JP6315779B2 - 香り付きトイレットロール - Google Patents

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Description

本発明は、香料が付与された香り付きトイレットロールに関する。
トイレットロールにおいては、トイレットペーパーが巻かれる紙管に香料を付与して芳香機能をもたせたものが提案されている。紙管に香料を付与する方法としては、紙管に香料を塗布する方法、紙管に穿孔部を設けて香料を含有させる方法、紙管を形成するために用いる接着糊に香料を含ませる方法などが知られる。
しかし、いずれの方法によるものであっても、香料が外気へと揮散しやすく、香気の持続性に問題があった。特に、揮発性の高い香料は、多くの人に「フレッシュな印象」或いは「さわやかな印象」を与える香りのものが多く、このような印象の香気が持続される香り付きトイレットロールが望まれているところであるが、従来の香り付きトイレットロールでは、このような揮発性の高い香料が早期に揮散してしまって持続させることが難しかった。
また、香気の持続性を確保するために、単に紙管への香料付与量を多くすると、作業環境の悪化や大気汚染、香料による紙管紙質の悪化などの問題が生ずる。紙管に穿孔部を設けて香料を含有させる方法では、穿孔部を大きくしたり、多くしたりすることで、香料の含有量を増加させることができるが、紙管の強度が低下してしまうおそれがある。
このように、従来の香り付きトイレットロールは、香気の持続性に問題があり、特に揮発性の高い香料に起因する香気の持続性に問題があった。
特許第3978192号 特開2013−70815号公報 特開平11−197054号公報 特許第4159061号 特開平7−116075号公報 特開2002−137351号公報
そこで、本発明の主たる課題は、香気の持続性に優れ、特に揮発性の高い香料に起因する香気の持続性を有する、香り付きトイレットロールを提供することにある。
上記課題を解決した本発明とその効果は次記のとおりである。
〔請求項1〕
紙管を備えた香り付きトイレットロールであって、
温度20℃、湿度50%環境下で蒸気圧が50Pa以上ある香料成分を含む香料を含む液体又はゲルが熱融着によって封止されたフィルムシート間に封入され、その一方の面のフィルムシートが酸素透過度800〜8000cc/m 2 ・day・atmの香料透過性フィルムであり、他方の面のフィルムシートがポリエチレンテレフタレートフィルム又はエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの両外層にポリエチレンフィルムを積層した複層構造のフィルムであって前記香料透過性フィルムよりも香料の透過性が低い香料不透過性フィルムであり、
前記フィルムシートは前記香料透過性フィルム側が外方に向くようして紙管内面に貼着され、
前記香料透過性フィルムを介して香料を揮散させるものである、
ことを特徴とする香り付きトイレットロール。
〔請求項
香料を含むゲルは、ケイ酸ゲル、アガロースゲル、ゲランガム、アルギン酸ゲル、カルボキシメチルセルロール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、カラギーナン、グルコマンナンの群から選ばれる1又2以上の物質を含む、請求項記載の香り付きトイレットロール。
以上の本発明によれば、香気の持続性に優れ、特に揮発性の高い香料に起因する香気の持続性を有する、香り付きトイレットロールが提供される。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの斜視図である。 本発明の実施形態に係る紙管の斜視図である。 本発明の実施形態に係る芳香シート材の断面図である。 本発明の実施形態に係る芳香シート材の平面図である。 本発明の実施形態に係る紙管の製造方法例を示す図である。
本発明の実施形態を図1〜5を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、この実施形態に限られない。
本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、図1に示すとおり、紙管11に帯状のトイレットペーパー12が巻かれたものである。トイレットロール10の大きさ等は、幅L1が100〜120mm、直径L2が100〜120mm、巻き長さ(トイレットペーパーの全長)が18〜100m、紙管内径L3が35〜50mmであるのが望ましい。この大きさであれば一般的なトイレットロール用のペーパーホルダーが利用でき、トイレットペーパーの長さも十分である。
