JP6317967B2 - Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品 - Google Patents

Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品 Download PDF

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Description

本発明は、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品に適した、高い強度、良好な導電性、優れた曲げ加工性、および優れた耐応力緩和性を有する銅合金板材、およびその製造方法に関する。また、その銅合金板材を用いた通電部品に関する。
電気・電子部品を構成するコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの通電部品には、基本的特性として「強度」および「導電性」に優れることが要求される。特に近年、電気・電子部品は高集積化、小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って素材である銅および銅合金には薄肉化の要求が高まっている。そのため、素材に要求される「強度」のレベルは一層厳しいものとなっている。具体的には引張強さ850MPa以上、好ましくは900MPa以上、更に好ましくは950MPa以上の強度レベルが望まれる。また、部品の薄肉化は電気抵抗の増大に繋がるため、高強度化と同時に「導電性」についても高く維持される必要がある。具体的には導電率35%IACS以上、好ましくは38%IACS以上、更に好ましくは40%IACS以上の導電性レベルが望まれる。
強度と導電性の特性バランスに比較的優れた銅合金として、Cu−Ni−Si系銅合金(いわゆるコルソン合金)や、それにCoを添加したCu−Ni−Co−Si系銅合金がある。これらの合金系では比較的高い導電率(30〜50%IACS)を維持しながら800MPa以上の引張強さに調整することができ、最近では850MPa以上、あるいは更に900MPa以上といった高強度化の技術も開発されている。
一方、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの通電部品を製造する過程では、通常、曲げ加工が施される。従って、通電部品用の銅合金板材には優れた「曲げ加工性」が要求される。最近では特に部品の小型化ニーズが高く、それに対応するためには従来にも増して厳しい曲げ加工に耐えうる性能が望まれる。しかし、強度と曲げ加工性は一般にトレードオフの関係にあり、これらを高いレベルで両立させることは必ずしも容易ではない。
また、自動車用部品などでは高温環境での耐久性が要求され、特に通電部品の小型・薄肉化の進展によりジュール熱の発生も増大しやすくなる。従って、昨今では「耐応力緩和性」についての需要性も増している。応力緩和とは、電気・電子部品を構成する素材のばね部の接触圧力が、常温では一定の状態に維持されても、比較的高温(例えば100〜200℃)の環境下では時間とともに低下するという、一種のクリープ現象である。そのため、過度の結晶粒微細化は耐応力緩和性の向上にはマイナスとなり、強度や曲げ加工性と、耐応力緩和性を同時に高レベルで改善することについても容易ではない。
特許文献1には、粗大析出物の生成を抑制したCu−Ni−Co−Si系銅合金が記載されている。導電率は41%IACS以上と比較高く、曲げ加工性も良好であるが、0.2%耐力は600〜770MPa程度である。
特許文献2には、5〜10μmの極めて粗大な析出物の個数密度を制限したCu−Ni−Co−Si系銅合金が記載されている。0.2%耐力810〜910MPaで、曲げ加工性の良好なものが得られているが、耐応力緩和性については不明である。
特許文献3には、粒径0.1〜1μmの第二相粒子の個数密度を制限したCu−Ni−Co−Si系銅合金が記載されている。0.2%耐力912MPaの例が示されており、耐応力緩和性に関する記載もあるが、曲げ加工性は不明である。
特許文献4には、1〜10μmの析出物の個数密度を制限したCu−Ni−Co−Si系銅合金が記載されている。曲げ加工性の改善が図られているが、引張強度が低く、耐応力緩和性は不明である。
特許文献5には、析出物の数などを規定したCu−Ni−Co−Si系銅合金が記載されている。強度、導電性、曲げ加工性および耐応力緩和性の改善が図られているが、板厚が0.15mm未満と薄い場合にも安定して上記各特性を高いレベルで改善するための手段としては、まだ十分とはいえない。
特開2007−169765号公報 特開2008−248333号公報 特開2009−242890号公報 特開2011−214087号公報 特開2011−84764号公報
