JP6308851B2 - 樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂シート及びその製造方法に関する。
近年、部材の表面に微細な凹凸形状を形成することで、部材に対して機能を付与する試みがなされている。例えば、樹脂基材の表面に微細な柱状の凸部が形成された粘着部材や接着部材が種々報告されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
米国特許第8153254号明細書 米国特許出願公開第2010/0080951号明細書 特開2008−201883号公報 米国特許出願公開第2011/0271497号明細書
一般に、樹脂基材の表面に柱状の凸形状を形成するためには、型を用いる射出成形法や熱インプリント成形法が用いられる。しかしながら、微細な柱状の凸形状を設計どおりに形成することが難しく、たとえ、設計どおりに形成することができたとしても、形成された形状を保持することは困難である。特に、凸部にある程度の高さがあると、形状保持性は更に低下する。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、十分な通気性を有し、かつ、成形性と形状保持性とに優れる樹脂シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 基部と前記基部の表面に形成された複数の柱状の凸部とを含み、前記柱状の凸部の高さが100nm以上200μm以下であり、前記基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの前記柱状の凸部の数が10本/cm以上1010本/cm以下であり、前記数の柱状の凸部が形成された前記基部の表面の投影面積の単位面積に対する、前記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が1×10−10以上1−1×10−10以下であり、少なくとも前記基部及び前記凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記熱可塑性樹脂のプローブタック試験法により測定される、25℃におけるタック力が25N/cm以下であり、かつ、前記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が1MPa以上5GPa以下である、樹脂シート。
<2> 前記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が1MPa以上1GPa以下である、<1>に記載の樹脂シート。
<3> 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びカーボネート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載の樹脂シート。
<4> 前記熱可塑性樹脂の軟化点が40℃以上300℃以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂シート。
<5> 前記基部の表面の、前記柱状の凸部が形成されていない面上に、前記基部及び前記柱状の凸部に含まれる樹脂とは異なる樹脂の層を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂シート。
<6> 前記柱状の凸部が熱インプリント法で形成されたものである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂シート。
<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂シートの製造方法であって、
熱可塑性樹脂の基板を、前記熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱する工程と、
加熱した前記熱可塑性樹脂の基板に型を押し付けた後、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度まで冷却する工程と、
冷却した前記熱可塑性樹脂の基板から前記型を剥離することで、柱状の凸部形状を形成する工程と、を含む、樹脂シートの製造方法。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、十分な通気性を有し、かつ、成形性及び形状保持性に優れる樹脂シート、及びその製造方法を提供することができる。
成形性の評価基準において、(A)は[A]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を示し、(B)は[B]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を示し、(C)は[C]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を示す。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、基部と前記基部の表面に形成された複数の柱状の凸部とを含み、前記柱状の凸部の高さが100nm以上200μm以下であり、前記基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの前記柱状の凸部の数が10本/cm以上1010本/cm以下であり、前記数の柱状の凸部が形成された前記基部の表面の投影面積の単位面積に対する、前記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が1×10−10以上1−1×10−10以下であり、少なくとも前記基部及び前記凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ、前記熱可塑性樹脂のプローブタック試験法により測定される、25℃におけるタック力が25N/cm以下である。
一般に、微細な柱状の凸形状を設計どおりに形成することは難しく、たとえ、設計どおりに形成することができたとしても、形成された形状を保持することは困難である。特に、凸部にある程度の高さがあると、形状保持性は更に低下する。
本発明によれば、基部と該基部の表面に形成された複数の柱状の凸部とを含む樹脂シートにおいて、柱状の凸部の高さと、基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの柱状の凸部の数と、該数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積の単位面積に対する、上記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率とを特定の範囲内とするとともに、少なくとも基部及び凸部に含まれる樹脂を、25℃におけるタック力が特定値以下の熱可塑性樹脂とすることで、十分な通気性を有し、かつ、成形性及び形状保持性に優れる樹脂シートを実現することができる。
以下、本発明の樹脂シートについて、詳細に説明する。
本発明の樹脂シートは、基部と該基部の表面に形成された複数の柱状の凸部とを含む。
