以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る宅内電力システム及び電源装置を示したブロック図である。本例の電力システムは、系統電力1に接続された住宅用の宅内電力システムにおいて、停電等により系統電力1の電力が利用できない時に、系統電力1以外の電力源の電力を、宅内電力システムに供給するシステムである。なお、図1において、子ブレーカ122、123に示す斜線は、ブレーカのオフ状態を表している。
図1に示すように、本例の電力システムは、電力系統1と、宅内電力システム10と、電源装置20とを備えている。電力系統1は、電力会社の管理の下、宅内電力システム10内に対して電力を供給するための電力源である。電力系統1は単相の交流電源である。
宅内電力システム10は、宅内の電気機器に対して電力系統1の電力を供給する住宅用の電力分岐システムである。宅内電力システム10は、系統分岐配線11、分電盤12、宅内分岐配線13、14、及びコンセント15、16を備えている。
系統分岐配線11は、電力系統1と分電盤12との間を接続する配線である。系統分岐配線11は単相3線の電線で構成されている。分電盤12は、宅内の複数の系統に、電力系統1から供給される電力を分岐する。宅内の複数の系統は、宅内の各部屋に合わせた系統であり、例えばリビング系統、キッチン系統、洋室(寝室や子供部屋などの部屋)系統等である。
分電盤12は、主幹ブレーカ121と、子ブレーカ122〜127を備えている。主幹ブレーカ121は、漏電遮断器であり、地絡などの異常の際に、自動的に電力系統1と宅内分岐配線13、14との間を遮断する。また、主幹ブレーカ121は、アンペアブレーカも有している。アンペアブレーカは、宅内電力システムにより使用される電流が、契約した容量よりも大きい場合に、自動的に電力系統1と宅内分岐配線13、14との間を遮断する。
子ブレーカ122〜127は、宅内の複数の系統に対応して設けられた遮断器である。子ブレーカ122は宅内分岐配線13に接続され、子ブレーカ123は宅内分岐配線14に接続されている。子ブレーカ124〜127は、図示しない他の宅内分岐配線に接続されている。宅内分岐配線13を含む系統の電流が規定値を超える場合には、子ブレーカ122は主幹ブレーカ121と宅内分岐配線13との間を遮断する。子ブレーカ124等の他のブレーカも同様の機能をもっている。
また子ブレーカ122〜127は開閉器としての機能も有している。例えば子ブレーカ122がオフのときには、系統電力1から宅内分岐配線13への電力供給は遮断される。
宅内分岐配線13は、電力系統1から子ブレーカ122を介して供給される電力を、宅内に設けられた複数のコンセントに分岐した上で、それぞれのコンセントに供給している。例えば、子ブレーカ122がリビング用の系統の遮断器として機能する場合には、宅内分岐配線13はリビングに設けられた複数のコンセントと子ブレーカ122との間を接続している。そして、宅内分岐配線13は、リビングの複数のコンセントに対して、それぞれ電力を供給する。
宅内分岐配線14は子ブレ−カ123に接続され、電力系統1から子ブレーカ123を介して供給される電力を、系統内の複数のコンセントにそれぞれ分岐した上で、それぞれのコンセントに供給している。
コンセント15は電気機器のプラグの差込口であり、分岐宅内配線13に接続されている。例えば、宅内で電気機器を使用する際には、電気機器のプラグをコンセント15に差し込む。そして、系統電力1の電力が分電盤12により分岐されて、宅内分岐配線13を介して電気機器に供給されることで、電気機器が宅内電力システム10の配線系に電気的に接続された状態となり、電気機器が使用可能な状態となる。コンセント16は、宅内分岐配線14に接続されている。
次に、電源装置20の構成について説明する。電源装置20は、バッテリ21、コンバータ22、開閉器23、27、ケーブル24、28、プラグ25、29、低圧電源31、及びコントローラ40を備えている。電源装置20は、車両などの移動体に設けられ、又は、定置用の装置として用いられる。電源装置20を移動体に設ける構成であれば、別の場所に設けられた同様の構成を有する宅内配電システムにも簡便に安全確認、設備容量にあった適切な電源出力を供給することができる。また、電源装置20は、当該宅内配電システムに対して、バッテリ21の電力を配電するシステム(配電システム)としても機能する。
バッテリ21は、複数の二次電池により構成され、大容量の蓄電用の電池である。電源装置20が車両に設けられる場合には、バッテリ21は車両の動力源となる。そして、バッテリ21は、車両の駆動輪に連結されたモータに対して、電力を供給する。
コンバータ22は、バッテリ21の電圧を昇圧した上で、バッテリ21の電力を変換して出力する昇圧回路である。コンバータ22は、バッテリ21と開閉器23、27との間に接続されている。コンバータ22は、コントローラ40により制御される。また、電源装置20の外部からの電力によりバッテリ21を充電する場合には、コンバータ22は、外部から入力される電力を、バッテリ21の充電に適した電力に変換して、バッテリ21に出力する。
開閉器23は、コンバータ22とプラグ25との間の電気的な導通、遮断を切り替えるスイッチである。開閉器23はコンバータ22とプラグ25との間に接続されている。ケーブル24は、開閉器23とプラグ25との間を接続する配線である。プラグ25は、ケーブル24の先端部分に設けられ、コンセント16に差し込み可能な端子である。プラグ25がコンセント16に差し込まれ、開閉器23がオン状態になると、宅内電力システム10と電源装置20が、ケーブル24により、電気的に接続された状態となる。