C.S.Smith: Trans.AIME,175(1948),p.15
上述のように、強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和性については、これまで種々の改善手法が提案されているが、これらの同時改善は容易でないのが現状である。
本発明は、板厚が0.15mm未満と薄い場合にも安定して強度、導電性、曲げ加工性、および耐応力緩和性を同時に高いレベルで改善した銅合金板材を提供することを目的とする。
発明者らは詳細な研究の結果、所定組成のCu−Ni−Co−Si系銅合金において、溶体化処理に先立ち、予め軽く時効処理を施しておくことにより、結晶粒径の適正化を図りながら最終的に直径500nm以上の第二相粒子の個数密度が極めて少ない組織状態とすることが可能であることを見出した。この知見に基づき、上記目的を達成することに成功した。
すなわち本発明では、質量%で、Ni:1.0〜3.5%、Co:0.5〜1.0%、Si:0.35〜1.25%、Fe:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mg:0〜0.2%、Mn:0〜0.2%、Ti:0〜0.5%、V:0〜0.3%、Zr:0〜0.2%、Sn:0〜0.2%、Zn:0〜0.5%、Al:0〜0.2%、B:0〜0.05%、P:0〜0.1%、Ag:0〜0.1%、希土類元素:0〜0.1%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、(Ni+Co)/Si質量比が3.4〜4.2であり、Fe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Agおよび希土類元素の合計含有量が0〜1.0質量%である組成を有し、直径500nm以上の第二相粒子の個数密度が104個/mm2以下である銅合金板材が提供される。板面(圧延面)について圧延方向に対し直角方向に測定した切断法による平均結晶粒径は例えば5〜25μmである。最大直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度は例えば100個/mm2以下であり、10個/mm2以下であることがより好ましい。第二相粒子の最大直径が1000nm未満であることが一層好ましい。
第二相粒子の個数密度、平均結晶粒径は、それぞれ以下の測定方法に従う。なお、第二相粒子の最大直径が1000nm未満であるか否かの判定は、直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度の測定によって行うことができる。
〔第二相粒子の個数密度の測定方法〕
板面(圧延面)を研磨しエッチングした表面のSEM観察において、合計5000〜7000μm2の観察領域を設定し、その領域面積内に粒子の全体が存在するすべての第二相粒子のうち、粒子を取り囲む最小円の直径が500nm以上(または1000nm以上)である粒子の個数をカウントし、その個数を観察領域の面積で除した値を1mm2当たりの個数密度に換算し、その値を「直径500nm以上(または1000nm以上)の第二相粒子の個数密度(個/mm2)」とする。
〔平均結晶粒径の測定方法〕
板面(圧延面)を研磨しエッチングした表面の光学顕微鏡観察によりJIS H0501の切断法で圧延方向に対し直角方向の既知長さの線分によって完全に切られる結晶粒数を数えることにより平均結晶粒径を求める。ただし、測定対象の結晶粒の総数を100個以上とする。双晶境界は結晶粒界とみなさない。
上記銅合金板材において、板の圧延方向の0.2%耐力は850MPa以上、導電率は35%IACS以上とすることができる。上記銅合金板材の板厚は例えば0.02mm以上0.15mm未満である。また、板の圧延方向をLD、圧延方向と板厚方向に直角の方向をTDとするとき、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値がLD、TDとも1.0以下となる曲げ加工性を有する銅合金板材がより好適な対象となる。
上記の銅合金板材の製造方法として、上記組成を有する時効処理前の中間製品板材に対して、保持温度400〜500℃、保持時間1〜20hの条件範囲内で加熱保持を施して硬さ200HV以上の組織状態とする工程(中間時効処理工程)、
800〜1020℃で溶体化処理を施す工程(溶体化処理工程)、
400〜500℃で時効処理を施す工程(時効処理工程)、
を上記の順に有する製造方法が提供される。
上記製造方法において、中間時効処理工程に供する前記中間製品板材として、熱間圧延を経た後、圧延率70%以上で冷間圧延された板材を適用することができる。中間時効処理工程後、溶体化処理工程前に、圧延率70%以上で冷間圧延を施す工程(溶体化前冷間圧延工程)を実施することができる。時効処理工程後に、圧延率15%以上の冷間圧延を施す工程(仕上冷間圧延工程)を実施することができる。仕上冷間圧延を施した場合は、その後、150〜550℃での低温焼鈍を施す工程(低温焼鈍工程)を実施することが好ましい。
