JP6279597B2 - 細胞培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞を培養する細胞培養装置と送液装置に関するものである。
自分の細胞もしくは他人の細胞を用いて疾病の治療を行う再生医療では、生体から採取した細胞を、しばしば培養して細胞数を増やす、あるいはしかるべき形に組織を形成させて移植治療に用いられる。治療に用いる細胞の培養は、細胞プロセシングセンタ(Cell Processing Center:CPC)という細胞培養用クリーンルームの中で、GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠して行わなければならない。ここでの課題は、細胞培養は技術者の手によって行われるために、患者1名分の細胞の調製に対して労力とコストが非常にかかるという点と、手動で操作することによる生物学的汚染リスクがあるという点である。
これらの課題を解決する手段として、閉鎖系で細胞培養工程を自動化する装置が開発されてきた。これは、培養容器の蓋を開閉する操作が不要な閉鎖系培養容器と、送液系統と送気系統すべてで菌体、ウィルスの進入を防いだ密閉状態の元で行われることで、細胞培養工程の自動化と生物学的汚染リスクの低減が達成されるものである。
他方、細胞には、増殖させる過程においてフィーダー細胞という栄養細胞から産生される成長因子を必要とする細胞種と必要としない細胞種がある。再生医療において注目されている、ES(Embryonic Stem)細胞やiPS(Induced Pluripotent Stem)細胞、および皮膚上皮細胞、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞といった細胞種は、しばしばフィーダー細胞が必要である。培養した細胞を治療に用いる場合、フィーダー細胞と治療に用いられる細胞は分離された状態で培養することが望ましく、2層の培養層を有する細胞培養容器にて細胞培養することが望ましい。この課題を解決する手段としては、特許文献1に示すような培養装置が提案されている。ここでは2層の培養層を有する細胞培養容器を用い、細胞や培地を供給または排出する流路を備えることで、ES細胞などの細胞種を閉鎖系で自動培養することが可能である。
また、増殖過程においてフィーダー細胞を必要としない細胞種の自動培養を実現する装置として、特許文献2に示すような培養装置が提案されている。ここでは幹細胞を主とした細胞を1層の培養層で培養する自動培養装置が開示されている。
特開2011-10599号公報 特開2007-222120号公報
特許文献1記載の細胞培養容器は、培地保持部が2層構造となっていて、それぞれに送液管と廃液管を備えて液体移動がなされ、ガス透過膜と物質透過膜で構成されることにより、所定の湿度、ガス組成で培養される。一方で特許文献2記載の自動培養装置においては、培養容器は気密に維持されており、換気(ガス交換)の工程は送液に利用したチューブを利用して、培養容器に送気している。
外面にガス透過膜を設けない培養容器において2層培養を考えた時、特許文献2記載の方法に準じれば、第1の容器と第2の容器のそれぞれに送液用配管と排出用配管を設け、さらに換気とガス交換専用の配管が一つ設けられた構成が考えられる。培養容器の内部の気相は繋がっているから換気用配管は共通として一つで良い。このように5本の配管を準備して培養容器を構成することは当該業社にとっては容易である。
しかしながら、送液の制御部分と培養容器との接続距離が長くなるほど、配管の本数は少ないほうが部品コストとして削減できるため有利である。加えて培養容器を複数備えて並列処理が出来ることが自動化の目的であり、配管の本数を少なくすることは培養容器の複数化を実現するうえでも重要となる。
本発明者らはさらに検討を進めた結果、第1の容器に送液を実施するときは、第2の容器の送液管が換気用の配管として利用でき、逆に第2の容器の送液時には、第1の容器の送液管が換気用の配管として利用できることを見出した。即ち第1の容器と第2の容器のそれぞれに送液用配管と排出用配管を設け、最小数として4本の配管を設ければよい。
しかしながら、このような構成を採用した場合、後で説明するように、液体培地を送液した送液管には、容器まで到達しなかった液体培地が残留し、その後の気相の移動により液体培地は排出管に移動して、設置されたフィルタに到達し、フィルタの目詰まりを発生させる可能性があり、フィルタが目詰まりすれば、フィルタが圧力抵抗、または圧力損失となって排気管や培養容器の内圧が変化し、液体やガスの流れが不安定化するという課題がある。また、導通するガスに含まれる水蒸気がフィルタに到達し、フィルタ目詰まりを発生させ、その結果、上記と同様の現象が発生するという課題がある。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、配管の本数を多くすることなく培養容器の複数化を実現し、培養容器の内圧を常圧に保つことが出来る細胞培養装置を提供することにある。
本発明においては、上記課題を解決するために、細胞培養装置であって、培養容器と、液体またはガスを培養容器内に供給する第一の供給口と、培養容器内のガスを排出する第一の排出口と、第一の排出口から排出されたガスを大気圧の外気へ排出するための流路と、
流路上に設けられたフィルタと、流路上の第一の排出口とフィルタとの間に、排出されたガスの水分を捕集する捕集部と、を備える構成の細胞培養装置を提供する。
本発明の細胞培養装置によれば、培養容器の内圧を常圧に保つことができる。
実施例1の細胞培養装置の構成例を示す図である。 細胞培養装置の送液装置の構成において送液時の状態を説明する図である。 細胞培養装置の送液装置の構成において排出時の状態を説明する図である。 細胞培養装置の送液装置の構成においてガス換気時の状態を説明する図である。 実施例1の細胞培養装置の送液装置の送液時の状態を示す図である。 実施例1の細胞培養装置の送液装置のガス換気時の状態を示す図である。 実施例1の細胞培養装置の自動培養装置の制御フローを示す図である。 実施例1の細胞培養装置の制御フローチャートを示す図である。 実施例2の細胞培養装置の液体を移動して貯留する状態を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、それに先立ち細胞培養装置において、配管の本数を多くすることなく培養容器の複数化を実現することを検討した際に明らかとなった課題を、図2−図4を用いて説明する。
図2は細胞培養装置において、2層培養を行う培養容器への送液と排出手段の概略図である。同図において、恒温槽32内に、第1容器2、第2容器3から構成される、2層培養を実施可能な培養容器1を設置する。そして、第1容器へ液体培地を添加する送液管4と、第1容器から液体培地を排出するときの排出管5を設置し、容器側の開口端は、容器の底面近傍に設ける。同様に第2容器3に関しても、送液管6、排出管7が設けられる。第1容器2へ液体培地を添加する送液管4は、第1ポンプ8と液体開閉弁16を介して、第1容器2へ送液すべき液体培地を保持する液体ボトル9に接続される。第2容器3へ液体培地を添加する送液管6は、第2ポンプ10を介して、第2容器3へ送液すべき液体培地を保持する液体ボトル9に接続される。このうち送液管6は第2ポンプ10と培養容器1の管の途中で2分岐され、排気管13として、排気開閉弁14および大気連通フィルタ15を介して大気に開放されている。
第1容器2から液体培地を排出する排出管5は、第3ポンプ11を介して、図示しない回収ボトルに排液される。また第2容器3から液体培地を排出する排出管7は、第4ポンプ12を介して、図示しない回収ボトルに排液される。
2層培養を行う培養容器への送液時には、液体開閉弁16と排気開閉弁14を開放して第1ポンプ8を作動すれば、液体ボトル9より、破線と矢印の向きに従って液体は移動開始し、送液管4を通過して、培養容器1における第1容器2内へ液体は到達する。培養容器1において、排出用の第3ポンプ11および第4ポンプ12の非稼働時は弁のように閉止されていて、排出側は気密に維持されている。このとき培養容器の気相は、送液管6を通過して破線と矢印の向きに従って連通しており、開放されている排気開閉弁14を介して、大気に連通している。よって送液に伴う容器内の圧力は大気圧に維持される。即ち本来は送液用である第2の容器の送液管が換気用の配管として利用できるので、換気用の専用の配管は不要とでき、配管の本数を少なくすることができる。
