本発明に係るレーザ測量システムの一実施例としてのレーザ測量システム10を、図1から図15を用いて説明する。本実施例のレーザ測量システム10は、図1に示すように、本発明に係る回転レーザ出射装置の一実施例としての回転レーザ出射装置11とレーザ受光装置12とを備える。このレーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11を既知点Xに設置するとともに、レーザ受光装置12を測量したい箇所に設置する。そして、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が測定用レーザ光線Lを一定の速度で回転照射し、レーザ受光装置12が自らに向けて照射された測定用レーザ光線Lを受光してその受光信号を演算処理することにより、回転レーザ出射装置11(既知点X)を基準とするレーザ受光装置12(測量したい箇所)の位置を測量する。
その回転レーザ出射装置11は、既知点Xに設置した三脚13に取り付けられることで、当該既知点Xに設置される。回転レーザ出射装置11は、三脚13への取り付け箇所を構成する基台21と、その基台21に固定された本体部22と、その本体部22に回転自在に設けられた回転体23と、を有する。回転レーザ出射装置11は、後述するように、本体部22の内方で回転体23を一定の速度で回転させるとともに、そこに設けられた後述するペンタプリズム54(出射部(図3等参照))から測定用レーザ光線Lを出射させることで、測定用レーザ光線L(後述する照射光線S1、S2、S3)を回転照射する。
回転レーザ出射装置11は、図2に示すように、基台21に固定された本体部22が全体に筒形状を呈する本体ケース24を有し、その本体ケース24により本体部22の外装部分が形成されている。この本体ケース24には、上部に天井部25が設けられている。この天井部25は、回転体23(そこに設けられた後述するペンタプリズム54(レーザ出射機構31の出射部(図3等参照)))の保護や防水のために、回転体23(ペンタプリズム54)の上方を覆っている。天井部25は、本実施例では、互いに等しい間隔で設けられた4本の支持柱26(図1等参照)を介して本体ケース24に設けられている。
その各支持柱26は、本体ケース24の中心軸線が鉛直方向に向けられた状態において、鉛直方向に真っ直ぐに伸びる柱状とされており、本体ケース24の中心軸線に対する位置関係が互いに等しいものとされている。その本体ケース24では、天井部25との間を塞ぐように4つのカバー部材27が設けられている。その各カバー部材27は、後述するレーザ出射機構31から出射される測定用レーザ光線Lの透過を許す材料で形成され、4本の支持柱26のうちの隣り合う2つの支持柱26の間を架け渡す矩形の板状を呈する。このため、本体ケース24では、その上部であって天井部25との間に、レーザ出射機構31(その出射部(ペンタプリズム54))からの測定用レーザ光線Lを出射するための出射箇所が形成されている。
その本体ケース24には、回転体23に設けられた出射窓28を上記出射箇所に位置させつつ、当該回転体23が収容されて設けられている。その出射窓28は、回転体23に収容された後述するペンタプリズム54から出射されるレーザ出射機構31からの測定用レーザ光線Lを、回転体23の外方へと通すことを可能とする(図3参照)。本体ケース24では、上面の中央部に截頭円錐体形の凹部29が設けられており、その凹部29の中心に上下方向に貫通する貫通孔29aが設けられている。この本体ケース24では、凹部29の貫通孔29aを通してレーザ出射機構31が設けられている。
そのレーザ出射機構31は、全体に上下方向に長尺な筒状を呈する出射部筐体32により外装部分が形成されている。その出射部筐体32は、後述するように、レーザ出射機構31における出射のための構成(後述するレーザ光線発光部51、コリメータレンズ52等(図3参照))を収容するものであり、上部に球面座33が設けられている。その球面座33は、出射部筐体32(レーザ出射機構31)が本体ケース24に対して傾くことを可能としつつ、当該出射部筐体32(レーザ出射機構31)が凹部29の貫通孔29a(その内周縁部)に支持される箇所を構成する。この出射部筐体32の上端に回転体23が設けられている。
この回転体23は、図3に示すように、筒状を呈し、上下方向で見た中間位置に内径寸法を狭めるべく内側へ向けて突出する板状の縮径部34が設けられている。その縮径部34は、後述するように回折格子53が設けられる箇所を構成し、レーザ光線発光部51から出射された測定用レーザ光線Lが回折格子53へと入射することを可能とする。回転体23は、下端が軸受部材35を介して出射部筐体32の上端に取り付けられており、当該出射部筐体32に対してその中心軸線(後述する出射光軸Ae)を回転中心として回転することが可能とされている。このため、出射部筐体32の中心軸線(出射光軸Ae)は、回転体23(その出射窓28)、すなわち回転照射のためのレーザ出射機構31における回転軸Arとなる。
その回転体23には、図2に示すように、走査ギア36が設けられ、出射部筐体32には、走査モータ37が設けられている。その走査モータ37は、駆動されると回転軸部37aを介して回転駆動力を出力するものであり、後述する出射側制御部61の制御下で回転駆動部63(図4参照)を介して適宜駆動される。走査モータ37では、回転軸部37aに駆動ギア38が取り付けられている。その駆動ギア38は、回転体23に設けられた走査ギア36に噛み合わせられている。回転体23は、出射部筐体32に設けられた走査モータ37が駆動されることにより、駆動ギア38および走査ギア36を介して回転駆動力が伝達されて、出射部筐体32に対して回転軸Arを回転中心として回転駆動される。
また、回転体23と出射部筐体32との間には、エンコーダ39が設けられている。このエンコーダ39は、回転体23に設けられたスリット円板39aと、出射部筐体32に設けられた光検知部39bと、を有する。その光検知部39bは、スリット円板39aの一部を上下方向で挟む位置関係とされた一対の突出箇所を有し、一方の突出箇所から出射された信号(光等)を他方の突出箇所で検出する。スリット円板39aは、一方の突出箇所から出射された信号(光等)の通過を阻む材料で形成されるとともに、当該信号(光等)の通過を許すスリットが円周方向で等間隔に複数設けられて構成されている。このエンコーダ39は、出射部筐体32に対して回転体23が回転駆動されると、その相対的な回転に伴ってスリット円板39aが出射部筐体32すなわち光検知部39bに対して回転移動し、光検知部39bにおける信号(光等)の検知をスリット円板39aがその複数のスリットで断続的に可能とする。このため、エンコーダ39では、出射部筐体32に対する回転体23の回転に伴って、高低の波形を繰り返す回転検出信号(図8の上側の波形参照)を出力する。
その出射部筐体32が設けられた本体ケース24には、一対の傾斜機構41(一方は図示せず)が設けられている。この一対の傾斜機構41は、出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きおよびその方向を制御するために設けられている。その出射部筐体32は、上述したように、球面座33を介して本体ケース24の凹部29の貫通孔29a(その内周縁部)に支持されることで当該本体ケース24に対して傾けることが可能とされている。この両傾斜機構41は、本体ケース24の中心軸線に直交する平面上で、当該中心軸線から見て互いに直交する方向に位置されており、位置が異なることを除くと互いに等しい構成とされている。このため、以下では、一方の傾斜機構41の構成について説明し、他方の傾斜機構41の説明は省略する。
傾斜機構41は、傾斜用モータ42と傾斜用スクリュー43と傾斜ナット44と引張バネ45とを有する。その傾斜用モータ42は、本体ケース24に固定されて設けられ、駆動されると回転軸部42aを介して回転駆動力を出力する。傾斜用モータ42は、回転軸部42aに駆動ギア46が取り付けられており、後述する出射側制御部61の制御下で傾斜駆動部64(図4参照)を介して適宜駆動される。傾斜用スクリュー43は、本体ケース24の中心軸線と平行な方向に沿って当該本体ケース24に設けられ、本体ケース24に対して自らの中心軸線を回転中心として回転(自転)することが可能とされている。この傾斜用スクリュー43には、傾斜用ギア47が固定されている。この傾斜用ギア47は、傾斜用モータ42の回転軸部42aに設けられた駆動ギア46に噛み合わされている。
傾斜ナット44は、傾斜用スクリュー43を取り巻きつつ当該傾斜用スクリュー43に噛み合わされて設けられており、図示は略すが本体ケース24に対する回転が防止されている。このため、傾斜ナット44は、傾斜用スクリュー43が回転(自転)されると、その回転方向に従って上方もしくは下方へと当該傾斜用スクリュー43上を移動する。この傾斜ナット44には、軸線に直交する方向へと突出する円柱形状のナット側ピン44aが設けられている。
引張バネ45は、螺旋状とされた線材により構成され、無負荷状態において最も縮み、一端と他端とを離間させる動作に抗する弾性力を発揮する。この引張バネ45は、伸張された状態で、本体ケース24の凹部29に設けられたバネ受部29bと、出射部筐体32における球面座33よりも下方位置と、を架け渡して設けられている。そのバネ受部29bは、本体ケース24の中心軸線に直交する平面上で、当該中心軸線から見た方向が傾斜機構41の設けられた方向と一致されている。
その引張バネ45の一端が取り付けられた出射部筐体32には、自らの中心軸線(回転軸Ar)に直交する方向に突出する一対の傾斜アーム48(一方は図示せず)が設けられている。その一対の傾斜アーム48は、同じく対を為す傾斜機構41に対応すべく、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)に直交する平面上で、当該中心軸線から見た出射部筐体32からの突出方向が傾斜機構41の設けられた方向と一致されている。その各傾斜アーム48では、突出端にアーム側ピン48aが設けられている。このアーム側ピン48aは、傾斜ナット44に設けられたナット側ピン44aと直交する方向に伸びる円柱形状を呈し、当該ナット側ピン44aと接触しつつその接触位置をずらすように互いに滑ることが可能とされている。アーム側ピン48aは、対応する傾斜機構41における傾斜ナット44のナット側ピン44aの下方に位置される。すると、出射部筐体32は、上述した引張バネ45で引っ張られることにより本体ケース24に対して傾けられるため、傾斜アーム48のアーム側ピン48aが上方へ向けて移動しようとするので、当該アーム側ピン48aが傾斜ナット44の傾斜用スクリュー43上での位置に関わらずそのナット側ピン44aに押し当てられる。
このような構成であることから、傾斜機構41では、後述する出射側制御部61の制御下で傾斜駆動部64(図4参照)を介して傾斜用モータ42が駆動されると、駆動ギア46および傾斜用ギア47を介して傾斜用スクリュー43を回転させることができ、その回転量および回転方向に伴って傾斜ナット44を傾斜用スクリュー43上の任意の位置へと上下方向に移動させることができる。すると、傾斜ナット44の位置によりナット側ピン44aに押し当てられたアーム側ピン48aを介して傾斜アーム48の位置が変化し、その傾斜アーム48の位置の変化により出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きが変化する。このため、傾斜機構41は、出射側制御部61の制御下で、出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きを調整することができる。そして、傾斜機構41は、上述したように、互いに直交する方向で対を為して設けられている。このことから、一対の傾斜機構41は、出射側制御部61の制御下で、出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することができる。
その出射部筐体32には、一方向の水平状態を検知することのできるレベルセンサ49が対を為して設けられている。この一対のレベルセンサ49は、検知可能な方向を互いに直交させて設けられており、双方が水平状態を検知すると出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)が鉛直方向と平行な状態となるように位置が設定されている。一対のレベルセンサ49は、その検出信号を後述する出射側制御部61へと出力する(図4参照)。このため、出射側制御部61は、両レベルセンサ49からの検出信号に基づいて、双方が水平状態を検知するように後述する傾斜駆動部64(図4参照)を介して一対の傾斜機構41を駆動制御することで、出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar))を常に鉛直方向に沿って伸びる状態(以下では、レーザ出射機構31の鉛直状態ともいう)とすることができる。また、出射側制御部61は、両レベルセンサ49からの検出信号に基づいて、出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar))を任意の方向へと任意の角度に傾けた状態とすることもできる。
その出射部筐体32には、レーザ出射機構31が設けられている。そのレーザ出射機構31は、図3に示すように、照射光軸Ai上で照射する測定用レーザ光線Lを生成するものであり、出射部筐体32内のレーザ光線発光部51およびコリメータレンズ52と、回転体23内の回折格子53およびペンタプリズム54と、を有する。
レーザ光線発光部51は、後述する光源駆動部62に接続されており、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を出射光軸Aeとするように当該出射部筐体32に固定されて設けられている。このレーザ光線発光部51は、後述する出射側制御部61(図4参照)の制御下で光源駆動部62により適宜駆動されて出射光軸Ae上に測定用レーザ光線Lを出射する。この出射側制御部61(光源駆動部62)によるレーザ光線発光部51の駆動制御については、後に説明する。その出射光軸Ae上にコリメータレンズ52が設けられている。そのコリメータレンズ52は、レーザ光線発光部51から出射された測定用レーザ光線Lを平行光束とするものであり、出射部筐体32に固定されて設けられている。このコリメータレンズ52を経て平行光束とされた測定用レーザ光線Lは、縮径部34(その内方)を経て回転体23内に至る。
その回転体23は、上述したように、出射部筐体32に対して回転軸Arを回転中心として回転することが可能とされている。回転体23では、縮径部34の上方に回折格子53が固定されて設けられており、その回折格子53の上方にペンタプリズム54が固定されて設けられている。その回折格子53は、レーザ光線発光部51から出射されコリメータレンズ52を経て平行光束とされた測定用レーザ光線Lを3分割(照射光線S1、S2、S3参照)するために設けられている。そして、回折格子53は、後述するように測定用レーザ光線Lが回転体23の出射窓28から照射光軸Ai上に出射された状態において、その照射光軸Aiに直交する平面上で見ると、照射光線S1と照射光線S2とを所定の間隔を置いて互いに平行な光線とし、かつ照射光線S3を照射光線S1と照射光線S2との間で当該照射光線S1および照射光線S2に対して傾斜する光線とする。この照射光線S3は、本実施例では、照射光線S1と照射光線S2との間で一方の上端と他方の下端とを架け渡すように斜めに延在する光線としている。このため、回折格子53は、レーザ光線発光部51から出射されコリメータレンズ52を経て平行光束とされた測定用レーザ光線Lを、照射光軸Aiに直交する平面上で見て、照射光線S1、照射光線S2および照射光線S3によりN字形状を描く光線に成形する。この回折格子53は、本実施例では、バイナリ光学素子(Binary Optical Element(BOE))が用いられている。なお、回折格子53は、測定用レーザ光線Lの進行方向で見て、後述するように、レーザ光線発光部51から出射されコリメータレンズ52を経て平行光束とされた測定用レーザ光線Lがペンタプリズム54により進行方向が変えられた後に透過する位置に配置してもよい。
ペンタプリズム54は、回折格子53により3つに分割された測定用レーザ光線L(照射光線S1、S2、S3)が進行する向き(方向)を、レーザ光線発光部51からの出射方向となる出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)に沿う方向から、そこに直交する方向へと変える。すなわち、ペンタプリズム54は、レーザ出射機構31における測定用レーザ光線Lの進行方向を、レーザ光線発光部51からの出射方向である出射光軸Aeから、当該出射光軸Aeに直交する照射光軸Aiへと変える機能を有する。このペンタプリズム54は、照射光軸Ai上に回転体23の出射窓28を位置させるように、当該回転体23内での位置が設定されている。
このため、回折格子53とペンタプリズム54とは、レーザ出射機構31において、レーザ光線発光部51から出射されてコリメータレンズ52を経て出射光軸Ae上を進行する測定用レーザ光線Lを、回転体23の出射窓28から照射光軸Ai上を進行する3つの照射光線S1、S2、S3として出射させる機能を有する。このことから、レーザ出射機構31の回転体23の中のペンタプリズム54(出射窓28)は、回転レーザ出射装置11における出射部として機能する。そして、この3つの照射光線S1、S2、S3は、回折格子53とペンタプリズム54とにより、出射光軸Aeから遠ざかるに伴い広がる末広がりの扇状を呈し、互いに等しい広がり角度とされた光束(所謂ファンビーム)とされる(図1等参照)。また、3つの照射光線S1、S2、S3は、ファンビームとされることで出射光軸Aeから遠ざかるに伴いそれぞれ広がっていくが、出射光軸Aeからの距離の変化に関わらず照射光軸Aiに直交する平面上に描くN字形状の形状を変化させないものとされている。換言すると、3つの照射光線S1、S2、S3では、照射光軸Aiに直交する平面上に描くN字形状が、出射光軸Aeからの距離の変化に応じて大きさ寸法の異なる相似形とされている。そして、回転レーザ出射装置11では、回転体23に回折格子53およびペンタプリズム54が固定されていることから、後述する出射側制御部61(図4参照)の制御下で回転体23を出射部筐体32に対して一定の速度で回転駆動することにより、照射光軸Aiを本体ケース24に対して一定の速度で回転駆動することができる。このため、回転レーザ出射装置11では、測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射することができる。このことから、3つの照射光線S1、S2、S3では、回転レーザ出射装置11(出射光軸Ae)からの距離の差異に関わらず、回転により通過する際のそれぞれの時間間隔が等しいものとされている。
この回転レーザ出射装置11は、図4に示すように、出射側制御部61と、光源駆動部62と、回転駆動部63と、傾斜駆動部64と、回転角検出部65と、鉛直状態検出部66と、傾斜状態検出部67と、出射側通信部68と、を有する。この出射側制御部61は、回転角検出部65、鉛直状態検出部66および傾斜状態検出部67からの検出信号や、図示を略す操作部に為された操作に応じた操作信号を取得することが可能とされている。出射側制御部61は、記憶部61aに格納されたプログラムにより、回転レーザ出射装置11の駆動すなわち光源駆動部62と回転駆動部63と傾斜駆動部64と出射側通信部68との駆動を統括的に制御する。具体的には、出射側制御部61は、回転角検出部65、鉛直状態検出部66および傾斜状態検出部67からの検出内容や操作部(図示せず)に為された操作に基づいて、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射させる駆動処理や、出射部筐体32の姿勢制御処理(例えば、レーザ出射機構31を鉛直状態とすること)や、測定用レーザ光線Lに通信情報を重畳する情報重畳処理や、出射側通信部68を用いたレーザ受光装置12の後述する受光側制御部73(図5参照)との通信処理等を行う。その光源駆動部62、回転駆動部63、傾斜駆動部64、回転角検出部65、鉛直状態検出部66、傾斜状態検出部67および出射側通信部68には、出射側制御部61を介して、図示を略す電源から電力が供給され、それぞれの動作の実行が可能とされている。この出射側制御部61は、図示は略すがメイン基板にコンデンサや抵抗等の複数の電子部品が実装されて構成されており、そのメイン基板が本体ケース24(図2参照)の内方で当該本体ケース24に固定されて設けられている。
光源駆動部62は、出射側制御部61の制御下でレーザ光線発光部51(図3参照)を駆動することで、当該レーザ光線発光部51から測定用レーザ光線Lを出射させる。このとき、光源駆動部62は、出射側制御部61の制御下で、通信情報を重畳させて測定用レーザ光線Lを出射するが、これについては後に説明する。
回転駆動部63は、出射側制御部61の制御下で、出射部筐体32に設けられた走査モータ37(図2参照)を駆動する。すなわち、回転駆動部63は、出射側制御部61の制御下で、走査モータ37を駆動することにより、その回転軸部37aに取り付けられた駆動ギア38およびそこに噛み合わされた走査ギア36を介して、出射部筐体32に対して回転体23を回転駆動する(図2参照)。このため、回転駆動部63は、レーザ出射機構31において、照射光軸Aiを出射部筐体32すなわち本体ケース24に対して回転駆動する。
傾斜駆動部64は、出射側制御部61の制御下で、本体ケース24に設けられた一対の傾斜機構41の各傾斜用モータ42(図2参照)を駆動する。すなわち、傾斜駆動部64は、出射側制御部61の制御下で、各傾斜用モータ42を駆動することにより、出射部筐体32すなわちレーザ出射機構31の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することができる(図2参照)。
回転角検出部65は、出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(回転角)を検出するものであり、本実施例では、エンコーダ39(図2参照)とカウンタ69(図7参照)とで構成されている。その回転姿勢とは、回転体23からの測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)の照射方向となる照射光軸Ai(図3参照)が、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を回転中心とする回転方向で見て、出射部筐体32における基準位置に対していずれの方向を向けられた状態であるか、を示すものである。換言すると、回転姿勢は、上記回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角で示すことができ、上記回転方向で見て出射部筐体32すなわち本体ケース24に対して測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が出射される方向(照射光軸Aiが向けられた方向)を示す。そのエンコーダ39は、上述したように、出射部筐体32に対する回転体23の回転に伴って高低の波形を繰り返す回転検出信号(図8の上側の波形参照)をカウンタ69に出力する(図7参照)。そのカウンタ69は、回転体23の出射部筐体32に対する回転姿勢の基準位置を基準として、エンコーダ39からの回転検出信号における高低の波形の数をカウントするものであり、そのカウント信号を出射側制御部61に出力する(図7参照)。その出射側制御部61は、エンコーダ39からのカウント信号から、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角)を判断することができる。このため、回転角検出部65は、回転方向検出部として機能する。
鉛直状態検出部66は、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の鉛直方向に対する姿勢を検出するものであり、本実施例では、一対のレベルセンサ49(図2参照)で構成されている。その一対のレベルセンサ49は、上述したように、それぞれが一方向の水平状態を検知することができるとともに、双方が水平状態を検知すると出射部筐体32(その中心軸線(レーザ出射機構31の回転軸Ar))が鉛直方向に沿って伸びる姿勢となるように設定されている。このため、出射側制御部61は、鉛直状態検出部66としての両レベルセンサ49が水平状態を検知する状態とすることにより、常に出射部筐体32を鉛直方向に沿って伸びる姿勢(レーザ出射機構31を鉛直状態)とすることができ、鉛直状態検出部66としての各レベルセンサ49のそれぞれが狙った値を検知する状態とすることにより、出射部筐体32を鉛直方向に対して任意の方向へと任意の角度に傾けた姿勢とすることができる。
傾斜状態検出部67は、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きを検出するものである。この傾斜状態検出部67は、図示は略すが、本体ケース24と出射部筐体32との間に設けられた、相対的な位置関係の変化を検出する機構(例えば、光出射部と受光部との組み合わせ)により構成されている。なお、傾斜状態検出部67は、出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きを検出するものであれば、他の構成であってもよく、本実施の構成に限定されるものではない。その他の構成としては、例えば、本体ケース24の鉛直方向に対する傾斜およびその方向を検出するための一対のレベルセンサを設け、それぞれからの検出信号と一対のレベルセンサ49からの検出信号とから、出射部筐体32の本体ケース24に対する傾きを把握することがあげられる。
出射側通信部68は、レーザ受光装置12の後述する受光側通信部80(図5参照)を介して、出射側制御部61とレーザ受光装置12の後述する受光側制御部73(図5参照)との間での情報(データ)の遣り取りを可能とする。本実施例では、出射側通信部68は、傾斜状態検出部67で検出した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きの情報や、回転レーザ出射装置11が設置された既知点Xの位置情報を、出射側制御部61から受光側制御部73へと送信する。
このような構成であることから、回転レーザ出射装置11では、出射側制御部61が、回転駆動部63により回転体23(照射光軸Ai)を出射部筐体32に対して回転駆動しつつ、光源駆動部62によりレーザ光線発光部51を駆動することで、測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射することができる。その回転照射の際に、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を回転中心として回転される照射光軸Ai(回転体23)により形成される面を、回転レーザ出射装置11が形成する基準面Pb(図6等参照)とする。すなわち、この基準面Pbは、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射するレーザ出射機構31(出射部筐体32)の回転軸Arに直交する面と平行となる。この回転レーザ出射装置11では、回転照射の際、出射側制御部61が、鉛直状態検出部66としての両レベルセンサ49が常に水平状態を検知する状態とするように、傾斜駆動部64により出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することで、常にレーザ出射機構31を鉛直状態とすることができ、基準面Pbを水平面に沿わせて測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射することができる。このため、回転レーザ出射装置11では、三脚13を介して既知点Xに設置された際に本体ケース24が傾いている場合であっても、常にレーザ出射機構31を鉛直状態とすることができ、基準面Pbを水平面に沿わせて3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を回転照射することができる。また、回転レーザ出射装置11では、出射側制御部61が、鉛直状態検出部66としての各レベルセンサ49のそれぞれが常に狙った値を検知する状態とするように、傾斜駆動部64により出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することで、レーザ出射機構31(出射部筐体32)を常に任意の方向へと任意の角度に傾けた姿勢とすることができ、基準面Pbを水平面に対して任意の方向に任意の角度で傾斜させて測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射することができる。
レーザ測量システム10では、上述したように、回転レーザ出射装置11から出射した測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を用いて測量を行うために、レーザ受光装置12を測量したい箇所に設置して当該照射光線S1、S2、S3を受光させる(図1参照)。そのレーザ受光装置12は、図1に示すように、所定の支持手段により支持されて測量したい箇所に設置される。そのレーザ受光装置12は、図1に示す例では、所定の支持手段として、作業者により手持ち可能なロッド14を用いている。すなわち、レーザ受光装置12は、ロッド14における所定の高さ位置に取り付けられており、作業者が手で持ったロッド14の下端が測量したい箇所に宛がわれつつ当該ロッド14が立てられることにより、測量したい箇所に設置される。このロッド14は、図1に示す例では、上端にGPS位置測定装置15が設けられている。そのGPS位置測定装置15は、GPS(全地球的測位システム(Global Positioning System))を利用して測位するために、GPS衛星(図示せず)からの電波信号を受信可能な受信端末機である。なお、レーザ受光装置12を支持する所定の支持手段は、建設機械の作業工具(例えばブルドーザのブレード等)であってもよく、壁面等に固定するものであってもよく、本実施例に限定されるものではない。
そのレーザ受光装置12には、図5に示すように、受光部71と、受光信号処理部72と、受光側制御部73と、表示部74と、警告部75と、入力部76と、記憶部77と、信号出力部78と、傾斜検出部79と、受光側通信部80と、を有する。
受光部71は、回転レーザ出射装置11から出射された測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を受光するものである。この受光部71は、例えば、±10度の指向性を有する非球面レンズとSiフォトダイオードとを有し、非球面レンズを経た光がSiフォトダイオードの受光面に入射すると、受光面で受光した光の光量に応じた大きさ(強度)のアナログ値である受光信号(図10(a)参照)を出力する。受光部71は、受光信号処理部72に接続されており、出力された受光信号が受光信号処理部72に伝送される。
その受光信号処理部72は、受光部71から入力された照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の受光信号の処理を行って、その受光信号から回転レーザ出射装置11が形成する基準面Pbと受光した位置(受光部71)との高低差H(図6(c)参照)を算出するとともに、照射光線S1、S2、S3に重畳された通信情報(後述する回転姿勢信号Sr(図7参照)等)から、受光した照射光線S1、S2、S3が出射された際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢を抽出する光線状態検出処理を行う。これらについては後に説明する。受光信号処理部72は、受光側制御部73に接続されており、算出した情報(検出した光線状態)を当該受光側制御部73へと出力する。
その受光側制御部73は、受光信号処理部72により算出(抽出)された情報や、入力部76に為された操作に応じた操作信号や、傾斜検出部79から出力された傾斜検出信号や、受光側通信部80を経て入力された情報を取得することが可能とされている。受光側制御部73は、記憶部77もしくは内蔵する記憶部(図示せず)に格納されたプログラムにより、レーザ受光装置12の駆動、すなわち照射光線S1、S2、S3に基づく測量のための演算処理を行うとともに表示部74と警告部75と信号出力部78と傾斜検出部79と受光側通信部80との駆動を統括的に制御する。具体的には、受光側制御部73は、受光信号処理部72および受光側通信部80から取得した情報に基づいて、受光部71で受光した照射光線S1、S2、S3の取扱判断処理や、その照射光線S1、S2、S3に基づくレーザ受光装置12が設置された測量したい箇所の位置情報算出処理を行う。また、受光側制御部73は、傾斜検出部79からの検出内容や入力部76に為された操作に基づいて、表示部74における表示制御処理や、警告部75における警告のための動作処理や、信号出力部78における出力情報生成処理等を行う。その受光部71、受光信号処理部72、表示部74、警告部75、入力部76、記憶部77、信号出力部78、傾斜検出部79および受光側通信部80には、受光側制御部73を介して、図示を略す電源から電力が供給され、それぞれの動作の実行が可能とされている。この受光側制御部73は、図示は略すがメイン基板にコンデンサや抵抗等の複数の電子部品が実装されて構成されており、そのメイン基板がレーザ受光装置12の筐体の内方で当該筐体に固定されて設けられている。