トイレットペーパー12は、微細な凹凸であるクレープを有する家庭用薄葉紙である。その具体的な組成・構成は限定されないが、1プライから3プライであり、1プライの紙厚が100〜180μmであり、1プライ当り米坪は、11.0〜25.0g/m2であるのが望ましい。なお、複数のプライで構成されたトイレットペーパーである場合であっても、1プライ毎の紙厚、米坪は上記の範囲であることが望ましい。この範囲であれば使用時の柔らかさや吸水性を確保できる。
なお、本実施形態に係る米坪とは、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚とは、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。
本実施形態のトイレットロール10の紙管11の構造は限定されない。二枚の紙管原紙がともに螺旋状に巻かれて筒状をなした二層積層構造のスパイラル紙管のほか、平巻き紙管を用いることもできる。スパイラル紙管のより具体的な例としては、米坪120〜220g/m2、紙厚150〜500μmの紙管原紙を螺旋状に巻いて二層積層構造にしたものが例示できる。
本実施形態に係るトイレットロールは、特に図1〜3に示すように、香料を含む液体又はゲル20がフィルムシート21,22の間に液体又はゲル20が漏れでないように液密に封入され、そのフィルムシート21,22の一方のフィルムシートが香料透過性フィルム21とされている芳香シート材2が、その香料透過フィルム21が外方に向かうようにして紙管内面11Aに貼付されており、香料透過性フィルム21を介して香料が徐々に外部に揮散して香気を発するようになっている。
したがって、香料を直接的に紙管に付与する従来の香り付きトイレットロールと比べて、香気の持続性を高めることができる。そのうえ、芳香シート材2が紙管内面11Aに位置しているため、トイレ空間内でペーパーホルダー等にセットして、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出すようにして使用する際に、トイレットロールの回転にともなって芳香シート材2と外気との接触機会が増加するとともに、フィルムシート21,22の間に封入された香料を含む液体又はゲル20に振動が加わり、特にその際に香料がやや多く揮散して、香気がやや強く発せられるようになる。したがって、特に使用者がトイレットロールを使用した際に香気が感じられやすいものとなる。
他方、香料を含む液体又はゲル20をフィルムシート21,22の間から漏れでないようにするにあたっては、図示の形態では、フィルムシート21,22の周縁部同士を熱融着処理することで、液密性を確保している(図中、周縁部の熱融着部は符号2eで示す)。但し、本発明は、フィルムシート21,22の間に香料を含む液体又はゲル20を液密に保持する技術は特に限定されない。また、フィルムシート21,22の周縁同士の接着は、融着に限らず液密性を確保できる範囲で接着剤によって接着してもよい。
香料を含む液体又はゲル20をフィルムシート21,22の間に封入する方法も本発明では特に限定はされない。例えば、一方のフィルムシートに香料を含むゲルを塗布した後に、他方のフィルムシートを重ねて所定位置を熱融着処理する方法や、フィルムシート同士を開口のある平袋状に形成したのち香料を含む液体又ゲルやこれらの前駆成分を注入した後、その開口を密封封止する方法などが例示できる。
芳香シート材2の紙管内面11Aへの貼付は、フィルムシート21,22を構成する樹脂フィルムと紙製の紙管内面11Aとを所望の接着強度で接着可能とする既知の接着剤30や融着処理によって貼付することができる。図3は、接着剤により貼付している態様を示している。接着剤30の具体例としては、酢酸ビニル系接着剤、セルロース系接着剤、アクリル系接着剤、澱粉糊、ホットメルト接着剤が挙げられる。アクリル系接着剤、ホットメルト接着剤は乾燥して接着するまでの時間が短いため特に適する。
