〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る空調システム(冷凍機)1ついて図1から図18を参照しながら説明する。本実施形態の空調システム1はデータセンタの空調に用いられるものであり、データセンタのフロアに配置されたサーバやコンピュータなどの電子機器から発生する大量の熱を処理するものである。
空調システム1の室外ユニット10は、例えばデータセンタの屋上などの外気と接する屋外に配置され、室内ユニット20は、サーバなどの電子機器が配置されたフロアに配置されるとともに、当該フロアの室内空気を冷却できるように配置されている。図1では、説明を容易にするために室外ユニット10と、室内ユニット20とが1台ずつ備えた例が記載されているが、1台の室外ユニット10に対して複数台の室内ユニット20が備えられていてもよいし、複数台の室外ユニット10に対して複数台の室内ユニット20が備えられていてもよく、特に台数を限定するものではない。
空調システム1は、図1に示すように、室外ユニット10に配置された凝縮器(高圧熱交換器)11と、室内ユニット20に配置された第1膨張弁(第1減圧部)21、第1気液分離器(気液分離器)22、第2膨張弁(第2減圧部)23、蒸発器(低圧熱交換器)24、第2気液分離器25、第1圧縮機(第1圧縮部)26、第2圧縮機(第2圧縮部)27、第1制御弁(選択部)28および第2制御弁(選択部)29と、制御部40と、から主に構成されている。
凝縮器11は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の少なくとも一方から吐出された高温高圧の気体冷媒が流入する熱交換器であり、流入した冷媒の熱を外気に放出させて凝縮させるものである。凝縮器11には、室外ユニット10に設けられたファンなどの送風手段(図示せず)によって外気が導かれている。凝縮器11としては公知の形式の熱交換器を用いることができ、特にその形式を限定するものではない。さらに、上述のように導かれた外気に熱を放出する空冷式の熱交換器であってもよいし、外部から供給される水に熱を放出する液冷式の熱交換器であってもよい。
第1膨張弁21は、凝縮器11と、第1気液分離器22との間に配置されるものである。第1膨張弁21は、凝縮器11によって凝縮された冷媒を膨張させ、その圧力を減圧させるものであり、第1圧縮機26の吸入側の圧力を制御するものでもある。
第2膨張弁23は、第1気液分離器22と蒸発器24との間に配置されるものである。第2膨張弁23は、第1気液分離器22から供給される液冷媒を膨張させ、その圧力をさらに減圧させるものであり、蒸発器24および第2圧縮機27の吸入側の圧力を制御すものである。
第1膨張弁21および第2膨張弁23としては、公知の膨張弁または減圧機構を用いることができ、その形式などを特に限定するものではない。本実施形態では、第1膨張弁21は、第1圧縮機26の吸込み圧力(インジェクション圧力)を調整するものに適用して説明するともに、第2膨張弁23は、蒸発器24から流出した冷媒が、所望のスーパーヒートを有するように減圧の程度を調整する機構を備えるものに適用して説明する。
第1気液分離器22は、第1膨張弁21と、第2膨張弁23および第1圧縮機26との間に配置される容器であり、第1膨張弁21により減圧された気液二層の冷媒が流入し、気体冷媒と液体冷媒とを分離させるものである。第1気液分離器22から第2膨張弁23につながる配管は、第1気液分離器22の下側であって液体冷媒が貯留する領域に接続されている。その一方で、第1気液分離器22から第1圧縮機26につながる配管は、第1気液分離器22の上側であって気体冷媒が存在する領域に接続されている。
蒸発器24は、第2膨張弁23と第2気液分離器25との間に配置される熱交換器であり、第2膨張弁23により減圧された冷媒と室内空気との間で熱交換を行うものである。蒸発器24に流入した冷媒は、室内空気の熱を吸収することにより蒸発して気体冷媒となる。その一方で室内空気は冷媒に熱を奪われるため温度が低下する。
蒸発器24には、室内ユニット20に設けられた送風ファンなどの送風手段により室内空気が導かれている。そのため、ICT装置などを構成する電子機器から発生した熱を吸収して温度が上昇した室内空気は、室内ユニット20に吸い込まれて蒸発器24により冷却される。冷却された室内空気は、室内ユニット20から室内に吹き出される。
第2気液分離器25は、蒸発器24と、第1圧縮機26および第2圧縮機27との間に配置される容器であり、蒸発器24から流出した気体冷媒または気液二相の冷媒が流入し、気体冷媒と液体冷媒とを分離させるものである。第2気液分離器25から第1圧縮機26や第2圧縮機27につながる配管は、第2気液分離器25の上側であって気体冷媒が存在する領域に接続されている。
第1圧縮機26は、第1気液分離器22および第2気液分離器25と、凝縮器11との間に配置される圧縮機である。さらに、第1気液分離器22において分離された気体冷媒、および第2気液分離器25において分離された気体冷媒の一方を吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒を凝縮器11に向けて吐出するものである。
第2圧縮機27は、蒸発器24と凝縮器11との間に配置される圧縮機である。さらに、蒸発器24から流出した気体冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒を凝縮器11に向けて吐出するものである。第1圧縮機26の冷媒を圧縮する圧縮容積は、第2圧縮機27の圧縮容積と比較して小さくなっている。
第1圧縮機26の吐出側には冷媒の逆流を防止する逆止弁26Aが配置され、第2圧縮機27の吐出側には冷媒の逆流を防止する逆止弁27Aが配置されている。逆止弁26Aは、第1圧縮機26が停止した場合に、第2圧縮機27や凝縮器11から冷媒が第1圧縮機26に逆流することを防止するものである。同様に逆止弁27Aは、第2圧縮機27が停止した場合に、第1圧縮機26や凝縮器11から冷媒が第2圧縮機27に逆流することを防止するものである。
本実施形態では、第1圧縮機26および第2圧縮機27を、インバータ制御によって所定の範囲で回転数が制御される電動機によって駆動される固定容量の圧縮機である例に適用して説明する。第1圧縮機26および第2圧縮機27は後述する制御部40から出力される制御信号に基づいて制御される。より具体的には、制御信号に基づくインバータ制御によって電動機を制御することにより第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転が制御される。なお、第1圧縮機26および第2圧縮機27としては公知の形式のものを用いることができ、特に形式を限定するものではない。
第1制御弁28は、第1気液分離器22から第1圧縮機26への冷媒の流入を制御するものであり、第1気液分離器22と第1圧縮機26の吸入部とをつなぐ配管に配置される開閉弁である。第2制御弁29は、第2気液分離器25から第1圧縮機26への冷媒の流入を制御するものであり、第2気液分離器25と第1圧縮機26の吸入部とをつなぐ配管であって、第2圧縮機27の吸入部へ延びる配管が分岐する分岐点と、第1制御弁28が配置された配管との合流点と、の間に配置される開閉弁である。
本実施形態では第1制御弁28および第2制御弁29の開閉はそれぞれに設けられたサーボモータなどのアクチュエータ手段により制御されている例に適用して説明する。このアクチュエータ手段は後述する制御部40から入力される制御信号に基づいて動作が制御されるものである。
制御部40は空調システム1における運転状態を制御するものであり、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するマイクロコンピュータである。制御部40が配置される場所は、例えば図1に示すように、室内ユニット20内であってもよいし、室内ユニット20以外の場所であってもよく、特に限定するものではない。
ROM等に記憶されている制御プログラムは、図2の模式図に示すように、CPUを演算部41として機能させるものであり、ROM等を記憶部42として機能させるものである。制御部40による運転状態の制御は、従来の空調システムにおいて行われている室内空気の温度を設定温度とする制御や、本実施形態の特徴である低負荷時制御などを例示することができる。
制御部40には、室内ユニット20に吸い込まれる熱交換前の室内空気の温度を測定する吸込み温度センサ32と、室内ユニット20から吹出される熱交換後の室内空気の温度を測定する吹出温度センサ33と、から測定した温度を示す測定信号が入力されている。さらに、第1圧縮機26に吸入される冷媒の圧力を測定する第1吸入圧力センサ34と、第1圧縮機26から吐出された冷媒の圧力を測定する第1吐出圧力センサ35と、第2圧縮機27に吸入される冷媒の圧力を測定する第2吸入圧力センサ36と、第2圧縮機27から吐出された冷媒の圧力を測定する第2吐出圧力センサ37と、から測定した圧力を示す測定信号が入力されている。
制御部40からは、第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転状態を制御する制御信号と、第1制御弁28および第2制御弁29の開閉を制御する制御信号と、が主に出力されている。なお、制御部40からは、従来の空調システムにおいて行われる制御に関するその他の制御信号も出力されている。