表示部74は、受光側制御部73の制御下で、各種情報を表示する。その各種情報としては、例えば、レーザ受光装置12を支持するロッド14に設けられたGPS位置測定装置15が検出した絶対位置の情報や、そのGPS位置測定装置15の検出に基づき演算されたレーザ受光装置12の位置の情報や、そのレーザ受光装置12の高さ情報や、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54)から見た基準面Pbに対するレーザ受光装置12の受光部71が為す高低角θvの情報(図6参照)や、傾斜検出部79により検出されたロッド14(レーザ受光装置12)の傾き情報等がある。
警告部75は、受光側制御部73の制御下で、回転レーザ出射装置11から出射された3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を受光部71で受光できていないことを報知するものである。本実施例では、警告部75は、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を受光部71で受光できていない場合、すなわち受光部71が3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の回転照射範囲から外れている場合、警告音としてのブザーを鳴らして、作業者に注意を促す。
入力部76は、作業者の操作により情報の入力を可能とするとともに、作業者の操作によりレーザ受光装置12の動作の実行や設定を行うための各種スイッチで構成されている。なお、入力部76は、表示部74を、タッチパネル機能を有するものとして、当該表示部74を用いるものとすることもできる。
記憶部77は、受光側制御部73の制御下で、各種情報が適宜書き込まれる(格納される)とともに、その格納された各種情報が読み出される(取得される)。その各種情報としては、例えば、受光信号処理部72からの基準面Pbに対する高低角θv(図6参照)の算出のための情報や、受光信号処理部72からの照射光線S1、S2、S3に重畳された通信情報(後述する回転姿勢信号Sr(図7等参照))や、レーザ受光装置12を支持するロッド14に設けられたGPS位置測定装置15が検出した絶対位置の情報や、そのGPS位置測定装置15の検出に基づき算出されたレーザ受光装置12の位置の情報や、ロッド14に支持された状態でのレーザ受光装置12の高さ情報や、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54)から見た基準面Pbに対するレーザ受光装置12の受光部71が為す高低角θvの情報(図6参照)や、傾斜検出部79により検出されるロッド14(レーザ受光装置12)の傾き情報等がある。
信号出力部78は、受光側制御部73が取得した信号や、受光側制御部73が算出して得られた結果としての測量情報を出力するものである。この信号出力部78からの出力は、図示は略すが、外部機器における測量情報の取得およびその表示や、外部機器を介して建設機械等を制御することに用いられる。
傾斜検出部79は、レーザ受光装置12自体の傾斜、すなわち当該レーザ受光装置12を支持するロッド14の傾斜角を検出するものである。この傾斜検出部79は、受光側制御部73に接続されており、検出したロッド14の傾斜角を示す傾斜角信号を当該受光側制御部73に出力する。
受光側通信部80は、回転レーザ出射装置11の出射側通信部68(図4参照)を介して、当該回転レーザ出射装置11の出射側制御部61(図4参照)と受光側制御部73との間での情報(データ)の遣り取りを可能とする。本実施例では、受光側通信部80は、回転レーザ出射装置11の傾斜状態検出部67で検出した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きの情報や、回転レーザ出射装置11が設置された既知点Xの位置情報を、受光側制御部73が出射側制御部61から受信する。
次に、このレーザ測量システム10を用いて測量を実行する様子について説明する。先ず、作業者は、図1に示すように、既知点Xに三脚13を介して回転レーザ出射装置11を設置する。作業者は、回転レーザ出射装置11において基準面Pb(図6等参照)を水平面に平行とする設定をしたものとする。すると、回転レーザ出射装置11では、出射側制御部61(図4参照)の制御下で、一対の両レベルセンサ49が共に水平状態を検知するように各傾斜機構41が駆動され、レーザ出射機構31が鉛直状態となるように調整される(図2参照)。このため、回転レーザ出射装置11は、水平面に平行な基準面Pbに沿って、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を回転照射することとなる。
そして、作業者は、レーザ受光装置12を支持するロッド14の下端を、測定したい箇所(目標位置)に宛がって、当該ロッド14を立てる。そのロッド14では、所定の高さ位置にレーザ受光装置12が取り付けられていることから、地表(測定したい箇所)から既知の高さ位置に当該レーザ受光装置12が位置されていることとなる。作業者は、回転レーザ出射装置11から出射された測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を、レーザ受光装置12の受光部71に受光させる。ここで、測定用レーザ光線Lは、ファンビームとされた3つの照射光線S1、S2、S3で構成されていることから、受光部71が点状の受光素子であっても受光が可能であるので、レーザ受光装置12(その受光部71)の位置合せを正確に行わなくてもよい。そのレーザ受光装置12の受光側制御部73では、受光側通信部80が回転レーザ出射装置11の出射側通信部68を介して、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61から当該回転レーザ出射装置11が設置された既知点Xの位置情報を取得して、記憶部77に格納(記憶)する。なお、この受光側制御部73での既知点Xの情報の取得は、レーザ受光装置12の入力部76(図5参照)を用いて作業者が入力するものであってもよい。レーザ受光装置12(その受光側制御部73)では、GPS位置測定装置15による測位情報から、ロッド14の水平方向の絶対位置の情報を取得するとともに、GPS位置測定装置15の絶対高さを含むロッド14の絶対位置の情報を取得する。ところが、このGPS位置測定装置15による測位情報では、高さ情報の精度を確保することが困難であるので、既知点Xに設置された回転レーザ出射装置11と、測定したい箇所(目標位置)に設置されたレーザ受光装置12と、を用いて測量を行う。
ここで、GPS位置測定装置15とレーザ受光装置12との位置関係は既知であるので、その位置関係とGPS位置測定装置15の位置情報とに基づいて、レーザ受光装置12の水平位置を求めることができる。レーザ受光装置12の高さは、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)に基づいて、回転レーザ出射装置11の基準面Pbに対する受光部71の高さ位置を算出することにより求めることができる。その受光部71の高さ位置は、例えば、次のように算出することができる。
図6(a)に示すように、高さ方向(鉛直方向)で見て、レーザ受光装置12の受光部71の中心位置が、回転レーザ出射装置11の出射位置(照射光軸Ai(基準面Pb))と完全に一致している場合(高低角θv=0度)、レーザ受光装置12では、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)における高さ方向(鉛直方向)で見た中心位置Cを受光することになる。その高低角θvは、回転レーザ出射装置11の出射位置(レーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54))から見た、基準面Pb(照射光軸Ai)に対するレーザ受光装置12の受光部71(その中心位置)が為す角度をいう。すると、レーザ受光装置12からは、図6(b)に示すように、照射光線S1、照射光線S3および照射光線S2に応じた受光信号が等しい時間間隔で出力されることとなる。
他方、図6(c)に示すように、レーザ受光装置12の受光部71の中心位置が、回転レーザ出射装置11の出射位置(照射光軸Ai(基準面Pb))に対して、出射角度で見てθi(高低角θv=θi)だけ上方に位置している場合、レーザ受光装置12では、高さ方向で見て測定用レーザ光線Lにおける角度θiだけ上方位置Uを受光することになる。すると、レーザ受光装置12からは、図6(d)に示すように、照射光線S1、照射光線S3および照射光線S2に応じた受光信号が、その上方位置Uにおける間隔に応じた時間差で出力されることとなる。
ここで、3つの照射光線S1、S2、S3は、照射光軸Aiに直交する面で見てN字形状を描く光線に成形されていることから、レーザ受光装置12の受光部71の中心位置が、回転レーザ出射装置11の出射位置(照射光軸Ai(基準面Pb))に対して下方に位置している場合では照射光線S1、照射光線S3および照射光線S2に応じた受光信号の時間差の生じ方が反転する。また、3つの照射光線S1、S2、S3は、照射光軸Aiに直交する平面上に描くN字形状が、出射光軸Aeからの間隔の変化に応じて大きさ寸法の異なる相似形とされていることから、出射光軸Aeからの間隔の変化に関わらず、上述した時間差の高低角θv(出射角度θi)に対する関係性は一定である。このため、レーザ受光装置12では、3つの照射光線S1、S2、S3の受光信号の時間間隔を正確に測定することにより、回転レーザ出射装置11の出射位置から見た受光位置(受光部71の中心位置)での高低角θvを正確に算出することができる。このレーザ受光装置12では、受光側制御部73の制御下で、受光信号処理部72の後述する高低角検出回路92(図9参照)により当該高低角θvを算出する。
そのレーザ受光装置12(受光側制御部73)では、記憶部77に格納(記憶)された既知点X(回転レーザ出射装置11)の位置情報と、GPS位置測定装置15の測定結果から得られるレーザ受光装置12の水平位置情報と、に基づいて、既知点X(回転レーザ出射装置11)とレーザ受光装置12(その設置箇所)との距離および方向性を求めることができる。なお、作業者により立てられたロッド14が傾斜している場合、傾斜検出部79(図5参照)が検出するロッド14の傾斜角に基づいて、既知点X(回転レーザ出射装置11)とレーザ受光装置12(その設置箇所)との距離を修正する。そして、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、上述したように、高低角検出回路92が、受光部71から出力される受光信号の時間間隔を正確に測定することにより、既知点Xに設置された回転レーザ出射装置11に対する当該レーザ受光装置12(受光部71)の高低角θvを正確に算出する。加えて、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)は、本実施例では、回転レーザ出射装置11から水平面に平行な基準面Pbに沿って回転照射されている。
このため、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、その算出された高低角θvと、回転レーザ出射装置11(レーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54))とレーザ受光装置12(受光部71)との距離および方向性と、に基づいて、当該レーザ受光装置12の受光部71の基準面Pbに対する高低差Hを算出することができる。これにより、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12を昇降させることなく、回転レーザ出射装置11に対するレーザ受光装置12の高低差Hを測定することができる。そして、レーザ測量システム10では、既知点X(回転レーザ出射装置11)の位置情報と、既知点X(回転レーザ出射装置11)とレーザ受光装置12(その設置箇所)との距離および方向性と、上記した高低差Hと、既知点Xと回転レーザ出射装置11の出射位置との位置関係と、に基づいて、測定したい箇所(目標位置)の高さ位置を含む測量値を算出する。よって、レーザ測量システム10では、GPS位置測定装置15による測位情報と、3つの照射光線S1、S2、S3と、に基づいて、測定したい箇所(目標位置)の測量を行うことができる。
次に、本願発明に係るレーザ測量システム10および回転レーザ出射装置11の特徴的な構成について説明する。このレーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に、回転体23の出射部筐体32に対する回転姿勢の情報を通信情報として重畳する情報重畳処理を行う。また、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12が、受光部71で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)の光線状態を検出する光線状態検出処理と、その検出された光線状態に基づく受光部71で受光した測定用レーザ光線Lの取扱判断処理と、を行う。
先ず、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61における情報重畳処理について説明する。回転レーザ出射装置11では、図7に示すように、出射側制御部61が、情報重畳処理のための構成として、回転姿勢信号生成回路81と、搬送波生成回路82と、出力信号生成回路83と、を有する。この出射側制御部61では、搬送用の周波数を設定して、その設定した周波数の搬送波を通信情報としての信号に応じて変調させることにより、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に通信情報を重畳するものとされている。これは、レーザ受光装置12の受光信号処理部72(その後述するADC91b(図9参照))における周波数特性を小さくすることができることによる。
回転姿勢信号生成回路81は、通信情報としての回転姿勢信号Srを生成して出力する。この回転姿勢信号生成回路81は、上述した回転角検出部65に接続されており、当該回転角検出部65から出力されるカウント信号に基づいて、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示す回転姿勢信号Srを生成する。回転姿勢信号生成回路81は、本実施例では、DAC(Digital to Analog Converter)81aと、VCO(Voltage Contorolled Oscillator)81bと、を有する。DAC81aは、回転角検出部65としてのカウンタ69から出力されたデジタル信号であるカウント信号を、アナログ信号としてのカウント信号に変換してVCO81bへと出力する。そのVCO81bは、電圧制御発振器であり、DAC81aから入力されたカウント信号の電圧の変化に伴って発振周波数を変化させる(図8の下側の波形参照)。このため、回転姿勢信号生成回路81は、回転角検出部65(カウンタ69)から出力されたカウント信号をDAC81aでアナログ信号とし、VCO81bがそのアナログ信号とされたカウント信号の変化に伴って周波数を変化させた回転姿勢信号Sr(図8の下側の波形参照)を生成する。ここで、回転姿勢は、上述したように、出射部筐体32の中心軸線(レーザ出射機構31の回転軸Ar)を回転中心とする回転方向で見て、基準位置と照射光軸Aiとが為す回転角で示すことができるものである。このため、回転姿勢信号Srは、上記回転方向で見て基準位置に対して0度以上であって360度未満の範囲で連続的に周波数が変化された信号となり、基準位置に対する角度(回転角)に応じて周波数が一対一対応されている(図8の下側の波形参照)。この回転姿勢信号生成回路81(そのVCO81b)は、出力信号生成回路83(その後述するマルチプレクサ83b)に接続されており、生成した回転姿勢信号Srを出力信号生成回路83(マルチプレクサ83b)へと出力する。
