JP6311945B2 - 合成樹脂製蓋部材 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には破断線とプルリングによる開封機構を備えた注出キャップに係る発明が記載されている。
この注出キャップは、キャップ本体101と、このキャップ本体101にヒンジ109を介して連接されるオーバーキャップ110から構成されている。
キャップ本体101は、壜体の口筒部に密に組付く組付き筒102を有し、この組付き筒102の上端部から有底筒状の注出筒104を起立設し、この注出筒104の底壁で、口筒部の開口部を覆うシール壁106には薄肉に形成した破断線Lbにより囲成して除去板部112が規定され、この除去板部112の外周縁部を基端として上方に延びる連結柱113を介して除去板部112に接続されるプルリング114を備えている。(なお、この例ではキャップ本体101は外装部101aと中栓部101bの2ケの部材から構成されている。)
そして、この注出キャップを備えた、液体調味料等を充填した製品を使用する際には、プルリング114を上方に引張り、破断線Lbを破断し、除去板部112を取り除き、この取り除いた部分を開口部として内容液を注出することができる。
一方、上記した図6、7に示すような注出キャップを使用する場合、少なくとも中栓部101bには、壜体の口筒部のシール性や、破断線Lbによる破断が容易である点を考慮して、比較的酸素バリア性の低い低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を使用する場合が多く、壜体容器の酸素バリア性を高くしても注出キャップ、特に注出キャップのシール壁106からの酸素の透過による品質の低下が懸念される。
容器の開口部を密に覆う合成樹脂製の蓋部材において、
開口部を覆うと共に破断可能に薄肉に形成した破断線により囲成して除去板部が規定されるシール壁と、除去板部の外周縁部を基端として上方に延びる連結柱を介して除去板部に接続されたプルリングとを備え、
シール壁の上面側と下面側に形成された一対の溝により上下から挟まれるようにして破断線が形成され、
シール壁の下面側に、破断線を含む領域を被覆するようにバリア性フィルム層が積層され、
バリア性フィルム層の、シール壁との接着面を構成する層が、シール壁と同種の合成樹脂製であり、シール壁と熱溶着状に接着され、
連結柱の基端部の直近に位置する破断線部分のみ、下面側の溝の底面に積層されたバリア性フィルム層に、スリットあるいは孔が貫通形成され、
スリットあるいは孔の内側はバリア性フィルム層の対向する内面同士が密着しているか若しくは空隙である構成とする、
と云うものである。
そして、シール壁の下面側は一般的にフラットに成形される部位でありバリア性フィルム層の積層は比較的容易に、破断線を横断するように破断線を含む領域を被覆、積層することが可能である。
なお、上記構成で蓋部材は注出キャップ、一般的なキャップ、中栓、一般的な蓋体等、容器の開口部を密に覆う部材を総称するものである。
また、シール壁はたとえば前述した注出キャップでは注出筒の底壁に相当し、蓋部材中、容器の開口部を平坦板状に覆う部位を総称するものである。
プルリングを引張った際に、バリア性フィルム層が破断し難く、延伸変形し、破断線とプルリングによる開口機構がスムーズに機能せず、破断するのに大きな力を要する、除去板部が除去されてもバリア性フィルム層が剥離残存し開口できない、またバリア性フィルム層が破断したとしても除去板部が除去されて形成される開口縁部にバリア性フィルム層の延伸状に破断した部分がバリとしてはみ出すため内容液の注出の邪魔になって、注出方向が定まらない、液切れが悪い等の問題が生じる。
スリットあるいは孔の内側はバリア性フィルム層の対向する内面同士が密着しているか若しくは空隙である構成とすることにより、このスリットや孔を起点として、破断線に沿ったバリア性フィルム層およびシール壁の破断をよりスムーズに進行させることが可能となる。
また、例えばバリア性フィルムをインサート材としたインサート成形により、シール壁の下面側の破断線を含む所定領域にバリア性フィルム層を熱溶着状に強固な接着状態で積層することができ、バリア性フィルム層のシール壁の下面側からの部分的な剥離を防ぐことができ、剥離に起因するバリア性の低下や破断性の低下を防ぐことができる。
