以下、遊技機の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10には、発射ハンドルHDが設けられている。発射ハンドルHDが回動動作されることにより、遊技盤YBへ遊技球が発射される。
次に、遊技盤YBの構成を詳しく説明する。
図1に示すように、遊技盤YBには、特別図柄表示装置11が配設されている。この実施形態において特別図柄表示装置11は、遊技領域YBaの左下方に位置している。特別図柄表示装置11では、特別図柄変動ゲームが行われる。
特別図柄変動ゲームでは、大当りか否かの大当り抽選の抽選結果に応じた特別図柄が導出される。特別図柄は、大当りを認識し得る大当り図柄と、はずれを認識し得るはずれ図柄に分類される。
遊技盤YBには、各種の装飾を施したセンター役物SYが装着されているとともに、センター役物SYに開口されたセット口SYaには画像表示部GHを有する演出表示装置13が配設されている。演出表示装置13の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置13では、特別図柄変動ゲームに関連する表示演出が行われる。表示演出の一例として、飾り図柄を用いた飾り図柄変動ゲームなどが行われる。
また、演出表示装置13には、特別図柄変動ゲームの表示結果に応じた表示結果が表示される。特別図柄変動ゲームで大当り図柄が導出される場合には、演出表示装置13にも飾り図柄による大当りの図柄組み合わせが導出される。また、特別図柄変動ゲームではずれ図柄が導出される場合には、演出表示装置13にも飾り図柄によるはずれの図柄組み合わせが導出される。
また、遊技盤YBには、遊技球が入球可能な複数の入賞口が配設されている。入賞口には、第1始動入賞口14と、第2始動入賞口15と、大入賞口17を含む。
第1始動入賞口14は、特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動入賞口14は、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。また、この実施形態において第1始動入賞口14は、センター役物SYの下方に位置している。また、第1始動入賞口14の奥方には、入球した遊技球を検知する検知手段(図3に示す第1始動センサSE1)が配設されている。
第2始動入賞口15も、第1始動入賞口14と同様、特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第2始動入賞口15は、第1始動入賞口14の下方に位置している。第2始動入賞口15は、普通当りとするか否かの普通当り抽選の当選時に、開閉羽根(普通電動役物)16が開動作を行うことによって、遊技球が入球し易い状態をとるように開放される。一方、第2始動入賞口15は、開閉羽根16が閉動作を行うことによって、遊技球が入球し難い状態をとるように閉鎖される。開閉羽根16は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて動作する。この実施形態では、図3に示すアクチュエータAC1によって開閉羽根16が動作される。また、第2始動入賞口15の奥方には、入球した遊技球を検知する検知手段(図3に示す第2始動センサSE2)が配設されている。
大入賞口17は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において大入賞口17は、第2始動入賞口15の下方に位置している。
この実施形態におけるパチンコ遊技機10は、確率変動機能を備えている。確率変動機能は、大当り遊技の終了後、大当り抽選の抽選確率を高確率状態とする確率変動状態(以下、確変状態と示す)を付与する機能である。確変状態中は、大当り抽選の抽選確率が低確率状態である非確率変動状態(以下、非確変状態と示す)中に比して、大当り抽選に当選する確率が高い。また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、特定領域に遊技球を入球させる、若しくは通過させることにより、確変状態を付与するための条件が成立するパチンコ遊技機であって、「V確機」とも言われている。なお、この種のパチンコ遊技機では、確変状態を付与するか否かを決定するための乱数抽選を行っていない。
大入賞口17は、入球口17aと、大入賞口扉18と、排出流路19と、第1特別部としての第1特別入賞部20と、第2特別部としての第2特別入賞部21と、第1特別検知手段としての第1特典センサTS1と、第2特別検知手段としての第2特典センサTS2と、振分装置22と、アクチュエータAC2と、によって構成されている。
図1に示すように、大入賞口扉18は、入球口17aの前方に配置されている。大当り抽選に当選したことによって大入賞口扉18が開動作を行うことにより、遊技球の入球が許容されるように入球口17aが開放される。一方、大入賞口扉18が閉動作を行うことによって、遊技球を入球させることが不能となるように入球口17aが閉鎖される。大入賞口扉18は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて動作する。この実施形態では、図3に示すアクチュエータAC2によって大入賞口扉18が動作される。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技盤YBの裏側において、入球口17aと機外部とを結ぶ排出流路19が形成されている。また、排出流路19は、入球口17aに入球した遊技球が入球可能な第1特別入賞部20と第2特別入賞部21に分岐している。この実施形態における第1特別入賞部20と第2特別入賞部21は、通路状をなしている。また、第1特別入賞部20と第2特別入賞部21の分岐地点には、振分装置22が位置している。
以下、図2(a)及び図2(b)に従って、振分装置22の詳細について説明する。
振分装置22は、半円板状の基板22aと、該基板22aの中心から径方向に延在する複数(この実施形態では3つ)の球受片22bと、を有し、基板22aと球受片22bによって、球受部22cが画成されている。
振分装置22は、図2(a)に示すように遊技球(図中に符号「B」を付す)を第1特別入賞部20へ案内する第1姿勢と、図2(b)に示すように遊技球を第2特別入賞部21へ案内する第2姿勢と、を取り得るように回動変位可能となっている。
そして、振分装置22は、図2(a)に示す第1姿勢のときに、入球口17aへ入球した遊技球の自重によって反時計回り(図中に符号「Z1」を付す方向)に回動することで、遊技球を第1特別入賞部20へ案内する。一方、振分装置22は、図2(b)に示す第2姿勢のときに、入球口17aへ入球した遊技球の自重によって時計回り(図中に符号「Z2」を付す方向)に回動することで、遊技球を第2特別入賞部21へ案内する。
なお、振分装置22は、図2(a)に示す第1姿勢から遊技球を第1特別入賞部20へ案内した後、図2(b)に示す第2姿勢を取り得るように姿勢が保持されるとともに、図2(b)に示す第2姿勢から遊技球を第2特別入賞部21へ案内した後、図2(a)に示す第1姿勢を取り得るように姿勢が保持される。また、振分装置22は、遊技球を1球ずつ第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ交互に案内する。
そして、この実施形態では、振分装置22よりも下方に、第1特別入賞部20に入球した(第1特別入賞部20を通過した)遊技球を検知する第1特典センサTS1(図3に示す)が配設されている。また、振分装置22よりも下方に、第2特別入賞部21に入球した(第2特別入賞部21を通過した)遊技球を検知する第2特典センサTS2(図3に示す)が配設されている。
パチンコ遊技機10では、第1特典センサTS1で遊技球が検知されると、確変状態の付与条件が成立し得る。さらに、パチンコ遊技機10では、第1特典センサTS1で遊技球が検知されると、遊技球(賞球)の払出条件が成立し得る。この実施形態では、第1特典センサTS1が、確変状態の付与条件を成立させるための契機と、賞球の払出条件を成立させるための契機の両方を与えていることになる。
同様に、パチンコ遊技機10では、第2特典センサTS2で遊技球が検知された場合も、確変状態の付与条件が成立し得る。さらに、パチンコ遊技機10では、第2特典センサTS2で遊技球が検知されると、遊技球(賞球)の払出条件が成立し得る。よって、この実施形態では、第2特典センサTS2も、確変状態の付与条件を成立させるための契機と、賞球の払出条件を成立させるための契機の両方を与えていることになる。
また、この実施形態において特典センサTS1,TS2は、振分装置22よりも下方に配設されている。このような構成により、入球口17aに入球した遊技球は、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21に振り分けられ、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で必ず検知されることになる。
図1の説明に戻り、遊技盤YBには、作動ゲート23が配設されている。この実施形態において作動ゲート23は、センター役物SYの左方に位置している。また、作動ゲート23には、常時、遊技球を入球させることが可能となるように開放されたゲート口24が開口されている。ゲート口24には、入球し、通過する遊技球を検知するセンサ(図3に示すゲートセンサGS)が配設されている。作動ゲート23のゲート口24は、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。普通図柄変動ゲームでは、普通当り抽選の抽選結果が普通図柄の導出によって報知される。
また、遊技盤YBには、保留表示装置25及び普通図柄表示装置26が配設されている。これらの表示装置は、パチンコ遊技機10を正面視した場合に遊技者が視認可能な遊技盤YBの部位に位置している。
