JP6257392B2 - 吸水性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
ポリマーの微粒子が水中に分散された水分散性樹脂を主原料として、気体混入法により発泡させて得られた発泡体のうち、吸水性を発揮するものは、止水材、ワイプ材等の広範囲の用途を有しており、その製造方法にも多くの方法がある。
例えば、特許文献1には、アクリル系やウレタン系のバインダーに吸水性ポリマーを混合することで得られた混合液を、ポリウレタン発泡体に塗布することによって製造される、吸水性樹脂発泡体が開示されている。
特開2007−008126号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、吸水性ポリマーが発泡体の内部まで入り込んでいないために吸水性が低く、更に、吸水性ポリマーが脱離し易いことから、吸水性が容易に低下するという問題があった。
そこで、本発明は、高い吸水性を有し、更には吸水性が低下し難い吸水性樹脂発泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明を解決するための手段
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分散質として水分散性樹脂と、特定の起泡剤と、分散媒として水と、を原料とする水系液体媒体を発泡させて樹脂発泡体を製造する方法において、特定の親水化工程を含ませることにより、優れた吸水性を有する吸水性樹脂発泡体を形成可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物と、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより前記水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、前記発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて吸水性樹脂発泡体を製造する方法であって、前記水系液体媒体が、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有することを特徴とする吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(2)は、前記水溶性ポリマーの重量平均分子量が、500以上である、本発明(1)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(3)は、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーである、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(4)は、前記水溶性ポリマーが、カルボキシル基含有ポリマーである、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(5)は、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体である、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(6)は、前記水系液体媒体が、前記水分散性樹脂と前記水溶性ポリマーとを架橋させるための架橋剤を含む、本発明(1)〜(5)のいずれかの吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
ここで、本発明において、「吸水性」とは、水(液体)を吸収する性質のことを広く示し、吸水速度、吸水率、吸水量などによって評価することができる。
本発明によれば、高い吸水性を有し、更には吸水性が低下し難い吸水性樹脂発泡体及びその製造方法を提供することが可能となる。
参考例1に係る、樹脂発泡体の断面SEM写真である。 参考例19に係る、樹脂発泡体の断面SEM写真である。 参考比較例1に係る、樹脂発泡体の断面SEM写真である。 参考例1に係る、樹脂発泡体のセル径の算出方法を示す図である。 参考例1に係る、樹脂発泡体のセル径の算出方法を示す図である。 参考例1に係る、樹脂発泡体のセル径の算出方法を示す図である。 参考例1に係る、樹脂発泡体のセル径の算出方法を示す図である。 参考例1に係る、樹脂発泡体のセル径の算出方法を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、これらはあくまで一例であり、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
尚、本形態に係る吸水性樹脂発泡体及びその製造方法については、以下の順序で説明する。
1 吸水性樹脂発泡体の製造方法
2 吸水性泡体の構造
3 吸水性泡体の性質
4 吸水性樹脂発泡体の用途
≪吸水性樹脂発泡体の製造方法≫
本形態に係る吸水性樹脂発泡体の製造方法は、分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水と、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーと、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて樹脂発泡体を製造する方法であり、原料として、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有する。吸水性樹脂発泡体の製造方法として、原料、組成(配合量)、液性(水系液体媒体又は発泡水系液体媒体の液性)、プロセス(具体的な製造工程)に関して詳述する。
尚、本形態に係る吸水性樹脂発泡体の製造方法においては、発泡水系液体媒体における気泡の合一化を防止するために、前記水系液体媒体の流動性を下げるチキソ性付与工程を含む。ここで、当該チキソ性付与工程としては、公知の手段であってもよいが、水系液体媒体(発泡水系液体媒体)において、アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤に限らず、系に存在するアニオン性界面活性剤)を、何らかの形で分散媒に対して不溶化させる工程であってもよい。より具体的には、分散媒に溶解している起泡アニオン性界面活性剤を分散媒に対して不溶化させる工程であってもよい。以下、このように、分散媒に溶解している起泡アニオン性界面活性剤を分散媒に対して不溶化させる場合を特に、「アニオン性界面活性剤の不溶化」や「不溶化工程」等とする。
<原料>
本形態に係る樹脂発泡体は、原料として、水分散性樹脂、アニオン性界面活性剤、分散媒として水、水溶性ポリマー、水溶性ポリマー架橋剤、ゲル化成分(ゲル化剤)及びその他の添加剤等を含む(尚、発泡工程において用いられる発泡用の気体に関しては、発泡工程にて述べる)。尚、本発明において、水分散性樹脂を、樹脂が水に分散した水分散体とする場合もある。
(水分散性樹脂)
本形態に係る樹脂発泡体の製造方法は、主剤として水分散性樹脂を含む。水分散性樹脂としては、その構造や製造方法は何ら限定されず、どのような水分散性樹脂であってもよい。
ここで、本形態に係る水分散性樹脂は、アニオン性界面活性剤の不溶化を行う際には、安定分散型であるか、不安定分散型であるか、によってその好適な利用形態が異なる。次に、安定分散型の水分散性樹脂と、不安定分散型の水分散性樹脂と、に関して、各々詳述する。尚、安定分散型の水分散性樹脂とは析出率(析出率の具体的な算出方法に関しては以下の方法に従う)が10%未満である水分散性樹脂を、不安定分散型の水分散性樹脂とは析出率が10%以上である水分散性樹脂を示す。
・析出率の算出方法
水分散性樹脂の分散安定性を評価するために、水分散性樹脂に凝固剤水溶液(0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液)を添加し、生成する析出物の量から析出率を算出した。具体的な析出率は下記式(1)によって求められる{尚、式(1)中、Aは析出物の乾燥質量(g)、Bは水分散性樹脂の質量(g)、Cは水分散性樹脂の固形分濃度(質量%)である}。
析出率(%)=A/{B×(C/100)}×100・・・(1)
より具体的には、23℃の室内で、容量100mlの樹脂容器に、水分散性樹脂を10g入れ、撹拌しながら、凝固剤水溶液として濃度0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液を10g滴下する。凝固剤水溶液の全量を滴下した後、1時間静置する。次に、全量をガラス濾過器(柴田科学株式会社製、吸引濾過瓶1L、柴田科学株式会社製、ガラスフィルターベースφ47mm用、有限会社桐山製作所製、桐山セパロート55Z)及び40メッシュフィルタ(株式会社ヤマニ製、T230LY−40)に投入し、減圧濾過して析出物を回収する。更に、濾液が透明になるまで水洗したのち、110℃で3時間乾燥させる。析出物の乾燥質量を測定し、上記式(1)に基づいて析出率を計算し、当該析出率から水分散性樹脂の分散安定性を評価する。即ち、析出率が10%未満のものは樹脂粒子が凝集しにくいことを意味するため、「安定分散型の水分散性樹脂」と評価し、析出率が10%以上のものは樹脂粒子が凝集しやすいことを意味するため、「不安定分散型の水分散性樹脂」と評価する。
