この発明に係る眼底観察装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る眼底観察装置は、OCTを用いて眼底の断層像や3次元画像を形成する。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプのOCTを適用した構成について詳しく説明する。特に、実施形態に係る眼底観察装置は、特許文献4に開示された装置と同様に、スペクトラルドメインOCTの手法を用いて眼底のOCT画像及び眼底像の双方を取得可能である。なお、スペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえばスウェプトソースOCTの手法を用いる眼底観察装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、この実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外の眼底撮影装置、たとえばSLO、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、この実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。
〈第1の実施形態〉
[構成]
図1及び図2に示すように、眼底観察装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。観察画像は「眼底画像」の一例であり、眼底カメラユニット2は「撮影部」の一例である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、又は近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。その場合、従来の眼底カメラと同様に、照明光学系10にエキサイタフィルタが、撮影光学系30にバリアフィルタが、それぞれ設けられる。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38。)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー39Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(信号光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを信号光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、信号光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット100の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された信号光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。更に、信号光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、信号光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる信号光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、信号光LSの後方散乱光と、ファイバカプラ103を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子113は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ120の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェースなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼底観察装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、操作デバイス(入力デバイス)や表示デバイスを備えていてもよい。操作デバイスは、たとえば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を含む。表示デバイスは、たとえばLCD等のフラットパネルディスプレイである。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼底観察装置1の制御系の構成について図3及び図4を参照しつつ説明する。
(制御部)
眼底観察装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェース等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、光路長変更部41及びガルバノスキャナ42、更にOCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105及び偏波調整器106を制御する。主制御部211は「制御部」の一例として機能する。
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることもできる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼底観察装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。なお、この実施形態では蛍光画像を解析するための解析プログラムは後述のプログラム記憶部2312に記憶されているが、解析プログラムを記憶部212に記憶させてもよい。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。他のタイプのOCT装置の場合、画像形成部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。画像形成部220は、OCT計測用の光学系(干渉光学系、ガルバノスキャナ42を含む)とともに、「断層像形成部」の一例を構成する。また、ガルバノスキャナ42は「走査部」の一例として機能する。
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。また、画像処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
画像処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
画像処理部230には、走査目標位置設定部231と走査目標領域特定部232が設けられている。
(走査目標位置設定部)
走査目標位置設定部231は、眼底Efの蛍光画像を処理する。より具体的には、走査目標位置設定部231は、表示部240Aに表示された蛍光画像に対して信号光LSの走査目標位置を設定する。蛍光画像は「分布情報」の一例である。また、走査目標位置設定部231は「設定部」の一例として機能する。
この蛍光画像は、フルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像のように被検者に蛍光剤を投与して撮影されたものであってもよいし、蛍光剤の投与を伴わない自発蛍光画像であってもよい。走査目標位置とは、OCT計測を行おうとする位置、つまり信号光LSによる走査を行おうとする位置である。
走査目標位置は任意に設定可能である。たとえば、ユーザが操作部240Bを操作して所望の走査目標位置を設定することができる。また、蛍光画像中の所定領域を通過するように走査目標位置を自動で設定することも可能である。この所定領域は、視神経乳頭や黄斑部や血管等の眼底の特徴部位であってもよいし、眼底の病変と考えられる部位(病変候補部位と呼ぶ)であってもよい。以下、蛍光画像中の病変候補部位を自動で設定する場合について説明する。
走査目標位置設定部231は、病変候補部位特定部2311と設定処理部2316を有する。
(病変候補部位特定部)
病変候補部位特定部2311は、蛍光画像を解析して眼底Efの病変候補部位を特定する。病変候補部位特定部2311は「解析部」の一例として機能する。病変候補部位を特定する処理は任意である。たとえば、病変候補部位特定部2311は、プログラム記憶部2312と、種別特定部2313と、プログラム選択部2314と、蛍光画像解析部2315とによって当該処理を行う。
(プログラム記憶部)
プログラム記憶部2312は、蛍光画像を解析するための解析プログラムをあらかじめ記憶している。この実施形態では、2以上の蛍光画像の種別に対応する2以上の解析プログラムがプログラム記憶部2312にあらかじめ記憶されている。プログラム記憶部2312は「第1の記憶部」の一例である。
