以下、本発明に係る分離型決済端末機及び据置装置の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の分離型決済端末機11の外観斜視図である。図2は、図1に示す分離型決済端末機11の側面図である。なお、本明細書中において、分離型決済端末機11は、ユーザ(操作者)が位置する側(例えば図2の左側)を前部、その反対側(例えば図2の右側)を後部として説明する。また、分離型決済端末機11の左右は、図1に示す前部側から見た左右とする。
図1に示す分離型決済端末機11は、決済端末装置13と、据置装置としてのクレードル15とを含む構成である。
決済端末装置13は、平坦面である載置面(例えば机上面17)に単体で載置可能であり、表示部19及びキー入力部21を含む。クレードル15は、机上面17に平行な底面23が机上面17上に載置され、底面23と反対側の上部に決済端末装置13が着脱自在に載置される。決済端末装置13は、単体で使用されることも、図1及び図2に示すように、クレードル15に載置された状態のまま使用することもできる。決済端末装置13は、クレードル15に載置された状態で使用されることで、クレードル15に設けられた印字機能を使用して利用明細など(例えば決済処理内容を示すレシート)のプリントアウト(印字)が可能となる。
決済端末装置13は、クレードル15に載置された場合に、単体で机上面17上に載置された場合よりも、表示部19の表示面25及びキー入力部21のキー入力面27が、クレードル15の底面23や、そのクレードル15が載置される机上面17に対して急角度となる。つまり、決済端末装置13は、クレードル15に後述する傾斜載置面29(図12参照)が設けられているために、クレードル15に対して斜めに傾いた状態にて載置される。
図3は、図1に示す決済端末装置13を右前部の斜め上方から見た斜視図である。図4は、図1に示す決済端末装置13を右後部の斜め上方から見た斜視図である。図5は、図1に示す決済端末装置13を左後部の斜め上方から見た斜視図である。図6は、図1に示す決済端末装置13を左前部の斜め下方から見た斜視図である。図7は、図1に示す決済端末装置13を左後部の斜め下方から見た斜視図である。図8は、図1に示す決済端末装置13を右後部の斜め下方から見た斜視図である。
図3に示すように、決済端末装置13は、例えば樹脂製の上筐体31と下筐体33とを有する。決済端末装置13は、単体で机上面17上に置かれる場合も、クレードル15の傾斜載置面29上に置かれる場合も、筐体上面35が後部に向かって上り傾斜となる。決済端末装置13は、机上面17に対し、前側の低い位置となる前部から、第2所定個のテンキー37と、第1所定個の電子マネー選択キー39と、表示部19とが順次高い位置(奥側)に向かって配置される。なお、各キーの配列は、例えばデビット推進協議会ガイドラインに準拠している。
第2所定個のテンキー37は、下部の取消キー41及び確定キー43と共に配列され、テンキー配置面45上に設けられている。テンキー配置面45の片側には、電源キー47、モードキー49、リセットキー51、次画面キー53よりなる動作制御キーが配列される。テンキー37は、数量、金額又はアルファベットの入力を可能とする。電源キー47は、決済端末装置13の電源のON/OFFを行う。モードキー49は、各モードの画面切り替えを行う。次画面キー53は、選択項目が複数の画面に渡る場合、次の画面に切り替えるときに押される。確定キー43は、入力データの確定を行う。取消キー41は、入力エリア内の直前の入力データを削除する。電源キー47の上方にはLEDにより構成されるインジケータ55が設けられる。インジケータ55は、例えば充電、電源ON/OFF状態、非接触ICカード検出状態等を表示する。
テンキー配置面45の上方には、特定キーとしての電子マネー選択キー39が特定キー配置面57上に設けられている。電子マネー選択キー39は、電子マネーの種類を選択する際に押下される。これらの電子マネー選択キー39と、先に説明したテンキー37、取消キー41、確定キー43、電源キー47、モードキー49、リセットキー51および次画面キー53とにより、決済端末装置13のキー入力部21(図1参照)は構成される。
ここで、キー入力部21の特定キーとしての電子マネー選択キー39は、キー入力部21のテンキー37が配置されるテンキー配置面45よりも、段差を越えた高い位置の特定キー配置面57上に設けられる。また、筐体上面35は、後部に向かって上り傾斜となっているので、特定キー配置面57は、テンキー配置面45よりも机上面17から高い位置に配置される。
図4に示すように、決済端末装置13の上筐体31には、特定キーとしての電子マネー選択キー39よりも机上面17から高い位置に所定のカード(例えば磁気カード)が挿入された後、特定キー配置面57よりも低い位置に向かってカードをスライドさせるカードパス部59が設けられる。
図5に示すように、テンキー配置面45には、テンキー37、取消キー41及び確定キー43を包囲するようにして覗き見防止フード61が予め固定されている。覗き見防止フード61は、例えば内面が曇りガラス状に処理されている。また、覗き見防止フード61の内面には凹凸が設けられているので、例えばキー入力部21への光が乱反射することで、テンキー37が均等に照明される。覗き見防止フード61は、所定の可視範囲より下からはキー入力部21をユーザ(操作者)以外の第三者に見せることができず、所謂覗き見防止の効果を有する。なお、所定の可視範囲は、決済端末装置13の左右からの覗き見に対して特に配慮するのが好ましいため、ユーザ(操作者)側にせり上がった形状としている。
なお、覗き見防止フード61に包囲される位置の筐体上面35には、テンキー照明用LED(不図示)が設けられても良い。テンキー照明用LEDの光が曇りガラス状の覗き見防止フード61の面で反射されて間接的に照明されるので、指の影が発生しにくく手元を照らすため、ユーザ(操作者)がテンキー37を押下する際の操作性を向上することができる。また、覗き見防止フード61は外部の視線から操作する指を隠すため、覗き見防止フード61を構成する面は、覗き見防止フード61のフード両側端面63(図3参照)、フード中央端面65がユーザ(操作者)の目の方向に向いている。このため、覗き見防止フード61で反射されたテンキー照明用LEDからの光は、ユーザ(操作者)の目線方向には向かわず、ユーザ(操作者)は眩しさを感じない。
図6に示すように、下筐体33の下面には、サウンド機能の出力部となるモノラルスピーカ67が設けられる。なお、決済端末装置13では、モノラルスピーカ67から出力される音声の音量を切り替えでき、更に消音も可能である。
