JP6260448B2 - 熱延鋼帯の熱処理設備 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延から冷間圧延を経て高強度鋼板を製造する過程で、冷間圧延に先立って熱延鋼帯を軟質化するための熱処理を施す熱処理設備に関し、詳しくは、熱処理に要する時間を適正に確保し、しかも能率良く熱延鋼帯を軟質化することが可能な熱処理設備に関するものである。
近年、自動車用鋼板等の様々な分野で、高強度の鋼板(いわゆるハイテン材)が広く用いられるようになり、用途に応じた種々のハイテン材が開発されている。ところがハイテン材は、強度を高めるための合金成分を多く含有しているので、熱間圧延の後の冷却過程で硬質な低温変態相(たとえばベイナイトやマルテンサイト等)が生成し、ハイテン材に加工を加える際の変形抵抗が大きくなる。
ハイテン材の中でも特に、高強度の冷延鋼板(以下、高強度鋼板という)を製造する際には、素材となる熱延鋼帯の変形抵抗が大きく、しかも板厚を従来よりも薄く圧下するので、冷間圧延の負荷が増大する。その結果、冷間タンデム圧延機を複数回通板させて、冷間圧延のパス数を増やす必要が生じるばかりでなく、圧延中に破断等のトラブルが発生し易くなり、冷間タンデム圧延機の稼動率が低下し、ひいては高強度鋼板の生産性が低下するという問題が生じる。また、熱延鋼帯の変形抵抗が大きいので、冷間圧延によって得られる高強度鋼板の形状が劣化し、歩留りの低下を招くという問題もある。
このような問題を解消するために、冷間圧延を施す前の熱延鋼帯に熱処理を施して軟質化することによって、その熱延鋼帯の変形抵抗を低減する技術が検討されている。
たとえば特許文献1には、冷間圧延に先立って、BAF焼鈍炉あるいは連続焼鈍炉を用いて焼戻し処理を施して、熱延鋼帯を均一に軟質化する技術が開示されている。その焼戻し処理における焼戻し温度と焼戻し時間は、熱間圧延の終了した熱延鋼帯をコイル(以下、熱延コイルという)に巻取る際の温度に応じて調整されるが、BAF焼鈍炉や連続焼鈍炉を使用するので、以下のような種々の問題が発生する。
BAF焼鈍炉による焼戻し処理は、熱延コイルを個別に収納してバッチ処理で焼戻しを行なうものであり、熱延コイル全体を加熱−均熱−徐冷する一連の工程に多大な時間を要するので、焼戻しの能率向上は期待できない。多数のBAF焼鈍炉を設置して、同時に複数の熱延コイルに焼戻しを施すことによって、能率を高めることは可能であるが、大幅な能率向上は困難であり、しかも、立地条件の制約を受ける工場では、BAF焼鈍炉の増設は極めて難しい。
また、大型の容器(以下、ベルという)に複数の熱延コイルを収納してBAF焼鈍炉に装入すれば、焼戻しの能率を高めることは可能である。しかし、熱延コイルに巻取られた熱延鋼帯の成分が異なる場合に、それぞれの成分に応じて焼戻し温度や焼戻し時間を調整する必要があるので、ベルの収納量を常に満たして操業するのは難しい。つまりベルを使用しても、大幅な能率向上は困難である。
さらに、BAF焼鈍炉によるバッチ処理では焼戻しに長時間を要するので、成分によっては熱延鋼帯が脆化する惧れがある。その結果、冷間圧延において破断が発生し、冷間圧延設備の稼動率の低下および高強度鋼板の歩留りの低下を招くという問題も生じる。
連続焼鈍炉を用いると、過時効帯の領域で焼戻しを行なうことが可能であり、能率向上を図ることができる。しかし焼戻し時間は、過時効帯の長さと熱延鋼帯の通板速度との関係で決定される値であり、通常の通板速度では最大3分程度となる。つまり連続焼鈍炉では、3分程度の短い焼戻し時間しか得られないので、十分な軟質化が図れない。また、Mn含有量の大きい熱延鋼帯では、Mnがオーステナイト中に濃化するのに要する時間を確保できないので、高強度鋼板の機械的特性が劣化するという問題もある。