そして、接着面ではシール壁の下面側とバリア性フィルム層が熱溶着状に一体化されているので、バリア性フィルム層に貫通形成されたスリットあるいは孔のノッチ効果がシール壁にも及び、バリア性フィルム層と共にシール壁自体の破断をより容易に、またスムーズに開始させることが可能となる。
また、例えば剃刀で切込みを入れる程度のスリットやピンホール程度の孔でも破断の起点としての作用が十分に発揮されるため、スリットや孔の形成によるバリア性の低下は、極く小さく限定することが可能である。
なお、バリア性フィルム層へのスリットあるいは孔の貫通形成は、シール壁にバリア性フィルム層を積層した後に後加工により容易に形成することが可能である。
また、後加工でスリットあるいは孔を貫通形成する際、スリットあるいは孔がシール壁の下面側の一部にまで及ぶようにすることも可能である。
たとえば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、エチレン酢酸ビニール共重合(EVA)樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等の各種バリア性を有する合成樹脂からなるフィルムを単層フィルム、あるいはこれらの樹脂層を積層した積層フィルムを使用することもできる。
さらに、アルミラミネートフィルムも使用することもできる。
すなわち本発明の主たる構成を有する合成樹脂製蓋部材にあっては、
連結柱の基端部の直近に位置する破断線部分のみ、下面側の溝の底面に積層されたバリア性フィルム層に、スリットあるいは孔が貫通形成され、スリットあるいは孔の内側はバリア性フィルム層の対向する内面同士が密着しているか若しくは空隙である構成とすることにより、このスリットや孔を起点として、破断線に沿ったバリア性フィルム層およびシール壁の破断をよりスムーズに進行させることができ、
シール壁に形成した破断線とプルリングによる開封機構において、破断線の易破断性を損なうことなく、シール壁によるバリア性の低下を効果的に抑制することができる。
なお、例えば剃刀で切込みを入れる程度のスリットやピンホール程度の孔でも破断の起点としての作用が十分に発揮されるため、スリットや孔の形成によるバリア性の低下を、極く小さく限定することができる。
図1〜図4は本発明の合成樹脂製蓋部材の実施形態の一つである注出キャップの一実施例を説明するためのものであり、図1はオーバーキャップ10を開姿勢にした状態での縦断面図、図2は平面図である。
また図3は、図1中の、後述する連結柱13の基端部近傍を要部拡大して示す縦断面図、図4は、図2中の、連結柱13の基端部近傍を要部拡大して示す平面図である。なお図4では連結柱13についてはその基端部をハッチングして示している。
この中、外装部1aは、図1に二点鎖線で示した壜体31の口筒部32に外嵌係合する組付き筒2を有し、この組付き筒2の上端縁から内鍔状の頂板2tを介して上端部をラッパ状に広げた注出筒4を起立設し、この注出筒4を下方に延長した形態で頂板2tの内周端縁から嵌着筒3を垂下設し、さらに注出筒4の内周面下端縁から係止フランジ片5を突周設した構成を有する。
なお、本実施例では注出キャップ1を上記したように外装部1aと中栓部1bの2つの部材を嵌合して構成しているが、勿論、2つの部材の射出成形や嵌合工程に係る生産性等を考慮して、注出キャップを一体的に射出成形した部材とすることができる。
そして、図1に示すように外装部1aと中栓部1bを嵌合してキャップ本体1が構成されるが、このキャップ本体1では中栓部1bのシール壁6は注出筒4の底壁6aを形成する。
これら破断線Lbとプルリング14によりこの注出キャップの開封機構が構成される。
また、インサート成形によりバリア性フィルム層15はLDPE樹脂層15aを介して、同様にLDPE樹脂製である中栓部1bのシール壁6に、強固に、また破断線Lbの凹状の断面形状に沿って積層されている。
さらに詳述すると、スリットS1は上記した下面側の溝11uの底面に積層するバリア性フィルム層15に形成されている。
