≪拡散剤組成物≫
拡散剤組成物は、半導体基板への不純物拡散成分の印刷に好適に用いられる。半導体基板の用途として、太陽電池が好適である。拡散剤組成物は、不純物拡散成分(A)と、有機溶剤(S)とを含有する。以下、拡散剤組成物に含まれる各成分について順に説明する。
<不純物拡散成分(A)>
不純物拡散成分(A)は、下式(1)で表される構成単位を含む重合体を含有する。
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Yは単結合、−O−、エステル結合、又は−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水酸基、炭素原子数1〜5のアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であり、R
1とR
2とは、それぞれ結合して環を形成してもよい。]
拡散剤組成物が、上記の重合体を不純物拡散成分(A)として含有することで、前述の堆積物の低減の効果に加え、拡散剤組成物を用いて所望する形状のパターンを印刷しやすくでき、不純物拡散成分を基板上で均一に拡散させることが可能となる。
Rの例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びiso−ペンチル基等が挙げられる。これらの中では、水素原子、及びメチル基が好ましい。
Yは、単結合、−O−、エステル結合、又は−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である。Yが、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である場合、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族部分と芳香族部分とを組み合わせて含むものであってもよい。Yにおける炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、当該置換基としては例えば、炭素数1〜5のビニルアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基等が挙げられる。
Yが、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有する炭化水素基である場合、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合、2価基であるYの末端に含まれてもよく、炭化水素基に含まれる2つの炭素原子間に含まれていてもよい。Yが、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有する炭化水素基である場合、Yは、−O−、−NH−、−C(=O)−、及びエステル結合から選択される複数の基を同時に含まない。
Yにおける炭化水素基が、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基との組み合わせである場合、炭化水素基の炭素原子数は、炭素原子数6〜10が好ましい。
Yにおける炭化水素基が、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい脂肪族炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、炭素原子数1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
Yにおける炭化水素基が、−O−、−NH−、−C(=O)−若しくはエステル結合を有してもよい芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基の炭素原子数は、炭素原子数6〜10が好ましい。
R1及びR2が、炭素原子数1〜5のアルキルオキシ基である場合の具体例としては、水素原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、及びiso−ペンチルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、及びn−ブチルオキシ基が好ましく、拡散性を考慮するとメトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。
R1及びR2は、それぞれ結合して環を形成してもよい。R1とR2とが結合して形成される環は、−O−P−O−結合と、アルキレン基とから形成される環であるのが好ましい。R1とR2とが結合して形成される環は、5〜8員環であるのが好ましく、6員環であるのがより好ましい。
R1及びR2が置換基を有してもよいアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基に含まれるアリール基は、1〜3の6員芳香族炭化水素環から構成される基が好ましい。芳香族炭化水素基が、複数の6員芳香族炭化水素環から構成される場合、芳香族炭化水素基は、ビフェニリル基のように6員芳香族炭化水素環が単結合を介して結合したものでもよく、ナフチル基のように6員芳香族炭化水素環が縮合したものであってもよい。
R1及びR2が置換基を有してもよいアリールオキシ基である場合、置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、及び炭素原子数2〜6の脂肪族アシル基、炭素数1〜6のジアルコキシホスホリル基、炭素数1〜6のジアルコキシホスホリルメチル基、炭素数1〜6のアルコキシヒドロキシホスホリル基、炭素数1〜6のアルコキシヒドロキシホスホリルメチル基、ジヒドロキシホスホリル基、ジヒドロキシホスホリルメチル基等が挙げられる。
R1及びR2が置換基を有してもよいアリールオキシ基である場合の好適な具体例としては、フェノキシ基、α−ナフトキシ基、β−ナフトキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、及び4−フェニルフェノキシ基等が挙げられる。これらの中では、フェノキシ基、α−ナフトキシ基、及びβ−ナフトキシ基が好ましく、拡散性を考慮するとフェノキシ基がより好ましい。
以上説明した、式(1)で表される構成単位を与える単量体の具体例としては、以下のものが挙げられる。
上記の式(1)で表される構成単位を含む重合体は、式(1)で表される構成単位を与える単量体と、他の単量体との共重合体であってもよい。式(1)で表される構成単位を与える単量体と共重合可能な他の単量単としては、例えば、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、及び(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、ビニル基含有シラン化合物等と共重合させてもよい。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸、これらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。
アクリル酸エステル類としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル等の直鎖又は分岐鎖アルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等の脂環式アルキルアクリレート;2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、置換基を有してもよいアリール基を含むアリールアクリレート(例えばフェニルアクリレート)等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖又は分岐鎖アルキルメタクリレート;シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート等の脂環式アルキルメタクリレート;ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、置換基を有してもよいアリール基を含むアリールメタクリレート(例えばフェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート)等が挙げられる。
アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる)、置換基を有してもよいアリール基を含むN−アリールアクリルアミド(置換基を有してもよいアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい)、置換基を有してもよいアリール基を含むN,N−アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる)、置換基を有してもよいアリール基を含むN−アリールメタクリルアミド(置換基を有してもよいアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる)、置換基を有してもよいアリール基を含むN,N−ジアリールメタクリルアミド(置換基を有してもよいアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、例えば、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、例えば、アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる)、置換基を有してもよいアリール基を含むビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等が挙げられる)が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、ナフトエ酸ビニルが挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等が挙げられる)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等が挙げられる)が挙げられる。
ビニル基含有シラン化合物類としては、例えば、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ジビニルジメチルシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等が挙げられる。
上記の式(1)で表される構成単位を含む重合体が、式(1)で表される構成単位を与える単量体と、他の単量体との共重合体である場合、重合体中の式(1)で表される構成単位の含有量は、重合体を構成する全構成単位の量に対して、70モル%以上であるのが好ましく、80モル%以上であるのが特に好ましく、90モル%以上が特に好ましい。
式(1)で表される構成単位を含む重合体の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、3000〜150000が好ましく、10000〜120000がより好ましく、30000〜100000がさらに好ましい。このような範囲内の重合体を用いることにより、良好拡散性能と、良好な塗布性又は印刷性とを備える拡散剤組成物を得やすい。
不純物拡散成分(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記の重合体の他に、不純物拡散成分として作用する種々の材料を含んでいてもよい。このような材料の例としては、リン酸モノペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノエチルヘキシル、リン酸ジエチルヘキシル、リン酸トリデシル、及びリン酸イソトリデシル等が挙げられる。
不純物拡散剤成分(A)中の、式(1)で表される構成単位を含む重合体の含有量は、不純物拡散剤成分(A)の全質量に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は、拡散剤組成物の全質量に対して、10〜50質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
<有機バインダー樹脂(B)>
拡散剤組成物は、拡散剤組成物の基板への塗布性の調整の目的等から、上記の式(1)で表される構成単位を含む重合体とは異なる樹脂成分である、有機バインダー樹脂を含んでいてもよい。有機バインダー樹脂(B)の質量平均分子量は10000以上であることが好ましい。このような分子量の有機バインダー樹脂(B)を用いることで、印刷性又は塗布性に優れる拡散剤組成物を得やすい。有機バインダー樹脂の質量平均分子量は、10000〜100000がより好ましく、10000〜50000が特に好ましい。有機バインダー樹脂(B)は、アクリル樹脂であるのが好ましい。有機バインダー樹脂(B)としてアクリル樹脂を用いる場合、不純物拡散成分(A)を良好に拡散できる拡散剤組成物を得やすい。
アクリル樹脂は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル若しくはカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導される構成単位とを含有するアクリル樹脂;又はエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位と、カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有するアクリル樹脂を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜15のアルキル基を有しているものが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及び2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、炭素数1〜5の水酸基含有アルキル基を有しているものが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができる。これらの化合物は単独若しくは2種以上組み合わせて使用できる。なお、本明細書において(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの一方あるいは両方を示す。
カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物等を例示することができる。カルボキシル基を有する重合性化合物の中では、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましい。これらの化合物は単独若しくは2種以上組み合わせて使用できる。
拡散剤組成物が有機バインダー樹脂(B)を含む場合、拡散剤組成物中の有機バインダー樹脂(B)の含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。
<SiO2微粒子(C)>
拡散剤組成物は、SiO2微粒子(C)をさらに含んでもよい。SiO2微粒子(C)の平均粒径は1μm以下が好ましい。SiO2微粒子(C)の具体例としては、ヒュームドシリカ等が挙げられる。拡散剤組成物にSiO2微粒子(C)を配合することで、拡散剤組成物にチクソ性あるいは擬塑性を付与することができる。これにより、拡散剤組成物の特性をスクリーン印刷に適したものにすることができる。
拡散剤組成物がSiO2微粒子(C)を含む場合、拡散剤組成物中のSiO2微粒子(C)の含有量は、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
