JP6279689B2 - 近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターの製造方法 - Google Patents

近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ポリイミド樹脂フィルム上に誘電体多層膜を積層した構造を有し、特にCCD、CMOSなどの固体撮像素子用視感度補正フィルターとして好適な近赤外線カットフィルターに関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)を搭載したテレビが商品化され、一般家庭にも広く普及するようになってきた。このPDPは、プラズマ放電を利用して作動するディスプレイであるが、プラズマ放電の際に近赤外線(波長:800〜1,000nm)が発生することが知られている。
一方、家庭内においては、テレビ、ステレオまたはエアコンなどの家電製品のリモコン、さらには、パーソナルコンピュータによる情報のやり取りに近赤外線を利用することが多くなっており、PDPの発する近赤外線がこれら機器の誤作動の原因になる可能性が高いことが常々指摘されている。
そこで、市販されているPDPの多くは、その前面板に、自らが発する近赤外線をカットするためのフィルター機能を備えるようになっている。
また、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサが用いられているが、これら固体撮像素子はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
近赤外線カットフィルターとしては、従来から各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、ガラス等の透明基材の表面に銀などの金属を蒸着して近赤外線を反射するようにしたもの、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明基材に近赤外線吸収色素を添加したものなどが実用に供されている。
しかしながら、ガラス基材に金属を蒸着した近赤外線カットフィルターは製造コストが掛かるだけでなく、カッティング時(打抜き加工時)に異物として基材のガラス片が混入したり、クラックが発生してしまうという問題があった。一方、基材として樹脂フィルムを用いた近赤外線カットフィルターも知られている(例えば、特許文献1参照。)しかし、機能膜を積層させるため製造コストがかかるという問題があった。さらに、基材として樹脂フィルムを用いる場合、高温下ではガラス基板に比べて耐熱性に劣るため、基板が伸縮し、それにより近赤外線反射膜にクラックが発生するという問題があった。そこで、樹脂フィルム中に、ガラスフィラーを含有させることが検討されている(特許文献2)。
特開2006−30944号公報 特開2009−258362号公報
近年、固体撮像素子は小型化・低背化しており、近赤外線カットフィルターにも一層の薄膜化が要求されている。しかしながら、上記特許文献2(特開2009−258362号公報)について、本願発明者が検討したところ、薄膜化に伴い、耐熱性や分光特性の点で十分な特性が得られなかった。
本願発明は、上記問題点を解決することを目的としたものであって、耐熱性および分光特性に優れ、かつ、薄い近赤外線カットフィルターを提供することを目的とする。
上記課題のもと、発明者が鋭意検討した結果、基材として、ポリイミド樹脂フィルムを用いることにより、基材が薄くても、耐熱性をクリアでき、さらに、分光特性も顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記手段により上記課題は解決された。
(1)ポリイミド樹脂フィルムと誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を有し、かつ、前記ポリイミド樹脂フィルムの厚みが、80μm以下である、近赤外線カットフィルター。
(2)前記ポリイミド樹脂フィルムが、近赤外線吸収剤を含む、(1)に記載の近赤外線カットフィルター。
(3)前記誘電体多層膜が、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層した構造を有する、(1)または(2)に記載の近赤外線カットフィルター。
(4)前記ポリイミド樹脂フィルムが、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、4価の有機基を表す。複数のR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R2は、2価の有機基を表す。複数のR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し複数のR2のうち少なくとも一つは脂環基を有する基である。R3は、それぞれ、水素原子または有機基を表す。)
一般式(2)
(一般式中、XおよびYは、それぞれ、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基、または、単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である連結基を表す。)
(5)前記ポリイミド樹脂フィルムが、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーであって、前記一般式(2)のXおよびYの少なくとも一方が、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基であるポリマーを含む、(4)に記載の近赤外線カットフィルター。
(6)前記ポリイミド樹脂フィルムが、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーであって、前記一般式(2)のXが芳香族基であり、Yが単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基であるポリマーを含む、(4)に記載の近赤外線カットフィルター。
(7)前記低屈折率層の一つがシリカ(SiO2)を含み、前記高屈折率層の一つがチタニア(TiO2)を含む、(3)〜(6)のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
(8)前記低屈折率層の一つがシリカ(SiO2)を含み、前記高屈折率層がITO(錫ドープ酸化インジウム)またはATO(アンチモンドープ酸化錫)のいずれかを含む、(3)〜(6)のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
(9)前記ポリイミド樹脂フィルムの厚みが、60μm以下であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを用いた固体撮像素子。
(11)厚さが80μm以下のポリイミド樹脂フィルムの上に、蒸着により、誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を形成することを含む、近赤外線カットフィルターの製造方法。
(12)蒸着時の基板温度が120〜300℃である、(11)に記載の近赤外線カットフィルターの製造方法。
