以下、本発明を適用した第1〜第3実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[情報呈示装置の構成]
図1は本実施形態に係る情報呈示装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報呈示装置1は、運転者解析部3と、運転者反応記録部5と、確認操作行為決定部7と、確認操作行為制御部9と、タスク入力部11と、表示イメージ生成部13と、警報制御部15と、音声生成部17とを備えている。さらに、情報呈示装置1は、周囲環境認識部21と、旅程制御部23と、自車挙動生成部25と、自車挙動決定部27と、車両挙動制御部29と、車両状態検出部31とを備えている。
本実施形態に係る情報呈示装置1は、車両の走行制御を自動的に行う自動運転制御と運転者による手動運転制御とを切り換え可能な自動走行車両(以下、車両という)に搭載されている。また、車両には自動運転システムが搭載されており、この自動運転システムが車両の走行状態及び外部環境に基づいて車両の走行制御を自動的に行っている。そして、自動運転システムは、所定のタイミングや必要に応じて自動運転制御から手動運転制御へ切り替える。例えば、運転者がステアリングに手を添えたり、ペダルに足を置いたりすると、ステアリング及びペダルに設置されたセンサが検出して自動運転システムが直ちに操作権限を運転者に引き渡すように制御する。このとき、自動運転システムは、運転者の操作内容にしたがって、ステアリングとペダルの操作権限をそれぞれ独立に引き渡している。
運転者解析部3は、車両に搭載されている各装置から運転者の状態及び動作を検出するとともに車両の操作状況等の情報を取得して、運転者がどのような状態で、どのような動作や運転操作を行ったかを解析する。特に、本実施形態の運転者解析部3は、車両状態検出部31に接続されており、車両のステアリングやペダル等の移動量に関する車両情報を取得して、運転者が行った手動運転を解析し、運転者によって実行された確認操作行為を検出する。尚、本実施形態における手動運転には、運転者によるペダル操作とステアリング操作が含まれている。すなわち、ペダル操作かステアリング操作のいずれか、またはその両方を含んでいる。
また、運転者解析部3は、運転者の生体信号を解析して運転者の覚醒水準や疲労度、運転精度、運転安定度等を推定することも可能である。運転者解析部3は、生理情報として脳波のα波、θ波、心拍数、心拍波形の周波数分析、呼吸数、眼球運動頻度、閉眼時間、頭部姿勢、唾液のコルチゾール及びアミラーゼを取得する。また、運転者解析部3は、車両情報として車両横位置変動量と、行動情報として操舵パターン、操舵波形の周波数分析等を取得し、これらの情報に基づいて覚醒水準や疲労度、運転精度、運転安定度を推定する。
運転者反応記録部5は、運転者の状態や運転者が行った動作及び運転操作等の運転者が行った反応を記録する。具体的に、運転者反応記録部5は、運転者解析部3で解析された結果や運転者による手動運転、タスク入力部11から入力されたタスク、確認操作行為の実行の有無等の情報を記録する。特に、運転者反応記録部5は、確認操作行為として実行された手動運転だけではなく、自発的に実行された手動運転や自動運転システムが対応できない状況における不可避の手動運転等のすべての手動運転を記録する。
確認操作行為決定部7は、車両の運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認するための確認操作行為を決定する。ここで、本実施形態の確認操作行為とは、運転者が手動運転時に行う操作のプロセスを実行できることを確認するためのものである。通常、運転者が手動運転を行う場合には、車両の周囲の状況を「認知」して、どのような操作を行うべきかを「判断」し、その判断に基づいて車両を「操作」するというプロセスが実行されている。そこで、本実施形態では、これらのプロセスのうち「操作」のプロセスを運転者が実行できることを確認するための確認操作行為を設定し、この確認操作行為を運転者に実行させることで、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認する。ただし、運転者が操作のプロセスを実行できれば、運転者は認知、判断のプロセスについても実行できているので、本実施形態の情報呈示装置1は、運転者が認知と判断と操作のプロセスを実行できることを確認できる。
具体的に、確認操作行為決定部7は、自車挙動生成部25で生成された自車挙動の候補を複数取得するとともに、自車挙動生成部25から周囲環境における安全走行可能領域情報と障害物配置情報とを取得する。そして、確認操作行為決定部7は、これらの情報に基づいて、運転者がどのような手動運転をした場合に自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であるかを判断して確認操作行為を決定する。例えば、確認操作行為決定部7は、障害物配置情報から車両前方の障害物の位置を特定し、障害物を回避する運転操作を確認操作行為として決定する。あるいは、確認操作行為決定部7は、自動運転システムが選択した自車挙動の走行軌道に合わせて車両を右折や左折させる運転操作を確認操作行為として決定してもよい。この他にも、確認操作行為決定部7は車線変更や加減速、停車、発進、一時停止等の運転操作を確認操作行為として決定してもよい。
確認操作行為制御部9は、確認操作行為決定部7で決定された確認操作行為を運転者に実行させるための制御を行う。具体的に、確認操作行為制御部9は、運転者に確認操作行為の実行を要求するタイミングを決定したり、運転者が確認操作行為を実行したか否かを判定して承認フラグを設定したりする。
タスク入力部11は、自車挙動生成部25で生成された自車挙動の候補を取得し、この自車挙動の候補を表示装置33にタスクとして表示する。運転者は、タッチパネル機能を備えた表示装置33に触れることで、表示されたタスクの中から直後に実行されるタスクを選択して車両を操作する。ここで、タスクとは、直進、右左折、左右への車線変更、停車、発進、加速、減速等の運転操作の最小単位であり、運転者に提供される表示画面には、直進や右左折等のタスクを表すピクトグラムが表示される。尚、タスクを表示する際に、タスク入力部11は、自動運転システムが選択したタスク、運転者が選択可能なタスク、運転者が選択できないタスクのいずれであるかを識別できるように表示する。したがって、運転者は、選択可能なタスクの中から自動運転システムが選択しなかったタスクを選ぶことによって、タスクを変更することが可能となる。最終的な車両の挙動は自車挙動決定部27によって決定されるが、タスク入力部11から入力されたタスクが優先して自車挙動に決定される。
表示イメージ生成部13は、表示装置33に接続されており、運転者に確認操作行為の実行を要求する場合やタスクを表示する場合等に、運転者に提示する表示イメージを生成して表示装置33に出力する。表示装置33は、液晶ディスプレイ等で構成され、例えば運転者の正面の下方に角度10度、視距離90cmの位置に配置されている。また、表示装置33はタッチパネル機能を備え、運転者からの入力を受け付ける。
