JP6284009B2 - 内視鏡用クリップ装置、内視鏡用クリップ装置キットおよびクリップ - Google Patents
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Description
同文献段落[0303]によれば、従来技術1は操作部材の進退のみでクリップ装置の取付け及び結紮操作が行えるため簡便であると説明されている。
上述のとおり、従来技術1は、対向する2本の弾性アームによって、矢尻フックが把持される。ここで、2本の弾性アームが一方方向(例えば上下方向)において対向すると、対向する当該2本の弾性アーム間には、上記対向方向に対し垂直な方向(上記上下方向に対する左右方向)に隙間が形成される。
体腔内において、所望の角度にクリップの向きを調整する操作を行う場合に、体壁などにクリップが当接して応力が発生し、クリップおよびこれに連結される連結部材は、操作軸方向以外の方向に力を受ける場合がある。このとき、当該力を逃すために、2本の弾性アーム間に形成された隙間が拡張し、これらの弾性アームに一方方向から把持される円柱部が当該隙間から離脱する虞が高い。
上記空間に包含された第一係止部は、第二係止部に設けられた3つ以上の爪部によって囲まれた状態で係止される。即ち、第二係止部は、2か所を超える他方向に存在する爪部によって包囲される。そのため、クリップを体腔で操作する際に、予定しない力を受けて、操作軸方向とは異なる方向に傾斜する力がかかった場合であっても、他方向から包囲する爪部に当接するため離脱し難い。
また本発明の内視鏡用クリップ装置ユニットは、本発明の内視鏡用クリップ装置における効果を享受する。
また本発明のクリップは、構造がシンプルである。したがってたとえば一カ所の患部において、複数のクリップを用いて止血等する場合に、体内に留置されたクリップが事後の操作の妨げになり難い。本発明のクリップは、本発明の内視鏡用クリップ装置に用いられることにより、当該内視鏡用クリップ装置から離脱し難く係止状態が良好に維持される。
なお、本実施の形態では図示するように上下左右の方向を規定して説明する場合がある。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものであり、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
本発明の内視鏡用クリップ装置の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
本発明において、「自己拡開力」とは、閉じようとする外力に対して反発し、自ら開こうとする力のことをいう。
本発明を説明する際、「遠位側」とは、特に断りのない限り、内視鏡用クリップ装置、またはこれに装着されたクリップにおいて、内視鏡用クリップ装置を操作する操作者(以下、単に「操作者」という)が操作する側から遠い側をいう。具体的には、「遠位側」とは、内視鏡用クリップ装置、またはこれに装着されたクリップの先端部がある側をいう。また、「近位側」とは、特に断りのない限り、内視鏡用クリップ装置に対し、操作者が操作する側から近い側をいう。
また本発明を説明する際、特に断りがない限り、「内方向」とは、内視鏡用クリップ装置において、操作ワイヤの軸または当該軸の延長線に向かう方向を意味し、径方向における内方向を含む。また「外方向」とは、操作ワイヤの軸または当該軸の延長線から離間する方向を意味し、径方向における外方向を含む。
また本発明を説明する際に、特に断りがない限り、内視鏡用クリップ装置、またはこれに装着されたクリップに関して「断面」という場合には、操作ワイヤの伸長方向に対し垂直に切断したときの切断面を意味する。また「断面外径」とは、上述する断面における外径を意味する。上記断面が円形状でない場合には、当該断面の最長径を断面外径という。
また本発明を説明する際に、特に断りがない限り、「軸方向」とは、操作ワイヤの軸方向を意味する。
以下に、本発明の第一実施形態である内視鏡用クリップ装置100(以下、単に「クリップ装置100」という場合がある)の構成について図面を用いて説明する。
図1に示すとおり、クリップ装置100は、クリップ200を装着して用いることができる。図1は、本発明の第一実施態様を例示するクリップ装置100の斜視図であって、クリップ200が装着された状態を示す。
