JP6287687B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、セリウム(Ce)、ランタン(La)及びジルコニウム(Zr)を含む複合酸化物及び該複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒に関する。
自動車等の内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)等の有害成分が含まれており、これらの有害成分は排ガス浄化用触媒によって浄化されてから大気中に放出されている。従来、この排ガス浄化用触媒には、CO、HCの酸化とNOの還元とを同時に行う三元触媒が用いられており、三元触媒としては、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)等の多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を担持したものが広く用いられている。
このような三元触媒を用いて効率的に排ガス中の上記有害成分を浄化するためには、内燃機関に供給される混合気の、空気と燃料の比率である空燃比(A/F)が理論空燃比(ストイキ)近傍でなければならない。しかし、実際の空燃比は、自動車の走行条件等によって、ストイキを中心に、リッチ(燃料過剰:A/F<14.7)又はリーン(酸素過剰:A/F>14.7)になり、これに対応して排ガスもリッチ又はリーンになる。
近年では、排ガス中の酸素濃度の変動に対して三元触媒の排ガス浄化能を高めるために、酸素吸蔵能(OSC:Oxygen Storage Capacity)を有する無機材料であるOSC材が排ガス浄化用触媒の担体として用いられている。セリウムの酸化物は優れた酸素吸蔵能を有することが知られており、OSC材として広く用いられてきた。
排ガス浄化用触媒にOSC材として用いられるセリウムの酸化物として、特許文献1には、セリウム(III)化合物とジルコニウム(IV)化合物との混合物又は共沈物を不活性又は非酸化性雰囲気下に加熱し、熱分解して、セリウム(III)−ジルコニウム(IV)複合酸化物を形成し、次いで、これを酸化性雰囲気下に加熱することを特徴とする排ガス浄化用助触媒のためのセリア−ジルコニア複合酸化物の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、CeとZrとを含む複合酸化物であって、Ceの価数が3価の時、以下の組成式:(Ce1−x−y,RE,AE(Zr1−y,M(REはCe以外の希土類イオンの少なくとも1種類、AEはCa、Sr、Baの少なくとも1種類、MはNb、Taの少なくとも1種類、0≦x≦0.9、0≦y≦0.9、0.4≦x+y≦0.9)で表されるパイロクロア構造を有することを特徴とする複合酸化物が記載されている。特許文献2には、複合酸化物のCe1mol当りの酸素吸蔵能が優れていたことが記載されている。
近年、自動車用の排ガス浄化用触媒について、省資源、コストダウン及びエンジン性能の改良等のために、触媒の貴金属使用量を低減することや触媒の圧損を低減することが求められている。しかし、貴金属の使用量を低減すると触媒の酸素吸蔵能が低下するため、OSC材の性能をさらに向上させることが望まれている。また、エンジン性能に悪影響を与える触媒の圧損を低減するために各種技術の開発が進められており、触媒体格を低減させることがその一つとして挙げられる。触媒体格を低減させることによって、OSC材の使用量を減少させることも可能になり、自動車の軽量化にもつながるため、コストを低減することもできる。従って、排ガス浄化用触媒の担体として用いられるOSC材の単位重量当りの酸素吸蔵能を高めることが求められている。
特開平11−165067号公報 特開2005−231951号公報
上記のように、排ガス浄化用触媒の担体にOSC材として用いられる複合酸化物について、省資源、コストダウン及びエンジン性能の改良等のため、触媒の貴金属使用量の低減や触媒圧損の低減が求められているが、従来の排ガス浄化用触媒では、触媒の担体の単位重量当りの酸素吸蔵能について改善の余地がある。