保留表示装置25は、特別図柄変動ゲームの実行が保留されていること、詳しくは、実行が保留されている特別図柄変動ゲームの数(特別図柄保留数(保留情報))を表示する。普通図柄表示装置26では、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームが行われ、当該普通図柄変動ゲームにおいて普通当り抽選の抽選結果に応じた普通図柄が導出される。
また、パチンコ遊技機10では、前述したように確変状態が付与されるようになっているが、該確変状態は、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。
また、パチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、大当り遊技の終了後、特定の入賞口(この実施形態では、第2始動入賞口15)への単位時間あたりの入球率を、非入球率向上状態時よりも向上させる入球率向上状態を付与する機能である。この実施形態において入球率向上状態は、確変状態と同じく、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。
特定の入賞口への入球率を向上させる方法は、例えば、普通図柄変動ゲームの変動時間を、非入球率向上状態よりも短縮する方法であってもよい。また、普通当り抽選の当選確率を非入球率向上状態よりも高確率とする方法であってもよい。また、普通当り抽選に当選した場合、普通当り抽選への1回の当選に基づく開閉羽根16の開放時間を非入球率向上状態よりも長くする方法であってもよい。また、特別図柄変動ゲームの変動時間、特にはずれ図柄が導出される特別図柄変動ゲームの変動時間を非入球率向上状態中に比して短縮させる方法であってもよい。また、これらの方法を任意に組み合わせてもよい。
次に、大当り遊技について説明する。
大当り遊技は、特別図柄変動ゲームにて大当り図柄が導出されて該ゲームが終了した後、開始される。大当り遊技では、入球口17aが開放されるラウンド遊技が、予め定めた規定ラウンド数(この実施形態では、15ラウンド)を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技中に入球口17aは、規定個数(この実施形態では9球)の遊技球が入球口17aに入球する(規定個数の遊技球が特典センサTS1,TS2で検知される)第1終了条件、又は規定時間(この実施形態では25秒)が経過する第2終了条件のうち一方が成立するまでの間、開放される。そして、全てのラウンド遊技が終了すると、大当り遊技は終了する。この実施形態では、大当りの種類を、「15ラウンドの大当り遊技を付与する大当り」の1種類としている。
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について説明する。
図3に示すように、パチンコ遊技機10には、主基板30や副基板31を含む各種基板が搭載されている。
主基板30には、主制御用CPU30a、主制御用ROM30b、主制御用RAM30c、及び乱数生成回路30dが備えられている。主制御用CPU30aには、各種表示装置11,25,26、各種センサSE1,SE2,GS,TS1,TS2、各種アクチュエータAC1,AC2が接続されている。
主制御用ROM30bには、主制御用CPU30aが遊技に関する処理を実行するための主制御プログラムが記憶されている。
また、主制御用ROM30bには、各種の判定値が記憶されている。例えば、主制御用ROM30bには、大当り抽選で用いられる大当り判定値と、普通当り抽選で用いられる普通当り判定値が記憶されている。大当り判定値には、非確変状態時の大当り抽選で用いる非確変状態時用の大当り判定値と、確変状態時の大当り抽選で用いる確変状態時用の大当り判定値がある。
主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
主制御用CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、主制御用RAM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。乱数生成回路30dは、マイクロプロセッサに搭載された図示しないクロック回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、大当り抽選に用いる大当り乱数や、普通当り抽選に用いる普通当り乱数となる。
主基板30の主制御用CPU30aは、各種センサSE1,SE2,GS,TS1,TS2からの遊技球の検知信号をもとに入力処理を行う。
主制御用CPU30aは、始動センサSE1,SE2からの検知信号を入力した場合の入力処理において、特別図柄変動ゲームの保留を記憶する処理や大当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。また、主制御用CPU30aは、大当り遊技中に特典センサTS1,TS2からの検知信号を入力した場合の入力処理において、所定個数の賞球を払出すための処理を行う。また、主制御用CPU30aは、特典センサTS1,TS2からの検知信号を入力した場合の入力処理において、確変状態を付与するか否かを振り分ける処理を行う。また、主制御用CPU30aは、ゲートセンサGSからの検知信号を入力した場合の入力処理において、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの保留を記憶する処理や普通当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。
また、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの実行条件が成立している場合、特別図柄変動ゲームを開始させる変動開始処理を行う。特別図柄変動ゲームの実行条件は、大当り遊技中ではないこと、及び実行中の特別図柄変動ゲームが存在しないことによって成立する。
変動開始処理において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留情報をもとに、特別図柄変動ゲームを開始させるための各種処理を行う。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームを開始させる処理として、前述した入力処理において取得した各種乱数の値に基づき、大当り抽選を行い、その抽選結果をもとに特別図柄変動ゲームで導出させる特別図柄の種類や、特別図柄変動ゲームの変動時間を特定可能な変動パターンを決定する。大当り抽選に当選した場合、主制御用CPU30aは、特別図柄として大当り図柄を決定するとともに、大当り演出用の変動パターンを決定する。また、大当り抽選に当選しなかった場合、主制御用CPU30aは、特別図柄としてはずれ図柄を決定するとともに、はずれ演出用の変動パターンを決定する。
そして、主制御用CPU30aは、前述した決定事項を特定可能な各種制御情報を副基板31に出力するための出力処理を行い、これらの制御情報は所定のタイミングで順次、副基板31に出力される。この実施形態では、前述した各種制御情報に変動パターンを特定可能な制御情報を含む。また、主制御用CPU30aは、変動開始処理後、特別図柄変動ゲームを開始させる。つまり、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置11を制御し、変動時間の経過時に特別図柄を導出させる。
次に、大当り遊技に関する制御について説明する。
主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの終了後、大当り遊技の制御を開始する。また、主制御用CPU30aは、大当り遊技の開始に伴って、大当り遊技の開始を指定する開始指定コマンドを出力する。次に、主制御用CPU30aは、各ラウンド遊技の開始時に、各ラウンド遊技の開始を指示するラウンドコマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、大入賞口扉18の開放及び閉鎖を制御する。主制御用CPU30aは、規定個数の遊技球が入球すること(第1終了条件)、又は規定時間が経過すること(第2終了条件)を契機に大入賞口扉18を閉鎖させる。この一連の制御を規定ラウンド数に達するまで実行する。そして、規定ラウンド数のラウンド遊技が終了すると、主制御用CPU30aは、大当り遊技の終了を指定する終了指定コマンドを出力する。そして、主制御用CPU30aは、大当り遊技を終了させる。
次に、確変状態や入球率向上状態に関する処理について説明する。
主制御用CPU30aは、確変状態を付与する場合、主制御用RAM30cに記憶される遊技状態を特定可能な情報(例えばフラグ)を、確変状態が付与されていることを特定可能な情報とする。この実施形態では、主制御用RAM30cにおいて確変状態の付与態様を示す確変フラグが設定されており、確変状態を付与する場合、大当り遊技終了後に、確変フラグの値として「1」を設定するようになっている。一方、非確変状態を付与する場合、確変フラグの値として「0」を設定するようになっている。また、主制御用CPU30aは、入球率向上状態を付与する場合、前述した遊技状態を特定可能な情報を、入球率向上状態が付与されていることを特定可能な情報とする。この実施形態では、主制御用RAM30cにおいて入球率向上状態の付与態様を示す作動フラグが設定されており、入球率向上状態を付与する場合、大当り遊技終了後に、作動フラグの値として「1」を設定するようになっている。一方、非入球率向上状態を付与する場合、作動フラグの値として「0」を設定するようになっている。なお、主制御用CPU30aは、確変状態や入球率向上状態の終了条件が成立した場合、前述した遊技状態を特定可能な情報を、非確率変動状態や非入球率向上状態を特定可能な情報とする。
次に、副基板31について説明する。
副基板31には、副制御用CPU31a、副制御用ROM31b、及び副制御用RAM31cが備えられている。副制御用CPU31aには、演出表示装置13が接続されている。
