JP6314952B2 - 移乗支援装置 - Google Patents

Description

本発明は、移乗支援装置に関する。

特許文献１は、要介護者の歩行を介助する歩行介助装置を開示している。この歩行介助装置は、下肢フレームと、下肢フレームによって回動可能に支持された上肢フレームと、上肢フレームによって支持された保持部と、を備えている。保持部は、中央エアバッグが配置された中央部、左方エアバッグが配置された左翼部、右方エアバッグが配置された右翼部を備えている。中央部と左翼部、右翼部は、全体としてC字状に連なっている。中央部は、要介護者の胴部の前面に対向するように配置されている。同様に、右翼部は、要介護者の胴部の右脇腹に、左翼部は要介護者の胴部の左脇腹に、対向するように配置されている。

歩行介助装置は、更に、中央エアバッグの空気圧を調整する中央エアコンプレッサと、左方エアバッグの空気圧を調整する左方エアコンプレッサ、右方エアバッグの空気圧を調整する右方エアコンプレッサを備える。これにより、中央エアバッグの空気圧と、左方エアバッグの空気圧、右方エアバッグの空気圧は、それぞれ独立して調整することができ、相互に差を設けることができるようになっている。

特開２０１４−６１４４８号公報

しかしながら、上記特許文献１の構成では、中央エアバッグの空気圧は、中央エアバッグ全体としてなら調整できるが、中央エアバッグを区分する異なる領域ごとに独立して調整することができない。側方（右方、左方）エアバッグに関しても同様である。要介護者への負担軽減に関して改善の余地が残されている。

そこで、本発明の目的は、被介護者の移乗を支援するに際し、被介護者の胴部の一面（前面、側面、及び背面）における異なる部位ごとにかける圧力を相対的に異ならせるように調整して、被介護者への負担を軽減する技術を提供することにある。

本願発明の観点によれば、台車と、前記台車によって傾動可能に支持されたアームと、前記アームによって支持され、被介護者の胴部の前面を保持する前面保持部、側面（右脇腹、左脇腹）を保持する側面保持部（右脇腹保持部、左脇腹保持部）、及び背面を保持する背面保持部の少なくとも何れかを有する保持部と、を備えた移乗支援装置であって、前記保持部は、前記被介護者の前記胴部の前面、側面、及び背面の少なくとも何れかの面内における異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、第１の袋体と第２の袋体を少なくとも含み、前記第１の袋体の空気圧と前記第２の袋体の空気圧を個別に調整可能な空気圧調整手段を更に備えた、移乗支援装置が提供される。以上の構成によれば、前記被介護者の移乗を支援するに際し、前記被介護者の前記胴部の前面、側面、及び背面の少なくとも何れかの面内における異なる部位ごとにかける圧力を相対的に異ならせるように調整して、前記被介護者への負担を軽減することができる。
前記第１の袋体は、前記被介護者の前記胴部の前記前面の鳩尾（みぞおち）に対向するように配置され、前記第２の袋体は、前記被介護者の前記胴部の前記前面の前記鳩尾以外の部位の一部または全体に対向するように配置され、前記空気圧調整手段は、前記被介護者を保持するに際し、前記第１の袋体の空気圧を、前記第２の袋体の空気圧よりも低くする。以上の構成によれば、前記被介護者の移乗を支援するに際し、前記被介護者の前記胴部の前記鳩尾への負担を効果的に軽減することができる。
前記第１の袋体又は前記第２の袋体は、前記被介護者の前記胴部に向かって突出する複数の小袋体と、前記複数の小袋体間において空気が流動するように前記複数の小袋体間を接続する空気流路部と、を有する。以上の構成によれば、前記複数の小袋体が個々に変形することで、前記被介護者の前記胴部に対して前記第１の袋体又は前記第２の袋体が均一な面圧で接触できるようになる。
前記空気圧調整手段は、前記第１の袋体及び前記第２の袋体に対して正圧を供給する正圧供給手段と、前記第１の袋体及び前記第２の袋体に対して負圧を供給する負圧供給手段と、を有する。以上の構成によれば、前記空気圧調整手段が前記負圧供給手段を有しない場合と比較して、前記第１の袋体及び前記第２の袋体の空気圧を素早く調整することができるようになる。

