以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、携帯電話機1の正面図、背面図および右側面図である。以下、説明の便宜上、図1(a)〜(c)に示すように、キャビネット2の長手方向を上下方向と定義し、キャビネット2の短手方向を左右方向と定義する。
図1に示されるように、携帯電話機1は、キャビネット2と、ディスプレイ3と、タッチパネル4と、マイクロフォン5と、通話スピーカ6と、外部スピーカ7とを含む。
キャビネット2は、正面から見て、ほぼ長方形の輪郭を有する。キャビネット2の正面側に、ディスプレイ3が配されている。ディスプレイ3には、各種の画像(画面)が表示される。ディスプレイ3は、たとえば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ3は、有機ELディスプレイ等、他の種類のディスプレイであってもよい。さらに、ディスプレイ3を覆うように、タッチパネル4が配置されている。タッチパネル4は、透明なシート状
に形成されている。タッチパネル4として、静電容量式、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、各種方式のタッチパネルが用いられ得る。
キャビネット2の内部には、下端部にマイクロフォン5が配されている。また、キャビネット2の内部には、上端部に通話スピーカ6が配されている。マイクロフォン5は、キャビネット2の正面に形成されたマイク孔5aを通過した音声を受け付ける。マイクロフォン5は、入力された音に応じた電気信号を生成する。通話スピーカ6は、音を出力する。出力された音は、キャビネット2の正面に形成された出力孔6aを通過してキャビネット2の外に放出される。通話の際には、通信先の機器(携帯電話機等)から受信された受話音声が通話スピーカ6から出力され、ユーザが発した発話音声がマイクロフォン5に入力される。なお、音は、音声、報知音等、様々な音を含む。
キャビネット2の内部には、外部スピーカ7が配されている。キャビネット2の背面には、外部スピーカ7と対向する領域に出力孔7aが形成されている。外部スピーカ7から出力された音は、出力孔7aを通過してキャビネット2の外に放出される。
キャビネット2の上部には、正面側にインカメラ8が配されており、背面側にアウトカメラ9が配されている。インカメラ8は、携帯電話機1の正面方向に存在する被写体を撮影する。アウトカメラ9は、携帯電話機1の背面方向に存在する被写体を撮影する。
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、携帯電話機1は、制御部11と、記憶部12と、画像出力部13と、タッチ検出部14と、音声入力部15と、音声出力部16と、音声処理部17と、キー入力部18と、通信部19と、振動発生部20と、撮影部21と、加速度検出部22と、位置検出部23とを含む。
記憶部12は、ROM、RAM、外部メモリを含む。記憶部12には、各種のプログラムが記憶されている。記憶部12に記憶されるプログラムは、携帯電話機1の各部を制御するための制御プログラムの他、各種アプリケーション(たとえば、ホーム、電話、電子メール、ウェブブラウザ、地図、ゲーム、スケジュール管理、等)を含む。プログラムは、メーカによって携帯電話機1の製造時に記憶部12に記憶される他、通信網やメモリカード、CD−ROM等の記憶媒体を介して記憶部12に記憶される。
記憶部12には、プログラムの実行の際、一時的に利用または生成されるデータを記憶するワーキング領域も含まれる。
記憶部12には、アクシデント基準情報テーブル12aと、緊急連絡先テーブル12bが記憶されている。アクシデント基準情報テーブル12aは、基準加速度情報(後述の実施例1では、加速度閾値Gsh1)および基準音情報(後述の実施例2では、音閾値Dsh1)が保持されている。基準加速度情報は、加速度検出部22が検出した動加速度に基づいて、携帯電話機1のユーザまたはユーザの周囲に対するアクシデントの発生を検出するための検出基準となる。基準音情報は、音声入力部15が検出した音に基づいて、アクシデントの発生を検出するための検出基準となる。緊急連絡先テーブル12bは、アクシデントの発生時に、アクシデントの発生を早急に伝える相手の連絡先情報が保持されている。たとえば、アクシデントが第三者の交通事故である場合には、警察の電話番号、アクシデントがユーザの転倒である場合は、病院または親族の電話番号、メールアドレス等が保持される。
制御部11は、CPUを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに従
って、携帯電話機1を構成する各部(記憶部12、画像出力部13、タッチ検出部14、音声入力部15、音声出力部16、音声処理部17、キー入力部18、通信部19、振動発生部20、撮影部21、加速度検出部22、位置検出部23等)を制御する。
画像出力部13は、図1に示すディスプレイ3を含む。画像出力部13は、制御部11からの制御信号と画像信号に基づき、ディスプレイ3に画像(画面)を表示する。また、画像出力部13は、制御部11からの制御信号に応じて、ディスプレイ3の点灯、消灯および輝度の調整を行う。
タッチ検出部14は、図1に示すタッチパネル4を含み、タッチパネル4に対するタッチ操作を検出する。より具体的には、タッチ検出部14は、タッチパネル4に対する、ユーザの指などの接触対象の接触位置(以下、「タッチ位置」と称する)を検出する。タッチ検出部14は、検出したタッチ位置に基づいて生成された位置信号を制御部11へ出力する。
ユーザは、タッチパネル4が設けられることにより、タッチパネル4に指を触れることにより様々なタッチ操作を行うことができる。タッチ操作は、たとえば、タップ操作、フリック操作、スライド操作等を含む。タップ操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させた後、短時間のうちに指をタッチパネル4から離す操作である。フリック操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させた後、タッチパネル4を指で任意の方向に弾く操作である。スライド操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させたまま、任意の方向へ指を移動させる操作である。
たとえば、タッチ検出部14がタッチ位置を検出した場合に、タッチ位置が検出されてから予め定められた第1時間以内にタッチ位置が検出されなくなると、制御部11は、タッチ操作をタップ操作と判定する。タッチ位置が検出されてから予め定められた第2時間以内に予め定められた第1距離以上タッチ位置が移動した後、タッチ位置が検出されなくなった場合、制御部11は、タッチ操作をフリック操作と判定する。タッチ位置が検出された後、予め定めた第2距離以上タッチ位置が移動すると、制御部11は、タッチ操作をスライド操作と判定する。
音声入力部15は、マイクロフォン5を含む。音声入力部15は、マイクロフォン5からの電気信号を音声処理部17へ出力する。
音声出力部16は、通話スピーカ6および外部スピーカ7を含む。音声出力部16には、音声処理部17からの電気信号が入力される。音声出力部16は、通話スピーカ6または外部スピーカ7から音を出力させる。
音声処理部17は、音声入力部15からの電気信号にA/D変換等を施し、変換後のデジタルの音声信号を制御部11へ出力する。音声処理部17は、制御部11からのデジタルの音声信号にデコード処理およびD/A変換等を施し、変換後の電気信号を音声出力部16に出力する。
