JP6269662B2 - 発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、階調特性の優れた発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
現在、薄型の発光材料として有機発光素子が注目されている。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(以下「有機EL素子」ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光が取り出される。また、有機EL素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れている。
ここで、このような有機EL素子において、ガラス基板上に積層された有機機能層に対して紫外線を照射し、当該照射部分を劣化させることで非発光領域を形成する発光パターンを有する有機EL素子の製造方法が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
また、有機EL素子に紫外線照射してパターン化する際、照射光量を変化させれば、多階調の発光輝度を有する発光パターンを形成が可能である。
しかしながら、連続的に発光輝度が変化する自然画をパターン化する場合、元の画像とは異なる階調性を有する画像になることが多く、連続階調の自然画をパターン化すると不自然な画像となってしまい、好ましい画像を得ることは困難であった。
特許第2793373号公報 特開2012−28335号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、階調特性の優れた発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の発光パターンの階調特性が、ハイライト部やシャドウ部の階調再現の範囲が狭く、不自然な画像になっていることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に光照射して形成する発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
パターン化する画像について、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成することを特徴とする発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
2.前記調子再現曲線の前記直線部の階調の傾きが、0.6〜2.0の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
3.前記発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度と最低輝度の比の値が、10以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
4.前記調子再現曲線における前記ハイライト部の軟調部分が、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも−0.20の範囲内であり、かつ前記シャドウ部の軟調部分が、光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最低輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも+0.20の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子光の製造方法。
5.前記光照射して形成する発光パターンが、紫外線を含む光を照射して形成する発光パターンであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明の上記手段により、階調特性の優れた発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、以下のように推察している。
有機EL素子に紫外光などの光を照射して発光パターンを得ようとしても得られる画像はネガ像であり、ポジ像に単に変換しても光照射に対する有機EL素子の露光時の照度不軌特性及び有機EL素子の光応答特性等により、原画像の階調特性に対して、パターン化された画像の階調特性は、大きく異なる。さらに、有機EL素子の発光特性のコントラストは一般には低いため、制限されたコントラストの中で階調を再現させようとすると、特にハイライト部とシャドウ部の情報が失われてしまうことが多く不自然な階調の画像が得られていた。ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を持たせる製造方法により、ハイライト部との階調が失われ難く、階調特性の優れた画像を得ることができる。
ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線の一例 有機EL素子の概略構成を示す断面図の一例
本発明の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に光照射して形成する発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、パターン化する画像について、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記調子再現曲線の前記直線部の階調の傾きが、0.6〜2.0の範囲内であることが好ましい。また、前記発光パターンを有する有機EL素子の最高発光輝度と最低輝度の比の値が、10以上であることが好ましい。
さらに、本発明においては、調子再現曲線における前記ハイライト部の軟調部分が、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも−0.20の範囲内であり、かつ前記シャドウ部の軟調部分が、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最低輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも+0.20の範囲内であることが好ましい。
また光照射して形成する発光パターンが、紫外線を含む光を照射して形成する発光パターンであることが好ましい。
なお、本発明における、発光輝度はコニカミノルタ社製2次元色彩輝度計CA−2000などを用いることで測定することができ、コンラスト、階調の傾き(γともいう。)はその発光輝度から本発明記載の方法で算出できる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法》
本発明の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に光照射して形成する発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
パターン化する画像について、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成することを特徴とする。
なお、ここでいう「パターン」とは、有機エレクトロルミネッセンス素子により表示される図案(図の柄や模様)、文字、画像等をいう。「パターン化」とは、これらのパターン表示機能を持たせることをいう。
「発光パターン」とは、有機エレクトロルミネッセンス素子が発光する際、所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等に基づいて、発光面の位置により発光強度(輝度)を変えて光を発光させるためにあらかじめ当該有機エレクトロルミネッセンス素子に形成(付与)される所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等を表示させる機能を有する発生源をいう。
本発明においては、風景や人物などの自然画だけでなく、中間階調を有するパターンに好ましく適用することができる。
《発光パターン》
