JP5866006B2 - 培養容器及び自動培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞又は組織を自動操作により培養する培養容器、及び自動培養装置に関する。
再生医療治療に用いる再生組織の製造は、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準であるGMP(Good Manufacturing Practice;適正製造基準)に基づく。一般に、再生組織は清潔な製造環境を提供するCPC(Cell Processing Center;細胞処理施設)において、専門の細胞培養技術を有した製造従事者により、SOP(Standard Operational Procedure;標準手順書)に従い製造される。そのため、多大な人件費、労力、運用コストが発生する。また、全ての製造工程は人手でなされるため、再生組織の製造量には限界がある。よって製造コストは高くなり、結果として再生医療治療の普及の妨げとなっている。
このような現状を打破するため、培養工程の一部ないし全てを自動化する自動培養装置の導入が求められている。培養工程を人手ではなく自動培養装置により実施することで、省力化とコストダウンを実現し、大量生産が可能となる。加えて、自動培養装置による操作は一定であるため、製造後に得られる再生組織の品質一定化への寄与も期待される。
ここで、自動培養装置は人手による作業の代替として細胞を培養するが、人手による作業内容に対するGMPに準拠していることが必要である。また、自動培養装置に特化したGMPは現在のところ規定されていないが、臨床用途の自動培養装置に関する開発ガイドライン(再生医療分野(ヒト細胞培養加工装置についての設計ガイドライン[改訂]、2009)が経済産業省より提示されており、この開発ガイドラインへの準拠も必要である。以上より、自動培養装置は、手作業に対するGMP及び自動培養装置の開発ガイドラインを鑑みて、科学的根拠に基づき、清浄な環境を維持した状態で高品質の再生組織を再現性良く製造可能であることが求められる。これらの課題を解決する手段として、例えば特許文献1、2に示すような培養工程を自動化する装置が開発されている。培地交換等の操作を自動で実施することにより、生物学的汚染リスクの低減と生産効率の向上が達成される。
再生医療治療の対象臓器が角膜上皮、食道粘膜、表皮等である場合、培養する細胞種は、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、表皮細胞といった上皮系細胞となる。この場合、培養容器の構造は2層構造が望ましい。上皮系細胞は、マウス由来3T3−J2細胞等のフィーダー細胞と共培養し、フィーダー細胞が産出する成長因子により生育するが、上皮系細胞とフィーダー細胞を同一培養平面上で培養した場合、製造後の再生組織にフィーダー細胞が混入する。一方、2層構造の培養容器を用いて培養した場合、2種類の細胞を異なる培養表面上で培養するため、ヒトとは異種であるマウス由来細胞等の再生組織への混入を回避することができる。これは、ヒトに対する再生医療治療においてより好ましい。自動培養装置を用いて上皮系細胞を培養する場合においても、同様に2層構造が望ましい。2層構造の閉鎖系培養容器は、特許文献1に示されているように、既に開発が進められている。
特開2008−148602号公報 特開2007−312668号公報
自動培養装置は、前述の通り、製造後の再生組織の品質を一定にするため、全量の培地を交換する場合の培地交換工程において、古い培地を排出し新しい培地を供給する際、新しい培地に古い培地が混入しないことが必要である。また、培地交換時の排液である古い培地を用いた培地成分分析によるモニタリングを実施する場合、正確に培地成分分析を行うには、排液である古い培地の中に、新しい培地が混入することは回避する必要がある。
また、自動培養装置は前述の通り、手作業において要求されるGMP及び自動培養装置に関する開発ガイドラインを満たすことが要求されるが、その中の一つの要求として、製造した再生組織の品質を一定にする必要がある。品質を一定にする条件は複数存在するが、その中の一つとして、多くの場合で採用されている全量の培地を交換する培地交換工程において、古い培地を排出し新しい培地を供給する際、新しい培地に古い培地が混入しないことが必要である。古い培地は細胞が生育するために使用した培地であり、例えばグルコースが消費され、代わりに乳酸が排出されている。古い培地が新しい培地に混入した場合、培地交換後のグルコース量等は新しい培地の濃度と異なり、結果として培養工程の再現性は失われる。同様に、古い培地に含まれる乳酸は培地のPHを変化させるため、培地交換後の古い培地に由来する乳酸の混入も、培養工程の再現性に影響を与える。以上より、培養工程の再現性を向上させるには、培地交換工程において古い培地と新しい培地が混入しないことが必要である。また、培養工程において培養状況を把握するため、排液である古い培地を用いた培地成分分析によるモニタリング機能の搭載が望ましいとされる。正確に培地成分分析を行うには、排液である古い培地の中に、新しい培地が混入することを回避する必要がある。前述の通り、古い培地と新しい培地は成分組成が異なるため、培地成分分析に使用する古い培地に新しい培地が混入すると、培地成分分析の結果が異なるためである。以上より、培養工程において、古い培地と新しい培地の混入を制御する技術も必要である。
最後に、自動培養装置で培養する場合、培養に必要な培地等の送液及び5%二酸化炭素等を含む気体の送気を、培養容器に取り付けた流路チューブにより実施する必要がある。前述の食道粘膜再生のように培養容器を10枚培養する場合、送液及び送気のために閉鎖系培養容器へ取り付ける流路チューブの総長は多大となる。また、1個の培養容器あたりに取り付ける流路チューブの本数は、少なければ少ない程、流路回路が簡潔となり好ましい。流路回路が複雑化した場合、自動培養装置の故障原因やコスト上昇の原因となるためである。
加えて、自動培養装置は、手作業において要求されるGMP及び自動培養装置に関する開発ガイドラインを満たすことが要求される。特に、再生医療を安全に実施するため、再生組織を治療に用いる前日等に、無菌的に再生組織を取り出し検査を実施し、残りの再生組織の品質が良好であることを確認する必要がある。また、検査用に再生組織を取り出した後、残りの再生組織は、治療を行う時まで無菌性を維持した培養を継続可能である必要がある。
また、再生医療治療に必要な再生組織の数量は対象臓器毎に異なる。例えば食道粘膜再生の場合、3−5層程度に重層化した直径24mmの口腔粘膜シートである再生組織を、約8枚使用することによる再生医療治療の臨床研究が既に進められている。治療を行う前日には、製造した再生組織が良好な品質を有しているか検査する必要があり、検査用の再生組織がさらに必要となる。食道粘膜再生の場合、必要な再生組織は合計約10枚となる。検査用に用いる再生組織は移植前日に取り出すため、取り出した後も移植用の再生組織は無菌性を維持した培養が可能である必要がある。よって再生医療用途の自動培養装置は、移植用と検査用とで少なくとも複数枚の再生組織が製造可能であり、前日に検査用の再生組織を取り出した後も、無菌性を維持した培養が可能でなければならない。
特許文献1の発明では、培地交換時、培養容器内に古い培地が存在した状態で新しい培地を供給し、培養容器内部で新しい培地と古い培地とが混在した状態を経て、過剰な分の液体が排出される連続的な培地交換方法をとる。排出される液体には古い培地の占める割合が多いが、低濃度であるものの古い培地が新しい培地に混入する。古い培地の組成は、細胞の生育段階(細胞数、分化度)により異なるため、本方法による培地交換後の培地の各成分濃度も、細胞生育段階により異なることになる。また、この方法で得られた古い培地を用いて培地成分分析を行う場合、回収した古い培地には新しい培地が混入しているため、モニタリング結果は正確ではなくなるという問題がある。
また、特許文献1の発明では、複数個の2層構造である培養容器を用いて自動培養を行う。培養容器と、その内部へ送液を行う流路チューブは、着脱式である。培養時は分離状態で、送液時は結合状態となる。よって流路回路は閉鎖系でなく開放系であり、培養容器の着脱部より、菌等の侵入による生物学的汚染の危険性を有している。同時培養している複数個の培養容器から、検査用として1個のみを取り出すことは可能であるが、そもそも培養容器の着脱部からの生物学的汚染の危険性を有しているため、無菌的な取り出しは実現できていない。
特許文献2の発明では、1個の1層構造である閉鎖系培養容器を用いて自動培養を行う。閉鎖系培養容器と流路チューブは常時接続しており、よって閉鎖系の流路回路となる。これにより、菌等の侵入による生物学的汚染の危険性を排除している。しかし1層構造であるため、この培養容器を用いて上皮系細胞を培養する場合、製造後の再生組織へ、共培養するフィーダー細胞が混入する。フィーダー細胞には、ヒト由来ではない動物由来の細胞を使用することがあるため、フィーダー細胞の混入は、再生医療治療に対する安全性の低下につながる。
加えて、特許文献2の装置は、培地等の液体を送液及び排出する流路チューブに加え、培養容器内の圧力を調整する空気のみを送気する流路チューブを必要とする。仮に本方法を2層構造の閉鎖系培養容器に適用する場合、1個の閉鎖系培養容器に必要な流路チューブは、上層及び下層それぞれの層に対し送液及び排出を担う流路チューブに加え、送気を担う流路チューブが必要となり、合計5本が必要となる。特許文献2の方法では1個の閉鎖系培養容器を自動で培養するが、例えば食道粘膜再生に対する再生医療治療用途のとして10個の閉鎖系培養容器を培養する場合、流路チューブの合計本数は50本となり、かなり多くなる。結果として、流路回路は複雑なものとなる。
また、1回の培養において閉鎖系培養容器を1個のみ培養するため、再生医療治療を実施する前日等に、検査等の目的のため無菌的に一部の再生組織を取り出すことはできない。再生医療治療用と検査用の再生組織を区別して取り出すことはできず、全てを取り出すことになる。その場合、検査と治療を同時に実施するか、検査後から治療時まで、再生組織は培養状態と異なる環境下に置くことになる。前者の場合、検査の結果を再生医療治療のスケジュールに反映させることが困難である。後者の場合、再生組織の品質が変化する危険性がある。
以上を踏まえ、本発明の目的は、簡潔な流路回路により、古い培地と新しい培地が混じり合わないよう、培地が一方向に流れ、培地交換時に古い培地を全量排出後に新しい培地が供給されることを可能とする培養容器及び自動培養装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数個を同時培養している細胞容器の中から、無菌的に1個の再生組織を取り出すことができる培養容器及び自動培養装置を提供することにある。
本発明の代表的なもの一例を示すと次の通りである。細胞を保持、培養するための培養容器であって、第一容器と、前記第一容器内に収納し保持される複数の第二容器と、前記第一容器及び前記第二容器の各々を封止する容器蓋部材と、前記第一容器及び前記第二容器の各々と、該培養容器に前記細胞及び培地を供給する流路回路とを接続する接続ポートとを備えており、前記第一容器及び前記第二容器は、各々、培地及び細胞を、または培地のみを収容するための容器であり、前記第一容器及び前記第二容器の各々間の隔壁の一部は、液体及び気体が相互に移動可能に構成されており、前記第一容器及び前記第二容器の各々との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップが存在しており、前記接続ポートとして、前記第一容器には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第二供給ポートと、前記培地を排出するための第二排出ポートとが接続され、前記第二容器の各々には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第一供給ポートと、前記培地を排出するための第一排出ポートとが接続され、前記第一供給ポート及び前記第二供給ポートは、前記培地を前記培養容器に対して常に一方向へ流す流路として機能する。
本発明によれば、細胞播種工程及び培地交換工程において、培地は常に一方向に流れる。全量を交換する培地交換において、古い培地が新しい培地に混入しないようにするため、培養の再現性が向上する。回収した古い培地を用いた培地成分分析の分析精度が向上する。閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブは、送液と送気の機能を兼ねるため、流路回路は簡潔となる。
また、本発明によれば、複数個を同時培養している細胞容器の中から、無菌的に1個の再生組織を取り出すことが可能である。残りの培養容器に対しては、継続して無菌的な培養が可能である。