本発明により、薄くて、耐熱性および分光特性に優れた近赤外線カットフィルターを提供することが可能になった。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、蒸着によって誘電体多層膜を形成できるため、製造コストを低減させることもできる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の近赤外線カットフィルターは、ポリイミド樹脂フィルムと誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を有し、かつ、前記ポリイミド樹脂フィルムの厚みが、80μm以下であることを特徴とする。
<ポリイミド樹脂フィルム>
本発明で用いるポリイミド樹脂フィルムは、厚さが80μm以下であり、60μm以下であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、分光特性を顕著に向上させることが可能になる。ポリイミド樹脂フィルムの厚さの下限値は特に定めるものではないが、例えば、10μm以上とすることができる。ポリイミド樹脂フィルムは、1層からなっていても、2層以上から構成されていてもよい。
次に、本発明で用いるポリイミド樹脂について説明する。
本発明で用いるポリイミド樹脂は、特に定めるものではなく、公知のポリイミド樹脂を広く採用することができる。本発明では、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、4価の有機基を表す。複数のR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R2は、2価の有機基を表す。複数のR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し複数のR2のうち少なくとも一つは脂環基を有する基である。R3は、それぞれ、水素原子または有機基を表す。)
(a)一般式(1)の繰り返し単位を有する樹脂
一般式(1)で表される繰り返し単位は、一般式(1)中の2つのカルボニル基で挟まれた該2つのカルボニル基を含む部分構造である酸成分と、前記一般式(1)中の−NH−R2−NH−で表される部分構造であるジアミン成分とから構成される。
4価の有機基R1としては、炭素数4〜30であることが好ましく、単環式又は縮合多環式の脂肪族基又は芳香族基を有する4価の連結基であることがより好ましい。樹脂(a)中に複数存在するR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。
4価の有機基R1における単環式の芳香族基としては、ベンゼン環基、ピリジン環基等が挙げられる。
4価の有機基R1における縮合多環式の芳香族基としては、ナフタレン環基、ペリレン環基などが挙げられる。
4価の有機基R1における単環式の脂肪族基としては、シクロブタン環基、シクロペンタン環基、シクロへキサン環基などが挙げられる。
4価の有機基R1における縮合多環式の脂肪族基としては、ビシクロ[2.2.1]へプタン環基、ビシクロ[2.2.2]オクタン環基、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン環基などが挙げられる。
4価の有機基R1についての単環式又は縮合多環式の脂肪族基又は芳香族基を有する4価の連結基としては、前述の単環式又は縮合多環式の脂肪族基又は芳香族基そのものであってもよいが、複数の単環式又は縮合多環式の脂肪族基又は芳香族基が単結合ないしは2価の連結基を介して連結して、R1としての4価の連結基を形成していてもよい。
前記2価の連結基としては、アルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、酸素原子、イオウ原子、2価のスルホン基、エステル結合、ケトン基、アミド基などが挙げられる。
1を核として少なくとも4個のカルボキシル基に由来する基を有する酸成分の具体例としては、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)二フタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸無水物、ビス〔3、5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,3’,3,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルメタン二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5’−[p−フェニレンビス(オキシカルボニル)]ジ無水フタル酸などの芳香族テトラカルボン酸無水物に由来する成分や、
シクロブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、又はビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、(1S,2S,4R,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、(1R,2S,4S,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸無水物に由来する成分などを挙げることができる。
好ましくは、ピロメリット酸無水物に由来する成分、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物に由来する成分、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物に由来する成分、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物に由来する成分、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)二フタル酸無水物に由来する成分、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物に由来する成分、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、5,5’−[p−フェニレンビス(オキシカルボニル)]ジ無水フタル酸に由来する成分、シクロブタンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物に由来する成分、(1S,2S,4R,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する成分、(1R,2S,4S,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する成分であり、より好ましくはピロメリット酸無水物に由来する成分、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物に由来する成分、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)二フタル酸無水物に由来する成分、シクロブタンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物に由来する成分、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物に由来する成分、5,5’−[p−フェニレンビス(オキシカルボニル)]ジ無水フタル酸に由来する成分、(1S,2S,4R,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する成分、(1R,2S,4S,5R)‐シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する成分である。これらを使用することによって良好な溶剤溶解性、アルカリ溶解速度、透明性、応力特性が実現できる。