発光パターンの形成は、光照射により行われるが、単に階調特性を有する画像を像用に有機EL素子に光照射して発光パターンを形成しても、光が照射された部分において有機EL素子の発光量が減少し、いわゆるネガ像(明暗が反転した画像)が得られる。ネガ像をポジ像にするため、単に画像の信号値の明暗を逆転したものを用いても好ましい画像は得られない。
さらに、有機EL素子に紫外光などの光を照射して、例えばデジタルカメラで撮影された画像をパターン化するとき、光照射に対する有機EL素子の露光時の照度不軌特性、有機EL素子の光応答特性、画像が記録された色空間の明暗の特性、及び上記したネガ像の生成等により、単にネガ像をポジ像に変換しても原画像とパターン化された画像の階調は異なっている。加えて有機EL素子の発光特性のコントラストは一般には低いため、制限されたコントラストの中で階調を再現させようとすると、特にハイライト部とシャドウ部の情報が失われてしまうことが多く、不自然な階調の画像が得られるものと推定された。
このハイライト部とシャドウ部に注目し、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成することで自然な階調の画像が得られることが分かった。
(ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線)
撮影された画像の信号値、例えばデジタルカメラで撮影されたRGBのそれぞれ8ビットの画像の信号値から、例えばsRGB(standard RGB)変換されて、ある輝度を有する階調をもったカラー画像が、sRGBモニタ上に再現され、鑑賞することができる。
ここで画像の信号値とは、画像がデジタルカメラやスキャナーなどで撮影、記録された色空間におけるRGB値をいう。例えばデジタルカメラ等で用いられている色空間(例えばsRGB及びAdobe RGB)におけるRGB値を挙げることができる。
本発明では、パターン化しようとする信号値の持つ明るさと、その信号がパターン化されて発光する明るさとの関係を調子再現曲線という。明るさの単位は輝度で表すことが好ましい。具体的には、ある色空間における画像の信号値から導かれる三刺激値Yの常用対数(log(Y))と、パターン化された有機エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度の常用対数(log(発光輝度)、以下log(Lv)ともいう。)の関係を示す曲線を調子再現曲線として用いることができる。本発明では、この調子再現曲線が、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線であり、この調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成する。
三刺激値YとはCIE 1931 表色系の三刺激値におけるYをいう。本発明ではこの三刺激値Yの常用対数をパターンを構成するそれぞれの信号値の明るさの情報として扱い、発光パターンを有する有機EL素子から発光する発光輝度の常用対数のとの関係で、あらかじめ作成した、階調特性の優れた調子再現曲線に基づき、光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度を制御して階調特性の優れた画像を得ることができる。
調子再現曲線において、ある原画像を構成する信号値から得られる輝度情報と、同じ信号値からパターン化されて得られる輝度情報とが、全ての信号値に対して、45度の傾きをもった直線の場合、原画像とその画像をパターン化した画像とで明暗の情報は再現され同様な見え方をするはずである。しかし有機EL素子の最高発光輝度と最低輝度の比の値(コントラスト)が、原画像に対して狭いこと、及びパターン化の際の光照射光量に対するラチチュード(寛容度)が狭いことなどから、階調特性の優れた画像が得られるわけではない。本発明に係るあらかじめハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づきパターン化することで階調特性の優れた画像を得ることができる。
次に、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線の詳細を、図を用いて説明する。
図1は、本発明に係るあらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線の一例である。横軸は原画像の色空間の信号値から導かれる三刺激値Yの常用対数(log(Y))で、縦軸は発光パターンを有する有機EL素子の発光輝度の常用対数(log(Lv))である。縦軸の発光輝度は原画像の輝度値と絶対値が近似する必要はなく、調子再現曲線が縦軸に対して平行に移動していてもよい。この場合、明るさは異なるが階調特性としては同様な見え方をする。
本発明に係る調子再現曲線はハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する。
ハイライト部の軟調部分が、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも−0.20の範囲内であり、かつシャドウ部の軟調部分が、光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最低輝度から発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で少なくとも+0.20の範囲内であることが好ましい。
本発明においてシャドウ部は、調子再現曲線において発光パターンを有する有機EL素子の最低発光輝度から、輝度の常用対数、+0.05と+0.20の間の領域の階調の傾きγ値が、最高発光輝度から、輝度の常用対数単位で、−0.2と最低発光輝度から、輝度の常用対数単位で、+0.2の領域の階調の傾きγ値(直線部の階調の傾き)に対して80%以下であることが好ましい。30〜70%の範囲内にあることがより好ましい。
本発明においてハイライト部は、調子再現曲線において発光パターンを有する有機EL素子の最高発光輝度から、輝度の常用対数単位で、−0.05と−0.20との間の領域の階調の傾きγ値が、最高発光輝度から、輝度の常用対数単位で、−0.2と最低輝度から、輝度の常用対数単位で、+0.2の領域の階調の傾きγ値(直線部の階調の傾き)に対して80%以下であることが好ましい。30〜70%の範囲内にあることがより好ましい。
本発明において調子再現曲線における直線部とは、最高発光輝度から輝度の常用対数単位で−0.2と最低発光輝度から、輝度の対数単位で、+0.2との間の領域をいう。
この直線部の階調の傾きγ値は0.6〜2.0の範囲内であることが好ましい。好ましくは0.8〜1.50の範囲内である。
またこの領域で調子再現曲線は直線であることが好ましい。直線とは、この領域の調子再現曲線の階調の傾きの変動が、算術平均値に対して±50%以内であることをいう。具体的にはこの領域において、横軸の対数単位で0.1毎に階調の傾きを測定し、その値が全て直線部の算術平均値に対して±50%以内にはいっていることをいう。より好ましくは±30%以内である。
なお、階調の傾きとは、調子再現曲線におけるΔlog(Lv)/Δlog(Y)をいう。直線部の階調の傾きとは、調子再現曲線の上記領域におけるΔlog(Lv)/Δlog(Y)をいう。ここでLvは、発光パターンを有する有機EL素子の発光輝度を表す。
発光パターンを有する有機EL素子の発光特性を生かすために、この調子再現曲線の最高発光輝度の常用対数値と最低輝度の常用対数値は、それぞれ、有機EL素子に適切な電力を印加した時の最高発光輝度の対数値と最低輝度の対数値に一致することが好ましい。好ましい最高発光輝度の範囲としては150〜5000cd/mである。有機EL素子のコントラストが低く再現される範囲が狭いときはハイライト側を優先して再現させても良いし、ある特定の範囲の信号値を、本発明の調子再現曲線の形になるよう信号値を変換させてもよい。再現された調子再現曲線が、ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有することにより、階調特性の優れた画像を有する発光パターンを有する有機EL素子を得ることができる。