また、本実施形態に係るトイレットロール10は、特に一方面を構成するフィルムシート21を香料透過性フィルムとし、他方面を構成するフィルムシート22は、香料透過性フィルム21よりも香料の透過性が低い香料不透過性フィルムとするのが望ましい。このように他方面のフィルムシート22を香料不透過性とすることで、一方面からのみから香料が揮散するようになり、香料の揮散面を確定させることができる。したがって、この揮散面を外方に向けて紙管内面11Aに貼付することで無駄なく香料を外周空間に揮散させることができる。また、香料が紙管との接着面側から揮散しなくなるため香料揮散による接着性への影響がない。
フィルムシート21を構成する香料透過性フィルムとしては、酸素透過度800〜8000cc/m2・day・atmであるのが望ましい。酸素透過度がこの範囲であれば香料の徐放性が適当になり、香気の持続性が得られる。つまり、香料透過性フィルムの酸素透過度が800cc/m2・day・atm未満では香料がフィルムシートを通して十分に揮散せず十分な香気が感じられない。特に揮発性の低い香料成分の揮散が十分ではなくなる。反対に酸素透過度が8000cc/m2・day・atmを超えると十分な徐放性が発揮されないおそれがある。特に揮発性の高い香料の持続性を十分に確保することが難しくなる。なお、本発明における酸素透過度は、JIS K 7126(B)に基づいて、23℃、湿度65%の測定条件で測定した値である。
酸素透過度が800〜8000cc/m2・day・atmを確保できる香料透過性フィルムの具体例としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが例示できる。厚さ20−50μmのポリエチレンフィルムであれば概ね7000cc/m2・day・atm程度の酸素透過度であり、厚さ20−50μmのポリプロピレンフィルムであれば、概ね1500cc/m2・day・atm程度の酸素透過度である。酸素透過度はフィルムの厚さ等によって調整することができる。さらに、香料透過性フィルムは、フィルム素材が所望の酸素透過度を有するもののほか、フィルムに微細孔を形成して香料透過性を付与したり調整したものであってもよい。
また、他方面を構成するフィルムシート22を香料不透過性フィルムとするのであれば、その酸素透過度が800cc/m2・day・atm未満のものとするのがよい。酸素透過度は800cc/m2・day・atm未満を確保できるフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられる。厚さ20−40μmのエチレンビニルアルコール共重合体フィルムであれば概ね10cc/m2・day・atm程度の酸素透過度である。但し、ポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムは、熱融着性が低い。香料を含む液体又はゲルをフィルムシート間に封入するために、香料透過フィルムと香料不透過フィルムを融着させるのであれば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの両外層にポリエチレンフィルムを積層した複層構造のフィルムを用いるのが望ましい。このように複層構造とするとポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの低い酸素透過度とポリエチレンフィルムの優れた熱融着性を有するフィルムとなる。より具体的には、両最外層が厚さ8〜60μm、融点80〜150℃のポリエチレンフィルム層で、それらの間に1〜30μmのエチレンビニルアルコール共重合体フィルム層を介在させた、全体の厚さが17〜100μmの複層フィルムとするのが望ましい。このフィルムであれば、酸素透過度を40cc/m2・day・atm以下とするとともに、優れた熱融着性が両立され、さらに柔軟性にも優れ取り扱いやすいものとなる。
他方、紙管内面11Aにおける芳香シート材2を貼付する位置は限定されない。但し、近年、トイレットロールを保持するペーパーホルダーの構造として、トイレットロール両端面側から支持部の一部を紙管内に挿入するようにして、トイレットロールを保持する構造のものが増加している。このようなペーパーホルダーでは、旧来の紙管内に心棒を通して保持するタイプとは異なり、紙管内面の幅方向中央部はペーパーホルダーの支持部と接触しない。したがって、紙管内面における芳香シート材の貼付位置としては、紙管内面の幅方向中央部であるのが望ましい。ペーパーホルダーの支持部と接触しないものとなり、紙管内面から芳香シート材が脱落し難くなる。