特開2010-144243号公報
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、熱間圧延から冷間圧延を経て高強度鋼板を製造する過程で、冷間圧延に先立って熱延鋼帯を軟質化するための熱処理を行なうにあたって、適正な熱処理時間を確保することによって均一かつ十分な軟質化を可能とし、しかも熱処理能率の向上も可能とする熱処理設備を提供することを目的とする。
本発明者は、高強度鋼板を製造する際の冷間圧延の負荷を軽減するために、熱延鋼帯を軟質化するための熱処理を施す技術について検討し、熱延鋼帯を熱処理設備に連続的に供給することによって、軟質化に要する時間を短縮でき、ひいては高強度鋼板の生産性を向上できる点に着目した。ところが、熱処理の所要時間を短縮すれば、軟質化が不均一に生じるという問題がある。そこで、熱処理時間の短縮と均一な軟質化とを両立できる技術について詳細に研究した。
その結果、加熱した熱延鋼帯をコイル(以下、熱処理コイルという)に巻取り、その熱処理コイルを好適な温度範囲に保持することによって、熱延鋼帯の全長および全幅にわたって(すなわち熱処理コイルの中央部まで)均一に軟質化できるという知見を得た。
そして、その軟質化した熱延鋼帯を冷間圧延することによって、良好な形状の高強度鋼板の形状を得ることができ、ひいては歩留り向上を図ること可能となる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、熱延鋼帯に熱処理を施す熱処理設備であって、熱延鋼帯を巻取った熱延コイルから熱延鋼帯を巻戻して連続的に供給する巻戻し手段と、巻戻し手段から供給される熱延鋼帯を不活性ガス雰囲気内で500℃以上に加熱する鋼帯加熱手段と、該鋼帯加熱手段の出側で該鋼帯加熱手段における加熱温度と熱処理コイルとして巻取るときの巻取り温度との差を100℃以内として前記熱延鋼帯を前記熱処理コイルとして巻取る巻取り手段と、前記鋼帯加熱手段の出側から前記巻取り手段に至る搬送経路の一部または全部をカバーし、その内部を不活性ガス雰囲気とする前記搬送経路と、前記巻取り手段から前記熱処理コイルを搬出するコイル搬送台車、クレーンまたはフォークリフトである搬送手段と、該搬送手段で搬送された前記熱処理コイルを不活性ガス雰囲気内で所定の時間にわたって保熱する保熱手段と、を有する熱延鋼帯の熱処理設備である。
本発明の熱処理設備においては、鋼帯加熱手段が誘導加熱で熱延鋼帯を昇温することが好ましい。また、保熱手段が熱処理コイルを覆う保熱カバーを有し、保熱カバーがその内部温度を500℃以上に維持する補助加熱手段を有することが好ましい。
本発明によれば、熱間圧延から冷間圧延を経て高強度鋼板を製造する過程で、冷間圧延に先立って熱延鋼帯を軟質化するための熱処理を行なうにあたって、適正な熱処理時間を確保することによって均一かつ十分な軟質化が可能となり、しかも熱処理能率の向上も可能となるので、産業上格段の効果を奏する。
本発明の熱処理設備の例を模式的に示す説明図であり、(a)は巻戻し手段、鋼帯加熱手段、巻取り手段の配置、(b)は搬送手段、(c)は保熱手段を示す。 熱処理コイルの例を模式的に示す断面図である。 保熱手段の他の例を模式的に示す説明図である。 鋼帯加熱手段の他の例を模式的に示す説明図である。