クリップ装置100は、例えば、近位側から指かけリング500、駆動部510、および操作部本体520を備える。操作者が、操作部本体520に対し駆動部510を相対移動させて操作することにより、シース10に挿通された操作ワイヤ20は、シース10の延伸方向に進退する。また、指かけリング500に指をかけて固定するとともに、操作部本体520の全体を軸周りに回転させる。これにより、操作ワイヤ20およびクリップ200を回転操作することができる。ただし、上述するクリップ装置100の操作に関する構成および操作の動作の説明は本実施形態にかかるクリップ装置100の一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
クリップ装置100は、長尺のシース10と、シース10の内部を進退移動可能に挿通された操作ワイヤ20と、操作ワイヤ20の遠位側に設けられクリップ200における第一係止部50と係合する第二係止部30と、を備える。第二係止部30は、近位側に位置する基端部32と、基端部32から遠位側に向けて操作ワイヤ20の軸方向に延在する3つ以上の爪部傾斜規制部146と、を有している。3つ以上の爪部34には内方向に突出した突出部36が設けられている。基端部32と3つ以上の爪部34に設けられた突出部36との間に第一係止部50を包含して係止する空間150(図3参照)が区画されている。尚、空間150とは、第一係止部50の少なくとも一部を収容可能な空間をいう。
また、第一係止部50と第二係止部30とを係合させる際、方向規制がなく取扱い性が良い。具体的には、クリップ200における第一係止部50は、等方向性の形状となっており、かつ第二係止部30における3つ以上の爪部34も操作ワイヤ20の軸延長線から等しい距離に配置されている。そのため、クリップ装置100は、回転方向に位置合わせすることなくクリップ200を装着することができる。
長尺のシース10は、長尺で可撓性の管状部材である。シース10は、たとえば金属ワイヤを長尺に巻回したコイル層(不図示)から構成することができる。コイル層の内周面には、フッ素系ポリマーからなる内層(不図示)が設けられていてもよい。あるいは、シース10を金属部材ではなく、可撓性の樹脂部材から構成してもよい。あるいは、シース10は可撓性の樹脂部材でチューブ状に形成してもよい。
第二係止部30は、近位側に位置する基端部32と、基端部32から遠位側に向けて操作ワイヤ20の軸方向に延在する3つ以上の爪部34と、を有している。本実施形態では、爪部34は、当該軸方向に対し略平行に延在している。ただし、これに限定されず、爪部34の延在方向は、軸方向成分を有して基端部32から遠位側に向かう方向であればよい。
図3に示すとおり、本実施形態における基端部32は、円筒形状をなしており、近位側端面は連結底面116で閉じられるとともに遠位側端面は開口している。基端部32の変形例として、基端部32は筒状であって、近位側は、円筒状をなすとともに、遠位側は角筒状をなすよう構成することもできる(不図示)。たとえば、貼りあわせ部分を含む基端部32の展開体を適度の厚みの金属板から裁断して、当該展開体から円筒を形成して基端部32を形成することができる。このとき、当該円筒の遠位側の外縁を含む端部領域が角筒状となるよう癖づけするなどして、円筒状から角筒状に遷移する筒状体を形成することもできる。
金属板を構成する金属材料としては、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金などを例示することができるが、これに限定されない。また上記金属部材は、適宜、耐腐食性被覆処理がなされたものであってもよい。
爪部34は、基端部32の遠位端からさらに遠位側に延在している。爪部34は、基端部32と別体で形成されたものを基端部32に接合してなるもの、あるいは基端部32と一材で一体的に形成してなるものをいずれも含む。本実施形態において爪部34は、略平板状に構成されている。爪部34の変形例としては、円筒状である基端部32の弧に沿って幅方向に湾曲した湾曲板状であるもの、基端部が湾曲状であるとともに、中間部から先端部にかけて略平板状に癖づけされたものなどを含む(不図示)。上述のとおり角筒状に癖づけした基端部32から延在する平板状の爪部34を、基端部32と一材で一体的に形成することも可能である。即ち、第二係止部30は一材で一体的に形成することが可能である。
