JP6252539B2 - 磁性トナー - Google Patents

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Description

本発明は、磁性トナーに関する。
省エネルギー化、及び装置の小型化の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な低温定着性に優れるトナーが望まれている。一般に、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点及び/又はガラス転移点の低い結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を配合させることが知られている。ポリエステル樹脂は負に帯電し易く、特に結晶性ポリエステル樹脂は負に帯電する傾向にある。
磁性体(例えば、磁性粉)は、負に帯電し易い。また、一成分現像方式に用いられる磁性トナーは、キャリアがないため長寿命であるが、帯電量が低くなりやすい。このように磁性一成分現像トナーでは、低温定着性及び帯電安定性をともに満足することができなかった。
そこで、特許文献1では、表面をシラン化合物、チタネート化合物、又は有機ケイ素化合物で改質した磁性酸化鉄粒子が提案されている。また、表面改質した磁性酸化鉄を含有する磁性トナーが提案されている。
特開平10−239897号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている磁性トナーでは、低温定着性及び帯電安定性を十分に満足することができない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低温定着性を損なうことなく、帯電安定性に優れる磁性トナーを提供することを目的とする。
本発明の磁性トナーは、トナー粒子を含有する。トナー粒子は、結着樹脂と磁性粉とを含む。結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含む。磁性粉は、メラミン樹脂で被覆されている。
本発明によれば、低温定着性を損なうことなく、帯電安定性に優れる磁性トナーを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定しない。
本実施形態に係る磁性トナー(単にトナーともいう)は、複数のトナー粒子を含む粉体であって、1成分現像剤として使用することができる。本実施形態に係るトナーは、例えば、画像形成装置で用いることができる。なお、外添剤を外添する前のトナー粒子をトナー母粒子と記載する場合がある。
電子写真方式の画像形成装置では、トナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する。具体的には、感光体上に形成された静電潜像に、帯電したトナーが付着する。そして、付着したトナーを中間転写体(例えば、中間転写ベルト)に転写した後、更に中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して記録媒体に定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を含有する。トナー粒子は、次の構成(1)及び(2)を満たす結着樹脂及び磁性粉を含む。このため、本実施形態に係るトナーは、低温定着性を損なうことなく、帯電安定性に優れる。その理由は、以下のように推測できる。
構成(1)結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含む。
構成(2)磁性粉は、メラミン樹脂で被覆されている。
構成(1)は、低温定着性の向上に有益である。結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含むため、トナーは低温定着性に優れると考えられる。構成(2)は、帯電安定性の向上に有益である。メラミン樹脂は窒素原子を有し、正に帯電し易い。このため、トナーは正に帯電し易い。また、磁性粉をメラミン樹脂で被覆することにより、磁性粉は負に帯電しにくい。このため、トナーは帯電安定性に優れると考えられる。したがって、本実施形態に係るトナーは、低温定着性を損なうことなく、帯電安定性に優れると考えられる。
更に、トナー粒子は、必要に応じて任意の成分(例えば、離型剤、又は電荷制御剤)を含んでもよい。以下、結着樹脂、磁性粉、及び任意の成分を順に説明する。
〔1.結着樹脂〕
結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含む。以下、結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
<1−1.結晶性ポリエステル樹脂>
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られる。アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールA、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
