(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、電力のやりとりに関し、以下の問題が生じることを見出した。
電力の自由化に伴い、需要家が小売事業者を自由に選択可能になる。また、電力料金の規制が撤廃されることにより、小売事業者は、需要家にとって利便性の高い魅力的な契約の形態、又は、料金プランを提案していく必要がある。
その契約の形態としては、従来の給電ポイント毎(世帯毎、建物毎)の契約に加えて、個人毎の契約が想定される。また、他にも、需要家の自宅以外の場所(例えば、公共の充電スポット)で、需要家の機器(モバイル機器又はEV(Electric Vehicle)など)に電力の供給を受けた場合に、その電力の料金を需要家の自宅で消費する電力の料金と一括で支払うような契約が想定される。
一方で、太陽光発電等の需要家サイドでの再生可能エネルギーによる発電電力は、普及のための戦略的施策として、プレミアムの付いた価格で電力事業者による買取がなされている。しかしながら、太陽光発電設備の普及率の上昇とともに買取価格が下がりつつある。将来的には系統電力からの電力の料金と同等、又は、それより低い価格に買取価格が下がることが予想される。
そのような状況においては、自宅の太陽光発電による余剰電力を電力会社に売電するのではなく、外出先で需要家自身が使用したり、友人や親戚等の他者へ提供(又は、贈与、プレゼント)したりしたいというニーズが発生することも考えられる。
しかしながら、従来の電力管理システムでは、余剰電力の用途は、売電することしかなく、利用者は余剰電力を柔軟に活用することができないという問題がある。
そこで、本発明は、より柔軟に余剰電力を活用することができる電力管理システムを提供する。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る電力管理方法は、第一ユーザ識別情報に対応する発電装置、前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一負荷装置、及び、前記第一負荷装置に給電可能で前記発電装置と異なる場所に設置された給電装置を含む電力管理システムにおける電力管理方法であって、前記発電装置が発電する電力のうち前記発電装置が電力系統に供給する電力である余剰電力を測定するメータから、前記余剰電力の量を示す余剰電力値を入力し、所定時間単位の第一時限において前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一通信端末から前記余剰電力を用いた給電の問合せを前記第一ユーザ識別情報と関連づけて入力し、前記問合せに応じて、前記第一時限に対応する前記余剰電力を用いた前記給電装置による給電を有効とする第一電力識別情報を、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値に対して発行し、前記第一電力識別情報と前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値とを前記第一通信端末に送信し、前記第一負荷装置において給電を受けたい旨の第一給電依頼を前記第一電力識別情報と関連付けて入力した前記給電装置において、前記余剰電力の量以下の第一給電電力を、課金対象とならない電力として、前記第一負荷装置に供給させる。
上記態様によると、電力管理システムは、ユーザ(需要家)の自宅で発生する余剰電力を電力系統に供給(逆潮流)する一方で、ユーザの自宅と異なる場所で電力系統から電力の供給を行う。よって、ユーザにとっての余剰電力の用途として、売電するという用途の他、他の場所でユーザ自身が余剰電力分の電力の供給を受けるという用途が生まれる。よって、電力管理システムは、より柔軟に余剰電力を活用することができる。言い換えれば、自宅とは異なる場所でも、ユーザが余剰電力を消費するので、電力管理システムは、第一時限内での需要電力と供給電力とのバランスをより適切に取ることができる。
例えば、前記第一給電依頼は、前記第一通信端末から前記給電装置に入力される。
上記態様によると、電力管理システムにおいて、給電装置は第一通信端末から第一給電依頼を受ける。よって、電力管理システムは、第一通信端末を用いてより確実に第一給電依頼を受けることができる。
例えば、前記メータから前記余剰電力値を定期的に入力し、前記問合せを入力すると、前記問合せを入力した入力時刻を含む前記第一時限の開始から前記入力時刻まで対応する前記余剰電力値を累積し、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値を生成する。
上記態様によると、電力管理システムにおいて、メータが定期的に送信してくる余剰電力値を受信し、受信した余剰電力値を用いて具体的に余剰電力の累積値を算出することができる。
例えば、前記問合せを入力すると、前記問合せを入力した入力時刻を含む前記第一時限に対応する前記余剰電力値の出力を前記メータに依頼し、前記メータから前記第一時限に対応する前記余剰電力値を入力すると、前記第一時限に対応する前記余剰電力値を累積し、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値を生成する。
上記態様によると、電力管理システムにおいて、問合せに応じてメータが送信してくる余剰電力値を受信し、受信した余剰電力値を用いて具体的に余剰電力の累積値を算出することができる。
例えば、前記第一給電依頼には、前記第一負荷装置において給電を受けたい電力量を示す値が含まれる。
上記態様によると、電力管理システムにおいて、電力管理装置は、給電を受けたい電力量を含む給電依頼を受けるので、当該給電依頼に含まれる電力量の分の給電が可能か否かを判定することができる。
例えば、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値が所定の最小値以下である場合、前記第一電力識別情報を、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値に対応付けて発行しない制御を行う。
上記態様によると、電力管理装置は、電力IDの発行を制御することで、給電装置により給電可能な電力が所定の最小値以下である場合に給電装置による給電をしないようにすることができる。
例えば、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値が所定の最小値以下である場合、前記問合せに応じて前記第一電力識別情報及び前記累積値を前記第一通信端末に送信しない制御を行う。
上記態様によると、電力管理装置は、電力IDの送信を制御することで、給電装置により給電可能な電力が所定の最小値以下である場合に給電装置による給電をしないようにすることができる。
例えば、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値が所定の最小値以下である場合、前記問合せに応じて前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値が前記所定の最小値以下である旨の通知を前記第一通信端末に送信する制御を行う。
上記態様によると、電力管理装置は、第一通信端末への通知を行うことで、給電装置により給電可能な電力が所定の最小値以下であることをユーザに知らせることができる。
例えば、前記第一負荷装置において給電を受けたい電力量を示す値を含む照会依頼を前記給電装置から入力し、前記照会依頼に含まれる値が前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値を超える場合、前記給電装置に前記第一負荷装置への電力の供給を禁止する指示を出力する。
上記態様によると、電力管理装置は、余剰電力より多い電力量の給電を禁止する指示を用いて具体的に当該給電を禁止することができる。
例えば、前記第一負荷装置において給電を受けたい電力量を示す値を含む照会依頼を前記給電装置から入力し、前記照会依頼に含まれる値が、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値を超える場合、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値に相当する電力量の前記第一給電電力を、課金対象とならない電力として、前記給電装置から前記第一負荷装置に供給させる。
上記態様によると、電力管理装置は、余剰電力より多い電力量の給電の依頼に対して、余剰電力の分以下の給電を行うことができる。
例えば、前記第一時限を経過すると、前記第一時限に対応する前記余剰電力を用いた前記給電装置による給電であって、第一電力識別情報に基づく給電を無効にする管理を行う。
上記態様によると、電力管理システムは、第一識別情報に基づく給電を第一時限内に限定して行うことができる。よって、電力管理システムは、送配電網における電力の需給バランスを大きく崩すことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
例えば、前記電力管理システムは、前記第一負荷装置とは異なり前記発電装置と同じ建物に配置された第二負荷装置をさらに備え、前記発電装置が発電する電力から前記第二負荷装置が使用した電力を差し引いた電力を、前記余剰電力とする。
上記態様によると、電力管理装置は、発電装置が発電した電力と、第二負荷装置による消費電力とを用いて具体的に余剰電力を算出することができる。
例えば、前記給電装置が前記第一電力識別情報を取得していない場合、前記給電装置から前記第一負荷装置に、課金対象となる第二給電電力が供給される。
上記態様によると、電力管理システムにおいて、給電装置は、第一電力識別情報の有無に基づいて、課金対象となる電力を供給するか、又は、課金対象とならない電力を供給するかを選択し、電力の供給を行うことができる。電力管理システムは、給電装置により給電した電力が余剰電力により賄われたという管理をするので、給電装置により給電した電力の料金をユーザに課金しない。よって、ユーザは、新たに金額的負担を負うことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
例えば、前記給電装置は、供給した電力の料金の支払処理を受け付ける受付部を備え、前記電力管理方法は、前記第二給電電力を供給した場合、前記受付部により前記支払処理を受け付け、前記第一給電電力を供給した場合、前記受付部により前記支払処理を受け付けない制御を行う。
上記態様によると、電力管理システムは、供給した電力が課金対象となるかならないかに応じて、支払処理を受け付けるか否かを制御する。電力管理システムは、供給した電力の課金処理を適切に行うことができる。
例えば、前記電力管理方法は、さらに、前記余剰電力の量に相当する対価を算出する算出処理を実行し、前記算出処理では、前記第一給電電力が前記給電装置から前記第一負荷装置に供給された場合、前記余剰電力の累積値から前記第一給電電力の給電量を減じた電力量に相当する対価を算出する処理を行う。
上記態様によると、電力管理システムは、余剰電力に対する対価から、給電装置により給電した電力の分を差し引いた分をユーザに提供する。よって、ユーザは、新たに金額的負担を負うことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
例えば、前記第一電力識別情報及び前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値が、前記第一通信端末から、前記第一ユーザ識別情報とは異なる第二ユーザ識別情報のユーザが利用する第二通信端末に送信され、且つ、前記第二通信端末から前記給電装置へ、前記第二ユーザ識別情報のユーザが利用する第三負荷装置であって前記第一負荷装置とは異なる第三負荷装置において給電を受けたい旨の第二給電依頼が送信された場合、前記給電装置において、前記余剰電力の量以下の第一給電電力が、課金対象とならない電力として、前記第三負荷装置に供給される。
