以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
<銀−共役化合物複合体>
本発明に用いられる銀−共役化合物複合体は、通常、前記銀粒子と、その表面に吸着した前記共役化合物とから構成される複合体からなる。
ここで「吸着」は、化学吸着でも物理吸着でもそれらが組み合わさったものでもよいが、吸着が強いので、化学吸着が好ましい。化学吸着とは、吸着質と吸着媒の間で化学結合(共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合又は水素結合等)を伴って起こる吸着を意味する。物理吸着とは、ファンデルワールス力、静電引力及び磁力等の相互作用により起こる吸着を意味する。本発明に用いられる銀−共役化合物複合体では、吸着質は共役化合物であり、吸着媒は銀粒子である。
・銀粒子:
銀−共役化合物複合体において基質である銀粒子について、銀粒子自体のフェレー径(Feret径)は、通常、1000nm以下であるが、合成が容易であるので、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、更に好ましくは400nm以下、特に好ましくは300nm以下である。また、前記銀粒子のフェレー径は、通常、1nm以上である。
また、銀粒子の形状を規定する指標となるアスペクト比は、通常、1.5未満であり、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下である。本明細書において、アスペクト比とは、(最も長い径)/(最も短い径)を意味し、このアスペクト比に分布がある場合には数平均値を意味する。
・共役化合物:
前記共役化合物の重量平均分子量は、銀−共役化合物複合体の安定性が良好であるので、好ましくは3.0×102以上、より好ましくは5.0×102以上、更に好ましくは1.0×103以上であり、また、好ましくは1.0×108以下、より好ましくは1.0×107以下、更に好ましくは5.0×106以下である。従って、重量平均分子量の範囲としては、好ましくは3.0×102〜1.0×108であり、より好ましくは5.0×102〜1.0×107であり、更に好ましくは1.0×103〜5.0×106である。前記共役化合物の重量平均分子量が3.0×102未満である場合、銀−共役化合物複合体に吸着した共役化合物が蒸発で分離し易くなることがある。なお、本明細書において、化合物の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を意味する。
本明細書において、共役化合物とは、主鎖中に複数の多重結合を有し、その内の隣接する多重結合が単結合で結合されることによって連なっている領域、又は、そのような多重結合の連なりの中に非共有電子対を有するヘテロ原子が介在している領域であって、領域内において共役π電子の非局在化が実現している領域を含む化合物を意味する。
この共役化合物は、電子輸送性が良好になるので、
{(主鎖中の、共役π電子の非局在化領域に含まれる原子の数)/(主鎖上の全原子の個数)}×100%で計算される値が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが特に好ましく、90%以上であることがとりわけ好ましい。
本発明に用いられる共役化合物は、水を用いた精製が効率よくできるので、非水溶性であることが好ましい。
共役化合物が非水溶性であるとは、標準温度、標準圧力において、100mLの水に溶ける共役化合物の量が、20mg未満であることを意味する。
本発明に用いられる共役化合物は、芳香族化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる銀−共役化合物複合体中における共役化合物の割合は、該複合体の分散性の点で、銀−共役化合物複合体100重量%に対して、銀−共役化合物複合体の1.0重量%以上であることが好ましく、5.0重量%以上であることが更に好ましい。銀−共役化合物複合体中における共役化合物の割合の上限値は、通常50重量%以下である。
本発明に用いられる共役化合物は、銀−共役化合物複合体の安定性が良好であるので、ヘテロ原子を含む基を有することが好ましい。なお、本願において、「ヘテロ原子」とは炭素及び水素以外の元素の原子を意味する。
本発明に用いられる共役化合物としては、下記式(I)で表される基、若しくは下記式(II)で表される繰り返し単位、又はこれらの両方を有する化合物が好ましい。
(式中、
Ar1は(n1+1)価の芳香族基を表し、R1は単結合又は(m1+1)価の基を表し、X1はヘテロ原子を含む基を表す。
m1及びn1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
R1、X1及びm1の各々は複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、
Ar2は(n2+2)価の芳香族基を表し、R2は単結合又は(m2+1)価の基を表し、X2はヘテロ原子を含む基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に、1以上の整数である。
R2、X2及びm2の各々は複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(II)で表される繰り返し単位の式量は、銀−共役化合物複合体の安定性が良好であるので、3.0×102以上であることが好ましく、5.0×102以上であることがより好ましく、1.0×103以上であることが更に好ましい。前記繰り返し単位の式量の上限は特に制限されないが、繰り返し単位を構成するモノマーの合成が容易であり、かつ、銀−共役化合物複合体の安定性が良好であるので、好ましくは1.0×108以下であり、より好ましくは1.0×107以下、更に好ましくは5.0×106以下、特に好ましくは1.0×105以下、とりわけ好ましくは1.0×104以下である。
上記繰り返し単位の式量とは、下記式(III)で表される化合物の分子量から、水素原子2個分の原子量を除いたものである。
上記式(I)中、Ar1で表される(n1+1)価の芳香族基としては、例えば、下記の式(1)〜(57)のいずれか一つで表される芳香族化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する(n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられる。Ar1で表される(n1+1)価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。
該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、メルカプト基、メルカプトカルボニル基、メルカプトチオカルボニル基、ヒドロカルビルチオ基、ヒドロカルビルチオカルボニル基、ヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、モノヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ホスフィノ基、モノヒドロカルビルホスフィノ基、ジヒドロカルビルホスフィノ基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、スルホ基、1価の複素環基、式:−COOMで表される基、式:−PO3Mで表される基、式:−SO3Mで表される基(式中、Mは、金属カチオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムカチオンを表す。)、及び式:−NR3M’で表される基(式中、Rは、水素原子、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基等の1価の炭化水素基を表し、M’は、アニオンを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基が挙げられ、ハロゲン原子、1価の炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基、1価の複素環基、式:−COOMで表される基、又は式:−SO3Mで表される基が好ましく、1価の炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基、ピロリドニル基、ピリジニル基、又は式:−COOMで表される基がより好ましく、1価の炭化水素基、カルボキシル基、又は式:−COOMで表される基が更に好ましく、1価の炭化水素基、カルボキシル基、ピリジニル基、又は式:−COOMで表される基が特に好ましい。
上記式(II)中、Ar2で表される(n2+2)価の芳香族基としては、例えば、下記の式(1)〜(57)のいずれか一つで表される芳香族化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する(n2+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられる。Ar2で表される(n2+2)価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、Ar1について上述したものが挙げられる。
下記の式(1)〜(57)で表される芳香族化合物の中では、合成が容易であるので、式(1)〜(8)、(17)、(24)〜(33)、(36)〜(51)、(55)のいずれか一つで表される化合物が好ましく、式(1)〜(8)、(17)、(30)〜(33)、(36)〜(42)、(48)〜(51)、(55)のいずれか一つで表される化合物がより好ましく、式(1)〜(8)のいずれか一つで表される化合物が更に好ましく、式(3)又は(8)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
Ar1及びAr2が有していてもよい置換基として例示した原子及び基は、本明細書を通じて次の意味で用いられる。
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。Ar1及びAr2の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
「1価の炭化水素基」は置換又は非置換の1価の炭化水素基を意味する。非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基及びドコシル基等の炭素原子数1〜50のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基及びシクロドデシル基等の炭素原子数3〜50のシクロアルキル基;ノルボルニル基及びアダマンチル基等の炭素原子数4〜50のビシクロアルキル基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基及び2−ドデセニル基等の炭素原子数2〜50のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基及び4−フェニルフェニル基等の炭素原子数6〜50のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基及び6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数7〜50のアラルキル基が挙げられる。置換の1価の炭化水素基としては、上記の非置換の1価の炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等により置換されものが挙げられる。