次に、上記の構成からなる空調システム1における運転について図3から図6の回路図を参照しながら説明する。具体的には、空調システム1に対する熱負荷が最も低い低負荷の場合の制御(以下、「低負荷制御」と記載する。)、その次に熱負荷が少ない中負荷の場合の制御(以下、「中負荷制御」と記載する。)、中負荷の場合であってインジェクションサイクルでの運転が可能なインジェクションの場合の制御(以下、「インジェクション制御」と記載する。)、および、熱負荷が最も高い高負荷の場合の制御(以下、「高負荷制御」と記載する。)における運転について説明する。
まず、低負荷制御における運転について図3を参照しながら説明する。この場合、空調システム1の制御部40は、第1制御弁28に対して弁を閉じる制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を開く制御信号を出力している。図において、黒塗りは弁が閉じられた状態を示し、白抜きは弁が開かれた状態を示している。
また、制御部40は、第1圧縮機26に対して運転を行う制御信号を出力するとともに、第2圧縮機27に対して停止する制御信号を出力している。図において実線で表記された部分は冷媒が流れ、点線で表記された部分は冷媒が流れていない状態を示している。
第1圧縮機26から吐出された高温高圧の気体冷媒は、凝縮器11において外気と熱交換して熱を放出する。熱を放出した冷媒は、凝縮して液冷媒となり、凝縮器11から流出して第1膨張弁21に向かう。高圧の液冷媒は第1膨張弁21において減圧されて気液二相の冷媒となる。
気液二相の冷媒は、第1気液分離器22に流入して気体冷媒と液体冷媒とに分離される。液体冷媒は第1気液分離器22から第2膨張弁23により更に減圧されて蒸発器24に流入する。なお、第1制御弁28が閉じられているため、第1気液分離器22の気体冷媒は第1圧縮機26に吸入されていない。図では第1気液分離器22と第1圧縮機26とをつなぐ配管を点線で表すことにより冷媒が流れていないことを示している。
蒸発器24では、冷媒が室内ファン部31により導入された室内空気の熱を吸収する。吸収した熱により液体冷媒は蒸発して気体冷媒となる。その一方で、室内空気は熱を奪われることにより冷却され、室内ファン部31によってフロアに吹き出される。
蒸発器24を流出した冷媒は、第2気液分離器25に流入して気体冷媒と液体冷媒とに分離される。気体冷媒は、第2制御弁29を介して第1圧縮機26に吸入されて圧縮され、所定の圧力まで昇圧された高温高圧の冷媒として凝縮器11に向けて吐出される。
制御部40は、入力された室内空気の設定温度と、吸込み温度センサ32により測定された室内空気の温度とを比較し、室内空気の温度が設定温度となるように空調システム1の制御を行う。例えば、室内空気の温度が設定温度よりも高いと判定された場合には、空調システム1の冷房能力を高める制御を行う。具体的には、室内ファン部31における室内ファンの回転周波数を増やして熱交換される室内空気の流量を増やす制御、第1圧縮機26の運転周波数を増やして空調システム1を循環する冷媒の流量を増やす制御などが行われる。
また、室内空気の温度が設定温度よりも低いと判定された場合には、空調システム1の冷房能力を抑える制御を行う。具体的には、室内ファン部31における室内ファンの回転周波数を減らして熱交換される室内空気の流量を減らす制御、第1圧縮機26の運転周波数を減らして空調システム1を循環する冷媒の流量を減らす制御などが行われる。
次に、中負荷制御における運転について図4を参照しながら説明する。この場合、空調システム1の制御部40は、第1制御弁28および第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26に対して停止する制御信号を出力するとともに、第2圧縮機27に対して運転を行う制御信号を出力している。
第2圧縮機27から吐出された冷媒は、凝縮器11において凝縮して高圧の液冷媒となり、凝縮器11から流出して第1膨張弁21に向かう。高圧の液冷媒は第1膨張弁21において減圧されて気液二相の冷媒となる。
気液二相の冷媒は、第1気液分離器22において気体冷媒と液体冷媒とに分離され、液体冷媒は第2膨張弁23により更に減圧されて蒸発器24に流入する。なお、第1制御弁28が閉じられているため、第1気液分離器22の気体冷媒は第1圧縮機26に吸入されていない。
蒸発器24では液体冷媒は蒸発して気体冷媒となる。蒸発器24を流出した冷媒は、第2気液分離器25に流入して気体冷媒と液体冷媒とに分離される。気体冷媒は、第2圧縮機27に吸入されて圧縮され、所定の圧力まで昇圧された高温高圧の冷媒として凝縮器11に向けて吐出される。なお、第2制御弁29が閉じられるとともに、第1圧縮機26が運転されていないため、第2気液分離器25の気体冷媒は第1圧縮機26に吸入されていない。
次に、インジェクション制御における運転について図5を参照しながら説明する。この場合、空調システム1の制御部40は、第1制御弁28に対して弁を開く制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26および第2圧縮機27に対して運転を行う制御信号を出力している。
第1圧縮機26および第2圧縮機27から吐出された冷媒は、凝縮器11において凝縮して高圧の液冷媒となり、凝縮器11から流出して第1膨張弁21に向かう。高圧の液冷媒は第1膨張弁21において減圧されて気液二相の冷媒となる。
気液二相の冷媒は、第1気液分離器22において気体冷媒と液体冷媒とに分離され、液体冷媒は第2膨張弁23により更に減圧されて蒸発器24に流入する。その一方で、気体冷媒は第1制御弁28を介して第1圧縮機26に吸入されて圧縮され、所定の圧力まで昇圧された高温高圧の冷媒として凝縮器11に向けて吐出される。
蒸発器24では液体冷媒は蒸発して気体冷媒となる。蒸発器24を流出した冷媒は、第2気液分離器25に流入して気体冷媒と液体冷媒とに分離される。気体冷媒は、第2圧縮機27に吸入されて圧縮され、所定の圧力まで昇圧された高温高圧の冷媒として凝縮器11に向けて吐出される。なお、第2制御弁29が閉じられているため、第2気液分離器25の気体冷媒は第1圧縮機26に吸入されていない。
次に、高負荷制御における運転について図6を参照しながら説明する。この場合、空調システム1の制御部40は、第1制御弁28に対して弁を閉じる制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を開く制御信号を出力している。また、第1圧縮機26および第2圧縮機27に対して運転を行う制御信号を出力している。
第1圧縮機26および第2圧縮機27から吐出された冷媒は、凝縮器11において凝縮して高圧の液冷媒となり、凝縮器11から流出して第1膨張弁21に向かう。高圧の液冷媒は第1膨張弁21において減圧されて気液二相の冷媒となる。
気液二相の冷媒は、第1気液分離器22において気体冷媒と液体冷媒とに分離され、液体冷媒は第2膨張弁23により更に減圧されて蒸発器24に流入する。なお、第1制御弁28が閉じられているため、第1気液分離器22の気体冷媒は第1圧縮機26に吸入されていない。
蒸発器24では液体冷媒は蒸発して気体冷媒となる。蒸発器24を流出した冷媒は、第2気液分離器25に流入して気体冷媒と液体冷媒とに分離される。気体冷媒は、第1圧縮機26および第2圧縮機27に吸入されて圧縮され、所定の圧力まで昇圧された高温高圧の冷媒として凝縮器11に向けて吐出される。
空調システム1が運転されている間、制御部40は低負荷制御、中負荷制御、インジェクション制御、および、高負荷の場合の制御の何れを実行するか判定する処理を繰り返し行っている。この判定は、図7から図10に示すフローチャートに従って行われている。まず、室内温度が上昇した際に行われる判定処理について図7および図8を参照しながら説明する。
まず制御部40の演算部41は、図7に示すように、室内ユニット20から吹出された空気の温度の測定を行う(S11)。具体的には、吹出温度センサ33から出力される測定信号を取り込み、当該測定信号に基づいて室内ユニット20から吹出された空気の温度を求める処理を行う。
その後、演算部41は、吹出温度の測定値と、予め定められた吹出温度の設定値と、の温度差である吹出温度差を求める演算処理を行い(S12)、吹出温度差が、予め定められた閾値以上であるか否かの判定処理を行う(S13)。吹出温度差が閾値未満であると判定された場合(NOの場合)には、演算部41はS11に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
S13の判定処理において、吹出温度差が閾値以上であると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26が運転され、かつ、第2圧縮機27が停止されているか(第1圧縮機26のみが運転されているか)否かの判定処理を行う(S14)。具体的には、低負荷制御が行われているか否か、図3に示す態様で冷媒が循環しているか否かの判定処理を行う。
第1圧縮機26のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図8に示すように、第1圧縮機26が最大周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S15)。第1圧縮機26が最大周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26に対して運転周波数を上げる制御信号を出力する(S16)。