本発明の第1の実施例に係る、複数の上層用培養容器ユニットを下層一体型の培養容器函体内に収容した、図1BのA−A‘断面に相当する、培養容器の平面図である。 第1の実施例における、図1AのB−B‘断面に相当する、培養容器の縦断面図である。 第1の実施例において、1個の上層用培養容器ユニットを、下層一体型の培養容器函体に収容した状態を示す縦断面図である。 第1の実施例において、1個の上層用培養容器ユニットを、下層一体型の培養容器函体から分離した状態を示す縦断面図である。 第1の実施例に係る自動培養装置において、10個の再生組織を培養する時の全体流路回路図である。 第1の実施例において、1個の上層用培養容器ユニットに対し、図3Aの全体流路回路図から関連する流路回路を抽出して示した図である。 第1の実施例に係る培養容器を有する自動培養装置の制御機構を示した図である。 第1の実施例において、本実施例の自動培養装置を用いて細胞の培養を実施する一連のプロトコルを示した図である。 第1の実施例において、自動培養装置により細胞播種の制御を行うためのテーブルの一例を示した図である。 第1の実施例において、1個の上層用培養容器ユニットに対し、全体流路回路図から関連する部分を抽出した流路回路により、細胞播種時の培地及び空気の流れを示した図である。 第1の実施例において、下層用培養容器に対する、細胞播種時の培地及び空気の流れを示した図である。 第1の実施例において、自動培養装置により、培地交換の制御を行うためのテーブルの一例を示した図である。 第1の実施例において、1個の上層用培養容器ユニットに対し、流路回路により、上層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 上層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 上層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 上層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 第1の実施例に係る、1個の上層用培養容器ユニットに対し、全体流路回路図から関連する部分を抽出した流路回路により、下層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 下層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 下層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 下層の培地交換時の培地及び空気の流れを示した図である。 本発明の第2の実施例に係る、下層用培養容器本体と別に検査用培養容器を並行して培養する、培養容器の平面図である。 本発明の第3の実施例に係る、各上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に蛇腹型の隔離膜を具備した培養容器の一部を示す縦断面図である。 第3の実施例において、培養容器から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出す一連のプロトコルを示した図である。 第3の実施例において、培養容器から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出す一連のプロトコルを示した図である。 第3の実施例において、培養容器から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出す一連のプロトコルを示した図である。 本発明の第4の実施例に係る、各上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に蛇腹型の隔離膜を具備した培養容器の製造方法の一例を示す縦断面図である。 本発明の第5の実施例に係る、各上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に蛇腹型の隔離膜を具備した培養容器の一例を示す縦断面図である。 第5の実施例における、下層用培養容器本体に対する上層用培養容器ユニットの収容状態を説明するである。 第5の実施例における、下層用培養容器本体に対する上層用培養容器ユニットの収容方法の一例を示す縦断面図である。 本発明の第6の実施例に係る、各上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に蛇腹型の隔離膜を具備した培養容器の一例を示す縦断面図である。 本発明の第7の実施例に係る、各上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に蛇腹型の隔離膜を具備した培養容器の一例を示す縦断面図である。 第7の実施例における、培養容器から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出す状態を示した図である。
本発明の代表的な実施形態においては、培養容器は、内部に培養空間を有し、第一容器及び第二容器及びそれらの蓋部材を有した2層構造の閉鎖系培養容器であって、第一容器内には複数の第二容器を収容可能であり、第一容器には、培地の供給と、気体の供給及び排出をするための第二供給ポートと、培地を排出するための第二排出ポートとが接続される。また、第二容器の各々には、培地の供給と、気体の供給及び排出をするための第一供給ポートと、培地を排出するための第一排出ポートとが接続される。第一供給ポート及び第二供給ポートは、培地を培養容器に対して常に一方向へ流す流路として機能する。
本発明の他の実施形態においては、内部に培養空間を有し、第一容器及び第二容器を有した2層構造の閉鎖系培養容器であって、第一容器内には複数の第二容器を収容可能であり、第一容器及び第二容器それぞれへ、細胞懸濁液または培地の供給と、空気の供給及び排出を行う第一の供給ポート及び第二の供給ポートを有し、さらに、第一容器及び第二容器それぞれから培地の排出と、空気の排出を行う第一の排出ポート及び第二の排出ポートを有する。そして、容器蓋部材と第一容器の間を接続し、その内部に当該第二容器を収容可能である伸長部材(隔離膜)を有した構成の培養容器を提供する。
また、上記の目的を達成するため、本発明の他の実施形態においては、上記第一容器及び第二容器を備えた2層構造の閉鎖系培養容器を用いた自動培養装置おいて、培地が常に一方向に流れるように構成可能な流路回路と、この流路回路を制御する制御プロトコルとを採用している。すなわち、内部に培養空間を有する閉鎖系培養容器を用いる自動培養装置であって、細胞懸濁液が収容される細胞バッグと、培地が収容される培地バックと、培地を冷蔵保存する冷蔵庫と培地交換時に事前に培地を37℃に温めるヒーターと、細胞を培養する培養容器と、細胞懸濁液及び培地及び空気を送液/送気する流体移動制御機構部と、二酸化炭素等を供給源となるガスタンク及びガス濃度を調節するガス濃度調節部及び外界との気圧調整を行うフィルタと、流路の開閉を行う二方弁及び三方弁から成る。培養容器、細胞バッグ、培地バッグ、流体移動制御機構部等から構成される流路回路は恒温機の中に設置され、流路回路全体の温度が制御される。培養容器の培養環境は、制御装置により制御する。また、装置内には温度センサを設置し、内部温度をモニタリングする。加えて顕微鏡も設置し、細胞の生育状態を光学的に適宜モニタリングする。
すなわち、上述した目的を達成する本発明の好適な態様の、内部に培養空間を有する閉鎖系培養容器を用いた自動培養装置おいて、培養容器内の第一容器への細胞播種時は、流体移動制御機構部により細胞懸濁液を細胞バッグから第一供給ポートを経由して第一容器へ供給しつつ、第二供給ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。培養容器内の第二容器への細胞播種時は、第一供給及び第二供給ポートの切り替え後、流体移動制御機構部により細胞懸濁液を細胞バッグから第二供給ポートを経由して第一容器へ供給しつつ、第一供給ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。尚、第一容器及び第二容器へ細胞播種を行う順番は任意である。
培養容器内の第一容器の培地交換時は、流体移動制御機構部により培地を培地バッグから第一供給ポートまで送液しつつ、第二供給ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。第一供給ポートまで達した培地は、保存時に4℃にて冷蔵状態であったが37℃まで温めるヒーターを経由しており、よってこの時点で温度は37℃である。第一供給ポートまで達している培地は、常に37℃に維持されている恒温槽内で、一時的に待機するため、培地の温度も37℃に維持される。次に、流体移動制御機構部により第一容器の古い培地を第一排出ポートから排出しつつ、第二供給ポートから培養容器内の空気を内部へ供給する。続いて、流体移動制御機構部により第一供給ポートにて待機している培地を第一容器内へ供給しつつ、第二供給ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。この操作は、第一排出ポートから排出した古い培地が第一容器から全量排出された直後より、開始する。第一排出ポートから排出した古い培地が排液バッグ等まで完全に送液することを完了させる必要はない。最後に、流路チューブ内にある第一排出ポートから排出した古い培地に対し、一部を排液回収バッグより回収し、残りを排液バッグへ排出する。以上により、第一容器内において、古い培地は新しい培地と混じることなく、排出することが可能となる。培地交換後の第一容器内の培地は、培地交換時に供給した新しい培地のみとなる。
培養容器内の第二容器の培地交換時は、第一容器の培地交換時に比べ、第一供給ポートと第二供給ポートの役割が入れ替わる。また、排出口は、第一容器では第一排出ポートであったのに対し、第二容器では第二排出ポートとなる。最初に、流体移動制御機構部により培地を培地バッグから第二供給ポートまで送液しつつ、第一ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。第二ポートまで達した培地の温度は、第一容器の時と同様に、一時的に待機するため、この時点で37℃を維持している。次に、流体移動制御機構部により第二容器の古い培地を第二排出ポートから排出しつつ、第一供給ポートから培養容器内の空気を内部へ供給する。続いて、流体移動制御機構部により第二供給ポートにて待機している培地を第二容器内へ供給しつつ、第一供給ポートから培養容器内の空気を外部へ排出する。この操作は、第二排出ポートから排出した古い培地が第一容器から全量排出された直後より、開始する。第二排出ポートから排出した古い培地が排液バッグ等まで完全に送液することを完了させる必要はない。最後に、流路チューブ内にある第二排出ポートから排出した古い培地に対し、一部を排液回収バッグより回収し、残りを排液バッグへ排出する。以上により、第一容器内と同様に、第二容器においても古い培地は新しい培地と混じることなく、排出することが可能となる。培地交換後の第二容器内の培地は、培地交換時に供給した新しい培地のみとなる。尚、第一容器及び第二容器に愛し培地交換を行う順番は任意である。
また培養途中において、例えば検査を目的として、培養容器に設置した伸長部材を用いることにより、第二容器を1個のみ無菌的な取り出しを可能とする。加えて1個のみを無菌的に取り出した後は、残された第一容器及び第二容器は、無菌性を維持した状態での培養を継続することが可能である。
以上の構成及びプロトコルにより、流路回路において培地は一方向に流れることになる。古い培地と新しい培地は混じり合わない。結果として、回収した古い培地に対する培地成分分析の精度も向上する。また、前述したとおり第一供給ポート及び第二供給ポートは、培地の送液及び気体の送気の機能を併せ持つ。よって、気体送気用の流路チューブを独立に設けた場合に比較し、閉鎖系培養容器に取り付けることになる流路チューブの数は経ることになる。そのため流路回路はより簡潔となる。さらに、培養途中において、無菌的に一部の培養容器を取り出すことが可能である。取り出した後の残りの培養容器も無菌性を維持するため、培養の継続が可能となる。
本発明に係る閉鎖系培養容器を用いた培養容器及び自動培養装置によれば、複数個を同時培養している細胞容器の中から、無菌的に1個の再生組織を取りだすことが可能である。残りの培養容器に対しては、継続して無菌的な培養が可能である。加えて、細胞播種工程及び培地交換工程において、培地は常に一方向に流れる。全量を交換する培地交換において、古い培地が新しい培地に混入しないようにするため、培養の再現性が向上する。回収した古い培地を用いた培地成分分析の分析精度が向上する。閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブは、送液と送気の機能を兼ねるため、流路回路は簡潔となる。
