JP6309516B2 - 生体分子の相互作用を調節するために電極表面近傍でpH/イオン濃度勾配を発生させる方法 - Google Patents

生体分子の相互作用を調節するために電極表面近傍でpH/イオン濃度勾配を発生させる方法 Download PDF

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Description

関連出願
[0001]本発明は、2012年7月6日付けで出願された米国特許出願第13/543,300号の利益を主張する。本出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
[0002]本発明は、バイオセンサーを使用した生体分子の診断方法、およびこのようなバイオセンサーを改善する方法に関する。その上、本発明は、このようなバイオセンサーにおいて、生体分子の相互作用を調節するために電極表面近傍でpH濃度勾配を発生させる方法に関する。
[0003]近年、より高い忠実度、例えば感受性および特異性を有する診断テストを必要とする予測、予防、特に個別化医療に関心が高まりつつある。近い将来有望な診断技術のなかでも特に、複合型測定プラットフォーム、例えば、現在調査に使用されているタンパク質アレイが挙げられる。これらのテストにおけるサンプルは、ヒトの体液、例えば血液、血清、唾液、生物学的な細胞、尿、または他の生体分子などであってもよいが、例えばミルク、ベビーフード、または水などの消耗品であってもよい。当分野において、例えば核酸、タンパク質などの生体分子、さらには低分子物質のための低コストの複合型テストへの必要性が高まりつつある。このようなテストで求められる感受性および特異性を達成することは、難しい問題がないわけではない。これらのテストを集積電子工学と組み合わせてCMOS技術を使用することにより、これらの問題のうちいくつかに対して解決がもたらされてきた。
[0004]検出アッセイにおける2つの主要な制限としては、感受性および交差反応性が挙げられる。これらの要素の両方が検出可能な最低濃度に影響し、したがって診断エラー率にも影響する。このようなテストにおける感受性は、一般的に、標識検出精度、プローブ−分析物対(例えば抗体−抗原対)の結合係数、および表面上でのプローブ分子(例えばプローブ抗体)の有効密度(図1で示される通り)によって制限される。また生体サンプル中の他の分子も、プローブ分子(例えば一次抗体)への結合、またはテストサイトにおける表面への分析物の物理吸着(図2で示される通り)によって検出可能な最低濃度に影響する可能性がある。さらに検出剤(例えば二次抗体)も、表面に物理吸着して、バックグラウンドシグナルの増加を引き起こす可能性がある(図2で示される通り)。交差反応性およびバックグラウンドの問題の解決は、新しいテストのアッセイの開発において相当な時間を要する可能性があり、さらにテスト全体のコストおよび複雑さを高める。このようなアッセイは、典型的には最良の試薬および条件を発見することによって最適化され、さらには最も特異的なプローブ分子(例えば抗体)を製造することによっても最適化される。それにより長い開発時間、場合によってはテストが実行できないこと、およびより高い製造コストがもたらされる。例えば、典型的なELISAアッセイの開発は、アッセイ開発の一環として正しい抗体を発見するのに、1年より長い期間にわたり数人の科学者の作業が必要である。タンパク質の交差反応性は、このような努力の失敗の原因となり得る。
[0005]複数のサイトをテストするプラットフォームを提供するバイオセンサーは、上述したアッセイの開発における制限のうちいくつかに対する解決法を提供するものと考えられていた。米国特許出願公開US2011/0091870号は、プローブ分子への生体分子分析物(例えばタンパク質)の結合を調節するための、異なる反応条件に晒すことができる複数のサイトを有するバイオセンサーを説明している。
例えば、4つのサイトを有するバイオセンサーで検出されたシグナルは、数種の、例えば4つの構成要素を有する可能性もある。これらの4つの項は、対象バイオマーカーの濃度と、一次抗体(プローブ分子)サイトに非特異的に結合してバイオマーカーの結合を妨げるサンプル中の妨害分析物の濃度と、サンドイッチを形成し誤ったシグナルを生産するサンプル中の妨害分析物の濃度と、最後に表面に物理吸着して誤ったシグナルを生産するサンプル中の妨害分析物の濃度とに相当する可能性がある。各項はまた、分子親和性の関数である結合効率因子のαij、および他のアッセイ条件、例えば質量の移動にも比例する。各サイトの条件を別々に制御することによって、サイトごとに異なる効率因子を有するようになる。各サイトにおけるシグナルを正確に測定することによって、例えば、以下の式で示される複数の方程式および複数の未知数が得られると予想され、式中、Canは、標的化される生体分子分析物の濃度に相当し、Cj1、Cj2、Cj3は、バックグラウンドシグナルにおいて異なる項を生じさせる総分子濃度に相当する。
Figure 0006309516
[0006]このような対象生体分子分析物の検出システムとしてのバイオセンサーの性能において、結合効率因子に大きい変化が生じるように異なるサイトのアッセイ条件を正確かつ厳密に制御することが重要である。したがって、複数のテストサイトのアレイを有するバイオセンサー中のテストサイト間の結合効率に大きい変化が生じるように、CMOS、電極アレイ、またはTFTベースの装置を容易に集積させ得る方法が求められている。
US2011/0091870
[0007]本明細書において、このような、複数のテストサイトのアレイを有するバイオセンサー中のテストサイト間の結合効率に大きい変化が生じるように、例えばCMOS、電極アレイ、またはTFTベースのバイオセンサーを集積させ得る方法が提供される。特に、本願は、プローブの生体分子と対象生体分子分析物との間の生体分子の相互作用を調節するために、このようなバイオセンサーの電極表面近傍でpHまたはイオン濃度を調節する方法を提供する。
[0008]一実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;および
c)水溶液中の電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること
を含む、上記方法が提供される。
[0009]他の実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に電気化学的に活性な物質を添加すること;および
c)電気化学的に活性な物質を酸化または還元すること
を含む、上記方法が提供される。
[0010]他の実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブと1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有する);
b)水溶液に酵素基質を添加すること;および
c)酵素基質を酵素的に酸化または還元すること
を含む、上記方法が提供される。
[0011]さらにその他の実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に、磁性マイクロまたはナノ粒子上に固定された1つまたはそれより多くの酵素を添加すること;