S15の判定処理において、第1圧縮機26が最大周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27で冷房運転を行う制御処理を行う(S17)。
その後、演算部41は、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比(所定の圧力比)以上であるか否かの判定処理を行う(S18)。具体的には、第1吸入圧力センサ34および第1吐出圧力センサ35の測定信号に基づき、第1圧縮機26の吸入圧力と吐出圧力との比である圧力比を求め、この圧力比が、第1圧縮機26を運転するために最低限必要な圧力比である最低許容圧力比以上であるか否かを判定する。最低許容圧力比としては、例えば1.2などの値を挙げることができるが、この値に限定するものではない。
第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27の運転を行う制御処理を行う(S19)。具体的には、インジェクション制御を行い、図5に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
S18の判定において、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S20)。具体的には、中負荷制御を行い、図4に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その一方、図7に示すS14の判定において、第1圧縮機26のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第2圧縮機27のみが運転されているか(第1圧縮機26が停止され、かつ、第2圧縮機27が運転されているか)否かの判定処理を行う(S21)。
第2圧縮機27のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図8に示すように、第2圧縮機27が最大周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S22)。第2圧縮機27が最大周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27に対して運転周波数を上げる制御信号を出力する(S23)。その後、演算部41は上述のS18以降の制御処理を行う。
S22の判定処理において、第2圧縮機27が最大周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転を行う制御処理を行う(S24)。具体的には、高負荷制御を行い、図6に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その後、演算部41は、次の第1制御、第2制御および第3制御のいずれかを選択する処理を行う(S25)。ここで、第1制御は第1圧縮機26の運転周波数を上昇させる制御であり、第2制御は第2圧縮機27の運転周波数を上昇させる制御であり、第3制御は第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転周波数を上昇させる制御である。
演算部41は、記憶部42に記憶されている第1圧縮機26の特性、および、第2圧縮機27の特性に基づいて第1制御を行った場合の消費電力、第2制御を行った場合の消費電力、および、第3制御を行った場合の消費電力のうち、最も消費電力が少ない制御を選択する。第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性としては、圧縮機における吸入圧力および吐出圧力や、運転周波数や、消費電力などのデータを例示することができる。この特性は、空調システム1の運転時に定期的に取得されるデータに基づいて更新される。
その一方、図7に示すようにS21の判定において、第2圧縮機27のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、インジェクションサイクルで運転されているか否かの判定処理を行う(S26)。
インジェクションサイクルで運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、S22以降の一連の制御処理を行う。その一方で、インジェクションサイクルで運転されていると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26の運転周波数を上昇させる制御信号を出力する(S27)。
S16,S19,S20,S25,S27の後、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S28)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部40は再びS11に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
次に、室内温度が低下した際に行われる判定処理について図9から図11を参照しながら説明する。ここでは、制御部40の演算部41が、室内ユニット20から吹出された空気の温度の測定を行うところ(S11)から、第1圧縮機26のみが運転されているか否かの判定処理を行うところ(S14)までは、室内温度が上昇した際に行われる判定処理(図7参照)と同様であるため、図9にそのフローチャートを示して説明を省略する。
第1圧縮機26のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図10に示すように、第1圧縮機26が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S31)。第1圧縮機26が最小周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26に対して運転周波数を下げる制御信号を出力する(S32)。その一方で、第1圧縮機26が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26を停止する制御信号を出力する(S33)。
その一方、図9に示すS14の判定において、第1圧縮機26のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第2圧縮機27のみが運転されているか(第1圧縮機26が停止され、かつ、第2圧縮機27が運転されているか)否かの判定処理を行う(S21)。
第2圧縮機27のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図10に示すように、第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S34)。第2圧縮機27が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26を運転し、かつ、第2圧縮機27と停止する制御信号を出力する(S35)。具体的には低負荷制御を行い、図3に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
第2圧縮機27が最小周波数で運転されていないと判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27に対して運転周波数を下げる制御信号を出力する(S36)。その後、演算部41は、S18と同様に、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であるか否かの判定処理を行う(S37)。
第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27の運転を行う制御処理を行う(S38)。具体的には、インジェクション制御を行い、図5に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
S37の判定において、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S39)。具体的には、中負荷制御を行い、図4に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その一方、図9に示すS21の判定において、第2圧縮機27のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、インジェクションサイクルで運転されているか否かの判定処理を行う(S26)。
インジェクションサイクルで運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41はその後、S34以降の一連の制御処理を行う。その一方で、インジェクションサイクルで運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、上記のS25において第1制御が選択されていたか否かの判定処理を行う(S40)。第1制御が選択されていたと判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、図10に示すように、第1圧縮機26が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S41)。