これらのアルコール成分の中では、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいため、炭素原子数2以上8以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素原子数が2以上8以下であるα,ω−アルカンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオール、又は1,6−ヘキサンジオールが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルコール成分中の炭素原子数2以上10以下の脂肪族ジオールの割合が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、アルコール成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、カルボン酸ハライド、カルボン酸無水物、又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性誘導体に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数が1以上6以下であるアルキル基を意味する。
これらのカルボン酸成分の中では、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数が2以上16以下であるα,ω−アルカンジカルボン酸がより好ましい。また、カルボン酸成分には、更に1価のカルボン酸を含んでもよい。1価のカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン酸成分中の炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、カルボン酸成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
なお、本明細書において前記の「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示す。具体的には、「結晶性」とは、昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以下であることを意味する。一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を超えるポリエステル樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められないポリエステル樹脂は、非晶性(非晶質)であることを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂の溶解度パラメーター(SP値)は、9.5以上であることが好ましく、9.5以上10.5以下であることがより好ましく、9.9以上10.2以下であることが更に好ましい。結晶性ポリエステル樹脂のSP値が9.5以上であると、メラミン樹脂のSP値との差が大きくなるため、トナーが負に帯電しにくくなる。
本発明で規定するSP値とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値であり、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MPa)1/2であり、結着樹脂が25℃であるときのSP値を指す。
結晶性ポリエステル樹脂のSP値は、結晶性ポリエステル樹脂に置換基を導入することにより調整することができる。より詳細には、結晶性ポリエステル樹脂への置換基の導入は、例えば、置換基の種類、又は置換基の導入する数により調整することができる。
一般に、SP値が小さいほど結晶性ポリエステル樹脂の疎水性が強く、SP値が大きいほど結晶性ポリエステル樹脂の親水性が強くなる。結晶性ポリエステル樹脂のSP値を低下させるためには、例えば、疎水性の置換基を導入することで調整できる。疎水性の置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂のSP値を増加させるためには、例えば、親水性の置換基を導入することで調整できる。親水性の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、又はアミノ基が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、特に限定されないが、50℃以上100℃以下であることが好ましい。複数種類の結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は複数の結晶性ポリエステル樹脂を均一に溶融混練した樹脂の軟化点(Tm)である。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)の測定には、例えば、高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いることができる。測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、及び昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させてS字カーブ(温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)を得る。このS字カーブの最初のショルダー部における温度が結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)は70℃以上110℃以下であることが好ましい。融点(Mpc)が70℃以上110℃以下である結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、更に高温でオフセットの発生を抑制できる。具体的には、融点(Mpc)が低すぎる(70℃未満である)結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子は、高温で定着を行う際に定着ローラーに結着樹脂が付着しやすいため、耐熱保存性に劣り、画像ムラの要因になる。