<金属化合物(D)>
拡散剤組成物は、下式(D1)で表されるチタン化合物、及び下式(C2)で表されるジルコニウム化合物からなる群より選択される金属化合物(D)を含んでいてもよい。
R3 4−pTiX1 p・・・(D1)
(式(1)中、R3は有機基であり、X1は1価の有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、pは2〜4の整数である。X1のうち2以上がアルコキシ基である場合、2以上のアルコキシ基のうちの任意の2つのアルコキシ基は互いに結合してTi原子とともに環を形成してもよい。)
R4 4−qZrX2 q・・・(D2)
(式(D2)中、R4は有機基又は1価の有機配位子であり、X2は1価の有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、qは2〜4の整数である。X2のうち2以上がアルコキシ基である場合、2以上のアルコキシ基のうちの任意の2つのアルコキシ基は互いに結合してZr原子とともに環を形成してもよい。)
かかるチタン化合物及びジルコニウム化合物は、半導体基板上に形成された拡散剤組成物の塗布膜を加熱する際に縮合し、塗布膜を緻密化させる。このため、所定の構造の金属化合物(D)を含む拡散剤組成物を用いることにより、拡散剤組成物が塗布された箇所において不純物拡散成分(A)を均一且つ良好に拡散させることができ、拡散剤組成物が塗布されていない箇所への不純物拡散成分(A)の拡散を抑制できる。以下、チタン化合物と、ジルコニア化合物とについて説明する。
(チタン化合物)
チタン化合物としては、下記式(D1)で表される化合物又はその部分加水分解縮合物(オリゴマー)を用いる。
R3 4−pTiX1 p・・・(D1)
(式(D1)中、R3は有機基であり、X1は1価の有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、pは2〜4の整数である。X1のうち2以上がアルコキシ基である場合、2以上のアルコキシ基のうちの任意の2つのアルコキシ基は互いに結合してTi原子とともに環を形成してもよい。)
R3としての有機基は、特に限定されず広範囲の有機基から選択され得る。有機基は、N、O、S、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。有機基の好適な例としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は親水性基を有するものが挙げられる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、後述のR5と同様のものが挙げられる。また親水性基を有する有機基としては、例えば、以下の一般式(D3)で表されるものが例示できる。
R5−ES−R6−・・・(D3)
ここで、R5は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、ESはエステル結合を表し、R6はアルキレン基を表す。上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。また。上記アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。
親水性基としては例えば、水酸基、カルボニル基、エーテル基、特にカルボニル基の中でもエステル基(エステル結合)が挙げられる。また、R3の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。
式(D1)で表されるチタン化合物中に、有機基R3が2つ存在する場合には、各有機基は同一であっても異なっていてもよい。
X1は、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、アシルオキシ基、又は1価の有機配位子である。ケトアルコキシ基とは、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する脂肪族アルコールであるケトアルコール中の水酸基から水素原子を除いた基である。配位子が1価であるとは、金属元素に対して、金属元素の価数と同数の配位子が配位可能であることを意味する。
X1がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が特に好ましい。アルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルコキシ基の好適な具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、sec−アミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基(ステアリルオキシ基)、イソステアリルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基が挙げられる。式(D1)で表されるチタン化合物が2以上のアルコキシ基を有する場合、各アルコキシ基は同一でも異なっていてもよい。
X1がケトアルコキシ基である場合、その炭素原子数は3〜30が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜10が特に好ましい。ケトアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であてもよい。ケトアルコキシ基としては、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、sec−アミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基(ステアリルオキシ基)、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基からなる群より選択されるアルコキシ基中のアルキル鎖上にケトン性カルボニル基が導入された基が好ましい。ケトアルコキシ基の好適な具体例としては、2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ基が挙げられる。
X1がアシルオキシ基である場合、その炭素原子数は2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜10が特に好ましい。アシルオキシ基は脂肪族アシルオキシ基でもよく、芳香族アシルオキシ基でもよく、芳香族基と脂肪族基とを含むアシルオキシ基であってもよい。アシルオキシ基としては脂肪族アシルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基が脂肪族アシルオキシ基である場合、脂肪族アシルオキシ基は飽和脂肪族アシルオキシ基であってもよく、不飽和脂肪族アシルオキシ基であってもよく、飽和脂肪族アシルオキシ基であるのが好ましい。アシルオキシ基が脂肪族アシルオキシ基である場合、脂肪族アシルオキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
アシルオキシ基の好適な具体例としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、n−ヘキサデカノイルオキシ基、n−ヘプタデカノイルオキシ基、n−オクタデカノイルオキシ基(ステアロイルオキシ基)、16−メチル−n−ヘプタデカノイルオキシ基(イソステアロイルオキシ基)、n−ノナデカノイルオキシ基、及びn−イコサノイルオキシ基が挙げられる。式(D1)で表されるチタン化合物が2以上のアシルオキシ基を有する場合、各アシルオキシ基は同一でも異なっていてもよい。
