JP6300259B2 - ポリエステルの解重合方法、およびその解重合方法を用いたポリエステルの原料モノマーの回収方法 - Google Patents

ポリエステルの解重合方法、およびその解重合方法を用いたポリエステルの原料モノマーの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波−加圧条件を用いてポリエステルを解重合する方法、ならびにその解重合方法を用いてポリエステルの原料モノマーを回収する方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記することもある。)に代表されるポリエステルは、その化学的安定性が優れていることから、繊維、フィルム、シート、あるいは飲料用のボトルなどに使用されている。
近年、これらポリエステル等の廃棄物の処理方法が問題となり、廃棄物を回収して再利用するための方法が各種検討されているが、その一つとして、ポリエステル等の廃棄物を解重合することによりモノマーに変換して回収し、そのモノマーを原料にして再度重合反応によってPET等のポリエステルを製造するケミカルリサイクルが検討されている。このケミカルリサイクルは不純物の分離が可能であり、原料としての品質も原油由来のバージン品とさほど変わらないため、資源の再利用を実現できる手段として期待されている。
ポリエステルをモノマー化する解重合方法は多数提案されている。例えばポリエステルを過剰のアルキレングリコール溶媒中で炭酸ナトリウム等の触媒とともに加熱することにより解重合し、飽和二塩基酸のビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートとエチレングリコール(以下、EGと略記することもある。)を生成させるグリコリシス法が挙げられる(特許文献1、特許文献2)。この方法は例えば、溶媒としてEGを用いた場合、解重合反応によりビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETと略記することもある。)が生成し、さらにエステル交換触媒の存在下にてメタノールを添加し、エステル交換反応をすることによりジメチルテレフタレートを回収することができる。この方法は常圧で反応させることができるが、反応時間が比較的長いため(例えば特許文献1の実施例によれば4時間程度)稼働率が上げられない。また、溶媒のグリコールが長時間加熱されることにより劣化するという欠点がある。
別の方法として、二軸押出し機にPET樹脂を入れ、反応温度280〜290℃、0.5MPa以上で溶融したところに、EGを圧入した後、滞留時間約5分にて分解する方法が提案されている(特許文献3)。この方法で得られた最も良い結果はBHETの回収率が88%であり、残りはオリゴマーであった。つまり、完全解重合法ではない。さらにこの方法は、PETの再重合のみを目指したものであり、純度の高いBHETを得る方法とは異なり、必ずオリゴマーを含むので、製品の応用先はポリマーの改質やポリマー合成の中間体に限定される。
一方、ポリエステルをモノマー化する解重合方法として、アルキレングリコールではなく一価アルコールを溶媒とし、その溶媒中で(必要に応じて触媒を添加して)加熱することにより、ポリエステルを解重合する、アルコリシス法も知られている(特許文献5、特許文献6)。この方法では、例えばメタノールを溶媒としてPETを解重合した場合、有用で取り扱いやすいモノマーであるジメチルテレフタレート(以下「DMT」と略記することもある。)が解重合反応により直接的に生成し、解重合反応も比較的早いという利点がある。しかしながら、一般的に低沸点であるアルコールを溶媒として用いて反応を十分に進行させるためには、高温・高圧により反応溶媒を超臨界または亜臨界状態にする必要があり、そのための特殊な装置が必要とされる。
その他の方法として、本発明者は先に、常圧で、特定の触媒の存在下、特定の溶媒中でPET等のポリエステルにマイクロ波を照射することにより、ポリエステルを解重合し、ポリエステルを構成していた化合物に由来する特定のモノマーを生成させる方法を提案している(特許文献3)。なお、この方法では、マイクロ波を照射せず、熱媒等による通常加熱を行っても、解重合反応は全く進行しないことが示されている。
上記の方法の一つの実施形態として、特許文献3には、酸化チタンを分散させたアルキレングリコール)溶媒中でポリエステルにマイクロ波を照射することにより、飽和二塩基酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルとアルキレングリコールを生成させる方法(グリコリシス法)が記載されている。実施例では、酸化チタンを分散させたEG中にPETを浸漬し、マイクロ波を30分間照射して加熱攪拌することにより、PETを解重合してBHETを得ることに成功している。しかしながらこの方法では、生成物であるBHETと酸化チタン触媒とを分離・回収する工程が必要となる。
上記の方法のもう一つの実施形態として、特許文献3には、アルカリ金属塩を溶解させた、モノアルコールまたは多価アルコール溶媒中で、PETにマイクロ波を照射することにより、テレフタル酸のジアルカリ金属塩を生成させる方法も記載されている。実施例では、水酸化ナトリウムを溶解させたEG、プロピレングリコール、グリセリン等の溶媒中にPETを浸漬し、マイクロ波を数分照射して加熱撹拌することにより、PETを解重合してテレフタル酸ジナトリウムを生成させ、これを塩酸で処理してテレフタル酸を得ることに成功している。しかしながらこの方法では、生成物である飽和二塩基酸のジアルカリ金属塩をポリエステルの原料モノマーとして利用するためには、酸処理により飽和二塩基酸に変換し、水中に析出させてから分離する工程が必要となる。