爪部34の形状および寸法は、第二係止部30において第一係止部50を包含して係止できる範囲において適宜決定することができる。
3つ以上の爪部34で第一係止部50の周囲を包囲して、第二係止部30から第一係止部50が離脱することを良好に防止するという観点から、爪部34は、板状体であることが好ましい。本実施形態において爪部34は、板状体であって、一方の主面が内方向を向いている。これによって、第一係止部50を包囲する爪部34の面積を増大させ、第一係止部50が第二係止部30から離脱することを良好に防止する。板状体である爪部34からは、針金状の爪部34が除かれる。板状体である爪部34の幅寸法は、厚み寸法の1倍を超えるものが好ましい。ここで爪部34の幅寸法とは、爪部34の延在方向に対し垂直方向において測定される爪部34の寸法である。本実施形態において、一つの爪部34において基端側(近位側)から先端側(遠位側)まで、略同幅寸法で構成されている。ただし本実施形態はこれに限定されず、爪部34の延在方向において任意に幅寸法を変更してもよい。板状体である爪部34は、例えば図3に示すとおり略平板状であってもよいし、図示省略する湾曲板状体であってもよい。
上述は、本実施形態から、板状体以外の爪部34を除外するものではなく、爪部34は、板状体以外の任意の立体形状により構成されてもよい。
3つ以上の爪部34には内方向に突出した突出部36が設けられている。基端部32と3つ以上の爪部34に設けられた突出部36との間に第一係止部50を包含して係止する空間150が区画されている。
突出部36は、空間150に包含され第一係止部50と当接可能である。突出部36と第一係止部50とが当接することによって、第一係止部50が第二係止部30に対し近位側から遠位側に相対移動することを規制する。当該規制により、第一係止部50が第二係止部30から容易に離脱することが防止される。
図4に示すとおり、第二係止部30は、第一係止部50の断面外径bよりも、3つ以上の突出部36の頂点に内接してなる仮想の内接円110の直径aが小さくなるよう構成されている。
即ち、第一係止部50は、第二係止部30に対し遠位側から近位側に相対移動する場合に、第一係止部50が突出部36に押し当てられることにより当該突出部36に外力が付加され、当該突出部36を備える爪部34が外方向に傾斜する傾斜状態に遷移する。そして当該外力の付加が解除されると、上記傾斜状態にあった当該爪部34が自然状態に自律的に遷移する。
また、第二係止部30に係止された第一係止部50が、第二係止部30に対し近位側から遠位側に相対移動する場合も、上述と同様に傾斜状態と自然状態とに遷移してもよい。これによって、内視鏡用クリップ装置100に対するクリップ200の着脱を繰り返し行うことが可能である。あるいは、一つのクリップ装置100を用い、順次、複数のクリップ200を用いて結紮処置を行うことが可能である。
爪部34が、自律的に遷移するとは、たとえば、爪部34を弾性復元可能な部材により構成し、当該部材の復元力によって、上記傾斜状態から自然状態へ遷移することを含むが、これに限定されない。
例えば、板状体である爪部本体35の遠位側近傍において、幅方向のラインに沿って内方向に折り込んで折込み端部(図示省略)を形成し、当該折込み端部の中間部を幅方向のラインに沿って外方向に折り込むことにより、突出部36を形成することができる。
空間150は、図3に示すとおり、基端部32と3つ以上の爪部34に設けられた突出部36との間に区画されてなる領域である。空間150は、基端部32と爪部34との間において爪部本体35により第二係止部30の外側と区画されている。空間150は、第一係止部50の少なくとも一部を収容可能である。
クリップ装置100は、第一係止部50と第二係止部30とが係止された状態で操作ワイヤ20が回転操作されることにより第二係止部30が回転する。ここでクリップ装置100は、回転する第二係止部30とクリップ200とが当接することによって回転操作により発生する回転駆動力がクリップ200に伝動されるよう構成されている。