X1が1価の有機配位子である場合、1価の有機配位子としては、アルカノールアミン類、カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸(塩)類、β−ジケトン、β−ケトエステル、ジオール類、及びアミノ酸類等が挙げられる。
アルカノールアミン類の具体例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びモノヒドロキシエチルモノアミノエチルアミンが挙げられる。カルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸(塩)類の具体例としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、及びサリチル酸、並びにこれらの塩が挙げられる。β−ジケトンの具体例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、及び2,4−ヘプタンジオンが挙げられる。β−ケトエステルの具体例としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、及びアセト酢酸−n−ブチルが挙げられる。ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、及びオクチレングリコール等が挙げられる。
式(D1)で表されるチタン化合物としては、例えば、オルガノアルコキシチタン化合物、テトラアルコキシチタン化合物、アルコキシケトアルコキシチタン化合物、テトラアシルオキシチタン化合物、アルコキシアシルオキシチタン化合物、アセチルアセトン−チタンキレート化合物(チタンテトラ(アセチルアセトナート))、アセチルアセトン−アルコキシチタンキレート化合物、アセト酢酸エチル−チタンキレート化合物(チタンテトラ(エチルアセトアセテート))、及びアセト酢酸エチル−アルコキシチタンキレート化合物が挙げられる。
オルガノアルコキシチタン化合物の好ましい具体例としては、アリルトリメトキシチタン、アリルトリエトキシチタン、ジアリルジメトキシチタン、及びジアリルジエトキシチタンが挙げられる。
テトラアルコキシチタン化合物の好ましい具体例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、ジイソプロポキシジ−n−ブトキシチタン、ジイソプロポキシ−ジ−t−アミルオキシチタン、ジイソプロポキシジイソステアリルオキシチタン、ジ−t−ブトキシジイソプロポキシチタン、テトラ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)チタン、テトライソオクチルオキシチタン、及びテトラステアリルオキシチタン等が挙げられる。
アルコキシケトアルコキシチタン化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジメトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジエトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノ−n−プロポキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジ−n−プロポキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリ−n−プロポキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリ−n−ブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノイソブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジイソブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリイソブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノ−t−ブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジ−t−ブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリ−t−ブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)トリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)ジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)モノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノイソオクチルオキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジイソオクチルオキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、トリイソオクチルオキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、モノステアリルオキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、ジステアリルオキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン、及びトリステアリルオキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)チタン等が挙げられる。
テトラアシルオキシチタン化合物の好ましい具体例としては、テトラn−ヘキサノイルオキシチタン、テトラn−オクタノイルオキシチタン、テトラ−2−エチルヘキサノイルオキシチタン、テトラn−ドデカノイルオキシチタン、テトラステアロイルオキシチタン、及びテトライソステアロイルオキシチタンが挙げられる。
アルコキシアシルオキシチタン化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン等のアルコキシ(n−ヘキサノイルオキシ)チタン化合物;モノメトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(n−オクタノイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(n−オクタノイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(n−オクタノイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(n−オクタノイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(n−オクタノイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(n−オクタノイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)チタン等のアルコキシ(n−オクタノイルオキシ)チタン化合物;モノメトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン等のアルコキシ(2−エチルヘキサノイルオキシ)チタン化合物;モノメトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)チタン等のアルコキシ(n−ドデカノイルオキシ)チタン化合物;モノメトキシトリ(ステアロイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(ステアロイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(ステアロイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(ステアロイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(ステアロイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(ステアロイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(ステアロイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(ステアロイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(ステアロイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(ステアロイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(ステアロイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(ステアロイルオキシ)チタン等のアルコキシ(ステアロイルオキシ)チタン化合物;モノメトキシトリ(イソステアロイルオキシ)チタン、ジメトキシジ(イソステアロイルオキシ)チタン、トリメトキシモノ(イソステアロイルオキシ)チタン、モノエトキシトリ(イソステアロイルオキシ)チタン、ジエトキシジ(イソステアロイルオキシ)チタン、トリエトキシモノ(イソステアロイルオキシ)チタン、モノイソプロポキシトリ(イソステアロイルオキシ)チタン、ジイソプロポキシジ(イソステアロイルオキシ)チタン、トリイソプロポキシモノ(イソステアロイルオキシ)チタン、モノ−n−ブトキシトリ(イソステアロイルオキシ)チタン、ジ−n−ブトキシジ(イソステアロイルオキシ)チタン、及びトリ−n−ブトキシモノ(イソステアロイルオキシ)チタン等のアルコキシ(イソステアロイルオキシ)チタン化合物が挙げられる。
アセチルアセトン−アルコキシチタンキレート化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシチタントリス(アセチルアセトナート)、ジメトキシチタンビス(アセチルアセトナート)、トリメトキシチタンモノ(アセチルアセトナート)、モノエトキシチタントリス(アセチルアセトナート)、ジエトキシチタンビス(アセチルアセトナート)、トリエトキシチタンモノ(アセチルアセトナート)、モノイソプロポキシチタントリス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、トリイソプロポキシチタンモノ(アセチルアセトナート)、モノ−n−ブトキシチタントリス(アセチルアセトナート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(アセチルアセトナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノ(アセチルアセトナート)、及び1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)等が挙げられる。
アセト酢酸エチル−アルコキシチタンキレート化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシチタントリス(エチルアセトアセテート)、ジメトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリメトキシチタンモノ(エチルアセトアセテート)、モノエトキシチタントリス(エチルアセトアセテート)、ジエトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリエトキシチタンモノ(エチルアセトアセテート)、モノイソプロポキシチタントリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリイソプロポキシチタンモノ(エチルアセトアセテート)、モノ−n−ブトキシチタントリス(エチルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリ−n−ブトキシチタンモノ(エチルアセトアセテート)、及び1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
(ジルコニウム化合物)
ジルコニウム化合物としては、下記式(D2)で表される化合物又はその部分加水分解縮合物(オリゴマー)を用いる。
R4 4−qZrX2 q・・・(D2)
(式(D2)中、R4は有機基又は1価の有機配位子であり、X2は1価の有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、qは2〜4の整数である。X2のうち2以上がアルコキシ基である場合、2以上のアルコキシ基のうちの任意の2つのアルコキシ基は互いに結合してZr原子とともに環を形成してもよい。)
R4としての有機基、並びにX2としての有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、及びアシルオキシ基は、式(D1)で表されるチタン化合物について説明した、R3としての有機基、並びにX1としての有機配位子、アルコキシ基、ケトアルコキシ基、及びアシルオキシ基と同様である。
式(D2)で表されるジルコニウム化合物としては、例えば、オルガノアルコキシジルコニウム化合物、テトラアルコキシジルコニウム化合物、アルコキシケトアルコキシジルコニウム化合物、テトラアシルオキシジルコニウム化合物、アルコキシアシルオキシジルコニウム化合物、アセチルアセトン−ジルコニウムキレート化合物(ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート))、アセチルアセトン−アルコキシジルコニウムキレート化合物、アセト酢酸エチル−ジルコニウムキレート化合物(ジルコニウムテトラ(エチルアセトアセテート))、及びアセト酢酸エチル−アルコキシジルコニウムキレート化合物が挙げられる。
オルガノアルコキシジルコニウム化合物の好ましい具体例としては、アリルトリメトキシジルコニウム、アリルトリエトキシジルコニウム、ジアリルジメトキシジルコニウム、及びジアリルジエトキシジルコニウムが挙げられる。
テトラアルコキシジルコニウム化合物の好ましい具体例としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、ジイソプロポキシジ−n−ブトキシジルコニウム、ジイソプロポキシ−ジ−t−アミルオキシジルコニウム、ジイソプロポキシジイソステアリルオキシジルコニウム、ジ−t−ブトキシジイソプロポキシジルコニウム、テトライソオクチルオキシジルコニウム、及びテトラステアリルオキシジルコニウム等が挙げられる。