また本発明では、上記の銅合金板材を材料に用いた通電部品が提供される。
本発明によれば、Cu−Ni−Co−Si系銅合金の板材において、直径500nm以上の第二相粒子の存在量が極めて少なく、かつ平均結晶粒径が5〜25μmに調整された組織状態を得ることができる。これにより、板厚0.15mm未満の場合にも安定して強度、導電性、曲げ加工性、および耐応力緩和性を同時に高いレベルで改善することが可能となった。従来、当該合金系で、このような同時改善は困難であった。本発明は、今後ますます小型化、薄肉化の進展が予想されるコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品として有用である。
本発明例No.1の板材における板面研磨面のSEM写真。 本発明例No.2の板材における板面研磨面のSEM写真。 比較例No.21の板材における板面研磨面のSEM写真。
《合金組成》
本発明では、Co含有量が0.5〜1.0質量%の範囲にあるCu−Ni−Co−Si系銅合金を対象とする。以下、合金成分に関する「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
Niは、Ni−Co−Si系析出物を形成して、銅合金板材の強度と導電性を向上させる。Ni−Co−Si系析出物は(Ni、Co)2Siを主体とする化合物であると考えられる。本明細書では、マトリックス中に存在するこのような異相粒子を「第二相粒子」と呼んでいる。強度向上に有効な微細な第二相粒子を十分に分散させるためには、Ni含有量を1.0%以上とする必要があり、1.5%以上とすることがより好ましい。一方、Niが過剰である場合は粗大な析出物が生成しやすく、熱間圧延時に割れやすい。Ni含有量は3.5%以下とする必要があり、3.0%以下、あるいは2.5%以下に管理してもよい。
Coは、Ni−Co−Si系の析出物を形成して、銅合金板材の強度と導電性を向上させる。強度向上に有効な微細な第二相粒子を十分に分散させるためには、Co含有量を0.5%以上とする必要がある。ただし、Co含有量が多くなると、製造条件を調整しても直径500nm第二相粒子の個数密度が非常に少ない所望の金属組織を得ることが難しくなる。本発明ではCo含有量を1.0%以下の範囲に厳しく制限する。0.6〜0.95%の範囲内で調整してもよい。
Siは、Ni−Co−Si系析出物を生成する。強度向上に有効な微細な第二相粒子を十分に分散させるためには、Si含有量を0.35%以上とする必要があり、0.42%以上とすることがより好ましい。0.50%以上と得ることが一層効果的である。一方、Siが過剰である場合は粗大な析出物が生成しやすく、熱間圧延時に割れやすい。Si含有量は1.25%以下とすることが好ましい。
Ni、Co、Siの含有量バランスについては、一般的に(Ni、Co)2Siの析出物の組成比に近づけることが好ましいとされるが、本発明では種々検討の結果、(Ni+Co)/Si質量比が3.4〜4.2となるように成分調整する。3.4〜4.2の範囲で調整してもよい。この範囲とすることが、粗大析出物の生成を抑え、最終的に高い強度と良好な導電性を得るうえで好バランスである。
その他の元素として、必要に応じてFe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Ag、希土類元素(REM)、Be等を含有させることができる。これらの元素の含有量範囲は、Fe:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mg:0〜0.2%、Mn:0〜0.2%、Ti:0〜0.5%、V:0〜0.3%、Zr:0〜0.2%、Sn:0〜0.2%、Zn:0〜0.5%、Al:0〜0.2%、B:0〜0.05%、P:0〜0.1%、Ag:0〜0.1%、希土類元素:0〜0.1%とすることが好ましい。
Cr、B、P、Zr、Al、Ti、Mn、Vは合金強度を更に高め、かつ応力緩和を小さくする作用を有する。Sn、Mgは耐応力緩和性の向上に有効である。Znは銅合金板材のはんだ付け性および鋳造性を改善する。Fe、Cr、Zr、Ti、Mn、Vは不可避的不純物として存在するS、Pbなどと高融点化合物を形成しやすく、また、B、P、Zr、Tiは鋳造組織の微細化効果を有し、熱間加工性の改善に寄与しうる。Agは導電率をあまり低下させずに固溶強化に寄与する。の効果を有する。希土類元素としてはCe、La、Dy、Nd、Yなど、ミッシュメタルに含まれる元素が挙げられる。これら希土類元素は結晶粒の微細化や析出物の分散化に有効である。