この階調特性は、再現領域が狭くコントラストの低い有機EL素子の場合、階調特性の改善効果が顕著であり、ハイライト部とシャドウ部の階調の再現性が良好である。
本発明の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度と最低輝度の比の値(コントラスト)は10以上であることが好ましい。さらに好ましくは30〜1000の範囲内である。
(画像の信号値の変換)
光照射された画像は、ネガ像になるため、元の画像信号値を本発明に係る、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な調部分を有する調子再現曲線となるよう階調変換して光照射量を変化する。この過程には、有機EL素子の露光量に対する非直線性の挙動、露光に対する照度不軌特性等の特性の補正も含めて行われる。
画像の階調変換はLUT(ルックアップテーブル)等を用いて、信号値を直接変換しても良いし、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線となるよう、画像のマスク(ネガ像)を別途作製し、透過光量を調節することで、階調を変換してしもよい。この場合、有機EL素子にマスクを密着させ一括露光することでパターン化することができる。この中では、画像の信号値を階調変換した後、光照射により発光パターンを有する有機EL素子を製造する方法が好ましい。この方法は、パターンの作製時間を短くできる点で好ましい。
以下、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき前記画像の信号値を階調変換して光照射量を変化させる方法について述べる。
原画像の信号値と明るさとの関係は、画像が記録された色空間の信号値と三刺激値Yの常用対数として表すことができる。調子再現曲線では、この三刺激値Yを輝度として扱い横軸にする。
原画像として画像が撮影されたときに、再現を前提とした色空間における信号値を三刺激値Yに変換することで得ることができる。一般のアマチュア撮影カメラは、sRGBの色空間を前提に設計されていることが多い。この場合信号値は、IEC 61966−2−1の規格に従って画像の信号値を三刺激値Yに変換し、この常用対数値を用いる。同様に他の色空間についても画像の信号値を三刺激値Yに変換し、この常用対数値を用いることで画像の明るさを輝度として扱うことができる。
例えば、sRGB色空間に対する、LUTによる画像の信号値の変換の手順は以下のとおりである。
(1)有機EL素子に対する照射相対光量と発光輝度の関係を求める。
まず、一定条件における有機EL素子に対する照射相対光量と、光照射により発光が阻害された有機EL素子の発光特性の関係を得る。ここで照射相対光量とは照射光量(W/cm)と照射時間(秒)の積のJ(ジュール)で表すことができる。すなわち有機EL素子の特性として照射相対光量と、その光照射により発光が阻害された有機EL素子の発光量(発光輝度)の関係を求める。具体的には、紫外線を光学くさび(以下ウェッジともいう。)を介し透過光量を変えて、有機EL素子に光照射し、個々の透過光量に対して有機EL素子の発光量を対応付けることで、この関係を求めることができる。
(2)画像信号値と照射相対光量の関係を求める。
次に、画像の信号値を、上記した信号値を三刺激値Yに変換し、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線の発光輝度となる照射相対光量を求める。具体的には、ある色空間における信号値Aから導かれるlog(Y)を求める。次に、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき、パターン化されたときその信号値が発光すべき輝度値Lvを求める。
(3)画像信号値と発光輝度の関係より変換テーブル(LUT)を求める。
次に(1)で求めたように照射相対光量と発光輝度は1対1対応するので、(1)で求めた有機EL素子に対する照射相対光量と発光輝度の関係を検量線として用い、(2)で求めたLvを与える三刺激値Y′を求め、さらにこのY′を与える信号値を色空間における信号値とlog(Y)の関係から求める。このようにして、もとの画像の信号値と調子再現曲線に基づく出力画像の信号値の対応関係を全てのデータについて行い、変換テーブル(LUT)を得ることができる。
本発明では一定光照射条件において、照射相対光量と発光輝度は1対1対応することに基づきLUTを求める。このとき三刺激値Yが100(logY=2)のとき有機EL素子の発光量が最大となるように設定することが好ましい。
次に得られたLUTで元画像データを変換し、変換された画像データX′、Y′、Z′が得られ、IEC 61966−2−1の規格に従って画像の信号値X′、Y′、Z′をR′、G′、B′の信号値に逆変換し、階調変換された出力用画像データを得ることができる。
<有機エレクトロルミネッセンス素子の構成>
本発明に係る有機EL素子は、少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えている。本発明における有機機能層とは、有機化合物を含有する層をいう。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層(青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を含む)電子輸送層、電子注入層を挙げることができる。有機機能層は発光層を含むことが好ましい。
本発明に係る有機EL素子は、種々の構成を採り得るが、一例を図2に示す。
図2に示すとおり、本発明に係る有機EL素子10は、基板13上に設けられており、基板13側から順に、第一電極(透明電極)1、有機材料等を用いて構成された有機機能層3、及び第二電極(対向電極)5aをこの順に積層して構成されている。第一電極1(電極層1b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。第一電極1と外部電源(図示略)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。有機EL素子10は、発生させた光(発光光h)を、少なくとも基板13側から取り出すように構成されている。
また、有機EL素子10の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。ここでは、第一電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、第二電極5aがカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機機能層3は、アノードである第一電極1側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられても良い。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられても良い。また、これらの有機機能層3のうち、例えば、電子注入層3eは無機材料で構成されている場合もある。
また、有機機能層3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていても良い。さらに、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。さらに、カソードである第二電極5aも、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成において、第一電極1と第二電極5aとで有機機能層3が挟持された部分のみが、有機EL素子10における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、第一電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、第一電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていても良い。
