現在、スマートフォンの爆発的な普及に伴って、利便性の高いマイクロ波帯の周波数資源が枯渇している。対策として、第3世代の携帯電話から第4世代の携帯電話への移行や、新しい周波数帯の割り当てが行われている。しかし、サービスの提供を望む事業者が多いことから、各事業者に割り当てられる周波数資源は限られている。
携帯電話のサービスにおいては、複数のアンテナ素子を利用したマルチアンテナ・システムによる周波数利用効率の向上を目指す検討が進められている。既に普及している無線標準規格IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11nでは、送信と受信との双方に複数のアンテナ素子を用いるMIMO伝送技術を用いて空間多重伝送を行う。これにより、IEEE802.11nでは、伝送容量を高めて周波数利用効率を向上させている。なお、MIMOという用語は、一般には送信局及び受信局共に複数アンテナを備えることを想定して使われる。受信側が単数アンテナの場合には、MIMOではなく、MISO(Multiple Input Single Output)という用語が使われる。ただし、本明細書では、これらを全て包含する意味でMIMOという用語を用いる。
また、近時の通信技術としては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式やSC−FDE(Single Carrier Frequency Domain Equalization)方式の様に、複数の周波数成分(サブキャリア)に分割して周波数軸上で信号処理を行う方式が一般的である。以下の説明では、特にOFDMやSC−FDEの区別をせず、それらに共通する一般的な方式を前提として「サブキャリア」という用語を用いて説明する。
MIMO伝送技術においては、送信局と受信局との間の伝送路情報を知ることで、より効率的な伝送を行うことが可能となる。最も単純な例としては、送信側にN本のアンテナ素子を備え、受信側に1本のアンテナ素子のみを備える場合、N本のアンテナ素子から送信される信号が受信アンテナにおいて同位相合成される様に送信側で指向性制御を行う。これにより、回線利得を高めることができる。具体的には、第kサブキャリアにおける送信局の第jアンテナから受信局のアンテナまでの間のチャネル情報をhj (k)としたときに、そのアンテナ素子に対して下記の数式(1)で送信ウエイトwj (k)を算出し、これを送信信号に乗算した信号を各アンテナから送信する。なお、上述のチャネル情報は、厳密には、送信系及び受信系のRF(Radio Frequency)回路内のアンプ、フィルタ等の複素位相の回転、及び振幅の変動情報を含むものとする。
チャネル情報及び送信ウエイトを各アンテナに対応させた各成分とするベクトルを、ダウンリンクにおけるチャネル情報ベクトルh(k)及び送信ウエイトベクトルw(k)と称する。厳密には、ダウンリンクにおけるチャネル情報ベクトル→h(k)(「h(k)」の前の記号「→」は、hの上に付与されてベクトルを表すための記号である)は行ベクトル、送信ウエイトベクトル→w(k)は列ベクトルとして表記されるべきである。しかし、本明細書では、簡単のために、行ベクトルと列ベクトルとを区別せずに表記する。また、以降の説明では受信信号Rx、送信信号Tx及びノイズnに関する表記も同様に「→」を付与してベクトルであることを明示すべきであるが、他に紛らわしい表記がないので「→」を省略して説明する。受信信号Rxは、送信信号Tx及びノイズnに対して下記の数式(2)で与えられる。
数式(1)を数式(2)に代入すると、チャネル情報ベクトルh(k)の各成分の絶対値を全アンテナ成分にわたって加算した値がチャネル利得として得られる。N本アンテナであれば、受信信号の振幅は1本アンテナで送信した場合のN倍になるものと期待される。受信信号強度は、振幅の2乗に比例するからN2倍にまで改善される。この値が複数のアンテナ素子をアレーアンテナとして利用した場合の利得である。
一般的には、シャノンの定理により、SNR(Signal-Noise Ratio)の改善量に対して、伝送容量の増加は、低SNR領域ほど大きく、高SNR領域ほど小さいことが知られている。そのため、回線利得の改善によって伝送容量の向上を目指すより、受信側にも複数のアンテナを備え、空間多重によって伝送容量の向上を目指すことが多い。空間多重によって伝送容量のアップを目指すのがMIMO伝送技術である。複数の送信アンテナと受信アンテナとの間のチャネル情報が既知の場合には、そのチャネル行列をSVD(Singular Value Decomposition)分解し、固有モードでの伝送を行うことで伝送容量を最大化する。
具体的には、下記の数式(3)の様に、チャネル行列Hをユニタリー行列Uとユニタリー行列V、及び特異値λを対角成分にもつ対角行列Dに分解する。
この際、送信ウエイト行列としてユニタリー行列Vを用いれば、受信信号ベクトルRxは、送信信号ベクトルTx、ノイズベクトルnに対して、下記の数式(4)で与えられる。
受信側では、ユニタリー行列Uのエルミート共役の行列UHを乗算することで、下記の数式(5)を得る。
数式(5)において、対角行列Dの非対角成分はゼロであるから、送信信号のクロスタームは既にキャンセルされ、信号分離された状態となる。各特異値λの絶対値の2乗値が個別の信号系列の回線利得に相当する。各特異値λは、信号系統ごとに異なる値となる。この固有モードの特異値に合わせた伝送モードを最適化することによって、伝送容量を最大化することができる。伝送モードは、変調多値数と誤り訂正の符号化率などの組み合わせで定まる信号伝送の具体的なモードである。
上記は、1台の基地局と1台の無線局を想定したシングルユーザMIMO伝送技術に関する説明である。同様の説明は、1台の基地局と複数台の無線局との間において同時に同一周波数軸上で通信を行うマルチユーザMIMOにも拡張可能である。マルチユーザMIMOにおいては、一般に、各無線局は空間多重する合計の信号系統数よりも少ない本数のアンテナ素子で通信を行う。そのため、ダウンリンクにおいては、送信側で事前にユーザ間干渉を抑圧するための指向性制御を行う。具体的な式は若干異なるが、基本的には上記の固有モード伝送と同様に、チャネル行列を把握した上でそれに合わせた送信ウエイトを用いる。
また、上記の説明では、ダウンリンクを中心に説明を行ったが、アップリンクにおいても同様に事前にチャネル情報を把握した上で、そのチャネル情報を利用した通信を行うことができる。例えば、最初に説明したアレーアンテナとしての処理においては、数式(1)にて与えられる同位相合成のウエイトを受信ウエイトとして用いる他、最大比合成のウエイトとして、下記の数式(6)で与えられるものを用いることも可能である。
数式(6)の定数Cは適宜定められる係数である。ベクトルの各成分の中でhj (k)の絶対値が大きいものは大きな重みで足し合わされ、また、小さな信号は小さな重みで足し合わされる。これにより、SNRの大きな信号を重視し、SNRの小さな信号の雑音が過度に影響を与えない様に調整が図られる。
以上のマルチユーザMIMO及びアレーアンテナの技術を更に発展させた新しい空間多重伝送技術として、大規模アンテナシステムの提案がなされている(例えば、非特許文献1から非特許文献4参照)。
