図1は、制御システムの一例である実施形態1乃至4における走行支援システム1である。その走行支援システム1は、移動体である車両2に搭載され、情報制御部3、記憶部4、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7、周辺情報取得部8及び車両制御部9を有する。情報制御部3は、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路特定部13及び誘導部14とを含み、図示していないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。なお、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路割当部13及び誘導部14は、プログラムによって実現される機能である。
記憶部4は、ハードディスクやSD−RAM等の大容量記憶媒体で構成されている。
記憶部4には、経路探索処理、車両の位置特定、車両誘導制御等に用いられる地図データ20が記憶されている。地図データ20は、道路ネットワークデータ30、車線ネットワークデータ31、地物データ32及び属性データ33を有している。
道路ネットワークデータ30は、道路の特定地点(例えば、道路の分岐地点)に関する情報を含む複数の地点情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路区間情報を有し、その複数の地点情報及びその複数の道路区間情報により道路の繋がりをあらわす情報である。車線ネットワークデータ31は、道路を構成する車線の所定区間に関する情報を含む複数の車線区間情報により車線の繋がりをあらわす情報である。地物データ32は、道路の区画線をあらわす情報、道路の境界線をあらわす情報等を含むものである。属性データ33は、道路ネットワークデータ30の道路区間情報と車線ネットワークデータ31の車線区間情報とを関連付けるための関連情報、車線ネットワークデータ31の車線区間情報と地物データ32の区画線情報及び/又は境界線情報とを関連付けるための関連情報、隣接する車線間で車線変更が可能であるか否かをあらわす車線変更情報等を含むものである。なお、地点情報、道路区間情報、車線区間情報、関連情報及び車線変更情報の詳細については、後述で説明する。
地図データ取得部10は、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を抽出する。経路探索部11は、記憶部4に記憶されている道路ネットワークデータ30を用いて経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部11は、道路ネットワークデータ30に含まれる道路区間情報と地点情報とを用いて出発地から目的地に至る経路探索処理を実行する。そして、経路探索処理により出発地から目的地に至るまでの道順(出発地から目的地までを接続する複数の地点情報と複数の道路区間情報)を示す経路情報が作成される。なお、経路探索の手法としては、ダイクストラ法など周知の方法を採用し、道路区間情報に含まれるコスト情報を用いて出発地から目的地までの最短経路を探索する。
入力部5は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。位置取得部6は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両の位置に関する位置情報を取得する。車速情報取得部7は、車速センサから取得したパルス信号に基づいて、車両の速度に関する情報を取得する。周辺情報取得部8は、車両周辺の標識や道路の標示ペイント(例えば、区画線)等の被写体の画像情報である車両の周辺情報を取得する。
位置特定部12は、位置取得部6により取得された位置情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定したり、位置取得部6により取得された位置情報に加え、地物データ33及び周辺情報取得部8により取得された周辺情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。
経路特定部13は、経路探索部11で作成された道路ネットワークデータ30の経路情報を用いて、関連情報により車線ネットワークデータ31に経路を特定する処理を行う。誘導部14は、車両制御部が道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。車両制御部9は、誘導情報に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