c)水溶液に酵素基質を添加すること;および
d)酵素基質を酵素的に酸化または還元すること
を含む、上記方法が提供される。
[0012]他の実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に酵素を添加すること;および
c)電極表面で酵素を反応させること
を含む、上記方法が提供される。
[0013]他の実施態様において、バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に、緩衝阻害剤を添加すること;および
c)HイオンもしくはOHイオンの拡散、またはHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること
を含む、上記方法が提供される。
[0014]さらにその他の実施態様において、生体分子分析物の検出に使用するための、生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更させることが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーであって、各テストサイトは:
a)水性環境中の支持体;
b)1つまたはそれより多くの電極;および
c)1つまたはそれより多くの固定されたプローブと1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有する生体分子インターフェース層
を含む、上記バイオセンサーが提供される。
[0015]他の実施態様において、生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、電気化学的な活性物質の溶解を容易にするために、水混和性有機共溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を含む水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)各テストサイトにおいて、水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;
c)水溶液中で、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること;
d)各テストサイトに生体サンプルを添加すること;および
e)各テストサイト中の生体分子分析物を検出すること
を含み、ここでテストサイト中の電極表面近傍のpHまたはイオン濃度がそれぞれ異なるテストサイトのセットが得られるように、工程b)で添加される量および工程c)中の反応は、テストサイトのサブセットアレイ中のテストサイト間でそれぞれ異なっている、上記が提供される。
図1は、典型的な周知のELISAアッセイ工程の図解である:a)ブロックされた表面上の固定された一次抗体にサンプルを導入してインキュベートし、b)サンプルを洗浄し、c)標識された二次抗体を添加する。標識の数は、標的抗原の濃度に比例する。 図2は、望ましくない交差反応性の図解である。一次抗体または表面に対象抗原(ひし形)以外の分子が結合すると、不正確なシグナルを生じるか、または抗原のサンドイッチ形成を妨げる可能性がある。 図3は、マルチサイトセンサーおよび検出されたシグナル中の構成要素の図解である。下の2つの概略図は、サイトのうち2つに相当する。 図4は、マルチサイトセンサー中のセンサーのテストサイト構成の図解である。 図5は、電気化学的方法を使用した電極表面でのpH変化を示す略図である。 図6は、磁性マイクロ/ナノ粒子を使用して酵素がタンパク質表面に接近したときの酵素反応によるpH変化の図解である。マイクロ/ナノ空孔は、pH変化の局所化を助ける。 図7Aは、PBS単独中での酸化インジウムスズ(ITO)電極のサイクリックボルタモグラムである。pH変化が起こる可能性がある領域は、Ag/AgCl参照電極に対して1Vより高い酸素発生がある領域である。 図7Bは、ITO電極におけるアスコルビン酸の酸化テストのサイクリックボルタモグラム試験である。約0.25Vでの電流の増加は、ITO電極での酸化の開始を示す。 図8Aは、リン酸緩衝液中のITO−PEG表面上への1Vの適用を示す。1V適用前後でのインピーダンスの変化は、PEGの変化または電極からのPEGの除去を示す。 図8Bは、ITO−PEG表面での0.5Vおよび0.75Vにおけるアスコルビン酸の酸化を示す。アスコルビン酸の酸化中にインピーダンスの変化はなく、これは、PEG層は何の変化も受けないことを示す。
[0024]バイオセンサー中のテストサイトのマルチサイトアレイのpHまたはイオン濃度勾配を変更するためにバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、本方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;および
c)水溶液中の電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝剤を用いてHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること
を含む、上記方法が提供される。
[0025]上述した方法において、マルチサイトアレイバイオセンサー中の様々なテストサイトで、局所的なpHまたはイオン濃度勾配を獲得できる。バイオセンサーのマルチサイトアレイのサブセット全体にわたり、電極での、特に生体分子インターフェース層中の(生体分子)プローブ近傍での局所的なpHおよび/またはイオン濃度勾配を変更することは、(生体分子)プローブと生体サンプル由来のテストしようとする分析物との結合効率の調節を可能にする。対象分析物が(生体分子)プローブと結合すると、例えば標識された二次抗体などの検出剤を使用して対象分析物を検出できる。マルチサイトアレイのサブセットで結合効率を調節することにより、このような対象分析物の正確な決定方法がもたらされる。
[0026]バイオセンサーは、好ましくは、例えばUS2011/0091870号で説明されるようなテストサイトのマルチサイトアレイを含む。このようなマルチサイトアレイは、好ましくは、テストサイトの多数の異なるサブアレイ/サブセットを包含する。各テストサイトの代表例は、(生体分子)プローブを使用する(生体分子)分析物の検出によって、生体サンプル由来の(生体分子)分析物の分析を行うためのサイトである。サブアレイ/サブセットそれぞれにおける各テストサイトの分析条件を変更することにより、複数の方程式および複数の未知数を生じさせると予想される変更されたシグナルの集合体を得ることができ、この集合体から、(生体分子)分析物の正確な測定値を得るために(生体分子)分析物の濃度を決定できる。
[0027]このようにして得られたそれぞれの変更されたシグナル中の複数の未知数は、テストサイトで検出される生体サンプルの結合における様々な分子の結合効率因子αijおよび濃度に比例する項を包含する。複数の未知数を有する複数の方程式は、例えば以下の式のように示すことができ、式中、Canは、標的化される生体分子分析物の濃度に相当し、Cj1、Cj2、Cj3は、バックグラウンドシグナルにおいて異なる項をもたらす分子の総濃度に相当し、このような複数の方程式の集合体から、標的化される生体分子分析物の濃度を決定できる。