図13は、大規模アンテナシステムの概要を示す図である。図13においては、基地局1、無線局2、見通し波3、構造物による安定反射波4、地上付近の多重反射波5〜6、構造物7が示されている。図13の大規模アンテナシステムにおいて、基地局1は、多数(例えば100本以上)のアンテナ素子を備え、ビルの屋上や高い鉄塔の上など高所に設置される。無線局2も同様に、ビルの屋上、家屋の屋根の上、電信柱や鉄塔の上など高所に設置される。そのため、基地局1と無線局2との間は概ね見通し環境にある。基地局1と無線局2との間には、見通し波3のパスや大型の安定的な構造物7の安定反射波4などに加え、地上付近での車や人などの移動体などによる多重反射波5〜6が混在する。更に指向性アンテナを用いる場合などは特に、地上付近の多重反射波5〜6は、見通し波3及び安定反射波4などに比べて受信レベルが低くなる。
図14は、見通し環境及び見通し外環境におけるインパルス応答を表す図である。図14(a)は見通し外環境でのインパルス応答を、図14(b)は見通し環境でのインパルス応答をそれぞれ示している。図14(a)及び(b)において、横軸は遅延時間、縦軸は各遅延波の受信レベルを表す。図14(a)に示した見通し外環境の場合、見通し区間の直接波成分は存在せず、様々な経路の多重反射波が数多く成分として存在し、各振幅及び複素位相は時間と共にランダムに激しく変動する。
これに対し、図13に示した大規模アンテナシステムの様な見通し環境を想定する場合、見通し波3、構造物7による安定反射波4の安定パスはレベルが高い。見通し波3、構造物7による安定反射波4よりも遅延量が大きい時変動パスの多重反射波は、多重反射と経路長に伴う減衰により、図14(b)に示す様に相対的にレベルが小さくなる。この様なチャネル情報を複数回取得して平均化した場合、安定パスの成分は振幅及び複素位相共に毎回安定しているので、平均化されたチャネル情報からの変化は小さい。これに対して、時変動パスの成分は複素空間上でランダムに合成され平均化される。そのため、平均化により安定成分のみを効果的に抽出することが可能になる。
このようにして得られる時変動のない安定パスのチャネル情報を基に、基地局1は送受信ウエイトを算出する。基地局1は、算出した送受信ウエイトを用いて多数のアンテナ素子で同位相合成を行うための指向性制御を行う。上記の送受信ウエイトを用いることで、基地局1は、指向性制御のターゲットとする通信相手の無線局への指向性利得をアンテナ本数Nの2乗倍に比例して高めることができる。また、ターゲット以外の無線局への与干渉の指向性利得はN倍に留まるため、相対的に希望信号と干渉信号との間には単純計算でN倍のギャップが生じる。結果的にSIR(Signal to Interference Ratio)の期待値は10Log10(N)dBとなる。この期待値は、Nが100の場合には20dBとなる。更に相関の小さな無線局を選択的に空間多重する場合には、更なるSIR特性の改善が期待され、より高い空間多重が実現できる。
非特許文献3及び非特許文献4には、上記の送受信ウエイトでは抑圧しきれない干渉を更に抑圧するための技術や、より低いチャネル相関が得られる無線局の組み合わせを選択する技術が紹介されている。超高次の空間多重を実現するためには、チャネル情報の相関の小さな無線局を組み合わせることが重要である。基地局の多数のアンテナと第j無線局との間の第kサブキャリアに関するチャネル情報を成分とするチャネル情報ベクトル→hj (k)と、別の第i無線局におけるチャネル情報ベクトル→hi (k)との間のチャネル相関は下記の数式(7)で与えられる。
見通し波のみで構成される仮想的なチャネルモデルを想定すると、上記のチャネル相関は、基地局から二つの異なる無線局への方位間の方位差角度θに強く依存した振る舞いを示すと考えられる。図15は、基地局から方位差角度θをもって存在する二つの無線局を示す図である。同図に示す様に、一方の無線局と基地局との間のチャネル情報ベクトルを→h1 (k)とし、他方の無線局と基地局との間のチャネル情報ベクトルを→h2 (k)とすると、方位差角度θに対するチャネル相関の依存性を計算することができる。
図16は、方位差角度θの二つの無線局におけるチャネル相関の方位差角度θ依存性を示す図である。ここでのシミュレーション条件は、基地局のアンテナ数を128本とし、5.2GHzの周波数帯において、2波長間隔で128本のアンテナを円形に配置することを想定した。基地局と無線局との間は3kmで固定し、円形に無線局の座標を動かしながらチャネル相関を計算している。図16を読み取ると、方位差角度θが例えば5度程度以下であるとチャネル相関が大きな値になる場合がある。しかし、所定の閾値α度を越えると相関は概ね0.2以下となる。非特許文献4に示されるスケジューリング法は、この方位差角度が5度以上の場合におけるチャネル相関の低さを積極的に利用したものである。
[本発明の関連技術]
大規模アンテナシステムでは、送受信される信号を多数のアンテナで同位相合成することにより、指向性利得と空間多重時のSIR特性との改善を図ることができる。これに対して、従来のマルチユーザMIMOを用いた通信システムにおいては、送受信の際に用いるウエイト行列(ないしは無線局ごとに分解すればウエイトベクトルに対応)は、同時に空間多重を行う無線局の組み合わせに応じて異なる。そのため、空間多重をした際の特性を正確に把握するためには、空間多重する無線局の組み合わせでウエイト行列を算出する必要がある。しかし、ウエイト行列を算出するための演算量が膨大であるために、多くの無線局の組み合わせパターンに対して実際に送受信ウエイトを適用した際の特性を評価することが困難であった。
また、非特許文献4に記載の技術は、見通し波が支配的で且つ基地局装置側に円形アレーアンテナを用いた場合に適用可能であり、異なる構成のアンテナ配列を用いた場合や反射の影響などが無視できない場合などには適用しても十分な効果が得られない。この様な場合には、その環境における実際のSIR特性を反映した簡易なスケジューリング技術が求められる。
また、大規模アンテナシステムにおいては、同位相合成を実現する送受信ウエイトには数式(1)又は数式(6)が用いられるので、送受信ウエイト自体は元々のチャネルベクトルの複素共役ベクトルに定数を乗算したベクトルとなっている。そのため、非特許文献3に記載のユーザ間干渉抑圧法を適用前のSIR特性は、同時に空間多重を行う無線局に対する数式(7)に示した相関値の累積値(総和)に相当する物理量に概ね依存することになる。
以下に、図面を参照して、本発明の関連技術を説明する。以下の説明では周波数成分に関する添え字のkを記載するが、これは任意の周波数成分を意味する。例えばOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplex Access)方式の様にサブキャリアごとに個別にスケジューリングを行うシステムであれば、本発明の関連技術は個別の周波数成分でのスケジューリングに活用できる。また、チャネル情報が帯域内の周波数成分間である程度相関が強い場合には、一つの周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分のスケジューリング結果を、全帯域に対するスケジューリング結果として用いることも可能である。
また更に、数式(7)では左辺に示す関数fの引数にふたつのチャネル情報ベクトル→h1 (k)及び→h2 (k)を明示的に示していたが、以下の説明ではこれを簡略化しf(→h1 (k),→h2 (k))をf[i,j,k]として表記する。また、事前に無線局に対して通し番号に相当する識別番号を設定し、スケジューリングを行う際にはj番目に割り当てが確定した無線局の識別番号をS(j)として表記することにする。また便宜上、j=0に対してS(0)=0、f[i,0,k]=f[0,i,k]=0として扱うことにする。また、物理的には同一局間の相関を表すf[i,i,k]は1とすべきところではあるが、本スケジューリング処理では異なるふたつの無線局間の相関を議論するので、処理のための便宜上、f[i,i,k]=0として扱うことにする。