1を核として4個のカルボキシル基を有する化合物などに由来する酸成分の樹脂(a)における含有量としては、樹脂(a)を構成する全繰り返し単位に対して20〜70モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることがより好ましい。
2価の有機基R2としては、脂環基を有する2価の基、芳香族基を有する2価の基、ケイ素原子を含有する2価の基などが挙げられる。樹脂(a)中に複数存在するR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
以下、R2が脂環基を有する2価の基のときのR2を核とするジアミン成分を、脂環ジアミン成分ということもあり、R2が芳香族基を有する2価の基のときのR2を核とするジアミン成分を、芳香族ジアミン成分ということもあり、R2がケイ素原子を含有する2価の基のときのR2を核とするジアミン成分を、シリコンジアミン成分ということもある。
樹脂(a)中に複数存在するジアミン成分中のR2のうち少なくとも1つは脂環基を有する2価の基である。樹脂(a)が脂環基を有するジアミン成分を含有することによって良好な溶剤溶解性、透明性が実現できる。
2が有し得る脂環基としては、炭素数3〜20の2価の脂環基が好ましく、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などの単環のシクロアルキレン基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、ノルボルニレン基、テトラシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基、アダマンチレン基などの多環のシクロアルキレン基などを挙げることができる。
2についての脂環基を有する2価の基としては、前記脂環基そのものであってもよいが、複数の脂環基がアルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)で連結して、R2としての脂環基を有する2価の基を形成していてもよく、ジアミン成分中のアミノ基と脂環基とがアルキレン基で連結していてもよい。
脂環基を有する2価の基を構成し得る前記脂環基、アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子などが挙げられる。
特に好ましいR2を核とする脂環基構造をもつジアミン成分としては5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン成分、cis−1,4−シクロヘキサンジアミン成分、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン成分、1,4−シクロヘキサンジアミン成分(cis、trans混合物)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)成分及びその3,3’−ジメチル置換体、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン成分、1,3−ジアミノアダマンタン成分、3,3’−ジアミノ−1,1’−ビアダマンチル成分、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロヘキシルアミン)成分が挙げられ、この内3,3’−ジアミノ−1,1’−ビアダマンチル成分、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン成分が応力を低くする観点から好ましい。
2を核として2個のアミノ基を有する脂環ジアミン成分の樹脂(a)中の含有量としては、樹脂(a)を構成する全繰り返し単位に対して20〜70モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることがより好ましい。
2についての芳香族基を有する2価の基における芳香族基としては、炭素数5〜16の芳香族基であることが好ましく、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。また、前記芳香族基は窒素原子、酸素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、2価のベンゾオキサゾール基などが挙げられる。
2についての芳香族基を有する2価の基としては前記芳香族基そのものであってもよいが、複数の芳香族基が単結合ないしは2価の連結基を介して連結して、R2としての芳香族基を有する2価の基を形成していてもよく、ジアミン成分中のアミノ基と芳香族基とが2価の連結基を介して連結していてもよい。
前記2価の連結基としては、アルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、酸素原子、イオウ原子、2価のスルホン基、エステル結合、ケトン基、アミド基などが挙げられる。
芳香族基を有する2価の基を構成し得る前記芳香族基、アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
2を核とする芳香族ジアミン成分の具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン成分、p−フェニレンジアミン成分、2,4−トリレンジアミン成分、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、3,3’−ジアミノジフェニルメタン成分、4,4’−ジアミノジフェニルメタン成分、3,4’−ジアミノジフェニルメタン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド成分、3,3’−ジアミノジフェニルケトン成分、4,4’−ジアミノジフェニルケトン成分、3,4’−ジアミノジフェニルケトン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン成分、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン成分、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン成分、1,5−ジアミノナフタレン成分、2,6−ジアミノナフタレン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン成分、5(又は6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン成分、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド成分、4,4’−ジアミノアゾベンゼン成分、4,4’−ジアミノジフェニル尿素成分、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン成分、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン成分、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン成分、4,4’−ビス[4−(α,α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノビフェニル成分、4,4’−ジアミノベンゾフェノン成分、フェニルインダンジアミン成分、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル成分、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分、o−トルイジンスルホン成分、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン成分、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン成分、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド成分、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン成分、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン成分、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノベンズアニリド成分、4−アミノフェニル−4’−アミノフェニルベンゾエート成分、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート成分、2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール−5−イルアミン、4,4’’−ジアミノ−p−ターフェニル成分等、及びこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基からなる群より選ばれた少なくとも一種の基又は原子によって置換された構造が挙げられる。
特に好ましい芳香族ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン成分、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン成分、4,4’−ジアミノビフェニル成分、4,4’−ジアミノベンゾフェノン成分、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル成分、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分、o−トルイジンスルホン成分、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン成分、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノベンズアニリド成分、4−アミノフェニル−4’−アミノフェニルベンゾエート成分、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール−5−イルアミン成分、4,4’’−ジアミノ−p−ターフェニル成分が挙げられ、良好な靭性を有し、応力が低い膜が得られる。
また、上記ジアミン成分には水酸基が置換されていても良い。このようなビスアミノフェノール成分としては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン成分、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン成分、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン成分、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン成分、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル成分、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン成分、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン成分、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン成分などが挙げられる。これらのビスアミノフェノール成分は単独あるいは混合して使用してもよい。
これらのビスアミノフェノール構造のうち特に好ましい態様として、前記一般式(1)中のR2が下記から選ばれる芳香族基を有する2価の基の場合が挙げられる。
上記式中、X1は−O−、−S−、−C(CF32−、−CH2−、−SO2−、−NHCO−を表す。*は前記一般式(1)中のR2に結合する−NH−、又は−OHとの結合位置を表す。また、上記構造において、R2に結合する−NH−と−OHとは互いにオルト位(隣接位)に結合する。
2を核として2個のアミノ基を有する芳香族ジアミン成分の樹脂(a)中の含有量としては、樹脂(a)を構成する全繰り返し単位に対して5〜40モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましい。
また、基板との接着性を高めるためにR2を核とするジアミン成分としてシリコンジアミン成分とすることができる。この例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン成分、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン成分、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン成分、ビス(γ―アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン成分、1,4−ビス(γ―アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン成分、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン成分、ビス(γ―アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン成分等が挙げられる。
シリコンジアミン成分として、下記構造も挙げることができる。
上記式において、R5及びR6は2価の有機基を表し、R7及びR8は1価の有機基を表す。複数のR7は互いに同一であっても異なっていてもよい。複数のR8は互いに同一であっても異なっていてもよい。
5及びR6で表される2価の有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、炭素数6〜20のフェニレン基、炭素数3〜20の2価の脂環基、又はこれらを組み合わせて構成される基を表す。
7及びR8で表される1価の有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくは炭素数6〜20のアリール基を表す。
より具体的には、下記を挙げることができる。
2を核として少なくとも2個のアミノ基を有するシリコンジアミン成分の樹脂(a)中の含有量としては、樹脂(a)を構成する全繰り返し単位に対して5〜40モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましい。