なお、走行支援システム1は、情報制御部3及び記憶部4が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、サーバ内の情報制御部3が、通信情報として、入力部5、位置取得部車両2、車速情報取得部7及び周辺情報取得部8の情報を受領するとともに、通信情報として誘導情報を車両制御部9に出力する構成であっても良い。また、走行支援システム1は、記憶部20が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、車両内の情報制御部3が、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を通信情報によって抽出及び受領する構成であっても良い。
(実施形態1)
図2は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念を説明するための図である。40は、地図データ20のデータ構造の概念図であり、道路ネットワークデータ30と車線ネットワークデータ31とが属性データ33によって関連付けられた構造である。41は、実際の高速道路の分岐地点周辺をあらわす図であり、直進道路42のA地点から、分岐道路43へ車両が進入するための分岐用の車線が増加することにより、AからDの区間は、分岐用の車線と直進用の車線とが並行して存在する領域となっている。44は、導流帯であり、45は、直進道路42と分岐道路43との分岐部分における高速道路の壁である。N1は、地点情報をあらわすものであり、LR1〜LR3は、各々道路区間情報をあらわすものであり、LL1〜LL11は、車線区間情報をあらわすものである。ここで、地図データ20のAまでの区間、AからBの区間、BからCの区間、CからDの区間は各々、実際の道路のAまでの区間、AからBの区間、BからCの区間、CからDの区間に対応している。
道路区間情報LR1は、関連情報R1により車線区間情報LL1〜LL8の各々と関連付けられている。つまり、分岐用の車線と直進用の車線とが並行して存在する領域となっている道路区間に対応する車線区間情報LL3〜LL8は全て道路区間情報LR1に関連付けられている。また、道路区間情報LR2は、関連情報R2により車線区間情報LL9と関連付けられており、道路区間情報LR3は、関連情報R3により車線区間情報LL10,LL11と関連付けられている。
C1〜C7は、隣接する車線間で車線変更が可能であるか否かをあらわす情報であり、車線区間情報LL1に対応する区間と車線区間情報LL2に対応する区間の間、車線区間情報LL3と車線区間情報LL4に対応する区間の間、車線区間情報LL4と車線区間情報LL5に対応する区間の間、車線区間情報LL6と車線区間情報LL7に対応する区間の間、車線区間情報LL7と車線区間情報LL8に対応する区間の間、車線区間情報LL10と車線区間情報LL11に対応する区間の間では、お互い一方の車線から他方の車線に車線変更が可能であることをあらわす情報を有している。また、車線区間情報LL9に対応する区間と車線区間情報LL10に対応する区間の間(導流帯44を跨ぐ場合)では、お互い一方の車線から他方の車線に車線変更が不可能であることをあらわす情報を有している。
図3乃至図6は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。
図3は、道路ネットワークデータ30の特定地点情報N1及び道路区間情報LR1〜LR3の詳細を説明するための図である。地点情報N1は、その地点情報N1を識別するための識別情報、地点情報に対応する特定地点の座標をあらわす座標情報、当該特定地点を通行する際の難易度をあらわすコスト情報及び当該特定地点に接続される所定区間の道路に対応した道路区間情報の識別情報が含まれている。また、道路区間情報LR1〜LR3の各々は、道路区間情報を識別するための識別情報、道路の属性(高速道路、一般道路等)をあらわす属性情報、道路を通行する際の難易度を表すコスト情報等が含まれている。
図4は、車線ネットワークデータの車線区間情報LL1〜LL11の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL1〜LL11の各々は、その車線区間情報LL1〜LL11を識別するための識別情報、その車線区間情報LL1〜LL11に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報、その車線区間情報座標情報LL1〜LL11に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報である退出側識別情報、その車線区間情報LL1〜LL11に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報である進入側識別情報等が含まれている。そして、退出側識別情報及び進入側接続識別情報により、車線の繋がりをあらわしている。