搬送波生成回路82は、搬送波を生成して出力する。その搬送波は、通信情報としての回転姿勢信号Srを搬送するために用いるものであり、回転レーザ出射装置11として設定した周波数帯域の信号とされている。この回転レーザ出射装置11として設定した周波数帯域とは、レーザ測量システム10として用いられるレーザ受光装置12の受光信号処理部72(その後述するADC91b(図9参照))に設定された周波数特性と合致することを言う。搬送波は、上述した回転姿勢信号Srとは異なる周波数に設定されている。この搬送波生成回路82は、出力信号生成回路83(その後述する混合器83c)に接続されており、生成した搬送波を出力信号生成回路83(混合器83c)へと出力する。
その出力信号生成回路83は、回転姿勢信号生成回路81が生成する回転姿勢信号Srを、搬送波生成回路82で生成した搬送波に合成して出力信号としての搬送波を生成する。出力信号生成回路83は、本実施例では、比較器(Comparator)83aと、マルチプレクサ(Multiplexer)83bと、混合器83cと、を有する。
その比較器83aは、マルチプレクサ83bにおける動作を制御するための選択制御信号を生成して当該マルチプレクサ83bへと出力するものである。比較器83aは、回転角検出部65のカウンタ69に接続されており、当該カウンタ69からカウント信号が入力される。また、比較器83aは、図示は略すが、出射側制御部61から比較用信号が入力される。この比較器83aは、当該比較用信号とカウント信号とを比較し、その大小に応じた選択制御信号を生成して、当該選択制御信号をマルチプレクサ83bへと出力する。
そのマルチプレクサ83bは、複数の入力信号を単独の出力信号として出力するものである。マルチプレクサ83bは、回転姿勢信号生成回路81のVCO81bに接続されており、当該回転姿勢信号生成回路81(VCO81b)から回転姿勢信号Srが入力される。このマルチプレクサ83bは、比較器83aからの選択制御信号と、回転姿勢信号生成回路81からの回転姿勢信号Srと、に基づいて、回転姿勢信号Srを混合器83cへと出力する。なお、このマルチプレクサ83bでは、図示は略すが、回転姿勢信号Srとは異なる周波数帯域の情報(その信号)が合わせて入力される構成として、当該異なる周波数帯域の情報を、比較器83aからの選択制御信号に基づいて回転姿勢信号Srと選択的に混合器83cへと出力するものとしてもよい。そのような情報としては、例えば、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を照射した回転レーザ出射装置11を識別するためのチャンネル信号があげられる。このような構成とすることで、回転レーザ出射装置11(出射側制御部61)では、回転姿勢信号Srに加えて当該情報を、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)に重畳させることができる。そして、回転レーザ出射装置11(出射側制御部61)では、回転姿勢信号Srに加えて上記チャンネル信号を重畳させた場合、複数の回転レーザ出射装置11を用いている現場において後述する傾斜調整処理を行う場合であっても、所望の回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜の調整を適切に行うことを容易なものとすることができる。
その混合器83cは、搬送波生成回路82に接続されており、当該搬送波生成回路82から搬送波が入力される。混合器83cは、搬送波生成回路82から入力された搬送波の振幅を、マルチプレクサ83bから入力される回転姿勢信号Srに応じて変化させることにより、当該搬送波に回転姿勢信号Srを重畳する。この混合器83cでは、マルチプレクサ83bから入力される回転姿勢信号生成回路81からの回転姿勢信号Srを、回転レーザ出射装置11として設定した周波数帯域の信号である搬送波に重畳する。
このため、出力信号生成回路83は、回転姿勢信号Srを重畳させた搬送波を生成する。出力信号生成回路83(その混合器83c)は、光源駆動部62に接続されており、回転姿勢信号Srを重畳した搬送波(その信号)を光源駆動部62へと出力する。このため、上記した動作が出射側制御部61における情報重畳処理となる。
すると、光源駆動部62は、入力された搬送波(その信号)に基づいて、重畳された回転姿勢信号Srに応じて振幅(強度)を変調させつつレーザ光線発光部51を駆動する。これにより、レーザ光線発光部51(図3参照)は、回転姿勢信号Srを重畳させた搬送波に応じた測定用レーザ光線Lを出射し、レーザ出射機構31は、回転姿勢信号Srを重畳させた搬送波に応じた3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を回転照射する。このため、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)には、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向))を示す回転姿勢信号Srが重畳されている。その回転姿勢信号Srは、上述したように生成されるものであることから、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際に、出射部筐体32に対して回転体23がどのような回転姿勢とされていたか、を示している。換言すると、回転姿勢信号Srは、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際に、出射部筐体32に対して照射光軸Aiがいずれの方向を向けられていたか、を示している。このため、回転レーザ出射装置11では、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)に重畳させた回転姿勢信号Srにより、出射部筐体32に対して回転体23がどのような回転姿勢とされた際に出射されたもの、換言すると出射部筐体32に対して照射光軸Aiがいずれの方向を向けられた際に出射されたものであるのかを把握することを可能としている。
その回転姿勢信号Srを取得するために、レーザ受光装置12では、受光部71から受光信号が入力される受光信号処理部72において、受光部71で受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の状態を検出する光線状態検出処理を行う。その受光信号処理部72は、図9に示すように、抽出前処理回路91と、高低角検出回路92と、回転姿勢検出回路93と、を有する。この受光信号処理部72では、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の受光信号が受光部71から入力されると、その受光信号に基づいて、当該3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向))と、レーザ受光装置12が設置された測定したい箇所(目標位置)の基準面Pbに対する高低角θvと、を求める。すなわち、当該回転姿勢(回転角)と高低角θvとが、受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の光線状態となる。
抽出前処理回路91は、上述した受光部71に接続されており、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を受光することによる受光信号(図10(a)参照)が当該受光部71から入力される。この抽出前処理回路91は、高低角検出回路92および回転姿勢検出回路93における受光信号の各信号処理を可能とするとともに、受光信号における余計な成分を除去するものである。抽出前処理回路91は、本実施例では、LPF(Low Pass Filter)91aと、ADC(Analog to Digital Converter)91bと、を有する。LPF91aは、受光部71から入力された受光信号において、所定の周波数を超える周波数成分を除去する。ADC91bは、LPF91aにより高周波数成分が除去されたアナログ信号である受光信号を、デジタル信号としての受光信号(図10(b)参照)に変換して高低角検出回路92および回転姿勢検出回路93へと出力する。このADC91bでは、回転レーザ出射装置11において搬送波に設定した周波数帯域に応じてサンプリング周期を設定している。これにより、ADC91b(受光信号処理部72)では、周波数特性を小さくすることができる。このため、抽出前処理回路91は、LPF91aにより受光部71から入力された受光信号におけるノイズ成分を除去した後に、当該受光信号をADC91bにより復調する。
高低角検出回路92は、抽出前処理回路91から入力された受光信号に基づき、上述したように測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を受光したレーザ受光装置12(その受光部71)の基準面Pbに対する高低角θv(図6参照)を算出する。この高低角検出回路92は、受光側制御部73に接続されており、算出した高低角θv(その情報)を当該受光側制御部73へと出力する。
回転姿勢検出回路93は、抽出前処理回路91から入力された受光信号に基づき、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を算出する。3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)には、上述したように、出射部筐体32に対して回転体23がどのような回転姿勢とされた際に出射されたもの、換言すると、出射部筐体32に対して照射光軸Aiがいずれの方向を向けられた際に出射されたもの、であるのかを示す回転姿勢信号Sr(図8の下側の波形参照)が重畳されている。このため、回転姿勢検出回路93は、上記した受光信号から回転姿勢信号Srを抽出して出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢を算出する。この回転姿勢検出回路93は、本実施例では、FFT回路(Fast Fourier Transform Circuit)93aと、BPF(Band Pass Filter)93bと、LUT(Look Up Table)93cと、と有する。
FFT回路93aは、高速フーリエ変換回路であり、ADC91b(抽出前処理回路91)から入力された復調波である受光信号をフーリエ変換することにより、当該受光信号における周波数の成分比を求める(図10(c)参照)。このFFT回路93aは、受光信号における周波数の成分比(その情報)をBPF93bに出力する。
BPF93bは、FFT回路93aから入力された受光信号における周波数の成分比において、所定の周波数帯域の成分(周波数成分)を透過させるとともに、それ以外の周波数成分の透過を阻む。このBPF93bは、搬送波に重畳された回転姿勢信号Srに設定された周波数帯域を、透過させる所定の周波数帯域として設定されている。このため、BPF93bは、FFT回路93aから出力された受光信号における周波数の成分比から、回転姿勢信号Srとして設定された周波数帯域のみを抽出する。
LUT93cは、入力された周波数に対応する角度を出力する。このLUT93cでは、回転姿勢信号生成回路81(そのVCO81b(図7参照))において設定された、基準位置に対する角度(回転角)に応じて周波数が一対一対応された回転姿勢信号Srに合わせて、周波数に対応する角度(回転角)が設定されている。LUT93cでは、BPF93bにより回転姿勢信号Srとして設定された周波数帯域における受光信号の周波数の成分比から、強度が最も大きくなる周波数(ピーク(最上昇点))を検出することにより、回転姿勢信号Srとしての周波数を抽出する。そして、LUT93cでは、その抽出した周波数に対応された角度を検出することにより、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際の照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角を算出する。この回転角は、上述したように回転姿勢信号Srが設定されていることから、レーザ受光装置12の受光部71で受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を出射した際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)を示すこととなる。
このことから、回転姿勢検出回路93は、FFT回路93aによりADC91b(抽出前処理回路91)から入力された復調波である受光信号における周波数の成分比を求め、その中からBPF93bにより回転姿勢信号Srに該当する周波数帯域に絞り混み、LUT93cにより回転姿勢信号Srを抽出して3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を出射した際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)である回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角を算出する。この回転姿勢検出回路93(そのLUT93c)は、受光側制御部73に接続されており、算出した出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(回転角(その情報))を当該受光側制御部73へと出力する。
このように、受光信号処理部72では、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)が出射された際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向))と、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を受光したレーザ受光装置12(その受光部71)の基準面Pbに対する高低角θvと、を求めることができる。すなわち、受光信号処理部72では、受光部71で受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の光線状態である、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)における本体ケース24に対する照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)と、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)における基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を求めることができる。このため、上記した抽出前処理回路91、高低角検出回路92および回転姿勢検出回路93における動作が、受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)の光線状態を検出する受光信号処理部72における光線状態検出処理となる。
そして、レーザ受光装置12は、検出した光線状態に基づいて、受光部71で受光した照射光線S1、S2、S3の取扱判断処理を行う。以下では、この取扱判断処理について説明する。先ず、回転レーザ出射装置11では、出射する3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)に基づく測量の精度を確保することが困難となる場面があることについて、図11および図12を用いて説明する。なお、図11(b)では、理解容易のために、ファンビームとされた3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)における広がりを強調して示している。また、図11(c)では、理解容易のために、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きを強調して示している。さらに、図12では、4つの支持柱26のうちの1つ(支持柱26)に対する遮光領域Asを示している。これは、いずれの支持柱26であっても、後述する出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向の変化に応じた遮光領域Asの移行(シフト)の態様が等しいことによる。
