JP6264624B1 - 抗菌・防カビ・消臭剤、それを用いた気化式加湿器、ならびに抗菌・防カビ・消臭方法 - Google Patents

抗菌・防カビ・消臭剤、それを用いた気化式加湿器、ならびに抗菌・防カビ・消臭方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加湿材に対する抗菌・防カビ・消臭効果を有し、かつ給水の影響を受けにくく、加湿効果を低下させることなく前記効果を長期に亘って持続させることが可能な、抗菌・防カビ・消臭剤、および、高親水性素材を衛生的に維持することが可能な抗菌・防カビ・消臭方法、ならびに、気化式加湿モジュールを提供する。【解決手段】(A)抗菌・防カビ剤、(B)ホスホリルコリン類似基含有単量体、(C)バインダー樹脂を含有することを特徴とする、加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤、および、前記抗菌・防カビ・消臭剤を加湿材に含浸させた後、当該加湿材を加熱処理することを特徴とする加湿材の抗菌・防カビ・消臭方法、ならびに、前記抗菌・防カビ・消臭剤を添着した加湿材を備える気化式加湿モジュールである。【選択図】図2

Description

本発明は、加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤、それを用いた気化式加湿器、ならびに気化式加湿器の抗菌・防カビ・消臭方法に関する。
近年、病院や食品工場などにおけるカビや細菌による汚染が社会問題となっている。また、一般家庭、学校、事務所などでは、エアコンディショナーの普及によってカビが繁殖しやすい環境となり、カビが原因のアレルギー疾患などの問題が増えている。とりわけ、集合住宅、校舎、オフィスビル、デパート、病院、工場、倉庫、畜舎などの集中冷暖房設備を備えた施設では、1箇所で発生したカビがダクトを介して施設全域に波及するおそれがあり、カビや細菌による汚染の問題はきわめて深刻である。
快適な空気調和を実現するためには、温度調整だけでなく湿度調整も求められており、さらに加湿器によって積極的に加湿することに対する要望も強い。加湿器は、方式によって、気化式加湿器、蒸気式加湿器、水噴霧式加湿器に大別されるが、気化式は、水を霧状にして放出する噴霧式に比べて、水中のカルシウムやマグネシウムなどの不純物や雑菌などを空気中に放出しない点で優れている。気化式加湿器は、ハニカム状などに形成した加湿材(以下、「加湿材」と称する。)に水を含ませておき、それに通風することで水を自然蒸発させる方式が主流である。また、気化式加湿器にもいくつかの方式があり、加湿材に毛細管現象を利用して吸水(揚水)する毛細管式と、加湿材に流水を滴下する滴下式とがあり、業務用の気化式加湿器は滴下式が主流である。図3に滴下浸透気化式加湿器の基本的実施例、図4にその側面図を示す。また本文中、「加湿モジュール」とは図3の枠を含めた「1」全体を意味し、「加湿材」とは図3の「1」内の一つ一つを意味する。
しかしながら、気化式加湿器では常に湿った状態にある加湿材の表面に細菌が繁殖し、悪臭を放つこともある。業務用で使用される気化式加湿器は、ビルの空調として用いられることが多く、空気調和機やダクトなどに取付けられるため、空気中の塵や埃あるいは浮遊細菌などが加湿材に付着し、付着した細菌が繁殖して悪臭を放つこともある。ところが気化式加湿器の加湿材を清潔に保つには手間がかかる為、衛生状態を維持するのが現実的には難しい。
気化式加湿器の殺菌や抗菌技術として、加湿材の表面や内部に銀粉末や銀イオン効果が発生するような物質を含有させ、殺菌や抗菌効果を得る方式も知られている(特許文献1〜3参照)。この方式の場合は、加湿材の表面に露出した銀などとの直接的な接触により殺菌や抗菌効果を得るが、効果を示すのは直接銀イオンと接触した部分に限られてしまうため、銀粉末などの分布状況により疎らにしか存在しない箇所では効果が発揮されない。また、特に業務用で一般空調に使用されるような気化式加湿器の加湿材は、加湿運転時だけでなく、加湿運転停止時の送風状態においても加湿材がフィルター的な役割となり、常に加湿材には埃や塵、スケール分などの不純物が付着する環境下にある。銀イオン効果を有する物質を含有させた加湿材では、これらの物質の表面に埃や塵、スケール分などの不純物が付着してしまうと、加湿材に細菌が付着しても銀イオンと細菌が不純物により接触することがなくブロックされ、殺菌効果は得られないこととなる。
ポリエステル繊維とパルプを混抄する際に亜鉛系の抗菌・防カビ剤(ZPT)を含浸担持させ、乾燥して吸水性濾材を作製し、この吸水性濾材を中芯およびライナに用いてグルーパターンが蛇行状に屈曲した片面段ボールを作製し、この段ボールを裁断して積層し、加湿材を得る方式も知られている(特許文献4参照)。この方式の場合も、上記と同様、殺菌効果、持続性の点で課題がある。