Ar1及びAr2の置換基である1価の炭化水素基としては、炭素原子数1〜50のアルキル基又は炭素原子数6〜50のアリール基が好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数6〜18のアリール基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数6〜12のアリール基が更に好ましい。これらの基における水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子又はメルカプト基等により置換されていてもよい。
「ヒドロカルビルチオ基」、「ヒドロカルビルチオカルボニル基」、「ヒドロカルビルジチオ基」、「ヒドロカルビルオキシ基」、及び「ヒドロカルビルカルボニル基」は、それぞれ、置換又は非置換のヒドロカルビルチオ基、置換又は非置換のヒドロカルビルチオカルボニル基、置換又は非置換のヒドロカルビルジチオ基、置換又は非置換のヒドロカルビルオキシ基、及び置換又は非置換のヒドロカルビルカルボニル基を意味する。
ここで、「ヒドロカルビルチオ基」は、非置換のヒドロカルビルチオ基、及び該ヒドロカルビルチオ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルチオ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルチオ基としては、例えば、非置換のアルキルチオ基、非置換のシクロアルキルチオ基、非置換のビシクロアルキルチオ基、非置換のアルケニルチオ基、非置換のアリールチオ基、非置換のアラルキルチオ基が挙げられる。
非置換のアルキルチオ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基及びドデシルチオ基が挙げられる。置換アルキルチオ基の例としては、トリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルチオ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロへキシルチオ基、シクロノニルチオ基及びシクロドデシルチオ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルチオ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルチオ基及びアダマンチルチオ基が挙げられる。
非置換のアルケニルチオ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルチオ基、プロペニルチオ基、3−ブテニルチオ基、2−ブテニルチオ基、2−ペンテニルチオ基、2−ヘキセニルチオ基、2−ノネニルチオ基及び2−ドデセニルチオ基が挙げられる。
非置換のアリールチオ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、4−エチルフェニルチオ基、4−プロピルフェニルチオ基、4−イソプロピルフェニルチオ基、4−ブチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、4−ヘキシルフェニルチオ基、4−シクロヘキシルフェニルチオ基、4−アダマンチルフェニルチオ基及び4−フェニルフェニルチオ基が挙げられる。
非置換のアラルキルチオ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルチオ基、1−フェニルエチルチオ基、2−フェニルエチルチオ基、1−フェニル−1−プロピルチオ基、1−フェニル−2−プロピルチオ基、2−フェニル−2−プロピルチオ基、3−フェニル−1−プロピルチオ基、4−フェニル−1−ブチルチオ基、5−フェニル−1−ペンチルチオ基及び6−フェニル−1−ヘキシルチオ基が挙げられる。
「ヒドロカルビルチオカルボニル基」は、非置換のヒドロカルビルチオカルボニル基、及び該ヒドロカルビルチオカルボニル基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルチオカルボニル基を意味する。
非置換のヒドロカルビルチオカルボニル基としては、例えば、非置換のアルキルチオカルボニル基、非置換のシクロアルキルチオカルボニル基、非置換のビシクロアルキルチオカルボニル基、非置換のアルケニルチオカルボニル基、非置換のアリールチオカルボニル基、及び非置換のアラルキルチオカルボニル基が挙げられる。
非置換のアルキルチオカルボニル基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルチオカルボニル基の炭素原子数は、通常2〜21、好ましくは2〜16、より好ましくは2〜11である。非置換のアルキルチオカルボニル基としては、例えば、メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、イソプロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、イソブチルチオカルボニル基、sec−ブチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、ペンチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、ヘプチルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、2−エチルヘキシルチオカルボニル基、ノニルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルチオカルボニル基及びドデシルチオカルボニル基が挙げられる。置換アルキルチオカルボニル基の例としては、トリフルオロメチルチオカルボニル基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルチオカルボニル基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばシクロプロピルチオカルボニル基、シクロブチルチオカルボニル基、シクロペンチルチオカルボニル基、シクロへキシルチオカルボニル基、シクロノニルチオカルボニル基及びシクロドデシルチオカルボニル基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルチオカルボニル基は、通常、炭素原子数5〜50であり、例えばノルボルニルチオカルボニル基及びアダマンチルチオカルボニル基等が挙げられる。
非置換のアルケニルチオカルボニル基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばエテニルチオカルボニル基、プロペニルチオカルボニル基、3−ブテニルチオカルボニル基、2−ブテニルチオカルボニル基、2−ペンテニルチオカルボニル基、2−ヘキセニルチオカルボニル基、2−ノネニルチオカルボニル基及び2−ドデセニルチオカルボニル基が挙げられる。
非置換のアリールチオカルボニル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルチオカルボニル基、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、3−メチルフェニルチオカルボニル基、4−メチルフェニルチオカルボニル基、4−エチルフェニルチオカルボニル基、4−プロピルフェニルチオカルボニル基、4−イソプロピルフェニルチオカルボニル基、4−ブチルフェニルチオカルボニル基、4−tert−ブチルフェニルチオカルボニル基、4−ヘキシルフェニルチオカルボニル基、4−シクロヘキシルフェニルチオカルボニル基、4−アダマンチルフェニルチオカルボニル基及び4−フェニルフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
非置換のアラルキルチオカルボニル基は、通常、炭素原子数8〜50であり、例えばフェニルメチルチオカルボニル基、1−フェニルエチルチオカルボニル基、2−フェニルエチルチオカルボニル基、1−フェニル−1−プロピルチオカルボニル基、1−フェニル−2−プロピルチオカルボニル基、2−フェニル−2−プロピルチオカルボニル基、3−フェニル−1−プロピルチオカルボニル基、4−フェニル−1−ブチルチオカルボニル基、5−フェニル−1−ペンチルチオカルボニル基及び6−フェニル−1−ヘキシルチオカルボニル基が挙げられる。
「ヒドロカルビルジチオ基」は、非置換のヒドロカルビルジチオ基、及び該ヒドロカルビルジチオ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルジチオ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルジチオ基としては、例えば、非置換のアルキルジチオ基、非置換のシクロアルキルジチオ基、非置換のビシクロアルキルジチオ基、非置換のアルケニルジチオ基、非置換のアリールジチオ基及び非置換のアラルキルジチオ基が挙げられる。
非置換のアルキルジチオ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルジチオ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルジチオ基としては、例えば、メチルジチオ基、エチルジチオ基、プロピルジチオ基、イソプロピルジチオ基、ブチルジチオ基、イソブチルジチオ基、sec−ブチルジチオ基、tert−ブチルジチオ基、ペンチルジチオ基、ヘキシルジチオ基、ヘプチルジチオ基、オクチルジチオ基、2−エチルヘキシルジチオ基、ノニルジチオ基、デシルジチオ基、3,7−ジメチルオクチルジチオ基及びドデシルジチオ基が挙げられる。置換アルキルジチオ基の例としては、トリフルオロメチルジチオ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルジチオ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルジチオ基、シクロブチルジチオ基、シクロペンチルジチオ基、シクロへキシルジチオ基、シクロノニルジチオ基及びシクロドデシルジチオ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルジチオ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えば、ノルボルニルジチオ基及びアダマンチルジチオ基が挙げられる。