図1は、関連技術における無線通信システムの構成を示す図である。図1に示す様に、無線通信システムは、一つの基地局装置100と、複数の無線局150とを備える。基地局装置100は複数のアンテナ素子を備える。無線局150は一つのアンテナ素子を備える。基地局装置100は、各無線局150との間に形成されるMIMOチャネルを利用し複数の無線局150に対して空間多重通信を行う。無線通信システムは、例えば図13に示した大規模アンテナシステムとして用いられる。
大規模アンテナシステムとして用いる場合、基地局装置100の複数のアンテナ素子は、図13に示した大規模アンテナシステムにおける基地局1のアンテナの様に、ビルの屋上や高い鉄塔の上などの高所に設置される。また、無線局150それぞれのアンテナ素子も同様に高所に設置される。これにより、基地局装置100と各無線局150との受信信号において、見通し波又は安定反射波或いは両方の受信レベルが高くなる。
図2は、関連技術における基地局装置100の構成例を示すブロック図である。図2に示す様に、基地局装置100は、複数のアンテナ素子101、無線通信部102、チャネル情報取得部103、チャネル情報記憶部104及びスケジューリング部110を備えている。スケジューリング部110は、送信機会待ち行列111、判定対象選択部112、相関値判定部113、累積値判定部114、バッファ115及び割当無線局決定部116を有している。
無線通信部102は、複数のアンテナ素子101を介して、複数の無線局150と通信を行う。無線通信部102は、複数の無線局150と通信する際に、複数のアンテナ素子101と各無線局150のアンテナ素子との間で形成されるMIMOチャネルを利用して同一時刻に空間多重された通信を行う。無線通信部102が通信対象とする無線局150の組み合わせは、スケジューリング部110によって選択される。
チャネル情報取得部103は、無線通信部102が受信する信号に基づいて、各無線局150との間における伝搬環境を示すチャネル情報を無線局150ごとに取得する。なお、チャネル情報取得部103が取得する無線局150ごとのチャネル情報は、無線通信システムにおいて用いられる周波数帯の各周波数成分におけるチャネル情報である。チャネル情報取得部103は、無線局150それぞれの各周波数成分におけるチャネル情報と当該無線局150を識別する識別番号とを対応付けてチャネル情報記憶部104に記憶させる。チャネル情報取得部103は、スケジューリング部110が通信対象の無線局150の組み合わせを選択する前に、各無線局150のチャネル情報を事前に取得してチャネル情報記憶部104に記憶させる。取得のタイミングは通信サービスのサービス提供中に逐次取得してもよい。或いは、非特許文献1〜4に記載の大規模アンテナシステムでは、通信サービスの開始前に全てのチャネル情報を取得し、これを記憶しておく構成としても構わない。このチャネル情報の取得方法は、スケジューリング処理とは独立の技術であり、如何なる組み合わせでも本実施形態におけるスケジューリング処理は実現可能である。
チャネル情報記憶部104には、無線局150ごとに各周波数成分のチャネル情報が記憶される。
基地局装置100において、無線局150へ送信すべき情報が発生すると、その送信すべき情報(データ)は無線通信部102に入力されて無線通信部102内の送信バッファに収容される。また、送信すべき情報の無線通信部102への入力に合わせて、当該情報の宛先情報及び情報量などを含む制御情報がスケジューリング部110の送信機会待ち行列111に入力される。宛先情報には、例えば無線局150の識別番号が用いられる。送信機会待ち行列111は、基地局装置100において無線局150へ送信すべき情報が発生した順に、当該無線局150の識別番号を記憶するバッファである。送信機会待ち行列111に識別番号が記憶されている場合、送信機会の割り当てを待っている無線局150が存在していることになる。なお、送信機会待ち行列111は、送信すべき情報が発生した順に記憶する無線局150の識別番号と共に、上述の情報量などを含む情報を記憶してもよい。
判定対象選択部112は、スケジューリング処理が開始されると、送信機会待ち行列111に記憶されている識別番号を先頭から一つ読み出す。判定対象選択部112が読み出した識別番号の無線局150は、スケジューリング処理において送信機会を与えるか否かの判定対象の無線局150として扱われる。判定対象選択部112は、読み出した識別番号を相関値判定部113、累積値判定部114及び割当無線局決定部116に出力する。
相関値判定部113は、判定対象選択部112によって判定対象に選択された無線局150と基地局装置100との間のチャネル情報と、既に送信機会が割り当てられている各無線局150と基地局装置100との間のチャネル情報との相関値を周波数成分ごとに算出する。相関値判定部113は、割当無線局決定部116から既に送信機会が割り当てられている無線局150の情報の通知を受ける。相関値判定部113は、チャネル情報記憶部104に記憶されているチャネル情報に基づいて、これらの各無線局150との相関値を算出する。相関値判定部113は、算出した各周波数成分の相関値に基づいて、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てるか否かの判定を行う。相関値判定部113は、判定結果を割当無線局決定部116に出力する。
累積値判定部114は、割当無線局決定部116から既に送信機会が割り当てられている各無線局150の情報の通知を受ける。累積値判定部114は、チャネル情報記憶部104に記憶されているチャネル情報に基づいて、相関値を算出する。更に、累積値判定部114は、判定対象の無線局150と既に送信機会が割り当てられている各無線局150とにおいて、無線局150ごとに他の無線局150との相関値の累積値(総和)を周波数成分ごと算出する。累積値判定部114は、無線局150ごとに算出した累積値に基づいて、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てるか否かの判定を行う。累積値判定部114は、判定結果を割当無線局決定部116に出力する。
バッファ115には、割り当て済み無線局バッファと次回割り当て待ちバッファとが含まれる。割り当て済み無線局バッファには、スケジューリング処理において送信機会が割り当てられた無線局150の識別番号が記憶される。相関値判定部113及び累積値判定部114は、割り当て済み無線局バッファに記憶されている識別番号を読み出すことにより、既に送信機会が割り当てられている無線局150を取得することができる。次回割り当て待ちバッファには、スケジューリング処理における送信機会を割り当てるか否かの判定の結果、送信機会が割り当てられなかった無線局150の識別番号が記憶される。
割当無線局決定部116は、相関値判定部113及び累積値判定部114から出力される判定結果に基づいて、判定対象選択部112によって判定対象に選択された無線局150に送信機会を割り当てるか否かを決定する。割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てる決定をした場合、判定対象の無線局150の識別番号を割り当て済み無線局バッファに記憶させる。割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てない決定をした場合、判定対象の無線局150の識別番号を次回割り当て待ちバッファに記憶させる。
