JP6280414B2 - 抗菌性布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、通常の抗菌性布帛に求められる抗菌性を兼ね備えつつ、特定菌種に対し特に優れた抗菌性を発現しうる布帛に関するものである。詳しくは、抗菌性布帛としての通常の抗菌性を有しながら、生乾き臭における原因菌の発生、増殖を効果的に抑えることができる布帛に関するものである。
布帛の商品価値を高めるべく古くから様々な種類の付帯加工が検討され、数々の布帛が提案されている。中でも抗菌性布帛はユーザーからの引き合いが強く、これまでに多くの種類のものが提案されている。
例えば、特許文献1には、特定組成の無機系抗菌剤を繊維中に練り込んだポリエステル繊維が開示されている。このポリエステル繊維を使用すると、黄色ブドウ状球菌などに対して優れた抗菌性が得られることから、布帛とすることにより、抗菌性が求められる分野、例えばインナー、裏地及び寝装品などに好適な布帛が提供できるようになる。
近年、抗菌性布帛の用途は、インナー、裏地、寝装品に留まらず、様々な分野に広がりつつある。中でも、洗濯物を部屋で乾燥(部屋干し)したときに発生する生乾き臭を抑えるために、抗菌性布帛を使用するという試みがある。しかし、上記特許文献1に記載されている布帛は、優れた抗菌性を有しているものの、あくまで通常の抗菌性布帛の域を超えるものでなく、生乾き臭を抑えるには未だ不十分であるという問題がある。
生乾き臭は雑巾臭のような不快な臭いであるため、この臭いを抑えるための方法が幾つか提案されている。
例えば、特許文献2では、洗濯脱水終了後の洗濯物に特定の有機抗菌剤を含有する水性組成物を付与することで、生乾き臭を抑える方法が提案されている。また、特許文献3、4では、まず生乾き臭の原因菌とそれから発生する原因物質とを特定し、その特定した原因物質の発生を効果的に抑えるための生乾き臭抑制剤が開示されている。
特開2007−177354号公報 特開2009−263812号公報 特開2012−183184号公報 特開2012−184524号公報
しかしながら、特許文献2記載の方法は、洗濯脱水後、衣類に有機抗菌剤を接触させることで原因菌による影響を除去する発明であり、通常の洗濯のみでは生乾き臭を抑えることができない。つまり、当該有機抗菌剤を含有する水性組成物を別途用意したうえで、通常の洗濯にもう一つ工程加えなければならず、手間と費用がかかるという点で問題がある。
また、特許文献2、3記載の発明は生乾き臭抑制剤に関する発明で、この生乾き臭抑制剤を布帛に予め付与しておけば、生乾き臭を一応は抑えることができる。しかし、かかる発明は、布帛に当初から存在する原因菌に対して抑制効果を発揮しうる発明に過ぎず、原因菌がその後何らかの要因で増殖した場合、その増えた菌に対しても同様の抑制効果を発揮する発明ではない。したがって、例えば部屋の湿度が高く部屋干しに時間がかかるなどして原因菌が増殖した場合、再度生乾き臭抑制剤を使用しなければ所望の抑制効果は得られない。さらに、同発明では、衣服に付与した生乾き臭抑制剤が洗濯のたびに洗い流されていくという問題があり、抑制効果に持続性がない点でも課題が残されている。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、原因菌そのものの増殖を抑えることで、部屋干し環境が如何なる状態でも生乾き臭の発生を効果的かつ持続的に抑えることができ、同時にその抑制効果を洗濯時に特別の工程を組み入れずとも獲得することができ、しかも抗菌性布帛としての一般的な性能をも具備する新規な布帛を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、生乾き臭の原因菌たるモラクセラ菌に対してだけでなく、黄色ブドウ状球菌や大腸菌といった通常の抗菌性布帛において対象となる菌種に対しても優れた抗菌性を発揮させるには、これらの全ての菌種における静菌活性値を所定以上にすることが有効であることを見出し、本発明をなすに至った。また、本発明者らはさらに検討を重ね、加工による黄変を抑えること、すなわち基準布帛(抗菌加工前の布帛)に対する白度差を所定範囲にすることで、外観の良い布帛が得られることも見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ね、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、第一に、抗菌加工された布帛であって、JIS L1092法に基づく繊維製品の抗菌性試験(定量試験)において、モラクセラ菌、黄色ブドウ状球菌及び大腸菌に対する静菌活性値がいずれも2.2以上の範囲にあることを特徴とする抗菌性布帛を要旨とするものである。
