JP6287500B2 - 耐摩耗ライナー - Google Patents

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Description

本発明は、耐摩耗ライナーに関し、特に、鉱石や石灰、コークス等を装入するためのシュートに設置される耐摩耗ライナーに関する。
鉱石や石灰、コークス等を高炉に装入する場合、装入物は垂直シュートを通じて落下した後、旋回シュートによって高炉内の任意の位置に装入される。旋回シュートには、装入物との接触による摩耗からシュート本体を保護するためのライナーが設置される。ところが、硬い装入物がライナーの表面に衝突したり、ライナーの表面を滑落したりすることによるライナーの摩耗が激しいために、頻繁にライナーの補修や交換が必要であった。そこで、例えば特許文献1に記載されているように、母材(高クロム鋳鋼)の表層部に超硬合金粒子(タングステンカーバイド粗粒)を埋め込んだ耐摩耗ライナーが開発されている。
特開平11−13114号公報
ここで、特許文献1に記載されたような従来の耐摩耗ライナーの例を、図9に示す。図9(A)は従来の耐摩耗ライナー81の部分縦断面図であり、(B)は該耐摩耗ライナー81の部分横断面図である。図9における(A)と(B)との関係を、図中の切断線VA−VAおよび切断線VB−VBによって示す。耐摩耗ライナー81では、母材82の表層部に超硬合金粒子83が埋め込まれている。母材82よりも硬い超硬合金粒子83が摩耗に抵抗することによって、例えば母材のみによって構成されるライナーよりも耐久性を向上させることができる。
しかしながら、表層部のうち超硬合金粒子83以外の部分では母材82の摩耗が進行するため、超硬合金粒子83は次第に母材82から露出してしまう。超硬合金粒子83は略球形であるために、例えば半分程度が母材82から露出すると、衝撃などによって欠落しやすくなる。それゆえ、耐摩耗ライナー81でも修繕や交換の頻度は依然として高く、また超硬合金粒子83が高価であるために修繕費用や交換費用も高かった。そこで、図10に示すように、耐摩耗ライナー81を改良した耐摩耗ライナー91が提案されている。
図10(A)は、改良された従来の耐摩耗ライナー91の部分縦断面図であり、(B)は該耐摩耗ライナー91の部分横断面図である。図10における(A)と(B)との関係を、図9と同様に図中の切断線によって示す。耐摩耗ライナー91では、母材92の表層部を貫通して超硬合金ピン93が埋め込まれている。図9の例と同様に、母材92よりも硬い超硬合金ピン93が摩耗に抵抗することによって、ライナーの耐久性を向上させることができる。また、超硬合金ピン93は略円柱形であるために、摩耗した母材92から露出しても欠落しにくい。しかしながら、超硬合金ピン93を形成するためには多くの超硬合金を使用する必要があるため、耐摩耗ライナー91は図9に示すような従来の耐摩耗ライナーに比べて高価であった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、超硬合金の使用量を節減しつつ耐久性を向上させることが可能な、新規かつ改良された耐摩耗ライナーを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、母材の表層部に超硬合金が埋め込まれた耐摩耗ライナーであって、超硬合金が、耐摩耗ライナーの表面に対して垂直な方向に開口したセルが連続的または離散的に配列されたセル構造体を形成し、前記セルを規定する超硬合金部材に貫通孔が形成されることを特徴とする耐摩耗ライナーが提供される。
かかる耐摩耗ライナーでは、超硬合金がセル構造体を形成していることによって効率的に強度を発揮する。従って、従来(例えば図10に示した耐摩耗ライナー91)と比べて少ない超硬合金の使用量で、十分な耐久性を得ることができる。また、セルが耐摩耗ライナーの表面に対して垂直な方向に開口していることによって、材料の細粒によるセルフライニングの効果も期待できる。また、貫通孔を設けることによって超硬合金の使用量をさらに削減できるのに加えて、セルに母材を鋳込むときに母材をセル構造体の全体に行きわたらせることが容易になる。
上記の耐摩耗ライナーでは、セルの断面における内接円の直径が耐摩耗ライナーの表面に接触する材料の平均粒径未満であることが望ましい。これによって、材料の粗粒がセル内に入り込んで母材の摩耗を進行させるのを防ぎ、耐摩耗ライナーの耐久性を向上させることができる。
また、上記の耐摩耗ライナーでは、セルを規定する超硬合金部材の厚さが1mm以上であることが望ましい。これによって、材料の衝突によって加わる曲げ応力によって超硬合金部材が座屈することを防止できる。