本発明の熱処理設備は、高強度鋼板の素材となる熱延鋼帯を軟質化するものであり、とりわけ、熱間圧延の出側で熱延鋼帯を巻取った熱延コイルの冷却過程で200℃以下まで温度が低下して、硬質な低温変態相(たとえばベイナイトやマルテンサイト等)が生成し、冷間圧延における変形抵抗が著しく大きくなって、所定の板厚に圧下するのが困難な熱延鋼帯の軟質化に有効である。
熱処理設備に供給される熱延コイルは、
(1)熱間圧延が終了した熱延鋼帯を巻取った熱延コイル、
あるいは
(2)熱間圧延が終了した後、さらに酸洗を施した熱延鋼帯を巻取った熱延コイル
である。なお、上記(1)の熱延コイルを熱処理設備に供給する場合は、熱処理(すなわち昇温および保熱)が終了した熱延鋼帯を熱処理コイルに巻取り、その熱処理コイルに酸洗を施した後に、冷間圧延に供することが好ましい。上記(2)の熱延コイルを熱処理設備に供給する場合は、熱処理(すなわち昇温および保熱)が終了した熱延鋼帯を熱処理コイルに巻取って、冷間圧延に供することが好ましい。
また、いずれの熱処理コイルも、巻替え等の所定の工程を経て冷間圧延に供給しても良い。
冷間圧延で得られた高強度鋼板に焼鈍を施して、所望の機械的特性を得る場合には、本発明の熱処理設備を用いて焼鈍を行なうこともできる。従来の高強度鋼板の製造技術では、連続焼鈍炉やバッチ焼鈍炉を使用しているが、本発明の熱処理設備を使用すれば、機械的特性を調整する効果が従来の焼鈍炉と同様に得られる。
熱処理設備の鋼帯加熱手段は、熱延鋼帯を所定の温度まで昇温するものであり、その温度に保持する機能は備えていない。加熱された熱延鋼帯を一定の温度に保持する機能は、保熱手段が担う。保熱手段にて温度低下を抑制しながら保持される時間(以下、保熱時間という)は、熱延鋼帯の成分や温度履歴、高強度鋼板の用途等に応じて適宜設定し、数分程度から数日程度まで広い範囲に適用できる。ただし、保熱時間が10分未満の短時間で軟質化を達成できる熱延鋼帯は、従来の熱処理炉(たとえば連続焼鈍炉等)を用いて同様の効果が得られるので、本発明の熱処理設備を使用する意味がない。一方で、保熱時間が10時間(=600分)を超える長時間を要する熱延鋼帯も、従来の熱処理炉(たとえばBAF焼鈍炉等)を用いて同様の効果が得られるので、本発明の熱処理設備を使用する意味がない。したがって本発明の熱処理設備は、保熱時間が10〜600分の範囲内で軟質化を図る熱延鋼帯に用いるのが好ましい。
以下に、図を参照して、本発明の熱処理設備について説明する。
図1は、本発明の熱処理設備の例を模式的に示す説明図であり、(a)は巻戻し手段、鋼帯加熱手段、巻取り手段の配置、(b)は搬送手段、(c)は保熱手段を示す。図1中の矢印Aは、熱延鋼帯1の進行方向を示す。
図1(a)に示すように、熱延コイル2を巻戻し手段3に装填し、熱延コイル2から熱延鋼帯1を巻戻しながら連続的に鋼帯加熱手段4に供給する。鋼帯加熱手段4の入側と出側にブライドルロール5を配設して、熱延鋼帯1に張力を付与しながら、加熱することが好ましい。その理由は、熱延鋼帯1を安定して搬送することによって、形状不良の発生や寸法精度の劣化を防止できるからである。図1にはブライドルロール5を配設する例を示したが、一対のロールで熱延鋼帯1を挟持するピンチロールを用いても、同様の効果が得られる。また、複数のローラーで構成される搬送テーブル(いわゆるローラーコンベア)のように、複数のローラーを回転させることで、熱延鋼帯1の自重に応じた摩擦力を発生させ、その摩擦力を利用して搬送する方式を採用しても良い。