Figure 0006309516
[0028]サブアレイ/サブセットの数、加えて各サブアレイ/サブセット内のテストサイトの数は、必要に応じてこのような分析物の正確な測定が得られるように変更してもよい。これらの分析条件のいくつかの例は、例えば温度、剪断応力、および圧力などのパラメーターなどである。例えば生体分子プローブと生体サンプル中の対象分析物とが相互作用する水溶液の温度は、テストサイトでの電磁熱を使用して変更できる。生体分子プローブと対象分析物との相互作用にとって重要な他の条件は、pHまたはイオン濃度である。本明細書で説明される方法は、生体分子プローブ近傍での結合効率が影響を受けるように、このような生体分子プローブの局所的な環境におけるpHまたはイオン濃度を調節する方法である。
[0029]マルチサイトアレイのサブアレイ/サブセット中の各テストサイトは支持体を含んでおり、この支持体上に1つまたはそれより多くの電極が配置され、さらにその固体表面上に生体分子プローブ(複数可)が固定されるかまたは結合されている(図3および4で示される通り)。このように固体表面または支持体に生体分子プローブを固定することは、分析方法に必要なプローブ量を低減することに役立ち、さらに正確な測定をもたらす検出領域を局所化する。したがって生体分子プローブは、支持体および/または電極、例えばケイ素、ガラス、金属、および半導体材料の支持体および/または電極の固体表面に付着される(図4で示される通り)。
[0030]生体分子プローブは、生体分子インターフェース層内の支持体および/または電極(複数可)上に付着されるかまたは固定される(図4で示される通り)。生体分子層の例としては、固定されたポリマーの層、好ましくはシランが固定されたポリエチレングリコール(PEG)の層が挙げられる。表面に固定されたポリエチレングリコール(PEG)は、表面上での生体分子分析物の非特異的な吸着を防ぐのに使用できる。表面に固定されたPEGの少なくとも一部は、例えばコンジュゲート可能なN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、マレイミド、アルキン、アジ化物、ストレプトアビジンまたはビオチンなどの末端官能基を含んでいてもよい。生体分子プローブを表面に固定されたPEGとコンジュゲートさせることにより、生体分子プローブを固定してもよい。pHを変化させるのに使用される方法は、例えば固体支持体表面上のPEG、または生体分子プローブにコンジュゲートしたリンカーのPEGへの共有結合を損なわないことが重要である(図5で示される通り)。本明細書で説明されるようなpHまたはイオン濃度を調節する方法は、これらの表面の化学的性質を保護しつつ、生体分子プローブの環境におけるpH/イオン濃度の変化に影響を与えることができる。
[0031]好適な生体分子プローブは、対象分析物が特異的な親和性を有する炭水化物、タンパク質、糖タンパク質、複合糖質、核酸、細胞、またはリガンドであってもよい。このようなプローブは、例えば抗体、抗体フラグメント、ペプチド、オリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、脂質、細胞表面上で糖タンパク質およびグリコリピドと結合するレクチン、糖、アゴニスト、またはアンタゴニストであってもよい。具体的な例において、生体分子プローブは、例えば生体サンプル中に存在する抗原と相互作用するタンパク質抗体であり、その場合、この抗原は、対象生体分子分析物である。
[0032]本明細書で説明される分析方法において、生体サンプル中の対象分析物は、例えば、抗原もしくは酵素もしくはペプチドなどのタンパク質、全細胞、細胞膜の構成要素、DNAもしくはRNAなどの核酸、またはDNAオリゴヌクレオチド、もしくはRNAオリゴヌクレオチドであってもよい。
[0033]電極は、バイオセンサーにおいて好適なあらゆる電極であってもよく、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、金、または銀電極である。好ましい実施態様において、本明細書で説明される方法におけるバイオセンサー中の電極は、酸化インジウムスズ(ITO)電極である。
[0034]このバイオセンサーを使用した生体サンプル中の生体分子分析物を検出するための一実施態様に係る分析方法は、以下の工程:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定された検出剤を有する);
b)各テストサイトにおいて、水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;
c)水溶液中で、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること;
d)各テストサイトに生体サンプルを添加すること;および
e)各テストサイト中の生体分子分析物を検出すること
を含み、ここでテストサイト中の電極表面近傍のpHまたはイオン濃度がそれぞれ異なるテストサイトのセットが得られるように、工程b)で添加される量および工程c)中の反応は、テストサイトのサブセットアレイ中のテストサイト間でそれぞれ異なっている、上記方法である。水溶液は、電気化学的な活性物質の溶解を容易にするために、水混和性有機共溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を含む。水混和性有機溶媒の量は、水溶液中の水に対して0.1から80%v/v、好ましくは0.1から10%v/v、最も好ましくは1.0から5.0%v/vの範囲であってもよい。このようにして、本分析方法は、テストサイトの各サブセットにおいて、サブセット中のテストサイト全体にわたり生体分子プローブ近傍でpHまたはイオン濃度勾配をもたらす。それにより、生体サンプル中の分析物および他のあらゆる分子の結合効率は、各サブセット中の一連のテストサイトそれぞれにおいて異なって影響を受ける。
[0035]生体分子分析物は、あらゆる好適な検出方法を使用して検出が可能である。このような分析物の公知の検出方法としては、発光、蛍光、比色方法、電気化学的方法、インピーダンス測定、または磁気誘導測定が挙げられる。このような様々な方法において、分析物が固定された生体分子プローブに結合すると、固定されたプローブに結合した分析物に特異的に結合する検出剤(例えば二次標識されたプローブなど)が導入される。この検出剤または二次標識されたプローブは、例えば発光または蛍光などの検出可能なシグナルを生じさせる(図5および6で示される通り)。
[0036]このような分析方法において、固定された生体分子プローブ周囲の溶液のpHは、プローブと分析物との結合/活性にかなりの程度影響を与えることが知られている。また周囲のタンパク質における他のイオンの濃度も、結合/活性に相当な影響を与える可能性がある。本明細書において、表面に近接して固定された生体分子プローブ近傍でpHおよび/またはイオン濃度を調節する方法が提供される。またこれらの固体表面近傍のpHの調節はさらに、分析物と生体分子プローブ以外の他の分子との非特異的な相互作用、および生体サンプルの溶液中の他の分子と生体分子プローブまたは分析物との相互作用にも影響を与える。しかしながら、pHまたはイオン濃度の調節は、例えばバイオセンサーにおけるマルチサイトアレイのテストサイト中の表面の固体支持体に生体分子プローブを固定する表面の化学的性質など、いかなる表面の化学的性質も損なわないと予想される。本明細書で説明されるようなpHまたはイオン濃度を調節する方法は、これらの表面の化学的性質を保護しつつ、生体分子プローブの環境におけるpH/イオン濃度の変化に影響を与えることができる。