図7に示すように、下筐体33の後部には、一対の脚部69が突設されている。脚部69は、突出先端側が机上面17に当接する。脚部69の接地面にはクッションシート71が貼着される。一方、下筐体33の前部には一対のクッションシート71のみが貼着される。決済端末装置13は、この脚部69が机上面17に当接して載置されることで、筐体上面35が机上面17に対して傾斜される(図9参照)。なお、この脚部69は、クレードル15の傾斜載置面29の後部に凹設される後述の脚収容部119に挿入される(図12参照)。
図8に示すように、下筐体33の略中央には、5つの開口が形成される。5つの開口のうち、両側の開口は突起係合穴73であり、中央の開口が本体電極75である。更に、本体電極75の両側の開口は、電力供給プラス電極77と、電力供給マイナス電極79である。電力供給マイナス電極79は、グランド(GND)の機能も兼ねる。なお、電力供給プラス電極77と電力供給マイナス電極79とは、図8とは逆の位置に配置されても良い。
一対の突起係合穴73は、クレードル15の傾斜載置面29に設けられる後述する一対の係合突起123と係合する(図12参照)。本体電極75は、クレードル15の傾斜載置面29に設けられる後述する本体検出端子125と接触する(図12参照)。電力供給プラス電極77及び電力供給マイナス電極79は、クレードル15の傾斜載置面29に設けられる後述する電力供給プラス端子129及び電力供給マイナス端子131と接触する(図12参照)。なお、電力供給マイナス端子131は、グランド(GND)の機能も兼ねる。
また、下筐体33の下面には、IrDA通信部81が設けられる。決済端末装置13は、POS(Point Of Sales)非連動型の通信手段として、IrDA機能(例えば赤外線通信)を搭載する。IrDA機能では、CPU内蔵のUATRT(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)をIrDAモードで動作させることで、IrDAモジュールと接続する。IrDA通信部81は、IrDA機能を用いることで、決済端末装置13において決済処理された利用明細など(例えばレシート)の各種数値を含む各種データをクレードル15に印字させるために、各種データをクレードル15に送信する。
図9は、図1に示す決済端末装置13の側面図と決済端末装置13の側面の一部の要部拡大図である。図10(A)は、決済端末装置13の平面図である。図10(B)は、図10(A)のA−A断面図である。図11は、図1に示す決済端末装置13の分解斜視図である。
図9に示すように、決済端末装置13には、特定キーとしての電子マネー選択キー39が配置される特定キー配置面57よりも机上面17上から高い位置に所定のカード(例えば磁気カード)が挿入された後、特定キー配置面57よりも低い位置に向かってカードをスライドさせるカードパス部59のカード導入開口部83が配置される。本実施形態において、カード導入開口部83は、カードをスライドさせる際に、カードが最初に挿入される部分であり、決済端末装置13の筐体後端側に配置される。
更に、決済端末装置13には、特定キーとしての電子マネー選択キー39が配置される特定キー配置面57よりも机上面17から高い位置に表示部19が設けられる。表示部19の表示部側面87は、カード導入開口部83の一方の導入溝内面89(図10参照)に接続されている。なお、図9に示すように、テンキー配置面45と特定キー配置面57との間には所定の高さを有する段差部91が形成される。テンキー配置面45に設けられる覗き見防止フード61は、段差部91に始端側が配置されて、段差を形成することなく特定キー配置面57と連続する。従って、特定キーとしての電子マネー選択キー39が配置される特定キー配置面57は、覗き見防止フード61の始端側とほぼ同じ高さとなるので(図9参照)、ユーザ(操作者)は、覗き見防止フード61が設けられても、電子マネー選択キー39を押下し易くなる。更に、決済端末装置13は、単体で机上面17上に載置された場合に、その表示部19の表示面25及びキー入力部21のキー入力面27が、脚部69によって、机上面17に対してキー入力部21側に傾斜する。このとき、決済端末装置13の後部側、即ち、表示部19側は、キー入力部21に対する後方からの覗き見防止の役割を、限定的ながら果たす。決済端末装置13がクレードル15(図1、図2参照)に載置される場合には、単体で机上面17上に載置された場合よりも、机上面17に対する表示面25及びキー入力面27の傾斜が更に大きくなる。よって、この場合においても、表示部19側は、キー入力部21に対する後方からの覗き見防止の役割を、限定的ながら果たす。そのため、覗き見防止フード61の始端側(後方側または特定キー配置面57側)が側方ほど高くなくても、決済端末装置13の覗き見防止の性能は十分に確保される。これにより、特定キーとしての電子マネー選択キー39は、覗き見防止フード61の始端側に近づけて配置される。そして、このことは、決済端末装置13の小型化(特に、表示面25とキー入力面27が並ぶ方向における短小化)につながる。
図10に示すように、上筐体31の一方の側面には、上述したカードパス部59が設けられている。カードパス部59は、その長手方向略中央に、磁気ヘッド93が設けられる。カードパス部59は、手動式カードスライド方式のリード専用となる。カードパス部59は、例えばJIS X 6301、6302、JIS II及びJIS I第1、第2トラック規格準拠の磁気カード95(図20(B)参照)に対応する。カードパス部59は、カードを通す隙間が一対の導入溝内面89に挟まれて形成される。一対の導入溝内面89は、カード導入開口部83で始端となる。決済端末装置13では、一対の導入溝内面89の一方が他方よりも高く、表示部側面87に連続して接続される。つまり、表示部側面87が、カード導入開口部83へカードを挿入する際の案内面として利用される。これにより、決済端末装置13は、挿入前のカードが表示部側面87に支持されて位置決め可能となり、カード挿入時の速度を安定させ、操作性を向上することができる。
このカードパス部59と、覗き見防止フード61に囲まれるテンキー37、取消キー41及び確定キー43との間には、電源キー47、モードキー49、リセットキー51及び次画面キー53よりなる動作制御キーが配置される。即ち、テンキー配置面45とカードパス部59との間には、動作制御キーが配置される。
先ほど図9を用いて述べたように、特定キーとしての電子マネー選択キー39が配置される特定キー配置面57よりも机上面17から高い位置に表示部19が設けられる。表示部19の表示部側面87は、カード導入開口部83の導入溝内面89の一方(図10参照)に接続されている。そして、図9に示すように、テンキー配置面45と特定キー配置面57との間には所定の高さを有する段差部91が形成される。
