JP6260925B2 - 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ Download PDF

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本発明は、500WV級の電解コンデンサのために好適に使用される電解液、及び、この電解液を用いた電解コンデンサに関する。
電解液を含む電解コンデンサは、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属箔の表面に誘電体としての酸化皮膜が設けられている陽極と、集電用の陰極(見かけの陰極)と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータとが密封ケース内に収容された構造を有しており、巻回型、積層型等の形状のものが広く使用されている。これらのコンデンサにおいて、電解液が誘電体に直接接触して真の陰極として作用し、電解液の種類により電解コンデンサの特性が大きく左右される。
ところで、高圧用電解コンデンサには、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコールを主体とした溶媒に、1,6−デカンジカルボン酸、1−メチル−1,7−ヘプタンジカルボン酸等の側鎖を有するカルボン酸又はその塩と、ホウ酸の多価アルコール錯化合物と、を溶解させた電解液が頻繁に使用されている(例えば、特許文献1(特開平7−320984号公報)、特許文献2(特開2001−76974号公報)参照)。これらの電解液は、高い火花電圧を有し、高温使用条件下での耐久性に優れた電解コンデンサを与える。また、これらの電解液にポリビニルアルコール、ポリオキシエチレングリセリン等を添加すると、電解液の火花電圧が向上し、電解コンデンサの耐電圧性が向上することも知られている(例えば、特許文献2、特許文献3(特開2000−315629号公報)参照)。しかし、これらの文献における高圧用コンデンサの定格電圧は、400〜450Vに限られていた。
特開平7−320984号公報 特開2001−76974号公報 特開2000−315629号公報
しかし、電子機器における電子部品の高密度集積化、電子機器に対する安全性向上や信頼性向上の要請に伴い、電解コンデンサにも高温使用条件下での安全性や信頼性の向上が要求されている。この要求に応えるためには、電解コンデンサの耐電圧性の向上と共に、高温使用条件下でも耐電圧性が維持されるコンデンサが望まれる。特に、太陽光発電や風力発電などのエネルギー分野では、高い信頼性を有する500WV級の電解コンデンサが望まれている。
そこで、本発明の目的は、高い信頼性を有する500WV級の電解コンデンサのために好適に使用される電解液、及び、この電解液を用いた電解コンデンサを提供することである。
発明者は、比較的低い比抵抗と比較的高い火花電圧とを有する、エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒と、1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された電解質と、ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物と、を含む電解コンデンサ用電解液を基礎として、500WV級のコンデンサの実現可能性を検討した。電解液の比抵抗の増加は、電解コンデンサの等価直列抵抗を増加させ、誘電損失に悪影響を与えるため好ましくない。
検討の結果、上記組成の電解液にポリオキシエチレングリセリンをさらに添加した電解液の使用では、コンデンサ組み上げ後の電極箔の再化成の過程でシンチレーションが発生してコンデンサがショートし、500WV級のコンデンサの実現が困難であった。また、上記組成の電解液にポリビニルアルコールをさらに添加した電解液の使用では、電極の再化成の過程でのシンチレーションが抑制されてコンデンサのショートは防止できるものの、この電解液を用いた電解コンデンサについて高温使用条件下での耐久試験を行うと耐電圧性が劣化し、高い信頼性を有するコンデンサが得られなかった。
しかしながら、ポリオキシエチレングリセリンとポリビニルアルコールとを併用した電解液を使用してコンデンサを構成すると、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションが抑制されてコンデンサのショートが防止できる上に、高温使用条件下での耐久試験においても耐電圧性が維持される、信頼性が高いコンデンサを得ることができた。
したがって、本発明はまず、エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒と、1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から成る群から選択された電解質と、ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物と、ポリオキシエチレングリセリンと、電解液全体に対して0.4〜1.2質量%のポリビニルアルコールと、を含むことを特徴とする電解コンデンサ用電解液に関する。ポリビニルアルコールの含有量が電解液全体に対して0.4質量%未満であると、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が十分でなく、ポリビニルアルコールの含有量が電解液全体に対して1.2質量%より多いと、電解液の粘性が上昇して、電解液のコンデンサ素子への含浸性が低下する懸念がある。