第1圧縮機26が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26を停止する制御信号を出力する(S42)。その一方で、第1圧縮機26が最小周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26に対して運転周波数を下げる制御信号を出力する(S43)。
S40の判定において、第1制御が選択されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、上記のS25において第2制御が選択されていたか否かの判定処理を行う(S44)。第2制御が選択されていたと判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、図11に示すように、第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S45)。ここで、第2圧縮機27の最小周波数とは、高負荷制御において第2圧縮機27が運転を開始した際の周波数のことである。
S45の判定において、第2圧縮機27が最低周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26を停止する制御信号を出力する(S46)。その一方で、第2圧縮機27が最低周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27の運転周波数を低下させる制御信号を出力する(S47)。
S44の判定において、第2制御が選択されていないと判定された場合(NOの場合)には)、第3制御が選択されていたことになり、制御部40は、図11に示すように、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S48)。ここで、第1圧縮機26の最小周波数とは、高負荷制御において第1圧縮機26が運転を開始した際の周波数のことであり、第2圧縮機27の最小周波数についても同様である。
S48の判定において、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26の運転を停止する制御信号を出力する(S49)。その一方で、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転周波数を低下させる制御信号を出力する(S50)。
S32,S33,S35,S38,S39,S42,S43,S46,S47,S49,S50の後、図10に示すように、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S51)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部40は再び図9のS11に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
次に、低負荷制御、中負荷制御、インジェクション制御および高負荷制御における負荷と、圧縮機の回転数との関係を、図12(a)および図12(b)のグラフを参照しながら説明する。ここでは、高負荷制御において第1制御が選択された例について説明する。図12(a)および図12(b)のグラフでは、縦軸を圧縮機の回転数(運転周波数と同義)、横軸を空調システム1の負荷としている。
さらに、グラフにおける負荷が低い領域(図の左側)から負荷が高い領域(図の右側)に向かって、低負荷制御の領域、中負荷制御またはインジェクション制御の領域、高負荷制御の領域となっている。グラフにおいて符号Aが付された線は第1圧縮機26を表し、符号Bが付された線は第2圧縮機27を表している。
まず、図12(a)を参照しながら負荷が低負荷から高負荷に増加する場合について説明する。この場合、低負荷制御の領域では、第1圧縮機26を運転し、第2圧縮機27を停止しているため、第2圧縮機27のみを運転し続ける場合(点線で示している場合)と比較して、空調システム1が対応できる負荷の最低値が低くなっている。
中負荷制御またはインジェクション制御の領域では、第2圧縮機27の回転数が負荷に応じて調整されるとともに、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上で有る場合には、点線で示すように第1圧縮機26がインジェクション量および圧力に応じて回転数が調整されている。高負荷制御領域では、第2圧縮機27が負荷に関わらず最大回転数で運転され、第1圧縮機26の回転数が負荷に応じて調整されている。
次に、図12(b)を参照しながら負荷が高負荷から低負荷に減少する場合について説明する。この場合、圧縮機の回転数が負荷に応じて調整されている点においては図12(a)の場合と同様である。図12(a)と異なるのは、中負荷制御またはインジェクション制御の領域から、低負荷制御の領域に切り替わる負荷が異なる点である。
つまり、第1圧縮機26でも、第2圧縮機27でも対応可能な負荷の領域において、負荷が増加する図12(a)の場合には第1圧縮機26の運転で対応しているのに対して、負荷が減少する図12(b)の場合には第2圧縮機27の運転で対応している点が異なっている。
なお、高負荷制御時に第2制御が選択された際については図13(a)のグラフに、第3制御が選択された際については図13(b)のグラフに表されている。
第2制御が選択された場合には、図13(a)に示すように、高負荷制御領域の全体にわたって第1圧縮機26が最大回転数で運転され、第2圧縮機27の回転数は負荷に応じて制御されている。また、第3制御が選択された場合には、図13(b)に示すように、第1圧縮機26および第2圧縮機27の回転数は負荷に応じて制御されている。
図13(b)では、第2圧縮機27と比較して、負荷の変化に対する第1圧縮機26の回転数の変化の割合が大きい例が示されている。なお、この変化の割合は、第2圧縮機27の方が大きくてもよいし、同じであってもよく、特に限定するものではない。
上記の構成の空調システム1によれば、第1圧縮機26はインジェクション制御時にインジェクションサイクルを実現する圧縮機として使用されるだけでなく、高負荷制御時には蒸発器24における熱交換に寄与する圧縮機としても使用される。このように第1圧縮機26をインジェクションサイクルの実現に用いることで、低負荷においても空調システム1を安定して冷房運転することができる。さらに第1圧縮機26を、空調システム1による冷房にも寄与するように使うため空調システム1の運転効率が向上し、消費電力の低減を図ることができる。
第1圧縮機26の圧縮容量を第2圧縮機27の圧縮容量よりも小さくすることにより、空調システム1における消費電力の低減を更に図りやすくなるとともに、低負荷での安定した冷房運転を実現しやすくなる。一般に、圧縮機で消費される電力は、その圧縮容量が小さくなるに伴い減少する。また、負荷率が下がると効率も低下する。そのため、低負荷制御で運転される第1圧縮機26の圧縮容量を小さくすることにより、低負荷制御において消費される電力を低減しやすくなる。また、低負荷制御において空調システム1を連続運転した際の冷房能力がさらに小さくなるため、要求される冷房能力が小さい場合であっても空調システム1を発停させることなく連続して運転させやすくなる。なお、低負荷時制御が行われていない場合において第1圧縮機26は、空調システム1の冷房能力に寄与しない冷媒(蒸発器24を流れない冷媒)を圧縮するものであるため、第2圧縮機27と比較して圧縮容量を小さく設定することができる。
第1制御、第2制御および第3制御の中から、第1圧縮機26の特性および第2圧縮機27の特性に基づいて消費電力が最も低い制御を選択することにより、消費電力の削減を図ることができる。
さらに、第1制御、第2制御および第3制御における第1圧縮機26の特性および第2圧縮機27の特性を、第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転情報に基づいて更新することにより、消費電力が最も低い制御を選択する際の精度がより高くなる。
第1圧縮機26の特性および第2圧縮機27の特性を記憶部42に記憶させることにより、記憶させた運転情報を第1圧縮機26および第2圧縮機27などの制御に用いることができ、消費電力の削減を図りやすくなる。
なお、上述の実施形態では、図7や図9に示すように、室内ユニット20から吹出された空気の温度と、予め定められた吹出温度の設定値との差である吹出温度差が、予め定められた閾値以上か否かを判定する(S11からS13)例に適用して説明しているが、室内ユニット20に吸入される空気の温度と、予め定められた吸入温度の設定値との差である吸入温度差が、予め定められた閾値以上か否かを判定してもよく、特に限定するものではない。
また、図8のS25において第1制御、第2制御および第3制御を選択する際に、空調システム1の運転時に定期的に取得されるデータに基づいて更新された第1圧縮機26の特性、および、第2圧縮機27の特性に基づいて選択を行う例に適用して説明したが、第1圧縮機26の特性、および、第2圧縮機27の特性は、予め定められた特性のままであっても(更新されなくても)よく、特に限定するものではない。特性を更新しない場合には、S28やS51における特性の蓄積処理を行わなくてもよいし、行ってもよい。