非置換のアルケニルジチオ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルジチオ基、プロペニルジチオ基、3−ブテニルジチオ基、2−ブテニルジチオ基、2−ペンテニルジチオ基、2−ヘキセニルジチオ基、2−ノネニルジチオ基及び2−ドデセニルジチオ基が挙げられる。
非置換のアリールジチオ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルジチオ基、1−ナフチルジチオ基、2−ナフチルジチオ基、2−メチルフェニルジチオ基、3−メチルフェニルジチオ基、4−メチルフェニルジチオ基、4−エチルフェニルジチオ基、4−プロピルフェニルジチオ基、4−イソプロピルフェニルジチオ基、4−ブチルフェニルジチオ基、4−tert−ブチルフェニルジチオ基、4−ヘキシルフェニルジチオ基、4−シクロヘキシルフェニルジチオ基、4−アダマンチルフェニルジチオ基及び4−フェニルフェニルジチオ基が挙げられる。
非置換のアラルキルジチオ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルジチオ基、1−フェニルエチルジチオ基、2−フェニルエチルジチオ基、1−フェニルプロピルジチオ基、2−フェニル−1−メチルエチルジチオ基、1−フェニル−1−メチルエチルジチオ基、3−フェニルプロピルジチオ基、4−フェニルブチルジチオ基、5−フェニルペンチルジチオ基及び6−フェニルヘキシルジチオ基が挙げられる。
「ヒドロカルビルオキシ基」は、非置換のヒドロカルビルオキシ基、及び該ヒドロカルビルオキシ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルオキシ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、非置換のアルコキシ基、非置換のシクロアルコキシ基、非置換のビシクロアルコキシ基、非置換のアルケニルオキシ基、非置換のアリールオキシ基、非置換のアラルキルオキシ基が挙げられる。
非置換のアルコキシ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基及びドデシルオキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
非置換のシクロアルコキシ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基及びシクロドデシルオキシ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルコキシ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルオキシ基及びアダマンチルオキシ基が挙げられる。
非置換のアルケニルオキシ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、2−ノネニルオキシ基及び2−ドデセニルオキシ基が挙げられる。
非置換のアリールオキシ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、4−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、4−ヘキシルフェノキシ基、4−シクロヘキシルフェノキシ基、4−アダマンチルフェノキシ基及び4−フェニルフェノキシ基が挙げられる。
非置換のアラルキルオキシ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメトキシ基、1−フェニルエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニル−1−プロピルオキシ基、1−フェニル−2−プロピルオキシ基、2−フェニル−2−プロピルオキシ基、3−フェニル−1−プロピルオキシ基、4−フェニル−1−ブトキシ基、5−フェニル−1−ペンチルオキシ基及び6−フェニル−1−ヘキシルオキシ基が挙げられる。
「ヒドロカルビルカルボニル基」は、非置換のヒドロカルビルカルボニル基、及び該ヒドロカルビルカルボニル基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルカルボニル基を意味する。
非置換のヒドロカルビルカルボニル基としては、例えば、非置換のアルキルカルボニル基、非置換のシクロアルキルカルボニル基、非置換のビシクロアルキルカルボニル基、非置換のアルケニルカルボニル基、非置換のアリールカルボニル基、及び非置換のアラルキルカルボニル基が挙げられる。
非置換のアルキルカルボニル基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルカルボニル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルカルボニル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ノニルカルボニル基、デシルカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルカルボニル基及びドデシルカルボニル基が挙げられる。置換アルキルカルボニル基の例として、トリフルオロメチルカルボニル基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルカルボニル基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばシクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロへキシルカルボニル基、シクロノニルカルボニル基及びシクロドデシルカルボニル基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルカルボニル基は、通常、炭素原子数5〜50であり、例えばノルボルニルカルボニル基及びアダマンチルカルボニル基が挙げられる。
非置換のアルケニルカルボニル基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルカルボニル基、プロペニルカルボニル基、3−ブテニルカルボニル基、2−ブテニルカルボニル基、2−ペンテニルカルボニル基、2−ヘキセニルカルボニル基、2−ノネニルカルボニル基及び2−ドデセニルカルボニル基が挙げられる。
非置換のアリールカルボニル基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルカルボニル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、2−メチルフェニルカルボニル基、3−メチルフェニルカルボニル基、4−メチルフェニルカルボニル基、4−エチルフェニルカルボニル基、4−プロピルフェニルカルボニル基、4−イソプロピルフェニルカルボニル基、4−ブチルフェニルカルボニル基、4−tert−ブチルフェニルカルボニル基、4−ヘキシルフェニルカルボニル基、4−シクロヘキシルフェニルカルボニル基、4−アダマンチルフェニルカルボニル基及び4−フェニルフェニルカルボニル基が挙げられる。
非置換のアラルキルカルボニル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルカルボニル基、1−フェニルエチルカルボニル基、2−フェニルエチルカルボニル基、1−フェニル−1−プロピルカルボニル基、1−フェニル−2−プロピルカルボニル基、2−フェニル−2−プロピルカルボニル基、3−フェニル−1−プロピルカルボニル基、4−フェニル−1−ブチルカルボニル基、5−フェニル−1−ペンチルカルボニル基及び6−フェニル−1−ヘキシルカルボニル基が挙げられる。
「モノヒドロカルビルアミノ基」、「ジヒドロカルビルアミノ基」、「モノヒドロカルビルホスフィノ基」、及び「ジヒドロカルビルホスフィノ基」は、それぞれ、置換又は非置換のモノヒドロカルビルアミノ基、置換又は非置換のジヒドロカルビルアミノ基、置換又は非置換のモノヒドロカルビルホスフィノ基、及び置換又は非置換のジヒドロカルビルホスフィノ基を意味する。
「モノヒドロカルビルアミノ基」は、非置換のモノヒドロカルビルアミノ基、及び該モノヒドロカルビルアミノ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換モノヒドロカルビルアミノ基を意味する。モノヒドロカルビルアミノ基はまた、「モノ(置換又は非置換のヒドロカルビル)アミノ基」と呼称される。
非置換のモノヒドロカルビルアミノ基としては、例えば、非置換のアルキルアミノ基、非置換のシクロアルキルアミノ基、非置換のビシクロアルキルアミノ基、非置換のアルケニルアミノ基、非置換のアリールアミノ基、及び非置換のアラルキルアミノ基が挙げられる。
非置換のアルキルアミノ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルアミノ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10であり、非置換のアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基及びドデシルアミノ基が挙げられる。置換アルキルアミノ基の例として、トリフルオロメチルアミノ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルアミノ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、シクロノニルアミノ基及びシクロドデシルアミノ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルアミノ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルアミノ基及びアダマンチルアミノ基が挙げられる。
非置換のアルケニルアミノ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルアミノ基、プロペニルアミノ基、3−ブテニルアミノ基、2−ブテニルアミノ基、2−ペンテニルアミノ基、2−ヘキセニルアミノ基、2−ノネニルアミノ基及び2−ドデセニルアミノ基が挙げられる。
非置換のアリールアミノ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルアミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、2−メチルフェニルアミノ基、3−メチルフェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−エチルフェニルアミノ基、4−プロピルフェニルアミノ基、4−イソプロピルフェニルアミノ基、4−ブチルフェニルアミノ基、4−tert−ブチルフェニルアミノ基、4−ヘキシルフェニルアミノ基、4−シクロヘキシルフェニルアミノ基、4−アダマンチルフェニルアミノ基及び4−フェニルフェニルアミノ基が挙げられる。