開閉器27は、開閉器23と同様のスイッチであり、コンバータ22とプラグ29との間に接続されている。ケーブル28は、ケーブル24と同様に配線用ケーブルであり、開閉器27とプラグ29との間に接続されている。プラグ29はケーブル28の先端部分に設けられ、プラグ25と同形状の端子である。
このように、電源装置20は、複数のプラグ25、29を設けることで、バッテリ21の電力を、複数の経路で外部へ出力させるように構成されている。すなわち、電源装置20から宅内電力システム10への電力の供給経路は、バッテリ21から、コンバータ22、開閉器23、ケーブル24、プラグ25、コンセント15、及び宅内分岐配線13の順で経由しつつ、子ブレーカ122まで電気的に接続される経路と、バッテリ21から、コンバータ22、開閉器27、ケーブル28、プラグ29、コンセント16、及び宅内分岐配線14の順で経由しつつ、子ブレーカ124まで電気的に接続される経路とを含んでいる。なお、図1の例では、開閉器23、27、ケーブル24、28、プラグ25、29はそれぞれ2つずつ設けられているが、3つ以上であってもよい。
低圧電源31は、コンバータ22の出力側と開閉器23、27との間に接続されている。低圧電源31は、コンセント15、16に接続されている宅内分岐配線13、14及び子ブレーカ122、123等の配線系の接続状態を検知するための電源である。低圧電源31には、例えば30V以下の交流電源が用いられる。定電圧電源31の出力はコントローラ40により制御される。
コントローラ40は、CPU等により構成され、電源装置20の全体を制御する。コントローラ40は、機能ブロックとして、差込判別部41、配線状態検知部42、開閉器制御部43、及びコンバータ制御部44を有している。
差込判別部41は、複数のプラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれたことを判別する。配線状態検知部42は、宅内電力システム10の配線系のうち、コンセント15、16に接続されている配線系の状態を検知する。開閉器制御部43は開閉器23、27のオン、オフを切り替える。
コンバータ制御部44は、配線状態検知部42の検知結果に基づいてコンバータ22の出力電力を設定し、設定した出力電力を電源装置20から宅内配線システム10に供給するように、コンバータ22を制御する。
次に、宅内電力システム10の配線系の状態と、電源装置20から宅内電力システム10に供給可能な電力容量との関係について説明する。
宅内電力システム10の配線系の一部である宅内分岐配線13、14には、配線の材料、太さ等により配線容量が制限されている。また子ブレーカ122〜127を構成する開閉器、遮断器にも、配線と同様に、制限となる容量が設定されている。
仮に、宅内分岐配線13、14の制限値として、配線容量(電流制限値)が20Aに設定されていたとする。そして、子ブレーカ122、123がともにオフ状態(開放状態)であったとする。
このとき、宅内分岐配線13と宅内分岐配線14との間は、遮断された子ブレーカ122、123により電気的に導通していない。そのため、宅内電力システム10の配線系のうち、コンセント15とコンセント16との間の配線系(コンセント15から、系統分岐配線13、子ブレーカ122、子ブレーカ123、及び系統分岐配線14の順でコンセント16接続した配線に相当)は配線経路のループを形成していない。そして、プラグ25、29がコンセント15、16にそれぞれ差し込まれたとしても、プラグ25とプラグ29との間では、宅内電力システム10の配線系を介して、閉ループの回路(閉ループの電流経路)が形成されない。
よって、プラグ25、29がコンセント15、16にそれぞれ差し込まれた状態で、コンバータ22から宅内分岐配線13、14には、それぞれ20Aずつの電流を流すことができる。電源装置20は、宅内電力システム10に対して合計40Aの容量で電力を供給できる。
一方、子ブレーカ122、123がともにオン状態(投入状態)であったとする。このとき、子ブレーカ122と子ブレーカ123との間が導通され、宅内分岐配線13と宅内分岐配線14との間も電気的に導通される。そのため、宅内電力システム10の配線系のうち、コンセント15とコンセント16との間の配線系は配線経路のループを形成する。そして、プラグ25、29がコンセント15、16にそれぞれ差し込まれた場合には、プラグ25とプラグ29との間では、宅内電力システム10の配線系を介して、閉ループの回路が形成される。このような状態で、コンバータ22からプラグ25及びプラグ29へのそれぞれの出力電流が、20Aに設定されると、宅内分岐配線13、14には、電流制限値(20A)の倍の電流が供給される。
またプラグ25及びプラグ29を同一のコンセント16に差し込んだ場合について、図2を用いて説明する。図2は、宅内電力システム10及び電源装置20のブロック図である。ただし、図2では、電源装置20の構成のうち、コントローラ40等の一部の構成を省略して図示されている。