また、割当無線局決定部116は、割り当て済み無線局バッファに記憶されている識別番号の数が空間多重の上限数に達しているか否かの判定を行う。上限数に達している場合、割当無線局決定部116は、割り当て済み無線局バッファに記憶されている識別番号を読み出す。割当無線局決定部116は、読み出した識別番号を無線通信部102に出力して、当該識別番号の無線局150に対する通信を無線通信部102に行わせる。また、上限数に達している場合、割当無線局決定部116は、次回割り当て待ちバッファに記憶されている識別番号を読み出し、送信機会待ち行列111の先頭領域に記憶させる。割当無線局決定部116は、スケジューリング処理において、送信機会を割り当て済みの無線局150の数をカウントするカウンタを有する。
無線通信部102は、送信機会が割り当てられた各無線局150の識別番号を含む割り当て決定の通知を割当無線局決定部116から受けると、当該識別番号の無線局150を宛先とする情報(データ)を無線通信部102内の送信バッファから読み出す。無線通信部102は、読み出した情報(データ)それぞれを、所定の無線通信のための信号処理の後に送信機会が割り当てられた無線局150それぞれに宛てて送信する。
図3及び図4は、関連技術における基地局装置100が行うスケジューリング処理を示すフローチャートである。スケジューリング処理では、同一時刻に空間多重された通信を行う対象となる無線局150の組み合わせを決定する。基地局装置100において、スケジューリング処理が開始されると(処理S1)、割当無線局決定部116は、割り当て済み無線局150の数を管理するためのカウンタjにゼロを代入してリセットする(処理S2)。カウンタjのリセットが完了すると、判定対象選択部112は、送信機会待ち行列111に割り当て待ちの無線局150が存在するか否かを判定する(処理S3)。
処理S3の判定において、送信機会の割り当てを待つ無線局150が存在する場合(処理S3でYES)、判定対象選択部112は、送信機会待ち行列111における先頭の無線局150を判定対象の無線局150に選択する(処理S4)。相関値判定部113は、判定対象の無線局150のチャネル情報と、送信機会を既に割り当てられたj局の無線局150それぞれのチャネル情報との周波数成分ごとの相関値が所定の閾値β以下であるか否かの判定を、第1段階目の判定として行う(処理S5)。ここで、相関値は、数式(7)で算出される値である。上述の表記f[i,j,k]を用いて数式(7)を簡略化して表記すると、処理S5における判定の条件は、下記の数式(8)として表される。
数式(8)において、mは、送信機会の割り当ての可否を判定する対象の無線局150の識別番号である。S(i)(ここで、0≦i≦j)は送信機会が既に割り当てられた無線局150の識別番号である。すなわち、S(i)は、バッファ115に含まれる割り当て済み無線局バッファにi番目に記憶された識別番号を表す。閾値βは、0<β<1の所定の実数である。スケジューリング処理における初回の処理S5、すなわちj=i=0の場合における処理S5では、S(j)=0により数式(8)の左辺のf[S(i),m,k]はゼロであり、数式(8)は常に満たされる。スケジューリング処理において初回の処理S5の判定結果は、条件を満たすという判定結果になる。
処理S5の判定において、判定対象の無線局150と割り当て済みの無線局150それぞれとの相関値が数式(8)を満たす場合(処理S5でYES)、累積値判定部114は、第2段階目の判定を行う(処理S6)。第2段階目の判定として、累積値判定部114は、割り当て済みの無線局150のうち識別番号がS(i)(0≦i≦j)である無線局150及び識別番号がmの判定対象の無線局150に対して、周波数成分ごとに下記の数式(9)及び数式(10)が共に成立するか否かを判定する。数式(9)及び数式(10)におけるγ(j)は、割り当て済みの無線局150の数がj局である場合における所定の閾値を表す。
処理S6の判定において、割り当て済みの無線局150それぞれについて数式(9)及び数式(10)が共に満たされる場合(処理S6でYES)、割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150に対する割り当てを承認する(処理S7)。割当無線局決定部116は、割り当て済みの無線局150の数を示すカウンタjに1を加算し(処理S9)、第j番目の割り当て済みの無線局150としてS(j)にmを代入する(処理S10)。言い換えると、割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150の識別番号mを、送信機会が割り当てられた無線局150の識別番号として割り当て済み無線局バッファに記憶させる。
割当無線局決定部116は、送信機会を割り当てる無線局150の数に対する上限値Jにカウンタjが達したか否かを判定する(処理S11)。カウンタjが上限値Jに達していない場合(処理S11でNO)、割当無線局決定部116は、処理を処理S3に戻して、送信機会の割り当てを繰り返す。カウンタjが上限値Jに達している場合(処理S11でYES)、割当無線局決定部116は、処理を処理S12に進める。
処理S5の判定において判定対象の無線局150と既に割り当てた無線局150との相関値のうち少なくとも一つが数式(8)を満たさない場合(処理S5でNO)又は処理S6の判定において既に割り当て済みの無線局150のうち数式(9)を満たさない無線局150がある場合若しくは識別番号mの無線局150が数式(10)を満たさない場合(処理S6でNO)、割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150に対する割り当てを承認しない。この場合、割当無線局決定部116は、判定対象の無線局150の識別番号mを次回割り当て待ちバッファの末尾に加え(処理S8)、処理をS3に戻して、送信機会の割り当てを繰り返す。
処理S3の判定において送信機会の割り当てを待つ無線局150が存在しない場合(処理S3でNO)、或いは、処理S11の判定においてカウンタjが上限値Jに達している場合(処理S11でYES)、割当無線局決定部116は、次回割り当て待ちバッファに含まれる各無線局150の識別番号を送信機会待ち行列111の先頭に順に移し(処理S12)、スケジューリング処理を終了させる(処理S13)。
割当無線局決定部116は、スケジューリング処理を終了した後に、割り当て済み無線局バッファに記憶されている識別番号を全て読み出す。割当無線局決定部116は、読み出した識別番号の無線局150の組み合わせを、空間多重の対象となる無線局150の組み合わせとして無線通信部102に通知する。
なお、数式(9)及び数式(10)に含まれる所定の閾値γ(j)の値は、jの増加と共に単調増加するか又は単一の値であり、γ(j)≦γ(j+1)の関係を満たす閾値γ(j)であれば、如何なる関数でも構わない。最も単純な例は、全てが同一の所定の閾値を示す場合であり、その他にも例えば下記の数式(11)で表される様なγ(j)であってもよい。
数式(11)において、βは数式(8)における閾値であり、β’は0<β’<βなる所定の定数である。また、Γ(1)=1、2≦jの整数jに対して1>Γ(j)≧Γ(j+1)>0を満たす任意のΓ(j)に対し、下記の数式(12)で与えられる閾値γ(j)を用いてもよい。