加湿器周辺などのカビが発生しやすい場所に、ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体とビグアニド系抗菌・防カビ剤との配合物(重量比で1:1〜30)を塗布する方式も知られている(特許文献5参照)。この方式の場合は、重合体に抗菌・防カビ剤をトラップさせるので、抗菌・防カビ剤の分布が均一状態となり、塗布面全体にカビ付着防止効果を付与できる点で優れている。しかし、実際にこの配合物を加湿材に塗布すると、給水する水に含まれているカルシウムイオンが加湿材に蓄積し、加えてビグアニド系抗菌・防カビ剤の効果を阻害するため、ヌルツキやドブ臭が発生する。
したがって、加湿材のように絶えず流水に接触する高親水性素材を衛生的に維持するには、抗菌・防カビ・消臭の3効果を発揮できる薬剤が望まれる。また、気化式に限らず、加湿器は、加湿材の機能が消失するまで繰返し洗浄して使用するのが通例であり、使用が長期に亘るため、薬剤効果の持続性が求められる。通常、オフィスは1,000時間/年、工場は5,000時間/年程度の使用を複数年継続する。さらに、加湿器の設置場所によっては、給水する水が硬水であったり、次亜塩素酸ソーダや過酸化水素などが添加されていたりすることを考慮すると、給水する水の種類を選ばずに薬剤の効果が持続することが必要である。
特開平8−159526号公報 特開2001−40580号公報 実開平4−29732号公報 特開2011−196601号公報 特開2007−308532号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加湿材に対する抗菌・防カビ・消臭効果を有し、かつ給水の影響を受けにくく、加湿効果を低下させることなく、抗菌・防カビ・消臭効果を長期に亘って持続させることが可能な、加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤、および、加湿材を衛生的に維持することが可能な抗菌・防カビ・消臭方法、ならびに、気化式加湿器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行い、加湿材にカビが発生するメカニズムは、加湿材に沈着した汚れに細菌が付着して増殖し、細菌が粘性物を代謝し、バイオフィルムとなりカビの菌床となる。経時によりカビが加湿材内部にまで繁殖し、それらの細菌やカビが悪臭を発生させることによるものと推察した。
そして、まず、細菌の付着を防止するために加湿材の表面に保水膜を形成して汚れの付きにくい表面を形成し、水の流れを利用して汚れを洗い流すようにすると共に、抗菌・防カビ剤を配合して保水膜表面で細菌やカビを殺菌することにより、従来技術では果せなかった上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤を提供する。
(A)抗菌・防カビ剤、
(B)2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、
(C)バインダー樹脂。
また、本発明は、前記加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤を添着した加湿材を提供する。また、本発明は、前記加湿材を備える気化式加湿器を提供する。
またさらに、本発明は、前記加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤を、加湿材に含浸させた後、乾燥することを特徴とする加湿材の抗菌・防カビ・消臭方法を提供する。
本発明の加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤は、気化式加湿器の加湿材に対し、高親水性素材本来の風合いや保湿力を下げずに、吸水性(高親水性)、汚れ防止性、抗菌・防カビ性を付与し、臭気やドレンパンの詰まりを改善することができる。安全性も高い。そのため、加湿材の交換頻度や、気化式加湿器のドレンパンの清掃頻度を、従来よりも低減することができる。
フィールド試験における気化式加湿器の説明図である。 気化式加湿器中心部の表面写真である。 気化式加湿器の基本的実施例を示す正面図である。 同じくその側面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「抗菌」とは、微生物の発生・生育・増殖を抑制することをいい、特に製品表面の細菌の増殖を抑制することをいう。また、「防カビ」とは、カビの発生・育成・増殖を抑制することをいい、特に製品表面のカビの増殖を抑制することをいう。
以上の「抗菌」および「防カビ」の定義については、文献「抗菌・防カビ技術」(株式会社東レリサーチセンター調査研究部門、2004年、p22)を参考とした。