従って、本発明は、単位重量当りの酸素吸蔵能が向上した、Ceを含む複合酸化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を種々検討した結果、Ce、La及びZrを含むパイロクロア構造を有する複合酸化物のCeの組成比を特定することによって、該複合酸化物の単位重量当りの酸素吸蔵能を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)Ce、La及びZrを含み、式Aで表されるパイロクロア構造を有する複合酸化物であって、AサイトがCe及びLaからなり、BサイトがZrを含み、AサイトのCeの組成比が0.6〜0.8である複合酸化物。
(2)AサイトのCeの組成比が0.65〜0.75であり、Laの組成比が1.25〜1.35である(1)の複合酸化物。
(3)(1)又は(2)の複合酸化物に貴金属を担持した排ガス浄化用触媒。
本発明により、単位重量当りの酸素吸蔵能が向上した、Ceを含む複合酸化物を提供することが可能となる。
図1は、実施例1、2及び比較例1−4の複合酸化物の初期品及び耐久品のI値を示す図である。 図2は、実施例1、2及び比較例1−3の複合酸化物の単位重量当りのOSCを示す図である。 図3は、実施例1、2及び比較例1−3の複合酸化物の耐久後のI値とCe利用率の関係を示す図である。 図4は、実施例1、2及び比較例1−3の複合酸化物のCe量と耐久後のI値の関係を示す図である。 図5は、実施例1、2及び比較例1−3の複合酸化物のCe量とOSC理論値の関係を示す図である。 図6は、実施例において、一般解式より求めた複合酸化物のCe量と、耐久後の単位重量当りのOSCの関係を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明は、セリウム(Ce)、ランタン(La)及びジルコニウム(Zr)を含む、式Aで表されるパイロクロア構造を有する複合酸化物に関する。本発明の複合酸化物は、式AのAサイトがCe及びLaからなり、他の元素を含まない。本発明の複合酸化物は、式AのBサイトがZrを含む。
本発明の複合酸化物において、パイロクロア構造を有するとは、式Aで表される構造を有し、Ce、La及びZrによるパイロクロア型の規則配列構造を有する結晶相(パイロクロア相)が構成されていることを意味する。パイロクロア相は酸素欠陥サイトを有し、そのサイトに酸素原子が入り込むことでパイロクロア相は、式A8−α(αはLaの原子組成/2である)で表されるκ相に相変化する。一方、κ相は酸素原子を放出することによりパイロクロア相に相変化することができる。本発明のCe、La及びZrを含む複合酸化物の酸素吸蔵能は、パイロクロア相とκ相との間で相互に相変化して酸素を吸放出することによるものである。パイロクロア相の複合酸化物を排ガス浄化用触媒のOSC材として用いる場合、リッチ時にはパイロクロア相に変化し、リーン時にはκ相に変化することになる。
本発明の複合酸化物の結晶相は、X線回折(XRD)測定により判別することができる。XRDパターンにおいて、2θ=14°付近の回折線は規則相(κ相)の(111)面に帰属する回折線であり、2θ=29°付近の回折線は規則相の(222)面に帰属する回折線である。本発明では、(111)面に帰属する回折線の(222)面に帰属する回折線に対する強度の比((111)回折線の強度/(222)回折線の強度)をI値とし、I値を規則相の耐久性(維持率)を示す指標として用いる。
本発明の複合酸化物において、AサイトのCeの組成比は0.6〜0.8であり、好ましくは、0.65〜0.75である。本発明の複合酸化物は、AサイトのCeの組成比を0.6〜0.8にすることによって、複合酸化物の単位重量当りの酸素吸蔵能が向上するため、触媒体格の低減及び触媒圧損の低減が達成され、さらに、OSC材の使用量も減少させることができるため、コストの面でも優れる。
本発明の複合酸化物において、AサイトのLaの組成比は、Ceの組成比に対応して1.2〜1.4であり、好ましくは1.25〜1.35である。本発明の複合酸化物では、AサイトがLaを含むことによって、規則相のパイロクロア相の耐久性が向上し、Ceの利用率が向上する。
本発明の複合酸化物において、Zrを含むBサイトの組成比は2である。BサイトはZr以外の金属元素を含むこともできる。Zr以外の金属元素としては、Ti、Fe、Y、Nb、Hf等を挙げることができる。
本発明の複合酸化物は、好ましくは、式CeLa2−xZr(式中、xは0.6〜0.8であり、好ましくは0.65〜0.75である)で表されるパイロクロア構造を有する複合酸化物である。
