JP6258053B2 - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

電動ブレーキ装置

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Description

この発明は、電動ブレーキ装置に関し、電流損失を低減する技術に関する。
従来、電動ブレーキとして、以下のものが提案されている。
1.遊星ローラねじ機構を使用した電動式直動アクチュエータが提案されている(特許文献1)。
2.ブレーキペダルを踏み込むことで、モータの回転運動を直動機構を介して直線運動に変換して、ブレーキパッドをブレーキディスクに押圧接触させて制動力を負荷する(特許文献2)。
特開2006−194356号公報 特開平6−327190号公報
前記1,2のような、電動モータのトルクを直動アクチュエータの軸力に変換するブレーキ装置の場合、発生する損失のうち、電流損失の割合が大きい。例えば、一定のブレーキ力を保持する場合において、発生する損失は全て前記電流損失となる。
前記理由により、前記電動ブレーキ装置の消費電力を低減するためには、単位ブレーキ力当たりの電流値を下げることが有効である。
しかしながら、減速比を大きくして必要なモータトルクを下げると、電動ブレーキ装置の減速機の大型化や、ブレーキ力に対して必要なモータ回転角の増加によって応答性の低下が問題となる場合がある。また、モータトルクを大きくすると、モータの大型化に伴う占有スペースの増加やコスト増加、慣性力の増加に伴うパワーレートの低下が問題となる場合がある。
この発明の目的は、電動モータを大型化することなく電流損失を低減することができ、また、必要十分な応答性を確保することができる電動ブレーキ装置を提供することである。
この発明の電動ブレーキ装置は、電動モータ2と、車両の車輪にブレーキ力を与えるブレーキ部材7と、前記電動モータ2の回転運動を前記ブレーキ部材7の動作に変換する伝達機構4と、前記電動モータ2を制御する制御装置9とを備えた電動ブレーキ装置において、前記制御装置9は、
ブレーキ操作手段32の操作量から前記ブレーキ力の指令値Ftを出力するブレーキ力指令手段31aと、
このブレーキ力指令手段31aから出力されるブレーキ力の指令値Ftに対し、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、前記電動モータ2の電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)、となるように前記電動モータ2を制御するモータ回転角制御手段42とを有することを特徴とする。
前記電動モータ2として、所望の分解能があり、角度制御可能な永久磁石式のモータが適用される。
前記ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲は、例えば、ユーザー等の感覚や、ブレーキ力F(θ´)を決定するときの車速等の条件により定められる。
ブレーキ力は、電動ブレーキ装置の伝達機構である直動機構4の軸力に比例し、この軸力はモータトルクに比例する。また、同じ電流条件におけるモータトルクについて、一般に極数およびスロット数に依存した周期で、モータ回転位相毎の磁束密度分布の変動等に起因してトルクが変動するトルクリプルが発生する。
電流損失は、電流の二乗に比例するため、最終的にブレーキ力に対する電動モータの電流損失の相関は、ブレーキ力の二乗成分およびトルクリプルの二乗成分の加算値となる。
この構成によると、前記トルクリプルを考慮して電流損失を低減するブレーキ力を決定している。車両の運転者がブレーキ操作手段32を操作すると、ブレーキ力指令手段31aは、ブレーキ操作手段32の操作量からブレーキ力の指令値Ftを出力する。モータ回転角制御手段42はブレーキ力の指令値Ftを取得する。モータ回転角制御手段42は、ブレーキ力の指令値Ftに対し、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電動モータ2の電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定する。
電動モータ2に電流を流して回転させたときに発生するトルク変動成分、すなわちトルクリプルは、特に高速回転時において機器の振動や騒音等の問題を引き起こす場合がある。トルクリプルを制御のみで完全に抑制することは困難である為、ハードウェアの対策としてモータ回転時の磁束密度分布を均一化するようなステータやロータ形状設計が一般に用いられるが、体積当たりのトルク密度が低下する場合が多く、モータが大型化する問題がある。このため、電動ブレーキ装置のようにモータ搭載スペースが限られ、かつ主に低速回転で使用される場合、ある程度トルクリプルを許容した上でトルク密度を優先する設計が有効である。