警報制御部15は、警報音発生部35に接続され、確認操作行為制御部9からの情報を取得して警報が必要と判断した場合には、適切な警報音を設定して警報音発生部35に信号を出力する。また、警報制御部15は、警報が必要な場合に、表示イメージ生成部13に対しても信号を出力して表示装置33に警報イメージが表示されるようにする。同様に、警報制御部15は、音声生成部17に対しても信号を出力してスピーカ37から警報メッセージが出力されるようにする。
音声生成部17は、スピーカ37に接続されており、運転者に確認操作行為の実行を要求する場合等に適切なメッセージを生成してスピーカ37に出力する。
周囲環境認識部21は、カメラやレーダー、GPS等の自車両に搭載されたセンサ群41から自車両の周囲環境の情報を取得するとともに、データベース43から地図データと自車両の現在位置情報を取得する。そして、これらの情報に基づいて、周囲環境認識部21は自車両の周囲環境を認識して周囲環境情報を生成する。
旅程制御部23は、データベース43に格納されている地図データと自車両の現在位置情報を取得して、自車両の現在位置から目的地までの移動経路全体を管理する。また、旅程制御部23は、自車両の移動経路全体の計画を記録した旅程計画情報を生成する。
自車挙動生成部25は、周囲環境認識部21から周囲環境情報を取得して自車両の周囲環境を認識し、旅程制御部23から旅程計画情報を取得して自車両の移動経路を把握する。そして、これらの情報に基づいて、自車挙動生成部25は、現時点における自車両の安全走行可能領域情報と障害物配置情報とを求め、自車両が安全走行可能領域内で走行し得る複数の自車挙動の候補(走行軌道と速度プロファイル)を算出する。
自車挙動決定部27は、周囲環境認識部21から周囲環境情報を取得して自車両の周囲環境を認識し、旅程制御部23から旅程計画情報を取得して自車両の移動経路を把握する。そして、これらの情報に基づいて、自車挙動決定部27は、自車挙動生成部25で生成された自車挙動の候補の中から自車挙動を決定して車両挙動制御部29へ出力する。尚、運転者が確認操作行為を実行する場合には、自車挙動決定部27は、確認操作行為が周囲環境の現状に照らして有効か否かを逐一評価する。さらに、運転者によってタスク入力部11からタスクが入力されると、自車挙動決定部27は入力されたタスクを優先して自車挙動に決定する。
車両挙動制御部29は、自車挙動決定部27で決定された自車挙動を実行するために、自車両に搭載されている各アクチュエータ45に対して制御信号を出力する。このとき、車両挙動制御部29は、制御結果となる自車挙動を運転者解析部3に出力する。
車両状態検出部31は、車両各部に設置されているセンサからの検出値を取得して車両情報を生成し、生成した車両情報を運転者解析部3に出力する。例えば、車両状態検出部31は車両のステアリングやアクセルペダル、ブレーキペダル等に設置されたセンサからステアリングやペダルの移動量を取得して車両情報を生成する。
尚、情報呈示装置1は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と周辺機器から構成されており、特定のプログラムを実行することにより、上述した各部として動作する。
[確認操作行為制御ループの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報呈示装置1による確認操作行為制御ループの処理手順を図2のフローチャートを参照して説明する。
図2に示すように、まずステップS101において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為制御ループの処理に必要となるデータを読み込む。具体的に、確認操作行為制御部9は、運転者解析部3から車両状態検出部31の車両情報を読み込み、周囲環境認識部21から周囲環境情報を読み込み、旅程制御部23から旅程計画情報を読み込む。また、確認操作行為制御部9は、運転者反応記録部5に記録されている運転者の反応履歴についても読み込む。
ステップS102において、確認操作行為制御部9は、読み込んだデータに基づいて、運転者に要求された確認操作行為とその確認操作行為に対する運転者の反応履歴を解析する。
そして、ステップS103において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行回数が基準値以上であるか否かを判定する。ただし、確認操作行為の不実行には、運転者が確認操作行為の実行要求に対して無反応の場合や不適切な反応をした場合等が含まれている。そして、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行回数が基準値以上である場合にはステップS104に進み、確認操作行為の不実行回数が基準値未満である場合にはステップS105に進む。
ステップS104において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行回数が基準値以上なので、承認フラグを「false」に設定する。これにより、確認操作行為制御部9は、運転者が自動運転制御を承認していないと判定して、自動運転制御を中断するように制御する。また、確認操作行為制御部9は、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態ではないと判定する。さらに、確認操作行為制御部9は、承認フラグが「false」に設定されたことを自車挙動決定部27に入力する。
こうして、承認フラグが「false」に設定されると、本実施形態に係る確認操作行為制御ループは終了する。
一方、ステップS105では、確認操作行為決定部7が、運転者に要求する確認操作行為を決定する。具体的に、確認操作行為決定部7は、自車挙動生成部25から自車挙動の候補を複数取得するとともに、安全走行可能領域情報と障害物配置情報を取得する。そして、確認操作行為決定部7は、これらの情報に基づいて、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認するための確認操作行為を決定する。例えば、確認操作行為として運転者に要求される運転操作は、右左折、追越し、左右への車線変更、加減速、合流、停車、発進、一時停止、前車追従等である。これらの運転操作は周囲環境を考慮して実行可能な運転操作である。また、自車両の旅程全体から考えて合理的な運転操作が確認操作行為の選択肢として設定される。
次に、ステップS106において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為を運転者に要求するタイミングを決定する。具体的に、確認操作行為制御部9は、運転者解析部3から運転者の状態の解析結果や車両情報を取得し、運転者反応記録部5から前回の確認操作行為が実行されたタイミングや経過時間の情報を取得する。また、確認操作行為制御部9は、確認操作行為決定部7から安全走行可能領域情報と障害物配置情報を取得し、自車両の自動運転システムから走行制御に関する情報を取得する。そして、これらの情報に基づいて、確認操作行為制御部9は確認操作行為を運転者に要求するタイミングを決定する。