また、紙管内面11Aに貼付する芳香シート材の数は適宜の数とすることができる。また、芳香シート材2の平面形状は、特に限定されるものではなく、図示例の矩形のほか、星形、丸形など適宜の形状とすることができる。
本実施形態に係る香料は、単独成分のものであっても、複数成分を組み合わせて調合香料としたものであってもよい。香料の選択は、所望の香調によって決定すればよい。特に、本実施形態に係るトイレットロールでは、揮発性の高い香料の使用が可能である。より具体的には、トップノートとも称される香料或いは香料成分、数値でいえば、温度20℃、湿度50%環境下で蒸気圧が50Pa以上ある香料成分を使用してもその香料成分による香調を発揮することが可能となり、香り付きトイレットロールの「香り」のバリエーションを増加させることができる。
香料或いは香料を構成する香料成分として、例えば、レモン油、グレープフルーツ油、ローズマリー油、ペパーミント油、マンダリン油、ライム油、ユズ油、カモミール油、ラベンダー油、ローズ油、スペアミント油等の天然香料類;リナロール、シトロネロール、メントール、ゲラニオール等のアルコール類等の合成香料、2−メチルブタン酸エチル、β−ピネン、酢酸イソアミノル、2−メチルペンタン酸エチル、β-ミルセン、ヘキサン酸エチル、酢酸3−メチル−2−ブテン−1−オール、酢酸3−ヘキセン−1−オール、テトラヒドロ−4−メチル−2−(−2−メチルプロピル)2H−ピラン、イソシクロシトラール、2,4−ジメチル−7−オクテン−2−オール、3,7−ジメチル−1,6−オクタデン−3−オール、酢酸 4−tert−ブチルシクロヘキシル、2−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、酢酸1−フェニルエチル、ブタン酸1,1−ジメチル−2−フェニルエチル等の化学物質が挙げられる。
他方、本実施形態における香料を含む液体は、水、アルコール、アルコール誘導体、脂肪酸、エステル類等の溶媒に香料を溶解させたものとすることができる。また、本実施形態における香料を含むゲルに用いるゲルとしては、ケイ酸ゲル、アガロースゲル、ゲランガム、アルギン酸ゲル、カルボキシメチルセルロール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、カラギーナン、グルコマンナンの群から選ばれる1又2以上の物質が挙げられる。香料を含む液体又はゲル20には、香料以外に防腐剤、消臭剤、pH調整剤など既知の助剤を含有させることができる。
液体又はゲルに対する香料の含有量は限定されはしないが、0.1〜30質量%の範囲であれば香料の持続性を発現させやすい。この範囲で、溶媒やゲルの種類、香料の種類、香料透過性フィルムの素材等に応じて適宜調整することができる。
なお、本実施形態における芳香シート材2においては、香料を含む液体と香料を含むゲルとでは、ゲルを用いたもののほうが少ない香料使用量で香気が強く感じられまた持続効果も発現させやすくまた、フィルムシート間への封入性などの製造性やハンドリング性についても優れるため、香料を含むゲルを用いたもののほうが望ましい。
他方、トイレットロール10に対する香料の付与量としては、香料の種類や香料透過性フィルム21の素材等に応じて適宜調整することができるが、トイレットロール一本当たり好ましくは0.01〜1.0g、より好ましくは0.02〜0.3gである。0.01g未満では十分な香気が感じられないおそれがあり、2.0gを超えても香りの持続性の向上効果が望めないおそれがある。
ここで、本実施形態の香り付きトイレットロール10に係る紙管11の形成方法例についても説明する。但し、本発明はこの製造方法によるものに限定されるわけではない。
トイレットロールにおける紙管製造方法の多くは、図5に示すように、二枚の帯状の紙管原紙41,42のうち一方の紙管原紙41の一方面に、糊付けロールによって、アクリル系接着剤、ホットメルト接着剤、澱粉糊、PVA(ポリビニルアルコール)等の糊を付与し、その一方の紙管原紙41の糊付けされた面に他方の紙管原紙42を幅方向に一部重ね、他方の紙管原紙42の糊付け面と接しない面をマンドレルシャフト52に対向する面、すなわち紙管内面11Aとなる面にして、各紙管原紙41,42をマンドレルシャフト52に螺旋状に巻き付けて連続的に筒状部分45を形成し、その筒状部分45をトイレットロール10の複数倍幅以上の幅でカッター58によりカットして長尺のスパイラル紙管60(スパイラル式紙管とも称される)を形成していく長尺紙管の形成工程を有する。