本発明において、抗菌・防カビ・消臭剤で含有する(A)抗菌・防カビ剤としては、1加湿シーズン毎に簡単にスプレー塗布することができ、長期に亘り防カビ効果を保持することができる点より、式(2)または式(3)で表わされるイソチアゾリン系抗菌・防カビ剤から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。また、イソチアゾリン系抗菌・防カビ剤の中でも、安全性の観点より、送風下で揮発するおそれのない、水難溶性かつ高沸点の抗菌・防カビ剤が好ましい。
(式中、R11 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、R12〜R17 はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
11 における炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。R12〜R17 における炭素数1〜6のアルキ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。この中でも、R11 は炭素数8のアルキル基(オクチル基)が好ましく、R12〜R17 はそれぞれ水素原子が好ましい。
上記の式(2)、式(3)で表わされる好ましいイソチアゾリン系抗菌・防カビ剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Bu−BIT)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン(MTI)などが挙げられ、これらの化合物から選択される1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、より高い抗菌効果が期待できる式(3)で表わされる化合物を主成分として用い、式(2)で表わされる化合物を補助成分として用いることが好ましい。式(3)で表わされる化合物の中では、常温不揮発性で、少量でも抗菌・防カビ効果があり、バインダー樹脂に対する溶解性が良好で、式(1)で表される化合物との併用時に該化合物が有する保湿、スケール付着防止効果を阻害しない点で、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)やN−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Bu−BIT)が好ましく、これらを1種単独で、または2種を併用することができる。
式(3)で表わされる化合物は、(A)抗菌・防カビ剤全量に対して、35質量%以上用いることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。
また、式(2)で表わされる化合物の中では、防カビ効果に優れている点で、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン(MTI)などが好ましく、これらを1種単独で、または2種以上を併用することができる。
式(2)で表わされる化合物は、(A)抗菌・防カビ剤全量に対して、10〜40質量%用いることが好ましく、より好ましくは15〜35質量%である。
さらに、抗菌・防カビ剤は、抗菌効果に優れており、ドレンパンに対するスライム発生抑制効果が高い点より、ビス(2−メルカプトピリジン−N−オキシド)亜鉛(II)(通称ジンクピリチオン)などの亜鉛系化合物を含有することが好ましい。当該化合物は、(A)抗菌・防カビ剤全量に対して、10〜40質量%用いることが好ましく、より好ましくは15〜35質量%である。
また、目的に応じて、上記の抗菌・防カビ剤にさらに、ピリジン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物から選択される1種または2種以上の化合物、あるいは、銀担持ゼオライト、リン酸ジルコニウムなどを併用することもできる。ピリジン系化合物の具体例としては、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、テトラクロル−4−メチルスルホニルピリジンなどが挙げられ、ベンズイミダゾール系化合物の具体例としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。これらの化合物の割合は任意であるが、(A)抗菌・防カビ剤全量に対して、0〜30質量%用いることが好ましい。
(A)成分の抗菌・防カビ剤は、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤(固形分)全量に対して、50質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは50〜90質量%である。抗菌・防カビ剤を50質量%以上とすることで、抗菌・防カビ効果を発揮させることができ、90質量%以下であれば、塗膜に異物が生じることないため抗菌・防カビ性能を持続させることができる。