キー入力部18は、少なくとも1つ以上のハードキーを含む。たとえば、キー入力部18は、携帯電話機1に電源を投入するための電源キー等を含む。キー入力部18は、押下されたハードキーに対応する信号を制御部11に出力する。
通信部19は、通話や通信を行うため、信号を変換するための回路、電波を送受信するアンテナ等を含む。通信部19は、制御部11から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して基地局や他の通信装置等の
通信先へ送信する。さらに、通信部19は、アンテナを介して受信した無線信号を制御部11が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号を制御部11へ出力する。
振動発生部20は、バイブレータを含む。振動発生部20は、制御部11からの制御信号に基づき、バイブレータを振動させる。バイブレータの振動がキャビネット2に伝達されて、キャビネット2が振動する。
撮影部21は、図1(a)に示すインカメラ8と図1(b)に示すアウトカメラ9とを含む。撮影部21は、インカメラ8およびアウトカメラ9により撮影された画像の画像データに各種の画像処理を施し、画像処理後の画像データを制御部11に出力する。
加速度検出部22は、3軸タイプの加速度センサ等を含む。加速度検出部22は、加速度センサにより、静止時に携帯電話機1に生ずる静加速度、すなわち、重力加速度を検出する。加速度検出部22は、3軸加速度センサによる重力加速度の検出結果に基づいて携帯電話機1の向きを検出し、検出した携帯電話機1の向きに応じた検出信号を制御部11へ出力する。たとえば、携帯電話機1が縦向き(キャビネット2の長手方向が鉛直方向に沿う方向)となるようユーザに保持された場合、加速度検出部22は、縦向きに対応する検出信号を出力する。携帯電話機1が横向き(キャビネット2の長手方向が水平方向に沿う方向)となるようユーザに保持された場合、加速度検出部22は、横向きに対応する検出信号を出力する。
さらに、加速度検出部22は、加速度センサにより、携帯電話機1が動いた際に携帯電話機1に生ずる動加速度を検出し、検出された動加速度に応じた検出信号を制御部11に出力する。交通事故、転倒等のアクシデントがユーザに起こり、アクシデントに起因する衝撃によって携帯電話機1が動いた場合、その衝撃による動加速度に応じた検出信号が、加速度検出部22から出力される。
位置検出部23は、GPS(Global Positioning System)等を含む。位置検出部23は、GPS衛星から受信する信号等に基づき、携帯電話機1の現在位置を検出し、現在位置に応じた信号を制御部11へ出力する。
図3は、アプリケーションの実行によりディスプレイ3に表示される画面について説明するための図である。制御部11は、上述のように、各種のアプリケーションを実行し、アプリケーションに応じた画面をディスプレイ3に表示する。
図3に示すように、ディスプレイ3に表示される画面は、ピクト領域RP、ウィンドウ領域RWおよびキー領域RKにより構成される。ピクト領域RPには、現在時刻101、電波の強度を示す強度メータ102、バッテリー残量を示す残量メータ103が表示される。さらに、ピクト領域RPには、上述した不在着信情報、新規メッセージ情報など、各種の通知情報に対応する通知アイコン104が表示される。ユーザは、通知アイコン104を確認することにより、通知情報の種類を確認することができる。さらに、ユーザにより所定の操作が行われると、後述する通知情報の一覧画面がディスプレイ3に表示される。
キー領域RKには、操作キー群105が表示される。操作キー群105は、設定キー105a、ホームキー105b、およびバックキー105cから構成されている。設定キー105aは、主に、各種設定を行う設定画面をディスプレイ3に表示させるためのキーである。ホームキー105bは、主に、ディスプレイ3の表示を他の画面からホーム画面に移行させるためのキーである。バックキー105cは、主に、実行された処理を1ステップ前の処理に戻すためのキーである。
ウィンドウ領域RWには、アプリケーションの実行画面が表示される。たとえば、図3に示すように、ホームのアプリケーションが実行された場合、ウィンドウ領域RWに、ホーム画面が表示される。ホーム画面には、電話、電子メールなど、各種のアプリケーションに対応する起動用アイコン106が配列される。
なお、実行されるアプリケーションによっては、ピクト領域RPおよびキー領域RKの少なくとも一つが表示されず、表示されない領域までウィンドウ領域RWが拡がる場合がある。
本実施の形態の携帯電話機1は、携帯電話機1のユーザまたはユーザの周囲に対するアクシデントの発生を検知し、アクシデントの発生を迅速に通知するためのアプリケーションを備える。制御部11は、本機能のアプリケーションに係る制御処理(以下、「アクシデント通知制御処理」という)を実行する。図2に示すように、制御部11は、アクシデント通知制御処理を実行するためのアクシデント通知制御部31を含む。アクシデント通知制御部31は、制御部11によって実行されるプログラムの機能として実現される。
アクシデント通知制御部31は、アクシデント通知制御処理において、加速度検出部22が検出した動加速度と、アクシデント基準情報テーブル12aの基準加速度情報とを比較する。また、アクシデント通知制御部31は、アクシデント通知制御処理において、音声入力部15が検出した音と、アクシデント基準情報テーブル12aの基準音情報とを比較する。検出された動加速度と基準加速度情報との比較結果および/または検出された音と基準音情報との比較結果に基づき、アクシデントの発生の有無を検知する。アクシデントの発生を検知すると、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先テーブル12bに保持された連絡先情報が示す連絡先へアクシデントの発生を通知するための制御処理を実行する。
以下、アクシデント通知制御処理の具体例について説明する。
<実施例1>
アクシデントの一例として、携帯電話機1のユーザが急病等により転倒した場合を挙げることができる。実施例1におけるアクシデント通知制御部31は、携帯電話機1のユーザが急病等により転倒した場合に、ユーザの転倒を検知し、緊急連絡先に電子メールを送信する。
図4(a)は、ユーザが急病等により転倒した場合の携帯電話機1に生じる動加速度Grの遷移を想定した例を示す概念図である。図4(a)において、横軸は、経過時間(ミリ秒)であり、縦軸は、動加速度(G)である。
図4(a)を参照して、経過時間t1までは、携帯電話機1に生じる動加速度Grは非常に小さい値で遷移する。経過時間t1において、携帯電話機1を身に付けたユーザが転倒する。すると、転倒よる大きな衝撃により携帯電話機1が激しく動き、携帯電話機1に生じる動加速度Grが急激に上昇する。その後、携帯電話機1にかかる動加速度Grは、経過時間t2において極大になった後、急激に下がり、上昇前と同様の非常に小さい値で遷移する。
このように、一般的に、携帯電話機1を身に付けたユーザが転倒した場合、携帯電話機1には、通常使用時に生じる動加速度よりも極端に大きい動加速度が生じる。なお、携帯電話機1の「通常使用」とは、たとえば、歩行中や乗車中等、日常的に発生し得る状況において、ユーザが、電話の発信、電子メールの作成等、携帯電話機1の一般的な機能を利
用する際に想定され得る操作を行うことである。「通常使用」には、ユーザが、日常的に発生し得る状況において、携帯電話機1の操作を行わずに、ポケットやカバンに携帯電話機1を収納していることが含まれる。