本実施形態に係る紙管を形成するにあたっては、このスパイラル紙管60を製造する工程で、他方の紙管原紙42の糊付け面と接しない面、すなわちマンドレルシャフト52に対向する面に、連続的或いは間欠的に芳香シート材2を接着していけばよい。
ここで、紙管原紙41,42をマンドレルシャフト52に巻き付けてスパイラル紙管の形成するにあたっては、図5からも理解されるように、紙管原紙41,42が連続的にマンドレルシャフト52に送り込まれることにより筒状部分45が長くなり、その筒状部分45が連続的に形成されてマンドレルシャフト52の先端方向に伸びていく。そして、その過程では、筒状部分45の内面がマンドレルシャフト52の周面に摺接しながら、マンドレルシャフト52の先端方向に向かって移動していくことになる。
したがって、このマンドレルシャフト52の周面に接する際には、紙管原紙42に対して芳香シート材2がしっかりと接着されている必要がある。この点を考慮すると、芳香シート材2と紙管原紙42との接着が迅速になされるのがよく、したがって、芳香シート材2を紙管内面11A(紙管原紙42)に対して貼付するための接着剤30としては、上述のとおり乾燥性に優れるアクリル系接着剤、ホットメルト接着剤を用いるのが望ましい。
また、マンドレルシャフト52と摺接する際に芳香シート材2を構成するフィルムシート22,21、特にマンドレルシャフトと接する側に位置することになる香料透過フィルム21については、摺接時における破断が生じないように、JIS K 7161における引張弾性率が20〜700MPaとするのが望ましい。20MPa未満では破断のおそれが高まり、700MPaを超えるとコシが強すぎて貼付し難くなる。
長尺紙管を形成した後には、公知の方法に従って、この長尺紙管を用いてトイレットロールを製造すればよい。
(香料保持性)
本発明に係る芳香シート材に関して、香料の保持性について試験した。試験は、フィルムシートの種類が異なる芳香シート材の試料を作成し、それを貼付した各トイレットロール(実施例及び比較例)と、紙管に直接に香料を付与したトイレットロール(従来例)とについて香料の保持具合を測定し、比較した。
実施例及び比較例に係る芳香シート材に係るフィルムシートは、以下のとおりとした。
実施例1:酸素透過度7000cc/m2・day・atmの厚み40μmであるポリエチレンフィルム。
実施例2:酸素透過度1500cc/m2・day・atmの厚み40μmであるポリプロピレンフィルム。
比較例1:酸素透過度10cc/m2・day・atmの厚み20μmであるエチレンビニルアルコール共重合体フィルム。
比較例2:酸素透過度750cc/m2・day・atmの厚み40μmである片面にPVAを1μmの厚みで被覆したポリプロピレンフィルム。
比較例3:酸素透過度8500cc/m2・day・atmの厚み20μmであるポリスチレンフィルム。
従来例:トイレットロールの紙管外周面とトイレットペーパーとの間に、香料を直接注入した。
各芳香シート材の形成は、15×8cmのフィルムを長軸方向で二つ折り、長辺二辺縁部をヒートシールして、三方閉じの薄い平袋を形成し、その平袋内に香料250μgを注入した後、速やかに開口に係る短辺をヒートシールして形成した。なお、ヒートシール部の余剰部分はカットして、シート材の大きさは、7cm×3cmとした。
用いたトイレットロールは、幅114mm、直径108mm、紙管径41mmの一般的なものとし、芳香シート材の貼付位置は、その紙管内面の幅方向中央位置とした。芳香シート材の貼付は、アクリル系接着剤を接着成分とする両面テープ(ニチバン株式会社:NWBB−15)を7cm×15mmにカットしたものを紙管内面の幅方向中央位置に円周に沿って貼付し、両面テープの上面に芳香シート材を貼付することで行った。
従来例は、香料250μgをトイレットロールの紙管外周面とトイレットペーパーとの間に、香料を直接注入した。
用いた香料は、アルコール類22%、アルデヒド類14%、エステル類39%、ラクトン類7%、その他18%の組成の合成香料とした。
測定及び確認方法は、実施例、比較例及び従来例に係るトイレットロールを、温度25℃、湿度50%の暗所環境下で5日静置して、経時におけるトイレットロールの重量を測定し、当初のトイレットロールの重量に対する割合を算出することで、香料の揮散具合を確認した。また、テスター3名による官能評価を5日間静置後に実施した。なお、評価は◎:香りが強く感じる、○:香りがやや強く感じる、△:香りが弱く感じる、×:香りは感じない、とした。なお、トイレットロールは、上記環境下で十分に保管されたものを用いた。結果は、表1の通りである。