続いて、図3により、図2の構成において、2層培養を行う培養容器からの排出時の方法を示す。排出時には排気開閉弁14を開放して第3ポンプ11を作動すれば、培養容器1における第1容器より、破線と矢印の向きに従って液体は移動開始し、排出管5を通過して、図示しない回収ボトルに排液は到達する。培養容器1において送液用の第1ポンプ8および排出用の第4ポンプ12の非稼働時は弁のように閉止されていて、気密に維持されている。よって、培養容器内の気相は大気の開放口より大気連通フィルタ15、開放されている排気開閉弁14を介して、破線と矢印の向きに従って送液管6が大気に連通しているので、送液に伴う容器内の圧力は大気圧に維持される。即ち本来は送液用である第2の容器の送液管が換気用の配管として利用できるので、排出時の換気用の専用の配管は不要となる。
次いで、図4により、図2、図3の構成において、2層培養を行う培養容器における換気方法を示す。COとO含む混合ガスボンベ17は、加湿ボトル19に接続されている。細胞培養中の液体培地はpH値が径時的に変化することを防止するため、定期的に前記のガスで液体培地の表面よりガス交換を行う必要がある。加えて液体培地の蒸発による液体培地成分の濃縮を防止する必要がある。ボンベ17より導出したCOガスは加湿ボトル19内の純水18内を潜らせることにより、ガスは最適湿度に加湿され待機される。ガスは第1ガス開閉弁20と第1ポンプ8をバイパスするガス管21に設けられた第2ガス開閉弁22を介して、送液管4を経由して培養容器1に到達するので、容器内のガス交換と湿度維持が可能となる。
2層培養を行う培養容器へのガス換気時には、排気開閉弁14を開放し、次いで第2ガス開閉弁22、第1ガス開閉弁20を開放すれば、加湿ボトル18より、破線と矢印の向きに従って加湿されたガスは移動開始し、ガス管21と送液管4を通過して、培養容器1における気相に到達する。培養容器1において、前述と同様に開放されている排気開閉弁14を介して、送液管6が大気に連通しているので、培養容器1内の気相はガスと置換されて大気に放出され、送気に伴う容器内は調圧された圧力に維持される。即ち本来は送液用である第2の容器の送液管4が換気用の送気配管として利用でき、また第1の容器の送液管6が換気用の排出配管として利用できるので、ガス換気時の換気用の専用の配管は不要といえる。
先に概説したように、以上の構成にあっては、液体培地を送液した送液管には、容器まで到達しなかった液体培地が残留し、その後の気相の移動により液体培地は排出管に移動して、大気連通フィルタに到達し、フィルタの目詰まりを発生させる可能性がある。フィルタが目詰まりすれば、フィルタが圧力抵抗、または圧力損失となって排気管や培養容器の内圧が変化し、液体やガスの流れが不安定化する。
一例として培養容器の内圧が大気圧より高くなった場合は、排出管5および排出管7は液体培地に接しているから、液体培地は排出管に侵入して本来は容器1あるいは容器2上で保持すべき液体培地が減量することとなる。内圧が大気圧より低くなった場合は、排出管5および排出管7は液体培地に接しているから、排出管内の気相が小気泡となって液体培地に残留する。本来、容器1あるいは容器2に保持した液体培地および細胞には気泡が無いことが望ましい。さらに大気連通フィルタが閉塞した状態で送液が継続すれば、容器まで到達しなかった液体培地は排出管内に蓄積を始め、管自体が閉塞して圧力抵抗となって、培養容器への所定量の送液量の再現性が維持できなくなる。
更に、導通するガスに含まれる水蒸気が大気連通フィルタに到達し、フィルタ目詰まりを発生させる場合がある。その結果生じる現象は上記と同様である。
本発明は、以上説明した課題を解決可能とするものであり、添付図面を参照して、その実施例について詳述する。ただし、これらの実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図5を参照しながら、細胞培養装置の第1の実施例を説明する。図5は、図2で説明した2層培養を行う培養容器への送液と排出手段の概略図に対し、水分等の液体を捕集する捕集部としてトラップボトルを設置した構成を示す図である。培養容器1への送液手段は上述した構成と同じであるので、培養容器1から廃棄開閉弁14までの説明は省略する。トラップボトル24はふた28によって気密に保持され、ふたには容器側開口26と大気側開口27が貫通して設けられている。容器側開口26は排気開閉弁14を介して排気管13に接続され、大気側開口27は大気連通フィルタ29を介して大気に開放されている。
2層培養を行う培養容器への送液時には、排気開閉弁14を開放して第1ポンプ8を作動すれば、液体ボトルより破線と矢印の向きに従って液体は移動開始し、送液管4を通過して、培養容器1における第1容器2内へ液体は到達する。培養容器1において、排出用の第3ポンプ11および第4ポンプ12の非稼働時は弁のように閉止されていて、排出側は気密に維持されている。このとき培養容器の気相は、送液管6を通過して破線と矢印の向きに従って連通しており、開放されている排気開閉弁14を介して、トラップボトル24を通過して大気に連通している。よって送液に伴う容器内の圧力は大気圧に維持される。
次いで、液体培地を送液した送液管には、容器まで到達しなかった液体培地が残留し、その後の気相の移動により残留した液体培地は移動して、トラップボトル24に到達する。送液管の内部を伝わって到達した液体は、容器側開口26において凝集し、やがてボトル内底部に滴下する。気相はボトル内で連なった大気側開口28を通過して、大気連通フィルタ29に到達し大気に放出される。
次に、2層培養を行う培養容器1における換気方法を示す。COとO含む混合ガスボンベ17が、加湿ボトル19に接続されている。ボンベ17より導出したCOガスは加湿ボトル19内の純水18内を潜らせることにより、ガスは最適湿度に加湿され待機される。ガスは第1ガス開閉弁20と第1ポンプ8をバイパスするガス管21に設けられた第2ガス開閉弁22を介して、送液管4を経由して培養容器1に到達する。
図6に示すように、2層培養を行う培養容器へのガス換気時には、排気開閉弁14を開放し、次いで第2ガス開閉弁22、第1ガス開閉弁20を開放すれば、加湿ボトル18より、破線と矢印の向きに従って加湿されたガスは移動開始し、ガス管21と送液管4を通過して、培養容器1における気相に到達する。このとき培養容器の気相は、送液管6を通過して破線と矢印の向きに従って連通しており、開放されている排気開閉弁14を介して、大気に連通している。よってガスの換気に伴う容器内の圧力は大気圧に維持される。
また導通するガスに含まれる水蒸気が、ガスの水分を捕集する捕集部として機能するトラップボトル24を通過する際に、液相と気相に分離されるので、液相が大気連通フィルタ29に到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止することができる。
トラップボトル24の構成は、耐圧であって、環境温度によって変形しない素材がよい。また細胞培養における使用前滅菌が必要であり、これにはガラスやポリカーボネート樹脂等が好適である。トラップボトルを使用前に滅菌してあれば内部に培地を保持しても、目的外の菌増殖を防ぐことが可能であり、これに連なる流路の無菌状態を維持できる。理想的には、トラップボトルの使用後は流路と共に取り外して単回使用とすれば、洗浄滅菌の手間が省略できる。さらにトラップボトルが透明素材で有れば、内部の液体の貯留状態を確認できるので尚良い。
ふたに貫通して設けられた容器側開口26と大気側開口27は、それぞれの開口端の位置高さは、容器側開口26を大気側開口27より低い位置とする方が望ましい。それは移動してきた液体培地、または凝集した水蒸気の液滴は通常容器側開口26より自然落下するので、大気側開口27は容器側開口26より上方にあれば、液滴は大気側開口27に到達することを防止できる。