特開2002−167468号公報 特開2004−300115号公報 特開2005−097521号公報 特開平11−100336号公報 特開2003−300916号公報 国際公開WO2007/066446号(特許第4531855号公報、特許第4680266号公報)
上記の特許文献に示されるような、従来公知のポリエステルの解重合方法は、反応時間が数時間と長時間を要する場合や、生成物と触媒との分離・回収工程が必要な場合があり、また、ポリエステルを直接的かつ完全に原料モノマー化する(例えばPETを完全に解重合し、BHETとして回収する)ことは不可能であった。
本発明は、このような従来のケミカルリサイクル法における課題の解決を目的としている。すなわち、本発明は簡便な装置を用い、低コストで、容易かつ迅速に行うことができるポリエステルの解重合方法を提供することを目的とする。そのような解重合方法の一つの実施形態として、本発明は触媒を用いないポリエステルの解重合方法を提供することを目的とし、もう一つの実施形態として、触媒を用いるものの二塩基酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルを直接的に得られるポリエステルの解重合方法を提供することを目的とする。また、本発明のさらなる側面において、そのような解重合方法を用いた、不純物の少ないポリエステルの原料モノマーの回収方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、反応溶媒としてアルキレングリコールまたは特定の一価アルコールを用い、その反応溶媒の存在下、常圧よりも高いがその反応溶媒を超臨界もしくは亜臨界状態にしない圧力条件下で、ポリエステルにマイクロ波を照射することにより、反応溶媒としてアルキレングリコールを用いた場合は反応触媒を用いることなく、一方で反応溶媒として特定の一価アルコールを用いた場合は反応触媒(特定の金属化合物)を用いることで、ポリエステルの解重合および原料モノマーの回収ができることを見出した。そして、このような技術的特徴に基づき、上記の課題を解決しうるポリエステルの解重合方法および原料モノマーの回収方法を完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の発明を包含する。
[1] 反応溶媒としてアルキレングリコール、または炭素数1〜10の飽和脂肪族一価アルコール、ベンジルアルコールおよびアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の一価アルコールを用い、前記反応溶媒の存在下、かつ常圧よりも高いが前記反応溶媒を超臨界もしくは亜臨界状態にしない圧力条件下で、ポリエステルにマイクロ波を照射して解重合する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの解重合方法。
[2] 前記解重合工程における圧力が2〜30気圧である、[1]に記載のポリエステルの解重合方法。
[3] 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、[1]または[2]に記載のポリエステルの解重合方法。
[4] 前記反応溶媒がアルキレングリコールであり、反応触媒を用いずに前記解重合工程を行う、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリエステルの解重合方法。
[5] 前記アルキレングリコールがエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールである、[4]に記載のポリエステルの解重合方法。
[6] 前記反応溶媒が炭素数1〜4の飽和脂肪族一価アルコール、ベンジルアルコールおよびアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の一価アルコールであり、反応触媒を用いて前記解重合工程を行う、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリエステルの解重合方法。
[7] 前記反応触媒が、金属の酸化物または酢酸塩である、[6]に記載のポリエステルの解重合方法。
[8] [4]または[5]に記載のポリエステルの解重合方法により生成した、前記反応溶媒としてのアルキレングリコールと前記ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、または前記ポリエステルを構成していたアルキレングリコールの少なくとも一方を回収する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの原料モノマーの回収方法。
[9] [6]または[7]に記載のポリエステルの解重合方法により生成した、前記反応溶媒としての一価アルコールと前記ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、または前記ポリエステルを構成していたアルキレングリコールの少なくとも一方を回収する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの原料モノマーの回収方法。
なお、本明細書において、上記項目[4]〜[5]および[8]に対応する実施形態を「本発明の第1実施形態」と称し、上記項目[6]〜[7]および[9]に対応する実施形態を「本発明の第2実施形態」と称する場合がある。