鋼帯加熱手段4における熱延鋼帯1の加熱温度が500℃未満では、熱延鋼帯1を軟質化する効果が得られない。したがって、加熱温度は500℃以上とする。ただし、加熱温度が750℃を超えると、エネルギー消費量の増加(すなわち操業コストの増加)を招くばかりでなく、熱延鋼帯1幅方向のネッキングが発生して安定した搬送が困難になり、その結果、形状不良の発生や寸法精度の劣化の原因になる。また、加熱温度が高すぎる場合には、後述する保熱手段の出側の冷却過程で、マルテンサイトやベイナイト等の硬質な低温変態相が多く生成し、熱延鋼帯1の軟質化が困難になる。したがって、鋼帯加熱手段4における熱延鋼帯1の加熱温度は500〜750℃の範囲内が好ましい。
鋼帯加熱手段4の構成は特に限定せず、広く普及している加熱炉(たとえば連続焼鈍炉等)を使用することができる。燃料の燃焼熱で加熱する加熱炉(たとえば直火型無酸化方式や輻射管加熱方式等)を保有する場合は、その既存の設備を用いて熱延鋼帯1を加熱すれば良い。ただし、鋼帯加熱手段4を小型化して、熱処理設備の関連機器の配置を簡素化する観点から、電気加熱方式(すなわち通電加熱方式または誘導加熱方式)の加熱装置を採用することが好ましい。電気加熱方式を採用すれば、熱延鋼帯1表面の酸化を抑制する効果も得られる。
通電加熱方式は、熱延鋼帯1に電流を直接流すので、鋼帯加熱手段4の小型化のみならず加熱時間の短縮に有利である。しかし、熱延鋼帯1の温度のばらつきが生じ易いという欠点がある。
誘導加熱方式は、熱延鋼帯1を短時間で加熱でき、しかも温度を容易に制御することが可能である。したがって、熱延鋼帯1を短時間で均一に加熱するためには、誘導加熱方式の鋼帯加熱手段4を用いることが好ましい。形状不良(たとえば波うち等)が生じた熱延鋼帯1を加熱する際に、誘導加熱方式を採用することによって、鋼帯加熱手段4を安定して操業できるという効果も得られる。
熱延鋼帯1を鋼帯加熱手段4で加熱した後、熱処理コイル6として巻取り手段7で巻取る。図1(a)には、鋼帯加熱手段4と巻取り手段7との間に、上記のブライドルロール5を配設する例を示したが、さらに熱延鋼帯1を加熱または保熱するための温度調整手段を配設しても良い。温度調整手段を配設することによって、熱処理コイル6として巻取り手段7で巻取るときの熱延鋼帯1の温度(いわゆる巻取り温度)を調整することが可能となる。
鋼帯加熱手段4における加熱温度と、熱処理コイル6として巻取るときの巻取り温度との差(以下、鋼帯温度差という)は100℃以内が好ましい。つまり熱処理コイル6に巻取ることによって、熱延鋼帯1の冷却速度が小さくなるので、鋼帯温度差を100℃以内として比較的高温の熱延鋼帯1を巻取って、熱処理コイル6が室温まで冷却される所要時間を長くする。
通常の熱処理設備の設備配列では、鋼帯温度差を100℃以内に抑えられるので、熱延鋼帯1を支障なく軟質化できる。したがって、温度調整手段を使用する必要はない。
熱延鋼帯1の搬送速度が小さい場合、あるいは鋼帯加熱手段4と巻取り手段7との距離が遠い場合は、鋼帯温度差が100℃を超える惧れがある。そこで、たとえば、
(A)鋼帯加熱手段4出側から巻取り手段7に至る搬送経路の一部または全部をカバー(以下、緩冷却カバーという)で覆う、
(B)鋼帯加熱手段4と巻取り手段7の間に加熱炉を設置する
等の温度調整手段を設けて、鋼帯加熱手段4出側から巻取り手段7に至る搬送経路における鋼帯温度差を、100℃以内に抑制することが可能となる。
加熱炉(たとえばトンネル炉等)の加熱方式は、特に限定しないが、熱延鋼帯1表面の酸化を抑制する観点から電気ヒーターが好ましい。さらに、加熱炉や緩冷却カバーの内部を不活性ガス雰囲気とすることによって、酸化を抑制する効果が一層向上する。このようにして熱延鋼帯1表面の酸化を抑制することによって、後述する冷間圧延工程で得られる高強度鋼板に化成処理や溶融亜鉛めっき処理を施す際に、良好な化成皮膜やメッキ皮膜を形成することができる。