そこで、実施例1では、図4(a)に示すように、通常使用時に発生し得る動加速度の場合には超えることがなく、ユーザの転倒時に発生し得る動加速度の場合に超えるような所定の加速度閾値Gsh1が設定される。アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22から出力される動加速度(動加速度に応じた検出信号)の値を監視し、携帯電話機1の通常使用時では想定され得ない、所定の加速度閾値Gsh1以上の大きな動加速度が携帯電話機1に生じた場合に、携帯電話機1のユーザが転倒したとみなし、緊急連絡先に電子メールを送信する。
たとえば、通常使用時に携帯電話機1に生じる動加速度が0〜0.03G程度であり、ユーザが転倒した際に携帯電話機1に生じる動加速度が0.15G程度であるとすると、加速度閾値Gsh1は、0.12Gに設定される。このように、加速度閾値Gsh1を設定することにより、ユーザの転倒を検出することができる。
図4(b)は、実施例1に係るアクシデント基準情報テーブル12aの一例である。図4(c)は、実施例1に係る緊急連絡先テーブル12bの一例である。
図4(b)に示すように、アクシデント基準情報テーブル12aには、上記加速度閾値Gsh1があらかじめ記憶される。また、図4(c)に示すように、緊急連絡先テーブル12bには、ユーザが転倒したことを早急に伝える相手の連絡先情報A1と、ユーザが転倒したことを伝える通知メッセージが記憶される。連絡先情報A1は、たとえば、病院または親族の電子メールアドレスである。通知メッセージは、たとえば、ユーザの転倒を緊急連絡先に伝えるための文字列情報である。通知メッセージは、図4(c)に示す例に限られず、この他、ユーザの転倒を検出した時刻、現在位置情報P1、検出した動加速度Grすなわち衝撃力の大きさ等が含まれていても良い。
図5(a)は、実施例1に係るアクシデント通知制御処理を示すフローチャートである。
図5(a)の制御処理は、携帯電話機1の起動により開始される。この制御処理は、各アプリケーションの制御処理等、他の制御処理とともに並列して実行される。
図5(a)を参照して、アクシデント通知制御部31は、加速度閾値Gsh1と、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)とを比較し、携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する(S101)。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じていない場合(S101:NO)、アクシデント通知制御部31は、携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する処理を繰り返す。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じた場合(S101:YES)、アクシデント通知制御部31は、あらかじめ緊急連絡先テーブル12bに記憶された連絡先情報A1と通知メッセージを読み出す(S102、S103)。アクシデント通知制御部31は、読み出した情報に基づいて、メール送信確認画面S1をディスプレイ3に表示する(S104)。
図5(b)は、メール送信確認画面S1の表示例を示す図である。
メール送信確認画面S1には、ウィンドウ領域RW上に重ね合わされたポップアップウィンドウ領域PW1が含まれる。ポップアップウィンドウ領域PW1には、ユーザの転倒を検知したが、通知メッセージを電子メールにより連絡先情報A1宛に送信するか否かをユーザに確認するメッセージと、CANCELアイコン201が含まれる。
ユーザは、メール送信確認画面S1を見ることにより、携帯電話機1が、ユーザの転倒を検知したために緊急連絡先へ通知メッセージを送信しようとしていることを認識することができる。
図5(a)に戻り、アクシデント通知制御部31は、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされたか否かを判定する(S105)。CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされていない場合(S105:NO)、アクシデント通知制御部31は、メール送信確認画面S1が表示されてから所定の時間Tsh1が経過したか否かを判定する(S106)。時間Tsh1は、ユーザが転倒してから自身の健康状態に問題がないかを判断可能な時間に設定される。
メール送信確認画面S1が表示されてから時間Tsh1が経過していない場合(S106:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS105に戻し、時間Tsh1が経過するまで、CANCELアイコン201に対するタップ操作状況の判定処理を繰り返す。メール送信確認画面S1が表示されてから時間Tsh1が経過するまでに、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされた場合(S105:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先に電子メールを送信せずに、処理をS101に戻し、再度、ユーザの転倒の有無を判定する。
CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされず(S105:NO)、メール送信確認画面S1が表示されてから時間Tsh1が経過した場合(S106:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先テーブル12bより読み出した連絡先情報A1宛に携帯電話機1のユーザが転倒したことを伝える通知メッセージが記載された電子メールを送信する(S107)。
こうして、ユーザの転倒を検知し、緊急連絡先テーブル12bに保持された連絡先情報A1宛に電子メールを送信すると、アクシデント通知制御部31は、アクシデント通知制御処理を終了する。なお、携帯電話機1がシャットダウンされなければ、再度、アクシデント通知制御処理が実行され、ユーザの転倒の有無が判定される。
以上、実施例1によれば、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)に基づき、アクシデントの一つであるユーザの転倒の有無が判定される。ユーザの転倒が検知されると、ユーザの急病等による転倒を検知したことを伝える通知メッセージが作成される。したがって、ユーザは急病等による転倒時に、転倒したことを親族等の緊急連絡先に伝える通知メッセージを自ら作成することなく、緊急連絡先に通知メッセージを電子メールにて送信することができる。
さらに、実施例1によれば、メール送信確認画面S1を表示後、時間Tsh1が経過しても、CANCELアイコン201に対するタップ操作がなければ、電子メールが自動送信される。したがってユーザが転倒した際に意識を失ったような場合であっても、ユーザに対するアクシデント(転倒)の発生を親族等の緊急連絡先に伝えることができる。
さらに、実施例1によれば、電子メールの送信前にメール送信確認画面S1が表示され、ユーザからのCANCELアイコン201に対するタップ操作状況が判定される。した
がって、ユーザは、転倒後、自身の健康状態に問題がなく、緊急連絡先に通知メッセージを送信する必要がなければ、CANCELアイコン201に対してタップ操作を行うことにより、通知メッセージの送信をキャンセルすることができる。また、携帯電話機1に対して転倒以外の原因により何らかの強い衝撃が加わった場合、ユーザは、CANCELアイコン201に対してタップ操作を行うことにより、誤った通知メッセージが緊急連絡先に送信されることを防ぐことができる。