図5は、属性データ33の関連情報R1〜R3の詳細を説明するための図である。関連情報R1〜R3の各々は、その関連情報R1〜R3を識別するための識別情報が含まれている。さらに、関連情報R1は、道路区間情報LR1と車線区間情報LL1〜LL8とが関連していることをあらわすために道路区間情報LR1の識別情報と車線区間情報LL1〜LL8の識別情報を含んでおり、関連情報R2は、道路区間情報LR2と車線区間情報LL9とが関連していることをあらわすために道路区間情報LR2の識別情報と車線区間情報LL9の識別情報を含んでおり、また関連情報R3は、道路区間情報LR3と車線区間情報LL10,LL11とが関連していることをあらわすために道路区間情報LR3の識別情報と車線区間情報LL10,LL11の識別情報を含んでいる。
図6は、車線変更情報C1〜C7の詳細を説明するための図である。車線変更情報C1〜C7の各々は、その車線変更情報C1〜C7を識別するための識別情報、左側の車線区間情報の識別情報、右側の車線区間情報の識別情報を有している。さらに、車線変更情報C1〜C5,C7は、車線区間情報LL2,LL4,LL5,LL7,LL8,LL11に対応する位置から左側の車線に車線変更できるか否かをあらわす情報として車線変更可能であることをあらわす情報「左側変更可否:可」及び車線区間情報LL1,LL3,LL4,LL6,LL7,LL10に対応する位置から右側の車線に車線変更できるか否かをあらわす情報として車線変更可能であることをあらわす情報「右側変更可否:可」を有し、車線変更情報C7は、車線区間情報LL10に対応する位置から左側の車線に車線変更できるか否かをあらわす情報として車線変更してはならないことをあらわす情報「左側変更可否:否」及び車線区間情報LL9に対応する位置から右側の車線に車線変更できるか否かをあらわす情報として車線変更してはならない情報「右側変更可否:否」を有している。
図7は、上記の図3乃至6で説明した地点情報N1、道路区間情報LR1〜LR3、車線区間情報LL1〜LL11及び関連情報R1〜R3及び車線変更情報C1〜C7を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。
情報制御部3は、地点情報N1及び道路区間情報LR1〜LR3を含む道路ネットワークデータ30を利用して経路の探索を行う経路探索処理と、関連情報R1〜R3を含む属性データ33を利用して、車線ネットワークデータ30のうち上記の経路に含まれる道路区間情報と関連付けがある車線区間情報を特定する特定処理と、その特定された車線区間情報C1〜C7を含む属性データ33を利用して車両の走行が制御されるようにする誘導処理とを行う。
以下で具体的に、経路探索処理、特定処理及び誘導処理について説明する。
情報制御部3(経路探索部11)は、経路探索処理として以下の処理を行う。まず、位置取得部6によって取得した現在地情報に対応する車両の現在地に最も近い特定地点に対応する地点情報(以下「現在地特定地点情報」という。)を地点情報N1を含む道路ネットワークデータ30を用いて特定する(ステップS10)。次に、走行支援装置の操作者が入力部を介して目的地情報を入力した場合、その目的地情報に対応する目的地に最も近い特定地点に対応する地点情報(以下「目的地特定地点情報」という。)を地点情報N1を含む道路ネットワークデータ30を用いて特定する(ステップS20)。そして、道路区間情報LR1〜LR3を含む道路ネットワークデータ30のコスト情報を利用して、現在地特定地点情報から目的地特定地点情報までの経路(道路区間情報と地点情報による繋がり)のコストが最小になる経路を探索することにより、道路ネットワークデータ30に経路情報が生成される(ステップS30)。
情報制御部3(経路特定部13)は、特定処理として以下の処理を行う。関連情報R1〜R3を含む属性データ33を利用して、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL1〜LL11のうち、道路ネットワークデータ30の経路に含まれる道路区間情報と関連付けられている車線区間情報を特定する(ステップS40)。この処理により、車線ネットワークデータに経路が特定される。
情報制御部3(誘導部14)は、誘導処理として以下の処理を行う。まず、位置取得部6によって取得した現在地情報から車両の現在地の座標を算出する(ステップS50)。次に、ステップ40で特定された経路に含まれる車線区間情報であって、算出された現在地の座標に最も近い座標の座標情報を有する車線区間情報を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報に含まれる座標情報とを比較し、車両が経路上の車線区間情報の座標情報の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する(ステップS60)。