なお、以上説明した液体開閉弁16などに使用する弁機構は、電磁弁が好適である。いわゆる電磁弁は電磁石の動作作用により開閉する部品にゴムチューブを挟み込む(接続の意)ことにより、電磁弁のONOFFによりゴムチューブを弾性変形させて管部を絞ったり、開放させたりする機構である。以下、弁なるものは電磁弁を意味する。以上説明したポンプには、一般のローラーポンプが好適である。いわゆるローラーポンプはモータ軸に取り付けたローラーにゴムチューブを巻きつけ(接続の意)て、モータ回転によってゴムチューブを弾性変形させて内部の気体や液体を送液する機構である。以下ポンプはローラーポンプを意味する。以上説明したフィルタは流路の外部から気体を取り込むまたは排出して、流路内部の気圧を調整するものであり、例えば0.22μm以上の粒子、菌体、ウィルスを通さない品質のものを使用する。以下フィルタは同様のものを意味する。
<自動細胞培養装置の構成>
図1は、第1の実施例における水分等の液体の捕集部であるトラップボトルを備えた自動培養装置の構成を示す一例である。以下、細胞培養容器への液体培地の供給または排出する送液制御手段を備えた自動細胞培養装置31の実施例の構成、動作を説明する。恒温槽32は、細胞培養に最適な培養温度で以下詳述する細胞培養容器を保持する。冷蔵庫33は、冷温保持する必要があるものを保持する。コントローラ30は、以上の機械要素、および以下の機械要素を、プログラムされたシーケンスに沿って制御する。なお、図1において、培養容器55、57が図5、6の培養容器1に、トラップボトル105がトラップボトル24に、第1ポンプ48、第2ポンプ72、第3ポンプ82、第4ポンプ89が第1ポンプ8、第2ポンプ10、第3ポンプ11、第4ポンプ12に対応する。
第1の細胞懸濁液を保持する第1細胞ボトル34は、ふたにより内部を気密に保持できる液体ボトルである。第1細胞ボトル34は、ふたに設けた気圧調整のための管路35を備え、その開口端に設けられたフィルタ36により恒温槽32内に開放される。また、ふたに設けられた供給管37の一端は、第1細胞ボトル34の内部に開口端を持ち、細胞懸濁液に接して液体排出口となる。供給管37は分岐点38を介して2分岐され、一方は第1気体導入弁39に接続され、もう一方の供給管37は第1細胞開閉弁40に接続される。分岐点38は第1細胞ボトル34に保持される液体の液面より上方に設けられる。供給管37の開口端にフィルタ41が設けられ、恒温槽32内に開放している。
分岐点38で分岐された供給管37は第1細胞開閉弁40で2分岐されて、一方は共通管42に接続され、もう一方は第1ガス開閉弁43へと通じる2分岐に接続される。なお、共通管42については後述する。第1ガス開閉弁43には加湿ボトル44が接続され、加湿ボトル44にはフィルタ45が接続され、さらに圧力制御弁46を介してCOとO含む混合ガスボンベ47が接続されている。細胞培養中の液体培地はpH値が径時的に変化することを防止するため、定期的にCOガスで液体培地の表面よりガス交換を行う必要がある。加えて液体培地の蒸発による液体培地成分の濃縮を防止する必要がある。ボンベ47より導出したCOガスは加湿ボトルにおいて最適湿度に加湿され待機される。
第1ガス開閉弁43へと通じる2分岐のもう一方の供給管37は、第1ポンプ48における吸引口と第2ガス開閉弁49に2分岐される。第1ポンプ48における吐出口と第2ガス開閉弁49は統合されて送液管50となる。即ち第2ガス開閉弁49は、第1ポンプ48のバイパスの役割である。ここで、ポンプの吸引口から細胞ボトルの間の送液用の管は供給管とし、ポンプの吐出口から細胞培養を行う培養容器の間の送液用の管は送液管とする。
送液管50の2分岐された一端は、排気管13と第1排気開閉弁51を介して捕集部であるトラップボトル105が接続される。トラップボトル105はふた106によって気密に保持され、ふた106には容器側開口107と大気側開口108が貫通して設けられている。トラップボトル105自体は冷蔵庫33の内部に保持し、大気側開口108は大気連通フィルタ52を介して大気に開放されている。
更に、送液管50は多分岐部54で分岐され、第1培養容器55用の第1容器開閉弁56と、第2培養容器57用の第1容器開閉弁58に接続される。第1培養容器55と第2培養容器57の両者は同じ構成であり、図5、6の培養容器1に対応するので、以下、第1培養容器55を用いて説明する。なお、本実施例の細胞培養装置で並置される培養容器は2個に限らず、3個以上であっても良いことは言うまでもない。
第1培養容器55は、外観が本体部59とふた部60からなる気密な容器であり、内観は本体部59の内底部に細胞を保持して培養可能な第2容器61と、細胞を保持して培養可能な第1容器62を保持できる。第1培養容器55は、第1容器62の培養面は物質透過膜からなり、第2容器61で培養する栄養細胞から産生される成長因子のみを透過して、第1容器で培養する細胞の成育を促進させる培養方法、いわゆる共培養を実施する培養容器である。ふた部60には4つの貫通するポート、すなわち第1容器62に液体を添加する第1ポート63、第1容器62の底面近傍に接し液体を排出する第2ポート64、第2容器61に液体を添加する第3ポート65、第2容器61の底面近傍に接し液体を排出する第4ポート66が配置される。後で詳述するように、本実施例において、この第1ポート63、第3ポート65はそれぞれ第1容器62、第2容器61に液体またはガスを供給する第1の供給口として機能する。更に、この第1ポート63、第3ポート65は培養容器55内のガスを排出する第1の排出口としても機能する。
送液管50は、第1容器開閉弁56を介して第1ポート63に接続されており、第1細胞ボトル34の細胞懸濁液は、第1ポンプ48の作用によって、第1培養容器55または第2培養容器57における第1容器62に送液される。
また、第2の細胞ボトル67は、第2の細胞懸濁液を保持する液体ボトルである。ふた、気圧調整のための管路、フィルタおよび供給管68は、第1細胞ボトル34と同じであり説明は省略する。同様に、供給管68と分岐点69、第2気体導入弁70、フィルタ、第2細胞開閉弁71の接続構成も同様である。
第2細胞開閉弁71を介して供給管68は2分岐されて、一方は共通管42に接続され、もう一方は第2ポンプ72における吸引口に接続される。第2ポンプ72の吐出口より延長する送液管73は2分岐され、一方は排気管13と第2排気開閉弁74を介して前記したトラップボトル105が接続される。
次いで送液管73は多分岐部76で分岐され、第1培養容器55用の第2容器開閉弁77と、第2培養容器57用の第2容器開閉弁78に接続される。第2容器開閉弁77は第2容器61に液体を添加する第3ポート65に接続される。即ち第2細胞ボトル67の細胞懸濁液は第2ポンプ72の作用によって、第1培養容器55または第2培養容器57における第2容器61に送液される配管の構成である。
本実施例の培地ボトル95は交換用の液体培地を保持する液体ボトルとして機能するものであり、冷蔵庫33内に保持される。ふた、気圧調整のための管路、フィルタおよび供給管96は、第1細胞ボトル34と同様のものである。同様に、供給管96と分岐点97、第3気体導入弁98およびフィルタの接続構成も同様である。また、第5ポンプ99の吸引口は供給管96と接続されている。更に、培地予熱ボトル100は交換用の液体培地を必要量だけ保持する液体ボトルであり、第5ポンプ99の吐出口と、分岐を介して、供給管101によって接続される。培地予熱ボトル100は恒温槽32の内部に保持される。即ち培地ボトル95の液体培地は第5ポンプ99の作用によって、培地予熱ボトル100に送液される配管の構成である。
細胞予熱ボトル100のふた、気圧調整のための管路、フィルタおよび供給管101は、第1細胞ボトル34と同じであり説明は省略する。同様に、供給管101と分岐点102、第4気体導入弁103、フィルタ、培地開閉弁104の接続構成も同様である。供給管101は培地開閉弁104を介して共通管42に接続されて分岐され、一方は第1細胞ボトル34から延長する供給管37と第1細胞開閉弁40を介して接続され、もう一方は第2細胞ボトル67から延長する供給管68と第2細胞開閉弁71を介して接続される。