なお、携帯電話機1では、加速度センサを含む加速度検出部22からの携帯電話機1の向きに応じた検出信号に基づいて、ディスプレイ3に表示された画面の表示方向を変更する制御処理が、制御部11により実行される。実施例1では、画面の表示方向を変更する機能、すなわち、他の機能のためにも利用されている加速度センサを用いて、ユーザの転倒(アクシデント)の有無の検知が行われる。したがって、特別なセンサを携帯電話機1に搭載することなく、簡素な構成により、アクシデントの有無を検知することができる。
なお、上記実施例1では、携帯電話機1に所定の加速度閾値Gsh1以上の動加速度が生じた場合に、携帯電話機1のユーザが転倒したとみなして、緊急連絡先に電子メールを送信したが、他のアクシデントの発生時において、同様の制御処理が実行されても良い。たとえば、携帯電話機1を身に付けたユーザが車に衝突される等、ユーザ自身に対する交通事故が発生した場合、ユーザの転倒時と同様に、携帯電話機1の通常使用時では想定され得ない大きい衝撃が携帯電話機1に付加される。したがって、交通事故と判断し得る衝撃力がかかったときに生じる動加速度を加速度閾値Gsh1に設定し、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と加速度閾値Gsh1とを比較することにより、アクシデント通知制御部31は、ユーザ自身に対する交通事故を検出することができる。この場合、メール送信確認画面S1には、ユーザ自身に対する交通事故を検知したが、通知メッセージを電子メールにより緊急連絡先宛に送信するか否かをユーザに確認するメッセージが含まれる。これにより、ユーザは、ユーザ自身に対する交通事故を緊急連絡先に迅速に通知することができる。
<実施例2>
アクシデントの一例として、携帯電話機1のユーザ以外の人、すなわち第三者の交通事故が発生した場合を挙げることができる。実施例2におけるアクシデント通知制御部31は、携帯電話機1のユーザの周囲にいた第三者に交通事故が発生したこと検知し、緊急連絡先に電話を発信する。
図6(a)は、第三者の交通事故が発生した場合の携帯電話機1が入力する音Dの遷移を想定した例を示す概念図である。図6(a)において、横軸は、経過時間(ミリ秒)であり、縦軸は、音の大きさ(dB)である。
図6(a)を参照して、経過時間t3までは、携帯電話機1が入力する音Dはやや小さい値で遷移する。経過時間t3において、携帯電話機1を身に付けたユーザの周囲で第三者の交通事故が発生する。すると、ユーザまたは第三者が悲鳴を上げ、携帯電話機1が入力する音Dが急激に上昇する。車等が第3者への衝突する直前のクラクションの音や急ブレーキの音、車等が第3者へ衝突したときの音によって携帯電話機1が入力する音Dが上昇する場合もある。その後、携帯電話機1が入力する音Dは、経過時間t4において極大になった後、急激に下がり、上昇前よりやや大きい値で遷移する。
このように、一般的に、第三者の交通事故が発生した場合、携帯電話機1には、通常使用時に携帯電話機1が入力する音よりも極端に大きい音が生じる。
そこで、実施例2では、図6(a)に示すように、通常使用時に発生し得る音の場合に
は超えることがなく、第三者の交通事故時に発生し得る音の場合に超えるような所定の音閾値Dsh1が設定される。アクシデント通知制御部31は、音声入力部15から出力される音(音に応じた検出信号)の大きさを監視し、携帯電話機1の通常使用時では想定され得ない、所定の音閾値Dsh1以上の大きな音を携帯電話機1が入力した場合に、第三者の交通事故が発生したとみなし、緊急連絡先に電話を発信する。
たとえば、通常使用時に携帯電話機1が入力する音が、略20〜60dB程度であり、人が悲鳴を上げた場合に携帯電話機1が入力する音が、略110dB以上であるとすると、音閾値Dsh1は、100dBに設定される。このように、音閾値Dsh1を設定することにより、第三者の交通事故を検出することができる。
図6(b)は、実施例2に係るアクシデント基準情報テーブル12aの一例である。図6(c)は、実施例2に係る緊急連絡先テーブル12bの一例である。
図6(b)に示すように、アクシデント基準情報テーブル12aには、上記音閾値Dsh1があらかじめ記憶される。また、図6(c)に示すように、緊急連絡先テーブル12bには、第三者の交通事故が発生したことを早急に伝える相手の連先情報A2が記憶される。連絡先情報A2は、たとえば、警察等の電話番号である。
図7(a)は、実施例2に係るアクシデント通知制御処理を示すフローチャートである。
図7(a)の制御処理は、携帯電話機1の起動により開始される。この制御処理は、各アプリケーションの制御処理等、他の制御処理とともに並列して実行される。
図7(a)を参照して、アクシデント通知制御部31は、音閾値Dsh1と、音声入力部15からの音声入力信号(音)とを比較し、音閾値Dsh1以上の音Dを入力したか否かを判定する(S201)。
音閾値Dsh1以上の音Dを入力していない場合(S201:NO)、アクシデント通知制御部31は、音閾値Dsh1以上の音Dを入力したか否かを判定する処理を繰り返す。
音閾値Dsh1以上の音Dを入力すると(S201:YES)、アクシデント通知制御部31は、あらかじめ緊急連絡先テーブル12bに記憶された連絡先情報A2を読み出す(S202)。アクシデント通知制御部31は、読み出した情報に基づいて、電話発信確認画面S2をディスプレイ3に表示する(S203)。
図7(b)は、電話発信確認画面S2の表示例を示す図である。
電話発信確認画面S2には、ウィンドウ領域RW上に重ね合わされたポップアップウィンドウ領域PW2が含まれる。ポップアップウィンドウ領域PW2には、第三者の交通事故を検知したが、連絡先情報A2宛に電話を発信するか否かをユーザに確認するメッセージと、CANCELアイコン201が含まれる。
ユーザは、電話発信確認画面S2を見ることにより、携帯電話機1が、第三者の交通事故の発生を検知したために緊急連絡先に電話を発信しようとしていることを認識することができる。
図7(a)に戻り、アクシデント通知制御部31は、CANCELアイコン201に対
してタップ操作がなされたか否かを判定する(S204)。CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされていない場合(S204:NO)、アクシデント通知制御部31は、電話発信確認画面S2が表示されてから所定の時間Tsh1が経過したか否かを判定する(S205)。時間Tsh1は、第三者の交通事故が発生してからユーザが緊急連絡先への発信要否を判断可能な時間に設定される。
電話発信確認画面S2が表示されてから時間Tsh1が経過していない場合(S205:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS204に戻し、時間Tsh1が経過するまで、CANCELアイコン201に対するタップ操作状況の判定処理を繰り返す。電話発信確認画面S2が表示されてから時間Tsh1が経過するまでに、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされた場合(S204:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先に電話発信せずに、処理をS202に戻し、再度、第三者の交通事故の発生有無を判定する。
CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされず(S204:NO)、電話発信確認画面S2が表示されてから時間Tsh1が経過した場合(S205:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先テーブル12bより読み出した連絡先情報A2宛に電話を発信する(S206)。