尚、本形態に係る水分散性樹脂としては、1種類の水分散性樹脂に限定されず、複数種類の水分散性樹脂を組み合わせて用いてもよい。このように、水分散性樹脂が、複数の水分散性樹脂からなる場合にも、水分散性樹脂全体において当該析出率を算出し、安定分散型であるか、不安定分散型であるか、を判別する。
・安定分散型の水分散性樹脂
安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等が例示できる。これらの内、特に好適なウレタンエマルジョン及びアクリルエマルジョンについて詳述する。尚、ウレタンエマルジョンを用いることで、得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなるため好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、アクリルエマルジョンを用いることも好適である。
ウレタン樹脂の水分散体(ウレタンエマルジョン)の製造方法としては、下記方法(I)〜(III)が例示出来る。
(I)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液に、必要に応じ、中和剤を含む水溶液を混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(II)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤を含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後水を混合して水に分散させた後、ポリアミンと反応させて、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(III)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤及びポリアミンを含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後、ポリアミンを含む水溶液を添加混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
前記ウレタン樹脂の製造において用いるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示できる。また発明の効果を損なわない範囲において、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
また、前記親水性基を有する化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等が例示できる。これら高分子量化合物は、2種以上を併用してもよい。前記ポリエステルポリオールとしては、公知のものを使用してもよい。
上記方法(I)〜(III)において、発明の効果を損なわない範囲で、更に乳化剤を使用してもよい。係る乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤、等を例示できる。
アクリル樹脂の水分散体(アクリルエマルジョン)の製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、更に必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。
上記アクリル樹脂エマルジョンの製造に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。
尚、アクリルエマルジョンの製造時に乳化剤を使用する場合には、上述の乳化剤等を使用すればよい。
・不安定分散型の水分散性樹脂
不安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ゴムラテックス等を例示出来る。ゴムラテックスは、発泡体の感触がよく弾性に優れるため好適である。次に、ゴムラテックスについて詳述する。
本形態に係るゴムの水分散体(ゴムラテックス)としては、天然ゴムラテックスであってもよいし、合成ゴムラテックスであってもよい。合成ゴムラテックスの製法としては、脂肪族共役ジエン系単量体と、共重合可能な他の重合性単量体と、を乳化重合することによって得られる。ここで、脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,2−ブタジェン、1,3−ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等が例示できる。
共重合可能な他の重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びその無水物、フマル酸、イタコン酸、不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル(例えばマレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル)等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン等のエチレン性不飽和芳香族単量体;アクリロニトリル、メタクロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン臭化ビニリデン等のビニリデンハライド;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;(メタ)アクリルアミド、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルミド等を例示できる。
水分散性樹脂として使用可能なゴムラテックス(合成ゴムラテックス)は、乳化剤、フリーラジカル発生触媒等の存在下に水性媒体中で上記単量体を乳化重合することにより得ることができる。この際2段重合法を採用することもできる。乳化剤としては、各種の陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用することができる。
尚、本形態の水分散性樹脂の不安定分散型又は安定分散型に係る分類においては、上記材料による分類は概略的なものである{水分散性樹脂が不安定分散型であるか安定分散型であるかは、あくまで、上記式(1)によって分類されるものである}。例えば、上記式(1)にて、析出率が10%以上となるウレタンエマルジョンは、不安定分散型の水分散性樹脂に分類され、析出率が10%未満となるゴムラテックスは、安定分散型の水分散性樹脂に分類される。
(分散媒)
本形態において、水系液体媒体の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、水系液体媒体の起泡剤として機能する。また、アニオン性界面活性剤の不溶化を行う際には、例えば、後述の金属カチオンとの反応によって、分散媒に対して不溶化される(これに関しては後述する。)。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本形態に用いられるアニオン性界面活性剤は、水系液体媒体に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適であり、30以上であることが特に好適である。
・HLB
尚、本発明において、HLB値とは、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLBの求め方は、「新・界面活性剤入門」第195〜196頁及び1957年3月20日槙書店発行 小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492〜502頁に記載されており、HLB=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
ここで、本形態に係るアニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の不溶化を行う際には、当初分散媒に溶解している成分であるが、分散媒に対して不溶化される(例えば、金属カチオンとの反応により分散媒に対して不溶化される)成分となる。このようなアニオン性界面活性剤の不溶化手段としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤と共に、金属カチオン源、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物の酸コロイド液、ビニルフェノール重合体などの凝結剤、等を配合することが例示出来る。アニオン性界面活性剤の不溶化を行うことにより、主剤となる水分散性樹脂や分散剤等の種類を限定せずとも、微細且つ均一なセル構造を有する樹脂発泡体が形成可能となる。更には、アニオン性界面活性剤が不溶化されるため、水等によって抽出され難くなる(即ち、ブリードの防止が可能となる)。また、強いゲル化強度となるため、発泡段階における気泡の合一化が強く抑制されることで気泡が安定化し、厚みのある発泡体を形成することも可能となる(更には、製造工程のハイスピード化が可能となる)。ここでは、特に好適な、金属カチオン源の配合によるアニオン性界面活性剤の不溶化に関して詳述する。