本明細書における「柱状」には、基部に対して垂直方向に切断した面の形状が四角形であるものに限られず、三角形等の他の多角形、不定形などであるものも含まれる。また、上面及び下面の寸法が同じものだけでなく、上面よりも下面の方が小さい寸法のもの及び大きい寸法のものも含まれる。円柱状だけでなく、略円柱状、多角柱状、円錐柱状等も、ここでいう「柱状」に含まれる。さらに、上面と下面の形状が異なる形状も、ここでいう「柱状」に含まれる。複数の柱状の凸部は、全て同じ形状である必要はなく、個々に異なっていてもよいが、好ましくは、全て同じ形状である。また、柱状の凸部は、その側面又は上面に微細な凹凸構造を有していてもよい。柱状の凸部は、基部の片方の表面に形成されてもよく、両方の表面に形成されてもよい。
本発明の樹脂シートでは、柱状の凸部の高さが、100nm以上200μm以下である。
本発明の樹脂シートは、柱状の凸部の高さが100nm以上であるので、凸部頂部を被接触体に接触させた場合に凸部間に隙間ができ、被接触体と基部との間に気体が通りやすくなり、十分な通気性が得られる。また、本発明の樹脂シートは、柱状の凸部の高さが200μm以下であるので、成形性が良好である。
複数の柱状の凸部は、全てが同じ高さである必要はなく、個々に異なっていてもよいが、好ましくは、全て同じ高さである。
本発明の樹脂シートでは、基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの柱状の凸部の数(密度)が、10本/cm以上1010本/cm以下であり、10本/cm以上10本/cm以下であることが好ましく、10本/cm以上10本/cm以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂シートは、基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの柱状の凸部の数が、10本/cm以上であるので、設計通りに凸部形状を形成することができる。また、本発明の樹脂シートは、基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの柱状の凸部の数が、1010本/cm以下であるので、被接触体に対して、摩擦等の接触による負担がかかりにくい。
本発明の樹脂シートでは、上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積の単位面積に対する、上記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が、1×10−10以上1−1×10−10以下である。ここで、「上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面」とは、基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの柱状の凸部の数が、10本/cm以上1010本/cm以下である基部の表面をいう。
本発明において、「基部の表面の投影面積」とは、基部を水平面上に置き、水平面に向けて垂直に基部を投影したときの投影像の面積を意味する。
また、本発明において、「上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積の単位面積に対する、上記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率」とは、例えば、上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積1cmに対する、当該1cm内に存在する上記数の柱状の凸部頂部の合計面積の比率を意味する。
本発明の樹脂シートは、上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積の単位面積に対する、上記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が、1×10−10以上であるので、設計通りに凸部形状を形成することができる。また、本発明の樹脂シートは、上記数の柱状の凸部が形成された基部の表面の投影面積の単位面積に対する、上記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が、1−1×10−10以下であるので、非接触体との接触面積を十分確保することができ、隣接する凸部同士が成型後に凝集することなく、形状保持性に優れる。
なお、複数の柱状の凸部は、その頂部の面積が全て同じである必要はなく、個々に異なっていてもよいが、好ましくは、全て同じ面積である。
本発明の樹脂シートにおける柱状の凸部が、円柱状である場合には、保管又は使用の際の形状保持性の観点から、その直径は、100nm以上100μm以下であることが好ましく、100nm以上50μm以下であることがより好ましい。また、柱状の凸部が、円柱状である場合には、成形性の観点から、凸部のアスペクト比(直径/高さ)は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂シートでは、少なくとも基部及び凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ、該熱可塑性樹脂のプローブタック試験法により測定される、25℃におけるタック力(以下、「25℃におけるプローブタック力」とも称する。)が25N/cm以下である。
熱可塑性樹脂としては、25℃におけるプローブタック力が25N/cm以下であれば、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
本発明の樹脂シートは、少なくとも基部及び凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であるので、成形性に優れる。熱可塑性樹脂によれば、流動性が良く、微細な形状の型にも入り込むので、設計どおりの形状に成形することができる。また、熱可塑性樹脂は、軟化及び硬化の制御が容易であるので、凸部の形成に時間を要せず、更に型からの離型性も良い。
なお、本明細書における「熱可塑性樹脂」には、一般に、熱可塑性樹脂と称され、温度の上昇とともに軟化して流動性を示し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になるが、ゴム状弾性を有しない高分子化合物だけでなく、結晶性で融点の高いハードセグメント又は高い凝集力のハードセグメントを形成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなり、温度の上昇とともに軟化して流動性を示し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物である、熱可塑性エラストマーも含まれる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、カーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びカーボネート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂及びアミド系樹脂は、柔らかい弾性樹脂であり、被接触体の凹凸面に対しても追従性があるため、好ましい。
また、オレフィン系樹脂は、生体適合性が良く、肌に触れる用途に用いる場合にも好適である点においても、好ましい。
カーボネート系樹脂は、使用温度範囲が広く、耐光性にも優れることから、長期間の使用が可能となるため、好ましい。
オレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。なお、本明細書における「オレフィン系樹脂」とは、オレフィンの単独重合体、2種以上のオレフィンの共重合体、2種以上のオレフィンからなるポリマーブレンド若しくはポリマーアロイ、又はオレフィンと他のモノマーとの共重合体を意味する。
オレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンと、炭素数3〜12のα−オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アイオノマー等の各種ビニル化合物と、の共重合体などのエチレン系重合体が挙げられる。さらに、オレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、ブロック型のプロピレン/エチレン共重合体、ランダム型のプロピレン/エチレン共重合体、ブロック型のプロピレン/エチレン/ブチレン共重合体、ランダム型のプロピレン/エチレン/ブチレン共重合体等のプロピレン系重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の炭素数4以上のα−オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
オレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、三井化学(株)製の「タフマー(登録商標)」シリーズ(例えば、A4085S、XM−7070、A20085)を用いることができる。
本発明においては、オレフィン系樹脂は、伸縮性、及び被接触体への追従性の観点から、オレフィン系エラストマーであることが好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成しているものが挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
オレフィン系エラストマーの市販品としては、例えば、三井化学(株)製の「ノティオ(登録商標)」シリーズ(例えば、PN 3560、PN 2060)を用いることができる。
ウレタン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。ウレタン系樹脂は、基本的には、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを原料として重合付加反応により合成される。
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アミド系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。アミド系樹脂は、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合、アミノカルボン酸化合物の重縮合、ラクタム類の開環重合等によって得ることができる。
ジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、キシリレンジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシ)ジカルボン酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸化合物としては、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ω−アミノヘキサン酸、ω−アミノデカン酸、ω−アミノウンデカン酸等が挙げられる。
ラクタム類としては、例えば、ω−カプロラクタム、アゼチジノン、ピロリドン等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アミド系樹脂には、ポリアミド系エラストマーも含まれる。
本明細書における「ポリアミド系エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなり、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものをいう。
ポリアミド系エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成しているものが挙げられる。具体的には、ポリアミド系エラストマーとしては、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
エステル系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アクリル系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の各種アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル単量体の単重合体又は共重合体を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
スチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができるが、好ましくは、ポリスチレン系エラストマーである。
ポリスチレン系エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成しているものを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリスチレン系エラストマーとしては、具体的には、スチレン−ブタジエン系共重合体[SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体[SIS(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)]、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリスチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、旭化成(株)製の「タフテック」シリーズ(例えば、H1041、H1043、H1051、H1052、H1053、H1062等)を用いることができる。
カーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
カーボネート系樹脂としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の樹脂シートでは、少なくとも基部及び凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であり、好ましくは、樹脂シートを形成する樹脂の全てが熱可塑性樹脂である。
本発明の樹脂シートでは、基部と凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であるので、成形性に優れる。
本発明の樹脂シートでは、基部及び凸部は、同じ種類の熱可塑性樹脂であるか、又は異なる種類の熱可塑性樹脂であっても、類似の熱物性及び機械特性を有することが好ましい。基部及び凸部の材質が同じであると、基部と凸部とが別の構成であっても、基部から凸部が剥離しにくく、強度を保つことができる。