(B)成分は、式(1)で表される、ホスホリルコリン類似基を含有する化合物であり、加湿材に高親水性、耐水性、吸保湿性、帯電防止性、汚れ防止性を付与するとともに、それ自身、細菌やカビに対する付着抑制能を有すると推察される。
上記式(1)において、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR−O−(C=O)−(ただし、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す)を示す。
また、Rは水素原子もしくはメチル基を示し、R、RおよびRは同一もしくは異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0〜20の整数を示す。nは1〜4の整数である。
式(1)中のXの2価の有機残基としては、例えば、−C−、−C10−、−(C=O)O−、−O−、−CH−O−、−(C=O)NH−、−O−(C=O)−,−O−(C=O)−O−、−C−O−、C−CH−O−、−C−(C=O)−O−などが挙げられる。式(1)中のYは、炭素数1〜6のアルキレンオキシ基であり、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
式(1)中のZは水素原子もしくはR−O−(C=O)−で表わされる有機残基であり、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシヘプチル基、2−ヒドロキシヘプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシデシル基などが挙げられる。
式(1)で表される化合物の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3´−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4´−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェートなどが挙げられる。
この中でも、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、特に2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(略称;MPC)が入手性などの点で好ましい。
(B)成分の化合物は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報に示されている水酸基含有重合性単量体と2−ブロムエチルホスホリルジクロリドとを3級塩基存在下で反応させて得られる化合物と3級アミンとを反応させる方法、特開昭58−154591号公報等に記載されている、水酸基含有重合性単量体と環状リン化合物との反応で環状化合物を得た後、3級アミンで開環反応する方法等によって製造することができる。
(B)成分化合物は、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤(固形分)全量に対して、5〜25質量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜25質量%である。当該単量体が5質量%以上の場合には、加湿材素材に保湿性、スケール付着防止性を付与することができ、25質量%以下であれば、耐水性を損なうおそれがない。
(C)成分のバインダー樹脂は、化学反応、疎水性結合あるいはイオン性結合等の結合力により、(A)成分の抗菌・防カビ剤、(B)成分の化合物を、加湿材の素材表面へ強固に固定させ、耐久性を付与する効果があるものと推察される。
バインダー樹脂としては、上記の(A)成分および(B)成分と溶媒中などで均一に混合できる樹脂が好ましく、その種類は特に限定されるものではない。例えば、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、グリオキザール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂など、一般的な樹脂を使用することができる。これらの樹脂は、固体状、粉末状、樹脂エマルジョン化されたもの、あるいは溶剤に溶解させたものであって良い。樹脂エマルジョン化されたものは水との相溶性に優れているため、液調製性、液安定性の点で好ましい。