さらには、S25において最初から第1制御を選択することとし、図9のS40においても第1制御が選択されている場合(YESの場合)のみが選択されることとしてもよい。このようにすることにより、制御部40における演算処理量を減らすことができる。
その他に、S27において第1制御に相当する第1圧縮機26の運転周波数を上昇させる制御処理が行われる例に適用して説明したが、第2制御に相当する制御処理や、第3制御に相当する制御処理が行われてもよく、特に限定するものではない。
また、記憶部42に記憶させた運転情報は、上述のように第1圧縮機26の特性および第2圧縮機27の特性の更新に用いてもよいし、吹出し空気の温度変化や、吸込み空気の温度変化に応じた第1圧縮機26や第2圧縮機27の運転周波数の変化幅の制御に利用してもよく、特に限定するものではない。この場合、記憶部42に記憶される運転情報には、前回の記憶時から変化量である差分も記憶される。
記憶部42に運転情報の差分を記憶する場合、記憶した運転情報などを、吹出空気温度などの変化状況に応じた将来の制御状態の予測に用いることもでき、運転情報などの利用目的を特に限定するものではない。
〔第1の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図14を参照しながら説明する。本変形例の空調システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、室内温度が上昇した際に行われる判定処理における第1圧縮機のみが運転されていると判定された以降(図7におけるS14のYES以降)の制御内容が異なっている。
本変形例においては、図14を用いて第1圧縮機のみが運転されていると判定された以降の制御内容についてのみを説明し、その他の制御内容等の説明を省略する。
本変形例の空調システム1において制御部40の演算部41は、第1圧縮機26のみが運転されていると判定すると(図7におけるS14のYES)、図14に示すように、第2圧縮機27の最小周波数でも運転可能か否かの判定処理を行う(S60)。つまり、第2圧縮機27を最小周波数で運転した場合の冷房能力が、空調システム1に要求される負荷に対して過大になっていないか否かの判定処理を行う。
第2圧縮機27が最小周波数でも運転可能と判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26を運転した場合の消費電力と比較して、第2圧縮機27を運転した場合の消費電力が小さいか否かの判定処理を行う(S61)。つまり、第1圧縮機26の運転でも、第2圧縮機27の運転でも対応可能場合において、どちらの圧縮機を運転すると消費電力が小さくなるか判定する処理を行う。
第2圧縮機27を運転した場合の消費電力が小さいと判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27を運転して冷房運転を行う制御信号を出力する(S62)。その後、演算部41は、S18と同様に、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であるか否かの判定処理を行う(S63)。
第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27の運転を行う制御処理を行う(S64)。その一方で、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S65)。
S60の判定において、第2圧縮機27の最小周波数では運転不可能と判定された場合(NOの場合)、および、S61の判定において、第2圧縮機27を運転した場合の消費電力が小さくない(消費電力が大きい)と判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26に対して運転周波数を上げる制御信号を出力する(S66)。
S64,S65,S66の後、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S28)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部40は再びS11に戻り(図7参照)、上述の処理を繰り返し行う。
本変形例の空調システム1によれば、室内温度が上昇した際に行われる判定処理において、第1圧縮機26でも、第2圧縮機27でも運転できる領域に対して、消費電力が小さくなる圧縮機を用いた運転を行うことができる。そのため、空調システム1の消費電力の更なる低減を図ることができる。
〔第1の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図15を参照しながら説明する。本変形例の空調システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、室内温度が低下した際に行われる判定処理における第2圧縮機のみが運転されていると判定された以降(図9におけるS21のYES以降)、インジェクションサイクルでの運転が行われていると判定された以降(図9におけるS26のYES以降)の制御内容が異なっている。
本変形例においては、図15を用いて第2圧縮機27のみが運転されていると判定された以降、インジェクションサイクルでの運転が行われていると判定された以降の制御内容についてのみを説明し、その他の制御内容等の説明を省略する。
本変形例の空調システム1において制御部40の演算部41は、第2圧縮機27のみが運転されていると判定すると(図9におけるS21のYES)、または、インジェクションサイクルで運転されていると判定すると(図9におけるS26のYES)、図15に示すように、第1圧縮機26の最大周波数でも運転可能か否かの判定処理を行う(S70)。つまり、第1圧縮機26を最大周波数で運転した場合の冷房能力が、空調システム1に要求される負荷を満たすか否かの判定処理を行う。
第1圧縮機26が最小周波数でも運転可能と判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、第2圧縮機27を運転した場合の消費電力と比較して、第1圧縮機26を運転した場合の消費電力が小さいか否かの判定処理を行う(S71)。つまり、第1圧縮機26の運転でも、第2圧縮機27の運転でも対応可能場合において、どちらの圧縮機を運転すると消費電力が小さくなるか判定する処理を行う。
S70の判定において、第1圧縮機26の最大周波数では運転不可能と判定された場合(NOの場合)、および、S71の判定において、第1圧縮機26を運転した場合の消費電力が小さくない(消費電力が大きい)と判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27に対して運転周波数を下げる制御信号を出力する(S72)。
その後、演算部41は、S18と同様に、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であるか否かの判定処理を行う(S73)。第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27の運転を行う制御処理を行う(S74)。その一方で、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S75)。
その一方で、S71の判定において、第1圧縮機26を運転した場合の消費電力が小さいと判定された場合(YESの場合)には、制御部40は、第2圧縮機27を停止し、第1圧縮機26を運転する制御信号を出力する(S76)。
S74,S75,S76の後、制御部40は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S51)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部40は再びS11に戻り(図9参照)、上述の処理を繰り返し行う。
本変形例の空調システム1によれば、室内温度が低下した際に行われる判定処理において、第1圧縮機26でも、第2圧縮機27でも運転できる領域に対して、消費電力が小さくなる圧縮機を用いた運転を行うことができる。そのため、空調システム1の消費電力の更なる低減を図ることができる。
〔第1の実施形態の第3変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第3変形例について図16から図18を参照しながら説明する。本変形例の空調システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、高負荷制御における中負荷制御またはインジェクション制御との境界付近での第1圧縮機26および第2圧縮機27に対する制御内容が異なっている。
まず、図16(a)を参照しながら、高負荷制御において第1制御が選択された場合での第1圧縮機26および第2圧縮機27に対する回転数の制御について説明する。
本変形例の空調システム1において制御部40は、中負荷制御またはインジェクション制御から高負荷制御に切り替わる際に、第2圧縮機27の回転数を最大回転数から所定量だけ低下させると同時に、最小回転数にて第1圧縮機26の運転を開始する。ここで、低下させる所定量としては、第2圧縮機27から吐出される冷媒の流量が、第1圧縮機26が最小回転数で運転された際に吐出される冷媒流量と等しい冷媒流量だけ減少する回転数の変化幅を例示することができる。