図2に示すように、プラグ25、29を同一のコンセント16に差し込んだ場合には、ケーブル28は、プラグ25、コンセント16、宅内分岐配線14、及びプラグ29に電気的に接続されている。そのため、プラグ25とプラグ29との間では、宅内電力システム10の配線系を介して、閉ループの回路が形成されている。この場合にも、コンバータ22からプラグ25及びプラグ29へのそれぞれの出力電流が20Aに設定されると、宅内分岐配線14には、電流制限値(20A)の倍の電流が供給される。
上記のように、複数のプラグ25、29をコンセント15、26に差し込んで、宅内電力システム10に対して電力を供給する際には、宅内電力システム10の配線系の状態によって、電源装置10から宅内電力システム20へ供給可能な電力が異なる。そのため、本例の電源装置20は、宅内電力システム10の配線系の状態を検知した上で、コンバータ22の出力電力を設定している。以下、電源装置20のコントローラ40の制御について説明する。
まずコントローラ40は、開閉器制御部43により開閉器23、27をオンにしつつ、差込判別部41によりプラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれている否かを判定する。プラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれている場合と、プラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれていない場合とでは、ケーブル24、28の先端部分おける電位が異なる。そのため、差込判別部41は、センサ等を用いて当該電位に相当する電圧を検出し、どのプラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれているか、判別できる。なお、センサは電源装置10を構成する回路のうち、プラグ25、29の電位を測定できる位置に、適宜、接続されればよい。
次に、コントローラ40は開閉器制御部43により開閉器23、27をオフにした上で、開閉器23、27からコンバータ22の出力側までの配線の絶縁を確認する。絶縁の検知は、低圧電源31の出力に対するセンサの測定値から検知してもよく、あるいは、電源装置10に例えば絶縁検知用の回路を設け、当該絶縁検知回路より検知してもよい。絶縁が確保されていない場合には、コントローラ40はユーザに対して装置の異常を通知し、システムを停止させる。
プラグ25、29のうち少なくとも1つのプラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれており、かつ、電源装置10内の絶縁が確保された場合には、コントローラ40は、コンセント15、16に差し込まれたプラグ25、29と対応する開閉器23、27をオン状態にする。図1の例で、例えばプラグ25がコンセント15に差し込まれ、プラグ29がコンセント16に差し込まれていない場合には、コントローラ40は開閉器23をオン状態にし、開閉器27をオフ状態にする。
そして、コントローラ40は、オン状態にした開閉器23、27から、ケーブル24、28、プラグ25、29、コンセント15、16、及び宅内分岐配線13、14へと続く配線系の地絡を検知する。地絡検知は、絶縁検知と同様に、低圧電源31の出力に対するセンサの測定値から検知してもよく、あるいは、電源装置10に例えば地絡検知用の回路を設け、当該地絡検知回路より検知してもよい。地絡が検知された場合には、コントローラ40はユーザに対して装置の異常を通知し、システムを停止させる。
またコントローラ40は、コンセント15、16に差し込まれたプラグ25、29と対応する開閉器23、27をオンにした状態で、宅内電力システム10内の状態が停電であるか否かを判別する。プラグ25、26をコンセント15、16に差し込んだ状態では、電源装置20は、子ブレーカ122、123から、宅内分岐配線13、14及びコンセント15、16を介して、プラグ25、29まで電気的に接続されることになる。そのため、コントローラ40はプラグ25、29の電位を測定するセンサの測定値に基づいて、停電状態であるか否かを判別できる。
宅内電力システム10内で停電の状態を確認すると、コントローラ40は配線状態検知部42により、宅内電力システム10の配線系の状態を検知する。図3及び図4を用いて、配線系の状態の検知制御について説明する。図3は宅内電力システム10の一部の構成と電源装置20の一部の構成のブロック図である。なお、便宜上、開閉器27を「S1」とし、開閉器23を「S2」とし、開閉器33を「S3」とする。また図3の子ブレーカ124に示す斜線は、ブレーカのオフ状態を表している。
図4は、開閉器23、27、33のオン、オフの切り替えの時間特性と、ケーブル24、28、34の測定電圧の時間特性を示している。S1は開閉器27に係るオン、オフ状態の特性とケーブル28の測定電圧の特性を示し、S2は開閉器23に係るオン、オフ状態の特性とケーブル24の測定電圧の特性を示し、S1は開閉器33に係るオン、オフ状態の特性とケーブル34の測定電圧の特性を示す。横軸は時間を示し、縦軸は開閉器の状態(オン、オフ)と測定電圧の値を示す。実線は開閉器のオン、オフ状態の特性を示し、点線は測定電圧の特性を示す。なお、測定電圧は、センサで測定すればよい。
図3の例では、電源装置20は、プラグ25、29の他に、もう一つのプラグ35を備えている。また電源装置20は、3個目のプラグ35に電気的に接続される開閉器33及びケーブル34を備えている。そして、プラグ35はコンセント17に差し込まれている。コンセント17は宅内分岐配線を介して子ブレーカ124に接続されている。またコンセント16には、照明器等のプラグ18が差し込まれている。