非置換のアラルキルアミノ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルアミノ基、1−フェニルエチルアミノ基、2−フェニルエチルアミノ基、1−フェニル−1−プロピルアミノ基、1−フェニル−2−プロピルアミノ基、2−フェニル−2−プロピルアミノ基、3−フェニル−1−プロピルアミノ基、4−フェニル−1−ブチルアミノ基、5−フェニル−1−ペンチルアミノ基及び6−フェニル−1−ヘキシルアミノ基が挙げられる。
「ジヒドロカルビルアミノ基」としては、同種又は異種の炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基により2つの水素原子が置換されたアミノ基等が挙げられ、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基及びジデシルアミノ基等のジアルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ基及びエチルフェニルアミノ基等のアルキルアリールアミノ基;ジ(4−メチルフェニル)アミノ基、ジ(2,3−キシリル)アミノ基及びジフェニルアミノ基、フェニルトルイルアミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。ジヒドロカルビルアミノ基はまた、「ジ(置換又は非置換のヒドロカルビル)アミノ基」と呼称される。
更に、ジヒドロカルビルアミノ基として、例えば、1−ピロリジニル基、3−メチル−1−ピロリジニル基、1−ピロリル基、3−エチル−1−ピロリル基、1−インドリル基、1−ピペリジニル基、3−メチル−1−ピペリジニル基、1−ピペラジニル基、4−メチル−1−ピペラジニル基、1−イミダゾリジニル基及び4−モルホリニル基等の5員環又は6員環の環状アミノ基が挙げられる。
「モノヒドロカルビルホスフィノ基」は、非置換のモノヒドロカルビルホスフィノ基、及び該モノヒドロカルビルホスフィノ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換モノヒドロカルビルホスフィノ基を意味する。モノヒドロカルビルホスフィノ基はまた、「モノ(置換又は非置換のヒドロカルビル)ホスフィノ基」と呼称される。
非置換のモノヒドロカルビルホスフィノ基としては、例えば、非置換のアルキルホスフィノ基、非置換のシクロアルキルホスフィノ基、非置換のビシクロアルキルホスフィノ基、非置換のアルケニルホスフィノ基、非置換のアリールホスフィノ基、及び非置換のアラルキルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のアルキルホスフィノ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルホスフィノ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルホスフィノ基としては、例えばメチルホスフィノ基、エチルホスフィノ基、プロピルホスフィノ基、イソプロピルホスフィノ基、ブチルホスフィノ基、イソブチルホスフィノ基、sec−ブチルホスフィノ基、tert−ブチルホスフィノ基、ペンチルホスフィノ基、ヘキシルホスフィノ基、ヘプチルホスフィノ基、オクチルホスフィノ基、2−エチルヘキシルホスフィノ基、ノニルホスフィノ基、デシルホスフィノ基、3,7−ジメチルオクチルホスフィノ基及びドデシルホスフィノ基が挙げられる。置換アルキルホスフィノ基の例として、トリフルオロメチルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルホスフィノ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、シクロノニルホスフィノ基及びシクロドデシルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルホスフィノ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルホスフィノ基及びアダマンチルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のアルケニルホスフィノ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルホスフィノ基、プロペニルホスフィノ基、3−ブテニルホスフィノ基、2−ブテニルホスフィノ基、2−ペンテニルホスフィノ基、2−ヘキセニルホスフィノ基、2−ノネニルホスフィノ基及び2−ドデセニルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のアリールホスフィノ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルホスフィノ基、1−ナフチルホスフィノ基、2−ナフチルホスフィノ基、2−メチルフェニルホスフィノ基、3−メチルフェニルホスフィノ基、4−メチルフェニルホスフィノ基、4−エチルフェニルホスフィノ基、4−プロピルフェニルホスフィノ基、4−イソプロピルフェニルホスフィノ基、4−ブチルフェニルホスフィノ基、4−tert−ブチルフェニルホスフィノ基、4−ヘキシルフェニルホスフィノ基、4−シクロヘキシルフェニルホスフィノ基、4−アダマンチルフェニルホスフィノ基及び4−フェニルフェニルホスフィノ基が挙げられる。
非置換のアラルキルホスフィノ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルホスフィノ基、1−フェニルエチルホスフィノ基、2−フェニルエチルホスフィノ基、1−フェニル−1−プロピルホスフィノ基、1−フェニル−2−プロピルホスフィノ基、2−フェニル−2−プロピルホスフィノ基、3−フェニル−1−プロピルホスフィノ基、4−フェニル−1−ブチルホスフィノ基、5−フェニル−1−ペンチルホスフィノ基及び6−フェニル−1−ヘキシルホスフィノ基が挙げられる。
「ジヒドロカルビルホスフィノ基」は、非置換のジヒドロカルビルホスフィノ基、及び該ジヒドロカルビルホスフィノ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ジヒドロカルビルホスフィノ基を意味する。ジヒドロカルビルホスフィノ基はまた、「ジ(置換又は非置換のヒドロカルビル)ホスフィノ基」と呼称される。
非置換のジヒドロカルビルホスフィノ基としては、同種又は異種の炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基によりホスフィノ基の二つの水素原子が置換されたホスフィノ基が挙げられ、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、メチルエチルホスフィノ基、ジプロピルホスフィノ基、メチルプロピルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、メチルブチルホスフィノ基、ジイソブチルホスフィノ基、ジ−sec−ブチルホスフィノ基、ジ−tert−ブチルホスフィノ基、ジペンチルホスフィノ基、ジヘキシルホスフィノ基、エチルヘキシルホスフィノ基、ジヘプチルホスフィノ基、ジオクチルホスフィノ基、ジノニルホスフィノ基、ジデシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェニルホスフィノ基、エチルフェニルホスフィノ基、ジ−4−メチルフェニルホスフィノ基、ジ−2,3−キシリルホスフィノ基及びフェニルトルイルホスフィノ基等が挙げられる。
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物の環を構成する炭素原子に直接結合した水素原子1個を取り除いた残りの原子団である。前記複素環としては、例えば、ピリジン環、ピロリドン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びアザジアゾール環等が挙げられ、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環又は1,3,5−トリアジン環が好ましく、ピリジン環又は1,3,5−トリアジン環がより好ましい。
前記1価の複素環基における水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子又は1価の炭化水素基等により置換されていてもよい。また、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
「式:−COOMで表される基」、「式:−PO3Mで表される基」、及び「式:−SO3Mで表される基」において、Mは、金属カチオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムカチオンを表す。
前記金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、例えば、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn及びZr等の金属のイオンが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンが有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式:−COOM、式:−PO3M、又は式:−SO3Mで表される基全体の電荷が中和されるように、これらの基にはM以外の別の金属カチオンが伴ってもよく、また、アニオンが伴ってもよい。このとき、別の金属カチオンは、前述した金属カチオンと同様である。
前記アニオンとしては、F−、Cl−、Br−、I−、OH−、ClO−、ClO2 −、ClO3 −、ClO4 −、BF4 −、PF6 −、8−キノリノラトアニオン、2−メチル−8−キノリノラトアニオン、2−フェニル−8−キノリノラトアニオン等が挙げられ、8−キノリノラトアニオン、又は2−メチル−8−キノリノラトアニオンが好ましい。
式:−NR3M’中、Rは、水素原子、又は1価の炭化水素基を表す。
式:−NR3M’中、M’は、アニオンを表す。このアニオンとしては、上述のとおりである。
前記式(I)中のX1及び式(II)中のX2で表されるヘテロ原子を含む基は、吸着性及び溶媒への分散性が良好であるので、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含む基が好ましい。
このようなヘテロ原子を含む基としては、例えば、メルカプト基、メルカプトカルボニル基、メルカプトチオカルボニル基、ヒドロカルビルチオ基、ヒドロカルビルチオカルボニル基、ヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、ピロリドニル基、モノヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ホスフィノ基、モノヒドロカルビルホスフィノ基、ジヒドロカルビルホスフィノ基、式:−P(=O)(OH)