このスリットS1はインサート成形により中栓部1bを射出成形した後、後加工により剃刀状の鋭利な刃先を有する治具で形成したものである。
ここで、バリア性フィルム層15についてその破断の態様を観察すると、延伸変形することなくスリットS1を起点としてスムーズに引裂き状に破断が進行しており、開口縁部にバリ等の発生もなく、内容液をスムーズに注出することができた。
バリア性フィルム層15が延伸変形し、破断のためにかなりの力を必要とした。また、破断線Lbに沿ってバリア性フィルム層15共にシール壁6を破断できたとしても、開口縁部にバリア性フィルム層15の延伸状に破断した部分がバリとしてはみ出すため、内容液を注出する際このバリが邪魔になって、注出方向が定まらない、液切れが悪い等の問題が生じた。
たとえば、本発明の蓋部材は上記説明したような注出キャップに限定されることなく、一般的なキャップ体、中栓体、蓋体等、容器の開口部を密に覆う蓋部材とすることができる。
また、実施例で説明した注出キャップ体についても、たとえば実施例ではキャップ本体を外装部と中栓部の2つの部材からなるものとしたが前述したように生産性等を考慮して1つの部材とすることもでき、その形状についても様々なバリエーションとすることができる。
勿論、遮断すべきガスの種類や、有効成分の逃散抑止性等、容器の使用目的を考慮して、バリア層を形成する合成樹脂を適宜選択することができ、バリア性を有する樹脂製の単層フィルムとすることもできるし、積層フィルムとすることもできる。
また、上記実施例ではバリア性フィルムをインサート材とした射出成形によりバリア性フィルム層を積層する例を説明したが、勿論、別工程で積層することもできる。
このように孔S2とする場合にも、ピンホールのように極く小さなものでも破断の起点としての機能を発揮させることができる。
1a;外装部
1b;中栓部
2 ;組付き筒
2t;頂板
3 ;嵌着筒
4 ;注出筒
5 ;係止フランジ
6 ;シール壁
6a;底壁
7 ;外筒片
8 ;内筒片
9 ;ヒンジ
10:オーバーキャップ
11t;(上面側の)溝
11u;(下面側の)溝
12;除去板部
13;連結柱
14;プルリング
15;バリア性フィルム層
Lb;破断線
S1;スリット
S2;孔
31;壜体
32;口筒部
101;キャップ本体
101a;外装部
101b;中栓部
102;組付き筒
104;注出筒
106;シール壁
109;ヒンジ
110;オーバーキャップ
112;除去板部
113;連結柱
114;プルリング
Claims (3)
- 容器の開口部を密に覆う合成樹脂製蓋部材であり、前記開口部を覆うと共に破断可能に薄肉に形成した破断線(Lb)により囲成して除去板部(12)が規定されるシール壁(6)と、前記除去板部(12)の外周縁部を基端として上方に延びる連結柱(13)を介して該除去板部(12)に接続されたプルリング(14)とを備え、前記シール壁(6)の上面側と下面側に形成された一対の溝(11t、11u)により上下から挟まれるようにして前記破断線(Lb)が形成され、前記シール壁(6)の下面側に、前記破断線(Lb)を含む領域を被覆するようにバリア性フィルム層(15)が積層され、前記バリア性フィルム層(15)の、前記シール壁(6)との接着面を構成する層が、前記シール壁(6)と同種の合成樹脂製であり、前記シール壁(6)と熱溶着状に接着され、前記連結柱(13)の基端部の直近に位置する破断線(Lb)部分のみ、前記下面側の溝(11u)の底面に積層された前記バリア性フィルム層(15)に、スリット(S1)あるいは孔(S2)が貫通形成され、前記スリット(S1)あるいは孔(S2)の内側は前記バリア性フィルム層(15)の対向する内面同士が密着しているか若しくは空隙である構成としたことを特徴とする合成樹脂製蓋部材。
- スリット(S1)あるいは孔(S2)がシール壁の下面側の溝(11u)の底面の一部にまで及んでいる請求項1記載の合成樹脂製蓋部材。
- 壜体の口筒部に組付く組付き筒(2)を有し、該組付筒(2)の上端部から有底筒状の注出筒(4) を起立設し、該注出筒(4)の底壁(6a)をシール壁(6)とした注出キャップである請求項1または2記載の合成樹脂製蓋部材。
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