即ち、共通管42は第1細胞開閉弁40と第2細胞開閉弁71と培地開閉弁104の3つの開閉弁に接続されている。第1ポンプ48が作用するとき、第1細胞開閉弁40だけが開放されていれば、第1細胞ボトル34の液体を、第1培養容器55または第2培養容器57における第1容器62に送液し、第2ポンプが作用するとき、第2細胞開閉弁71だけが開放されていれば、第2細胞ボトル67の液体を、第1培養容器55または第2培養容器57における第2容器61に送液し、第1ポンプ48が作用するとき、培地開閉弁104だけが開放されていれば、培地予熱ボトル100に保持された液体培地を、第1培養容器55または第2培養容器57における第1容器62に送液し、第2ポンプが作用するとき培地開閉弁104だけが開放されていれば、培地予熱ボトル100に保持された液体培地を、第1培養容器55または第2培養容器57における第2容器61に送液する配管の構成である。
次に、第1培養容器55または第2培養容器57より、保持されている液体を排出する構成を説明する。第1排液ボトル79には、排液管80が気密に接続されている。排液管80は第1排出弁81を介して第3ポンプ82の吐出口に接続されている。第3ポンプ82の吸引口には多分岐部83によって分岐され、第1培養容器55用の第1容器排出弁84と、第2培養容器57用の第1容器排出弁85に接続される。第1容器排出弁84は第1培養容器55における第2ポート64に接続される。即ち第1排液ボトル79は第3ポンプ82の作用によって、第1培養容器55または第2培養容器57における第1容器62より液体が排出される配管の構成である。
一方、第2排液ボトル86には、排液管87が気密に接続されている。排液管87は第2排出弁88を介して第4ポンプ89の吐出口に接続されている。第4ポンプ89の吸引口には多分岐部90によって分岐され、第1培養容器55用の第2容器排出弁91と、第2培養容器57用の第2容器排出弁92に接続される。第2容器排出弁91は第1培養容器55における第4ポート66に接続される。即ち第2排液ボトル86は第4ポンプ89の作用によって、第1培養容器55または第2培養容器57における第2容器となる本体部59より液体が排出される配管の構成である。
<細胞培養の操作、観察操作>
図7は、コントローラ30で制御される、本実施例の細胞培養装置31における細胞培養、観察の全体的な操作のフローチャートを示している。まず、培養容器の第1容器62に細胞播種(第1細胞添加)を行い(S01)、第2容器61に細胞播種(第2細胞添加)を行う(S02)。複数の細胞培養を行うときは、上記の操作を繰り返す。さらに、細胞培養容器にCOガスを充填したのち(S03)、培養・静置し(S04)、図示を省略した顕微鏡による観察を行い(S05)、液体培地の交換を開始するかの判定を行う(S06)。
液体培地の交換に当たっては、培地予熱ボトルへの送液(S07)の後、第1容器培地排出(S08)、第1容器培地添加(S09)、第2容器培地排出(S10)、第2容器培地添加(S11)を行い、さらに、細胞培養容器にCOガスを充填したのち(S12)、複数の細胞培養を行うときは、上記の操作を繰り返す。次いで培養・静置し(S13)、顕微鏡による観察を行い(S14)、細胞培養が終了したか否かの判定を行う(S15)。細胞培養が終了したら、培養した細胞の取り出しを行う(S16)。
図8は、コントローラ30で制御される、本実施例の細胞培養装置31の第1培養容器55における送液・送気のタイムチャートを表している。横軸は図7のステップS01〜S04、S07〜S11に対応した操作項目と時間軸を示し、縦方向には図1に示した第1気体導入弁39〜培地開閉弁104の17台の電磁弁、および第1ポンプ48〜第5ポンプ99の5台のローラーポンプの動作タイミングを示している。初期状態では全ての弁がOFFであるので閉止であり、全てのポンプがOFFであるので、送液停止の状態である。
最初に細胞培養容器55内の第1容器62に細胞播種を行うとき(図7のS01)は、第1細胞添加の動作に従う。初期状態から第1細胞開閉弁40と、第1容器開閉弁56と第2容器開閉弁77と第2排気開閉弁74をONとし、これらの弁を開放すると、第1細胞ボトル34から第1細胞開閉弁40と第1容器開閉弁56が通じて、第1ポート63までの流路が通じる。また外気に連通する大気連通フィルタ52から第2排気開閉弁74と第2容器開閉弁77が通じて、外気と接続されたフィルタから第3ポート65までの管路が通じる。
次いで第1ポンプ48を所定時間の間ONすると、第1細胞ボトル34から細胞懸濁液の送液が開始される。ポンプを作動させる所定時間は、第1容器の保持すべき目的の送液量に第1細胞ボトル34から分岐点38までの管の内体積を合わせた液量を予め求め、ポンプの流量仕様から計算して求めることが出来る。所定時間の後第1ポンプ48の送液が停止し、第1気体導入弁39を開放すると、分岐点38から第1細胞ボトル34までの液体は、落差によってボトルに引き戻される結果、供給管37内に後端が分岐点38で先端が送液の開始点となる定量された細胞液懸濁液が作成される。
続いて第1ポンプ48を稼働すると、フィルタ41より清浄化した空気が順次供給され、第1容器開閉弁56を通じて細胞培養容器55の第1ポート63より、細胞液懸濁液が送液される。このとき第3ポート65は外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。すなわち、ステップS01において、第1ポート63と第3ポート65はそれぞれ、第1の供給口、第1の排出口として機能する。所定量の注入が為された後、第1ポンプ48を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。このように本送液手段では送液の終了時点で、管路の内部に液体を保持しておらず、培地が乾燥や変質して管路を閉塞することを防いでいる。
細胞培養容器が複数ある時は、予め第1細胞ボトル34には複数の細胞培養容器に分配できる量の細胞懸濁液を保持し、上記の操作において第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第1容器開閉弁58を開放し、第2容器開閉弁77を閉止して、図1における第2容器開閉弁78を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57の第1容器62に細胞液懸濁液が同量送液される。
次いで、細胞培養容器55内の第2容器61に細胞播種を行うとき(図7のS02)は、第2細胞添加の動作に従う。初期状態から第2細胞開閉弁71と、第1容器開閉弁56と第2容器開閉弁77と第1排気開閉弁51をONとし、これらの弁を開放すると、第2細胞ボトル67から第2細胞開閉弁71と第2容器開閉弁77が通じて、第3ポート65までの流路が通じる。また外気に連通する大気連通フィルタ52から第1排気開閉弁51と第1容器開閉弁56が通じて、外気と接続されたフィルタから第1ポート63までの管路が通じる。
次いで第2ポンプ72を所定時間ONすると、第2細胞ボトル67から細胞懸濁液の送液が開始される。ポンプを作動させる所定時間は、第2容器の保持すべき目的の送液量に第2細胞ボトル67から分岐点69までの管の内体積を合わせた液量を予め求め、ポンプの流量仕様から計算して求めることが出来る。所定時間の後第2ポンプ72の送液が停止し、第2気体導入弁70を開放すると、供給管68内に後端が分岐点69で先端が送液の開始点となる定量された細胞液懸濁液が作成される。
続いて第2ポンプ72を稼働すると、フィルタより清浄化した空気が順次供給され、第2容器開閉弁77を通じて細胞培養容器55の第3ポート65より、細胞液懸濁液が送液される。このとき第1ポート63は外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。すなわち、ステップS02において、第1ポート63は第1の排出口として機能し、一方、第3ポート65は、第1の供給口として機能する。所定量の注入が為された後、第2ポンプ72を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。