蛍光画像の種別には、前述のように、蛍光剤を用いて撮影されたものと、蛍光剤を用いずに撮影されたものとがある。また、蛍光剤を用いて撮影された蛍光画像には、フルオレセインやインドシアニングリーンなどの各種蛍光剤を用いたものがある。解析プログラムは、このような種別のそれぞれについて設けられる。なお、幾つかの種別をまとめて1つの種別とみなして解析プログラムを設けることも可能である。この実施形態では、蛍光剤を投与して撮影される第1の種別と、蛍光剤を投与せずに撮影される第2の種別とを考慮する。つまり、プログラム記憶部2312には、第1の種別に対応する第1の解析プログラムと、第2の種別に対応する第2の解析プログラムとがあらかじめ記憶される。蛍光画像の種別と解析プログラムとの対応付けは、たとえばテーブル情報としてプログラム記憶部2312にあらかじめ記憶されている。なお、これら解析プログラムに基づく画像解析処理については後述する。
第1の解析プログラムは、第1の種別の蛍光画像、すなわち蛍光剤を投与して撮影された蛍光画像において、輝度の高い画像領域のうちから病変候補部位を特定するよう構成される。第1の種別の蛍光画像の撮影は、エキサイタフィルタを用いて得られた励起光を受けた蛍光剤が発する蛍光を検出することにより行われる。したがって、視神経乳頭、血管、蛍光漏出部位等の蛍光を発する部位が比較的明るく描写され、それ以外の部位は比較的暗く描写される。このような輝度特性を考慮して第1の解析プログラムは構成される。
第2の解析プログラムは、第2の種別の蛍光画像、すなわち蛍光剤を投与せずに撮影された蛍光画像において、輝度の高い画像領域のうちから病変候補部位を特定するよう構成される。第2の種別の蛍光画像の撮影は、網膜色素上皮中のリポフスチンが発する蛍光を検出することにより行われる。したがって、網膜色素上皮が存在しない部位(及びほぼ存在しない部位)、たとえば視神経乳頭や血管は比較的暗く描写され、それ以外の部位(たとえば蛍光漏出部位)は比較的明るく描写される。このような輝度特性を考慮して第2の解析プログラムは構成される。
(種別特定部)
種別特定部2313は、処理対象となっている蛍光画像の種別を特定する。種別特定部2313は「第1の種別特定部」の一例として機能する。以下、種別を特定する処理の例を2つ説明するが、この処理はこれら手法には限定されず、任意の手法を適用することが可能である。
蛍光画像の種別を特定する処理の第1の例は、蛍光画像における眼底Efの特徴部位の輝度に基づいて行われる。この特徴部位としては、たとえば視神経乳頭や血管を用いることができる。以下、この処理例を説明する。
まず、種別特定部2313は、蛍光画像の画素値(輝度)の分布に基づいて、特徴部位に相当する画像領域(画素)を特定する。この処理は、たとえば、輝度に関する閾値処理や、画像領域の形状解析(パターンマッチング等)を用いて行われる。視神経乳頭に相当する画像領域を特定する場合、周囲と比較して輝度が高く(又は低く)、かつ略円形又は略楕円形の画像領域を探索する。また、血管に相当する画像領域を特定する場合、周囲と比較して輝度が高く(又は低く)、かつ線状の画像領域を探索する。
次に、種別特定部2313は、特定された画像領域の輝度とその周囲の輝度とに基づいて蛍光画像の種別を特定する。この処理の具体例を説明する。特定された画像領域(たとえば血管に相当する画像領域)の輝度が周囲(たとえば血管以外の部位に相当する画像領域)の輝度よりも高い場合、種別特定部2313は、対象の蛍光画像は蛍光剤を投与して撮影された第1の種別であると判定する。他方、特定された画像領域の輝度が周囲の輝度よりも低い場合、種別特定部2313は、対象の蛍光画像は蛍光剤を投与せずに撮影された第2の種別であると判定する。なお、輝度の比較は、たとえば、双方の画像領域に含まれる画素の輝度の平均値を算出して行われる。この場合、周囲の画像領域として所定サイズの画像領域を抽出して平均値の算出を行うことができる。
蛍光画像の種別を特定する処理の第2の例について説明する。この例においては、種別を示す識別情報が蛍光画像にあらかじめ関連付けられている。この識別情報の例として、医用画像の標準規格DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)の付帯情報(DICOM タグ)がある。この付帯情報は、蛍光撮影時又はその後に蛍光画像に対して付与される。識別情報の他の例として電子カルテ情報がある。電子カルテには、蛍光画像の種別を入力するための専用の又は汎用の入力スペースが設けられている。蛍光撮影時又はその後に、この入力スペースに手動で又は自動で識別情報が入力される。自動入力は、たとえば、蛍光撮影に用いられる眼底撮影装置から入力される信号に基づいて行われる。また、クリニカルパスが適用される場合など、どの種別の蛍光撮影を行うかあらかじめ決められている場合には、そのあらかじめ決められた情報に基づいて自動入力が行われる。
種別特定部2313は、上記のような識別情報に基づいて、処理対象となっている蛍光画像の種別を特定する。
(プログラム選択部)
プログラム選択部2314は、種別特定部2313により特定された種別に対応する解析プログラムを、プログラム記憶部2312に記憶された解析プログラムのうちから選択する。この処理は、たとえばプログラム記憶部2312にあらかじめ記憶されている前述のテーブル情報を参照して行われる。プログラム選択部2314は「第1の選択部」の一例として機能する。
(蛍光画像解析部)
蛍光画像解析部2315は、プログラム選択部2314により選択された解析プログラムを用いて蛍光画像を解析することで病変候補部位を特定する。この処理の例を、第1の種別及び第2の種別のそれぞれについて説明する。
蛍光剤を用いる第1の種別の蛍光画像を解析する場合、つまり第1の解析プログラムを用いて蛍光画像を解析する場合について説明する。第1の種別の蛍光画像においては、血管や蛍光漏出部位の輝度が高い。なお、以下の処理において、種別特定部2313による前述の画像処理の結果を利用するようにしてもよい。
まず、蛍光画像解析部2315は、処理対象の蛍光画像において輝度の高い画像領域を特定する。
次に、蛍光画像解析部2315は、特定された高輝度の画像領域のうちから病変候補部位を特定する。この処理は、たとえば、高輝度の画像領域を連結領域に分割し、各連結領域の形状に基づいてその連結領域が病変候補部位か否かを判別することにより行われる。ここで、連結領域とは、数学的な意味での「連結」に準じて、隣接する画素の集合を意味する。蛍光画像解析部2315は、高輝度の画像領域に含まれる画素を、隣接する画素からなる集合(つまり連結領域)に分類する。更に、蛍光画像解析部2315は、各連結領域について、その連結領域の形状が線状であるか否か判断する。そして、蛍光画像解析部2315は、線状と判断された連結領域を血管に相当する画像領域と判定し、それ以外の連結領域を蛍光漏出部位と判定する。この蛍光漏出部位と判定された画像領域が病変候補部位とされる。なお、連結領域のうち所定サイズ以下(所定画素数以下)のものはノイズである可能性があるので、これを排除するように構成してもよい。
蛍光剤を用いない第2の種別の蛍光画像を解析する場合、つまり第2の解析プログラムを用いて蛍光画像を解析する場合について説明する。第2の種別の蛍光画像においては、視神経乳頭や血管の輝度が低く、蛍光漏出部位の輝度が高い。この場合の処理例として、蛍光画像解析部2315はまず、蛍光画像において特に低輝度の画像領域を特定する。この画像領域は視神経乳頭や血管に相当する。次に、蛍光画像解析部2315は、特に低輝度な画像領域以外の画像領域において、比較的高輝度の画像領域を特定する。この比較的高輝度の画像領域が蛍光漏出部位(病変候補部位)に相当する。
なお、第2の解析プログラムによる各画像領域特定処理は第1の解析プログラムによるものと同様であるが、以上に説明したように蛍光漏出部位を特定するためのアルゴリズム(処理の流れ)が異なる。
(設定処理部)
設定処理部2316は、病変候補部位特定部2311により特定された病変候補部位に基づき蛍光画像に対して走査目標位置を設定する。この設定処理の例を説明する。この処理例は、走査目標位置のパターンを選択する処理と、走査目標位置が設定される蛍光画像中の位置を決定する処理とを含む。
まず、設定処理部2316は、走査目標位置のパターンを選択する処理を行う。このパターンには、後述する信号光LSの走査態様に対応するパターンがある。走査態様には、ラインスキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。パターンの選択は、手作業を介して行うこともできるし、自動で行うこともできる。
前者の例として、主制御部211がパターンを選択するためのユーザインターフェースを表示部240Aに表示させ、ユーザが操作部240Bを用いてパターンを選択するように構成できる。