Fe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Agおよび希土類元素の1種または2種以上を含有させる場合は、それらの合計含有量を0.01%以上とすることがより効果的である。ただし、多量に含有させると、熱間または冷間加工性に悪影響を与え、かつコスト的にも不利となる。これらの元素の総量は1.0%以下の範囲に制限され、0.5%以下、あるいは0.2%以下の範囲の範囲で調整してもよい。
《金属組織》
〔第二相粒子〕
本発明では、直径500nm以上の第二相粒子の量を厳しく制限する。Cu−Ni−Co−Si系銅合金の、特に板厚の薄い板材において強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和性の同時改善を図るには、単に直径1μm程度以上の第二相粒子の量を制限するだけでは不十分であり、さらに粒径の小さい、直径500〜1000nmの粒子についても極力除去すべきであることが明らかとなった。例えば、最終製品の板厚が0.3mmおよび0.06mmの場合を比較すると、板材中に直径3μmの第二相粒子が存在しているとすると、その粒子はそれぞれ板厚の1/100および1/20を占めることになる。板厚が薄い場合にはμmオーダーの極めて粗大な第二相粒子は、特に強度、曲げ加工性、耐応力緩和性を著しく低下させる要因となるのである。
発明者らの詳細な検討によれば、直径500nm以上の第二相粒子の個数密度が、前述の測定方法に従う値で、104個/mm2(すなわち1mm2あたり1万個以下)と極めて少量にコントロールされているとき、後述の結晶粒径の適正化と相俟って、例えば板厚0.15mm未満といった薄板で、強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和性を同時に高レベルに改善することが可能になる。直径500nm以上の第二相粒子の個数密度は6.0×103個/mm2以下であることがより効果的である。
また、直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度が100個/mm2以下であることが好ましく、10個/mm2以下のものや、5個/mm2以下のものがより好ましい対象となる。特許請求の範囲に、第二相粒子の最大直径が、前述の測定方法に従う値で、1000nm未満であることがより好ましい。後述の製造方法によって、直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度を上記のように極めて低減することができる。なお、強度向上に有効な第二相粒子は直径数nm〜数十nmの微細粒子である。この種の微細第二相粒子がマトリックス中に十分に分散しているかどうかについては、板材の0.2%耐力に反映される。
〔平均結晶粒径〕
平均結晶粒径が小さいほど強度や曲げ加工性の向上に有利であるが、平均結晶粒径が小さすぎると耐応力緩和性が悪くなりやすい。種々検討の結果、最終的に平均結晶粒径が5μm以上の値であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。特に8μmを超える値であれば、車載用コネクタの用途でも満足できるレベルの耐応力緩和性を確保しやすく、好適である。ただし、結晶粒径が大きくなりすぎると曲げ部表面の肌荒を起こりやすく、曲げ加工性の低下を招く場合があるので、上述の測定方法に従う平均結晶粒径は25μm以下の範囲に制限される。20μm以下、あるいは15μm以下の範囲に調整することがより好ましい。
最終的な平均結晶粒径は、溶体化処理後の段階における結晶粒径によってほぼ決まってくる。本発明に従う製造方法では、後述するように、中間時効処理によって予めある程度の微細第二相粒子を分散析出させた後に、溶体化処理を行う。溶体化処理では既に分散して存在している微細第二相粒子によるピンニング効果が発揮されて結晶粒の粗大化が防止され、最終的に上記の平均結晶粒径範囲に調整された銅合金板材を効率的に実現することができる。
《特性》
〔強度・導電性〕
Cu−Ni−Si系銅合金を用いて電気・電子部品の更なる小型化、薄肉化に対応するには、圧延方向(LD)の0.2%耐力850MPa以上の強度レベルが望まれる。880MPa以上であることがより好ましく、900MPa以上がであることがさらに好ましく、930MPa以上が特に好ましい。一方、通電部品の薄肉化のためには、導電性が良好であるも重要な要件となる。具体的には、導電率35%IACS以上であることが望ましく、38%IACS以上、更には40%IACS以上であることがより好ましい。
〔曲げ加工性〕