例えば、確認操作行為制御部9は、所定時間の経過毎、あるいは自車両が所定回数の走行制御を行う毎に確認操作行為の実行を運転者に要求する。また、確認操作行為制御部9は、運転者の状態に基づいて確認操作行為を運転者に要求するタイミングを設定してもよい。例えば、確認操作行為制御部9は、運転者が覚醒していないことを検出した場合、あるいは運転者が前方を監視していないことを検出した場合に確認操作行為の実行を運転者に要求する。さらに、運転者の実行した手動運転を解析し、その解析結果に基づいて確認操作行為を運転者に要求するタイミングを設定してもよい。例えば、運転者の実行した手動運転を解析し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定する。同様に、運転者の疲労度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定し、運転者の疲労度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定する。
さらに、確認操作行為制御部9は、自車両の走行状態及び外部状況に基づいて確認操作行為を運転者に要求するタイミングを設定してもよい。例えば、自車両の速度や渋滞状況、高速道路を走行しているか否か等に応じて確認操作行為を要求するタイミングを設定する。ただし、運転者が自らの判断で手動運転制御を行った場合や自動運転システムからの情報に促されて手動運転を行った場合には、手動運転が安全に実行される限りは確認操作行為に準ずる行為とみなすことができる。そこで、確認操作行為制御部9は、このような手動運転が行われた場合には、確認操作行為を運転者に要求するタイミングを遅らせるように制御したり、確認操作行為を要求する回数を減らしたりする。
尚、確認操作行為制御部9は、自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎが行われるタイミングが予め設定されている場合には、そのタイミングが近づくにしたがって確認操作行為の実行を運転者に要求する間隔を短くする。例えば、自動車専用道路から一般道へ降りるときに自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎが行われる場合には、一般道へ降りるタイミングが近づくにしたがって確認操作行為を運転者に要求する間隔を短くする。
次に、ステップS107において、確認操作行為制御部9は、ステップS106で決定した確認操作行為を要求するタイミングであるか否かを判定し、確認操作行為を要求するタイミングになっていない場合には継続して確認操作行為を要求するタイミングであるか否かを判定する。そして、確認操作行為を要求するタイミングになると、ステップS108に進む。
ステップS108において、確認操作行為制御部9は、運転者に対して確認操作行為の実行を要求する。このとき、確認操作行為制御部9は、運転者が手動運転を行うように促す情報として、表示装置33への表示やスピーカ37からのメッセージを提供する。例えば、「右へ車線変更できます」や「加速できます」等の手動運転を行うように促す情報を提供する。
ここで、運転者に対して確認操作行為の実行を要求する際の具体的な処理の一例として、自車両が現在、前車追従で車間を維持しつつ自動走行を行っているときに、確認操作行為として右への車線変更を運転者に要求する場合の処理について説明する。
図3に示すように、確認操作行為制御部9は「右へ車線変更してください」と表示装置33に表示すると同時にスピーカ37から音声で運転者に報知する。ここで、運転者が即座にステアリングを握ると、ステアリングに設置されたセンサが反応して運転者がステアリングを握ったことを検出し、運転権限が運転者に引き継がれる。この後、運転者は、右車線への車線変更を実行してから車両姿勢を車線に平行に戻してステアリングから手を離す。運転者がステアリングから手を離すと、センサが検知して、運転権限が自動運転システムに戻って通常の自動運転制御が再開される。
一方、「右へ車線変更してください」という指示に運転者が従わなかった場合には、確認操作行為制御部9は、右への車線変更が安全に実行可能な間は前車追従を維持しながら自動走行を継続して運転者の応答を待つ。あるいは車線変更を指示した後の所定時間、例えば30秒が経過するまでの間だけ運転者の応答を待つようにしてもよい。このとき、確認操作行為制御部9は経過時間を表示装置33に表示する。そして、周囲環境が変化して右への車線変更が安全に実行できなくなった場合、あるいは待ち時間が経過した場合には、確認操作行為制御部9は「確認操作行為は実行されませんでした」と表示装置33に表示し、スピーカ37から音声で告知する。この後、確認操作行為の不実施が所定の回数繰り返されると、確認操作行為制御部9は、運転者が確認操作行為を無視している、あるいは、次の運転操作の選択ができない状態にあると判断して、警報音発生部35から警報を発生させ、表示画面を点滅させるように制御する。
尚、このとき、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の実行を要求するための表示として、図4に示すようなピクトグラム表示を行ってもよい。図4に示すピクトグラム表示では、51が右折、52が左折、53が左への車線変更、54が右への車線変更、55が直進(発進、前車追従)、56が停車のピクトグラムを表示している。図4において、点線(左折52、右車線変更54)は運転者が選択できない運転操作であり、自動運転システムによって旅程全体のルートや周囲環境から実行不可能と判断された運転操作である。また、白抜き表示(直進55)は現在実行中の運転操作であり、濃い色の表示(右折51)は自動運転システムが指示した運転操作、薄い色の表示(左車線変更53)は周囲環境から実施可能であるが確認操作行為として選択されなかった運転操作を表している。
また、確認操作行為制御部9は、図4に示したピクトグラム画像を、図5に示すように周辺視で認識できるように加工してもよい。この場合の表示は、輝度エッジを有しない空間周波数及び時間周波数のパターンを表示する。例えば、確認操作行為制御部9は、空間周波数が1CPD(Cycle Per Degree)以下で時間周波数が1〜7Hzを主成分とするパターンを表示装置33に表示する。これにより、運転者は視線を表示装置33に向けなくても周辺視で確認操作行為を認識することができる。
図5に示すピクトグラム画像は、ピクトグラムを構成する山型の要素が下から上に滑らかに移動して連続した流れを構成する。また、ピクトグラム画像が流れることによって視線を誘導しやすくなるため、高空間周波数成分を取り除くローパス・フィルタリング処理が画像全体に施されている。