本発明の電解液において、ポリビニルアルコールとポリオキシエチレングリセリンとの質量比が1:2〜1:6の範囲であるのが好ましい。ポリオキシエチレングリセリンがこの範囲より多いと、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が低下する傾向が認められ、ポリオキシエチレングリセリンがこの範囲より少ないと、高温使用条件下での耐久性能が低下する傾向が認められる。
1,6−デカンジカルボン酸の含有量は、電解液全体に対して6.5〜8質量%であるのが好ましい。6.5質量%未満であると、電解液の比抵抗が大きくなり、8質量%より多いと、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が低下する傾向が認められる。
本発明の電解液の使用により、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションが抑制される上に、高温使用条件下での耐久試験においても耐電圧性の劣化が抑制された、信頼性が高い500WV級のコンデンサが得られる。したがって、本発明はまた、表面に酸化皮膜を備えた弁金属箔からなる陽極と、弁金属箔からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータと、を備えた電解コンデンサであって、電解液として本発明の電解液を用いた電解コンデンサを提供する。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、コンデンサの高温使用下における500WV級の動作を保証し、その上、高温での長期使用後においても耐電圧性の劣化が少ないコンデンサを与える。
比較例の電解液を含む電解コンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示したチャートである。 本発明の電解液を含む電解コンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示したチャートである。 本発明の別の電解液を含む電解コンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示したチャートである。 本発明のさらに別の電解液を含む電解コンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示したチャートである。
(1)電解コンデンサ用電解液
本発明の電解コンデンサ用電解液は、エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒と、1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された電解質と、ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物と、ポリオキシエチレングリセリンと、ポリビニルアルコールと、必須成分として含む。
本発明では、エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒が溶媒として使用される。ジエチレングリコールの使用は、電解液の耐電圧性を向上させる。
本発明の電解液には、本発明に悪影響を及ぼさない範囲内で、低温度特性の改善、比抵抗の低減等の目的でプロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、あるいは水を添加することができる。添加可能なプロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロピレングリコール等)が例示される。非プロトン性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類、環状アミド類、カーボネート類(γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)が例示される。
本発明の電解液には、電解質として、1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された電解質が含まれる。これらの化合物は、比抵抗が低く耐熱性に優れた電解液を与える。
塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および四級化環状アミジニウム塩を使用することができる。アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエタノールアミン等)が挙げられる。これらのうちで好ましいのはアンモニウム塩である。
1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された化合物は、単一の化合物であっても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。これらの含有量は、電解液全体に対して6.5〜8質量%であるのが好ましい。6.5質量%未満であると、電解液の比抵抗が大きくなり、8質量%より多いと、コンデンサの組み上げ後の電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が低下する傾向が認められる。
本発明の電解液には、本発明に悪影響を及ぼさない範囲内で、他のカルボン酸又はその塩を添加することもできる。添加可能なカルボン酸としては、5,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1−メチル−3,5−ジメチル−3,5−ジメトキシカルボニル−1,11−ウンデカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸を例示することができる。これらの塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および四級化環状アミジニウム塩を使用することができる。