3の有機基の例としては、炭素数1〜20であることが好ましく、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、−CORc(Rcはアルキル基、アリール基、シクロアルキル基)、−SO2Rd(Rdはアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、o−キノンジアジド基)、又はそれらを組み合わせた基などが挙げられる。
3で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖、又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。置換基として、例えば、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
3で表されるシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、多環でもよく、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
3で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。
3で表されるアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
3で表されるアルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基などが挙げられる。
3で表されるケイ素原子含有基は、ケイ素が含有されていれば特に制限されないが、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)が好ましい。
3で表されるアルケニル基は、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、更に炭素数1〜6が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基が好ましい。
3で表されるアルキニル基は、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、の任意の位置に3重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、更に炭素数1〜6が好ましい。例えば、エチニル基、プロパルギル基が好ましい。
本発明においては、R3において水素原子と有機基を混在させることができる。樹脂(a)中の全R3に対して各々100モル%〜20モル%であることが好ましく、100モル%〜40モル%が有機基であることがより好ましい。
また、本発明においては、一般式(1)で表される繰り返し単位を主成分とするポリマーの末端に末端封止剤を反応させることができる。末端封止剤は、モノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などを用いることができる。末端封止剤を反応させることにより、繰り返し単位の繰り返し数、すなわち分子量を好ましい範囲に制御できる点で好ましい。更に、末端封止剤により、末端アミンと発生酸の中和による酸失活を抑制する事ができる。また、末端に末端封止剤を反応させることにより、末端基として種々の有機基、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する架橋反応性基を導入することができる。
末端封止剤に用いられるモノアミンは、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−O−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、2,4−ジエチニルアニリン、2,5−ジエチニルアニリン、2,6−ジエチニルアニリン、3,4−ジエチニルアニリン、3,5−ジエチニルアニリン、1−エチニル−2−アミノナフタレン、1−エチニル−3−アミノナフタレン、1−エチニル−4−アミノナフタレン、1−エチニル−5−アミノナフタレン、1−エチニル−6−アミノナフタレン、1−エチニル−7−アミノナフタレン、1−エチニル−8−アミノナフタレン、2−エチニル−1−アミノナフタレン、2−エチニル−3−アミノナフタレン、2−エチニル−4−アミノナフタレン、2−エチニル−5−アミノナフタレン、2−エチニル−6−アミノナフタレン、2−エチニル−7−アミノナフタレン、2−エチニル−8−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−2−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−1−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−2−アミノナフタレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのうち、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、3,4−ジエチニルアニリン、3,5−ジエチニルアニリン等が好ましい。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、活性エステル化合物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、2−エチニル安息香酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、2,4−ジエチニル安息香酸、2,5−ジエチニル安息香酸、2,6−ジエチニル安息香酸、3,4−ジエチニル安息香酸、3,5−ジエチニル安息香酸、2−エチニル−1−ナフトエ酸、3−エチニル−1−ナフトエ酸、4−エチニル−1−ナフトエ酸、5−エチニル−1−ナフトエ酸、6−エチニル−1−ナフトエ酸、7−エチニル−1−ナフトエ酸、8−エチニル−1−ナフトエ酸、2−エチニル−2−ナフトエ酸、3−エチニル−2−ナフトエ酸、4−エチニル−2−ナフトエ酸、5−エチニル−2−ナフトエ酸、6−エチニル−2−ナフトエ酸、7−エチニル−2−ナフトエ酸、8−エチニル−2−ナフトエ酸等のモノカルボン酸類及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、及びテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が挙げられる。
これらのうち、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、3,4−ジエチニル安息香酸、3,5−ジエチニル安息香酸等のモノカルボン酸類、及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が好ましい。
末端封止剤に用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物及びモノ活性エステル化合物から選ばれた化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、0.1〜100モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜90モル%である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入しても良い。