2で表される基、スルホ基、1価の複素環基、式:−COOMで表される基、式:−SO
3Mで表される基、式:−NR
3M’で表される基、ハロゲン原子、ホルミル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、ニトロ基、式:−OP(=O)(OH)
2で表される基、カルバモイル基、モノヒドロカルビルカルバモイル基、ジヒドロカルビルカルバモイル基、式:−C(=S)NR
2で表される基、式:−B(OH)
2で表される基、式:−BR
2で表される基、式:
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立に1価の炭化水素基であるか、又は、R
aとR
bは結合して2価の炭化水素基を形成する。)
で表されるホウ酸エステル残基、式:−Si(OR)
3で表される基、ヒドロカルビルスルホ基、式:−S(=O)
2Rで表される基、スルフィノ基、ヒドロカルビルスルフィノ基、式:−NRC(=O)ORで表される基、式:−NRC(=O)SRで表される基、式:−NRC(=S)ORで表される基、式:−NRC(=S)SRで表される基、式:−OC(=O)NR
2で表される基、式:−SC(=O)NR
2で表される基、式:−OC(=S)NR
2で表される基、式:−SC(=S)NR
2で表される基、式:−NRC(=O)NR
2で表される基、式:−NRC(=S)NR
2で表される基、式:−SMで表される基、式:−C(=O)SMで表される基、式:−CS
2Mで表される基、式:−OMで表される基、式:−NM
2で表される基、式:−NRMで表される基、式:−OP(=O)(OM)
2で表される基、式:−P(=O)(OM)
2で表される基、式:−C(=O)NM
2で表される基、式:−C(=O)NRMで表される基、式:−C(=S)NRMで表される基、式:−C(=S)NM
2で表される基、式:−B(OM)
2で表される基、式:−BR
3Mで表される基、式:−B(OR)
3Mで表される基、式:−S(=O)
2Mで表される基、式:−S(=O)OMで表される基、式:−NRC(=O)OMで表される基、式:−NRC(=O)SMで表される基、式:−NRC(=S)OMで表される基、式:−NRC(=S)SMで表される基、式:−OC(=O)NM
2で表される基、式:−OC(=O)NRMで表される基、式:−OC(=S)NM
2で表される基、式:−OC(=S)NRMで表される基、式:−SC(=O)NM
2で表される基、式:−SC(=O)NRMで表される基、式:−SC(=S)NM
2で表される基、式:−SC(=S)NRMで表される基、式:−NRC(=O)NM
2で表される基、式:−NRC(=O)NRMで表される基、式:−NRC(=S)NM
2で表される基、式:−NRC(=S)NRMで表される基、式:−PR
3M’で表される基、式:−OR
2M’で表される基、式:−SR
2M’で表される基、式:−IRM’で表される基、下記式(n−1)〜(n−13)のいずれか一つで表される芳香族化合物中の環を構成する炭素原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、
及び、下記式(p−1)〜(p−9)のいずれか一つで表される1価の基がより好ましい。
−O−(R’O)
m−R’’ (p−1)
−S−(R’S)
q−R’’ (p−3)
−C(=O)−(R’−C(=O))
q−R’’ (p−4)
−C(=S)−(R’−C(=S))
q−R’’ (p−5)
−N{(R’)
qR’’}
2 (p−6)
−C(=O)O−(R’−C(=O)O)
q−R’’ (p−7)
−C(=O)−O−(R’O)
q−R’’ (p−8)
−NHC(=O)−(R’NHC(=O))
q−R’’ (p−9)
(式中、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、Mは金属カチオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムカチオンを表し、M’はアニオンを表し、R’は置換若しくは非置換の2価の炭化水素基を表し、R’’は水素原子、置換若しくは非置換の1価の炭化水素基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、式:−SHで表される基、式:−NR
c 2で表される基、シアノ基又は式:−C(=O)NR
c 2で表される基を表し、ここでR
cは置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素原子数6〜50のアリール基を表し、R’’’は置換若しくは非置換の3価の炭化水素基を表し、mは1以上の整数を表し、qは0以上の整数を表し、R’、R’’及びR’’’の各々は複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
これらのヘテロ原子を含む基は、1種単独で又は2種以上の組み合わせで存在することができる。
上述したヘテロ原子を含む基の中でも、メルカプト基、ヒドロカルビルチオ基、ヒドロカルビルジチオ基、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基、アミノ基、モノヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルアミノ基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、スルホ基、1価の複素環基、式:−COOMで表される基、式:−SO3Mで表される基、式:−NR3M’で表される基で表される基、ハロゲン原子、ホルミル基、ニトロ基、式:−OP(=O)(OH)2で表される基、カルバモイル基、式(n−1)で表される基、式(n−5)で表される基、式(p−1)で表される基又は式(p−2)で表される基が更に好ましく、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、式:−P(=O)(OH)2で表される基、スルホ基、1価の複素環基、式:−COOMで表される基、式:−SO3Mで表される基、式:−NR3M’で表される基、式(p−1)で表される基又は式(p−2)で表される基が特に好ましく、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリドニル基、スルホ基、ピリジニル基、式:−COOMで表される基、式(p−1)で表される基又は式(p−2)で表される基がとりわけ好ましく、その中でもヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ピロリドニル基、ピリジニル基、式:−COOMで表される基、式(p−1)で表される基又は式(p−2)で表される基が一層好ましく、ピロリドニル基、式:−COOMで表される基、式(p−1)で表される基又は式(p−2)で表される基が一層好ましい。
上に例示したヘテロ原子を含む基の一部は、Ar1及びAr2が有していてもよい置換基として説明し例示した通りである。それら以外のヘテロ原子を含む基については、本明細書を通じて次の意味で用いられる。
「ヒドロカルビルオキシカルボニル基」は、非置換のヒドロカルビルオキシカルボニル基、及び該ヒドロカルビルオキシカルボニル基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルオキシカルボニル基を意味する。
非置換のヒドロカルビルオキシカルボニル基としては、例えば、非置換のアルコキシカルボニル基、非置換のシクロアルコキシカルボニル基、非置換のビシクロアルコキシカルボニル基、非置換のアルケニルオキシカルボニル基、非置換のアリールオキシカルボニル基、及び非置換のアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
非置換のアルコキシカルボニル基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルコキシカルボニル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基及びドデシルオキシカルボニル基が挙げられる。置換アルコキシカルボニル基の例として、トリフルオロメトキシカルボニル基が挙げあれる。
非置換のシクロアルコキシカルボニル基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばシクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロへキシルオキシカルボニル基、シクロノニルオキシカルボニル基及びシクロドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
非置換のビシクロアルコキシカルボニル基は、通常、炭素原子数5〜50であり、例えばノルボルニルオキシカルボニル基及びアダマンチルオキシカルボニル基が挙げられる。
非置換のアルケニルオキシカルボニル基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルオキシカルボニル基、プロペニルオキシカルボニル基、3−ブテニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、2−ペンテニルオキシカルボニル基、2−ヘキセニルオキシカルボニル基、2−ノネニルオキシカルボニル基及び2−ドデセニルオキシカルボニル基が挙げられる。
非置換のアリールオキシカルボニル基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、2−メチルフェノキシカルボニル基、3−メチルフェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、4−エチルフェノキシカルボニル基、4−プロピルフェノキシカルボニル基、4−イソプロピルフェノキシカルボニル基、4−ブチルフェノキシカルボニル基、4−tert−ブチルフェノキシカルボニル基、4−ヘキシルフェノキシカルボニル基、4−シクロヘキシルフェノキシカルボニル基、4−アダマンチルフェノキシカルボニル基及び4−フェニルフェノキシカルボニル基が挙げられる。
非置換のアラルキルオキシカルボニル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメトキシカルボニル基、1−フェニルエトキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−プロピルオキシカルボニル基、1−フェニル−2−プロピルオキシカルボニル基、2−フェニル−2−プロピルオキシカルボニル基、3−フェニル−1−プロピルオキシカルボニル基、4−フェニル−1−ブトキシカルボニル基、5−フェニル−1−ペンチルオキシカルボニル基及び6−フェニル−1−ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