[0037]表面化学の適合性は、本明細書で説明される方法を実施する際に留意すべき重要な考察事項である。pH変化は、水素イオンまたはヒドロキシルイオン濃度の変化によって引き起こされる。図5で示されるように、電極−液体、電極−クロスリンカー、クロスリンカー−タンパク質、およびタンパク質−タンパク質のインターフェースで起こる様々な化学反応はまた、それらの上面にタンパク質を到達させるために固体表面近傍で起こるpH変化を妨害する可能性もある。このような化学反応は、イオンにとっては単に拡散障壁として作用して、生体分子プローブおよび分析物周辺でpH変化を妨害する可能性がある。これらの本明細書で説明されるpHまたはイオン濃度を調節する方法は、表面の化学的性質によって課せられたあらゆる拡散障壁を克服できるように水素またはヒドロキシルイオン濃度の変化を最大化するのに役立つ。
[0038]他の重要な観点は、固体のインターフェースと接触した際の溶液の緩衝能力である。インターフェースでのpH変化が、インターフェースから離れて固定されている生体分子プローブには決して及ばないと予想される程度に緩衝作用を大きくしてもよい。この距離は、固体のインターフェース上面に堆積した生体分子インターフェース層に基づき様々であり得る。このような生体分子インターフェース層は、300nmまたはそれ未満、好ましくは1〜150nm、さらにより好ましくは5〜100nmの厚さを有していてもよい。その場合、固体のインターフェースと生体分子インターフェース層内の生体分子プローブとの距離は、0.1〜300nmの範囲であってもよい。溶液中または表面上で、相互作用するプローブ−分析物対に達するように電極インターフェース上でのpH変化を高める緩衝阻害剤を使用することが、生体分子プローブ近傍のpHまたはイオン濃度の調節に寄与する可能性がある。
[0039]以下、固体−液体インターフェースでpH/イオン濃度を調節する方法の例を示す。この方法は:1)電気化学的酸化/還元の際に対象イオン(例えば、H、Mg、OH)を発生させる溶液に、電気化学的に活性な化学種を添加することによって、電極表面でイオンを電気化学的に発生させること;2)対象サイトに酵素を近接させることにより、酵素と反応する酵素基質からこのような対象イオンを放出させること;3)例えば、溶液(例えばリン酸塩)中のイオンの拡散速度を選択的に減少させるポリマーを混合することによって、緩衝阻害剤を導入することを包含する。米国特許第7,948,015号は、小さい局所的なpH変化の測定(例えばDNA配列決定における)が目的の用途のための阻害剤の使用を説明している。しかしながら、pHが類似する阻害剤を局所的に調節する方法において、電極−液体インターフェースからよりいっそう離れた局所的なpH変化を高めるために、4)静電力のために電極表面近傍に前から存在するイオンを再分配することを使用してもよい。
[0040]本明細書で説明されているようなバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法の一実施態様において、マルチサイトアレイ中のテストサイトにおいて、水溶液に電気化学的に活性な物質が添加され、ここでテストサイトは、生体分子プローブまたは検出剤を含む生体分子インターフェース層を有し、電気化学的に活性な物質が酸化または還元される。電気化学的に活性な物質は、1nM〜100mMの濃度で、好ましくは10nMから10mMの間の濃度で、より好ましくは100nMおよび5mMの濃度で添加されてもよい。電気化学的に活性な物質は、(Ag/AgCl参照電極に対して)−2Vから+2Vの範囲の電極電位で電気的に酸化されてもよいし、または電気的に還元されてもよい。電極電位は、好ましくは−1Vから+1Vの範囲内であり、電極電位は、より好ましくは−0.5Vから+0.5Vの範囲内である。
[0041]好適な電気化学的に活性な物質としては、塩酸ドーパミン、アスコルビン酸、フェノールおよび誘導体、ベンゾキノンおよび誘導体、例えば2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、および2,6−ジクロロキノン−4−クロロイミド;ナフトキノンおよび誘導体、例えば、ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、5,8−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、および1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸カリウム;ならびに9,10−アントラキノンおよび誘導体、例えば、アントラキノン−2−カルボン酸ナトリウム、9,10−アントラキノン−2,6−ジスルホン酸カリウムが挙げられる。
[0042]バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法の他の実施態様において、1つまたはそれより多くの固定された生体分子プローブを有する生体分子インターフェース層に、さらに酵素が固定される。次いで、マルチサイトアレイ中のテストサイトにおいて、水溶液に酵素基質が添加され、ここでテストサイトは、生体分子インターフェース層を有し、酵素基質が酵素的に酸化される。
[0043]pHまたはイオン濃度を調節する方法の他の実施態様において、本方法は:
a)水溶液中における電磁石と、1つまたはそれより多くの固定された検出剤を有する生体分子インターフェース層とを含むバイオセンサーを提供すること;
b)水溶液に、磁性マイクロまたはナノ粒子上に固定された1つまたはそれより多くの酵素を添加すること;
c)水溶液に酵素基質を添加すること;および
d)酵素基質を酵素的に酸化すること
を含む。
[0044]生体分子インターフェース層中に、または磁性マイクロもしくはナノ粒子上に固定するのに好適な酵素としては、例えばオキシダーゼ、ウレアーゼ、またはデヒドロゲナーゼなどが挙げられる。このような固定されたオキシダーゼは、例えばグルコースオキシダーゼであり、酵素基質は、グルコースである。固定された酵素および酵素基質の添加量は、マルチサイトアレイのサブセットにおいてpHまたはイオン濃度勾配が提供されるように、マルチサイトアレイのサブセットそれぞれのテストサイトごとに異なっていてもよい。
[0045]あるいは、例えば上述した生体分子インターフェース層に、または磁性マイクロまたはナノ粒子上に酵素が固定される方法などで、酵素は固体表面に固定されるのではなく、マルチサイトアレイのサブセットのテストサイト中の水溶液に添加される。酵素は、電極表面で電気分解を介して酸化還元反応を受けることにより、局所的なpHを不安定化させる。