テンキー配置面45を囲む覗き見防止フード61は、その性能を確保するために、表示面25及びキー入力面27よりも、それらの鉛直方向に突出する。もしテンキー配置面45とカードパス部59とが隣接して配置されていると、カードパス部59をスライドさせる磁気カードを保持する手が、覗き見防止フード61に当たって、カードのスライドに支障をきたす可能性がある。その結果、磁気カードの読み取りが正常に行われない場合が発生する。図9及び図10に示すように、テンキー配置面45とカードパス部59との間に、電源キー47、モードキー49、リセットキー51及び次画面キー53などの、秘匿する必要のない動作制御キーを配置すれば、このような不具合が低減される。即ち、覗き見防止フード61とカードパス部59との間の距離が確保されるので、カードパス部59をスライドする磁気カードを保持する手が、覗き見防止フード61に当たることなく、磁気カードの読み取りが安定して行われる。それに加えて、必要な入力キーがより多く配置され、操作性の向上が図られる。なおかつ、決済端末装置13の小型化にも寄与する。
更に、図10に示すこの決済端末装置13において、カードパス部59における磁気ヘッド93と、テンキー配置面45と特定キー配置面57との間に所定の高さを有する段差部91との配置関係は重要である。一対の導入溝内面89の一方が他方よりも高く、表示部側面87に連続して接続され、表示部側面87が、カード導入開口部83へカードを挿入する際の案内面として利用されることは、先ほど述べた。図10(B)に示すように、一対の導入溝内面89の一方が他方よりも高い状態は、表示部側面87から段差部91まで連続している。そして、磁気ヘッド93は、決済端末装置13の側面から見て、カード導入開口部83の後側端部と、段差部91との間に配置される。これにより、決済端末装置13は、挿入前の磁気カードが表示部側面87に支持されて位置決め可能となり、なおかつ、挿入後の磁気カードを、そのスライド速度が安定した状態で、磁気ストライプの初端から終端まで、磁気ヘッド93を通過させることができる。したがって、安定した磁気カードの読み取りを行うことができる。
決済端末装置13の前部には接触式ICカード挿入口97が設けられる。接触式ICカード挿入口97の奥側には接触式ICカードリーダ(不図示)が設けられている。接触式ICカードリーダは、操作方式が手動挿入/手動排出であり、例えばEMV/ISO7816準拠カードに対応する。
図11に示すように、表示部19には、例えばTFT表示方式のカラー表示のLCD(以下、「カラーLCD」と記載する場合もある)99が使用される。LCD99の背面側にはバックライト(不図示)が配置される。バックライトは、例えば赤色や青色などのLEDによる照光が行われる。なお、このバックライトを照明するLEDが、他の部分の照明も同時に行えるような構成を備えてもよい。例えば、1つのLEDから、導光体を用いて、LCD99の周りに配置される非接触ICカードインジケータ(不図示)の一部とバックライトとを同時に照明させるようにして良い。LCD99にカードや携帯電話をかざした場合、かざし方によってはLCD99の全面が隠れてしまう可能性がある。また、この決済端末装置13は、後方がより高くなっているため、装置の後方より決済の状況を確認しようとする者にとっては、LCD99に表示される内容が確認し難い。そのために、例えば、LCD99の周辺には非接触ICカードインジケータが設けられ、LCD99の背面側にはバックライトが設けられる。そして、共通のLEDから、導光体を用いて、これら2箇所の照明が同時に行われる。これにより、少ないLED光源を用いて、決済完了や使用者に対する注意喚起の通知が行われる。これらのLED光源による照明は、LCD99上の表示を支援するものである。LCD99との併用等により、決済端末装置13によるカード決済の処理が、より確実に支障なく行われる。
LCD99の上面には、NFCアンテナ101、タッチパネル103が重ねて配置される。NFC(Near Field Communication)は、近距離無線通信規格の一つである。NFCアンテナ101は、非接触通信媒体(例えば図20に示す非接触式ICカード105)との無線通信を行なうための送受信回路用のアンテナとなる。NFCアンテナ101は、非接触式ICカードリーダ(不図示)に接続される。非接触式ICカードリーダは、ISO15443、Felica(登録商標)の規格に準拠した非接触式ICカード105を読むために、専用のNFC制御部107(図17参照)におけるNFCコントローラを使用する。非接触式ICカードリーダとNFC制御部107とは、決済端末装置13の制御基板内に搭載されているUSBハブ109(図17参照)を経由して接続される。決済端末装置13は、NFCアンテナ101を介して、送信データを常時又は間欠に送信し、電力と送信データとを受信できる範囲内にある非接触式ICカード105等からの受信データを得て、非接触式ICカード105との情報処理が行われる。
タッチパネル103には、例えば4線式抵抗膜方式のものが使用される。
図12は、図1に示すクレードル15の外観斜視図である。図13は、蓋部111が開かれたクレードル15の外観斜視図である。
図12に示すように、クレードル15は、例えば樹脂製の蓋部111とベース部113とを有する。蓋部111の上面には決済端末装置13を載置するための傾斜載置面29が形成される。傾斜載置面29の周囲には、決済端末装置13の移動を規制する周壁115が起立する。傾斜載置面29は、決済端末装置13が載置された場合に、決済端末装置13が単体で机上面17に載置された場合よりも、表示部19の表示面25及びキー入力部21のキー入力面27と机上面17との成す角度を大きくする。つまり、決済端末装置13は、クレードル15の前部が低く、後部が高くなる傾斜となっている。
蓋部111の両側には、周壁115の一部分を切り欠いた一対の本体取出凹部117が設けられる。本体取出凹部117は、傾斜載置面29に載置された決済端末装置13の側面及び下面の一部分を表出させる。これにより、クレードル15に載置された決済端末装置13の傾斜載置面29からの取り出しが容易となる。傾斜載置面29の後部には、矩形状の脚収容部119が凹設されている。脚収容部119には、決済端末装置13の脚部69が挿入される。傾斜載置面29に載置された決済端末装置13は、脚収容部119に脚部69を挿入することで、前側への滑り落ちが規制されるという効果が得られる。
蓋部111の片側には、周壁115を切り欠くことにより、蓋部ロック解除ボタン121が押下自在に配置されている。蓋部111は、ベース部113に閉められると、ベース部113に設けられるロック機構によって開動が規制されてロックされる。蓋部ロック解除ボタン121は、例えばユーザ(操作者)が押下することにより、ロック機構のロックを解除する。
傾斜載置面29の脚収容部119の前側には、左右に離間する一対の係合突起123が突設される。一対の係合突起123は、傾斜載置面29に載置された決済端末装置13の上述した一対の突起係合穴73(図8参照)に挿入される。傾斜載置面29に載置された決済端末装置13は、突起係合穴73に係合突起123が挿入することで、傾斜載置面29の所定位置に位置決めされる。