巻取り手段7は、高温の熱延鋼帯1を巻取ることが可能なものを使用する。熱延鋼帯1を熱処理コイル6として巻取ることによって、その後の温度低下を抑制できるので、熱処理コイル6の加熱を行なわずに、長時間に温度を保持することが可能である。
巻取り手段7は、通常の熱処理設備で使用されるものを使用しても良いが、熱処理コイル6内周部に加熱スリーブや断熱スリーブを装着することが可能なものが好ましい。その加熱スリーブや断熱スリーブについて、図2に示す断面図を参照して、以下に説明する。
図2に示すように、熱処理コイル6内周部と接触する部位に加熱スリーブ8を装着することが好ましい。熱処理コイル6内周部は、巻取り手段7のマドレルと接触して冷却速度が増加し易いので、ヒーター(たとえば電気ヒーター等)を内蔵した加熱スリーブ8を装着することによって、熱処理コイル6内周部の温度低下を抑制することが可能となる。したがって、加熱スリーブ8を熱延鋼帯1の温度(500℃以上)と同程度まで昇温する必要はなく、熱処理コイル6内周部の温度低下を抑える程度に昇温すれば良い。
加熱スリーブ8の内側(すなわち巻取り手段7マドレルに接触する側)には、断熱スリーブ9を装着することが好ましい。断熱スリーブ9を装着することによって、加熱スリーブ8から巻取り手段7のマドレルへの熱伝導を抑制することが可能となり、その結果、巻取り手段7の温度上昇を防止して、巻取り手段7を保護することができる。
ただし加熱スリーブ8は、ヒーターから発生する熱で膨張する。加熱スリーブ8の膨張に起因して、加熱スリーブ8と断熱スリーブ9との間、あるいは断熱スリーブ9と巻取り手段7マドレルとの間に隙間が生じると、巻取り手段7マドレルの空転や巻取り力の低下を引き起こす。したがって、熱処理コイル6、加熱スリーブ8、断熱スリーブ9、巻取り手段7マドレルは、それぞれ密着させることが好ましい。
このようにして熱延鋼帯1を熱処理コイル6として巻取った後に、搬送手段を用いて巻取り手段7から搬出し、さらに保熱手段に搬送する。
図1(b)は、搬送手段の例を模式的に示す説明図である。搬送手段10は、巻取り手段7から熱処理コイル6を搬出する機能と、後述する保熱手段に搬送する機能を有するものであり、通常の熱処理設備で使用するコイル搬送台車を使用すれば良い。ただし、搬送手段10の上面、特に熱処理コイル6と接触する部位を断熱構造として、熱処理コイル6の温度低下を抑制することが好ましい。さらに、搬送手段10に載置した熱処理コイル6を断熱材等で覆うことによって、熱処理コイル6の温度低下を抑制する効果が一層向上する。
巻取り手段7から保熱手段までの距離が近い場合(すなわち搬送時間が短い場合)は、搬送手段として、図1(b)に示すような台車に替えて、クレーンやフォークリフト等の重量物の搬送が可能な運搬用機材を使用しても良い。それらの運搬用機材を用いて搬送する場合は断熱性を高めることが困難であるが、短時間の搬送であれば、熱処理コイル6の温度低下を抑えることができる。
次に、熱処理コイル6は、保熱手段にて所定の時間にわたって保熱される。
図1(c)は、保熱手段の例を模式的に示す説明図である。
保熱手段は、熱処理コイル6をカバー11(以下、保熱カバーという)に収納して、温度低下を抑制しながら保持する。保熱カバー11に収納することによって、熱エネルギーの放散を防止できるので、保熱カバー11に補助的な加熱手段12(以下、補助加熱手段といいう)を設けなくても、熱処理コイル6を高温(500℃以上)に保持することが可能となる。
ただし、熱処理コイル6を500℃以上に長時間保持する必要がある場合は、保熱カバー11に補助加熱手段12を設けても良い。
