JP6294129B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法 Download PDF

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Description

本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含んで構成される繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法に関する。
強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP:Fiber Reinforced Thermo Plastics)の成形品について、使用済みの回収品や、製造工程で生じた端材及び成形不良品等(以下、総称して廃FRTP材ともいう)をリサイクルする方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、ドリル孔や表面傷等が形成され、損傷した使用済みのFRTP成形品について、外観品質を修復し、再使用可能な状態とする方法が記載されている。具体的には、上記の使用済みFRTP成形品の両面に板状体を重ね合わせて加熱し、熱可塑性樹脂が溶融している状態で板状体同士を接近させて加圧する。これにより熱可塑性樹脂を流動させてドリル孔や表面傷等を埋めることで、外観品質を修復する。
続いて、熱可塑性樹脂が溶融した状態のままで加圧力を除去して、強化繊維をスプリングバックさせる。これにより板状体同士の間を均一に膨張させた後、再度加圧することにより、膨張して増加した分の厚みを低減させる。さらに、この状態で熱可塑性樹脂を冷却固化し、板状体を取り外すことで、再使用可能なFRTP成形品を得ている。
しかしながら、上記のリサイクル方法は、使用済みのFRTP成形品を同一の形状及び用途で再使用することを前提としており、異なる形状に再成形し異なる用途に供し得るFRTP成形品を得ることについては想定されていない。
最初の用途とは異なる用途に供し得る素材を得るリサイクル方法としては、例えば、特許文献2、3に記載されたものが挙げられる。いずれも、廃FRTP材を粉砕した粉砕物を集積した後に加熱溶融することで、再成形体を得るリサイクル方法である。すなわち、廃FRTP材を粉砕して粉砕物とすることで、熱プレス成形や射出成形を再び施して再成形体とするための再成形用素材としている。
廃FRTP材のさらにまた別のリサイクル方法としては、特許文献4に開示されるように、熱可塑性樹脂を熱分解して廃FRTP材から除去することで、強化繊維を回収して再利用するものがある。
特開平6−320541号公報 特開2002−96324号公報 特開平8−1670号公報 特開平6−99160号公報
FRTP成形品は、強化繊維を熱可塑性樹脂によって囲繞・押圧した高密度・高強度のバルク体である。このようなバルク体である廃FRTP成形品を粉砕や切断すること自体、容易ではない。特に強化繊維に炭素繊維を用いた成形品を切断する場合、炭素繊維が比較的高強度且つ高硬度であるため切断工具の摩耗が激しくなり、経済的な観点から好ましくない。
また、廃FRTP材を粉砕等したとしても、母材である熱可塑性樹脂とともに強化繊維も切断されてしまうため、得られた再成形用素材から十分に強度の高い成形品を再成形することは困難である。すなわち、特許文献2、3記載の方法で実使用可能な再成形用素材を得ることはできない。
さらに、特許文献4記載の方法においても、繊維強化複合材料では、強化繊維の配向方向以外の方向に対する熱伝導性が金属材料等に比して著しく低いため、上記のバルク状の廃FRTP材に対して、内部の熱可塑性樹脂にまで熱を伝えることは容易ではなく処理に時間がかかる。すなわち、廃FRTP材に含まれる熱可塑性樹脂を全て熱分解して、強化繊維のみを効率的に回収することは困難である。
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、廃FRTP材について、強化繊維が切断されることを抑制しつつ粉砕ないし切断することや、内部まで有効に加熱することが容易な状態、すなわち、有効且つ迅速にリサイクルすることが可能な状態にして、リサイクル効率を向上させることが可能な繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、強化繊維と、該強化繊維を囲繞し且つ該強化繊維の反発力よりも大きな押圧力を付与することで該強化繊維を拘束する熱可塑性樹脂とを含む繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法であって、
前記熱可塑性樹脂に液体を吸収させる工程と、
