以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて説明する。図1はコンバインの外観斜視図である。
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に機体9が設けてある。該機体9の上には脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4が設けてあり、前記脱穀装置2の左部には、穀稈を搬送する前後に長いフィードチェン5が設けてある。
該フィードチェン5の上側に、穀稈を挟持する挟持部材6が設けてあり、該挟持部材6とフィードチェン5とが対向している。前記フィードチェン5の前端部付近には上部搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。キャビン8及び刈取部3の上部には作業灯50が設けてある。
走行クローラ1の駆動によって機体9は走行する。機体9の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈取られる。刈取られた穀稈は上部搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12が螺旋状に並んでいる。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に並設してあり、該送塵弁10aは扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bの周面には多数の扱歯13c、13c、・・・、13cが螺旋状に並んでいる。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。
前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の下側には排出口13eを開設してある。
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。
該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前方を下として傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、一番スクリューコンベア23が設けてある。該一番スクリューコンベア23は、一番穀粒板22を滑落した穀粒を取り込み、穀粒タンク4へ送給する。
前記一番穀粒板22の後部に、後方に向けて下降傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前方に向けて下降傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベア26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリューコンベア26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリューコンベア26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、該処理ロータ14にて脱穀処理される。
前記一番スクリューコンベア23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、起風動作を行う唐箕27が設けてある。前記唐箕27の起風動作によって発生した風は、後方へ進行する。唐箕27と前記一番スクリューコンベア23との間に、風を上向きに送り出す整流板28を配設してある。
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前方を下向きとして傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は前記ストローラック19に落下する。
クリンプ網15及び揺動選別装置16との間には、圧電素子を備える排出量センサ34aが設けてある。またグレンシーブ20の下側後方にも排出量センサ34bが設けてある。
クリンプ網15の後端部から漏下した穀粒が排出量センサ34aに当接し、該排出量センサ34aから電圧信号が出力される。出力された電圧信号に基づいて、後述する表示部の脱穀モニタが点灯する。
グレンシーブ20の後端部から漏下した穀粒又は唐箕27からの風によって搬送された穀粒が排出量センサ34aに当接し、排出量センサ34bから電圧信号が出力される。出力された電圧信号に基づいて、後述する表示部の選別モニタが点灯する。
図3は穀粒タンク4を略示する縦断面図である。図3に示すように、一番スクリューコンベア23の上端部の軸部分23cには、矩形の羽根板23bが設けてある。該羽根板23bは、軸部分23cを中心として径方向に突出している。該羽根板23bは、一番スクリューコンベア23に同期して回転する。軸部分23cの上端部近傍にはピックアップセンサ51(図4参照)が設けてある。