本実施態様にかかるクリップ装置100は、爪部34が自然状態であるとき、3つ以上の突出部36の頂点に内接する内接円110の直径aが第一係止部50の断面外径bよりも小さくなるよう構成されている。内接円110は、3つ以上の爪部34のそれぞれに設けられた突出部36の全てに内接している。加えて、3つ以上の突出部36の間を通過する自己拡開した2本の腕部40が内接円110と交差するよう構成されている。例えば、本実施形態は、空間150に第一係止部50の全体および第一係止部50より延在する腕部40の基端部が空間150に包含されている。このとき、腕部40は、空間150の内部から、遠位側に向かい空間150の外側へと延在しており、内接円110と交差している。
かかる構成により、腕部40が拡開した状態において、操作ワイヤ20の回転に連動して回転する第二係止部30に設けられた突出部36と、腕部40と、を直接に当接させることができる。即ち、第二係止部30の回転駆動力が、腕部40に直接に伝動される。
尚、図4には、腕部40の外側面と、対向する一対の突出部36の内側面とが当接した状態を示している。ただし、第二係止部30の回転前において、腕部40と突出部36とが当接していなくても、2本の腕部40が内接円110と交差する構成によれば、第二係止部30が回転することにより、腕部40と突出部36とは当接する。
縮径スリーブ70は、遠位側に設けられた拡径部120と、近位側に設けられたスリーブ本体122と、拡径部120およびスリーブ本体122との間に位置する段差部124と、を有している。縮径スリーブ70は、外力により少なくとも拡径部120が縮径する。縮径スリーブ70の内側面には、内方向に突出する爪部傾斜規制部146が設けられている。爪部傾斜規制部146の詳細は後述する。
本実施態様における段差部124は、スリーブ本体122と拡径部120との間においてテーパー状に形成されている。縮径スリーブ70に外力が付加されて拡径部120および段差部124が縮径することにより、縮径スリーブ70は、シース10内へ移動することが許容される。
縮径スリーブ70の構成材料は、外力により縮径可能な部材であれば特定の材質に限定されない。例えば、構成材料は、例えば金属や、樹脂、ゴムなどのエラストマーであっても良く、強度的な要求事項を考慮するならば、ステンレスなどの金属製であることが好ましい。たとえば、拡径部120が外力により縮径し易いように、拡径部120の遠位側端部から近位側に向けて切り欠かれて形成された一以上のスリットが形成されていても良い(図示せず)。例えば上記スリットは、拡径部120の遠位側端部から段差部124の少なくとも中間領域に亘るまで連続していてもよい。
即ち、クリップ装置100は、シース10の内部の所定の領域に、シース10に挿入された第二係止部30の周囲に爪部傾斜規制手段を設けることができる。
爪部傾斜規制手段は、図4に示す内接円110の直径aと第二係止部30の断面外径bとの差異をdとしたとき、爪部34とこれに対向する任意の対向部材との距離が上記dの二分の一未満となるよう当該対向部材の位置を調整する手段である。内接円110は、3つ以上の突出部36の頂点に内接する円である。爪部傾斜規制手段は、爪部34とこれに対向する任意の対向部材との距離が、0を超えて上記dの二分の一未満にとなるよう当該対向部材の位置を調整する。ここで、0を超えた距離とは、第二係止部30がシース10内を進退可能な程度に爪部34とこれに対向する任意の対向部材とが離間する距離を意味する。
爪部傾斜規制部146は、スリーブ本体122の内側面において周方向に連続的または断続的に設けられており、爪部傾斜規制部146の前端は、スリーブ本体122の遠位側端部の近傍に位置している。爪部傾斜規制部146は当該前端より近位側に向けて延在している。爪部傾斜規制部146は、後退限度位置に位置するクリップ200と係合している第二係止部30に設けられた爪部34の先端位置の近傍で終端する。たとえば、爪部傾斜規制部146は、当該先端位置より僅かに遠位側において終端する。ここで後退限度位置とは、クリップ装置100に装着されたクリップ200に関し、腕部40に設けられた拡大幅部114が締付部材60に当接してクリップ200の後退が規制される位置を意味する。
即ち、シース10内において、爪部傾斜規制部146が設けられた領域では、爪部34と爪部傾斜規制部146との距離が上記dの2分の1未満に調整される。このため、爪部34と爪部傾斜規制部146とが対向する領域では、第二係止部30から第一係止部50が離脱するに充分な程度に爪部34が外方向に傾斜することが規制される。そのため第一係止部50は、第二係止部30から離脱することが規制される。
