電流ibを流さない
そして、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaを流さない期間に、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に、第1の励磁電流iaとは逆向に第2の励磁電流ibを流す。
第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaを流している期間は、各トランスT1,T2に電磁エネルギーを蓄積する。そして、その励磁電流iaがオフになった期間に、各出力巻線Ns1,Ns2に、そのインダクタンスと浮遊容量及び負荷容量Coとによる共振によって高電圧を誘起する。
第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に第2の励磁電流ibを流している期間も、各トランスT3,T4に電磁エネルギーを蓄積する。そして、その励磁電流ibがオフになった期間に、各出力巻線Ns3,Ns4に、そのインダクタンスと浮遊容量及び負荷容量Coとによる共振によって高電圧を誘起する。
この場合、第1、第2の各トランス群10A及び10B内における、複数の各トランスT1とT2、T3とT4の各出力巻線に発生する出力電圧波形の時間軸が同期していることが望ましい。
スイッチング素子Q1,Q2は、この実施形態ではMOS形電界効果トランジスタ(MOSFET)を使用しているが、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などを使用してもよい。
制御回路15は入力電圧Vinによって動作し、スイッチング素子Q1,Q2をオン・オフ制御する二つのスイッチング信号Sp1,Sp2を発生する発振回路を備えている。
二つのスイッチング信号Sp1,Sp2は、その波形を図3に示すように、同じ周期Tを有する矩形波パルスであるが、ハイレベルになる期間tq1,tq2が等しく、位相が1/2周期以上ずれている。すなわち、
tq1=tq2≦0.5T
の条件が必須となる。この条件からはずれると、励磁インダクタンスに蓄えるエネルギーのバランスを崩し、共振からずれてしまう。また、正負の出力電圧が異なる状態になる。
このスイッチング信号Sp1がハイレベルになる期間tq1にスイッチング素子Q1がオンになり、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaが流れる。
このスイッチング信号Sp2がハイレベルになる期間tq2にスイッチング素子Q2がオンになり、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に第2の励磁電流ibが流れる。
そして、スイッチング素子Q1がオフになり、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaが流れない期間に、その出力巻線Ns1,Ns2に中点mに対して負の出力電圧が発生する。同様に、スイッチング素子Q2がオフになり、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に第2の励磁電流ibが流れない期間に、その出力巻線Ns3,Ns4に中点mに対して正の出力電圧が発生する。
すなわち、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2と、第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4に、接地された中点mに対して逆極性の電圧を交互に発生させる。
第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2と第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4における、各励磁巻線と出力巻線の巻き始め及び巻き方向の関係と、励磁電流を流す方向とによって、各出力巻線に発生する電圧が中点mに対して同極性の電圧になる場合と、逆極性の電圧になる場合とが生じる。
この実施形態では、励磁巻線Np1,Np2に流す第1の励磁電流iaと励磁巻線Np3,Np4に流す第2の励磁電流ibの向きを逆にしている。それによって、出力巻線Ns1,Ns2に発生する電圧は中点mに対して負極性に、出力巻線Ns3,Ns4に発生する電圧は中点mに対して正極性になるように、各トランスの励磁巻線と出力巻線の巻方向が設定されている。