この保熱手段(たとえば保熱カバー11等)を、上記の鋼帯加熱手段4とは別に設ける理由は、巻取り手段7を断熱材で覆って、熱処理コイル6の温度保持を行なうと、鋼帯加熱手段4の生産性低下を招くからである。
保熱カバー11は、その内部を不活性ガス雰囲気として、熱延鋼帯1表面の酸化を抑制することが好ましく、その雰囲気を維持するために、雰囲気制御装置13を備えることが好ましい。
なお図1(c)には、熱処理コイル6を1個ずつ保熱カバー11に収納する例を示したが、複数個の熱処理コイル6をピット14に収納し、開口部を保熱カバー11で覆うような構成(図3参照)であっても、同様の効果が得られる。
このようにして保熱手段にて所定の時間にわたって保熱した後、保熱カバー11を撤去して空冷を促進して、熱処理コイル6を冷間圧延に送給する。所定の保熱時間が経過した熱処理コイル6を、一旦コイルヤードに保管し、その後、冷間圧延に送給しても良い。
あるいは、積極的に冷却媒体(たとえば液体、気体等)を熱延鋼帯1に吹付けて強制冷却を行ない、その後、冷間圧延に送給しても良い。その理由は、熱延鋼帯1を、保熱手段から短時間で冷間圧延へ送給でき、高強度鋼板の生産性向上に寄与するからである。
また、保熱の後に強制冷却を行なう場合は、熱処理コイル6中央部に位置する熱延鋼帯1の冷却を促進するために、熱処理コイル6を巻替える工程を設けても良い。
以上に説明した通り、本発明によれば、従来のバッチ焼鈍のように熱延鋼帯をコイルに巻いた状態で加熱する技術と比べて、極めて短時間で所定の温度まで熱延鋼帯を加熱することができるので、熱処理全体の所要時間を大幅に短縮することができる。また、熱延鋼帯を高温のままで巻取るので、放冷に起因する温度低下を抑制でき、熱延鋼帯の軟質化や組織制御に要する時間を確保できる。
しかも、熱延鋼帯の成分に応じて熱処理条件(すなわち鋼帯加熱手段の加熱温度、保熱手段の保熱温度と保熱時間等)を変更して操業する場合にも、容易に対応することが可能である。
表1に示す成分を有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、連続鋳造で鋼スラブとした。
その鋼スラブを熱間圧延工程に送給して、加熱炉にて1250℃に加熱し、引き続き、仕上げ圧延機(仕上げ圧延温度870℃)にて熱延鋼帯(板厚2.0mm)として、熱延コイルに巻取った。
Figure 0006260448
そして、熱延コイルをコイルヤードにて100℃以下まで空冷した後、塩酸の水溶液を用いて酸洗を行なった。
次いで、熱延コイルを、図1に示す熱処理設備に送給して、熱延コイル2の熱延鋼帯1を巻戻して連続的に搬送しながら、鋼帯加熱手段4として誘導加熱装置を用いて熱延鋼帯1を加熱した後、熱処理コイル6に巻取った。引き続き、保熱手段である保熱カバー11内に熱処理コイル6を収納して保熱した。その保熱カバー11は、補助加熱手段12を装着していないものを使用した。熱処理コイル6を収納して保熱したときの、保熱カバー11内の温度(以下、保熱温度という)と保熱時間は、表1に示す通りである。
なお、鋼帯加熱手段4においては、熱延鋼帯の温度を、誘導加熱装置の下流側に設置した放射温度計で測定し、その測定値に応じて熱延鋼帯の搬送速度(基準値15m/分)と誘導加熱装置の出力(基準値2MW)を調整して、保熱温度+40℃に加熱した。つまり使用した熱処理設備では、鋼帯温度差と、その後の保熱手段への搬送中に生じる温度差と、の合計が40℃である。
保熱カバー11による保熱が終了した後、熱処理コイル6をコイルヤードに搬送して、100℃以下まで空冷した。