上記熱可塑性樹脂は、プローブタック試験法により測定される25℃におけるタック力が、25N/cm以下であり、20N/cm以下であることが好ましく、15N/cm以下であることがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力が強すぎると、成形の際に成形物が金型から外れ難くなり、樹脂シートの成形性が低下する。また、成形した柱状の凸部同士が互いに寄り、くっついたままの状態になりやすく、樹脂シートの形状保持性が低下する。
上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力が、25N/cm以下であると、成形の際に成形物が金型から外れやすい、成形性に優れる樹脂シートとなる。また、成形した柱状の凸部同士が互いに寄り難く、くっついたままの状態になり難い、形状保持性に優れる樹脂シートとなる。
なお、上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力の下限値は、0.01N/cm程度であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力が弱すぎると、樹脂シートの柱状の凸部が形成されている面とは反対側の面に、別の材質(上記基部及び凸部に含まれる樹脂とは異なる樹脂)の部材(例えば、支持体等)を形成する場合に、部材が接着し難くなる。
上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力が、0.01N/cm以上であると、別の材質の部材との接着性に問題が生じ難い。
上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力は、タッキング試験機(TAC−II、(株)レスカ製)を用い、以下の測定条件により測定される値である。室温(25℃)下、直径5mmのステンレス製円柱状プローブを、上記熱可塑性樹脂を用いて形成されたシートの表面に、120mm/分の速度で接触させ、200N/cmの荷重を1秒間かけた後、プローブを垂直方向に120mm/分の速度で引き剥がし、このときにプローブが粘着力により受ける抵抗値(荷重値)を測定することにより、25℃におけるタック力を求める。
上記熱可塑性樹脂は、25℃における貯蔵弾性率E’が1MPa以上5GPa以下であることが好ましく、1MPa以上1GPa以下であることがより好ましく、4MPa以上500MPa以下であることが更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が大きすぎると、凹凸を有する面に樹脂シートを接触させた場合に追従性が悪く、樹脂シートに浮きが生じやすくなる傾向がある。一方、上記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が小さすぎると、柱状の凸部同士が互いに寄ってくっつきやすくなり、樹脂シートの形状保持性が低下する傾向がある。
上記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が上記範囲内であると、柱状の凸部同士が互いに寄り難く、くっついたままの状態になり難い、形状保持性により優れる樹脂シートとなる。
上記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’は、固体粘弾性測定装置(RSA−III、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、以下の測定条件にて測定される値である。上記熱可塑性樹脂を用いて形成されたシートを、幅3mm×長さ5cmの短冊状に切り出し、チャック間20mmで冶具にセットし、窒素環境下、−50℃から100℃まで3℃/分の速度で昇温しながら、測定周波数1Hzで貯蔵弾性率E’を引張モードにて測定することにより、25℃における貯蔵弾性率E’を求める。
上記熱可塑性樹脂は、軟化点が40℃以上300℃以下であることが好ましく、50℃以上300℃以下であることがより好ましく、60℃以上300℃以下であることが更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂の軟化点が高すぎると、成形中に樹脂が分解するおそれがある。また、上記熱可塑性樹脂の軟化点と室温との温度差が大きくなりすぎると、ヒートサイクルに時間がかかるため、樹脂シートの製造効率が低下する傾向がある。一方、上記熱可塑性樹脂の軟化点が低すぎると、使用時の室温で樹脂が軟化し、凸部同士がくっついた状態になりやすく、樹脂シートの形状保持性が低下する傾向がある。
上記熱可塑性樹脂の軟化点が上記範囲内であると、樹脂の流動性が良いので設計どおりの形状にすることができ、さらに、凸部の形成に要する時間が短い、成形性により優れる樹脂シートとなる。また、成形中、保管中及び使用中を通して、柱状の凸部同士がくっついたままになり難い、形状保持性により優れる樹脂シートとなる。
上記熱可塑性樹脂の軟化点は、熱機械分析装置(TMA−50、(株)島津製作所製)を用い、以下の測定条件にて測定される値である。上記熱可塑性樹脂を用いて形成されたシートを幅5mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片とする。10℃から250℃まで5℃/分の速度で昇温し、ガラス転移温度前後でのTMA(Thermo Mechanical Analysis)曲線の接線の交点から、TMA軟化温度(軟化点)を求める。
上記熱可塑性樹脂は、破断強度が1MPa以上1000MPa以下であることが好ましく、5MPa以上500MPa以下であることがより好ましく、10MPa以上100MPa以下であることが更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂の破断強度が大きすぎると、モールドへの充填性が低下し、成形性が低下するおそれがある。一方、上記熱可塑性樹脂の破断強度が小さすぎると、モールドから樹脂シートを剥離する際に、柱状が破壊するおそれがある。
破断強度は、ASTM D638に準拠して測定される。
柱状の凸部は、熱インプリント法で形成されたものであることが好ましい。熱インプリント法によれば、型の微細な形状が正確に転写されるので、設計どおりの形状とすることができるため、成形性が優れたものとなる。
本発明の樹脂シートは、基部の表面の、柱状の凸部が形成されていない面上に、基部及び柱状の凸部に含まれる樹脂とは異なる樹脂の層を有していてもよい。また、本発明の樹脂シートは、柱状の凸部が形成されている面とは反対側の面に、基部及び柱状の凸部に含まれる樹脂とは異なる樹脂の層を有していてもよい。
異なる樹脂の層としては、例えば、支持体、接着剤層等が挙げられる。
樹脂の種類は、基部及び柱状の凸部に含まれる樹脂と異なるものであればよく、樹脂シートの用途に応じて、適宜、選択することができる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
本発明の樹脂シートの平均シート厚は、特に限定されるものではなく、樹脂シートの用途等に応じて、適宜選択することができる。本発明の樹脂シートの厚みは、経済性、成形性、成型後の取り扱い性等の観点から、200nm〜5mmであることが好ましい。
本発明の樹脂シートは、成形性、成型後の取り扱い性等の観点から、基部の厚みが100nm〜5mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましく、10μm〜5mmであることが更に好ましい。