上記態様によると、電力管理システムは、第一ユーザ(第一ユーザ識別情報のユーザ)の自宅で発生する余剰電力を電力系統に供給(逆潮流)する一方、発電装置を保有していない第二ユーザ(第二ユーザ識別情報のユーザ)が電力系統から電力の供給を受けることができる。よって、発電装置を所有しないユーザも、余剰電力を利用することができる。
例えば、前記問合せに対応して、前記第一電力識別情報、及び、前記第一電力識別情報とは異なる一時的な第二電力識別情報を、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値と対応づけて発行し、前記第一電力識別情報、前記第二電力識別情報、及び前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値を前記第一通信端末に送信し、前記第二電力識別情報及び前記余剰電力の累積値は、前記第一通信端末から、前記第一ユーザ識別情報とは異なる第二ユーザ識別情報のユーザが利用する第二通信端末に送信され、前記第二通信端末から前記給電装置へ、前記第二ユーザ識別情報のユーザが利用し且つ前記第一負荷装置とは異なる第二負荷装置において給電を受けたい旨の第二給電依頼が送信され、前記給電装置において、前記余剰電力の量以下の第一給電電力が、課金対象とならない電力として前記第二負荷装置に供給された場合、前記第一給電電力が前記第一負荷装置に供給されることを禁止させる。
上記態様によると、電力管理システムは、第二ユーザが第二識別情報を用いて負荷装置へ給電することが許容される一方、第一ユーザが負荷装置へ給電することが禁止される。つまり、電力管理システムは、適切に識別情報を第一ユーザから第二ユーザに譲渡又は移転することができる。
例えば、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値は、前記問合せを入力した入力時刻を含む前記第一時限の開始から前記入力時刻まで対応する前記余剰電力値に、前記入力時刻から前記第一時限の終了までの余剰電力の予測累積値を、加算した値を含む。
上記態様によると、電力管理システムは、当該時限内で実際に発生した余剰電力と、当該時限内で発生すると推定される余剰電力の合計分の電力を、負荷装置に給電することができる。その結果、小売事業者における電力調達コストが増加することが回避される。
また、本発明の一態様に係る電力管理システムは、第一ユーザ識別情報に対応する発電装置、前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一負荷装置、及び、前記第一負荷装置に給電可能で前記発電装置と異なる場所に設置された給電装置を含む電力管理システムであって、前記電力管理システムは、前記発電装置が発電する電力のうち前記発電装置が電力系統に供給する電力である余剰電力を測定するメータから、前記余剰電力の量を示す余剰電力値を入力し、所定時間単位の第一時限において前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一通信端末から前記余剰電力を用いた給電の問合せを前記第一ユーザ識別情報と関連づけて入力し、前記問合せに応じて、前記第一時限に対応する前記余剰電力を用いた前記給電装置による給電を有効とする第一電力識別情報を、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値に対して発行し、前記第一電力識別情報と前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値とを前記第一通信端末に送信し、前記給電装置は、前記第一負荷装置において給電を受けたい旨の第一給電依頼を前記第一電力識別情報と関連付けて前記第一通信端末から入力し、前記余剰電力の量以下の第一給電電力を、課金対象とならない電力として、前記第一負荷装置に供給する。
上記態様によると、上記電力管理方法と同様の効果を奏する。
また、本発明の一態様に係る給電装置は、上記に記載の電力管理システムに接続される給電装置である。
上記態様によると、上記電力管理方法と同様の効果を奏する。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
本実施の形態において、ユーザの自宅で発生する余剰電力を、ユーザの自宅とは異なる場所で消費することで、より柔軟に余剰電力を活用することができる電力管理システムについて説明する。
まず、本実施の形態における電力管理システムにより電力が管理される状況について例を用いて説明するが、本実施の形態における電力管理システムによる電力管理はこの例に限られない。
ユーザは、EVに乗車してスーパーマーケットに移動し、買い物をしている最中にEVを充電したいと考えている。スーパーマーケットの駐車場には、EVの充電のための給電装置が設置されており、ユーザは、給電装置を用いてEVを充電する。ユーザの自宅には発電装置が設置されており、発電が行われている。ユーザがEVを充電しているとき、ユーザの自宅の負荷装置による消費電力量が発電量より少ないので、余剰電力が発生している。ここで、電力管理システムは、給電装置からEVへ充電された分の電力は、ユーザの自宅で発生している余剰電力により賄われたというように管理が行われるようにする。このように電力の管理を行う電力管理システムについて以下で具体的には説明する。
図1は、本実施の形態における電力管理システム1の構成の概観図である。図2は、本実施の形態における電力管理システム1の構成を示すブロック図である。図1等において、実線は電力の流れを示しており、破線は情報又は制御の流れを示している。これらの図を参照しながら、電力管理システム1について説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施の形態における電力管理システム1は、給電装置10と、ユーザU1の自宅20と、小売事業者40と、送配電網50とを含んで構成される。
給電装置10は、送配電網50に接続され、送配電網50から供給される電力を負荷装置32に供給する給電装置である。給電装置10は、余剰電力の電力IDを保有し、保有している電力IDに紐付けられた余剰電力の量以下の電力(「第一電力」ともいう)を、送配電網50から負荷装置32に供給する。
給電装置10は、入力IF11(入力インタフェース)と、給電部12とを備える。
入力IF11は、ユーザによる操作又は情報を受け付けるユーザインタフェースである。入力IF11は、近接無線通信等により通信端末31との間で情報を送受信する近接無線通信ポートであってもよいし、押下されることでユーザからの操作を受け付けるキー又はボタンであってもよい。
給電部12は、送配電網50から供給される電力を負荷機器に供給する電力出力部である。給電部12は、電力管理装置41による制御に基づいて、給電部12に接続された負荷装置32に電力を供給する。具体的には、電力管理装置41から指定される電力量の分の電力を、負荷装置32に供給する。
なお、給電部12は、電力管理装置41からの指定がない場合であっても、別途ユーザU1などにより指定される分の電力(「第二電力」ともいう)を負荷装置32に供給する。ただし、給電部12が第二電力を供給した場合の電力管理装置41による課金処理は、第一電力を供給した場合の課金処理とは異なる。
制御部13は、入力IF11から得られる情報等に基づいて給電装置10の動作を制御する処理部である。制御部13は、通信端末31から入力IF11を介して受け付ける給電依頼に応じて負荷装置32に電力を供給する。具体的には、制御部13は、給電依頼により電力IDが入力された場合に、給電依頼に含まれている電力IDを参照し、電力IDと紐付けられる余剰電力の量以下の電力を、給電部12から負荷装置32に供給する。
なお、電力IDは、給電依頼に含まれているものに限られず、その他の方法により取得したもの、又は、当該制御部13が生成したものなどであってもよい。つまり、制御部13は、保有している電力IDを参照し、電力IDと紐付けられる余剰電力の量以下の電力を、給電部12から負荷装置32に供給するということもできる。
ユーザU1の自宅20には、発電装置21と、負荷装置22と、メータ23とが設置されている。
発電装置21は、電力を発電し、発電により生成した電力を外部に出力する装置である。発電装置21は、発電する電力のうち負荷装置22で消費される電力を除く分の電力、つまり、発電する電力のうち負荷装置22で消費される電力を差し引いた電力である余剰電力を送配電網50に供給(逆潮流)する。発電装置21は、例えば、ソーラーパネル又は燃料電池等により実現される。なお、発電装置21は、ソーラーパネル又は燃料電池等から得られる電力を負荷装置等に供給できるように変換する設備(例えば、パワーコンディショナ)なども含むものとする。なお、発電装置21は、「第一ユーザ識別情報に対応する発電装置」に相当する。
負荷装置22は、電力を消費する機器であり、例えば、家庭電化製品又はEVなどである。なお、負荷装置22は、蓄電池であってもよい。なお、負荷装置22は、第二負荷装置に相当する。
図2に示すように、メータ23は、電力線上に設置され当該メータ23を通過する電力量を計測する計測機である。メータ23は、ユーザU1の自宅20から送配電網50へ向かう余剰電力の電力量(いわゆる売電電力量)を計測期間ごとに計測し、計測した電力量を電力管理装置41へ送信する。ここで、計測期間とは、メータ23が電力を計測する時間間隔として予め定められた時間長の期間である。以降では、計測期間の時間長が5分間である例を説明するが、計測期間の時間長はこれに限られず、1時限(後述)の時間長より短ければよく、例えば、1分間又は10分間としてもよい。なお、メータ23は、電力管理装置41が過去又は現在のうちの所定の期間内の電力量を問い合わせてきた場合、問い合わせに応じて、所定の期間の電力量を送信する。
ユーザU1は、自宅20とは異なる場所であって、給電装置10の近傍に滞在している。ユーザU1は、通信端末31及び負荷装置32を保有している。
通信端末31は、ユーザU1による操作に基づいて、給電装置10及び電力管理装置41のそれぞれと通信を行う。具体的には、通信端末31は、電力管理装置41と通信を行うことで、給電可否を問い合わせ、給電装置10による給電に必要な電力IDを取得する。また、給電装置10と通信を行うことで電力IDを送信し、給電装置10から負荷装置32へ給電させる。通信端末31は、例えば、高機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、又は、PC(Personal Computer)などである。
負荷装置32は、ユーザU1が保有又は所持する電気機器である。負荷装置32は、通信端末31が電力IDを給電装置10に送信した場合に、給電装置10から給電を受ける。負荷装置32は、例えば、携帯型端末又はEV等であり、また、通信端末31であってもよい。なお、負荷装置32は、ユーザU1が利用している電気機器であればよく、ユーザU1が当該電気機器の所有権を有するか否かは問題としない。なお、負荷装置32は、第一負荷装置に相当する。
小売事業者40は、需要家に供給された電力の対価を得る、電力の小売事業者である。小売事業者40は、電力管理装置41を用いて、ユーザU1との間で電力の受給契約を結び、また、ユーザU1の自宅20で負荷装置32により使用された電力と、給電装置10で負荷装置22により使用された電力とに相当する金額をユーザU1に課金する。