このとき、第1ポート63から第1排気開閉弁51まで通じた管路では、第1細胞添加の動作後の状態であるので、内部に若干の液体培地の残留液と気相が混じりあってトラップボトル105へと移動する。送液管の内部を伝わって到達した液体は、容器側開口107において凝集し、やがてトラップボトル内底部に滴下する。気相はボトル内で連なった大気側開口108を通過して、大気連通フィルタ52に到達し大気に放出される。
細胞培養容器が複数ある時は、予め第2細胞ボトル67には複数の細胞培養容器に分配できる量の細胞懸濁液を保持し、上記の操作において第2容器開閉弁77を閉止して、図1における第2容器開閉弁78を開放し、第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第2容器開閉弁58を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57の第2容器61に細胞液懸濁液が同量送液される。
次に細胞培養容器55の内部をCOガスで満たすとき(S03)は、COガス充填の操作に従う。初期状態から第1容器開閉弁56と第2容器開閉弁77と第2ガス開閉弁49と第2排気開閉弁74をONとして各弁を開放すると、第1ガス開閉弁43と第1容器開閉弁56が通じて第1ポート63までの流路が通じる。また大気連通フィルタ52からトラップボトル105と第2排気開閉弁74と第1容器開閉弁77が通じて、第3ポート65までの流路が通じる。次いで第1ガス開閉弁43を所定時間ONすると、ボンベ47より加湿ボトル44を通じて、第1容器開閉弁56から第1ポート63を経て細胞培養容器55に最適に加湿されたCOガスが到達する。
細胞培養容器55は密閉されているが、第3ポート65から外気に通じる大気連通フィルタ52までが開放されているので、細胞容器の内部の圧力は外気圧と調整された圧となる。また加湿されたCOガスはトラップボトル105において、液相と気相に分離されるので、液相が大気連通フィルタ29に到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止することができる。所定量のCOガスの注入が為された後、まず第1ガス開閉弁43を閉止し、次いで第2ガス開閉弁49を閉止し、培養容器内の圧力が大気圧と同等となった時、他の弁を閉止する。このように加圧されたガスの流れを停止制御するときは、ガスの流れの上流に相応する弁より順番に時間差を与えて閉止する方法によれば、細胞容器の内圧を大気圧に近い値に制御することが出来るので望ましい。
細胞培養容器が複数ある時は、上記の操作において第2容器開閉弁77を閉止して、図5における第2容器開閉弁78を開放し、第1容器開閉弁56を閉止して、図5における第2容器開閉弁58を開放して上記動作を行えば、細胞培養容器57にCOガスが充填される。
細胞培養は、第1細胞懸濁液が第1容器62に保持され、第2細胞懸濁液が第2容器61に保持され、細胞培養容器55の内部空間が最適に加湿されたCOガスで保持され、細胞培養容器55が最適な培養温度に保持されているので、所定時間静置して保持することによって細胞培養が継続される(S04)。なお、細胞懸濁液の細胞は第1容器62の物質透過膜の上部、あるいは第2容器61の内底面に接着して増殖するので、培養に伴い成分変化した液体培地は細胞と分離して排出できる。
細胞培養中の細胞観察(S05)は、培養静置の操作中に図示しない顕微観察ユニットを用いて実施する。顕微観察には位相差顕微鏡が好適であるが、倒立型などの光学顕微鏡であってもよい。撮像機能があればより培養中の細胞観察経過を記録でき細胞培養をより好適に実施できる。
次に、細胞培養容器より液体培地の交換を行うとき(S06)は、図7の動作タイムチャートにおける、培地予熱の送液と第1容器培地排出と第1容器培地培地添加、第2容器培地排出、第2容器培地添加の操作に従う。
液体培地を予熱するための培地予熱の送液を行うとき(S07)は、初期状態において第5ポンプ99を介して培地ボトルから培地予熱ボトル100は通じている。培地予熱ボトル100はふたから外気に通じるフィルタが接続されている。よって第5ポンプ99を目的量および分岐点97から培地ボトル95における供給管96の体積を加えた総送液量に相応するポンプ稼働時間を与えて送液を開始する。所定時間経過後、第3気体導入弁98を開放すると、分岐点97より下流の液体培地は培地ボトル95に戻り、供給管96内に後端が分岐点97、先端が培地予熱ボトル100となる定量された液体培地が作成される。続いて第5ポンプ99の送液を開始すると、培地予熱ボトル100内に液体培地が送液される。このとき培地予熱ボトル100は外気に通じているので、培地予熱ボトル100の内部の圧力は常圧に調整される。所定量の注入が為された後、第5ポンプ99を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。予熱に要する時間は4℃で50mLの液量のものは約1時間で恒温槽内の温度から低い温度まで上昇する。
細胞培養容器が複数ある時は、予め培地予熱ボトル100には複数の細胞培養容器に分配できる量の液体培地を保持するように、ポンプの送液量を調整する。また、細胞培養における培地の交換回数が複数予定されているときは、細胞培養容器が複数あるときに必要な液体培地量に培地の交換回数を掛け合わせた液体培地を送液できる量の液体培地を培地ボトルに保持しておけば、複数の細胞培養容器に、複数の培地の交換が可能である。
細胞培養容器55内の第1容器62より培地排出を行うとき(S08)は、図7の動作タイムチャートにおける第1容器培地排出動作に従う。初期状態から第1容器開閉弁56と第1排気開閉弁51をONと、第1容器排出弁84と第1排出弁81とこれらの弁を開放すると、外気に連通する大気連通フィルタ52からトラップボトル105と第1排気開閉弁51と第1容器開閉弁56が通じて、外気と接続されたフィルタから第1ポート63までの管路が通じる。また第1排液ボトル79から第1排出弁81と第1容器排出弁84が第3ポンプ82を介して第2ポート64までの流路が通じる。
次いで第3ポンプ82を細胞培養容器55の第1容器62に保持された液体量を排出するための排出時間を与えて所定時間ONすると、第1容器62から液体培地を吸引し送液が開始され、第1排液ボトル79に到達する。このとき第1ポート63はトラップボトル105を介して外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。所定量の排出が為された後、第3ポンプ82を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。
細胞培養容器が複数ある時は、上記の操作において第1容器開閉弁56を閉止して、図5における第1容器開閉弁58を開放し、第1容器排出弁84を閉止して、図5における第1容器排出弁85を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57における第1容器61より液体培地が排液される。
第1容器62に液体培地の添加を行うとき(S09)は、第1容器培地添加の動作に従う。初期状態から培地開閉弁104と、第1容器開閉弁56と第2容器開閉弁77と第2排気開閉弁74をONとし、これらの弁を開放すると、培地予熱ボトル100から培地開閉弁104と第1容器開閉弁56が通じて、第1ポート63までの流路が通じる。また外気に連通する大気連通フィルタ52から第2排気開閉弁74と第2容器開閉弁77が通じて、外気と接続されたフィルタから第3ポート65までの管路が通じる。次いで第1ポンプ48を所定時間の間ONすると、予熱ボトル100から液体培地の送液が開始される。ポンプを作動させる所定時間は、第1容器の保持すべき目的の送液量に予熱ボトル100から分岐点102までの管の内体積を合わせた液量を予め求め、ポンプの流量仕様から計算して求めることが出来る。所定時間の後第1ポンプ48の送液が停止し、第4気体導入弁103を開放すると、供給管101内に後端が分岐点102で先端が送液の開始点となる定量された液体培地が作成される。