[樹脂シートの用途]
本発明の樹脂シートは、その構造、形状保持性等を活かし、種々の用途に用いることができる。例えば、本発明の樹脂シートは、その表面に上述した柱状の凸部が形成されているので、凸部頂部を被接触体に接触させると、厚さ方向に隙間が生じ、気体が通りやすい。このような観点から、本発明の樹脂シートは、通気シートとして好適に用いることができる。
また、本発明の樹脂シートは、被接触体に接触する面積が小さいため、被接触体に負担がかかりにくい。このような観点から、本発明の樹脂シートは、特に、長時間肌に直接接する可能性がある、マスク、メガネフレーム、メガネ用鼻パッド、腕時計表面部材、携帯電子端末表面部材、装飾品表面部材等としても有効である。
さらに、本発明の樹脂シートは、形状保持性に優れるので、滑り止めシートとしても好適に用いることができる。
[樹脂シートの製造方法]
本発明の樹脂シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いることができる。本発明の樹脂シートは、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂の基板を、該熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱する工程(以下、「工程I」と称する。)と、加熱した上記熱可塑性樹脂の基板に型を押し付けた後、熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度まで冷却する工程(以下、「工程II」と称する。)と、冷却した上記熱可塑性樹脂の基板から上記型を剥離することで、柱状の凸部形状を形成する工程(以下、「工程III」と称する。)と、を含む。
上記の工程I、工程II及び工程IIIは、いわゆる熱インプリント法と称される成形法の工程である。
本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法によれば、凸部が微細な構造であっても精度良く、設計どおりに凸部形状を形成することができる。また、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法によれば、液状の樹脂を型に流し込む射出成形法よりも、凸部の形成に要する時間を短縮することができる。
以下、工程I、工程II及び工程IIIについて、説明する。
〔工程I〕
工程Iは、熱可塑性樹脂の基板を、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱する工程である。工程Iにおいて、熱可塑性樹脂の基板を加熱する方法としては、例えば、ホットプレートのような高温の板面に接触させて加温する方法、温調ロールに接触させて加温する方法、繰り出しフィルムに熱を加えて加温する方法等が挙げられる。
加熱工程において加熱される熱可塑性樹脂の基板は、上述した本発明の樹脂シートの基部及び凸部となる部材である。
熱可塑性樹脂の説明については、上述した本発明の樹脂シートにおける熱可塑性樹脂と同義であり、好ましい態様も同様であるため、省略する。
熱可塑性樹脂の軟化点は、熱機械分析装置(TMA−50、(株)島津製作所製)を用いて測定される値であり、熱可塑性樹脂の基板を幅5mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片とし、10℃から250℃まで5℃/分の速度で昇温して、ガラス転移温度前後でのTMA曲線の接線の交点から、求められるTMA軟化温度(軟化点)である。
加熱温度は、基板を形成する熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度であれば、特に限定されるものではないが、軟化点の温度よりも高すぎると、工程IIにおいて冷却した際に、熱可塑性樹脂の収縮率が高くなり、良好な形状精度を得ることが困難となる場合がある。このような観点から、加熱温度は、熱可塑性樹脂の軟化点+200℃以下であることが好ましく、熱可塑性樹脂の軟化点+100℃以下であることがより好ましい。
〔工程II〕
工程IIは、工程Iにて加熱した熱可塑性樹脂の基板に型(モールド)を押し付けた後、熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度まで冷却する工程である。
工程IIでは、例えば、工程Iにて加熱されて軟化した熱可塑性樹脂の基板に、柱状の凸部形状を反転させた型を押し付け、一定時間加圧保持することにより、型の形状(パターン)を基板に転写する。また、工程IIでは、型を保持した温調ロールを用いることで、軟化と転写を同時に行うこともできる。その後、基板と型とを軟化点以下の温度に冷却することで、軟化した熱可塑性樹脂を固化させる。
型を押し付ける際の圧力(プレス圧)は、特に限定されるものではなく、状況に応じて、適宜設定することができる。
型は、熱可塑性樹脂の基板と同様に加熱されてもよい。
冷却の温度は、熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度であれば、特に限定されるものではないが、成形性の観点から、好ましくは、熱可塑性樹脂の軟化点よりも5℃以上低い温度であり、熱可塑性樹脂の軟化点よりも10℃以上低い温度であることがより好ましく、室温であることが更に好ましい。
型の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ニッケル、樹脂等が挙げられる。微細な構造を形成できるという観点から、型には、リソグラフィーで作製された型を用いることが好ましい。
〔工程III〕
工程IIIは、工程IIにて冷却した熱可塑性樹脂の基板から型を剥離することで、柱状の凸部形状を形成する工程である。
工程IIIでは、冷却されて固化した熱可塑性樹脂の基板を型から剥離する。軟化した熱可塑性樹脂に転写された型の形状が、冷却による熱可塑性樹脂の固化により保持されているため、剥離された基板の表面には、転写された型の形状、すなわち、複数の柱状の凸部形状が形成されている。
工程IIにおいて、基板及び型を熱可塑性樹脂の軟化点以下に冷却せずに、工程IIIにおいて、加熱温度に近い温度で基板から型を剥離しようとすると、基板と型との間の剥離性が十分でなく、また、樹脂は容易に変形するため、正確に転写された形状が壊れるおそれがある。基板と型とを、熱可塑性樹脂の軟化点以下に十分に冷却した後に剥離させることで、型の形状が正確に転写され、寸法安定性が保持され、また、剥離の際に基板と型との動きのぶれによる変形が生じず、優れた成形性が担保される。
〔他の工程〕
本発明の樹脂シートの製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに必要に応じて、上記以外の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、他の工程としては、樹脂シートの巻き取り時のブロッキングを防止するために、樹脂シートに離型フィルムを貼合する工程、樹脂シートの構造物面(柱状の凸部形状が形成されている面)又はその反対側の面に、支持体等の基材を貼合する工程などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔プレスシートの作製〕