コントローラ40は、宅内電力システム10の配線系の状態を検知するために、開閉器27(S1)をオンにし、開閉器23、33(S2、S3)をオフにする。プラグ25、29はコンセント15、16に差し込まれ、子ブレーカ122、123がオン状態になっている。そのため、プラグ25とプラグ29との間は、電力配線システム10内の配線系により短絡(ショート)している。
この状態で、配線状態検知部42は低圧電源31を制御して、低電圧の交流の検知信号を出力する。検知信号は、オン状態の開閉器27を流れ、プラグ25、29間における配線系の電流経路を流れて、ケーブル24に流れ込む。ケーブル24内で電圧が検知される。一方、子ブレーカ124はオフ状態のため、プラグ29からの検知信号は、コンセント17には流れない。そのため、ケーブル34内で電圧は検知されない。
また、開閉器23(S2)をオン状態にし、開閉器27(S1)をオフ状態にして、低圧電源31から検知信号が出力されると、検知信号はプラグ25から、宅内配線ケーブル13、14及び子ブレーカ122、124を介して、プラグ29とケーブル28に流れ込む。そのためケーブル28内で電圧が検知される。一方、プラグ29からの検知信号は、コンセント17には流れず、ケーブル34内で電圧が検知されない。
図4に示すように、開閉器27(S1)をオフからオンに切り替わるタイミングに合わせて、検知信号が出力され、オフ状態の開閉器23(S2)側で電圧を検出した場合には、プラグ25、29間で、宅内電力システム10内の配線系を介して短絡していることになる。一方、オフ状態の開閉器33(S3)側で電圧を検出しない場合には、プラグ29、35間で、宅内電力システム10内の配線系を介して短絡していないことなる。
また図4に示すように、開閉器23(S2)をオフからオンに切り替わるタイミングに合わせて、検知信号が出力された場合にも、配線状態検知部42は、ケーブル28、34の電圧に基づいて、プラグ25とプラグ29との間、及び、プラグ25とプラグ35との間で、宅内電力システム10内の配線系を介して短絡しているか否かを検知できる。
さらに、開閉器33(S3)をオフからオンに切り替わるタイミングに合わせて、検知信号が出力された場合には、ブレーカ124がオフ状態であるため、図4に示すように、ケーブル24、28及びプラグ25、29には電圧が印加されない。そのため、配線状態検知部42は、ケーブル24、28の電圧の測定値に基づいて、プラグ35とプラグ25との間、及び、プラグ35とプラグ29との間で、宅内電力システム10内の配線系を介して短絡していないことを検知できる。
すなわち、配線状態検知部42は、開閉器23、27、33のうち、一方の開閉器がオン状態に、他方の開閉器がオフ状態である場合に、低圧電源31から検知信号を出力させつつ、オフ状態の開閉器23、33側の電圧をセンサで測定する。そして、配線状態検知部42は、センサの測定値により電圧を検知した場合には、複数のプラグ25、29の間で配線系を介して短絡した短絡回路を形成していると判定する。また、配線状態検知部42は、センサの測定値により電圧を検知していない場合には、複数のプラグ29、35の間で短絡回路を形成していないと判定する。
これにより、配線状態検知部42は、複数のプラグ25、29、35間で電気的に接続されている宅内電力システム10内の配線系の電流経路の短絡と、当該電流経路の開放とをそれぞれ検知している。
配線状態検知部42により電力供給先の配線系の状態を検知した後、コントローラ40は、コンバータ制御部44により、コンバータ22からの出力電力を設定する。
上記のように、複数のプラグ25、29間で配線系を介した電流経路が短絡回路を形成している場合には、当該短絡回路において、複数のプラグ25、29から宅内分岐配線13、14に向かって、それぞれ制限値の電流を流すことができない。一方、複数のプラグ25、29間の電流経路が開放し、短絡回路を形成していない場合には、複数のプラグ25、29から宅内電気配線13、14にそれぞれ制限値の電流を流すことができる。
宅内分岐配線13、14及び子ブレーカ122〜127に係る電流制限値が20Aとすると、図3の例において、プラグ25、29間では、宅内電力システム10の配線系を介して短絡している。またプラグ25、35間、及び、プラグ29、35間では配線系を介して短絡していない。そのため、コントローラ40はプラグ25、29間で、宅内電力システム10の配線系及び電源装置20内の配線により閉ループの電流経路を形成しないように、開閉器23をオフ状態にする。また、コントローラ40は、ケーブル28を介してプラグ29から電力を出力させるように開閉器27をオン状態にし、ケーブル34を介してプラグ35から電力を出力させるように開閉器33をオン状態にする。
そして、コンバータ制御部44は、コンバータ22からプラグ29、35を介して宅内電力システム10に供給可能な出力電流の制限値を40Aにして、コンバータ22の出力電力を設定する。これにより、電源装置20は、プラグ25、29間の短絡回路の電流を制限値の20A以下に抑えつつ、コンセント17から子ブレーカ124までの間の回路にも、制限値の20Aを流す。すなわち、複数のプラグ25、29間で短絡した電流経路を形成する場合には、電源装置20は、一方のプラグから制限値以下の電力を出力させて、他方のプラグからは電力を出力させない。また、複数のプラグ25、29間で開放した電流経路を形成する場合には、電源装置20は、複数のプラグから制限値以下の電力をそれぞれ出力させている。