以上のような構成の有機EL素子10は、有機材料等を用いて構成された有機機能層3の劣化を防止することを目的として、基板13上において後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介して基板13側に固定されている。ただし、第一電極1(取り出し電極16)及び第二電極5aの端子部分は、基板13上において有機機能層3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
≪有機EL素子の製造方法≫
ここでは、一例として、図1に示す有機EL素子10の製造方法を説明する。
(1)積層工程
本発明に係る有機EL素子の製造方法では、基板13上に、第一電極1、有機機能層3及び第二電極5aを積層して形成する工程(積層工程)を行う。
まず、基板13を準備し、基板13上に、例えば、窒素原子を含んだ含窒素化合物からなる下地層1aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀(又は銀を主成分とする合金)からなる電極層1bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層1a上に形成し、アノードとなる第一電極1を作製する。同時に、第一電極1端部に、外部電源と接続される取り出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次に、この上に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に積層し、有機機能層3を形成する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られ易く、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。更に、層ごとに異なる形成法を適用しても良い。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして有機機能層3を形成した後、この上部にカソードとなる第二電極5aを、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、第二電極5aは、有機機能層3によって第一電極1に対して絶縁状態を保ちつつ、有機機能層3の上方から樹脂基板13の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。
(2)封止工程
積層工程の後には、有機機能層3を封止する工程(封止工程)を行う。
すなわち、第一電極1(取り出し電極16)及び第二電極5aの端子部分を露出させた状態で、樹脂基板13上に、少なくとも有機機能層3を覆う封止材17を設ける。
(3)光照射工程
有機エレクトロルミネッセンス素子は、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量が変化され、光照射される(光照射工程)。光照射することにより有機機能層3の発光機能を変調させて、発光パターンを有する有機EL素子10を製造することができる。光照射工程において、その光照射方法は、有機機能層3の所定パターン領域に所定の光照射することで当該照射部分を輝度が変化した発光領域とすることができれば、いずれの方法であっても良く、特定の方法に限定されるものではない。
光照射工程において照射される光は、紫外線、可視光又は赤外線を更に含有していても良いが、紫外線を含むことが好ましい。
ここで、本発明において、紫外線とは、その波長がX線よりも長く、可視光の最短波長より短い電磁波をいい、具体的には波長が、1〜400nmのものである。
紫外線の発生手段及び照射手段は、従来公知の装置等により紫外線を発生させ、かつ、照射すれば良く、特に限定されない。具体的な光源としては、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水素(重水素)ランプ、希ガス(キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオンなど)放電ランプ、窒素レーザー、エキシマレーザー(XeCl,XeF,KrF,KrClなど)、水素レーザー、ハロゲンレーザー、各種可視(LD)−赤外レーザーの高調波(YAGレーザーのTHG(Third Harmonic Generation)光など)、ライトエミッティングダイオード(LED)等が挙げられる。
このような光照射工程は、封止工程の後に行われることが好ましい。
ここで、第二電極5aが透光性を有していない場合、光の照射は、基板13の光取り出し面13a側から行う。この場合、基板13を介して有機機能層3に光を照射することになるため、基板13が照射光をある程度吸収する点を考慮して、光照射時間を十分に確保する必要がある。また、封止工程後に光照射工程を行うため、封止後の素子を大気中(開放系)に曝すことが可能であり、光照射工程をチャンバ内等の閉鎖系で行う必要がない。このため、低コストかつ簡易な製造工程で、発光パターンを有する有機EL素子を製造することができる。
なお、光照射工程は、封止工程の前に行うものであっても良く、積層工程において有機機能層3を形成した後であって第二電極5aを形成する前に行われるものであっても良い。この場合には、基板13側から光を照射しても良いし、有機機能層3側から光を照射しても良い。
また、光照射工程において、光強度又は照射時間等を調整して、光照射量を変化させることにより、当該光照射量に応じて光照射部分の発光輝度を変化させることが可能である。光照射量が多いほど発光輝度は減衰し、光照射量が少ないほど発光輝度の減衰率は小さい。したがって、光照射量が0、すなわち、光未照射の場合には、発光輝度は最大である。
これにより、製造される有機EL素子において、発光輝度の強弱を付けることが可能であり、駆動電流の増減によっても強弱を変化させることが可能である。また、輝度の減衰に伴い駆動電圧が高電圧化するが、この輝度−電圧特性は経時的に安定している。よって、発光時に発光領域に発光輝度の強弱が現れる有機EL素子を製造することが可能である。
以上により、所望の発光パターンを有する有機EL素子を製造することができる。このような有機EL素子10の製造においては、1回の真空引きで一貫して有機機能層3から第二電極5aまで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から基板13を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子10に直流電圧を印加する場合には、アノードである第一電極1を+の極性とし、カソードである第二電極5aを−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加しても良い。なお、印加する交流の波形は任意で良い。
以下、上述した有機EL素子10を構成するための主要各層の詳細とその製造方法について説明する。
<基板>
基板13は基本的に、支持体としての基材と、屈折率が1.4以上1.7以下の1層以上のバリア層とで、構成されていることが好ましい。
(1)基材
本発明に係る基材は、従来公知の基材を特に制限なく使用できる。本発明で好ましく用いられる基材は、有機EL素子に必要な耐湿性/耐気体透過性等のガスバリア性能を有することが好ましい。
本発明において、有機EL素子10の基板13側が発光面となる場合には、基材には可視光に対して透光性を有する材料が用いられる。この場合、その波長550nmでの光透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
また、基材は可撓性を有するのが好ましい。ここでいう「可撓性」とは、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻取る前後で割れ等が生じることのない基材をいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能な基材をいう。