上記のバインダー樹脂は、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基を有する重合体樹脂であってもよい。具体的には、例えば、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、アルキル(メタ)アクリレート−シリコーン系モノマー共重合体、ポリ2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレングリコール−テレフタル酸重縮合物、末端カルボン酸ポリエチレングリコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ4−アミノスチレン、ポリエチレンイミン、スチレン−マレイン酸共重合体、マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、キトサン、プルラン、カゼイン、キサンタンガム、コラーゲン、ヒアルロン酸、ゼラチン、アルギン酸、デキストランなどが挙げられる。
また、バインダー樹脂として、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基の内どれかを有する単量体と、式(1)で表される化合物(即ち、ホスホリルコリン類似基含有単量体)との共重合体を使用することもできる。具体的には例えば、MPC−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、MPC−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが好ましく挙げられる。
(C)バインダー樹脂は、抗菌・防カビ・消臭剤を固定できる量であれば、その量は特に限定されるものではないが、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤(固形分)全量に対して、5〜50質量%含むことが好ましい。
本発明の抗菌・防カビ・消臭剤は、(A)抗菌・防カビ剤、(B)式(1)で表わされる化合物、および(C)バインダー樹脂を、溶媒に溶解ないし分散させ、固形分濃度約2〜30質量%の組成物として調製することが好ましい。組成物を調製する際は、バインダー樹脂を溶媒に溶解ないし分散させた溶液に、(A)成分および(B)成分を添加し、室温下或いは加温下で攪拌し、均一な液が得られるまで適当な時間混合するのがよい。
上記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、またはこれら2種以上の混合溶媒、またはこれら少なくとも1種と水および/またはヘキサンとの混合溶媒が挙げられる。また、水を上記溶媒として使用する場合、浸透剤として若干量の界面活性剤を加えても良い。安全性、作業性ならびに抗菌・防カビ剤の溶解性の点から、水溶媒、エタノールと水との混合溶媒、2−プロパノールと水との混合溶媒が好ましい。
本発明の抗菌・防カビ・消臭剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤、pH調整剤、香料および顔料などの他の成分を含有していてもよい。
本発明の抗菌・防カビ・消臭剤により加湿材を処理する方法は、抗菌・防カビ・消臭剤を濃度0.5〜10質量%に希釈して塗工液を調製する工程と、調製した塗工液を加湿材に塗布する工程と、前記塗工液を含浸させた加湿材を乾燥する工程を含む処理方法が好ましい。ただし、塗工液調製工程は省略可能であり、抗菌・防カビ・消臭剤を塗工液として用いることもできる。濃度が0.5質量%以上であれば、加湿材に抗菌・防カビ・消臭性を付与することができ、濃度が10質量%以下であれば、組成物中の抗菌・防カビ剤が異物として加湿材表面に現れることがない。
乾燥は、60℃〜80℃程度の熱風乾燥を30分以上行う方法が好ましいが、室温(20℃)で通風しながら48時間程度行う方法でもよい。また、使用直前に抗菌・防カビ・消臭剤を調製すれば、抗菌・防カビ・消臭剤に含まれている抗菌・防カビ剤が徐々に分解するのを抑制することができる。
塗工液の塗布は、加湿材素材に対する塗布量が、通常100〜400g/m、好ましくは200〜300g/mとなるように、ロールコート方式、スプレー方式、ディップ方式、刷毛塗り方式等の公知の塗布方法により行うことができる。前記塗布量が100g/m以上であれば、所望の素材に一様に塗布できるため、十分な抗菌・防カビ・消臭効果を付与できる。一方、塗布量が400g/m以下であれば、素材の柔軟性を損なうおそれがない。
抗菌・防カビ・消臭剤の塗布を実施するにあたっては、その前工程として、加湿材素材を公知の方法などにより洗浄処理および/または殺菌処理をしておくことが好ましい。水洗浄処理の後は殺菌処理をしておくことがより好ましい。
洗浄処理および殺菌処理後の乾燥は、通常、乾燥温度10〜80℃、乾燥時間4〜24時間の条件で、自然乾燥または強制乾燥することにより行うことができる。乾燥温度が高くなり過ぎると、素材が硬くなり吸水性が損なわれるおそれがある。