電力管理装置41は、通信端末31から給電可否の問い合わせに応じて、ユーザU1の自宅20のメータ23から所定の期間の電力量を取得し、当該所定の期間の余剰電力を特定する。そして、特定した余剰電力を一意に識別可能な電力IDを生成し、生成した電力IDを通信端末31に送信する。なお、電力管理装置41は、定期的にユーザU1の自宅20のメータ23から電力量を取得することにしてもよい。
なお、電力IDは、単に電力量を示す値であるのではなく、電力が供給される場所、電力が供給される時間、及び、電力量などにより特定される電力そのものに紐付けられる情報である。具体的には、上記で生成される電力IDは、ユーザU1の自宅20から所定の期間内に供給される電力量と紐付けられる情報であり、メータ23によって特定される情報であってもよい。なお、電力IDは、第一識別情報に相当する。余剰電力の特定方法は、後で詳しく説明する。
電力管理装置41は、ユーザU1が消費した電力の料金をユーザU1に課金する処理を実行する。具体的には、電力管理装置41は、ユーザU1の自宅20で消費した電力の料金をユーザU1に課金する処理を実行する。また、電力管理装置41は、給電装置10がユーザの負荷装置に電力を供給した場合には、原則として、供給した分の電力の料金を当該ユーザに課金する課金処理を実行する。ただし、電力管理装置41は、給電装置10が電力IDを保有して供給する電力(第一電力)を供給した場合には、例外的に、供給した分の電力の課金処理を実行しない、つまり、実行することを禁止する。なお、給電装置10が負荷装置に供給する電力のうち、第一電力は課金対象とならない電力であるといえる。一方、上記第一電力を除く分を第二電力ともいう。つまり、電力管理装置41は、給電装置10が電力IDを保有せずにユーザの負荷装置に電力(第二電力)を供給した場合には、供給した分の電力の料金を当該ユーザに課金する課金処理を実行するといえる。第二電力は課金対象となる電力であるといえる。
また、電力管理装置41(より具体的には、後述する決済処理部427)は、ユーザU1の自宅20から逆潮流された余剰電力に相当する対価をユーザU1に提供する処理を実行する。そして、電力管理装置41は、第一電力を負荷装置32に供給した場合には、余剰電力の量から第一電力の量を減じた電力量に相当する対価を提供する処理を行う。
送配電網50は、電力会社の電力系統に接続され、又は、電力系統の一部であり、系統電力を配電する網である。送配電網50は、ユーザU1の自宅20及び給電装置10に電力を供給する。
なお、給電装置10は、さらに、供給した電力の支払いを受け付ける受付部(不図示)を備えてもよい。受付部は、給電装置10がユーザの負荷装置に電力を供給した場合であって、電力管理装置41による課金処理を行わない場合に、供給した分の電力の料金の支払いを当該ユーザから受け付ける。ただし、受付部は、給電装置10が第一電力を供給した場合には、例外的に、供給した分の電力の料金の支払いをユーザから受け付けない、つまり、受け付けることを禁止する。
受付部は、紙幣及び貨幣を投入可能な投入口、及び、決済機能を有するカードの情報を読み取るカードスロット及び通信部、及び、決済機能を有する通信端末31の情報を読み取る通信部の少なくともいずれか1つであるが、これらの例に限られない。
なお、電力管理システム1では、電力の需給バランスを調整する時間単位である時限ごとに、当該需給バランスを調整し、給電装置10は、発電装置21から送配電網50に余剰電力が供給される時限と同一の時限内に第一電力を供給するようにしてもよい。このようにすれば、電力管理システムは、当該時限内での電力の需給バランスを崩さずに、負荷装置32に電力を供給することができる。その結果、電力調達コストが増加することが回避される。
図3は、本実施の形態の電力管理システム1における、ユーザの自宅20を含む部分を詳細に示す模式図である。
図3に示されるように、送配電網50にはユーザU1の自宅20が接続されるとともに、他の住宅20A及び20Bが接続されている。住宅20A及び20Bは、ユーザU1の自宅20と同等の機能を有する住宅であってもよいし、発電設備等を備えない従来型の住宅であってもよい。
ユーザU1の自宅20には、上記のとおり発電装置21と、負荷装置22と、メータ23とが設置されている。ユーザU1の自宅20には、さらに、分電盤24と、メータ25とが設置されていてもよい。
分電盤24は、送配電網50、発電装置21及び負荷装置22に接続され、発電装置21で発電される電力が負荷装置22で消費される電力を上回る場合には送配電網50に電力を供給し、発電装置21で発電される電力が負荷装置22で消費される電力を下回る場合には送配電網50から電力の供給を受ける。
メータ25は、電力線上に設置され当該メータ25を通過する電力量を計測する計測機である。メータ25は、送配電網50からユーザU1の自宅20へ向かう電力量(いわゆる買電電力量)を計測期間ごとに計測し、計測した電力量を電力管理装置41へ送信する。
次に、電力管理装置41について詳細に説明する。
図4は、本実施の形態における電力管理装置41の詳細な機能ブロックを示すブロック図である。
図4に示されるように、電力管理装置41は、電力情報取得部421と、余剰電力量特定部422と、通信部423と、電力ID管理部424と、給電可否判定部425と、余剰電力使用履歴管理部426と、決済処理部427とを備える。
電力情報取得部421は、メータ23から時限ごとの売電電力量、つまり、余剰電力の電力量(余剰電力量ともいう)を取得する処理部である。また、電力情報取得部421は、メータ25から時限ごとの買電電力量を取得することもできる。そして、電力情報取得部421は、取得した売電電力量及び買電電力量を受給契約と紐付けて、電力情報管理テーブルに格納して管理する。また、電力情報取得部421は、取得した余剰電力量を受給契約と紐付けて、余剰電力情報テーブルに格納して管理する。
余剰電力量特定部422は、通信端末31から給電可否問合せを受信し、また、電力情報取得部421が取得した計測期間ごとの余剰電力量に基づいて時限内の余剰電力量を特定する処理部である。
具体的には、余剰電力量特定部422は、通信部423を介して通信端末31から給電可否問合せを受信する。また、余剰電力量特定部422は、給電可否問合せを受信した場合に、電力情報取得部421が取得した計測期間ごとの余剰電力量の累積値を、当該時限内の余剰電力量として特定する。また、余剰電力量特定部422は、電力情報取得部421が取得した計測期間ごとの余剰電力量の累積値に、未だ取得できていない余剰電力量の推測値を加算することで、当該時限内の余剰電力量を特定してもよい。
通信部423は、電力管理装置41の各機能ブロックが通信端末31と通信するための通信インタフェースである。
電力ID管理部424は、余剰電力量特定部422が特定した余剰電力の累積値(余剰電力量)に対応付けて、電力IDを発行する処理部である。また、電力ID管理部424は、特定した余剰電力量を通信部423を介して通信端末31に送信する。電力ID管理部424は、余剰電力量と電力IDとを紐付けて電力ID管理テーブルに格納して管理する。なお、電力IDそれぞれには有効期限を定めることができる。有効期限としては、電力IDが発行された時刻を含む時限の終了時刻が用いられる。そして、電力ID管理部424は、有効期限内の電力IDを有効なものとして管理し、有効期限を経過した電力IDを無効なものとして管理することができる。ここで、電力IDが有効であるとは、当該レコードに示される電力IDが使用可能であること、より具体的には、当該電力IDを用いた給電装置10による給電が可能であることを意味する。なお、電力IDが無効であるとは、当該電力IDが有効でないことをいい、当該レコードに示される電力IDが使用不可能であること、より具体的には、当該電力IDを用いた給電装置10による給電が不可能であることを意味する。
給電可否判定部425は、給電装置10から受信する給電依頼に対して、当該給電依頼に示される電力量の電力を給電することができるか否かを判定する処理部である。
余剰電力使用履歴管理部426は、給電装置10による給電の後に給電報告を受信し、余剰電力利用情報を更新する処理部である。余剰電力使用履歴管理部426は、電力IDと、当該電力IDを用いて給電された給電量とを紐付けて余剰電力利用情報テーブルに格納して管理する。また、余剰電力使用履歴管理部426は、契約IDと、当該契約IDを用いて給電装置10により給電された給電量とを紐付けて給電装置使用情報テーブルに格納して管理する。
決済処理部427は、ユーザU1の自宅20における買電電力量及び売電電力量に基づいて電気料金の決済処理を行う処理部である。決済処理部427は、さらに、給電装置10により給電された電力を考慮して、上記電気料金の決済処理を行う。
図5は、本実施の形態における余剰電力情報テーブルT10を示す説明図である。
余剰電力情報テーブルT10は、電力情報取得部421が保有するテーブルであり、電力情報取得部421がメータ23から取得した計測期間ごとの余剰電力量がレコードとして格納されたテーブルである。以下で、余剰電力情報テーブルT10の各項目について説明する。
「契約ID」は、当該レコードに示される余剰電力量が発生した需給契約を一意に特定可能なIDである。
「メータID」は、当該レコードに示される余剰電力量を計測したメータ23を一意に特定可能なIDである。
「計測期間の開始時刻」は、当該レコードに示される余剰電力量が発生した計測期間の開始時刻である。
「計測期間の終了時刻」は、当該レコードに示される余剰電力量が発生した計測期間の終了時刻である。
「余剰電力量」は、当該レコードに示される余剰電力量であり、例えば、Whの単位で示される。
例えば、図5の余剰電力情報テーブルT10の最上段のレコードは、契約IDが「00001」である需給契約において、メータIDが「123456789」であるメータ23により、計測期間「2015/04/01 10:30:00〜10:35:00」において340Whの余剰電力量が発生したことを示している。
図6は、本実施の形態における電力ID管理テーブルT20を示す説明図である。
電力ID管理テーブルT20は、電力ID管理部424が保有するテーブルであり、電力ID管理部424が余剰電力量に対応付けて発行する電力IDがレコードとして格納されたテーブルである。以下で電力ID管理テーブルT20の各項目について説明する。
「電力ID」は、当該レコードに示される電力IDを示している。
「有効期限」は、当該レコードに示される電力IDの有効期限であり、言い換えれば、当該有効期限の満了時刻である。
「余剰電力量」は、当該レコードに示される電力IDに対応付けられた余剰電力量を示すものであり、電力IDが発行された時点で対応付けられた余剰電力量を示すものである。
「残使用可能量」は、当該レコードに示される電力IDに対応付けられた余剰電力量のうち、使用可能である電力量を示す。残使用可能量は、電力IDが発行された時点では「余剰電力量」と同一の値を示すが、使用するごとに使用した分だけ減算される。
「レコード登録日時」は、当該レコードが登録された時刻である。
例えば、図6の電力ID管理テーブルT20の最上段のレコードは、電力ID「1504011040766」が、当初766Whの余剰電力量に紐付けられ、そのうち766Whの電力量が使用可能であること、また、この電力IDの有効期限が「2014/04/01 11:00:00」であること、及び、このレコードが登録された時刻が「2014/04/01 10:40:00」であることを示している。
図7は、本実施の形態における余剰電力利用情報テーブルT30を示す説明図である。