アルコキシケトアルコキシジルコニウム化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノイソブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジイソブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリイソブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)トリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)ジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリ(2−エチル−n−ヘキシルオキシ)モノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノイソオクチルオキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジイソオクチルオキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、トリイソオクチルオキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、モノステアリルオキシトリ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、ジステアリルオキシジ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム、及びトリステアリルオキシモノ(2−エチル−3−オキソ−n−ヘキシルオキシ)ジルコニウム等が挙げられる。
テトラアシルオキシジルコニウム化合物の好ましい具体例としては、テトラn−ヘキサノイルオキシジルコニウム、テトラn−オクタノイルオキシジルコニウム、テトラ−2−エチルヘキサノイルオキシジルコニウム、テトラn−ドデカノイルオキシジルコニウム、テトラステアロイルオキシジルコニウム、及びテトライソステアロイルオキシジルコニウムが挙げられる。
アルコキシアシルオキシジルコニウム化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(n−ヘキサノイルオキシ)ジルコニウム化合物;モノメトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(n−オクタノイルオキシ)ジルコニウム化合物;モノメトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジルコニウム化合物;モノメトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(n−ドデカノイルオキシ)ジルコニウム化合物;モノメトキシトリ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(ステアロイルオキシ)ジルコニウム化合物;モノメトキシトリ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジメトキシジ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリメトキシモノ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノエトキシトリ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジエトキシジ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリエトキシモノ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノイソプロポキシトリ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジイソプロポキシジ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、トリイソプロポキシモノ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシトリ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム、及びトリ−n−ブトキシモノ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム等のアルコキシ(イソステアロイルオキシ)ジルコニウム化合物が挙げられる。
アセチルアセトン−アルコキシジルコニウムキレート化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジメトキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)、トリメトキシジルコニウムモノ(アセチルアセトナート)、モノエトキシジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジエトキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)、トリエトキシジルコニウムモノ(アセチルアセトナート)、モノイソプロポキシジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)、トリイソプロポキシジルコニウムモノ(アセチルアセトナート)、モノ−n−ブトキシジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジ−n−ブトキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)、トリ−n−ブトキシジルコニウムモノ(アセチルアセトナート)、及び1,3−プロパンジオキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)等が挙げられる。
アセト酢酸エチル−アルコキシジルコニウムキレート化合物の好ましい具体例としては、モノメトキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジメトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリメトキシジルコニウムモノ(エチルアセトアセテート)、モノエトキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジエトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリエトキシジルコニウムモノ(エチルアセトアセテート)、モノイソプロポキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリイソプロポキシジルコニウムモノ(エチルアセトアセテート)、モノ−n−ブトキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリ−n−ブトキシジルコニウムモノ(エチルアセトアセテート)、及び1,3−プロパンジオキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
以上、金属化合物(D)について説明したが、金属化合物(D)は2種以上の化合物を含んでいてもよい。金属化合物(D)が2種以上の化合物を含む場合、金属化合物(D)は上記式(D1)で表されるチタン化合物と上記式(D2)で表されるジルコニウムとを組み合わせて含んでいてもよい。
拡散剤組成物中の金属化合物(D)の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
<シロキサンポリマー(E)>
拡散剤組成物は、拡散剤組成物の基板への塗布性の調整の目的等から、上記の式(1)で表される構成単位を含む重合体とは異なる樹脂成分である、シロキサンポリマーを含んでいてもよい。シロキサンポリマー(E)の質量平均分子量は500〜30000であることが好ましく、1000〜10000がより好ましい。シロキサンポリマー(E)としては、2〜4官能の、アルコキシ基含有シラン化合物又はハロゲン原子含有シラン化合物を水及び触媒の存在下で加水分解又は縮合させたものが挙げられ、例えば、有機基としてアルキル基若しくはアリール基又は(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する3官能シラン化合物から合成されるポリシルセスキオキサン等が挙げられる。