そして、第二に、布帛の白度をWIとし基準布帛の白度をWIとしたとき、両者の白度差DWI(DWI=WI−WI)が5.0以下の範囲にある抗菌性布帛を好ましい態様として含むものである。
本発明の布帛によれば、生乾き臭の原因菌たるモラクセラ菌の発生、増殖を効果的に抑えることができるため、必然的に生乾き臭の原因物質である4−メチル−3−ヘキセン酸の発生も抑えることができる。本発明では、抗菌加工によって原因菌そのものの発生、増殖を根本から抑え込むことで、生乾き臭を抑制するという技術思想を採用している。このため、部屋干し環境が如何なるものであっても、生乾き臭の発生を抑えることができ、また、効果を得るにあたって洗濯時に特別の工程を組み入れる必要もないため、手間を省ける点でも優れている。さらに、効果が長期間持続する。
そして、本発明の布帛は、通常の抗菌性布帛が有しているような一般的な抗菌性も併せ持つため、抗菌性布帛として通常の使用が可能となる。
この他、本発明の布帛は、白度に優れていることが好ましく、これにより外観良好な布帛が提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の布帛は、基布を抗菌加工したものである。
基布を構成する繊維としては、例えば、綿、麻、羊毛、カシミア、絹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、ハイウェットモジュラスレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルなどの再生繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染ポリエステル、ポリ乳酸などのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11などのポリアミド繊維、及びポリアクリロニトリル、モダクリル(登録商標:カネカロン)などのアクリル繊維が使用できる。本発明では、これらの繊維を単独で又は混合して使用する。
布帛の形態は、特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布などが採用できるが、一般には、織物、編物が好ましい。この場合、織物組織及び編物組織についても特に限定されず、織物組織としては、例えば、平織、綾織、朱子織などの三原組織及びその変化組織、経二重織、緯二重織等の片二重組織及び経緯二重織などが採用できる。一方、編物組織としては、よこ編組織の場合、平編(天竺、鹿の子編、裏毛編、添え糸編(ベア天竺など)、ジャガード編など)、ゴム編(スムース編、インターロック編、ミラノリブ、シングルピケ、ダブルピケ、リップル、片畔編、片袋編、ポンチローマなど)、パール編などが例示できる。たて編組織の場合は、シングルデンビー編、シングルアトラス編、シングルコード編、ダブルデンビー編、ダブルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、クインズコード編、サテン編、裏毛編、ジャガード編などが例示できる。編物の層数としては、単層でもよいし2層以上の多層でもよい。これらの織編物は常法により製造することができ、目的に応じて目付、伸縮性、風合いなどを適宜調整すればよい。また、抗菌加工に先立ち前処理を適宜行ってもよく、例えば蛍光増白剤を用いて染色すると白度が向上するため、好ましい。
本発明の布帛は、洗濯乾燥時の生乾き臭を効果的に抑えることができる。生乾き臭の原因物質は主に4−メチル−3−ヘキセン酸にあるとされ、その原因物質を発生させる源(原因菌)は、主にモラクセラ菌にあるとされている。モラクセラ菌とは、シュードモナス目に分類される真正細菌の属にあたるもので、グラム陰性球菌である。ヒトや動物の口腔、上気道などの粘膜に存在する常在菌であり、家庭内の様々な場所にも存在している。モラクセラ菌は洗濯後も衣類に残り易く、4−メチル−3−ヘキセン酸の発生により、強い雑巾のような臭いが発生する。
本発明の布帛では、このように原因菌そのものの発生、増殖を抑えることにより、生乾き臭を抑えることができるが、これに留まらず、通常の抗菌性布帛が有する一般的な抗菌性も兼備する。具体的にいうと、上記モラクセラ菌(Moraxella osloensis ATCC 19955)の他、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)、大腸菌(Escherichia coil NBRC 3301)に対して所定の抗菌性を示す。これにより、抗菌性布帛として一般的な使用も可能となる。