一対の係合突起123の間には、本体検出端子125が突出される。本体検出端子125は、決済端末装置13の本体電極75(図8参照)と接触する。本体検出端子125の両側には、電力供給プラス端子129と、電力供給マイナス端子131とが突出される。電力供給プラス端子129は決済端末装置13の電力供給プラス電極77(図8参照)と接触し、電力供給マイナス端子131は決済端末装置13の電力供給マイナス電極79(図8参照)と接触する。
なお、本体検出端子125、電力供給プラス端子129及び電力供給マイナス端子131を挟んで設けられる2つの係合突起123は、例えばドライバー工具などの棒状の金属体が傾斜載置面29の上側に置かれることによる電気的なショートを防ぐ。即ち、係合突起123の後方面は、各端子(本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131)の後方面よりも後方に配置され、傾斜載置面29の上側にある。これにより、棒状の金属体は、係合突起123に受け止められて各端子との接触が防止される。即ち、2つの係合突起123は、決済端末装置13を傾斜載置面29に載置する際の位置決めとともに、その間に配置される本体検出端子125、電力供給プラス端子129及び電力供給マイナス端子131の電気的なショートを防止する役割を果たす。
傾斜載置面29の前部には本体検出レバー133(図16参照)の検知凸片135が突出される。本体検出レバー133は、蓋部111に揺動自在に支持され、一方の揺動端の検知凸片135が傾斜載置面29から突出する方向にバネ(不図示)等によって回転付勢されている。
傾斜載置面29の前部の蓋部ロック解除ボタン121の反対側(右側)には、クレードル側IrDA通信部137が設けられる。クレードル側IrDA通信部137は、傾斜載置面29に載置された決済端末装置13の下筐体33に設けられるIrDA通信部81(図6参照)と対面して配置される。クレードル側IrDA通信部137とIrDA通信部81との間において行われる赤外線通信により、例えばプリンタ制御データが、決済端末装置13からクレードル15へと送信される。
図13に示すように、蓋部111は、後部に設けられる開閉部(不図示)によって開閉自在にベース部113に取り付けられる。開閉された蓋部111は、ストッパ139内にある摩擦機構によってベース部113との間に摩擦力を発生させ、開状態に保持できる。蓋部111は、ストッパ139とベース部113との間に発生する摩擦力よりも大きな力を加えることで閉動が可能となり、閉止されると蓋部ロック解除ボタン121によってロックされる。
図14は、蓋部111が開かれたクレードル15の側断面図である。図15は、クレードル15の内部収容部材の斜視図である。図16は、蓋部111が閉められたクレードル15の側断面図である。
図14に示すように、クレードル15は、クレードル15の底面23と傾斜載置面29とに挟まれる高背側内部空間141にロール紙143を収容するためのロール紙格納部145が設けられる。ロール紙143は、例えば幅58mm(印字幅48mm)、外径46mm程度のものが用いられる。クレードル15の底面23と傾斜載置面29とに挟まれる低背側内部空間147には印字排紙部149が設けられる。ロール紙格納部145と印字排紙部149との間には、アーチ状のロール案内部151が形成される。ロール案内部151から繰り出されたロール紙143は、ロール案内部151によってガイドされて印字排紙部149へ送られる。
印字排紙部149は、分割可能なプリンタ/カッタモジュール153を備える。プリンタ/カッタモジュール153は、蓋部111とベース部113との双方に渡って設けられる。プリンタ/カッタモジュール153には、プラテンローラ155、印字ヘッド157、用紙送りモータ159(図15参照)、カッタ駆動モータ161等が設けられる。印字ヘッド157は、ラインサーマル方式となる。プラテンローラ155は、蓋部111が閉じた状態において、印字ヘッド157に対向配置され、ロール紙143を挟んだ状態にする。プリンタ/カッタモジュール153は、蓋部111が閉じてロール紙143が挟まれた状態で印字ヘッド157を駆動することにより、ロール紙143に対して印刷を行う。
排紙口163の近傍には、ロール紙143からの送出紙片部を切断するための固定刃と可動刃を備えたカッタユニット(不図示)が設けられている。カッタユニットは、蓋部111が閉じたときに切断機構が構成される。この切断機構により、送出経路に搬送された送出紙片部が切断され、排紙口163からの取り出しが可能となる。
図15に示すように、印字排紙部149は、フレキシブルフラットケーブル165(FFC)によって制御基板167と接続される。
クレードル15には、ロール紙143を挟んで下側に制御基板167が設けられ、ロール紙143を挟んで上側に充電基板169が設けられる。制御基板167と充電基板169とは、接続配線としてのワイヤハーネス171によって接続されている。
充電基板169には、給電スイッチとしての機能を有する上述した本体検出端子125と、電力供給プラス端子129と、電力供給マイナス端子131とが少なくとも実装されている。また、充電基板169には、本体検出部173(図18参照)の構成部材となる本体検出センサ(フォトインタラプタ175)が下面に実装される。フォトインタラプタ175は、検知スリット177を有し、検知スリット177を挟む両側に、発光素子179(図19参照)と受光素子181とが配置されている。
また、制御基板167には、例えばロール紙への印字を制御するための制御部(例えばCPU239)と、ACアダプタ(不図示)が接続されるDCジャック183を含む電源部185とが実装されている。制御基板167の電源部185(図18参照)には、DCジャック183に接続されたACアダプタを介して、外部の商用電源(不図示)から電力が供給される。
図16に示すように、蓋部111の略中央下面側には上述した本体検出レバー133が支軸187を中心に揺動自在に設けられている。上述したように、本体検出レバー133は、一方の揺動端の検知凸片135が傾斜載置面29から突出する方向にバネ(不図示)等によって回転付勢される。または、本体検出レバー133は、一方の揺動端の検知凸片135が傾斜載置面29から突出する方向に慣性モーメントが発生するように設計されても良い。本体検出レバー133の他方の揺動端には遮蔽片189が設けられる。遮蔽片189は、検知凸片135が傾斜載置面29から突出する本体検出レバー133の揺動端では、図15に示す検知スリット177の外に配置される。
一方、遮蔽片189は、傾斜載置面29に決済端末装置13が載置されることで、検知凸片135が押し込まれて本体検出レバー133が揺動されると、フォトインタラプタ175の検知スリット177に進入する。フォトインタラプタ175は、遮蔽片189が検知スリット177に進入した場合に、発光素子179からの光が受光素子181に届かないことによって、決済端末装置13が傾斜載置面29に載置された可能性があることを検出する。また、決済端末装置13が傾斜載置面29に載置された可能性があることは、上述した本体検出端子125によっても電気的に検知される。従って、詳細は後述するが、決済端末装置13が傾斜載置面29に載置されたか否かは、フォトインタラプタ175及び本体検出端子125からの検知結果の双方の理論積を用いて判定される(図19参照)。