図5では、現在実行中の運転操作を表すピクトグラムの流れる速度は、相対的に高く設定され、次に確認操作行為の運転操作、その次にデフォルト設定された運転操作の順でピクトグラムの流れる速度を低くする。このように、ピクトグラムに流れを付与することによって、各ピクトグラムは、色彩、流れの速度や方向、明暗等の複数の属性によって区別される。さらに、ピクトグラムは、画像処理によってぼかされるので、運転者は注視しなくても周辺視で見るだけで、現在実行中の運転操作、確認操作行為の運転操作、デフォルト設定された運転操作を識別することができる。具体的には、特開2006−184854、舟川政美視野の時空間周波数特性に基づくアンビエント型情報表示法、自動車技術,40,5,1191−1196.を参照すればよい。また、確認操作行為の運転操作を表すピクトグラムは、流れる代わりに点滅を繰り返すようにしてもよい。これにより、速度の違いによって区別する場合よりも弁別しやすくなる。ただし、矩形波状に明暗が変化する点滅では、煩わしくなって運転者の視線を誘導する恐れがあるため、サイン波状に滑らかな明暗変化となる点滅にしたほうがよい。
さらに、確認操作行為制御部9は、表示装置33の表示に同期させて感覚刺激を運転者に提供してもよい。例えば、ステアリング等を通じて振動刺激を運転者に与えてもよいし、効果音を提供してもよい。これにより、運転者は情報が提供されていることを確実に感じることができる。
ステップS109において、確認操作行為制御部9は、運転者による手動運転と運転者に要求された確認操作行為とを比較して運転者が確認操作行為を実行したか否かを判定する。具体的な確認操作行為の実行判定処理については、図6を参照して後述する。
尚、運転者が確認操作行為ではなく他の運転操作を実行し、その運転操作が周囲環境を考慮して安全に実行可能である場合には、運転者が確認操作行為を実行したと判断してもよい。これは、確認操作行為が実行されたか否かよりも、運転者が周囲環境を認識し、安全性を判断して手動運転を行うことが、自動運転から手動運転へ引き継ぎ可能な状態であることを判定するために重要だからである。
そして、ステップS109において、運転者が確認操作行為を実行しなかったと判定された場合にはステップS110に進む。ステップS110では、確認操作行為制御部9が確認操作行為の不実行を運転者反応記録部5に入力してステップS101に戻る。
一方、ステップS109において、運転者が確認操作行為を実行したと判定された場合にはステップS111に進む。ステップS111では、確認操作行為制御部9が確認操作行為の実行を運転者反応記録部5に入力してステップS112へ進む。
ステップS112において、確認操作行為制御部9は承認フラグを「true」に設定する。これにより、確認操作行為制御部9は、運転者が自動運転制御を承認していると判定して、自動運転制御を継続するように制御する。また、確認操作行為制御部9は、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であると判定する。さらに、確認操作行為制御部9は、承認フラグが「true」に設定されたことを自車挙動決定部27に入力する。
こうして、承認フラグが「true」に設定されると、本実施形態に係る確認操作行為制御ループは終了する。
[確認操作行為の実行判定処理の手順]
次に、上述した確認操作行為制御ループのステップS109で実行される確認操作行為の実行判定処理の処理手順を、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6に示すように、まずステップS201において、確認操作行為制御部9は、車両状態検出部31によって検出された車両情報のデータを運転者解析部3から読み込む。これにより、確認操作行為制御部9は、運転者によるステアリングとペダルの操作量を認識することができる。
ステップS202において、確認操作行為制御部9は、車両状態検出部31によって検出された車両情報から運転者による手動運転の内容を解析する。具体的に、確認操作行為制御部9は、運転者によるステアリングとペダルの操作量から手動運転が右左折であるのか、あるいは追越し、車線変更、加減速、合流、停車、発進、一時停止、前車追従等のいずれであるのかを求める。
ステップS203において、確認操作行為制御部9は、ステップS202の解析で求めた手動運転とステップS105で決定した確認操作行為とを比較して、運転者による手動運転が確認操作行為と整合しているか否かを判定する。そして、確認操作行為制御部9は、運転者による手動運転が確認操作行為と整合している場合にはステップS204に進む。ステップS204において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であると判定する。
一方、ステップS203において、運転者による手動運転が確認操作行為と整合していない場合にはステップS205に進む。ステップS205において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態ではないと判定する。
こうして確認操作行為の実行または不実行が出力されると、確認操作行為の実行判定処理を終了して確認操作行為制御ループへ戻る。
[自動運転制御ループの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報呈示装置1による自動運転制御ループの処理手順を図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示すように、まずステップS301において、自車挙動生成部25は、周囲環境認識部21から周囲環境情報を読み込み、旅程制御部23から旅程計画情報を読み込む。
ステップS302において、自車挙動生成部25は、通常の自動運転システムのシステム論理にしたがって自車挙動の候補を生成する。この自車挙動の候補は複数生成され、自車両の走行軌道と速度プロファイルの情報を含んでいる。
ここで、自動運転システムのシステム論理とは、運転効率と安全性を考慮して自車挙動を決定するための論理である。例えば、目的地までの最短ルートを優先して自車挙動を決定したり、渋滞区間では距離よりも時間を優先して自車挙動を決定したりする。また、ルート上では、必要となる車線変更は行うものの安全性を優先して無駄な車線変更は行わないようにする。
このようなシステム論理にしたがって、自車挙動生成部25は、右折や左折、直進等の走行軌道と、そのときの速度プロファイルを自車挙動の候補として複数生成する。
ステップS303において、自車挙動決定部27は、確認操作行為制御部9からの入力に基づいて承認フラグが「true」であるか否かを判定する。そして、自車挙動決定部27は、承認フラグが「true」である場合には自動運転の継続が承認されているものと判断してステップS304に進み、承認フラグが「true」でない場合にはステップS301に戻る。
ステップS304において、自車挙動決定部27は、タスク入力部11を介して運転者からタスクの入力があったか否かを判定し、タスクの入力がない場合にはステップS305に進み、タスクの入力があった場合にはステップS306に進む。