この構成では、電動モータ2に発生するトルクリプルを積極的に利用して、ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電動モータ2における電流損失が最小となるモータ回転角を探索し、その電流損失が最小となるモータ回転角のときのブレーキ力を採用している。この場合のブレーキ力は、本発明の制御を行っていないブレーキ力に比べて大小変動するものの、ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内であるため、必要十分な制動力を発揮する。このようにブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電流損失が最小となるモータ回転角およびそのモータ回転角のときのブレーキ力を決定しているため、電動モータ2を大型化することなく電流損失を低減することができ、また、必要十分な応答性を確保することができる。
前記モータ回転角制御手段42は、前記ブレーキ力F(θ´)が前記ブレーキ力の指令値Ftよりも大となるように、前記ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲を設定しても良い。この場合、実際のブレーキ力F(θ´)が、少なくともブレーキ力の指令値Ftを下回ることはない。このため、例えば、ヒルホールド用途の場合において、車両を駐停車位置に確実に保持することが可能となる。
前記モータ回転角制御手段42は、前記ブレーキ力の指令値Ftが大きくなる程、前記ブレーキ力許容誤差ΔFが大きくなるように設定しても良い。ブレーキ力の指令値Ftが大きくなる強ブレーキ時ほど、一般に、電流損失が大きくなり、且つ、車両の運転者がブレーキ力許容誤差ΔFを体感し難くなる。よって、モータ回転角制御手段42は、ブレーキ力の指令値Ftが大きくなる程、ブレーキ力許容誤差ΔFが大きくなる可変の値とすることで、電動モータ2を木目細かく制御することができる。
前記車両の速度を検出する車速検出手段43を設け、前記モータ回転角制御手段42は、前記車速検出手段43で検出される車速が閾値以下のときのみ、前記ブレーキ力F(θ´)を決定しても良い。
前記閾値以下とは、車速が例えば数km/h以下の低速時または停車時である。
ブレーキ力許容誤差ΔFが車両運動に影響を及ぼし難い低速時または停車時のとき、モータ回転角制御手段42は、電流損失が最小となる回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定し得る。
前記モータ回転角制御手段42は、左右の車輪に設けられた電動ブレーキ装置A,Bについて、前記ブレーキ力の指令値Ftに対し、一方の電動ブレーキ装置Aのブレーキ力F(θ)と、他方の電動ブレーキ装置Bのブレーキ力F(θ)が、設定された左右のブレーキ力許容誤差ΔFRLに対してF(θ)−F(θ)<ΔFRLであり、かつ、電動ブレーキ装置Aおよび電動ブレーキ装置Bの電流損失の加算値が最小となるモータ回転角θ,θに制御しても良い。
前記左右のブレーキ力許容誤差ΔFRLは、試験やシミュレーション等の結果に応じて設定される。
例えば、車両走行中において、左右の車輪に設けられた電動ブレーキ装置A,Bの左右のブレーキ力の誤差により、車両に運転者が意図しないヨーモーメントが発生する場合がある。そこで、一方のブレーキ力F(θ)から他方のブレーキ力F(θ)を減じた値が、設定された左右のブレーキ力許容誤差ΔFRLを越えないようにする。かつ、左右の電動ブレーキ装置A,Bの電流損失の加算値が最小となるモータ回転角θ,θに制御する。これにより、ヨーモーメントの発生をある程度許容しつつ、電流損失の低減が可能となる。
この発明の自動車は、前記いずれかの電動ブレーキ装置を備えたことを特徴とする。自動車に前記いずれかの電動ブレーキ装置を搭載することで、電費を低減し、航続距離を延ばすことが可能となる。
この発明の電動ブレーキ装置は、電動モータと、車両の車輪にブレーキ力を与えるブレーキ部材と、前記電動モータの回転運動を前記ブレーキ部材の動作に変換する伝達機構と、前記電動モータを制御する制御装置とを備えた電動ブレーキ装置において、前記制御装置は、ブレーキ操作手段の操作量から前記ブレーキ力の指令値Ftを出力するブレーキ力指令手段と、このブレーキ力指令手段から出力されるブレーキ力の指令値Ftに対し、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、前記電動モータの電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)、となるように前記電動モータを制御するモータ回転角制御手段とを有する。このため、電動モータを大型化することなく電流損失を低減することができ、また、必要十分な応答性を確保することができる。