これに加えて、図16に示すロール案内部151は、図14においても述べたように、いわゆるアーチ状となっている。すなわち、ロール案内部151の中央部分は、ロール紙143(図14参照)の給紙側(ロール紙格納部145側)及び排紙側(排紙口163側、印字排紙部149側(図14参照))よりも、底面23(図14参照)から***した形状となっている。それに加えて、ロール案内部151は、クレードル15の蓋部111と、ベース部113との間に挟まれて、狭いギャップを形成している。これらの構成によりもたらされる効果は、次に述べる通りである。
第1に、ロール紙143が残り少なくなった時においても、ロール紙143と印字排紙部149との間の距離が一定以上確保される。そのため、印字排紙部149に配置されるプリンタ/カッタモジュール153(図14参照)での紙ジャムや印字不良が低減される。
第2に、ロール紙143より引き出された紙が、印字排紙部149のプリンタ/カッタモジュール153に給紙される前に、巻き癖が矯正される。これは、ロール案内部151のアーチ方向が、ロール紙143の巻き方向と逆になっており、且つ狭ギャップとなっているためである。これにより、プリンタ/カッタモジュール153によって印字された後の紙の取り扱いがし易くなる。ロール紙143より引き出された紙の巻き癖は、蓋部111とベース部113との双方に分割可能なプリンタ/カッタモジュール153によっても、ある程度は矯正される。しかしながら、上記の構成により、その矯正効果はさらに高まる。それに加えて、この構成は、ロール紙143の補給時においても効果がある。ロール紙143より引き出された紙は、蓋部111を閉じる際には、蓋部111とベース部113とに分割していたプリンタ/カッタモジュール153が互いに噛み合う前に、ロール案内部151によって、ロール紙143の側から順に挟まれて固定される。これにより、ロール紙143より引き出された紙は、途中でだぶつくなどのことが無く、皺が発生することも無く、印字排紙部149のプリンタ/カッタモジュール153へとスムーズに給紙される。したがって、安定した印字性能が確保される。
第3に、このロール案内部151よりも下側(底面23側)に配置される制御基板167及びそれを格納するクレードル15にとって、このロール案内部151の構造が有利に働く。制御基板167には、動作時に多くの熱を発生するCPU239や電源部185(いずれも図17において後述)が配置される。加えて、電源部185には、高背の部品が含まれる。これらの部品をロール案内部151に配置することで、放熱に必要な空気の流路や空間が確保され、装置の低背化にも寄与する。
第4に、ロール案内部151の蓋部111側にも、大きな収納空間が確保される。そのため、本体検出レバー133及び連動して動作する本体検出部173(図18、図19において詳述)、並びに本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131が実装された充電基板169が、効果的かつ容易に配置される。特に、クレードル15の後部である高背側に本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131が配置され、クレードル15の前部である低背側に本体検出レバー133の検知凸片135が配置されることには、意味がある。
クレードル15の傾斜載置面29に載置される決済端末装置13(図1等参照)は、そのユーザ(操作者)によって、クレードル15の後部である高背側より載置され易くなっている。それはまず、クレードル15の後部である高背側が、ユーザ(操作者)にとって、前部である低背側よりも近くに位置するためである。それに加えて、クレードル15の後部である高背側には、決済端末装置13のクレードル15上での位置決めを支援する脚収容部119や、係合突起123が設けられている。この構造により、ユーザ(操作者)は更に、決済端末装置13を、クレードル15の後部である高背側より載置しようとする意識が働く。その結果、決済端末装置13が載置される際には、まずクレードル15の後部である高背側に配置された本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131からなる端子部が、決済端末装置13の本体電極75、電力供給プラス電極77、電力供給マイナス電極79からなる電極部と接触する。その後で、本体検出レバー133が、決済端末装置13によって押し下げられる。
本体検出端子125は、決済端末装置13とクレードル15とが、電気的に接続しているか否かを検知するためのものである。これに対して、本体検出レバー133及びそれと連動して動作する本体検出部173は、クレードル15の傾斜載置面29における物体載置の有無を検出するためのものである。ちなみに、クレードル15の傾斜載置面29における物体載置の有無を検出するだけでは、不完全である。この場合には、本体検出レバー133を手で押し下げただけで、クレードル15の電源部185からの電力の供給が開始される。電力供給プラス端子129と、電力供給マイナス端子131との間には電圧が印加される。この時、電力供給プラス端子129および電力供給マイナス端子131は容易に手が触れられる状態になっているので、感電の可能性が高い。従って、図19において後述するが、決済端末装置13とクレードル15とからなる分離型決済端末機11は、電気的な接続と物体載置の両方とも検出した場合において、初めて、決済端末装置13がクレードル15上に載置されたと判定する。
もし、本体検出レバー133と、本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131からなる電極端子部とが、図16と逆の配置であれば、次に述べることが起きる。即ち、この場合には、先に本体検出レバー133が押し下げられて物体の載置が検出された後、電気的な接続が検知される。そうすると、電気的な接続が行われたとほとんど同時に、クレードル15の電源部185から決済端末装置13への電力の供給が開始される。この時、クレードル15の本体検出端子125、電力供給プラス端子129、電力供給マイナス端子131からなる端子部と、決済端末装置13の本体電極75、電力供給プラス電極77、電力供給マイナス電極79からなる電極部と接触が不完全な場合がある。それは、決済端末装置13のクレードル15上でのガタツキによってもたらされる。その結果、制御基板167に搭載される電源部185(図18において後述)や決済端末装置13にダメージを与える可能性がある。