本発明で処理の対象となる加湿材素材としては、例えば、木質系セルロース、綿、麻などの天然繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フェノール系繊維、レーヨン繊維などの合成繊維;綿、麻、羊毛などの天然繊維;レーヨンなどの再生繊維;これらのブレンド繊維;これらの繊維に親水性や難燃性などの機能を付与した繊維などを挙げることができる。
また、本発明の加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤は、加湿材素材と同様の高親水性素材に対して適用することができ、建築構造物やその周辺機器など、水分が多く、細菌やカビが発生し易く、これらの発生を防止する必要のある素材であれば、特に限定されない。例えば、建築構造物では床、壁、天井、外壁材などの素材、周辺機器では加湿器、空調機器、家具、室内装飾品、水周りなどの素材が対象となる。空調機器では、病院、醸造工場、製パン工場、生麺工場、水産加工場などの食品関連工場、幼稚園、小学校、福祉施設などの公共施設、列車、自動車などの空調ダクトにおける所望箇所の素材;ドレン周り、吹き出し口などを形成する素材;などが挙げられる。水周りでは、食品製造器、食品保存庫、熱交換器、水槽などにおける所望箇所の素材が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において示す%はことわりのない限り質量%である。
[試験例1]
アクリル樹脂エマルジョン(固形分換算)4g、表1に示す抗菌・防カビ剤;0.1〜20gを、水/エタノール(75/25)混合溶媒100mlに分散させ、試験液を調製した。市販の濾紙(東洋濾紙(株)No.2、φ110mm)に、上記試験液2.5gを塗布し、20℃で24時間程度乾燥し、抗菌・防カビ剤を添着させた濾紙を作製した。
(塗膜強度試験)
作製した塗膜について、触指および目視により塗膜強度試験を行い、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:異常なし
△:触指により異物確認
×:目視で表面に異物確認
注1)BIT;1,2-Benzisothiazolone-3
注2)Bu−BIT;N-n-butyl-1,2-benzisothiazolin-3-one
注3)OIT;2-n-Octyl-4-isothiazolin-3-one
注4)TBZ;2-(4-Thiazolyl)-benzimidazol
注5)MIT;methylisothiazolinone
注6)ZPT;Zinc bis(2-pyridylthio-1-oxide)
表1に示すように、抗菌・防カビ剤の添加量に応じて異物が確認されるようになったが、有機系抗菌・防カビ剤は、15g添加しても異物が確認されなかった。無機系抗菌・防カビ剤は、添加量が10〜15gより多くなると塗膜に異物が確認された。
(抗菌・防カビ試験)
防カビ試験は、塗膜強度試験で良好と確認できたもののみ試験を行った。空調ドレンより採取されたCladosporium sp., Penicillium sp., Aspergillus sp.を用い、試験方法はJIS Z2911 に準拠して行った。
抗菌試験は、空調ドレンより採取された一般細菌を用い、JIS L1902 に準拠して行った。
表2に、検体上に微生物の繁殖が確認されない、抗菌・防カビ剤の最小濃度を示す。表2に示されるように、アクリル樹脂エマルジョンに、抗菌・防カビ剤を0.5〜6g添加した場合、抗菌・防カビ効果が発現した。表1および表2より、塗膜強度、抗菌・防カビ効果を考えると、抗菌・防カビ剤を6g程度まで添加した場合、最も高い効果が発現した。
(試験方法)
空調機内部で使用される気化式加湿器で使用されている加湿材(材質;ポリオレフィン)を流水滴下装置にセットし、通常の可動時の10倍量の水量に相当する、4.2cc/secの水を18日間(6ヶ月相当)滴下し、加湿材に対する抗菌・防カビ・消臭剤の効果を試験した。
評価方法としては、18日間経過後の抗菌・防カビ効果を、以下の評価基準にて目視で評価した。
+++:加湿材の76−100%に汚染が確認できる。
++ :51−75%に汚染が見られる。
+ :25−50%に汚染が見られる。
− :汚染していない。若しくは25%未満の汚染が確認できる。
[実施例1]
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT):2.0%、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT):1.0%、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛:1.0%、アクリル樹脂エマルジョン(固形分45%):25%、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)0.5%、残部水からなる抗菌・防カビ・消臭剤を試験した。評価結果は(−)であった。