一方、シース10内において、爪部傾斜規制部146が設けられていない領域では、爪部34の外側面とスリーブ本体122との距離は上記dの2分の1以上に確保可能である。かかる領域では、第二係止部30から第一係止部50が離脱するに充分な程度に爪部34が外方向に傾斜可能である。したがって第一係止部50は第二係止部30から離脱可能である。
また、爪部傾斜規制部146が設けられた領域では、第二係止部30が径方向に揺れることを緩やかに規制する。即ち、爪部傾斜規制部146は、第二係止部30のセンタリング部材としても機能しうる。
クリップ200は、腕部40と、腕部40の基端側に設けられた第一係止部50と、を備える。本実施形態にかかるクリップ200は、生体組織を結紮するものであり、クリップ200で生体組織を結紮することにより、例えば止血処置、縫縮およびマーキングなどの処置を行うことができる。
上記筒状体は、円筒体、角筒体、または一端が円筒に構成され、他端が各筒に構成され、中間部において円筒から角筒に遷移する筒体のいずれであってもよい。尚、図示省略するが、第一係止部50は、空間150に包含されて第二係止部30と係止可能な範囲において筒状体以外の形体であってもよい。たとえば、第一係止部50は、特に限定されないが、球状体、または柱状体などであってもよく、また中空体、中実体のいずれであってもよい。上記筒状体は、側面が全周に亘り連続していてもよいし、側面の一部に、切欠き、スリット、または開口等が設けられていてもよい。
本実施形態において、腕部40の基端と第一係止部50とは直接に連結されている。
湾曲部126が設けられることにより、クリップ装置100にクリップ200が装着された状態において、腕部40が突出部36に当接しないか、あるいは当接する場合であっても腕部40の自己拡開力に対する突出部36の応力の発生を抑制可能である。
図示省略する他の締め付け手段としては、例えば、シース10の遠位側端部にリング状の締付部材60を設け、この締付部材60に対し近位側に相対移動する腕部40を閉塞させてもよい。上記リング状の締付部材60は、周方向に亘り側周面全体が連続するリングであってもよいし、一部に切欠きやスリットが設けられていてもよい。
キット300において、クリップ200は初期よりカートリッジ130に内蔵されていてもよいし、後装填してもよい。
ここで、カートリッジ130は、カートリッジ本体138とカートリッジ本体138の開口側に設けられたガイド134を有している。カートリッジ本体138は一端が開口の筒状体であり、内部はクリップ200を収容する収容部136となっている。カートリッジ本体の内径は、シース10の内径と略同一の寸法で構成されているとともに、締付部材60の外径とも略同等である。カートリッジ本体138の開口部には、カートリッジ本体138とクリップ装置100とを対向させたときにシースの先端と当接可能なシース受部132が設けられている。シース受部132より先端側には、カートリッジ本体138の内径より拡径された内径を有するガイド134が延在している。シース受部132は、ガイド134とカートリッジ本体138との内径の差異により形成される段差によって構成されている。
図5(b)の状態から、カートリッジ130を、クリップ装置100に対し遠位側に相対移動させることによって、クリップ200は、クリップ装置100に装着された状態でカートリッジ130から離脱する。さらに、操作ワイヤ20を近位側に引くことにより、クリップ200は、シース10の内部に収容される(図6(a)参照)。
シース10の遠位側端部が結紮を要する患部近傍に至ったら、まず、操作ワイヤ20を遠位側へ押し出す。クリップ200および締付部材60がシース10先端より突出し、クリップ200は自己拡開力により自然に最大開口幅まで広がる(図示せず)。
クリップ200の位置決め終了後、クリップ200先端を結紮部位に押し当てた状態で、操作ワイヤ20を近位側へ引き込む。締付部材60は、段差部124の内側面に当接するとともに拡径部120の内側に嵌合しているため、縮径スリーブ70に対しさらに近位側に相対移動することが規制されている。このため、締付部材60が縮径スリーブ70内径を通過してシース10内へ引き込まれることはない。また、締付部材60が拡径部120に嵌合しているため、外力による縮径スリーブ70先端径の収縮が抑止され、操作ワイヤ20を大きな力で近位側に引き込んでも縮径スリーブ70がシース10内に引き込まれることがない。