本発明の複合酸化物は、上記のCe及びLaの組成比とすることにより、Laの置換量の増大に伴い、規則相のパイロクロア相の耐久性が向上し、Ce利用率が向上して酸素吸蔵能が向上する効果と、La置換量の増大に伴い、単位重量当りのCe量が減少し、酸素吸蔵能が低下する影響とのバランスが最適化されている。これによって、本発明の複合酸化物は、Ce及びLaの組成比がこの範囲にない複合酸化物と比較して、単位重量当りの酸素吸蔵能が優れる。
ここで、本発明の複合酸化物において、Laの置換量が増大することにより規則相のパイロクロア相の耐久性が向上するのは、(1)3価のLaが置換固溶することにより、κ相でも酸素欠陥が生じ、Ce、Zrサイトの酸素配位数に差が生じるため、(2)Ceサイトにイオンサイズの大きい3価のLaが置換することによるため、(3)安定相であるLaZrに組成が近づくため等の理由が可能性として考えられる。
本発明の複合酸化物は、幅広い温度範囲にわたって優れた酸素吸蔵能を発揮することができるが、好ましくは、350℃〜550℃程度の低・中温域で用いられる。
本発明のパイロクロア構造を有する複合酸化物は、固相法、液相法、アルコキシド法等の通常の方法で製造することができる。例えば、本発明の複合酸化物は、セリウム化合物、ジルコニウム化合物及びランタン化合物の水溶液と、錯形成剤の水溶液とを混合し、乾燥してCe、La及びZrを含む生成物を析出させた後、還元性雰囲気にて焼成を行うことによって製造される。セリウム化合物、ジルコニウム化合物及びランタン化合物は、非水溶剤、例えば、アルコールや有機カルボン酸エステルの溶液として用いることもできる。
セリウム化合物としては、例えば、硝酸セリウム、硝酸二アンモニウムセリウム等の硝酸塩、硫酸セリウム等の硫酸塩、塩化セリウム等の塩化物等の水溶性化合物を用いることができる。また、ジルコニウム化合物としては、オキシ硝酸ジルコニウム等の硝酸塩、硫酸ジルコニウム等の硫酸塩、オキシ塩化ジルコニウム等の塩化物等の水溶性化合物を用いることができる。また、ランタン化合物としては硝酸ランタン等の硝酸塩、硫酸ランタン等の硫酸塩、塩化ランタン等の塩化物等の水溶性化合物を用いることができる。
錯形成剤としては、特に限定されずに、例えば、有機カルボン酸、有機スルホン酸、β−ジケトン、シクロポリエン、アルコール等を挙げることができる。有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、アミノ酢酸等を挙げることができるが、クエン酸が好ましい。有機スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン等を挙げることができる。シクロポリエンとしては、例えば、シクロオクタテトラエンやシクロペンタジエン等を挙げることができる。アルコールとしては、例えば、ブチルアルコールのようなアルキルアルコールを挙げることができる。
セリウム化合物、ジルコニウム化合物及びランタン化合物の水溶液と、錯形成剤の水溶液との混合により沈殿物が生成した場合には、この沈殿物をろ過した後に乾燥してもよい。
セリウム化合物、ジルコニウム化合物及びランタン化合物の水溶液と、錯形成剤の水溶液との混合溶液の乾燥は、通常、50℃〜80℃で5時間〜48時間行うことができる。
Ce、La及びZrを含む生成物の焼成は、通常、還元性雰囲気下にて、600℃〜1500℃で2時間〜10時間加熱保持することで行うことができる。還元性雰囲気は不活性ガス雰囲気又は非酸化性雰囲気とすることもできるが、H、CO等の還元性ガスを含む雰囲気とすることが好ましい。
パイロクロア構造を有する複合酸化物は、大気中や酸素雰囲気等の酸化雰囲気下で500℃〜1000℃で1時間〜10時間保持することにより、Ceの価数が4価になったκ相の複合酸化物にすることができる。
本発明の複合酸化物は、自らを担体として貴金属を担持することにより、自動車等の排ガス浄化用触媒とすることができる。よって本発明は、上記複合酸化物に貴金属を担持した排ガス浄化用触媒にも関する。本発明の排ガス浄化用触媒は、主触媒として白金族貴金属を含むことが好ましい。白金族貴金属としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)が挙げられ、特にRh、Pt及びPdを用いることが好ましい。その担持量は従来の排ガス浄化用触媒と同様でよいが、排ガス浄化用触媒に対して0.01重量%〜5重量%であることが好ましい。本発明の排ガス浄化用触媒は、担体として本発明の複合酸化物以外の担体材料を含んでいてもよい。本発明の複合酸化物以外の担体材料としては、多孔質であり、かつ、耐熱性に優れた金属酸化物が挙げられ、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、又はこれらの金属酸化物を主成分とした複合酸化物等を用いることができる。本発明の排ガス浄化用触媒において、担持方法は、吸着担持法、吸水担持法等従来の担持法を利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Ce0.7La1.3Zr7.35(κ相)の調製
硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol/純水5ml、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol/純水10ml及び硝酸ランタン13mmol/純水10mlの各水溶液を調製し、これらの水溶液を混合し、撹拌した。クエン酸40mmol/純水10mlの水溶液を調製し、調製したクエン酸溶液に、上記のCe塩、Zr塩及びLa塩の混合溶液を加え、300rpmで30分間撹拌した。撹拌中に、この溶液を約60℃で加熱し、水分を蒸発させた。この溶液の粘性が高くなり、撹拌子の回転数に乱れが出てきたのを確認した後、溶液を真空乾燥器に移し、60℃で1晩真空乾燥した。乾燥して析出した生成物を粉砕した後、これをガラス容器に移し、ホットプレート上で加熱した。加熱は、150℃から開始し、10℃ずつ昇温して、硝酸塩が分解するまで昇温した(本試料は190℃で分解した)。得られたCe、Zr及びLaを含む生成物を電気炉にて600℃で5時間焼成し、Ce、Zr及びLaの複合酸化物を得た。得られた複合酸化物を管状路に移し、5%H/Arバランスガスを流速1L/分で2時間流通させた。その後、5%H/Arバランスガスを流速300mL/分で流しながら、電気炉を室温から1300℃まで2時間10分かけて昇温し、1300℃で3時間保持して複合酸化物を焼成した。その後、熱源を切り、自然放熱させて、式Ce0.7La1.3Zrで表されるパイロクロア相の複合酸化物を得た。パイロクロア相の複合酸化物の一部をXRD分析に供試し、初期のパイロクロア相の複合酸化物の回折パターンを測定した。
得られたパイロクロア相の複合酸化物を電気炉にて、大気中、550℃で2時間焼成して、式Ce0.7La1.3Zr7.35で表されるκ相の複合酸化物を得た。κ相の複合酸化物の一部をXRD分析に供試し、初期のκ相の複合酸化物の回折パターンを測定した。また、κ相の複合酸化物を空気中、1000℃で5時間耐久し、この耐久品についてXRD分析及びOSC測定を実施した。
(実施例2)
Ce0.8La1.2Zr7.4(κ相)の調製
金属塩の使用量を、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン13mmolから、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)8mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン12mmolとした以外は実施例1と同様にして、式Ce0.8La1.2Zrで表されるパイロクロア相の複合酸化物及び式Ce0.8La1.2Zr7.4で表されるκ相の複合酸化物を得て、各々XRD分析を行い、また、得られたκ相の複合酸化物を空気中、1000℃で5時間耐久し、この耐久品についてXRD分析及びOSC測定を実施した。
(比較例1)
CeZr(κ相)の調製
金属塩の使用量を、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン13mmolから、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)20mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmolとした以外は実施例1と同様にして、式CeZrで表されるパイロクロア相の複合酸化物及び式CeZrで表されるκ相の複合酸化物を得て、各々XRD分析を行い、また、得られたκ相の複合酸化物を空気中、1000℃で5時間耐久し、この耐久品についてXRD分析及びOSC測定を実施した。
(比較例2)
CeLaZr7.5(κ相)の調製