本発明によれば、前記被介護者の移乗を支援するに際し、前記被介護者への負担を軽減することができる。

移乗支援装置の斜視図である。 保持部の平面図である。 左脇腹保持部の斜視図である。 保持部の展開図である。 空気圧調整機構の構成図である。 移乗支援装置の機能ブロック図である。 被介護者の移乗を説明するフローチャートである。 保持部の空気圧の圧力分布を示す図である。 保持部の空気圧の圧力分布を示す図である。 保持部の圧力分布を示す図である。

図１には、移乗支援装置１の斜視図を示している。移乗支援装置１は、ベッド等に座っている被介護者Pを車椅子等に移乗させるための装置である。移乗支援装置１は、台車２とアーム３、保持部４を備えている。

台車２は、台車本体５と、２つの駆動輪６、２つの従動輪７、足置き板８、台車モータ９を備える。２つの駆動輪６は、台車モータ９によって回転駆動される。足置き板８は、被介護者Pの足裏を載せるための板である。

アーム３は、台車２によって傾動可能に支持されている。アーム３は、台車本体５に固定されて鉛直に延びる下アーム１０と、下アーム１０の上端に傾動可能に支持された上アーム１１と、上アーム１１を傾動駆動するアームモータ１２と、を備える。

保持部４は、アーム３によって支持され、被介護者Pの胴部Qを保持する部分である。保持部４は、前面保持部２０と、左脇腹保持部２１（側面保持部）、右脇腹保持部２２（側面保持部）、２つの背面保持部２３を備えている。

図２には、保持部４の平面図を示している。前面保持部２０は、被介護者Pの胴部Qの前面Q1に対向する部分であって、アーム３の上アーム１１の先端に取り付けられている。左脇腹保持部２１は、被介護者Pの胴部Qの左脇腹Q2（側面）に対向する部分である。右脇腹保持部２２は、被介護者Pの胴部Qの右脇腹Q3（側面）に対向する部分である。左脇腹保持部２１及び右脇腹保持部２２は、前面保持部２０に支持されている。左脇腹保持部２１と右脇腹保持部２２の間の距離は、被介護者Pの体格に応じて適宜調整可能に構成されている。２つの背面保持部２３は、被介護者Pの胴部Qの背面Q4に対向する部分である。一方の背面保持部２３は、左脇腹保持部２１によって開閉自在に支持されており、他方の背面保持部２３は、右脇腹保持部２２によって開閉自在に支持されている。

図３には、左脇腹保持部２１の斜視図を示している。図３に示すように、左脇腹保持部２１は、ベースプレート３０とクッション３１、複数のエアーセル３２、表皮３３（図２参照）によって構成されている。ベースプレート３０は、樹脂やカーボンファイバー、金属板その他の硬質な材料によって形成されている。クッション３１は、ベースプレート３０に貼り付けられており、ウレタンフォームその他の軟質な材料で形成されている。複数のエアーセル３２（小袋体）は、クッション３１に貼り付けられており、シート状のポリウレタンや塩ビ、ゴム素材を箱状にして形成されている。各エアーセル３２は、内部の空気圧に応じて膨張又は収縮する。図２に示すように、表皮３３は、複数のエアーセル３２を覆い隠すように配置されている。表皮３３は、複数のエアーセル３２の膨張及び収縮を阻害しないよう、伸縮性の有る素材で形成されている。図３に示すように、複数のエアーセル３２は、エアーセル３２間で空気が流動できるよう、空気流路部３４によって相互に接続されている。