回転レーザ出射装置11では、上述したように、レーザ出射機構31において測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を出射させる箇所となる出射部(回転体23の中のペンタプリズム54(出射窓28))が、本体ケース24の上部であって天井部25との間の出射箇所に位置されている。その出射箇所は、本体ケース24の上部と天井部25との間で、4本の支持柱26の間のそれぞれにカバー部材27が設けられて構成されている(図1および図2等参照)。このため、回転レーザ出射装置11では、レーザ出射機構31が出射部としてのペンタプリズム54(回転体23の出射窓28)から測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射させると、出射部筐体32に対する回転体23(照射光軸Ai)の回転方向で見て4本の支持柱26のいずれかが設けられている位置では当該支持柱26により測定用レーザ光線L(その一部)が遮られてしまい(図11(a)、(b)参照)、適切に測定用レーザ光線Lを出射することが困難となる。このため、本実施例の回転レーザ出射装置11では、4本の支持柱26が、照射光軸Aiを回転させた際に当該照射光軸Aiが横切る柱部分となる。このため、レーザ受光装置12では、回転レーザ出射装置11から回転体23(照射光軸Ai)の回転方向で見て、支持柱26により遮られる所定の範囲(以下では、遮光領域As(図12(a)、(b)参照)ともいう)で出射された測定用レーザ光線Lを受光しても、その受光に基づく測量の精度を確保することが困難となる。
本願発明では、その遮光領域Asを、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)において、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見た、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角(本実施例では水平角))と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、で定義している。これは以下のことによる。遮光領域Asは、回転されるレーザ出射機構31の出射部に対する各支持柱26の位置関係により決まることから、基本的に、図12に示すように、回転体23(レーザ出射機構31)の回転中心となる出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向(水平角方向)で見て、支持柱26が設けられた位置を基準(0度)とすると、その基準(0度)から所定の角度範囲に生じる。また、遮光領域Asは、回転方向で見た出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)が等しい場合であっても、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)における基準面Pbに対する高低角θvの変化に応じて変化する(図12(a)参照)。すなわち、遮光領域Asは、出射部筐体32(レーザ出射機構31)が本体ケース24に対して傾いていない状態(図11(a)参照)を例にあげると、図12(a)に示すように、照射光軸Ai(基準面Pb)に対する高低角θvが0度である場合の回転方向(水平角方向)で見た角度範囲が最も小さく、高低角θvの絶対値が大きくなるに連れて回転方向(水平角方向)で見た角度範囲が大きくなっている。これは、図11(b)に示すように、照射光軸Ai上を進行する場合に支持柱26までの間隔が最も小さくなるとともに、進行方向が照射光軸Aiに対して上方(仰角方向)へと変位するもしくは進行方向が照射光軸Aiに対して下方(俯角方向)へと変位するにしたがって、支持柱26までの間隔が大きくなることに起因するものと考えられる。
また、回転レーザ出射装置11では、上述したように、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することが可能とされており、その出射部筐体32(レーザ出射機構31)が本体ケース24に対して傾けられると、上記した遮光領域Asが移行(シフト)する(図12(b)参照)。このような例として、回転レーザ出射装置11が、本体ケース24が傾いた状態で設置されて、レーザ出射機構31が鉛直状態(出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar)が鉛直方向に沿って伸びる姿勢)とされた場面をあげる(図11(c)参照)。すると、回転レーザ出射装置11では、図11の(a)と(c)とを比較して明らかなように、回転されるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))に対する各支持柱26の位置関係が変化する。その各支持柱26のうち、図11(c)を正面視して手前側の支持柱26に対する遮光領域Asが移行(シフト)する様子を図12(b)に示す。その遮光領域Asは、図12(b)に示すように、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を受光する側から見て支持柱26に対する出射窓28(出射部)の移動方向とは反対側に移行(シフト)しつつ、高低角θvの変化に対する回転方向で見た角度範囲の大きさの変化の関係性も移行(シフト)する。このような遮光領域Asの移行(シフト)は、支持柱26に対する出射窓28(出射部)の位置関係の変化に応じて態様が変化することとなる。このため、遮光領域Asは、出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar))すなわちレーザ出射機構31の本体ケース24に対する傾きおよびその方向(以下では、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態ともいう)により、回転方向で見て4つの支持柱26が設けられた位置における態様が決定することとなる。
このことから、レーザ受光装置12(その受光側制御部73)では、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態(傾きおよびその方向)の情報を取得すると、それに対応する回転方向で見て少なくとも4つの支持柱26の近傍位置における遮光領域As(その情報)を求めることが可能とされている。本実施例のレーザ測量システム10では、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態に対応させて複数の遮光領域As(その情報)を予め設定するとともに、それぞれの遮光領域As(その情報)をレーザ受光装置12の記憶部77に格納(記憶)させて、当該情報をレーザ受光装置12の受光側制御部73が取得可能としている。そして、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11の出射側通信部68(図4参照)とレーザ受光装置12の受光側通信部80(図5参照)とを用いて、傾斜状態検出部67で検出した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態(その情報)を、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61がレーザ受光装置12の受光側制御部73へと送信する。このため、レーザ受光装置12(その受光側制御部73)は、取得した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態に適合する遮光領域As(その情報)を記憶部77から読み出すことで、現状の回転レーザ出射装置11に適合する遮光領域As(その情報)を求めることができる。
レーザ受光装置12では、遮光領域As(その情報)を用いて、受光部71で受光した照射光線S1、S2、S3の取扱判断処理を行う。この取扱判断処理は、記憶部77(図5参照)もしくは内蔵する記憶部(図示せず)に格納(記憶)されたプログラムにより、受光側制御部73の制御下で実行される。図13は、本実施例における受光側制御部73にて実行される取扱判断処理内容を示すフローチャートである。以下、図13のフローチャートの各ステップについて説明する。この取扱判断処理は、入力部76(図5参照)において、測量を実行する旨の操作が為されることにより開始される。そして、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、取扱判断処理を開始する前に、上述したように対象とする回転レーザ出射装置11における出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態を取得し、それに適合する遮光領域As(その情報)を記憶部77から読み出して設定する。この取扱判断処理の説明では、本体ケース24の中心軸線が鉛直方向に沿うものとされかつ出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar)が本体ケース24に対して傾斜していない状態(レーザ出射機構31が鉛直状態)とされており、適合する遮光領域As(その情報)として図12(a)に示すグラフのものを選択したものとする。
ステップS1では、受光部71で測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を受光して、ステップS2へ進む。このステップS1では、受光部71が測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を受光し、それに伴う受光信号が受光信号処理部72へと出力されると、その受光信号から測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)の光線状態を検出すべくステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1での測定用レーザ光線Lの受光に続き、光線状態検出処理を行い、ステップS3へ進む。このステップS2では、上述したように受光信号処理部72において光線状態検出処理を行い、光線状態すなわちレーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)における本体ケース24に対する照射光軸Aiの回転姿勢(回転角(水平角))と、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)における基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を求める。
ステップS3では、ステップS2での光線状態検出処理を行うことに続き、そこで求めた光線状態に基づいて遮光領域Asに入っているか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS5へ進む。このステップS3では、ステップS2の光線状態検出処理により求めた光線状態としての回転姿勢(回転角(水平角))と高低角θvとを用いて、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が遮光領域Asに入っているものであるか否かを判断する。詳細には、次のように判断する。先ず、図12(a)に示すグラフは、図11(a)を正面視して手前側の支持柱26に対する遮光領域Asを示している。受光側制御部73では、当該支持柱26の、回転レーザ出射装置11における基準位置に対する回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た位置(回転角)の情報を取得する。この情報は、回転レーザ出射装置11における4つの支持柱26の位置(回転角)が予め決まっているものであることから、予め記憶部77(図5参照)に格納(記憶)させておくことができる。また、受光側制御部73が、受光側通信部80および出射側通信部68を介して、出射側制御部61から取得するものであってもよい。そして、受光側制御部73は、光線状態としての回転姿勢(回転角)を、支持柱26の位置(回転角)を基準とした回転角(図12(a)に示す例では水平角)に換算して、当該回転角(水平角)と光線状態としての高低角θvとで示す点を図12(a)に示すグラフ上に記述する。受光側制御部73は、記述した点が遮光領域As(図12(a)においてドットを付した箇所)上であるか否かを判断することにより、ステップS2で求めた光線状態が遮光領域Asに入っているものであるか否かを判断する。このように、ステップS3では、ステップS2で求めた回転姿勢(回転角)と高低角θvとを図12(a)に示すグラフに当て嵌めることにより、受光した位置(受光部71)に到達した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が遮光領域Asに入っているものであるか否かを判断する。そして、遮光領域Asに入っているものである場合、通常の測量とは異なる扱いとすべくステップS4へ進む。また、遮光領域Asに入っていない場合、通常の測量の扱いとすべくステップS5へ進む。
ステップS4では、ステップS3での遮光領域Asに入っているとの判断に続き、遮光領域As内データとしての処理を行って、取扱判断処理を終了する。このステップS4では、ステップS3で遮光領域Asに入っていると判断したことから、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が支持柱26により遮られてその受光に基づく測量の精度を確保することが困難となると判断して、遮光領域As内データとしての処理を行う。この遮光領域As内データとしての処理では、本実施例では、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を用いて通常と同様に測量を行い、その測量結果(そのデータ)に遮光領域As内のデータであることを示す情報を関連付けて、それらを適宜保存(格納)する。それに加えて、本実施例では、測量を行う際に、測量の精度を確保することが困難である旨を報知する。この報知は、例えば、表示部74にその旨を表示させることや、警告部75に警告音としてのブザーを鳴らさせることや、それらを同時に行うこと等があげられる。また、遮光領域As内データとしての処理は、上記したものと同様に測量の精度を確保することが困難である旨を報知して測量を行わないことや、特に報知することなく測量を行わないことがあげられる。そして、それらの報知の際、表示部74で遮光領域As内であることを表示する構成としてもよい。
ステップS5では、ステップS3での遮光領域Asに入っていないとの判断に続き、通常の測量を行って、取扱判断処理を終了する。このステップS5では、ステップS3で遮光領域Asに入っていないと判断したことから、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が支持柱26により遮られておらず、その受光に基づく測量の精度が確保できると判断したので、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を用いて通常と同様に測量を行い、その測量結果(そのデータ)を適宜保存(格納)する。