ステップS305において、自車挙動決定部27は、運転者からのタスク入力がないので、自動運転システムのシステム論理にしたがって自車挙動を決定する。自車挙動決定部27は、自車挙動生成部25によって自車挙動の候補が複数生成されているので、これらの候補の中からシステム論理にしたがって自車挙動を決定する。
例えば、自動運転システムのシステム論理では、運転効率と安全性を考慮して自車挙動を決定するので、渋滞がない場合には目的地までの最短ルートを優先して自車挙動を決定する。一方、渋滞がある場合には距離よりも時間を優先して自車挙動を決定する。
このようにして自車挙動決定部27は、右折や左折、直進等の走行軌道と、そのときの速度プロファイルを自車挙動に決定してステップS309へ進む。
一方、ステップS306において、自車挙動決定部27は、タスク入力部11を介して運転者から入力されたタスクを自車挙動に決定する。そして、自車挙動決定部27は、運転者から入力されたタスクを自車挙動に決定したことを、運転者反応記録部5に記録してステップS307に進む。
ステップS307において、自車挙動決定部27は、運転者から入力されたタスクが確認操作行為と一致するか否かを判定し、入力されたタスクと確認操作行為が一致する場合にはステップS308に進み、一致しない場合にはステップS309に進む。
ステップS308において、自車挙動決定部27は、運転者から入力されたタスクが確認操作行為と一致したため、確認操作行為が実行される旨の連絡を確認操作行為制御部9へ通知してステップS309に進む。
ステップS309において、車両挙動制御部29は、ステップS305、またはステップS306で決定された自車挙動を実行する。すなわち、車両挙動制御部29は、ステップS305でシステム論理にしたがって決定された自車挙動か、またはステップS306で決定された運転者からの入力タスクのいずれかを実行する。このとき、車両挙動制御部29は、自車挙動を実行するために必要となる制御信号をアクチュエータ45に出力して自車挙動を実行する。また、車両挙動制御部29は、実行した自車挙動を運転者解析部3に入力する。
こうして自車挙動が実行されると、本実施形態に係る情報呈示装置1は自動運転制御ループを終了する。
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認するために、運転者に確認操作行為を実行させる。これにより、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認できるので、自動走行車両において自動運転制御から手動運転制御へ切り替えられても安全に走行を継続することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1によれば、確認操作行為を手動運転としたので、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確実に確認することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1では、手動運転をペダル操作とステアリング操作から検出するので、運転者によって行われた手動運転の運転操作を確実に検出することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者による手動運転と運転者に要求された確認操作行為とを比較して確認操作行為が実行されたか否かを判定する。これにより、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であるか否かを正確に判定することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1によれば、運転者が確認操作行為を実行しなかった場合には自動運転制御を中断するので、自動走行車両において安全性を確保することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1では、所定時間の経過毎、あるいは自動走行車両による所定回数の走行制御が行われる毎に確認操作行為の実行を要求する。これにより、運転者に対して定期的に確認操作行為の実行を要求できるので、自動運転制御において安全性を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者が覚醒していないことを検出した場合、あるいは運転者が前方を監視していないことを検出した場合に確認操作行為の実行を運転者に要求する。これにより、運転者の意識レベルが低下しているときに運転者に確認操作行為の実行を要求できるので、自動走行車両において安全性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者の状態と自動走行車両の走行状態及び外部状況とに基づいて、確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを設定する。これにより、運転者の状態や自動走行車両の走行状態及び外部状況に応じて、適切なタイミングで確認操作行為の実行を運転者に要求することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1では、自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎが行われるタイミングが予め設定されている場合に、そのタイミングが近づくにしたがって確認操作行為の実行を要求する間隔を短くする。これにより、自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎが行われるときに、運転者を確実に引き継ぎ可能な状態にすることができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者が手動運転を行った場合には確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを遅らせる。これにより、確認操作行為を要求する回数を減らすことができるので、システムの負荷や運転者の煩わしさを低減することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者が実行した手動運転を解析し、その解析結果に基づいて確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを設定する。これにより、運転者が実行した手動運転に応じて適切なタイミングで確認操作行為の実行を運転者に要求することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1では、運転者が実行した手動運転を解析して運転者の覚醒水準を推定し、この覚醒水準に基づいて確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを設定する。