ここで、図3におけるtq1,tq2が、tq1=tq2=0.45T の場合について、第1のトランス群10Aの出力電圧−Vout、第2のトランス群10Bの出力電圧+Voutと、出力端子12a,12b間の出力電圧Voutの電圧波形を図4に示す。(B)が第1のトランス群10Aの出力電圧−Vout(破線の波形)と、第2のトランス群10Bの出力電圧+Vout(実線の波形)を示し、(A)が出力端子12a,12b間の出力電圧Voutの波形を示す。
出力電圧Voutは、各トランス群10A,10Bの出力電圧−Voutと+Voutの波形を重畳した波形になる。そのため、各トランス群10A,10Bの出力電圧−Voutと+Voutがそれぞれ負又は正に偏った波高値−8KV又は+8KV程度の半波の脈流に近い波形であっても、出力端子間の出力電圧Voutは波高値が±12KV程度の略連続した交流波形になる。
図5は、従来のインバータ装置とこの発明によるインバータ装置の出力電圧波形を簡略化して比較する波形図である。
(A)は、図12及び図13によって説明した特許文献1に記載されたインバータ装置による出力電圧Voutの波形例を示す。この場合は、スイッチング素子Qswのスイッチング周期T(周波数f)のうち、全トランスの一次側ON時間すなわち励磁電流を流す時間は、トランスに励磁エネルギーを貯めている期間であり、出力電圧は発生しない。
したがって、全トランスの一次側OFF時間にのみ、正の出力電圧(+Vpeak)を発生する。したがって、1周期内で出力電圧がない時間の比率が高くなり、十分な電力を得にくい。
(B)は図1に示したインバータ装置による出力電圧Voutの波形例を示す。この場合も、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周期Tのうち、第1のトランス群10Aの一次側ON時間tq1には、トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に第1の励磁電流iaを流す。その期間には、トランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2には出力電圧が発生しない。しかし、その期間には第2のトランス群10BのトランスT3,T4の励磁電流がOFFになるので、その出力巻線Ns3,Ns4に、中点mに対して端点b側に正の出力電圧(+Vpeak)が発生する。
また、第2のトランス群10Bの一次側ON時間tq2には、トランスT3,T4の励磁巻線Np3,Np4に第2の励磁電流ibを流す。その期間には、トランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4には出力電圧が発生しない。しかし、その期間には第1のトランス群10AのトランスT1,T2の励磁電流がOFFになるので、その出力巻線Ns1,Ns2に、中点mに対して端点a側に負の出力電圧(−Vpeak)が発生する。
したがって、1周期内で出力電圧がない時間の比率が極めて小さくなり、負荷に供給する出力電力は図5の(B)に示す交番波形の網点部分の面積に比例するので、図1に示したインバータ装置によれば、正負で2倍の電力が得られることになる。
図1に示した実施形態において、第1のトランス群10AのトランスT1,T2と第2のトランス群10BのトランスT3,T4のいずれか一方の極性を逆にするか、トランスT1,T2とT3,T4に同じ方向の励磁電流を交互に流すようにしてもよい。その場合、図5の(C)に示すように正側のみ、あるいはそれを反転した負側のみの全波整流波形のような出力電圧波形を得ることが可能である。
図1の実施形態では、昇圧トランス10を、それぞれ2個のトランスからなる第1、第2のトランス群10A,10Bによって構成して、プッシュプル方式のように正負の電圧波形を分担して出力するようにしている。そのため、各トランスの出力巻線の巻数Nsは1/2で済む。それによって、磁束密度の不足や出力巻線を巻くための窓枠面積が大きくなるという問題を解決することができる。
各トランス群のトランスの数は2個に限るものではなく、2個以上でもよい。但し、各トランス群におけるトランスの数は同数であることが必要である。したがって、昇圧トランス10を構成するトランスの数は、4個、6個、8個など、4個以上の偶数個になる。
そのトランスの数をn個とすると、昇圧トランス10の出力インダクタンスLsは、次式によって求められる。