(金属カチオン源)
本形態に係る金属カチオン源は、アニオン性界面活性剤と結合して水不溶性の塩を形成できる金属カチオンを水中に放出可能な成分である。このような成分を系に存在させることにより、アニオン性界面活性剤と結合し水不溶性の塩を形成する。その結果、気体を混入させた発泡体原料混合物にチキソ性を付与し流動性を低下させることにより、加熱時でも気泡の合一を抑制できる。このような、金属カチオン源としては、水中で溶解し金属イオンを生じる成分であれば特に限定されず、無機金属塩や有機金属塩のような金属塩、例えば、硝酸カルシウム;アルカリ、例えば、水酸化カルシウムや酸化カルシウム;金属単体、例えば、カルシウムが挙げられる。これらの内、水中での電離定数が比較的大きいという理由から、金属塩が好適である。
前記成分としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、無機酸(例えば、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸等)、及び、有機酸(例えば、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸、及び、有機スルホン酸)との塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
安定分散型の水分散性樹脂の存在する系では、金属カチオンの金属カチオン源となる成分が水溶性金属塩であるものの中でも、ゲル化強度が強く、ゲル化時間が短いため、溶解度が10g/100g水以上であることが好適であり、30g/100g水以上であることがより好適であり、100g/100g水以上であることが特に好適である。このような成分である電解質としては、例えば、硝酸カルシウム(溶解度138g/100g水)、硫酸アルミニウム(溶解度38.6g/100g水)、硫酸マグネシウム(溶解度36.3g/100g水)、等が挙げられる。
不安定分散型の水分散性樹脂の存在する系では、金属カチオンの金属カチオン源となる成分が水難溶性金属塩であるものの中でも、凝集物などの異物が生成しにくいため、溶解度が10g/100g水未満であることが好適であり、3g/100g水未満であることがより好適であり、1g/100g水未満であることが特に好適である。尚、下限値は特に限定されないが、0.0001g/100g水以上である。このような成分である電解質としては、例えば、クエン酸カルシウム(溶解度25.9mg/100g水)、炭酸カルシウム(溶解度0.81g/100g水)、第1リン酸カルシウム(溶解度1.8g/100g水)、等が挙げられる。
(水溶性ポリマー)
本形態において用いられる水溶性ポリマーとは、溶解度が1g/100g水以上であるポリマーである。尚、水溶性ポリマーとしては、−COOM基、−SOM基、(Mは水素原子、周期表第I、II、III族元素、アミン、アンモニウムを示す)−NH、−OHなどの親水基を有するポリマーが例示出来る。水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーが好適であるが、カルボキシル基と比較して、多価の電解質水溶液に対して官能基同士が架橋しにくいため吸水性を失いにくく、高い酸解離定数によってイオン濃度差が増し高い吸水力が期待できるため、スルホニル基含有ポリマーであることがより好適である。また、前記水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることが特に好適である。
このような水溶性ポリマーの例として、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロースなどの汎用樹脂の他に(メタ)アクリル酸とジエン化合物を共重合させたジエン系ゴム、無水マレイン酸で変性した液状ポリブタジエン、又特に効果的な骨格としては−COOM、−SOM(Mは水素原子、周期表第I、II、III族元素、アミン、アンモニウムを示す)を50〜50,000当量/10g有するポリマーであり、前記周期表第I、II族元素としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ホウ素、アルミニウムなどが挙げられる。
また、水溶性ポリマーとして、具体的には−COOM基又は−SOM基含有ポリウレタン、−COOM基又は−SOM基含有ポリウレタン、−COOM基又は−SOM基含有ポリエステル、−COOM基又は−SOM基含有エポキシ化合物、−COOM基又は−SOM基含有ポリアミド酸、−COOM基又は−SOM基含有アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、−COOM基又は−SOM基含有スチレン−ブタジエンコポリマー、−COOM基又は−SOM基含有ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(MRC)、メチルセルロース(MC)、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、及び該化合物誘導体等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
尚、前記水溶性ポリマーに含有されるカルボキシル基、又はスルホン酸基の少なくとも一部を中和するために使用される化合物としては、水酸化ナトリウム等アルカリ金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸アルカリ金属塩、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ金属のアルコキサイド、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の多価金属の水酸化物、アルミニウムイソプロポキサイドを始めとする多価金属アルコキサイド、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン等の第3級アミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等第2級アミンエチルアミン、n−プロピルアミン等第1級アミン、モルホリン等の環状アミン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等アミノ基含有(メタ)アクリレート、炭酸アンモニウム等、アンモニウム塩、等を挙げることが出来る。これらは、単独あるいは複数類組み合せて使用してよい。
尚、前記水溶性ポリマーは−COOM基又は−SOM基以外に親水部としてポリオキシアルキレン鎖を有していてもよく、また架橋剤として作用できるようにエチレン性不飽和基を含有していてもよい。また本形態において水溶性ポリマーとして前記水溶性ポリマー以外に例えば、水酸基、アミン基等の親水性基及び/あるいはポリオキシアルキレン鎖を有するポリマーなどを併用してもよい。
水溶性ポリマーは、高吸水性を発現するために、溶解度が1g/100g水以上であることが好ましく、10g/100g水以上であることがより好ましい。尚、上限値としては特に限定されないが、例えば500g/100g水以下である。また、水溶性ポリマーは、重量平均分子量が500以上1000000以下であることが好適であり、1000以上100000以下であることがより好適であり、1000以上10000以下であることが更に好適であり、3000以上5000以下であることが特に好適である。このような範囲とすることで、高吸水性が発現し、発泡時の液粘度上昇が抑制できる。
ここで、本形態において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によって得られた数値を示す。具体的には、水分散性樹脂の分子量分布はGPC測定装置(東ソー株式会社製、HLC−8320GPC EcoSEC)によって測定した。カラムにはTSKgel SuperMultiporeHZ−M(東ソー株式会社製)を使用した。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂の試料溶液を50〜200μl注入して測定した。重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mnの測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressure ChemicalCo.、あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用いた。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