本発明において、基材は、従来公知の基材であり、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、樹脂基材としてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、PMMA等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等の各樹脂フィルムが挙げられ、更に、シクロオレフィン系やセルロースエステル系のものも用いることができる。また、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記樹脂材料を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。
コストや入手容易性の観点から、無アルカリガラス、ソーダガラス、PET、PEN、PC、アクリル樹脂等が好ましく用いられる。
樹脂基材の場合は透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。
更に熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
基材の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜250μmであり、さらに好ましくは30〜150μmである。基材の厚さが10〜500μmの範囲にあることで、安定したガスバリア性を得られ、また、ロール・トゥ・ロール方式の搬送に適したものになる。
(2)バリア層
(2.1)特性及び形成方法
本発明において、基板13の基材には、屈折率が1.4以上1.7以内の1層以上のバリア層(低屈折率層)が設けられていても良い。このようなバリア層としては、公知の素材を特に制限なく使用でき、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜であっても良い。バリア層は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましく、また、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることがより好ましい。
このようなバリア層を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であれば良く、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に、当該バリア層の脆弱性を改良するため、これら無機層に、応力緩和層として有機材料からなる層(有機層)を積層する構造としても良い。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア層の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
(2.2)無機前駆体化合物
また、バリア層は、基材上に、少なくとも1層の無機前駆体化合物を含有する塗布液が塗布されることにより形成されるものであっても良い。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の層厚が好ましくは0.001〜10μm程度、さらに好ましくは0.01〜10μm程度、最も好ましくは0.03〜1μm程度となるように設定され得る。
本発明に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線照射によって金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を形成しうる化合物であれば特に限定されないが、本発明の製造方法に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を上げることができる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
<第一電極(透明電極)>
第一電極は、通常有機EL素子に使用可能な全ての電極を使用することができる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/同混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
本発明においては、第一電極が透明電極であることが好ましく、更には透明金属電極であることが好ましい。
例えば、図2に示すとおり、第一電極1は、基板13側から、下地層1aと、この上部に成膜された電極層1bとを順に積層した2層構造である。このうち、電極層1bは、例えば、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であり、下地層1aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、第一電極1の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。また、電極層1bにおいて主成分とは、電極層1b中の含有量が98質量%以上であることをいう。
(1)下地層
下地層1aは、電極層1bの基板13側に設けられる層である。下地層1aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜に際し、銀の凝集を抑制できるものであれば良く、例えば、窒素原子を含んだ含窒素化合物等が挙げられる。
下地層1aの厚さは、1μm以下とすることができる。好ましくは、10〜100nmの範囲内の層厚である。
下地層1aの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
(2)電極層
電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層であって、下地層1a上に成膜された層である。
このような電極層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層1bは、下地層1a上に成膜されることにより、電極層1b成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
電極層1bを構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
さらに、この電極層1bは、層厚が12nm以下であることが好ましく、4〜9nmの範囲内にあることがより好ましい。層厚が9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、第一電極1の透過率が大きくなる。また、層厚が4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
なお、以上のような下地層1aとこの上部に成膜された電極層1bとからなる積層構造の第一電極1は、電極層1bの上部が保護膜で覆われていたり、別の電極層が積層されていたりしても良い。この場合、第一電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の電極層が光透過性を有することが好ましい。
(3)第一電極(透明電極)の効果
以上のような構成の第一電極1は、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された下地層1a上に、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bを設けた構成である。これにより、下地層1aの上部に電極層1bを成膜する際には、電極層1bを構成する銀原子が下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
ここで、一般的に銀を主成分とした電極層1bの成膜においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立しやすく、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するには層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が下がるため、第一電極としては不適であった。