ポリマー中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリマーを酸性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解する。これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、末端封止剤を容易に検出できる。その他に、末端封止剤が導入されたポリマー成分を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトル及び13CNMRスペクトル測定することによっても、容易に検出可能である。
一般式(2)
(一般式中、XおよびYは、それぞれ、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基、または、単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である連結基を表す。XおよびYは、環構造1つから構成されていてもよいし、複数の環構造を有するものでもよい。)
一般式(2)のXおよびYの少なくとも一方が、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基であることが好ましく、Xが芳香族基であり、Yが単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基であるポリマーがより好ましい。
Xとしては、さらに好ましくは、置換基を有していてもよい、芳香環、シクロヘキサン環、ビシクロ環が例示される。Yとしては、さらに好ましくは、置換基を有していてもよい、芳香環、シクロヘキサン環、ビシクロ環が例示される。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が例示される。
一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーを用いることにより、近赤外線反射膜との密着性を向上させることができる。
本発明で用いることがポリイミド樹脂フィルムの例として、特開2006−213827号公報、特開2006−117910号公報等に記載のものが挙げられる。
本発明に用いられるポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を主成分とするものであることが好ましい。ここでいう主成分とは、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を70モル%以上含有していることを意味する。より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上である。
本発明に用いられる樹脂は、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位と、他の繰り返し単位との共重合体であっても、あるいは、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する複数の樹脂の混合物であってもよい。
さらには、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂と一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を含有しない樹脂との混合物であってもよい。この場合、一般式(1)で表される繰り返し単位および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を含有する樹脂は、50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましい。
共重合あるいは混合に用いられる繰り返し単位の種類及び量は、最終加熱処理によって得られるポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂は、膜物性等の観点から、質量平均分子量で、200,000以下であることが好ましく、1,000〜200,000がより好ましく、2,000〜100,000が更に好ましく、3,000〜100,000が特に好ましい。この分子量範囲とすることにより、応力が低く、機械特性に優れたフィルムを得ることが出来る。なお、本発明において分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
分散度(分子量分布)は、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜3.5であることがより好ましい。
ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、250℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましい。上限値は特に定めるものではないが、例えば、450℃以下である。
ポリアミド樹脂をフィルム上に形成する方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、特開2006−213827号公報の段落番号0058〜0070の記載を参酌できる。
本発明におけるポリイミド樹脂フィルムは、近赤外線吸収剤を含むことが好ましい。近赤外線吸収剤としては、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、クオタリレン系色素、ジチオール金属錯体系色素、遷移金属酸化物系化合物が例示され、「イーエクスカラーIR−10」、「イーエクスカラーIR−12」、「イーエクスカラーIR−14」、「イーエクスカラーHA−1」、「イーエクスカラーHA−14」(いずれも商品名、日本触媒社製)、「SIR−128」、「SIR−130」、「SIR−132」、「SIR−152」、「SIR−159」、「SIR−162」(いずれも商品名、三井化学社製)、「Kayasorb IRG−022」、「Kayasorb IRG−023」、「KayasorbIRG−040」(いずれも商品名、日本化薬社製)、「CIR−1081」(商品名、日本カーリット社製)、「NIR−IM1」、「NIR−AM1」(いずれも商品名、ナガセケムテックス社製)、セシウム酸化タングステン化合物(住友金属鉱山社製)、「Lumogen IR765」、「Lumogen IR788」(BASF社製)、「ARS670T」、「IRA800」、「IRA850」、「IRA868」(Exciton社製)が好ましい。
近赤外線吸収剤入りのフィルムは、ポリイミド樹脂溶液に近赤外線吸収剤を配合させた液を、塗膜・成形することにより得ることができる。
近赤外線吸収剤を添加することにより、分光特性を顕著に向上させることができる。近赤外線吸収剤の添加量は、ポリイミド樹脂フィルムに0.1〜50重量%の割合で含まれることが好ましく、0.5〜30重量%の割合で含まれることがより好ましい。
本発明におけるポリイミド樹脂フィルムには、上記のほか各種添加剤を添加することができる。具体的には、界面活性剤、酸化防止剤および熱安定剤が例示される。
<近赤外線反射膜>