図3及び図4に示したスケジューリング処理において、処理S5における第1段階目の判定は、判定対象の無線局150と既に割り当て済みの無線局150との二つの無線局間での相関値が所定の閾値βより小さいことを確認している。処理S6における第2段階目の判定は、相関の累積値が所定の閾値γ(j)より小さいことを確認している。第1段階目の判定と第2段階目の判定とが満たされた場合に、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てることが承認されるという手順でスケジューリング処理が行われる。なお、閾値β及び閾値γ(j)の値は、シミュレーションの結果や実測値により得られた、チャネル情報や空間多重において得られる伝送レートなどに基づいて定めてもよい。同様に、上限値Jも、ミュレーションの結果や実測値に基づいて定めてもよい。
なお、スケジューリング処理における処理S8及び処理S12は、判定を行った結果、送信機会が割り当てられなかった無線局150に対して、次回の割り当てにおいて優先的に判定が行われる様にするための救済処置に相当する。
また、ここでのスケジューリング処理は、例えばタイムスロットが区切られたTDMA(Time Division Multiple Access)フレーム内のタイムスロットの割り当てであってもよいし、送信機会ごとの割り当て処理であってもよい。また、無線局150ごとに送信すべき情報が一般的には異なるため、図3及び図4に示すスケジューリング処理により送信機会の割り当てが行われた無線局150へ送信すべきデータが残っている場合に、次の割り当てにおいて当該無線局150に対して継続的に割り当てを行うこととしてもよい。この場合には、図3及び図4の処理において継続的に割り当てる無線局150の数がj局であれば、それらの無線局150をj≧iなる通し番号iを用いて新たなS(i)として再構成して管理し、処理S3に途中から割り込む形で割り当てを再開してもよい。
また、継続的に割り当てるj局を送信機会待ち行列111の先頭に当初の順番通りに並べて、再度、図3及び図4に示すスケジューリング処理を最初からやり直せば、当該のj局に対する処理S5及び処理S6における判定は全て満たされて処理S7が行われるので、継続的な割り当てを実現することが可能である。また逆に、これらの無線局150を全て一旦、割り当てが終了したものと見なして、送信機会待ち行列111の末尾に順番に並べなおしても良い。
更に、一般の広帯域のシステムではシングルキャリア伝送に加えてOFDM方式やOFDMAなどの方式が存在し、この中でOFDMA方式の場合には、サブキャリアごとに個別の割り当て処理を行うために、図3及び図4に示すスケジューリング処理を周波数成分ごとに行ってもよい。ここでも先に説明した様に、ある周波数成分で割り当てが行われた無線局150に関しては、次の周波数成分におけるスケジューリング処理においては継続的に割り当てを行うこととしてもよいし、一旦、割り当てが終了したものと見なして、送信機会待ち行列111の末尾に順番に並べなおしてもよい。これらの伝送方式の違いにより、スケジューリング機会ごとの無線局150の扱いは異なるが、上述したスケジューリング処理の特徴は送信機会を割り当てるか否かの判定ごとに、図3に示した処理S5及び処理S6の条件を満たすことを確認し、その条件に合致した無線局150を同時に空間多重する無線局150として承認する点にある。
また、アップリンクとダウンリンクとの双方の送信機会を基地局装置100が集中管理する場合、基地局装置100は、アップリンクとダウンリンクとにおいて別々にスケジューリング処理を行うことになる。各無線局150がアップリンクでの情報を送信するために送信機会を要求する方法は、例えば制御回線において帯域要求と送信する情報量などとを通知するとしてもよいし、帯域の要求の有無にかかわらずラウンドロビン方式で各無線局150に定期的に割り当てるものとしてもよいし、如何なる割り当て要求の管理の仕方であっても、上述したスケジューリング処理を適用することができる。
また、ここでは相関値を算出するのに用いるチャネル情報は、スケジューリング処理を開始する前に取得済みであることを前提とするが、そのチャネル情報は時変動のないものである必要はない。チャネル情報に時変動がある場合に、チャネル情報の更新を頻繁に行うことを許容すれば、無線局150は必ずしも高所に固定設置されている必然性はない。したがって、無線局150をモバイル用端末としても、スケジューリング処理を実施することは可能である。また、ここで利用されるチャネル情報は、基地局装置100と無線局150との間でチャネル情報のフィードバックを行い取得される。つまり、何らかのチャネルフィードバック処理が必要であるが、そのフィードバック方法を如何に実現するかには図3及び図4に示したスケジューリング処理は全く依存することはなく、如何なるフィードバック方法を用いても構わない。
ここで、図3及び図4に示したスケジューリング処理では、処理S5及び処理S6における判定を行う際に数式(8)、数式(9)及び数式(10)の不等式を満たすか否かの判定を行う必要があった。大規模アンテナシステムの様にチャネル情報の時変動がほとんど無視できる場合には、事前に取得したチャネル情報を基に、数式(7)に相当する相関値を事前に算出し、算出した相関値をテーブル化して処理を簡易化することができる。以下では、上述の様な処理の簡易化が図られた基地局装置について説明する。
図5は、関連技術における基地局装置200の構成を示すブロック図である。基地局装置200は、図5に示す様に、複数のアンテナ素子101、無線通信部102、チャネル情報取得部103、チャネル情報記憶部104、相関値算出部201、テーブル記憶部202及びスケジューリング部110を備えている。基地局装置200と基地局装置100との差分は、基地局装置200が相関値算出部201及びテーブル記憶部202を備えている点である。基地局装置200が備える機能部のうち、基地局装置100が備える機能部と同じ機能部には同じ符号を付して、その機能部の説明を省略する。
相関値算出部201は、チャネル情報記憶部104に記憶されている無線局150ごとのチャネル情報に基づいて、二つの無線局150におけるチャネル情報の相関値を算出する。相関値算出部201は、算出した相関値と当該相関値に対応する二つの無線局150の組とを対応付けてテーブル記憶部202に含まれるテーブルに記憶させる。相関値算出部201は、無線通信システムが備える無線局150における全ての組に対して相関値を算出してテーブルに記憶させる。また、相関値算出部201は、無線通信システムにおける周波数成分kごとに各組の相関値を算出してテーブルに記憶させる。
テーブル記憶部202には、周波数成分kごとのテーブルが含まれる。各テーブルには、相関値算出部201によって算出された相関値と当該相関値に対応する無線局150の組とが対応付けられている。
基地局装置200は、図3及び図4に示したスケジューリング処理を、基地局装置100と同様に行う。ただし、基地局装置200においては、相関値判定部113が処理S5における判定を行う場合、相関値判定部113は、判定を行う無線局150の組に対応する相関値をテーブル記憶部202のテーブルから読み出すことになる。また、累積値判定部114が処理S6における判定を行う場合、累積値判定部114は、判定を行う無線局150の組に対応する相関値をテーブル記憶部202のテーブルから読み出すことになる。