以下、本発明に係る自動培養装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下、本発明の第1の実施例に係る、複数の上層用培養容器ユニットを1つの下層用培養容器に収容した自動培養装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において、自動培養装置の流路を流れる気体、液体、気体及び液体を総称して流体と呼ぶ場合がある。
図1Aは、図1BのA−A‘断面に相当する、培養容器の平面図であり、図1Bは、図1AのB−B‘断面に相当する、培養容器の縦断面図である。
本実施例の培養容器100は、再生組織を培養するための複数の上層用培養容器ユニット101(ここではa〜jの10個)が、フィーダー細胞を培養するための1個の下層一体型の培養容器函体102内に収容可能となっている。各上層用培養容器ユニット101は、逆円錐台の形状となっている。各上層用培養容器ユニット101は函型の培養容器函体102の上面の所定の複数の位置に設けられた開口部115を介して培養容器函体102の内部に収納され、各上層用培養容器ユニット101に対応する複数(ここでは10個)の容器蓋部材103が、各開口部115を塞ぐようにして下層用培養容器本体104の上面に各々ねじ等で固定されている。これによって、培養容器100に、容器蓋部材103と下層用培養容器本体(第二容器)104により囲まれた閉鎖空間110が形成され、各上層用培養容器ユニット(第一容器)101は、この閉鎖空間110内に保持される。なお、上層用培養容器ユニット101はフック構造等により容器蓋部材103へ設置し、必要に応じ簡便に取り出すことが可能になっている。また、図1Aの例では、複数の開口部115は、培養容器函体102の上面に平行に並んで設けられているが、千鳥状等、他の配列法でも良い。
次に、下層一体型の培養容器100の基本的な構成要素を詳細に説明する。下層一体型の培養容器函体102の素材はポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリプロピレン等の可塑性と共に剛性を有するプラスチックである。本例では、下層一体型の培養容器函体の底面の形状が正方形である場合を示している。また、10個の上層用培養容器ユニット101を、縦に2個、横に5個並べた状態で、1つの培養容器函体102内に収容した例を示している。尚、上層用培養容器ユニット101の配置は、これに限定されるものではない。培養容器函体102を構成する容器蓋部材103、下層用培養容器本体104は、射出成形、切削加工等により形成される。
培養容器函体102の内部には上層用培養容器ユニット101を収容するが、この上層用培養容器ユニットとして例えば、一般に細胞培養に使用されるセルカルチャーインサート容器を使用する。セルカルチャーインサート容器は市販のものでよく、BD社製、コーニング社製、グライナー社製等があり、使用可能な製品は限定されない。また、セルシード社製の温度応答性セルカルチャーインサート容器への適用も可能である。セルカルチャーインサート容器等である上層用培養容器ユニット101の底面120は多孔性膜であり、例えば直径0.4μm程度の孔を多数有する。これにより、上層及び下層間にて、培地及び液性因子の移動が可能となる。孔の径は細胞よりも十分に小さいため、上層の細胞が、孔を通り下層へ移動することはない。また、その程度の大きさの孔であるため、培地及び液性因子が、例えば数分程度の短時間で急激に移動することはない。よって、上層用培養容器ユニット101内に培地等が入った状態で、上層用培養容器ユニットを持ち上げても、例えば数分以内であれば、内部の培地は保持される。なお、上層用培養容器ユニット101の上縁部と、培養容器函体102の上面に設けられた下層用培養容器本体104の開口部115との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップ122が存在する。
セルカルチャーインサート容器等である上層用培養容器ユニット101では、細胞は上層用培養容器ユニット101の底面上にて播種、培養する。培養容器函体102では、細胞は下層用培養容器本体104の底面上にて播種、培養する。容器蓋部材103或いは下層用培養容器本体104には、Oリング等の弾性部材105が設けられる。これにより、細胞の培養容器100の外部から、気体や菌等を含む粒子は内部に混入しない。よって培養中において、培養容器100の内部は無菌性の維持が可能である。容器蓋部材103の下層用培養容器本体104への接続は、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104に設けられたねじ同士を螺合させることにより固定する。この場合、容器蓋部材103を下層用培養容器本体104から取り外す際には、容器蓋部材103を回転させて取り外す。或いは、容器蓋部材103は、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104に設けられた係合もしくは嵌合用の噛合部にて固定する。この場合、容器蓋部材103は回転させずに軸方向に持ち上げて取り外す。尚、容器蓋部材103の下層用培養容器本体104への固定方法は、これらの方法に限定されるものではない。
下層用培養容器本体104には、培地供給と、空気/水蒸気の供給及び排出をするための、下層供給用接続突起構造(第二供給ポート)106をその一端に有する下層供給用流路107と、培地排出と、空気/水蒸気の排出をするための、下層排出用接続突起構造(第二排出ポート)108をその一端に有する下層排出用流路109を有する。下層供給用流路106の下層用培養容器本体104における位置は、導入する培地150の量により変えるべきであるが、導入された培地液面よりも上部であればよい。下層排出用流路109の下層用培養容器本体104における位置は、下層用培養容器本体104からの培地の排出に使用するため、下層用培養容器本体104の底面と下層排出用流路109の最下部が、同じ高さとなるよう設置することが望ましい。そうすることで、培地の排出効率の向上が可能となる。後述する図3Aに示した、本培養容器を回転させる回転機構により、培養容器を適宜傾けつつ培地を排出することで排出効率はより向上する。
各容器蓋部材103には、各上層用培養容器ユニット101に対し、培地供給と、空気/水蒸気の供給及び排出をするための、上層供給用接続突起構造(第一供給ポート)111をその一端に有する上層供給用流路112と、培地を排出するための、上層排出用接続突起構造(第一排出ポート)113をその一端に有する上層排出用流路114が設けられている。なお、図1AのB−B‘断面に相当する図1Bにおいて、上層供給用流路112と上層排出用流路114は前後に重なって表示されるべきものであるが、ここでは構成を分かり易くするために、上層供給用流路112と上層排出用流路114を左右に離して表示している(以下の図でも同じ)。
上層供給用流路111の容器蓋部材103における位置は、容器内に導入する培地の量によって変えるべきであるが、導入された培地液面よりも上部であればよい。上層排出用流路114の上層用培養容器ユニット101の底面における位置は、上層用培養容器ユニット101から培地の排出に使用するため、上層用培養容器ユニット101の底面と上層排出用流路114が、近接していることが望ましい。但し近接しすぎると、再生組織の製造において、細胞の増殖に従い上層排出用流路114が接触し、細胞の増殖に支障を及ぼす。口腔粘膜上皮細胞の場合、再生組織まで培養すると約数百μmの高さまで細胞は増殖する。よって、上層排出用流路114はそれよりも十分に高い位置まで、例えば約500μmまで、上層用培養容器ユニット101の底面への近接が可能である。近接が可能となる距離は、培養対象となる細胞の種類に合わせ決定する。培養液の排出時は、下層の培地交換時と同様に、図3Aにおける回転機構により適宜傾けつつ培地を排出することで、排出効率を向上させることが可能である。
各容器蓋部材103に設置した上層供給用流路112及び上層排出用流路114は、細胞観察に可能な限り支障がないように配置する。細胞観察に支障がないとは、例えば細胞培養容器内を顕微鏡観察する際に、顕微鏡光軸を阻害しない形状を備え、また顕微鏡光軸を阻害しない位置に配置することを意味する。下層供給用流路107、下層排出用流路109、上層供給用流路112、上層排出用流路114は、流路の突起構造サイズに適合した内径を有する、シリコン等の弾性体からなる流路チューブが接続可能である。これにより、自動培養装置が有する流路回路に接続することができる。
培養時においては、上層用培養容器ユニット101には上皮系細胞を播種し、下層用培養容器本体104にはフィーダー細胞を播種する。但し、用途においては別の細胞を播種したり、細胞を播種しないまま培養したりすることもある。細胞を播種しないまま培養する例として、上層用培養容器ユニット101に上皮系細胞を播種し、下層用培養容器本体104には細胞を播種せず培地のみとすることで、フィーダー細胞なしに培養可能であることが報告されている。
図2A、図2Bにより、1個の上層用培養容器ユニットに着目して、細胞培養容器の構成を説明する。図2Aは、1個の上層用培養容器ユニットを、培養容器函体102内に収容した状態を拡大して示しており、図2Bは、1個の上層用培養容器ユニットを培養容器函体から分離した状態を示している。なお、上層用培養容器ユニット101はその上端に外周縁部1010を有し、この外周縁部1010が容器蓋部材103の内方向突出部1030上に保持されている。この内方向突出部1030は、下層用培養容器本体104の開口部115の周囲に設けられた環状突出部1040上に保持されている。各容器蓋部材103の外周部と下層用培養容器本体104の環状突出部1040の外周部には、ねじ構造1050A,1050Bが設けられており、このねじ構造により容器蓋部材103が下層用培養容器本体104に固定される。なお、固定方法は、螺合に限定されるものではなく、係合、嵌合、その他いずれの手段でもよい。
このように、細胞を保持、培養するための培養容器100は、培地及び細胞、または培地のみを収容する上層用培養容器ユニット101と、この上層用培養容器ユニットを収容し培地及び細胞、または培地のみを収容する一体型の下層用培養容器本体104と、各上層用培養容器ユニット及び下層用培養容器を封止する容器蓋部材103を有しており、この培養容器の外面に流路回路と接続可能な上層供給用流路112、下層供給用流路107、上層排出用流路114、及び、下層排出用流路109を備え、この各上層用培養容器ユニットへの培地の排出または供給、あるいは下層用培養容器に対する排出または供給を行う場合に、送液を制御する手段により連通状態が切り替えられる。後で述べるように、上層供給用流路112及び下層供給用流路107は、細胞懸濁液/培地は培養容器100に対して常に一方向へ流れ、気体は双方向に流れる。
次に、図3Aは、10個の再生組織を培養する時の全体流路回路図である。図3Bは、1個の上層用培養容器ユニットに対し、全体流路回路図から関連する流路回路を抽出して示したものである。
図3Aを用いて、10枚の上層用培養容器ユニット101を収容する下層一体型の培養容器100を培養する時の全体流路を説明する。培養対象は、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、表皮細胞等の上皮系細胞である。下層一体型の培養容器100は、図1A、図1Bで説明した通り、上皮系細胞を培養する層と、上皮系細胞のための成長因子を産出するフィーダー細胞を培養する層から成る、2層構造である。2種類の細胞を用いるため、細胞バッグ203、204は2種類となる。また、細胞播種時において2種類の細胞が混じらないようにするため、播種するための流路回路は分ける。本図では、細胞バッグ202に対し上皮系細胞を入れ、破線で示された第一流路回路(1)205を通過し、10枚の上層用培養容器ユニット101(A〜J)へ順次播種する。細胞バッグ203に対しては、フィーダー細胞を入れ、実線で示された第二流路回路204を通過し、下層一体型の培養容器函体102へ播種する。細胞播種時は、細胞バッグ202、203から、それぞれの細胞懸濁液を培養容器100まで送液する。