後者の例として、疾患名や検査部位等の属性にパターンを対応付けたテーブル情報をあらかじめ記憶しておき、電子カルテ等から属性を取得してこれに対応するパターンを選択するように構成できる。また、適用されたパターンを電子カルテ等に記録しておき、これを参照して同じパターンを適用するように構成できる。
走査目標位置のパターンが選択されると、設定処理部2316は、このパターンの走査目標位置が設定される蛍光画像中の位置を決定する処理を行う。この処理は、たとえば病変候補部位の形態に基づいて行われる。病変候補部位の形態には、病変候補部位のサイズや形状がある。
この処理の内容はパターンの選択結果に応じて異なる。ラインスキャンに対応するパターンが選択された場合、設定処理部2316は、たとえば、病変候補部位の特徴位置(中心、重心、特徴的形状の部位等)を特定し、この特徴位置を通過するように直線状のパターンの位置を決定する。また、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンのように中心位置が存在する走査態様に対応するパターンが選択された場合、設定処理部2316は、たとえば、病変候補部位の特徴位置を特定し、この特徴位置にパターンの中心位置を配置させるようにパターンの位置を決定する。また、3次元スキャンが選択された場合、病変候補部位全体が含まれるように矩形状のパターンの位置を決定する。
なお、たとえば病変候補部位が最大走査範囲(最大長さ、最大面積等)よりも大きい場合など、病変候補部位が大き過ぎる場合において、設定処理部2316は、病変候補部位の一部のみを被覆するようにパターンの位置を決定することができる。また、最大走査範囲を超える領域を被覆するように、パターンが設定される位置を複数求めることができる。
(走査目標領域特定部)
眼底観察装置1は、前述のように赤外眼底画像を取得可能である。赤外眼底画像は、赤外光を用いて眼底Efを動画撮影することにより得られる。赤外眼底画像は、所定のフレームレートで得られる複数の静止画像(フレーム)からなる。各フレームは眼底Efのモノクロ画像である。
走査目標領域特定部232は、走査目標位置設定部231により設定された走査目標位置に対応する赤外眼底画像中の画像領域を特定する。この画像領域を走査目標領域と呼ぶ。走査目標領域特定部232は「特定部」の一例として機能する。以下、走査目標領域特定部232が実行する処理の例を説明する。なお、以下の処理は、動画像である赤外眼底画像の各フレームに適用される。なお、赤外眼底画像の全てのフレームに以下の処理を適用する必要はなく、たとえば所定フレームおきに当該処理を施すようにしてもよい。
走査目標領域特定部232は、蛍光画像と赤外眼底画像のフレームとのマッチングを行う。この画像マッチング処理は、たとえば、双方の画像について眼底Efの所定の特徴部位に相当する画像領域をそれぞれ特定し、特定された画像領域同士の位置合わせを行うことにより行われる。この画像マッチング処理により、蛍光画像における画素の位置(座標)と、フレームにおける画素の位置(座標)との対応付けがなされる。ここで、特定対象の特徴部位としては、たとえば視神経乳頭、黄斑部、血管(の分岐部)などがある。
更に、走査目標領域特定部232は、この画像マッチング処理による画素位置の対応付けに基づいて、蛍光画像に設定された走査目標位置に対応するフレーム中の走査目標領域を特定する。
また、走査目標領域特定部232は、赤外眼底画像のフレーム同士についても同様の処理を行うことができる。つまり、走査目標領域特定部232は、第1のフレームと第2のフレームとのマッチングを行い、それにより得られた画素位置の対応付けに基づいて、第1のフレーム中の画像領域と第2のフレーム中の画像領域とを対応付ける。この処理は、たとえば、第1のフレームにおける走査目標位置に対応する第2のフレーム中の画像領域を特定する処理に適用される。
蛍光画像の種別に応じて画像マッチング処理を切り替えるように構成することが可能である。その場合、病変候補部位特定部2311と同様のプログラム記憶部(第2の記憶部)、種別特定部(第2の種別特定部)、及びプログラム選択部(第2の選択部)が、走査目標領域特定部232に設けられる。
プログラム記憶部は、2以上の蛍光画像の種別に対応する2以上の画像解析プログラムをあらかじめ記憶している。各画像解析プログラムは、上記解析プログラムと同様に、対応する種別の蛍光画像の輝度特性を考慮して構成される。
種別特定部は、病変候補部位特定部2311の場合と同様の処理を実行して蛍光画像の種別を特定する。なお、第1の種別特定部と第2の種別特定部は一体であってよい。その場合、第1の種別特定部(この実施形態では種別特定部2313)による特定結果が第2の選択部に入力される。
プログラム選択部は、特定された種別に対応する画像解析プログラムを、プログラム記憶部に記憶された2以上の画像解析プログラムから選択する。
走査目標領域特定部232は、選択された画像解析プログラムを用いて蛍光画像と赤外眼底画像(のフレーム)との画像マッチングを行う。そして、走査目標領域特定部232は、この画像マッチングにより蛍光画像中の走査目標位置に対応付けられた赤外眼底画像中の画像領域を走査目標領域として特定する。
以上のように機能する画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムが予め格納されている。
(ユーザインターフェース)
ユーザインターフェース240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼底観察装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタン、キー、ポインティングデバイスが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)と、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
〔信号光の走査及びOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査及びOCT画像について説明しておく。
眼底観察装置1による信号光LSの走査態様(走査パターン)としては、たとえば、ラインスキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
ラインスキャンは、直線状の軌跡(直線軌跡)に沿って信号光LSを走査するものである。ラインスキャンにおける直線軌跡の向きは任意である。ラインスキャンには、水平スキャン、垂直スキャン、斜めスキャンがある。水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンや斜めスキャンについても同様である。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線軌跡からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。また、複数の水平スキャンと複数の垂直スキャンとを組み合わせることで十字スキャンを構成することもできる。たとえば縦横5本ずつのラインスキャンを組み合わせることができる。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(又は大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
ガルバノスキャナ42は、互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノスキャナ42に含まれる2つのガルバノミラーの向きを同時に制御することで、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿う方向と眼底深度方向(z方向)とにより張られる面における断層像を取得することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を取得することができる。
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域、つまりOCT計測の対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。蛍光画像に設定される走査目標位置に基づいて信号光LSを走査することで、この走査領域が実質的に実現される。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
[動作]
眼底観察装置1の動作について説明する。図5は、眼底観察装置1の動作の一例を表す。なお、眼底撮影の準備(アライメント、フォーカス調整、固視等)は既になされているものとする。