このレーザ測量システム10を用いて測量を行う場合、作業者は、ロッド14を介してレーザ受光装置12を測定したい箇所(目標位置)に設置して、三脚13を介して既知点Xに設置された回転レーザ出射装置11から出射された測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を、受光させる(図1参照)。すると、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、図13のフローチャートにおいてステップS1→ステップS2へと進むことにより、受光した位置(受光部71)に到達した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)における回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見た回転姿勢(回転角(水平角))と高低角θvとを求める。受光した位置(受光部71)に到達した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)(その光線状態)が遮光領域Asに入っていない場合、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、図13のフローチャートにおいてステップS3→ステップS5へと進むことにより、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を用いて測量を行う。また、受光した位置(受光部71)に到達した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)(その光線状態)が遮光領域Asに入っている場合、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、図13のフローチャートにおいてステップS3→ステップS4へと進むことにより、遮光領域As内データとしての処理を行い、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を用いて測量し、その測量結果(そのデータ)に遮光領域As内のデータであることを示す情報を関連付ける。このため、レーザ測量システム10のレーザ受光装置12(受光側制御部73)では、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を受光した段階で、当該測定用レーザ光線Lが支持柱26により遮られたものであるか否かの判断を行うとともに、その判断に基づき測定用レーザ光線Lの受光信号の取り扱いの区分けを行うので、測量を終えた後に測量結果(そのデータ)の取り扱いを判断する作業を行うことなく、測量結果(そのデータ)を適切に取り扱うことができる。
また、本実施例のレーザ測量システム10では、レーザ受光装置12が設置された位置を基準として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を調整する傾斜調整処理を行うことが可能とされている。この傾斜調整処理は、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))と、レーザ受光装置12(その受光部71)と、を結ぶ直線(後述する調整基準軸線Ap)を回転軸として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を調整するものである。以下では、この傾斜調整処理について、図14および図15を用いて説明する。なお、この図14および図15では、理解容易のために、GPS位置測定装置15(図1参照)を省略して示している。
回転レーザ出射装置11(その出射側制御部61)では、上述したように、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示す回転姿勢信号Srを、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳させている。その回転姿勢信号Srは、上述したように、回転方向で見て基準位置に対して0度以上であって360度未満の範囲で連続的に周波数が変化された信号となり、基準位置に対する角度(回転角)に応じて周波数が一対一対応されている(図8の下側の波形参照)。また、回転レーザ出射装置11では、上述したように、出射側制御部61の制御下で、一対のレベルセンサ49からの検出信号に基づいて一対の傾斜機構41を駆動することにより、出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar))を任意の方向へと任意の角度に傾けた状態とすることができる。そして、レーザ受光装置12(受光側制御部73)では、上述したように、受光部71で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳された回転姿勢信号Srを抽出して、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を出射した際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)である回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角を取得することができる。
レーザ測量システム10では、傾斜調整処理を行うために、図14(a)に示すように、三脚13を介して回転レーザ出射装置11を既知点Xに設置するとともに、ロッド14を介してレーザ受光装置12を基準面Pbの調整の基準としたい位置に設置する。ここで、この図14に示す例では、理解容易のために、高さ方向(鉛直方向)で見て、回転レーザ出射装置11の出射位置(照射光軸Ai)とレーザ受光装置12の受光部71の中心位置とが、完全に一致している(高低角θv=0度)ものとする。その回転レーザ出射装置11は、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射する際に、照射光軸Aiで基準面Pb1を形成する。そして、作業者は、回転レーザ出射装置11から出射された測定用レーザ光線Lを、レーザ受光装置12の受光部71に受光させる。
そのレーザ受光装置12の受光側制御部73では、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)から、回転姿勢信号Srを抽出して、その測定用レーザ光線Lを出射した際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)である、回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角を取得する。そして、レーザ受光装置12の受光側制御部73は、受光側通信部80および回転レーザ出射装置11の出射側通信部68を介して、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61に、受光した測定用レーザ光線Lにおける回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(その情報)を送る。その回転角は、上述したように、測定用レーザ光線Lを出射した際の出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢(照射光軸Aiが向けられた方向)である。
このため、出射側通信部68は、レーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見たレーザ受光装置12(その受光部71)の方向(符号Ap参照)を把握することができる。出射側通信部68では、上記した方向を、基準面Pb1を調整するための調整基準軸線Apとして設定する。そして、回転レーザ出射装置11では、出射側通信部68の制御下において、一対の傾斜機構41を適宜駆動することにより、調整基準軸線Apを回転中心として、出射部筐体32(その中心軸線(レーザ出射機構31の回転軸Ar))を所定の角度θpだけ回転させる。ここで、所定の角度θpは、傾斜調整処理を実行する際に、回転レーザ出射装置11の操作部(図示せず)もしくはレーザ受光装置12の入力部76への操作により設定されるものであってもよく、図示を略す外部機器から出射側制御部61もしくは受光側制御部73へと入力されるものであってもよい。これにより、回転レーザ出射装置11は、3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)を回転照射する際に、照射光軸Aiで形成する基準面Pbを、基準面Pb1から基準面Pb2へと変更する。このため、レーザ受光装置12では、図15(a)に示すように、回転レーザ出射装置11の照射光軸Aiが受光部71を横切る方向が、方向Dc1から、受光部71(その中心位置)を中心として所定の角度θpだけ回転された方向Dc2へと変化する。このことから、レーザ測量システム10では、傾斜調整処理を行うことにより、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))とレーザ受光装置12(その受光部71)とを結ぶ直線を調整基準軸線Apとし、その調整基準軸線Apを回転軸として回転レーザ出射装置11における基準面Pbを、基準面Pb1から基準面Pb2へと変更することができる。なお、レーザ受光装置12の受光側制御部73が、調整基準軸線Apを設定して、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61へと送るものであってもよい。また、上記した例では、高さ方向(鉛直方向)で見て、回転レーザ出射装置11の出射位置(照射光軸Ai)とレーザ受光装置12の受光部71の中心位置とが、完全に一致している(高低角θv=0度)ものとしていたが(図14(a)参照)、高さ方向の位置が異なるものであってもよい。この場合、調整基準軸線Apを設定する際に、回転姿勢(回転角)に基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを加えることで、容易に実現することができる。
次に、従来の技術の課題について、図12(c)、(d)を用いて説明する。この従来の技術の課題は、本実施例のレーザ測量システム10(回転レーザ出射装置11およびレーザ受光装置12)であっても、上記した情報重畳処理と光線状態検出処理と取扱判断処理とを行わないこととすれば同様であることから、本実施例のレーザ測量システム10と同様の符号を用いて説明する。
回転レーザ出射装置11では、上述したように、レーザ出射機構31が出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射させると、出射部筐体32に対する回転体23の回転方向で見て4本の支持柱26のいずれかが設けられている位置では当該支持柱26により測定用レーザ光線L(その一部)が遮られてしまい、適切に測定用レーザ光線Lを出射することが困難となる。すると、レーザ受光装置12では、支持柱26により遮られた測定用レーザ光線Lを受光しても、その受光に基づく測量の精度を確保することが困難となる。
そこで、回転レーザ出射装置11では、回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見て、支持柱26により測定用レーザ光線L(その一部)が遮られる所定の範囲としての遮光領域As´(図12(c)、(d)参照)を予め設定するとともに、当該遮光領域As´に該当するか否かを示す該当可否信号を測定用レーザ光線Lに重畳することが考えられる。すると、レーザ受光装置12では、測定用レーザ光線Lに重畳された該当可否信号を取得することで、遮光領域As´に該当しない場合には受光した測定用レーザ光線Lを用いて測量することができ、遮光領域As´に該当する際には受光した測定用レーザ光線Lを用いて測量を行わない等の取り扱いの判断をすることができる。
しかしながら、上記した構成の場合、遮光領域As´を回転レーザ出射装置11における回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た位置のみで定義している。これは、上記した構成の場合、回転レーザ出射装置11から回転照射する測定用レーザ光線Lに該当可否信号を重畳させていることから、当該測定用レーザ光線Lにおける基準面Pbに対する高低角の変化を考慮することができないことによる。このため、上記した構成では、遮光領域As´を、回転方向で見て支持柱26により測定用レーザ光線L(その一部)が遮られる範囲の全てを含むものとする必要がある。詳細には、以下のようになる。出射部筐体32(レーザ出射機構31)が本体ケース24に対して傾いていない状態(図11(a)、(b)参照)を例にあげると、遮光領域Asは、上述したように図12(a)に示すものとなる。これに対して、遮光領域As´は、回転方向で見た位置のみで定義することから、遮光領域Asにおいて最も大きな角度範囲となる位置に設定する必要があるので、図11(c)に示すように、遮光領域Asにおける最も大きな角度範囲に相当するものとなる。このため、遮光領域As´は、遮光領域Asには含まれない領域(遮光領域Asを区画する両側辺a1と、遮光領域As´を区画する両側辺a2と、で挟まれる領域)を含むものとなってしまう。ここで、遮光領域As´における遮光領域Asには含まれない領域では、測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られることがなく、測量の精度を確保することができる。しかしながら、上記した構成では、レーザ受光装置12で受光した測定用レーザ光線Lが、支持柱26で遮られておらず回転レーザ出射装置11から適切に出射されているにも関わらず、遮光領域As´に含まれているとの該当可否信号をレーザ受光装置12が取得することで、測量の精度を確保することができないものと判断してしまう。
特に、回転レーザ出射装置11では、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することが可能とされていると、上述したように、その傾斜状態(傾きおよびその方向)に応じて遮光領域Asが移行(シフト)する(図12(a)から(b)参照)。このため、上記した構成では、当該移行(シフト)を考慮して遮光領域As´を設定する必要があることから、傾斜状態の変化における全ての態様に対して当該回転方向で見て支持柱26により測定用レーザ光線L(その一部)が遮られる範囲の全てを含むものとする必要がある。詳細には、以下のようになる。本体ケース24が傾いた状態で回転レーザ出射装置11が設置されて、出射部筐体32(レーザ出射機構31)が鉛直方向に沿って伸びる姿勢とされた状態(図11(c)参照)を例にあげると、遮光領域Asは、上述したように図12(b)に示すものとなる。また、出射部筐体32(レーザ出射機構31)は、本体ケース24に対して図11(c)に示す例とは左右反対側にも等しい角度で傾けられることから、そのときの遮光領域Asは、図12(b)に示すグラフを左右反転させたものとなる(図12(d)において二点鎖線で示す右側の遮光領域As参照)。ここで、図11(c)および図12(b)に示す例は、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きが最大とされているものとする。すると、遮光領域As´は、回転方向で見た位置のみで定義することから、移行(シフト)する全ての態様の遮光領域Asにおいて最も大きな角度範囲となる位置に設定する必要があるので、図12(d)に示すように、当該全ての態様の遮光領域Asにおける最も大きな角度範囲(図12(b)に示す遮光領域As)に相当するものとなる。このため、遮光領域As´では、出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態の態様に関わらず、すべての態様における遮光領域Asを含むものとなってしまう。加えて、遮光領域As´では、傾きが最大とされた遮光領域Asにおける外側の側辺a3と遮光領域As´を区画する外側の側辺a4とで挟まれる領域を含むものとなってしまう(反対側でも同様である)。
これらのことから、上記した構成では、実際には測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られない場面であっても、設定した遮光領域As´に該当するものとしてしまうので、測量の精度を確保することができる場面であっても測量の精度を確保することができないものと判断してしまう。そして、上記した構成では、実際には測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られない場面であるにも関わらず、設定した遮光領域As´に該当してしまう場面が、大きなものとなってしまう。例えば、レーザ出射機構31の傾斜状態が図11(a)、(b)に示すものである場合、図12(d)の遮光領域As´に該当しても、図12(a)の遮光領域As以外の場面では、実際には測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られない。同様に、レーザ出射機構31の傾斜状態が図11(c)に示すものである場合、図12(d)の遮光領域As´に該当しても、図12(b)の遮光領域As以外の場面では、実際には測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られない。このため、従来の技術のレーザ測量システムでは、適切な測量を可能とする領域を、不適切に狭めてしまうことになる。
次に、従来の技術の他の課題について、図14および図15を用いて説明する。この従来の技術の他の課題は、本実施例のレーザ測量システム10(回転レーザ出射装置11およびレーザ受光装置12)であっても、上記した傾斜調整処理を行わないこととすれば同様であることから、本実施例のレーザ測量システム10と同様の符号を用いて説明する。その図15(b)では、理解容易のために、レーザ受光装置12(受光部71)へと向かう方向に向けられた回転軸At1の、当該方向からのずれを強調して示している。