(水溶性ポリマー用架橋剤)
水溶性ポリマー用の架橋剤を用いることにより、水溶性ポリマーを水分散性樹脂へグラフト化させることで、吸水剤の脱落が抑制され繰り返し耐性が向上する。
このような水溶性ポリマー架橋剤としては特に限定されず、使用する水溶性ポリマーに合わせて適宜変更可能であり、カルボキシル基などの酸素原子を架橋する有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物やホルムアルデヒド樹脂(ホルマリン系縮合樹脂)、アミノ基などの窒素原子を架橋する水溶性エポキシ樹脂等が例示出来る。
(ゲル化成分)
本形態に係る樹脂発泡体のゲル化成分(後述の発泡工程において、発泡形成された水系液体媒体のセル合一化を防ぐために、水系液体媒体をゲル化させる成分)を配合してもよい。このようなゲル化成分としては、ゲル化方法に応じて適宜添加すればよく、例えば、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ケイフッ化カルシウムのようなヘキサフルオロケイ酸塩;又はシクロヘキシルアミンの酢酸塩、スルファミン酸塩のようなシクロヘキシルアミン塩等を使用でき、一般には、これらの化合物を水溶液状態とした液状物が使用される。例えば、ケイフッ化ナトリウムを用いることで、ゲル化開始時間の制御等の反応制御が容易となる。
(その他の添加剤)
その他の添加剤として、水分散性樹脂分散用界面活性剤(乳化剤)、硬化剤等を添加してもよい。
・水分散性樹脂分散用界面活性剤
本形態に係る水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。例えば、水分散性樹脂を、ウレタンエマルジョンとした場合、アクリルエマルジョンとした場合、ゴムラテックスとした場合の具体的な水分散性樹脂分散用界面活性剤に関しては、上述の通りである。
・硬化剤
本形態に係る硬化剤とは、水分散性樹脂用の架橋剤であり、用途等に応じて、必要量添加すればよい。硬化剤による硬化手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。
硬化剤としては、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などを、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。
尚、水分散性樹脂として、ゴムラテックスを用いる場合、樹脂発泡体の製造に慣用される架橋剤(ゴムポリマー同士を架橋するための添加剤であり、例えば、加硫剤)、架橋促進剤(架橋剤による架橋反応を促進するための添加剤であり、例えば、加硫促進剤)、老化防止剤等を添加してもよい。
架橋剤としては、ゴムポリマーの種類及び架橋反応機構に応じて、硫黄、有機過酸化物、又はフェノール化合物等が用いられる。硫黄による架橋の場合、コロイド状硫黄及び微粉末硫黄の他、二塩化硫黄及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物等を用いることができる。有機過酸化物による架橋の場合、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド等のアシルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブトキシペルオキシ)ヘキサン等のアルキルペルオキシド;t−ブトキシペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノアート、t−ブトキシペルオキシベンゾアート等のペルオキシエステル;1,1−ビス(t−ブトキシペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブトキシペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ等のペルオキシケタール;t−ブトキシペルオキシイソプロピルカルボナート、t−ブトキシペルオキシ−2−エチルヘキシルカルボナート等のペルオキシカルボナート等の有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物は、そのまま配合してもよく、モレキュラーシーブ等の無機粉末に吸着させたり、炭化水素や可塑剤に溶解したり、ポリジメチルシロキサンなどの不活性の液体に混和したりして安定化したものを、配合に使用してもよい。フェノール化合物による架橋の場合、アルキフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、硫化−p−第三ブチルフェノール樹脂及びアルキルフェノール・スルフィド樹脂等を用いることができる。架橋剤の配合量は、ゴムポリマーの種類、架橋機構、及び架橋剤によっても異なるが、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.02〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
架橋促進剤としては、各種物質が使用できるが、極性油に対する膨潤性を下げることから、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛のようなジチオカルバミン酸亜鉛類;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドのようなチウラム類;N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドのようなスルフェンアミド類;2−メルカプトベンゾチアゾール及びその塩(ナトリウム塩、亜鉛塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホリニル−2−ベンゾチアジルジスルフィド、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール類;並びにそれらの混合物が好ましい。これらのうち、ジチオカルバミン酸亜鉛類が更に好ましく、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛が特に好ましい。架橋促進剤の配合量は、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.02〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−p−フェニレンジアミン等のジフェニルアミン系化合物;芳香族アミンと脂肪族ケトンの縮合物;2−メルカプトベンゾイミダゾールやその亜鉛塩等のイミダゾール系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のモノ−フェノール系化合物;ビス−、トリス、ポリフェノール系化合物等が挙げられる。老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して1.0〜10質量部が好ましく、2.0〜6.0質量部がより好ましい。
尚、架橋剤、架橋促進剤及び老化防止剤については、ゴムラテックス中での分散性を向上させるため、これらの副原料を予め分散剤等を用いて水中に分散させてペースト状にしたもの(加硫系ペースト)を調製し、この加硫系ペーストをゴムラテックス中に添加してもよい。
(好適な原料の組み合わせ)
ここで、上述の通り、アニオン性界面活性剤の不溶化によるゲル化手法を用い、水分散性樹脂として安定分散型の水分散性樹脂を用いる場合、金属カチオンの金属カチオン源として、水溶性金属塩を用いることが好適である。このような組み合わせとすることにより、ゲル化強度が強く、ゲル化時間が短いという効果が得られる。また、同様に、水分散性樹脂として不安定分散型の水分散性樹脂を用いる場合、金属カチオンの金属カチオン源として、水難溶性金属塩を用いることが好適である。このような組み合わせとすることにより、凝集物などの異物が生成しにくいという効果が得られる。
<組成>
(各原料の配合量や配合比)
液体媒体に対する、水分散性樹脂(固形分)の配合量としては、液体媒体100質量部に対して、30〜70質量部が好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡体を成形することができるという効果が得られる。
アニオン性界面活性剤の配合量としては、水分散性樹脂の混合物(水系液体媒体)中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して1.0〜10質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
水溶性ポリマーの配合量としては、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、高吸水性を発現できるという効果が得られる。
水分散性樹脂の混合物中において、水溶性ポリマー架橋剤/水溶性ポリマーの質量部比率は0.02〜5が好ましく、0.1〜2以上がより好ましい。