この発明の第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置の断面図である。 同電動ブレーキ装置の減速機構の拡大断面図である。 同電動ブレーキ装置の制御系のブロック図である。 同電動ブレーキ装置の発揮するブレーキ力と、このブレーキ力を維持する際の電流損失との関係を示す図である。 同電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。 同電動ブレーキ装置における電流損失の最小化の処理方法を段階的に示すフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係る電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。
この発明の第1の実施形態に係る電動ブレーキ装置を図1ないし図6と共に説明する。
図1に示すように、この電動ブレーキ装置は、ハウジング1と、電動モータ2と、この電動モータ2の回転を減速する減速機構3と、伝達機構である直動機構4と、ロック機構5と、ブレーキロータ6と、ブレーキ部材であるブレーキパッド7と、制御装置9とを有する。ハウジング1の開口端に、径方向外方に延びるベースプレート8が設けられ、このベースプレート8に電動モータ2が支持されている。ハウジング1内には、電動モータ2の出力によりブレーキロータ6、この例ではディスクロータに対して制動力を負荷する直動機構4が組み込まれている。ハウジング1の開口端およびベースプレート8の外側面は、カバー10によって覆われている。
直動機構4について説明する。
直動機構4は、減速機構3で出力される回転運動を直線運動に変換して、ブレーキロータ6に対してブレーキパッド7を当接離隔させる機構である。この直動機構4は、スライド部材11と、軸受部材12と、環状のスラスト板13と、スラスト軸受14と、転がり軸受15,15と、回転軸16と、キャリア17と、すべり軸受18,19とを有する。ハウジング1の内周面に、円筒状のスライド部材11が、回り止めされ且つ軸方向に移動自在に支持されている。スライド部材11の内周面には、径方向内方に所定距離突出し螺旋状に形成された螺旋突起11aが設けられている。この螺旋突起11aに、後述する複数の遊星ローラ20が噛合している。
ハウジング1内におけるスライド部材11の軸方向一端側に、軸受部材12が設けられている。この軸受部材12は、径方向外方に延びるフランジ部と、ボス部とを有する。ボス部内に転がり軸受15,15が嵌合され、これら各軸受15,15の内輪内径面に回転軸16が嵌合されている。よって回転軸16は、軸受部材12に軸受15,15を介して回転自在に支持される。
スライド部材11の内周には、前記回転軸16を中心に回転可能なキャリア17が設けられている。キャリア17は、軸方向に互いに対向して配置されるディスク17a,17bを有する。軸受部材12に近いディスク17bをインナ側ディスク17bといい、ディスク17aをアウタ側ディスク17aという場合がある。一方のディスク17aのうち、他方のディスク17bに臨む側面には、この側面における外周縁部から軸方向に突出する間隔調整部材17cが設けられる。この間隔調整部材17cは、複数の遊星ローラ20の間隔を調整するため、円周方向に等間隔を空けて複数配設されている。これら間隔調整部材17cにより、両ディスク17a,17bが一体に設けられる。
インナ側ディスク17bは、回転軸16との間に嵌合されたすべり軸受18により、回転自在に、且つ、軸方向に移動自在に支持されている。アウタ側ディスク17aには、中心部に軸挿入孔が形成され、この軸挿入孔にすべり軸受19が嵌合されている。アウタ側ディスク17aは、すべり軸受19により回転軸16に回転自在に支持される。回転軸16の端部には、スラスト荷重を受けるワッシャが嵌合され、このワッシャの抜け止め用の止め輪が設けられる。
キャリア17には、複数のローラ軸21が周方向に間隔を空けて設けられている。各ローラ軸21の両端部が、ディスク17a,17bにわたって支持されている。すなわちディスク17a,17bには、それぞれ長孔から成る軸挿入孔が複数形成され、各軸挿入孔に各ローラ軸21の両端部が挿入されてこれらローラ軸21が径方向に移動自在に支持される。複数のローラ軸21には、これらローラ軸21を径方向内方に付勢する弾性リング22が掛け渡されている。
