JP6257392B2 - 吸水性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明(2)は、前記水溶性ポリマーの重量平均分子量が、500以上である、本発明(1)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(3)は、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーである、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(4)は、前記水溶性ポリマーが、カルボキシル基含有ポリマーである、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(5)は、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体である、本発明(1)又は(2)の吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明(6)は、前記水系液体媒体が、前記水分散性樹脂と前記水溶性ポリマーとを架橋させるための架橋剤を含む、本発明(1)〜(5)のいずれかの吸水性樹脂発泡体の製造方法である。
ここで、本発明において、「吸水性」とは、水(液体)を吸収する性質のことを広く示し、吸水速度、吸水率、吸水量などによって評価することができる。
1 吸水性樹脂発泡体の製造方法
2 吸水性泡体の構造
3 吸水性泡体の性質
4 吸水性樹脂発泡体の用途
本形態に係る吸水性樹脂発泡体の製造方法は、分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水と、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーと、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて樹脂発泡体を製造する方法であり、原料として、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有する。吸水性樹脂発泡体の製造方法として、原料、組成(配合量)、液性(水系液体媒体又は発泡水系液体媒体の液性)、プロセス(具体的な製造工程)に関して詳述する。
本形態に係る樹脂発泡体は、原料として、水分散性樹脂、アニオン性界面活性剤、分散媒として水、水溶性ポリマー、水溶性ポリマー架橋剤、ゲル化成分(ゲル化剤)及びその他の添加剤等を含む(尚、発泡工程において用いられる発泡用の気体に関しては、発泡工程にて述べる)。尚、本発明において、水分散性樹脂を、樹脂が水に分散した水分散体とする場合もある。
本形態に係る樹脂発泡体の製造方法は、主剤として水分散性樹脂を含む。水分散性樹脂としては、その構造や製造方法は何ら限定されず、どのような水分散性樹脂であってもよい。
水分散性樹脂の分散安定性を評価するために、水分散性樹脂に凝固剤水溶液(0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液)を添加し、生成する析出物の量から析出率を算出した。具体的な析出率は下記式(1)によって求められる{尚、式(1)中、Aは析出物の乾燥質量(g)、Bは水分散性樹脂の質量(g)、Cは水分散性樹脂の固形分濃度(質量%)である}。
析出率(%)=A/{B×(C/100)}×100・・・(1)
安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等が例示できる。これらの内、特に好適なウレタンエマルジョン及びアクリルエマルジョンについて詳述する。尚、ウレタンエマルジョンを用いることで、得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなるため好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、アクリルエマルジョンを用いることも好適である。
(I)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液に、必要に応じ、中和剤を含む水溶液を混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(II)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤を含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後水を混合して水に分散させた後、ポリアミンと反応させて、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(III)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤及びポリアミンを含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後、ポリアミンを含む水溶液を添加混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
不安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ゴムラテックス等を例示出来る。ゴムラテックスは、発泡体の感触がよく弾性に優れるため好適である。次に、ゴムラテックスについて詳述する。
本形態において、水系液体媒体の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、水系液体媒体の起泡剤として機能する。また、アニオン性界面活性剤の不溶化を行う際には、例えば、後述の金属カチオンとの反応によって、分散媒に対して不溶化される(これに関しては後述する。)。