そして、コンセント15、16に電気機器のプラグを差し込み、電気機器を使用した場合には、制限値の20Aまで電力を使用できる。また、コンセント17に電気機器のプラグを差し込み、電気機器を使用した場合には、制限値の20Aまで電力を使用できる。
また、例えばコンセント15〜17に接続された電気機器の電力の使用量が大きく、宅内電力システム10に供給する電力が制限値を超える場合には、コンバータ制御部44は、宅内電力システム10への供給電力を制限値以下に抑えるように、コンバータ22の出力電力を設定する。
上記では、3つのプラグ25、29、35について説明したが、3つに限らず、任意の複数個のプラグ及びケーブルを電源装置10に備えた場合に、コンバータ22の出力電力は、以下の要領で設定される。
まず、コントローラ40は、差込判別部41により、電源装置10に備えられているプラグ25、29のうち、何個のプラグがコンセント15、16に差し込まれているか否かを検知する。そして、コントローラ40は、コンセント15、16に差し込まれたプラグ25、29と電気的に接続する開閉器24、27のオン、オフを切り替えつつ、低圧電源31から検知信号を出力させる。配線状態検知部42は、ケーブル24、28に印加される電圧に基づいて、複数のプラグ間の配線系を介した短絡回路をプラグ毎に検知する。
これにより、コントローラ40は、コンセント15、16に差し込まれているプラグ25、29の個数(n個)と短絡回路の数(r個)を算出する。
そして、宅内分岐配線13、14及び子ブレーカ122〜127に係る電流制限値をI
0とし、コンバータ22の出力電流の制限値を(I
lim)とすると、電流制限値(I
0)と、出力電流の制限値を(I
lim)との間には、下記の式(1)の関係が成立する。
プラグ25、29の個数(n個)と短絡回路の数(r個)を算出した後、コンバータ制御部44は、コンバータ22の出力電流の制限値を、式(1)から算出される電流値(Ilim)にしてコンバータ22の出力電力を設定する。
開閉器制御部43は、短絡回路を形成するプラグ25、29に対して接続している開閉器23、27のうち、一の開閉器23、27をオンにしつつ、他の開閉器23、27をオフにする。1つの短絡回路に対して、開閉器23、27が3つ以上接続されている場合には、開閉制御部43は1つの開閉器23、27をオン状態にして、他の2以上の開閉器23、27をオフにする。これにより、開閉器制御部43は、宅内電力システム内の配線系及び電源装置20の回路によりプラグ間で閉ループ回路を形成しないよう、電源装置20内で電流経路を遮断している。
また、開閉器制御部43は、短絡回路を形成していないプラグ25、29に対して接続している開閉器23、27をオンにする。そして、コントローラ40は、宅内電力システム10の配線系に対して、コンバータ22から電力を供給する。
コントローラ40は、宅内電力システム10に電力を供給している間、コンセント15、16に差し込まれるプラグ数に増減があるか否かを検知している。プラグ25、29がコンセント15、16に新たに差し込まれ、プラグ数が増加した場合には、開閉器制御部43は、新たに差し込まれたプラグ25、26に対して、ケーブル24、28を介して接続されている開閉器23、27をオン状態にする。また、配線状態検知部42は、新たに差し込んだコンセント15、16に接続されている宅内分岐配線13、14及び子ブレーカ122〜127の配線系の状態を検知する。そして、コンバータ制御部44は、配線状態検知部42の検知結果に基づいて、コンバータ22の出力電圧を設定する。
一方、プラグ25、29がコンセント15、16から抜き出された場合には、開閉器制御部43は、抜き出されたプラグ25、26に対して、ケーブル24、28を介して接続されている開閉器23、27をオフ状態にする。配線状態検知部42は、コンセント15、16に接続されている宅内分岐配線13、14及び子ブレーカ122〜127の配線系の状態を検知する。そして、コンバータ制御部44は、配線状態検知部42の検知結果に基づいて、コンバータ22の出力電圧を設定する。
コントローラ40は、宅内電力システム10に電力を供給している間、宅内電力システム10において停電状態であるか否かを判別している。停電状態が継続されている場合には、コントローラ40は電力の供給を続ける。一方、コントローラ40は、停電状態でないことを判別した場合には、系統電力1からの電力供給が復帰したと判断して、コンバータ22の動作を停止し、オン状態の開閉器23、27をオフ状態にする。また、コントローラ22は、電源装置20に設けられているディスプレイ等を用いて、ユーザに対して電力の復電を通知する。
上記のように、本例の電源装置20は、複数のプラグ25、29をコンセント15、16に差し込んだ際に、宅内分岐配線13、14、子ブレーカ122〜127等を介して、ショートされないように、宅内電力システムの配線系の状態を検知している。また複数のプラグ間で短絡回路が形成される場合には、電源装置20は、短絡回路に流れる電流を制限値以下に抑えるように、出力電力の容量を制限している。さらに、電源装置20は、プラグ間で形成されている閉ループ回路の電流経路を、電源装置20内で遮断するように、開閉器23、27を切り替えている。
これらの機能により、本例の電力装置は、安全性を確保しつつ、宅内電力システム10に対して供給可能な電力容量を高めることができる。