以上の手順の各過程に要した所要時間を表2に示す。表2に示す例は、全て発明例である。
Figure 0006260448
発明例は、巻取り手段7を断熱材で覆わず、鋼帯加熱手段4と保熱手段(保熱カバー11)を分離して操業するので、熱延鋼帯1を連続的に加熱できる。したがって、表2から明らかなように、熱処理(すなわち昇温および保熱)と、その後の冷却に要する所要時間は合計22.6〜27.6時間であり、いずれも30時間以内で完了した。
表1に示すような成分が異なる熱延鋼帯A〜Dを処理する場合は、4個の熱延コイル2を次々に供給して、鋼帯加熱手段4を操業しながら巻取った熱処理コイル6を、4個の保熱カバー11にそれぞれ収納すれば、120時間以内に熱延鋼帯A〜Dの熱処理と冷却を完了することができる。
これに対して、比較例として、複数の熱延コイル2を大型のベル15に収納して、バッチ焼鈍炉に装入した例について、図4を参照して説明する。このベル15は、スペーサー16を挟んで、熱延コイル2を4段積みできるが、表1に示すような成分が異なる熱延鋼帯A〜Dを一度に収納することはできない。何故なら、熱延鋼帯A〜Dは、いずれも成分が異なるので、それぞれ熱処理条件も異なるからである。
バッチ焼鈍炉では、図4に示すように、熱延鋼帯1を熱延コイル2に巻取った状態で加熱するので、熱延コイル2を装入してその中央部が所定の温度に到達するまでに約22時間を要し、熱延コイル2の装入から100℃以下に空冷するまでの全所要時間は40〜46時間である。
したがって、表1に示すような成分が異なる熱延鋼帯A〜Dを熱処理する場合は、冷却終了まで180時間程度を要する。つまり比較例は、発明例よりも処理能率が大幅に劣っている。
1 熱延鋼帯
2 熱延コイル
3 巻戻し手段
4 鋼帯加熱手段
5 ブライドルロール
6 熱処理コイル
7 巻取り手段
8 加熱スリーブ
9 断熱スリーブ
10 搬送手段
11 保熱カバー
12 補助加熱手段
13 雰囲気制御装置
14 ピット
15 ベル
16 スペーサー

Claims (3)

  1. 熱延鋼帯に熱処理を施す熱処理設備であって、前記熱延鋼帯を巻取った熱延コイルから前記熱延鋼帯を巻戻して連続的に供給する巻戻し手段と、
    該巻戻し手段から供給される前記熱延鋼帯を不活性ガス雰囲気内で500℃以上に加熱する鋼帯加熱手段と、
    該鋼帯加熱手段の出側で該鋼帯加熱手段における加熱温度と熱処理コイルとして巻取るときの巻取り温度との差を100℃以内として前記熱延鋼帯を前記熱処理コイルとして巻取る巻取り手段と、
    前記鋼帯加熱手段の出側から前記巻取り手段に至る搬送経路の一部または全部をカバーし、その内部を不活性ガス雰囲気とする前記搬送経路と、
    前記巻取り手段から前記熱処理コイルを搬出するコイル搬送台車、クレーンまたはフォークリフトである搬送手段と、
    該搬送手段で搬送された前記熱処理コイルを不活性ガス雰囲気内で所定の時間にわたって保熱する保熱手段と、を有することを特徴とする熱延鋼帯の熱処理設備。
  2. 前記鋼帯加熱手段が、誘導加熱で前記熱延鋼帯を昇温することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の熱処理設備。
  3. 前記保熱手段が前記熱処理コイルを覆う保熱カバーを有し、該保熱カバーがその内部温度を500℃以上に維持する補助加熱手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼帯の熱処理設備。
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