尚、本発明において、HLB値とは、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLBの求め方は、「新・界面活性剤入門」第195〜196頁及び1957年3月20日槙書店発行 小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492〜502頁に記載されており、HLB=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
本形態に係る金属カチオン源は、アニオン性界面活性剤と結合して水不溶性の塩を形成できる金属カチオンを水中に放出可能な成分である。このような成分を系に存在させることにより、アニオン性界面活性剤と結合し水不溶性の塩を形成する。その結果、気体を混入させた発泡体原料混合物にチキソ性を付与し流動性を低下させることにより、加熱時でも気泡の合一を抑制できる。このような、金属カチオン源としては、水中で溶解し金属イオンを生じる成分であれば特に限定されず、無機金属塩や有機金属塩のような金属塩、例えば、硝酸カルシウム;アルカリ、例えば、水酸化カルシウムや酸化カルシウム;金属単体、例えば、カルシウムが挙げられる。これらの内、水中での電離定数が比較的大きいという理由から、金属塩が好適である。
本形態において用いられる水溶性ポリマーとは、溶解度が1g/100g水以上であるポリマーである。尚、水溶性ポリマーとしては、−COOM基、−SO3M基、(Mは水素原子、周期表第I、II、III族元素、アミン、アンモニウムを示す)−NH2、−OHなどの親水基を有するポリマーが例示出来る。水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーが好適であるが、カルボキシル基と比較して、多価の電解質水溶液に対して官能基同士が架橋しにくいため吸水性を失いにくく、高い酸解離定数によってイオン濃度差が増し高い吸水力が期待できるため、スルホニル基含有ポリマーであることがより好適である。また、前記水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることが特に好適である。
水溶性ポリマー用の架橋剤を用いることにより、水溶性ポリマーを水分散性樹脂へグラフト化させることで、吸水剤の脱落が抑制され繰り返し耐性が向上する。
本形態に係る樹脂発泡体のゲル化成分(後述の発泡工程において、発泡形成された水系液体媒体のセル合一化を防ぐために、水系液体媒体をゲル化させる成分)を配合してもよい。このようなゲル化成分としては、ゲル化方法に応じて適宜添加すればよく、例えば、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ケイフッ化カルシウムのようなヘキサフルオロケイ酸塩;又はシクロヘキシルアミンの酢酸塩、スルファミン酸塩のようなシクロヘキシルアミン塩等を使用でき、一般には、これらの化合物を水溶液状態とした液状物が使用される。例えば、ケイフッ化ナトリウムを用いることで、ゲル化開始時間の制御等の反応制御が容易となる。
その他の添加剤として、水分散性樹脂分散用界面活性剤(乳化剤)、硬化剤等を添加してもよい。
本形態に係る水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。例えば、水分散性樹脂を、ウレタンエマルジョンとした場合、アクリルエマルジョンとした場合、ゴムラテックスとした場合の具体的な水分散性樹脂分散用界面活性剤に関しては、上述の通りである。
本形態に係る硬化剤とは、水分散性樹脂用の架橋剤であり、用途等に応じて、必要量添加すればよい。硬化剤による硬化手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。
ここで、上述の通り、アニオン性界面活性剤の不溶化によるゲル化手法を用い、水分散性樹脂として安定分散型の水分散性樹脂を用いる場合、金属カチオンの金属カチオン源として、水溶性金属塩を用いることが好適である。このような組み合わせとすることにより、ゲル化強度が強く、ゲル化時間が短いという効果が得られる。また、同様に、水分散性樹脂として不安定分散型の水分散性樹脂を用いる場合、金属カチオンの金属カチオン源として、水難溶性金属塩を用いることが好適である。このような組み合わせとすることにより、凝集物などの異物が生成しにくいという効果が得られる。
(各原料の配合量や配合比)
液体媒体に対する、水分散性樹脂(固形分)の配合量としては、液体媒体100質量部に対して、30〜70質量部が好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡体を成形することができるという効果が得られる。
本形態に係る樹脂発泡体の製造プロセスは、原料調製工程と、撹拌・発泡工程と、チキソ性付与工程と、加熱工程と、を含む。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
(原料調製工程)
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、吸水性樹脂発泡体の原料混合物である水系液体媒体を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