本発明の電解液には、耐電圧向上剤として、ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物が含まれる。錯化合物を形成する糖アルコールとしては、トリット、テトリット、ペンチット、ヘキシット、へプチット、オクチット、ノニット、デシット、ドデシット等を使用することができる。中でも、ヘキシットが安定な錯化合物を形成するため好ましく、マンニットが特に好ましい。これらの錯化合物は、塩の形態であっても良い。塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および四級化環状アミジニウム塩を使用することができる。
ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物は、単一の化合物であっても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。これらは、ホウ酸と糖アルコールとを上記混合溶媒に添加し、加熱溶解させ、必要に応じて反応により生じた水分を除去する方法により、電解液中で合成することもできる。電解液に添加するホウ酸と糖アルコールとの合計量は、電解液全体に対して6質量%以上であるのが好ましい。
本発明の電解液には、さらなる耐電圧向上剤として、ポリオキシエチレングリセリンとポリビニルアルコールとが併用される。ポリビニルアルコールの含有量は、電解液全体に対して0.4〜1.2質量%である。ポリビニルアルコールの含有量が電解液全体に対して0.4質量%未満であると、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が十分でなく、ポリビニルアルコールの含有量が電解液全体に対して1.2質量%より多いと、電解液の粘性が上昇して、電解液のコンデンサ素子への含浸性が低下する懸念がある。また、ポリビニルアルコールとポリオキシエチレングリセリンとの質量比は、1:1.2〜1:1.6の範囲であるのが好ましい。ポリオキシエチレングリセリンがこの範囲より多いと、電極箔の再化成の過程でのシンチレーションの抑制効果が低下する傾向が認められ、ポリオキシエチレングリセリンがこの範囲より少ないと、高温使用条件下での耐久性能が低下する傾向が認められる。
本発明の電解液には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加物を使用することができる。使用可能な添加物としては、リン酸、ケイ酸、炭酸等の無機酸電解質、耐電圧性を向上させるためのノニオン界面活性剤、コロイダルシリカ、電解コンデンサ内部で発生しうる水素を吸収するためのp−ニトロフェノール、p−ニトロ安息香酸などのニトロ化合物、電極箔の水和劣化を防止するためのメチルリン酸エステル、エチルリン酸エステル等のリン酸エステル化合物、電解液のpH調整のためのアンモニアガスなどが挙げられる。
エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒に、1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された電解質、ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物或いはホウ酸と糖アルコール、ポリオキシエチレングリセリン、ポリビニルアルコール、及び必要に応じて他の添加物を溶解させることにより、本発明の電解コンデンサ用電解液を得ることができる。
(2)電解コンデンサ
電解コンデンサは、表面に酸化皮膜を備えた弁金属箔からなる陽極と、弁金属箔からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータと、を備えている。
陽極としては、アルミニウム箔、タンタル箔、ニオブ箔、チタン箔のような弁金属箔、好適にはアルミニウム箔、に化学的或いは電気化学的な手法によりエッチング処理を施して拡面し、さらに、アジピン酸アンモニウム水溶液、リン酸アンモニウム水溶液等を用いて化成処理し、弁金属箔の表面に酸化皮膜を形成したものが使用される。陰極としては、アルミニウム箔、タンタル箔、ニオブ箔、チタン箔のような弁金属箔、好適にはアルミニウム箔、に化学的或いは電気化学的な手法によりエッチング処理を施して拡面したものが使用される。セパレータとしては、マニラ紙、クラフト紙、合成繊維紙、ガラスペーパー、ガラスペーパーとマニラ紙、クラフト紙との混抄紙等を使用することができる。
陽極及び陰極にリード線を取り付けた後、陽極及び陰極をセパレータを介して巻回或いは積層し、コンデンサ素子を得る。このコンデンサ素子に上述した本発明の電解液を含浸させた後、得られた素子を有底筒状の外装ケースに収容する。さらに、ブチルゴム等の弾性ゴムで形成されておりリード線を導出する貫通孔を備えた封口体を外装ケースの開口部に装着し、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封することにより、電解コンデンサが得られる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)電解液の調製
以下の表1に示されている、エチレングリコール(EG)とジエチレングリコール(DEG)を含む混合溶媒と、1,6−デカンジカルボン酸(DDA)と、ホウ酸(BA)と、マンニット(MAN)と、ポリオキシエチレングリセリン(POEG)と、ポリビニルアルコール(PVA)と、p−ニトロベンジルアルコール(NBA)、を含み、組成の異なる電解液を調製した。混合溶媒に各成分を溶解させた後、NHガスを導入することにより、電解液のpHを6付近に調整した。比較例1は、ポリビニルアルコールを含まない電解液の例であり、比較例2は、ポリオキシエチレングリセリンを含まない電解液の例である。