<有機溶剤(S)>
拡散剤組成物は、有機溶剤(S)を含む。有機溶剤としては、極性有機溶剤が好ましい。極性有機溶剤としては、化学分野の当業者に、一般的に、極性有機溶剤として認識されているものであれば特に限定されない。また、有機溶剤(S)は、大気圧下での沸点が100℃以上である、高沸点極性有機溶剤であるのが好ましい。沸点が100℃以上である高沸点極性有機溶剤を用いることで、印刷性又は塗布性に優れる拡散剤組成物を得やすい。
有機溶剤(S)の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のモノ又はジアルキルエーテル系グリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、及び4−プロポキシブチルアセテート等のエーテル系エステル類;ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、及びイソプロピル−3−メトキシプロピオネート等のプロピオン酸エステル類;酢酸ブチル、酢酸イソアミル、アセト酢酸メチル、乳酸メチル、及び乳酸エチル等のエステル類;ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、及び2−フェノキシエタノール等の芳香族類;ブタノール、イソブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、及びシクロヘキサノール等のアルコール類;ガンマブチロラクトン等の環状エステル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール類等の極性有機溶剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
拡散剤組成物中の有機溶剤(S)の含有量は、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
<その他の成分>
拡散剤組成物は、前述の成分以外のその他の成分として、界面活性剤や添加剤をさらに含んでよい。拡散剤組成物に界面活性剤を配合することで、拡散剤組成物の、塗布性、平坦化性、及び展開性を向上させることができ、塗布後に形成される拡散剤組成物層の塗りムラの発生を減少することができる。界面活性剤成分としては、従来公知のものを用いることができるが、シリコーン系の界面活性剤が好ましい。界面活性剤成分の含有量は、拡散剤組成物の全質量に対して、100〜10000質量ppmが好ましく、300〜5000質量ppmがより好ましく、500〜3000質量ppmが特に好ましい。拡散処理後の剥離性に優れる拡散剤組成物を得やすいため、界面活性剤の含有量は、2000質量ppm以下であるのがさらに好ましい。界面活性剤成分は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
添加剤は、拡散剤組成物の粘度等の特性を調整するために必要に応じて添加される。添加剤としては、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
拡散剤組成物は、前述の成分以外のその他の成分として、外部拡散防止等の点からアルコキシシランを含んでよい。アルコキシランとしては、例えば炭素数1〜5のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランが挙げられ、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。アルコキシシランとしては、拡散剤組成物の全質量に対して0.5〜20質量%含まれることが好ましい。
以上説明した拡散剤組成物によれば、半導体基板に拡散剤組成物を塗布した後、乾燥炉で乾燥処理を行ったときに、炉内にリン化合物を大量に含む堆積物が生じることを抑制することができる。また、炉内の堆積物の量が低減される結果、堆積物に含まれるリン原子の半導体基板への落下も低減される。このようにして製造される半導体基板を用いることで、光電変換特性が安定している太陽電池を製造することができる。
≪不純物拡散層の形成方法、及び太陽電池の製造方法≫
以下、図1(a)〜図1(d)、及び図2(a)〜図2(d)を参照して、半導体基板に前述の拡散剤組成物を塗布するか、拡散剤組成物を半導体基板上に印刷してパターンを形成する工程と、拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)を半導体基板に拡散させる工程と、を含む不純物拡散層の形成方法と、これにより不純物拡散層が形成された半導体基板を備えた太陽電池の製造方法について説明する。
図1(a)〜図1(d)、及び図2(a)〜図2(d)は、不純物拡散層の形成方法を含む太陽電池の製造方法における各工程での、半導体基板の断面を示す図である。
まず、図1(a)に示すように、P型のシリコン基板等の半導体基板1を用意する。そして、図1(b)に示すように、周知のウェットエッチング法を用いて、半導体基板1の一方の主表面に、微細な凹凸構造を有するテクスチャ部1aを形成する。このテクスチャ部1aによって、半導体基板1表面の光の反射が防止される。続いて、図1(c)に示すように、半導体基板1のテクスチャ部1a側の主表面に、不純物拡散成分(A)を含有する上述の拡散剤組成物2を塗布する。
拡散剤組成物2はロールコート印刷法やスクリーン印刷法等により半導体基板1の表面に塗布される(なお、塗布膜でなくパターンを形成する場合はスクリーン印刷法が好ましい)。このようにして不純物拡散剤層を形成した後、オーブン等の周知の手段を用いて塗布した拡散剤組成物2を乾燥させる。
次に、図1(d)に示すように、拡散剤組成物2が塗布された半導体基板1を電気炉内に載置して焼成する。焼成の後、電気炉内で拡散剤組成物2中の不純物拡散成分(A)を半導体基板1の表面から半導体基板1内に拡散(熱拡散)させる。拡散工程における拡散温度は、例えば、800〜1000℃の範囲内である。なお、電気炉に代えて、レーザー照射のような慣用される方法により半導体基板1を加熱してもよい。このようにして、不純物拡散成分(A)が半導体基板1内に拡散してN型不純物拡散層3が形成される。
次に、図2(a)に示すように、周知のエッチング法により、不要な酸化膜を除去する。そして、図2(b)に示すように、周知の化学気相成長法(CVD法)、例えばプラズマCVD法を用いて、半導体基板1のテクスチャ部1a側の主表面に、シリコン窒化膜(SiN膜)からなるパッシベーション膜4を形成する。このパッシベーション膜4は、反射防止膜としても機能する。
次に、図2(c)に示すように、例えば銀(Ag)ペーストをスクリーン印刷することにより、半導体基板1のパッシベーション膜4側の主表面に表面電極5をパターニングする。表面電極5は、太陽電池の効率が高まるようにパターン形成される。また、例えばアルミニウム(Al)ペーストをスクリーン印刷することにより、半導体基板1の他方の主表面に裏面電極6を形成する。
次に、図2(d)に示すように、裏面電極6が形成された半導体基板1を電気炉内に載置して焼成した後、裏面電極6を形成しているアルミニウムを半導体基板1内に拡散させる。これにより、裏面電極6側の電気抵抗を低減することができる。以上の工程により、太陽電池10を製造することができる。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。上述の実施の形態と以下の変形例との組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