右脇腹保持部２２及び２つの背面保持部２３は、左脇腹保持部２１と同様の構成であるから、その説明を省略する。

図４には、保持部４の展開図を示している。図４に示すように、前面保持部２０も、左脇腹保持部２１と同様、ベースプレート３０とクッション３１、複数のエアーセル３２、表皮３３（図２参照）を有している。しかしながら、前面保持部２０においては、複数のエアーセル３２が低圧セル群３５と高圧セル群３６に分けられている。低圧セル群３５に属する複数のエアーセル３２は、保持部４が被介護者Pの胴部Qを保持した際、被介護者Pの胴部Qの鳩尾に対向する。一方で、高圧セル群３６に属する複数のエアーセル３２は、保持部４が被介護者Pの胴部Qを保持した際、被介護者Pの胴部Qの鳩尾以外の部位に対向する。そして、低圧セル群３５の複数のエアーセル３２間で空気が流動できるよう、低圧セル群３５の複数のエアーセル３２は空気流路部３４によって相互に接続されている。同様に、高圧セル群３６の複数のエアーセル３２間で空気が流動できるよう、高圧セル群３６の複数のエアーセル３２は空気流路部３４によって相互に接続されている。これに対し、低圧セル群３５の複数のエアーセル３２と、高圧セル群３６の複数のエアーセル３２と、は接続されておらず、両者間での空気の流動は禁止されている。この構成により、低圧セル群３５の各エアーセル３２の空気圧と、高圧セル群３６の各エアーセル３２の空気圧の間に差を設けることができるようになっている。

次に、図５を参照して、前面保持部２０、左脇腹保持部２１、右脇腹保持部２２、２つの背面保持部２３の各エアーセル３２の空気圧を調整するための空気圧調整機構Rを説明する。

空気圧調整機構Rは、コンプレッサ４０と、正圧タンク４１、真空ポンプ４２、負圧タンク４３を備える。コンプレッサ４０は、正圧タンク４１内の空気圧を大気圧よりも高い所定の空気圧としての正圧にする。真空ポンプ４２は、負圧タンク４３内の空気圧を大気圧よりも低い所定の空気圧としての負圧にする。空気圧調整機構Rは、６つの正圧側電磁弁５０と６つの電空レギュレータ５１、６つの圧力計５２、６つの負圧側電磁弁５３を有する。

（低圧セル群３５）
低圧セル群３５の何れか１つのエアーセル３２は、１つの正圧側電磁弁５０及び１つの電空レギュレータ５１を介して正圧タンク４１に接続されている。正圧側電磁弁５０と電空レギュレータ５１は、低圧セル群３５の上記エアーセル３２と正圧タンク４１との間で並列に配置されている。正圧側電磁弁５０は、入力信号に応じて弁を全開又は全閉するものである。電空レギュレータ５１は、入力信号に応じて出力側の空気圧をフィードバック制御により調整するものである。従って、電空レギュレータ５１は、低圧セル群３５の各エアーセル３２の空気圧を高精度で調整できるが応答性は悪い。低圧セル群３５の上記エアーセル３２は、１つの負圧側電磁弁５３を介して負圧タンク４３に接続されている。１つの圧力計５２は、低圧セル群３５の各エアーセル３２の空気圧を計測する。

（高圧セル群３６）
同様に、高圧セル群３６の何れか１つのエアーセル３２は、１つの正圧側電磁弁５０及び１つの電空レギュレータ５１を介して正圧タンク４１に接続されている。正圧側電磁弁５０と電空レギュレータ５１は、高圧セル群３６の上記エアーセル３２と正圧タンク４１との間で並列に配置されている。高圧セル群３６の上記エアーセル３２は、１つの負圧側電磁弁５３を介して負圧タンク４３に接続されている。１つの圧力計５２は、高圧セル群３６の各エアーセル３２の空気圧を計測する。

（左脇腹保持部２１等）
左脇腹保持部２１、右脇腹保持部２２、２つの背面保持部２３の複数のエアーセル３２の空気圧を調整する構造は、上記と同様であるからその説明を省略する。

以上の構成により、空気圧調整機構Rは、低圧セル群３５の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、高圧セル群３６の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、左脇腹保持部２１の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、右脇腹保持部２２の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、一方の背面保持部２３の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、他方の背面保持部２３の複数のエアーセル３２に共通の空気圧と、をそれぞれ個別に調整することができるようになっている。