本発明の解重合方法(工程)ではマイクロ波の照射と加圧を同時に行うが、溶媒を超臨界もしくは亜臨界状態にする必要がなく、比較的簡素な装置で実施することができる。そして、このような解重合工程により、比較的短時間で、高いポリエステルの解重合反応率および原料モノマーの収率を達成することができ、好ましい実施形態においてはほぼ完全にポリエステルを解重合し、原料モノマーとして回収することができる。
また、本発明の第1実施形態では触媒を用いずにポリエステルを解重合することができるので、原料モノマーを回収する際に触媒を分離する必要がない。一方、本発明の第2実施形態では、原料モノマーとして有用な飽和二塩基酸の一価アルコールとのエステル化合物(DMT等)を直接的に得ることができる。これらの特徴はいずれも、原料モノマーの回収方法(工程)の簡素化に貢献する。
−ポリエステル−
本発明の解重合方法の対象となる「ポリエステル」は、一般的に飽和二塩基酸とアルキレングリコールとの共重合物であり、特に限定されるものではない。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
(成型品、廃棄物)
本発明のポリエステルの解重合方法および原料モノマー回収方法の産業上の利用においては、ポリエステルを含有する成型品、特に廃棄物を対象とすることが想定される。ポリエステルを含有する成型品または廃棄物の態様は特に限定されるものではなく、公知の一般的な手段により製造、回収されたものであればよい。ここで、廃棄物とは成型品を使用した後に発生する廃棄物のほか、成型品製造時に発生する残余物、不良品等をいう。例えば、使用済みのPET製ボトル、カップ、ひも、包装容器等、あるいはこれらを成型する際のバリ、スプール、真空成型後のカップ切り取り後のシート等が挙げられる。
また、ポリエステルを含有する成型品は、ポリエステルのみで構成された成形品であってもよいし、ポリエステルとその他の成分(着色剤等の公知慣用の添加物)とを含有する成形品であってもよい。また、ポリエステルを含む布や衣類であってもよい。
なお、このような成形品または廃棄物は、必要に応じて、後述するような任意工程により粉砕処理してもよい。しかしながら、本発明の解重合方法においては、解重合反応を進行させることを目的とした特殊な前処理、たとえば、ポリエステルを加熱して溶融状態にしたり、ポリエステルを特定の溶媒に溶解したりする処理は不要である。
−反応溶媒−
(アルキレングリコール)
本発明の第1実施形態では、反応溶媒としてアルキレングリコールが用いられる。そのアルキレングリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオールなどが挙げられる。なかでもエチレングリコールまたはプロピレングリコールが安価でかつ低粘度であるため好ましい。これらのアルキレングリコールは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(一価アルコール)
本発明の第2実施形態では、反応溶媒として特定の一価アルコール、すなわち炭素数1〜10の飽和脂肪族一価アルコール、ベンジルアルコールまたはアリルアルコールが用いられる。炭素数1〜10の飽和脂肪族一価アルコールのうち、炭素数1〜4の飽和脂肪族一価アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。これらの一価アルコールは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の第1実施形態、第2実施形態で用いられる反応溶媒はいずれも、解重合反応においてポリエステルを構成している飽和二塩基酸とエステル化合物を形成する。このエステル化合物はポリエステルの原料モノマーとして直接的または間接的に利用することができるので、所望のエステル化合物が生成するような反応溶媒を選択して用いればよい。特に一価アルコールを用いる第2実施形態において得られるエステル化合物は、ポリエステルの原料モノマーとして利用価値の高いものを得ることができる。たとえばメタノールは、PETを解重合したときに有用で取り扱いやすい原料モノマーであるDMTが得られるという観点から好ましい。ベンジルアルコールは、マイクロ波の吸収効率に優れ、低臭気であることに加えて、クロロホルム等の有機溶媒への溶解性が良好で分離、回収しやすいエステル化合物が得られるという観点から好ましい。また、アリルアルコールは、不飽和結合を有する原料モノマーが得られるという観点から好ましい。
−反応触媒−
本発明の第1実施形態では反応触媒を用いる必要はないが、本発明の第2実施形態では反応触媒を用いる。本発明の第2実施形態で用いられる反応触媒は、公知のポリエステルの解重合方法において用いられる反応触媒、たとえばアルコリシス法において反応触媒として用いられる金属化合物の中から選択することができる。そのような金属化合物としては、金属の酸化物および酢酸塩が好ましい。たとえば、PbO2、(CH3COO)2Zn・2H2O、ZnOおよびLa23は、第2実施形態におけるポリエステルの解重合の反応効率、すなわち原料モノマーの収率を比較的高くすることができるため好ましい。
−マイクロ波−
本発明の解重合方法では、ポリエステルの解重合反応を促進するためにマイクロ波を用いる。マイクロ波は周波数が100MHz〜100GHz程度の高周波である。例えば、日本においては一般的に2450MHzのマイクロ波の使用が家庭用に認められており、食品解凍用としては915MHzのマイクロ波も使用されているが、いずれの波長も本発明において使用できる。
(マイクロ波発生装置)