余剰電力利用情報テーブルT30は、余剰電力使用履歴管理部426が保有するテーブルであり、給電装置10による給電により使用された電力量がレコードとして格納されたテーブルである。
「電力ID」は、当該レコードに示される、給電に使用された電力量に紐付けられる電力IDを示している。
「給電開始時刻」は、当該エントリに示される給電装置10による給電が開始した時刻である。
「給電終了時刻」は、当該エントリに示される給電装置10による給電が終了した時刻である。
「給電量」は、当該エントリに示される給電装置10による給電がなされた電力量である。
「給電装置ID」は、当該エントリに示される給電装置10による給電を行った給電装置10を一意に特定可能なIDである。
「レコード登録日時」は、当該レコードが登録された時刻である。
例えば、図7の余剰電力利用情報テーブルT30のレコードは、電力ID「1504011040766」に紐付けられる500Whの電力が、給電装置IDが「abcde98765」である給電装置10により、「2014/04/01 10:45:00〜10:50:00」に給電されたこと、また、このレコードが登録された時刻が「2014/04/01 10:50:00」であることを示している。
図8は、本実施の形態における電力情報管理テーブルT40を示す説明図である。
電力情報管理テーブルT40は、電力情報取得部421が保有するテーブルであり、時限ごとのユーザU1の自宅20の買電電力量及び売電電力量がレコードとして格納されたテーブルである。
「契約ID」は、当該レコードに示される買電電力量及び売電電力量が計測された需給契約を一意に特定可能なIDである。
「メータID」は、当該レコードに示される買電電力量及び売電電力量を計測したメータ(メータ23及びメータ25)を一意に特定可能なIDである。
「時限の開始時刻」は、当該レコードに示される買電電力量及び売電電力量が発生した時限の開始時刻である。
「時限の終了時刻」は、当該レコードに示される買電電力量及び売電電力量が発生した時限の終了時刻である。
「買電電力量」は、当該レコードに示される買電電力量を示す値であり、例えば、Whの単位で示される。
「売電電力量」は、当該レコードに示される売電電力量を示す値であり、例えば、Whの単位で示される。
例えば、図8の電力情報管理テーブルT40の最上段のレコードは、契約IDが「00001」である需給契約において、メータIDが「123456789」であるメータ23により、時限「2015/04/01 10:00:00〜10:30:00」において、買電電力量が0Whであり、売電電力量が1000Whであったことを示している。
図9は、本実施の形態における給電装置使用情報テーブルT50を示す説明図である。
給電装置使用情報テーブルT50は、余剰電力使用履歴管理部426が保有するテーブルであり、給電装置10により給電した電力量のうち余剰電力利用給電量及び系統電力利用給電量がレコードとして格納されたテーブルである。
「契約ID」は、当該レコードに示された余剰電力利用給電量及び系統電力利用給電量に係る需給契約を一意に特定可能なIDである。
「給電装置ID」は、当該レコードに係る給電がなされた給電装置10を一意に特定可能なIDである。
「給電期間の開始時刻」は、当該レコードに係る給電が行われた期間の開始時刻である。
「給電期間の終了時刻」は、当該レコードに係る給電が行われた期間の終了時刻である。
「給電量」は、当該レコードに係る給電がなされた電力量を示す値であり、例えば、Whの単位で示される。
「余剰電力利用給電量」は、当該レコードに係る給電がなされた電力量のうち、余剰電力を利用して給電された電力量を示す値であり、例えば、Whの単位で示される。
「系統電力利用給電量」は、当該レコードに係る給電がなされた電力量のうち、系統電力を利用して給電された電力量を示す値であり、例えば、Whの単位で示される。
例えば、図9の給電装置使用情報テーブルT50の最上段のレコードは、給電装置IDが「00001」である需給契約において、給電装置IDが「abcde98765」である給電装置10により給電量500Whの給電が行われ、当該給電量のうち余剰電力を利用して給電された電力量が500Whであり、当該給電量のうち系統電力を利用して給電された電力量が0Whであったことを示している。
次に、余剰電力の特定方法と、給電可否の問合せ及び応答の方法とについて説明する。
図10は、本実施の形態における余剰電力の説明図である。図10に示される説明図は、電力管理装置41による余剰電力の特定方法を示す説明図である。
図10は、発電装置21が発電した電力のうち送配電網50に逆潮流される電力量である余剰電力量を時間経過とともに示したものである。また、図10における「時限」とは、小売事業者40が電力の需要と供給とを一致させる同時同量を達成すべき時間の単位を意味する。つまり、小売事業者40は、時限により示される期間内において、電力の需要と供給とを一致させるように電力の需給バランスの制御を行う。図10に示される時限xは、時刻T(x)から時刻T(x+1)までの期間のことである。
電力管理装置41は、メータ23により計測された電力量であって、ユーザU1の自宅20内から送配電網50に向かう方向の電力量を取得することにより、図3に示されるような余剰電力量301を取得する。ここで、電力管理装置41がメータ23から電力量を取得した時刻において、時刻T(x)+t以前の電力量がメータ23により取得され保持されていた場合を示している。
電力管理装置41は、メータ23から取得した余剰電力量301を合計することで、時限xにおける余剰電力量EP1を特定する。
なお、電力管理装置41は、メータ23から取得した余剰電力量301に加えて、当該時限x内、かつ、時刻T(x)+t以降の期間に予測される余剰電力量302を特定してもよい。その場合、余剰電力量301及び302を合計することで、時限xにおける余剰電力量EP2を特定してもよい。このようにすることで、電力管理システム1において、当該時限xで生ずる余剰電力をより有効に活用することができる。
図11は、本実施の形態における給電可否の問合せ及び応答の説明図である。図11は、時限yにおいて給電可否の問合せがなされた場合に、余剰電力量特定部422が特定する余剰電力量を示している。
時刻10:17に通信端末31から電力管理装置41に給電可否の問合せがあったとすると、余剰電力量特定部422は、電力情報取得部421が既に取得した10:30から10:45に含まれる計測期間ごとの電力量(340Wh、426Wh、及び、34Wh)を累積することで、余剰電力量を800Whと特定し、通信端末への応答として上記余剰電力量を通知する。
なお、余剰電力量を特定する際に、時限yに含まれる計測期間のうち余剰電力量が未だ取得できていない計測期間の余剰電力量を予測し、予測した余剰電力の累積値を上記余剰電力量に加算してもよい。具体的には、例えば、10:45から11:00に含まれる計測期間には、10:30から10:45と同じ余剰電力量があると見積もることで、時限yの余剰電力量を1600Whと特定してもよい。
次に、電力管理システム1における処理について説明する。
図12は、本実施の形態の電力管理システム1における全体的な処理を示すフロー図である。
電力管理システム1は、各時限についてステップS11〜ステップS14の処理を行う(ループA)。
ステップS11〜ステップS14において、電力管理システム1は、給電可否問合せ処理、余剰電力特定処理、給電依頼処理、及び、給電報告処理を行う。
また、電力管理システム1は、上記時限ごとの処理とは独立した周期で決済処理を行う(ステップS15)。上記周期は、時限より長い時間であればよく、例えば、1ヶ月とすることができる。
以降において、上記各ステップに含まれる詳細な処理について説明する。
図13は、本実施の形態における電力管理システムにおける、給電可否問合せから給電報告までの情報のやりとりを示すシーケンス図である。図8を参照しながら、電力管理システム1における処理についてより詳細に説明する。
なお、図13に示される各ステップは、図12に示される処理ステップを詳細化したものである。例えば、図13のステップS101は、図12のステップS11に含まれる処理であり、図13のステップS102〜S105は、図12のステップS12に含まれる処理であり、図13のステップS111〜S114は、図12のステップS13に含まれる処理であり、図13のステップS115は、図12のステップS14に含まれる処理である。ただし、上記は一例であり、これに限定されない。
ステップS101において、ユーザU1の通信端末31は、電力管理装置41に給電可否問合せを送信する。電力管理装置41は、給電可否問合せを受信する。給電可否問合せは、電力管理システム1における給電装置10による給電が可能であるか否か、つまり、ユーザU1の自宅20で余剰電力が発生するか否かを電力管理装置41に問い合わせるためのものである。給電可否問い合わせの際に、通信端末31は、ユーザU1と小売事業者40との契約を一意に識別可能なIDである契約IDを送信する。なお、通信端末31は、上記契約IDの代わりに、ユーザU1を一意に識別可能なIDであるユーザIDを、給電可否問い合わせに関連付けて送信してもよい。ユーザU1のユーザIDのことを、第一ユーザ識別情報ともいう。
なお、給電可否問合せは、通信回線を経由した通信端末31から電力管理装置41への通信路において送信される。また、給電可否問合せは、例えば、通信端末31であるスマートフォンにおいて所定のアプリを起動したときに自動的に、又は、ユーザU1による所定の操作を受け付けたときに、行われてもよい。
ステップS102において、電力管理装置41は、ユーザU1の自宅20のメータ23に対して、余剰電力問合せを送信する。電力管理装置41は、ステップS101の給電可否問合せを受信(入力)した入力時刻を含む時限に対応する余剰電力値の出力をメータ23に依頼する。具体的には、電力管理装置41は、ステップS101の給電可否問合せに含まれる契約IDを参照することでユーザU1を特定する。そして、電力管理装置41は、特定したユーザU1の自宅20のメータ23により計測された余剰電力を、余剰電力問合せにより、電力管理装置41へ送信するよう要求する。なお、電力管理装置41は、取得すべき余剰電力量の期間を特定する情報を含めて余剰電力問合せを送信してもよい。
ステップS103において、メータ23は、ステップS102で電力管理装置41から受信した余剰電力問合せに応じて、余剰電力量を電力管理装置41に送信する。電力管理装置41は、送信された余剰電力量を受信(入力)する。このとき、メータ23は、現時点を含む時限内の計測期間ごとの余剰電力の個別の値(図11の例では、340Wh、426Wh、34Wh)を送信してもよいし、現時点を含む時限内の計測期間ごとの余剰電力を累積した値(図11の例では、800Wh)を送信してもよい。以降では、前者の場合を例として説明する。なお、ステップS102で期間が指定された場合、メータ23は、上記情報により特定される期間内の余剰電力量を電力管理装置41に送信する。電力管理装置41は、受信した余剰電力量を余剰電力情報テーブルT10に格納して保持する。
ステップS104において、電力管理装置41は、ステップS103で取得した余剰電力量に基づいて余剰電力を特定し、当該余剰電力を一意に識別可能なIDである電力IDを発行し、特定した余剰電力に電力IDを付与する。言い換えれば、電力管理装置41は、ステップS103で取得した余剰電力量に基づいて余剰電力を特定し、当該余剰電力を一意に識別可能なIDである電力IDを当該余剰電力と対応付けて発行する。電力管理装置41は、具体的には、ステップS103で取得した、計測期間の余剰電力の累積値を算出することで余剰電力を特定する。本ステップでの余剰電力の特定および電力IDの付与は、ステップS101での給電可否問合せに応じてなされるものである。また、電力IDは、現時点を含む時限に対応する余剰電力を用いた給電装置10による給電を有効とするための情報である。