融点(Mpc)が高すぎる(110℃を超える)結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子は、トナーを被記録媒体へ定着させる際にトナー粒子が溶融し難いため、低温定着性に劣り、光沢の低い画像となる。結晶性ポリエステル樹脂の融点と軟化点とは近似しているが、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)は後述する非晶性ポリエステル樹脂の軟化点より低めに設定されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)は、例えば、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定できる。具体的には、アルミ皿に10mg以上20mg以下の結晶性ポリエステル樹脂を入れ、測定部にセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。10℃をスタートに150℃まで10℃/分で昇温させる。このとき、融解熱曲線が得られる。この融解熱曲線において、観測される融解熱の最大ピーク温度を結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)とする。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5000以上15000以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5000以上15000以下であれば、低溶融性を維持することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が20質量部以上80質量部以下であると、トナーの低温定着性が向上し、かつトナーが負に帯電しにくくなる。
<1−2.結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂>
更に、結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂を含むことができる。結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂)、非晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、又はスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。これらのうち、非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂について説明する。非晶性ポリエステル樹脂を調製する場合、得られるポリエステル樹脂の結晶化を抑制する必要がある。ポリエステル樹脂の結晶化抑制方法は、特に限定されないが、一般的な結晶化抑制方法として、例えば以下の(1)〜(3)の方法があげられる。
(1)結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進するアルコール及びカルボン酸を少量だけ使用するか、使用しない方法。
(2)アルコール、及びカルボン酸として、それぞれ2種以上の化合物を使用する方法。
(3)ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のようなアルコール又は、アルキル置換コハク酸のようなカルボン酸を使用して結晶化を抑制する方法。
これらの結晶化抑制方法の中では、単量体の種類が少なく非晶性ポリエステル樹脂の調製が容易であることから、(3)の方法がより好ましい。(3)の方法では、アルコール(例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物)及びカルボン酸(例えば、アルキル置換コハク酸)の使用量を増やすほど結晶化を抑制しやすい。しかし、これらの単量体の使用量は、得られるポリエステルの結晶性指数と、他の物性とを考慮して、適宜調整されることが好ましい。なお、非晶性ポリエステル樹脂は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
〔2.磁性粉〕
既に上述したように、トナー粒子は、磁性粉を含む。磁性粉としては、例えば、フェライト又はマグネタイトのような鉄;コバルト又はニッケルのような強磁性金属;鉄及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;又は二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉は、メラミン樹脂で被覆されている。メラミン樹脂は窒素原子を含むため、メラミン樹脂を含むトナーは、正帯電し易い。また、磁性粉がメラミン樹脂で被覆されているため、磁性粉自体が負に帯電しにくい。このため、メラミン樹脂で被覆されている磁性粉を含むトナー粒子は正帯電し易い。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを縮重合させて形成してもよいし、プレポリマー(初期重合体と記載する場合がある)を縮重合させて形成してもよい。ここで、プレポリマーとは、重合度がポリマーの重合度に到達する前の段階で重合を停止することにより得られる中間生成物を意味する。メラミン樹脂を形成するためのプレポリマーとしては、例えば、メチロールメラミンが挙げられる。メチロールメラミンは、メラミンをホルムアルデヒドでメチロール化した誘導体である。