本発明では、抗菌性の評価にあたりJIS L1902法に基づく繊維製品の抗菌性試験(定量試験)を採用する。そして、この試験により算出される静菌活性値がいずれ菌種においても2.2以上の範囲を満たす必要がある。静菌活性値とは抗菌性の指標となるもので、これが2.2未満になると、菌の繁殖を抑えることができない。
具体的に表すと以下のようになる。
(計算式)
S=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)
S:静菌活性値
Ma:標準布帛の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mb:標準布帛の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc:対象布帛の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mo:対象布帛の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
なお、標準布帛には、抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定されたものを使用する。本発明では、上記式に基づき菌種毎に静菌活性値を算出する。
上記菌種の全てに対し静菌活性値を2.2以上の範囲にすることは、例えば、抗菌剤として有機窒素系化合物を使用して基布を抗菌加工することにより可能である。有機窒素系化合物としては、第4級アンモニウム塩、有機窒素硫黄系化合物、フェニールアミド化合物などがあげられるが、中でもポリヘキサメチレングアニジン塩が好ましく、特に、重金属及びハロゲン原子を含まないポリヘキサメチレングアニジン塩が好適である。具体的には、下記化学式で示される構造の有機窒素系化合物が好ましい。
式中、nは1以上の整数であり、Aは硝酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、ソルビン酸、燐酸、フマル酸、マレイン酸、炭酸、硫酸又はパラトルエンスルホン酸である。
上記化学式で示される構造を有するものとして、大和化学工業株式会社製抗菌剤「AA−2100KII(商品名)」などが市販されている。
この他、本発明では、無機酸化物からなる抗菌剤を使用することにより、かかる静菌活性値を2.2以上にすることもできる。無機酸化物としては、両性金属化合物、塩基性金属化合物、酸性金属化合物などがあげられる。具体的に、両性金属化合物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズなどがあげられる。塩基性金属化合物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどがあげられる。そして、酸性金属化合物としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化鉄などがあげられる。無機酸化物からなる抗菌剤としては、大和化学工業株式会社製抗菌剤「アモルデンNAZ−10(商品名)」などが市販されている。
抗菌剤としては、基本的に市販品を用いるのがよい。また、抗菌剤の付与量としては、基布100質量%に対し固形分量として0.05〜2.0質量%の範囲が好ましい。0.05質量%未満になると、十分な抗菌性が得られ難く、2.0質量%を超えると、付与量が過剰となりコスト面で不利となることがある。
本発明の布帛は、このように優れた抗菌性を奏するものであるが、さらに外観を良好なものとする観点から、白度に優れていることが好ましい。具体的に、布帛の白度をWIとし基準布帛の白度をWIとしたとき、両者の白度差DWI(DWI=WI−WI)が5.0以下の範囲にあることが好ましく、4.0以下がより好ましい。白度差が5.0を超えると、見た目にもはっきりとした色差が確認できるため、外観不良となる恐れがあり好ましくない。なお、ここでいう基準布帛とは抗菌加工前の布帛、すなわち抗菌加工に供されるべき基布のことをいう。
白度算出の計算式をより具体的に表すと、以下のようになる。
(計算式)
DWI=WI−WI
DWI:白度差
WI:基準布帛の白度、ただしWI=3.388Z−3Y
WI:対象布帛の白度、ただし、WI=3.388Z−3Y