ステップS105において、電力管理装置41は、ステップS104で付与した電力IDを通信端末31に通知する。電力管理装置41は、電力IDを通知する際に、電力の使用可能量を通知する。使用可能量とは、ステップS104で特定した余剰電力量に等しい値であって、当該電力IDを用いて給電装置10により給電を行うことができる電力量を示す量である。なお、電力IDを通信端末31に通知する代わりに、人間が認識可能な方法でユーザU1に取得させてもよい。例えば、電力IDが記載された紙媒体をユーザU1に取得させる、又は、音声により電力IDをユーザU1に聞かせる、という方法がある。
なお、ステップS105において、電力管理装置41は、当該時限に対応する余剰電力の累積値が所定の最小値以下であるか否かを判定し、当該時限に対応する余剰電力の累積値が所定の最小値以下である場合、電力IDを、当該時限に対応する余剰電力の累積値に対応付けて発行しない制御を行うようにしてもよい。また、上記場合、給電可否問合せに応じて電力ID及び累積値を通信端末31に送信しない制御を行うようにしてもよい。また、上記場合、給電可否問合せに応じて当該時限に対応する余剰電力の累積値が所定の最小値以下である旨の通知を通信端末31に送信する制御を行うようにしてもよい。このようにすることで、電力管理装置は、給電装置により給電可能な電力が所定の最小値以下である場合に給電装置による給電をしないようにする、または、その旨をユーザに通知することができる。
ステップS111において、通信端末31は、給電装置10に対して給電依頼を行う。給電依頼は、負荷装置32において給電を受けたい旨を示す情報である。給電依頼には、ステップS105で電力管理装置41から通知された電力IDと、給電を受けたい電力量である使用量とが含まれる。給電装置10は、給電依頼を、当該給電依頼に含まれる電力IDと関連付けて受信(入力)する。なお、給電依頼は、通信端末31から給電装置10に入力されると説明したが、その代わりに、他の装置から給電装置10に入力されてもよい。なお、使用量は電力IDに紐付けられる使用可能量以下の値でもよく、使用可能量上限を示す符号でもよい。
なお、給電依頼は、例えば、通信端末31を給電装置10の入力IF11である近接無線通信ポートに近接させ、近接無線通信を行うことで行われる。給電依頼は、他にも、通信回線を通じて行われてもよい。また、ユーザU1が、入力IF11であるキーに対して手動で電力IDを打ち込むことにより行われてもよい。
ステップS112において、給電装置10は、ステップS111の給電依頼により取得した電力IDを電力管理装置41に照会する。具体的には、給電装置10は、上記電力IDが確かに電力管理装置41が発行した、正当なものであり、有効なものであることを確認するために電力管理装置41に照会する。例えば、偽造により生成された電力ID、又は、過去に生成され既に使用された電力IDが複製された電力IDは、照会の結果、正当なものでなく、過去の時限の余剰電力量に対応する電力IDは有効なものでないことが分かる。
なお、ステップS112の照会の際に、ステップS105において通信端末31が送信した使用量も照会してもよい。この使用量が、当該電力IDの使用可能量を越える場合には、使用量が正当なものでないことが分かる。
ステップS113において、電力管理装置41は、ステップS112での電力IDの照会の結果を給電装置10に送信する。具体的には、電力管理装置41は、ステップS112で送信した電力IDが正当なものである場合に、その旨を示す応答を送信する。
ステップS114において、給電装置10は、給電装置10に接続された負荷装置32に、給電依頼で電力IDとともに受信した使用量の分の電力を給電する。このとき、給電装置10は、給電した分の電力の料金をユーザから受け付けない、つまり、受け付けることを禁止する。言い換えれば、給電装置10は、課金対象とならない電力を負荷装置32に給電する。なお、1つの電力IDに基づいて上記のように負荷装置32に電力を供給した後には、当該電力IDに基づいて再び負荷装置32に電力を供給することはできないとしてもよく、使用量が使用可能量未満である場合には、当該電力IDを使用した電力の供給量の合計が使用可能量以下の範囲で、同時限内で再び、当該電力IDに基づき電力を供給してもよい。
ステップS115において、給電装置10がステップS114において負荷装置32への給電を行った場合には、給電装置10は、電力管理装置41に給電報告を送信する。給電報告には、電力IDと給電量とが含まれる。
なお、上記ではメータ23が余剰電力問合せに応じて余剰電力量を送信する場合を示したが、メータが余剰電力量を定期的に送信するようにしてもよい。つまり、図13におけるステップS101からS105までの処理を、図14に示される処理に置き換えてもよい。
図14は、本実施の形態の電力管理システム1における、給電可否問合せ処理から給電報告処理までの情報のやりとりの変形例を示すシーケンス図である。
ステップS103Aにおいて、メータ23は、余剰電力量を計測期間ごとに定期的に電力管理装置41に送信する。電力管理装置41は、定期的に余剰電力量を受信(入力)する。電力管理装置41は、受信した余剰電力量を余剰電力情報テーブルT10に格納して保持する。ここで、メータ23は、自発的に余剰電力量を送信する点で、ステップS103と異なる。
ステップS101Aにおいて、ユーザU1の通信端末31は、電力管理装置41に給電可否問合せを送信する。
ステップS104Aにおいて、電力管理装置41は、ステップS103Aで取得した余剰電力量に基づいて余剰電力を特定し、当該余剰電力を一意に識別可能なIDである電力IDを発行し、特定した余剰電力に電力IDを付与する。具体的には、電力管理装置41は、ステップS101Aで給電可否問合せを受信(入力)すると、給電可否問合せを入力した入力時刻を含む時限の開始時刻から、入力時刻までの時間に対応する余剰電力値を累積し、当該時限に対応する余剰電力の累積値を生成することで、上記余剰電力を特定する。
ステップS105は、図13のステップS105と同じである。
図15は、本実施の形態における電力管理システム1における、課金処理の際の情報のやりとりを示すシーケンス図である。引続き、図15を参照しながら、電力管理システム1における処理についてより詳細に説明する。
なお、図15に示される各ステップは、図12に示される処理ステップを詳細化したものである。例えば、図13のステップS122〜S124は、図12のステップS15に含まれる処理である。ただし、上記は一例であり、これに限定されない。
ステップS122において、電力管理装置41は、決済処理を行う。決済処理では、小売事業者40とユーザU1との電力の受給契約に基づいて、送配電網50から負荷装置22に供給され消費された電力量に相当する金額から、ユーザU1の自宅20から逆潮流された余剰電力に相当する対価(金額)を差し引いた金額を、ユーザU1への請求額として算出する。このとき、ステップS114で給電装置10が給電した電力量が、ユーザU1の自宅20から逆潮流された余剰電力量から差し引かれるように、上記金額が算出される。
ステップS123において、小売事業者40は、ユーザU1に対し、ステップS122の決済処理で算出された請求額(電気料金)を請求する。
ステップS124において、ユーザU1は、ステップS123でなされた電気料金請求に対して電気料金の支払いを行う。
なお、ステップS112及びS113は、給電装置10が正当な電力IDを保有していることが明らかである場合には、必ずしも必要ではない。
なお、ステップS122及びS123の課金処理及び請求は、小売事業者40とユーザU1との電力の受給契約により定められた期間ごとに行われる。例えば、課金処理は、一ヶ月ごとに行われる。
以降において、電力管理装置41が備える各機能ブロックによる処理の詳細を説明する。
図12のステップS11の処理は、給電要否を電力管理装置41に問合せるだけなので、詳細は省略する。
図16は、本実施の形態の電力管理装置41の処理を示すフロー図である。図16に示されるフロー図は、図12のステップS12における電力管理装置41の処理を示すものである。
ステップS601において、余剰電力量特定部422は、余剰電力量を特定する。ステップS601は、ステップS104(図13)又はステップS104A(図14)に相当する。ステップS601に含まれる処理については、後で詳細に説明する。
ステップS602において、余剰電力量特定部422は、ステップS601で特定した余剰電力量が、所定値以上であるか否かを判定する。余剰電力量が所定値以上であると判定された場合、ステップS603に進む。一方、余剰電力量が所定値以上でない(つまり、所定値未満である)と判定された場合、ステップS605に進む。
ステップS603において、電力ID管理部424は、ステップS601で特定した余剰電力量に相当する余剰電力に電力IDを付与する。ステップS603は、ステップS104(図13)又はステップS104A(図14)に相当する。
ステップS604において、電力ID管理部424は、ステップS603で付与した電力IDを通信端末31に送信するとともに、ステップS601で特定した余剰電力量を使用可能量として通信端末31に送信する。ここで使用可能量とは、当該余剰電力を給電装置10により給電することで使用する場合に、使用できる電力量の上限を示す値である。
ステップS605において、余剰電力量特定部422は、給電することができない旨(給電不可)を通信端末31に通知する。
以上の一連の処理により、電力管理装置41は、通信端末31からの給電可否問合せに対して適切に電力IDを通知する。
図17は、本実施の形態の余剰電力量特定部422による余剰電力の特定処理を示す第一のフロー図である。このフロー図は、図16のステップS601の処理の詳細を示すものであり、また、図14に示すようにメータ23が定期的に余剰電力量を電力管理装置41に送信する場合におけるものである。
ステップS701において、余剰電力量特定部422は、現在時刻を取得する。なお、現在時刻が属する時限を時限xとし表記し、時限xの開始時刻をT(x)と表記する。この場合、現在時刻は、T(x)+tと表現される。ここでtは、T(x)から現在時刻までの経過時間に相当する。
ステップS702において、ステップS701で取得した現在時刻T(x)+tに基づいて、現在時刻が含まれる時限の開始時刻T(x)を特定する。
ステップS703において、余剰電力量特定部422は、余剰電力情報テーブルT10に格納された余剰電力のうち、契約IDに一致する需要家における、時刻T(x)から時限x内で既に余剰電力が取得できている時刻までの余剰電力の合計値、つまり累積値を算出する。
以上の一連の処理により、電力管理装置41は、余剰電力を特定することができる。
なお、図17に示される一連の処理は、図18のようにしてもよい。
図18は、本実施の形態の電力管理装置による余剰電力の特定処理を示す第二のフロー図である。このフロー図は、図16のステップS601の処理の詳細を示すものであり、また、図13に示すように余剰電力問合せに応じてメータ23が余剰電力量を電力管理装置41に送信する場合におけるものである。
ステップS801及びS802は、それぞれ、図17におけるステップS701及びS702と同様である。
ステップS803において、余剰電力量特定部422は、契約IDに一致する需要家のメータ23に対して、現在時刻が含まれる時限の開始時刻T(x)以降の余剰電力のデータを要求し、時刻T(x)以降の計測期間ごとの余剰電力のデータを取得する。