上述の実施の形態に係る拡散剤組成物は、スピンオン法、スプレー塗布法、インクジェット印刷法、ロールコート印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法等の印刷法に採用することもできる。中でもロールコート印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法が好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
不純物拡散剤(A)であるビニルジメトキシホスフィンオキシドの重合体(質量平均分子量:98,000、分散度(質量平均分子量/数平均分子量):3.7)20gと、有機溶剤(S)であるベンジルアルコール80gとを、フラスコ内で加熱しながら均一に溶解させたのち、メッシュ濾過して、実施例1の拡散剤組成物を得た。
〔実施例2〕
不純物拡散剤(A)であるビニルジメトキシホスフィンオキシドの重合体(質量平均分子量:98,000、分散度(質量平均分子量/数平均分子量):3.7)20gと、有機溶剤(S)であるベンジルアルコール75gとを、フラスコ内で加熱しながら均一に溶解させた。次いで、得られた溶液に、シリカ微粒子(平均1次粒子径7nm)5gを、均一に分散させた。メッシュ濾過して、実施例2の拡散剤組成物を得た。
〔比較例1〕
不純物拡散剤(A)であるリン酸ジエチルとリン酸モノエチルとの当モル混合物45gと、有機バインダー樹脂である、イソブチルメタクリレート(IBMA)と(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)との共重合体(質量平均分子量:30,000、共重合比率(モル比)、IBMA:HEMA=60:40)31gと、シリカ微粒子(平均1次粒子径7nm)11gと、有機溶剤(S)であるベンジルアルコール13gとを、メノウ乳鉢中で均一に混合した後、メッシュ濾過して、比較例1の拡散剤組成物を得た。
〔比較例2〕
不純物拡散剤(A)であるリン酸ジエチルとリン酸モノエチルとの当モル混合物60gと、有機バインダー樹脂である、イソブチルメタクリレート(IBMA)と(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)との共重合体(共重合比率(モル%)、IBMA:HEMA=60:40)30gと、シリカ微粒子(平均1次粒子径7nm)5gと、有機溶剤(S)であるベンジルアルコール13gとを、メノウ乳鉢中で均一に混合した後、メッシュ濾過して、比較例2の拡散剤組成物を得た。
<発生ガス分析>
各実施例、各比較例の拡散剤組成物を半導体基板に塗布後、乾燥時に生じるガスに含まれるリン原子の量を以下の手順で分析した。
(1)各実施例、各比較例の拡散剤組成物からなるペースト0.1gをシリコンウエハ30上にバーコーターで薄く広げる。
(2)図3に示す概略図のように、ホットプレート20にシリコンウエハ30を載置し、シリコンウエハ30を150℃で3分間加熱し、発生したガスをガス捕集器40に貯蔵されたガス捕集溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50に捕集させる。
(3)各拡散剤組成物について、上記(1)、(2)を10回繰り返し、ガス捕集溶剤50に捕集されたガス成分に含まれるリン原子濃度をICP−AES(ICP発光)法により測定した。
発生ガスの測定の結果、ガスを捕集した溶剤中のリン原子濃度は、実施例1及び実施例2の拡散剤組成物では0.1質量ppm未満であり、比較例1の拡散剤組成物では150質量ppmであり、比較例2の拡散剤組成物では170質量ppmであった。
以上の試験結果から、本発明の拡散剤組成物を用いる場合、ベーク時の、リン原子を含む物質の揮発が顕著に抑制されることが分かる。
<拡散性評価>
実施例1、実施例2、及び比較例1の拡散剤組成物を用いて、以下の方法に従って、拡散剤組成物の拡散性を評価した。
156mm角のN型基板の表面全面に、各実施例及び比較例の拡散剤組成物をスクリーン印刷した。印刷後、150℃、3分の条件で基板をベークした。次いで、基板を、酸素雰囲気中で、600℃、30分間焼成した後に、窒素酸素の混合ガス雰囲気中で、950℃、30分間熱拡散した。その後、濃度5質量%のHF水溶液を用いて、室温で10分間、リンガラス層(PSG)の除去処理を行った。
このようにして、不純物拡散成分の拡散を行った後、基板表面の949点の抵抗値(シート抵抗値)を測定した。基板表面の949点の抵抗値の測定結果から求められる、母標準偏差(STDEV)と、抵抗値の平均値とから、下式に従って、基板表面での抵抗値のばらつきを求めた。抵抗値のばらつきの値が小さいほど、基板表面に不純物拡散成分が均一に拡散されていることを意味する。
抵抗値ばらつき=母標準偏差(STDEV)/抵抗値平均値×100
上記の評価を行った結果、実施例1の拡散剤組成物を用いた場合の抵抗値ばらつきは12.2であり、実施例2の拡散剤組成物を用いた場合の抵抗値ばらつきは10.1であり、比較例1の拡散剤組成物を用いた場合の抵抗値ばらつきは22.3であった。つまり、本発明に係る実施例の拡散剤組成物を用いる場合、基板表面に極めて均一に不純物拡散成分を拡散させることができる。
<印刷性評価>
実施例1、実施例2、及び比較例1の拡散剤組成物を用いて、以下の方法に従って、拡散剤組成物の印刷性を評価した。
156mm角のN型基板の表面に、テトロン♯420(乳剤厚:11μm)のメッシュと、各実施例及び比較例の拡散剤組成物とを用いて、線幅200μmのラインパターンをスクリーン印刷した。印刷条件は、スキージ圧0.18MPa、クリアランス1.0mm、印刷速度300mm/sであった。印刷後、150℃、3分の条件で印刷されたラインパターンをベークし、実際に基板上に形成されたラインの幅を測定した。形成されたラインの線幅は、実施例1及び実施例2の拡散剤組成物を用いる場合230μmであり、比較例1の拡散剤組成物を用いる場合340μmであった。
本発明の拡散剤組成物は、不純物拡散成分(A)として、リン酸エステル類のような低分子量の化合物ではなく、リン原子を含む特定の構造の樹脂を含む。このため、本発明の拡散剤組成物を用いる場合、リン原子を含む物質の揮発が顕著に抑制され、基板表面に極めて均一に不純物拡散成分を拡散させることができ、印刷後のにじみが抑制され、所望する寸法のパターンを印刷できると考えられる。
〔実施例3〕
不純物拡散剤(A)であるビニルジメトキシホスフィンオキシドの重合体(質量平均分子量:98,000、分散度(質量平均分子量/数平均分子量):3.7)20gと、シリカ微粒子(平均1次粒子径7nm)5gと、有機溶剤(S)である2−フェノキシエタノール75gとを、メノウ乳鉢中で均一に混合した後、メッシュ濾過して、実施例3の拡散剤組成物を得た。
〔実施例4〕
シリカ微粒子の含有量を4.5gに変えることと、さらに金属化合物(ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート))2.66gを加えることと、2−フェノキシエタノールを72.84gに変えることとの他は、実施例3と同様にして実施例4の拡散剤組成物を得た。
〔実施例5〕
シリカ微粒子の含有量を4gに変えることと、さらに金属化合物(ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート))5.31gを加えることと、2−フェノキシエタノールを70.69gに変えることとの他は、実施例3と同様にして実施例5の拡散剤組成物を得た。
実施例3〜5の拡散剤組成物を用いて、上記の方法に従い拡散性の評価を実施し、各実施例の拡散剤組成物を用いた場合について、基板の抵抗値を測定した。抵抗値の測定により得られた、シート抵抗の最大値、シート抵抗の最小値、シート抵抗の平均値、シート抵抗の母標準偏差、及び抵抗値ばらつきを表1に記す。
実施例3と、実施例4及び5との比較によれば、拡散剤組成物に加熱により縮合可能な金属化合物(チタン化合物)を配合することによって、基板表面にさらに均一に不純物拡散成分を拡散させることができることが分かる。