JP6274483B2 - マグネシウム合金コイル材、及びマグネシウム合金コイル材の製造方法 - Google Patents
マグネシウム合金コイル材、及びマグネシウム合金コイル材の製造方法 Download PDFInfo
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Description
前記板材の全長に亘って、残留応力のばらつきが20MPa以内である。
準備工程 マグネシウム合金からなり、圧延が施された素材板が渦巻き状に巻き取られた素材コイル材を準備する工程。
熱処理工程 前記素材コイル材を巻き戻して前記素材板を走行させて、前記素材板に5MPa超25MPa以下の引張応力を付与した状態で、150℃以上300℃以下の熱処理を連続的に施す工程。
巻き取り工程 前記熱処理が施されたマグネシウム合金からなる板材を渦巻き状に巻き取る工程。
本発明者らは、上述の温間塑性加工を行うための加熱時に生じる局所的な変形を低減するための対策、好ましくは実質的に無くすための対策を検討した結果、上述の加熱によって局所的な変形が生じる素材は、コイル材の全長でみると、残留応力のばらつきが大きい、との知見を得た。また、この残留応力のばらつきを低減するには、上述の温間塑性加工のための加熱を行う前に、素材に特定の条件で別途熱処理を施すことが好ましい、との知見を得た。本発明は、上記の知見に基づくものである。最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(5) 実施形態に係るマグネシウム合金コイル材の製造方法は、以下の準備工程と、熱処理工程と、巻き取り工程とを備える。
準備工程 マグネシウム合金からなり、圧延が施された素材板が渦巻き状に巻き取られた素材コイル材を準備する工程。
熱処理工程 上記素材コイル材を巻き戻して上記素材板を走行させて、上記素材板に5MPa超25MPa以下の引張応力を付与した状態で、150℃以上300℃以下の熱処理を連続的に施す工程。
巻き取り工程 上記熱処理が施されたマグネシウム合金からなる板材を渦巻き状に巻き取る工程。
以下、実施形態に係るマグネシウム合金コイル材、及び実施形態に係るマグネシウム合金コイル材の製造方法をより詳細に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、後述する試験例において、コイル材の仕様(材質、厚さ、長さ、幅など)、製造条件(圧延条件(圧延温度、圧下率など)、熱処理条件(加熱温度、応力など))などを適宜変更することができる。
実施形態のマグネシウム合金コイル材は、Mgに種々の添加元素を含有した種々の組成のマグネシウム合金(Mgを50質量%以上及び添加元素を含有し、残部不可避不純物)から構成される長尺な板材が渦巻き状に多層に巻き取られて構成される。
マグネシウム合金の添加元素は、例えば、Al,Zn,Mn,Si,Be,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,Sn,Li,Zr,Ce,Ni,Au及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択された1種以上の元素が挙げられる。特に、Alを含有するMg−Al系合金は、耐食性や機械的特性に優れて好ましい。Alの含有量は、0.1質量%以上が挙げられ、多いほど耐食性や機械的特性に優れる傾向にある。Alの含有量は、12質量%を超えると塑性加工性の低下を招くことから、12質量%以下、更に11質量%以下が好ましい。
実施形態のマグネシウム合金コイル材を構成する板材の厚さは、適宜選択することができる。このコイル材を塑性加工部材の素材に利用する場合、塑性加工部材の厚さは、コイル材を構成する板材の厚さを実質的に維持することから、板材の厚さが薄いほど、塑性加工部材の薄型化、小型化を図ることができる。そのため、板材の厚さは、2.5mm以下、更に2mm以下、特に1.5mm以下が挙げられる。板材の厚さの下限は0.1mmが挙げられる。特に板材の厚さが0.3mm以上1.2mm以下である形態が挙げられる。後述するように、圧延を施すことで、このような薄板を容易に製造できる。
上記板材の幅及び長さは、適宜選択することができる。例えば、長さが50m以上、更に100m以上、1000m以上(1km以上)といった長尺板から構成されるコイル材は、上述の塑性加工部材の素材に利用すると、上記素材を塑性加工装置に連続供給でき、塑性加工部材を量産できる。例えば、幅が100mm以上、更に200mm以上、特に1000mm以上(1m以上)といった広幅板から構成されるコイル材は、上述の塑性加工部材の素材に利用すると、携帯用機器の部品といった小型なものから、輸送機器の部品といった大型なものまで、種々の大きさの塑性加工部材を製造できる。実施形態のマグネシウム合金コイル材の巻き取り径(内径)も適宜選択することができる。
上記板材は、製造工程によって種々の形態をとり得る。代表的には、後述の圧延工程を経た後、後述の特定の熱処理を施した熱処理材が挙げられる。その他、圧延後、後述の熱処理前までに、後述する矯正加工や研磨などが施された平坦性に優れる形態や表面性状に優れる形態、又は、後述の熱処理後に、矯正加工や研磨、化成処理や陽極酸化処理といった防食処理、表面装飾加工(ダイヤカットやヘアラインといった切削加工や、エッチング、ショットブラストなど)、塗装などが施された形態、つまり、矯正材、研磨材、防食処理材、表面加工材、塗装材などが挙げられる。