ステップS804において、余剰電力量特定部422は、取得した余剰電力のデータを余剰電力情報テーブルT10に格納する。そして、余剰電力量特定部422は、余剰電力情報テーブルT10に格納された余剰電力のうち、契約IDに一致する需要家における、時刻T(x)から現在時刻までの余剰電力の合計値、つまり累積値を算出する。
図19は、本実施の形態の電力管理装置41による電力IDの照会処理を示すフロー図である。図19に示されるフロー図は、図12のステップS13における電力管理装置41の処理を示すものである。
ステップS901において、電力管理装置41の給電可否判定部425は通信部423を介して、給電装置10から電力ID照会を受信する。受信する電力ID照会には、電力IDと、給電装置10が給電しようとする電力量とが含まれている。電力ID照会は、給電装置10から送信されるものである(図13のステップS112)。
ステップS902において、給電可否判定部425は、ステップS901で受信した電力ID照会に含まれる電力IDが、電力ID管理テーブルT20上に存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ステップS904に進む。一方、存在していない場合には、ステップS903に進む。
ステップS903において、給電可否判定部425は、照会結果として「不当:不正な電力ID」を通信部423を通じて送信する(図13のステップS113に相当)。照会結果としての「不当:不正な電力ID」は、ステップS901で受信した電力IDが不正であることにより、当該電力IDを用いた給電装置10による給電ができない旨を通知するものであり、当該電力IDを用いた給電装置10による給電の禁止を指示するものである。
ステップS904において、給電可否判定部425は、現在時刻が電力IDの有効期限より前であるか否かを判定する。現在時刻が電力IDの有効期限より前である場合、ステップS906に進む。一方、現在時刻が電力IDの有効期限より前でない(つまり、後である又は等しい)場合、ステップS905に進む。
ステップS905において、給電可否判定部425は、照会結果として「不当:有効期限切れ」を通信部423を通じて送信する(図13のステップS113に相当)。照会結果としての「不当:有効期限切れ」は、ステップS901で受信した電力IDの有効期限が過ぎていることにより、当該電力IDを用いた給電装置10による給電ができない旨を通知するものであり、当該電力IDを用いた給電装置10による給電の禁止を指示するものである。
ステップS906において、給電可否判定部425は、ステップS901で受信した電力ID照会に含まれる電力量が、当該電力ID照会に含まれる電力IDの残使用可能量以下であるか否かを判定する。電力IDの残使用可能量は、電力ID管理テーブルT20により管理されているものである。上記電力量が残使用可能量以下である場合には、ステップS908に進む。一方、上記電力量が残使用可能量以下でない場合には、ステップS907に進む。
ステップS907において、給電可否判定部425は、照会結果として「不当:使用可能量オーバ」を通信部423を通じて送信する(図13のステップS113に相当)。照会結果としての「不当:使用可能量オーバ」は、ステップS901で受信した電力ID照会に含まれる電力IDを用いて給電装置10により給電できる電力量を、当該電力ID照会に含まれる電力量が超えていることにより、当該電力IDを用いた給電装置10による給電ができない旨を通知するものであり、当該電力IDを用いた給電装置10による給電の禁止を指示するものである。
なお、ステップS907において、給電可否判定部425は、照会結果として「正当:残使用可能量に限り」を通信部423を通じて送信してもよい(不図示)。照会結果としての「正当:残使用可能量に限り」は、ステップS901で受信した電力ID照会に含まれる電力IDを用いて給電装置10により給電できる(つまり課金対象とならない)電力量を、残使用可能量に限定して許可する旨を通知するものである。
ステップS908において、給電可否判定部425は、照会結果として「正当」を通信部423を通じて送信する(図13のステップS113に相当)。照会結果としての「正当」は、ステップS901で受信した電力ID照会に含まれる電力IDを用いて給電装置10による給電が可能である旨を通知するものである。
以上の一連の処理により、電力管理装置41は、給電装置10からの電力ID照会に対して適切に応答することができる。
図20は、本実施の形態の電力管理装置41による余剰電力利用量の更新処理を示すフロー図である。図20に示されるフロー図は、図12のステップS14における電力管理装置41の処理を示すものである。
ステップS1001において、電力管理装置41の余剰電力使用履歴管理部426は通信部423を通じて、給電報告を受信する。この給電報告には、電力IDと、当該給電IDを用いて給電装置10により給電された電力量が含まれる。給電報告は、給電装置10から送信されるものである(図13のステップS115)。
ステップS1002において、余剰電力使用履歴管理部426は、ステップS1001で受信した給電報告に含まれる電力量の分だけ、電力ID管理テーブルT20の残使用可能量を減算することで、当該電力IDの残使用可能量を更新する。
ステップS1003において、余剰電力使用履歴管理部426は、ステップS1001で受信した給電報告に含まれる電力量を給電量として、余剰電力利用情報テーブルT30に登録する。
以上の一連の処理により、電力管理装置41は、受信した給電報告に基づいて各種情報を更新する。
図21は、本実施の形態の決済処理における電気料金の算出処理を示すフロー図である。
ステップS1101において、電力管理装置41の決済処理部427は、ユーザU1の自宅20での買電電力量aに相当する料金Aを算出する。ここで、買電電力量aは、メータ25が示す電力量から得られるものであり、電力情報管理テーブルT40に格納された買電電力量を所定の期間分累積したものである。
ステップS1102において、決済処理部427は、売電電力量bを算出する。ここで、買電電力量aは、メータ23が示す電力量から得られるものであり、電力情報管理テーブルT40に格納された売電電力量を所定の期間分累積したものである。
ステップS1103において、決済処理部427は、余剰電力使用量cを算出する。ここで、余剰電力使用量cは、余剰電力のうち、給電装置10を使用して給電した電力量のことであり、給電装置使用情報テーブルにT50に格納された余剰電力利用給電量を所定の期間分累積したものである。
ステップS1104において、決済処理部427は、給電装置10での買電電力量dに相当する料金Dを算出する。ここで、売電電力量dは、給電装置10が系統電力を用いて給電した電力量を示すものであり、給電装置使用情報テーブルにT50に格納された系統電力利用給電量を所定の期間分累積したものである。
ステップS1105において、決済処理部427は、ステップS1101〜S1104で算出した料金A及びD、売電電力量b、並びに、余剰電力使用量cに基づいて、下記(式1)により電気料金を算出する。
電気料金=A+(b−c)×売電単価+D (式1)
ステップS1105の後、決済処理部427は、ユーザU1から上記電気料金の支払いを受ける。
以上の一連の処理により、電力管理装置41は、ユーザの電気料金の算出をした上で、電気料金の決済を行う。
以上のように、本実施の形態にかかる電力管理システムは、ユーザ(需要家)の自宅で発生する余剰電力を電力系統に供給(逆潮流)する一方、ユーザの自宅と異なる場所で電力系統から電力の供給を受けることができる。これにより、ユーザにとっての余剰電力の用途として、売電するという用途の他、他の場所でユーザ自身が余剰電力分の電力の供給を受けるという用途が生まれる。よって、電力管理システムは、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態において、ユーザの自宅で発生する余剰電力を、自宅とは異なる場所でユーザとは異なる者により消費することで、より柔軟に余剰電力を活用することができる電力管理システムについて説明する。なお、以下の説明において、上記「ユーザ」を「ユーザU1」といい、上記「ユーザとは異なる者」を「ユーザU2」という。
本実施の形態において、実施の形態1におけるものと同一の構成要素等については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
まず、本実施の形態における電力管理システムにより電力が管理される状況について例を用いて説明するが、本実施の形態における電力管理システムによる電力管理はこの例に限られない。
ユーザU1及びユーザU2は、ともに、インターネット上のSNS(Social Networking Service)サイトを利用している。ユーザU1の自宅には、発電装置が設置され発電が行われている。ユーザU2がEVで旅をしており、旅先でSNSサイトにした投稿をユーザU1がよいと思った場合に、ユーザU1は、自宅で発生する余剰電力をユーザU2に提供したいと考える。ユーザU2は、EVでの旅の途中に立ち寄った、給電装置が設置されたパーキングエリアでEVに充電を行う。ここで、電力管理システムは、ユーザU2が給電装置からEVへ充電した分の電力は、ユーザU1の自宅で発生している余剰電力により賄われたというように管理が行われるようにする。このように電力の管理を行う電力管理システムについて以下で具体的には説明する。
図6は、本実施の形態における電力管理システム2の構成の概観図である。図7は、本実施の形態における電力管理システム2の構成を示すブロック図である。これらの図を参照しながら、電力管理システム2について説明する。
電力管理システム2には、ユーザU1及びユーザU2の2人のユーザが存在し、自宅に発電装置を保有するユーザ(ユーザU1)と、給電装置により給電を受けるユーザ(ユーザU2)とが異なる点で、実施の形態1における電力管理システム1と異なる。
ユーザU1の自宅20には、発電装置21と、負荷装置22と、メータ23とが設置されている。ユーザU1は、通信端末31を保有している。ユーザU1は、ユーザU1の自宅20内に滞在していてもよいし、自宅20外に滞在していてもよい。
ユーザU2は、給電装置10の近傍に滞在している。ユーザU2は、通信端末35及び負荷装置36を保有している。通信端末35及び負荷装置36のそれぞれは、実施の形態1における通信端末31及び負荷装置32と同様の機能を有する。
図8は、本実施の形態における電力管理システムにおける情報のやりとりを示す第一のシーケンス図である。図8を参照しながら電力管理システム2における処理について説明する。なお、実施の形態1の電力管理システム1における処理ステップと同一のものは、詳細な説明を省略する。
ステップS101〜ステップS105において、通信端末31は、給電可否問合せを行い、電力IDを通知される。
ステップS206において、通信端末31は、通信端末35に対して電力IDを送信する。ここで送信される電力IDは、ユーザU1の自宅20で発生する余剰電力に付与されたものである。よって、通信端末31から通信端末35にこのように電力IDを送信することで、ユーザU1の自宅20で発生する余剰電力を、ユーザU2が使用できるようになる。
なお、通信端末31が電力IDを通信端末35に送信した後に、通信端末31が保有している電力IDを削除するようにしてもよい。このようにすると、通信端末31(ユーザU1)が当該電力IDを用いて給電装置10から負荷装置へ給電することを禁止することができる。つまり、電力IDをユーザU1からユーザU2に、適切に譲渡又は移転することができる。