、Z:基準布帛のXYZ表色系における三刺激値のY、Zの値
Y、Z:対象布帛のXYZ表色系における三刺激値のY、Zの値
白度差の測定には、Macbeth社製測色機「CE−3100分光光度計」を用いる。具体的には、2度視野、D65光源で鏡面光沢を含み、かつUV光を含む条件で測定する。
白度差を所定範囲とするには、例えば抗菌加工時に有機酸を併用するとよい。有機酸を使用することで、抗菌加工に由来する黄変が低減し、白度を良好に保つことができる。布帛が黄変する原因には様々なものがあるが、一つに抗菌加工に加熱が伴う点があげられる。すなわち、加熱そのものが原因で基布が黄変する、加熱により生じたガスにより基布が黄変するといった点があげられる。また、使用する抗菌剤の特性上黄変が起こり易い場合もある。この他、抗菌剤を含む水分散液が、アルカリ性となる場合が多いことも黄変の原因にあげられる。この点、抗菌剤を含む水分散液に有機酸を加えておくと、加熱による影響を低減することができ、同時に液性を酸性にすることもできるので、結果として布帛の黄変を減らすことができる。有機酸としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などが使用でき、特にクエン酸が好適である。有機酸の付与量としては、基布100質量%に対し0.01〜0.2質量%の範囲が好ましく、0.01%未満であれば白度を保つことが難しくなり、0.2%を超えると過剰添加となり、コスト高となることがある。
次に、本発明の布帛を得るための好ましい製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、まず抗菌剤を含む水分散液を調製する。水分散液には、必要に応じて上記有機酸の他、本発明の目的を損なわない範囲で他の加工剤が併含されていてもよい。
他の加工剤としては、柔軟剤、吸水剤などがあげられる。柔軟剤としては、例えばアミノ変性シリコーンに代表されるシリコーン系柔軟剤などが使用できる。また、吸水剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミン第4級アンモニウム塩などが使用できる。ここにあげる他の加工剤の付与量としては、基布100質量%に対し0.1〜10質量%の範囲が好ましい。この範囲を満足することにより、柔軟剤であれば、ソフト感に優れ反発感やヌメリ感の少ない風合いが得られ、吸水剤であれば、吸水性は無論のことヌメリ感の少ない風合いも得られる。柔軟剤と吸水剤は併用してもよい。
また、他の加工剤として、界面活性剤などからなる浸透剤、防しわ剤としてのグリオキザール系樹脂なども使用できる。特に基布が合成繊維と天然繊維との複合短繊維素材である場合、ノンホルマリン系のグリオキザール系樹脂を併用すると、布帛の抗ピリング性能も向上するので、インナー用途に好適なものとなり好ましい。
水分散液を調製した後は、この水分散液を含む浴を用意する。そして、浴に基布を含浸する。含浸条件としては、温度5〜80℃、時間20〜40分間の条件とすることが好ましい。浴を溜める装置としては、液流染色機、ロータリー染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機などが使用できるが、これらに限定されない。
含浸後は絞液する。絞液にはマングルを使用する。絞り率としては、抗菌剤その他の有効成分の付与量が前記範囲を満たすように調整されていればよい。
絞液後は乾燥する。乾燥条件としては、温度80〜160℃、時間1〜10分間の条件とすることが好ましい。乾燥後は必要に応じて熱処理してもよい。熱処理条件としては、温度160〜180℃、時間30〜300秒間の条件とすることが好ましい。乾燥及び熱処理を行うための装置としては、テンター、ネットドライヤーなどが使用できる。
そして、例示した一連の抗菌加工は、バッチ方式、連続方式のいずれであってもよい。また、本発明の目的を損なわない限り、かかる抗菌加工の前後で任意の付帯加工を付加してもよい。
本発明の布帛は、このように基布を抗菌加工することにより得ることができる。したがって、基布に抗菌剤が付着しているから、原因菌そのものの発生、増殖を根本から抑え込むことができる。また、その付着が強固であるため、効果が長く持続する。効果の持続性については、家庭洗濯を繰り返し行った後の抗菌性を測ることにより評価できる。具体的には、JIS L0217:1995 103法に基づく家庭洗濯10洗後の静菌活性値が持続性の指標となり、これが2.2以上の範囲にあれば持続性があると判断できる。2.2未満では、耐久性に乏しく、長期の使用に耐えられない傾向にある。10洗後の静菌活性値を所定範囲とすることは、上記の抗菌加工により可能である。