副制御用CPU31aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、副制御用RAM31cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。副制御用ROM31bには、遊技演出の実行などに関する処理を実行するための複数の副制御プログラムが記憶されている。
また、副制御用ROM31bには、表示演出用の表示演出データが記憶されている。副制御用RAM31cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
副基板31の副制御用CPU31aは、主基板30から送信される制御情報をもとに当該制御情報に応じた制御を行う。例えば、副制御用CPU31aは、変動パターンを特定可能な制御情報を入力することで、演出表示装置13において飾り図柄変動ゲームを行わせるように表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、飾り図柄変動ゲームの開始に伴い、当該ゲームに付随する発光演出や音声演出を行わせるように装飾ランプの発光態様やスピーカの音声出力態様も制御する。
以上のような制御構成を備えた本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ遊技球が入球すると、その入球に基づき、大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態とするか否か(大当り遊技終了後に確変状態を付与するか否か)を制御的に振り分ける。なお、この実施形態では、確変状態を得るためのチャンスが全てのラウンド遊技に与えられているのではなく、特定回数目のラウンド遊技(実施形態では7ラウンド目のラウンド遊技)に与えられている。
以下、図4及び図5にしたがって、大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態とするかを制御的に振り分ける処理内容について具体的に説明する。
この実施形態において主基板30は、第1特典センサTS1の検知結果を入力した際に、大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態に制御するための制御条件(以下、確変付与条件と示す)を成立させるか、該制御条件を成立させないかの判定指標とするための第1期間及び第2期間を生成するタイマ機能を備えている。これとは別に、主基板30は、第2特典センサTS2の検知結果を入力した際に、確変付与条件を成立させるか、該確変付与条件を成立させないかの判定指標とするための第1期間及び第2期間を生成するタイマ機能を備えている。
第1期間は、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ入球した遊技球に基づき、確変付与条件を成立させると判定する期間であり、第2期間は、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ入球した遊技球に基づき、確変付与条件を成立させないと判定する期間である。また、このタイマ機能は、所定の制御周期(例えば4ms)毎にカウントを行い、計時する機能でも良いし、例えばクロック回路などのハードウェアを用いて計時する機能でも良い。
そして、主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1に関し、タイマ機能によって第1所定時間T1が計時される毎に、第1期間と第2期間とを切り替える。この切り替えにおいて主制御用CPU30aは、例えば第1所定時間T1毎に、第1期間を特定可能な情報(例えばフラグ)と第2期間を特定可能な情報(例えばフラグ)を交互に主制御用RAM30cの記憶領域にセットする。このとき、主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1に関する期間であることを特定可能な情報を合わせてセットする。このように期間を特定可能な情報をセットすることにより、第1特典センサTS1に関し、第1期間と第2期間とが第1所定時間T1毎に交互に生起される。また、主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第1期間から計時させるようにしている。
また、第1所定時間T1が、ラウンド遊技の終了に係る第1終了条件又は第2終了条件が成立するまでに要する時間よりもはるかに短い場合、1回のラウンド遊技において、第1期間と第2期間を1セットとするサイクルが複数存在可能となる。このような場合、1回のラウンド遊技において第1期間が複数回存在し得ることになる。また、以下の説明において第1特典センサTS1に関する期間を特定可能な情報を「第1の期間特定情報」と示す。
同様に、主制御用CPU30aは、第2特典センサTS2に関し、タイマ機能によって第2所定時間T1が計時される毎に、第1期間と第2期間とを切り替える。この切り替えにおいて主制御用CPU30aは、例えば第2所定時間T1毎に、第1期間を特定可能な情報(例えばフラグ)と第2期間を特定可能な情報(例えばフラグ)を交互に主制御用RAM30cの記憶領域にセットする。このとき、主制御用CPU30aは、第2特典センサTS2に関する期間であることを特定可能な情報を合わせてセットする。このように期間を特定可能な情報をセットすることにより、第2特典センサTS2に関しても、第1期間と第2期間とが第2所定時間T1毎に交互に生起される。また、主制御用CPU30aは、第2特典センサTS2に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第2期間から計時させるようにしている。また、以下の説明において第2特典センサTS2に関する期間を特定可能な情報を「第2の期間特定情報」と示す。
また、この実施形態では、第1所定時間T1と第2所定時間T1を同一時間としているため、特典センサTS1,TS2において一定期間内に同一の期間(第1期間と第2期間)が重複することがない。つまり、第1特典センサTS1に関して第1期間が生起されている期間中、第2特典センサTS2に関して第2期間が生起される。同様に、第1特典センサTS1に関して第2期間が生起されている期間中、第2特典センサTS2に関して第1期間が生起される。つまり、この実施形態では、特定回数目のラウンド遊技中、確変付与条件を成立させることが可能な第1期間が、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2において交互に、かつ複数回、生起されることになる。
ちなみに、この実施形態において主制御用CPU30aは、特定回数目のラウンド遊技中のみ、タイマ機能を作動させ、その他のラウンド遊技では、タイマ機能を作動させないようになっている。この実施形態では、特定回数目のラウンド遊技中が、第1期間と第2期間が交互に生起される「特定期間」に相当する。
図4は、特典センサTS1,TS2からの検知信号を入力した場合に行う入力処理を概念的に示したフローチャートである。主制御用CPU30aは、図4に示す入力処理を、大当り遊技の開始に伴って、所定の制御周期(例えば、4ms)毎に実行するようになっている。
図4のステップS1において主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2からの検知信号をもとに、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で遊技球が検知されたかを判定する。ステップS1において主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2からの検知信号が入力されていない場合には、入力処理を終了する。一方、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2からの検知信号が入力されている場合、主制御用CPU30aは、ステップS2に移行する。ステップS2において主制御用CPU30aは、特定回数目のラウンド遊技であるかを判定する。なお、この実施形態において主制御用CPU30aは、各回数目のラウンドコマンドを出力した後、該コマンドで指示されるラウンド数を特定可能な情報を、主制御用RAM30cの記憶領域に一時的に記憶しておく。これにより、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容を読み出すだけで、特定回数目のラウンド遊技であるかを判定することができる。
特定回数目のラウンド遊技である場合、主制御用CPU30aは、ステップS3に移行し、特定回数目のラウンド遊技中に第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2で検知された遊技球のカウント数を1加算する。このカウント値は、主に、入力処理とは別に行われる大当り遊技中の処理において、前述したラウンド遊技の第1終了条件が成立したかを判定するために用いられる。また、このカウント値は、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2で検知された遊技球の合計カウント数である。そして、遊技球のカウント数を1加算した後、主制御用CPU30aは、ステップS3の処理に基づき、賞球の払出しを指示する(ステップS4)。
続いて、主制御用CPU30aは、ステップS5の処理に移行し、タイマ機能によって生起されている期間が第1期間であるかを判定する。ステップS5において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにセットされている期間特定情報を参照する。このとき、主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1からの検知信号を入力しているときには、第1の期間特定情報を参照する。一方、主制御用CPU30aは、第2特典センサTS2からの検知信号を入力しているときには、第2の期間特定情報を参照する。そして、主制御用CPU30aは、第1の期間特定情報又は第2の期間特定情報から第1期間を特定した場合、ステップS6へ移行する。