また、通信端末31が電力IDを通信端末35に送信する場合に、当該電力ID(「第一電力ID」ともいう)と対応付けられる新たな電力ID(「第二電力ID」又は「第二識別情報」ともいう)を生成し、生成した第二電力IDを通信端末35に送信するようにしてもよい。この場合、電力管理装置41は、第一電力IDを使用できなくする。このようにすれば、通信端末35(ユーザU2)が第二電力IDを用いて負荷装置36へ給電することが許容される一方、通信端末31(ユーザU1)が負荷装置へ給電することが禁止される。この方法でも、適切に電力IDをユーザU1からユーザU2に譲渡又は移転することができる。
ステップS211において、通信端末35は、給電装置10に給電依頼を行う。給電依頼には、ステップS206で通信端末31から送信された電力IDと、給電を受けたい電力量である使用量とが含まれる。
ステップS112及びステップS113において、ステップS211の給電依頼により取得した電力IDの照会が行われる。
ステップS214において、給電装置10は、給電装置10に接続された負荷装置36に給電を行う。
なお、上記説明では、ステップS105で電力管理装置41が通信端末31に電力IDを通知した後、ステップS206で通信端末31が通信端末35に電力IDを送信することとしたが、その代わりに、電力管理装置41が通信端末35に電力IDを通知するようにしてもよい。このようにすれば、通信端末31が介在せずに通信端末35が電力IDを取得することができ利便性が高まる。
以上のように、電力管理システム2によれば、電力ID及び余剰電力の累積値が、通信端末31から、ユーザU2が利用する通信端末35に送信され、且つ、通信端末35から給電装置10へ、ユーザU2が利用する負荷装置36であって負荷装置32とは異なる負荷装置36において給電を受けたい旨の第二給電依頼が送信された場合、給電装置10において、余剰電力の量以下の第一給電電力が、課金対象とならない電力として、負荷装置36に供給される。
また、給電可否問合せに対応して、第一電力ID、及び、第一電力IDとは異なる一時的な第二電力IDを、当該時限に対応する余剰電力の累積値と対応づけて発行し、第一電力ID、第二電力ID、及び当該時限に対応する余剰電力の累積値を通信端末31に送信し、第二電力IDび余剰電力の累積値は、通信端末31から、ユーザU2が利用する通信端末35に送信され、通信端末35から給電装置10へ、ユーザU2が利用し且つ負荷装置32とは異なる負荷装置36において給電を受けたい旨の第二給電依頼が送信され、給電装置10において、余剰電力の量以下の第一給電電力が、課金対象とならない電力として負荷装置36に供給された場合、第一給電電力が負荷装置32に供給されることを禁止させる。
これにより、ユーザの自宅で発生する余剰電力を、自宅とは異なる場所でユーザとは異なる者により消費することで、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態において、ユーザの自宅で将来に発生する余剰電力を、自宅とは異なる場所でユーザとは異なる者により消費することで、より柔軟に余剰電力を活用することができる電力管理システムについて説明する。
本実施の形態において、実施の形態1及び2におけるものと同一の構成要素等については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
まず、本実施の形態における電力管理システムにより電力が管理される状況について例を用いて説明するが、本実施の形態における電力管理システムによる電力管理はこの例に限られない。
実施の形態2の状況において、ユーザU1が自宅で発生する余剰電力をユーザU2に提供するようにしたが、その代わりに、本実施の形態では、ユーザU1が自宅で将来に発生する余剰電力をユーザU2に提供したいと考える。
そして、ユーザU2は、EVでの旅の途中に立ち寄った、給電装置が設置されたパーキングエリアでEVに充電を行う。ここで、電力管理システムは、ユーザU2が給電装置からEVへ充電した分の電力は、この充電がなされた時限においてユーザU1の自宅で発生する余剰電力により賄われたというように管理が行われるようにする。このように電力の管理を行う電力管理システムについて以下で具体的には説明する。
本実施の形態における電力管理システムの構成は、実施の形態2における電力管理システム2の構成と同様である。
図9は、本実施の形態における電力管理システムにおける情報のやりとりを示す第一のシーケンス図である。図9を参照しながら本実施の形態における電力管理システムにおける処理について説明する。
ステップS301において、通信端末31は、余剰電力の使用権の予約を行う。使用権とは、将来に発生する余剰電力を使用する権利のことである。ユーザU1が通信端末31により使用権の予約を行うことで、発電装置21で将来に生ずる余剰電力を使用する権利を定義することができる。余剰電力の使用権の予約の際に、通信端末31は、契約IDと要求量とを電力管理装置41に送信する。要求量とは、将来の使用のために要求する電力量のことである。
なお、使用権の目的となる余剰電力に時間制限を設けてもよい。つまり、ユーザU1が将来に発生する余剰電力のうち、特定の時間帯の余剰電力に対してのみ、使用権を設定するようにしてもよい。反対に、特定の時間帯を除く時間帯の余剰電力に対してのみ使用権を設定するようにしてもよい。このようにする場合には、ステップS301において、上記の特定の時間帯を指定するようにする。
ステップS302において、電力管理装置41は、予約電力に電力IDを付与する。電力管理装置41は、ステップS301で受信した使用権予約に含まれる要求量に相当する電力に電力IDを付与する。ここで、要求量に相当する電力とは、将来に発生する余剰電力のことである。
なお、ステップS301で特定の時間帯が指定された場合には、電力管理装置41は、指定された特定の時間帯に発生する余剰電力、又は、指定された特定の時間帯を除く時間帯に発生する余剰電力に電力IDを付与する。
なお、電力管理装置41は、ステップS301で指定された要求量の一部に相当する余剰電力だけを予約するようにしてもよい。具体的には、電力管理装置41は、ステップS301で指定された要求量の全部に相当する余剰電力の予約をするか否かを判断し、このような予約ができないと判断した場合には、要求量の一部に相当する余剰電力だけを予約するようにしてもよい。
ステップS303において、電力管理装置41は、ステップS302で付与した電力IDを通信端末31に通知する。このとき、電力管理装置41は、予約した余剰電力量を、予約量として通信端末31に送信する。
ステップS304において、通信端末31は、ステップS303で通知された電力IDを通信端末35(ユーザU2)に送信する。
図10及び図11は、本実施の形態における電力管理システムにおける情報のやりとりを示す第二及び第三のシーケンス図である。
ステップS311において、通信端末35は、給電装置10に給電依頼を行う。給電依頼には、ステップS304で通信端末31から送信された電力IDと、給電を受けたい電力量である使用量とが含まれる。
ステップS312において、給電装置10は、ステップS311の給電依頼により取得した電力IDを電力管理装置41に照会する。ステップS312は、実施の形態1におけるステップS112と同じ処理である。
ステップS313において、電力管理装置41は、ユーザU1の自宅20のメータ23に対して、余剰電力問合せを送信する。
ステップS314において、メータ23は、ステップS313で電力管理装置41から受信した余剰電力問合せに応じて、余剰電力量を電力管理装置41に送信する。
ステップS315において、電力管理装置41は、余剰実績量の判定を行う。具体的には、電力管理装置41は、当該時限の余剰電力量が、ステップS311の給電依頼に含まれる使用量以上であるか否かを判定する。
ステップS315において、余剰電力量が使用量以上であると判定された場合(ステップS315でYES)、ステップS316及びS317の処理を行う。一方、余剰電力量が使用量以上でない(つまり、余剰電力量が使用量未満である)と判定された場合(ステップS315でNO)、図11のステップS321〜S324の処理を行う。
ステップS316において、電力管理装置41は、ステップS312の電力IDの照会の結果を給電装置10に送信する。具体的には、電力管理装置41は、余剰電力量が使用量以上であるので、給電をすることを許可する旨の通知を行う。
ステップS317において、給電装置10は、給電装置10に接続された負荷装置36に、使用量の分の電力を給電する。
ステップS321において、電力管理装置41は、ステップS312の電力IDの照会の結果を給電装置10に送信する。具体的には、電力管理装置41は、余剰電力量が使用量未満であるので、使用可能量を給電装置10に通知する。
ステップS322において、給電装置10は、ステップS321で通知された使用可能量を通信端末35に通知する。通信端末35は、ステップS322で通知された使用可能量をユーザU2に提示し、使用可能量の分の電力の給電を給電装置10から受けるか否かの指示をユーザU2から受け付ける。
ステップS323において、通信端末35は、給電を行う指示を給電装置10に送信する。給電を行う指示は、ステップS322で使用可能量の分の電力の供給を受ける指示をユーザU2から受けた場合になされる。
ステップS324において、給電装置10は、給電装置10に接続された負荷装置36に、使用可能量の分の電力を給電する。
なお、上記説明では、ステップS302で予約電力に電力IDを付与するようにしたが、その代わりに、現実に余剰電力が発生するまで待機し、現実に余剰電力が発生した後に余剰電力に電力IDを付与し、当該電力IDを通信端末31に送信するようにしてもよい。このようにすれば、その後ステップS304で電力IDを受信した通信端末35は、現実に発生した余剰電力に基づいて、給電装置10から負荷装置36への給電を行うことができる。
なお、上記説明では、ステップS301で契約ID及び要求量を用いて使用権予約をするようにしたが、さらに、ユーザU2を指定する指定情報を用いるようにしてもよい。この場合、現実に余剰電力が発生した後に、余剰電力に電力IDを付与し、当該電力IDを通信端末35に送信することができる。このようにすれば、電力IDを受信した通信端末35は、通信端末31を介さずに電力IDを取得し、また、現実に発生した余剰電力に基づいて給電装置10から負荷装置36への給電を行うことができる。
(各実施の形態の変形例)
上記各実施の形態の電力管理システムは、以下のようにも表現されうる。
図12は、各実施の形態における電力管理システムの他の構成の例を示すブロック図である。
図12に示されるように、電力管理システム3は、電力系統に接続された発電装置、電力系統に接続された給電装置、及び、給電装置に接続された負荷装置を備える電力管理システム3であって、発電装置が発電する電力のうち、電力系統に供給する電力である余剰電力を特定する特定部41Aと、余剰電力と紐付けられる第一識別情報を生成する生成部41Bと、第一識別情報を保有している給電装置を介して、第一識別情報に紐付けられた余剰電力の量以下の第一電力を、電力系統から負荷装置に供給する給電部12とを備える。
図13は、各実施の形態における電力管理システムにおける電力管理方法のフローチャートである。
図13は、各実施の形態における電力管理システムにおける電力管理方法のフローチャートである。
ステップS1301において、発電装置が発電する電力のうち、前記電力系統に供給する電力である余剰電力を特定する。
ステップS1302において、余剰電力と紐付けられる第一識別情報を生成する。