[0046]これらの実施態様のそれぞれにおいて、水溶液に緩衝阻害剤を添加することによってpHまたはイオン濃度をさらに調節してもよい。このような緩衝阻害剤の添加は、生産された対象イオンを生体分子プローブまたは検出剤の位置まで拡散するよう促進するか、またはこのようにして生産されたイオンと緩衝塩との相互作用を阻害する。あるいは、本明細書で説明されているようなバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法において、電気化学的な活性物質または固定された酵素の非存在下で、緩衝阻害剤が、マルチサイトアレイのサブセットのテストサイトの水溶液に添加される。このような実施態様において、緩衝阻害剤が水溶液に添加されると、テストサイト中の電極で生産されるHイオンまたはOHイオンの拡散が容易になるか、またはHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用が阻害される。
[0047]好適な緩衝阻害剤としては、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、およびトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩から選択される可溶性ポリマーが挙げられる。緩衝阻害剤の添加量は、マルチサイトアレイのサブセットにおいてpHまたはイオン濃度勾配が提供されるように、マルチサイトアレイのサブセットそれぞれのテストサイトごとに異なっていてもよい。
[0048]以下、具体的な方法を例示する実施例を示すが、どのような形でも限定を意図するものではない。実施例は、一般的な知見から理解されるような説明の範囲内で改変が可能である。
[0049]電極表面におけるH またはOH イオンの電気化学的な発生
[0050]使用した電極材料:電極材料は酸化インジウムスズであった。これは、水溶液中で極めて大きい電位窓を有する半導体電極表面である。
[0051]電極表面でアスコルビン酸のHイオン酸化をもたらす化学種の電気的酸化によりHイオンが生産され、電極表面のpHがより酸性の状態に変化した:
AH→A+2H+2e
式中、AHは、アスコルビン酸(C)である(図5で示される通り)。アスコルビン酸が酸化する電極電位は、酸化インジウムスズ材料の場合、Ag/AgCl参照電極に対して0.5V未満であった(図7で示される通り)。この電位は、水溶液中での酸素発生反応に必要な電圧より小さかった。より高い電極電位(例えば、ITO電極の場合、ただのリン酸緩衝液中では1Vより大きい)は、PEG層にダメージを与える可能性がある(図8で示される通り)。またアスコルビン酸は、表面の化学物質の電気化学分解を防ぐための犠牲的化学種としても作用する。
[0052]OH イオンを生産するための化学種の電気的還元
ベンゾキノン(C)をヒドロキノン(C)に還元することにより、−0.1VでOHイオンを生産することができた:
BQ+2e+2HO→HQ+2OH
この還元反応は、電極インターフェースにおけるpHを高める。
[0053]上記の実施例において、発生したHまたはOHイオンの量は、溶液中に存在する化学種の濃度(nMからmMの範囲)、適用された電位(−2Vから+2V)、波型のタイプ(異なる周波数および衝撃係数での、脈波、一定波、のこぎり波、正弦波、方形波)、および化学種の拡散(これは、溶液中の添加剤によって変更可能である)によって決まると予想される。これらのパラメーターを最適化することにより、マルチサイトバイオセンサー中に存在する電極素子のそれぞれで異なるpHを得ることができる。
[0054]酵素反応を使用したpH変化
[0055]例えばオキシダーゼ、ウレアーゼまたはデヒドロゲナーゼなどの酵素は、反応中に水素を消費したり、または水素を発生させたりすることが知られている。例えば:
β−d−グルコース+O→d−グルコース−δ−ラクトン+H
d−グルコース−δ−ラクトン+HO→d−グルコネート+H
グルコースオキシダーゼの存在下でグルコースを酸化することにより、対象タンパク質の近傍でpHを変化させるのに使用されるHイオンを生産できる。
[0056]生体分子インターフェース層中で酵素と生体分子プローブとを共に固定すること
[0057]表面上で酵素とタンパク質とを共に固定すると、それらが近接した状態になるため、酵素反応によって生産されたHは、タンパク質結合(例えば抗原−抗体結合、および非特異的な結合)に影響を与えることができる局所化されたpH変化をもたらすと予想される。
[0058]磁性マイクロ/ナノ粒子への酵素の付着
[0059]タンパク質は、電磁石上の固体表面のマイクロ/ナノ空孔に付着される。酵素は、溶液中で磁性マイクロ/ナノ粒子に別々に付着される。下部に設置/配置された電磁石を制御することにより、局所的なpH値が制御される。次いでそれに対応する酵素基質を導入することによって酵素反応が開始される(図6で示される通り)。あるいは電気化学的に活性な酵素が使用される。pH変化は空孔で局所的に起こり、タンパク質の相互作用が調節される。
(1) バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;および
c)水溶液中で、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること
を含む、上記方法。
(2) 水溶液が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびそれらの混合物からなる群より選択される水混和性有機共溶媒を含む、(1)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(3) その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する生体分子インターフェース層が、固定されたポリマーの層とプローブとを含む、(1)または(2)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(4) 生体分子インターフェース層が、シランが固定されたポリエチレングリコール(PEG)を含み、ここで表面に固定されたPEGの少なくとも一部が、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、マレイミド、アルキン、アジ化物、ストレプトアビジン、およびビオチンからなる群より選択される末端官能基を含む、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(5) 工程b)において、水溶液に電気化学的に活性な物質を添加し、工程c)において、電気化学的に活性な物質を酸化または還元する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(6) 電極電位が、Ag/AgClに対して−1V〜+1Vの範囲内である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(7) 電気化学的に活性な物質が、1nM〜100mMの濃度で添加される、(1)〜(6)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(8) 電気化学的に活性な物質が、塩酸ドーパミン、アスコルビン酸、フェノールおよびそれらの誘導体、ベンゾキノンおよびそれらの誘導体、ナフトキノンおよびそれらの誘導体、ならびに9,10−アントラキノンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される、(1)〜(7)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(9) 