以上から、本発明により、部屋干し環境が如何なる状態にあっても生乾き臭を効果的かつ持続的に抑えることができる布帛が提供できる。そして、本発明では、生乾き臭を抑えるにあたり洗濯時に特別の工程を組み入れる必要がなく、洗濯の度に抗菌加工する必要もない。かかる点から、従来技術に比して手間と費用を大幅に省くことができる。
本発明の布帛は、以上のように持続性ある優れた抗菌性を有しているが、さらに見映えの観点から、白度に優れていることが好ましい。見映えの良い布帛を提供することで、布帛の用途を広げることができる。
布帛の用途としては、特に限定されるものではないが、例えばインナーウェア、ユニフォームウェア、スポーツウェア、アウトドアウェア、紳士衣服、婦人衣服、作業衣、防護服、人工皮革、履物、鞄、カーテン、寝装用品などがあげられる。中でも布帛の特性に照らして、洗濯する回数が多い製品、及び雨や汗で濡れることが多い製品に好適であるといえる。
以下、実施例及び比較例をあげてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。静菌活性値(洗濯前及び家庭洗濯10洗後)及び白度差は既述の方法により測定した。
(実施例1)
レンチング社製リヨセル繊維(単糸繊度:1.5dtex、平均繊維長38mm)からなる50番手の紡績糸と、22dtex1fのポリウレタン弾性糸とを、針密度28G、釜径30インチの丸編機に導入してベア天竺組織の生機を編成した。生機の目付は130g/mであった。続いて生機を常法にしたがって精練した。その後、下記処方1に示す組成の染色液を調製した後、常圧染色機スイングエース(株式会社ニッセン製)に浴比が1:30となるように染色液を投入し、100℃で30分間染色し、基準布帛とした。
(処方1)
ハッコールS−200LD(昭和化学工業株式会社製:蛍光増白剤) 1%omf
酢酸(48%) 1cc/L
次に、下記処方2に示す組成の水分散液を調製した後、この水分散液からなる浴に上記基準布帛を含浸した。その後、マングルで絞り率が100%となるように絞液し、テンターを用いて160℃で2分間乾燥し、抗菌性布帛を得た。抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量% であった。
(処方2)
AA−2100KII(大和化学工業株式会社製抗菌剤:カチオン性有機窒素系化合物 有効成分12%) 20g/L
パラソルブ530FQ(大原パラヂウム化学株式会社製柔軟剤:ノニオン性特殊変性シリコーン) 20g/L
エーポールAQ88(日華化学株式会社製柔軟剤:親水性基導入カチオン性アミノ変性シリコーン) 10g/L
テキスポートSN10(日華化学株式会社製浸透剤:ノニオン性界面活性剤) 2g/L
クエン酸 0.4g/L
(実施例2)
レンチング社製リヨセル繊維(単糸繊度:0.9dtex、平均繊維長34mm)からなる100番手の紡績糸と、ポリウレタン弾性糸(22dtex1f)の周囲にナイロンモノフィラメント(19dtex1f)を巻き付けたカバリングヤーンとを、針密度40G、釜径33インチの丸編機に導入してポンチローマ組織の生機を編成した。続いて生機を常法にしたがって精練し、上記処方1に示す組成の処理液を調製した後、常圧液流染色機(株式会社日阪製作所製)を用いて、実施例1の場合と同様の条件で染色し、基準布帛とした。
以降は、実施例1の場合と同様に抗菌加工し、抗菌性布帛を得た。抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量%であった。
(実施例3)
上記処方2に示す組成の水分散液に代えて下記処方3に示す組成の水分散液を使用すること、及び抗菌加工における乾燥条件を160℃×2分間に代えて150℃×2分間とすること以外は、実施例2と同様に行い、抗菌性布帛を得た。抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量%であった。
(処方3)
AA−2100KII(大和化学工業株式会社製抗菌剤:カチオン性有機窒素系化合物 有効成分12%) 20g/L
サンソフターGA Conc NEW(日華化学株式会社製柔軟剤:特殊アニオン系化合物) 10g/L
エーポールAQ88(日華化学株式会社製柔軟剤:親水性基導入カチオン性アミノ変性シリコーン) 7.5g/L
テキスポートSN10(日華化学株式会社製浸透剤:ノニオン性界面活性剤) 2g/L
クエン酸 0.4g/L