また、上記の耐摩耗ライナーでは、セルが六角形断面、四角形断面、または三角形断面を有し、連続的に配列されたハニカム構造を形成してもよい。セルの断面形状は、例えばセル構造体の形成工程などに応じて適宜選択することが可能である。断面形状にかかわらず、超硬合金の使用量の節減と耐久性の向上の効果を得ることができる。
以上説明したように本発明によれば、耐摩耗ライナーにおいて、超硬合金の使用量を節減しつつ耐久性を向上させることができる。従って、耐摩耗ライナーの安価化と長寿命化とを両立させることができる。
本発明の一実施形態に係る耐摩耗ライナーの全体構成を示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおけるセル構造のバリエーションを示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおけるセル構造のバリエーションを示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおけるセル構造のバリエーションを示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおけるセル構造のバリエーションを示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおけるセル構造のバリエーションを示す図である。 図1に示す耐摩耗ライナーにおいてセルを規定する超硬合金部材に貫通孔を設けた例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る耐摩耗ライナーにおけるセルの開口幅および超硬合金部材の厚さについて説明するための図である。 従来の耐摩耗ライナーの例を示す図である。 従来の耐摩耗ライナーの別の例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(全体構成)
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る耐摩耗ライナーの全体構成について説明する。耐摩耗ライナー1は、例えば高炉の旋回シュートにおいて、シュート本体の内側面および内底面にボルトなどを用いて固定され、鉱石や石灰、コークスなどの装入物との接触による摩耗からシュート本体を保護する。図1(A)は耐摩耗ライナー1の部分縦断面図であり、(B)は該耐摩耗ライナー1の部分横断面図である。図1における(A)と(B)との関係を、図中の切断線IA−IAおよび切断線IB−IBによって示す。また、図1(A)および(B)には、共通のx−y−z座標軸が記載されている。この座標軸によると、耐摩耗ライナー1の表面1sはx−y平面に並行であり、z軸は表面1sに対して垂直である。
耐摩耗ライナー1では、母材2の表層部に、超硬合金3が埋め込まれている。例えば、母材2は高クロム鋳鋼であり、超硬合金3はタングステンカーバイドでありうる。あるいは、例えばステンレス鋼、セラミックス、繊維強化セラミックス、各種肉盛、サーメット、クラッド鋼などから硬材(超硬合金)および軟材(母材)を組み合わせて用いてもよい。上記で図9および図10を参照して説明した従来の耐摩耗ライナー81,91と同様に、耐摩耗ライナー1でも、母材2よりも硬い超硬合金3を表層部に埋め込むことによって、装入物が表面1sに衝突したり、装入物が表面1s上を滑落したりしたときの母材2の摩耗を抑制することができる。さらに、耐摩耗ライナー1では、超硬合金3が、耐摩耗ライナーの表面に対して垂直な方向に開口したセル構造体を形成することによって効率的に強度を発揮するため、上述した従来の耐摩耗ライナーと比較して少ない超硬合金の使用量で十分な耐久性を得ることができる。
ここで、セル構造体では、板状の超硬合金3によって形成される構造体5によってセル4が形成される。本実施形態において、構造体5は、セル4を規定する超硬合金部材である。セル構造体の断面形状は、図示された例では六角形であるが、後述するように四角形または三角形など他の多角形状であってもよい。図示されているように、セル構造体によって形成されるセル4は、z軸方向、つまり耐摩耗ライナー1の表面1sに対して垂直な方向に開口している。このようなセル構造を採用することによって、表面1sへの装入物の衝突に対抗しうる強度を、最小限の超硬合金3で得ることができる。なお、構造体5は、一体的に形成され、また厚さが一様であるように図示されているが、必要に応じて複数のパーツに分解されてもよく、また部分によって厚さが異なってもよい。例えば、構造体5は、後述する例のように、超硬合金3によって形成される複数の折板部材を組み合わせることによって形成されてもよい。