従来の回転レーザ出射装置11では、レーザ受光装置12が設置された位置を基準として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を調整する場合、先ず、図14(a)と同様の状態とした後、回転レーザ出射装置11におけるレーザ出射機構31のケース本体24に対する回転軸(図14(b)の符号At1、At2参照)のいずれか一方をレーザ受光装置12(その受光部71)へと向ける。その回転軸At1、At2は、上述したように、回転レーザ出射装置11では、レーザ出射機構31(出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar)))がケース本体24に対して傾けることが可能とされているとともに、その傾きおよびその方向の調整のために一対の傾斜機構41が設けられていることから、それぞれの傾斜機構41により傾きを調節することが可能とされた方向となる。ここで、図示の例では、回転レーザ出射装置11における回転軸At1を、レーザ受光装置12(その受光部71)へと向けるものとする。そして、レーザ受光装置12では、受光側制御部73の制御下で、回転軸At1に対応する傾斜機構41を駆動することにより、レーザ出射機構31(出射部筐体32(その中心軸線(回転軸Ar)))を、回転軸At1を回転中心としてケース本体24に対して所定の角度(例えば、角度θp(図14(a)参照))だけ回転させる。
しかしながら、回転レーザ出射装置11では、例えば、作業者の目測により回転軸At1をレーザ受光装置12(受光部71)へと向けることとすると、図14(b)に示すように、正確に一致させることは極めて困難である。そこで、回転レーザ出射装置11から見たレーザ受光装置12(受光部71)の回転方向で見た位置の測定を行うことにより、精度を確保することが考えられるが、構成の複雑化を招いてしまうとともに作業の複雑化を招いてしまう。そして、回転軸At1が、レーザ受光装置12(その受光部71)へと向かう方向からずれていると、回転軸At1を回転中心として傾けられたレーザ出射機構31(出射部筐体32)の基準面Pbが、狙ったものとは異なるものとなってしまう。このため、レーザ受光装置12では、図15(b)に示すように、回転レーザ出射装置11の照射光軸Aiが受光部71を横切る方向が、方向Dc1から、本来の狙いである方向Dc2とは異なる方向Dc3へと変化してしまう。このことから、回転レーザ出射装置11では、回転照射される測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)をレーザ受光装置12の受光部71で受光し、その受光状態に応じて、照射光軸Aiが受光部71を横切る方向すなわち回転レーザ出射装置11の回転軸At1の方向を微調整する、とういう作業が必要となってしまう。このため、従来のレーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))と、レーザ受光装置12(その受光部71)と、を結ぶ直線を回転軸として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を調整することが困難である。
上記した従来の技術の各課題に対し、本発明に係る回転レーザ出射装置の一実施例としての回転レーザ出射装置11では、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳することができる。このため、回転レーザ出射装置11では、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)を把握させることを可能とすることができる。
また、回転レーザ出射装置11では、基準位置と照射光軸Aiとが為す回転角の変化に応じて周波数を変化させることにより回転姿勢信号Srを生成していることから、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを容易に重畳することができる。
さらに、回転レーザ出射装置11では、回転方向で見て、基準位置に対して0度以上であって360度未満の範囲で連続的に周波数を変化させた信号として、基準位置に対する角度に応じて周波数を一対一対応させて、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳している。このため、回転レーザ出射装置11では、簡易な構成で測定用レーザ光線Lを出射した際の回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た詳細な位置をレーザ受光装置12(受光側制御部73)に取得させることができる。
回転レーザ出射装置11では、出射側制御部61の制御下で、傾斜状態検出部67で検出した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態(その情報)と、鉛直状態検出部66としての各レベルセンサ49で検出した出射部筐体32(レーザ出射機構31)の鉛直方向に対する傾斜(その情報)と、に基づいて、一対の傾斜機構41(傾斜駆動部64)により出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することで、レーザ出射機構31(出射部筐体32)を常に任意の方向へと任意の角度に傾けた姿勢とすることができる。このため、回転レーザ出射装置11では、基準面Pbを水平面に対して任意の方向に任意の角度で傾斜させて、測定用レーザ光線Lとしての3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射することができる。これにより、回転レーザ出射装置11では、出射側制御部61が、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報に基づいて、レーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見たレーザ受光装置12(その受光部71)の方向を把握することで、当該方向に設定した調整基準軸線Apを回転軸として基準面Pbを変更する(上記した例では基準面Pb1から基準面Pb2)ことを可能とすることができる。
本発明に係るレーザ測量システムの一実施例としてのレーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳することができる。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報を、容易に取得することができる。このことから、受光側制御部73では、受光した測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断に回転姿勢(回転角)を用いることができる。このため、レーザ測量システム10では、遮光領域Asを、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)において、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部から見た、回転姿勢(回転角)と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、で定義することができる。これにより、レーザ測量システム10では、遮光領域Asを測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26で遮られる場面により適合させることができ、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断をより適切なものとすることができる。このことから、レーザ測量システム10では、上記した構成と比較して、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)が回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かの判断を、実際に測定用レーザ光線L(その一部)が支持柱26により遮られたものであるか否かに適合させることができ、測量を可能とする領域を不適切に狭めることを防止することができる。換言すると、レーザ測量システム10では、受光した測定用レーザ光線Lが回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かの判断を精密に行うことができ、適切な測量が可能であるか否かの判断を精密なものとすることができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳していることから、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報を、レーザ受光装置12の受光側制御部73に容易に取得させることができる。このため、受光側制御部73が、当該回転姿勢(回転角)の情報を、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61へと送ることにより、出射側制御部61が、レーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見たレーザ受光装置12(その受光部71)の方向を把握することができる。これにより、出射側制御部61は、その方向を調整基準軸線Apとして設定し、その調整基準軸線Apを回転軸として回転レーザ出射装置11における基準面Pbを変更する(上記した例では基準面Pb1から基準面Pb2)ことができる。このため、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))と、レーザ受光装置12(その受光部71)と、を結ぶ直線を回転軸として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を容易にかつ適切に調整することができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳していることから、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断に用いるために、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報を取得することを容易でかつ確実なものとすることができる。これは、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報の遣り取りのためだけに通信手段を設ける必要がなくなるとともに、当該測定用レーザ光線Lは確実にレーザ受光装置12(その受光部71)により取得されることによる。
レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)の回転姿勢信号Srから回転姿勢(回転角)の情報を取得して、遮光領域Asを用いて受光した測定用レーザ光線Lの取扱判断処理を行う。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が測定用レーザ光線Lを受光した段階で、当該測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断を適切に行うことができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳している。その回転姿勢信号Srは、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示すものとしている。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)による測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断を、容易でかつ適切なものとすることができる。これは、次のことによる。測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断では、各支持柱26の位置に対する測定用レーザ光線Lが照射された方向を適切に把握する必要がある。このため、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における出射位置となるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))に対する各支持柱26の位置と、回転レーザ出射装置11に対するレーザ受光装置12(その受光部71)の位置と、を同一の座標上で取り扱わなければならない。すると、それぞれを精密に測定するとともに、それぞれの座標の関係性も高い精度で把握する必要がある。これに対して、レーザ測量システム10では、重畳した回転姿勢信号Srを、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示すものとしていることから、回転レーザ出射装置11における基準位置に対する各支持柱26の回転方向(回転角)で見た位置に基づいて遮光領域Asを設定することができる。また、レーザ測量システム10では、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳していることから、通常の測量と同様に、レーザ受光装置12(その受光部71)に測定用レーザ光線Lを受光させるだけでよい。このため、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における出射位置となるレーザ出射機構31の出射部に対する各支持柱26の位置と、回転レーザ出射装置11に対するレーザ受光装置12(その受光部71)の位置と、を同一の座標上で取り扱うための測定および計算をすることなく、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かを適切に判断することができる。よって、レーザ測量システム10では、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断を、容易でかつ適切なものとすることができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳している。その回転姿勢信号Srは、回転方向で見て、基準位置に対して0度以上であって360度未満の範囲で連続的に周波数を変化させた信号として、基準位置に対する角度に応じて周波数を一対一対応させている。このため、レーザ測量システム10では、簡易な構成で回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lを出射した際の回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た詳細な位置をレーザ受光装置12(受光側制御部73)に取得させることができる。これにより、レーザ測量システム10では、遮光領域Asをより緻密に設定することができ、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断をより適切に行うことができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を出射した際の回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た詳細な位置をレーザ受光装置12(受光側制御部73)に取得させることができるので、出射側制御部61が調整基準軸線Apを簡易にかつより詳細に設定することができる。このため、出射側制御部61は、その調整基準軸線Apを回転軸として回転レーザ出射装置11における基準面Pbを、基準面Pb1から基準面Pb2へとより適切に変更することができる。これにより、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))と、レーザ受光装置12(その受光部71)と、を結ぶ直線を回転軸として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を容易にかつより適切に調整することができる。
レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)から、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を取得することができる。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、測定用レーザ光線Lを受光すると、回転姿勢(回転角)と高低角θvとから遮光領域Asに入るものであるか否かを判断することができる。このことから、レーザ測量システム10では、通常の測量と同様に、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)をレーザ受光装置12に受光させるだけで、その受光した測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断をより適切に行うことができる。
レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳された回転姿勢信号Srから、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)を取得することができる。このため、レーザ測量システム10では、簡易な構成としつつ確実に、回転レーザ出射装置11における回転体23(レーザ出射機構31)の回転方向で見た位置を、レーザ受光装置12(受光側制御部73)に取得させることができる。これは、回転レーザ出射装置11とレーザ受光装置12とを用いて測量を行う場合、レーザ受光装置12(その受光部71)に測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を受光させる作業が必須であることによる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が、測定用レーザ光線Lとして3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射している。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)から、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを求めることができる。このことから、レーザ測量システム10では、簡易な構成としつつ確実に、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を、レーザ受光装置12(受光側制御部73)に取得させることができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が、測定用レーザ光線Lとしてファンビームとした3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射している。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11からの距離に関わらず、受光した3つの照射光線S1、S2、S3(測定用レーザ光線L)から、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを容易にかつ適切に求めることができる。このことから、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を、回転レーザ出射装置11からの距離に関わらず、レーザ受光装置12(受光側制御部73)に容易にかつ適切に取得させることができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))から見た支持柱26の位置に応じて遮光領域Asを設定している。そして、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線Lの光線状態が遮光領域Asに入るか否かを判断することにより、測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断を行う。このため、レーザ測量システム10では、支持柱26に遮られることに起因して、回転レーザ出射装置11から適切に出射されていない測定用レーザ光線Lであることを、容易にかつ適切に判断することができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳していることから、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報を、レーザ受光装置12の受光側制御部73に容易に取得させることができる。このため、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態(傾きおよびその方向)の変化に応じて遮光領域As(その情報)を変化させることにより、実際の傾斜状態に対応させて測定用レーザ光線Lが適切に出射されたものであるか否かの判断を行うことができる。すなわち、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線Lの光線状態が、実際の傾斜状態に対応する遮光領域Asに入るか否かで、受光した測定用レーザ光線Lが回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かを判断することができる。このため、レーザ測量システム10では、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線Lの光線状態が、異なる傾斜状態に対応する遮光領域Asに入ることにより、適切に出射された測定用レーザ光線Lであるにも関わらず回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものではないと判断してしまうことを防止することができる。よって、レーザ測量システム10では、上記した構成と比較して、実際の回転レーザ出射装置11により適切に対応して、受光した測定用レーザ光線Lが当該回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かを判断することができ、測量を可能とする領域を不適切に狭めることをより確実に防止することができる。換言すると、レーザ測量システム10では、受光した測定用レーザ光線Lが回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かの判断をより精密に行うことができ、適切な測量が可能であるか否かの判断をより精密なものとすることができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が、鉛直状態検出部66としての各レベルセンサ49のそれぞれが常に狙った値を検知する状態とするように、傾斜駆動部64により出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することで、レーザ出射機構31(出射部筐体32)を常に任意の方向へと任意の角度に傾けた姿勢とすることができ、基準面Pbを水平面に対して任意の方向に任意の角度で傾斜させて測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)を回転照射することができる。そして、レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾斜状態(傾きおよびその方向)の変化に応じて、遮光領域As(その情報)を変化させていることから、基準面Pbを水平面に対して任意の方向に任意の角度で傾斜された測定用レーザ光線Lに対しても、適切に出射されたものであるか否かの判断を、回転レーザ出射装置11の状態に応じて適切に行うことができる。
レーザ測量システム10では、回転レーザ出射装置11が回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳していることから、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、回転レーザ出射装置11における出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)の情報を容易に取得することができる。また、回転レーザ出射装置11が、鉛直状態検出部66としての各レベルセンサ49のそれぞれが常に狙った値を検知する状態とするように、傾斜駆動部64により出射部筐体32(レーザ出射機構31)の本体ケース24に対する傾きとその方向とを調整することで、レーザ出射機構31(出射部筐体32)を常に任意の方向へと任意の角度に傾けた姿勢とすることができる。このため、レーザ測量システム10では、出射側制御部61が受光側制御部73から回転姿勢(回転角)の情報を取得することにより、回転レーザ出射装置11(そのレーザ出射機構31の出射部(ペンタプリズム54(回転体23の出射窓28))と、レーザ受光装置12(その受光部71)と、を結ぶ直線を回転軸として、回転レーザ出射装置11における基準面Pbの傾斜を容易にかつ適切に調整することができる。
したがって、本発明に係る回転レーザ出射装置の実施例として回転レーザ出射装置11では、回転レーザ出射装置11の回転軸Arを中心とする回転方向で見たレーザ受光装置12の位置の把握を可能とすることができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る回転レーザ出射装置の一例としての回転レーザ出射装置11について説明したが、レーザ光を回転照射する回転レーザ出射装置であって、全体の動作を制御する出射側制御部と、出射方向となる照射光軸を回転させつつレーザ光を出射するレーザ出射機構と、前記照射光軸の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備え、前記出射側制御部は、前記回転方向検出部が検出した前記照射光軸の回転方向を示す回転姿勢信号を生成して、前記回転姿勢信号をレーザ光に重畳させるべく前記レーザ出射機構を駆動する回転レーザ出射装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、本発明に係る回転レーザ出射装置の一例としてレーザ測量システム10の一部を構成する回転レーザ出射装置11を示していたが、回転方向検出部が検出した照射光軸の回転方向を示す回転姿勢信号を出射側制御部で生成して、回転姿勢信号をレーザ光に重畳させるべく出射側制御部がレーザ出射機構を駆動する回転レーザ出射装置であれば、単にレーザ光を回転照射する一般的なレーザ製品としての回転レーザ出射装置であってもよく、レーザ測量システム10の一部を構成すべく形成されたものではない回転レーザ出射装置であってもよく、レーザ光を反射するターゲットへとレーザ光を回転照射するとともにその反射光に基づいて当該ターゲットにおける回転軸に直交する平面に対する傾斜角および高さを測定する回転レーザ出射装置であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、回転レーザ出射装置11の出射側制御部61で回転姿勢信号Srを生成し、光源駆動部62を介して回転姿勢信号Srに応じてレーザ光線発光部51を駆動することにより、測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に回転姿勢信号Srを重畳させていたが、出射側制御部61の制御下で回転角検出部65が検出した照射光軸Aiの回転方向を示す回転姿勢信号をレーザ出射機構31から出射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳させるものであれば、他の構成であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、回転レーザ出射装置11(出射側制御部61)が、基準位置と照射光軸Aiとが為す回転角の変化に応じて周波数を変化させることにより回転姿勢信号Srを生成していたが、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示す回転姿勢信号を、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳させるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、回転レーザ出射装置11(出射側制御部61)が、回転方向で見て基準位置に対して0度以上であって360度未満の範囲で連続的に周波数が変化された信号であって基準位置に対する角度(回転角)に応じて周波数が一対一対応させて回転姿勢信号Srを生成していたが、基準位置からの出射部筐体32に対する回転体23の回転姿勢、すなわち回転方向で見て照射光軸Aiと基準位置とが為す回転角(照射光軸Aiが向けられた方向)を示す回転姿勢信号を、回転照射する測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)に重畳させるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が、受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)から、回転レーザ出射装置11のレーザ出射機構31の出射部から見た、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを取得するものとしていたが、高低角θvを取得するものであれば、他の手段を用いて(受光側通信部80を用いたり入力部76で入力したりする)取得するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、回転レーザ出射装置11が測定用レーザ光線Lとして3つの照射光線S1、S2、S3を回転照射するものとされていたが、単一の光線を回転照射するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。この場合、レーザ受光装置12(受光側制御部73)において、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを判断することが可能な構成とすることが望ましい。このような構成としては、例えば、レーザ受光装置12の受光部を、全体を鉛直方向および水平方向と平行な矩形状とするとともに、鉛直方向および水平方向に対して傾斜する分割線で区画した2つの受光領域を設けることで、上記した実施例と同様の考え方で基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvを判断することができる。
上記した実施例では、レーザ光線発光部51から出射された測定用レーザ光線Lを回折格子53で3つの照射光線S1、S2、S3に成形するものとされていたが、各照射光線S1、S2、S3を別々の光源(レーザ光線発光部51に相当する)から出射させるものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。このような構成とする場合、3つの照射光線S1、S2、S3の少なくとも1つに回転姿勢信号Srを重畳させるものとすればよい。すなわち、3つの照射光線S1、S2、S3を出射する3つの光源のうちの少なくとも1つに対して、上述したレーザ光線発光部51と同様に情報重畳処理を行うものとすればよい。
上記した実施例では、レーザ受光装置12(受光側制御部73)が受光した測定用レーザ光線Lが回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かを判断していたが、レーザ受光装置12(その受光部71)で受光した測定用レーザ光線L(3つの照射光線S1、S2、S3)において、回転レーザ出射装置11における測定用レーザ光線Lが出射された箇所となるレーザ出射機構31の出射部から見た、出射部筐体32の中心軸線(回転軸Ar)を中心とする回転方向での照射光軸Aiの回転姿勢(回転角)と、基準面Pb(照射光軸Ai)に対する高低角θvと、を用いて、レーザ受光装置12で受光した測定用レーザ光線Lが回転レーザ出射装置11から適切に出射されたものであるか否かを判断するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、回転レーザ出射装置11の本体ケース24に4本の支持柱26が設けられていたが、支持柱26の本数や形状は適宜設定すればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明のレーザ測量システムを実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。