(実施例4)
50番手の綿紡績糸を針密度24G、釜径26インチの丸編機に導入して鹿の子組織の生機を編成した。続いて生機を常法にしたがって精練漂白し、乾燥した後、実施例2と同様の装置、条件にて染色し、基準布帛とした。
次に、下記処方4に示す組成の水分散液を調製した後、この水分散液からなる浴に上記基準布帛を含浸した。その後、マングルで絞り率が100%となるように絞液し、テンターを用いて130℃で2分間乾燥した後、さらに160℃で1分間熱処理し、抗菌性布帛を得た。抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量%であった。
(処方4)
AA−2100KII(大和化学工業株式会社製抗菌剤:カチオン性有機窒素系化合物 有効成分12%) 20g/L
クエン酸 0.4g/L
(実施例5)
経糸に167dtex48fのポリエステル加工糸を、緯糸に334dtex96fのポリエステル加工糸を各々配し、綾組織の生機を製織した。生機の密度は、経糸128本/インチ、緯糸58本/インチであった。続いて生機を常法にしたがって精練し、テンターにて190℃で30秒間プレセットした。その後、下記処方5に示す組成の染色液を調製した後、液流染色機に浴比が1:20となるように染色液を投入し、130℃で10分間染色し、基準布帛とした。
(処方5)
ハッコールSTR(昭和化学工業株式会社製:蛍光増白剤) 1%omf
酢酸(48%) 0.1cc/L
以降は、絞り率を80%とすること、熱処理条件を170℃×1分間とすること以外は、実施例4の場合と同様に抗菌加工し、抗菌性布帛を得た。抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.192質量%であった。
(比較例1、2、実施例6)
処方2において、AA−2100KIIを省くこと(比較例1)、AA−2100KIIの含有量を1g/Lに変更すること(比較例2)又はクエン酸を省くこと(実施例6)以外は、実施例1と同様に行い、それぞれ布帛を得た。比較例2において抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.012質量%であり、実施例6において抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量%であった。
(比較例3、実施例7)
処方3において、AA−2100KIIの含有量を1g/Lに変更すること(比較例3)又はクエン酸を省くこと(実施例7)以外は、実施例3と同様に行い、それぞれ布帛を得た。比較例3において抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.012質量%であり、実施例7において抗菌剤の付着量は基布100質量%に対して0.24質量%であった。
(比較例4)
処方4中のAA−2100KIIを省略した以外は、実施例4と同様に行い、布帛を得た。
以上で得た布帛の評価結果を表1に示す。表中、「初期」とは洗濯前のものを指す。
実施例にかかる布帛は、いずれもモラクセラ菌の発生、増殖を効果的に抑えうるものであった。それゆえ、生乾き臭を抑える効果が大いに期待できるものであった。また、通常の抗菌性布帛に要求される一般的な抗菌性をも有していた。さらに、10洗後においても良好な抗菌性が維持されていたことから、耐久性すなわち効果の持続性にも優れていた。
これに対し、抗菌剤を使用しない(比較例1、4)もしくは使用しても使用量が極端に少ない場合(比較例2、3)には、所望の抗菌性は得られなかった。
また、実施例1〜5及び比較例1〜4では、加工時に有機酸を併用したことで加工による黄変を抑えることができたため、布帛を白度良好なものに仕上げることができた。対して、実施例6、7では、当該有機酸を使用しなかったため、白度良好なものは得られなかった。

Claims (2)

  1. ポリヘキサメチレングアニジン塩及びクエン酸を用いて抗菌加工された布帛であり、
    JIS L1092法に基づく繊維製品の抗菌性試験(定量試験)において、モラクセラ菌、黄色ブドウ状球菌及び大腸菌に対する静菌活性値がいずれも2.2以上の範囲にあることを特徴とする抗菌性布帛。
  2. 抗菌性布帛の白度をWIとし基準布帛(抗菌加工前の布帛)の白度をWI0としたとき、両者の白度差DWI(DWI=WI0−WI)が5.0以下の範囲にある、請求項1記載の抗菌性布帛。
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