図6は、テーブル記憶部202に含まれるテーブルの一例を示す図である。テーブルの最上段及び最左列に記載の数字は無線局150の識別番号である。相関値算出部201は、図6に示す様に、周波数成分kにおける第i番目の無線局150と第j番目の無線局150との相関値T(i,j)を記憶するテーブルを周波数成分kごとに、スケジューリング処理が行われる前に作成する。これにより、相関値判定部113及び累積値判定部114は、テーブルを参照することにより相関値f[i,j,k]が取得できる。各周波数成分のテーブルに記憶される相関値T(i,j)は、0から1までの間の値をとる。なお、以下のテーブルに関する説明では簡単のため周波数成分kに関する表記は省略する。
例えば、図6に示すテーブルでは、T(1,2)=T(2,1)=0.12、T(1,3)=T(3,1)=0.34、T(1,4)=T(4,1)=0.08の様に、無線局150の組み合わせに相関値が対応付けられている。基地局装置200では、この様なテーブルを用いることにより、図3及び図4に示したスケジューリング処理における処理S5及び処理S6の判定において相関値を算出する必要がなくなる。相関値判定部113及び累積値判定部114は、判定対象の周波数成分kに対応するテーブルから相関値を読み出すことで簡易に処理を行うことができる。なお、対角成分のT(i,i)は便宜上ゼロとして扱う。
また、図3の処理S5における判定は、所定の閾値βに対してテーブル値を比較する判定であるため、判定を行う都度に相関値と閾値βとの比較を行わなくても、事前に比較を行った結果を記憶させた比較結果テーブルを別途設ける様にしてもよい。これにより、更に処理の簡易化を行うことができる。図7は、処理S5の判定結果を記憶する比較結果テーブルの一例を示す図である。図7には、閾値β=0.30とした場合における図6のテーブルの相関値に対応する比較結果が示されている。なお、図7に示す比較結果テーブルでは、無線局150の組み合わせに対称性があるので、対角成分より左下側を空欄にしている。この様な比較結果テーブルは、例えば相関値算出部201が相関値を算出した際に、テーブル記憶部202に作成してもよい。
図6に示すテーブルが用いられる場合、図3における処理S5の判定は、判定対象の無線局150の識別番号をmに対して、1≦i≦jなる全てのiに対してT(S(i),m)が閾値β以上であるか否かの判定に相当する。なお、図7においては、判定結果を「○」(マル)と「×」(バツ)とで示しているが「○」に対して「1」を割り当て「×」に対して「0」を割り当てることにより、判定結果を数値化して比較結果テーブルに記憶させてもよい。判定結果を「1」と「0」とで表す場合、判定対象の無線局150の識別番号をmとすれば、処理S5の数式(8)を用いた判定は、下記の数式(13)が成立するか否かの判定として扱うことができる。
ここで、式(13)の演算は判定結果が全て「1」の場合に成立するため、ハードウェアとしては論理積ANDを用いた簡易な回路で実現することも可能である。
なお、関連技術において、基地局装置200が備えるテーブル記憶部202のテーブルに記憶させる相関値は、伝搬環境の変動を反映させるために更新してもよい。この際、相関値の更新に必要になるチャネル情報も伝搬環境の変動を反映させる形で更新してもよい。更に、取得済みのチャネル情報を更新せずとも、基地局装置200が新たな無線局150を収容する場合には、新たな無線局150に関するチャネル情報を取得し、テーブルにおける新たな無線局150に対応する行及び列を追加する更新を行ってもよい。また、基地局装置200に一旦収容された無線局150が運用を停止する場合ないし当該無線局150が基地局装置200の通信圏外に移動した場合などにおいて、相関値算出部201は、テーブルから当該無線局150のデータを削除しても構わない。
[本発明の概要]
図3及び図4に示したスケジューリング処理は、仮に広帯域の無線通信システムを想定するならば、特定の周波数成分に着目し、着目した周波数成分のチャネル情報の相関値に基づいて送信機会の割り当てが行われる。これは、周波数方向のチャネル情報の相関が強く、ある周波数成分で得られたチャネル情報の相関値と、帯域内の別の周波数成分におけるチャネル情報の相関値が概ね近似できる関係にある場合に、広帯域の無線通信システムであっても一つの周波数成分に着目してスケジューリング処理を行うことは可能である。
しかし、一般にはマルチパスの影響を受けて、周波数成分ごとにチャネル情報の相関は異なる振る舞いを示すことが多い。先の関連技術においても説明した様に、例えばOFDMA方式を採用した無線通信システムでは、周波数成分ごとに異なるスケジューリング処理を行うため、周波数成分ごとに異なる相関を示しても問題はない。しかし、実際の無線通信システムにはOFDM方式であったりシングルキャリアのシステムであったり、帯域全体ないし帯域を幾つかに区切ったサブチャネルを単位に帯域の割り当て管理を行うものがあり、全体としての特性を考慮したスケジューリング処理が必要になる。
例えば、所定の周波数成分において相関値が所定の閾値よりも低くても、その他の周波数成分では閾値よりも高い値を示す場合がある。つまり、一般的には閾値のテーブルは周波数成分ごとに異なる内容になっている。このため、先の関連技術のままでは複数の周波数成分を同時に扱う場合には煩雑になり、何らかの簡易化が求められることになる。
そこで、以下に示す実施形態では、図6や図7に示した様なテーブルであって周波数成分ごとに設けられたテーブルを用いて総合的に相関を評価し、想定する周波数帯域における相関を一つのテーブルに集約して当該テーブルを参照したスケジューリング処理を行う。ここでは、各周波数成分における数式(7)の相関値を引数とした第i番目の無線局150と第j番目の無線局150との間の評価関数F[i,j]を下記の数式(14)の様に定義し、その評価関数で得られる評価関数値を図6に示した様なテーブルとして管理する。或いは、評価関数値が所定の閾値を超えているか否かの判定結果を記憶した図7の様なテーブルを用いてスケジューリング処理を行ってもよい。
数式(14)において、Kは相関を評価する際の対象となる周波数成分の総数である。OFDM方式でサブキャリアごとに相関値を管理する場合、Kはサブキャリア数に相当する。なお、OFDM方式においてもサブキャリア間でチャネル情報の相関が強い場合には、全てのサブキャリアを評価の対象とせずに、ある程度のサブキャリアを間引いて総サブキャリア数より少ないKに対して数式(14)を定義しても構わない。例えば、全体のサブキャリアに対して所定のサブキャリア間隔(例えば10サブキャリアなど)であったり、周波数相関が例えば1MHz程度に亘り同程度の値を示すのであれば、評価対象とするサブキャリア間隔が概ね1MHz間隔となる様に設定したりするなど、全体の帯域の中の一部のサブキャリアの相関を引数とする形式としてもよい。なお、数式(14)の関数形はK個の各成分に対して単調増加となる関数形であれば如何なる形式であっても構わない。
[第1の実施形態]
第1の実施形態における無線通信システムは、図1に示した関連技術における無線通信システムと同様の構成を有する。なお、第1の実施形態における無線通信システムは、基地局装置100に代えて以下に説明する基地局装置300を備える。図8は、第1の実施形態における基地局装置300の構成を示すブロック図である。図8に示す様に、基地局装置300は、複数のアンテナ素子101、無線通信部102、チャネル情報取得部103、チャネル情報記憶部104、評価値算出部301、評価値テーブル記憶部302及びスケジューリング部310を備える。スケジューリング部310は、送信機会待ち行列111、判定対象選択部112、評価値判定部313、累積値判定部314、バッファ115及び割当無線局決定部116を有している。