一方、耐摩耗ライナー1の表層部では、超硬合金3の構造体5によって区画されるセル4に、母材2が充填されることになる。母材2の方が超硬合金3よりも軟らかいために、装入物との接触時には、セル4内の母材2が先行して摩耗する。この結果、表層部では、構造体5で囲まれたセル4に凹部が形成される。ただし、超硬合金3は表層部を貫通して母材2に埋め込まれているため、セル4に形成される凹部が深くなりすぎなければ欠落することはない。例えば、セル4の開口幅を装入物の平均粒径未満とすれば、セル4に入り込む鉱石や石灰、コークスなどの装入物を比較的粒径の小さいものに限定することができ、セル4内の母材2の摩耗を抑制することができる。また、比較的小さい粒径の装入物の一部は、セル4内に堆積して母材2の表面を覆う。このような、いわゆるセルフライニングの効果によって、より効果的に母材2の摩耗を抑制することができ、耐摩耗ライナー1の耐久性を向上させることができる。
ここで、セル4の開口幅は、セル4の断面における内接円の直径として定義できる。図1の例(セル4の断面が六角形)であれば、セル4の開口幅は、断面の六角形の対辺の距離に等しい。また、後述する例のように、セル4の断面が四角形(略正方形)であれば、セル4の開口幅は、断面の四角形の一辺の長さに等しい。セル4の断面が円形であれば、断面自体の直径が開口幅になる。
(セル構造体のバリエーション)
次に、図2を参照して、耐摩耗ライナー1において超硬合金3で形成されるセル構造体のバリエーションについて説明する。上述のように、本実施形態に係る耐摩耗ライナー1で超硬合金3によって形成されるセル構造体において、セル4の断面形状は、図1に示された例のような六角形には限らず、四角形や三角形などの他の形状であってもよい。図2には、(A)で六角形の例が、(B)で四角形の例が、(C)で四角形の別の例が、それぞれ示されている。三角形の例については図示されていないが、図示された例と同様にして実現可能である。この他にも、例えば、一般的に(セルの断面が六角形のものに限られない、広義の)ハニカム構造を実現することが可能なものとして知られている各種のセルの断面形状を、本実施形態の他の実施形態において採用することが可能である。
ここで、図2(A)〜(C)に示された例のうち、超硬合金3の使用量が最も少ないのは、(A)に示す例(セル4の断面形状が六角形)である。しかし、(B)および(C)に示す例(セル4の断面形状が四角形)でも、例えば図10に示した従来の耐摩耗ライナー91に比べると大幅に超硬合金3の使用量を削減しつつ、同等の耐摩耗ライナー1の耐久性を得ることができる。つまり、本発明の実施形態では、セル4の断面形状を例えば図2(A)に示したような六角形にするか、(B)や(C)に示したような四角形にするか、あるいは他の形状にするかは、例えばセル構造の形成工程などに応じて適宜選択することが可能である。
また、図3に示すように、セル構造体は、超硬合金3によって形成されるプレート部材5pが組み合わせられることによって形成されてもよい。図3(A)は、プレート部材5pを組み合わせて形成される六角形断面のセル4を示す。図3(B)は、同じくプレート部材5pを組み合わせて形成される四角形断面のセル4を示す。図3(C)は、プレート部材5pを組み合わせて形成される三角形断面のセル4を示す。これらの例において、プレート部材5pは、セル4を規定する超硬合金部材である。
あるいは、図4に示すように、セル構造体では、超硬合金3によって形成され、セル4を囲むケーシング5cが一体的に形成されてもよい。例えば図4(A)には六角形断面のセル4を形成する六角筒状のケーシング5cが、図4(B)には四角形断面のセル4を形成する四角筒状のケーシング5cが、図4(C)には三角形断面のセル4を形成する三角筒状のケーシング5cが、図4(D)には円形断面のセル4を形成する円筒状のケーシング5cが、それぞれ示されている。なお、これらのケーシング5cは、例えば図3に示したようなプレート部材を接合させることによって形成されてもよい。これらの例において、ケーシング5cは、セル4を規定する超硬合金部材である。
例えば上記の図3および図4のように形成されたセル構造体は、互いに接して連続的に配置されることによって、図2に示した例のようなハニカム構造を形成してもよい。あるいは、セル構造体は、図5に示す例のように、互いに隙間をあけて離散的に配置されてもよい。図5(A)は六角形断面のセル4が離散的に配置される例、図5(B)は四角形断面のセル4が離散的に配置される例、図5(C)は三角形断面のセル4が離散的に配置される例、図5(D)は円形断面のセル4が離散的に配置される例を示す。図5の例では、図4に示したように個々のセル4について一体的に形成されたケーシング5cが示されているが、図3に示したようなプレート部材5pが組み合わせられてもよい。なお、それぞれのセル構造体の間隔は、セル4の開口幅と同様に、装入物の平均粒径未満とすることが望ましい。