各ローラ軸21に、遊星ローラ20が回転自在に支持され、各遊星ローラ20は、回転軸16の外周面と、スライド部材11の内周面との間に介在される。複数のローラ軸21に渡って掛け渡された弾性リング22の付勢力により、各遊星ローラ20が回転軸16の外周面に押し付けられる。回転軸16が回転することで、この回転軸16の外周面に接触する各遊星ローラ20が接触摩擦により回転する。遊星ローラ20の外周面には、前記スライド部材11の螺旋突起11aに噛合する螺旋溝が形成されている。
キャリア17のインナ側ディスク17bと、遊星ローラ20の軸方向一端部との間には、ワッシャおよびスラスト軸受(いずれも図示せず)が介在されている。ハウジング1内において、インナ側ディスク17bと軸受部材12との間には、環状のスラスト板13およびスラスト軸受14が設けられている。
減速機構3について説明する。
図2に示すように、減速機構3は、電動モータ2の回転を、回転軸16に固定された出力ギヤ23に減速して伝える機構であり、複数のギヤ列を含む。この例では、減速機構3は、電動モータ2のロータ軸2aに取付けられた入力ギヤ24の回転を、ギヤ列25,26,27により順次減速して、回転軸16の端部に固定された出力ギヤ23に伝達可能としている。
ロック機構5について説明する。
ロック機構5は、直動機構4の制動力弛み動作を阻止するロック状態と許容するアンロック状態とにわたって切換え可能に構成されている。前記減速機構3に、ロック機構5が設けられている。ロック機構5は、ケーシング(図示せず)と、ロックピン29と、このロックピン29をアンロック状態に付勢する付勢手段(図示せず)と、ロックピン29を切換え駆動するアクチュエータであるリニアソレノイド30とを有する。前記ケーシングは、ベースプレート8に支持され、このベースプレート8には、ロックピン29の進退を許すピン孔が形成されている。
リニアソレノイド30によりロックピン29を進出させて、ギヤ列26における出力側の中間ギヤ28に形成された係止孔(図示せず)に係合し、中間ギヤ28の回転を禁止することで、ロック状態にする。リニアソレノイド30をオフにすると、前記付勢手段による付勢力により、ロックピン29を前記ケーシング内に退入させて前記係止孔から離脱させ、中間ギヤ28の回転を許すことで、ロック機構5をアンロック状態にする。
図3は、この電動ブレーキ装置の制御系のブロック図である。この電動ブレーキ装置を搭載する車両には、車両全般を制御する電気制御ユニットであるECU31が設けられている。ECU31は、例えば、ブレーキ力指令手段としてブレーキコントローラ31aを含む。このブレーキコントローラ31aは、ブレーキ操作手段であるブレーキペダル32の操作量(ストローク)に応じて変化するセンサ32aの出力に応じてブレーキ力の指令値Ftを生成する。ECU31にインバータ装置33が接続され、インバータ装置33は、各電動モータ2に対して設けられたパワー回路部34と、このパワー回路部34を制御するモータコントロール部35とを有する。
モータコントロール部35は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成される。モータコントロール部35は、ブレーキコントローラ31aから与えられる指令値に従い、電流指令に変換して、パワー回路部34のPWM制御部34aに電流指令を与える。またモータコントロール部35は、電動モータ2に関する各検出値や制御値等の各情報をECU31に出力する機能を有する。
パワー回路部34は、電源36の直流電力を電動モータ2の駆動に用いる3相の交流電力に変換するインバータ34bと、このインバータ34bを制御するPWM制御部34aとを有する。電動モータ2は、例えば、ロータのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータ(IPMモータ)であり、3相の同期モータ等からなる。インバータ34bは、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)で構成され、PWM制御部34aは、入力された電流指令をパルス幅変調し、前記各半導体スイッチング素子にオンオフ指令を与える。
モータコントロール部35は、基本となる制御部としてモータ駆動制御部37を有する。モータ駆動制御部37は、上位制御手段であるECU31のブレーキコントローラ31aから与えられるトルク指令による指令値(減速指令)に従い、電流指令に変換して、PWM制御部34aに電流指令を与える手段である。