攪拌・発泡工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させて水系液体媒体中に気泡が多数存在する状態(発泡水系液体媒体)にする。この攪拌・発泡工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の吸水性樹脂発泡体の原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
攪拌・発泡工程で水系液体媒体に混合される発泡用気体は、吸水性樹脂発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる吸水性樹脂発泡体の発泡倍率及び密度が決まる。吸水性樹脂発泡体の密度を調整するためには、所望の吸水性樹脂発泡体の密度と、吸水性樹脂発泡体の原料の体積(例えば、吸水性樹脂発泡体の原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な吸水性樹脂発泡体の原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
本発明に係る吸水性樹脂発泡体の製造方法で使用される発泡方法としては、発泡体の製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、例えば、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。メカニカルフロス法は、水系液体媒体を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気を水系液体媒体に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、水系液体媒体と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の吸水性樹脂発泡体を得ることができる。
以上のようにして発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の吸水性樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
チキソ性付与工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定のゲル化方法を用いて、ゲル化された水系液体媒体を得る。このチキソ性付与工程は、ゲル化剤を用いる場合には、原料調製工程で得られた液状の水系液体媒体と、発泡用ガスと、ゲル化剤とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。尚、ここでいうゲル化した水系液体媒体とは、完全にゲル化が完了した水系液体媒体だけを指すものでなく、チキソ性付与工程により添加されたゲル化剤により、原料調製工程で得られる液状の水系液体媒体から次第にゲル化している途上の水系液体媒体及び完全にゲル化した水系液体媒体の両方を指すものである。
加熱工程では、成形された発泡水系液体媒体中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
<構造>
本形態に係る樹脂発泡体としては、ホールインホール型の発泡体であることが好適である。このような構造とすることにより、各セルの膜に存在する孔が毛細管現象を発揮し、親水性の用途とした場合に、吸水力を向上させるという効果を奏することが出来る。尚、「ホールインホール型発泡体」とは、発泡体の各セルにおいて、セルの壁面に該当する膜部分に、当該セルのセル径よりも小さい径を有する孔(開口部)が複数存在する発泡体である。
樹脂発泡体の断面の平均セル径(平均断面セル径)が5μm以上(例えば、10μm以上)300μm以下であることが好ましく、5μm以上200μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることが特に好ましい。尚、平均セル径の測定方法としては、以下の方法に従うものとする。
上記断面セル写真において、発泡体の断面における各セルに関して、全てのセルのセル断面積の合計値Sと、断面セル径が1〜100μmであるセル面積の合計値Sxとにおいて、Sx/S≧0.1であることが好適であり、Sx/S≧0.2であることがより好適であり、Sx/S≧0.3であることが特に好適である。Sx/Sの上限値としては特に限定されないが、例えば1である。尚、より望ましくは、全てのセルのセル断面積の合計値Sと、断面セル径が50〜125μmであるセル面積の合計値Syとにおいて、Sy/S≧0.05であることが好適であり、Sy/S≧0.1であることがより好適であり、Sy/S≧0.15であることが特に好適である。Sy/Sの上限値としては特に限定されないが、例えば1である断面セル径及び断面セル径の分布をこのような範囲とすることにより、上記毛細管現象に起因する吸水性がより期待出来る。
本形態に係る吸水性樹脂発泡体によれば、水溶性ポリマーが発泡体の内部まで入り込む形で発泡体が形成されるため、吸水力(吸水速度)に優れるものとなる。更には、水溶性ポリマーがポリマーマトリックスに一部埋め込まれる形となるため、繰り返し耐性に優れるものとなる。
本発明に係る吸水性樹脂発泡体は、吸水性ロール、化粧用のパフ、各種半導体または光学材料等の研磨パット、湿布剤、インキ保持材、人工皮革、合成皮革、おむつ、生理用品などの、吸水を目的とする用途に広く使用可能である。
まず、本実施例及び比較例においては、下記の原料を使用した。尚、下記において、水分散性樹脂の安定分散型又は不安定分散型の判別方法(析出率の算出方法)及びHLB値の測定方法は、上述の方法に従うものとする。また、引張破断強度は、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。引張破断伸びは、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。軟化点は、JIS K2207に準じて、測定した。粘度は、JIS K7117に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて測定した。表面張力は、Wilhelmy法により、表面張力計(協和科学社製、ESB−V型)を用いて測定した。ポリマーガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。