即ち、細胞バッグ202及び培地バッグ211が、第一の流路回路205、電磁弁206B、206D、流体移動制御機構部(チューブポンプ)208A、第一の流路回路221、第一の電磁弁307(二方弁A〜J)を介して上層用培養容器ユニット101(A〜J)の流路(第一供給ポート)111に接続されている。第一の流路回路205は、多分岐部209Aにより10個の上層用培養容器ユニットに対応する第一の流路回路221に分岐している。細胞バッグ203及び培地バッグ211が、第二の流路回路204、電磁弁206C、206E、流体移動制御機構部(チューブポンプ)208B、第二の流路回路22)を介して培養容器函体102の流路(第二供給ポート)106に接続されている。一方、各上層用培養容器ユニット101の流路(第一排出ポート)113は、第一の流路回路223、流体移動制御機構部208C、三方弁207Aを介して排液バッグ213、排液回収バッグ214Aに接続されている。第一の流路回路を構成する10個の分岐路(223)が多分岐部209Bで1つにまとめられている。また、培養容器函体102の流路(第二排出ポート)108は、第二の流路回路224、流体移動制御機構部208D、三方弁207Bを介して排液バッグ213、排液回収バッグ214Bに接続されている。なお、212はヒーター、215A,215Bはガス供給部、216はガス濃度調整部、217はフィルタである。
このように、第一の流路回路(205、221、223)及び第二の流路回路(204、222、224)において、各二方弁206、307、各流体移動制御機構部208、各三方弁207は、予め与えられた制御プロトコルにより、所定のシーケンスに基づいて制御される。これにより、培養容器100に対して培地が常に一方向に流れ、かつ、古い培地を排出後に新しい培地を供給するように、流路回路が制御される。
図3Bは、図3Aに示した培養容器100において、1個の上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体に関連する部分を抽出したものである。
本図を用い、細胞播種及び培地交換のプロトコルについて説明する。図3Aでは、多分岐部209Aにより、10個の上層用培養容器ユニットへ流路は分岐している。図3Bでは、多分岐部209Aから1個の上層用培養容器ユニット101へ流路がつながった場合を示している。また、図3Bでは細胞懸濁液/培地と空気の流れる向きを示している。上層供給用流路221及び下層供給用流路222において、細胞懸濁液/培地は、培養容器100(101、104)の外側から内側への方向のみに流れる。一方、空気は双方的に流れる。それに対し上層排出用流路114及び下層排出用流路109においては、細胞懸濁液/培地、空気は共に、培養容器100の内側から外側への方向のみに流れる。
送液時は、事前に所定の二方弁(206、307)、三方弁(207)の開閉を行う。そして流体移動制御機構部208を作動させ、流量、送液時間を制御しつつ送液する。送液された細胞懸濁液は、上皮系細胞の場合、多分岐部209Aにおいて、細胞播種を行う上層用培養容器ユニット101へ分岐する。事前に、送液対象となる上層用培養容器ユニットに連結する流路回路に設置された二方弁、三方弁は開いて送液可能な状態にする。一方、送液対象ではない培養容器に連結する流路回路に設置された二方弁、三方弁は閉じて送液不可能な状態にする。細胞播種は、10個の上層用培養容器ユニット101及び下層一体型の培養容器函体102に対し、順次実施する。全てに対し播種終了後、下層一体型の培養容器函体102の下部に取り付けた回転機構311を作動させる。細胞播種時及び細胞培養時において培養容器は水平状態を保持しているが、細胞播種直後、培地交換時は、培養容器を傾ける。細胞播種時は連続的に揺動させることにより、播種後の細胞の分布を一様化する。その後、培養容器を水平状態に戻し、その状態で培養を行う。
培養期間中、培地交換時を所定の日時に実施する。上皮系細胞の場合、1−3日程度に1回の頻度で一般に実施する。細胞播種、培地交換時以外の培養中は、流路回路が設置されている恒温機内の温度を37℃に維持する。これにより、培養容器内の温度も37℃に維持する。また、必要に応じCO等をガス供給部215から供給する。濃度はガス濃度調整部にて行う。例えば、培養容器内部へ、COが5%含まれた気体を適宜送気する。培養対象の細胞種、使用している培地の種類に応じて気体組成と送気スケジュールは決定する。加えて、流路回路外部から気体を取り込んだり、流路回路内部の気圧を調整したりする場合は、フィルタを介して行う。フィルタは、例えば0.22μm以上の粒子を通さない品質のものを使用する。
流路回路において上層用培養容器ユニット101の前後には、無菌脱着部1103を取り付ける。培養中は、流路チューブと同様に送液が可能である。前日検査等で培養容器を1個のみ取り外し、残りの培養容器は無菌性を維持したまま培養を継続する際、無菌脱着部1103を使用し、上層用培養容器ユニットを流路回路から切り離す。続いて、前述した方法により、下層用培養容器本体から上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出す。無菌脱着部により取り外した後の流路回路は、培養容器が取り外した場所に残された無菌脱着部1103により、流路チューブは閉じた状態を維持する。これにより、前日検査のため培養容器を取り外しても、残された培養容器に対して培養を継続可能となる。
図4は、閉鎖系の培養容器100を有する自動培養装置の制御機構を示したブロック図である。制御装置1402により制御される各構成要素が、恒温機1403の内部に配置された培養容器1401に接続されている。なお、恒温槽1403中に配置されるものは、各実施例で説明する閉鎖系培養容器101、104等の培養容器、或いは自動培養装置内に設置された当該培養容器であることは言うまでもない。
図4において、制御装置1402には、恒温機1403の温度を制御するための温度調節部1404と、温度センサ1406と、ガス供給部1405を有し培養容器内のガス濃度を制御するためのガス濃度調節部1411と、培養容器内の培養液を自動で交換するための、各流路回路構成要素に接続された流路チューブを有する流体移動制御1407と、それぞれの構成要素の動作を制御することを目的とした細胞観察用の顕微鏡1408と、CO・Oセンサ(図示略)とが接続されている。
制御装置1402、表示画面1410及びデータベース1412は、CPU(CentrAl Processing Unit;中央処理部)から成る処理部、記憶部や、ディスプレイ装置、キーボードから成る入出力部等を備えた通常のコンピュータの、処理部および記憶部とディスプレイ装置の表示部にそれぞれ対応している。制御装置14022は、記憶部で記憶された各種プログラムを、処理部としてのCPU上で動作させる。これにより、温度調整部1404、ガス供給部1405、流体移動制御機構部1407、顕微鏡1408、CO・Oセンサ、ガス濃度調整部1411、細胞・培地・排液・排液回収バッグ1409により、恒温機1403中の培養環境を制御し、培養容器1401中での所定の培養工程の実施を可能とする。
ガス濃度調節部1411は、培養容器1401に直接接続されている必要はない。温度調節部1404、ガス濃度調節部1411と、CO・Oセンサが恒温機1403に接続された構成でも構わない。この構成の場合、細胞培養容器1401へは容器外から気体を供給する必要があるため、細胞培養容器1401の蓋部の一部に、ポリカーボネイトやポリスチレン、ポリメチルペンテン等のガス透過性を有した透明な薄膜を溶着し、細胞培養容器1401内部のガス交換を可能とすることで、細胞培養を可能とすることができる。
以上の構成を有する本実施例の自動培養装置を用い、細胞を培養する時の一連の培養手順について説明する。図5は、自動培養装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下、自動培養装置の動作を説明する。尚、使用する培養容器の数を増やす場合は、流路の多分岐部において、並列に培養容器を並べればよい。またその場合の培養手順は、以下に示す操作を各培養容器に対して順々に実施すればよい。
まず、自動培養装置を起動させ(ステップS1)、スケジュール決定する(ステップS2)。さらに、適切な二方弁及び三方弁の開閉を行った後、流体移動制御機構部を作動させ、培養容器へ播種を行い(ステップS3)、培養容器で細胞の培養(ステップS4)、及び、顕微鏡による観察を行う(ステップS5)。細胞か正常な状態か判定し(ステップS6)、正常であれば培養容器の培地交換を行う(ステップS7)。その後、移植直前の培養及び培地交換を行う(ステップS8〜S10)を行う。さらに、移植用組織の回収(ステップS11)を行い、一連の処理を終了する(ステップS12)。
次に、培養容器で細胞の培養(ステップS4)、培地交換(ステップS7)、及び、移植直前の培養及び培地交換(ステップS10)に関し、自動培養装置の制御プロトコルを説明する。なお、検査用組織の回収(ステップS9)は実施例2以下で述べる培養容器で実施されるのが望ましいので、ここでは説明を省略する。
まず、閉鎖系培養容器100への播種について説明する。
図6は、データベース1412に保持された、培養容器100への播種時制御用のテーブル600の一例を示す図である。図中、黒丸印が電磁弁206、207、307の開(オン)及びポンプ208の動作状態、×印が電磁弁の閉(オフ)及びポンプの停止状態を示している(以下、同じ)。
まず、10個の上層用培養容器ユニット101(101A〜101J)の各々への播種のために、二方弁(電磁弁)206、307、三方弁(電磁弁)207、流体移動制御機構部(チューブポンプ)208等が、テーブル600で与えられる所定のシーケンスに従い、制御される。例えば、各上層用培養容器の容量が2mlであった場合、上層用培養容器101Aに対する播種のために、30秒かけて各弁やポンプを制御し、それに続いて、上層用培養容器101Bに対する播種のために、30秒かけて一連の処理がなされ、以下、同様にして、上層用培養容器101Jまで、播種のための処理がなされる。
最後に、下層すなわち一体型の培養容器函体102への播種のために、二方弁(電磁弁)206、307、三方弁(電磁弁)207、流体移動制御機構部(チューブポンプ)208等が、テーブル600で与えられる所定のシーケンスに従い、制御される。一例として、下層用培養容器本体104の容量が30mlであった場合は450秒かけて、一連の処理がなされ、50mlであった場合は750秒かけて、一連の処理がなされる。
図7Aにより、上層へ細胞播種するプロトコルを示す。図に示すように、細胞バッグ202から上層供給用流路221を経由して1つの上層用培養容器101内へ送液する。この時、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Bを作動させ、送液及び送気を実施する。すなわち、細胞バッグ202が、第一の流路回路(205)、電磁弁206B、流体移動制御機構部208A、第一の流路回路(221)、第二の電磁弁307を介して上層用培養容器101の流路(第一供給ポート)111に接続され、上層用培養容器101に対して細胞播種が実施される。この時同時に、下層供給用流路107より下層用培養容器本体104内の空気を培養容器外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Aより流路外へ排出する。すなわち、下層用培養容器本体104は、その流路(第二供給ポート)106が第二の流路回路(222)、流体移動制御機構部208B、第二の流路回路(204)、電磁弁206Aを介してフィルタ217Aに接続される。上層用培養容器101と下層用培養容器本体104との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップが存在するので、上層用培養容器内の気体は第二の流路回路及びフィルタ217Aを介して排気される。所定量を送液し終えたら終了する。他の上層用培養容器101に対しても、同様にして、細胞播種を実施する。なお、ここでは、細胞播種を上層、下層の順に実施しているが、その順番は任意である。
続いて、下層用培養容器本体104へ細胞播種するプロトコルを示す。事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁は、図6に示すように、あらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部209A及び209Bを作動させ、送液及び送気を実施する。すなわち、図7Bに示すように、細胞バッグ203から、第二の流路回路(204)、電磁弁206C、流体移動制御機構部208B、第二の流路回路(222)を介して、第二供給ポート106から下層用培養容器本体104へ送液する。この時同時に、培養容器内の空気を、上層用培養容器101の供給用流路(第一供給ポート)111から第一の流路回路(221)、流体移動制御機構部208A、電磁弁206Fを介して培養容器外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Bより流路外へ排出する。所宇量を送液し終えたら終了する。このようにして、細胞バッグから培養容器に対する細胞播種は、スムーズに実行される。
次に、培地交換について説明する。