次に、図5を用いて、コントローラ40の制御フローを説明する。図5はコントローラ40の制御手順を示すフローチャートである。
電源装置20を非常用電源として利用する際に、できるだけ多くの出力容量を確保したい場合には、複数のプラグ25、29間で形成される短絡回路の数が少なくなるように、プラグをコンセントに差し込むことが望ましい。このような使い方の一つとして、コンセントに差し込まれるプラグ数を徐々に増やしながら、ユーザがプラグを差し込むという利用方法が想定される。図5の制御フローは、このように、ユーザがコンセント15、16に差し込むプラグ数を順に増やしながら、電源装置20を利用する場合の制御フローを示している。
ステップS1にて、コントローラ40は、プラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれているか否かを判別する。このとき、コントローラ40は、コンセント15、16に差し込まれているプラグ25、29を特定する。少なくとも1つのプラグ25、29がコンセント15、16に差し込まれている場合には、ステップS2にて、コントローラ40は絶縁を検知する。
絶縁が確保されている場合には、ステップS3にて、開閉器制御部43は、開閉器23、27をオン状態にする。オン状態にする開閉器23、27は、コンセント15、16に差し込まれたプラグ25、29とケーブル24、28等を介して接続されている開閉器である。
ステップS4にて、コントローラ40は、オン状態にした開閉器23、27からプラグ25、29までの電流経路の地絡と、コンセント15、16に接続されている宅内電力システム10内の配線系の地絡を検知する。
地絡が生じていない場合には、ステップS5にて、コントローラ40は、宅内電力システム10内の状態が停電状態であるか否かを判別する。停電状態である場合には、ステップS6にて、配線状態検知部42は、低圧電源31から検知信号を出力させつつ、検知信号の電圧を測定することで、宅内電力システム10内の配線系の状態を検知する。
ステップS7にて、開閉器制御部43は、配線状態検知部42の検知結果に応じて、開閉器23、27のオン、オフを切り替えることで、開閉器23、27を制御する。ステップS8にて、コンバータ制御部44は、配線状態検知部42の検知結果に基づいて、コンバータ22の出力電流の電流制限値を設定する。そして、コンバータ制御部44は、コンバータ22の出力される電流が制限電流値以下になるように、コンバータ22の出力電力を設定する。
ステップS9にて、コンセント15、16に差し込まれたプラグ25、29の数が増加したか否かを判定する。すなわち、プラグ25、29が新たにコンセント15、16に差し込まれた場合には、プラグ数が増加するため、ステップS9の判定フローの結果で「Yes」となり、ステップS3に戻る。そして、コントローラ40は、上記のステップS3〜ステップS9までの制御フローを再び実行する。これにより、新たにプラグが差し込まれる度に、本例の電源装置20は、地絡検知、停電状態の判別、配線系の状態の検知を行う。そして、コントローラ40は配線状態検知部42の検知結果に応じて、開閉器23、27を制御しつつ、コンバータ22の出力電力を設定する。
ステップS9において、プラグ数が増加していない場合には、ステップS10にて、コンバータ制御部44はコンバータ22から電力を出力させる。ステップS11にて、コントローラ40はコンセント15、16に差し込まれているプラグ25、29が存在するか否かを判別する。差し込まれているプラグ25、29が存在しない場合には、図5の制御フローを終了させる。
一方、差し込まれているプラグ25、29が存在する場合には、ステップS12にて、コントローラ40は、宅内電力システム10内の状態が停電状態であるか否かを判別する。停電状態ではない場合には、ステップS8に戻り、ステップS8以下の制御フローを再度、実行する。一方、停電状態である場合には、コントロール40はコンバータ22の動作を停止させて、図5の制御フローを終了させる。
ステップS1にてプラグ25、29のコンセント15、16への差し込みがない場合、ステップS2にて絶縁が確保されていない場合、ステップS4にて地絡を検知した場合、ステップS5にて停電状態であると判別された場合には、図5の制御フローを終了させる。
上記のように本例の電源装置20は、電力の供給先となるコンセント15、16に差し込み可能であり、かつ、コンバータ22に電気的に接続されている複数のプラグ25、29を備え、複数のプラグ25、29がコンセント15,16に差し込まれたことを判別し、コンセント15、16に接続されている宅内電力システム10の配線系の状態を検知し、その検知結果に基づいてコンバータ22の出力電力を設定する。これにより本例は、プラグの差し込み先となる配線系が同一の系統の配線に接続されているか、異なる系統の配線に接続されているか検知した上で、コンバータ22の出力電力を設定しているため、宅内電力システム10に対して供給可能な電力容量を高めることができる。また、宅内電力システム10に対して分岐配線や追加工事を施さなくても、安全に非常時の電力を供給できる。
また本例は、複数のプラグ25、29間に、電気的に接続された配線系を含む電流経路の短絡と、当該電流経路の開放とを検知している。これにより、宅内電力システム10の配線系の状態に応じて、配線系に対して供給可能な電力を設定できる。その結果として、宅内電力システム10に対して供給可能な電力容量を高めることができる。