金属塩の使用量を、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン13mmolから、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)10mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン10mmolとした以外は実施例1と同様にして、式CeLaZrで表されるパイロクロア相の複合酸化物及び式CeLaZr7.5で表されるκ相の複合酸化物を得て、各々XRD分析を行い、また、得られたκ相の複合酸化物を空気中、1000℃で5時間耐久し、この耐久品についてXRD分析及びOSC測定を実施した。
(比較例3)
Ce0.5La1.5Zr7.25(κ相)の調製
金属塩の使用量を、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン13mmolから、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)5mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン15mmolとした以外は実施例1と同様にして、式Ce0.5La1.5Zrで表されるパイロクロア相の複合酸化物及び式Ce0.5La1.5Zr7.25で表されるκ相の複合酸化物を得て、各々XRD分析を行い、また、得られたκ相の複合酸化物を空気中、1000℃で5時間耐久し、この耐久品についてXRD分析及びOSC測定を実施した。
(比較例4)
LaZr(パイロクロア相)の調製
金属塩の使用量を、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)7mmol、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン13mmolから、オキシ硝酸ジルコニウム20mmol及び硝酸ランタン20mmolとした以外は実施例1と同様にして、式LaZrで表されるパイロクロア相の複合酸化物を得て、初期品及び空気中、1000℃で5時間耐久した耐久品について、XRD分析及びOSC測定を実施した。比較例4の複合酸化物は酸素吸蔵能を有していないが、パイロクロア相の耐久性の比較試料とした。
実施例1、2及び比較例1−4の複合酸化物のCe、La、Zr組成分析は下記のNa溶融−ICP分析法で実施した。
[Ce、La、Zr組成分析]
試料0.1gを秤量し、融解剤のNa 2gを試料に加え、400℃に加熱した電気炉に入れた。電気炉を昇温し、試料を800℃で30分間加熱して溶融させた。得られた溶融物をビーカーに移し、HCl(1+1)40mlを添加し、ヒーター上で加熱溶解させた。これを100mlに定容し、ICP分析を行った。ICP分析は3回行った。
(試験例1)
実施例1、2、比較例1−3のκ相及び比較例4のパイロクロア相の複合酸化物の初期品及び耐久品(空気中、1000℃で5時間耐久)のXRD分析を行った。複合酸化物(κ相)のXRDパターンにおいて、2θ=14°付近の(111)面に帰属する回折線は、規則相の倍周期を表す回折線の一つである。測定した各試料のXRDパターンにおいて、規則相(κ相)の(111)面に帰属する回折線である2θ=14°付近の回折線の強度の、規則相の(222)面に帰属する回折線である2θ=29°付近の回折線の強度に対する比((111)回折線の強度/(222)回折線の強度)をI値として算出した。I値は規則相の耐久性(維持率)を示す指標とすることができる。結果を表1及び図1に示す。
Figure 0006287687
表1及び図1より、実施例1、2の複合酸化物の耐久後のI値は、比較例1、2のものより大きいが、比較例3、4のものより小さかったことが示された。また、Laの置換量の増加とともに、耐久後のI値が増大し、規則相が維持されるが、La=1.5(比較例3)以上ではほぼ一定のI値となることが示された。
また、Laの置換量と、XRDパターンの(111)、(222)のd値間との関係が比例関係にあり、Vegard則が成立していたことから、LaがCeサイトに置換されていることが確認された。
(試験例2)
実施例1、2及び比較例1−3のκ相の複合酸化物を排ガス浄化用触媒に用いて酸素吸蔵能(OSC)を測定した。測定試料として、実施例1、2及び比較例1−3のκ相の複合酸化物の耐久品1gと、1重量%Pt/Al(Alの比表面積(SSA):100m/g)1gとを物理的に混合したもの2gを用いた。
測定条件は下記の通りである:
測定ガス流量:10L/分にて一酸化炭素(CO)2容量%のガス(バランスガスは窒素)と、酸素(O)1容量%のガス(バランスガスは窒素)を2分間サイクルで3回パルス導入させた。
測定温度:400℃、500℃