上記の図5に示した例のようなセル4の配置によって、セル構造体の断面形状として、六角形、四角形、および三角形のような平面充填可能な多角形に限らず、その他の多角形や、図5(D)のような円形、楕円形、または半円形など、自由な形状を採用することができる。いずれの場合も、上記のように、例えば、セル4の開口幅およびセル構造体同士の間隔がいずれも装入物の平均粒径未満であれば、効果的に母材2の摩耗が抑制され、耐摩耗ライナー1の耐久性を向上させることができる。
あるいは、図6に示す例のように、セル構造体を、超硬合金3によって形成される複数の折板部材5fを組み合わせることによって形成してもよい。図6(A)に示す例では、図2(A)に示されたような六角形断面のセル4が配列されるハニカム構造が、折板部材5fを幅方向にずらして重ね合わせることによって形成されている。また、図6(B)に示す例では、図2(B)に示されたような四角形断面のセル4が配列されるハニカム構造が、折板部材5fを組み合わせることによって形成されている。これらの例において、折板部材5fは、セル4を規定する超硬合金部材である。
(超硬合金部材の貫通孔)
次に、図7を参照して、セルを規定する超硬合金部材に設けられる貫通孔について説明する。図7では、超硬合金3によって形成される構造体5に設けられる貫通孔6が、正面図とそのIII−III断面図とによって示されている。なお、貫通孔6は、付加的な構成であるため、必ずしも設けられなくてよい。貫通孔6は、構造体5の一部、例えば耐摩耗ライナー1の内部に位置する部分に限定して設けられてもよいし、耐摩耗ライナー1の表層部を含む構造体5の全体に設けられてもよい。貫通孔6を設けることによって、必要な強度を確保しながら、超硬合金3の使用量をさらに削減することができる。また、貫通孔6を設けることによって、例えばセル4に母材2を鋳込むときに、溶融した母材2が構造体5を通過してセル4間を移動することが可能になり、母材2をセル構造体の全体に行きわたらせることが容易になる。また、貫通孔6の部分で構造体5が母材2と噛み合うことによって、表層部の母材2が摩耗しても構造体5を形成する超硬合金3が抜け落ちにくくなる。なお、図3に示したプレート部材5pや、図4に示したケーシング5c、および図6に示した折板部材5fにも、上記の例と同様の貫通孔6を形成することができる。
(実施例1)
続いて、本発明の実施例1について説明する。実施例1では、上記で図2を参照して説明したセル構造体のバリエーションについて、セル4の断面形状が異なっても耐摩耗ライナー1が十分な耐久性を有することを実証する。
本実施例では、実施例1A(図2(A)に示すセル構造体を採用した耐摩耗ライナー1)、実施例1B(図2(B)に示すセル構造体を採用した耐摩耗ライナー1)、および従来例(図10に示す従来の耐摩耗ライナー91)について、使用寿命を比較する実験を行った。実験では、それぞれの耐摩耗ライナーを高炉の旋回シュートに設置して、鉱石およびコークスを含む装入物を1年間に500万t〜700万t炉内に装入し、ライナーが摩耗や亀裂、破断などによって消失してシュート本体が摩耗するに至った時点をライナーの寿命とした。実験における使用温度は100℃〜700℃、装入物の平均粒径は10mmであった。実施例1Aおよび実施例1Bにおいて、構造体5の超硬合金部材の厚さは2mmであった。また、実施例1Aにおいてセル4の断面の六角形の対辺の距離は10mm、実施例1Bにおいてセル4の断面の四角形の一辺の長さは20mmであった。従来例において、超硬合金ピン93の直径は25mmであった。実験の結果を、表1に示す。
Figure 0006287500
表1に示した実験の結果から、実施例1A(セルの4断面形状が六角形)では、超硬合金3の使用量が従来例の1/17であるにもかかわらず、耐摩耗ライナー1の寿命が従来例と同等であることがわかる。また、実施例1B(セル4の断面形状が四角形)でも、実施例1Aと比べると超硬合金3の使用量が1.5倍になるものの、従来例と比べると超硬合金3の使用量はずっと少なく(およそ1/11)、また寿命が同等であることがわかる。この結果によって、本発明の実施形態ではセル構造体の形成工程などに応じて様々なセル4の断面形状を選択することが可能であることが実証されたといえる。
(実施例2)
続いて、本発明の実施例2について説明する。図8に示すように、実施例2では、上記の実施形態に係る耐摩耗ライナー1におけるセル構造体のセル4の開口幅d、および構造体5を構成する超硬合金部材の厚さtについて、より好ましい値を検証した。ここで、セル4の開口幅bは、大きいほど超硬合金3の使用量を削減できるが、大きすぎると鉱石や石灰、コークスなどの装入物のうち比較的粒径が大きいものまでがセル4内に入り込み、母材2の摩耗を進行させてしまう。また、超硬合金部材の厚さtは、薄いほど超硬合金3の使用量を削減できるが、薄すぎると耐摩耗ライナー1の表面1sへの装入物の衝突によって加わる曲げ応力のために超硬合金部材が座屈し、十分な耐久性を確保できない。