これにより、運転者の覚醒水準に応じた適切なタイミングで確認操作行為の実行を運転者に要求することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1によれば、運転者が手動運転を行うように促す情報を運転者に提供するので、運転者はスムーズに手動運転へ移行することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置1によれば、確認操作行為の実行を要求するときに輝度エッジを有しない空間周波数及び時間周波数のパターンを表示させるので、運転者は視線を表示装置33に向けずに周辺視で確認操作行為の実行要求を認識することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置1によれば、確認操作行為の実行を要求するときに表示の提供に同期させて感覚刺激を運転者に提供するので、運転者は確認操作行為が要求されていることを確実に認識することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報呈示装置について図面を参照して説明する。尚、第1実施形態と同一の構成要素には同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
[情報呈示装置の構成]
上述した第1実施形態では確認操作行為として運転者による手動運転を要求していたが、本実施形態に係る情報呈示装置では、確認操作行為として運転者による手動運転に準ずる行為を要求する。特に、本実施形態では、手動運転に準ずる行為としてタスク指示運転を運転者に要求する。タスク指示運転とは、運転者がタスク入力部11からタスクを入力することによって自動運転システムに指示を与えて自車両を走行させる運転のことである。以下、第1実施形態と相違する構成要素について説明する。
運転者解析部3は、運転者が行った手動運転だけではなく、運転者による手動運転に準ずる行為についても解析する。特に、運転者解析部3は、タスク入力部11から入力されたタスクについて解析する。
運転者反応記録部5は、運転者が行った手動運転だけではなく、運転者による手動運転に準ずる行為についても記録する。特に、運転者反応記録部5は、タスク入力部11から入力されたタスクについて記録する。
確認操作行為決定部7は、自車挙動生成部25で生成された自車挙動の候補を複数取得するとともに、自車挙動生成部25から周囲環境における安全走行可能領域情報と障害物配置情報とを取得する。そして、確認操作行為決定部7は、これらの情報に基づいて、運転者がどのような手動運転に準ずる行為をした場合に自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であるかを判断して確認操作行為を決定する。例えば、確認操作行為決定部7は、障害物配置情報から車両前方の障害物の位置を特定し、障害物を回避するためのタスクを確認操作行為として決定する。あるいは、確認操作行為決定部7は、自動運転システムが選択した自車挙動の走行軌道に合わせて車両を右折や左折させるタスクを確認操作行為として決定してもよい。この他にも、確認操作行為決定部7は車線変更や加減速、停車、発進、一時停止等のタスクを確認操作行為として決定する。
タスク入力部11は、自車挙動の候補を取得して表示装置33にタスクとして表示する。運転者は、タッチパネル機能を備えた表示装置33に触れることで、表示されたタスクの中から直後に実行されるタスクを選択して車両を操作する。
ここで、タスク入力部11は、タスクを表示する際に、自動運転システムが選択したタスク(現在実行中のタスク)、運転者が選択可能なタスク、運転者が選択できないタスクを識別できるように表示する。例えば、図8に示すように、直進のタスク81を現在実行中のタスクとして表示し、右の車線変更82と左の車線変更83を運転者が選択可能なタスクとして表示する。そして、一時停止84と、右折85と、左折86を運転者が選択できないタスクとして表示する。そして、タスク入力部11は、確認操作行為の実行を運転者に要求する場合には、確認操作行為のタスクを運転者が選択可能なタスクとして表示する。したがって、運転者は、選択可能なタスクの中からタスクを選ぶことによって、確認操作行為を実行することができる。
[確認操作行為制御ループの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報呈示装置による確認操作行為制御ループの処理手順を説明する。ただし、本実施形態の確認操作行為制御ループは、図2に示した第1実施形態のフローチャートと同一になるので、第1実施形態と異なる処理が行われるステップについてのみ詳細に説明する。
図2のフローチャートにおいて、ステップS101からステップS105の処理が実行されて確認操作行為が決定すると、ステップS106において、確認操作行為制御部9は確認操作行為を要求するタイミングを決定する。確認操作行為を要求するタイミングの決定方法は、第1実施形態とほぼ同一であるが、以下の場合には第1実施形態と相違している。
確認操作行為制御部9は、運転者の実行した手動運転に準ずる行為、すなわちタスク指示運転を解析し、その解析結果に基づいて確認操作行為を運転者に要求するタイミングを設定する。例えば、運転者の実行したタスク指示運転を解析し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定する。同様に、運転者の疲労度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定し、運転者の疲労度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定する。
また、運転者が自らの判断でタスク指示運転を行った場合や自動運転システムからの情報に促されてタスク指示運転を行った場合には、入力されたタスクが安全に実行される限りは確認操作行為に準ずる行為とみなすことができる。そこで、確認操作行為制御部9は、このようなタスク指示運転が行われた場合には、確認操作行為を運転者に要求するタイミングを遅らせるように制御したり、確認操作行為を要求する回数を減らしたりする。
こうして確認操作行為を要求するタイミングが決定し、ステップS107において確認操作行為を要求するタイミングであると判定されると、ステップS108において、確認操作行為制御部9は運転者に対して確認操作行為の実行を要求する。このとき、確認操作行為制御部9は、手動運転に準ずる行為であるタスク指示運転を運転者が行うように促す情報として、表示装置33への表示やスピーカ37からのメッセージを提供する。ただし、「右に車線変更して下さい」という指示に対して、運転者が右の車線変更のタスクを選択するだけでは、運転者が自動運転から手動運転に引き継ぎ可能な状態であるか否かを判定することはできない。そこで、確認操作行為制御部9は、タスク指示運転を行うように促す情報として具体的な指示は出さずに、「タスク指示運転を行ってください」というような漠然とした指示を出すようにする。