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、(5)〜(8)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(10) バイオセンサーは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブと1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有し、工程b)において、水溶液に酵素基質を添加し、工程c)において、酵素基質を酵素的に酸化または還元する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(11) 固定された酵素が、オキシダーゼ、ウレアーゼ、またはデヒドロゲナーゼである、(10)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(12) 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、(10)または(11)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(13) 支持体は、電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有し、工程b)において、酵素基質の前にまたはそれと同時に、磁性マイクロまたはナノ粒子上に固定された1つまたはそれより多くの酵素を添加し、工程c)において、酵素基質を酵素的に酸化または還元する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(14) 固定された酵素が、オキシダーゼ、ウレアーゼ、またはデヒドロゲナーゼである、(13)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(15) 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、(13)または(14)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(16) 工程b)において、水溶液に酵素を添加し、工程c)において、電極表面で酵素を反応させる、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(17) 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、(16)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(18) 工程b)において、水溶液に緩衝阻害剤を添加し、工程c)において、HイオンもしくはOHイオンの拡散を促進するか、またはHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(19) 緩衝阻害剤が、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、およびトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩から選択される可溶性ポリマーである、(1)〜(4)、(9)、(12)、(15)、(17)および(18)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(20) バイオセンサーが、CMOS、電極アレイ、またはTFTベースのシステムを含む、(1)〜(19)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(21) 電極が、酸化インジウムスズ、金または銀電極である、(1)〜(20)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(22) 支持体が、ガラスまたはプラスチック支持体である、(1)〜(21)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(23) 固定されたプローブが、タンパク質、ペプチド、核酸、および細胞から選択される、(1)〜(22)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(24) タンパク質が、抗体である、(21)に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(25) 生体分子インターフェース層が、1つまたはそれより多くの電極を被覆しており、5〜150nmの厚さを有する、(1)〜(24)のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
(26) 生体分子分析物の検出に使用するための、生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更させることが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーであって、各テストサイトは:
a)水性環境中の支持体;
b)1つまたはそれより多くの電極;および
c)1つまたはそれより多くの固定された検出剤と1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有する生体分子インターフェース層
を含む、上記バイオセンサー。
(27) 支持体が、電磁石を含む、(26)に記載のバイオセンサー。
(28) バイオセンサーが、CMOS、電極アレイ、またはTFTベースのシステムを含む、(26)または(27)に記載のバイオセンサー。
(29) 電極が、酸化インジウムスズ、金または銀電極である、(26)〜(28)のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
(30) 支持体が、ガラスまたはプラスチック支持体である、(26)〜(29)のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
(31) 固定された検出剤が、タンパク質、ペプチド、核酸、および細胞から選択される、(26)〜(30)のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
(32) 生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法であって、該方法は:
a)生体分子分析物と相互作用する条件を独立して変更することが可能な、テストサイトのマルチサイトアレイを含むバイオセンサーを提供すること(ここで各テストサイトは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極または電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する);
b)各テストサイトにおいて、水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;