軸部分23c及び羽根板23bは、ケーシング140に収容してある。ケーシング140は、軸部分23c及び羽根板23bの周囲を覆う側面141を備える。該側面141は、軸部分23c及び羽根板23bを間にして、穀粒タンク4の側面に対向している。穀粒タンク4の側面に投口4bが設けてある。羽根板23bは投口4bに対向している。
前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリューコンベア23に向けて滑落する。滑落した穀粒は一番スクリューコンベア23よって搬送される。穀粒に遠心力が作用し、穀粒は一番スクリューコンベア23の外周に沿って上昇する。羽根板23bは穀粒を投口4bへ向けて押し出す。
図3に示すように、投口4bの下側に、複数の感圧式スイッチ4c、4c、・・・4cが上下に並設してある。穀粒タンク4に穀粒が貯留されるに従って、感圧式スイッチ4cは貯留した穀粒によって、下側から順に押圧される。押圧された感圧式スイッチ4cは信号を出力し、該信号に基づいて後述する制御部は貯留量を認識する。
また投口4bから投入された穀粒の衝撃値を検出する投口センサ300(検出手段)が穀粒タンク4内に配置してある。穀粒タンク4の天面から支持部材310が垂下しており、該支持部材310に投口センサ300が固定してある。
図3において破線矢印にて示すように、押し出された穀粒は、一番スクリューコンベア23から受ける上向きの力及び羽根板23bから受ける横向きの力の合成によって、斜め上方向に移動し、投口センサ300に衝突する。
穀粒は投口4bから、羽根板23bの回転によって間欠的に穀粒タンク4へ投入される。投入された穀粒が投口センサ300に衝突する都度、歪みゲージから電圧が出力され、出力された電圧に基づいて穀粒量が制御部によって算出される。
穀粒タンク4の底面は下向きに突出した錐状に形成されている。前記底面の最下部には穀粒を排出する排出スクリューコンベア48が設けてある。排出スクリューコンベア48はオーガ4aに向けて延びている。排出スクリューコンベア48の作動によって、穀粒タンク4に貯留した穀粒はオーガ4aを通って外部に排出される。
コンバインはエンジン40を備える。図4はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
図4に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。エンジン40には、エンジンへの負荷を検出するエンジン負荷検出センサ40aが設けてある。エンジン負荷検出センサ40aはエンジン40の燃料噴射量に基づいて、エンジン40への負荷を検出する。なおエンジン40は一定回転数を保つように定格制御されており、燃料噴射量の大小はエンジン40への負荷の大小に対応する。なお後述する表示部のエンジン負荷インジケータは、エンジン負荷検出センサ40aの出力信号に基づいて、点灯する。
HST41は油圧ポンプ(図示略)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示略)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示略)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また伝動機構50に連結してある。伝動機構50は前記一番スクリューコンベア23に連結してある。
またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体9が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達する。処理胴13bは、扱胴11にて脱穀処理された処理物から穀粒を分離する。
また排出クラッチ47を介して排出スクリューコンベア48にエンジン40の駆動力が伝達し、排出スクリューコンベア48は穀粒タンク4に貯留された穀粒を外部に排出する。
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13から排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈が唐箕27の起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出される。
図5はコンバインのキャビン8の内部を略示する斜視図である。キャビン8内には、ステアリングホイール81と、運転席88とが設けてある。またダッシュボードパネルが運転席88の左側に設けてある。該ダッシュボードパネルには、刈取スイッチ80、排出スイッチ82、報知ランプ84、脱穀スイッチ85が設けてある。また表示部180がステアリングホイール81の中心部分に配してあり、キャビン8の前壁に支持されている。