本実施形態によれば、関連情報R1は、道路区間情報LR1の識別情報と車線区間情報LL1〜LL8の識別情報を含んでいる。つまり、道路区間情報LR1は車線区間情報LL1〜LL8と関連付けられているため、経路探索の結果として、直進道路から分岐道路に進む経路の経路情報が得られた場合であっても、直進道路を直進する経路の経路情報が得られた場合であっても、車線区間情報LL3〜LL8の全てが経路として特定される構造となっている。そのため、例えば、直進道路から分岐道路に進む経路の経路情報が得られた場合に、図2のBからCの区間に入るまで右車線を走行し続け、図2のBからCの区間に入ってから左側に寄り分岐道路の方向に進むような進路をとるように車両を制御することも可能となる。また、例えば、直進道路を直進する経路の経路情報が得られた場合に、図2のA地点から左側により分岐車線に入り、そのまま分岐車線を走行し、図2のBからCまでの区間で右側に寄ることにより、直進道路の方向に進むように車両を制御することも可能となる。
上記で説明した地図データ20の構造では、道路区間情報LR1と車線区間情報LL3〜LL8とは関連付けられているが、道路区間情報LR1は車線区間情報LL1,LL2と関連付けられ、地点情報N1と車線区間情報LL3〜LL8とが関連付けられる構造であっても良い。また、道路区間情報LR1は車線区間情報LL1,LL2と関連付けられ、道路区間情報LR2が車線区間情報LL9に加え、車線区間情報LL3〜LL8とも関連付けられるとともに、道路区間情報LR3が車線区間情報LL10,11に加え、車線区間情報LL3〜LL8とも関連付けられる構造であっても良い。
(実施形態2)
図8は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念を説明するための図である。50は、地図データ20のデータ構造の概念図であり、51は、実際の高速道路の料金所周辺をあらわす図である。地図データ20のAまでの区間、AからBの区間、BからCの区間、CからDの区間、D以降の区間は各々、実際の道路のAまでの区間、AからBの区間、BからCの区間、CからDの区間、D以降の区間に対応している。
N10,N11は、各々地点情報をあらわすものであり、LR10,LR11は、各々道路区間情報をあらわすものであり、LL20〜LL31は、車線区間情報をあらわすものである。なお、LR10,LR11は、道路区間情報の属性情報として高速道路の料金所をあらわす情報を有している。BからDの区間は、それぞれの料金所車線に対応して3車線分の車線区間情報LL26〜LL31を有している。AからBの区間は、車両は3つの料金所のいずれにも移動可能な無車線的な区間であるため、入り口側の2本の車線の各々から各々の料金所車線への繋がりをあらわすために、車線区間情報LL32から車線区間情報LL26〜LL28の各々への繋がりをあらわす車線区間情報LL20,LL22,LL24と、車線区間情報LL33から車線区間情報LL26〜LL28の各々への繋がりをあらわす車線区間情報LL21,LL23,LL25とを有している。B10,B11は、道路領域と料金所の車線と車線との間に存在する領域51,52との境界線に対応する境界線情報であり、境界線の情報として料金所の当該領域51,52の周縁の座標情報を含んでいる。
道路区間情報LR10は、関連情報R4により車線区間情報LL32,LL33の各々と関連付けられており、道路区間情報LR11は、関連情報R5により車線区間情報LL20〜LL31の各々と関連付けられている。また、車線区間情報LL29は、関連情報R6により境界線情報B10と関連付けられており、車線区間情報LL30は、関連情報R7により進行方向左側の境界線情報B10及び進行方向右側の境界線情報B11と関連付けらており、車線区間情報LL31は、関連情報R8により境界線情報B11と関連付けられている。
本実施形態における地図データの道路ネットワークデータ30に含まれる道路区間情報LR10,LR11、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL20〜LL31、属性データ33に含まれる関連情報R4,R5の具体的なデータ構造は、実施形態1で説明したデータ構造(図3〜図5)と同じ構造である。
図9は、本実施形態における地図データ20の地物データ32に含まれる境界線情報B10,B11及び属性データ33に含まれる関連情報R6〜R8の詳細を説明するための図である。
境界線情報B10,B11は、その境界線情報を識別するための識別情報、図8の矢印で示す境界線(領域52の周縁、領域53の周縁)の座標をあらわす座標情報、及びその境界線情報の位置精度をあらわす精度情報が含まれている。ここで、位置精度は、座標情報の精度をいう。