図６は、移乗支援装置１の機能ブロック図を示している。図６に示すように、移乗支援装置１は、制御部６０と入力部６１を更に備えている。入力部６１は、介護者が移乗支援装置１を操作するためのものである。制御部６０は、中央演算処理器としてのCPU６２（Central Processing Unit）と、読み書き自由のRAM６３（Random Access Memory）、読み出し専用のROM６４（Read Only Memory）を備えている。そして、CPU６２がROM６４に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU６２などのハードウェアを、台車制御部６５、アーム制御部６６、空気圧制御部６７、として機能させる。

台車制御部６５は、入力部６１からの信号に応じて台車モータ９を駆動することで、台車２の走行を制御する。

アーム制御部６６は、入力部６１からの信号に応じてアームモータ１２を駆動することで、アーム３の傾動を制御する。

空気圧制御部６７は、入力部６１からの信号及び６つの圧力計５２からの信号に応じて６つの正圧側電磁弁５０、６つの電空レギュレータ５１、６つの負圧側電磁弁５３を制御する。空気圧制御部６７が正圧側電磁弁５０にHIGHを出力すると正圧側電磁弁５０は開状態となり、空気圧制御部６７が正圧側電磁弁５０にLOWを出力すると正圧側電磁弁５０は閉状態となる。また、空気圧制御部６７が電空レギュレータ５１に出力する電圧値に応じて、電空レギュレータ５１は、出力側の空気圧をフィードバック制御する。空気圧制御部６７が負圧側電磁弁５３にHIGHを出力すると負圧側電磁弁５３は開状態となり、空気圧制御部６７が負圧側電磁弁５３にLOWを出力すると負圧側電磁弁５３は閉状態となる。

次に、図７〜図１０を参照して、移乗支援装置１を用いた被介護者Pの移乗を説明する。

先ず、介護者は、２つの背面保持部２３を外側に開く（S300）。次に、介護者は、入力部６１を操作して、図８に示すように、すべてのエアーセル３２に負圧を供給して収縮させる（S310）。次に、介護者は、入力部６１を操作して、移乗支援装置１を走行させて、移乗支援装置１を被介護者Pの正面に移動させる（S320）。次に、介護者は、２つの背面保持部２３を内側に閉じる（S330）。このとき、介護者は、被介護者Pの足裏を足置き板８に載せる。

次に、介護者は、入力部６１の図示しない上昇ボタンを押下する（S340）。すると、先ず、空気圧制御部６７は、図９に示すように、各エアーセル３２の空気圧が第１空気圧となるように各エアーセル３２に正圧を供給する（S350）。第１空気圧とは、図９に示すように、低圧セル群３５の空気圧は20kPaであり、高圧セル群３６の空気圧は40kPaであり、左脇腹保持部２１及び右脇腹保持部２２の空気圧は60kPaであり、２つの背面保持部２３の空気圧は80kPaである。これにより、保持部４は被介護者Pの胴部Qを仮保持することになる。

次に、空気圧制御部６７は、図１０に示すように、各エアーセル３２の空気圧が第２空気圧となるように各エアーセル３２に正圧を供給する（S360）。第２空気圧とは、図１０に示すように、低圧セル群３５の空気圧は30kPaであり、高圧セル群３６の空気圧は70kPaであり、左脇腹保持部２１及び右脇腹保持部２２の空気圧は80kPaであり、２つの背面保持部２３の空気圧は100kPaである。これにより、保持部４は被介護者Pの胴部Qを確実に保持することになる。

次に、アーム制御部６６は、アーム３の傾動を制御することで、被介護者Pを保持しながら上昇させる（S370）。そして、空気圧制御部６７は、各エアーセル３２の空気圧を第１空気圧まで戻す（S380）。