曲げ加工性については、板の圧延方向(LD)、圧延方向と板厚方向に直角の方向(TD)のいずれにおいても、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が1.0以下であることが望ましい。このMBR/tがLD、TDともに0.5以下であることがより好ましい。ここで、「LDのMBR/t」とはLDが長手方向となるように切り出した曲げ加工試験片で評価される、曲げ軸がTD(いわゆるG.W.)でのMBR/tである。「TDのMBR/t」とはTDが長手方向となるように切り出した曲げ加工試験片で評価される、曲げ軸がLD(いわゆるB.W.)でのMBR/tである。
〔耐応力緩和性〕
耐応力緩和性については、車載用コネクタなどの用途ではTDの値が特に重要であるため、ここでは長手方向がTDである試験片を用いて、以下の方法で求めた応力緩和率で評価する。
銅合金板材から長手方向がTDの曲げ試験片(幅10mm)を採取し、試験片の長手方向における中央部の表面応力が0.2%耐力の80%の大きさとなるようにアーチ曲げした状態で固定する。上記表面応力は次式により定まる。
表面応力(MPa)=6Etδ/L0 2
ただし、
E:弾性係数(MPa)
t:試料の厚さ(mm)
δ:試料のたわみ高さ(mm)
この状態の試験片を大気中150℃の温度で1000時間保持した後の曲げ癖から次式を用いて応力緩和率を算出する。
応力緩和率(%)=(L1−L2)/(L1−L0)×100
ただし、
0:治具の長さ、すなわち試験中に固定されている試料端間の水平距離(mm)
1:試験開始時の試料長さ(mm)
2:試験後の試料端間の水平距離(mm)
この応力緩和率が5%以下のものは、車載用コネクタとして高い耐久性を有すると評価され、3%以下であることが特に好ましい。
《製造方法》
以上説明した銅合金板材は、例えば以下のような製造工程により作ることができる。
「溶解・鋳造→熱間圧延→冷間圧延→中間時効処理→溶体化前冷間圧延→溶体化処理→時効処理→仕上冷間圧延→低温焼鈍」
なお、上記工程中には記載していないが、熱間圧延後には必要に応じて面削が行われ、各熱処理後には必要に応じて酸洗、研磨、あるいは更に脱脂が行われる。以下、各工程について説明する。
〔溶解・鋳造〕
連続鋳造、半連続鋳造等により鋳片を製造すればよい。Siなどの酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気または真空溶解炉で行うのがよい。
〔熱間圧延〕
熱間圧延は通常の手法に従えばよい。熱間圧延前の鋳片加熱は例えば950〜1000℃で1〜5hとすることができる。トータルの熱間圧延率は例えば70〜95%とすればよい。熱間圧延終了後には、水冷などにより急冷することが好ましい。
なお、ある板厚t0(mm)からある板厚t1(mm)までの圧延率は、下記(1)式により求まる。後述の各工程における圧延率も同様である。
圧延率(%)=(t0−t1)/t0×100 …(1)
〔冷間圧延〕
中間時効処理に先立ち、冷間圧延を行うことができる。次工程の中間時効処理で第二相粒子の微細かつ均一な析出を促すうえで、圧延率は例えば70%以上とすることが効果的であり、80%以上とすることがより効果的である。ミルパワー等により必然的に制約を受けるので、特に規定する必要はないが、エッジ割れなどを防止する観点から概ね99%以下で良好な結果が得られやすい。
〔中間時効処理〕
溶体化処理に先立ち、軽く時効処理を施しておく。この処理を「中間時効処理」と呼ぶ。保持温度400〜500℃、より好ましくは425〜475℃、保持時間1〜20h、より好ましくは2〜8hの条件範囲内で加熱保持する。過時効となることを避け、亜時効ぎみに析出を生じさせることが望ましい。そのような時効が実現されているかどうかは、材料の硬さによって知ることができる。具体的には、この中間時効処理後の板材の板面おける硬さ測定において、硬さが200HV以上となっていれば、後述の溶体化処理で良好な組織状態が得られる。200〜250HVの範囲に調整することがより好ましい。
〔溶体化前冷間圧延〕
上記の、中間時効処理を施した後、溶体化処理前に冷間圧延を施すことができる。この冷間圧延を「溶体化前冷間圧延」と呼ぶ。この冷間圧延では、前工程で生成させた析出物(第二相粒子)の存在により、効率良く歪エネルギー(転位)を導入することができる。その歪エネルギーは、溶体化処理での再結晶粒径の均一化と第二相体積率の低減に有効に作用する。溶体化前冷間圧延の圧延率は、例えば70%以上とすることが効果的であり、80%以上とすることがより効果的である。ミルパワー等による設備的な許容範囲において、通常99%以下の圧延率範囲で行えばよい。
〔溶体化処理〕
ここで行う溶体化処理は、「再結晶化」に加え、更に「析出物体積率の低減」と「再結晶粒の微細化」の両立を図ることも重要な目的とする。
溶体化処理工程での再結晶化に関しては、材料を昇温させ、第二相の固溶温度以上になってからの昇温過程において、まだマトリックス中に残存している第二相粒子の存在が再結晶の進行を律速すると考えられる。再結晶粒の平均結晶粒径D、再結晶化が進行するときのマトリックス中における第二相粒子の平均粒子径d、その体積率f、第二相粒子の平均間隔λの間には、下記(2)式(Zener−Smith式)の関係が成り立つとされる(非特許文献1)。