その後、第2圧縮機27の回転数が負荷の増加に応じて増加し、最大回転数になるまでの領域では、第1圧縮機26は最小回転数で運転される。第2圧縮機27の回転数が最大回転数に達した後は、第1圧縮機26の回転数は負荷の増加に応じて増加する。
負荷が減少する場合では、上述の説明を逆に辿ることになる。つまり、負荷が高い状態においては第1圧縮機26の回転数が負荷の減少に応じて減少し、第2圧縮機27は最大回転数で運転されている。第1圧縮機26の回転数が最小回転数に達すると、第2圧縮機27の回転数が、負荷の減少に応じて減少する。高負荷制御から中負荷制御またはインジェクション制御に切り替わると、第2圧縮機27の回転数が最大回転数に上昇し、その後、負荷の減少に応じて第2圧縮機27の回転数は減少する。
このように第1圧縮機26および第2圧縮機27の回転数を制御することにより、空調システム1を循環する冷媒流量が、制御の切り替わりの際に大きく変動すること(ハンチングすること)が抑制され、安定した運転を行うことができる。
次に、図16(b)を参照しながら、高負荷制御において第2制御が選択された場合での第1圧縮機26および第2圧縮機27に対する回転数の制御について説明する。
本変形例の空調システム1において制御部40は、中負荷制御またはインジェクション制御から高負荷制御に切り替わる際に、第1圧縮機26を最大回転数で運転するとともに、第2圧縮機27の回転数を、第1の実施形態での運転開始時の回転数よりも所定量だけ低下した回転数で運転を行う。第2圧縮機27の回転数は、第1の実施形態における回転数まで急速に増加し、その後は第1実施形態と同様に負荷の増加に応じて増加する。
負荷が減少する場合では、上述の説明を逆に辿ることになる。
このように第2圧縮機27の回転数を制御することにより、空調システム1を循環する冷媒流量が、制御の切り替わりの際に大きく変動すること(ハンチングすること)が抑制され、安定した運転を行うことができる。
次に、図17(a)から図18を参照しながら、高負荷制御において第3制御が選択された場合での第1圧縮機26および第2圧縮機27に対する回転数の制御について説明する。
本変形例の空調システム1において制御部40は、中負荷制御またはインジェクション制御から高負荷制御に切り替わる際に、次に説明する3つの制御のうちいずれかを行う。制御部40はこの3つの制御のうちいずれかを予め選択して行ってもよいし、圧縮機の特性に基づいて選択してもよい。
まず、図17(a)に示すように、第1圧縮機26の回転数を、第1の実施形態での運転開始時の回転数よりも所定量だけ低下した回転数で運転を行う。第2圧縮機27の回転数については、第1の実施形態と同様に制御される。
次に、図17(b)に示すように、第2圧縮機27の回転数を、第1の実施形態での運転開始時の回転数よりも所定量だけ低下した回転数で運転を行う。第1圧縮機26の回転数については、第1の実施形態と同様に制御される。
最後に、図18に示すように、第1圧縮機26の回転数を、第1の実施形態での運転開始時の回転数よりも所定量だけ低下した回転数で運転を行うとともに、第2圧縮機27の回転数を、第1の実施形態での運転開始時の回転数よりも所定量だけ低下した回転数で運転を行う。
負荷が減少する場合では、上述の説明を逆に辿ることになる。
このように第1圧縮機26および第2圧縮機27の回転数を制御することにより、空調システム1を循環する冷媒流量が、制御の切り替わりの際に大きく変動すること(ハンチングすること)が抑制され、安定した運転を行うことができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図19から図35を参照して説明する。本実施形態の空調システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは設けられている圧縮機の台数が異なっている。
本実施形態の空調システム101には、図19に示すように、凝縮器11と、第1膨張弁21、第1気液分離器22、第2膨張弁23、蒸発器24、第2気液分離器25、第1圧縮機26、第2圧縮機27、第3圧縮機(第2圧縮部)127、第1制御弁28および第2制御弁29と、制御部140と、から主に構成されている。
第3圧縮機127は、第2圧縮機27と同様に、蒸発器24と凝縮器11との間に配置される圧縮機であり、冷媒を圧縮する圧縮容積が第2圧縮機27と等しいものである。第3圧縮機127と第2圧縮機27とを比較すると、第2圧縮機27はインバータ制御により運転周波数が可変制御されるのに対して、第3圧縮機127は運転周波数が固定されている点が異なっている。
また、第3圧縮機127の吐出側には冷媒の逆流を防止する逆止弁127Aが配置されている。逆止弁127Aは、第3圧縮機127が停止した場合に、第1圧縮機26や第2圧縮機27や凝縮器11から冷媒が第3圧縮機127に逆流することを防止するものである。
制御部140は空調システム101における運転状態を制御するものであり、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するマイクロコンピュータである。制御部140が配置される場所は、例えば図19に示すように、室内ユニット20内であってもよいし、室内ユニット20以外の場所であってもよく、特に限定するものではない。
ROM等に記憶されている制御プログラムは、図20の模式図に示すように、CPUを演算部41として機能させるものであり、ROM等を記憶部42として機能させるものである。制御部140による運転状態の制御は、従来の空調システムにおいて行われている室内空気の温度を設定温度とする制御や、本実施形態の特徴である低負荷時制御などを例示することができる。
制御部140には、第1の実施形態の制御部40と比較して、第3圧縮機127に吸入される冷媒の圧力を測定する第3吸入圧力センサ136と、第3圧縮機127から吐出された冷媒の圧力を測定する第3吐出圧力センサ137と、から測定した圧力を示す測定信号が更に入力されている点が異なっている。また、制御部40からは、第1の実施形態の制御部40と比較して、第3圧縮機127の運転状態を制御する制御信号が出力される点が異なっている。
次に、上記の構成からなる空調システム101における運転について図21から図26の回路図を参照しながら説明する。具体的には、空調システム101に対する熱負荷が最も低い低負荷の場合の制御(以下、「低負荷制御」と記載する。)、その次に熱負荷が少ない中負荷の場合の制御(以下、「中負荷制御」と記載する。)、中負荷の場合であってインジェクションサイクルでの運転が可能なインジェクションの場合の制御(特許請求の範囲におけるインジェクション制御に相当し、以下「中負荷インジェクション制御」と記載する。)、熱負荷が高い高負荷の場合の制御(特許請求の範囲における中負荷制御に相当し、以下「高負荷制御」と記載する。)、高負荷の場合であってインジェクションサイクルでの運転が可能なインジェクションの場合の制御(特許請求の範囲におけるインジェクション制御に相当し、以下、「高負荷インジェクション制御」と記載する。)、および、熱負荷が最も高い高負荷の場合の制御(特許請求の範囲における高負荷制御に相当し、以下「超負荷制御」と記載する。)における運転について説明する。
まず、低負荷制御における運転について図21を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28に対して弁を閉じる制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を開く制御信号を出力している。
また、制御部140は、第1圧縮機26に対して運転を行う制御信号を出力し、第2圧縮機27および第3圧縮機127に対して停止する制御信号を出力している。この場合における冷媒の流れは、第1の実施形態における低負荷制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、中負荷制御における運転について図22を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28および第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26および第3圧縮機127に対して停止する制御信号を出力するとともに、第2圧縮機27に対して運転を行う制御信号を出力している。この場合における冷媒の流れは、第1の実施形態における中負荷制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、中負荷インジェクション制御における運転について図23を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28に対して弁を開く制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26および第2圧縮機27に対して運転を行う制御信号を出力するとともに、第3圧縮機127に対して停止する制御信号を出力する。この場合における冷媒の流れは、第1の実施形態におけるインジェクション制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、高負荷制御における運転について図24を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28および第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26に対して停止する制御信号を出力するとともに、第2圧縮機27および第3圧縮機127に対して運転を行う制御信号を出力する。