次に、介護者は、入力部６１を操作して、被介護者Pを保持している移乗支援装置１を所望の場所まで移動させる（S390）。

次に、介護者は、入力部６１の図示しない下降ボタンを押下する（S400）。すると、先ず、空気圧制御部６７は、各エアーセル３２の空気圧を再び第２空気圧へと上昇させる（S410）。次に、アーム制御部６６は、アーム３の傾動を制御することで、被介護者Pを保持しながら下降させ（S420）、被介護者Pをベッドなどに着座させる。次に、空気圧制御部６７は、各エアーセル３２に負圧を供給することで、各エアーセル３２を収縮させる(S430)。

そして、介護者は、２つの背面保持部２３を外側に開き（S440）、入力部６１を操作して、移乗支援装置１を被介護者Pから遠ざける（S450）。これにより、被介護者Pの移乗が完了する。

本実施形態において、空気圧調整手段は、空気圧調整機構Rと空気圧制御部６７に相当している。

以上に、好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特長を有する。

移乗支援装置１は、台車２と、台車２によって傾動可能に支持されたアーム３と、アーム３によって支持され、被介護者Pの胴部Qを保持する保持部４と、を備えている。保持部４は、被介護者Pの胴部Qの前面Q1の異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、低圧セル群３５（第１の袋体）と高圧セル群３６（第２の袋体）を少なくとも含む。移乗支援装置１は、低圧セル群３５の空気圧と高圧セル群３６の空気圧を個別に調整可能な空気圧調整手段（空気圧調整機構R、空気圧制御部６７）を更に備える。以上の構成によれば、被介護者Pの移乗を支援するに際し、被介護者の胴部の前面における異なる部位ごとにかける圧力を相対的に異ならせるように調整して、被介護者Pへの負担を軽減することができる。

低圧セル群３５は、被介護者Pの胴部Qの前面Q1の鳩尾に対向するように配置される。高圧セル群３６は、被介護者Pの胴部Qの前面Q1の鳩尾以外の部位の一部または全体に対向するように配置される。空気圧調整手段は、被介護者Pを保持するに際し、低圧セル群３５の空気圧を、高圧セル群３６の空気圧よりも低くする。以上の構成によれば、被介護者Pの移乗を支援するに際し、被介護者Pの胴部Qの鳩尾への負担を効果的に軽減することができる。

低圧セル群３５又は高圧セル群３６は、被介護者Pの胴部Qに向かって突出する複数のエアーセル３２（小袋体）と、複数のエアーセル３２間において空気が流動するように複数のエアーセル３２間を接続する空気流路部３４と、を有する。以上の構成によれば、複数のエアーセル３２が個々に変形することで、被介護者Pの胴部Qに対して低圧セル群３５又は高圧セル群３６が均一な面圧で接触できるようになる。

空気圧調整手段は、低圧セル群３５及び高圧セル群３６に対して正圧を供給する正圧供給手段（コンプレッサ４０、正圧タンク４１）と、低圧セル群３５及び高圧セル群３６に対して負圧を供給する負圧供給手段（真空ポンプ４２、負圧タンク４３）と、を有する。以上の構成によれば、空気圧調整手段が負圧供給手段（真空ポンプ４２、負圧タンク４３）を有しない場合と比較して、低圧セル群３５及び高圧セル群３６の空気圧を素早く調整することができるようになる。

以上に説明した実施形態は、例えば以下のように変更できる。

例えば、上記実施形態では、保持部４は、被介護者Pの胴部Qの前面Q1の異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、低圧セル群３５（第１の袋体）と高圧セル群３６（第２の袋体）を少なくとも含むことにした。しかし、これに代えて、または、これに加えて、被介護者Pの胴部Qの背面Q4の異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、低圧セル群（第１の袋体）と高圧セル群（第２の袋体）を少なくとも含むようにしてもよい。より具体的には、例えば、低圧セル群は、被介護者Pの胴部Qの背面Q4の肋骨に守られていない部位に対向するように配置される。高圧セル群は、被介護者Pの胴部Qの背面Q4の肋骨に守られている部位の一部または全体に対向するように配置される。空気圧調整手段は、被介護者Pを保持するに際し、低圧セル群３５の空気圧を、高圧セル群の空気圧よりも低くする。以上の構成によれば、被介護者Pの移乗を支援するに際し、被介護者Pの胴部Qの背面Q4の肋骨に守られていない部位への負担を効果的に軽減することができる。