D∝λ=4d/3f …(2)
一般に、溶体化処理の昇温過程のうち、第二相の固溶温度に達するまでは既に存在する第二相粒子のピンニングによって再結晶化が抑制される。固溶温度に達すると第二相粒子の固溶が生じ、体積率fが減少する。それに伴い(2)式に示されるように第二相粒子の平均間隔が増大して再結晶化が進行し、平均結晶粒径Dが急速に増大していく。平均結晶粒径の過度な増大を抑制するためには、溶体化処理の昇温過程で、固溶温度に達してからしばらくの間も、ピンニングが働く程度に微細第二相粒子の分散状態が維持されていることが極めて有効である。
本発明では、上記の過時効を避けた中間時効処理によって、材料中には既に微細な第二相析出物が大量に分散している。溶体化処理の昇温過程で固溶温度に達した後も、まだ微細な第二相粒子はなりの数が残存しており、それによるピンニング効果が発揮されて、再結晶化の進行が遅くなり、再結晶粒の粗大化が防止される。そして、固溶温度以上になってから微細第二相粒子のピンニング効果が失われるまでの時間的余裕が長いため、その間に粗大な第二相粒子の固溶化が進む。その結果、粗大第二相粒子の減少効果が一層向上する。このようにして、中間時効処理を行わない通常の溶体化処理と比べ、再結晶粒の粗大化の抑制と、粗大第二相粒子の減少が効果的に達成されるのである。
溶体化処理条件は、加熱保持温度を800〜1020℃の範囲に設定すればよい。850〜980℃の範囲がより好ましい。上記温度範囲に保持する時間は10sec〜10minの範囲で設定すればよい。溶体化処理後の板材において、上述の方法により求まる平均結晶粒径が5〜25μm、より好ましくは7〜20μm、更に好ましくは8〜17μmとなるように、加熱温度および加熱時間を調整する。再固溶、再結晶化を確実に行い、かつ平均結晶粒径を上記範囲に調整するための最適な溶体化条件は組成や溶体化処理前の製造条件によって変動するが、予め予備実験により組成や冷間圧延率に応じた最適な溶体化処理ヒートパターン条件を把握しておくことにより、適正条件範囲に設定することが容易となる。なお、530℃から300℃までの平均冷却速度は100℃/sec以上とすることが望ましい。
〔時効処理〕
次いで時効処理を行い、強度に寄与する微細な第二相粒子を析出させる。合金組成に応じて時効で硬さがピークになる温度、時間を予め調整して条件を決めるのが好ましい。具体的には、時効温度は400〜500℃とすることが好ましく、425〜475℃とすることがより好ましい。時効処理時間は、3〜12hの範囲で良好な結果が得られる。時効処理中の表面酸化を極力抑制する場合には、水素、窒素またはアルゴン雰囲気を使うことができる。
〔仕上冷間圧延〕
仕上冷間圧延は強度レベル(特に0.2%耐力)の向上に極めて有効である。仕上冷間圧延率は15%以上とすることが効果的であり20%以上とすることがより効果的である。ただし、仕上冷間圧延率が高くなるとTDの曲げ加工性が悪くなりやすいので60%以下の圧延率とすることが好ましく、45%以下の範囲に管理してもよい。最終的な板厚としては、例えば0.02〜0.50mm程度の範囲で設定することができる。
〔低温焼鈍〕
仕上冷間圧延後には、板条材の残留応力の低減や曲げ加工性の向上、空孔やすべり面上の転位の低減による耐応力緩和性向上を目的として、低温焼鈍を施すことができる。加熱温度は150〜550℃の範囲で設定でき、200〜450℃とすることがより好ましい。上記温度での保持時間は5sec以上とすることが望ましく、通常1h以内の範囲で良好な結果が得られる。
銅合金板材としての最終的な板厚は例えば0.02〜0.50mmとすればよい。0.05mm以上0.13mm以下の範囲としてもよい。本発明の技術は0.10mm未満の板材に適用することが特に効果的である。
表1に示す組成の銅合金を溶製し、縦型半連続鋳造機を用いて鋳造した。得られた鋳片を1000℃で3h加熱したのち抽出して、厚さ10mmまで熱間圧延した後、水冷した。トータルの熱間圧延率は90〜95%である。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。次いで、熱間圧延で割れが発生した例(No.26)を除き、圧延率86%で冷間圧延を行ったのち、一部の例を除き、表2に示す条件で中間時効処理を施した。中間時効処理後の板材からサンプルを採取し、板面(圧延面)のビッカース硬さを測定した。その結果を表2に示す。次いで、溶体化前冷間圧延を圧延率80〜90%の範囲で施したのち、表2に示す条件で溶体化処理を行った。溶体化処理後の冷却は水冷とした。その後、表2に示す条件で時効処理および仕上冷間圧延を施し、425℃で1minの低温焼鈍を施すことによって最終的な板材製品(供試材)を得た。各本発明例の時効処理条件は、組成に応じて、450℃で最高硬さが得られる時効時間とした。溶体化前冷間圧延率の調整または途中工程での面削により板厚調整を行い、最終的な供試材の板厚は0.05mmに揃えた。