培地交換は、10個の上層用培養容器ユニット101及び1つの下層一体型の培養容器函体102に対し、順次実施する。
図8は、閉鎖系培養容器の培地交換制御用のテーブル800の一例を示す図である。このテーブル800により、培地交換のために、二方弁(電磁弁)206、307、三方弁(電磁弁)207、流体移動制御機構部(チューブポンプ)208等が、テーブル800で与えられる所定のシーケンスに従い、制御される。
図9A〜9Dにより、上層用培養容器101の培地を交換するプロトコルを説明する。図9A〜図9Dは、1個の上層用培養容器101に対し、テーブル800に従い形成される流路回路と、それによる上層の培地交換時の培地及び空気の流れを示したものである。
まず、図9Aに示すように、培地バッグ202から第一の流路回路(221)を経て上層用培養容器ユニットの第一供給ポート111まで培地送液し、ここで待機状態とする。この時同時に、流路(第二供給ポート)106より培養容器内の空気を、第二の流路回路(222)を介して、培養容器100の外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Aより流路外へ排出する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Bを作動させ、送液及び送気を実施する。また、培地バッグ211は4℃の冷蔵庫内に設置するため、培地バッグ211から送液した直後の培地は4℃であるが、ヒーター212により37℃まで加温し、培養容器等が設置された恒温機内にて37℃にて維持する。
このように、図9Aの状態では、第一の流路回路内の培地の先端は第一供給ポート111若しくはその近傍に維持される。なお、この停止位置は、用途によって、適宜変更すれば良い。
次に、図9Bに示すように、第一の流路回路(221)での新しい培地の待機状態を維持したまま、上層用培養容器ユニット101内の培養に用いた古い培地を、上層排出用流路114から排出する。すなわち、培養容器内の培地を、第一排出ポート113、第一の流路回路(223)を介して、流体移動制御機構部208Cにより、排液バッグ213へ排出する。その時、培地成分分析に必要な排液の一部は、排液回収バッグ214Aにおいて回収する。培養容器から古い培地を排出する際には、回転機構311により培養容器を傾け、培養容器内の排出口側から古い培地が排出されやすくなるようにする。この時同時に、下層供給用流路すなわち第二の流路回路(222)を介して、流体移動制御機構部208Aにより、空気を第二供給ポート106から培養容器内100へ供給する。空気は、最終的にフィルタ217Aから流路内へ供給する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁及び三方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A、208B及び208Cを作動させ、排液及び送気を実施する。古い培地は、最終的に排液バッグ213または排液回収バッグ214Aへ排出される。排液は、上層にある古い培地の全量が、上層から排出された時点で終了する。但し、この時点では全量に対し完了する必要はない。
続いて、図9Cに示すように、培地バッグ211から第一の流路回路(221)を介して上層用培養容器ユニット101の第一供給ポート111若しくはその近傍まで送液し、先端がこの部分で37℃にて待機させていた新しい培地を、上層用培養容器ユニット101内へ供給する。この時同時に、培養容器100内の空気を、第二供給ポート106、下層供給用流路(第二の流路回路222)を介して、培養容器の外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Aより流路外へ排出する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A、208Bを作動させ、送液及び送気を実施する。
最後に、図9Dに示すように、上層排出用流路114と排液バッグ213または排液回収バッグ214Aの間の第一の流路回路(223)等に残存している古い培地を、排液バッグ213または排液回収バッグ214Aへ排出する。この時同時に、下層供給用流路すなわち第二の流路回路(222)を介して、空気を第二供給ポート106から培養容器100内へ供給する。空気は、最終的にフィルタ217Aから流路内へ供給する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁及び三方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208B及び208Cを作動させ、排液及び送気を実施する。排液は、上層にある古い培地が全量、排液バッグ213または排液回収バッグ214Aへ排出された時点で終了する。
次に、下層一体型の培養容器函体102への培地交換のプロトコルについて説明する。
図10A〜図10Dは、下層の培養容器函体102に対し、テーブル800に従い形成される流路回路と、それによる下層の培地交換時の培地及び空気の流れを示したものである。
まず、図10Aに示すように、培地バッグ211から、下層供給用流路すなわち第二の流路回路(222)を介して、培養容器100の第二供給ポート106若しくはその近傍まで培地を送液し、ここで待機状態とする。この時同時に、培養容器100内の空気を第一供給ポート111より第一の流路回路(221)を経て培養容器外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Bより流路外へ排出する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Bを作動させ、送液及び送気を実施する。また、培地バッグ211は冷蔵庫内に設置するため、培地バッグ211から送液した直後の培地は4℃であるが、ヒーター212により37℃まで加温し、培養容器等が設置された恒温機1403内にて37℃にて維持する。
次に、図10Bに示すように、第二供給ポート106における新しい培地の待機状態を維持したまま、下層一体型の培養容器函体102内の培養に用いた古い培地を、下層排出用流路109から第二の流路回路(224)を介して排出する。この時同時に、第一の流路回路(221)を経て空気を第一供給ポート111から培養容器100内へ供給する。空気は、最終的にフィルタ217Bから流路内へ供給する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁及び三方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Dを作動させ、排液及び送気を実施する。排液は、下層にある古い培地の全量が、下層から排出された時点で終了する。なお、古い培地は最終的に排液バッグ213または排液回収バッグ214Bへ排出されるが、この時点では、全量に対し完了する必要はない。
続いて、図10Cに示すように、培地バッグ211から第二の流路回路(224)を介して下層一体型の培養容器函体102の第二供給ポート106若しくはその近傍まで送液し、37℃にて待機させていた新しい培地を、下層の培養容器函体102内へ供給する。この時同時に、第一の流路回路(221)を介して、第一供給ポート111より培養容器100内の空気を培養容器外へ排出する。空気は、最終的にフィルタ217Bより流路外へ排出する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Bを作動させ、送液及び送気を実施する。
最後に、図10Dに示すように、下層排出用流路109と排液バッグ213または排液回収バッグ214Bの間の第二の流路回路(224)等に残存している古い培地を、排液バッグ213または排液回収バッグ214Bへ排出する。この時同時に、第一の流路回路(221)を介して、第一供給ポート111より空気を培養容器100内へ供給する。空気は、最終的にフィルタ217Bから流路内へ供給する。この時、テーブル800に従い、事前に培地及び空気が流れる流路上の二方弁及び三方弁はあらかじめ開いた状態にする。それ以外のものは閉じた状態にする。その状態で、流体移動制御機構部208A及び208Dを作動させ、排液及び送気を実施する。排液は、下層にある古い培地が全量、排液バッグ213または排液回収バッグ214Bへ排出された時点で終了する。
本実施例によれば、閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブの一部は、送液と送気の機能を兼ねるため、全体流路回路が簡潔となる。例えば、10個の上層用培養容器ユニット101(101A〜101J)の各々に、下層用培養容器本体104を個別に設けた場合、第一供給ポート、第一排出ポート、第二供給ポート、第二排出ポートの各々に流路チューブを接続する必要が有るので、合計40本の流路チューブが必要になる。一方、本実施例によれば、下層用培養容器本体104には全体で2本の流路チューブを接続するのみなので、合計22本の流路チューブで足りる。また、流路を制御する電磁弁も少なくなる。さらに、下層用培養容器本体への播種は1回のみなので、処理時間が短縮され、速やかに培養へ移行できる。
以上述べた本実施例の自動培養装置おける一連の処理の詳細を、図5の制御フローを参照しながら、まとめて説明する。尚、使用する培養容器の数を増やす場合は、流路の多分岐部において、並列に培養容器を並べればよい。またその場合の培養手順は、以下に示すS1〜S8、S10〜S12の操作を各培養容器に対して順々に実施すればよい。
<ステップS1:スタート>
まず、図5に示すように、自動培養装置を起動させる。操作者が制御装置にある操作部のスタートスイッチを押すことにより起動する。尚、この時点で流路回路等は事前に自動培養装置へ設置されている。制御部のディスプレイの操作画面において、自動培養装置の内部環境として適切な値であることを確認する。例えば、恒温機の温度が37℃であることを確認する。これらの数値は限定的なものでなく、例えば温度は、0℃から45℃の範囲より選択可能である。また装置の内部は、事前の適切な操作により、滅菌ガスによる滅菌或いはエタノールによる消毒が施され、清浄な状態となっている。また、培養に用いる流路部に対しても事前に滅菌を施してある。
<ステップS2:スケジュール決定>
培養する細胞の種類と量に合わせ、自動培養装置により実施する自動培養スケジュールを決定する。細胞播種、培地交換、顕微鏡観察、排液回収、検査用組織回収、移植用組織回収等の操作を行う日時、頻度、液量等の条件を、制御部の操作部より入力する。
<ステップS3:細胞播種>
適切な二方弁及び三方弁の開閉を行った後、流体移動制御機構部を作動させ、細胞バッグより細胞懸濁液を吸引する。細胞懸濁液は、食道粘膜再生の例では口腔粘膜上皮細胞を培養するため、KCM培地(keratinocyte culture medium)に懸濁した口腔粘膜上皮細胞と、同じくKCM培地に懸濁した3T3−J2細胞である。流体移動制御機構部を駆動させることにより、エアフィルタを介して流路外へ流路内の空気を排出しつつ、細胞懸濁液を吸引する。そして培養容器へ播種する。細胞播種は、各培養容器のそれぞれの上層及び下層へ、順次実施する。播種後、回転機構により培養容器を複数回揺動させることにより、培養表面上の細胞分布が均一となるようにする。
<ステップS4:細胞の培養>
培養容器を水平に静置した状態で所定時間、培養する。例として口腔粘膜上皮細胞の場合、静置期間は播種後5日間程度とする。培養中は、恒温機により培養容器の周囲環境を37℃に維持する。また、必要に応じ培養容器の内部へ所定成分の気体を送気する。口腔粘膜上皮細胞の培養の場合、CO2濃度は5%、湿度は100%に維持する。自動培養装置内部の空気はファンにより常に攪拌し、温度分布が常に一様となるようにする。
<ステップS5:顕微鏡による観察>
自動培養装置内に設置した顕微鏡を用い、細胞画像を取得する。自動培養装置内に設置した光源を適宜発光させ、顕微鏡により細胞に焦点を合わせ、撮像する。必要に応じ、培養表面に定点を任意に定め、撮影する。取得した細胞画像はデータベースに保存し、自動培養装置の外部に設置したディスプレイ上で必要に応じ閲覧できるようにする。
<ステップS6:細胞の状態判定>
顕微鏡観察により得た細胞の生育状態に関する情報から判断し、培地交換の頻度、時期の調整を行う。例えば細胞の接着が不十分な場合、次のステップの培地交換は実施せず、ステップS4の細胞の培養を継続する。
<ステップS7:培地交換>
培地交換は、一般に数日に一度の頻度で実施する。細胞の生育状況に応じ、頻度は調整を行う。適切な電磁弁の開閉を行った後、流体移動制御機構部を作動させ、流体移動制御機構部を駆動させることにより培地バッグより培地を吸引する。同時に、フィルタを介して流路外へ流路内の空気を排出する。培地バッグから送液された直後の培地は4℃であるが、ヒーター及び恒温機内の気相により、培地の温度は37℃を維持した状態で次の工程に進む。