こうして、第三者の交通事故を検知し、緊急連絡先テーブル12bに保持された連絡先情報A2宛に電話を発信すると、アクシデント通知制御部31は、アクシデント通知制御処理を終了する。なお、携帯電話機1がシャットダウンされていなければ、再度、アクシデント通知制御処理が実行され、第三者の交通事故の発生の有無が判定される。
以上、実施例2によれば、音声入力部15からの音声信号(音)に基づき、アクシデントの一つである第三者の交通事故の発生の有無が判定される。第三者の交通事故が検知されると、警察等、緊急連絡先宛てに電話が発信される。したがって、ユーザは自ら電話を発信することなく、迅速に第三者の交通事故を通報することができる。
さらに、実施例2によれば、電話発信確認画面S2を表示後、時間Tsh1が経過しても、CANCELアイコン201に対するタップ操作がなければ、緊急連絡先宛の電話が自動発信される。したがってユーザが携帯電話機1のタップ操作が困難な状況であっても、緊急連絡先に電話を発信することができる。
さらに、実施例2によれば、電話発信前に電話発信確認画面S2が表示され、ユーザからのCANCELアイコン201に対するタップ操作状況が判定される。したがって、第三者の交通事故以外の原因により何らかの大きな音を携帯電話機1が入力した場合、ユーザは、CANCELアイコン201をタップすることにより、誤って緊急連絡先に電話が発信されることを防ぐことができる。
なお、携帯電話機1では、マイクロフォン5を含む音声入力部15からの音声信号に基づいて、通話にかかる制御処理が、制御部11により実行される。実施例2では、通話にかかる機能、すなわち、他の機能のためにも利用されているマイクロフォン5を用いて、第三者の交通事故(アクシデント)の有無の検知が行われる。したがって、特別なセンサを携帯電話機1に搭載することなく、簡素な構成により、アクシデントの有無を検知することができる。
<実施例3>
アクシデントの一例として、携帯電話機1のユーザの手荷物等がひったくられた場合を挙げることができる。実施例3におけるアクシデント通知制御部31は、携帯電話機1の
ユーザに対してひったくりが発生したことを検知し、緊急連絡先に現在位置情報P1を発信する。
図8(a)は、ユーザに対してひったくりが発生した場合の携帯電話機1に生じる動加速度Grと、携帯電話機1が入力する音Dの遷移を想定した例を示す概念図である。図8(a)において、横軸は、経過時間(ミリ秒)であり、縦軸は、動加速度(G)および音の大きさ(dB)である。
図8(a)を参照して、経過時間t5までは、携帯電話機1に生じる動加速度Grは非常に小さい値で遷移する。経過時間t5において、携帯電話機1を身に付けたユーザの手荷物等がひったくられる。すると、ひったくりによる大きな衝撃により携帯電話機1が激しく動き、携帯電話機1に生じる動加速度Grが急激に上昇する。その後、携帯電話機1に生じる動加速度Grは、経過時間t6において極大になった後、急激に下がり、上昇前と同様の非常に小さい値で遷移する。
また、携帯電話機1に大きな衝撃が生じた後、経過時間t7において、携帯電話機1のユーザまたは第三者が悲鳴を上げる。すると、携帯電話機1が入力する音Dが急激に上昇する。その後、携帯電話機1が入力する音Dは、経過時間t8において極大になった後、急激に下がり、上昇前よりやや大きい値で遷移する。
このように、一般的に、ユーザに対するひったくりが発生した場合、携帯電話機1には、通常使用時に生じる動加速度よりも極端に大きい動加速度が生じる。その後、短い期間の間に、携帯電話機1の通常使用時に携帯電話機1が入力する音よりも極端に大きい音が生じる。
そこで、実施例3では、図8(a)に示すように、通常使用時に発生し得る動加速度の場合は超えることがなく、ユーザに対するひったくり発生時に発生し得る動加速度の場合に超えるような所定の加速度閾値Gsh2が設定される。さらに、通常使用時に発生し得る音の場合は超えることがなく、ユーザに対するひったくり発生時に発生し得る音の場合に超えるような所定の音閾値Dsh2が設定される。アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22から出力される動加速度(動加速度に応じた検出信号)と音声入力部15から出力される音(音に応じた検出信号)の大きさを監視し、検体電話機1の通常使用時では想定され得ない、所定の加速度閾値Gsh2以上の大きな動加速度が携帯電話機1に生じ、その後、所定の経過時間内に、携帯電話機1の通常使用時では想定され得ない、所定の音閾値Dsh2以上の大きな音を携帯電話機1が入力した場合に、ユーザに対するひったくりが発生したとみなし、緊急連絡先に現在位置情報P1を送信する。
たとえば、通常使用時に携帯電話機1に生じる動加速度が0〜0.03G程度であり、ユーザが転倒した際に携帯電話機1に生じる動加速度が0.15G程度であるとすると、加速度閾値Gsh2は、0.125Gに設定される。また、通常使用時に携帯電話機1が入力する音が、略20〜60dB程度であり、人が悲鳴を上げた場合に携帯電話機1が入力する音が、略100dB以上であるとすると、音閾値Dsh2は、90dBに設定される。このように、加速度閾値Gsh2と音閾値Dsh2を設定することにより、ユーザに対するひったくりを検出することができる。
図8(b)は、実施例3に係るアクシデント基準情報テーブル12aの一例である。図8(c)は、実施例3に係る緊急連絡先テーブル12bの一例である。
図8(b)に示すように、アクシデント基準情報テーブル12aには、上記加速度閾値Gsh2と音閾値Dsh2があらかじめ記憶される。また、図8(c)に示すように、緊
急連絡先テーブル12bには、ユーザに対してひったくりが発生し、現在位置情報P1を早急に伝える相手の連絡先情報A3が記憶される。
図9(a)は、実施例3に係るアクシデント通知制御処理を示すフローチャートである。
図9(a)の制御処理は、携帯電話機1の起動により開始される。この制御処理は、各アプリケーションの制御処理等、他の制御処理とともに並列して実行される。
図9(a)を参照して、アクシデント通知制御部31は、加速度閾値Gsh2と、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)とを比較し、携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する(S301)。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じていない場合(S301:NO)、アクシデント通知制御部31は、携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じているか否かを判定する処理を繰り返す。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じると(S301:YES)、アクシデント通知制御部31は、音閾値Dsh2と、音声入力部15からの音声入力信号(音)とを比較し、音閾値Dsh2以上の音Dを入力したか否かを判定する(S302)。
音閾値Dsh2以上の音Dを入力していない場合(S302:NO)、アクシデント通知制御部31は、加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じてから所定の時間Tsh2が経過したか否かを判定する(S303)。時間Tsh2は、ユーザに対するひったくりが発生してから、ユーザまたは第三者が悲鳴を上げるまでにかかる時間に設定される。