基地局装置300と基地局装置200との差分は、基地局装置300が相関値算出部201、テーブル記憶部202及びスケジューリング部110に代えて評価値算出部301、評価値テーブル記憶部302及びスケジューリング部310を備えている点である。スケジューリング部310とスケジューリング部110との差分は、スケジューリング部310が相関値判定部113及び累積値判定部114に代えて評価値判定部313及び累積値判定部314を備えている点である。基地局装置300が備える機能部のうち、基地局装置100又は基地局装置200が備える機能部と同じ機能部には同じ符号を付して、その機能部の説明を省略する。
評価値算出部301は、複数の無線局150における二つの無線局150の組み合わせ全てに対する評価値を算出する。評価値算出部301は、算出した評価値と、当該評価値に対応する2つの無線局150の組み合わせとを対応付けて、評価値テーブル記憶部302に記憶させる。ここで、評価値は、二つの無線局150の各周波数成分のチャネル情報の相関値に基づいて算出された値である。本実施形態では、周波数成分ごとの相関値f[i,j,k](数式(8))に代えて、周波数方向に対して相関値を集約した評価値F[i,j](数式(14))を用いる。このように、数式(8)に代えて数式(14)を用いることにより、OFDM変調方式やSC−FDE方式などにより広帯域の周波数成分の一括割り当てにおいて簡易に割り当ての可否の判定を可能にすることができる。
評価値テーブル記憶部302は、複数の無線局150における二つの無線局150組み合わせごとに、評価値算出部301が算出した評価値F[i,j]を記憶する。
評価値判定部313は、判定対象選択部112によって判定対象に選択された無線局150と、既に送信機会が割り当てられている無線局150それぞれとの評価値を、評価値テーブル記憶部302から読み出す。評価値判定部313は、読み出した評価値に基づいて、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てるか否かの判定を行う。評価値判定部313は、判定結果を割当無線局決定部116に出力する。
累積値判定部314は、判定対象の無線局150と既に送信機会が割り当てられている各無線局150とにおいて、無線局150ごとに他の無線局150との評価値の累積値を算出する。累積値判定部314は、無線局150ごとに算出した累積値に基づいて、判定対象の無線局150に送信機会を割り当てるか否かの判定を行う。累積値判定部314は、判定結果を割当無線局決定部116に出力する。
図9及び図10は、第1の実施形態における基地局装置300が行うスケジューリング処理を示すフローチャートである。スケジューリング処理では、同一時刻に空間多重された通信を行う対象となる無線局150の組み合わせを決定する。図9及び図10に示すスケジューリング処理と、図3及び図4に示した関連技術におけるスケジューリング処理との差分は、本実施形態におけるスケジューリング処理が処理S5及び処理S6に代えて処理S31及び処理S32を有している点である。本実施形態におけるスケジューリング処理において、処理S31及び処理S32において判定に用いる数式が異なるが、他の処理は関連技術におけるスケジューリング処理と同じ処理であるので、説明を省略する。
関連技術におけるスケジューリング処理の処理S5では数式(8)を判定の条件として用いているのに対して、本実施形態におけるスケジューリング処理の処理S31では数式(14)で表される評価値を用いた下記の数式(15)が用いられる。
数式(15)におけるm、S(i)、j及びβは、数式(5)におけるm、S(i)、j及びβと同様のパラメータである。mは、送信機会の割り当ての可否を判定する対象の無線局150の識別番号である。S(i)(0≦i≦j)は送信機会が既に割り当てられた無線局150の識別番号である。jは送信機会が既に割り当てられた無線局150の局数である。閾値βは0<β<1の所定の実数である。
関連技術におけるスケジューリング処理の処理S6では数式(9)及び数式(10)を判定の条件として用いているのに対して、本実施形態におけるスケジューリング処理のS32では下記の数式(16)及び数式(17)が用いられる。数式(16)及び数式(17)では、数式(9)及び数式(10)における関数f[i,j,k]が関数F[i,j]に置き換えられている。
本実施形態におけるスケジューリング処理では、周波数成分ごとの相関値に基づいて判定対象の無線局150に送信機会を割り当てるか否かの判定を行わずに、周波数方向に対して相関値を集約して得られた評価値F[i,j]を用いている。これにより、基地局装置300は、基地局装置300のアンテナ構成にかかわらず、空間多重通信の対象となる無線局の組み合わせにおいてチャネル相関を低くしつつ、スケジューリング処理における負荷を低減して処理の簡易化を図ることができ、より高いSIR特性を実現することができる。
ここで、数式(14)に記載の関数F[i,j]として、例えば下記の数式(18)から数式(23)までのいずれかの関数形を用いる。
数式(18)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値の平均値を評価値として算出する関数である。数式(19)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値の二乗平均値を評価値として算出する関数である。数式(20)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値のα倍を冪指数とした自然対数の底(ネイピア数)eの累乗の平均値を評価値として算出する関数である。なお、αは所定の正の実数である。数式(21)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値の対数値の平均値を評価値として算出する関数である。数式(22)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値の最大値を評価値として算出する関数F[i,j]である。
数式(23)における関数Step(x)はxの値が正のときに1、ゼロ又は負のときに0をとる階段型の関数である。δは0<δ<1を満たす定数である。数式(23)の意図するところは、関数F[i,j]は相関値が所定の定数δを超える周波数成分の数を取得することである。すなわち、数式(23)の関数F[i,j]は各周波数成分の相関値のうち閾値δを超える相関値の数を取得する関数である。この数式(23)は、所望の品質を満たさない可能性のあるサブキャリア数をカウントする関数とみることもでき、この意味で誤り訂正などによりビット誤りを補償可能か否かの評価を行うための関数として利用することが考えられる。
なお、数式(19)では相関値を二乗して平均値を算出しているが、二乗以外の正の実数のべき乗であっても構わない。また、数式(18)から数式(21)では平均値を算出するために(1/K)を総和に対して乗算しているが、評価値は必ずしも平均値である必要はなく、(1/K)の乗算を省略したり、(1/K)と異なる係数を乗算したりしてもよい。以上、ここに示した関数F[i,j]はあくまでも一例であり、これらの複数の関数を線形結合させた関数や類似の関数など、如何なる関数を用いて評価値を算出しても構わない。