以下の動作例では、眼底Efの蛍光撮影とOCT計測とを連続して行う場合について説明する。一方、自機で取得された蛍光画像を眼底観察装置1又は他の装置に保存してそれを読み出して使用するように構成することもできるし、他機で取得された蛍光画像を眼底観察装置1又は他の装置に保存してそれを読み出して使用するように構成することもできる。この「他の装置」としては、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、眼科画像データベース、蛍光撮影を行った眼底撮影装置などがある。
(S1:蛍光撮影)
眼底Efの蛍光撮影を行う。蛍光撮影においては、エキサイタフィルタとバリアフィルタが光路に配置され、撮影光源15からの撮影照明光が用いられる。
(S2:蛍光画像を表示する)
主制御部211は、ステップ1で取得された蛍光画像を表示部240Aに表示させる。このときの表示画面の例を図6に示す。表示画面300には、画像表示部310とGUI部320とが設けられている。画像表示部310には、主制御部211により蛍光画像Gが表示される。GUI部320には、各種のGUIが表示される。この段階のGUI部320にはOCTモードボタン321が設けられる。OCTモードボタン321は、OCT計測を行うための動作モード(OCTモード)に移行するために操作される。
(S3:OCTモードへ移行する)
ユーザがマウス(操作部240B)を操作してOCTモードボタン321をクリックすると、主制御部211は、表示画面300のGUI部320の表示内容を変更する。それにより、表示画面300は図7に示す態様となる。
GUI部320には、撮影開始ボタン322、キャンセルボタン323、平行移動ボタン324、回転移動ボタン325、及び、やり直しボタン326が表示される。撮影開始ボタン322は、OCT計測を開始するためにクリックされる。キャンセルボタン323は、OCTモードから離脱するためにクリックされる。
平行移動ボタン324は、一旦設定された走査目標位置を平行移動させるためにクリックされる。この動作例では、平行移動ボタン324として、上方向、下方向、左方向及び右方向のそれぞれに走査目標位置を移動させるためのボタンが設けられている。平行移動ボタン324を1回クリックすると、主制御部211は走査目標位置を所定距離だけ移動させる。平行移動ボタン324は「第1の操作部」の例である。
回転移動ボタン325は、一旦設定された走査目標位置を回転移動させるためにクリックされる。この動作例では、回転移動ボタン325として、走査目標位置を時計回り方向に回転させるためのボタンと、反時計回り方向に回転させるためのボタンとが設けられている。回転移動ボタン325を1回クリックすると、主制御部211は走査目標位置を所定角度だけ回転させる。回転移動ボタン325は「第2の操作部」の例である。
やり直しボタン326は、走査目標位置に対して平行移動や回転移動が施された後に操作されるものであり、走査目標位置を移動前の状態に戻すためにクリックされる。なお、やり直しボタン326がクリックされたときの制御態様として、走査目標位置を初期位置に戻す制御や、直近の移動がなされる前の状態に戻す制御などがある。
(S4:蛍光画像に走査目標位置を設定する)
次に、自動で又は手作業で走査目標位置の設定がなされる。
自動設定の場合、前述のように、種別特定部2313が蛍光画像の種別を特定し、特定された種別に対応する解析プログラムをプログラム選択部2314が選択し、選択された解析プログラムに基づいて蛍光画像解析部2315が病変候補部位を特定する。そして、特定された病変候補部位に基づいて設定処理部2316が走査目標位置を設定する。主制御部211は、設定された走査目標位置を示す情報を蛍光画像Gに表示させる。この表示情報は、たとえば走査目標位置に重ねて表示される画像情報である。また、走査目標位置が2次元的である場合、その輪郭を示す画像情報を表示させることができる。また、たとえば直線状のパターンの両端を示す画像情報などの走査目標位置を示す画像情報を、当該走査目標位置の周囲に表示させるようにしてもよい。
手動設定の場合、ユーザは、たとえば、操作部240B(マウス等のポインティングデバイス)を操作して、表示された蛍光画像に対して所望の走査目標位置を入力する。主制御部211は、入力された走査目標位置を示す情報を表示させる。この表示情報は、自動設定の場合と同様である。
設定された走査目標位置の表示態様の例を図8に示す。符号Pは病変候補部位を示す。また、符号Qで示す矢印は、直線状のパターンの走査目標位置を示す表示情報である。この矢印は、信号光LSを走査する方向を示す。
ユーザは、平行移動ボタン324と回転移動ボタン325を用いて、一旦設定された走査目標位置を変更することが可能である。
(S5:OCT計測の開始を指示する)
走査目標位置の設定が完了したら、ユーザは、操作部240Bを用いて撮影開始ボタン322をクリックすることにより、OCT計測の開始を指示する。この指示を受けて、主制御部211は、以下に説明するOCT計測の準備動作を開始する。
(S6:赤外眼底画像の取得を開始する)
撮影開始ボタン322がクリックされたことを受けて、主制御部211は、蛍光撮影用のフィルタを光路から退避させるとともに、観察光源11を点灯させる。それにより赤外眼底画像がリアルタイムで得られる。主制御部211は、この赤外眼底画像をリアルタイムで動画表示させることができる。
(S7:赤外眼底画像中の走査目標領域を特定する)
走査目標領域特定部232は、ステップ4で設定された走査目標位置に対応する赤外眼底画像中の画像領域を特定する。この処理は、たとえば、時系列に沿って得られる赤外眼底画像のフレームに対して順次にリアルタイムで行われる。また、蛍光画像の種別に応じ、この処理で使用される画像解析プログラムを選択するようにしてよい。
この段階において、主制御部211が、この赤外眼底画像に基づくアライメント及びフォーカス調整を必要に応じて実行させるようにしてもよい。
(S8:赤外眼底画像と走査目標領域を表示する)
ステップ7における走査目標領域の特定がなされたことに対応し、主制御部211は、赤外眼底画像の1枚のフレームに基づく静止画像と、この1フレームについて特定された走査目標領域を示す情報とを表示させる。その表示態様は、たとえば図8に示す蛍光画像G及び表示情報Qと同様である。以上で、OCT計測を行うための準備動作は終了となる。
(S9:OCT計測を実施する)
走査目標領域特定部232は、ステップ8の表示に対応するタイミングで取得された赤外眼底画像のフレーム(第2のフレームと呼ぶ)と、ステップ8の表示処理に供されたフレーム(第1のフレームと呼ぶ)とのマッチングを行なう。この処理は、前述したフレーム間のマッチングを適用して行われる。それにより、第1のフレームについて特定された走査目標領域に対応する第2のフレーム中の画像領域が特定される。この画像領域が、第2のフレームにおける走査目標領域となる。
続いて、主制御部211は、第2のフレームの走査目標領域に基づきガルバノスキャナ42を制御して信号光LSを走査させることにより、OCT計測を実施する。
(S10:断層像を形成する)
画像形成部220は、ステップ9における信号光LSの走査に伴ってCCDイメージセンサ115から出力される検出信号に基づいて、走査目標領域に沿う眼底Efの断層像を形成する。この断層像は、主制御部211によって表示部240Aに表示される。
[効果]
眼底観察装置1の効果について説明する。
眼底観察装置1は、まず、あらかじめ取得された眼底の蛍光画像を表示する。この蛍光画像に対して信号光LSの走査目標位置が設定されると、眼底観察装置1は、動画撮影により得られた赤外眼底画像においてこの走査目標位置に対応する画像領域(走査目標領域)を特定し、この走査目標領域に基づきガルバノスキャナ42を制御してOCT計測を実施する。そして、眼底観察装置1は、このOCT計測で得られた干渉光の検出結果に基づいて眼底Efの断層像を形成する。
眼底観察装置1は、蛍光画像を解析して眼底Efの病変候補部位を特定し、この病変候補部位に基づいて走査目標位置の設定を行うように構成されている。
また、眼底観察装置1は、蛍光画像の種別に対応する解析プログラムをあらかじめ記憶している。更に、眼底観察装置1は、表示部240Aに表示された蛍光画像の種別を特定し、特定された種別に対応する解析プログラムを、あらかじめ記憶された解析プログラムのうちから選択する。そして、眼底観察装置1は、選択された解析プログラムを用いて蛍光画像を解析することにより病変候補部位の特定を行う。
また、眼底観察装置1は、蛍光画像の種別に対応する画像解析プログラムをあらかじめ記憶している。更に、眼底観察装置1は、表示部240Aに表示された蛍光画像の種別を特定し、特定された種別に対応する画像解析プログラムを、あらかじめ記憶された画像解析プログラムのうちから選択する。そして、眼底観察装置1は、選択された画像解析プログラムを用いて蛍光画像と赤外眼底画像との画像マッチングを行い、この画像マッチングにより蛍光画像中の走査目標位置に対応付けられた赤外眼底画像中の画像領域を走査目標領域として特定する。