モータ駆動制御部37は、インバータ34bから電動モータ2に流すモータ電流値を電流検出手段38から得て、電流フィードバック制御を行う。またモータ駆動制御部37は、電動モータ2のロータの回転角を回転角度センサ39から得て、ロータ回転角に応じた効率的なモータ駆動が行えるように、PWM制御部34aに電流指令を与える。これらモータ駆動制御部37とPWM制御部34aとで、電動モータ2の回転角θを制御するモータ回転角制御機能部40が構成される。
この実施形態では、前記構成のモータコントロール部35に、次の電流損失低減手段41を設けている。電流損失低減手段41は、ブレーキ力許容誤差範囲設定部41aと、電流損失低減時ブレーキ力決定部41bとを有する。ブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキ力の指令値Ftに対するブレーキ力許容誤差ΔFの範囲を設定する。電流損失低減時ブレーキ力決定部41bは、設定されたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電動モータ2の電流損失が最小となる回転角θ´およびその回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定する。
電流損失低減時ブレーキ力決定部41bは、モータ駆動制御部37からPWM制御部34aに与える電流指令に、前記ブレーキ力F(θ´)となるために必要な指令を与える。PWM制御部34aは、電流損失低減時ブレーキ力決定部41bからの指令に応じて、PWMディーティ比を変更する。その結果、電動モータ2が回転角θ´に制御され、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)が発揮される。
前記電流損失低減手段41とモータ回転角制御機能部40とでモータ回転角制御手段42が構成される。
ここで図4は、この電動ブレーキ装置の発揮するブレーキ力と、このブレーキ力を維持する際の電流損失との関係を示す図である。ブレーキ力は、電動ブレーキ装置の直動機構4(図1)の軸力に比例し、この軸力はモータトルクに比例する。また、同じ電流条件におけるモータトルクについて、一般に極数およびスロット数に依存した周期で、モータ回転位相毎の磁束密度分布の変動等に起因してトルクが変動するトルクリプルが発生する。電流損失は、電流の二乗に比例するため、最終的にブレーキ力に対する電動モータ2(図1)の電流損失の相関は、ブレーキ力の二乗成分およびトルクリプルの二乗成分の加算値となる。
この構成では、前記トルクリプルを考慮して電流損失を低減するブレーキ力を決定している。
図3に示すように、車両の運転者がブレーキペダル32を操作すると、ブレーキコントローラ31aは、センサ32aの出力に応じて、ブレーキ力の指令値Ftを生成しインバータ装置33に出力する。電流損失低減手段41は、前記ブレーキ力の指令値Ftを取得する。ブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキ力の指令値Ftに対し、ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲より最小値FMINおよび最大値FMAXを設定する。さらにブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキ力許容誤差ΔFの最小値FMINとなる回転角θMIN、および、ブレーキ力許容誤差ΔFの最大値FMAXとなる回転角θMAXを設定する。
電流損失低減時ブレーキ力決定部41bは、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電動モータ2の電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定する。
図5は、この電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。図3も参照しつつ説明する。電流損失低減手段41は、目標とするブレーキ力の指令値Ftに対し、ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内において、電流損失が最小となるブレーキ力Fに決定する。前記ブレーキ力許容誤差ΔFについて、例えば、一般に電流損失が大きくなり、かつ、車両の運転者がブレーキ力誤差を体感し難くなる強ブレーキ時ほどΔFが大となるような、可変の値としても良い。この場合、電動モータ2を木目細かく制御することができる。