前記液体が気化するとともに、前記熱可塑性樹脂が軟化して該熱可塑性樹脂の前記強化繊維に対する押圧力が該強化繊維の反発力よりも小さくなるまで前記繊維強化熱可塑性樹脂を加熱し、前記熱可塑性樹脂の拘束から解放された前記強化繊維の反発力によって前記熱可塑性樹脂を押圧して前記強化繊維同士の間に空隙を形成することにより、前記繊維強化熱可塑性樹脂を膨張させる工程と、
を有することを特徴とする。
繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)では、縒り合わされた強化繊維が熱可塑性樹脂中に圧縮された(すなわち、弾性変形した)状態で存在する。すなわち、強化繊維は、熱可塑性樹脂から押圧力を受けている。強化繊維が元の形状に戻ろうとするため、熱可塑性樹脂には、強化繊維からの反発力が作用する。この反発力が前記押圧力に比して小さいため、強化繊維は、圧縮されて反発力を蓄えた状態で熱可塑性樹脂に拘束されている。
このFRTPに液体を吸収させた後、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移点以上の温度まで加熱すると、熱可塑性樹脂が軟化して強化繊維に対する押圧力が低下する。これに伴い強化繊維が熱可塑性樹脂の拘束から解放され、その反発力に従って変形する。その結果、強化繊維同士の間に空隙が形成されてFRTPが膨張する。また、上記の通りFRTPを加熱することに伴って、該熱可塑性樹脂に吸収されていた液体が気化する。この際の気化膨張も相俟って、FRTPの膨張をさらに促進することができる。
従って、本発明では、FRTPの単位体積あたりの密度(見掛け密度)を低減させることができる。このようなFRTPは低強度であるので、容易に粉砕ないし切断することができる。
また、上記したように強化繊維同士の間に空隙が形成されるため、粉砕ないし切断を行う際には、強化繊維同士の間で剥離による破壊が起こる。このため、強化繊維が切断されることを抑制しつつFRTPを粉砕及び切断することが容易である。
しかも、内部に空隙が形成されたFRTPでは、熱が内部に容易に回り込む。このため、内部まで加熱することが容易である。すなわち、FRTPを効率よくリサイクルすることが可能となる。
熱可塑性樹脂に吸収させる液体は、低コストであり且つ取り扱いが容易であることから、水が好ましい。しかも、この場合、熱可塑性樹脂の吸水性を利用して、熱可塑性樹脂に水を容易に吸収させることができる。さらに、FRTPを加熱する際に、熱可塑性樹脂に吸収された水を容易に蒸発させて膨張させることができる。従ってFRTPの体積を容易且つ良好に膨張させて、FRTPをより効率的にリサイクルすることが可能になる。
上記のように膨張させたFRTPをさらに冷却して固化した後、切断又は粉砕の少なくともいずれか一方の処理を行うことが好ましい。FRTPを膨張させた状態で冷却することによって、密度を低減させた状態、すなわち強度を低下させた状態で固化することができる。
このように固化したFRTPでは、熱可塑性樹脂中及び強化繊維同士の間に空隙が形成され、且つ熱可塑性樹脂の強化繊維に対する拘束(押圧力)が低減している。従って、強化繊維同士の間を破壊しつつ、容易に熱可塑性樹脂を粉砕又は切断することができる。これにより強化繊維が切断されることが抑制されるので、比較的長尺な強化繊維を含み、このために十分な強度を示す成形品を再成形することが可能な再成形用素材を得ることができる。
FRTPの加熱は、真空又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂や強化繊維が酸化して劣化することを抑制することができる。従って、より良好な再生形用素材を得ることが可能になる。
上記のように膨張させたFTRPの熱可塑性樹脂を熱分解することによって、強化繊維を回収する。上記したようにFRTPの内部に多数の空隙が形成されるため、FRTPの内部まで加熱することが容易となる。熱分解に酸化反応を併用する場合においても、FRTPの内部まで空気が入り込んでいるため迅速且つ効果的に分解を進行させることができる。従って、熱可塑性樹脂を容易に熱分解して強化繊維のみを効率的に回収することができる。
強化繊維の長さは、1mm以上であることが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂を軟化させた際に、強化繊維に十分な反発力が発現する。従って、FRTPをより効率的に膨張させることが可能となる。
本発明によれば、FRTPの特に強化繊維同士の間に空隙を形成することができるので、FRTPを膨張させて単位体積あたりの密度(見掛け密度)を低減させることができる。このようなFRTPは低強度であり、しかも、強化繊維同士の間で破壊が容易に進行する。このため、強化繊維が切断されることを抑制しつつFRTPを粉砕及び切断することが可能となる。すなわち、十分な強度を示す成形品が得られる再成形用素材とすることができる。