ステップS6に移行した主制御用CPU30aは、確変付与条件が成立していないかを判定する。この実施形態では、第1期間中の第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21への入球が判定された場合、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されるようになっている。ただし、特定回数目のラウンド遊技において第1期間中の第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21への入球が複数回判定された場合は、初回の判定に基づいて前記情報が設定されるようになっているため、2回目以降の入球による判定に基づいて前記情報が設定されることはない。
一方、特定回数目のラウンド遊技が終了するまでの間において、第1期間中の第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21への入球が判定されなかった場合は、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されないようになっている。これにより、ステップS6において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容を確認することで、確変付与条件が既に成立している状態であるのか、成立していない状態であるのかを確認することが可能となる。
ステップS6の判定結果が否定の場合、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されているということになる。つまり、今回よりも前の入球に基づき、確変付与条件が既に成立した状態となっていたことになる。この場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域の内容を書き換えることなく、入力処理を終了する。
一方、ステップS6の判定結果が肯定の場合、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されていないということになる。つまり、今回の入球で初めて、確変付与条件が成立したことになる。これにより、主制御用CPU30aは、ステップS7の処理に移行し、確変付与条件を成立させる。主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報を設定することで、確変付与条件を成立させる。その後、主制御用CPU30aは、入力処理を終了する。この実施形態では、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されていなければ、第1期間での入球に基づいて確変付与条件を成立させている。つまり、特定のラウンド遊技が開始してから最初に入球した遊技球でなくても、ラウンド遊技の第1終了条件となる規定個数の遊技球が入球するまでの間において、いずれかの遊技球が第1期間に入球していると判定された場合には、確変付与条件が成立することになる。言い換えると、特定のラウンド遊技が開始してから最初に入球した遊技球が第1期間に入球したと判定された場合、当然のごとく、確変付与条件が成立する。その一方で、特定回数目のラウンド遊技中に入球した1〜8球目の遊技球が第2期間に入球したと判定されたとしても、9球目の遊技球が第1期間に入球したと判定されたときには、確変付与条件が成立することになる。
一方、ステップS5において第1の期間特定情報又は第2の期間特定情報から第2期間を特定した場合、主制御用CPU30aは、確変付与条件を成立させることなく、入力処理を終了する。すなわち、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に、確変付与条件が成立したことを示す情報を設定することなく、入力処理を終了する。
一方、特定回数目のラウンド遊技ではない(ステップS2:NO)場合も、主制御用CPU30aは、当該ラウンド遊技中に第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で検知された遊技球のカウント数を1加算する(ステップS8)。その後、主制御用CPU30aは、ステップS8の処理に基づき、賞球の払出しを指示する(ステップS9)。つまり、主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2からの検知信号を入力した場合、検知信号を入力したラウンド遊技がどのラウンド遊技であっても、賞球の払出しを指示することになる。ただし、特定回数目のラウンド遊技ではない場合、確変付与条件が成立しない。
なお、主制御用CPU30aは、大当り遊技終了後、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域の記憶内容を確認する。確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されている場合、主制御用CPU30aは、確変フラグに「1」を設定し、大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態に制御する。一方、確変付与条件が成立したことを示す情報が設定されていない場合、主制御用CPU30aは、確変フラグに「0」を設定し、大当り遊技終了後の遊技状態を非確変状態に制御する。すなわち、特定回数目のラウンド遊技中、第1期間中に入球していると一度も判定されず、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で検知された遊技球が、全て第2期間中に入球していると判定された場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が非確変状態に制御されることになる。また、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにおける所定の記憶領域に設定していた確変付与条件に係る情報を任意のタイミングで消去する。このタイミングは、例えば、確変フラグにいずれかの値を設定した後でもよいし、次の大当り遊技の開始時などであってもよい。
前述したように、この実施形態では、1回のラウンド遊技において第1期間が複数回存在し得る。したがって、例えば、特定回数目のラウンド遊技が開始してから1回目の第1期間中に第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21への入球が判定されなかったとしても、2回目以降の第1期間中に第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21への入球が判定されたのであれば、確変付与条件が成立することになる。つまり、特典センサTS1,TS2で最初に検知された遊技球が第1期間に入球していると判定されなくても、特定回数目のラウンド遊技が終了するまでの間に1球でも第1期間中に入球していると判定されれば、確変付与条件が成立することになる。よって、特定回数目のラウンド遊技が継続している限り、確変状態を得るためのチャンスが継続していることになる。
この実施形態では、第1の期間特定情報に基づき、ステップS5を肯定判定することが、第1特典センサTS1の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定していることに相当する。また、第1の期間特定情報に基づき、ステップS5を否定判定することが、第1特典センサTS1の検知結果をもとに遊技球が第2期間に入球していると判定していることに相当する。同様に、第2の期間特定情報に基づき、ステップS5を肯定判定することが、第2特典センサTS2の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定していることに相当する。また、第2の期間特定情報に基づき、ステップS5を否定判定することが、第2特典センサTS2の検知結果をもとに遊技球が第2期間に入球していると判定していることに相当する。
さらに、主制御用CPU30aが行う、特典センサTS1,TS2の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定した場合には、確変付与条件を成立させる一方で、遊技球が第2期間に入球していると判定した場合には、確変付与条件を成立させないという制御が、制御手段に相当する。
以下、図5に基づき、この実施形態のパチンコ遊技機10の作用について説明する。
図5に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10において、その他のラウンド遊技では、第1期間と第2期間とが生起されない。ただし、特定回数目(7ラウンド目)のラウンド遊技が開始されると、主基板30に搭載されているタイマ機能によって、第1特典センサTS1に関し、第1期間と第2期間とが、第1所定時間毎(図中の第1所定時間T1毎)に交互に生起される。また、第1特典センサTS1に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第1期間から計時させるようにしているため、第1期間が生起された後に第2期間が生起される。同様に、第2特典センサTS2に関しても、7ラウンド目のラウンド遊技が開始されると、第1期間と第2期間とが、第2所定時間毎(図中の第2所定時間T1毎)に交互に生起される。また、第2特典センサTS2に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第2期間から計時させるようにしているため、第2期間が生起された後に第1期間が生起される。また、確変付与条件を成立させることが可能な第1期間が、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2において交互に、かつ複数回、生起されることになる。