次に、ステップS109において、確認操作行為制御部9は、運転者による手動運転に準ずる行為と運転者に要求された確認操作行為とを比較して運転者が確認操作行為を実行したか否かを判定する。具体的な確認操作行為の実行判定処理については、図9を参照して後述する。
この後、ステップS110〜S112の処理を実行して、本実施形態に係る確認操作行為制御ループは終了する。
[確認操作行為の実行判定処理の手順]
次に、上述した確認操作行為制御ループのステップS109で実行される確認操作行為の実行判定処理の処理手順を、図9のフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、まずステップS401において、確認操作行為制御部9は、タスク入力部11から入力されたタスクのデータを運転者反応記録部5から読み込む。これにより、確認操作行為制御部9は、運転者によって入力されたタスクを認識することができる。
ステップS402において、確認操作行為制御部9は、運転者によって入力されたタスクと運転者に要求された確認操作行為とを比較して整合しているか否かを判定する。ただし、運転者に確認操作行為を要求するときには、運転者が選択可能なタスクとして表示装置33に表示されるタスクはすべて確認操作行為となる。したがって、運転者に確認操作行為の実行を要求したときに運転者からタスクの入力があれば、入力されたタスクは確認操作行為と整合していることになる。そこで、確認操作行為制御部9は、運転者からタスクの入力があったか否かを判定し、タスクの入力があった場合にはステップS403に進む。ステップS403において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であると判定する。
一方、ステップS402において、運転者からタスクの入力がなかった場合にはステップS404に進む。ステップS404では、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態ではないと判定する。
こうして確認操作行為の実行または不実行が出力されると、確認操作行為の実行判定処理を終了して確認操作行為制御ループへ戻る。
[自動運転制御ループの処理手順]
本実施形態に係る自動運転制御ループは、第1実施形態の自動運転制御ループと同一の処理手順となるので、詳細な説明は省略する。
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報呈示装置によれば、確認操作行為を手動運転に準ずる行為としたので、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを容易に確認することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置では、運転操作の最小単位であるタスクを運転者が指示して自動走行車両を操作するタスク指示運転を手動運転に準ずる行為とする。これにより、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを容易に確認することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置のタスク指示運転では、自動運転システムが現在実行可能なタスクを運転者に提示し、運転者は提示されたタスクの中から選択してタスクを指示する。これにより、運転者は提示されたタスクの中から選択するだけで、自車両の運転操作を行うことができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置では、運転者による手動運転に準ずる行為と運転者に要求された確認操作行為とを比較して確認操作行為が実行されたか否かを判定する。これにより、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であるか否かを正確に判定することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置では、運転者が手動運転に準ずる行為を行った場合には確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを遅らせる。これにより、確認操作行為を要求する回数を減らすことができるので、システムの負荷や運転者の煩わしさを低減することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置では、運転者が実行した手動運転に準ずる行為を解析し、その解析結果に基づいて確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを設定する。これにより、運転者が実行した手動運転に準ずる行為に応じて適切なタイミングで確認操作行為の実行を運転者に要求することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置では、運転者が実行した手動運転に準ずる行為を解析して運転者の覚醒水準を推定し、この覚醒水準に基づいて確認操作行為の実行を運転者に要求するタイミングを設定する。これにより、運転者の覚醒水準に応じた適切なタイミングで確認操作行為の実行を運転者に要求することができる。
また、本実施形態に係る情報呈示装置によれば、運転者が手動運転に準ずる行為を行うように促す情報を運転者に提供するので、運転者はスムーズに手動運転に準ずる行為へ移行することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報呈示装置について図面を参照して説明する。尚、第1及び第2実施形態と同一の構成要素には同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
[情報呈示装置の構成]
上述した第2実施形態では確認操作行為として運転者による手動運転に準ずる行為を要求し、手動運転に準ずる行為としてタスク指示運転を要求していたが、本実施形態に係る情報呈示装置では、手動運転に準ずる行為としてあてぶり運転を運転者に要求する。
あてぶり運転とは、自動運転システムによって現在実行されている運転操作に合わせて運転者がジェスチャーを行う運転のことである。例えば、自動運転システムが自車両を右折させるためにステアリングを右方向へ回転させた場合に、運転者がステアリングの回転に合わせてステアリングを右に回すジェスチャーをすることが、あてぶり運転である。
図10は本実施形態に係る情報呈示装置の構成を示すブロック図である。図10に示すように、本実施形態に係る情報呈示装置61は、運転者撮像部63をさらに備えたことが第1及び第2実施形態と相違している。
運転者撮像部63は、複数のカメラによって構成され、運転席にいる運転者の映像を撮像して運転者の動作を記録した運転者動作情報を運転者解析部3に出力する。