これに対して、図16他に述べる構成であれば、上述した問題は発生し難くなる。即ち、先にクレードル15の各端子部と、決済端末装置13の各電極部とが接触し、電気的な接続が検知された後、本体検出レバー133が押し下げられる。決済端末装置13がクレードル15上に載置されたと判定される頃には、クレードル15の各端子部と、決済端末装置13の各電極部との接触が安定している。その結果、制御基板167に搭載される電源部185(図18において後述)や決済端末装置13にダメージを与える可能性が低減される。
次に、本実施形態の分離型決済端末機11の決済端末装置13の制御構成について、図17を参照して説明する。図17は、図1に示す決済端末装置13の内部構成を示すブロック図である。
図17に示す決済端末装置13には、決済端末装置13の各部の動作を統括するための制御部としてのCPU191が設けられる。CPU191は、NAND193と、DRAM195と、SRAM197と、第2所定個のテンキー37に対応するキーマトリックス199と、電源キー47と、インジケータ55(LED)と、タンパ制御部201と、少なくとも接続される。このうち、SRAM197と、CPU191と、タンパ制御部201とは、バックアップ電池と接続され、バックアップ電池から電力の供給を受ける。
また、CPU191は、充電制御部203と接続され、充電制御部203はメイン電池と接続され、メイン電池から電力の供給を受ける。また、充電制御部203は、例えば決済端末装置13がクレードル15の傾斜載置面29に載置された場合に、クレードル15の電源部185から給電され、又はACアダプタ(不図示)を介して、外部の商用電源(不図示)から給電される。
また、CPU191には、LCDインターフェース205を介して、(カラー)LCD99が接続される。LCDインターフェース205として動作するLCDコントローラ(不図示)は、LCD99の表示制御を行う。LCDコントローラ内には、例えば1画面分のVRAMと表示機能とが搭載され、LCDコントローラは、コマンドレジスタ(不図示)経由を用いて表示設定した後、VRAMに対象画像を描画することで、対象画像を画面に表示する。また、LCDコントローラは、バックライト駆動回路を備え、バックライト駆動回路によって、LCD99内に搭載されている白色バックライトを制御する。
また、CPU191には、タッチパネルインターフェース(TP I/F)207を介して、タッチパネル103が接続される。タッチパネル103には、例えば4線式抵抗膜方式のモジュールが使用される。TP I/F207として動作するタッチスクリーンコントローラは、例えば電位設定・入力切替スイッチと、ADCとを含み、まず始めに、一方の軸に電位を与え、反対軸の電位をADCにおいて計測することで、タッチ検出を行う。なお、タッチスクリーンコントローラは、一方の軸の両端に電位差を印加した状態で他方軸の電位をADCにおいて測定することで、相対位置を検出する。タッチスクリーンコントローラは、これらの結果を元にソフトウェアで処理を行なうことで、タッチ検出とX軸、Y軸の座標を判定する。
CPU191には、音声出力部209を介してモノラルスピーカ67が接続される。音声出力部209は、NFC制御部107によって制御される。NFC制御部107は、送受信アンプ211を介してNFCアンテナ101と接続される。また、ICC制御部215は、接触式ICカード217(例えばクレジットカード)と接続される。NFC制御部107、WLANモジュール213、ICC制御部215は、USBハブ(USB HUB)109を介して、CPU191と接続される。
NFC制御部107は、プログラムコード、パラメータ等を保存しておくためのNORフラッシュメモリと、ワークエリア、スタックとして使用するためのPSRAMを外部メモリとして有する(いずれも図示せず)。NFC制御部107は、CPU191よりUSBハブ経由でコマンドが送られ、NFC制御部107内の送受信回路とNFCアンテナ101とを経由して非接触式ICカード105との無線通信を行なう。送受信結果は、USBハブ経由でCPU191にレスポンスを返すだけでなく、コマンドによって、非接触ICカード用のインジケータ55の点灯/消灯制御や音声出力部209を経由してモノラルスピーカ67からの音声出力(例えばカードの決済音等)を実現する。
CPU191には、Bluetooth(登録商標) I/F219が接続される。Bluetooth I/F219は、BTモジュール221を介して、例えばPOS(point of sale)レジスタと接続される。これにより、決済購入の対象となる商品の商品名や金額、決済処理完了の情報が、決済端末装置13とPOSレジスタとの間で送受信可能となる。
CPU191には、FOMA(登録商標)インターフェース223が接続される。FOMAインターフェース223は、3Gモジュール225とCPU191との間における制御コマンドのやり取りや、決済端末装置13と決済サーバ(不図示)との間で送受信されるデータのやり取りを可能とする。決済端末装置13は、3Gモジュール225の通信機能を利用して、通信回線を通じて、決済サーバ(不図示)と通信を行う。決済端末装置13は、NAND193に格納される暗号化プログラムによって暗号化された暗証情報或いはカード情報を決済サーバに送信する。決済サーバは、例えば、銀行或いはクレジット会社のホストコンピュータであって、決済端末装置13から送信された暗号化済みのカード番号或いは暗証情報を復号して照合を行い、決済許可判定のための信用確認処理などを行い、所定の応答データを決済端末装置13に返信する。決済端末装置13では、決済プログラムが実行され、その応答データに対する決済処理が行われる。3Gモジュール225は、SIMスロット227とも接続される。SIMスロット227には、SIMカード(シムカード、Subscriber Identity Module Card)が挿入される。SIMカードは、GSM(登録商標)やW−CDMAなどの方式の携帯電話で使われている電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードである。
CPU191には、磁気カードインターフェース229を介して、図10(B)又は図11に示す磁気ヘッド93が接続される。磁気ヘッド93は、磁気カード95(図20(B)参照)の磁気ストライプに記録されている情報を読み取るためのものである。この他、CPU191は、LANインターフェース231と、USBインターフェース233と、RS232Cインターフェース235と、IrDAインターフェース237と接続される。
次に、本実施形態の分離型決済端末機11のクレードル15の制御構成について、図18及び図19を参照して説明する。図18は、図1に示すクレードル15の内部構成を示すブロック図である。図19は、図1に示すクレードル15の本体検出部173の内部構成を示すブロック図である。
図18に示すクレードル15は、クレードル15の各部の動作を統括するための制御部としてのCPU239が設けられる。CPU239は、プログラムメモリ又はワークメモリとしての機能を有するシリアルフラッシュ241と接続される。