したがって、図5に示すように、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ入球したことによって図4の入力処理を行った結果、ステップS2で特定回数目のラウンド遊技ではないと判定された場合(例えば、1ラウンド目のラウンド遊技)には、確変付与条件が成立しない。符号a,bで示す入球を、1ラウンド目のラウンド遊技中に特典センサTS1,TS2で検知された遊技球とする。この場合、符号a,bで示す入球に基づいては、確変付与条件が成立しない。
一方、ステップS2で特定回数目のラウンド遊技と判定された場合、ステップS5で第1期間に入球していると判定されたときには、既に確変付与条件が成立していなければ(ステップS6:YES)、確変付与条件が成立する。符号cで示す入球は、特定回数目のラウンド遊技が開始されてから第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて最初に検知された1球目の遊技球に相当するので、該入球によって初めて確変付与条件が成立することになる。よって、大当り遊技終了後、符号cで示す入球(この例では、第1特典センサTS1で検知された遊技球)に基づいて確変状態が付与されることになる。
また、符号dで示す入球は、特定回数目のラウンド遊技が開始されてから第2特典センサTS2で検知された1球目の遊技球に相当する。ただし、符号dで示す入球よりも符号cで示す入球の方が先であった場合、符号dで示す入球は、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて検知された2球目の遊技球に相当することになる。この場合、符号cで示す入球に基づき、既に確変付与条件が成立していることになるので、図4に示すステップS6の処理が否定判定され、確変付与条件が成立しない。
一方、符号cで示す入球がなければ、符号dで示す入球は、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて最初に検知された1球目の遊技球に相当することになる。この場合、確変付与条件が成立し、その結果、大当り遊技終了後に確変状態が付与されることになる。つまり、第1特別入賞部20に遊技球が入球したが、第2期間に入球したと判定された場合であっても、その後、第2特別入賞部21に遊技球が入球し、第1期間に入球したと判定されたのであれば、確変状態が付与されることになる。よって、特別入賞部が単数の場合に比して、確変状態を得られるチャンスが、理論上、2倍となる。
また、特定回数目のラウンド遊技が開始されてから第1特典センサTS1で検知された2球目の遊技球を符号eで示す。そして、符号eで示す遊技球が、ステップS5で第2期間に入球していると判定された場合は、確変付与条件が成立しない。そして、特定回数目のラウンド遊技中、第1期間に入球していると一度も判定されず、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2で検知された遊技球が、全て第2期間に入球していると判定された場合には、確変付与条件が成立することなく、特定回数目のラウンド遊技が終了することになる。したがって、大当り遊技終了後、非確変状態が付与される。
また、特定回数目のラウンド遊技が開始されてから第1特典センサTS1で検知された3球目の遊技球を符号fで示す。そして、符号fで示す遊技球が、ステップS5で第1期間に入球していると判定されたとする。ただし、符号cで示す遊技球に基づき、確変付与条件が既に成立している状態であるため、ステップS6の処理が否定判定されるので、確変付与条件が成立しない。
ところで、パチンコ遊技機10は、発射強度を一定に保った状態で遊技球を打ち出した場合、その打ち出された遊技球が遊技領域YBaに到達するタイミングはほぼ一定の間隔である。しかし、遊技領域YBaに到達した遊技球は、遊技領域YBaに配設された釘などの遊技構成部材によって流下速度や流下方向に変化が加えられること、並びに打ち出した全ての遊技球が入球口17aへ入球するとは限らないこと、から一定の間隔で打ち出しても入球口17aへはランダムに入球する。さらに、この実施形態では、入球口17aよりも下方に第1特別入賞部20と第2特別入賞部21が配設され、かつ第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21のいずれかに遊技球を振り分ける振分装置22が配設されている。これにより、打ち出された遊技球は、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ交互に入球することになる。
それに加え、この実施形態のパチンコ遊技機10では、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ入球したか否かに関係なく、タイマ機能によって、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2に関し、第1期間と第2期間とがそれぞれ生起されている。
以上のことから、実施形態のパチンコ遊技機10では、入球口17aへのランダムな入球に加え、特別入賞部20,21へ遊技球が入球しただけでは確変状態が付与されず、特別入賞部20,21への入球を、確変付与条件を成立させる対象とするか否かがランダムに決定されることになる。したがって、第1期間又は第2期間のうちどちらの期間に入球したと判定されるかによって、確変状態の付与に関し、ランダム性がより強く現れる。
さらに、第1期間と第2期間とが交互に切り替わる特別入賞部が複数設定されており、かつ振分装置22によって、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21のいずれかに遊技球が振り分けられるので、何れの特別入賞部に遊技球が入球するかによって、より一層、ランダム性が強く現れる。
また、この明細書の背景技術欄に先行技術文献として例示した特許文献1(特開2008−237643号公報)では、複数の入球口を設け、確変状態を付与することのできる入球口に遊技球が振り分けられた場合に、確変状態を付与するという手法を採用している。このような特許文献1の遊技機であれば、機械的な振分によってのみ確変状態を付与するか否かを決定していることになり、振分装置22による遊技球の振り分けだけでなく、第1期間と第2期間を交互に生起し、第1期間中の入球と判定された場合に確変付与条件を成立させるという、この実施形態のパチンコ遊技機10とはゲーム性は異なる。さらに、特定回数目のラウンド遊技が行われている期間中、常時、特典センサを有効とし、特典センサで遊技球が検知された場合に確変状態を付与する様な遊技機とも、この実施形態のパチンコ遊技機10のゲーム性は異なる。すなわち、第1期間と第2期間の切り替わりにより、特典センサTS1,TS2で遊技球が検知されたとしても、必ず、確変状態が付与されるとは限らないからである。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)第1特典センサTS1における第1期間と第2期間が、第1所定時間毎に交互に生起される。同様に、第2特典センサTS2における第1期間と第2期間が、第2所定時間毎に交互に生起される。そして、特典センサTS1,TS2で遊技球が検知された場合、その検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していることが判定されたのであれば、大当り遊技終了後の遊技状態を確変状態に制御するための制御情報(確変付与条件)を成立させる。その一方で、特典センサTS1,TS2での検知結果をもとに遊技球が第2期間に入球していることが判定されたのであれば、確変付与条件を成立させないようにした。このようにすることで、たとえ、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21に遊技球が入球したとしても、第1期間中の入球か、第2期間中の入球かによって、確変状態が付与される場合と、付与されない場合とが生じることになるので、確変状態が付与されるか否かに注目させることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
(2)第1特典センサTS1における第1期間と第2期間を交互に生起させるために要する時間(第1所定時間)と、第2特典センサTS2における第1期間と第2期間を交互に生起させるために要する時間(第2所定時間)を、同一時間とした。これによれば、確変付与条件を成立させることが可能な第1期間を、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2において交互に生起させることができる。
(3)特定回数目のラウンド遊技が終了するまでの間に、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で検知され、かつ第1期間に入球していると判定された場合には、以下のような制御を実行させるようにした。すなわち、その検知された遊技球が特定回数目のラウンド遊技中に第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて検知された何球目の遊技球であるかにかかわらず、確変付与条件を成立させるようにした。このようにする場合、最初の第1期間でなくても、次以降の第1期間において遊技球が入球していると判定されればよいので、遊技者に対して、確変付与条件を得るためのチャンスを複数回与えることができる。