[実施例2]
N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Bu−BIT):2.0%、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT):1.0%、アクリルシリコーン樹脂エマルジョン(固形分45%):25%、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)1.0%、残部水からなる抗菌・防カビ・消臭剤を試験した。評価結果は(−)であった。
[比較例1]
アクリル樹脂エマルジョン(固形分45%):25%、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)0.5%、残部水からなる抗菌・防カビ・消臭剤を試験した。評価結果は(+++)であった。
[比較例2]
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT):2.0%、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT):1.0%、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛:1.0%、アクリル樹脂エマルジョン(固形分45%):25%、残部水からなる抗菌・防カビ・消臭剤を試験した。評価結果は(+)であった。
(実施例3:フィールド試験1)
抗菌・防カビ・消臭剤を付着させた加湿材を使用した加湿モジュールと、付着させていない加湿材を使用した加湿モジュールを、交互に設置し、加湿モジュールを組み立てて気化式加湿装置を構成した。当該気化式加湿装置をドレンパンの上に設置した後、約0.5cc/secの水を連続的に滴下させながら、気化式加湿装置を半年間稼働させ、以下の試験方法で評価した。
(真菌制御試験)
抗菌・防カビ・消臭剤を塗布した各加湿モジュールの表面を、滅菌綿棒を使って100cm拭き取りを行った後、滅菌綿棒をPDA培地に塗抹し、培地上に確認できた真菌数を測定した。
(臭気試験)
加湿材の臭気を、臭いなし(レベル0)から強い臭気(レベル6)までの6段階で評価した。
その結果、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤を塗布した加湿モジュールは、若干の臭気がある(レベル2)が、1シーズン交換不要であることが判った。一方、未塗布の加湿モジュールは、約1ヶ月で臭気レベル6に到達し、交換が必要であることが判った。
本発明の抗菌・防カビ・消臭剤を塗布した加湿モジュールを設置した場合は、ドレン中の真菌数が10(cfu/ml)以下であったのに対し、未塗布の加湿モジュールを設置した場合は、ドレン中の真菌数が10(cfu/ml)であった。
未塗布の加湿材を備える加湿モジュールは、加湿材に真菌が増殖し、多量のカビが付着していた。ドレンパンには茶褐色のスライムが発生していた(図2(a)参照)。稼動後3ヶ月で白色の付着物が見られ、半年でかなり汚染が目立つようになり、水洗いをしても使用ができない状態まで汚染が進んでいた。
一方、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤を塗布した加湿材を備える加湿モジュールは、極端な真菌の発育を抑制する効果があり、ドレンパンにスライムが発生することもなかった(図2(b)参照)。塗布面に汚れの付着が起きる場合もあったが、付着した汚れは水洗いで全て落ちた。
(実施例4:フィールド試験2)
空調機内部で使用される気化式加湿器(加湿モジュール数;9、加湿材材質;ポリオレフィン)に対する抗菌・防カビ・スケール付着防止組成物の効果を試験した。図1に加湿モジュールの構成を示す。A〜Cが上部、D〜Fが中部、G〜Iが下部ユニットである。
設置された加湿モジュールを取り外し、水道水にて加湿モジュールを洗浄した後、防カビ剤入りアルコール系除菌剤「AF110」(株式会社ファインテック製)により除菌し、室温(20℃)で2時間程度乾燥させた。蓄圧式噴霧器を用いて、実施例1〜2で調製した抗菌・防カビ・消臭剤を、加湿モジュール(1ユニット=タテ0.8m×ヨコ1m、面積0.8m)の加湿材内部まで液が満遍なく行き渡るように、加湿材より滴下する程度スプレー塗布した。その後、60℃で30分加温後、通風させながら室温(20℃)で12時間程度乾燥させた。加湿モジュールを組み立てて気化式加湿器を構成し、1年間稼働させた。
1年間稼働させた後、設置された加湿モジュールを取り外し、水道水にて加湿モジュールを洗浄した後、防カビ剤入りアルコール系除菌剤「AF110」により除菌し、室温(20℃)で2時間程度乾燥させた後、実施例1〜で調製した抗菌・防カビ・消臭剤を、加湿モジュールの加湿材より滴下する程度スプレー塗布した。その後、60℃で30分加温後、通風させながら室温(20℃)で12時間程度乾燥させた。加湿モジュールを組み立てて気化式加湿器を構成し、さらに1年間稼動させた。