「ヒドロカルビルカルボニルオキシ基」は、非置換のヒドロカルビルカルボニルオキシ基、及び該ヒドロカルビルカルボニルオキシ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルカルボニルオキシ基としては、例えば、非置換のアルキルカルボニルオキシ基、非置換のシクロアルキルカルボニルオキシ基、非置換のビシクロアルキルカルボニルオキシ基、非置換のアルケニルカルボニルオキシ基、非置換のアリールカルボニルオキシ基、及び非置換のアラルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のアルキルカルボニルオキシ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルカルボニルオキシ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、ヘプチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基、ノニルカルボニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルカルボニルオキシ基及びドデシルカルボニルオキシ基が挙げられる。置換アルキルカルボニルオキシ基の例として、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルカルボニルオキシ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばシクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロへキシルカルボニルオキシ基、シクロノニルカルボニルオキシ基及びシクロドデシルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルカルボニルオキシ基は、通常、炭素原子数5〜50であり、例えばノルボルニルカルボニルオキシ基及びアダマンチルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のアルケニルカルボニルオキシ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルカルボニルオキシ基、プロペニルカルボニルオキシ基、3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−ブテニルカルボニルオキシ基、2−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−ヘキセニルカルボニルオキシ基、2−ノネニルカルボニルオキシ基及び2−ドデセニルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のアリールカルボニルオキシ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルカルボニルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基、2−メチルフェニルカルボニルオキシ基、3−メチルフェニルカルボニルオキシ基、4−メチルフェニルカルボニルオキシ基、4−エチルフェニルカルボニルオキシ基、4−プロピルフェニルカルボニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルカルボニルオキシ基、4−ブチルフェニルカルボニルオキシ基、4−tert−ブチルフェニルカルボニルオキシ基、4−ヘキシルフェニルカルボニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルカルボニルオキシ基、4−アダマンチルフェニルカルボニルオキシ基及び4−フェニルフェニルカルボニルオキシ基が挙げられる。
非置換のアラルキルカルボニルオキシ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルカルボニルオキシ基、1−フェニルエチルカルボニルオキシ基、2−フェニルエチルカルボニルオキシ基、1−フェニルプロピルカルボニルオキシ基、2−フェニル−1−メチルエチルプロピルカルボニルオキシ基、1−フェニル−1−メチルエチルカルボニルオキシ基、3−フェニルプロピルカルボニルオキシ基、4−フェニルブチルカルボニルオキシ基、5−フェニルペンチルカルボニルオキシ基及び6−フェニルヘキシルカルボニルオキシ基が挙げられる。
「モノヒドロカルビルカルバモイル基」は、非置換のヒドロカルビルカルバモイル基、及び該モノヒドロカルビルカルバモイル基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルカルバモイル基を意味する。モノヒドロカルビルカルバモイル基はまた、「モノ(置換若しくは非置換のヒドロカルビル)カルバモイル基」と呼称される。
非置換のヒドロカルビルカルバモイル基としては、例えば、非置換のアルキルカルバモイル基、非置換のシクロアルキルカルバモイル基、非置換のビシクロアルキルカルバモイル基、非置換のアルケニルカルバモイル基、非置換のアリールカルバモイル基、及び非置換のアラルキルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のアルキルカルバモイル基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルカルバモイル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−イソブチルカルバモイル基、N−sec−ブチルカルバモイル基、N−tert−ブチルカルバモイル基、N−ペンチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−ヘプチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−2−エチルヘキシルカルバモイル基、N−ノニルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−3,7−ジメチルオクチルカルバモイル基及びN−ドデシルカルバモイル基が挙げられる。置換ヒドロカルビルカルバモイル基の例として、N−トリフルオロメチルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばN−シクロプロピルカルバモイル基、N−シクロブチルカルバモイル基、N−シクロペンチルカルバモイル基、N−シクロへキシルカルバモイル基、N−シクロノニルカルバモイル基及びN−シクロドデシルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数5〜50であり、例えばN−ノルボルニルカルバモイル基及びN−アダマンチルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のアルケニルカルバモイル基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばN−エテニルカルバモイル基、N−プロペニルカルバモイル基、N−3−ブテニルカルバモイル基、N−2−ブテニルカルバモイル基、N−2−ペンテニルカルバモイル基、N−2−ヘキセニルカルバモイル基、N−2−ノネニルカルバモイル基及びN−2−ドデセニルカルバモイル基等が挙げられる。
非置換のアリールカルバモイル基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばN−フェルカルバモイル基、N−1−ナフチルカルバモイル基、N−(2−ナフチル)カルバモイル基、N−(2−メチルフェニル)カルバモイル基、N−(3−メチルフェニル)カルバモイル基、N−(4−メチルフェニル)カルバモイル基、N−(4−エチルフェニル)カルバモイル基、N−(4−プロピルフェニル)カルバモイル基、N−(4−イソプロピルフェニル)カルバモイル基、N−(4−ブチルフェニル)カルバモイル基、N−(4−tert−ブチルフェニル)カルバモイル基、N−(4−ヘキシルフェニル)カルバモイル基、N−(4−シクロヘキシルフェニル)カルバモイル基、N−(4−アダマンチルフェニル)カルバモイル基及びN−(4−フェニルフェニル)カルバモイル基が挙げられる。
非置換のアラルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばN−フェニルメチルカルバモイル基、N−(1−フェニルエチル)カルバモイル基、N−(2−フェニルエチル)カルバモイル基、N−(1−フェニルプロピル)カルバモイル基、N−(2−フェニル−1−メチルエチル)カルバモイル基、N−(1−フェニル−1−メチルエチル)カルバモイル基、N−(3−フェニルプロピル)カルバモイル基、N−(4−フェニルブチル)カルバモイル基、N−(5−フェニルペンチル)カルバモイル基及びN−(6−フェニルヘキシルカルバモイル基が挙げられる。
「ジヒドロカルビルカルバモイル基」は、非置換のジヒドロカルビルカルバモイル基、及び該ジヒドロカルビルカルバモイル基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ジヒドロカルビルカルバモイル基を意味する。ジヒドロカルビルカルバモイル基はまた、「ジ(置換若しくは非置換のヒドロカルビル)カルバモイル基」と呼称される。
非置換のジヒドロカルビルカルバモイル基としては、例えば、非置換のジアルキルカルバモイル基、非置換のジシクロアルキルカルバモイル基、非置換のビスビシクロアルキルカルバモイル基、非置換のジアルケニルカルバモイル基、非置換のジアリールカルバモイル基、非置換のジアラルキルカルバモイル基、及び非置換のN−アルキル−N−アリールカルバモイル基が挙げられる。
非置換のジアルキルカルバモイル基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のジアルキルカルバモイル基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のジアルキルカルバモイル基としては、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジイソプロピルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジイソブチルカルバモイル基、N,N−ジ−sec−ブチルカルバモイル基、N,N−ジ−tert−ブチルカルバモイル基、N,N−ジペンチルカルバモイル基、N,N−ジヘキシルカルバモイル基、N,N−ジヘプチルカルバモイル基、N,N−ジオクチルカルバモイル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)カルバモイル基、N,N−ジノニルカルバモイル基、N,N−ジデシルカルバモイル基、N,N−ジ−3,7−ジメチルオクチルカルバモイル基、N,N−ジドデシルカルバモイル基、N−エチル−N−メチルカルバモイル基及びN−エチル−N−プロピルカルバモイル基が挙げられる。置換ジヒドロカルビルカルバモイル基の例として、例えばN,N−ビス(トリフルオロメチル)カルバモイル基が挙げられる。