続いて、培養容器から古い培地を排出する。この時、回転機構により培養容器を傾け、古い培地の全量が排出されるようにする。排出後、速やかに、37℃に維持されている新しい培地を培養容器内へ供給する。これにより、培養表面上の細胞の乾燥と、培養表面の温度低下を回避する。
培養容器から排出した古い培地は、一部を排液回収バッグへ、残りを排液バッグへ送液する。回収した古い培地は、別途用意する培地成分分析装置により培地成分分析を用い、細胞の生育状況を評価する。例えば、細胞が生育時に用いるグルコースと排出する乳酸の量を測定し、細胞の生育状態を把握する。また、マイコプラズマ試験等を実施し、培地が汚染されていないか判定する。汚染があった場合には培養を直ちに終了し、自動培養装置の設置場所が汚染されないよう、細胞を適切な操作により無菌的に破棄する。
<ステップS8:移植直前の判定>
移植を実施するに適しているか否かの判定を行う。
<ステップS10:移植直前の培養及び培地交換>
移植を実施する直前に、ステップS4〜S7と同じ操作による培地交換を行う。
<ステップS11:移植用組織の回収>
ステップS7による評価の結果、移植に適した再生組織が培養できていると判断がついた場合、移植用として組織を回収して再生医療治療に用いる。培養容器を取り外し、その後、再生医療治療を行う手術室へ、無菌性と生物学的な質を維持した状態で搬送し、治療に用いる。
<ステップS12:終了>
培養に用いた流路部を取り外す。続いて、装置の内部へ適切な操作により、滅菌ガスによる滅菌或いはエタノールによる消毒を施し、清浄な状態にする。自動培養装置の各種ソフトを終了させ、自動培養装置の作動を終了させる。
以上、本発明の実施の形態の一例を図面に従い説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないこと明らかである。例えば実施例において、流体を移動させる流体移動制御機構部としてペリスタルティック・ポンプを想定しているが、シリンジ・ポンプ等の他の駆動機構を用いても良いことは言うまでもない。
以上のように構成された自動培養装置の好適な実施形態によれば、検査用等の再生組織を、無菌性を維持した状態で事前に取り出すことが可能である。取り出した後の残りの再生組織は、同様に無菌性を維持するため、培養の継続が可能である。また、細胞播種工程及び培地交換工程において、培地は常に一方向に流れる。全量を交換する培地交換において、古い培地が新しい培地に混入しないようにするため、培養の再現性が向上する。回収した古い培地を用いた培地成分分析の分析精度が向上する。古い培地を回収後は、速やかに事前に37℃へ温めた新しい培地を供給する。閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブの一部は、送液と送気の機能を兼ねるため、全体流路回路は簡潔となる。
以上、本発明の実施の形態の一例を図面に従い説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないこと明らかである。例えば実施例において、流体を移動させる流体移動制御機構部としてペリスクルティック・ポンプを想定しているが、シリンジ・ポンプ等の他の駆動機構を用いても良いことは言うまでもない。
以上、本発明の実施の形態の一例を図面に従い説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないこと明らかである。例えば実施例において、流体を移動させる流体移動制御機構部としてペリスタルティック・ポンプを想定しているが、シリンジ・ポンプ等の他の駆動機構を用いても良いことは言うまでもない。
本実施例によれば、細胞播種工程及び培地交換工程において、培地は常に一方方向に流れるので古い培地が新しい培地に混入せず、培養の再現性が向上する。培地交換時に古い培地を全て排出した後に新しい培地が速やかに供給される。
しかも、閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブの一部は、送液と送気の機能を兼ねるため、全体流路回路は簡潔となる。特に、下層は一体型の培養容器函体としているので、下層用培養容器本体には全体で2本の流路チューブを接続するのみで良く、流路回路は簡潔となり、流路を制御する電磁弁も少なくなる。
培養容器内の再生組織は、再生医療治療を行うに際して、再生医療治療に適した質を有するかが評価される。そのために、同じ環境で複数個を同時培養している細胞容器の中から、その1つを、事前に無菌的に取り出して、検査用としたいというニーズがある。すなわち、図5の検査用組織の回収(ステップS9)を実施したい場合がある。
本実施例は、このようなニーズに応える培養容器100を提供するものである。
図11に示した実施例2の培養容器100は、上層用培養容器ユニット101及び下層一体型の培養容器函体102と並行して、細胞バッグ、培地バッグ、排液バッグ、排液回収バッグ等に接続された、検査用上層用培養容器ユニット1101及び検査用培養容器函体1102を具備している。検査用上層用培養容器ユニット1101及び検査用培養容器函体1102は、実施例1の培養容器100と同じ環境で同時培養される。
すなわち、検査用上層用培養容器ユニット1101は、上層供給用接続突起構造111及び上層排出用接続突起構造113に対応する上層供給用接続突起構造1111及び上層排出用接続突起構造1113を有する。検査用培養容器函体1102は、実施例1の下層用培養容器本体104に対応する培養容器本体と、下層供給用接続突起構造106に対応する下層供給用接続突起構造1106と、下層排出用接続突起構造108に対応する下層排出用接続突起構造1108と、開口部115対応する開口部を有している。本例では、下層一体型の培養容器函体102を、流路チューブ222を含む第二の流路回路で、検査用培養容器函体1102に接続した状態を示している。なお、検査用上層用培養容器ユニット1101の接続関係については、図には記載していないが、実施例1と同様の構成の複数の上層用培養容器ユニット101と並行して、1個の検査用上層用培養容器ユニット1101を検査用培養容器函体1102の上に設置し、流路チューブを含む第一の流路回路で、細胞バッグ、培地バッグ、排液バッグ、排液回収バッグ等に接続すればよい。
検査用培養容器函体1102の前後の第二の流路回路には、無菌脱着部1103を設置する。無菌脱着部1103は、流路チューブと同様に送液及び送気が可能であり、流路の切断も可能である。切断後の流路は、無菌性を維持する。また無菌脱着部1103により検査用培養容器函体1102を取り外した後も、下層一体型の培養容器函体102の培養を継続するため、第二の流路回路には、三分岐部1104により、検査用培養容器函体1102をバイパスする、迂回流路チューブ1105を事前に取り付けておく。第一の流路回路にも、同様に三分岐部により、検査用上層用培養容器ユニット1101をバイパスする、迂回流路チューブを事前に取り付けておく。
検査用培養容器函体1102を取り外した後は、迂回流路チューブ1105により下層一体型の培養容器函体102へ送液及び送気を実施する。同様に、検査用上層用培養容器ユニット1101を取り外した際も、迂回流路チューブ1105により各上層用培養容器ユニット101へ送液及び送気を実施する。
本実施例によれば、以下のようにして、図5の検査用組織の回収(ステップS9)を含む処理を行うことができる(実施例1と同じ処理に関しては、説明を省略する)。
<ステップS9:検査用組織の回収>
移植予定日の前日に、培養中の培養容器のうち1枚を検査用に回収する。まず、自動培養装置の扉を開ける。装置内の温度低下を回避するため、流路のみを取り出し、装置の扉を閉めても良い。続いて、検査用培養容器函体1102及び検査用上層用培養容器ユニット1101の流路チューブを、無菌脱着部1103により取り外す。次に、検査用上層用培養容器ユニット1101を、検査用培養容器函体1102から取り外す。取り外した上層用培養容器ユニットに対しては、速やかに検査を実施する。検査用の上層用培養容器ユニットを取り外した後の流路は同じく速やかに装置内へ戻し、装置の扉を閉める。
この時点までの作業中に流路は室温に晒され温度が低下しているため、培養温度である37℃まで迅速に温度が戻るよう、装置内の空調及びヒーターを制御し調整する。
検査用に取り出した上層用培養容器ユニット1101内の再生組織は、再生医療治療に適した質を有するか評価する。例えば口腔粘膜上皮細胞による再生組織の場合、組織学的評価により3層程度の重層化した構造を有するか、免疫組織化学染色評価により口腔粘膜幹細胞が再生組織の基底層に存在するか、口腔粘膜上皮細胞特異的タンパク質を発現しているか等の評価を行う。
以上のように構成された実施例2の培養容器によれば、検査用等の再生組織を、無菌性を維持した状態で事前に取り出すことが可能である。取り出した後の残りの再生組織は、同様に無菌性を維持するため、培養の継続が可能である。また、細胞播種工程及び培地交換工程において、培地は常に一方向に流れる。全量を交換する培地交換において、古い培地が新しい培地に混入しないようにするため、培養の再現性が向上する。回収した古い培地を用いた培地成分分析の分析精度が向上する。古い培地を回収後は、速やかに事前に37℃へ温めた新しい培地を供給する。閉鎖系培養容器に取り付けた流路チューブの一部は、送液と送気の機能を兼ねるため、全体流路は簡潔となる。
本実施例は、同じ環境で複数個を同時培養している細胞容器の中から、その1つを、事前に無菌的に取り出して、検査用したいというニーズに応える培養容器100の他の例を提供するものである。
図12A〜図12Dを用いて、実施例3を説明する。本実施例の培養容器100は、例えば実施例1と同様に、再生組織を培養するための10個の上層用培養容器ユニット101(A〜J)が、フィーダー細胞を培養するための下層一体型の培養容器函体102内に収容可能となっている。
この例では、下層一体型の培養容器函体102から、1個の上層用培養容器ユニット101を無菌的に取り出すための隔離膜403を備えている。すなわち、図2A、図2Bに示したねじ構造に代えて、各容器蓋部材103と下層用培養容器本体104の開口部115の周囲との間に、隔離膜403が設けられている。
図12A〜図12Dに示した隔離膜403は蛇腹形状であり、容器蓋部材103と下層一体型の培養容器函体102とに溶着されている。その位置は、容器蓋部材103、或いは下層一体型の培養容器函体102に設置するOリング105よりも内側となる。なお、隔離膜403の構成には複数の形態が考えられる。溶着方法として、製造時に高熱を付与する熱溶着により隔離膜を固定するが、この方法に限定されるものではない。隔離膜の他の溶着方法として、機械的圧力、超音波溶着、接着材、光硬化樹脂を用いた光照射等が挙げられる。溶着された隔離膜403により、隔離膜403の内側と外側は、隔離される。少なくとも、生物学的汚染の原因となりうる菌等の移動を不可能とする。素材は、例えば高圧蒸気滅菌において使用する才一トクレーブバック等に用いるフィルム、或いは流路チューブ等に用いられるシリコン素材等の弾性部材が挙げられるが、これらの素材に限定されるものではない。溶着が可能であり、菌等の移動を不可能とし、後述するように、上層用培養容器ユニットの取り出し時に迅速な溶着及び切断が可能な素材であればよい。
図12Aは、容器蓋部材103と下層一体型の培養容器函体102を一体化させた、培養状態を示している。上層用培養容器ユニット101及び下層用の一体型の培養容器函体102の内部には、培地150が入っている。隔離膜403は、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の間、及び容器蓋部材103の外周近傍に収容されている。この隔離膜403の中間部分は、例えば、容器蓋部材103の外周のすぐ横において下層用培養容器本体104上に、折り畳み、あるいは、まるめた状態とし、接着材などでその状態が固定される。
一方、図12Bは、蛇腹型隔離膜403を伸長させ、容器蓋部材103と下層一体型の培養容器函体102を分離させた状態を示している。すなわち、上層用培養容器ユニット101及び容器蓋部材103を持ち上げた状態を示している。上層用培養容器ユニット101の底面部は、多孔性膜であるため、例えば数分程度の短時間であれば、上層用培養容器ユニット内に培地150を保持することが可能である。隔離膜403は、事前に容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104に溶着されているため、隔離膜403の内側は無菌性を維持している。
容器蓋部材103と下層一体型の培養容器函体102を結合する手段として、容器蓋部材103の底面には、円周方向に沿って等間隔に複数の係止片123が設けられ、この係止片123が下層用培養容器本体104の環状突出部1040の外側に設けられた係止穴124に係止するように構成されている。両者を一体化させた時、隔離膜403は、容器蓋部材103及び下層一体型の培養容器函体102の間に収容されている。