油圧式熱プレス成形機(mini test press−10、(株)東洋精機製作所製)を用いて、熱可塑性樹脂A−1(商品名:タフマー(登録商標)A−4085S、α−オレフィン共重合体、三井化学(株)製、引張破断応力27MPa以上、引張破断ひずみ1000%以上(ASTM D638))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を120℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:55μm)を作製した。
〔タック力の測定〕
上記にて得られたプレスシートを幅2.5cm×長さ7cmの短冊状に切り取ったものを試験片として用いた。
測定には、タッキング試験機(TAC−II、(株)レスカ製)を用いた。室温(25℃)下、試験片の表面に、直径5mmのステンレス製円柱状プローブを120mm/分の速度で接触させ、200N/cmの荷重を1秒間かけた後、プローブを垂直方向に120mm/分の速度で引き剥がした。このときにプローブが受けた抵抗値(荷重値)を測定することにより、上記熱可塑性樹脂の25℃におけるタック力を求めた。結果を表1に示す。
〔貯蔵弾性率E’の測定〕
上記にて得られたプレスシートを幅3mm×長さ5cmの短冊状に切り取ったものを試験片として用いた。
測定には、固体粘弾性測定装置(RSA−III、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いた。試験片をチャック間20mmで冶具にセットし、窒素環境下、−50℃から100℃まで3℃/分の速度で昇温しながら、測定周波数1Hzで貯蔵弾性率E’を引張モードにて測定することにより、上記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’を求めた。結果を表1に示す。
〔軟化点の測定〕
上記にて得られたプレスシートを幅5mm×長さ15mmの大きさに切り取ったものを試験片として用いた。
測定には、熱機械分析装置(TMA−50、(株)島津製作所製)を用い、10℃から250℃まで5℃/分の速度で昇温し、ガラス転移温度前後でのTMA(Thermo Mechanical Analysis)曲線の接線の交点から、上記熱可塑性樹脂のTMA軟化温度(軟化点)を求めた。結果を表1に示す。
〔評価〕
1.成形性
上記にて得られたプレスシートを、ナノインプリント装置(NANOIMPRINTER NM−0501、明昌機工(株)製)を用いて、インプリント成型した。
プレスシートを表1に示す温度に加熱し、シリコン製モールド(格子状の凹凸パターン、凹凸部の高低差:10μm、凸部の形状:円柱、凸部の幅(円柱の直径):5μm、凹部の幅(円柱の間隔):5μm、凸部のアスペクト比:2)を、プレス圧1MPaで60秒間押しつけた。室温まで冷却した後、シリコン製モールドからプレスシートを剥がし、シリコン製モールドからのプレスシートの剥離性及びプレスシート表面への凹凸パターンの転写性の観点から、以下の評価基準に従って、成形性の評価を行った。プレスシートの凹凸パターン成形部分の単位面積当たりの柱状の凸部の数は、10本/cmであり、凹凸パターン成形部分の投影面積の単位面積(1cm)に対する、10本の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率は、0.2であった。結果を表1に示す。
なお、実用上許容できるものは、[A]及び[B]に分類されるものである。
(評価基準)
A:プレスシートをシリコン製モールドから容易に剥離することができ、かつ、凹凸パターンの転写性が良い。
B:プレスシートをシリコン製モールドから剥離することができ、凹凸パターンの転写性も良いが、隣接する凸部同士が部分的に凝集している。
C:プレスシートのシリコン製モールドからの剥離性が悪いため、凹凸パターンの転写性が悪く、かつ、シリコン製モールドに部分的に樹脂残りが生じるか、又は、プレスシートのシリコン製モールドからの剥離性が悪いため、凹凸パターンの転写性が悪いか、若しくは、シリコン製モールドに部分的に樹脂残りが生じる。
上記評価基準における転写性の良し悪しは、上記インプリント成型後のシートの表面を光学顕微鏡で観察した結果に基づいて判断した。
上記評価基準により、[A]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を図1(A)に、[B]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を図1(B)に、[C]に分類されるシートの表面の観察画像の一例を図1(C)に示す。
[A]に分類されるシートは、図1(A)に示すように、微細な凹凸パターンが高精度に転写されている。[B]に分類されるシートは、図1(B)に示すように、プレスシートをシリコン製モールドから剥離する際、円柱形状の凸部が引き伸ばされて、部分的にくっついている。[C]に分類されるシートは、図1(C)に示すように、円柱形状の凸部の大部分がくっついている。
2.形状保持性
上記「1.成形性」の評価試験においてインプリント成型したシートのうち、評価基準の[A]に分類されたシートについて、以下の方法により、形状保持性の評価を行った。
シートの表面に形成された円柱形状の凸部を、手の甲に数回押し当てた(押し当てる力:100g程度)後、シートの表面を光学顕微鏡で観察し、円柱形状が安定に保持されているか否かの観点から、以下の評価基準に従って、形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実用上許容できるものは、[A]及び[B]に分類されるものである。
(評価基準)
A:図1(A)のような状態が維持されており、形状保持性が良い。
B:図1(B)のような状態になり、形状保持性が悪い。
C:図1(C)のような状態になり、形状保持性が非常に悪い。
[実施例2]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−2(商品名:タフマー(登録商標)XM−7070、α−オレフィン共重合体、三井化学(株)製、引張破断応力34MPa、引張破断ひずみ750%(ASTM D638))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を140℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:51μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−2のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−3(商品名:ノティオ(登録商標)PN 3560、α−オレフィン系エラストマー、三井化学(株)製)をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を200℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:54μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−3のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−4(商品名:ノティオ(登録商標)PN 