Ls=AL・(Ns/2)・(Ns/2)・n (H)
ここで、ALは各トランスのインダクション係数であり、AL=μ・Ae/L で、
μはコアの透磁率、Lは磁路長、Aeは実効断面積である。
そして、上述した実施形態のようにn=4の場合、
Ls=AL・Ns・Ns(H)
となり、正又は負の一方の電圧波形の出力電圧を得る場合の昇圧トランスの出力インダクタンスLsと同一値となる。
各トランス群の励磁電流がそれぞれOFFになったときに、この出力インダクタンスLsと、各出力巻線間に分布もしくは寄生する静電容量Cs及び負荷容量Co との合成容量とによって、そのトランス群の二次側に並列共振が発生する。それによって、高電圧で交番される出力電圧(+−Vout)を出力端子間に出力する。
これらのことは、以下に説明する他の実施形態においても同様である。
〔第2の実施形態〕
この発明によるインバータ装置の第2の実施形態を図6に示す。
なお、以下の各実施形態を示す図6〜図10の回路図においても、図1の各部と対応する部分には同一の符号を付し、相違する点のみを説明する。各実施形態のインバータ装置及び昇圧トランスには相違点もあるが、便宜上、全てインバータ装置1及び昇圧トランス10とする。
図6に示す第2の実施形態のインバータ装置1が図1に示した第1の実施形態と相違する点は、第1のトランス群10AのトランスT1,T2の各出力巻線Ns1とNs2、および第2のトランス群10BのトランスT3,T4の各出力巻線Ns3とNs4を、それぞれ互いに並列に接続した点だけである。
この場合、第2の実施形態のインバータ装置1は第1の実施形態のインバータ装置1に比べて、第1のトランス群10Aによる負の出力電圧−Voutの波高値、および第2のトランス群10Bによる正の出力電圧+Voutの波高値は小さくなる。したがって、交番する出力電圧Voutの実効値は約1/2になるが、負荷電流Io の値は約2倍になるので、出力電力は同等である。
したがって、同じ電力でも大きな電流が必要な場合は、このように各トランス群を構成する複数のトランスの出力巻線を互いに並列に接続するとよい。
また、他の各実施形態においてもこの実施形態と同様に、第1、第2のトランス群10A,10Bを構成する各トランスT1,T2の各出力巻線Ns1とNs2、各トランスT3,T4の各出力巻線Ns3とNs4を、それぞれ互いに並列に接続してもよい。
〔第3の実施形態〕
この発明によるインバータ装置の第3の実施形態を図7に示す。
この第3の実施形態のインバータ装置1は、第1、第2のトランス群10A,10Bの各トランスT1〜T4の出力巻線Ns1〜Ns4を全て直列に接続し、その中点mをグランドGNDに接続せず、出力端子12aに接続する端点aをグランドGNDに接続する。
そして、第1、第2のトランス群10A,10Bの各トランスT1〜T4の励磁巻線Np1〜Np4に流す第1の励磁電流iaと第2の励磁電流ibを、図1の第1の実施形態と同様に制御する。それによって、第1のトランス群10AにおけるトランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2の直列回路には、グランド側の端点aに対して中点m側に正のピーク波形の電圧を発生させる。第2のトランス群10BにおけるトランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4の直列回路には、中点mに対して端点b側に1/2周期ずれた正のピーク波形の電圧を発生させる。
したがって、図5の(C)に示したように、スイッチングの1周期T内で、第1のトランス群10Aによる正のピーク波形の電圧と、第2のトランス群10Bによる正のピーク波形の電圧とが約1/2周期ずつ発生する。そのため、出力端子12a,12b間の出力電圧Voutは、正の全波整流波形のような脈流電圧波形になる。それによって、図7の矢示方向に負荷電流Io が流れる。
この場合、第1の実施形態による図5の(B)に示した正負のピークを有する交番電圧波形に比べて、出力電圧Voutの振幅は1/2になるが、同図の(C)に示した波形の網点部分の面積に比例する出力電力は、第1の実施形態の場合と同等である。
第1の励磁電流ia及び第2の励磁電流ibを、図7に示した方向と反対向きに流すか、あるいは各トランスT1〜T4の励磁巻線Np1〜Np4又は出力巻線Ns1〜Ns4の巻き方向を逆にすれば、出力電圧Voutの極性を負にすることもできる。