メラミン樹脂のSP値は、8.5以下であることが好ましく、8.0以上8.5以下であることがより好ましく、8.2以上8.5以下であることが更に好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPC)とメラミン樹脂のSP値(SPM)とは、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
SPC − SPM > 1.0 (1)
式(1)を満たすと、トナーの帯電安定性が向上し易い。結晶性ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とが相溶しにくいため、メラミン樹脂が正帯電しても、結晶性ポリエステル樹脂により正の電荷が減衰しにくい。
メラミン樹脂のSP値は、既に上述した結晶性ポリエステル樹脂のSP値と同様に、メラミン樹脂への置換基の導入により調整することができる。
メラミン樹脂のSP値は、結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂(結晶性ポリエステル樹脂と混合させる混合樹脂(以下、混合樹脂と記載することがある))を更に含む場合、トナーの正帯電性が維持され易くなる観点から、上述の結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPC)と、混合樹脂のSP値(SPT)との関係において、式(2)を満たすことが好ましい。
SPC > SPT > SPM・・・(2)
式(2)を満たすと、結晶性ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との相溶性が低下する傾向にある。更に、結晶性ポリエステル樹脂と混合樹脂との相溶性が向上し、メラミン樹脂と混合樹脂との相溶性が向上する傾向にある。このため、トナー粒子内で、結晶性ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との間に混合樹脂が介在し易くなる。このように、混合樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とのスペーサーとして機能するため、メラミン樹脂は結晶性ポリエステル樹脂により正電荷が減衰されにくくなる。その結果、トナーは正帯電性を維持し易くなる。
メラミン樹脂でコーティングされた磁性粉の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して30質量部以上100質量部以下であることが好ましい。メラミン樹脂の含有量が60質量部以上90質量部以下であると、トナーの低温定着性が向上し、かつトナーが正に帯電し易くなる。
メラミン樹脂で被覆される被覆層の厚さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
磁性粉の形状としては、例えば、エッジを有する多面体状、球状が挙げられる。エッジを有する多面体状としては、例えば、6個の四角形で囲まれた凸多面体である六面体状、又は8個の三角形で囲まれた凸多面体状である八面体状が挙げられる。磁性粉の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した画像で確認することができる。
磁性粉の含有量は、結着樹脂に対し40質量%以上であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
〔3.任意の成分〕
既に上述したように、トナー粒子は、結着樹脂及び磁性粉を含み、更に、トナー粒子中に、必要に応じて任意の成分(例えば、離型剤、又は電荷制御剤)を含んでもよい。
<3−1.離型剤>
トナー粒子は、必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性、及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
離型剤としてはワックスが好ましい。ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、又はモンタンワックスが挙げられる。
これらの離型剤の中では、エステルワックスがより好ましい。エステルワックスとしては、合成エステルワックス又は天然エステルワックス(例えば、カルナウバワックス又はライスワックス)が挙げられる。これらの離型剤は2種以上を組み合わせて使用できる。
エステルワックスの中では、合成エステルワックスが好ましい。合成エステルワックスの原料を適宜選択することで、後述する好適な範囲に離型剤の融点を調整し易いためである。
合成エステルワックスを製造する方法は、化学合成法であれば特に限定されない。例えば、公知の方法(酸触媒の存在下でのアルコールとカルボン酸との反応、又はカルボン酸ハライドとアルコールとの反応)を用いて合成エステルワックスを製造することができる。なお、合成エステルワックスの原料は、例えば、天然油脂から製造される長鎖脂肪酸のような天然物に由来するものでもよいし、合成品として市販されているものでもよい。
離型剤の融点(Mpr)は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。離型剤の融点は、例えば、結晶性樹脂の融点(Mpc)の測定と同様の方法で、示差走査熱量計を用いて測定することができる。示差走査熱量計による測定では、離型剤の融点は、測定されたDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度から求められる。離型剤の融点がこのような範囲内であると、このような離型剤を含むトナーコアを備えるトナー粒子を含むトナーは、低温定着性に優れ、高温でトナーを定着させる場合であってもオフセットの発生が抑制される傾向にある。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