2060、α−オレフィン系エラストマー、三井化学(株)製)をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を200℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:56μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−4のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−5(商品名:タフテックH1052、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ12MPa、引張伸び700%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:62μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−5のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−6(商品名:タフテックH1062、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ15MPa、引張伸び670%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:56μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−6のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−7(商品名:タフテックH1041、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ22MPa、引張伸び650%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:57μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−7のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−8(商品名:タフテックH1043、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ10MPa、引張伸び20%(ISO37準拠、引張速度10mm/minで測定))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を270℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:52μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−8のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−9(商品名:タフテックH1053、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ25MPa、引張伸び550%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:54μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−9のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂A−10(商品名:タフテックH1051、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ32MPa、引張伸び600%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:57μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂A−10のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性及び形状保持性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−1(商品名:タフテックH1221、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、旭化成(株)製、引張強さ10MPa、引張伸び980%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:60μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−1のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−2(商品名:KURARITY LA2250、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)とのブロック共重合体、(株)クラレ製)をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を230℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:60μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−2のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−3(商品名:KURARITY LA2140、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)とのブロック共重合体、(株)クラレ製)をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を230℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:64μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−3のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−4(商品名:ハイブラー 7125、水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(Hydrogenated SIS)、(株)クラレ製、引張破断強度7.1MPa、引張破断伸度680%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:49μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−4のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−5(商品名:ハイブラー 7311、水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(Hydrogenated SIS)、(株)クラレ製、引張破断強度6.3MPa、引張破断伸度1050%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を260℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:61μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−5のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−6(商品名:ハイブラー 5127、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(SIS)、(株)クラレ製、引張破断強度12.4MPa、引張破断伸度730%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を230℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:53μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−6のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例7]