操作ワイヤ20と縮径スリーブ70とは、伸縮部80によってつながっている。そのため、縮径スリーブ70がクリップ装置100に対する近位側への相対移動を規制された後も、操作ワイヤ20を近位側に引き込むことによって伸縮部80が伸びるとともに、操作ワイヤ20の先端に設けられた第二係止部30は、シース10内において更に近位側へ引き込まれる。
以上の動作により、クリップ200はクリップ装置100から離脱し、体内に留置される。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様を含む。
(1)自己拡開力により開く腕部と、前記腕部の基端側に設けられた第一係止部と、を備えるクリップを装着して用いられる内視鏡用クリップ装置であって、
長尺のシースと、前記シースの内部を進退移動可能に挿通された操作ワイヤと、前記操作ワイヤの遠位側に設けられ前記クリップにおける前記第一係止部と係合する第二係止部と、を備え、
前記第二係止部は、近位側に位置する基端部と、前記基端部から遠位側に向けて前記操作ワイヤの軸方向に延在する3つ以上の爪部と、を有し、
3つ以上の前記爪部には内方向に突出した突出部が設けられており、
前記基端部と3つ以上の前記爪部に設けられた前記突出部との間に前記第一係止部を包含して係止する空間が区画されていることを特徴とする内視鏡用クリップ装置。
(2)前記第一係止部と前記第二係止部とが係止された状態で前記操作ワイヤが回転操作されることにより前記第二係止部が回転し、回転する前記第二係止部と前記クリップとが当接することによって前記回転操作により発生する回転駆動力が前記クリップに伝動される上記(1)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(3)前記爪部が自然状態であるとき、3つ以上の前記突出部の頂点に内接する内接円の直径が前記第一係止部の断面外径よりも小さく、かつ、
3つ以上の前記突出部間を通過する自己拡開した2本の前記腕部が前記内接円と交差することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(4)前記爪部は、前記基端部から延在する爪部本体と、前記爪部本体の先端側に設けられた前記突出部とを有し、
前記爪部本体および前記突出部は、一連の板状体から構成されている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(5)前記突出部の遠位側を向く面は、近位側に向かって内方向に傾斜している上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(6)前記突出部の近位側を向く面は、近位側に向かって外方向に傾斜している上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(7)前記第一係止部が、前記第二係止部に対し遠位側から近位側および近位側から遠位側に相対移動する場合に、
前記第一係止部が押し当てられることによって前記突出部に外力が付加され、当該突出部を備える前記爪部が前記外方向に傾斜する傾斜状態に遷移し、かつ、前記外力の付加が解除されると、前記傾斜状態にあった当該爪部が自然状態に自律的に遷移する上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(8)前記シースの内部の所定の領域には、前記シースに挿入された前記第二係止部の周囲に爪部傾斜規制手段が設けられており、
前記爪部傾斜規制手段は、3つ以上の前記突出部の頂点に内接する内接円の直径と前記第一傾斜部の断面外径との差異をdとしたとき、爪部とこれに対向する任意の対向部材との距離が前記dの二分の一未満となるよう前記対向部材の位置を調整する手段である上記(3)から(7)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(9)前記シースの先端側に収納可能であり、遠位側に設けられた拡径部と、近位側に設けられたスリーブ本体と、前記拡径部および前記スリーブ本体との間に位置する段差部と、を有し、外力により少なくとも前記拡径部が縮径する縮径スリーブを有し、