このようなマイクロ波を発生させるための装置としては、公知の圧力制御が可能な各種のマイクロ波発生装置を用いることができる。例えば、CEM社製のDiscoverSP(300W、20気圧)、株式会社アントンパール・ジャパン社製のMonowave300(300W、30気圧)、MultiwavePro(1500W、80気圧)などを用いることができる。括弧内に示したように、装置によって使用可能なマイクロ波出力および上限圧力範囲は異なるので、実施形態に応じて適切な装置を選択すればよい。あるいは、一度に大量のポリエステルの解重合処理が行えるよう、マイクロ波の照射と圧力の制御が可能なより大型化された装置を用いることも可能である。
いずれのマイクロ波発生装置を用いる場合でも、ポリエステル/反応溶媒からなる反応物は、マイクロ波を吸収しない容器、例えばガラス、セラミックスまたはフッ素樹脂製の容器に収容することが望ましい。大型反応容器の場合は、部分的に石英ガラスまたは耐熱ガラスの窓を設けて、そこへマイクロ波の発振部を取り付けて反応容器に照射してもよい。発振部からは金属の導波管を通してマイクロ波を導いた装置を用いることも可能である。また、本発明ではマイクロ波を照射する際に所定の圧力をかけるので、上記の反応容器はその圧力に耐えられる耐圧性を備える必要がある。
−ポリエステルの解重合方法−
本発明のポリエステルの解重合方法は、所定の反応溶媒の存在下、かつ所定の圧力条件下で、ポリエステルにマイクロ波を照射することにより実施される。このような解重合方法は一般的に、ポリエステルを所定の反応溶媒に浸漬する工程(準備工程)、および所定の圧力条件下でマイクロ波を照射して解重合反応を進行させる工程(解重合工程)などにより構成される。以下、ポリエステルの解重合方法の実施形態についてステップを追って説明する。
(前処理工程)
ポリエステルを含有する成形体または廃棄物を解重合処理の対象とする場合は、必要に応じて洗浄・粉砕処理等の前処理工程を行ってもよい。
例えば、回収したポリエステルの廃棄物を対象とする場合は、これらの廃棄物を洗浄し、廃棄物に付着している汚れ、例えば内容物、土等を除去することが望ましい。さらに、必要に応じて比重分離等の公知の方法を用いてポリエステルとポリエステルより軽いキャップやラベルなどの異種プラスチックの成分を分離除去してもよい。ただし、このようにキャップ、ラベル、異物等を完全に除去しなくとも本発明の解重合反応にはなんら影響を及ぼさないので、現状のケミカルリサイクル法のように分別・洗浄・粉砕を綿密におこなう必要はない。
また、ポリエステルの成形体または廃棄物は比較的大きい切片のまま解重合反応に供することが可能であるが、より効率的に反応を進行させるために公知の粉砕方法を用いて粉砕処理を行ってもよい。
(準備工程)
準備工程は、所定の反応溶媒にポリエステル(ポリエステルを含有する成型品、特に廃棄物)を浸漬させる工程である。この際の反応溶媒とポリエステルとの重量比は1〜50:1程度、好ましくは1〜15:1程度、特に好ましくは1〜3:1程度の範囲である。
本発明の第1実施形態では、続く解重合工程において反応触媒は不要であるため、準備工程において反応溶媒に反応触媒を添加する必要はない。
本発明の第2実施形態では、続く解重合工程において反応触媒が必要であるため、準備工程において反応溶媒に前述したような反応触媒を添加する。
(解重合工程)
上記の準備工程の後に行われる解重合工程は、所定の圧力条件下で、上記反応溶媒/ポリエステル混合物にマイクロ波を照射する工程である。これらの混合物は前述のように、マイクロ波を吸収しない、所定の耐圧性を備えた容器に収容された状態で反応に供されることが望ましい。
解重合工程におけるマイクロ波の出力は、通常100〜3000W程度、好ましくは300〜1500W程度、特に好ましくは300〜700W程度の範囲である。
マイクロ波の照射時間は特に制限されるものではなく、使用する反応溶媒および解重合反応の対象物の種類や量などに応じて適宜調整することが可能であるが、通常5分〜10時間、好ましくは10分〜5時間、特に好ましくは30分〜60分の範囲で行われる。
マイクロ波の照射により反応溶媒は加熱される。加熱温度は、溶媒の種類、マイクロ波の照射時間、解重合工程における圧力などによって変動する。たとえば、本発明の第1実施形態において反応溶媒としてエチレングリコールを用いる場合は、加熱温度は通常200〜400℃、好ましくは250〜300℃である。また、本発明の第2実施形態において反応溶媒としてメタノールを用いる場合は、加熱温度は通常100〜300℃、好ましくは165〜190℃であり、ベンジルアルコールを用いる場合は、加熱温度は通常100〜400℃、好ましくは200〜300℃であり、アリルアルコールを用いる場合は、加熱温度は通常100〜300℃、好ましくは165〜200℃である。
また、解重合工程は、常圧よりも高いが反応溶媒を超臨界もしくは亜臨界状態にしない圧力条件下で行われる。そのような圧力は、溶媒の種類やマイクロ波の照射による溶媒の温度などによって変動しうるが、通常2〜100気圧程度、好ましくは2〜80気圧程度、特に好ましくは2〜30気圧程度の範囲である。
−ポリエステルの原料モノマーの回収方法−
本発明の解重合方法の第1実施形態では、ポリエステルの解重合により、反応溶媒としてのアルキレングリコールとポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、およびポリエステルを構成していたアルキレングリコールが生成する。
本発明の解重合方法の第2実施形態では、ポリエステルの解重合により、反応溶媒としての一価アルコールとポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、およびポリエステルを構成していたアルキレングリコールが生成する。