<水分散性樹脂>
・水分散性樹脂1
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;スルホン酸基、固形分40%、引張破断強度50MPa、引張破断伸び600%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂2
{アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%、中高ニトリル、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−12℃
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(アルキルスルホコハク酸ナトリウム)
分散媒;水、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%、HLB25.5
<金属カチオン源>
・金属カチオン源1(硝酸カルシウム)
(溶解度138g/100g水
<水溶性ポリマー>
・水溶性ポリマー1
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量3000、固形分40%
・水溶性ポリマー2
スルホニル基非含有ポリマー、分子量5000、固形分40%
・水溶性ポリマー3
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量8000、固形分40%
・水溶性ポリマー4
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量60000、固形分40%
<水溶性ポリマー用架橋剤>
炭酸ジルコニウムアンモニウム
<硬化剤>
・硬化剤
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
・加硫系ペースト1
硫黄、酸化亜鉛、チアゾール系加硫促進剤、老化防止剤など
10質量部の加硫剤、6質量部のノクセラーMZ、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
<ゲル化剤>
・ゲル化剤1
ポリエーテル変性シリコーンオイル
・ゲル化剤2
ケイ弗化ナトリウム
<実施例1>
(原料調製工程)
水分散性樹脂1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、8.6質量部のアニオン性界面活性剤1、2.4質量部の無機電解質1、6.0質量部の硬化剤、5.0質量部の水溶性ポリマー1、1.0質量部の水溶性ポリマー用架橋剤を混合して樹脂発泡体原料とした。
(撹拌工程)
当該樹脂発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させた。
(金属カチオン源添加工程)
主剤100質量部に対し、8.6質量部の金属カチオン源1を配合した。
(加熱工程)
(処理条件オーブン又は乾燥炉等にて)加熱処理することで樹脂発泡体を作成した。
<実施例2−3、5−11、変形例4の調製>
表1〜2に示す原料を配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂発泡体を作成した。
<実施例12−13の調整>
ゲル化剤(ゲル化剤1、ゲル化剤2)を配合し、金属カチオン源を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂発泡体を作成した。
表3に示すように、実施例12に水溶性ポリマー及び水溶性ポリマー用架橋剤を添加しなかったこと以外は、同様に発泡体を作成し、更に、水溶性ポリマー1をエアーガンで噴霧することで、吸水性樹脂発泡体とした。
<比較例2>
実施例12に水溶性ポリマー及び水溶性ポリマー用架橋剤を添加しなかったこと以外は、同様に発泡体を作成し、更に、水溶性ポリマー1を含浸させることで、吸水性樹脂発泡体とした。
下記に示す方法に従い吸水時間の測定を行い、この測定結果から、吸水速度、及び吸水性を評価した。
<試験方法1>
イオン交換水1滴(0.033ml)を試験片に滴下して、完全にしみ込むまでの時間を測定した。測定箇所は、5cm×5cmの樹脂発泡体の4隅及び中央の計5点測定し、以下の基準で吸水速度を評価した。尚、下記評価において、評価が◎、○、△及び▲のものが本発明における吸水速度の評価として良好なもので、吸水性が良好であると判断し、評価が×のものが本発明における吸水速度の評価として不良なもので、吸水性を有しないものであると判断した。
測定箇所5点すべての吸水時間が10秒以内であった場合「◎」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒以内であった場合「○」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒超30秒以内であった場合「△」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が30秒超60秒以内であった場合「▲」
測定箇所5点すべての吸水時間が60秒超であった場合「×」
<試験方法2>