架橋剤(硬化剤)の配合量としては、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。尚、硬化剤として加硫系ペーストを使用する場合には、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、圧縮残留歪みの小さい発泡体を成形できるという効果が得られる。
ゲル化成分(ゲル化剤)を配合する場合、その配合量は、特に限定されないが、水分散性樹脂の混合物中において、ポリマー100質量部に対して1〜10質量部程度が好適である。ゲル化剤の配合量が上記範囲外となると、好適なゲル化を発現できない、すなわち、長時間経過しても液状のままゲル化しなかったり、短時間でゲル化が進行して所望の形状への成形が困難になったりする。これにより、具体的にはゲル化の完了に必要な時間(ゲル化時間)が長くなり過ぎたり、短くなり過ぎたりしてしまうことにより、好適な樹脂発泡体が得られなくなってしまう。
尚、金属カチオン(金属カチオン源)によるアニオン性界面活性剤の不溶化を行い、金属カチオン源として電解質を用いる場合、電解質の配合量としては、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して1.0〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切なゲル化強度、ゲル化時間となるため、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
尚、金属カチオン(金属カチオン源)によるアニオン性界面活性剤の不溶化を行う場合には、水分散性樹脂の混合物中において、不溶化する対象構成成分である金属カチオンの価数/不溶化する対象構成成分である前記アニオン性界面活性剤の価数{後述の表等においては、省略して、「価数比」[金属カチオン(金属カチオン源)/アニオン性界面活性剤]等ともする}は、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、価数のモル当量である1.0以上が特に好ましい。このような範囲とすることで、適切なゲル化強度、ゲル化時間となるため、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
<プロセス>
本形態に係る樹脂発泡体の製造プロセスは、原料調製工程と、撹拌・発泡工程と、チキソ性付与工程と、加熱工程と、を含む。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
(原料調製工程)
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、吸水性樹脂発泡体の原料混合物である水系液体媒体を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
(撹拌・発泡工程)
攪拌・発泡工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させて水系液体媒体中に気泡が多数存在する状態(発泡水系液体媒体)にする。この攪拌・発泡工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の吸水性樹脂発泡体の原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
・発泡用気体
攪拌・発泡工程で水系液体媒体に混合される発泡用気体は、吸水性樹脂発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる吸水性樹脂発泡体の発泡倍率及び密度が決まる。吸水性樹脂発泡体の密度を調整するためには、所望の吸水性樹脂発泡体の密度と、吸水性樹脂発泡体の原料の体積(例えば、吸水性樹脂発泡体の原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な吸水性樹脂発泡体の原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
・発泡方法、発泡条件
本発明に係る吸水性樹脂発泡体の製造方法で使用される発泡方法としては、発泡体の製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、例えば、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。メカニカルフロス法は、水系液体媒体を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気を水系液体媒体に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、水系液体媒体と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の吸水性樹脂発泡体を得ることができる。
水系液体媒体と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1〜10分、好ましくは2〜6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
・成形
以上のようにして発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の吸水性樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
(チキソ性付与工程)
チキソ性付与工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定のゲル化方法を用いて、ゲル化された水系液体媒体を得る。このチキソ性付与工程は、ゲル化剤を用いる場合には、原料調製工程で得られた液状の水系液体媒体と、発泡用ガスと、ゲル化剤とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。尚、ここでいうゲル化した水系液体媒体とは、完全にゲル化が完了した水系液体媒体だけを指すものでなく、チキソ性付与工程により添加されたゲル化剤により、原料調製工程で得られる液状の水系液体媒体から次第にゲル化している途上の水系液体媒体及び完全にゲル化した水系液体媒体の両方を指すものである。
また、ゲル化の完了により、ゲル化した水系液体媒体中に存在する発泡ガスは気泡として保持されることになる。この気泡は、そのまま最終的に得られる樹脂発泡体のセルとなるため、この気泡の大きさはセル径を決定することになる。
尚、水系液体媒体のゲル化手法及び発泡手法としては、何ら限定されず、用途等に応じて適宜選択すればよい。例えば、ゲル化剤を使用する常温ゲル化法(ダンロップ法)、ゲル化剤を使用しない冷凍凝固法(タラレー法)、アンミン錯体によるゲル化法(ケイサム法)、感熱剤を使用する感熱ゲル化法等の既知の方法を用いればよい。その他にも、上記のように、アニオン性界面活性剤と共に金属カチオン源を配合することにより、アニオン性界面活性剤を不溶化させるゲル化方法であってもよい。
尚、金属カチオン源を樹脂発泡体の原料に添加する場合、添加のタイミングはいつでもよいが、特に、ゲル化時間が短い場合や、溶解度の大きい水溶性塩を用いる場合は、発泡前に添加するとゲル化による増粘で混入できる気体の量が減少し高密度な発泡体になるため、発泡後の発泡水系液体媒体に添加することが好ましい。また、ゲル化時間が長い場合や、徐放性水難溶性塩を用いる場合は、発泡後に添加すると気泡の合一により微細なセル構造が成形できないため、発泡前の水系液体媒体に添加することが好ましい。他方、金属カチオン源を予め(発泡前に)水系液体媒体に添加することにより、工程の簡略化を行うことが可能となる。
上で詳述したアニオン性界面活性剤の不溶化は、主に、発泡後、起泡剤であるアニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)を不溶化させることにより系にチキソ性を付与するものであるが、アニオン性界面活性剤の不溶化工程としては、これとは異なる手法も考えられる。一例として、発泡後、系内に存在している水可溶型成分(例えば、起泡アニオン性界面活性剤由来の金属カチオン、水溶性樹脂中に含まれている成分、予め添加しておいた水可溶型成分)を不溶化させる手法を挙げることができる。例えば、起泡アニオン性界面活性剤由来の金属カチオンを用いて水不溶性成分を形成させる手法としては、当該金属カチオンと結合して不溶化する別の成分を添加することで実現できる。より好適な例は、起泡剤であるアニオン性界面活性剤とは別のアニオン性界面活性剤を添加する手法である。アニオン性界面活性剤の水へ溶解性は、一般に、多価金属塩{例えば、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩)}<アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)<アンモニウム又はアミン塩、の順である。この性質を利用し、例えば、起泡アニオン性界面活性剤として水溶解性の高い塩(例えば、第1のアニオン性界面活性剤のナトリウム塩)を用いることで、起泡アニオン性界面活性剤を溶解して起泡性を担保しつつ、系内に当該起泡アニオン性界面活性剤由来の水可溶型カチオンを存在させる。そして、起泡後、前記水可溶型カチオンと難溶性の塩を形成する第2のアニオン性界面活性剤(例えば、アンモニウム塩)を系内に添加する。ここで、例えば、前記例の場合、第2のアニオン性界面活性剤は、アンモニウム塩としては水に可溶するが、アルカリ金属塩としては水に不溶なものである。このような第2のアニオン性界面活性剤を系に添加することにより、第2のアニオン性界面活性剤はカチオン交換(例えば、アンモニウム→ナトリウムイオン)し、水可溶型→水不溶型に変化する。これにより、系の流動性は低下し、上で詳述した起泡アニオン性界面活性剤を不溶化させる態様と同様、低気泡径等を有する発泡体を製造することが可能となる。