また本例は、複数のプラグ25、29間で、配線系を含む電流経路が開放している場合には、当該複数のプラグ25、29から、制限値以下の電力をそれぞれ出力させるように、コンバータ22を制御する。これにより、宅内電力システム10に対して供給可能な電力容量を高めることができる。
また本例は、宅内電力システム10の配線系の状態を検知する検知信号を、当該配線系に出力する低圧電源を電源装置20に備え、配線状態検知部42は、検知信号の電圧又は電流を測定し、測定された出力値に基づいて配線系の状態を検知する。これにより、非常用電源として電源装置20を利用する際、電力供給の可否を安全に確認できる。
また本例は、複数のプラグ25、29のうちプラグ間で配線系を介して短絡しているプラグ数を検知し、プラグ25、29の個数と検知したプラグ数に基づいて、コンバータ22の出力電力の制限値を設定する。これにより、配線系の状態に応じて、適正な制限値を設定し、出力電力に制限をかけているため、高い電力を安全に供給することができる。
また本例は、コンバータ22の出力側と複数のプラグ25、29との間にそれぞれ接続され、コンバータ22の出力側と複数のプラグ25、29との間の電気的な導通及び遮断を切り替える複数の開閉器23、27を電源装置20に備え、配線状態検知部42の検知結果に基づいて、開閉器23、27のオン、オフを切り替える。これにより本例は、プラグの差し込み先となる配線系が同一の系統の配線に接続されているか、異なる系統の配線に接続されているか検知した上で、開閉器23、27のオン、オフを切り替えることで、電力の出力先となるプラグ25、29を選択しているため、宅内電力システム10に対して供給可能な電力容量を高めることができる。また、高い電力を安全に供給することができる。
また本例は、複数のプラグ25、29の間で配線系を介して短絡した短絡回路を形成しているか否かを検知し、短絡回路を形成している複数のプラグ25、29にそれぞれ接続された複数の開閉器23、27のうち、一方の開閉器をオンし、他方の開閉器をオフにする。これにより、複数のプラグ間で閉ループの回路が形成されないように、電流経路を遮断しているため、安全性を高めつつ、高い電力を供給できる。
また本例は、複数の開閉器23、27のうち、一方の開閉器がオン状態であり、他方の開閉器がオフ状態である場合に、低圧電源31から検知信号を出力させつつ、当該他方の開閉器側で検知信号の出力を測定し、測定された値に基づき、短絡回路を形成しているか否かを検知する。これにより本例は、複数のプラグ間の配線系の電流経路が短絡しているか、開放しているか確認することができる、その結果として、電力供給の可否を安全に確認できる。
また本例において、電源装置20は車両等の移動体に設けるとよい。これにより、停電により系統電力1からの電力供給が停止している需要家のもとに、車両を走行させることで、電源装置を移動できる。そして、プラグ25、29をコンセント15、16に差し込むことで、どの場所に位置する電力システムに対しても、安全に非常時の電源供給の可否を判別できる。また、本例は宅内電力システム10の状態が停電状態であるか否かを判別できるため、宅内電力システムの異常に関しても判断することができる。
なお、本例の電源装置20は、図1に示すような屋内に限らず、屋外機器に対して電力を供給してもよい。図6は、宅内電力システム10の一部の構成、電源装置20の一部の構成、及び屋外機器40のブロック図である。屋外機器40は、例えば駐車場などに設けられたコンセント41を備えている。電源装置20は、プラグ25、29、35の他にプラグ38を備えている。プラグ38は、ケーブル37及び開閉器36を介して、コンバータ22の出力側と低圧電源31に接続されている
電源装置20から屋外機器40に対して電力を供給するためには、プラグ38をコンセント41に差し込む。そして、コントローラ40は、上記と同様に、絶縁検知、停電状態の判別、及び屋外機器40の配線系の状態の検知等を行った上で、屋外機器41に電力を供給する。
また本発明の変形例として、低圧電源31を、検知信号の周波数を可変できる電源とし、検知信号の周波数特性を測定することで、複数のプラグ間に接続されている配線系の短絡及び開放を検知してもよい。また周波数特性を用いて配線系の状態を検知する際には、プラグ25、29毎に電気的に接続されている、宅内電力システムの配線系とケーブル24、28とを含む各電流経路を、検出用の周波数で区別してもよい。
すなわち、例えば、プラグ25に電気的に接続されている宅内分岐配線13、子ブレーカ122及びケーブル24には、第1の検知用の周波数が割り当てられ、プラグ29に電気的に接続されている宅内分岐配線14、子ブレーカ123及びケーブル28には、第2の検知用の周波数が割り当てられる。割り当てられる周波数と電流経路との関係は、選択される配線、ケーブルの部品設計等により予め決まる。
そして、低圧電源31は、第1、第2の検知用の周波数を含めつつ、周波数を可変させて、検知信号を出力する。配線状態検知部42は、低圧電源31から周波数可変の検知信号を出力している間に、各ケーブルに印加される電圧を測定し、検知信号の周波数特性を測定する。配線状態検知部42は、割り当てられた周波数に対して測定値が所定の閾値より高いことを検知することで、割り当てられた周波数と対応する電流経路の配線の状態を検知できる。これにより、本発明の変形例では、上記のように検出信号の出力に合わせて、配線系の状態を検知できる。なお、このような周波数特性を用いて、配線系の状態を検知する場合には、低圧電源31の出力側から各プラグ25、29まで、信号線を接続してもよい。信号線を設けることで、開閉器23、27のオン、オフを切り替えなくても、配線系の状態を検知できる。