関連情報R6〜R8は、その関連情報の識別情報を含んでいる。また、関連情報R6は、車線区間情報LL29と境界線情報B10とが関連していることをあらわすために、車線区間情報LL29の識別情報及び境界線情報B10の識別情報を含んでいる。また、関連情報R7は、車線区間情報LL30と境界線情報(進行方向右側)B11及び境界線情報(進行方向左側)B10とが関連していることをあらわすために、車線区間情報LL30の識別情報、並びにその車線区間情報に対して進行方向右側の境界線情報B11の識別情報及びその車線区間情報に対して進行方向左側の境界線情報B10の識別情報を含んでいる。また、関連情報R8は、車線区間情報LL31と境界線情報B11とが関連していることをあらわすために、車線区間情報LL31の識別情報及び境界線情報B11の識別情報を含んでいる。
図10は、上記の図8及び図9で説明した地点情報N10、道路区間情報L10〜LR11、車線区間情報LL20〜LL33及び関連情報R4〜R8を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。
ステップS10乃至ステップS60の処理は、実施形態1で説明した処理と同じである。
そして、誘導処理としてステップS60の処理を行った後に、以下の処理を行う。
ステップS60で特定された車線区間情報LL29〜LL31と関連付けされている境界線情報B10,B11を関連情報R6〜R8を用いて特定し、特定された境界線情報B10,B11と位置特定処理(ステップS50)で算出された現在地の座標とを比較し、車両が境界線よりも道路領域側を移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する(ステップS70)。なお、境界線情報B10,B11のうち、精度情報が「低」の情報については、精度情報が「高」の情報と比較して、より境界線に車両が近寄らないように制御するための誘導情報を生成する。つまり、境界線情報の精度によって、車両の誘導制御を異ならせている。
実施形態1の地図データ20は高速道路の分岐地点周辺を含むものであり、実施形態2の地図データ20は高速道路の料金所周辺を含むものであったが、高速道路の分岐地点周辺及び高速道路の料金所周辺の両方を含む地図データ20であっても良く、高速道路の分岐地点周辺及び高速道路の料金所周辺の両方を含む地図データ20を用いて、高速道路の分岐地点周辺では実施形態1の処理(図7)を行い、速道路の料金所周辺では実施形態2の処理(図10)を行う構成であっても良い。
(実施形態3)
図11は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念を説明するための図である。60は、地図データ20のデータ構造の概念図である。また、61は、実際の道路をあらわす図であり、車両が進行方向を進むに従い、区画線の種別が、白色の太破線(Aまで)、白色の破線(AからB)、黄色実線(BからC)、ポール有の黄色実線(C以降)と変化しており、Bまでの区間は、車両が車線を変更することが法律で禁止されていない区間であり、B以降の区間は、車両が車線を変更することが法律で禁止されている区間である。
LL120〜LL127は、車線区間情報であり、CL1〜CL6は、区画線情報であり、R110〜R117は、車線区間情報LL120〜LL127と区画線情報CL1〜CL6とを関連付けする関連情報である。そして、車線区間情報LL120は、関連情報R110により進行方向左側の区画線情報CL5と進行方向右側の区画線情報CL1と関連付けられている。車線区画情報LL121は、関連情報R111により進行方向左側の区画線情報CL5と進行方向右側の区画線情報CL1,CL2と関連付けられている。なお、車線区間情報LL120と車線区間情報LL121の分割位置と、区画線情報CL1と区画線情報CL2の分割位置は異なるため、車線区間情報LL121は、進行方向右側の区画線情報CL1及び区画線情報CL2の両方と関連付けられている。車線区間情報LL122は、関連情報R112により進行方向左側の区画線情報CL5と進行方向右側の区画線情報CL3と関連付けられている。車線区間情報LL123は、関連情報R113により進行方向左側の区画線情報CL5と進行方向右側の区画線情報CL4と関連付けられている。車線区間情報LL124は、関連情報R114により進行方向左側の区画線情報CL1と進行方向右側の区画線情報CL6と関連付けられている。車線区画情報LL125は、関連情報R115により進行方向右側の区画線情報CL6と進行方向左側の区画線情報CL1,CL2と関連付けられている。なお、車線区間情報LL124と車線区間情報LL125の分割位置と、区画線情報CL1と区画線情報CL2の分割位置は異なるため、車線区間情報LL125は、進行方向左側の区画線情報CL1及び区画線情報CL2の両方と関連付けられている。車線区間情報LL126は、関連情報R116により進行方向左側の区画線情報CL3と進行方向右側の区画線情報CL6と関連付けられている。車線区間情報LL127は、関連情報R117 により進行方向左側の区画線情報CL4と進行方向右側の区画線情報CL6と関連付けられている。