<3−2.電荷制御剤>
トナー粒子は、必要に応じて正帯電性の電荷制御剤を含んでもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベル、及びトナーの帯電立ち上がり特性を向上させる目的、並びに耐久性、及び安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる。
電荷制御剤は、公知の電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、アジン化合物(例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、及びキノキサリン);アジン化合物を含む直接染料(例えば、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RL);ニグロシン化合物(例えば、ニグロシン、ニグロシン塩、及びニグロシン誘導体);ニグロシン化合物を含む酸性染料(例えば、ニグロシンBK、ニグロシンNB、及びニグロシンZ);ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;及び4級アンモニウム塩(例えば、ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウム、及びデシルトリメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、トナーの好適な帯電立ち上がり特性を得易い点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
官能基として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル酸系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル酸系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル酸系樹脂、カルボキシル基を有するスチレンアクリル酸系樹脂、及びカルボキシル基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
〔4.その他〕
トナー粒子は、シェル層を含んでもよい。シェル層は、トナー粒子を被覆するように備えられる。シェル層は、例えば、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を含む。
トナー粒子は、トナー粒子の表面に、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。
外添剤としては、シリカ、及び金属酸化物が挙げられる。金属酸化物としては、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムが挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤の使用量は、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
[トナーの製造方法]
次に、トナーの製造方法を説明する。トナーの製造方法は、特に限定されないが、本実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。トナーの製造法は、例えば、準備工程と、トナー粒子作製工程とを含む。
<1.準備工程>
既に上述したように、準備工程は、結着樹脂、及びメラミン樹脂で被覆された磁性粉を準備する。結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を調製し、準備する。
結晶性ポリエステル樹脂の調製の具体例を以下に記載する。アルコール、及びカルボン酸を所定の割合で混合し、単量体の混合物を得る。次いで、単量体の混合物を攪拌しながら、窒素雰囲気下で210℃以上250℃以下まで昇温する。昇温した温度を維持し、単量体を重合反応させることで、結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の調製の具体例を以下に記載する。アルコール、及びカルボン酸を所定の割合で混合し、単量体の混合物を得る。次いで、単量体の混合物を攪拌しながら、窒素雰囲気下で180℃以上220℃以下まで昇温する。昇温した温度で維持し単量体を重合反応させることで、非晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
続いて、メラミン樹脂で被覆された磁性粉の調製の具体例を以下に記載する。メラミン樹脂で被覆された磁性粉の調製工程は、磁性粉調製工程と、被覆工程とを含む。磁性粉調製工程について、マグネタイト粒子の作製を例に挙げて説明する。硫酸第一鉄水溶液にアルカリ(例えば、アルカリ金属の水酸化物)を添加し、混合液を得る。得られた混合液を昇温し、混合液のpHを弱アルカリ(例えば、pHが8以上11以下)に調整する。ここで、混合液の温度は、70℃以上95℃以下が好ましい。弱アルカリ性に調整した混合液の温度を昇温した温度に維持しながら、空気を混合液に吹き込みながら攪拌し、酸化反応させ、懸濁液を得る。空気を浮きこむ時間は、例えば、50分以上300分以下が好ましい。混合液に吹き込む空気の体積は、1分あたり60L以上100L以下が好ましい。