加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じてから所定の時間Tsh2が経過していない場合(S303:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS302に戻し、時間Tsh2が経過するまで、音閾値Dsh2以上の音Dを入力したか否かを判定する処理を繰り返す。
音閾値Dsh2以上の音Dを入力しておらず(S302:NO)、加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じてから所定の時間Tsh2が経過した場合(S303:YES)、アクシデント通知制御部31は、処理をS301に戻し、携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する処理を繰り返す。
加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが検出されてから所定の時間Tsh2が経過するまでに、音閾値Dsh2以上の音Dを入力すると(S302:YES)、アクシデント通知制御部31は、位置検出部23より現在位置情報P1を取得する(S304)。アクシデント通知制御部31は、あらかじめ緊急連絡先テーブル12bに記憶された連絡先情報A3を読み出す(S305)。アクシデント通知制御部31は、読み出した現在位置情報P1と連絡先情報A3に基づいて、位置送信確認画面S3をディスプレイ3に表示する(S306)。
図9(b)は、位置送信確認画面S3の表示例を示す図である。
位置送信確認画面S3には、ウィンドウ領域RW上に重ね合わされたポップアップウィンドウ領域PW3が含まれる。ポップアップウィンドウ領域PW3には、ユーザに対するひったくりを検知したが、連絡先情報A3宛に現在位置情報P1を送信するか否かをユー
ザに確認するメッセージと、CANCELアイコン201が含まれる。
ユーザは、位置送信確認画面S3を見ることにより、携帯電話機1が、ユーザに対するひったくりを検知したために、緊急連絡先に現在位置情報P1を送信しようとしていることを認識することができる。
図9(a)に戻り、アクシデント通知制御部31は、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされたか否かを判定する(S307)。CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされていない場合(S307:NO)、アクシデント通知制御部31は、位置送信確認画面S3が表示されてから所定の時間Tsh1が経過したか否かを判定する(S308)。時間Tsh1は、ユーザに対するひったくりが発生してからユーザが緊急連絡先への現在位置情報P1を送信する要否を判断可能な時間に設定される。
位置送信確認画面S3が表示されてから時間Tsh1が経過していない場合(S308:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS307に戻し、時間Tsh1が経過するまで、CANCELアイコン201に対するタップ操作状況の判定処理を繰り返す。位置送信確認画面S3が表示されてから時間Tsh1が経過するまでに、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされた場合(S308:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先に現在位置情報P1を送信せずに、処理をS301に戻し、再度、ユーザに対するひったくりの発生有無を判定する。
CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされず(S307:NO)、位置送信確認画面S3が表示されてから時間Tsh1が経過した場合(S308:YES)、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先テーブル12bより読み出した連絡先情報A3宛に現在位置情報P1を送信する(S309)。
こうして、ユーザに対するひったくりを検知し、緊急連絡先テーブル12bに保持された連絡先情報A3宛に現在位置情報P1を発信すると、アクシデント通知制御部31は、アクシデント通知制御処理を終了する。なお、携帯電話機1がシャットダウンされていなければ、再度、アクシデント通知制御処理が実行され、ユーザに対するひったくりの発生の有無が判定される。
以上、実施例3によれば、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と音声入力部15からの音声信号(音)に基づき、アクシデントの一つであるユーザに対するひったくりの発生の有無が判定される。ひったくりが検知されると、緊急連絡先宛に現在位置情報P1が送信される。したがって、ユーザは、自ら操作をすることなく、ひったくりが発生した現在位置情報P1を緊急連絡先に迅速に伝えることができる。
さらに、実施例3によれば、加速度センサを含む加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と、マイクロフォン5を含む音声入力部15からの検出信号(音)の2種類のセンサの検出信号の組み合わせによって、アクシデントの発生の有無が判定される。したがって、複雑なアクシデント基準情報を設定することができ、よりアクシデントの検出精度を高めることができる。
さらに、実施例3によれば、位置送信確認画面S3を表示後、時間Tsh1が経過しても、CANCELアイコン201に対するタップ操作がなければ、現在位置情報P1が自動送信される。したがって、携帯電話機1自体が盗難され、ユーザが携帯電話機1のタップ操作が困難な状況であっても、緊急連絡先に現在位置情報P1を発信することができる。
さらに、実施例3によれば、現在位置情報P1の送信前に位置送信確認画面S3が表示され、ユーザからのCANCELアイコン201に対するタップ操作状況が判定される。したがって、ひったくり以外の原因により何らかの強い衝撃が加わった後、携帯電話機1が大きな音を入力した場合、ユーザは、CANCELアイコン201をタップすることにより、誤って緊急連絡先に現在位置情報P1が発信されることを防ぐことができる。
さらに、実施例3では、他の機能のためにも利用されている加速度センサおよびマイクロフォン5を用いて、ユーザに対するひったくり(アクシデント)の有無の検知が行われる。したがって、特別なセンサを携帯電話機1に搭載することなく、簡素な構成により、アクシデントの有無を検知することができる。
なお、実施例3のように、アクシデントとしてひったくりを検知した場合、携帯電話機1が盗まれている可能性があるため、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされた後に、認証処理が行われても良い。たとえば、認証処理は、指紋認証やパスワード入力といった種々の認証技術が用いられ得る。認証処理がなされた場合、緊急連絡先への通知を中止する。一方正しいパスワードが入力されないなど認証に失敗した場合、緊急連絡先の通知が中止されず、緊急連絡先にひったくりがあった旨が通知される。このような態様とすれば、ひったくり犯によって、緊急連絡先への通知が中止されることを防ぐことができる。
また、ひったくりの場合、時間経過によって、携帯電話機1の位置が変わり得るため、現在位置情報P1を一定時間毎に送信することとしても良い。このような態様によれば、受信者、は、時間経過による携帯電話機1の現在位置情報P1の変化を知ることができる。
<変更例>