非置換のジシクロアルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばN,N−ジシクロプロピルカルバモイル基、N,N−ジシクロブチルカルバモイル基、N,N−ジシクロペンチルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基、N,N−ジシクロノニルカルバモイル基及びN,N−ジシクロドデシルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のビスビシクロアルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数9〜50であり、例えばN,N−ジノルボルニルカルバモイル基及びN,N−ジアダマンチルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のジアルケニルカルバモイル基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばN,N−ジエテニルカルバモイル基、N,N−ジプロペニルカルバモイル基、N,N−ジ(3−ブテニル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−ブテニル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−ペンテニル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−ヘキセニル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−ノネニル)カルバモイル基及びN,N−ジ(2−ドデセニル)カルバモイル基が挙げられる。
非置換のジアリールカルバモイル基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばN,N−ジフェニルカルバモイル基、N,N−ジ(1−ナフチル)カルバモイルル基、N,N−ジ(2−ナフチル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−メチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(3−メチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−メチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−エチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−プロピルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−イソプロピルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−ブチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−ヘキシルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−シクロヘキシルフェニル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−アダマンチルフェニルカルバモイル基及びN,N−ジ(4−フェニルフェニル)カルバモイル基が挙げられる。
非置換のジアラルキルカルバモイル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばN,N−ジ(フェニルメチル)カルバモイル基、N,N−ジ(1−フェニルエチル)カルバモイル基、N,N−ジ(2−フェニルエチル)カルバモイル基、N,N−ジ(1−フェニルプロピル)カルバモイル基、N,N−ジ−(2−フェニル−1−メチルエチル)カルバモイル基、N,N−ジ−(1−フェニル−1−メチルエチル)カルバモイル基、N,N−ジ(3−フェニルプロピル)カルバモイル基、N,N−ジ(4−フェニルブチル)カルバモイル基、N,N−ジ(5−フェニルペンチル)カルバモイル基、N,N−ジ(6−フェニルヘキシル)カルバモイル基及びN−フェニルエチル−N−フェニルメチルカルバモイル基が挙げられる。
非置換のN−アルキル−N−アリールカルバモイル基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えば、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、N−プロピル−N−フェニルカルバモイル基、N−イソプロピル−N−フェニルカルバモイル基、N−ブチル−N−フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−ナフチルカルバモイル基及びN−メチル−N−(2−メチルフェニル)カルバモイル基が挙げられる。
式:−C(=S)NR2及び式:−BR2において、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
「ホウ酸エステル残基」は、式:
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立に1価の炭化水素基であるか、又は、R
aとR
bは結合して2価の炭化水素基を形成する。1価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数1〜10のアリール基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数2〜10のアルキレン基、及びフェニレン基が挙げられる。)
で表される。中でも、以下の式で表される基が好ましい。
式:−Si(OR)3において、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
「ヒドロカルビルスルホ基」は、非置換のヒドロカルビルスルホ基、及び該ヒドロカルビルスルホ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルスルホ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルスルホ基としては、例えば、非置換のアルキルスルホ基、非置換のシクロアルキルスルホ基、非置換のビシクロアルキルスルホ基、非置換のアルケニルスルホ基、非置換のアリールスルホ基、及び非置換のアラルキルスルホ基が挙げられる。
非置換のアルキルスルホ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルスルホ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルスルホ基としては、例えば、メチルスルホ基、エチルスルホ基、プロピルスルホ基、イソプロピルスルホ基、ブチルスルホ基、イソブチルスルホ基、sec−ブチルスルホ基、tert−ブチルスルホ基、ペンチルスルホ基、ヘキシルスルホ基、ヘプチルスルホ基、オクチルスルホ基、2−エチルヘキシルスルホ基、ノニルスルホ基、デシルスルホ基、3,7−ジメチルオクチルスルホ基及びドデシルスルホ基が挙げられる。置換アルキルスルホ基としては、例えばトリフルオロメチルスルホ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルスルホ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルスルホ基、シクロブチルスルホ基、シクロペンチルスルホ基、シクロへキシルスルホ基、シクロノニルスルホ基及びシクロドデシルスルホ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルスルホ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルスルホ基及びアダマンチルスルホ基が挙げられる。
非置換のアルケニルスルホ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルスルホ基、プロペニルスルホ基、3−ブテニルスルホ基、2−ブテニルスルホ基、2−ペンテニルスルホ基、2−ヘキセニルスルホ基、2−ノネニルスルホ基及び2−ドデセニルスルホ基が挙げられる。
非置換のアリールスルホ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルスルホ基、1−ナフチルスルホ基、2−ナフチルスルホ基、2−メチルフェニルスルホ基、3−メチルフェニルスルホ基、4−メチルフェニルスルホ基、4−エチルフェニルスルホ基、4−プロピルフェニルスルホ基、4−イソプロピルフェニルスルホ基、4−ブチルフェニルスルホ基、4−tert−ブチルフェニルスルホ基、4−ヘキシルフェニルスルホ基、4−シクロヘキシルフェニルスルホ基、4−アダマンチルフェニルスルホ基及び4−フェニルフェニルスルホ基が挙げられる。
非置換のアラルキルスルホ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルスルホ基、1−フェニルエチルスルホ基、2−フェニルエチルスルホ基、1−フェニルプロピルスルホ基、2−フェニル−1−メチルエチルスルホ基、1−フェニル−1−メチルエチルスルホ基、3−フェニルプロピルスルホ基、4−フェニルブチルスルホ基、5−フェニルペンチルスルホ基及び6−フェニルヘキシルスルホ基が挙げられる。
式:−S(=O)2Rにおいて、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
「ヒドロカルビルスルフィノ基」は、非置換のヒドロカルビルスルフィノ基、及び該ヒドロカルビルスルフィノ基における水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子又はメルカプト基等で置換された置換ヒドロカルビルスルフィノ基を意味する。