C11〜C14は、隣接する車線間で車線変更が可能であるか否かをあらわす情報であり、車線区間情報LL120に対応する区間と車線区間情報LL124に対応する区間の間及び車線区間情報LL121と車線区間情報LL125に対応する区間の間では、お互い一方の車線から他方の車線に車線変更が可能であることをあらわす情報を有している。また、車線区間情報LL122に対応する区間と車線区間情報LL126に対応する区間の間及び車線区間情報LL123に対応する区間と車線区間情報LL127に対応する区間の間では、お互い一方の車線から他方の車線に車線変更が不可能であることをあらわす情報を有している。
図12乃至図15は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。
図12は、車線ネットワークデータ30の車線区間情報LL120〜LL127の詳細を説明するための図であり、具体的構成は、実施形態1で説明した図4の構成と同じである。
図13は、地物データ32の区画線情報CL1〜CL6の詳細を説明するための図である。区画線情報CL1〜CL6の各々は、その区画線情報を識別するための識別情報、区画線の種別をあらわす種別情報、その区画線情報の位置精度をあらわす精度情報が含まれている。そして、区画線情報CL1,CL2は、その区画線情報に対応する所定区間の各々の白破線の始点及び終点の座標をあらわす座標情報、区画線CL3〜CL6は、その区画線情報に対応する区間の所定区間毎の位置の座標をあらわす座標情報が含まれている。ここで、上記の位置精度は、座標情報の精度をいう。
図14は、属性データ33の関連情報R110〜R117の詳細を説明するための図である。関連情報R110〜R117の各々は、その関連情報を識別するための識別情報が含まれている。さらに、関連情報R110は、車線区間情報LL120と進行方向右側の区間線情報CL1及び進行方向左側の区画線情報CL5が関連していることをあらわすために車線区間情報LL120の識別情報と区画線情報CL1,CL5の識別情報を含んでおり、関連情報R111は、車線区間情報LL121と進行方向右側の区画線情報CL1,CL2及び進行方向左側の区画線情報CL5が関連していることをあらわすために車線区間情報LL121の識別情報と区画線情報CL1,CL2,CL5の識別情報を含んでおり、関連情報R112は、車線区間情報LL122と進行方向右側の区間線情報CL3及び進行方向左側の区画線情報CL5が関連していることをあらわすために車線区間情報LL112の識別情報と区画線情報CL3,CL5の識別情報を含んでおり、関連情報R113は、車線区間情報LL123と進行方向右側の区間線情報CL4及び進行方向左側の区画線情報CL5が関連していることをあらわすために車線区間情報LL123の識別情報と区画線情報CL4,CL5の識別情報を含んでおり、関連情報R114は、車線区間情報LL124と進行方向右側の区間線情報CL6及び進行方向左側の区画線情報CL1が関連していることをあらわすために車線区間情報LL24の識別情報と区画線情報CL6,CL1の識別情報を含んでおり、関連情報R115は、車線区間情報LL125と進行方向右側の区画線情報CL6及び進行方向左側の区画線情報CL1,Cl2が関連していることをあらわすために車線区間情報LL125の識別情報と区画線情報CL1,CL2,CL6の識別情報を含んでおり、関連情報R116は、車線区間情報LL126と進行方向右側の区画線情報CL6及び進行方向左側の区画線情報CL3が関連していることをあらわすために車線区間情報LL126の識別情報と区画線情報CL3,CL6の識別情報を含んでおり、関連情報R117は、車線区間情報LL127と進行方向右側の区間線情報CL6及び進行方向左側の区画線情報CL4が関連していることをあらわすために車線区間情報LL127の識別情報と区画線情報CL4,CL6の識別情報を含んでいる。
図15は、属性データ30の車線変更情報C11〜C14の詳細を説明するための図であり、具体的構成は、実施形態1で説明した図6の構成と同じである。