その場合は、第1のトランス群10AにおけるトランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2の直列回路には、グランド側の端点aに対して中点m側に負のピーク波形の電圧が発生する。第2のトランス群10BにおけるトランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4の直列回路には、中点mに対して端点b側に1/2周期ずれた負のピーク波形の電圧が発生する。
したがって、図5の(C)に示した波形を負側に反転したように、スイッチングの1周期T内で、第1のトランス群10Aによる負のピーク波形の電圧と、第2のトランス群10Bによる負のピーク波形の電圧とが約1/2周期ずつ発生する。そのため、出力端子12a,12b間の出力電圧Voutは、負の全波整流波形のような脈流電圧波形になり、負荷電流Io は図7に示した向きとは逆向きに流れることになる。
あるいは、図7における出力端子12a側の端点aに代えて出力端子12b側の端点bをグランドに接続して接地しても、出力電圧Vout が上記と同様に負の全波整流波形のような脈流電圧波形になる。
〔第4の実施形態〕
この発明によるインバータ装置の第4の実施形態を図8に示す。
この第4の実施形態のインバータ装置1は図8に示すように、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の各励磁巻線Np1,Np2流す第1の励磁電流iaの向きを、これまでの各実施形態の場合と反対向きにしている。したがって、第1の励磁電流iaの向きが、第2のトランス群10BのトランスT3,T4の各励磁巻線Np3,Np4に流す第2の励磁電流ibと同じになる。
また、前述した第3の実施形態と同様に、第1、第2のトランス群10A,10Bの各トランスT1〜T4の出力巻線Ns1〜Ns4を全て直列に接続し、その中点mをグランドGNDに接続せず、出力端子12aに接続する端点aをグランドGNDに接続する。
それによって、第1の励磁電流iaがOFFの期間には、第1のトランス群10AのトランスT1,T2の各出力巻線Ns1,Ns2の直列回路に、グランドGND側の端点aに対して中点m側に負のピーク波形の電圧が発生する。また、第2の励磁電流ibがOFFの期間には、第2のトランス群10BのトランスT3,T4の各出力巻線Ns3,Ns4の直列回路に、中点mに対して端点b側に1/2周期ずれた正のピーク波形の電圧が発生する。
この場合、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2と第2のトランス群10Bの各トランスT3,T4における励磁巻線と出力巻線の巻き始め及び巻き方向の関係は、前述した各実施形態の場合と同じとする。
この第4の実施形態によれば、スイッチングの1周期T内で、グランドGNDに対して第1のトランス群10Aによる負のピーク波形の電圧と、第2のトランス群10Bによる正のピーク波形の電圧とが約1/2周期ずつ発生する。そのため、出力端子12a,12b間の出力電圧Voutは、図5の(B)に示したような正負に交番する波形になるが、負荷2に流れる負荷電流Ioが交互に反転することになる。
このようにしても、図1に示した第1の実施形態のインバータ装置1と同様な交流高電圧の出力電圧±Vout を負荷2に供給することができる。
図8における出力端子12a側の端点aに代えて出力端子12b側の端点bをグランドに接続して接地しても、同様の出力電圧±Vout が得られる。
あるいは、中点mをグランドに接続し、端点aと端点bは負荷2に接続するだけにしても、同様な波形の出力電圧±Vout が得られる。
なお、第1の励磁電流iaと第2の励磁電流ibの向きが反対である図7に示した第3の実施形態においても、第1のトランス群10Aの各トランスT1,T2の極性を逆にすれば、第4の実施形態と同様になる。
すなわち、図7に示した方向に第1の励磁電流iaを流しても、それをOFFにしたときにトランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4の直列回路に、グランドGNDに対して中点m側に負のピーク波形の電圧を発生させるように、励磁巻線又は出力巻線の巻き始め及び巻き方向を逆にすればよい。その場合も、出力電圧Voutの波形は図5の(B)に示したようになる。
〔第5の実施形態〕
この発明によるインバータ装置の第5の実施形態を図9に示す。