蛍光画像の種別は、蛍光剤を投与して撮影される第1の種別と、蛍光剤を投与せずに撮影される第2の種別とを含んでいる。
蛍光画像の種別を特定する処理において、眼底観察装置1は、表示部240Aに表示された蛍光画像における眼底Efの特徴部位の輝度に基づいてこの蛍光画像の種別を特定する。
蛍光画像がその種別を示す所定の識別情報とあらかじめ関連付けられている場合において、眼底観察装置1は、この識別情報に基づいて蛍光画像の種別を特定することができる。
眼底観察装置1は、走査目標位置を設定するための操作を受け付ける操作部を有する。この操作部は、操作部240B(ポインティングデバイス)と、表示部240Aに表示されるGUIとを含む。また、操作部は、走査目標位置を平行移動させるための操作を受け付ける第1の操作部と、走査目標位置を回転移動させるための操作を受け付ける第2の操作部とを含む。
眼底観察装置1は、走査目標位置に対応する走査目標領域が特定されたことに対応し、赤外眼底画像の1フレームに基づく静止画像と、この1フレームについて特定された走査目標領域を示す情報とを表示部240Aに表示させる。
更に、静止画像及び上記情報の表示後に、眼底観察装置1は、この表示に対応するタイミングで得られた赤外眼底画像の新たなフレームと、上記1フレームとのマッチングを行なうことで、この1フレームについて特定された走査目標領域に対応する新たなフレーム中の画像領域を特定する。そして、眼底観察装置1は、新たなフレーム中の画像領域に基づきガルバノスキャナ42を制御して信号光LSを走査させることでOCT計測を行う。
このような眼底観察装置1によれば、蛍光画像に対して設定された走査目標位置に対応する赤外眼底画像中の走査目標領域を特定し、この走査目標領域に基づき信号光LSを走査してOCT計測を行うことができる。特に、蛍光画像から把握される異常部位(病変候補部位)に基づき走査目標位置を設定することができる。したがって、蛍光画像から把握された異常部位のOCT計測を容易に行うことが可能である。
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態では、過去に取得された蛍光画像に対して設定された走査目標位置を、リアルタイムで得られる赤外眼底画像を介して今回のOCT計測に適用している。これに対し、第2の実施形態では、蛍光画像以外の過去の情報及び/又は赤外眼底画像以外の眼底画像を用いる場合について説明する。
蛍光画像以外の過去の情報を分布情報と呼ぶ。分布情報は、過去に実施された検査により取得された眼底における検査結果の分布を表す情報である。前述のように、検査には、「撮影」と「測定」がある。
「撮影」により得られる画像には、第1の実施形態で説明した蛍光画像の他に、たとえば、赤外画像、無赤色光画像、カラー眼底像、SLO画像、OCTによる断層像や3次元画像、プロジェクション画像、シャドウグラムなどがある。赤外画像は、赤外領域の波長帯の光を用いた撮影(赤外撮影)により得られる画像であり、動画撮影により得られたフレームと静止画撮影により得られた静止画像の双方の意味を含む。無赤色光画像は、赤色を除いた波長帯の可視光を用いた撮影(レッドフリー撮影)により得られる画像である。プロジェクション画像は、OCTにより得られた3次元画像をz方向に投影して得られる眼底の正面画像である。シャドウグラムは、OCTにより得られた3次元画像の深さ領域の一部(たとえば所定の第1の層から第2の層までの深さ領域)をz方向に投影して得られる眼底の正面画像である。眼底を撮影して得られる画像は、眼底における位置情報(座標)と画素値(輝度値、RGB値等)とがそれぞれ割り当てられた複数の画素により構成される。つまり、画像は、画素値を上記検査結果とする分布情報である。
また、「測定」は、眼底における測定値の分布を取得するための検査である。このような測定としては、たとえば、視野計を用いて視野の範囲を測定する視野検査、網膜視感度を測定するSLOマイクロペリメトリ、OCTや神経線維層解析装置を用いて眼底の層の厚みを測定する層厚測定などがある。なお、視野検査についてはたとえば特開2009−34480号公報等に、SLOマイクロペリメトリについては特開2003−235800号公報等に、層厚測定については特開2009−34480号公報等にそれぞれ記載されている。このような測定により得られる測定結果情報は、眼底における位置情報(座標)のそれぞれに対して測定値を割り当てたものである。つまり、測定結果情報は、測定値を上記検査結果とする分布情報である。
赤外画像又は無赤色光画像が分布情報として用いられる場合、第1の実施形態の蛍光画像の場合と同様に、赤外画像又は無赤色光画像に対して設定された走査目標位置に基づく信号光の走査を行うことができる。
また、カラー眼底像、SLO画像、プロジェクション画像、又はシャドウグラムが分布情報として用いられる場合、これら画像はいずれも眼底を正面(角膜側)から見た形態を表す画像であるから、第1の実施形態の蛍光画像の場合と同様に、当該画像に対して設定された走査目標位置に基づく信号光の走査を行うことが可能である。
また、OCTによる断層像や3次元画像(OCT画像)が分布情報として用いられる場合、眼底の表面に相当する画像領域(眼底表面領域)を特定し、更に、この眼底表面領域と赤外眼底画像との画像マッチングを行うように構成できる。それにより、第1の実施形態と同様に、当該OCT画像に対して設定された走査目標位置に基づく信号光の走査を行うことが可能である。
また、SLO画像やOCT画像のように眼底に対して光を走査して得られた画像(走査画像)が分布情報として用いられる場合、この走査における光の走査位置を示す走査位置情報(たとえば各画素位置に対してあらかじめ対応付けられたガルバノスキャナの向きを示す情報。必要に応じて固視位置を示す情報も用いられる。)に基づいて、この走査画像と赤外眼底画像との画像マッチングを行うことができる。それにより、第1の実施形態と同様に、走査画像に対して設定された走査目標位置に基づく信号光の走査を行うことが可能である。
以上の例では、リアルタイムで取得される赤外眼底画像と過去に取得された分布情報との位置合わせを行なっているが、分布情報に対する位置合わせ対象となる画像は赤外眼底画像には限られない。つまり、この位置合わせ対象となる画像は、引き続き又は並行して行われるOCT計測により得られるOCT画像との間において位置合わせが可能な眼底の画像(単に眼底画像と呼ぶことがある)であればよい。眼底画像は正面画像であってもよいし、断層画像や3次元画像であってもよい。正面画像である場合には、上記の例と同様にして分布情報との間における位置合わせを行うことができる。断層画像や3次元画像の場合には、上記と同様に眼底表面領域をリアルタイムで特定することにより、分布情報との間における位置合わせを行うことができる。
以上の例においては、リアルタイムで取得される眼底画像と過去に取得された分布情報とを直接に位置合わせしているが、眼底の他の画像を介してこれらを位置合わせするように構成することも可能である。
たとえば、眼底画像の種別と分布情報の種別とが異なる場合、位置合わせの精度や確度が低下するおそれがある。その場合、眼底画像と同様の種別であり、かつ、分布情報との間で位置合わせが可能な(又は分布情報との間で既に位置合わせがなされている)画像を介して位置合わせを行うことが可能である。その具体例として、赤外眼底画像(又は無赤色光画像)が眼底画像として用いられ、かつ、他種別の画像又は測定結果情報が分布情報として用いられる場合がある。
なお、分布情報として測定結果情報が用いられる場合、測定結果情報が測定値の分布を表すものであることから、一般に、測定結果情報とともに眼底の画像が取得される。この眼底の画像として赤外眼底画像(又は無赤色光画像)を用いることにより、赤外眼底画像同士(又は無赤色光画像同士)での位置合わせが可能となる。また、他種別の画像又は測定結果情報とともに取得された画像の種別に応じて、リアルタイムで取得される眼底画像の種別を選択するようにしてもよい。ここで、位置合わせの媒介となる画像は、たとえば記憶部212に記憶される。この場合、記憶部212は「画像記憶部」の一例として機能する。なお、画像記憶部は眼底観察装置の外部の記憶装置に記憶されていてもよい。この外部の記憶装置としては、眼底観察装置に接続されたコンピュータに搭載された記憶装置、眼底観察装置又はこのコンピュータに直接又はネットワークを介して接続された記憶装置などがある。
以下、他種別の画像又は測定結果情報とともに取得された画像を介して位置合わせを行うことが可能な眼底観察装置について説明する。この眼底観察装置は、たとえば第1の実施形態と同様に、図1〜図3(必要に応じて図4も含む)に示す構成を有する。なお、この実施形態において、第1の実施形態で使用した符号を適宜用いることとする。
この例において、記憶部212には、分布情報と、この分布情報とともに取得された眼底Efの画像(たとえば赤外眼底画像のフレーム。付帯画像と呼ぶ。)とが記憶されているものとする。