OSCデータ:3回目のCOガスのパルス導入時に、2分間のCO生成量から吸蔵されたO分子のmol数を計算し、OSCとした。
耐久後の複合酸化物1g当りのOSCを表2及び図2に示す。
Figure 0006287687
表2及び図2より、実施例1、2の複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒は、400℃、500℃のいずれの温度においても、OSC材(複合酸化物)1g当りの2分間のOSCが優れていた。
次に、式CeLa2−xZrで表される複合酸化物のCe量と耐久後の単位重量当りの酸素吸蔵能との関係を下記のようにして求めた。
複合酸化物の耐久後の単位重量当りのOSCは、下記式(I):
耐久後の単位重量当りのOSC=Ce利用率×OSC理論値 (I)
で表される。
まず、Ce利用率を耐久後のI値に対する関係式として求めた。I値は規則相の維持率の程度を示す。
実施例1、2及び比較例1−3の複合酸化物のCe利用率について、各試料の複合酸化物1g当りのOSC理論値(Ceが100%OSCに使用された場合のOSC)を計算し、OSC実測値(400℃、500℃)の理論値に対する割合(実測値/理論値)を算出することで求めた。結果を表3に示す。
Figure 0006287687
各試料の耐久後のI値とCe利用率との関係を図3に示す。図3より、I値とCe利用率は比例関係にあり、パイロクロア構造が維持されるとCeの利用率が高くなることが示された。これは、パイロクロア相には酸素欠陥が存在するので、Ceの酸化・還元に伴う酸素の吸蔵・放出が容易に起こり、バルク内の拡散速度が速いためであると考えられる。
図3より、400℃におけるCe利用率は、下記式(II):
Ce利用率(y)=9.3768×I値(x)−0.0217 (II)
で表され、500℃におけるCe利用率は、下記式(III):
Ce利用率(y)=15.671×I値(x)+0.0012 (III)
で表される。
次に、耐久後のI値とCe量の関係を図4に示す。図4より、耐久後のI値は、Ce量を変数とする下記指数関数式(IV):
耐久後のI値(y)=0.0396exp(−1.162×x) (IV)
で近似することができる。
また、複合酸化物の単位重量当りのOSC理論値とCe量の関係を図5に示す。図5より、OSC理論値は下記式(V):
OSC理論値=427.32×x+3.3947 (V)
で表される。
式(I)の複合酸化物の耐久後の単位重量当りのOSCは、式(II)〜(V)から、
OSC=[a(0.0396exp(−1.162×x)+b]×[427.32×x+3.3947]
(a、bは、図3に示される400℃、500℃についての各式における係数である)
で表される。この式から計算した複合酸化物の耐久後の単位重量当りのOSCと、Ce量との関係を、400℃及び500℃の各温度について図6に示す。図6より、Ce=0.6〜0.8の組成比で、耐久後の単位重量当りのOSCが優れており、特に、400℃では、この範囲の組成比で単位重量当りのOSCが最大となったことが示された。
以上より、実施例1、2の複合酸化物は、比較例3、4のものと比較して、規則相の耐久性が劣るが、複合酸化物中のCe量は多い。また、実施例1、2の複合酸化物は、比較例1、2のものと比較して、複合酸化物中のCe量は少ないが、規則相の耐久性が高く、Ceの利用率が高い。
実施例1、2の複合酸化物は、Ceサイトの一部をLaで置換することにより、規則相のパイロクロア相の耐久性が向上し、Ce利用率が向上して酸素吸蔵能が向上する効果と、Laで置換することにより、単位重量当りのCe量が減少し、酸素吸蔵能が低下する影響とのバランスが最適化されているため、比較例1−3のものと比べて、耐久後の単位重量当りのOSCが最大となったと考えられる。
本発明の排ガス浄化用触媒を用いることにより、単位重量当りのOSC性能が向上した排ガス浄化用触媒を提供することが可能となる。

Claims (3)

  1. Ce、La及びZrを含み、式Aで表されるパイロクロア構造を有する複合酸化物であって、AサイトがCe及びLaからなり、BサイトがZrを含み、AサイトのCeの組成比が0.6〜0.8である複合酸化物。
  2. AサイトのCeの組成比が0.65〜0.75であり、Laの組成比が1.25〜1.35である請求項1の複合酸化物。
  3. 請求項1又は2の複合酸化物に貴金属を担持した排ガス浄化用触媒。
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