(真菌制御試験)
抗菌・防カビ・消臭剤を塗布した各加湿モジュールの表面を、滅菌綿棒を使って100cm拭き取りを行った後、滅菌綿棒をPDA培地に塗抹し、培地上に確認できた真菌数を測定した。拭き取りおよび測定は、塗布後1年稼動後、2年稼動後に行った。
(スケール制御試験)
9個の加湿モジュールの経時による塗布面のスケール付着状態を目視で確認し、下記基準で評価した。なお、スケールの確認を容易に行えるように、加湿材を水洗いしてから確認を行った。
○:施工前と同等
△:白い付着物が確認できる
×:汚染が著しい
比較例として、抗菌・防カビ・スケール付着防止組成物溶液を塗布していない加湿モジュールについても、上記と同様に、真菌制御試験およびスケール制御試験を行った。
以上の結果を表3にまとめて示す。
表3より、加湿モジュールは下部が比較的汚染されやすい傾向にあるものの、本発明の抗菌・防カビ・消臭剤を含浸した加湿モジュールは、極端な真菌の発育ならびにスケール付着を抑制し、長期に渡ってそれらの効果が維持されることがわかった。また、塗布面に汚れの付着が起きる場合もあったが、付着した汚れはスケール制御試験時の水洗いで全て落ちるため、2年間稼動しても稼働前とほぼ同等の状態を保持していた。
一方、未含浸(ブランク)の加湿モジュールは、稼動後1年で多量のカビが付着していた。稼動後3ヶ月で白色の付着物が見られ、半年でかなり汚染が目立つようになった。1年後は水洗いをしても使用ができない状態まで汚染が進んでいた。
本発明の抗菌・防カビ・消臭剤は、空調機内部で使用されている加湿材などに塗布することにより、細菌やカビの繁殖を抑制すると共に、微生物臭の防止、防汚効果を発揮するとともに、スライム付着防止性、吸水性、吸湿性、帯電防止性および防汚性を付与する機能を併せ持つので、気化式加湿装置における細菌・カビ対策として、幅広く利用可能である。
また、バインダー樹脂が抗菌・防カビ剤を担持することにより、細菌やカビの栄養源となる汚れやCaイオンを落としやすく、かつ抗菌・防カビ剤が加湿材素材に付着した細菌やカビの増殖を抑制するため、各種高親水性素材の表面を、常に汚れ、カルキ、カビなどが付着し難い状態に維持できる。そのため、効果が長期に亘って持続する。
1 加湿材
2 給水ヘッダ
3 給水管
4 ドレンパン
5 排水管

Claims (9)

  1. 下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする加湿材の抗菌・防カビ・消臭剤。
    (A)抗菌・防カビ剤、
    (B)2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2´−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、
    (C)バインダー樹脂。
  2. (A)抗菌・防カビ剤が、式(2)または式(3)で表されるイソチアゾリン系抗菌・防カビ剤から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の抗菌・防カビ・消臭剤。


    (式中、R11 は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基を、R12〜R17 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を示す。)
  3. イソチアゾリン系抗菌・防カビ剤が、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗菌・防カビ・消臭剤。
  4. (A)抗菌・防カビ剤が、さらにビス(2−メルカプトピリジン−N−オキシド)亜鉛(II)を含有する、請求項1〜3いずれかに記載の抗菌・防カビ・消臭剤。
  5. (A)抗菌・防カビ剤の40質量%以上が、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、またはこれらの混合物で構成されている、請求項1〜4いずれかに記載の抗菌・防カビ・消臭剤。
  6. 請求項1〜いずれかに記載の抗菌・防カビ・消臭剤を添着した加湿材。
  7. 請求項に記載の加湿材を備える気化式加湿器。
  8. 請求項1〜いずれかに記載の抗菌・防カビ・消臭剤を、加湿材に含浸させた後、乾燥することを特徴とする加湿材の抗菌・防カビ・消臭方法。
  9. 加湿材が、あらかじめ洗浄処理および/または除菌処理を施したものである、請求項に記載の加湿材の抗菌・防カビ・消臭方法。
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