しかしながら、第一電極1によれば、上述したように下地層1a上において銀の凝集が抑えられるため、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
また、ここで、第一電極1の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、下地層1aとして用いられる上述した各材料は、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bと比較して十分に光透過性の良好な膜である。一方、第一電極1の導電性は、主に、電極層1bによって確保される。したがって、上述のように、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bが、より薄い層厚で導電性が確保されたものとなることにより、第一電極1の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になるのである。
<有機機能層>
(1)発光層
有機機能層3には少なくとも発光層3cが含まれる。
本発明に用いられる発光層3cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。なお、発光材料として、蛍光材料が使用されても良いし、リン光発光化合物と蛍光材料とを併用しても良い。
この発光層3cは、電極又は電子輸送層3dから注入された電子と、正孔輸送層3bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても発光層3cと隣接する層との界面であっても良い。
このような発光層3cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あっても良い。この場合、各発光層3c間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層3cの層厚の総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層3cの層厚の総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層3cの場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、更に、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層3cは、公知の発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
また、発光層3cは、複数の発光材料を混合しても良い。
発光層3cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパントともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(2)注入層(正孔注入層、電子注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層3aであれば、アノードと発光層3c又は正孔輸送層3bの間、電子注入層3eであればカソードと発光層3c又は電子輸送層3dとの間に存在させても良い。
正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明に係る電子注入層3eはごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(3)正孔輸送層
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであっても良い。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているようないわゆる、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層3bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層3bの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層3bは、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、正孔輸送層3bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層3bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(4)電子輸送層
電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層3d、及び、積層構造の電子輸送層3dにおいて、発光層3cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層3dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層3dの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層3dは上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、電子輸送層3dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層3dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した下地層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。これは、電子注入層3eを兼ねた電子輸送層3dであっても同様であり、上述した下地層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。
(5)阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、有機機能層3として、上記各機能層の他に、更に設けられていても良い。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層3dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層3dの構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層3cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層3bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
<第二電極(対向電極)>
第二電極5aは、有機機能層3に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
第二電極5aは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、第二電極5aとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、層厚は通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機EL素子10が、第二電極5a側からも発光光hを取り出すものである場合であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して第二電極5aを構成すれば良い。
<取り出し電極>
取り出し電極16は、第一電極1と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
<補助電極>
補助電極15は、第一電極1の抵抗を下げる目的で設けるものであって、第一電極1の電極層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
<封止材>