更に、繰り返し吸水試験を行った。全自動洗濯機(株式会社東芝製、AW−421S)を準備し、洗濯水量を45Lに設定し、上記で作製した試験片(実施例1〜3、5〜13、変形例4、比較例1〜2)を入れた。洗い13分、脱水7分の洗濯工程を行った後、試験片を乾燥させた。試験片の耐久性(吸水性が維持できるかどうか)を評価するために、上記洗濯工程を1回繰り返したものの吸水性の評価を行った。得られた結果を表1に示した。吸水性の評価方法は上述した通りである。
また、洗濯試験を繰り返し行うことで、試験片(実施例1、7、9、11、比較例1、2)の耐久性を評価した。洗濯前のものと、上記洗濯工程を1〜3回繰り返したものの吸水性の評価を行い、得られた結果を表4に示した。吸水性の評価方法は上述した通りである。
次に、参考例及び参考比較例を説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
まず、参考例及び参考比較例においては、下記の原料を使用した。尚、下記において、水分散性樹脂の安定分散型又は不安定分散型の判別方法(析出率の算出方法)及びHLB値の測定方法は、上述の方法に従うものとする。また、引張破断強度は、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。引張破断伸びは、JIS K6400に準じて、試験片を2号のダンベル状に打ち抜いて測定した。軟化点は、JIS K2207に準じて、測定した。粘度は、JIS K7117に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて測定した。表面張力は、Wilhelmy法により、表面張力計(協和科学社製、ESB−V型)を用いて測定した。ポリマーガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。
<水分散性樹脂>
・水分散性樹脂1
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;スルホン酸基、固形分40%、引張破断強度50MPa、引張破断伸び600%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂2
アクリルエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率4.9%)、pH610、固形分40%、引張破断強度25MPa、引張破断伸び300%、軟化点100−120℃
・水分散性樹脂3
カーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、親水基;カルボキシル基、固形分40%、引張破断強度20MPa、引張破断伸び700%、軟化点170−200℃
・水分散性樹脂4
エーテル系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率1.1%)、pH8、固形分40%、引張破断強度20MPa、引張破断伸び500%、軟化点200−220℃
・水分散性樹脂5
アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%、中高ニトリル、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−12℃
・水分散性樹脂6
スチレン-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率38%)、pH10、固形分40%、粘度440mPa・s、表面張力32mN/m、Tg−63℃
・水分散性樹脂7
天然ゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率35%)、pH10、固形分40%、粘度300mPa・s、表面張力34mN/m、Tg−75℃
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(牛脂由来のアルキルスルホコハク酸ナトリウム)
分散媒;水、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%、HLB25.5
・アニオン性界面活性剤3(オレイン酸カリウム石鹸)
分散媒;水、pH11.2、固形分30%、HLB18.3
・アニオン性界面活性剤4(アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム)
分散媒;水、pH8.5、固形分30%、HLB9.0
<金属カチオン源>
・金属カチオン源1(硝酸カルシウム)
溶解度138g/100g水
・金属カチオン源2(硫酸アルミニウム)
溶解度38.6g/100g水
・金属カチオン源3(硫酸マグネシウム)
溶解度36.3g/100g水
・金属カチオン源4(クエン酸カルシウム)
溶解度0.0259g/100g水
・金属カチオン源5(炭酸カルシウム)
溶解度0.81g/100g水
・金属カチオン源6(第1リン酸カルシウム)
溶解度1.8g/100g水
<硬化剤>
・硬化剤
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
・加硫系ペースト
10質量部の加硫剤、6質量部のチアゾール系加硫促進剤、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して調製
<ゲル化剤>
・ゲル化剤1
ケイ弗化ナトリウム
・ゲル化剤2
ポリエーテル変性シリコーンオイル
<水溶性ポリマー>
・水溶性ポリマー
アクリル酸/スルホン酸共重合体、分子量3000、固形分40%
<参考例1>
(原料調製工程)