Figure 0006315779
表1に示されるとおり、従来例に係るトイレットロールは5日間で重量が半分以下にまで低下しており、香気の持続性が十分ではない。特に、初期に急激に重量が低下していることから、香料中の揮発性の高い成分は早期に揮発していると予想される。したがって、揮発性の高い香料に起因する香りの持続性は殆どないと言える。
その一方、本願発明の実施例1は、5日間で香料重量が68%と約7割程度までしか低下していない。また、初期に急激に重量が低下する現象も見られない。このことから、従来例と比較して十分に香気の持続性があるものとなっており、揮発性の高い成分が早期に揮発していることもないと理解される。また、実施例2については、5日で94%程度までしか重量が低下しておらず、また、官能評価によれば、香りもやや強く感じられる評価が得られた。したがって、実施例2は、香りの持続性があり揮発性の高い成分が早期に揮発することもないと理解される。
香料が殆ど透過しないエチレンビニルアルコール共重合体フィルムで芳香シート材を形成した比較例1に係るトイレットロールは、重量変化が極めて緩やかで香料が外部に殆ど揮散していない。官能評価を結果からも香料による十分な香りを発するものとはなっていない。同様に、比較例2に係るトイレットロールにおいても、重量変化は実施例2と比較して小さく、香料による芳香効果が十分に得られるものとはなっていない。香料種類によっては少なくとも酸素透過度が750cc/m2・day・atm以下となると香りを感ずること難しくなることも理解される。
他方、比較例3に係るトイレットロールは、重量変化が実施例1よりも大きく、芳香効果については従来例と比較した場合に優位性を感じられない結果となった。
以上より、本願発明に係る芳香シート材を有するトイレットロールでは、香気の持続性に優れ、揮発性の高い香料成分でもその持続性を確保できるといえる。
(香料を含むゲルの使用)
また、本願発明に係る芳香シート材においてフィルムシート間に封入するものを香料を含むゲルとした場合における効果を検証した。
試験は、異なるゲルを用いて芳香シート材を作成し、それを貼付した各トイレットロール(実施例3及び4)を作成し、香気の強さを官能評価にて評価した。
実施例3は、酸素透過度7000cc/m2・day・atmの厚み40μmであるポリエチレンフィルムを用い、上記(香料保持性)と同様の手順で、三方閉じの薄い平袋を形成し、その平袋内にゲルとしてカラギーナン1gを入れ、さらに香料120μgを注入して、その後に速やかに開口に係る短辺をヒートシールして形成して密封した。密封後に芳香シート材内のカラギーナンと香料とを手で揉んでなじませるようにした。なお、ヒートシール部の余剰部分はカットして、シート材の大きさは、7cm×3cmとした。
実施例4は、ゲルとしてグルコマンナン1gを用いた以外は、実施例3と同様とした。
用いたトイレットロール及び香料組成、芳香シート材の貼付位置、芳香シート材の接着は上記(香料保持性)と同様とした。
基準試料として、上記(香料保持性)の試験において用いた、香料を含む液体を封入した実施例1に係る試料を用いた。ただし、香料注入量は120μgとした。
測定は、実施例3〜4及び実施例1(基準試料)を、温度25℃、湿度50%の暗所環境下で5日間静置し、その後に3名のテスターにより香気の強さを官能評価した。評価は実施例1(基準試料)を3点として実施例について1〜5点で採点し、その平均点数を算出して評価した。なお、点数の多い方が香りが強く感じられたものである。結果は表2のとおりである。
Figure 0006315779
実施例1(基準試料)3.0点に対して、実施例3が4.3点、実施例4が3.3点となり、香料を含むゲルを用いた方が少ない香料使用量であっても強く香気が感じられる結果となった。ゲルを用いた場合に、香気が強く感じられるメカニズムは定かではないが、ゲルの方が香料がフィルム素材を透過して揮散しやすい環境となっているものと思われる。
以上のことから、フィルムシート間に液体を含む香料を封入したものであっても、十分に香料の持続性が得られるが、さらに香料を含むゲルを用いた場合には、香気を強く感じられるものとなる。
(香料透過性フィルムと香料不透過性フィルムとの組み合わせについて)
香料透過性フィルムと香料不透過性フィルムとで構成した芳香シート材の効果について検証した。