以上で説明したように、車線区間情報LL120〜LL127は、所定の区間(例えば、100m)単位で分割するとともに、車両が車線を変更することを法律で禁止されていない区間と車両が車線を変更することが法律で禁止されている区間との境界位置(B)では分割するようにしている。そのため、例えば、車線区間情報の分割位置と、白色の太破線の種別の区画線情報(Aまで)と、白色の破線の種別の区画線情報(AからB)との境界位置(A)とが異なる場合、車線区画線情報LL121は、複数の区画線情報CL1,CL2と関連付けらており、車線区画線情報LL125は、複数の区画線情報CL1,CL2と関連付けられている。
図16は、上記の図11乃至図15で説明した車線区間情報LL120〜LL127、区画線情報CL1〜CL6、関連情報R110〜R117及び車線変更情報C11〜C14を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、現在地特定処理で特定された現在地の情報及び車線区間情報LL120〜LL127を含む車線ネットワークデータ31、区画線情報CL1〜CL6を含む地物データ32、並びに関連情報R110〜R117及び車線変更情報C11〜C14を含む属性データ33を利用して車両の走行が制御されるようにする誘導処理とを行う。
以下で具体的に、位置特定処理及び誘導処理について説明する。
情報制御部(位置特定部12)3は、位置特定処理として以下の処理を行う。位置取得部6によって取得した現在地情報から車両の現在地の座標を算出する。又は周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両の周辺画像情報、記憶部4に記憶されている区画線情報CL1〜CL6等の地物データ32等を利用して車両の現在地の座標を算出するようにする構成であっても良い(ステップS100)。
情報制御部(誘導部14)3は、誘導処理として以下の処理を行う。
まず、位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL120〜LL127を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL120〜LL127に含まれる座標点列の情報とを比較し、車両がその座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する(ステップS110)。
次に、ステップS110で特定された車線区間情報LL120〜LL127と関連付けされている区画線情報CL1〜CL6を関連情報C11〜C14を用いて特定し、特定された区画線情報CL1〜CL6と位置特定処理(ステップS100)で算出された現在地の座標とを比較し、車両が右側の区画線と左側の区画線の間を移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する(ステップS120)。なお、区画線情報CL1〜CL6のうち、精度情報が「低」の情報については、精度情報が「高」の情報と比較して、区画線に車両が近寄らないように制御するための誘導情報を生成する。つまり、区画線情報CL1〜CL6の精度によって、車両の誘導制御を異ならせている。
次に、車両の進行方向前方で車線変更が必要か否かを判断し、車線変更が必要な場合、ステップS110で特定された車線区間情報LL120〜LL127と関連している車線変更情報C11〜C14を特定し(例えば、特定された車線区間情報がLL20であれば、関連している車線変更情報は、C11)、車線変更情報C11〜C14を利用して、車線変更が法律的に可能な区間であるか否かを判断し(例えば、特定された車線区間情報がLL20であれば、車線変更情報LL20は左側の車線の情報であるため、右側変更可否の情報を参照する)、車線変更が可能である場合(変更可否:可)は、車両が車線変更するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する。一方、車線変更が可能でない場合(変更可否:否)は、車両が車線変更するように制御するための誘導情報を生成しない(ステップS130)。
(実施形態4)
図17は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念を説明するための図である。LL31〜LL36は、車線区間情報である。B1,B2は、道路領域とそれ以外の領域との境界線に対応する境界線情報であり、境界線の情報として、縁石、防御壁、斜面、ガードレール等の最も道路領域側に存在する位置(図17の矢印で示す紙面に対して垂直方向の境界線)の座標情報を含んでいる。R21は、車線区間情報LL32と境界線情報B1,B2とを関連付けする関連情報であり、R22は、車線区間情報LL35と境界線情報B1,B2とを関連付けする関連情報である。
図18は、車線ネットワークデータ31の車線区間情報L32,L35、地物データ32の境界線情報B1,B2及び属性データ33の関連情報R21,R22のデータ構造の詳細を説明するための図である。
車線区間情報L32,L35の各々の具体的構成は、実施形態1で説明した図4の構成と同じである。