Figure 0006260925
(2)電解コンデンサの作成
アルミニウム箔をエッチング処理して実効表面積を拡大させ、表面に陽極酸化により誘電体酸化アルミニウム皮膜を形成した陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔とを、セパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に実施例1〜5、比較例1,2の電解液を含浸させるとともに、このコンデンサ素子を外装ケース内に封止して、定格電圧が500V、定格静電容量が200μF、直径がφ30mmで長さが40mmのアルミニウム電解コンデンサを各20個製造した。
(3)電解コンデンサの特性評価
組み上げ後の電解コンデンサについて、電極箔の再化成を行った。再化成は、室温にて定電流5mA/pcを印加し、次いで室温にて550Vの電圧を1時間印加し、さらに、85℃にて1時間放置した後、85℃にて525Vを2時間印加する条件で行った。
図1には、比較例1の電解液を用いたコンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示すチャートを、図2には、実施例1の電解液を用いたコンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示すチャートを、図3には、実施例3の電解液を用いたコンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示すチャートを、図4には、実施例5の電解液を用いたコンデンサにおける電極箔の再化成の過程を示すチャートを、それぞれ示した。各チャートには時間の経過と共に変化する電流値及び電圧値が示されているが、85℃における1時間放置の間は時間軸の進行を停止させていた。
図1より、電解液においてポリオキシエチレングリセリンのみを使用してポリビニルアルコールを使用しないと、定電流印加の過程でシンチレーションが発生し、コンデンサがショートしたことがわかる。図2〜4より、電解液においてポリオキシエチレングリセリンとポリビニルアルコールとを併用することにより、シンチレーションの大きさが低減し、コンデンサのショートが回避されたことがわかる。図2と図3との比較より、電解液におけるポリビニルアルコールの含有量を増加させることにより、シンチレーションの大きさをさらに低減させることができること、図3と図4との比較より、電解液における1,6−デカンジカルボン酸の含有量を減少させることにより、シンチレーションの大きさをさらに低減させることができることがわかる。
実施例1〜5及び比較例2の電解液を用いたコンデンサについて、20℃、120Hzにおける静電容量(Cap)、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)、及び3分後の漏れ電流(LC)を測定した。次いで、これらの電解コンデンサについて、105℃で定格電圧の500Vを3000時間印加する高温負荷試験と、105℃の温度下に電圧を印加しないで3000時間放置する高温無負荷試験を行った。
比較例2の電解液を用いたコンデンサでは高温負荷試験中にショート不良が認められ、高温経験により電解液の耐電圧性が低下したことがわかった。これに対し、実施例1〜5の電解液を用いたコンデンサでは、ショート不良が認められなかった。したがって、これらのコンデンサが優れた耐電圧性を有していることがわかった、
表2には、実施例3の電解液を用いたコンデンサについての、初期(高温負荷試験前、高温無負荷試験前)の静電容量、等価直列抵抗及び漏れ電流の値と、高温負荷試験後、高温無負荷試験後の静電容量変化率(ΔCap)、等価直列抵抗、及び漏れ電流の値を示した。
Figure 0006260925
実施例3の電解液を用いたコンデンサは、105℃500V3000時間の高温負荷試験及び105℃3000時間の高温無負荷試験の後においても、安定した静電容量、等価直列抵抗及び漏れ電流を有していた。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、コンデンサの高温使用下における500WV級の動作を保証し、その上、高温での長期使用後においてもコンデンサ特性の劣化が少ないコンデンサを与える。したがって、本発明の電解液を用いたコンデンサは、太陽光発電や風力発電などのエネルギー分野において要請されている500WV級のコンデンサとして好適である。

Claims (2)

  1. エチレングリコールとジエチレングリコールとを含む混合溶媒と、
    1,6−デカンジカルボン酸及びその塩から選択された電解質と、
    ホウ酸と糖アルコールとの錯化合物と、
    ポリオキシエチレングリセリンと、
    電解液全体に対して0.4〜1.2質量%のポリビニルアルコールと、
    を含み、
    1,6−デカンジカルボン酸の含有量が電解液全体に対して6.5〜8質量%であることを特徴とする500WV級の電解コンデンサ用電解液。
  2. 表面に酸化皮膜を備えた弁金属箔からなる陽極と、弁金属箔からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータと、を備えた500WV級の電解コンデンサであって、
    前記電解液が請求項に記載の電解コンデンサ用電解液であることを特徴とする電解コンデンサ。
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