実施例5は、香料透過性フィルムとして酸素透過度7000cc/m2・day・atmの厚み40μmであるポリエチレンフィルムを用い、香料不透過性フィルムとして酸素透過度20cc/m2・day・atmの厚み30μmであるエチレンビニルアルコール共重合体・ポリエチレン積層フィルムを用いた。なお、実施例5の積層フィルムは、厚み3μmのエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの両面に厚み13.5μmのポリエチレンフィルムを積層したものである。
芳香シート材の形成は、8×5cmの香料透過性フィルムに8×5cmの香料不透過性フィルムを重ね、長辺二辺縁部をヒートシールして、三方閉じの薄い平袋を形成し、その平袋内に液体香料を250μgを注入した後、速やかに開口に係る短辺をヒートシールして形成した。なお、ヒートシール部の余剰部分はカットして、シート材の大きさは、7cm×3cmとした。使用香料及び芳香シート材のトイレットロールへの貼付は(香料保持性)の試験と同様の方法で行った。その際、香料透過性フィルムが外方を向くよう紙管内面に貼付した。
測定及び確認方法は、実施例5および実施例1(基準試料)に係るトイレットロールを、温度25℃、湿度50%の暗所環境下に10日間静置して、経時におけるトイレットロールの重量を測定し、当初のトイレットロールの重量に対する割合を算出することで、香料の揮散具合を確認した。また、テスター3名による官能評価を5日間静置後、10日間静置後に実施した。なお、評価は◎:香りが強く感じる、○:香りがやや強く感じる、△:香りが弱く感じる、×:香りは感じない、とした。結果は、表3の通りである。基準試料として、上記(香料保持性)の試験における実施例1に係る試料を用いた。
Figure 0006315779
静置後5日では、香料重量変化が実施例1(基準試料)68%に対し、実施例5は73%と実施例1に比べて香料の揮散が抑えられているものの、実施例1(基準試料)、実施例5ともに香りが強く感じられている。一方、静置後10日では実施例1(基準試料)の香料揮散が進み、香りが弱くなっているものの、実施例5では香料揮散が抑えられ、香りの強さを維持出来ていた。
以上より、香料透過性フィルムと香料不透過性フィルムとを備えた芳香シート材とすることで、香料透過性フィルムのみを用いて芳香シート材を形成するよりも香気の強さを維持できるものとなる。
10…トイレットロール、11…紙管、11A…紙管内面、12…トイレットペーパー、L1…ロールペーパーの幅、L2…ロールペーパーの直径、L3…紙管内径、2…芳香シート材、20…香料を含む液体又はゲル、21…香料透過性フィルム(フィルムシート)、22…香料不透過性フィルム(フィルムシート)、2e…芳香シート材の周縁融着部、41,42…紙管原紙、45…筒状部分、52…マンドレルシャフト、58…カッター、60…スパイラル紙管。

Claims (2)

  1. 紙管を備えた香り付きトイレットロールであって、
    温度20℃、湿度50%環境下で蒸気圧が50Pa以上ある香料成分を含む香料を含む液体又はゲルが熱融着によって封止されたフィルムシート間に封入され、その一方の面のフィルムシートが酸素透過度800〜8000cc/m 2 ・day・atmの香料透過性フィルムであり、他方の面のフィルムシートがポリエチレンテレフタレートフィルム又はエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの両外層にポリエチレンフィルムを積層した複層構造のフィルムであって前記香料透過性フィルムよりも香料の透過性が低い香料不透過性フィルムであり、
    前記フィルムシートは前記香料透過性フィルム側が外方に向くようして紙管内面に貼着され、
    前記香料透過性フィルムを介して香料を揮散させるものである、
    ことを特徴とする香り付きトイレットロール。
  2. 香料を含むゲルは、ケイ酸ゲル、アガロースゲル、ゲランガム、アルギン酸ゲル、カルボキシメチルセルロール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、カラギーナン、グルコマンナンの群から選ばれる1又2以上の物質を含む、請求項記載の香り付きトイレットロール。
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