封止材17は、有機EL素子10を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によって基板13側に固定されるものであっても良く、また、封止膜であっても良い。このような封止材17は、有機EL素子10における第一電極1及び第二電極5aの端子部分を露出させ、少なくとも有機機能層3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機EL素子10の第一電極1及び第二電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていても良い。
板状(フィルム状)の封止材17としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いても良い。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、素子を薄膜化できるということから、封止材17としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材17として用いても良い。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材17を基板13側に固定するための接着剤19は、封止材17と基板13との間に挟持された有機EL素子10を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子10を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいても良い。
封止材17と基板13との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使っても良いし、スクリーン印刷のように印刷しても良い。
また、板状の封止材17と基板13と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、有機EL素子10における有機機能層3を完全に覆い、かつ有機EL素子10における第一電極1及び第二電極5aの端子部分を露出させる状態で、基板13上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子10における有機機能層3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。更に、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
<保護膜、保護板>
なお、ここでの図示は省略したが、基板13との間に有機EL素子10及び封止材17を挟んで保護膜又は保護板を設けても良い。この保護膜又は保護板は、有機EL素子10を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機EL素子10に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜又は保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜又は保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ素子の薄膜化という観点からポリマーフィルムを用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
《有機EL素子101の作製》
<発光パターンを有する有機EL素子101の作製>
ポリシラザンと有機層(応力緩和層)を積層したガスバリア層を有する厚さ75μmのPET(コスモシャインA4300 東洋紡製)の透明樹脂基板上に、真空蒸着装置内で、下記構造式で表される含窒素化合物N−1を25nmの厚さで成膜後、マスクを使用して陽極として銀を10nmの厚さで成膜した。なお、透明樹脂基板のガスバリア層は、特開2012−599号公報の実施例1におけるバリアフィルム試料1と同様にして形成した。
更に、蒸着用るつぼの各々に、正孔注入材料としてCuPc(銅フタロシアニン)、正孔輸送材料としてα−NPD、青色発光層のホスト化合物としてDPVBi、青色発光層のドーパントとしてFIr(pic)、緑色発光層のホスト化合物としてCBP、緑色発光層のドーパントとしてIr(ppy)、赤色発光層のドーパントとしてIr(piq)、正孔阻止材料としてBAlq、電子輸送材料としてAlq、電子注入材料としてLiFを各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
N−1、CuPc、α−NPD、DPVBi、FIr(pic)、CBP、Ir(ppy)、Ir(piq)、BAlq、Alqをそれぞれ以下に示す。
Figure 0006269662
次いで、真空度4×10−4Paまで減圧した後、CuPcの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、CuPcを蒸着速度0.1nm/秒で樹脂基板のITO電極側に蒸着し、層厚15nmの正孔注入層を設けた。
次いで、α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、α−NPDを蒸着速度0.1nm/秒で正孔注入層上に蒸着し、層厚25nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、3質量%のFIr(pic)とDPVBiの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、FIr(pic)とDPVBiとを合計の蒸着速度0.1nm/秒で正孔輸送層上に共蒸着し、層厚15nmの青色発光層を設けた。
次いで、CBPの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、CBPを蒸着速度0.1nm/秒で青色発光層上に蒸着し、層厚5nmの第1中間層を設けた。
次いで、5質量%のIr(ppy)とCBPの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、Ir(ppy)とCBPとを合計の蒸着速度0.1nm/秒で第1中間層上に共蒸着し、層厚10nmの緑色発光層を設けた。
次いで、CBPの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、CBPを蒸着速度0.1nm/秒で緑色発光上に蒸着し、層厚5nmの第2中間層を設けた。
次いで、8質量%のIr(piq)とCBPの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、Ir(piq)とCBPとを合計の蒸着速度0.1nm/秒で第2中間層上に共蒸着し、層厚10nmの赤色発光層を設けた。
次いで、BAlqの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、BAlqを蒸着速度0.1nm/秒で赤色発光層上に蒸着し、層厚15nmの正孔阻止層を設けた。
次いで、Alqの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、Alqを蒸着速度0.1nm/秒で正孔阻止層上に蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を設けた。
更に、LiFの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、LiFを蒸着速度0.1nm/秒で電子輸送層上に蒸着し、層厚1nmの電子注入層を設けた。このようにして有機機能層を形成した。
最後に、アルミニウムを電子注入層上に蒸着し、層厚110nmの陰極を設け、有機EL素子を作製した。
そして、前記蒸着面側を厚さ300μmのエポキシ樹脂で覆って封止材とし、更に、厚さ12μmのアルミニウム箔で覆って保護膜とした後、硬化させた。ここまでの操作は全て、素子を大気に接触させることなく、窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)内で行った。