同様に、被介護者Pの胴部Qの左脇腹Q2（側面）の異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、低圧セル群（第１の袋体）と高圧セル群（第２の袋体）を少なくとも含むようにしてもよい。同様に、被介護者Pの胴部Qの右脇腹Q3（側面）の異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、低圧セル群（第１の袋体）と高圧セル群（第２の袋体）を少なくとも含むようにしてもよい。より具体的には、例えば、低圧セル群は、被介護者Pの胴部Qの側面（左脇腹Q2、右脇腹Q3）の肋骨に守られていない部位に対向するように配置される。高圧セル群は、被介護者Pの胴部Qの側面（左脇腹Q2、右脇腹Q3）の肋骨に守られている部位の一部または全体に対向するように配置される。空気圧調整手段は、被介護者Pを保持するに際し、低圧セル群３５の空気圧を、高圧セル群の空気圧よりも低くする。以上の構成によれば、被介護者Pの移乗を支援するに際し、被介護者Pの胴部Qの側面（左脇腹Q2、右脇腹Q3）の肋骨に守られていない部位への負担を効果的に軽減することができる。

以上の変形例によれば、被介護者Pの移乗を支援するに際し、被介護者の胴部の前面、側面（右脇腹、左脇腹）、及び背面の少なくとも何れかの面内における異なる部位ごとにかける圧力を相対的に異ならせるように調整して、被介護者Pへの負担を軽減することができる。

１ 移乗支援装置
２ 台車
３ アーム
４ 保持部
５ 台車本体
６ 駆動輪
７ 従動輪
８ 足置き板
９ 台車モータ
１０ 下アーム
１１ 上アーム
１２ アームモータ
２０ 前面保持部
２１ 左脇腹保持部
２２ 右脇腹保持部
２３ 背面保持部
３２ エアーセル
３３ 表皮
３４ 空気流路部
３５ 低圧セル群
３６ 高圧セル群
４０ コンプレッサ
４１ 正圧タンク
４２ 真空ポンプ
４３ 負圧タンク
５０ 正圧側電磁弁
５１ 電空レギュレータ
５２ 圧力計
５３ 負圧側電磁弁
６０ 制御部
６１ 入力部
６５ 台車制御部
６６ アーム制御部
６７ 空気圧制御部
P 被介護者
Q 胴部
Q1 前面
Q2 左脇腹
Q3 右脇腹
Q4 背面
R 空気圧調整機構

Claims (2)

1. 台車と、
   前記台車によって傾動可能に支持されたアームと、
   前記アームによって支持され、被介護者の胴部の前面を保持する前面保持部、側面を保持する側面保持部、及び背面を保持する背面保持部の少なくとも何れかを有する保持部と、
   を備えた移乗支援装置であって、
   前記保持部は、前記被介護者の前記胴部の前面、側面、及び背面の少なくとも何れかの面内における異なる部位のそれぞれに対向するように配置された、第１の袋体と第２の袋体を少なくとも含み、
   前記第１の袋体の空気圧と前記第２の袋体の空気圧を個別に調整可能な空気圧調整手段を更に備え、
   前記第１の袋体は、前記被介護者の前記胴部の前記前面の鳩尾（みぞおち）に対向するように配置され、
   前記第２の袋体は、前記被介護者の前記胴部の前記前面の前記鳩尾以外の部位の一部または全体に対向するように配置され、
   前記空気圧調整手段は、前記被介護者を保持するに際し、前記第１の袋体の空気圧を、前記第２の袋体の空気圧よりも低くする、
   移乗支援装置。
2. 請求項１に記載の移乗支援装置であって、
   前記第２の袋体は、前記第１の袋体を囲むように配置されている、
   移乗支援装置。

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