c)水溶液中の電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること;
d)各テストサイトに生体サンプルを添加すること;および
e)各テストサイト中の生体分子分析物を検出すること
を含み、ここでテストサイト中の電極表面近傍のpHまたはイオン濃度がそれぞれ異なるテストサイトのセットが得られるように、工程b)で添加される量および工程c)中の反応は、テストサイトのサブセットアレイ中のテストサイト間でそれぞれ異なっている、上記方法。
(33) 生体サンプルの量または生体サンプルの濃度が、テストサイトのサブセットアレイ間でそれぞれ異なっている、(32)に記載の生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法。
(34) 水溶液が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびそれらの混合物からなる群より選択される水混和性有機共溶媒を含む、(32)または(33)に記載の生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法。

Claims (34)

  1. バイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法であって、
    (a)複数のテストサイトのアレイを含むバイオセンサーを提供することと;
    (b)各テストサイトにおいて、水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加することと;
    (c)各テストサイトの水溶液中で、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または、緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または、緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害することと;
    を含み、各テストサイトは、
    ・水溶液の下にある支持体と、
    ・支持体上に配置された1つまたはそれより多くの電極または電磁石と、
    ・1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有し、(1)支持体上および/または(2)電極上または電磁石上に配置された生体分子インターフェース層と、
    を有し、
    各テストサイトにおいて、生体分子分析物と1つまたはそれより多くのプローブが相互作用する条件であるpHまたはイオン濃度を独立して変更することが可能である、上記方法。
  2. 水溶液が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびそれらの混合物からなる群より選択される水混和性有機共溶媒を含む、請求項1に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  3. その上に1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有する生体分子インターフェース層が、固定されたポリマーの層とプローブとを含む、請求項1または2に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  4. 生体分子インターフェース層が、シランが固定されたポリエチレングリコール(PEG)を含み、ここで表面に固定されたPEGの少なくとも一部が、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、マレイミド、アルキン、アジ化物、ストレプトアビジン、およびビオチンからなる群より選択される末端官能基を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  5. 工程b)において、水溶液に電気化学的に活性な物質を添加し、工程c)において、電気化学的に活性な物質を酸化または還元する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  6. 電極電位が、Ag/AgClに対して−1V〜+1Vの範囲内である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  7. 電気化学的に活性な物質が、1nM〜100mMの濃度で添加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  8. 電気化学的に活性な物質が、塩酸ドーパミン、アスコルビン酸、フェノールおよびそれらの誘導体、ベンゾキノンおよびそれらの誘導体、ナフトキノンおよびそれらの誘導体、ならびに9,10−アントラキノンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  9. 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  10. バイオセンサーは、水溶液中で支持体を含み、支持体は、1つまたはそれより多くの電極を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブと1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有し、工程b)において、水溶液に酵素基質を添加し、工程c)において、酵素基質を酵素的に酸化または還元する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  11. 固定された酵素が、オキシダーゼ、ウレアーゼ、またはデヒドロゲナーゼである、請求項10に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  12. 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、請求項10または11に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  13. 支持体は、電磁石を含み、生体分子インターフェース層は、1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有し、工程b)において、酵素基質の前にまたはそれと同時に、磁性マイクロまたはナノ粒子上に固定された1つまたはそれより多くの酵素を添加し、工程c)において、酵素基質を酵素的に酸化または還元する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  14. 固定された酵素が、オキシダーゼ、ウレアーゼ、またはデヒドロゲナーゼである、請求項13に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  15. 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、請求項13または14に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  16. 