得られた懸濁液に酸(例えば、硫酸)を添加し、懸濁液のpHを7付近とする。更に、昇温した温度を維持し、空気を懸濁液に吹き込み、マグネタイト粒子分散液を得る。空気を浮きこむ時間は、例えば、5分以上30分以下が好ましい。混合液に吹き込む空気の体積は、1分あたり60L以上100L以下が好ましい。得られたマグネタイト粒子分散液を濾過し濾過物を得る。濾過物を水性媒体(例えば、水)で洗浄し、乾燥し、粉砕し、所望の大きさのマグネタイト粒子を得る。
次に、被覆工程について説明する。被覆工程では、メラミン樹脂により磁性粉を被覆する。より詳細には、得られた磁性粉を水性媒体(例えば、水)中に分散させて懸濁液を調製する。懸濁液を弱酸性に調整する。ここで、懸濁液のpHは3以上6以下が好ましい。その後、弱酸性の懸濁液にカップリング剤を添加し、磁性粉を表面処理する。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤が好ましい。カップリング剤の添加量は、懸濁液中の磁性粉に対し数質量%(例えば、1質量%以上10質量%)が好ましい。表面処理された磁性粉を洗浄及び乾燥して取り出す。
続いて、加熱した弱酸性(例えば、pHが3以上6以下)の水性媒体に、メラミン樹脂を形成するための材料を添加する。メラミン樹脂を形成するための材料としては、例えば、メチロールメラミンが挙げられる。更に、表面処理した磁性粉を添加し、混合液を得る。得られた混合物を十分攪拌する。混合液の温度は、例えば、25℃以上50℃以下が好ましい。更に、混合液に水性媒体を添加し、攪拌しながら昇温し、数時間(例えば、1時間以上5時間以下)保持する。昇温する温度としては、例えば、60℃以上80℃以下が挙げられる。保持した後、攪拌した混合液をpH=7に中和する。中和した混合液を濾過し、濾過物を得る。得られた濾過物を洗浄し、乾燥し、メラミン樹脂で被覆された磁性粉を得る。
<2.トナー粒子作製工程>
トナー粒子作製工程は、結着樹脂とメラミン樹脂で被覆された磁性粉とを含むトナー粒子を作製する工程である。トナー粒子作製工程は、結着樹脂中に、メラミン樹脂で被覆された磁性粉を良好に分散できれば特に制限されず、公知の方法を適宜採用できる。公知の方法としては、例えば、溶融混練法、凝集法が挙げられる。トナー粒子作製工程では、任意の成分(例えば、着色剤、電荷制御剤、又は離型剤)をトナー粒子中に分散させてもよい。
溶融混練法によるトナー粒子作製工程は、例えば、混合工程と混練工程とを含む。混合工程は、結着樹脂と、メラミン樹脂で被覆された磁性粉及び任意成分(例えば、着色剤、離型剤、又は電荷制御剤)を混合して混合物を得る工程である。混練工程は、得られた混合物を溶融混練し、混練物を得る工程である。溶融混練法によるトナー粒子作製工程は、更に、粉砕工程と分級工程とを含んでもよい。粉砕工程は、得られた混練物を粉砕する工程である。分級工程は、粉砕した混練物を分級して、所望の粒子径のトナー粒子を得る工程である。トナー粒子の生産性又は着色剤の分散性の観点から、溶融混練法が好ましい。
凝集法によるトナー粒子作製工程は、例えば、凝集工程と合一化工程とを含む。凝集工程は、トナー粒子を構成する成分を含む微粒子を、水性媒体中で凝集させて凝集粒子を形成させる工程である。合一化工程は、凝集粒子に含まれる成分を、水性媒体中で合一化させてトナー粒子を形成させる工程である。トナー粒子の調製方法として凝集法を用いる場合、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナー粒子を得やすい。
トナー粒子作製工程は、更に、洗浄工程と乾燥工程とを含んでもよい。洗浄工程は、水性媒体を用いてトナー粒子を洗浄する工程である。好適な洗浄方法としては、トナー粒子を水性媒体に分散させ、トナー粒子を含む水性分散液を調製する。調製された水性分散液から、固液分離によりトナー粒子をウェットケーキとして回収し、得られるウェットケーキを、水性媒体を用いて洗浄する方法、又はトナー粒子を含む水性分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水性媒体と置換し、置換後にトナー粒子を水性媒体に再分散させる方法が挙げられる。
乾燥工程は、トナー粒子を乾燥する工程である。トナー粒子を乾燥させる好適な方法としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制するため、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
以上、本実施形態に係るトナーを説明した。本実施形態に係るトナーは、低温定着性及び帯電安定性に優れる。このため、本実施形態に係るトナーは、種々の画像形成装置で好適に使用することができる。
[磁性粉A〜B]
2mol/Lの硫酸第一鉄水溶液30Lに、4.5Nの水酸化ナトリウム水溶液28Lを加え、90℃に加熱し、pHを10.5に調整した。続いて、液温を90℃に維持しながら毎分80Lの空気を100分間吹き込み酸化反応させた。この懸濁液にpHが7.0になるよう硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら毎分80Lの空気を10分間吹き込んでマグネタイト粒子を生成させた。
得られたマグネタイト粒子を含む溶液を濾過し、濾過物を得た。濾過物を洗イオン交換水で洗浄した。その後、乾燥、粉砕を行ってマグネタイト粒子を得た。このマグネタイト粒子(磁性粉A)は平均粒径0.2μmの八面体で、796kA/mの測定磁場における保持力は8.5kA/m、飽和磁化82Am2/kg、及び残留磁化5.0Am2/kgであった。磁性粉Aの保持力、飽和磁化、及び残留磁化は、振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM−P7」)を用い、外部磁場796kA/mで測定した。