図6は、この電動ブレーキ装置における電流損失の最小化の処理方法を段階的に示すフローチャートである。図3も参照しつつ説明する。ECU31は、ブレーキペダル32の踏み込み量に応じたセンサ32aからの出力により、制動力を発揮している制動状態に移行した条件で本処理を開始する。本処理開始後、ブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキコントローラ31aからブレーキ目標値である指令値Ftを取得する(ステップS1)。次に、ブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキ力の指令値Ftに対するブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内より、最小値FMINおよび最大値FMAXを設定する(ステップS2)。
次にブレーキ力許容誤差範囲設定部41aは、ブレーキ力許容誤差ΔFの最小値FMINとなる回転角θMIN、および、ブレーキ力許容誤差ΔFの最大値FMAXとなる回転角θMAXを設定する(ステップS3)。その後、電流損失低減時ブレーキ力決定部41bは、次の評価関数を最小化する電動モータの回転角θ´を探索する(ステップS4)。
評価関数:J=τ(θ)−τripple(θ
変数:θ(θMIN<θ<θMAX
τ:ブレーキ力F(θ)に必要な平均トルク
τripple:トリクリプル成分
θ:機械角θに対応する電気角
電流損失低減時ブレーキ力決定部41bは、前記評価関数を最小化する電動モータ2の回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定する(ステップS5)。なお電動モータ2の回転角とトルクの相関について、予め各回転位相毎の電流とトルクの特性を測定し、推定マップを作成することができる。もしくは、モータトルクと角加速度の関係を表す以下の関係式を用いたオブザーバにより、電動モータ2の回転角とトルクの相関を推定しても良い。
τ+d=J×(dθ/dt
以上説明した電動ブレーキ装置によると、運転者がブレーキペダル32を操作すると、ブレーキコントローラ31aは、センサ32aの出力に応じて、ブレーキ力の指令値Ftを生成しインバータ装置33に出力する。インバータ装置33におけるモータ回転角制御手段42は、ブレーキ力の指令値Ftに対し、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電動モータ2の電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定する。このようにブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、電流損失が最小となるモータ回転角およびそのモータ回転角のときのブレーキ力を決定しているため、電動モータ2を大型化することなく電流損失を低減することができ、また、必要十分な応答性を確保することができる。
他の実施形態について説明する。以下の説明において、図3も適宜参照しつつ説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図7は、他の実施形態に係る電動ブレーキ装置の電流損失を低減する手法の概念を示す図である。モータ回転角制御手段42(図3)は、電流損失が最小となる回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)が、ブレーキ力の指令値Ftよりも大となるように、ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲を設定しても良い。この場合、実際のブレーキ力F(θ´)が、少なくともブレーキ力の指令値Ftを下回ることはない。このため、例えば、ヒルホールド用途の場合において、車両を駐停車位置に確実に保持することが可能となる。
図8は、図5で示した手法に加え、二つの電動ブレーキ装置を誤差なく動かし、かつ電流損失を最小となる手法の概念図を示す。例えば、車両走行中において、左右の車輪に設けられた電動ブレーキ装置A,Bの左右のブレーキ力の誤差により、車両に運転者が意図しないヨーモーメントが発生する場合がある。
そこで、モータ回転角制御手段42は、一方のブレーキ力F(θ)から他方のブレーキ力F(θ)を減じた値が、設定された左右のブレーキ力許容誤差ΔFRLを越えないようにする。かつ、モータ回転角制御手段42は、左右の電動ブレーキ装置A,Bの電流損失の加算値が最小となるモータ回転角θ,θに制御する。これにより、ヨーモーメントの発生をある程度許容しつつ、電流損失の低減が可能となる。
図8において、左右のブレーキ力許容誤差ΔFRL=0の場合を示しているが、前記ΔFRLをある程度のヨーレート誤差を許容する所定の値として、より電流損失の小さい条件となるよう左右のブレーキ力F,Fを設定しても良い。例えば、同図8において、Fを減少させ、その分、Fを増加させれば、電流損失の低減が可能となる。