樹脂基板の上記各層が設けられている側と反対側の面上に、パターンマスク及び紫外線吸収フィルター(五鈴精工硝子株式会社製)を配置した状態で減圧密着し、UVテスター(岩崎電気株式会社製、SUV−W151:100mW/cm)を用いて、樹脂基板側から紫外線を3時間照射し、パターン化した。
紫外線吸収フィルターは、320nm以下の波長成分の光透過率が50%以下のもの(カット波長:320nm)を用いた。このようにして有機EL素子101を作製した。
<発光パターンを有する有機EL素子4の作製>
上記のように作製した有機EL素子101の発光領域サイズ93×93mmの部分に段階的に濃度を変化させたスケールを用いて、UVテスター(岩崎電気株式会社製、SUV−W151:100mW/cm)の光量を変化させて光照射し、発光輝度が変化しているスケールの発光輝度をコニカミノルタ社製2次元色彩輝度計CA−2000で測定し、有機EL素子に与えた照射相対光量とパターン化後の発光輝度の関係を示す検量線を求めた。
次にsRGB色空間での鑑賞を前提とした、RGBそれぞれ8ビットの信号値を有する人物画像を用いて画像信号の変換を行った。
まず信号値は、IEC 61966−2−1の規格に従って画像の信号値を三刺激値Yに変換し、この常用対数値を用いて、原画像の信号値と明るさの関係を求めた。
次に原画像の信号値Aから導かれるlogYが、あらかじめ作成したハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する表1のOLED4で示される特性を有する調子再現曲線で定められる発光輝度を与えることができるよう、検量線から露光量を読み取り、この露光量を与えるデジタルデータBを求め、デジタルデータAをBに変換する。これを、全てのデータについて行い変換テーブル(LUT)を得た。このとき三刺激値Yが100(logY=2)のとき有機EL素子の発光量が最大となるようにしてハイライト側の情報を失わないようにするとともに、照射相対光量と三刺激値Yの値を関連付けた。
このようにして信号値をもとのデータから変換したデータを基に、検量線を作製したときと同じ条件で紫外線を照射してパターン化を行い、発光パターンを有する有機EL素子4を作製した。
<発光パターンを有する有機EL素子5〜7の作製>
発光パターンを有する有機EL素子4と同様にして、表1に示した特性を有する調子再現曲線を用いてパターン化を行い、発光パターンを有する有機EL素子5〜7を作製した。直線部については、その変動が表に示されている値になるよう、調子再現曲線の直線部を変化させてパターン化を行った。
<発光パターンを有する有機EL素子1〜3の作製>
発光パターンを有する有機EL素子1では調子再現曲線による階調調整は行わず、単にRGBのデータを明暗を逆転させて用いた。
発光パターンを有する有機EL素子4と同様にして、表1に示した特性を有する調子再現曲線を用いてパターン化を行い、発光パターンを有する比較の有機EL素子2及び有機EL素子3を作製した。なお以下の実施例では発光パターンを有する有機EL素子を、OLEDと略記した。
実施例1に用いた調子再現曲線の直線部の存在の有無、直線部のγ、ハイライト部のγ、シャドウ部のγ、最高発光輝度、最低輝度のそれぞれの値及びコントラストを表1に示す。なお、調子再現曲線の横軸の対数単位で0.1毎に階調の傾きを測定し、その最大の変動を、直線部の算術平均値に対して、変動の大きさを相対値(±%)として変動の大きさを示した。
表1において、*1は最高発光輝度と最低輝度の比のコントラストが低く、本発明における直線部を有しないものであった。
さらに、このようにして作製した発光パターンを有する有機EL素子の階調は、それぞれ、あらかじめ作成した調子再現曲線と同じ階調を有する発光パターンであることを確認した。
Figure 0006269662
得られた人物画像がパターン化されたOLED1から7の発光画像を被験者10名で観察し主観評価実験を行った。発光画像の階調特性として好ましくないものを1、好ましいもの5とし5段階評価を行った。10人の被験者の平均ランクを表2に示す。
Figure 0006269662
表2から本発明のOLED4〜7は階調特性が優れていることが分かる。
[実施例2]
実施例1と同様の有機EL素子、手法を用いてsRGB色空間での鑑賞を前提とした、RGBそれぞれ8ビットの信号値を有する風景画像の出力を行った。
実施例2に用いた調子再現曲線の直線部の存在の有無、直線部のγ、ハイライト部のγ、シャドウ部のγ、最高発光輝度、最低輝度のそれぞれの値及びコントラストを表3に示す。
<発光パターンを有する有機EL素子8〜13の作製>
実施例1の発光パターンを有する有機EL素子4の作製と同様にして、発光パターンを有する有機EL素子8〜13を作製した。
またこのようにして作製した発光パターンを有する有機EL素子の階調は、それぞれ、あらかじめ作成した調子再現曲線と同じ階調を有する発光パターンであることを確認した。
Figure 0006269662
実施例1と同様に被験者10名で観察し主観評価実験を行った。平均ランクを表4に示す。
Figure 0006269662
表4から本発明のOLED10〜13は階調特性が優れていることが分かる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法により、階調特性の優れた発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。
1 第一電極
1a 下地層
1b 電極層
3 有機機能層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 第二電極
10 有機EL素子
13 基板
13a 光取り出し面
15 補助電極
16 取り出し電極
17 封止材
19 接着剤
h 発光光
10 有機EL素子

Claims (5)

  1. 少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に光照射して形成する発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    パターン化する画像について、あらかじめ作成した、ハイライト部とシャドウ部と直線部とからなり、かつハイライト部とシャドウ部とに直線部の階調の傾きより低い軟調な部分を有する調子再現曲線に基づき光照射量を変化させて、当該光照射量に対応した発光輝度による階調を有する発光パターンを形成することを特徴とする発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記調子再現曲線の前記直線部の階調の傾きが、0.6〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度と最低輝度の比の値が、10以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記調子再現曲線における前記ハイライト部の軟調部分が、発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最高発光輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも−0.20の範囲内であり、かつ前記シャドウ部の軟調部分が、光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の最低輝度から、発光輝度の常用対数(log(発光輝度))単位で、少なくとも+0.20の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記光照射して形成する発光パターンが、紫外線を含む光を照射して形成する発光パターンであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の発光パターンを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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