本発明のポリエステルの原料モノマーの回収方法は、そのような解重合方法により生成した特定の化合物を回収する工程(回収工程)などにより構成される。なお、前記特定の化合物の「回収」は、反応溶媒から分離された状態で回収することのみならず、反応溶媒から分離されない状態で回収する(所望により連続的に再利用する)ことを包含することが意図される。また、本発明により回収される化合物は、ポリエステルの原料としてのほか、ポリエステル、ポリウレタン等、ポリエステル以外のポリマーの原料として用いることもできる。
(エステル化合物の回収工程)
本発明の第1実施形態、第2実施形態いずれにおいても、反応溶媒とポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物を原料モノマーの一つとして回収し、再利用することができる。このようなエステル化合物を反応溶媒から分離して回収する方法は特に限定されるものではなく、それらの化合物に応じた適切な分離方法、一般的には溶媒抽出、濾過、蒸留等を用いればよい。
本発明の第1実施形態によりポリエステルを解重合した場合、反応溶媒としてのアルキレングリコールとポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、すなわち飽和二塩基酸のビス(β−ヒドロキシアルキル)エステルが生成し、これをポリエステルの原料モノマーとして回収し、再利用することができる。
第1実施形態にて得られる飽和二塩基酸のビス(β−ヒドロキシアルキル)エステルは、反応溶媒の種類により変化する。たとえば、反応溶媒としてEGを用いてPETを解重合した場合はBHETが生成し、反応溶媒としてプロピレングリコールを用いてPETを解重合した場合は主にビス(β−ヒドロキシアルキル)テレフタレートが生成する。
このようにして得られる飽和二塩基酸のビス(β−ヒドロキシアルキル)エステルは、さらにメタノールとエステル交換反応させることにより飽和二塩基酸のジメチルエステルとして回収することができる。この際のエステル交換反応は、従来のグリコリシス法によって得られる生成物についてと同様にして行うことができる。メタノールを用いたエステル交換反応の概略を示せば次の通りである。解重合反応濃縮液とメタノールとをエステル交換反応触媒(アルカリ金属化合物等)の存在下に、65〜85℃程度で0.5〜5時間程度かけてエステル交換反応させることにより、固形状のDMTがメタノールとアルキレングリコール等の混合液中に分散しているスラリーが得られる。さらに固液分離装置などによりDMTを含有するケークを分離し、蒸留精製を施すことにより、精製DMTを回収することができる。
一方、本発明の第2実施形態によりポリエステルを解重合した場合、反応溶媒としての一価アルコールと、ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、すなわち飽和二塩基酸のジアルキルエステルが生成し、これをポリエステルの原料モノマーとして回収し、再利用することができる。
第2実施形態にて得られる飽和二塩基酸のジアルキルエステルも、反応溶媒の種類により変化する。たとえば、反応溶媒としてメタノールを用いてPETを解重合した場合はDMTが生成し、反応溶媒としてベンジルアルコールを用いてPETを解重合した場合はジベンジルテレフタレートが生成する。このようにして得られる飽和二塩基酸のジアルキルエステルは、固液分離により(DMT等)、または溶媒抽出により(ジベンジルアルコール等)回収することができる。
(アルキレングリコールの回収工程)
本発明の第1実施形態、第2実施形態いずれにおいても、ポリエステルを構成していたアルキレングリコールを原料モノマーのもう一つとして回収し、再利用することができる。このようなアルキレングリコールを反応溶媒から分離して回収する方法は特に限定されるものではなく、それらの化合物に応じた適切な分離方法、一般的には蒸留・濃縮法を用いればよい。
本発明の第1実施形態において反応溶媒としてポリエステルの構成成分とは異なるアルキレングリコールを用いた場合、反応溶媒として一価アルコールを用いる本発明の第2実施形態と同様、解重合により生成したアルキレングリコールと反応溶媒としてのアルキレングリコールは一旦混合するが、公知の蒸留・濃縮法により分離、回収することが可能である。一方、解重合反応で生成したアルキレングリコールと反応溶媒が同一種の場合、分離することなく解重合工程の反応溶媒として再利用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって示される実施形態になんら限定されるものではない。実施例群1の結果は表1に、実施例群2の結果は表2に示す。マイクロ波発生装置としては、CEM社製のDiscoverSP(300W、20気圧)を用いた。
−実施例群1:第1実施形態(反応溶媒:アルキレングリコール、反応触媒:なし)に基づくポリエステルの解重合およびモノマー原料の回収−
[実施例1−1]
10ml専用試験管にPET0.0976g(0.508mmol)、EG2.31g(37.3mmol)および撹拌子を入れ、専用のふたで密閉した。この密閉容器をDiscoverSPに装着し、30分間マイクロ波(2450MHz、300W)を照射した。その際の温度は290℃、圧力は10気圧であった。放冷後、アセトン40mlを用いて生成物を溶解し、ろ紙で濾過した。未反応のPETは全く回収されなかった(反応率も99%以上)。次に減圧下でアセトンを留去した。さらにクーゲルロール蒸留装置を用いて未反応のエチレングリコールを2.00g得た。BHETを白色固体の残渣として0.129g(収率99.4%)得た。なお、IR測定およびNMR測定より、白色固体がBHETの構造を有することを支持する結果が得られた。また、白色固体の再結晶後の融点測定は110.5-111.5℃であり、BHETの標品の融点(110.5-111.0℃)と一致した。