また、CPU239は、ヘッドI/F243と、モータドライバ245と接続される。ヘッドI/F243及びモータドライバ245は、CPU239から送出された制御信号を、プリンタ/カッタモジュール153へ出力する。
また、CPU239は、センサSW(スイッチ) I/F247と接続される。プリンタ/カッタモジュール153からの検出信号は、センサSW I/F247を介して、CPU239へ入力される。
また、CPU239は、カッタドライバ249と接続される。カッタドライバ249は、CPU239からの制御信号をプリンタ/カッタモジュール153へ出力する。
CPU239は、図14又は図16に示す印字ヘッド157にデータ転送を行う。印字ヘッド157内のサーミスタ(不図示)は、CPU239内のADCにおいて、印字制御を行うために温度測定を行い、更に、クレードル15のハードウェア内の異常検出も行い、その測定結果及び検出結果をプリンタ/カッタモジュール153の保護回路(不図示)に入力する。保護回路は、温度異常又はタイマ異常を監視し、異常時には、印字ヘッド157への給電を止め、モータドライバ245又はカッタドライバ249を停止し、モータへの電源供給を停止する。
モータドライバ245及びカッタドライバ249は、CPU239が生成した位相信号を、例えば1−2相励磁信号に変換すると共に、それぞれ、用紙送りモータ159及びカッタ駆動モータ161(いずれも図15参照)を駆動する。センサSW I/F247は、プリンタ/カッタモジュール153内のフォトインタラプタ信号(ペーパーエンプティ、ホームポジション)を受け、ある閾値で判定した結果、及びスイッチ(プラテンオープン)の状態をCPU239に伝える。
CPU239は、クレードル側IrDA通信部137と接続される。クレードル側IrDA通信部137は、CPU239からの信号を決済端末装置13へ送る。また、CPU239は、本体検出部173と接続される。
図19に示すように、本体検出部173は、CPU239と本体検出端子125との間に接続される。図19に示す本体検出部173は、接続検知回路251と、載置検出部253と、AND回路255とを含む構成である。
接続検知回路251は、本体検出端子125が、決済端末装置13の本体電極75と電気的に接続しているか否かを検知し、検知結果信号をAND回路255に出力する。この接続検知回路251としては、例えばトランジスタによるスイッチング回路が採用される。
載置検出部253には上述したフォトインタラプタ175が設けられる。フォトインタラプタ175は、検知スリット177内の遮蔽片189の有無、即ち、傾斜載置面29における物体載置の有無を、発光素子179及び受光素子181によって検出し、検出結果信号をAND回路255に出力する。
ここで、検知スリット177内に遮蔽片189が挿通されると、発光素子179から出射した光は受光素子181において受光されない。反対に、検知スリット177内に遮蔽片189が挿通されないと、発光素子179から出射した光は受光素子181において受光される。
AND回路255は、接続検知回路251の検知結果信号と載置検出部253の検出結果信号との論理積を演算することで、本体検出部173として、決済端末装置13がクレードル15の傾斜載置面29に載置されたか否かを判定する。
また、CPU239は、給電スイッチ257と接続される。給電スイッチ257は、例えばパワートランジスタ又はパワーFETを用いて構成され、CPU239からの制御信号によって電源部185から決済端末装置13へ、電力供給プラス端子129及び電力供給マイナス端子131を介して給電する。電源部185は、ACアダプタ(不図示)から供給された電源を、クレードル15の各部(機能モジュール)が必要とする電圧を生成するボルテージレギュレータを用いて構成される。
この際、CPU239は、図19に示す本体検出部173のAND回路255の出力によって、決済端末装置13がクレードル15の傾斜載置面29に載置されたことを検出すると、初めて給電スイッチ257をONする。
上述したように、本体検出部173では、本体検出レバー133により検知スリット177が遮られると、傾斜載置面29に何かが乗っていると判断される。ただし、本体検出レバー133による判断だけでは、例えばユーザ(操作者)の手で本体検出レバー133の検知凸片135が押されただけで、決済端末装置13は載置されていないにも拘わらず、誤って電力供給プラス端子129及び電力供給マイナス端子131に電圧が印加され、感電の恐れがある。そこで、本体検出部173は、接続検知回路251と載置検出部253との理論積を取って決済端末装置13の判定を行うことにより、感電の可能性を低減することができる。
次に、図1に示す分離型決済端末機11の使用方法の一例を説明する。
図20(A)は、非接触式ICカード105の使用時の動作説明図である。図20(B)は、磁気カード95の使用時の動作説明図である。図20(C)は、接触式ICカード217の使用時の動作説明図である。図21(A)は、プリントアウト時の動作説明図である。図21(B)は、ロール紙交換時の動作説明図である。
図20(A)に示すように、分離型決済端末機11は、LCD99の表示面25が非接触通信媒体のタッチ面となる。非接触通信媒体である非接触式ICカード105又は携帯電話(不図示)が表示面25にかざされると、分離型決済端末機11の決済端末装置13は、非接触式ICカード105又は携帯電話(不図示)から送信された送信データを受信して、非接触式ICカード105又は携帯電話(不図示)との情報処理を行うことができる。
図20(B)に示すように、磁気カード95は、カードパス部59のカード導入開口部83から手前に引かれる。これにより、分離型決済端末機11の決済端末装置13は、磁気ヘッド93において、磁気カード95の情報を読み取ることができる。
図20(C)に示すように、接触式ICカード217は、決済端末装置13の前部に設けられた接触式ICカード挿入口97から、突き当たるまで挿入される。これにより、分離型決済端末機11の決済端末装置13は、接触式ICカード217の情報を読み取ることができる。接触式ICカードリーダは、カード半挿しタイプで、処理後はユーザ(操作者)の手で接触式ICカード217が抜かれる。
なお、決済端末装置13は、例えばICを用いた情報の読み取りを優先するので、例えば接触式ICカード217がカードパス部59のカード導入開口部83から手前に引かれることで磁気を読み取ると、接触式ICカード挿入口97に挿入する旨のメッセージを表示部19に表示して誘導する。
また、決済端末装置13は、例えばICを用いた情報読み取りができなかった場合(例えばICが搭載されていないカードである場合)には、カードパス部59からの情報読み取りをユーザ(操作者)に促す旨のメッセージを表示部19に表示して誘導する。