(4)振分装置22を設けたことで、第1特別入賞部20を狙って遊技球を発射させたとしても、振分装置22の動作によって、遊技球が第2特別入賞部21に振り分けられるようなこともある。よって、第1期間中の入球か第2期間中の入球かということに加え、第1特別入賞部20と第2特別入賞部21のどちらに振り分けられるのかということに対して、より一層、注目させることができる。
(5)特定回数目のラウンド遊技では、確変付与条件を成立させることができる状態と成立させることができない状態とを作り出すことができる一方で、その他のラウンド遊技では、確変付与条件を成立させることができる状態を作り出すことができないようになる。これにより、遊技の展開にメリハリをつけることができるとともに、特定回数目のラウンド遊技に注目させることができる。
(6)2つの特別入賞部20,21を設けたことで、遊技者は、どちらか一方の特別入賞部20,21に遊技球を入球させることが可能となる。そして、いずれか一方の特別入賞部20,21に遊技球が入球したとしても、遊技球が第1期間に入球していると判定されなければ、確変付与条件が成立しないことになる。これにより、確変付与条件が成立するまでの過程が複雑化し、より一層、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
(7)第1特別入賞部20に遊技球が入球することを願って、遊技者が遊技球を発射させたとしても、振分装置22の動作によって、遊技球が第2特別入賞部21に入球し得ることもある。このような場合、自身の狙った特別入賞部に遊技球が入球しなかったことで、遊技者を落胆させてしまう虞がある。ただし、遊技者が狙っていない方の特別入賞部に入球したことを契機とし、その遊技球の入球が第1期間中の入球と判定された場合には、確変付与条件が成立することになる。このような場合、遊技者に対して、一旦落胆させた後、確変付与条件が成立するという、遊技者にとって有利な状況が発生するため、より一層、遊技の興趣を向上させることができる。
(8)第1期間に遊技球が特別入賞部20,21に入球していると判定された場合には、確変状態とともに賞球を獲得させることができる。また、第2期間に遊技球が入球していると判定された場合であっても、最低限、賞球を獲得させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1特別入賞部20と入球口17aを合わせたものを「第1特別入賞部」と定義してもよい。また、第2特別入賞部21と入球口17aを合わせたものを「第2特別入賞部」と定義してもよい。
・実施形態では、第1期間及び第2期間を生成するタイマ機能を、特典センサTS1,TS2毎に備えるようにしていた。これに代えて、第1期間及び第2期間を生成するためのタイマを1つとし、対象とする特典センサを特定するフラグ等の情報を切り替えることで、特典センサTS1,TS2毎に第1期間及び第2期間を生成するようにしてもよい。詳しくは、上記実施形態では、第1所定時間及び第2所定時間が同一時間とされているので、所定時間が経過したことを契機に、第1特典センサTS1の第1期間を特定する情報を設定する一方で、第2特典センサTS2の第2期間を特定する情報を設定すればよい。その後、新たに所定時間が経過したときには、第1特典センサTS1の第2期間を特定する情報を設定する一方で、第2特典センサTS2の第1期間を特定する情報を設定すればよい。このようにすることで、特典センサ毎にタイマ機能を備えることなく、特典センサ毎に第1期間と第2期間をそれぞれ生成することが可能となる。
・振分装置22は、電動式であってもよい。このようにする場合、大当り遊技中、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21のいずれかへ遊技球を案内するように、継続的に、振分装置22を制御するようにしてもよい。また、特定回数目のラウンド遊技中のみ振分装置22を動作させ、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21のいずれかへ遊技球を案内させるようにしてもよい。このとき、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21へ遊技球を案内するために第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21を開状態とするための動作時間(以下、「開時間」と示す)は、第1期間及び第2期間とは異なる長さとすることが好ましい。なぜならば、振分装置22の開時間が第1特典センサTS1の第1期間と同一時間であって、かつ第1期間と開時間を同期させると、第1期間が生起されている期間中、常に第1特別入賞部20へ遊技球が案内され、必ず、確変付与条件が成立することになるからである。同様に、振分装置22の開時間が第1特典センサTS1の第2期間と同一時間であって、かつ第2期間と開時間と同期させると、第2期間が生起されている期間中、常に第1特別入賞部20へ遊技球が案内され、必ず、確変付与条件が成立しないことになるからである。ただし、振分装置22の開時間と第1期間及び第2期間を同一時間としても、振分装置22の開動作と第1期間又は第2期間を同期させなければ、常に確変付与条件が成立する状況や、常に確変付与条件が成立しないという状況は発生しない。よって、振分装置22の開時間と第1期間及び第2期間を同一時間とする場合、振分装置22の開動作と第1期間又は第2期間を同期させなければよい。また、所定条件(例えば、ラウンド遊技開始後、3秒経過など)が成立するまでは第1期間及び第2期間と同一時間で振分装置22を制御するが、所定条件の成立後は、第1期間及び第2期間と異なる時間で振分装置22を制御するなどしてもよい。
・振分装置22を電動式とする場合、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21のうち何れかを狙うことができる程度に、振分装置22の動作間隔を遅くしてもよい(例えば、3秒など)。このような場合、遊技者の所望の特別入賞部に遊技球を入球させ易くすることができる。
・また、振分装置22を電動式とする場合、実施形態で説明した複数の特別入賞部に加え、特典センサが設けられていない通常入賞部を設けてもよい。そして、振分装置22によって、入球口17aに入球した遊技球が、特別入賞部又は通常入賞部に振り分けられるようにしてもよい。また、特定回数目のラウンド遊技に限り、特別入賞部20,21に遊技球が入球し得る一方、その他のラウンド遊技では、通常入賞部にのみ遊技球が入球し得るように、振分装置22を動作させるようにしてもよい。
・特定回数目のラウンド遊技とその他のラウンド遊技において、大入賞口扉18の開放態様を異ならせてもよい。例えば、その他のラウンド遊技よりも特定回数目のラウンド遊技において、大入賞口扉18の開放時間が長くなるようにしてもよい。また、特典センサTS1,TS2の第1期間が生起されている期間中、大入賞口扉18を開放させる一方、特典センサTS1,TS2の第2期間が生起されている期間中、大入賞口扉18を閉鎖、若しくは第1期間に比して開放角度を狭めるようにしてもよい。このようにすることで、大入賞口扉18の開放態様から、確変付与条件を成立させることができるタイミングであるか否かを推測させることが可能となる。ただし、前述したような理由(第1期間が生起されている期間中、必ず、第1特別入賞部20(又は第2特別入賞部21)が開放され、必ず、確変付与条件が成立してしまう)から、大入賞口扉18の開放時間を、第1期間及び第2期間とは異なる長さとすることが好ましい。又は、大入賞口扉18の開放時間を、所定条件が成立するまでは第1期間及び第2期間と同一時間とするが、所定条件の成立後は第1期間及び第2期間と異なる時間としてもよい。又は、大入賞口扉18の開時間と第1期間及び第2期間を同一時間とする場合、大入賞口扉18の開動作と第1期間又は第2期間を同期させなければよい。
・第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21に遊技球を入球させることができるのであれば、振分装置22を設けなくてもよい。例えば、第1特別入賞部20と第2特別入賞部21のそれぞれに大入賞口扉を設けるようにしてもよい。そして、特定期間中、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2に関し、第1期間と第2期間を、交互に、かつ、周期的に生起させるようにしてもよい。
・賞球の払出条件を成立させるための契機を与えるセンサ(以下、第1センサと示す)と、確変付与条件を成立させるための契機を与える2つのセンサ(以下、第2,第3センサと示す)を、それぞれ分けて設けてもよい。このような場合、実行中のラウンド遊技が何ラウンド目のラウンド遊技であるかにかかわらず、第1センサで遊技球が検知された場合には、主制御用CPU30aは、賞球の払出しを指示する。一方、第1期間中に第2センサ又は第3センサで遊技球が検知されたと判定した場合には、主制御用CPU30aは、確変付与条件を成立させる。一方、第2期間中に第2センサは第3センサで遊技球が検知されたと判定した場合には、主制御用CPU30aは、確変付与条件を成立させない。
・確変付与条件を成立させるために許容される遊技球数を任意に変更してもよい。例えば、ラウンド遊技の第1終了条件となる規定個数よりも少ない所定個数目(実施形態では、1〜8球目のうち何れかの範囲)の遊技球までを確変付与条件を成立させるための許容範囲としてもよい。そして、前述した許容範囲に含まれる個数目の遊技球が第1期間に入球していると判定された場合には、確変付与条件を成立させるようにしてもよい。また、このような制御を実行する場合、図4に示す入力処理において、主制御用CPU30aは、ステップS5の処理を実行した後、ステップS1を肯定判定した契機となった検知信号が、前述の許容範囲に含まれる遊技球に基づく検知信号であったかを判定する。この判定は、ステップS3で1加算した後のカウント値を参照することで行うことができる。すなわち、ステップS3で1加算した後のカウント値が許容範囲に含まれるのであれば、主制御用CPU30aは、ステップS7の処理に移行し、確変付与条件を成立させる。一方、ステップS3で1加算した後のカウント値が許容範囲に含まれないのであれば、主制御用CPU30aは、確変付与条件を成立させることなく、入力処理を終了する。また、確変付与条件を成立させるための許容範囲としては、1球目〜規定個数−1球目(実施形態では8球目)の範囲に限られず、例えば、「3球目」のように、特定の1球が限定されていてもよいし、「3〜5球目」のように、1球目〜規定個数−1球目に含まれるいずれかの範囲となるように幅を持たせてもよい。