上記板材は、代表的には、圧延後に特定の熱処理が施されて製造されるものの、圧延工程を経ていることで、微細な結晶組織から構成された形態とすることができる。例えば、上記板材を構成するマグネシウム合金の結晶粒径が、平均で10μm以下を満たす形態が挙げられる。結晶粒径が小さいほど、塑性加工性を高められる傾向にあり、平均結晶粒径が6μm以下、更に4μm以下を満たす形態とすることができる。
上記板材は、後述するように圧延(少なくとも1パスは温間圧延)が施されていることで、例えば、同じ組成の鋳造板と比較して、機械的特性にも優れる。例えば、AZ91合金といったAlを7.2質量%超含有するマグネシウム合金から構成される板材では、引張強さが280MPa以上450MPa以下、0.2%耐力が230MPa以上350MPa以下、破断伸びが1%以上15%以下を満たす形態が挙げられる。
そして、上記板材は、全長に亘って残留応力のばらつきが小さい。具体的には上述した残留応力の最大値と残留応力の最小値との差が20MPa以内である。つまり、コイル材を構成する板材について板材の長手方向の任意の位置における残留応力を比較した場合、その差が小さい。このように残留応力のばらつきが小さく、全長に亘って残留応力の大きさが均一的な状態であることで、板材を加熱しても、残留応力が局所的に異なる箇所が存在することに起因する部分的な反りなどの変形が生じ難く、上述のように形状安定性に優れて高精度な塑性加工部材を成形できる。残留応力のばらつきが小さいほど、局所的な変形を防止できることから、残留応力のばらつきは15MPa以内、更に10MPa以内がより好ましく、ばらつきが無いことが理想である。残留応力の測定条件の詳細は、後述する。
・準備工程
実施形態のマグネシウム合金コイル材の製造方法では、まず、所望の組成のマグネシウム合金からなる素材板であって、渦巻き状に巻き取られてなる素材コイル材を準備する。この素材コイル材は、圧延が施されたもの、好ましくは1パス以上の温間圧延が施されたものとする。このような素材コイル材は、圧延が施された圧延コイル材、圧延後に矯正加工が施された矯正コイル材、圧延後に研磨が施された研磨コイル材、圧延後に矯正及び研磨の双方が施されたコイル材などが挙げられる。
上述の温間圧延を含む圧延工程を経て得られた素材コイル材は、上述のように圧延といった塑性加工によって残留応力が存在しており、かつ、残留応力にばらつきがあり得る。実施形態のマグネシウム合金コイル材の製造方法では、上記残留応力のばらつきの是正(低減)を目的として、この素材コイル材に熱処理を施す。特に、この熱処理は、素材コイル材を巻き戻した素材板を走行させた状態で行うと共に、特定の応力を付与した状態で行う。この応力は、引張応力とする。
上述の低い応力を付与しながら、上述の加熱手段20によって素材板10を加熱する熱処理が施された板材11をリール210で巻き取ることで、マグネシウム合金からなり、全長に亘って残留応力のばらつきが小さい板材11が渦巻き状に巻き取られてなるマグネシウム合金コイル材1が得られる。巻き取り直前の板材の温度が200℃以下、好ましくは100℃以下といった低温で巻き取ると、板材に巻癖がつき難く、平坦性に優れるコイル材1を得易い。上記低温は、例えば、素材板10の走行速度を調整し、自然放冷によって達成してもよいし、衝風や水冷手段などの強制冷却手段を用いて達成してもよい。
マグネシウム合金からなるマグネシウム合金コイル材を作製し、このコイル材を素材として塑性加工部材を作製して、形状安定性を評価した。
表1に示す組成からなる双ロール鋳造法によって作製した鋳造コイル材
板厚:4.0mm 長さ:100m
鋳造後に溶体化:400℃×20時間
(圧延条件)
圧延温度:250℃
圧延後の板厚:0.8mm
総圧下率:80%(各パスの圧下率:10%/パス〜25%/パス)
使用X線:Cr−Kα(V フィルター)
励起条件:30kV 20mA
測定領域:φ2mm(使用コリメータ径)
測定法 :sin2Ψ法(並傾法、揺動有り)
Ψ=0゜,10゜,15゜,20゜,25゜,30゜,35゜,40゜,45゜
測定面 :Mg(104)面
使用定数:ヤング率=45,000MPa、ポアソン比=0.306
測定箇所:シート片の表面の中央部(幅方向の中心位置)
測定方向:シート片の圧延方向
10 素材板 11 板材 100 素材コイル材
20 加熱手段 30 張力測定装置 200,210 リール
Claims (5)
- マグネシウム合金からなる板材が渦巻き状に巻き取られてなるマグネシウム合金コイル材であって、
前記板材の全長が200m以上であり、
前記板材の全長に亘って、残留応力のばらつきが8MPa以内であるマグネシウム合金コイル材。 - 前記板材の残留応力が−25MPaから+25MPaの範囲である請求項1に記載のマグネシウム合金コイル材。
- 前記マグネシウム合金は、Alを含有するMg−Al系合金である請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム合金コイル材。
- 前記マグネシウム合金の平均結晶粒径が10μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金コイル材。
- マグネシウム合金からなり、圧延が施された素材板が渦巻き状に巻き取られた素材コイル材を準備する工程と、
前記素材コイル材を巻き戻して前記素材板を走行させて、前記素材板に5MPa超25MPa以下の引張応力を付与した状態で、150℃以上300℃以下の熱処理を連続的に施す工程と、
前記熱処理が施されたマグネシウム合金からなる板材を渦巻き状に巻き取る工程とを備え、
前記板材の全長が200m以上であり、前記板材の全長に亘って、残留応力のばらつきが8MPa以内であるマグネシウム合金コイル材を製造するマグネシウム合金コイル材の製造方法。
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