この第5の実施形態のインバータ装置1の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態のインバータ装置1と同じである。しかし、その場合に発生する偏磁の影響を軽減するための改善を加えている。
図1に示した第1の実施形態等の正負の電圧波形の出力電圧を負荷2に供給するインバータ装置1では、正側と負側で同じだけトランスの磁束変化が起こるはずであるが、実際にはいずれか一方に偏る現象があり、それを偏磁という。それは、負荷2の電極構造により、正波形の電圧が印加される場合と負波形の電圧が印加される場合とで負荷電流値が若干変わるためかと推察される。
また、図1に示した第1の実施形態のインバータ装置1では、図4の(B)に示したように、第1のトランス群10Aによって負のピーク波形の高電圧を出力している期間に、第2のトランス群10Bも波高値が半分程度の負の電圧を出力している。第2のトランス群10Bによって正のピーク波形の電圧を出力している期間に、第1のトランス群10Aも波高値が半分程度の正の電圧を出力している。
そのため、第1、第2のトランス群10A,10Bに各トランスに励磁電流が流れている期間に蓄えるエネルギーにロスが生じ、励磁電流がOFFになったときに出力巻線に発生する出力電圧が低下する(波高値が小さくなる)。
図9に示す第5の実施形態のインバータ装置1は、これらの点を改善するための手段を設けている。
そのため、第1、第2の各トランス群10A,10Bの互いに直列に接続した出力巻線Ns1とNs2の両端間及び出力巻線Ns3とNs4の両端間に、それぞれスイッチ素子S1,S2を接続している。
そして、制御回路15が、スイッチング素子Q1をONにして第1の励磁電流iaを流す期間はスイッチ素子S1をオン状態にし、スイッチング素子Q2をONにして第2の励磁電流ibを流す期間はスイッチ素子S2をオン状態にする。
すなわち、制御回路15がスイッチング信号Sp1,Sp2によってスイッチング素子Q1又はQ2をそれぞれオンにするタイミングに同期して、ゲートパルスP1又はP2を出力してスイッチ素子S1又はS2もそれぞれオンにする。
この実施形態では、各スイッチ素子S1,S2はサイリスタ又はSCRのような3端子半導体スイッチ素子であり、ゲートに印加されるゲートパルスP1,P2がハイレベルになると、アノードとカソード間に順方向の電圧が印加されるとその順方向に導通する。したがって、その順方向である所定の方向にのみ電流を流す。
ゲートパルスP1,P2がローレベルになると、アノードとカソード間の順方向の電圧が無くなるとオフに戻ってそのままになる。
このインバータ装置1は、第1の励磁電流iaがOFFになると、第1のトランス群10AのトランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2に発生する中点mに対して端点a側に負の波形の電圧によって、図9に破線矢印で示すように負荷2に電流を流す。このとき、スイッチ素子S2がその電流を流す方向に導通するので、負荷電流はスイッチ素子S2を通り、トランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4は通過しない。
また、第2の励磁電流ibがOFFになると、第2のトランス群10BのトランスT3,T4の出力巻線Ns3,Ns4に発生する中点mに対して端点b側に正の波形の電圧によって、図9に細実線矢印で示すように負荷2に電流を流す。このとき、スイッチ素子S1がその電流を流す方向に導通するので、負荷電流はスイッチ素子S1を通り、トランスT1,T2の出力巻線Ns1,Ns2は通過しない。
このように、第1、第2のトランス群10A,10Bのうち、出力電圧を発生しなくてよい方、すなわち励磁電流を流してエネルギーを蓄えている方のトランスの出力巻線の直列回路の両端間を導通状態にして、その出力巻線に不要な電圧が発生しないようにする。
それによって、蓄積エネルギーのロスがなくなり、そのトランス群の各トランスの励磁電流がOFFになったときに、その出力巻線に波高値の大きな電圧を出力させることができる。また、これによって、偏磁の影響も軽減することができる。
スイッチ素子S1,S2として、サイリスタやSCRのような3端子半導体スイッチ素子を使用すれば、オン状態のときに完全に短絡するのでなく、所定の方向にのみ電流を流す導通状態にすることができるので好ましい。
このスイッチ素子S1,S2の代わりに、正又は負の出力巻線間に転流ダイオードを設け、各出力巻線の短絡を防止するためのカップリングコンデンサを介挿して、正もしくは負の交流出力電圧のみを出力させるようにしてもよい。