運転者解析部3は、運転者が行った手動運転だけではなく、運転者による手動運転に準ずる行為として、あてぶり運転を検出する。運転者解析部3は、モーションキャプチャ等の技術を用いて運転者撮像部63で撮像された映像から運転者のジェスチャーを検出する。特に、運転者解析部3は、運転者の手及び腕によるジェスチャーと運転者の足によるジェスチャーのいずれか、あるいは両方からあてぶり運転を検出する。
運転者反応記録部5は、運転者による手動運転に準ずる行為として、運転者解析部3で検出されたあてぶり運転について記録する。
確認操作行為決定部7は、自動運転システムが現在実行している運転操作に合わせて、確認操作行為としてのあてぶり運転を決定する。例えば、自動運転システムが現在実行している運転操作が右折である場合には、ステアリングを右に回転させるジェスチャーを確認操作行為としてのあてぶり運転に決定する。また、このとき右折の前に減速する必要がある場合にはブレーキを踏むジェスチャーも確認操作行為としてのあてぶり運転に追加する。
[確認操作行為制御ループの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報呈示装置61による確認操作行為制御ループの処理手順を説明する。ただし、本実施形態の確認操作行為制御ループは、図2に示した第1実施形態のフローチャートと同一になるので、第1実施形態と異なる処理が行われるステップについてのみ詳細に説明する。
図2のフローチャートにおいて、ステップS101からステップS105の処理が実行されて確認操作行為が決定すると、ステップS106において、確認操作行為制御部9は確認操作行為を要求するタイミングを決定する。確認操作行為を要求するタイミングの決定方法は、第1実施形態とほぼ同一であるが、以下の場合には第1実施形態と相違している。
確認操作行為制御部9は、運転者の実行した手動運転に準ずる行為、すなわちあてぶり運転を解析し、その解析結果に基づいて確認操作行為を運転者に要求するタイミングを設定する。例えば、運転者の実行したあてぶり運転を解析し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定し、運転者の覚醒水準や運転精度、運転安定度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定する。同様に、運転者の疲労度が高ければ確認操作行為を要求するまでの時間を短く設定し、運転者の疲労度が低ければ確認操作行為を要求するまでの時間を長く設定する。
また、運転者が自らの判断であてぶり運転を行った場合や自動運転システムからの情報に促されてあてぶり運転を行った場合には、確認操作行為に準ずる行為とみなすことができる。そこで、確認操作行為制御部9は、このようなあてぶり運転が行われた場合には、確認操作行為を運転者に要求するタイミングを遅らせるように制御したり、確認操作行為を要求する回数を減らしたりする。
こうして確認操作行為を要求するタイミングが決定し、ステップS107において確認操作行為を要求するタイミングであると判定されると、ステップS108において、確認操作行為制御部9は運転者に対して確認操作行為の実行を要求する。このとき、確認操作行為制御部9は、手動運転に準ずる行為であるあてぶり運転を運転者が行うように促す情報として、表示装置33への表示やスピーカ37からのメッセージを提供する。例えば、「右に車線変更します」等の自動運転システムが直後に実行する運転操作の情報を提供して、運転者があてぶり運転を容易に行えるようにする。また、表示装置33に車両の予定軌道を表示したり、あてぶり運転の成績を表示してもよい。
次に、ステップS109において、確認操作行為制御部9は、運転者によるあてぶり運転と運転者に要求された確認操作行為とを比較して運転者が確認操作行為を実行したか否かを判定する。具体的な確認操作行為の実行判定処理については、図11を参照して後述する。
この後、ステップS110〜S112の処理を実行して、本実施形態に係る確認操作行為制御ループは終了する。
[確認操作行為の実行判定処理の手順]
次に、確認操作行為制御ループのステップS109で実行される確認操作行為の実行判定処理の処理手順を、図11のフローチャートを参照して説明する。
図11に示すように、まずステップS501において、確認操作行為制御部9は、運転者撮像部63によって検出された運転者動作情報のデータを運転者解析部3から読み込むとともに、運転者解析部3による解析結果についても取得する。これにより、確認操作行為制御部9は、運転者が行ったジェスチャーを認識することができる。
ステップS502において、確認操作行為制御部9は、運転者撮像部63によって検出された運転者動作情報と運転者解析部3による解析結果に基づいて運転者によるあてぶり運転の内容を解析する。具体的に、確認操作行為制御部9は、運転者によるあてぶり運転が右左折であるのか、あるいは追越し、車線変更、加減速、合流、停車、発進、一時停止、前車追従等のいずれであるのかを求める。
ステップS503において、確認操作行為制御部9は、ステップS502で求めたあてぶり運転とステップS105で決定した確認操作行為とを比較して、運転者によるあてぶり運転が確認操作行為と整合しているか否かを判定する。そして、確認操作行為制御部9は、運転者によるあてぶり運転が確認操作行為と整合している場合にはステップS504に進む。ステップS504において、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であると判定する。
一方、ステップS503において、運転者によるあてぶり運転が確認操作行為と整合していない場合にはステップS505に進む。ステップS505では、確認操作行為制御部9は、確認操作行為の不実行を出力して運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態ではないと判定する。
こうして確認操作行為の実行または不実行が出力されると、確認操作行為の実行判定処理を終了して確認操作行為制御ループへ戻る。
[自動運転制御ループの処理手順]
本実施形態に係る自動運転制御ループは、第1実施形態の自動運転制御ループと同一の処理手順となるので、詳細な説明は省略する。
[第3実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報呈示装置61では、自動運転システムによって現在実行されている運転操作に合わせて運転者がジェスチャーを行うあてぶり運転を、手動運転に準ずる行為とする。これにより、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを容易に確認することができる。
さらに、本実施形態に係る情報呈示装置61によれば、運転者の手及び腕によるジェスチャーと運転者の足によるジェスチャーのいずれか、あるいは両方からあてぶり運転を検出するので、運転者によるあてぶり運転を正確に検出することができる。
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。