なお、付帯画像は赤外画像や無赤色光画像以外の画像であってもよい。たとえば視野検査で得られた測定結果情報とOCT画像とを特開2009−34480号公報等に記載された技術を用いて位置合わせすることで、OCT画像を付帯画像とすることができる。また、SLOマイクロペリメトリで得られた測定結果情報とSLO画像とを特開2003−235800号公報等に記載された技術を用いて位置合わせすることで、SLO画像を付帯画像とすることができる。また、OCTを用いた層厚測定で得られた測定結果情報とOCT画像とを特開2009−34480号公報等に記載された技術を用いて位置合わせすることで、OCT画像を付帯画像とすることができる。
以下、図9のフローチャートを参照する。
(S21:分布情報と付帯画像を読み込む)
主制御部211は、分布情報と付帯画像を記憶部212から読み込む。
(S22:分布情報を表示する)
主制御部211は、ステップ21で読み込まれた分布情報を表示部240Aに表示させる。分布情報は、所定の表示画面に表示される。この表示画面には、たとえば第1の実施形態と同様のGUI部が設けられている。
特に分布情報が測定結果情報である場合において、主制御部211は、付帯画像に測定結果情報を重畳表示させることができる。それにより、眼底の画像である付帯画像と、測定結果の分布を表す測定結果情報との間の位置関係を容易に把握することが可能となる。つまり、眼底Efにおいて測定結果情報がどのように分布しているか直感的に把握することが可能となる。この重畳表示処理を適用することで、ステップ24における走査目標位置の手動設定の容易化を図ることができる。
(S23:OCTモードへ移行する)
ユーザは、GUI部を操作してOCTモードへの移行を指示する。この指示を受けた主制御部211は、たとえば第1の実施形態と同様に、GUI部の表示内容を変更する。表示内容が変更されたGUI部には、たとえば撮影開始ボタン、平行移動ボタン、回転移動ボタン等が表示される。
(S24:分布情報に走査目標位置を設定する)
走査目標位置設定部231は、表示された分布情報に対して走査目標位置を設定する。この設定処理は、たとえば第1の実施形態と同様に自動で又は手作業で行われる。
(S25:OCT計測の開始を指示する)
走査目標位置の設定が完了したら、ユーザは、GUI部を操作してOCT計測の開始を指示する。この指示を受けて、主制御部211は、以下に説明するOCT計測の準備動作を開始する。
(S26:赤外眼底画像の取得を開始する)
OCT計測の開始指示を受けて、主制御部211は、観察光源11を点灯させる。それにより、赤外眼底画像がリアルタイムで得られる。主制御部211は、この赤外眼底画像をリアルタイムで動画表示させることができる。
(S27:付帯画像を介して赤外眼底画像中の走査目標領域を特定する)
走査目標領域特定部232は、ステップ24において分布情報に対して設定された走査目標位置に対応する付帯画像中の画像領域を特定する。この処理は、たとえば、分布情報と付帯画像との間で既になされている位置の対応付けに基づいて行われる。更に、走査目標領域特定部232は、この付帯画像中の画像領域に対応する赤外眼底画像中の画像領域を特定する。この処理は、たとえば、時系列で得られる赤外眼底画像の各フレームと付帯画像との間で順次にリアルタイムで行われる。このとき、付帯画像の種別に応じて、この処理で使用される画像解析プログラムを選択するようにしてもよい。
この段階において、主制御部211が、この赤外眼底画像に基づくアライメント及びフォーカス調整を必要に応じて実行させることができる。
(S28:赤外眼底画像と走査目標領域を表示する)
ステップ27における走査目標領域の特定がなされたことに対応し、主制御部211は、赤外眼底画像の1枚のフレームに基づく静止画像と、この1フレームについて特定された走査目標領域を示す情報とを表示させる。その表示態様は、たとえば第1の実施形態と同様である。以上で、OCT計測を行うための準備動作は終了となる。
(S29:OCT計測を実施する)
走査目標領域特定部232は、ステップ28の表示に対応するタイミングで取得された赤外眼底画像のフレーム(第2のフレームと呼ぶ)と、ステップ28の表示処理に供されたフレーム(第1のフレームと呼ぶ)とのマッチングを行なう。この処理は、たとえば第1の実施形態で説明したフレーム間のマッチングを適用して行われる。それにより、第1のフレームについて特定された走査目標領域に対応する第2のフレーム中の画像領域が特定される。この画像領域が、第2のフレームにおける走査目標領域となる。
続いて、主制御部211は、第2のフレームの走査目標領域に基づきガルバノスキャナ42を制御して信号光LSを走査させることにより、OCT計測を実施する。
(S30:断層像を形成する)
画像形成部220は、ステップ29における信号光LSの走査に伴ってCCDイメージセンサ115から出力される検出信号に基づいて、走査目標領域に沿う眼底Efの断層像を形成する。この断層像は、主制御部211によって表示部240Aに表示される。以上で、この動作例の説明は終了となる。
この実施形態に係る眼底観察装置の効果について説明する。
この実施形態において、分布情報は、眼底の任意の画像又は任意の測定結果情報である。また、記憶部212等の画像記憶部には、分布情報とともに取得された眼底Efの付帯画像が記憶されている。ここで、上記任意の画像と付帯画像とは、たとえば、互いに異なる種別の画像である。
走査目標位置設定部231は、表示部240Aに表示された分布情報に対して走査目標位置を設定する。走査目標領域特定部232は、分布情報に対して設定された走査目標位置に対応する付帯画像における画像領域を特定し、更に、この画像領域に対応する眼底画像中の画像領域を特定する。この眼底画像は、たとえば、眼底観察装置によりリアルタイムで取得される動画像(たとえば赤外眼底像、無赤色光画像、SLO画像等)である。
主制御部211は、走査目標領域特定部232により特定された眼底画像中の画像領域に基づきガルバノスキャナ42を制御して信号光LSを走査させる。画像形成部220は、この制御に基づく信号光LSの走査に伴う干渉光LCの検出結果に基づいて、眼底Efの断層像を形成する。
このように作用する眼底観察装置によれば、分布情報に対して設定された走査目標位置を、これとともに取得された付帯画像を介してリアルタイム眼底画像に移すことができ、それにより特定された走査目標領域に対してOCT計測を行うことができる。したがって、任意の種別の分布情報から把握された注目部位のOCT計測を容易に行うことができる。
また、付帯画像の種別とリアルタイム眼底画像の種別とを一致させることにより(又は、画像マッチング等による位置合わせを比較的高確度、高精度で行うことが可能な種別の組み合わせとすることにより)、上記注目部位のOCT計測を高確度、高精度で行うことができる。
〈第3の実施形態〉
この実施形態では、第1及び/又は第2の実施形態と組み合わせて使用可能なユーザインターフェースの例を説明する。以下、上記実施形態で用いられた符号を適宜使用して説明を行う。
この実施形態に係る眼底観察装置の構成例を図10に示す。この眼底観察装置は、第1の実施形態とほぼ同じ構成を有する。相違は、制御部210に走査条件設定部213が設けられている点である。また、この実施形態の主制御部211は「表示制御部」の一例として機能する。走査条件設定部213及び主制御部211の動作内容については以下において適宜説明する。
主制御部211は、図11に示すような位置合わせ画面400を表示部240Aに表示させる。位置合わせ画面400には、位置合わせの対象となる2つの画像が表示される画像表示部410が設けられている。画像表示部410の下方には、レジストレーションボタン421と、キャンセルボタン422と、OKボタン423が設けられている。
画像表示部410に表示される2つの画像は任意の組み合わせでよい。以下の説明において、左側に表示される画像H1は、眼底観察装置によりリアルタイムで取得される眼底Efの赤外眼底画像であるとする。赤外眼底画像H1の表示態様は、動画表示であってもよいし、1つのフレームに基づく静止画像表示であってもよい。また、右側に表示される画像H2は、過去に取得された眼底Efのカラー眼底像であるとする。以下、過去に取得された眼底Efのカラー眼底像に対して走査目標位置を設定し、この走査目標位置に基づいて眼底EfのOCT計測を行う場合について説明する。
ユーザは、赤外眼底画像H1及びカラー眼底像H2を観察し、眼底Efの特徴点を少なくとも3つ特定する。更に、ユーザは、操作部240B(マウス等のポインティングデバイス)を用いて、特定された3つ以上の特徴点に相当する画像位置を、赤外眼底画像H1及びカラー眼底像H2のそれぞれに対して指定する。主制御部211は、指定された画像位置を示す情報を各画像H1、H2に重畳表示させる。なお、特徴点の例として、視神経乳頭の中心や縁部、特徴的な血管、血管の分岐部、病変部などがある。