カップリングコンデンサの代わりに、整流ダイオードを設けて、それぞれ正又は負の交流の脈流と正又は負の直流を含んだ出力電圧を出力するようにしてもよい。
〔第6の実施形態〕
この発明によるインバータ装置の第6の実施形態を図10に示す。
この第6の実施形態のインバータ装置1の構成は、殆ど図1に示した第1の実施形態のインバータ装置1と同じである。第1の実施形態と異なる点は、正側の入力端子11bと、昇圧トランス10を構成する各トランスT1〜T4の各励磁巻線Np1〜Np4の共通接続点dとの間に、インダクタCHを介挿した点だけである。そのインダクタCHのインダクタンスを、各トランスT1〜T4の一次側インダクタンスLpの1倍から100倍にする。それによって、各トランススT1〜T4の入力側のd点を交流的にフローティングにする。
トランスの偏磁は正もしくは負のどちらか一方に偏る傾向が、負荷の変化、実装パターン、トランスのほんの少しの特性の偏りなどによって出てしまう傾向がある。そのため、各トランスT1〜T4の励磁巻線Np1〜Np4に、入力電圧Vin(交流又は直流あるいは脈流)を直接印加するのではなく、インダクタCHを通して印加する。
これによって、励磁電流を流さない方のトランスの励磁巻線は両端側がフローティング状態になるため、ON,OFFいずれも入力電圧にクランプされる電力帰還が回避される。すなわち、トランスの偏磁力が回避される。
インダクタCHの代わりにコンデンサを介挿しても、同様の効果を得ることができる。
また、トランスの入力電圧を、正もしくは負の出力を得るために正負2電源にして、偏磁を無くしたシングルの複合型にすることもできる。
〔補足説明〕
この発明によるインバータ装置は2石コンバータであるが、このようなコンバータは、BHカーブの第一、第三象限を使用し、鉄損も2倍に増大する。一般にはこのような状態で出力すると使用磁束密度が不足し、電力がとれない。しかし、この発明では使用磁束密度の不足を回避するために、トランスの磁路を少なくても二つに分け、使用機器の仕様に応じた高電圧の高出力を得られるようにするため、昇圧トランスを2群構成にした簡単な回路で、トランスを2個ずつ増やして対応可能になる。
また、1群構成のトランスで、正又は負のいずれか一方の電圧波形を出力する場合と、出力電圧の波高値は同一であることから、昇圧トランスを2群構成にした場合は、トランスの出力巻線の巻数Nsが1/2で済むことになる。
そして、同じスイッチング周期でも、出力電圧の発生周期は1/2になり、休止時間が殆ど無くなるので、最大2倍の放電エネルギーを引き出せる。
したがって、インバータ装置をあまり大型化することなく、トランスの磁束密度不足を招かずに、高電圧で大きなエネルギーの電力を効率よく得ることができる。
そのため、この発明によるインバータ装置の出力電圧を、放電電極とカウンタ電極を有する放電部に印加するプラズマ発生装置は、放電部で連続的に効率よくプラズマを発生させることができる。
そのプラズマ発生装置が発生するプラズマによって、シート材の表面改質を行なう表面改質装置によれば、短時間で効率よく均一に表面改質を行なうことができる。
この発明によるインバータ装置は、プラズマ発生装置とそれを利用した表面改質装置だけではなく、半導体ウエハー接着装置、画像処理機器、塗装装置、蛍光ランプ等の照明機器、空気清浄機、鶴首の放電機器、液晶TVのバックライト用放電灯、除菌装置など、種々の装置に交流高電圧を供給する高電圧電源装置として使用可能である。
以上、この発明の各実施形態について説明してきたが、その実施形態の各部の具体的な構成や処理の内容等は、そこに記載したものに限るものではない。
また、この発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された技術的特徴を有する以外は、何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
さらに、以上説明してきた各実施形態の構成例、動作例及び変形例等は、適宜変更又は追加し、あるいは一部を削除してもよく、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施することも可能であることは勿論である。
1:インバータ装置 2:負荷(放電部) 10:昇圧トランス
10A:第1のトランス群 10B:第2のトランス群 11a,11b:入力端子