例えば、起泡アニオン性界面活性剤としてアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)を少なくとも用いた場合を想定する(他の界面活性剤を併用してもよい)。この場合、第2のアニオン性界面活性剤として長鎖脂肪酸(例えば、炭素数16〜22)アンモニウム(例えば、ステアリン酸アンモニウム等)を用いると、起泡アニオン性界面活性剤由来のアルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン)と第2のアニオン性界面活性剤由来の長鎖脂肪酸とが反応し、水不溶性塩として脂肪酸アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)を析出させることが可能となる。尚、起泡アニオン性界面活性剤として、中鎖脂肪酸(例えば、炭素数8〜15)アルカリ金属塩(例えば、ドデカン酸ナトリウム等)を用いることも想定する(この場合は、上で詳述した起泡アニオン性界面活性剤を不溶化させる態様に該当する)。この場合、起泡した系に、多価金属イオン(例えば、カルシウムイオン)を添加する。これにより、当該多価金属イオンと起泡アニオン性界面活性剤由来の短鎖脂肪酸とが反応し、水不溶性塩として脂肪酸多価金属塩(例えばカルシウム塩)を析出させることが可能となる。
尚、アニオン性界面活性剤の不溶化工程としては、上述した方法を適宜組みあわせてもよい。
(加熱工程)
加熱工程では、成形された発泡水系液体媒体中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡水系液体媒体中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、吸水性樹脂発泡体の内部から外部まで連通されることとなる。従って、本発明に係る吸水性樹脂発泡体では、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、吸水性樹脂発泡体中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、攪拌・発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた吸水性樹脂発泡体中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた吸水性樹脂発泡体中では連続気泡となる。また、本発明においては、樹脂発泡体中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であってもよく、あるいは、全ての気泡が連続気泡であってもよい。
硬化剤・架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した硬化剤・架橋剤により原料同士が架橋され、硬化した吸水性樹脂発泡体が形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80〜150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
≪吸水性樹脂発泡体の構造≫
<構造>
本形態に係る樹脂発泡体としては、ホールインホール型の発泡体であることが好適である。このような構造とすることにより、各セルの膜に存在する孔が毛細管現象を発揮し、親水性の用途とした場合に、吸水力を向上させるという効果を奏することが出来る。尚、「ホールインホール型発泡体」とは、発泡体の各セルにおいて、セルの壁面に該当する膜部分に、当該セルのセル径よりも小さい径を有する孔(開口部)が複数存在する発泡体である。
(平均セル径)
樹脂発泡体の断面の平均セル径(平均断面セル径)が5μm以上(例えば、10μm以上)300μm以下であることが好ましく、5μm以上200μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることが特に好ましい。尚、平均セル径の測定方法としては、以下の方法に従うものとする。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する。
(セル径の分布)
上記断面セル写真において、発泡体の断面における各セルに関して、全てのセルのセル断面積の合計値Sと、断面セル径が1〜100μmであるセル面積の合計値Sxとにおいて、Sx/S≧0.1であることが好適であり、Sx/S≧0.2であることがより好適であり、Sx/S≧0.3であることが特に好適である。Sx/Sの上限値としては特に限定されないが、例えば1である。尚、より望ましくは、全てのセルのセル断面積の合計値Sと、断面セル径が50〜125μmであるセル面積の合計値Syとにおいて、Sy/S≧0.05であることが好適であり、Sy/S≧0.1であることがより好適であり、Sy/S≧0.15であることが特に好適である。Sy/Sの上限値としては特に限定されないが、例えば1である断面セル径及び断面セル径の分布をこのような範囲とすることにより、上記毛細管現象に起因する吸水性がより期待出来る。
≪性質≫
本形態に係る吸水性樹脂発泡体によれば、水溶性ポリマーが発泡体の内部まで入り込む形で発泡体が形成されるため、吸水力(吸水速度)に優れるものとなる。更には、水溶性ポリマーがポリマーマトリックスに一部埋め込まれる形となるため、繰り返し耐性に優れるものとなる。
≪吸水性樹脂発泡体の用途≫
本発明に係る吸水性樹脂発泡体は、吸水性ロール、化粧用のパフ、各種半導体または光学材料等の研磨パット、湿布剤、インキ保持材、人工皮革、合成皮革、おむつ、生理用品などの、吸水を目的とする用途に広く使用可能である。
ここで、本発明において、「不溶化」とは、当業界にて一般的に理解されている「不溶化」と同義であり、水溶性成分が水不溶性成分に変化することで、溶解が抑制されることであり、例えば、不溶化される前の水溶性成分の、好ましくは10質量%以上(より好ましくは50質量%以上)が水不溶性成分として析出する(例えば、アニオン性界面活性剤の、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上が、水不溶性成分根となる)ことを示し;「水不溶性塩」とは、溶解度が1g/水100g以下である塩を示し;「水溶性金属塩」とは、溶解度が10g/水100g以上である金属塩を示し;「水難溶性金属塩」とは、溶解度が10g/水100g未満である金属塩を示し;「溶解度」とは、1気圧、25℃にて、水100gに対して飽和した化合物のグラム数(g/100g水)を示す。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪原料≫
まず、本実施例及び比較例においては、下記の原料を使用した。尚、下記において、水分散性樹脂の安定分散型又は不安定分散型の判別方法(析出率の算出方法)及びHLB値の測定方法は、上述の方法に従うものとする。また、引張破断強度は、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。引張破断伸びは、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。軟化点は、JIS K2207に準じて、測定した。粘度は、JIS K7117に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて測定した。表面張力は、Wilhelmy法により、表面張力計(協和科学社製、ESB−V型)を用いて測定した。ポリマーガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。
<水分散性樹脂>
・水分散性樹脂1
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;スルホン酸基、固形分40%、引張破断強度50MPa、引張破断伸び600%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂2
{アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%、中高ニトリル、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−12℃
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(アルキルスルホコハク酸ナトリウム)
分散媒;水、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%、HLB25.5
<金属カチオン源>
・金属カチオン源1(硝酸カルシウム)
(溶解度138g/100g水
<水溶性ポリマー>
・水溶性ポリマー1
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量3000、固形分40%
・水溶性ポリマー2
スルホニル基非含有ポリマー、分子量5000、固形分40%
・水溶性ポリマー3
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量8000、固形分40%
・水溶性ポリマー4
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量60000、固形分40%
<水溶性ポリマー用架橋剤>
炭酸ジルコニウムアンモニウム
<硬化剤>
・硬化剤
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
・加硫系ペースト1
硫黄、酸化亜鉛、チアゾール系加硫促進剤、老化防止剤など
10質量部の加硫剤、6質量部のノクセラーMZ、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
<ゲル化剤>
・ゲル化剤1
ポリエーテル変性シリコーンオイル
・ゲル化剤2
ケイ弗化ナトリウム
≪吸水性樹脂発泡体の形成≫
<実施例1>
(原料調製工程)
水分散性樹脂1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、8.6質量部のアニオン性界面活性剤1、2.4質量部の無機電解質1、6.0質量部の硬化剤、5.0質量部の水溶性ポリマー1、1.0質量部の水溶性ポリマー用架橋剤を混合して樹脂発泡体原料とした。
(撹拌工程)
当該樹脂発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させた。
(金属カチオン源添加工程)
主剤100質量部に対し、8.6質量部の金属カチオン源1を配合した。
(加熱工程)
(処理条件オーブン又は乾燥炉等にて)加熱処理することで樹脂発泡体を作成した。
<実施例2−3、5−11、変形例4の調製>
表1〜2に示す原料を配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂発泡体を作成した。
<実施例12−13の調整>
ゲル化剤(ゲル化剤1、ゲル化剤2)を配合し、金属カチオン源を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂発泡体を作成した。
<比較例1>
表3に示すように、実施例12に水溶性ポリマー及び水溶性ポリマー用架橋剤を添加しなかったこと以外は、同様に発泡体を作成し、更に、水溶性ポリマー1をエアーガンで噴霧することで、吸水性樹脂発泡体とした。
<比較例2>
実施例12に水溶性ポリマー及び水溶性ポリマー用架橋剤を添加しなかったこと以外は、同様に発泡体を作成し、更に、水溶性ポリマー1を含浸させることで、吸水性樹脂発泡体とした。
≪吸水試験≫
下記に示す方法に従い吸水時間の測定を行い、この測定結果から、吸水速度、及び吸水性を評価した。
<試験方法1>
イオン交換水1滴(0.033ml)を試験片に滴下して、完全にしみ込むまでの時間を測定した。測定箇所は、5cm×5cmの樹脂発泡体の4隅及び中央の計5点測定し、以下の基準で吸水速度を評価した。尚、下記評価において、評価が◎、○、△及び▲のものが本発明における吸水速度の評価として良好なもので、吸水性が良好であると判断し、評価が×のものが本発明における吸水速度の評価として不良なもので、吸水性を有しないものであると判断した。
測定箇所5点すべての吸水時間が10秒以内であった場合「◎」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒以内であった場合「○」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒超30秒以内であった場合「△」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が30秒超60秒以内であった場合「▲」
測定箇所5点すべての吸水時間が60秒超であった場合「×」
<試験方法2>
更に、繰り返し吸水試験を行った。全自動洗濯機(株式会社東芝製、AW−421S)を準備し、洗濯水量を45Lに設定し、上記で作製した試験片(実施例1〜3、5〜13、変形例4、比較例1〜2)を入れた。洗い13分、脱水7分の洗濯工程を行った後、試験片を乾燥させた。試験片の耐久性(吸水性が維持できるかどうか)を評価するために、上記洗濯工程を1回繰り返したものの吸水性の評価を行った。得られた結果を表1に示した。吸水性の評価方法は上述した通りである。
また、洗濯試験を繰り返し行うことで、試験片(実施例1、7、9、11、比較例1、2)の耐久性を評価した。洗濯前のものと、上記洗濯工程を1〜3回繰り返したものの吸水性の評価を行い、得られた結果を表4に示した。吸水性の評価方法は上述した通りである。
表4に示すように、水溶性ポリマー用架橋剤を適量含む実施例1の樹脂発泡体は、3回の洗濯工程後も非常に良好な吸水性を保っていた。このことから、適量の架橋剤の添加により水溶性ポリマーと樹脂ポリマーとの結合力が強くなり、水溶性ポリマーの脱落が抑制され、樹脂発泡体が長期間高い吸水性を維持できることがわかった。また、水溶性ポリマー用架橋剤の添加量が少ない実施例9の樹脂発泡体は、1回の洗濯工程後には吸水率がやや低下した。更に水溶性ポリマー用架橋剤の添加量が少ない実施例11の樹脂発泡体は、1回の洗濯工程後には吸水率がやや低下し、2回の洗濯工程後では吸水性が低下した。このことから、少量でも水溶性ポリマー用架橋剤を添加することで、ある程度水溶性ポリマーの脱落が抑制されているものの、その効果は適量添加した場合よりも劣ることがわかった。一方、水溶性ポリマーを噴霧した比較例1、水溶性ポリマーを含浸させた比較例2では、1回の洗濯工程後に吸水性が大きく低下した。このことから、水溶性ポリマー用架橋剤を添加しない場合には、水溶性ポリマーが脱落しやすくなり、水溶性ポリマー用架橋剤を添加したものと比較して、長期間高い吸水性を維持することは難しいことがわかった。尚、同様に水溶性ポリマー用架橋剤を添加していない実施例7は、洗濯工程後に吸水性が低下するが、3回の洗濯工程後にも、ある程度の吸水性を有するものであった。
[参考例]
次に、参考例及び参考比較例を説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪原料≫
まず、参考例及び参考比較例においては、下記の原料を使用した。尚、下記において、水分散性樹脂の安定分散型又は不安定分散型の判別方法(析出率の算出方法)及びHLB値の測定方法は、上述の方法に従うものとする。また、引張破断強度は、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。引張破断伸びは、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。軟化点は、JIS K2207に準じて、測定した。粘度は、JIS K7117に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて測定した。表面張力は、Wilhelmy法により、表面張力計(協和科学社製、ESB−V型)を用いて測定した。ポリマーガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。
<水分散性樹脂>
・水分散性樹脂1
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;スルホン酸基、固形分40%、引張破断強度50MPa、引張破断伸び600%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂2
アクリルエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率4.9%)、pH610、固形分40%、引張破断強度25MPa、引張破断伸び300%、軟化点100−120℃
・水分散性樹脂3
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;カルボキシル基、固形分40%、引張破断強度20MPa、引張破断伸び700%、軟化点170−200℃
・水分散性樹脂4