図6は表示部180を示す模式図である。表示部180は、矩形の液晶表示パネル181と、該液晶表示パネル181の下側に位置する複数のスイッチ200とを備える。液晶表示パネル181は表示部180の大半を占めており、エンジン負荷インジケータ182と、速度計183と、燃料計184と、収穫モニタ185と、脱穀モニタ186と、選別モニタ187と、タンクモニタ188と、穀粒量モニタ189と、左ウインカ190と、右ウインカ191と、情報表示部192と、タッチパネル部193とを備える。
エンジン負荷インジケータ182は液晶表示パネル181の上側左右中央部分に位置しており、右上方向に上昇傾斜した傾斜部分182aと、該傾斜部分182aの上端部分から右方向に延出した延出部分182bとを備える。傾斜部分182a及び延出部分182bは複数の点灯部によって構成されている。
エンジン負荷インジケータ182は、エンジン負荷が大きくなるに従って、点灯部が左側から順に点灯し、点灯数が増加するようにしてある。
エンジン負荷インジケータ182の傾斜部分182aの右側であって、延長部分の下側に速度を表示する速度計183が位置している。該速度計183の右方に、速度計183から離隔して燃料の残量を示す燃料計184が位置している。
速度計183の下側に、羽根板23bによって穀粒が穀粒タンク4に投入される都度、投入された穀粒量を表示する収穫モニタ185が位置している。収穫モニタ185は左右に細長い矩形状をなし、投口センサ300に衝突した穀粒量の衝撃力の大小に応じて長短となるように点灯する。
収穫モニタ185の左下側に、扱胴11の脱穀状況を示す左右に長い脱穀モニタ186が位置している。脱穀モニタ186は、左右に並設された複数の点灯部によって構成されている。
脱穀モニタ186は、排出量センサ34aに当接した穀粒量が大きくなるに従って、点灯部が左側から順に点灯し、点灯数が増加するようにしてある。
収穫モニタ185の右下側に、選別装置16の選別状況を示す左右に長い選別モニタ187が位置している。選別モニタ187は左右に並設された複数の点灯部によって構成されている。
選別モニタ187は、排出量センサ34bに当接した穀粒量が大きくなるに従って、点灯部が左側から順に点灯し、点灯数が増加するようにしてある。
脱穀モニタ186及びエンジン負荷インジケータ182の左方に、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を示すタンクモニタ188が位置している。タンクモニタ188は表示部180の左縁部分に位置している。タンクモニタ188は上下に並設された複数の点灯部を有し、感圧式スイッチ4c、4c、・・・4cが下側から順に押圧されるのに従って、点灯部も下側から順に点灯する。
脱穀モニタ186の右方に穀粒量を示す穀粒量モニタ189が位置している。穀粒量モニタ189は表示部180の右縁部分に位置している。タンクモニタ188の上方に左折を示す左ウインカ190が位置しており、エンジン負荷インジケータ182の右方に右折を示す右ウインカ191が位置している。左ウインカ190及び右ウインカ191は表示部180の左右上隅部にそれぞれ配してある。
脱穀モニタ186及び選別モニタ187の下方に、時刻、変速段、警報等の各種情報を表示する情報表示部192が位置しており、該情報表示部192の下方に矢印にて表された選択スイッチ及びメニュースイッチを含むタッチパネル部193が位置している。情報表示部192及びタッチパネル部193は、表示部180の下縁部分に配してある。
タッチパネル部193又はスイッチ200の操作によって、表示部180に表示される画像の切替、後述する目標穀粒値の設定又はその他の情報の入力が行われる。
穀粒タンク4に貯留する穀粒量を演算する制御部100がコンバインに搭載されている。図7は制御部100の構成を示すブロック図である。
制御部100は内部バス100gにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c及びEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、必要な制御を実行する。なおCPU100aはタイマを内蔵している。
なおEEPROM100dに代えて、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HD(Hard Disk)、フラッシュメモリ等の書き換え可能な他の記憶媒体を使用してもよい。
またEEPROM100dには、穀粒量モニタ189に表示する穀粒量を記憶する第1記憶領域101及び第2記憶領域102が設けてある。またEEPROM100dには、補正変数Xが設定してあり、該補正変数Xには必要に応じて値が格納される。また投口センサ300の検出値を穀粒量の算出対象に含めるか否かを判定するための閾値αが設定してある。またEEPROM100dには後述する閾値Sが設定してある。