・特定期間中に入球した最初の遊技球が、第1特典センサTS1又は第2特典センサTS2で検知され、かつ第1期間に入球していると判定した場合のみ、確変付与条件を成立させるようにしてもよい。このような場合、第1期間中の入球か第2期間中の入球かということに対して、より一層、注目させることができる。また、このような制御を実行する場合、図4に示す入力処理において、主制御用CPU30aは、ステップS5の処理を実行した後、ステップS1を肯定判定した契機となった検知信号が、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて、最初に検知した遊技球に基づく検知信号であったかを判定する。この判定は、ステップS3で1加算した後のカウント値を参照することで行うことができる。すなわち、ステップS3で1加算した後のカウント値が「1」であれば、ステップS1を肯定判定した契機となった検知信号が、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて最初に検知した遊技球に基づく検知信号であったということになる。第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて最初に検知した遊技球に基づく検知信号ではないと判定した場合、主制御用CPU30aは、確変付与条件を成立させることなく、入力処理を終了する。一方、第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2を合わせて最初に検知した遊技球に基づく検知信号であると判定した場合、主制御用CPU30aは、ステップS7の処理に移行し、確変付与条件を成立させることになる。
・実施形態の技術を、大当り遊技終了後、規定上限回数の特別図柄変動ゲームが実行されるまでの間、確変状態が付与されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、特定領域への入球により、大当り遊技終了後に確変状態が付与されるが、確変状態から非確変状態に移行させるか否かの転落抽選に当選した場合には、確変状態が終了し、非確変状態が付与されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。このような場合、実施形態のように、特定回数目のラウンド遊技が継続している限り、確変状態を得るためのチャンスを継続させるか、上記変更例のように、特典センサTS1,TS2で最初に検知された遊技球にのみ、確変状態を得るチャンスを与えるかは、パチンコ遊技機の仕様によって任意に決定してもよい。例えば、大当り遊技を構成するラウンド遊技数の違い、各ラウンド遊技において第1終了条件となる遊技球数の違い、確変状態が付与された状態で行われる特別図柄変動ゲームの回数の違い、転落抽選の当選確率の違い等に応じて、確変状態を得るチャンスの長短を決定するようにしてもよい。以下、転落抽選の当選確率が異なる(スペックが異なる)2種類のパチンコ遊技機を例に挙げて説明する。転落抽選の当選確率が高い(例えば、30分の1)第1のパチンコ遊技機では、転落抽選の当選確率が低い(例えば、100分の1)第2のパチンコ遊技機に比して、転落抽選に当選する確率が高いことで、非確変状態が付与される可能性が高く、遊技者にとって不利である。このため、第1のパチンコ遊技機では、特定回数目のラウンド遊技が継続している限り、確変状態を得るチャンスを継続させるようにしてもよい。一方、第2のパチンコ遊技機は、第1のパチンコ遊技機に比して転落抽選に当選する確率が低いことで、第1のパチンコ遊技機よりは確変状態が継続する可能性が高く、遊技者にとって有利である。このため、第2のパチンコ遊技機では、特典センサTS1,TS2で最初に検知された遊技球にのみ、確変状態を得るチャンスを与えるようにしてもよい。
・特定期間は、大当り遊技が開始してから大当り遊技が終了するまでの間であれば、どのような長さであってもよい。例えば、大当り遊技の開始を示すオープニング演出の開始から、大当り遊技の終了を示すエンディング演出の終了までとしてもよい。また、複数回のラウンド遊技に跨っていてもよい。また、特定回数目のラウンド遊技が開始してから終了するまで設定されている必要はなく、ラウンド遊技が終了するよりも前に終了してもよい。例えば、ラウンド遊技の第2終了条件となる規定時間よりも短い時間を、特定期間としてもよい。また、ラウンド遊技の第1終了条件となる規定個数の遊技球が入球口17aに入球するまでに要する平均時間よりも短い時間を、特定期間としてもよい。
・また、大当り遊技が開始してから大当り遊技が終了するまでのうち何れかの期間を「特定期間」とするが、特定期間が開始されるよりも前から、第1期間と第2期間とを生起させるようにしてもよい。例えば、パチンコ遊技機10の電源投入から電源断までの間、第1期間と第2期間とを生起させるようにしてもよい。
・大当り遊技の開始から第1期間と第2期間とを生起させたり、パチンコ遊技機10の電源投入から第1期間と第2期間とを生起させたりする場合、次のような効果が生じる。大当り遊技を構成する各ラウンド遊技では、入球口17aへの遊技球の入球頻度が同一とならないので、ラウンド遊技が終了するまでに要する時間は、ラウンド遊技毎に異なり得る。よって、特定回数目のラウンド遊技の開始時において第1期間が生起されていることもあれば、第2期間が生起されていることもある。このような場合、遊技者は、特定回数目のラウンド遊技の開始時にどちらの期間が生起されているかを知り得ないので、第1期間を狙って遊技球が意図的に発射させたとしても、確変付与条件が成立するとは限らず、第1期間と第2期間のうちどちらの期間が生起されているかについて、より一層、興味を持たせることができる。また、大当り遊技の開始から第1期間と第2期間を生起させる場合、実行中のラウンド遊技に応じてタイマの制御を変更する必要がなくなるので、主制御用CPU30aの制御負担を軽減することができる。ただし、主制御用CPU30aは、その他のラウンド遊技中に特典センサTS1,TS2から検知信号を入力したとしても、確変付与条件を成立させない。
・第1所定時間及び第2所定時間は、第1期間中の入球を狙って遊技球が意図的に発射されたとしても、入球し得ないような時間とすることが好ましい。より好ましくは、第1所定時間及び第2所定時間は、入球口17aに遊技球が入球してから特典センサTS1,TS2で遊技球が検知されるまでに要する時間よりも短い時間がよい。なぜならば、第1期間中の入球を遊技者が意図的に狙えるような構成とすると、遊技者は、第1期間中に遊技球が入球し得るように発射タイミングを調節し、確変付与条件が成立し易くなってしまうからである。ちなみに、パチンコ遊技機10では、発射ハンドルHDを連続的に操作して遊技球を発射させる場合、その発射個数は、1分間あたりに100球程度となるように調整されている。このため、遊技球を1球発射させるために要する時間は、「約0.6秒」となる。よって、第1所定時間及び第2所定時間は、「0.6秒」よりも短い時間、例えば、「0.5秒」などが好ましい。
・実施形態のように、特定期間中、第1期間と第2期間とが、それぞれ複数回ずつ生起される必要はなく、特定期間中、少なくともいずれか一方の期間が最低でも2回生起されるように第1所定時間及び第2所定時間を設定してもよい。
・主制御用CPU30aは、第1特典センサTS1に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第1期間から計時させるようにしていたが、最初の期間として第2期間から計時させるようにしてもよい。同様に、主制御用CPU30aは、第2特典センサTS2に関し、タイマ機能によって計時される最初の期間として第2期間から計時させるようにしていたが、最初の期間として第1期間から計時させるようにしてもよい。
・第1期間と第2期間の長短を調整することで、確変付与条件の成立し易さに変化を与えるようにしてもよい。例えば、第2期間を「時間T1」としつつ、第1期間を第2期間よりも短くするような切替パターンを設定してもよい。また、第1期間を「時間T1」としつつ、第2期間を第1期間よりも長くするような切替パターンを設定してもよい。また、第1期間を「時間T1」より短くする一方、第2期間を「時間T1」より長くするような切替パターンを設定してもよい。また、特典センサTS1,TS2の第1期間と第2期間が、全て同一時間である必要はない。なお、第1期間と第2期間の長短を調整することで、特典センサTS1,TS2において第1期間が重複するタイミングが生じたとする。このような場合、どちらの特別入賞部20,21に遊技球が入球した場合であっても、確変付与条件が成立し得るので、確変状態が付与されるチャンスが増加する。例えば、第1特別入賞部20で第1期間が生起されていると見越して遊技球を発射したにもかかわらず、第2特別入賞部21に入球したとしても、第2特別入賞部21でも第1期間が生起されているので、遊技者の所望する特別入賞部に遊技球が入球しなかったとしても、確変状態が付与されるチャンスがあることになる。
・また、前述したような複数の切替パターンを設定し、ランダムに選択された何れかの切替パターンに従って、第1期間と第2期間を交互に生起させるようにしてもよい。また、1つ目の切替パターンを用いた制御が終了した後は、2つ目の切替パターンを用いた制御を行うなど、設定されている切替パターンに基づく制御を順番に行うなどして、第1期間と第2期間の生起タイミングを特定し難くしてもよい。