また、FRTPの内部を加熱することが容易となるので、例えば、熱可塑性樹脂を熱分解して強化繊維を回収するときに有利となる。
本実施形態に係るリサイクル方法を実施する繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)成形品につき、その側面を拡大して示した光学顕微鏡写真である。 図1のFRTP成形品に対して吸水処理及び加熱処理を施した後に冷却固化させて得た膨張体(多孔質体)の側面を拡大して示した光学顕微鏡写真である。 図2の膨張体を解体して得た砕片を拡大して示した光学顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係るリサイクル方法は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含んで構成されるFRTP成形品のうち、使用済みの回収品や、製造工程で生じた端材及び成形不良品等の廃FRTP材に対して好適に適用される。
図1は、この種のFRTP成形品10の側面の光学顕微鏡写真である。ここで、FRTP成形品10は、独国ボンドラミネート社製のテペックスダイナライトであり、縒り合わせた炭素繊維(強化繊維12)の束を2次元的に配向させた繊維層14を複数重畳した重畳体16を、ナイロン−6,6(N66)からなる熱可塑性樹脂18で囲繞・押圧したものである。図1では、FRTP成形品10における強化繊維12の繊維方向に沿う方向を示している。なお、この場合、強化繊維12は45体積%である。
FRTP成形品10は、溶融した熱可塑性樹脂18を含浸させた重畳体16に高圧を付与して内部の空隙を除去した後、前記熱可塑性樹脂18を冷却固化することで得られる。すなわち、FRTP成形品10では、強化繊維12は、冷却固化に伴って収縮した熱可塑性樹脂18に囲繞されており、このため、該熱可塑性樹脂18から押圧力を受けている。従って、強化繊維12は、圧縮された状態にある。
強化繊維12から熱可塑性樹脂18には、強化繊維12が元の形状に戻ろうとする反発力が作用する。しかしながら、熱可塑性樹脂18の押圧力の方が大きいため、強化繊維12は、圧縮された状態で、固化した熱可塑性樹脂18に拘束されている。
以下、このFRTP成形品10に対して本実施形態に係るリサイクル方法を適用とする場合を例示して説明するが、適用対象が上記のFRTP成形品10に限定されるものではないことは勿論である。
例えば、強化繊維としては、上記の炭素繊維の他、ガラス繊維、アラミド繊維、天然繊維、金属繊維、セラミックス繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等を採用することができる。いずれにおいても、長さ1mm以上の複数の強化繊維の束が2次元又は1次元的に配向されていることが好ましい。
さらに、強化繊維の割合は、例えば、10〜80体積%、一層好ましくは20〜70%に設定することができる。
また、熱可塑性樹脂としては、上記のN66の他、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリケトン及び芳香族系高分子等を採用することができる。
ポリオレフィンの代表例には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。また、ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等が例示され、ポリアミドとしてはナイロン−6(N6)、半芳香族ポリアミド類等が例示される。さらに、芳香族ポリケトンとしてはポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)等が挙げられ、芳香族系高分子としてはポリサルホン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)等が挙げられる。
本実施形態に係るリサイクル方法では、先ず、熱可塑性樹脂18に液体を吸収させる。このためには、例えば、FRTP成形品10を液体中に浸漬すればよい。別の方法としては、液体を気化させた蒸気中又は該蒸気を含んだ気体中にFRTP成形品10を放置してもよい。
前記液体は、熱可塑性樹脂18及び強化繊維12に対して化学的変化(劣化)を生じさせるものではなく、且つ熱可塑性樹脂18の溶融温度(融点又はガラス転移点)以下の温度で気化するものであればよい。このような液体としてはアルコールや水等を例示することができるが、低コストであり、取り扱いが極めて容易であるという利点があることから、水が特に好ましい。