図3に示すように、車両の速度を検出する車速検出手段43を設け、モータ回転角制御手段42は、車速検出手段43で検出される車速が閾値以下のとき、電流損失が最小となる回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定しても良い。前記閾値以下とは、車速が例えば数km/h以下の低速時または停車時である。前記車速検出手段43として、例えば、車輪速センサや加速度センサを用いて車速を推定し得る。
この構成によると、ブレーキ力許容誤差ΔFが車両運動に影響を及ぼし難い低速時または停車時のとき、モータ回転角制御手段42は、電流損失が最小となる回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)を決定し得る。
前記車速検出手段43(図3)を設け、図9に示すように、ブレーキ力許容誤差ΔFについて、モータ回転角制御手段42(図3)は、車速検出手段43(図3)で検出される車速に応じて、ΔFの大きさを調整しても良い。基本的に、車速が大きい程、ブレーキ力許容誤差ΔFが制動距離やヨーモーメントに及ぼす影響も大きくなる。このため、車速が大きくなる程ブレーキ力許容誤差ΔFを小さくする相関としても良い。その際、車速に対するブレーキ力許容誤差ΔFについて、同図9のように非線形な傾向を設けても良く、線形な1次関数としても良い。
この実施形態では、電動モータ2として、永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータが適用されているが、ロータ表面に永久磁石を設けたいわゆるSPMモータを適用しても良い。
電動モータ2の回転運動をブレーキ部材の動作に変換する伝達機構として、ドラム式の押圧機構を採用しても良い。
2…電動モータ
4…直動機構
7…ブレーキパッド(ブレーキ部材)
9…制御装置
31a…ブレーキコントローラ(ブレーキ指令手段)
32…ブレーキペダル(ブレーキ操作手段)
42…モータ回転角制御手段
43…車速検出手段

Claims (5)

  1. 電動モータと、車両の車輪にブレーキ力を与えるブレーキ部材と、前記電動モータの回転運動を前記ブレーキ部材の動作に変換する伝達機構と、前記電動モータを制御する制御装置とを備えた電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置は、
    ブレーキ操作手段の操作量から前記ブレーキ力の指令値Ftを出力するブレーキ力指令手段と、
    このブレーキ力指令手段から出力されるブレーキ力の指令値Ftに対し、定められたブレーキ力許容誤差ΔFの範囲内で、前記電動モータの電流損失が最小となる回転角θ´、および、その回転角θ´のときのブレーキ力F(θ´)、となるように前記電動モータを制御するモータ回転角制御手段と、
    を有することを特徴とする電動ブレーキ装置。
  2. 請求項1記載の電動ブレーキ装置において、前記モータ回転角制御手段は、前記ブレーキ力F(θ´)が前記ブレーキ力の指令値Ftよりも大となるように、前記ブレーキ力許容誤差ΔFの範囲を設定した電動ブレーキ装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の電動ブレーキ装置において、前記モータ回転角制御手段は、前記ブレーキ力の指令値Ftが大きくなる程、前記ブレーキ力許容誤差ΔFが大きくなるように設定した電動ブレーキ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置において、前記車両の速度を検出する車速検出手段を設け、前記モータ回転角制御手段は、前記車速検出手段で検出される車速が閾値以下のときのみ、前記ブレーキ力F(θ´)を決定する電動ブレーキ装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置において、前記モータ回転角制御手段は、左右の車輪に設けられた電動ブレーキ装置A,Bについて、前記ブレーキ力の指令値Ftに対し、一方の電動ブレーキ装置Aのブレーキ力F(θ)と、他方の電動ブレーキ装置Bのブレーキ力F(θ)が、設定された左右のブレーキ力許容誤差ΔFRLに対してF(θ)−F(θ)<ΔFRLであり、かつ、電動ブレーキ装置Aおよび電動ブレーキ装置Bの電流損失の加算値が最小となるモータ回転角θ,θに制御する電動ブレーキ装置。
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