上記実施例1では、ユーザの転倒時における制御処理、上記実施例2では、第三者の交通事故発生時における制御処理、上記実施例3では、ユーザに対するひったくり発生時の制御処理が個別に実行されたが、これらのアクシデントの種類が判別され、判別されたアクシデントの種類に応じた制御処理が実行されても良い。
図10(a)は、変更例に係るアクシデント基準情報テーブル12aの一例である。図10(b)は、変更例に係る緊急連絡先テーブル12bの一例である。
図10(a)に示すように、アクシデント基準情報テーブル12aには、上記実施例1〜3に示した加速度閾値と音閾値の組み合わせが、アクシデントの種類に対応付けられて記憶される。アクシデントの種類がユーザの転倒である場合には、転倒に加速度閾値Gsh1が対応づけられて記憶されている。アクシデントの種類が第三者の交通事故である場合には、第三者の交通事故に音閾値Dsh1が対応付けられて記憶されている。アクシデントの種類がユーザに対するひったくりである場合には、ひったくりに加速度閾値Gsh2および音閾値Dsh2が対応づけられて記憶されている。なお、変更例では、加速度閾値Gsh2は、加速度閾値Gsh1よりも大きく設定されている。音閾値Dsh2は、音閾値Dsh1よりも小さく設定されている。
また、図10(b)に示すように、緊急連絡先テーブル12bには、各アクシデントの種類に応じた連絡先情報A1、A2、A3と、アクシデントが発生したことを伝える通知メッセージが記憶される。
図11は、変更例に係るアクシデント通知制御処理を示すフローチャートである。なお、図11には、便宜上、実施例1〜3と異なる制御処理のみが示され、実施例1〜3と共
通する制御処理については省略されている。
図11の制御処理は、携帯電話機1の起動により開始される。この制御処理は、各アプリケーションの制処理等、他の制御処理とともに並列して実行される。
図11を参照して、アクシデント通知制御部31は、加速度閾値Gsh1と、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)とを比較し、携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する(S401)。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じていない場合(S401:NO)、アクシデント通知制御部31は、音閾値Dsh1と、音声入力部15からの音声入力信号(音)とを比較し、音閾値Dsh1以上の音Dを入力したか否かを判定する(S402)。
加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じておらず(S401:NO)、音閾値Dsh1以上の音Dを入力していない場合(S402:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS401に戻し、携帯電話機1に加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じたか否かを判定する処理および音閾値Dsh1以上の音Dを入力したか否かを判定する処理を繰り返す。
加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じておらず(S401:NO)、音閾値Dsh1以上の音Dを入力した場合(S402:YES)、アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と音声入力部15からの音声入力信号(音)が、図6(a)に示すアクシデント基準情報に合致するため、第三者の交通事故が発生したと判定する。これにより、アクシデント通知制御部31は、図7(a)に示す第三者の交通事故を通報するための電話発信にかかる制御処理(S202〜S206)を実行する。なお、本変更例では、図7(a)のS204の処理において、YESと判定された場合、図11のS401に処理が戻される。
加速度閾値Gsh1以上の動加速度Grが生じた場合(S401:YES)、アクシデント通知制御部31は、動加速度Grが加速度閾値Gsh2以上であるか否かを判定する(S403)。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じていない場合(S403:NO)、アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と音声入力部15からの音声入力信号(音)が、図4(a)に示すアクシデント基準情報に合致するため、ユーザが転倒したと判定する。これにより、アクシデント通知制御部31は、図5(a)に示すユーザの転倒を通知するための電子メール送信にかかる制御処理(S102〜S107)を実行する。なお、本変更例では、図5(a)のS105の処理において、YESと判定された場合、図11のS401に処理が戻される。
携帯電話機1に加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが生じると(S403:YES)、アクシデント通知制御部31は、音閾値Dsh2と、音声入力部15からの音声入力信号とを比較し、音閾値Dsh2以上の音Dを入力したか否かを判定する(S404)。
音閾値Dsh2以上の音Dを入力していない場合(S404:NO)、アクシデント通知制御部31は、加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが検出されてから所定の時間Tsh2が経過したか否かを判定する(S405)。
加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが検出されてから所定の時間Tsh2が経過し
ていない場合(S405:NO)、アクシデント通知制御部31は、処理をS404に戻し、時間Tsh2が経過するまで、音閾値Dsh2以上の音Dを入力したか否かを判定する処理を繰り返す。
音閾値Dsh2以上の音Dを入力しておらず(S404:NO)、加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが検出されてから所定の時間Tsh2が経過した場合(S405:YES)、アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と音声入力部15からの音声入力信号(音)が、図4(a)に示すアクシデント基準情報に合致するため、ユーザが転倒したと判定する。これにより、アクシデント通知制御部31は、図5(a)に示すユーザの転倒を通知するための電子メール送信にかかる制御処理(S102〜S107)を実行する。
加速度閾値Gsh2以上の動加速度Grが検出されてから所定の時間Tsh2が経過するまでに、音閾値Dsh2以上の音Dを入力すると(S404:YES)、アクシデント通知制御部31は、加速度検出部22からの検出信号(動加速度)と音声入力部15からの音声入力信号(音)が、図8(a)に示すアクシデント基準情報に合致するため、ユーザに対するひったくりが発生したと判定する。これにより、アクシデント通知制御部31は、図9(a)に示す緊急連絡先に現在位置情報P1の送信にかかる制御処理(S304〜S309)を実行する。なお、本変更例では、図9(a)のS307の処理において、YESと判定された場合、図11のS401に処理が戻される。
以上、本変更例によれば、加速度検出部22および音声入力部15の検出信号に応じて、アクシデントの種類が判別される。判別されたアクシデントの種類に応じて、アクシデントを検知したことを伝える通知メッセージが記載された電子メールを送信する処理、緊急連絡先への電話の発信、現在位置情報P1の送信処理等が実行される。したがって、ユーザは、検知したアクシデントの種別に応じた適正な手段によって、緊急連絡先に通知することができる。