次に、図12Aに示した、培養状態にある10個の上層用培養容器ユニット101(A〜J)の中から任意の1個の上層用培養容器ユニット101を、下層一体型の培養容器函体102から無菌的に取り出す一連のプロトコルを説明する。
まず、図12Bのように、取り出すべき上層用培養容器ユニット101の容器蓋部材103と下層一体型の培養容器函体102を分離させる。次に、図12Cに示したように、切断治具407により、隔離膜403の中間部分を絞り、隔離膜403を圧着させる。この状態において、切断治具407に挟まれている部分の隔離膜403を溶着させる。尚、切断治具307に挟まれている部分の隔離膜304の溶着方法には、例として熱溶着が挙げられるが、超音波溶着、機械的高圧力による溶着等の方法もあり、熱溶着に限定されるものではない。
隔離膜304の溶着後、溶着部分を切断する。図12Dは、溶着された隔離膜403を切断した後の状態である。すなわち、図12Dに示したように、溶着・切断により、容器蓋部材103、下層用培養容器本体104、隔離膜403により囲まれていた1つの閉鎖空間110は、取り出す上層用培養容器ユニット101の容器蓋部材103と上層側隔離膜4031に囲まれた1つの閉鎖空間と、下層用培養容器本体104と下層側隔離膜4032及び残りの9個の上層用培養容器ユニット101の容器蓋部材103とに囲まれた他の閉鎖空間に、分離される。取り出した上層用培養容器ユニット101と、取り出し後の下層用培養容器本体104は、それぞれ上層側隔離膜4031と下層側隔離膜4032に囲まれているため、各閉鎖空間は共に閉鎖性を維持し、結果として、各々、内部の無菌性を維持している。
本実施例によれば、以下のようにして、図5の検査用組織の回収(ステップS9)を含む処理を行うことができる。(実施例1と同じ処理に関しては、説明を省略する)。
<ステップS9:検査用組織の回収>
移植予定日の前日に、培養中の培養容器のうち1枚を検査用に回収する。検査に用いる任意の上層用培養容器ユニット101の流路チューブを、無菌脱着部1103により取り外す。次に、この上層用培養容器ユニットを、下層用培養容器本体104から取り外す。上層用培養容器ユニットと下層用培養容器本体の間に設置している隔離膜403は、上層用培養容器ユニットを、下層用培養容器本体から取り外す。取り外した上層用培養容器ユニットに対しては、速やかに検査を実施する。検査用の上層用培養容器ユニットを取り外した後の培養容器100の流路は同じく速やかに装置内へ戻し、装置の扉を閉める。この時点までの作業中に培養容器100の流路は室温に晒され温度が低下しているため、培養温度である37℃まで迅速に温度が戻るよう、装置内の空調及びヒーターを制御し調整する。検査用に取り出した上層用培養容器ユニット内の再生組織は、再生医療治療に適した質を有するか評価する。例えば口腔粘膜上皮細胞による再生組織の場合、組織学的評価により3層程度の重層化した構造を有するか、免疫組織化学染色評価により口腔粘膜幹細胞が再生組織の基底層に存在するか、口腔粘膜上皮細胞特異的タンパク質を発現しているか等の評価を行う。
<ステップS11:移植用組織の回収>
評価の結果、移植に適した再生組織が培養できていると判断がついた場合、移植用として組織を回収して再生医療治療に用いる。まず、培養容器を取り外し、その後、再生医療治療を行う手術室へ、無菌性と生物学的な質を維持した状態で搬送し、治療に用いる。
隔離膜に収容されている状態であれば再生組織は無菌性を維持するため、再生医療治療の進行に合わせ、隔離膜からの再生組織を取り出すタイミングを制御する。例えば、隔離膜に収容した状態での手術室内での待機、搬送等が可能である。
このように、本実施例によれば、複数個を同時培養している細胞容器の中から、無菌的に任意の1個の再生組織を取り出すことが可能である。残りの培養容器に対しては、継続して無菌的な培養が可能である。
次に、実施例4として、実施例3の隔離膜403の形成方法を述べる。すなわち、実施例4では、図13を参照しながら、上層用培養容器ユニット101を保持した各容器蓋部材103と下層用培養容器本体104の開口部115の周囲との間に、隔離膜403を設ける製造方法について説明する。
最初に、図13に示したように、上層用培養容器ユニット101を、フック構造等により容器蓋部材103へ設置する。次に、容器蓋部材103の内方向突出部1030の下面に蛇腹型の隔離膜403の上端面4033を、熱溶着等の手段により溶着する。尚、溶着方法は他の方法を選択することも可能であり、熱溶着に限定されるものではない。続いて、隔離膜403の他端4034を下層用の培養容器本体104の開口部115の周囲へ熱溶着等の手段により溶着する。尚、溶着方法は熱溶着に限定されるものではない。
最後に、容器蓋部材103を下層用培養容器本体104へ設置する。
下層一体型培養容器の製造後、滅菌を行う。γ線滅菌が適用可能な素材のみを使用している場合、流路チューブ等を連結させた閉鎖系流路全体を滅菌バッグに入れた状態で、γ線滅菌を実施する。使用時、滅菌バッグより流路を取り出し自動培養装置に設置し、自動培養を行う。γ線滅菌を適用不可能な素材を使用している場合、適用可能な素材のみに対しγ線滅菌を実施し、残りについてはγ線滅菌以外の方法、例えばガス滅菌を実施する。両素材は、安全キャビネット等において一体化させる。
隔離膜403は、実施例3で述べた蛇腹型以外の構成であっても良い。
実施例5として、図14A〜図14Cを参照しながら、層用培養容器から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出すための、平坦型の隔離膜と、その製造方法について説明する。
実施例3で説明した蛇腹型の隔離膜と同様、隔離膜403はその上端面及び下端面が各々容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104に溶着されている。図12で説明した隔離膜と異なり、実施例5に示したものは、隔離膜を容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の外部に収容する
図14Aは、上層用培養容器ユニット101を保持した容器蓋部材103を、下層用培養容器本体104から取り外した状態を示している。隔離膜403は、その上端及び下端が各々、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104に溶着された状態となっている。
図14Bは、上層用培養容器ユニット101を保持した容器蓋部材103が、下層用培養容器本体104内に保持された状態を示している。この状態において、隔離膜403は、その中間部分が折り曲げられ、上層用容器蓋部材101及び下層培養容器本体104の外側に延びた状態で位置している。
この隔離膜403の外側に延びた部分は、例えば、容器蓋部材103の外周のすぐ横に丸めて設置される。あるいは、外側に延びた部分を折り畳んだ状態にしても良い。
図14Cは、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の外側に延びた部分の有る隔離膜403を、折り畳んだ状態で収容する方法を示したものである。隔離膜403の中間部分、すなわち外側に延びた部分は、同心円状の位置固定治具801,802の間に保持され、上から圧縮治具803で加圧されることにより、折り曲げられる。このようにして、隔離膜403は、容器蓋部材103の外周横に折り畳んでコンパクトに設置される。
図12(12A〜12D)の隔離膜と図14(14A〜14C)の隔離膜を比較すると、図12で示した隔離膜の収容方法では、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の内部に隔離膜403を設置したため、折りたたんで収容した隔離膜の厚みが大きくなり、鉛直方向に下層用培養容器本体104は大きくなる。培養中において、下層用培養容器本体内で培養する細胞を顕微鏡により観察する必要が有るが、鉛直方向に下層用培養容器本体が大きくなると、顕微鏡観察に必要な光が減衰したり、鮮明な細胞画像を得るための焦点深度の調整が困難となったりする可能性がある。一方、容器蓋部材の外側横に隔離膜を収容していないため、下層用培養容器本体内において各上層用培養容器ユニット101を近接させることができるので、培養容器100により多くの上層用培養容器ユニット101を配置することが可能となる。
これに対し、図14で示した隔離膜の収容方法では、容器蓋部材の外側横部に隔離膜を収容するため、その分、下層用培養容器本体内において各上層用培養容器ユニットを離して配置する必要があり、培養容器100に配置できる上層用培養容器ユニットの数に制約がある。一方、容器蓋部材及び下層用培養容器本体の内部に折りたたんだ隔離膜を収容していないため、鉛直方向に下層用培養容器本体が大きくなることはない。よって、顕微鏡観察に影響を生じることはない。
隔離膜403の他の構成例を、実施例6で説明する。
図15は、下層用培養容器本体から1個の上層用培養容器ユニットを無菌的に取り出すための、蓋上面設置型の隔離膜の例を示したものである。
実施例6では、下層用培養容器本体から1個の上層用培養容器ユニットを取り出すための隔離膜403が、容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の外周部に設置されている。実施例3、実施例5で説明した隔離膜と異なり、隔離膜403は容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の外周部に溶着されている。隔離膜403は、その上端面が容器蓋部材103の外周上端面において、容器蓋部材接着部504にて容器蓋部材103に溶着されている。また、隔離膜403は、その下端面が下層用蓋部接着部505にて下層用培養容器本体104の上面に溶着されている。実施例6では、実施例5と同様に、隔離膜を容器蓋部材103及び下層用培養容器本体104の外部に隔離膜403を収容する。隔離膜403の上端面を容器蓋部材103の外周側面において、容器蓋部材接着部504にて容器蓋部材103に溶着してもよい。
この隔離膜の収容方法によれば、実施例5と同様に、容器蓋部材の外側横に隔離膜を収容するため、培養容器100に配置できる上層用培養容器ユニットの数に制約がある。一方、容器蓋部材及び下層用培養容器本体の内部に隔離膜を収容していないため、顕微鏡観察に影響を生じることはない。
なお、実施例3で述べた、切断治具307により隔離膜403を切断する方法は、実施例5、実施例6の隔離膜を切断するのにも適用できる。
前記各実施例で述べた隔離膜403は、実施例1で述べたような、容器蓋部材と下層用培養容器本体とを、ねじ等の回転操作を必要とする固定方式により、固定している場合にも適用できる。これを実施例7として説明する。
図16Aは、上層用培養容器ユニットを保持した容器蓋部材103と下層用培養容器本体104とのに、蓋上面設置型の隔離膜403が設置された培養容器100において、容器蓋部材103と下層用培養容器本体104とをねじ105(A,B)の螺合により固定する方式を採用している。
しかし、実施例3で述べた、切断治具307による隔離膜403の切断方法は、容器蓋部材と下層用培養容器本体をねじ等の回転操作を必要とする固定方式を採用している場合には、適用できない。
このような回転操作を必要とする固定方式を採用している場合の、容器蓋部材を取り外す方法を、図16Bで説明する。
図16Bは、前記各実施例の隔離膜を用いる場合において、容器蓋部材103と下層用培養容器本体104をねじ105(A,B)により固定する方式を使用する場合について、上層用培養容器ユニット101を取り外した状態を示している。ねじ105(A,B)により容器蓋部材103は下層用培養容器本体104に固定されているため、下層用培養容器本体104から取り外す際には、容器蓋部材103を回転させつつ取り外すことになる。よって隔離膜403は捻じられることになり、捻じれ構造1004が生じる。
本実施例では、この捻じれ構造部分を溶着、切断することにより、上層用培養容器ユニット101を無菌的に単離させせる。これにより、容器蓋部材103と下層用培養容器本体104の固定を、ねじにより行う場合は、容器蓋部材101を回転させつつ取り外した段階で、隔離膜403に絞り込みに相当する捻じれ構造1004が得られる。すなわち、捻じれ構造1004で上下に分離することにより、容器蓋部材103、下層用培養容器本体104、隔離膜403により囲まれていた1つの閉鎖空間110は、取り出す上層用培養容器ユニット101の容器蓋部材103と上層側隔離膜に囲まれた1つの閉鎖空間と、下層用培養容器本体104と下層側隔離膜及び残りの上層用培養容器ユニット101の容器蓋部材103とに囲まれた他の閉鎖空間に、分離される。取り出した上層用培養容器ユニット101と、取り出し後の下層用培養容器本体104は、それぞれ上層側隔離膜と下層側隔離膜に囲まれているため、各閉鎖空間は共に閉鎖性を維持し、結果として、各々、内部の無菌性を維持している。