続いて第1ポンプ48を稼働すると、フィルタより清浄化した空気が順次供給され、第1容器開閉弁56を通じて細胞培養容器55の第1ポート63より、液体培地が送液される。このとき第3ポート65は外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。すなわち、ステップS09において、第1ポート63と第3ポート65はそれぞれ、第1の供給口、第1の排出口として機能する。所定量の注入が為された後、第1ポンプ48を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。
細胞培養容器が複数ある時は、予め培地予熱ボトル100には複数の細胞培養容器に分配できる量の液体培地を保持し、上記の操作において第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第1容器開閉弁58を開放し、第2容器開閉弁77を閉止して、図1における第2容器開閉弁78を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57における第1容器62に液体培地が同量送液される。
細胞培養容器55内の第2容器61より培地排出を行うとき(S10)は、図7の動作タイムチャートにおける第2容器培地排出動作に従う。初期状態から第1容器開閉弁56と第1排気開閉弁51をONと、第2容器排出弁88と第2排出弁91とこれらの弁を開放すると、外気に連通する大気連通フィルタ52から第1排気開閉弁51と第1容器開閉弁56が通じて、外気と接続されたフィルタから第1ポート63までの管路が通じる。また第2排液ボトル86から第2排出弁88と第2容器排出弁91が第4ポンプ89を介して第3ポート66までの流路が通じる。
次いで第4ポンプ89を細胞培養容器55の第2容器61に保持された液体量を排出するための排出時間を与えて所定時間ONすると、第2容器61から液体培地を吸引し送液が開始され、第2排液ボトル86に到達する。このとき第1ポート63は外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。所定量の排出が為された後、第4ポンプ89を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。
細胞培養容器が複数ある時は、上記の操作において第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第1容器開閉弁58を開放し、第2容器排出弁91を閉止して、図1における第2容器排出弁92を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57における第2容器61より液体培地が排液される。
第2容器61に液体培地の添加を行うとき(S11)は、第2容器培地添加の動作に従う。初期状態から培地開閉弁104と、第1容器開閉弁56と第2容器開閉弁77と第1排気開閉弁51をONとし、これらの弁を開放すると、培地予熱ボトル100から培地開閉弁104と第2容器開閉弁77が通じて、第3ポート65までの流路が通じる。また外気に連通する大気連通フィルタ52から第1排気開閉弁51と第1容器開閉弁56が通じて、外気と接続されたフィルタから第1ポート63までの管路が通じる。
次いで第2ポンプ72を所定時間ONすると、予熱ボトル100から液体培地の送液が開始される。ポンプを作動させる所定時間は、第2容器の保持すべき目的の送液量に予熱ボトル100から分岐点102までの管の内体積を合わせた液量を予め求め、ポンプの流量仕様から計算して求めることが出来る。所定時間の後第2ポンプ72の送液が停止し、第4気体導入弁103を開放すると、供給管102内に後端が分岐点102で先端が送液の開始点となる定量された液体培地が作成される。続いて第2ポンプ72を稼働すると、フィルタより清浄化した空気が順次供給され、第2容器開閉弁77を通じて細胞培養容器55の第3ポート65より、液体培地が送液される。このとき第1ポート63は外気に通じているので、細胞培養容器55の内部の圧力は常圧に調整される。すなわち、ステップS11において、第1ポート63は第1の排出口として機能し、一方、第3ポート65は、第1の供給口として機能している。所定量の注入が為された後、第2ポンプ72を停止し、開放されている各弁をOFFとして閉止して送液を終了する。
細胞培養容器が複数ある時は、予め培地予熱ボトル100には複数の細胞培養容器に分配できる量の液体培地を保持し、上記の操作において第2容器開閉弁77を閉止して、図1における第2容器開閉弁78を開放し、第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第1容器開閉弁58を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57における第2容器62に液体培地が同量送液される。次いで、細胞培養容器55には大気が満たされているので、COガスで満たすために、COガス充填の操作(S12)を上記と同様に行う。
細胞培養容器が複数ある時は、上記の操作において第1容器開閉弁56を閉止して、図1における第1容器開閉弁58を開放し、第2容器開閉弁77を閉止して、図1における第2容器開閉弁78を開放して、上記動作を行えば、細胞培養容器57にCOガスが充填される。
以下に第1の実施例の細胞培養装置を用いた、角膜上皮細胞培養による角膜上皮組織作製方法の具体例、およびその結果について説明する。
<細胞培養装置および送液装置の構成>
図1に示した細胞培養容器のうち本体部59、ふた部60、第1ポート63〜第4ポート66はポリカーボネートを材料として射出成形により作製した。第1容器には、セルカルチャインサート(6ウェル)型番 353090,BD社を使用し、物質透過膜9に温度応答性高分子モノマーであるN-イソプロピルアクリルアミドを電子線重合させることで、温度応答性培養表面を作製した。第2容器には35mm細胞培養表面処理ディッシュ、型番430165、コーニング社を使用した。
恒温槽には恒温培養器(東洋製作所社、型番TVHA60WA12A)を使用し、庫内温度を37°Cで運用し、冷蔵部には電子冷熱低温恒温器(東洋製作所社、型番THS030PA)を使用し、庫内温度を4°Cで運用した。
電磁弁にはピンチバルブ(流体圧力0.15 MPa,高砂電気工業社,型番PSK−1615NC−9)を使用した。本電磁弁に対応する供給管にはシリコンゴムチューブ(内径1/16インチ,外径1/8インチ サンゴバン社,型番3350)を使用した。各ポンプにはチューブポンプ(吐出/吸入圧力 +/−0.1MPa, ウェルコ社,型番DSW2−S1AA−WP)としごき用チューブとしてシリコンゴムチューブ(内径1/16インチ,外径1/8インチ サンゴバン社,型番3355L)を組み合わせて使用した。本品はローラー部が本体のモータ部から着脱可能であるので、13cm長のシリコンゴムチューブをローラー部に巻きつけた状態で滅菌操作が可能である。本ポンプの流量は、DC12V入力において、実測より0.15mL/秒であった。
細胞ボトルおよび培地予熱ボトルにはクローズドシステム 遠沈管(容量50mL、コーニング社,型番#11705)を使用した。本品は予め滅菌された、容器部とふた部と、ふた部に設けられた気圧調整のための管路とフィルタから成る。培地ボトルにはクローズドシステム三角フラスコ(容量1L、コーニング社,型番#11440)を採用した。本品は予め滅菌された、供給管(内径1/8インチ)、容器部とふた部と、ふた部に設けられた気圧調整のための管路とフィルタから成る。
排液ボトルにはFlexboyバッグ(容量1L,ザルトリウス社,型番#FFB103547)を使用した。加湿ボトルには,ガス洗浄瓶(容量500 mL,アズワン社,型番6−129−02)と、ガス交換部にはケラミフィルタ(フィルタサイズ15×15mm,アズワン社,型番2−554−10)を組み合わせて使用した。
気体導入弁あるいは加湿ボトルの外気に接するフィルタにはミディザルト2000(メッシュサイズ0.22μm、ザルトリウス社,型番#17805−E)を使用した。