この場合における冷媒の流れは、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転され、第1圧縮機26が停止されている点を除き、第1の実施形態における高負荷制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、高負荷インジェクション制御における運転について図25を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28に対して弁を開く制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を閉じる制御信号を出力している。また、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127に対して運転を行う制御信号を出力する。
この場合における冷媒の流れは、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されている点を除き、第1の実施形態におけるインジェクション制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
最後に、超負荷制御における運転について図26を参照しながら説明する。この場合、空調システム101の制御部140は、第1制御弁28に対して弁を閉じる制御信号を出力するとともに、第2制御弁29に対して弁を開く制御信号を出力している。また、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127に対して運転を行う制御信号を出力する。
この場合における冷媒の流れは、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されている点を除き、第1の実施形態における高負荷制御の場合と同様であるため、その説明を省略する。
空調システム101が運転されている間、制御部140は低負荷制御、中負荷制御、中負荷インジェクション制御、高負荷制御、高負荷インジェクション制御、および、超負荷制御の何れを実行するか判定する処理を繰り返し行っている。この判定は、図27から図32に示すフローチャートに従って行われている。まず、室内温度が上昇した際に行われる判定処理について図27から図29を参照しながら説明する。
制御部140の演算部41が、室内ユニット20から吹出された空気の温度の測定を行うところ(S11)から、第2圧縮機27に対して運転周波数を上げる制御信号を出力する(S23)までは、第1の実施形態で行われる判定処理(図7および図8参照)と同様であるため、図27および図28にそのフローチャートを示して説明を省略する。
S22の判定処理において、第2圧縮機27が最大周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第2圧縮機27および第3圧縮機127の運転を行う制御処理を行う(S124)。具体的には、高負荷制御を行い、図24に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その後、演算部41は、S18と同様に、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であるか否かの判定処理を行う(S125)。第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27および第3圧縮機127の運転を行う制御処理を行う(S126)。具体的には、高負荷インジェクション制御を行い、図25に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
S125の判定において、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第2圧縮機27および第3圧縮機127のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S127)。具体的には、高負荷制御を行い、図24に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その一方、図27に示すS21の判定において、第2圧縮機27のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27が運転されているか否かの判定処理を行う(S128)。
第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27が運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、S22以降の一連の制御処理を行う。その一方で、第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27が運転されていると判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第2圧縮機27および第3圧縮機127のみが運転されているか否かの判定処理を行う(S129)。
第2圧縮機27および第3圧縮機127のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図29に示すように、第2圧縮機27が最大周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S130)。第2圧縮機27が最大周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第2圧縮機27に対して運転周波数を上げる制御信号を出力する(S131)。その後、制御部140はS125以降の制御処理を行う。
S130の判定において、第2圧縮機27が最大周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127を運転する制御信号を出力する(S132)。具体的には、超負荷制御を行い、図6に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。その後演算部41は、S25と同様に、第1制御、第2制御および第3制御のいずれかを選択する処理を行う(S133)。
その一方、図27に示すようにS129の判定において、第2圧縮機27および第3圧縮機127のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されているか否かの判定処理を行う(S134)。
第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、S130以降の演算処理を行う。その一方で、第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されてないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26の運転周波数を上げる制御信号を出力する(S135)。
S16,S19,S20,S126,S127,S133,S135の後、制御部140は、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S136)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部140は再び図27のS11に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
次に、室内温度が低下した際に行われる判定処理について図30から図32を参照しながら説明する。ここでは、制御部140の演算部41が、室内ユニット20から吹出された空気の温度の測定を行うところ(S11)から、制御部140が第2圧縮機27のみで冷房運転を行う制御処理を行うところ(S39)までは、第1の実施形態における制御(図9および図10参照)と同様であるため、図30および図31にそのフローチャートを示して説明を省略する。
図30に示すS21の判定において、第2圧縮機27のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26でインジェクションサイクルが運転され、第2圧縮機27で冷房運転がされているか否かの判定処理を行う(S128)。第1圧縮機26でインジェクションサイクルが運転され、第2圧縮機27で冷房運転がされていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41はその後、S34以降の一連の制御処理を行う。