本実施例の場合、取り外しプロトコルを少なくすることが可能となる。
以上述べたように、本発明は、培養容器を用いて細胞又は組織を自動操作により培養する自動培養装置、特に再生医療に使用可能な再生組織を製造することのできる自動培養装置として有用である。
100…培養容器
101…上層用培養容器ユニット
102…下層一体型の培養容器函体
103…容器蓋部材
104…下層用培養容器本体
105…弾性部材(Oリング)
106…下層供給用接続突起構造(第二供給ポート)
107…下層供給用流路
108…下層排出用接続突起構造(第二排出ポート)
109…下層排出用流路
110…閉鎖空間
111…上層供給用接続突起構造(第一供給ポート)
112…上層供給用流路
113…上層排出用接続突起構造(第一排出ポート)
114…上層排出用流路
115…開口部
120…養容器ユニットの底面
122…ギャップ
150…培池
1010…外周縁部
1030…内方向突出部
1040…環状突出部
1050A,1050B…ねじ構造
202…細胞バッグ
203…細胞バッグ
204…第二の流路回路
205…第一流路回路
206…二方弁(電磁弁)
207…三方弁(電磁弁)
208…流体移動制御機構部
209…多分岐部
211…培地バッグ
212…ヒーター
213…排液バッグ
214…排液回収バッグ
217…フィルタ
221…第一の流路回路
222…第二の流路回路
223…第一の流路回路
224…第二の流路回路
307…二方弁(電磁弁)
311…回転機構
319…無菌脱着部
403…隔離膜
407…切断治具
600…テーブル
800…テーブル
801…位置固定治具
802…位置固定治具
803…圧縮治具
1004…捻じれ構造
1102…検査用培養容器
1104…三分岐部
1105…迂回流路チューブ
1401…培養容器
1402…制御装置
1403…恒温機
1404…温度調節部
1405…ガス供給部
1406…温度センサ
1407…流体移動制御機構部
1408…顕微鏡
1410…表示画面
1411…ガス濃度調整部
1412…データベース。

Claims (15)

  1. 細胞を保持、培養するための培養容器であって、
    第一容器と、
    前記第一容器内に収納し保持される複数の第二容器と、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々を封止する容器蓋部材と、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々と、該培養容器に前記細胞及び培地を供給する流路回路とを接続する接続ポートとを備えており、
    前記第一容器及び前記第二容器は、各々、培地及び細胞を、または培地のみを収容するための容器であり、前記第一容器及び前記第二容器の各々間の隔壁の一部は、液体及び気体が相互に移動可能に構成されており、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップが存在しており、
    前記接続ポートとして、
    前記第一容器には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第二供給ポートと、前記培地を排出するための第二排出ポートとが接続され、
    前記第二容器の各々には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第一供給ポートと、前記培地を排出するための第一排出ポートとが接続され、
    前記第一供給ポート及び前記第二供給ポートは、前記培地を前記培養容器に対して常に一方向へ流す流路として機能する
    ことを特徴とする培養容器。
  2. 請求項1において、
    前記第一供給ポート及び前記第二供給ポートは、前記培地を前記培養容器の外側から内側への方向のみに流す流路、及び、前記気体を双方的に流す流路として機能し、
    前記第一排出ポート及び前記第二排出ポートは、前記培地を前記培養容器の内側から外側への方向のみに流す流路として機能する
    ことを特徴とする培養容器。
  3. 請求項2において、
    前記第一容器は函体状の容器であり、該容器に複数個設けられた開口部を有し、
    前記容器蓋部材は前記第一供給ポート及び前記第一排出ポートを有し、
    前記第二容器は、各々、前記開口部を介して前記第一容器の内部に収納され、該第二容器の各々に対応して前記容器蓋部材が、前記開口部を塞ぐようにして前記第一容器に各々固定され、これにより、前記培養容器内に、前記容器蓋部材と前記第一容器により囲まれた閉鎖空間が形成され、各前記第二容器が該閉鎖空間内に保持される
    ことを特徴とする培養容器。
  4. 請求項3において、
    前記容器蓋部材と前記第一容器の間に接続され、かつ、その内部に前記第二容器を収容可能な隔離膜を有し、
    該隔離膜は、前記容器蓋部材が前記開口部から取り外された状態でも、前記閉鎖空間を維持する機能を有する
    ことを特徴とする培養容器。
  5. 請求項4において、
    前記隔離膜は、培養時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の内部に収容することが可能であり、
    該隔離膜は、前記第二容器を取り出す時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の間に伸長可能である
    ことを特徴とする培養容器。
  6. 請求項4において、
    前記隔離膜は、該隔離膜を溶着させさらに切断させることにより、当該第一容器を当該隔離膜及び当該容器蓋部材により封止した状態で当該第二容器から分離可能であり、
    当該第一容器を当該第二容器から分離させた後の当該第一容器は、当該隔離膜により封止され前記閉鎖空間を維持する状態となる
    ことを特徴とする培養容器。
  7. 請求項4において、
    前記隔離膜は、培養時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の外部に収容することが可能であり、
    該隔離膜は、前記第二容器を取り出す時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の間に伸長可能である
    ことを特徴とする培養容器。
  8. 請求項7において、
    前記容器蓋部材と前記第二容器の間を、当該容器蓋部材の上面若しくは側面と当該第二容器への溶着により接続した
    ことを特徴とする培養容器。
  9. 請求項3において、
    前記容器蓋部材は、各々、螺合、係合、嵌合のいずれかの固定手段で前記第一容器に固定される
    ことを特徴とする培養容器。
  10. 請求項9において、
    前記容器蓋部材は、ねじにより前記第一容器に固定され、
    前記第二容器を取り出す時において、前記容器蓋部材を回転させ前記隔離膜を捻じることにより生ずる捻じれ構造部分を溶着、切断することにより、前記第二容器を前記第一容器から単離させせる
    ことを特徴とする培養容器。
  11. 細胞を保持、培養するための培養容器であって、
    第一容器と、
    前記第一容器内に収納し保持される複数の第二容器と、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々を封止する容器蓋部材と、
    検査用第一容器と、
    前記検査用第一容器内に収納し保持される検査用第二容器と、
    検査用容器蓋部材と、
    前記第一容器及び前記検査用第一容器と、前記第二容器の各々及び前記検査用第二容器と、該培養容器に前記細胞及び培地を供給する流路回路とを接続する接続ポートとを備えており、
    前記第一容器、前記第二容器、前記検査用第一容器、及び前記検査用第二容器は、各々、培地及び細胞を、または培地のみを収容するための容器であり、
    前記第一容器と前記第二容器の各々、及び、前記検査用第一容器と前記検査用第二容器は、液体及び気体が相互に移動可能に構成されており、
    前記第一容器と前記第二容器の各々、及び、前記検査用第一容器と前記検査用第二容器との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップが存在しており、
    前記接続ポートとして、
    前記第二容器の各々及び前記検査用第二容器には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第一供給ポートと、前記培地を排出するための第一排出ポートとが接続され、
    前記第一容器及び前記検査用第一容器には、各々、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第二供給ポートと、前記培地を排出するための第二排出ポートとが接続され、
    前記流路回路には、前記検査用第一容器及び前記検査用第二容器をバイパスする迂回流路チューブが設けられ、
    前記第一供給ポート及び前記第二供給ポートは、前記培地を前記培養容器に対して常に一方向へ流す流路として機能する
    ことを特徴とする培養容器。
  12. 培養容器内への細胞播種と培地交換を行い、前記培養容器内において細胞を培養する自動培養装置であって、
    少なくとも1つの閉鎖系培養容器と、
    前記閉鎖系培養容器の供給側に1つの細胞バッグ、培地バッグ、第一のフィルタ、及び排液回収バッグを接続する第一の流路回路と、
    前記閉鎖系培養容器の供給側に他の細胞バッグ、培地バッグ、第二のフィルタ及び排液回収バッグを接続する第二の流路回路と、
    前記第一の流路回路及び前記第二の流路回路に設けられた流体移動制御機構部及び電磁弁と、
    制御装置とを備え、
    前記閉鎖系培養容器は、
    第一容器と、
    前記第一容器内に収納し保持される複数の第二容器と、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々を封止する容器蓋部材と、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々と、該培養容器に前記細胞及び培地を供給する流路回路とを接続する接続ポートとを備えており、
    前記第一容器及び前記第二容器は、各々、培地及び細胞を、または培地のみを収容するための容器であり、前記第一容器及び前記第二容器の各々間の隔壁の一部は、液体及び気体が相互に移動可能に構成されており、
    前記第一容器及び前記第二容器の各々との間には、相互に気体の流通を可能にするギャップが存在しており、
    前記第一容器には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第二供給ポートと、前記培地を排出するための第二排出ポートとに、前記第二の流路回路が接続され、
    前記第二容器には、前記培地の供給と、前記気体の供給及び排出をするための第一供給ポートと、前記培地を排出するための第一排出ポートとに、前記第一の流路回路が接続され、
    前記培地が、前記第一の流路回路、前記第二の流路回路、前記第一供給ポート及び前記第二供給ポートを介して、前記培養容器に対して常に一方向に供給される
    ことを特徴とする自動培養装置。
  13. 請求項12において、
    前記制御装置は、前記第一の流路回路内の培地の先端を一時的に前記第一供給ポート近傍に維持し待機状態とする機能、及び前記第二の流路回路の培地の先端を一時的に前記第二供給ポート近傍に維持し待機状態とする機能を有する
    ことを特徴とする自動培養装置。
  14. 請求項13において、
    前記容器蓋部材と前記第一容器の間に接続され、かつ、その内部に前記第二容器を収容可能な隔離膜を有し、
    該隔離膜は、前記容器蓋部材が前記開口部から取り外された状態でも、前記培養容器内に、前記容器蓋部材と前記第一容器により囲まれた閉鎖空間を維持する機能を有する
    ことを特徴とする自動培養装置。
  15. 請求項14において、
    前記隔離膜は、培養時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の内部若しくは外部に収容することが可能であり、
    該隔離膜は、前記第二容器を取り出す時において、前記容器蓋部材と前記第一容器の間に伸長することが可能である
    ことを特徴とする自動培養装置。
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