液体を水とすることで、熱可塑性樹脂18や強化繊維12に劣化を生じさせることなく、熱可塑性樹脂18に容易に吸水させることができるとともに、後述するようにFRTP成形品10を加熱することによって、熱可塑性樹脂18中から容易に蒸発させることができる。さらに、熱可塑性樹脂18の吸水性を利用して、空気中の水分を吸収させることも可能となる。
次いで、液体を含むFRTP成形品10を、例えば、熱可塑性樹脂18に加熱による劣化が生じない範囲内で、該熱可塑性樹脂18の溶融温度以上の温度となるまで加熱する。FRTP成形品10の加熱は、空気中で行うことも可能であるが、真空、又は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより熱可塑性樹脂18が酸化して劣化することを抑制することができる。なお、加熱手段は特に限定されるものではなく、電熱、遠赤外線、近赤外線、燃焼等の公知の手段を用いて行うことができる。
上記の通りFRTP成形品10を加熱することによって、熱可塑性樹脂18に吸収されていた液体が気化して膨張する。また、熱可塑性樹脂18が軟化し、このために強化繊維12を拘束する熱可塑性樹脂18の押圧力が低下する。すなわち、該押圧力が強化繊維12の反発力よりも小さくなる。その結果、強化繊維12が熱可塑性樹脂18の拘束から解放され、圧縮状態から元の形状に戻るように変形する。この際、軟化した熱可塑性樹脂18が強化繊維12によって押圧される。
以上のように、液体が気化した気体及び強化繊維12によって熱可塑性樹脂18が押圧される。この押圧により、FRTP成形品10が内部から押し広げられる。これを冷却することにより、図2に示すように、繊維層14の層間及び熱可塑性樹脂18中に大容積の空隙20が多数形成される。換言すれば、FRTP成形品10を膨張させて多孔質体とすることができる。以下では、このようにして膨張し多孔質体となったFRTP成形品10を膨張体22と称する。なお、強化繊維12の長さを1mm以上とすることで、強化繊維12の反発力を良好に発現させて、FRTP成形品10を一層容易に膨張させることができる。
膨張体22では、FRTP成形品10に比して単位体積あたりの見掛け密度が小さい。上記したように大容積の空隙20が多数形成されているからである。
このような膨張体22は、強度が小さい。さらに、空隙20が存在するために繊維層14の層間が剥離し易くなっている。従って、膨張体22を粉砕ないし切断することが容易であり、このときには、繊維層14、14同士の層間で破壊が生じる。このため、強化繊維12が切断されて短くなることを抑制しつつ、膨張体22(FRTP成形品10)を容易に粉砕及び切断することができる。なお、粉砕手段及び切断手段は特に限定されるものではなく、プレス、シュレッダ、ミル等の公知の手段を用いることができる。
このような粉砕片ないし切断片は、例えば、母材となる熱可塑性樹脂の含有量を調整した後、押し出し機によってペレット化することで、射出成形用の出発材料(再成形用素材)とすることができる。上記したように粉砕片ないし切断片では、強化繊維12が切断することが回避されているので、該再成形用素材を用いることにより、十分な強度を示す射出成形品を得ることができる。
又は、粉砕片ないし切断片をプレス成形の出発材料(再成形用素材)とするようにしてもよい。この場合、粉砕片ないし切断片を加熱するとともにプレスすることによってプレス成形品を得ることができる。このようにしても、上記の射出成形と同様の理由から、十分な強度を示すプレス成形品を得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、FRTP成形品10から良好な再成形用素材を得ることができる。すなわち、FRTP成形品10を有効にリサイクルすることが可能である。
また、上記のようにして得られた膨張体22から強化繊維12を回収して再使用することも可能である。以下、この回収について説明する。
このリサイクル方法では、脱酸素雰囲気下において、熱可塑性樹脂18が熱分解される温度まで膨張体22を加熱する。このような条件下での加熱により、熱可塑性樹脂18が熱分解される。膨張体22の内部には多数の空隙20が形成されているので、該膨張体22の内部に熱が回り込み易い。すなわち、膨張体22を、その内部まで効率よく加熱し、熱可塑性樹脂18を容易に熱分解することができる。熱分解に酸化反応を併用する場合においても、FRTPの内部まで空気が入り込んでいるため迅速且つ効果的に分解を進行させることができる。
一方、強化繊維12は化学的・物理的に変化しない。このため、FRTP成形品10から熱可塑性樹脂18が分離除去され、強化繊維12が残留する。これにより、強化繊維12を容易に回収することができる。
さらに、FRTP成形品10の他のリサイクル方法として、冷却する前の膨張体22を単純燃焼させ、熱エネルギを回収することが挙げられる。上記したように膨張体22の内部には熱及び空気が回り込み易いので、該膨張体22は容易に燃焼する。このため、効率的に熱エネルギを回収することが可能となる。