前記爪部傾斜規制手段として、前記対向部材である爪部傾斜規制部が、前記スリーブ本体の内側面から内方向に突出して設けられている上記(8)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(10)上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置と、前記内視鏡用クリップ装置に使用される前記クリップと、前記クリップを前記内視鏡用クリップ装置に装着するためのカートリッジと、を備えることを特徴とする内視鏡用クリップ装置キット。
(11)上記(1)から(9)のいずれか一項に記載される内視鏡用クリップ装置に装着されるクリップであって、
自己拡開力により開く腕部と、前記腕部の基端側に設けられ、前記第二係止部に設けられた前記空間に包含されることによって第二係止部に係止可能な筒状体である第一係止部と、を備えることを特徴とするクリップ。
(12)前記筒状体である前記第一係止部および前記腕部は、一材で形成されており、前記筒状体の遠位側の外縁から延在する2本の前記腕部が互いに対向して設けられている上記(11)に記載のクリップ。
(13)前記腕部は、前記第一係止部から延在し互いに向かい合う方向に湾曲する湾曲部を備える上記(11)または(12)に記載のクリップ。
20・・・操作ワイヤ
30・・・第二係止部
32・・・基端部
34・・・爪部
35・・・爪部本体
36・・・突出部
37・・・第二傾斜面
38・・・第一傾斜面
40・・・腕部
50・・・第一係止部
60・・・締付部材
70・・・縮径スリーブ
80・・・伸縮部
90・・・センタリング部
100・・・内視鏡用クリップ装置
110・・・内接円
112・・・先端爪
114・・・拡大幅部
115・・・規制部
116・・・連結底面
120・・・拡径部
122・・・スリーブ本体
124・・・段差部
126・・・湾曲部
126a・・・湾曲腕部
126b・・・湾曲腕部
130・・・カートリッジ
132・・・シース受部
134・・・ガイド
136・・・収容部
138・・・カートリッジ本体
140・・・突起部
142・・・クリップ後退規制部
146・・・爪部傾斜規制部
150・・・空間
200・・・クリップ
300・・・内視鏡用クリップ装置キット
500・・・リング
510・・・駆動部
520・・・操作部本体
a・・・直径
b・・・断面外径
Claims (12)
- 自己拡開力により開く腕部と、前記腕部の基端側に設けられた第一係止部と、を備えるクリップを装着して用いられる内視鏡用クリップ装置であって、
長尺のシースと、前記シースの内部を進退移動可能に挿通された操作ワイヤと、前記操作ワイヤの遠位側に設けられ前記クリップにおける前記第一係止部と係合する第二係止部と、を備え、
前記第二係止部は、近位側に位置する基端部と、前記基端部から遠位側に向けて前記操作ワイヤの軸方向に延在する3つ以上の爪部と、を有し、
3つ以上の前記爪部には内方向に突出した突出部が設けられており、
前記爪部のそれぞれに設けられた前記突出部は、3つ以上の前記爪部に設けられた前記突出部の頂点に内接する内接円の中心を通り直径方向に伸長する任意の線分により前記内接円を2つの半円に分割したとき、いずれの前記半円にも1以上配置されるように分散して配置されており、
前記基端部と3つ以上の前記爪部に設けられた前記突出部との間に前記第一係止部を包含して係止する空間が区画されており、
前記第一係止部が、前記第二係止部に対し遠位側から近位側および近位側から遠位側に相対移動する場合に、
前記第一係止部が押し当てられることによって前記突出部に外力が付加され、当該突出部を備える前記爪部が外方向に傾斜する傾斜状態に遷移し、かつ、前記外力の付加が解除されると、前記傾斜状態にあった当該爪部が自然状態に自律的に遷移することを特徴とする内視鏡用クリップ装置。 - 自己拡開力により開く腕部と、前記腕部の基端側に設けられた第一係止部と、を備えるクリップを装着して用いられる内視鏡用クリップ装置であって、
長尺のシースと、前記シースの内部を進退移動可能に挿通された操作ワイヤと、前記操作ワイヤの遠位側に設けられ前記クリップにおける前記第一係止部と係合する第二係止部と、を備え、
前記第二係止部は、近位側に位置する基端部と、前記基端部から遠位側に向けて前記操作ワイヤの軸方向に延在する3つ以上の爪部と、を有し、