・また、確変付与条件が成立した後は、第2期間のみを生起させるようにしてもよい。
・第1特典センサTS1及び第2特典センサTS2のうち少なくともいずれか一方において、所定条件の成立前後で第1期間と第2期間の長さを変更させるようにしてもよい。例えば、大当り抽選の当選回数が所定回数に到達することを、所定条件の成立としてもよい。このようにすることで、所定条件の成立前後で、確変付与条件の成立し易さに変化が生じることになる。また、このようにする場合、主制御用CPU30aは、大当り抽選の当選回数が所定回数に到達すると、その旨を主制御用RAM30cの記憶領域に記憶しておく。そして、大当り遊技の開始時に主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶領域を確認し、大当り抽選の当選回数が所定回数に到達したことを示す情報が記憶されているかを判定する。該情報が記憶されている場合、主制御用CPU30aは、到達後専用の時間設定で第1期間と第2期間を生起させ、図4に示す入力処理を開始させることになる。
・実施形態では、特定回数目のラウンド遊技中のみ、第1特別入賞部20への遊技球の入球が可能とされていた。これに代えて、大当り遊技中であれば、実行中のラウンド遊技の回数にかかわらず、第1特別入賞部20又は第2特別入賞部21に遊技球が入球可能となるようにしてもよい。ただし、その他のラウンド遊技では、特別入賞部20,21のうち何れの特別入賞部に遊技球が入球したとしても、確変付与条件が成立しない。
・実施形態では、主制御用CPU30aが第1期間と第2期間とを生起していた。これに代えて、特典センサTS1,TS2から主制御用CPU30aへの検知信号の入力を仲介する入力回路にて、第1期間と第2期間とが生起されるようにしてもよい。このような場合、入力回路に処理部を設け、該処理部にて、第1期間及び第2期間のうち何れの期間での入球かが判定されることになる。そして、入力回路の処理部で第1期間に入球していることが判定された場合には、その判定結果を示す信号が主制御用CPU30aに入力されるようにしてもよい。一方、入力回路の処理部で第2期間に入球していることが判定された場合には、その判定結果を示す信号が主制御用CPU30aに入力されてもよい(若しくは、入力されなくてもよい)。ただし、このようにする場合、特典センサTS1,TS2と賞球の払出条件を付与する契機を与えるカウントセンサを別々に設け、カウントセンサで遊技球が検知されたことを示す信号は、第1期間及び第2期間のうち何れの期間での入球かにかかわらず、主制御用CPU30aに入力されるようにすることが好ましい。
・特典センサTS1,TS2の通電状態を強制的にOFFとすることで、検知そのものを行わないことによって第2期間を作り出すようにしてもよい。この場合も、特典センサTS1,TS2と賞球の払出条件を付与する契機を与えるカウントセンサを別々に設け、カウントセンサの通電状態は、常時、ONとすることが好ましい。
・大当りを複数種類設定してもよい。そして、確変付与条件の成立対象とするラウンド遊技を、大当りの種類毎に異ならせてもよい。また、確変付与条件の成立対象とするラウンド遊技は同一とするが、大当りの種類毎に、特定回数目のラウンド遊技における大入賞口扉18の開放時間を異ならせてもよい。また、大当りを複数種類設定する場合、主制御用CPU30aの決定事項を特定可能であって、かつ副基板31に出力される制御情報として、大当りの種類を特定可能な制御情報を含んでいてもよい。
・実施形態の技術を、第1特別図柄を用いて行う第1特別図柄変動ゲームと、第2特別図柄を用いて行う第2特別図柄変動ゲームと、を実行可能な遊技機に具体化してもよい。このような場合、第1特別図柄変動ゲームに係る大当り抽選で大当りに当選した場合に付与される大当り遊技と、第2特別図柄変動ゲームに係る大当り抽選で大当りに当選した場合に付与される大当り遊技において、確変付与条件の成立対象とするラウンド遊技数を異ならせるようにしてもよい。また、第1特別図柄変動ゲームに係る大当り抽選で大当りに当選した場合に付与される大当り遊技と、第2特別図柄変動ゲームに係る大当り抽選で大当りに当選した場合に付与される大当り遊技において、第1期間と第2期間との長さを異ならせるようにしてもよい。
・実施形態では、特典センサTS1,TS2の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定された場合、その旨を遊技者が認識できるような態様で報知演出が行われてもよい。例えば、演出表示装置13において「V入賞おめでとう」などの文字情報を表示させたり、特別な報知音をスピーカから出力させたりするなどしてもよい。
・また、第1特典センサTS1と第2特典センサTS2のそれぞれにおいて、現在生起されている期間が第1期間と第2期間のうち何れの期間であるのかを遊技者が認識できるような態様で報知演出が行われてもよい。例えば、特定回数目のラウンド遊技中、演出表示装置13において、「第1特典センサの第1期間」又は「第1特典センサの第2期間」で示す文字情報を第1所定時間T1毎に交互に表示させるようにしてもよい。同様に、演出表示装置13において、「第2特典センサの第1期間」又は「第2特典センサの第2期間」で示す文字情報を第2所定時間T1毎に交互に表示させるようにしてもよい。また、遊技者が、第1期間と第2期間の切り替わり間隔を把握できればよいので、特定回数目のラウンド遊技中、常時、報知演出を行わせる必要はなく、一定期間だけ、報知演出を行わせるようにしてもよい。
・付与される特典を、特別入賞部20,21毎に異ならせてもよい。例えば、第1特典センサTS1で遊技球が検知された場合、その検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定されたときには、次回、大当り抽選に当選する迄の間、確変状態が付与されるようにしてもよい。一方、第2特典センサTS2で遊技球が検知された場合、その検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定されたときには、規定回数の特別図柄変動ゲーム(50回など)が実行される迄の間、確変状態が付与されるようにしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例(変形例)から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)大当り抽選に当選したことによって付与される大当り遊技終了後の遊技状態を、前記大当り抽選の抽選確率を高確率状態とする確率変動状態に制御できる遊技機において、大当り遊技が付与されることによって遊技球の入球が許容される第1特別部と、大当り遊技が付与されることによって遊技球の入球が許容される第2特別部と、前記第1特別部に入球した遊技球を検知する第1特別検知手段と、前記第2特別部に入球した遊技球を検知する第2特別検知手段と、遊技状態を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1特別検知手段の検知結果をもとに、遊技球が第1期間に入球している、あるいは第2期間に入球していると判定し、前記第2特別検知手段の検知結果をもとに、遊技球が前記第1期間に入球している、あるいは前記第2期間に入球していると判定し、前記第1期間は、前記大当り遊技終了後の遊技状態を前記確率変動状態に制御するための制御条件を成立させる期間であり、前記第2期間は、前記制御条件を成立させない期間であり、前記第1特別検知手段における前記第1期間と前記第2期間とを、少なくとも特定期間において、第1所定時間毎に交互に切り替えるとともに、前記第2特別検知手段における前記第1期間と前記第2期間とを、少なくとも前記特定期間において、第2所定時間毎に交互に切り替える切替手段を備えた遊技機。この場合、主制御用CPU30aが行う、第1期間と第2期間を交互に切り替える処理が、切替手段に相当する。
(ロ)大当り抽選に当選したことによって遊技者に有利な特典を付与することができる遊技機において、大当り遊技が付与されることによって遊技球の入球が許容される第1特別部と、大当り遊技が付与されることによって遊技球の入球が許容される第2特別部と、前記第1特別部に入球した遊技球を検知する第1特別検知手段と、前記第2特別部に入球した遊技球を検知する第2特別検知手段と、遊技状態を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1特別検知手段の検知結果をもとに、遊技球が第1期間に入球している、あるいは第2期間に入球していると判定し、前記第2特別検知手段の検知結果をもとに、遊技球が前記第1期間に入球している、あるいは前記第2期間に入球していると判定し、前記第1期間は、前記特典を付与するための制御条件を成立させる期間であり、前記第2期間は、前記制御条件を成立させない期間であり、前記第1特別検知手段における前記第1期間と前記第2期間とが、少なくとも特定期間において、第1所定時間毎に交互に生起されるとともに、前記第2特別検知手段における前記第1期間と前記第2期間とが、少なくとも前記特定期間において、第2所定時間毎に交互に生起される遊技機。なお、前述の制御条件が成立している場合に付与される特典は、確変状態が付与されることとしてもよい。また、確変状態とともに入球率向上状態が付与されることとしてもよい。また、確変状態は付与されないが、入球率向上状態が付与されることとしてもよい。また、ラウンド遊技が継続されることとしてもよい。
(ハ)前記大当り遊技を構成する各ラウンド遊技は、規定個数の遊技球が入球することを契機に終了するようになっており、前記制御手段は、前記特定期間中に入球した前記規定個数よりも少ない所定個数目の遊技球が、前記第1特別検知手段又は前記第2特別検知手段で検知され、かつ前記第1期間に入球していると判定した場合には、前記制御条件を成立させるようにしてもよい。