境界線情報B1,B2は、その境界線情報を識別するための識別情報、図17の矢印で示す境界線の位置の座標をあらわす座標情報、及びその境界線情報の位置精度をあらわす精度情報が含まれている。ここで、位置精度は、座標情報の精度をいう。
関連情報R21,R22は、その関連情報の識別情報を含んでいる。また、車線区間情報LL32,LL35と境界線情報(進行方向右側)B2及び境界線情報(進行方向左側)B1とが関連していることをあらわすために、車線区間情報LL32,LL35の識別情報、並びにその車線区間情報に対して進行方向右側の境界線情報B2の識別情報及びその車線区間情報に対して進行方向左側の境界線情報B1の識別情報を含んでいる。
図19は、上記の図17及び図18で説明した車線区間情報LL32,LL35、境界線情報B1,B2、関連情報R21,R22を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。
情報制御部3は、車両の現在地を特定する位置特定処理と、現在地特定処理で特定された現在地の情報、車線区間情報LL32,LL35を含む車線ネットワークデータ31、境界線情報B1,B2を含む地物データ32及び関連情報R21,R22を含む属性データ33を利用して車両の走行が制御されるようにする誘導処理とを行う。
以下で具体的に、位置特定処理及び誘導処理について説明する。
情報制御部(位置特定部12)3は、位置特定処理として以下の処理を行う。位置取得部6によって取得した現在地情報から車両の現在地の座標を算出する(ステップS200)。
情報制御部(誘導部14)3は、誘導処理として以下の処理を行う。
まず、位置特定処理で算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL32,LL33を特定し、現在地の座標情報とその車線区間情報LL32,LL33に含まれる座標点列の情報とを比較し、車両がその座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する(ステップS210)。
そして、緊急車両の走行を検知した場合、車両が故障した場合等の区画線を超えて路側帯に車両を停止又は路側帯を車両を走行させる必要が生じた場合に、ステップS210で特定された車線区間情報LL32,LL33と関連付けされている境界線情報B1,B2を関連情報R21,R22を用いて特定し、特定された境界線情報B1,B2と位置特定処理(ステップS200)で算出された現在地の座標とを比較し、車両が境界線情報に含まれる座標情報に対応する位置近くまで車両を移動するように制御するための誘導情報を生成し、車両制御部に出力する(ステップS220)。なお、境界線情報B1,B2のうち、精度情報が「低」の情報については、精度情報が「高」の情報と比較して、あまり境界線に車両が近寄らないように制御するための誘導情報を生成する。つまり、境界線情報の精度によって、車両の誘導制御を異ならせている。
実施形態3の地図データ20は車線区間情報LL120〜LL127、区画線情報CL1〜CL6、関連情報R10〜R17及び車線変更情報C11〜C14を含むものであり、実施形態4の地図データ20は車線区間情報LL31〜LL36、境界線情報B1,B2及び関連情報R21,R22を含むものであったが、上記の両方を含む地図データであっても良く、両方を含む地図データを用いて、実施形態3の処理(図16)及び実施形態4の処理(図19)の両方を行う構成であっても良い。
また、地図データ20は、実施形態1で説明した道路ネットワークデータ30、車線ネットワークデータ31及び属性データ33、実施形態2で説明した道路ネットワークデータ30、車線ネットワークデータ31、地物データ32及び属性データ33、実施形態3で説明した車線ネットワークデータ30、地物データ32及び属性データ33、並びに実施形態4で説明した車線ネットワークデータ30、地物データ32及び属性データ33を含むものであっても良い。そして、その地図データ20に含まれる道路ネットワークデータ30を利用して経路の探索を行う経路探索処理を行い、道路ネットワーク30に特定されている経路を実施形態1及び実施形態2で説明した関連付けにより車線ネットワークデータ31に特定する処理を行う。そして、その特定された経路に沿って実施形態1乃至実施形態4の処理を行うものであっても良い。
さらにまた、地図データ20として、実施形態1乃至実施形態4の少なくとも2つの実施形態で説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理(図7)、実施形態2の処理(図10)、実施形態3の処理(図16)及び実施形態4の処理(図19)の少なくとも2つの実施形態で説明した処理を全て行う構成であっても良い。