各供試材について、板面(圧延面)を研磨しエッチングした表面の組織観察を行い、上述の測定方法に従い、直径500nm以上の第二相粒子の個数密度、直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度、平均結晶粒径を求めた。板面の研磨は、耐水ペーパーで1500番まで磨いた後、電解研磨する方法でを行った。電解研磨液は、体積比で、蒸留水:10、リン酸:5、エタノール:5、2−プロパノール:1の混合液とした。電解研磨はElectroMet4(BUEHLER社製)を用い、φ10mmの領域に室温で電圧15Vで20秒間電解研磨を施す方法で行った。
直径500nm以上または1000nm以上の第二相粒子の個数密度を測定するためのSEM観察においては、ランダムに選択した5視野にそれぞれ42μm×29μmの観察領域を設定し、観察領域の合計面積を6090μm2とした。この合計面積から単位面積当たりの粒状析出物の個数密度(個/mm2)を算出した。
平均結晶粒径を測定するための光学顕微鏡観察においては、観察領域を300μm×300μmの矩形領域とした。
また、供試材について以下の各特性を調べた。
〔導電率〕
JIS H0505に従って各供試材の導電率を測定した。
〔0.2%耐力〕
各供試材からLDの引張試験片(JIS 5号)を採取し、試験数n=3でJIS Z2241に準拠した引張試験行い、引張強さと0.2%耐力を測定した。n=3の平均値によって引張強さと0.2%耐力を求めた。
〔曲げ加工性〕
供試材から長手方向がLDの曲げ試験片およびTDの曲げ試験片(いずれも幅10mm)を採取し、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験を行った。試験後の試験片について曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察することにより、割れが発生しない最小曲げ半径MBRを求め、これを供試材の板厚tで除することによりLD、TDそれぞれのMBR/t値を求めた。各供試材のLD、TDとも試験数n=3で実施し、n=3のうち最も悪い結果となった試験片の成績を採用してMBR/t値を表示した。
〔応力緩和率〕
前述の方法に従って応力緩和率を測定した。
これらの結果を表2に示す。表2中に記載されるLDおよびTDは試験片の長手方向を意味する。
参考のため、上記電解研磨面のSEM写真を図1〜図3に例示する。図1は本発明例No.1、図2は本発明例No.2、図3は比較例No.21の例である。
表2からわかるように、本発明例の銅合金板材はいずれも直径500nm以上の第二相粒子の個数密度が1万個/mm2以下、第二相粒子の最大直径が1000nm未満であり、導電率35%IACS以上、0.2%耐力850MPa以上、MBR/t値がLD、TDとも1.0以下、応力緩和率が5%以下の特性を余裕を持ってクリアしていた。
これに対し、比較例No.21は、市販材C70350とほぼ同じ組成の板材を本発明に従う工程で製造した例である。ただしCo含有量が高いことに伴い、中間時効処理、溶体化処理、時効処理の温度を高めに設定した。Co含有量が高いので、粗大な第二相粒子多くなり(図3)、本発明例に比べ強度が低いくにもかかわらず、曲げ加工性と耐応力緩和特性も悪かった。
比較例No.22は、本発明例No.2とほぼ同等のNi、Co含有量であるが、(Ni+Co)/Si質量比が過大であるため、中間時効処理と時効処理の工程で析出物が粗大化し、結果的に強度、曲げ加工性、耐応力緩和性がともに悪かった。
比較例No.23は、逆に(Ni+Co)/Si質量比が過小であるため、中間時効処理と時効処理の工程で微細な第二相粒子の析出が不十分となり、導電性、強度、耐応力緩和性ともに悪かった。
比較例No.24は、本発明例No.2と同じ組成との銅合金を使用し、中間時効処理を行わなかった例である。溶体化処理前の微細第二相粒子の量が少ないので溶体化処理でのピンニング効果が不十分となり、再結晶粒が粗大化した。また、溶体化処理での粗大な第二相粒子の固溶化が不十分となり、最終的に粗大な第二相粒子の個数密度が多くなった。その結果、曲げ加工性および耐応力緩和性が悪かった。
比較例No.25は、本発明例No.2と同じ組成との銅合金を使用し、中間時効処理を行わず、溶体化処理温度を低めに設定して再結晶粒の粗大化を防いだ例である。この場合、溶体化処理での第二相粒子の再固溶が不十分となり、粗大な第二相粒子が大量に残留した結果、強度、曲げ加工性、耐応力緩和性が悪かった。