磁性粉Aを水溶液中に分散させて懸濁液にし、pHを4に設定した後、メトキシシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社製「Z−6030」)を磁性粉の質量に対して2質量%添加しカップリング反応した。その後、洗浄、乾燥した。その結果、表面処理した磁性粉Aを得た。次に3つ口フラスコを30℃の水浴中にセットし、イオン交換水500mLに塩酸を添加して、pHが4の水溶液を得た。続いて、フラスコにメチロールメラミン(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」)を2mL添加し溶解した。続いて、表面処理した磁性粉A300gをフラスコに添加し十分攪拌した。更に500mLのイオン交換水を追加し攪拌しながら昇温し70℃で2時間維持した。その後フラスコ内容物のpHを7とし、フラスコ内容物を中和した。中和したフラスコ内容物を濾過し、濾過物を得た。濾過物を洗浄し、乾燥させメラミン樹脂で被覆された磁性粉Bを得た。メラミン樹脂のSP値を計算すると8.5であった。
[非晶性ポリエステル樹脂A]
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この4つ口フラスコは、温度計、ステンレススチール製攪拌機、ガラス製窒素導入管、及び流下式コンデンサーを備える容量2Lの反応容器である。エチレングリコール45モル%、テレフタル酸40モル%、1,2,4−トリベンゼンカルボン酸無水物5モル%となるように、各々反応容器に投入した。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、反応容器内の内容物(単量体の混合物)を攪拌しながら、反応容器の内温を230℃に昇温し、同温度で攪拌を継続して重合反応を行った。重合反応中に、反応容器内の樹脂を少量採取して酸価の測定を行い、酸価が10mgKOH/gに達した時点で重合反応を停止した。反応容器の内容物をステンレス製のバットに取り出し、室温まで冷却し、非晶性ポリエステル樹脂Aを得た。非晶性ポリエステル樹脂AのSP値を計算すると9.1であった。
[結晶性ポリエステル樹脂A〜Cの調製]
[結晶性ポリエステル樹脂A]
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この4つ口フラスコは、温度計、ステンレススチール製攪拌機、ガラス製窒素導入管、及び流下式コンデンサーを備える容量2Lの反応容器である。1,6−ヘキサンジオール630g、フマル酸700g、エチレングリコール60g、無水トリメリット酸175g、を各々反応容器に仕込んだ。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、単量体の混合物を攪拌しながら反応容器の内温を200℃に昇温し、同温度で攪拌を継続して重合反応を行った。反応容器の内容物をステンレス製のバットに取り出し、室温(25℃)まで冷却し、結晶性ポリエステル樹脂Aを得た。結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は9.9であった。
[結晶性ポリエステル樹脂B]
1,6−ヘキサンジオールの代わりに1,4−ブタンジオールを用い、フマル酸の代わりにステアリン酸を用いたこと以外は、結晶性ポリエステル樹脂Aと同様にして、結晶性ポリエステル樹脂Bを得た。SP値は9.5であった。
[結晶性ポリエステル樹脂C]
1,6−ヘキサンジオールの代わりに1,4−ブタンジオールを用いたこと以外は、結晶性ポリエステル樹脂Aと同様にして、結晶性ポリエステル樹脂Cを得た。SP値は9.4であった。
[トナーの製造]
実施例1
下記材料をFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20」)により、回転数2000rpmの条件で、4分間混合した。
非晶性ポリエステル樹脂A 45質量%
電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「FAC−207P」)3質量%
磁性粉B 44質量%
離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−7」)3質量%
結晶性ポリエステル樹脂A 5質量%
得られた混合物を2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)により、溶融混錬温度(シリンダー温度)120℃、回転数150rpm、処理速度100g/分の条件にて溶融混練した。得られた溶融混練物をロートプレックス粉砕機(アルピネ社製)で2mm程度に粗粉砕し、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)にて粉砕した。得られた粉砕物を風力分級機(日鉄鉱業株式会社製「EJ−L3型」)にて分級して、平均粒子径8μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100質量部、シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「RA200」)0.8質量部、及び酸化チタン(チタン工業株式会社製「EC100」)0.8質量部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20」)により回転数2000rpmの条件で、5分間混合してトナー1を得た。
実施例2
結晶性ポリエステル樹脂Aを結晶性ポリエステル樹脂Bに変更した以外は、実施例1のトナー1と同様にして、トナー2を得た。
実施例3
結晶性ポリエステル樹脂Aを結晶性ポリエステル樹脂Cに変更した以外は、実施例1のトナー1と同様にして、トナー3を得た。