IR吸収スペクトル
3440 cm-1:νO-H,3064 cm-1:νC-H,2964 cm-1:ν-CH2-,2880 cm-1:ν-CH2-,1713 cm-1:ν-CO-O-,1687 cm-1:-Ph,1268 cm-1:νC-O-C,1251 cm-1:νC-O-C,1228 cm-1:σC-H,1067 cm-1:σC-H,1017 cm-1:σC-H,872 cm-1: σC-H.
NMRスペクトル
lH NMR (CDCl3, 270 MHz, TMS=0.00 ppm): δ 3.85-3.95 (m, 4H, - CH2-), 4.19-4.18 (m, 2H, -OH), 4.38-4.44 (m, 4H, - CH2-), 8.15 (s, 4H, -Ph).
13C NMR (CDCl3, 270 MHz, TMS=0.00 ppm): 60.7 (-CH2-), 67.9 (-CH2-), 130.3, 135.1, 166.2, 206.3 (C=O)。
[実施例1−2]
実施例1−1と同じスケールで反応容器を準備して、40分間マイクロ波照射(2450MHz、300W、10気圧)した。放冷後、実施例1−1と同様の処理操作で、BHETを0.130g(収率99.9%)得た。
[実施例1−3]
実施例1−1と同じスケールで反応容器を準備して、10分間マイクロ波照射(2450MHz、300W、10気圧)した。放冷後、実施例1−1と同様の処理操作で、未反応PET0.0013gを回収した。回収されたエチレングリコールは2.41gであった。残渣は0.125gであり、結晶化しない白色粘性物質であった。NMR測定よりオリゴマーの存在を支持する結果が得られた。
[実施例1−4]
実施例1−1と同じスケールで反応容器を準備して、20分間マイクロ波照射(2450MHz、300W、10気圧)した。放冷後、実施例1−1と同様の処理操作で、未反応PETは全く回収されなかった。回収されたエチレングリコールは1.92gであった。残渣は0.133gであり、結晶化しない白色粘性物質であった。NMR測定よりオリゴマーの存在を支持する結果が得られた。
[比較例1−1]
30mlスリ付試験管にPET0.0982g(0.511mmol)、EG1.99g(32.1mmol)と撹拌子を入れた。この試験管に還流冷却器をつけて、DiscoverSPに装着し、常圧還流条件下(内温:約205℃)で30分間マイクロ波(2450MHz、300W)を照射した。放冷後、アセトン40mlを用いて生成物を溶解し、ろ紙で濾過して、未反応PET0.0978gを回収した。次に減圧下でアセトンを留去した。さらにクーゲルロール蒸留装置を用いて未反応のEGを1.94g得た。BHETを白色固体の残渣として0.0023g(収率1.8%)得た。なお、IR測定およびNMR測定より、白色固体がBHETの構造を有することを支持する結果が得られた。
Figure 0006300259
−実施例群2:第2実施形態(反応溶媒:一価アルコール、反応触媒:あり)に基づくポリエステルの解重合およびモノマー原料の回収−
[実施例2−1]
耐圧製の35ml専用試験管にPET0.96g(5mmol)、PbO20.12g(5mol%)、メタノール(10ml)および撹拌子を入れ、専用のふたで密閉した。この密閉容器に60分間、マイクロ波(2450MHz、300W)を照射した。その際の温度は165℃、圧力は20気圧であった。過剰なメタノールをエバポレーターで除去後、イオン交換水を加え、吸引濾過を用いて加えた水とともにエチレングリコールを除去した。減圧乾燥後にクロロホルムを加え、生成物と未反応物に濾別した。反応触媒が残っている場合には、シリカゲルを用いて濾過によって除去した。エバポレーターを用いてクロロホルムを減圧下で除去し白色生成物を得た。再結晶後の融点測定及びIR、NMRより、得られた白色固体はDMT(テレフタル酸ジメチル)であることが分かった。
白色固体
m.p.=140-141℃
IR (cm-1): 3018 (ν Ph-), 2960 (ν-CH3), 1715 (ν-C=O), 1687 (ν-C=O), 1262 (-COC), 1106 (ν-COC-), 815 (Ph-)
1H-NMR (CDCl3, 270MHz, TMS=0.00ppm):δ 3.95 (6H, -CH3), 8.10 (4H, Ph-)
13C-NMR (CDCl3, 270MHz, TMS=0.00ppm):δ 52.45 (-CH3), 129.58 (-Ph), 133.98 (-Ph), 166.30(-C=O)
DMT(市販品)
m.p.=140-141℃
IR (cm-1): 3018 (ν Ph-), 2960 (ν-CH3), 1715 (ν-C=O), 1687 (ν-C=O), 1261 (-COC), 1106 (ν-COC-), 815 (Ph-)
1H-NMR (CDCl3, 270MHz, TMS=0.00ppm):δ 3.95 (6H, -CH3), 8.10(4H, Ph-)
13C-NMR (CDCl3, 270MHz, TMS=0.00ppm):δ 52.44 (-CH3), 129.58 (-Ph), 133.93 (-Ph), 166.30 (-C=O)。
[比較例2−1]