これら特徴点の判別が困難な場合には、当該画像に対してエンハンス処理(強調処理)を施すことが可能である。この強調処理は、たとえば、当該画像に対して2次元フーリエ変換や離散コサイン変換を施して周波数空間における画像を形成し、この周波数空間における所定の低周波成分のみを除去するハイパスフィルタ、又は、所定の低周波成分と所定の高周波成分とを除去するバンドパスフィルタを適用することにより実行される。なお、除去される周波数成分の範囲は、実空間における除去対象である低周波成分や、コントラストを向上させる程度などに基づいて適宜に設定される。この周波数成分の除去範囲は、事前に設定された範囲であってもよいし、周波数空間における画像を解析して設定された範囲であってもよい。
他のエンハンス処理として次のような処理を行うことも可能である。まず、画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を形成する。次に、平滑化画像と当該画像との差分画像を形成する。更に、当該画像と差分画像とを合成することにより、低周波成分が除去された画像を形成する。なお、差分処理において、当該画像及び/又は平滑化画像に所定の重みを乗算することによって差分画像の形成を行い、かつ、合成処理において、1から重みを減算した値で差分画像を除算するように構成することが可能である。また、この重みを0.7以上0.9以下の値とし、差分処理において、当該値が乗算された平滑化画像と当該画像との差分画像を形成するようにしてもよい。以上のような強調処理の実行指示は、たとえば後述の強調処理指定部529を操作することで行われる。
各画像H1、H2に対して4つの特徴点が指定されたときの表示態様の例を図12に示す。図12において、赤外眼底画像H1に対して指定された特徴点の画像位置は、ドットJ1(i)(i=1〜4)で示されている。また、カラー眼底像H2に対して指定された特徴点の画像位置は、ドットJ2(i)(i=1〜4)で示されている。各i=1〜4について、ドットJ1(i)とドットJ2(i)は、同じ特徴点を示している。
なお、2つの画像H1、H2の間における特徴点の対応付けは、ユーザが行なってもよいし、主制御部211が行なってもよい。前者の場合、たとえば、特徴点の画像位置を指定するときにユーザが操作部240Bを用いて各特徴点を示す識別情報を入力し、主制御部211が2つの画像H1、H2の間で識別情報を照合することにより上記対応付けがなされる。後者の場合、たとえば、主制御部211は、指定された特徴点の位置関係に基づいて2つの画像H1、H2の間で対応する位置にある特徴点同士を同じものとして対応付ける。
ユーザが操作部240Bを用いてレジストレーションボタン421をクリックすると、画像処理部230は、2つの画像H1、H2の間で対応する特徴点同士を位置合わせすることにより、2つの画像H1、H2の間の位置合わせを行う。この画像位置合わせにより、赤外眼底画像H1における座標とカラー眼底像H2における座標とが対応付けられる。それにより、2つの画像H1、H2の一方の画像中の位置が指定されたときに、この指定位置に対応する他方の画像中の位置が特定される。この特定処理はたとえば主制御部211又は画像処理部230によって実行される。
ユーザは画像位置合わせ(レジストレーション)の結果に不満足であれば、操作部240Bを用いてキャンセルボタン422をクリックする。そして、上記作業を再度行う。一方、画像位置合わせが完了したら、ユーザは操作部240Bを用いてOKボタン423をクリックする。これを受けて、主制御部211は、図13に示すような走査目標位置設定画面500を表示部240Aに表示させる。
走査目標位置設定画面500には、画像表示部510、走査パターン指定部521、走査長指定部522、加算平均枚数指定部523、走査ピッチ指定部524、位置リセットボタン525、原画像表示ボタン526、参照画像表示ボタン527、取り込み画像表示ボタン528、強調処理指定部529、OKボタン530、及びキャンセルボタン531が設けられている。図13の画像表示部510に呈示されている画像Hは、赤外眼底画像H1又はカラー眼底像H2を示す。なお、これら以外の画像が処理に供されている場合、たとえば第2の実施形態の付帯画像が考慮されている場合、画像Hは当該画像も含むものとする。
画像表示部510には各種画像が表示される。この動作例では、画像表示部510への画像の表示は切り替え表示であるとする。たとえば、原画像表示ボタン526がクリックされると、主制御部211は赤外眼底画像H1を画像表示部510に表示させる。また、参照画像表示ボタン527がクリックされると、主制御部211はカラー眼底像H2を画像表示部510に表示させる。また、取り込み画像表示ボタン528がクリックされると、主制御部211はこれら以外の取り込み画像(たとえば付帯画像)を画像表示部510に表示させる。
走査パターン指定部521、走査長指定部522、加算平均枚数指定部523、走査ピッチ指定部524、及び位置リセットボタン525は、OCT計測における走査条件の入力操作に用いられる。走査条件とは、信号光LSをどのように走査させるかを決定する1つ以上のパラメータを意味する。このパラメータには、走査の形状を表す走査パターン、走査の長さを表す走査長、1枚の画像を得るための走査の反復回数を表す加算平均枚数、走査点(信号光LSの照射スポット)の間隔を表す走査ピッチなどが含まれる。
走査パターン指定部521は、第1の実施形態で列挙したような各種走査パターンのうちのいずれを選択的に使用するか指定するために用いられる。なお、図13に示す走査パターン指定部521はプルダウンメニューであるが、これには限定されない。走査パターン指定部521を用いて走査パターンが指定されると、その指定結果が走査条件設定部213に送られる。
走査長指定部522は、走査長を指定するために用いられる。走査長の定義はたとえば走査パターンに応じてあらかじめ決定されている。たとえば、ラインスキャン及びその組み合わせからなる走査パターンにおいては各走査線の長さが走査長とされ、円スキャンにおいては円形の走査線の直径が走査長とされる。なお、図13に示す走査長指定部522は複数のチェックボックスが選択肢として設けられたものであるが、これには限定されない(以下同様)。走査長指定部522を用いて走査パターンが指定されると、その指定結果が走査条件設定部213に送られる。
加算平均枚数指定部523は、走査の反復回数を指定するために用いられる。信号光LSは、指定された回数だけ同じ走査線に沿って繰り返し走査される。画像形成部220は、同じ走査線に沿って得られた複数のデータ(画像)を加算平均することにより、ランダムノイズが低減された断層像を形成する。加算平均枚数指定部523を用いて反復回数(加算平均枚数)が指定されると、その指定結果が走査条件設定部213に送られる。
走査ピッチ指定部524は、走査点の間隔(走査ピッチ)を指定するために用いられる。走査ピッチ指定部524を用いて走査ピッチが指定されると、その指定結果が走査条件設定部213に送られる。
走査条件設定部213(又は記憶部212)には、上記の各走査条件の選択肢を示す情報があらかじめ記憶されている。走査条件設定部213は、この情報を参照し、以上のようにして指定された走査条件を組み合わせる。たとえば、走査パターンとして縦横5本ずつのラインスキャンからなる「5ラインスキャン」が指定され、走査長として「6mm」が指定され、加算平均枚数として「16」が指定され、走査ピッチとして「0.10」が指定された場合、走査条件設定部213は、これらを組み合わせてなる走査条件情報を上記情報を参照して生成し、主制御部211に送る。
この動作例では走査条件の設定にユーザによる入力操作が含まれているので、走査条件設定部213及びユーザインターフェース240が「走査条件設定部」を構成している。これに対し、走査条件の設定を自動で行う場合には、「走査条件設定部」はユーザインターフェース240を含む必要はない。この自動設定は、たとえば経過観察や術前術後観察のように過去と同じ走査条件が適用される場合に用いられる。また、病名や病状等の条件と走査条件とがあらかじめ関連付けられている場合などにも自動設定を適用することが可能である。
主制御部211は、走査条件設定部213により生成された走査条件情報に基づいて、画像表示部510への表示内容を決定して画像表示部510に表示させる。図13には、走査可能範囲画像511と、走査中心可動範囲画像512と、走査パターン画像513とを、画像Hに重畳表示させた例が記載されている。
走査可能範囲画像511は、当該走査条件に基づいて走査を行うことが可能な範囲を示す枠状の画像である。走査可能範囲画像511の形状は走査パターンの指定内容に応じて決定され、そのサイズは走査長の指定内容(並びに、画像Hの撮影画角及び/又は表示サイズ)に応じて決定される。