電磁弁およびポンプ部以外のチューブには塩化ビニル製であるタイゴンS−50−HL(内径1/16インチ,外径1/8インチ、サンゴバン社,型番63010−390)を使用した。チューブの分岐、および接合部にはSMCカップリング(CPC社)シリーズを使用した。詳細には2分岐接合にY Fitting(接合径1/16インチ、型番#HY291)、直線連結にはStraight Fitting(接合径1/16インチ、型番#HS291)を使用した。
本実施例における送液装置の構成については、細胞培養容器における容器1への細胞懸濁液の送液工程より説明する。第1細胞ボトル34には10cm長の供給管(内径3.7mm)が設けられており、この供給管と分岐点38の間は、20cm長のシリコンゴムチューブ(内径1/16インチ、1.58mmとする。以下同じ)で接続した。分岐点38と第1ポンプ48の吸引口までは15cm長のシリコンゴムチューブで接続し、第1ポンプ48内のしごき用チューブは13cm長のシリコンゴムチューブで接続した。第1ポンプ48の吐出口より多分岐部54までは80cm長のタイゴンS−50−HLチューブで接続し、多分岐部54より、第1ポート63までは1.5m長のタイゴンS−50−HLチューブで接続した。トラップボトルには、透明ポリカーボネート製の強化ボトル(250mL容量、ナルジェヌンク社)およびコネクタ付きスクリューキャップの組み合わせを使用した。
上記の細胞懸濁液1.5mLの送液量は以下のように定めた。供給管と分岐点38の間の管内体積は気体導入時に、液体ボトルに戻る最大液量である。これは実測から求めた結果1.088mLであった。この戻り量と送液量の合計量から求められるポンプ作動時間は17.3秒であった。気体導入後に容器までの送液時間としてさらに60秒を与え、実際に送液量を測定したところ、1.48mL±0.08mL(10回繰返し偏差)であった。複数の細胞培養容器に対し、容器1と容器2に対し交互に送液実験をしたところ同等の再現性であった。このことは、本実施例に係る細胞培養装置およびトラップボトルによよって、液体培地を送液した送液管には、容器まで到達しなかった液体培地が残留し、その後の気相の移動により液体培地は送液管を移動してトラップボトルを通過する。このときトラップボトル内で液相と気相に分離されるので液相が大気連通フィルタに到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止して、培養容器の内圧を常圧に保つことが出来ることができたといえる。
なお、水分などの液体の捕集部としてのトラプボトルの構成において、気相から液相の分離効率を上げる手段には、前記したように、トラップボトル自体を冷蔵庫に保持することでここを通過する気体を低温化すれば凝縮反応を促進して液化を促すことが出来る。また、更にトラップボトルの内部に合成ゼオライト等の吸着剤を保持することによって、水分吸着作用を促進し利用することも可能である。
角膜上皮細胞を細胞懸濁液とし、第1細胞ボトル34に保持し、NIH−3T3細胞を2×10/cmとなるように培地で懸濁して、第2細胞ボトル67に保持し、交換用培地はKCM培地500mLを培地ボトル95に保持し、冷蔵庫33に設置した。
また、細胞培養装置31内部を37°Cに恒温保持し、細胞培養容器を10個設置し自動培養操作を開始した。上層への送液量は1.5mL、下層への送液量は2.0mLである。培地の送液量もこれと同様である。排出時は全量排出する目的から、上層からの排出量は3mL相当量、下層からの排出量は4mL相当量のポンプ稼働時間とした。COガスは湿度95%Hに制御し、その送気量は送気流量0.1L/分であり、細胞培養容器の内容積20cmより、過剰に注入することとし電磁弁開放時間を1分(100mL)とした。以上の動作タイムチャートは図7の概要に従った。
培地の交換は、培養開始日より5日目、7日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目に各1回実施した。COガスの送気は1日に6回、4時間ごとに実施した。顕微鏡観察は5日目より、毎日1回、各細胞培養容器の第1細胞と第2細胞を各々10エリア取得し、細胞育成状態の判断データとした。
培養16日目において培地交換操作の後、細胞培養を終了し10個の細胞培養容器を取り出した。安全キャビネット内に細胞培養容器を置き、室温(約25°C)で30分静置した。上記に従って第1容器を取り出し、その後、支持膜として、ドーナツ状にカットした親水性PVDFメンブレン(ミリポア社製)を用いて、シート状の細胞を物質透過膜の表面より剥離回収した。その結果、本実施例の細胞培養装置で作製した角膜上皮組織は、10個のシート状細胞とも同等の大きさ、厚みを有しており、安定した剥離回収が可能であった。育成過程の顕微鏡画像の比較においても、10個の細胞の育成に有意差はなかった。
以上詳述した実施例1の細胞培養装置のトラップボトルを、培養過程で生じた余剰の液体を一時貯留したり、或いは管路を洗浄する目的で導通した液体を一時貯留する液体ボトル等として利用する構成を実施例2として説明する。
例えば、図1における培地交換の工程では、培地予熱ボトル100には培地交換の1回分の液体培地を保持するように、培地ボトル95から移動する送液量を調整している。通常、1回の培地交換の必要量は1培養期間中では一定量であるが、送液量のばらつきに備えて多めの移動量を培地予熱ボトル100に保持する。ここで課題となるのは1回の培地交換工程が終了したとき、培地予熱ボトル100には使われなかった液体培地が保持されているが、次回の培地交換において培地ボトル95から液体培地を送液した時に2つの温度履歴の異なった液体培地が混合することとなる。また別の課題は、そのまま培地交換工程が進行すると、培地交換ごとに毎回温度履歴の異なった液体培地を使用していることとなり、細胞培養工程の再現性を保証できない。
通常の手操作による細胞培養では、少量小分けして予熱した培地は培地交換で使われなかったものは廃棄して、再度新規な小分けのボトルを準備して、次の培地交換に備えている。実施例2では通常の細胞培養の工程に準じて、培地予熱ボトルから使われなかった余分な液体培地を移動して空にすることで、培地交換の毎回の再現性を保証することが出来る。具体的には液体培地は送液ポンプによって細胞培養容器を通過せず、トラップボトルに一時的に貯留することによって、培地予熱ボトルを空にすることができる。
図9は、図5、6で示した実施例1の細胞培養装置と装置構成は同じであるが、液体ボトル9から直接的にトラップボトル24への一時的な貯留する場合を示している。排気開閉弁14を開放して他の弁は閉止して、第2ポンプ10を作動すれば、液体ボトル9より破線と矢印の向きに従って液体は移動開始する。送液管6より先方は、培養容器1における送液管4を介して培養容器1に連なっているが、第1ポンプ8、排出用の第3ポンプ11および第4ポンプ12の非稼働時は弁のように閉止されていて、排出側は気密に維持されている。よって、液体ボトル9からの液体は培養容器を通過せずに、排気管13と排気開閉弁14を通過して、トラップボトル24に到達する。液体ボトル9が空となる相当時間第2ポンプ10を稼働した後、すべての弁を閉止する。
図1における自動培養装置31の構成では、液体ボトルである培地予熱ボトル100から直接的にトラップボトルへ105の一時的な貯留が可能であり、培地開閉弁104と第1排気開閉弁51を開放して他の弁は閉止して、第1ポンプ48を作動すれば、培地予熱ボトル100より残余した液体培地は移動開始する。送液管50より先方は、第1容器開閉弁56と第1容器開閉弁58は閉止されているので、液体培地は培養容器を通過せずに、容器側開口107と第1排気開閉弁51を通過して、トラップボトル24に対応するトラップボトル105に到達する。培地予熱ボトル100が空となる相当時間第1ポンプ48を稼働した後、すべての弁を閉止する。
図7における自動細胞培養の動作タイムチャートにおいて、上記の余分な液体培地の移動の工程は望ましくは培地交換の工程(S08−S11)が完了した後に実行した方がよい。その理由はその後のCOガスの交換作業において、送気されるガスによって排気管13内に残留している液体培地を移動させ、排気管内を清浄に保持できる効果があるからである。