その一方で、第1圧縮機26でインジェクションサイクルが運転され、第2圧縮機27で冷房運転がされていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26および第2圧縮機27のみが運転されているか否かの判定処理を行う(S129)。第1圧縮機26および第2圧縮機27のみが運転されていると判定された場合(YESの場合)には、演算部41は、図31に示すように、第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S234)。
第2圧縮機27が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は第3圧縮機127を停止し、第2圧縮機27を運転する制御信号を出力する(S235)。その後制御部140は、上述のS37以降の制御処理を行う。
S234の判定において、第2圧縮機27が採用周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は第2圧縮機27の運転周波数を低下させる制御信号を出力する(S236)。その後演算部41は、S18と同様に、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であるか否かの判定処理を行う(S237)。
第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上であると判定された場合(YESの場合)には、第1圧縮機26でインジェクションを行い、かつ、第2圧縮機27および第3圧縮機127の運転を行う制御処理を行う(S238)。具体的には、高負荷インジェクション制御を行い、図25に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
S237の判定において、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比未満あると判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第2圧縮機27および第3圧縮機127のみで冷房運転を行う制御処理を行う(S239)。具体的には、高負荷制御を行い、図24に示す態様で冷媒を循環させる制御処理を行う。
その一方、図30に示すS129の判定において、第2圧縮機27および第3圧縮機127のみが運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、演算部41は、第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されているか否かの判定処理を行う(S134)。第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は上述のS234以降の制御処理を行う。
第1圧縮機26がインジェクションサイクルで運転され、第2圧縮機27および第3圧縮機127が運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、上記のS133において第1制御が選択されていたか否かの判定処理を行う(S240)。第1制御が選択されていたと判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、図32に示すように、第1圧縮機26が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S241)。
第1圧縮機26が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26を停止する制御信号を出力する(S242)。その一方で、第1圧縮機26が最小周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26に対して運転周波数を下げる制御信号を出力する(S243)。
S240の判定において、第1制御が選択されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、上記のS133において第2制御が選択されていたか否かの判定処理を行う(S244)。第2制御が選択されていたと判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、図32に示すように、第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S245)。
S245の判定において、第2圧縮機27が最低周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26を停止する制御信号を出力する(S246)。その一方で、第2圧縮機27が最低周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第2圧縮機27の運転周波数を低下させる制御信号を出力する(S247)。
S244の判定において、第2制御が選択されていないと判定された場合(NOの場合)には)、第3制御が選択されていたことになり、制御部140は、図32に示すように、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されているか否かの判定処理を行う(S248)。
S248の判定において、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されていると判定された場合(YESの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26の運転を停止する制御信号を出力する(S249)。その一方で、第1圧縮機26および第2圧縮機27が最小周波数で運転されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御部140は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の運転周波数を低下させる制御信号を出力する(S250)。
S32,S33,S35,S38,S39,S238,S239,S242,S243,S246,S247,S249,S250の後、図31に示すように、制御部140は、第1圧縮機26および第2圧縮機27の特性を取得し、記憶部42に記憶させて蓄積させる制御処理を行う(S51)。特性を蓄積する処理が終わると、制御部140は再び図30のS11に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
次に、低負荷制御、中負荷制御、中負荷インジェクション制御、高負荷制御、高負荷インジェクション制御および超負荷制御における負荷と、圧縮機の回転数との関係を、図33のグラフを参照しながら説明する。ここでは、超負荷制御において第1制御が選択された例について説明する。図33のグラフでは、縦軸を圧縮機の回転数(運転周波数と同義)、横軸を空調システム1の負荷としている。
低負荷制御、中負荷制御および中負荷インジェクション制御の領域における圧縮機の回転数との関係は、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。高負荷制御および高負荷インジェクション制御の領域では、第3圧縮機127が一定の回転数で運転されるとともに、第2圧縮機27の回転数が負荷に応じて調整される。また、第1圧縮機26の圧力比が最低許容圧力比以上で有る場合には、点線で示すように第1圧縮機26が負荷に応じて回転数が調整されている。超負荷制御では、第2圧縮機27および第3圧縮機127が一定の回転数で運転されるとともに、第1圧縮機26は負荷に応じて回転数が調整されている。
なお、超負荷制御時に第2制御が選択された際については図34のグラフに、第3制御が選択された際については図35のグラフに表されている。第1の実施形態の場合と同様に、第2制御が選択された場合には、図34に示すように、超負荷制御領域の全体にわたって第1圧縮機26が最大回転数で運転され、第2圧縮機27の回転数は負荷に応じて制御されている。また、第3制御が選択された場合には、図35に示すように、第1圧縮機26および第2圧縮機27の回転数は負荷に応じて制御されている。
上記の構成の空調システム101によれば、第2圧縮機27および第3圧縮機127を備えることにより、蒸発器24における熱交換量(熱負荷)を増やすことができ、より高い冷房能力を発揮させることができる。さらに第3圧縮機127について吐出容量は固定とし、第2圧縮機27について吐出容量を可変とすることにより、高負荷制御時や超負荷制御時においても安定した冷房運転を実現することができる。
なお、上述の実施形態では第3圧縮機127が定速で回転駆動される吐出容量が固定された圧縮機である例に適用して説明したが、第2圧縮機27などと同様にインバータ制御によって運転周波数が可変制御され吐出容量を制御できる圧縮機であってもよい。この場合、第1圧縮機26、第2圧縮機27および第3圧縮機127に対して、図36から図38に示すようなインバータ制御を行ってもよい。
また、本実施形態に係る空調システム101については、第1の実施形態の場合と同様に、第1変形例から第3変形例などの適用が可能であり本実施形態にのみ限定するものではない。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においては、空調システムとして代替フロンなどを利用した蒸気圧縮式冷凍サイクルを適用したものとして説明したが、二酸化炭素などを利用した超臨界サイクルを適用したものであってもよい。