本発明の近赤外線カットフィルターは、誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を有する。誘電体多層膜は、好ましくは、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層した構造を有する。このような誘電体多層膜を少なくともポリイミド樹脂フィルムの一方の面に有することにより、近赤外線を反射する能力に優れた近赤外線カットフィルターとすることができる。また、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差は0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。屈折率差が1.0以上であると、カット可能な近赤外線領域の波長幅が広くなり、より近赤外線カット性能に優れたフィルターが得られる。
<高屈折率層>
高屈折率層を構成する材料の屈折率としては、通常、1.6以下であり、1.2〜1.6が好ましい。このような材料としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウムなどが挙げられ、シリカが好ましい。
<低屈折率層>
低屈折率層を構成する材料の屈折率としては、通常、1.7以上であり、1.7〜2.5が好ましい。このような材料としては、例えば、酸化チタン(チタニア(TiO2))、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン(チタニア(TiO2))、酸化錫、酸化セリウム等を少量含有させたものなどが挙げられる。好ましくは、チタニア(TiO2)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)およびATO(アンチモンドープ酸化錫)である。特に、ITO(錫ドープ酸化インジウム)およびATO(アンチモンドープ酸化錫)を用いると、電磁波の領域もカットでき、より効果的である。
<積層方法>
高屈折率層と低屈折率層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はないが、例えば、CVD法、スパッタ法、蒸着法などにより、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層することにより誘電体多層膜を形成することができる。本発明では特に、蒸着法によって製造できるため、生産性が向上すると言うメリットがある。蒸着時の基板温度は、120〜300℃であることが好ましい。
高屈折率層および低屈折率層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長λ(nm)の0.1λ〜0.5λの厚さである。厚さが上記範囲外であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)が、λ/4で算出される光学的膜厚と大きく異なって反射・屈折の光学的特性の関係が崩れてしまい、特定波長の遮断・透過をするコントロールができなくなってしまう傾向になる。
高屈折率層および低屈折率層の積層数は、ポリイミド樹脂フィルムの一方の面にのみ誘電体多層膜を有する場合は、通常10〜80層、好ましくは10〜30層である。一方、ポリイミド樹脂フィルムの両面に誘電体多層膜を有する場合の積層数は、基板両面の積層数全体として、通常10〜80層、好ましくは10〜30層である。
本発明に係る近赤外線カットフィルターは、優れた近赤外線カット能を有し、しかも耐熱性に優れ、歪みや割れを生じにくい。したがって自動車や建物などのガラスなどに装着される熱線カットフィルターなどとして有用であるのみならず、特に、デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラなどのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正に有用であり、製品組み込み時の高温接着、高温領域下での使用などを求められる用途にも好適に使用できる。
また、有機EL素子や太陽電池素子等にも好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1
(1)ポリアミック酸(ポリイミド前駆体、ドープA)の合成
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた200mLフラスコ中に2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化(株)製)10.615gを入れ、N−メチル−2−ピロリドン120.64gに溶解した後、氷冷下2℃で(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(岩谷瓦斯(株)製)10.675gを添加した。4℃で1時間、次いで25℃で24時間反応させたところ、透明なポリアミック酸溶液が得られた。得られた溶液をGPCで分析すると、Mw=3.71×10-4、Mn=2.02×10-4であった(ドープA)。
なおGPC測定は、HPC−8220GPC(東ソー製)、ガードカラム:TSKguardcolumn SuperAW-H、カラム:TSKgel SuperAWM-Hを3本直結し、カラム温度50℃、試料濃度0.5質量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を20μl注入し、溶出溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン溶液(LiBr(10mM)およびH3PO4(10mM)を含む)を毎分0.35mlの流量でフローさせ、RI検出装置にて試料ピークを検出することで行った。MwおよびMnは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
(2)フィルムの作成
次いで、ガラス板上にドクターブレードにてドープAを流延し、80℃にて乾燥させた。ドープが完全に乾燥しきる前にガラス板より剥離し、120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機により延伸した。延伸条件は樹脂温度120℃、延伸速度200mm/分(縦、横共に)、チャック間距離100mm、延伸倍率1.7倍(面積比)とした。作製した延伸フィルムを枠張りし、200℃で2h真空乾燥させたのち、枠をはずして、300℃で2h加熱した。得られた基材フィルムは、目視による観察で、異物、ムラ、ハジキが見受けられず、良好な外観を有していた。樹脂フィルムの厚さは、79μmであった。
(3)蒸着
得られた基材フィルムに、SiO2層と、TiO2層とを、交互に、電子ビーム蒸着(EB)法により基板温度280℃で、積層蒸着し、誘電体多層膜を両面に形成し、誘電体多層膜付積層フィルムを得た。基材フィルム上に形成された誘電体多層膜層は、1層が70〜180nmで、片面18層(最表面層はSiO2層)の層構成であった。
(4)評価
<外観評価>
得られた近赤外線カットフィルターを目視により、クラック・剥がれ・ムラがないかを確認し、これらの故障が無いものを「〇」、いずれかの故障が見られるものを「×」とした。
<分光特性評価>
IRカットフィルターの分光特性を、分光光度計(U−4100型、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて評価した。入射角をフィルム面に対し垂直(角度0度)および35度に変化させ、透過帯(可視光領域)における高波長側で透過率が50%となる波長(650nm付近、以下「高波長端波長」と呼ぶ)および低波長側で透過率が50%となる波長(400nm付近、以下「低波長端波長」と呼ぶ)を求めた。次に、下式により、入射角による「高波長端波長」および「低波長端波長」のシフト量を求めた。