30mlスリ付試験管にPET0.96g(5mmol)、PbO20.12g(5mol%)、メタノール(10ml)および撹拌子を入れた。この試験管に還流冷却器をつけて、DiscoverSPに装着し、常圧還流条件下で30分間マイクロ波(2450MHz、300W)を照射した。その際の温度は65℃、圧力は1気圧であった。未反応PETを濾過で除去して、過剰なメタノールをエバポレーターで除去すると何も得られなかった。つまり、DMTの収率は0%であった。なお、回収された未反応PETの重量は0.96gであった。
[実施例2−2a]
反応触媒を0.11g(5mol%)の(CH3COO)2Zn・2H2Oに変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波の照射時間は実施例2−1と同じく60分とした。マイクロ波照射時の反応圧力も実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は165℃であった。DMTの収率は88%であった。
[実施例2−2b]
マイクロの波照時間を120分に変更し、メタノールの量を4.47g(0.14mmol)に変更した以外は実施例2−2aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−2aと同じく20気圧とし、そのときの反応温度は184℃であった。DMTの収率は92%であった。
[実施例2−2c]
マイクロ波の照射時間を180分に変更した以外は実施例2−2aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−2aと同じく20気圧とし、そのときの反応温度は176℃であった。DMTの収率は99%であった。
[比較例2−2]
反応触媒を0.11g(5mol%)の(CH3COO)2Zn・2H2Oに変更した以外は比較例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波の照射時間は比較例2−1と同じく60分とした。マイクロ波照射時の反応圧力も比較例2−1と同じく1気圧とし、そのときの反応温度は65℃であった。白色固体としてDMTが得られ、その収率は0.2%であった。
[実施例2−3a]
反応触媒を0.04g(5mol%)のZnOに変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波の照射時間は実施例2−1と同じく60分とした。マイクロ波照射時の反応圧力も実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は165℃であった。DMTの収率は34%であった。
[実施例2−3b]
マイクロの波照時間を120分に変更し、メタノールの量を4.48g(0.14mmol)に変更した以外は実施例2−3aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−3aと同じく20気圧とし、そのときの反応温度は176℃であった。DMTの収率は35.9%であった。
[実施例2−3c]
マイクロ波の照射時間を180分に変更した以外は実施例2−3aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−3aと同じく20気圧とし、そのときの反応温度は166℃であった。DMTの収率は62%であった。
[実施例2−3d]
マイクロの波照時間を180分に変更した以外は実施例2−3aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−3aと同じく20気圧とし、そのときの反応温度は167℃であった。DMTの収率は32.5%であった。
[比較例2−3]
反応触媒を0.04g(5mol%)のZnOに変更した以外は比較例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波の照射時間は比較例2−1と同じく60分とした。マイクロ波照射時の反応圧力も比較例2−1と同じく1気圧とし、そのときの反応温度は65℃であった。白色固体は得られず、DMTの収率は0%であった。
[実施例2−4a]
反応触媒を0.16g(5mol%)のLa23に変更し、マイクロの波照時間を120分に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応圧力も実施例2−1と同じく約20気圧(19.7気圧)とし、そのときの反応温度は160℃であった。DMTの収率は52.2%であった。
[実施例2−4b]
マイクロ波の照射時間を180分に変更した以外は実施例2−4aと同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−3aと同じく約20気圧(19.7気圧)とし、そのときの反応温度は174℃であった。DMTの収率は91.5%であった。
[参考例2−1]
反応触媒を0.04g(5mol%)のCuOに変更し、マイクロの波照時間を120分に変更し、メタノールの量を4.48g(0.14mmol)に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応圧力は実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は170℃であった。DMTの収率は9.6%であった。
[参考例2−2]
反応触媒を0.04g(5mol%)のMnO2に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波の照射時間は実施例2−1と同じく60分とした。マイクロ波照射時の反応圧力は実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は164℃であった。DMTの収率は6.38%であった。