以上のように、周波数成分ごとの相関値を引数とする関数F[i,j]を用いて評価値を予め算出することで、周波数成分ごとに異なる相関特性を有する無線通信システムにおいても、単一の評価値テーブルを用いてスケジューリング処理における送信機会の割り当てを行うことが可能になる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態における図9及び図10に示したスケジューリング処理では、処理S31及び処理S32における判定の両方を満たすことを条件にして、送信機会の割り当てが行われている。しかし、必ずしも処理S31及び処理S32の両方の判定を行う必要はなく、いずれか一方の判定に基づいて送信機会の割り当てを行う様にしてもよい。
図11は、第2の実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。図11に示すスケジューリング処理と図9及び図10に示したスケジューリング処理との差分は、本実施形態のスケジューリング処理において処理S32が省略されている点である。本実施形態のスケジューリング処理では、処理S31の判定において条件が満たされると(処理S31でYES)、処理S7が行われる。割当無線局決定部116は、評価値判定部313による判定結果に基づいて、判定対象選択部112によって判定対象に選択された無線局150に送信機会を割り当てるか否かを決定する。
[第3の実施形態]
第2の実施形態のスケジューリング処理では、第1の実施形態のスケジューリング処理における処理S32を省略した構成を説明した。第3の実施形態では、第1の実施形態のスケジューリング処理における処理S31を省略した場合について説明する。
図12は、第3の実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。本実施形態のスケジューリング処理では、上述の様に、処理S31が省略されている。処理S4の後に処理S32が実行される。本実施形態のスケジューリング処理では、数式(11)におけるβとβ’とは必ずしも異なる値である必要はなく、γ(j)をβ×jで与えてもよいし、第1の実施形態と同様に数式(12)でγ(j)を与えてもよいし、jに依存せずに固定値として与えてもよい。
本実施形態のスケジューリング処理では、割当無線局決定部116は、累積値判定部314による判定結果に基づいて、判定対象選択部112によって判定対象に選択された無線局150に送信機会を割り当てるか否かを決定する。
[各実施形態に係る補足事項]
以下、各実施形態に係る補足事項を説明する。各実施形態の説明においては、関連技術として説明した事項をベースとして、その差分に相当する構成や処理について説明を行った。関連技術において説明した図7の比較結果テーブルを、各実施形態の基地局装置300に適用して、送信機会を割り当てるか否かの判定に用いてもよい。
また、評価値テーブル記憶部302のテーブルT(i,j)の値は常に固定して活用する必要はなく、例えば、関連技術においてテーブル記憶部202のテーブルに記憶させる相関値を伝搬環境の変動を反映させるために更新するのと同様に、更新してもよい。この際、チャネル情報記憶部104が記憶するチャネル情報も伝搬環境の変動を反映させる形で更新し、このチャネル情報の変動に合わせて評価値を更新することにより、チャネルの時変動を伴う様なモバイル環境においても利用することは可能である。この場合、ある程度演算処理的に余裕のある時間を活用し、逐次更新されるチャネル情報を基にテーブルも合わせて逐次更新し、その更新された最新のテーブルを用いて上記の処理を実施すればよい。この様に、関連技術において説明した事項を、各実施形態の基地局装置300に適用することが可能である。
また、各実施形態におけるスケジューリング処理では、空間多重の上限数Jになるまで無線局150に送信機会を割り当て、空間多重の対象になる無線局150の組み合わせを探索する構成を説明した。しかし、スケジューリング処理における割り当て無線局150の上限数Jを、実際の空間多重における上限数J’よりも大きい値に設定し、図9に示したスケジュール処理における一連の処理を実行した後であって処理S12を実行する前に、選択したJ局の無線局150を実際の上限数J’局の無線局150に絞り込む様にしてもよい。選択したJ局の無線局150からJ’局の無線局150を選択する際にも、数式(14)(具体的には数式(18)〜数式(23)など)で表される関数で評価値を算出し、処理S31及び又は処理S32を実施することで、無線局150の絞り込みを行う。これにより、空間多重通信の対象となる無線局150を選択することができる。
実際の空間多重の上限数J’より大きい値の上限数Jの無線局150に送信機会を割り当てた後に上限数J’の無線局150に絞り込む場合、例えば、J局の無線局150を選択した後に、J局の無線局150ごとに選択した他の無線局150との評価値の累積値を算出し、算出した累積値の小さい無線局150から順にJ’局を選択してもよい。或いは、J局の無線局150を選択した後に、選択した無線局150ごとに選択した他の無線局150との評価値の累積値を算出し、算出した累積値が最大値となる無線局150を除外する処理を繰り返すことにより、J局の無線局150から1局ずつ除外してJ’局の無線局150に絞り込んでもよい。
また、各実施形態の説明においては、無線局150側のアンテナ素子を1本として説明した。しかし、無線局150が複数のアンテナ素子を備える場合において、実際の通信において一つの無線局150に対して空間多重伝送(多重数2以上)を行わなければ、複数のアンテナ素子に対して所定の送信ウエイト及び受信ウエイトを用いることにより、そのウエイトに対応した指向性を伴う仮想的な1本のアンテナを形成することが可能である。この仮想的なアンテナを想定すれば、基地局装置が認識するチャネル情報は1本のアンテナ素子に対応したベクトル形式と同様に表される。この様に扱えば、必ずしも無線局150側の備えるアンテナ素子は物理的に1本である必要はない。ここで、個別のアンテナ素子を物理的アンテナ、送受信ウエイトにより形成されるアンテナを仮想的アンテナと定義するならば、実質的には物理的アンテナと仮想的アンテナに扱い上の違いはない。
また、各実施形態における無線通信システムが利用する周波数帯域全体を所定の数のサブチャネルに分割し、無線局150に対してはこのサブチャネルを単位にスケジューリング処理を行う場合、このサブチャネルを単位に各サブチャネルに含まれるサブキャリアの全て又は一部を引数として式(14)により評価値を算出し、この評価値を基に上記実施形態に従いスケジューリング処理を行う構成としても構わない。特に多くの無線システムでは、誤り訂正の効果を高めるために各サブチャネルに含まれるサブキャリアを全帯域内に分散させることが多いが、例えば全体を少数のサブチャネルに分割する場合、近接するサブキャリア間では相関値が概ね同じ値になるという特徴を考慮すれば、個々のサブチャネルは全体として概ね同様の相関特性を示すことが期待できる。この場合には、サブチャネルが異なる場合でも、共通の評価値のテーブルを共用してシステム全体で一つの評価値のテーブルで運用することも可能である。
上述した実施形態における基地局装置をコンピュータで実現する様にしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線の様に、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリの様に、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計も含まれる。なお、当然ながら、上述した実施の形態及び複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態及び変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。