制御部100は出力インタフェース100fを介して、脱穀クラッチ44、刈取クラッチ46及び排出クラッチ47に接続又は切断信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、表示部180に所定の映像を表示することを示す表示信号、若しくは点灯又は消灯信号を出力する。また制御部100は報知ランプ84に点灯又は消灯信号を出力する。
刈取スイッチ80、投口センサ300、感圧式スイッチ4c、ピックアップセンサ51、車速センサ43、脱穀スイッチ85、排出スイッチ82及びスイッチ200の各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
刈取スイッチ80のオンオフに対応して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が接続又は切断される。また排出スイッチ82のオンオフに対応して排出クラッチ47が接続又は切断される。また脱穀スイッチ85のオンオフに対応して、脱穀クラッチ44が接続又は切断される。
CPU100aは、投口センサ300の出力信号に係る検出値を積算し、閾値αと比較して積算対象に含めるか否かを判定する。そして積算対象に含める検出値をピックアップセンサ51の出力信号に係る検出値に同期させてEEPROM100dの第1記憶領域101及び第2記憶領域102に記憶する。
図8は投口センサ300の検出値とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフの一例である。図8Aは、時間と投口センサ300の検出値との関係を示すグラフである。投口センサ300の検出値は穀粒の衝突による歪み量を示しており、所定のサンプリング数における移動平均値である。図8Bは、時間とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフである。ピックアップセンサ51の検出値は、羽根板23bの一回転における回転開始時点及び回転終了時点を示している。なお以下の説明において図8の周期Pの添字は適宜省略する。
ピックアップセンサ51の検出値は、パルス波として検出され、パルス波の間隔が一番スクリューコンベア23(回転軸23c)の一回転の周期、すなわち羽根板23bの一回転の周期Pに相当する。なお周期Pの逆数は回転速度に対応し、周期Pを回転速度として捉えることもできる。CPU100aは、所定のサンプリング周期(例えば100[ms])で投口センサ300の検出値を取り込み、EEPROM100dに記憶する。またCPU100aは、ピックアップセンサ51からパルス波が入力される都度、タイムスタンプを作成し、該タイムスタンプを、パルス波が入力された時に投口センサ300から入力された検出値に紐付けて、EEPROM100dに記憶する。
図8において、穀粒が羽根板23bによって穀粒タンク4に投入されている場合、P/4〜3P/4の間に、投口センサ300からCPU100aに穀粒の衝突による検出値が入力される。0〜P/4及び3P/4〜Pの間に投口センサ300からCPU100aに入力された検出値は、穀粒が投口センサ300に衝突していない場合の検出値である。
図8Aにおいて、閾値αは、投口センサ300の温度特性、羽根板23bによる風圧及び機体9の傾きなどの外乱によって、投口センサ300にて検出される検出値に相当する。穀粒が羽根板23bによって穀粒タンク4に投入されていない場合、理想的には、P/4〜3P/4の間に、投口センサ300からCPU100aに穀粒の衝突による検出値は入力されない。しかし実際は、投口センサ300からCPU100aに外乱(例えば羽根板23bによる風圧)による検出値(閾値α)が入力される。
CPU100aは、P/4〜3P/4の間に投口センサ300から入力された検出値と閾値αとを比較する。該検出値に、閾値αを超過する値が含まれている場合、CPU100aは、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を積算すべき対象に決定する(図8Aの周期P1、P2及びP5における破線ハッチング部分の面積)。積算すべき値は、投口センサ300への穀粒の衝突による力積に相当する。
検出値に、閾値αを超過する値が含まれていない場合、CPU100aは、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を積算すべき対象から除外する(図8Aにおいて、周期P3及びP4部分)。
一方0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ300の検出値を積算した値(図8Aの実線ハッチング部分の面積)は定常偏差に相当する。該定常偏差は、エンジン40の振動、凹凸のある圃場を走行中に投口センサ300に伝播した振動及び投口センサ300の特性などに起因する。
CPU100aは、所定の周期(例えば1[s])で、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ300の検出値を積算した値に必要な処理を行い、EEPROM100dにアクセスして、補正変数Xに格納する。
CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、P/4〜3P/4の間における投口センサ300の検出値を積算する。そして積算した値に含まれる定常偏差を補正変数Xに格納された値を用いて除去する。例えば積算した値から、補正変数Xに格納された値を減算する。
CPU100aは、定常偏差を除去した補正値DをRAM100cに記憶する。そして補正値Dに基づいて、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を算出する。算出した穀粒量は第1記憶領域101及び第2記憶領域102に記憶され、積算される。
図9は穀粒量モニタ189に表示された穀粒量を示す画像の遷移状態を説明する説明図である。第1記憶領域101及び第2記憶領域102に記憶された穀粒量は、それぞれ穀粒量1及び穀粒量2として、穀粒量モニタ189に表示される。スイッチ200の操作によって、穀粒量モニタ189に表示される画像が遷移する。
例えばユーザは、穀粒量1を、一の圃場における刈取り開始後の通算の穀粒量(管理収穫量)として使用し、穀粒量2を穀粒タンク4に貯留した穀粒量として使用する。ユーザがスイッチ200を操作することによって、図9に示すように、穀粒量モニタ189には、穀粒量1、穀粒量2並びに穀粒量1及び2が順に表示される。
図10は穀粒量1のリセット時において穀粒量モニタ189に表示される穀粒量1及び2の一例を示す図、図11は穀粒量2のリセット時において穀粒量モニタ189に表示される穀粒量1及び2の一例を示す図である。スイッチ200の操作によって、穀粒量1又は穀粒量2はリセットされる。
一の圃場における刈取りが終了し、他の圃場において刈取りを行う場合、ユーザは、スイッチ200を操作し、穀粒量1をリセットする。図10に示すように、穀粒量1が2000kgであり、穀粒量2が200kgである場合に、ユーザが穀粒量1をリセットした時、穀粒量1は0kgになる。穀粒量2は200kgのままである。その後、コンバインが他の圃場に移動して刈取りを行う。刈取りによって200kgの穀粒が穀粒タンク4に投入された場合、穀粒量1は200kgとなり、穀粒量2は400kgとなる。
ユーザは、一の圃場における通算の穀粒量をリセットすることによって、他の圃場における通算の穀粒量を測定することができる。なおCPU100aは穀粒量1をリセットする場合に、EEPROM100dにリセット直前の穀粒量1を記憶してもよい。この場合、ユーザは、圃場毎の通算の穀粒量(穀粒量1)を後で参照することができる。
圃場の一の区画における刈取りが終了し、他の区画において刈取りを行う場合、ユーザは、スイッチ200を操作し、穀粒量2をリセットする。図11に示すように、穀粒量1が2000kgであり、穀粒量2が500kgである場合に、ユーザが穀粒量2をリセットした時、穀粒量2は0kgになる。穀粒量1は2000kgのままである。その後、コンバインが他の区画で刈取りを行う。刈取りによって200kgの穀粒が穀粒タンク4に投入された場合、穀粒量1は2200kgとなり、穀粒量2は200kgとなる。
ユーザは、一の区画における通算の穀粒量をリセットすることによって、他の区画における通算の穀粒量を測定することができる。ユーザは区画毎の穀粒量を確認し、区画毎の作物の生育状況を確認することができる。
なおCPU100aは穀粒量2をリセットする場合に、EEPROM100dにリセット直前の穀粒量2を記憶してもよい。この場合、ユーザは、区画毎の穀粒量(穀粒量2)を後で参照することができる。
ユーザは、穀粒量2を、穀粒タンク4内の穀粒量を示す値として使用することもできる。この場合、穀粒量2の値を確認することによって、ユーザは穀粒タンク4内の穀粒量が目標穀粒値、例えば穀粒を搬送するトラックに積載可能な量であるか否かを判断することができる。
制御部100は、穀粒量1又は穀粒量2の値が目標穀粒値に近づいた場合、その旨、報知する。
図12は制御部100による報知処理を説明するフローチャートである。この報知処理にあっては、穀粒量2の値について目標穀粒値が設定された場合について説明するが、穀粒量1の値について目標穀粒値が設定された場合も同様な処理が実行される。
制御部100のCPU100aは、タッチパネル部193又はスイッチ200の操作によって、穀粒量2に関する目標穀粒値がEEPROM100dに設定されるまで待機する(ステップS1:NO)。
穀粒量2に関する目標穀粒値がEEPROM100dに設定された場合(ステップS1:YES)、CPU100aは穀粒量2がリセットされたか否かを判定する(ステップS2)。穀粒量2がリセットされていない場合(ステップS2:NO)、CPU100aはステップS1に処理を戻す。