以上詳述したように、本発明に係る細胞培養装置によれば、液体培地を送液した送液管には、容器まで到達しなかった液体培地が残留し、その後の気相の移動により液体培地は送液管を移動してトラップボトルを通過し、このときトラップボトル内で液相と気相に分離されるので液相が大気連通フィルタに到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止して、培養容器の内圧を常圧に保つことが出来ることができる。
また送液管を導通するガスに含まれる水蒸気が、トラップボトルを通過する際に液相と気相に分離されるので、水蒸気が大気連通フィルタに到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止して、培養容器の内圧を常圧に保つことが出来ることができる。
また、トラップボトルは常温よりも低温保持すれば、液体交じりの気相から液体の凝集効率が上がるので、液相が大気連通フィルタに到達することを防ぎ、フィルタ目詰まりを防止して、培養容器の内圧を常圧に保つことが出来ることができる。
さらに、本発明の細胞培養装置のトラップボトルは装置内部に液体の一時的に貯留することに利用でき、装置の長時間に亘る継続的な運転を実現することに貢献する。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、液相と気相の分離効率を上げるため、水分などの液体の捕集部であるトラップボトルまでの途中経路を、例えば冷却管等を用いて冷却することも可能である。
1、55、57 培養容器
2、62 第1容器
3、61 第2容器
4、6、50、73 送液管
5、7 排出管
8、48 第1ポンプ
9 液体ボトル
10、72 第2ポンプ
11、82 第3ポンプ
12、89 第4ポンプ
13、51、74 排気管
14 排気開閉弁
15、29、52 大気連通フィルタ
16 液体開閉弁
17、47 ガスボンベ
18 純水
19、44 加湿ボトル
20、43 第1ガス開閉弁
21 ガス管
22、49 第2ガス開閉弁
24、105 トラップボトル
26、107 容器側開口
27、108 大気側開口
28、106 ふた
30 コントローラ
31 細胞培養装置
32 恒温槽
33 冷蔵庫
34、67 細胞ボトル
35 気圧調整管路
36、45 フィルタ
37、68、96、101 供給管
38、69、97、102 分岐点
39、70、98、103 気体導入弁
40、71 細胞開閉弁
42 共通管
46 圧力制御弁
54、76、83、90 多分岐部
56、58 第1容器開閉弁
59 本体部
60 ふた部
63 第1ポート
64 第2ポート
65 第3ポート
66 第4ポート
77、78 第2容器開閉弁
79、86 排液ボトル
80、87 排液管
81 第1排出弁
84、85 第1容器排出弁
88 第2排出弁
91、92 第2容器排出弁
95 培地ボトル
99 第5ポンプ
100 培地予熱ボトル
104 培地開閉弁

Claims (11)

  1. 細胞培養装置であって、
    細胞の接着培養を行う培養容器と、
    液体またはガスを前記培養容器内に供給する第一の供給口と、
    前記培養容器内の液体培地表面のガスを排出する第一の排出口と、
    前記第一の排出口から排出されたガスを大気圧の外気へ排出するための流路と、
    前記流路上に設けられたフィルタと、
    前記流路上の前記第一の排出口と前記フィルタとの間に、排出されたガスの水分を捕集する捕集部と、を備え、
    前記捕集部は、トラップボトルであり、
    前記第一の供給口に供給される前記液体を保持する液体ボトルを更に備え、
    前記トラップボトルは、前記培養容器を通過することなく、前記液体ボトルから供給される前記液体を貯留可能である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  2. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルを低温保持する冷蔵部を、更に備える
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  3. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは単回使用である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  4. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは透明である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  5. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは、大気側開口と培養容器側開口とが貫通して設けられたふたを備え、前記大気側開口の位置高さは、前記培養容器側開口の位置高さより高い
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  6. 細胞培養装置であって、
    細胞の接着培養を行う培養容器と、
    液体またはガスを前記培養容器内に供給する第一の供給口と、
    前記培養容器内の液体培地表面のガスを排出する第一の排出口と、
    前記第一の排出口から排出されたガスを大気圧の外気へ排出するための流路と、
    前記流路上に設けられたフィルタと、
    前記流路上の前記第一の排出口と前記フィルタとの間に、排出されたガスの水分を捕集する捕集部と、を備え、
    前記培養容器は、2層培養を行う、それぞれ一対のポートを備えた第1容器と第2容器とから構成され、
    前記第1容器と前記第2容器の何れか一方の前記一対のポートの一方が、当該容器に液体またはガスを供給する前記第一の供給口として機能する場合、
    前記第1容器と第2容器の他方の前記一対のポートの一方が、前記培養容器内の液体培地表面のガスを排出する前記第一の排出口として機能し、
    前記捕集部は、トラップボトルであり、
    前記第一の供給口に供給される前記液体を保持する液体ボトルを更に備え、
    前記トラップボトルは、前記培養容器を通過することなく、前記液体ボトルから供給される前記液体を貯留可能である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  7. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは、その内部に吸着剤を保持する
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  8. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルを低温保持する冷蔵部を、更に備える
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  9. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは単回使用である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  10. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは透明である
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  11. 請求項記載の細胞培養装置であって、
    前記トラップボトルは、大気側開口と培養容器側開口とが貫通して設けられたふたを備え、前記大気側開口の位置高さは、前記培養容器側開口の位置高さより高い
    ことを特徴とする細胞培養装置。
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