以上説明したように、FRTP成形品10に液体を吸収させて膨張させることにより、繊維層14、14(強化繊維12、12)同士の間や熱可塑性樹脂18中に空隙20を形成することができ、その結果、FRTP成形品10を低強度な多孔質体(膨張体22)とすることができる。この膨張体22では、特に、繊維層14、14間で破壊が生じる。従って、強化繊維12が切断されることを抑制しつつFRTP成形品10を粉砕及び切断することが可能である。また、該膨張体22を、内部まで有効に加熱することが容易な状態とすることもできる。このため、各種のリサイクルプロセスを効率的に行うことが可能となる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
図1に示すFRTP成形品10を室温の脱イオン水中に1週間浸漬することで吸水させた。このFRTP成形品10中のN66の成形時における吸水率は0.2重量%未満であったが、浸漬により約4重量%まで増加した。
次いで、上記のように吸水させたFRTP成形品10を300℃のアルゴン雰囲気中で5分間加熱した後、室温で冷却固化し、図2に示す膨張体22を得た。
図2から諒解されるように、膨張体22においては、繊維層14、14同士の間に多数の空隙20が形成されていた。また、図1に示すFRTP成形品10に比して板厚が2倍程度となっていることが確認された。すなわち、膨張体22では、繊維層14、14の層間に剥離が生じ、熱可塑性樹脂18によって強化繊維12が固着されている部分がFRTP成形品10に比して低減した。
この膨張体22は、粉砕や切断用の機器・器具を用いることなく、外力を加えることで容易に解体することができた。このようにして得られた砕片24を図3に示す。
このように、液体を吸収させた後に加熱を行うという極めて簡便な作業を行うことによって、FRTP成形品10を容易に粉砕及び切断することが可能となる。このため、再成形用素材を得ることや、これを再加工すること等が著しく容易である。
さらに、粉砕及び切断処理の際、繊維層14、14の層間を容易に剥離させることができるため、強化繊維12が長手方向で切断されることを抑制することができる。これは、図3の砕片24において、強化繊維12が数十mmの長さを維持していることからも確認できる。従って、得られた再成形用素材から高強度の再成形体を成形することが可能となる。
以上のように、熱可塑性樹脂からの押圧力によって強化繊維が高密度に圧縮されて拘束され、この状態で熱可塑性樹脂に固着したバルク状のFRTP成形品であっても、上記の工程を経ることによって、各種リサイクルプロセスを容易に実施することが可能な状態に変化させることができる。
10…繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)成形品
12…強化繊維 14…繊維層
16…重畳体 18…熱可塑性樹脂
20…空隙 22…膨張体
24…砕片

Claims (4)

  1. 強化繊維と、該強化繊維を囲繞し且つ該強化繊維の反発力よりも大きな押圧力を付与することで該強化繊維を拘束する熱可塑性樹脂とを含む繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法であって、
    前記熱可塑性樹脂に液体を吸収させる工程と、
    前記液体が気化するとともに、前記熱可塑性樹脂が軟化して該熱可塑性樹脂の前記強化繊維に対する押圧力が該強化繊維の反発力よりも小さくなるまで前記繊維強化熱可塑性樹脂を加熱し、前記熱可塑性樹脂の拘束から解放された前記強化繊維の反発力によって前記熱可塑性樹脂を押圧して前記強化繊維同士の間に空隙を形成することにより、前記繊維強化熱可塑性樹脂を膨張させる工程と、
    を有し、
    膨張させた前記繊維強化熱可塑性樹脂に含まれる前記熱可塑性樹脂を熱分解することで、前記強化繊維を回収することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法。
  2. 請求項1記載のリサイクル方法において、前記液体が水であることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法。
  3. 請求項1又は2記載のリサイクル方法において、前記繊維強化熱可塑性樹脂の加熱を真空又は不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリサイクル方法であって、前記強化繊維の長さが1mm以上であることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂のリサイクル方法。
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