走査中心可動範囲画像512は、当該走査条件に基づく走査において、その走査の中心位置を移動することが可能な範囲を示す枠状の画像である。走査中心可動範囲画像512の形状は、走査パターンの指定内容に応じて決定され、そのサイズは走査長の指定内容(並びに、画像Hの撮影画角及び/又は表示サイズ)に応じて決定される。
走査パターン画像513は、指定された走査パターンを示す形状の画像である。なお、走査パターン画像513は、指定された走査パターンと同じ形状である必要はない。たとえば図13に示す走査パターン画像513は「5ラインスキャン」を示すものであるが、「5ラインスキャン」の端部のみを呈示している。これは、「5ラインスキャン」の端部以外の部分(特に中央部分)が画像Hに重畳されてしまうと、画像Hの観察を妨げるおそれがあるからである。
ユーザは、操作部240Bを用いて走査パターン画像513を移動させることができる。これは、走査位置を変更する操作の例である。この操作は、たとえばマウス等のポインティングデバイスを用いて行われる。その具体例として、走査パターン画像513の所定部位(たとえば端部)以外の部位にポインタを位置させた状態でドラッグ操作を行うことで、画像H上において走査パターン画像513を平行移動させることができる。また、走査パターン画像513の上記所定部位にポインタを位置させた状態でドラッグ操作を行うことにより、画像H上において走査パターン画像513を回転移動させることができる。このときの回転中心は、走査パターン画像513上の任意の位置、又は画像H上にあらかじめ指定された位置である。また、画像H上の任意の位置をクリックすることで、走査の中心位置が当該クリック位置に配置されるように走査パターン画像513を移動させることができる。
なお、走査可能範囲画像511は常時表示されている必要はない。たとえば、走査可能範囲画像511により規定されている範囲の外部領域に走査目標位置を設定するための操作がなされたことに対応して、主制御部211が走査可能範囲画像511を重畳表示させるように構成することができる。走査中心可動範囲画像512の外部領域に走査中心が位置するように走査目標位置が設定された場合についても同様である。このような表示制御は、走査可能範囲や走査中心可動範囲と、画像Hとの位置関係が既に対応付けられていることに基づいて実行される。
また、走査可能範囲画像511により規定されている範囲の外部領域に走査目標位置を設定するための操作がなされたことに対応して、主制御部211が当該走査可能範囲の内部領域に走査パターン画像513を移動させて重畳表示させるように構成することも可能である。走査中心可動範囲画像512の外部領域に走査中心が位置するように走査目標位置が設定された場合についても同様である。このような処理において、走査目標位置の移動先は任意に決定される。たとえば、所定の基準位置(たとえば画像Hの中心位置)と走査目標位置の設定位置とを結ぶ線分上であって当該走査可能範囲(又は当該走査中心可動範囲)の内部領域に属する位置を、設定された走査目標位置の移動先とすることができる。
スキャン位置リセットボタン525は、このような手動による走査目標位置の変更をリセットして所定のデフォルト位置に復帰させるために用いられる。
以上のようにしてユーザは画像Hを参照しつつ走査目標位置を設定する。特に、過去に取得された眼底Efのカラー眼底像H2を参照しつつ走査目標位置の設定を行うことが可能である。
カラー眼底像H2に対する走査目標位置の設定が完了した後に、原画像表示ボタン526がクリックされて赤外眼底画像H1を表示させるための指示がなされると、走査目標領域特定部232は、カラー眼底像H2に対して設定された走査目標位置(走査パターン画像513の位置)を、上記の画像位置合わせ結果に基づき変更することで、設定された走査目標位置に対応する赤外眼底画像H1中の画像領域を特定する。
主制御部211は、画像表示部510に赤外眼底画像H1を表示させ、かつ、特定された画像領域に走査パターン画像513を重畳表示させる。このとき、走査可能範囲画像511及び走査中心可動範囲画像512についても同様に、画像位置合わせ結果に基づいて、赤外眼底画像H1上における表示位置が変更される。つまり、この動作例によれば、表示される画像の切り替えがなされたことに対応し、走査可能範囲画像511、走査中心可動範囲画像512及び走査パターン画像513の表示位置を、画像間の位置ズレに応じて変更することができる。
主制御部211は、所定のトリガを受けて、赤外眼底画像H1上の走査パターン画像513が示す走査条件(並びに加算平均枚数及び走査ピッチの各走査条件)でのOCT計測を実行させる。
以上においては分布情報が画像(特にカラー眼底像H2)の場合について説明したが、分布情報が測定結果情報である場合においても同様の処理を行うことが可能である。その場合において、第2の実施形態で説明したように、測定結果情報に対して設定された走査目標位置を、付帯画像を介して、赤外眼底画像(リアルタイム眼底画像)に移すことができる。このとき、図11に示す位置合わせ画面400の画像表示部410には、たとえば付帯画像と赤外眼底画像とが並べて表示される。
更に、主制御部211は、付帯画像と測定結果情報との間の既知の位置関係に基づいて、測定結果情報を付帯画像に重畳表示させることができる。これにより、付帯画像における測定結果情報の位置、つまり眼底Efにおける測定結果情報の位置を、容易に把握することができ、走査目標位置の設定の容易化を図ることができる。
また、主制御部211は、当該位置関係と上記画像位置合わせ結果とに基づいて、測定結果情報を赤外眼底画像に重畳表示させることも可能である。これにより、リアルタイムで得られた眼底画像における測定結果情報の位置、つまり現在観察中の眼底Efにおける測定結果情報の位置を、容易に把握することができる。
この実施形態に係る眼底観察装置の効果について説明する。
この眼底観察装置は、走査目標位置の設定が可能な範囲(設定可能範囲)を示す設定可能範囲情報を分布情報に重畳表示することができる。この設定可能範囲情報は、たとえば走査可能範囲画像511や走査中心可動範囲画像512である。それにより、走査目標位置の設定操作を支援することができる。また、走査目標位置の設定ミスを防止することができる。
また、設定可能範囲情報は常時表示されている必要はない。たとえば、この眼底観察装置は、分布情報における設定可能範囲の外部領域に走査目標位置を設定するための操作がなされたことに対応して、設定可能範囲情報を分布情報に重畳表示させることができる。それにより、分布情報の観察を好適に行うことができるとともに、走査目標位置の設定が不適当であった場合にはその旨をユーザに認識させることができる。
また、この眼底観察装置は、上記実施形態の構成に加えて、信号光LSの走査条件を設定する走査条件設定部213を有する。更に、この眼底観察装置の主制御部211(表示制御部)は、分布情報に重畳表示させる設定可能範囲情報の形態を、走査条件の設定結果に対応して切り替えることができる。それにより、走査条件の設定結果に応じた形態の設定可能範囲情報が分布情報に重畳表示されるので、走査目標位置の設定を好適に支援することが可能である。
また、分布情報における設定可能範囲の外部領域に走査目標位置を設定するための操作がなされたことに対応し、この眼底観察装置の走査目標領域特定部232は、この設定可能範囲の内部領域に新たな走査目標位置を設定することができる。それにより、不適当な位置に走査目標位置が設定された場合であっても、適当な位置に新たな走査目標位置を自動設定することができるので、走査目標位置の設定を好適に支援することが可能である。なお、ユーザにより設定された走査目標位置を考慮して新たな走査目標位置を決定することも可能である。
また、この眼底観察装置は、付帯画像に測定結果情報を重畳表示させることが可能である。それにより、走査目標位置の設定を好適に支援することができる。また、この眼底観察装置は、眼底画像(赤外眼底画像等)に測定結果情報を重畳表示させることができる。それにより、現在観察中の眼底Efにおける測定結果情報の位置を容易に把握することが可能である。
以上のような処理を介してOCT計測が行われた場合、それにより得られたOCT画像、分布情報(画像、測定結果情報)、付帯画像、リアルタイム眼底画像を任意の組み合わせで並べて表示させることができる。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
上記の実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて信号光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。また、特に被測定物体が生体部位でない場合などには、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも可能である。
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。