穀粒量2がリセットされた場合(ステップS2:YES)、CPU100aは投口センサ300の検出値に基づいて、穀粒量を積算し(ステップS3)、目標穀粒値と積算した穀粒量との差分を演算する(ステップS4)。
CPU100aは演算した差分が閾値S以下であるか否かを判定する(ステップS5)。差分が閾値S以下でない場合(ステップS5:NO)、CPU100aはステップS3に処理を戻す。
差分が閾値S以下である場合(ステップS5:YES)、CPU100aは報知ランプ84に点灯信号を出力する(ステップS6)。なお報知ブザーをキャビン8内に設けて、差分が閾値S以下である場合に、報知ブザーを鳴らしてもよい。また差分が閾値S以下である場合に、表示部180に穀粒量2が目標穀粒値に接近している旨表示してもよい。
穀粒量2を、穀粒タンク4内の穀粒量を示す値として使用している場合に、その旨ユーザに報知することによって、ユーザは穀粒タンク4内の穀粒量が、例えば穀粒を搬送するトラックに積載可能な量に近づいていることを容易に認識することができる。
ユーザはコンバインの速度を低下させて、目標穀粒量に至る直前に刈取りを停止することができる。ユーザは目標穀粒量に至るまで刈取り作業を行うことができ、且つトランクへの積載時には、積載量の調節が不要となり、作業の効率性を向上させることができる。
制御部100は、穀粒量1又は穀粒量2の値に基づいて、穀粒タンク4に関する刈取り可能な距離を演算し、表示部180に表示することができる。
図13は制御部100による距離演算処理を説明するフローチャートである。この距離演算処理にあっては、穀粒量2の値について目標穀粒値が設定された場合(穀粒量2を、穀粒タンク4内の穀粒量として使用する場合)について説明するが、穀粒量1の値について目標穀粒値が設定された場合も同様な処理が実行される。
制御部100のCPU100aは、タッチパネル部193又はスイッチ200の操作によって、穀粒量2に関する目標穀粒値がEEPROM100dに設定されるまで待機する(ステップS11:NO)。
穀粒量2に関する目標穀粒値がEEPROM100dに設定された場合(ステップS11:YES)、CPU100aは穀粒量2がリセットされたか否かを判定する(ステップS12)。穀粒量2がリセットされていない場合(ステップS12:NO)、CPU100aはステップS11に処理を戻す。
穀粒量2がリセットされた場合(ステップS12:YES)、CPU100aは投口センサ300の検出値に基づいて、穀粒量を積算し(ステップS13)、目標穀粒値と積算した穀粒量との差分を演算する(ステップS14)。
CPU100aは、演算した差分に基づいて、刈取り可能な距離を演算する(ステップS15)。例えば、CPU100aはタイマを使用して計時し、投口センサ300の検出値を取り込んで、穀粒タンク4内に投入される穀粒量について、単位時間当たりの平均穀粒量を演算する。また車速センサ43から速度を取り込む。演算した差分を平均穀粒量で除算し、除算した値と取り込んだ速度とを乗算し、刈取り可能な距離を演算する。
CPU100aは、演算した刈取り可能な距離を表示部180、例えば情報表示部192に表示する(ステップS16)。例えば「刈取り可能距離 1200m」のように表示する。
刈取り可能な距離を表示部180に表示することで、その表示を目安として、ユーザはコンバインの速度を調整することができる。
制御部100は、最下位置にある感圧式スイッチ4cがオフになった場合、すなわち感圧式スイッチ4cが押圧されなくなった場合、穀粒量1又は穀粒量2の値をリセットする。
図14は制御部100によるリセット処理を説明するフローチャートである。このリセット処理にあっては、穀粒量2をリセットする場合について説明するが、穀粒量1をリセットする場合も同様な処理が実行される。
CPU100aは、排出スイッチ82がオンになり、排出が開始されるまで待機する(ステップS21:NO)。排出スイッチ82がオンになり、排出が開始された場合(ステップS21:YES)、CPU100aは、最下位置にある感圧式スイッチ4cがオフになったか否かを判定する(ステップS22)。
最下位置にある感圧式スイッチ4cがオフになっていない場合(ステップS22:NO)、CPU100aは、ステップS22に処理を戻す。最下位置にある感圧式スイッチ4cがオフになった場合(ステップS22:YES)、CPU100aは、穀粒量2をリセットする(ステップS23)。
最下位置にある感圧式スイッチ4cがオフになった場合、穀粒量2を自動的にリセットする。そのため穀粒量2を、穀粒タンク4内の穀粒量として使用している場合、ユーザの操作無しに穀粒タンク4が空になった場合に、穀粒量2が0となり、ユーザの利便性が向上する。
上述した実施の形態に係るコンバインは、二つの穀粒量を計測し、表示する構成であるが、三つ以上の穀粒量を計測し、表示する構成でもよい。またバケットによって穀粒を穀粒タンクに投入するコンバインに上記構成を適用してもよい。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。