近年、THおよびTLの要求が厳しくなっており、TH値またはTL値が2nm低下すると顕著な低下であるといえるものである。
<耐熱性>
IRカットフィルターを2cmx2cmに切り出し、ホットプレート上で260℃、3分間加熱した。加熱の前後で、分光光度計(U−4100型、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、300−1300nmの波長領域の分光を入射角0度において測定し、加熱前後における、分光透過率の面積の積分値の変化量が、5%未満のものを「〇」、5%以上10%未満のものを「△」、10%以上のものを「×」とした。
実施例1において、ドープおよび膜厚を下記表に示すとおり変更し、他は同様に行って、各種実施例および比較例の近赤外線カットフィルターを作成した。
また、実施例6については、実施例1において、蒸着の工程において、TiO2層をITO層に変更した以外は同様にして、誘電体多層膜を形成した。また、比較例1については、実施例1において、ポリアミド樹脂フィルムをTAC(フジタック80UL、富士フイルム製)に変え、たは同様に行った。
<ドープBの作成>
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた5000mLフラスコ中にtrans−1,4−シクロヘキサンジアミン(岩谷瓦斯(株)製)123.42 g を入れ、NMP(N −メチル− 2 − ピロリドン)2399.4gに溶解した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物(三菱化学(株)製)300.00 g を添加した。60 ℃ で4 時間攪拌し、その後室温まで放冷した。次いで無水フタル酸30.27gを添加し、室温で10時間攪拌して無色透明のポリアミック酸溶液を得た。得られた溶液をGPCで分析すると、Mw=1.68×10-4、Mn=0.62×10-4、Mw/Mn=2.71であった。
<ドープCの作成>
上記ドープAにおいて、ポリアミック酸100重量部に対し、0.3重量部の割合で、Lumogen IR788(BASF社製)を添加した。
<ドープEの作成>
日本ゼオン株式会社製のノルボルネン系樹脂「ゼオノア 1400R」をシクロヘキサンとキシレンの7:3混合溶液を加えて溶解し、固形分が20%の溶液を得た(ドープE)。係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で8時間、80℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下100℃で24時間乾燥した。
上記結果から明らかなとおり、本発明では、ポリイミド樹脂フィルムの厚さを80μmとすることにより、分光特性を顕著に向上させることが可能になった。

Claims (13)

  1. ポリイミド樹脂フィルムと誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を有し、
    前記ポリイミド樹脂フィルムが、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含み、
    前記ポリイミド樹脂フィルムの厚みが、10μm以上80μm以下である近赤外線カットフィルターであり、
    前記近赤外線カットフィルターは、入射角を近赤外線カットフィルターのフィルム面に対し角度0度および35度に変化させて求めた可視光領域における高波長側である650nm付近で透過率が50%となる波長である高波長端波長の、下式により求めた、入射角による高波長端波長のシフト量であるTHが3〜14nmであり、
    かつ、
    入射角を近赤外線カットフィルターのフィルム面に対し角度0度および35度に変化させて求めた可視光領域における低波長側である400nm付近で透過率が50%となる波長である低波長端波長の、下式により求めた、入射角による低波長端波長のシフト量であるTLが11〜15nmである、
    近赤外線カットフィルター。
    TH(nm)=|(入射角0度における高波長端波長)−(入射角35度における高波長端波長)|
    TL(nm)=|(入射角0度における低波長端波長)−(入射角35度における低波長端波長)|
    一般式(2)中、Xは炭素原子数が4〜30の芳香族炭化水素基を表し、Yは炭素原子数が4〜30の単環式の脂肪族基を表す。
  2. 前記ポリイミド樹脂フィルムが、近赤外線吸収剤を含む、請求項1に記載の近赤外線カットフィルター。
  3. 前記近赤外線吸収剤が、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、クオタリレン系色素、ジチオール金属錯体系色素、および遷移金属酸化物系化合物から選ばれる1種以上である、請求項2に記載の近赤外線カットフィルター。
  4. 前記誘電体多層膜が、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層した構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  5. 前記高屈折率層と前記低屈折率層の屈折率差が0.5以上である、請求項4に記載の近赤外線カットフィルター。
  6. 前記低屈折率層の一つがシリカ(SiO2)を含み、前記高屈折率層の一つがチタニア(TiO2)を含む、請求項4または5に記載の近赤外線カットフィルター。
  7. 前記低屈折率層の一つがシリカ(SiO2)を含み、前記高屈折率層がITO(錫ドープ酸化インジウム)またはATO(アンチモンドープ酸化錫)のいずれかを含む、請求項4または5に記載の近赤外線カットフィルター。
  8. 前記ポリイミド樹脂フィルムの厚みが、60μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  9. 前記ポリイミド樹脂フィルムのガラス転移温度が250℃以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  10. 近赤外線カットフィルターを、2cm×2cmに切り出し、ホットプレート上で260℃、3分間加熱し、加熱の前後における、400−1100nmの波長領域の分光を入射角0度において測定した、分光透過率の面積の積分値の変化量が、10%未満である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを用いた固体撮像素子。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター製造方法であって、
    下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含み、厚さが10μm以上80μm以下のポリイミド樹脂フィルムの上に、蒸着により、誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を形成することを含む、近赤外線カットフィルターの製造方法。
    一般式(2)中、Xは炭素原子数が4〜30の芳香族炭化水素基を表し、Yは炭素原子数が4〜30の単環式の脂肪族基を表す。
  13. 蒸着温度が120〜300℃である、請求項12に記載の近赤外線カットフィルターの製造方法。
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