比較例No.26は、強度向上のためにNiとSiの含有量を増やし、また、溶体化処理中に再結晶粒の微細化と粗大析出物の低減を両立するためにピンニング効果の大きいCrも多量に添加した例である。しかし、本発明例と同様、鋳片のソーキングに重点を置いた製造工程をとらなかったことから、鋳造時に生成した粗大な晶出物の存在により熱間圧延で激しい割れが生じ、その後の工程を中止した。

Claims (12)

  1. 質量%で、Ni:1.0〜3.5%、Co:0.5〜1.0%、Si:0.35〜1.25%、Fe:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mg:0〜0.2%、Mn:0〜0.2%、Ti:0〜0.5%、V:0〜0.3%、Zr:0〜0.2%、Sn:0〜0.2%、Zn:0〜0.5%、Al:0〜0.2%、B:0〜0.05%、P:0〜0.1%、Ag:0〜0.1%、希土類元素:0〜0.1%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、(Ni+Co)/Si質量比が3.4〜4.2であり、Fe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Agおよび希土類元素の合計含有量が0〜1.0質量%である組成を有し、板面(圧延面)について圧延方向に対し直角方向に測定した切断法による平均結晶粒径が5〜25μmであり、直径500nm以上の第二相粒子の個数密度が104個/mm2以下である銅合金板材。
  2. 板の圧延方向の0.2%耐力が850MPa以上、導電率が35%IACS以上である請求項に記載の銅合金板材。
  3. 最大直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度が100個/mm2以下である請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 最大直径1000nm以上の第二相粒子の個数密度が10個/mm2以下である請求項1または2に記載の銅合金板材。
  5. 板厚が0.02mm以上0.15mm未満である請求項1〜のいずれか1項に記載の銅合金板材。
  6. 板の圧延方向をLD、圧延方向と板厚方向に直角の方向をTDとするとき、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値がLD、TDとも1.0以下となる曲げ加工性を有する請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材。
  7. 質量%で、Ni:1.0〜3.5%、Co:0.5〜1.0%、Si:0.35〜1.25%、Fe:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mg:0〜0.2%、Mn:0〜0.2%、Ti:0〜0.5%、V:0〜0.3%、Zr:0〜0.2%、Sn:0〜0.2%、Zn:0〜0.5%、Al:0〜0.2%、B:0〜0.05%、P:0〜0.1%、Ag:0〜0.1%、希土類元素:0〜0.1%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、(Ni+Co)/Si質量比が3.5〜4.2であり、Fe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Agおよび希土類元素の合計含有量が0〜1.0質量%である組成を有する時効処理前の中間製品板材に対して、保持温度400〜500℃、保持時間1〜20hの条件範囲内で加熱保持を施して硬さ200HV以上の組織状態とする工程(中間時効処理工程)、
    800〜1020℃で溶体化処理を施す工程(溶体化処理工程)、
    400〜500℃で時効処理を施す工程(時効処理工程)、
    を上記の順に有する請求項1に記載の銅合金板材の製造方法。
  8. 中間時効処理工程に供する前記中間製品板材が、熱間圧延を経た後、圧延率70%以上で冷間圧延された板材である請求項に記載の銅合金板材の製造方法。
  9. 中間時効処理工程後、溶体化処理工程前に、圧延率70%以上で冷間圧延を施す工程(溶体化前冷間圧延工程)を有する請求項またはに記載の銅合金板材の製造方法。
  10. 時効処理工程後に、圧延率15%以上の冷間圧延を施す工程(仕上冷間圧延工程)を有する請求項のいずれか1項に記載の銅合金板材の製造方法。
  11. 仕上冷間圧延工程後に、150〜550℃での低温焼鈍を施す工程(低温焼鈍工程)を有する請求項10に記載の銅合金板材の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の銅合金板材を材料に用いた通電部品。
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