工程b)において、水溶液に酵素を添加し、工程c)において、電極表面で酵素を反応させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  17. 水溶液に、緩衝阻害剤を添加することをさらに含む、請求項16に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  18. 工程b)において、水溶液に緩衝阻害剤を添加し、工程c)において、HイオンもしくはOHイオンの拡散を促進するか、またはHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  19. 緩衝阻害剤が、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、およびトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩から選択される可溶性ポリマーである、請求項1〜4、9、12、15、17、および18のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  20. バイオセンサーが、CMOS、電極アレイ、またはTFTベースのシステムを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  21. 電極が、酸化インジウムスズ、金または銀電極である、請求項1〜20のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  22. 支持体が、ガラスまたはプラスチック支持体である、請求項1〜21のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  23. 固定されたプローブが、タンパク質、ペプチド、核酸、および細胞から選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  24. タンパク質が、抗体である、請求項21に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  25. 生体分子インターフェース層が、1つまたはそれより多くの電極を被覆しており、5〜150nmの厚さを有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載のバイオセンサー中のpHまたはイオン濃度を調節する方法。
  26. 生体分子分析物の検出に使用するための、複数のテストサイトのアレイを含むバイオセンサーであって、各テストサイトは:
    (a)水性環境の下にある支持体;
    (b)支持体上に配置された1つまたはそれより多くの電極;および
    (c)1つまたはそれより多くの固定された検出剤と1つまたはそれより多くの固定された酵素とを有する生体分子インターフェース層あって、1つまたはそれより多くの電極上および/または支持体上に配置された生体分子インターフェース層;
    (d)水溶液中にある、1つまたはそれより多くの電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質および緩衝阻害剤;
    を含み、
    各テストサイトにおいて、生体分子分析物と相互作用する条件であるpHまたはイオン濃度を独立して変更することが可能であり、1つまたはそれより多くの電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質および緩衝阻害剤が、H イオンもしくはOH イオンを生産するか、緩衝阻害剤でH イオンもしくはOH イオンの拡散を増加させるか、緩衝阻害剤でH イオンもしくはOH イオンと緩衝塩との相互作用を阻害するようにされている、上記バイオセンサー。
  27. 支持体が、電磁石を含む、請求項26に記載のバイオセンサー。
  28. バイオセンサーが、CMOS、電極アレイ、またはTFTベースのシステムを含む、請求項26または27に記載のバイオセンサー。
  29. 電極が、酸化インジウムスズ、金または銀電極である、請求項26〜28のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
  30. 支持体が、ガラスまたはプラスチック支持体である、請求項26〜29のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
  31. 固定された検出剤が、タンパク質、ペプチド、核酸、および細胞から選択される、請求項26〜30のいずれか一項に記載のバイオセンサー。
  32. (a)複数のテストサイトのアレイを含むバイオセンサーを提供すること;
    (b)各テストサイトにおいて、水溶液に、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、緩衝阻害剤、またはそれらの組み合わせを添加すること;
    (c)各テストサイトの水溶液中で、電気化学的に活性な物質、酵素、酵素基質、またはそれらの組み合わせを反応させて、HイオンもしくはOHイオンを生産すること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンの拡散を増加させること、または緩衝阻害剤でHイオンもしくはOHイオンと緩衝塩との相互作用を阻害すること;
    (d)各テストサイトに生体サンプルを添加すること;および
    (e)各テストサイト中の生体分子分析物を検出すること;
    を含む、生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法であって、
    各テストサイトにおいて、生体分子分析物と1つまたはそれより多くのプローブが相互作用する条件であるpHまたはイオン濃度を独立して変更することが可能であり、各テストサイトは、
    ・水溶液の下にある支持体と、
    ・支持体上に配置された1つまたはそれより多くの電極または電磁石と、
    ・1つまたはそれより多くの固定されたプローブを有し、(1)支持体上および/または(2)電極上または電磁石上に配置された生体分子インターフェース層と、
    を有し、
    テストサイト中の電極表面近傍のpHまたはイオン濃度がそれぞれ異なるテストサイトのセットが得られるように、工程bで添加される量および工程c中の反応は、テストサイトのサブセットアレイ中のテストサイト間でそれぞれ異なっている、上記方法。
  33. 生体サンプルの量または生体サンプルの濃度が、テストサイトのサブセットアレイ間でそれぞれ異なっている、請求項32に記載の生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法。
  34. 水溶液が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびそれらの混合物からなる群より選択される水混和性有機共溶媒を含む、請求項32または33に記載の生体サンプル中の生体分子分析物を検出する方法。
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