ステップS1303において、第一識別情報を保有している給電装置を介して、第一識別情報に紐付けられた余剰電力の量以下の第一電力を、電力系統から負荷装置に供給する。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の電力管理システムなどを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、第一ユーザ識別情報に対応する発電装置、前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一負荷装置、及び、前記第一負荷装置に給電可能で前記発電装置と異なる場所に設置された給電装置を含む電力管理システムにおける電力管理方法であって、前記発電装置が発電する電力のうち前記発電装置が電力系統に供給する電力である余剰電力を測定するメータから、前記余剰電力の量を示す余剰電力値を入力し、所定時間単位の第一時限において前記第一ユーザ識別情報のユーザが利用する第一通信端末から前記余剰電力を用いた給電の問合せを前記第一ユーザ識別情報と関連づけて入力し、前記問合せに応じて、前記第一時限に対応する前記余剰電力を用いた前記給電装置による給電を有効とする第一電力識別情報を、前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値に対して発行し、前記第一電力識別情報と前記第一時限に対応する前記余剰電力の累積値とを前記第一通信端末に送信し、前記第一負荷装置において給電を受けたい旨の第一給電依頼を前記第一電力識別情報と関連付けて入力した前記給電装置において、前記余剰電力の量以下の第一給電電力を、課金対象とならない電力として、前記第一負荷装置に供給させる、電力管理方法を実行させるプログラムである。
また、このプログラムは、コンピュータに、電力系統に接続された発電装置、及び、前記電力系統に接続され負荷装置に給電する給電装置を備える電力管理システムにおける電力管理方法であって、前記発電装置が発電する電力のうち、前記電力系統に供給する電力である余剰電力を特定し、前記余剰電力と紐付けられる第一識別情報を生成し、生成された前記第一識別情報を取得した前記給電装置を介して、前記第一識別情報に紐付けられた前記余剰電力の量以下の第一電力を、前記電力系統から前記負荷装置に供給する電力管理方法を実行させるプログラムであってもよい。
なお、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得るが、以下の記載に限定されない。
(1)電力系統に接続された発電装置、及び、前記電力系統に接続され負荷装置に給電する給電装置を備える電力管理システムにおける電力管理方法であって、前記発電装置が発電する電力のうち、前記電力系統に供給する電力である余剰電力を特定し、前記余剰電力と紐付けられる第一識別情報を生成し、生成された前記第一識別情報を取得した前記給電装置を介して、前記第一識別情報に紐付けられた前記余剰電力の量以下の第一電力を、前記電力系統から前記負荷装置に供給する電力管理方法。
(2)前記電力管理方法では、さらに、前記給電装置が前記第一識別情報を取得していない場合には、前記給電装置を介して前記電力系統から前記負荷装置に、課金対象となる第二電力を供給し、前記給電装置が前記第一識別情報を取得した場合には、課金対象とならない前記第一電力を前記負荷装置に供給する(1)に記載の電力管理方法。
(3)前記給電装置は、供給した電力の料金の支払いを受け付ける受付部を備え、前記電力管理方法では、前記第二電力を供給した場合には、前記受付部により前記支払いを受け付け、前記第一電力を供給した場合には、前記受付部により前記支払いを受け付けない(2)に記載の電力管理方法。
(4)前記電力管理方法では、さらに、前記余剰電力を電力系統に供給した場合に、前記余剰電力の量に相当する対価を提供する付与処理を実行し、前記付与処理では、前記第一電力を供給した場合には、前記余剰電力の量から前記第一電力の量を減じた電力量に相当する対価を提供する処理を行う(1)〜(3)のいずれかに記載の電力管理方法。
(5)前記電力管理方法では、さらに、前記第一識別情報を、前記発電装置の所有者である第一ユーザの第一通信端末に送信し、前記第一通信端末から前記給電装置へ、前記給電装置による給電を行う旨の前記第一識別情報を用いた依頼が送信された場合に、前記第一電力を前記負荷装置に供給する(1)〜(4)のいずれかに記載の電力管理方法。
(6)前記電力管理方法では、さらに、前記第一識別情報を、前記第一通信端末から、前記発電装置の所有者である第一ユーザとは異なる第二ユーザの第二通信端末に送信し、前記第二通信端末から前記給電装置へ、前記給電装置による給電を行う旨の前記第一識別情報を用いた依頼が送信された場合に、前記第一電力を前記負荷装置に供給する(5)に記載の電力管理方法。
(7)前記第一識別情報を送信する場合には、前記第一識別情報を送信した後に、前記第一通信端末が保有している前記第一識別情報を削除する(6)に記載の電力管理方法。
(8)前記第一識別情報を送信する場合には、さらに、前記第一識別情報と対応づけられる第二識別情報であって、前記第一識別情報とは異なる第二識別情報を生成し、生成した前記第二識別情報を、前記第一通信端末から前記第二通信端末に送信し、前記第二識別情報を取得した前記給電装置を介して、前記電力系統から前記負荷装置に前記第一電力を供給し、前記第一識別情報を取得した前記給電装置を介した前記第一電力の供給を禁止する(6)に記載の電力管理方法。
(9)特定された前記余剰電力が現実に発生する前に前記第一識別情報が生成された場合には、前記余剰電力が現実に発生したときに、生成された前記第一識別情報を前記第二通信端末に送信する(8)に記載の電力管理方法。
(10)前記電力管理方法では、さらに、前記第二ユーザを指定する指定情報を受け付け、特定された前記余剰電力が現実に発生する前に前記第一識別情報が生成された場合には、前記余剰電力が現実に発生したときに、生成された前記第一識別情報を、前記指定情報により指定された前記第二ユーザの通信端末に送信する(6)に記載の電力管理方法。
(11)前記電力管理システムでは、時限ごとに電力の需給バランスを調整し、前記給電装置は、前記発電装置から前記電力系統に前記余剰電力が供給される時限と同一の時限内に前記第一電力を供給する(1)〜(10)のいずれかに記載の電力管理方法。
(12)第一時刻を含む時限の開始から前記第一時刻までの期間内に前記発電装置が発電した電力のうち前記電力系統に供給した電力を測定し、測定した前記電力を前記余剰電力として特定し、前記余剰電力の量以下の前記第一電力を、前記負荷装置に供給する(1)〜(11)のいずれかに記載の電力管理方法。
(13)前記第一時刻から前記時限の終了までの期間内に前記発電装置が発電すると推定される電力のうち前記電力系統に供給すると推定される予測余剰電力を、前記余剰電力に加えた電力を、新たな前記余剰電力として特定し、新たな前記余剰電力の量以下の前記第一電力を、前記負荷装置に供給する(12)に記載の電力管理方法。
(14)電力系統に接続された発電装置、及び、前記電力系統に接続され負荷装置に給電する給電装置を備える電力管理システムであって、前記発電装置が発電する電力のうち、前記電力系統に供給する電力である余剰電力を特定する特定部と、前記余剰電力と紐付けられる第一識別情報を生成する生成部と、生成された前記第一識別情報を取得した前記給電装置を介して、前記第一識別情報に紐付けられた前記余剰電力の量以下の第一電力を、前記電力系統から前記負荷装置に供給する給電部とを備える電力管理システム。
上記(1)によれば、電力管理システムは、ユーザ(需要家)の自宅で発生する余剰電力を電力系統に供給(逆潮流)する一方で、ユーザの自宅と異なる場所で電力系統から電力の供給を行う。これにより、ユーザにとっての余剰電力の用途として、売電するという用途の他、他の場所でユーザ自身が余剰電力分の電力の供給を受けるという用途が生まれる。よって、電力管理システムは、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
上記(2)によれば、電力管理システムは、給電装置により給電した電力の料金を課金されない。電力管理システムは、給電装置により給電した電力が余剰電力により賄われたという管理をするので、給電装置により給電した電力の料金をユーザに課金しない。よって、ユーザは、新たに金額的負担を負うことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
上記(3)によれば、電力管理システムは、給電装置により給電した電力の料金を受け付けない。電力管理システムは、給電装置により給電した電力が余剰電力により賄われたという管理をするので、給電装置により給電した電力の料金をユーザから受け付けない。よって、ユーザは、新たに金額的負担を負うことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
上記(4)によれば、電力管理システムは、余剰電力に対する対価から、給電装置により給電した電力の分を差し引いた分をユーザに提供する。よって、ユーザは、新たに金額的負担を負うことなく、より柔軟に余剰電力を活用することができる。
上記(5)によれば、電力管理システムは、給電装置に第一識別情報が入力されたことを契機として、負荷装置に電力を供給する。ユーザは、給電装置に第一識別情報を入力することで負荷装置に電力を供給することができる。このようにすれば、負荷装置に電力を供給するタイミングが直感的にわかりやすくなり、利便性が向上する。
上記(6)によれば、電力管理システムは、ユーザ(第一ユーザ)の自宅で発生する余剰電力を電力系統に供給(逆潮流)する一方、発電装置を保有していないユーザ(第二ユーザ)が電力系統から電力の供給を受けることができる。これにより、発電装置を所有しないユーザも、余剰電力を利用することができる。
上記(7)によれば、電力管理システムは、第二ユーザに第一識別情報を送信した後の第一ユーザが第一識別情報を用いて給電装置から負荷装置へ給電することを禁止することができる。つまり、電力管理システムは、識別情報を第一ユーザから第二ユーザに、適切に譲渡又は移転することができる。
上記(8)によれば、電力管理システムは、第二ユーザが第二識別情報を用いて負荷装置へ給電することが許容される一方、第一ユーザが負荷装置へ給電することが禁止される。つまり、電力管理システムは、適切に識別情報を第一ユーザから第二ユーザに譲渡又は移転することができる。
上記(9)によれば、識別情報を受信した通信端末は、現実に発生した余剰電力に基づいて、給電装置から負荷装置への給電を行うことができる。
上記(10)によれば、識別情報を受信した通信端末は、通信端末を介さずに識別情報を取得し、また、現実に発生した余剰電力に基づいて給電装置から負荷装置への給電を行うことができる。
上記(11)によれば、電力管理システムは、当該時限内での需給バランスを崩さずに、負荷装置に電力を供給することができる。その結果、小売事業者における電力調達コストが増加することが回避される。
上記(12)によれば、電力管理システムは、当該時限内で実際に発生した余剰電力の分の電力を、負荷装置に給電することができる。その結果、小売事業者における電力調達コストが増加することが回避される。
上記(13)によれば、電力管理システムは、当該時限内で実際に発生した余剰電力と、当該時限内で発生すると推定される余剰電力の合計分の電力を、負荷装置に給電することができる。その結果、小売事業者における電力調達コストが増加することが回避される。
上記(14)によれば、上記と同様の効果を奏する。
以上、一つまたは複数の態様に係る電力管理システムなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。