さらに、本変更例によれば、所定の時間Tsh1が経過するまでに、CANCELアイコン201に対するタップ操作がなければ、自動的に緊急連絡先に対する通知が行われる。したがって、何らかの事情により、携帯電話機1を操作することが困難な状況であっても、緊急連絡先に通知を行うことができる。
さらに、本変更例によれば、緊急連絡先への通知の前に、メール送信確認画面S1等の緊急連絡先への通知を確認する画面がディスプレイ3に表示される。したがって、誤ったアクシデントが検知された場合、ユーザは、CANCELアイコン201をタップすることにより、誤って緊急連絡先に通知されることを防ぐことができる。
さらに、本変更例では、他の機能のためにも利用されている加速度センサおよびマイクロフォン5を用いて、アクシデントの有無検知、およびアクシデントの種別判定が行われる。したがって、特別なセンサを携帯電話機1に搭載することなく、簡素な構成により、アクシデントの有無検知、およびアクシデントの種別判定を行うことができる。
<その他>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、実施例1の構成では、急病等によるユーザの転倒が検知されると、ユーザの転倒の発生を通知するメッセージが電子メールにより送信されたが、メッセージの送信に
加えて、またはメッセージの送信に替えて、電話の発信および現在位置情報の送信の少なくとも1つが行われても良い。同様に、実施例2の構成において、第三者の交通事故が検知された場合、電話の発信に加えて、または電話の発信に替えて、メッセージの送信および現在位置情報の送信の少なくとも1つが行われても良い。同様に、実施例3の構成において、ひったくりが検知された場合、現在位置情報の送信に加えて、または現在位置情報の送信に替えて、メッセージの送信および電話の発信の少なくとも1つが行われても良い。
さらに、上記実施例1〜3および変更例では、アクシデント検知後にあらかじめ決められた機能(メール送信、電話発信等)が実行されたが、図12に示すように、ユーザによってアクシデント検知後に実行される機能が選択できるように自動通知選択画面S4がディスプレイ3に表示されても良い。
図12は、自動通知選択画面S4の表示例を示す図である。
自動通知選択画面S4には、ウィンドウ領域RW上に重ね合わされたポップアップウィンドウ領域PW4が含まれる。ポップアップウィンドウ領域PW4には、ユーザの転倒を検知したメッセージと、メール送信アイコン211と、GPS通知アイコン212と、電話発信アイコン213と、CANCELアイコン201が含まれる。
メール送信アイコン211に対してタップ操作がなされた場合、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先に対して、ユーザが転倒した旨を伝える通知メッセージが記載された電子メールを送信する。GPS通知アイコン212に対してタップ操作がなされた場合、アクシデント通知制御部31は、緊急連絡先に対して、ユーザ転倒した時の現在位置情報を送信する。電話発信アイコン213に対してタップ操作がなされた場合、緊急連絡先に対して、電話を発信する。
このようにすれば、アクシデント発生後、ユーザは、状況に応じて、適正な機能を選択することができる。なお、この場合、一定時間、CANCELアイコン201に対するタップ操作がなされない場合、あらかじめ決められた1つの機能(たとえば、電子メール)により、緊急連絡先への通知が行われた方が望ましい。
また、上記実施例1〜3および変更例では、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされた場合に、緊急連絡先への通知が中止されたが、この他、ホームキー105b、バックキー105cに対するタップ操作等、その他の端末操作が行われた場合に、緊急連絡先への通知が中止されても良い。
また、CANCELアイコン201に加えて、または、CANCELアイコン201に替えて、緊急連絡先へメッセージを即時発信するアイコンが配されていても良い。この場合、ユーザは当該アイコンに対してタップ操作を行うことにより、緊急連絡先へメッセージを即時通知することができる。
また、上記実施例1〜3および変更例では、緊急連絡先への通知の前に、確認画面(S1〜S4)が表示されたが、確認画面が表示されず、アクシデントが検知された場合、自動的に緊急連絡先への通知が開始されても良い。
また、上記実施例1〜3および変更例における画面表示は、一例であり、これに限られるものではない。たとえば、ポップアップウィンドウ領域PW1〜PW4ではなく、ディスプレイ3のウィンドウ領域RWの全面に確認画面が表示されても良い。
また、上記実施例1〜3および変更例では、電子メールによって、アクシデントの発生が緊急連絡先に通知されたが、SMS、ウェブアクセス等、その他の手段(メッセージ機能)によって、アクシデントの発生が緊急連絡先に通知されても良い。
また、上記実施形態では、加速度検出部22により検出された動加速度の値が加速度閾値Gsh1と比較されることにより、アクシデント(急病等による転倒、交通事故等)が検出された。しかしながら、アクシデント(急病等による転倒、交通事故等)の発生に起因する動加速度の時間変化パターンが基準加速度情報として、アクシデント基準情報テーブル12aに記憶され、加速度検出部22により検出された動加速度の変化パターンと基準加速度情報である動加速度の時間変化パターンとの照合結果、双方の時間変化パターンが一致した場合に、アクシデント通知制御部31により、アクシデントの発生が検出されても良い。同様に、アクシデント(第三者の交通事故等)の発生に起因する音の時間変化パターンが基準音情報として、アクシデント基準情報テーブル12aに記憶され、音声入力部15により検出された音の変化パターンと基準音情報である音の時間変化パターンとの照合結果、双方の時間変化パターンが一致した場合に、アクシデント通知制御部31により、アクシデントの発生が検出されても良い。
また、上記実施形態では、どの方向かに限らず動加速度が所定値を超えた場合にアクシデントが発生したと判断されたが、前後方向の動加速度が所定値を超えたか否かに基づきアクシデントの発生の有無を判断しても良い。このような態様とすることで、たとえば、転倒のように左右方向、上下方向よりも前後方向への動加速度の変位が大きいことが想定されるアクシデントについて、より正確にアクシデントの有無を判断することができる。
また、上記実施形態では、通話スピーカ6により通話音声が出力されたが、音声入力と音声出力機能を備えたスピーカーフォンで通話音声が出力されても良い。
また、上記実施形態では、CANCELアイコン201に対してタップ操作がなされるまで、所定の時間Tsh1の間、メール送信確認画面S1等をディスプレイ3に表示させた。しかしながら、このような態様に加えて、またはこのような態様に替えて、音や振動で緊急連絡先への通知待ちである旨を報知しても良い。
また、上記実施例2のように大きな音を検知した場合、録音機能を実行して周囲の音を記憶するようにしても良い。この場合、記憶された録音データは、ユーザの操作に基づき、または、自動で電子メール等に添付されて所望の連絡先へ送信される。このような態様によれば、ユーザの周囲の状況を記憶することができ、必要に応じて所望の連絡先へ知らせることができる。
本発明は、携帯電話機に限られず、PDA(Personal DigitalAssistant)、タブレットPC(Tablet PC)、電子書籍端末等の各種の携帯端末装置に適用可能である。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。