エーテル系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率1.1%)、pH8、固形分40%、引張破断強度20MPa、引張破断伸び500%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂5
アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%、中高ニトリル、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−12℃
・水分散性樹脂6
スチレン-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率38%)、pH10、固形分40%、粘度440mPa・s、表面張力32mN/m、Tg−63℃
・水分散性樹脂7
天然ゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率35%)、pH10、固形分40%、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−75℃
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(牛脂由来のアルキルスルホコハク酸ナトリウム)
分散媒;水、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%、HLB25.5
・アニオン性界面活性剤3(オレイン酸カリウム石鹸)
分散媒;水、pH11.2、固形分30%、HLB18.3
・アニオン性界面活性剤4(アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム)
分散媒;水、pH8.5、固形分30%、HLB9.0
<金属カチオン源>
・金属カチオン源1(硝酸カルシウム)
溶解度138g/100g水
・金属カチオン源2(硫酸アルミニウム)
溶解度38.6g/100g水
・金属カチオン源3(硫酸マグネシウム)
溶解度36.3g/100g水
・金属カチオン源4(クエン酸カルシウム)
溶解度0.0259g/100g水
・金属カチオン源5(炭酸カルシウム)
溶解度0.81g/100g水
・金属カチオン源6(第1リン酸カルシウム)
溶解度1.8g/100g水
<硬化剤>
・硬化剤
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
・加硫系ペースト
10質量部の加硫剤、6質量部のチアゾール系加硫促進剤、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して調製
<ゲル化剤>
・ゲル化剤1
ケイ弗化ナトリウム
・ゲル化剤2
ポリエーテル変性シリコーンオイル
<水溶性ポリマー>
・水溶性ポリマー
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量3000、固形分40%
≪発泡体の形成≫
<参考例1>
(原料調製工程)
ポリマー水分散体1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、8.6質量部のアニオン性界面活性剤1、2.4質量部の金属カチオン源1、6.0質量部の硬化剤1を混合して樹脂発泡体原料とした。
(撹拌工程)
当該樹脂発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させた。
(加熱工程)
オーブン又は乾燥炉等にて加熱処理することで、厚さ1mmの樹脂発泡体を得た。
(発泡後の液粘度)
JIS K7117‐1に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて室温で発泡後の液粘度を測定したところ、3000mPa・sであった。
<参考例2−38、参考比較例1−8の調製>
表5〜9に示す配合に従って、参考例1と同様にして樹脂発泡体を得た。尚、液粘度に関しては、参考例2〜38、及び参考比較例1〜8に関しても、参考例1と同程度となった。
≪樹脂発泡体の評価方法≫
次に、下記に従って、参考例1−38、参考比較例1−8に係る樹脂発泡体の評価を行った。その結果(特に、外観及びセル径の分布)を表5〜9に示す。
<外観>
目視にて、セルの状態及び樹脂発泡体の表面を評価した。セルが均一である場合「○」と、セルが荒い場合「△」と、セルが非常に荒い場合、及びセルが、形成されていない(発泡していない)場合「×」と評価した。尚、図1は参考例1に係る樹脂発泡体のSEM写真であり、図2は、参考例19に係る樹脂発泡体のSEM写真であり、図3は、参考比較例1に係る樹脂発泡体のSEM写真である。
<密度>
JIS K6400に準じて、見掛け密度として室温で測定した。参考例1の試験結果は150kg/mであった。参考例2〜38、及び参考比較例1〜8に関しても、同程度となった。
<平均セル径及びセル径の分布>
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測した。参考例1で得られた樹脂発泡体(厚み1mm)の樹脂発泡体の断面のセル写真(200倍)を撮影し、画像処理ソフトImage−Pro PLUSで各セル径を計測した。より詳細には、まず、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真(200倍)を撮影する(図1)。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、SEM画像を読み取り、空間較正を行う(図4)。次に、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する(図5)。次に、画像処理でセルの形状を読み取る{真円ではなく、形状をそのまま認識する(図6)}。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する(図7)。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する(図8)。測定結果としては、平均セル径は69.8μm、セル数は295個であった。次に、得られた値よりセル径の分布を測定したところ、全てのセルのセル面積の合計値Sと、セル径が1〜100μmであるセル面積の合計値Sxとにおいて、Sx/S=0.52となった。その他の参考例及び参考比較例に関しても同様の測定を行い、Sx/S≧0.3のものを「○」、0.3>Sx/S≧0.1のものを「△」、0.1>Sx/Sのものを「×」と評価した。尚、参考例19(図2)においては、平均セル径サイズは71.8μm、セル数は175個、Sx/S=0.18であった。また、参考比較例1(図3)においては、平均セル径サイズは91.2μm、セル数は37個、Sx/S=0.06であった。

Claims (4)

  1. 分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物と、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより前記水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、前記発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて吸水性樹脂発泡体を製造する方法であって、前記水系液体媒体が、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有し、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーであることを特徴とする吸水性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物と、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより前記水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、前記発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて吸水性樹脂発泡体を製造する方法であって、前記水系液体媒体が、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有し、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることを特徴とする吸水性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 前記水溶性ポリマーの重量平均分子量が、500以上1000000以下である、請求項1又は2記載の吸水性樹脂発泡体の製造方法。
  4. 前記水系液体媒体が、前記水分散性樹脂と前記水溶性ポリマーとを架橋させるための架橋剤を含む、請求項1〜のいずれか一項記載の吸水性樹脂発泡体の製造方法。
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