12a,12b:出力端子 15:制御回路 21:放電電極
21a:金属線 21b:誘電体(絶縁体) 22:カウンタ電極
22a:カウンタ電極22の対向面 23:誘電体 24,25:給電線
T1〜T4:トランス Np1〜Np4:励磁巻線 Ns1〜Ns4:出力巻線
Q1,Q2:スイッチング素子 Sp1,Sp2:スイッチング信号
S1,S2:スイッチ素子 P1,P2:ゲートパルス CH:インダクタ
Vin:入力電圧 Vout:出力電圧
特開2012−186984号公報

Claims (6)

  1. 入力電圧をスイッチングして昇圧トランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、該昇圧トランスの二次側の出力巻線から交流電圧を出力するインバータ装置において、
    前記昇圧トランスを第1のトランス群と第2のトランス群によって構成し、
    該第1、第2の各トランス群を、それぞれ同数の同一の特性を持つ個別の複数のトランスによって構成し、該複数の各トランスの励磁巻線を並列に接続して同時に励磁されるようにし、
    前記第1、第2の各トランス群の前記複数のトランスの各出力巻線を、いずれも互いに直列又は並列に接続し、該第1、第2の各トランス群の互いに直列又は並列に接続した出力巻線の各一端を互いに接続した中点を接地し、各他端を負荷に出力電圧を出力する一対の出力端子に個別に接続し、
    前記第1、第2の各トランス群の各トランスの互いに直列又は並列に接続した出力巻線の両端間にそれぞれスイッチ素子を接続し、
    前記第1のトランス群の各トランスの励磁巻線にのみ第1の励磁電流を流す制御と、前記第2のトランス群の各トランスの励磁巻線にのみ第2の励磁電流を流す制御とを交互に行うことを、所定の周期で繰り返し行うスイッチング制御手段を設け、前記第1のトランス群の各出力巻線と前記第2のトランス群の各出力巻線に、前記中点に対して逆極性の電圧を交互に発生させ
    前記スイッチング制御手段が、前記第1の励磁電流を流す期間は前記第1のトランス群の前記出力巻線の両端間に接続したスイッチ素子をオン状態にし、前記第2の励磁電流を流す期間は前記第2のトランス群の前記出力巻線の両端間に接続したスイッチ素子をオン状態にするようにしたことを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記各スイッチ素子が、オン状態のときに所定の方向にのみ電流を流す3端子半導体スイッチ素子であることを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記スイッチング制御手段が、前記第1のトランス群の各トランスの励磁巻線に前記入力電圧によって前記第1の励磁電流を流す経路に直列に設けた第1のスイッチング素子と、前記第2のトランス群の各トランスの励磁巻線に前記入力電圧によって前記第2の励磁電流を流す経路に直列に設けた第2のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを所定の周期で交互に一方をオンにし、他方をオフにするように制御する制御回路とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のインバータ装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のインバータ装置において、
    前記入力電圧を、前記第1、第2の各トランス群の各トランスの励磁巻線のインダクタンス以上のインダクタンスを有するインダクタを通して、該各トランスの励磁巻線に印加するようにしたことを特徴とするインバータ装置。
  5. 前記第1、第2の各トランス群内における、前記複数の各トランスの各出力巻線に発生する出力電圧波形の時間軸が同期していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のインバータ装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のインバータ装置と、該インバータ装置の前記負荷として前記出力電圧が印加される放電電極とカウンタ電極を有する放電部を備え、前記放電電極とカウンタ電極との間でプラズマ放電を発生することを特徴とするプラズマ発生装置。
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