油圧式熱プレス成形機を用いて、熱可塑性樹脂B−7(商品名:ハイブラー 5125、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(SIS)、(株)クラレ製、引張破断強度8.8MPa、引張破断伸度730%(ISO37))をシート状に成形した。油圧式熱プレス成形機の熱プレス温度を230℃に設定し、4MPaの加圧下で30秒間成形した後、熱プレス温度を50℃に下げ、4MPaの加圧下で5分間冷却することにより、プレスシート(厚さ:58μm)を作製した。
そして、得られたプレスシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱可塑性樹脂B−7のタック力、貯蔵弾性率E’及び軟化点の測定を行った。また、実施例1と同様の方法により、成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例8]
熱硬化性樹脂(商品名:sylgard184、シリコーン樹脂、A液(主剤)及びB液(架橋剤)からなる2液型、東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて、シートを作製した。A液(95質量%)とB液(5質量%)とを混合した後、70℃で1時間加熱することにより、シート(厚さ:54μm)を作製した。このシートを形成する樹脂を、熱硬化性樹脂C−1とする。
そして、得られたシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱硬化性樹脂C−1のタック力、及び貯蔵弾性率E’の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例9]
熱硬化性樹脂(商品名:sylgard184、シリコーン樹脂、A液(主剤)及びB液(架橋剤)からなる2液型、東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて、シートを作製した。A液(90質量%)とB液(10質量%)とを混合した後、70℃で1時間加熱することにより、シート(厚さ:52μm)を作製した。このシートを形成する樹脂を、熱硬化性樹脂C−2とする。
そして、得られたシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱硬化性樹脂C−2のタック力、及び貯蔵弾性率E’の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例10]
熱硬化性樹脂(商品名:sylgard184、シリコーン樹脂、A液(主剤)及びB液(架橋剤)からなる2液型、東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて、シートを作製した。A液(85質量%)とB液(15質量%)とを混合した後、70℃で1時間加熱することにより、シート(厚さ:53μm)を作製した。このシートを形成する樹脂を、熱硬化性樹脂C−3とする。
そして、得られたシートを用いて、実施例1と同様の方法により、熱硬化性樹脂C−3のタック力、及び貯蔵弾性率E’の測定を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜10のシートは、成形性及び形状保持性に優れていることがわかった。これに対して、比較例1〜7のシートは、成形性に劣ることがわかった。比較例8〜10のシートは、樹脂材料が熱硬化性樹脂であるため、熱インプリント成型することができなかった。

Claims (7)

  1. 基部と前記基部の表面に形成された複数の柱状の凸部とを含み、
    前記柱状の凸部の高さが100nm以上200μm以下であり、
    前記基部の表面の少なくとも一部における投影面積の単位面積当たりの前記柱状の凸部の数が10本/cm以上1010本/cm以下であり、
    前記数の柱状の凸部が形成された前記基部の表面の投影面積の単位面積に対する、前記数の柱状の凸部の頂部の合計面積の比率が1×10−10以上1−1×10−10以下であり、
    少なくとも前記基部及び前記凸部に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であり、
    前記熱可塑性樹脂のプローブタック試験法により測定される、25℃におけるタック力が25N/cm以下であり、かつ、
    前記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が1MPa以上5GPa以下である、樹脂シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率E’が1MPa以上1GPa以下である、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びカーボネート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の樹脂シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂の軟化点が40℃以上300℃以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  5. 前記基部の表面の、前記柱状の凸部が形成されていない面上に、前記基部及び前記柱状の凸部に含まれる樹脂とは異なる樹脂の層を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  6. 前記柱状の凸部が熱インプリント法で形成されたものである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂の基板を、前記熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱する工程と、
    加熱した前記熱可塑性樹脂の基板に型を押し付けた後、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度まで冷却する工程と、
    冷却した前記熱可塑性樹脂の基板から前記型を剥離することで、柱状の凸部形状を形成する工程と、
    を含む、樹脂シートの製造方法。
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