比較例1
結晶性ポリエステル樹脂Aを用いなかったこと以外は、実施例1のトナー1と同様にして、トナーR1を得た。
比較例2
磁性粉Bを磁性粉Aに変更した以外は、実施例1のトナー1と同様にして、トナーR2を得た。
比較例3
結晶性ポリエステル樹脂Aを用いず、磁性粉Bを磁性粉Aに変更した以外は、実施例1のトナー1と同様にして、トナーR3を得た。
[評価方法]
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたトナーの評価方法は、以下の通りである。
(1)トナーの定着性
プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1370DN」)の定着ユニットを外部に取り出し、温度調節できるように改造した。続いて、実施例及び比較例で得たトナーを、上記プリンターにセットし、トナー量1.5mg/cm2を記録媒体(紙、CC90)に転写し、150℃で定着させた(画像の形成)。その後、記録媒体上の定着部を二つ折りにし、この記録媒体の折った上から1kgの真鍮の重りで5回擦った(画像へのストレス付与)。折り曲げたところのトナーのはがれ具合を観察した(はがれの観察)。トナーのはがれ部分の幅が1mm以上を「良くない」、1mm未満を「良い」と判断した(はがれ具合の判断)。判断結果が「良くない」であった場合、定着温度を更に5℃上げたこと以外は同様にして上記の画像の形成、画像へのストレス付与、はがれの観察及びはがれ具合の判断を行った。「良い」との判断結果が出るまで、上記の画像の形成、画像へのストレス付与、はがれの観察及びはがれ具合の判断を繰り返した。判断結果が「良い」となった定着温度を最低定着温度とした。得られた最低定着温度に基づいて、以下の基準でトナーの定着性を評価した。
◎(良い):最低定着温度が180℃以下であった。
×(悪い):最低定着温度が180℃より高かった。
(2)画像濃度(トナーの帯電安定性)
プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「AS−1370DN」改造機)の現像器にトナーをセットし、常温(23℃50%RH)環境に24時間放置した。その後、常温環境下で評価用画像を出力した。評価画像は、正方形(2.5cm×2.5cm角)のパターンでソリッド画像(画像濃度100%)の画像であった。反射型濃度測定器(Gretag Macbeth社製「SpectroEye」)を用いて、評価用画像の中心部の反射濃度を測定した。同様にして、現像器にトナーをセットし、高温高湿(50℃80%RH)環境に24時間放置した。その後、高温高湿環下で評価画像を出力し、画像濃度を測定した。得られた画像濃度に基づいて、以下の基準で、常温環境及び高温高湿環境でのトナーの帯電安定性を評価した。
○(良い):画像濃度は、1.0以上であった。
×(悪い):画像濃度は、1.0未満であった。
表1に作製したトナーの一覧表と評価結果を示す。
Figure 0006252539
実施例1〜3のトナー1〜3は、トナーの定着性の評価がいずれも○(良い)であった。比較例1及び3のトナーR1及びR3は、トナーの定着性評価がいずれも×(悪い)であった。実施例1〜3のトナー1〜3は、比較例R1及びR3のトナーに比べ、トナーの定着性に優れていることを示した。
実施例1〜3のトナー1〜3は、トナーの帯電安定性の評価がいずれも○(良い)であった。比較例2及び3のトナーR2及びR3は、トナーの帯電安定性の評価のうち少なくとも1つが×(悪い)であった。実施例1〜3のトナー1〜3は、比較例2及び3のトナーR2及びR3に比べ、トナーの帯電安定性に優れていることを示した。
実施例1〜3のトナー1〜3は、トナーの定着性及びトナーの帯電安定性の評価がいずれも○(良い)であった。比較例R1〜R3のトナーの定着性及びトナーの帯電安定性の評価は、×(悪い)が少なくとも1つあった。実施例1〜3のトナー1〜3は、比較例1〜3のトナーR1〜R3に比べ、低温定着性及び帯電安定性に優れることを示した。
本発明に係るトナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。

Claims (4)

  1. トナー粒子を含有する磁性トナーであって、
    前記トナー粒子は、結着樹脂と磁性粉とを含み、
    前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含み、
    前記磁性粉は、メラミン樹脂で被覆されている、磁性トナー。
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂の溶解度パラメーター(SPC)は、9.5以上であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂の溶解度パラメーター(SPC)と前記メラミン樹脂の溶解度パラメーター(SPM)とが以下の式(1)を満たす、請求項1に記載の磁性トナー。
    SPC − SPM > 1.0・・・(1)
  3. 前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と混合させる混合樹脂を更に含み、
    前記SPCと前記SPMと前記混合樹脂の溶解度パラメーター(SPT)とが以下の式(2)を満たす、請求項2に記載の磁性トナー。
    SPC > SPT > SPM・・・(2)
  4. 前記混合樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂である、請求項3に記載の磁性トナー。
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