[参考例2−3]
反応触媒を0.05g(5mol%)のGeO2に変更し、マイクロの波照時間を120分に変更し、メタノールの量を4.48g(0.14mmol)に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応圧力は実施例2−1と同じく約20気圧(19.4気圧)とし、そのときの反応温度は164℃であった。DMTの収率は2.1%であった。
[参考例2−4]
反応触媒を0.08g(5mol%)のFe23に変更し、マイクロの波照時間を120分に変更し、メタノールの量を4.47g(0.14mmol)に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応圧力は実施例2−1と同じく約20気圧(19.7気圧)とし、そのときの反応温度は172℃であった。DMTの収率は13%であった。
[実施例2−5]
反応触媒を0.11g(5mol%)の(CH3COO)2Zn・2H2Oに変更し、反応溶媒を4.61g(0.10mmol)のエタノールに変更し、マイクロの波照時間を120分に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の圧力は実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は190℃であった。DMTの収率は89.9%であった。
[実施例2−6]
反応触媒を0.11g(5mol%)の(CH3COO)2Zn・2H2Oに変更し、反応溶媒を5.40g(0.05mmol)のベンジルアルコールに変更し、マイクロの波照時間を120分に変更し、マイクロ波照射時の反応圧力を10.5気圧に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応温度は300℃であった。DMTの収率は72%であった。
[実施例2−7]
反応触媒を0.11g(5mol%)の(CH3COO)2Zn・2H2Oに変更し、反応溶媒を4.64g(0.08mmol)のアリルアルコールに変更し、マイクロの波照時間を120分に変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行った。マイクロ波照射時の反応圧力は実施例2−1と同じく20気圧とし、そのときの反応温度は240℃であった。DMTの収率は38.8%であった。
Figure 0006300259

Claims (9)

  1. 反応溶媒としてアルキレングリコール、または炭素数1〜10の飽和脂肪族一価アルコール、ベンジルアルコールおよびアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の一価アルコールを用い、
    前記反応溶媒の存在下、かつ常圧よりも高いが前記反応溶媒を超臨界もしくは亜臨界状態にしない圧力条件下で、ポリエステルにマイクロ波を照射して解重合する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの解重合方法(ただし、加アルカリ溶液分解による解重合方法を除く。)
  2. 前記解重合工程における圧力が2〜30気圧である、請求項1に記載のポリエステルの解重合方法。
  3. 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、請求項1または2に記載のポリエステルの解重合方法。
  4. 前記反応溶媒がアルキレングリコールであり、反応触媒を用いずに前記解重合工程を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステルの解重合方法。
  5. 前記アルキレングリコールがエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールである、請求項4に記載のポリエステルの解重合方法。
  6. 前記反応溶媒が炭素数1〜4の飽和脂肪族一価アルコール、ベンジルアルコールおよびアリルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の一価アルコールであり、反応触媒を用いて前記解重合工程を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステルの解重合方法。
  7. 前記反応触媒が、PbO 2 、(CH 3 COO) 2 Zn・2H 2 O、ZnOまたはLa 2 3 である、請求項6に記載のポリエステルの解重合方法。
  8. 請求項4または5に記載のポリエステルの解重合方法により生成した、前記反応溶媒としてのアルキレングリコールと前記ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、または前記ポリエステルを構成していたアルキレングリコールの少なくとも一方を回収する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの原料モノマーの回収方法。
  9. 請求項6または7に記載のポリエステルの解重合方法により生成した、前記反応溶媒としての一価アルコールと前記ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とのエステル化合物、または前記ポリエステルを構成していたアルキレングリコールの少なくとも一方を回収する工程を含むことを特徴とする、ポリエステルの原料モノマーの回収方法。
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