図21(A)に示すように、決済端末装置13と決済センター(不図示)との間の決済処理が完了した後、クレードル15の前部に設けられている排紙口163からは利用明細等(例えばレシート)が排出される。利用明細等は、印字されたロール紙143が、カッタユニットによって所定長にカットされて排出される。
図21(B)に示すように、例えばロール紙143が無くなった場合には、ユーザ(操作者)によって蓋部ロック解除ボタン121が押下され、クレードル15の蓋部111が開かれる。ロール紙格納部145にロール紙143が投入され、ロール紙先端側を排紙口163にセットして蓋部111が閉鎖される。この際、蓋部111の閉動を検知することで、カッタユニットを自動で作動させても良い。
次に、上述した分離型決済端末機11の作用を説明する。
分離型決済端末機11は、決済端末装置13が、単体で机上面17に載置された場合又はクレードル15の傾斜載置面29に載置された場合でも、図1に示すように、キー入力面27及び表示面25がユーザ(操作者)側に傾き、ユーザに対する操作性及び視認性を向上することができる。
また、決済端末装置13は、単体で机上面17に載置された場合よりも、クレードル15に載置された場合に、キー入力面27及び表示面25が底面23又は机上面17に対して急角度となる。即ち、決済端末装置13は、クレードル15に載置されたことでユーザ(操作者)の目の高さに近づくと、キー入力面27及び表示面25が急角度に起き、ユーザ(操作者)に対面する側に傾く。これにより、決済端末装置13は、キー入力面27及び表示面25とユーザ(操作者)の視線とのなす角度が高さ位置に応じて適切に設定され、ユーザ(操作者)に対する視認性及び操作性を向上することができる。
決済端末装置13は、単体で机上面17に載置される場合も、クレードル15の傾斜載置面29上に載置される場合も、筐体上面35が後部に向かって上り傾斜となる。決済端末装置13は、机上面17に対し、前側の低い位置となる前部から、テンキー37、電子マネー選択キー39、表示部19が順次高い位置(奥側)に向かって配置される。
更に、テンキー配置面45と特定キー配置面57との間の筐体上面35には段差部91(図9参照)が設けられており、電子マネー選択キー39は、テンキー37よりもより高く配置されている。また、決済端末装置13では、暗証情報入力部となるテンキー37には、例えば覗き見防止のための覗き見防止フード61が取り付けられる。テンキー配置面45に覗き見防止フード61が取り付けられた場合であっても、段差部91によって電子マネー選択キー39が高い位置に配置されているので、電子マネー選択キー39が押し難くなることがない。これにより、決済端末装置13は、セキュリティと操作性とが同時に確保される。
また、決済端末装置13は、キー入力面27及び表示面25が後部に向かって上り傾斜となり、前側の低い前部から、テンキー37、電子マネー選択キー39、表示部19が順次に高い後部に向かって配置される。電子マネー選択キー39は、筐体上面35の前後方向の略中央に配置される。カードパス部59のカード導入開口部83は、電子マネー選択キー39よりも後方に位置する。
これにより、カードパス部59は、カード導入開口部83から前部のカード排出開口部259(図1参照)までの距離が、決済端末装置13の前後方向の全長の半分以上の長い距離で確保される。カードパスが長く取れると、カード導入開口部83から磁気ヘッド93(図10参照)までの距離が長く確保できる。その結果、決済端末装置13は、カードの磁気記録部が磁気ヘッド93を通過する際の通過速度が安定して、読取エラーが低減される。
決済端末装置13は、カードパス部59が、カードを通す隙間が一対の導入溝内面89に挟まれて形成される。一対の導入溝内面89は、カード導入開口部83で始端となる。決済端末装置13では、一対の導入溝内面89の一方が表示部側面87に連続して接続される。つまり、表示部側面87が、カード導入開口部83へカードを挿入する際の案内面として利用される。これにより、決済端末装置13は、挿入前のカードが表示部側面87に支持されて位置決め可能となり、カード挿入時の速度を安定させ、操作性を向上することができる。
次に、クレードル15は、クレードル15の上部に設けられた傾斜載置面29に載置される決済端末装置13のユーザ(操作者)に対する視認性及び操作性を向上するために、クレードル15の傾斜載置面29が後部に向かって上り傾斜となる。このため、クレードル15の傾斜載置面29と底面23との間には、後部に高背側内部空間141が形成され、前部に低背側内部空間147が形成される。
従って、大きな空間を有するクレードル15の高背側内部空間141に、例えば外径の大きいロール紙143を収容するためのロール紙格納部145が配置される。高背側内部空間よりも小さな空間を有する低背側内部空間147に、外径が小さく分割可能な印字排紙部149が配置される。これにより、分離型決済端末機11では、クレードル15は、例えば外径の大きなロール紙143を格納することができるので、クレードル15の形状の制約によって形成される内部の大小スペースを有効利用でき、無駄なスペースの生じない効率的な配置を実現することができる。また、クレードル15は、印字排紙部149を前部に配置することができ、印字済みのロール紙143(利用明細などのレシート)の取り出し操作性を向上することができる。
クレードル15は、決済端末装置13の充電機能を有する。決済端末装置13は、傾斜載置面29に載置された状態で充電される。傾斜載置面29に載置された決済端末装置13は、クレードル15の充電基板169上に実装された給電スイッチを介して充電される。制御基板167は、ロール紙143への印字を制御する制御部(CPU239)が実装され、比較的大きな面積で薄厚形状となる。充電基板169及び制御基板167の位置関係及び形状の制約を低減するために、充電基板169は傾斜載置面29に近接して配置されることが好ましく、制御基板167は他の機能部と干渉の少ないクレードル15の底面近傍に配置されることが好ましい。
また、クレードル15は、後部のロール紙格納部145から前部の印字排紙部149にロール紙143を供給するために、制御基板167と充電基板169との間に、狭ギャップのロール案内部151が形成される。その結果、クレードル15は、薄厚の制御基板167とロール案内部151と充電基板169とが底面23から順次に積層配置され、且つ、制御基板167と充電基板169とがロール紙143を上下に挟むようにワイヤハーネス171を介して接続されているので、無駄なスペースの生じない効率的な配置を実現することができる。
従って、本実施形態に係る分離型決済端末機11、決済端末装置13、クレードル15によれば、多種のカード決済に対応でき、セキュリティ或いは操作性に配慮しながら、各機能部を効率的に配置してコンパクト化することができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。