3つ以上の前記爪部には内方向に突出した突出部が設けられており、
前記爪部のそれぞれに設けられた突出部は、3つ以上の前記爪部に設けられた前記突出部の頂点に内接する内接円の中心を通り直径方向に伸長する任意の線分により前記内接円を2つの半円に分割したとき、いずれの前記半円にも1以上配置されるように分散して配置されており、
前記基端部と3つ以上の前記爪部に設けられた前記突出部との間に前記第一係止部を包含して係止する空間が区画されており、
前記爪部が自然状態であるとき、前記内接円の直径が前記第一係止部の断面外径よりも小さく、かつ、
3つ以上の前記突出部間を通過する自己拡開した2本の前記腕部が前記内接円と交差し、
前記シースの内部の所定の領域には、前記シースに挿入された前記第二係止部の周囲に爪部傾斜規制手段が設けられており、
前記爪部傾斜規制手段は、前記内接円の直径と前記第一係止部の断面外径との差異をdとしたとき、爪部とこれに対向する任意の対向部材との距離が前記dの二分の一未満となるよう前記対向部材の位置を調整する手段であることを特徴とする内視鏡用クリップ装置。 - 前記シースの先端側に収納可能であり、遠位側に設けられた拡径部と、近位側に設けられたスリーブ本体と、前記拡径部および前記スリーブ本体との間に位置する段差部と、を有し、外力により少なくとも前記拡径部が縮径する縮径スリーブを有し、
前記爪部傾斜規制手段として、前記対向部材である爪部傾斜規制部が、前記スリーブ本体の内側面から内方向に突出して設けられている請求項2に記載の内視鏡用クリップ装置。 - 前記第一係止部と前記第二係止部とが係止された状態で前記操作ワイヤが回転操作されることにより前記第二係止部が回転し、回転する前記第二係止部と前記クリップとが当接することによって前記回転操作により発生する回転駆動力が前記クリップに伝動される請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
- 前記爪部は、前記基端部から延在する爪部本体と、前記爪部本体の先端側に設けられた前記突出部とを有し、
前記爪部本体および前記突出部は、一連の板状体から構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。 - 前記突出部の遠位側を向く面は、近位側に向かって内方向に傾斜している請求項1から5のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
- 前記突出部の近位側を向く面は、近位側に向かって外方向に傾斜している請求項1から6のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
- 前記第一係止部が、前記第二係止部に対し遠位側から近位側および近位側から遠位側に相対移動する場合に、
前記第一係止部が押し当てられることによって前記突出部に外力が付加され、当該突出部を備える前記爪部が外方向に傾斜する傾斜状態に遷移し、かつ、前記外力の付加が解除されると、前記傾斜状態にあった当該爪部が自然状態に自律的に遷移する請求項1から7のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置と、前記内視鏡用クリップ装置に使用される前記クリップと、前記クリップを前記内視鏡用クリップ装置に装着するためのカートリッジと、を備えることを特徴とする内視鏡用クリップ装置キット。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載される内視鏡用クリップ装置に装着されるクリップであって、
自己拡開力により開く腕部と、前記腕部の基端側に設けられ、前記第二係止部に設けられた前記空間に包含されることによって第二係止部に係止可能な筒状体である第一係止部と、を備えることを特徴とするクリップ。 - 前記筒状体である前記第一係止部および前記腕部は、一材で形成されており、前記筒状体の遠位側の外縁から延在する2本の前記腕部が互いに対向して設けられている請求項10に記載のクリップ。
- 前記腕部は、前記第一係止部から延在し互いに向かい合う方向に湾曲する湾曲部を備える請求項10または11に記載のクリップ。
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