また本発明の他の変形例として、配線状態検知部42は、低圧電源31から交流電圧を出力させて、ケーブル24、28、34に印加される電圧位相を測定し、測定した電圧位相の変化から、配線系の状態を検知してもよい。また、配線状態検知部42は、低圧電源31から交流電圧を出力させて、ケーブル24、28、34に流れる電流位相を測定し、測定した電流位相の変化から、配線系の状態を検知してもよい。
なお、プラグ25、29の差し込みを検知するためのセンサ、地絡をするためのセンサ、絶縁確保を検知するためのセンサ、停電を検知するためのセンサ、及び、複数のプラグ25、29の間で宅内電力システム内の配線系の状態を検知するためのセンサは、適宜、兼用させてもよい。
また本例の電源装置20は、開閉器23、27、33、36の代わりに、遮断器を用いてもよく、あるいは、各プラグ25、29、35、36に、半導体スイッチなどのスイッチを内蔵することで、低圧電源31から各プラグ25、29、35、36までの電気的な導通、遮断を切り替えてもよい。また、電源装置20は、コンバータ22の出力から各プラグ25、29、35、38までの強電ラインと、低圧電源31の出力から各プラグ25、29、35、38までの弱電ラインとを分けてもよい。ラインを分けた場合には、ライン毎に、電気的な導通、遮断を切り替えるスイッチを接続すればよい。
上記の開閉器23、27、33、36及びコンバータ22が本発明の「出力手段」に相当し、コントローラ40が本発明の「制御手段」に相当し、差込判別部41が本発明の「判別手段」に相当し、配線状態検知部42が本発明の「検知手段」に相当し、コンバータ制御部44が本発明の「電力設定手段」に相当し、低圧電源31が本発明の「信号源」に相当し、コンバータ22が本発明の「変換回路」に相当し、開閉器23、27、33、38が本発明の「スイッチ」に相当する。
《第2実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係る電源装置の制御フローを示すフローチャートである。本例では上述した第1実施形態に対して、制御フローの一部が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
電源装置20を非常用電源として利用する際には、第1実施形態の制御フローで説明したようなプラグ25、29を1つずつコンセント15、16に差し込む場合に限らず、電源装置20の利用開始時に複数のプラグ25、29をコンセント15、16に差し込む場合も考えられる。また非常用電源として電源装置20を利用している間に、プラグを新たにコンセントに差し込む場合、あるいは、プラグをコンセントから抜き出す場合も考えられる。図7の制御フローでは、このような場合の制御フローを示している。
ステップS21〜ステップS26の制御フローは、第1実施形態に係るステップS1〜ステップS6の制御フローと同様であるため、説明を省略する。
ステップS27にて、差込判別部41は、ステップS21で特定された、コンセント15、16に差し込まれているプラグ25、29の数を算出する。ステップS28にて、配線状態検知部42は、ステップS26で検知された配線系の状態の検知結果から、複数のプラグ間で形成されている短絡回路の数を算出する。
ステップS29にて、コンバータ制御部44は、プラグ25、29の数と短絡回路の数に基づいて、上記の式(1)で示す関係式から電流制限値を算出する。コンバータ制御部44は、算出した電流制限値を、コンバータ22の出力の制限値として設定する。
ステップS30にて、開閉器制御部43は、配線状態検知部42の検知結果に応じて、開閉器23、27のオン、オフを切り替えることで、開閉器23、27を制御する。ステップS31にて、コンバータ制御部44は、コンバータ22の出力される電流が制限電流値以下になるように、コンバータ22の出力電力を設定する。
ステップS32にて、差込判別部41は、コンセント15、16に差し込んだプラグ数に変化があるか否かを判定する。プラグ数に変化がある場合には、ステップS33にて、差込判別部41は、コンセント15、16に差し込まれているプラグ25、29が存在するか否かを判別する。差し込まれているプラグ25、29が存在しない場合には、図7の制御フローを終了させる。
一方、差し込まれているプラグ25、29が存在する場合には、ステップS23に戻る。そして、コントローラ40は、上記のステップS23からステップS33までの制御フローを再び実行する。これにより、新たにプラグ23、27がコンセント15、16に差し込まれる度に、及び、プラグ23、27がコンセント15、16から抜き出される度に、電源装置20は、地絡検知、停電状態の判別、配線系の状態の検知を行い。そして、コントローラ40は配線状態検知部42の検知結果に応じて開閉器23、27を制御しつつ、プラグ数及び短絡回路の数に基づいてコンバータ22の出力電力を設定する。
ステップS32にて、プラグ数に変化がない場合には、ステップ34に進む。ステップS34にて、コンバータ制御部44はコンバータ22から電力を出力させる。ステップS35にて、コントローラ40は、宅内電力システム10内の状態が停電状態であるか否かを判別する。停電状態である場合には図7の制御フローを終了させ、停電状態でない場合には、ステップS31に戻る。