ポリマー水分散体1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、8.6質量部のアニオン性界面活性剤1、2.4質量部の金属カチオン源1、6.0質量部の硬化剤1を混合して樹脂発泡体原料とした。
(撹拌工程)
当該樹脂発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させた。
(加熱工程)
オーブン又は乾燥炉等にて加熱処理することで、厚さ1mmの樹脂発泡体を得た。
(発泡後の液粘度)
JIS K7117‐1に準じて、単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)を用いて室温で発泡後の液粘度を測定したところ、3000mPa・sであった。
表5〜9に示す配合に従って、参考例1と同様にして樹脂発泡体を得た。尚、液粘度に関しては、参考例2〜38、及び参考比較例1〜8に関しても、参考例1と同程度となった。
次に、下記に従って、参考例1−38、参考比較例1−8に係る樹脂発泡体の評価を行った。その結果(特に、外観及びセル径の分布)を表5〜9に示す。
<外観>
目視にて、セルの状態及び樹脂発泡体の表面を評価した。セルが均一である場合「○」と、セルが荒い場合「△」と、セルが非常に荒い場合、及びセルが、形成されていない(発泡していない)場合「×」と評価した。尚、図1は参考例1に係る樹脂発泡体のSEM写真であり、図2は、参考例19に係る樹脂発泡体のSEM写真であり、図3は、参考比較例1に係る樹脂発泡体のSEM写真である。
<密度>
JIS K6400に準じて、見掛け密度として室温で測定した。参考例1の試験結果は150kg/m3であった。参考例2〜38、及び参考比較例1〜8に関しても、同程度となった。
<平均セル径及びセル径の分布>
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測した。参考例1で得られた樹脂発泡体(厚み1mm)の樹脂発泡体の断面のセル写真(200倍)を撮影し、画像処理ソフトImage−Pro PLUSで各セル径を計測した。より詳細には、まず、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真(200倍)を撮影する(図1)。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、SEM画像を読み取り、空間較正を行う(図4)。次に、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する(図5)。次に、画像処理でセルの形状を読み取る{真円ではなく、形状をそのまま認識する(図6)}。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する(図7)。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する(図8)。測定結果としては、平均セル径は69.8μm、セル数は295個であった。次に、得られた値よりセル径の分布を測定したところ、全てのセルのセル面積の合計値Sと、セル径が1〜100μmであるセル面積の合計値Sxとにおいて、Sx/S=0.52となった。その他の参考例及び参考比較例に関しても同様の測定を行い、Sx/S≧0.3のものを「○」、0.3>Sx/S≧0.1のものを「△」、0.1>Sx/Sのものを「×」と評価した。尚、参考例19(図2)においては、平均セル径サイズは71.8μm、セル数は175個、Sx/S=0.18であった。また、参考比較例1(図3)においては、平均セル径サイズは91.2μm、セル数は37個、Sx/S=0.06であった。
Claims (4)
- 分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物と、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより前記水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、前記発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて吸水性樹脂発泡体を製造する方法であって、前記水系液体媒体が、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有し、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーであることを特徴とする吸水性樹脂発泡体の製造方法。
- 分散質として水分散性樹脂と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物と、を含有する水系液体媒体に気体を混合して撹拌させることにより前記水系液体媒体を発泡させて発泡水系液体媒体を得、前記発泡水系液体媒体を加熱して前記分散媒を蒸発させて吸水性樹脂発泡体を製造する方法であって、前記水系液体媒体が、前記分散媒に溶解する水溶性ポリマーを更に含有し、前記水溶性ポリマーが、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることを特徴とする吸水性樹脂発泡体の製造方法。
- 前記水溶性ポリマーの重量平均分子量が、500以上1000000以下である、請求項1又は2記載の吸水性樹脂発泡体の製造方法。
- 前記水系液体媒体が、前記水分散性樹脂と前記水溶性ポリマーとを架橋させるための架橋剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の吸水性樹脂発泡体の製造方法。
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