本実施例では、まず、実施例2A〜実施例2C、比較例2A、比較例2B、および従来例について、使用寿命を比較する実験を行った。実験では、上記の実施例1と同様に、それぞれの耐摩耗ライナーを高炉の旋回シュートに設置して、鉱石およびコークスを含む装入物を炉内に装入した。なお、実験の詳細な条件については、実施例1と同様であるため説明を省略する。実施例2A〜実施例2C、比較例2A、および比較例2Bでは、図8に示すような四角形断面のセル4が配列されたセル構造体を採用した耐摩耗ライナー1を使用し、セル4の開口幅dおよび超硬合金部材の厚さtをそれぞれ変化させた。また、従来例では、図10に示す従来の耐摩耗ライナー91を使用した。従来例において、超硬合金ピン93の直径は25mmであった。実験の結果を、表2に示す。
Figure 0006287500
まず、セル4の開口幅dについて、実施例2A(開口幅dが10mm)および実施例2B(開口幅dが7.0mm)では寿命が従来例と同等であるものの、比較例2A(開口幅dが12mm)では寿命が従来例の半分になっている。実施例2A、実施例2Bおよび比較例2Aでは、超硬合金部材の厚さtがいずれも1.0mmで共通であるため、比較例2Aにおける耐久性の低下は、セル4の開口幅dの変化によるものであると考えられる。実験における装入物の平均粒径が10mmであったことから、比較例2Aでは、装入物のうち比較的粒径が大きいものまでがセル4内に入り込み、母材2の摩耗を進行させた結果、耐摩耗ライナー1の寿命が従来よりも短くなったものと考えられる。この結果から、耐摩耗ライナー1において、セル4の開口幅dは、耐摩耗ライナー1の表面1sに接触する装入物の平均粒径未満であることが望ましいことがわかる。
次に、超硬合金部材の厚さtについて、実施例2A(厚さtが1.0mm)および実施例2C(厚さtが1.5mm)では寿命が従来例と同等であるものの、比較例2B(厚さtが0.8mm)では寿命が従来例の半分になっている。実施例2A、実施例2Cおよび比較例2Bでは、セル4の開口幅dがいずれも10mmで共通であるため、比較例2Bにおける耐久性の低下は、超硬合金部材の厚さtの変化によるものであると考えられる。超硬合金部材の座屈に対する強度は厚さtによって決まることから、耐摩耗ライナー1において、超硬合金部材の厚さtは、1mm以上であることが望ましいことがわかる。
本実施例では、四角形断面のセル4が配列されたセル構造体を採用した耐摩耗ライナー1について、セル4の開口幅dおよび超硬合金部材の厚さtのより好ましい値を検証した。なお、例えば図2(A)などに示すように、六角形断面や三角形断面、円形断面などのセル4が配列されたセル構造体を採用した耐摩耗ライナーについても同様のことがいえる。例えば、セル4が六角形断面の場合、セル4の開口幅(断面における内接円の直径=六角形の対辺の距離)dは耐摩耗ライナー1の表面1sに接触する装入物の平均粒径未満であることが望ましく、超硬合金部材の厚さtは1mm以上であることが望ましい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記の実施形態では、耐摩耗ライナーが高炉の旋回シュートに設置されたが、本発明の実施形態はこのような例には限られない。本発明の実施形態に係る耐摩耗ライナーは、例えば製鉄における他の工程や、セメント製造、鉱石採掘および精錬など、さまざまな製造業、鉱工業、建設業などにおいて、耐摩耗性を要するシュートなどの各種装置に設置されうる。
1 耐摩耗ライナー
2 母材
3 超硬合金
4 セル
5 構造体
6 貫通孔

Claims (4)

  1. 母材の表層部に超硬合金が埋め込まれた耐摩耗ライナーであって、
    前記超硬合金が、前記耐摩耗ライナーの表面に対して垂直な方向に開口したセルが連続的または離散的に配列されたセル構造体を形成し、
    前記セルを規定する超硬合金部材に貫通孔が形成されることを特徴とする耐摩耗ライナー。
  2. 前記セルの断面における内接円の直径が、前記耐摩耗ライナーの表面に接触する材料の平均粒径未満であることを特徴とする、請求項1に記載の耐摩耗ライナー。
  3. 前記セルを規定する超硬合金部材の厚さが1mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の耐摩耗ライナー。
  4. 前記セルは、六角形断面、四角形断面、または三角形断面を有し、連続的に配列されたハニカム構造を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐摩耗ライナー。
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