非置換のヒドロカルビルスルフィノ基としては、例えば、非置換のアルキルスルフィノ基、非置換のシクロアルキルスルフィノ基、非置換のビシクロアルキルスルフィノ基、非置換のアルケニルスルフィノ基、非置換のアリールスルフィノ基、及び非置換のアラルキルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のアルキルスルフィノ基は直鎖状でも分岐していてもよい。非置換のアルキルスルフィノ基の炭素原子数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキルスルフィノ基としては、例えば、メチルスルフィノ基、エチルスルフィノ基、プロピルスルフィノ基、イソプロピルスルフィノ基、ブチルスルフィノ基、イソブチルスルフィノ基、sec−ブチルスルフィノ基、tert−ブチルスルフィノ基、ペンチルスルフィノ基、ヘキシルスルフィノ基、ヘプチルスルフィノ基、オクチルスルフィノ基、2−エチルヘキシルスルフィノ基、ノニルスルフィノ基、デシルスルフィノ基、3,7−ジメチルオクチルスルフィノ基及びドデシルスルフィノ基が挙げられる。置換アルキルスルフィノ基の例としては、トリフルオロメチルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のシクロアルキルスルフィノ基は、通常、炭素原子数3〜50であり、例えばシクロプロピルスルフィノ基、シクロブチルスルフィノ基、シクロペンチルスルフィノ基、シクロへキシルスルフィノ基、シクロノニルスルフィノ基及びシクロドデシルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のビシクロアルキルスルフィノ基は、通常、炭素原子数4〜50であり、例えばノルボルニルスルフィノ基及びアダマンチルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のアルケニルスルフィノ基は、通常、炭素原子数2〜50であり、例えばエテニルスルフィノ基、プロペニルスルフィノ基、3−ブテニルスルフィノ基、2−ブテニルスルフィノ基、2−ペンテニルスルフィノ基、2−ヘキセニルスルフィノ基、2−ノネニルスルフィノ基及び2−ドデセニルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のアリールスルフィノ基は、通常、炭素原子数6〜50であり、例えばフェニルスルフィノ基、1−ナフチルスルフィノ基、2−ナフチルスルフィノ基、2−メチルフェニルスルフィノ基、3−メチルフェニルスルフィノ基、4−メチルフェニルスルフィノ基、4−エチルフェニルスルフィノ基、4−プロピルフェニルスルフィノ基、4−イソプロピルフェニルスルフィノ基、4−ブチルフェニルスルフィノ基、4−tert−ブチルフェニルスルフィノ基、4−ヘキシルフェニルスルフィノ基、4−シクロヘキシルフェニルスルフィノ基、4−アダマンチルフェニルスルフィノ基及び4−フェニルフェニルスルフィノ基が挙げられる。
非置換のアラルキルスルフィノ基は、通常、炭素原子数7〜50であり、例えばフェニルメチルスルフィノ基、1−フェニルエチルスルフィノ基、2−フェニルエチルスルフィノ基、1−フェニルプロピルスルフィノ基、2−フェニル−1−メチルエチルスルフィノ基、1−フェニル−1−メチルスルフィノ基、3−フェニルプロピルスルフィノ基、4−フェニルブチルスルフィノ基、5−フェニルペンチルスルフィノ基及び6−フェニルヘキシルスルフィノ基が挙げられる。
式:−NRC(=O)OR、式:−NRC(=O)SR、式:−NRC(=S)OR、式:−NRC(=S)SR、式:−OC(=O)NR2、式:−SC(=O)NR2、式:−OC(=S)NR2、式:−SC(=S)NR2、式:−NRC(=O)NR2、式:−NRC(=S)NR2、式:−SM、式:−C(=O)SM、式:−CS2M、式:−OM、式:−NM2、式:−NRM、式:−OP(=O)(OM)2、式:−P(=O)(OM)2、式:−C(=O)NM2、式:−C(=O)NRM、式:−C(=S)NRM、式:−C(=S)NM2、式:−B(OM)2、式:−BR3M、式:−B(OR)3M、式:−S(=O)2M、式:−S(=O)OM、式:−NRC(=O)OM、式:−NRC(=O)SM、式:−NRC(=S)OM、式:−NRC(=S)SM、式:−OC(=O)NM2、式:−OC(=O)NRM、式:−OC(=S)NM2、式:−OC(=S)NRM、式:−SC(=O)NM2、式:−SC(=O)NRM、式:−SC(=S)NM2、式:−SC(=S)NRM、式:−NRC(=O)NM2、式:−NRC(=O)NRM、式:−NRC(=S)NM2、式:−NRC(=S)NRM、式:−PR3M’、式:−OR2M’、式:−SR2M’、式:−IRM’、及び式(n−1)〜(n−13)において、Rは水素原子又は1価の炭化水素基を表し、Mは、金属カチオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムカチオンを表し、M’はアニオンを表す。R、M及びM’の詳細は上述のとおりである。
式(p−1)〜(p−9)において、R’は置換若しくは非置換の2価の炭化水素基を表し、R’’は水素原子、置換若しくは非置換の1価の炭化水素基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、式:−SHで表される基、式:−NRc 2で表される基、シアノ基又は式:−C(=O)NRc 2で表される基を表し、ここでRcは置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素原子数6〜50のアリール基を表し、R’’’は置換若しくは非置換の3価の炭化水素基を表し、mは1以上の整数を表し、qは0以上の整数を表し、R’及びR’’の各々は複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
R’で表される2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基及び1,12−ドデシレン基等の炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、2−ブテニレン基、3−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基及び2−ドデセニレン基等の炭素原子数2〜50のアルケニレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基及びシクロドデシレン基等の炭素原子数3〜50の2価のシクロアルキレン基;ノルボニレン基及びアダマンチレン基等の炭素原子数4〜50の2価のビシクロアルキレン基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基及びビフェニル−4,4’−ジイル基等の炭素原子数6〜50のアリーレン基が挙げられる。
R’’で表される1価の炭化水素基は前記定義の通りであり、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基が好ましい。特に、共役化合物の溶媒への溶解性が良好であるので、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基又は2−ナフチル基がより好ましい。
R’’’で表される3価の炭化水素基は、置換又は非置換の3価の炭化水素基を意味し、通常、炭素原子数1〜50、好ましくは1〜30のものである。例えばメタントリイル基、エタントリイル基、1,2,3−プロパントリイル基、1,2,4−ブタントリイル基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1,2,6−ヘキサントリイル基及び1,3,6−ヘキサントリイル基等の炭素原子数1〜20の非置換アルカントリイル基、及びこれらの基の中の少なくとも1個の水素原子が置換された置換アルカントリイル基;1,2,3−ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基及び1,3,5−ベンゼントリイル基等の炭素原子数6〜30の非置換の3価の芳香族環式基、及びこれらの基の中の少なくとも1個の水素原子が置換された基が挙げられる。共役化合物の溶媒への溶解性が良好であるので、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基又は1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。
mは1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15が更に好ましく、6〜10がとりわけ好ましい。
qは0以上の整数を表す。qは、式(p−3)においては、0〜30が好ましく、3〜20がより好ましく、3〜10が更に好ましく、6〜10が特に好ましい。qは、式(p−4)〜(p−7)においては、0〜30が好ましく、0〜20がより好ましく、0〜10が更に好ましく、0〜5が特に好ましい。qは、式(p−8)においては、0〜30が好ましく、0〜20がより好ましく、3〜20が更に好ましく、3〜10が特に好ましい。qは、式(p−9)においては、0〜30が好ましく、0〜20がより好ましく、0〜15が更に好ましく、0〜10が特に好ましい。
Rcは、共役化合物の溶媒への溶解性が良好であるので、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基又は2−ナフチル基が好ましい。
前記式(I)中、R1で表される(m1+1)価の基としては、例えば、前記1価の炭化水素基又は前記1価の複素環基の環を構成する炭素原子に直接結合するm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、式−O−(R’O)m−で表される基(m1=1の場合)が挙げられ、好ましくは、アルキル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、アリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、1価の複素環基の環を構成する炭素原子に直接結合するm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、1価の複素環基で置換されたアルキル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団又は1価の複素環基で置換されたアリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団であり、より好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、フェニル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、トリアジニル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、トリアジニル基で置換されたアルキル基からm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団又はトリアジニル基で置換されたアリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm1個の水素原子を取り除いた残りの原子団である。
ここで、アルキル基及びアリール基としては、それぞれ、1価の炭化水素基の説明において例示した置換又は非置換のアルキル基及び置換又は非置換のアリール基が挙げられる。
1価の複素環基は上述した通りである。
1価の複素環基で置換されたアルキル基は、炭素原子数3〜30であり、例えば2−ピリジニルメチル基、3−ピリジニルメチル基、4−ピリジニルメチル基、3−ピリダジニルメチル基、4−ピリダジニルメチル基、2−ピリミジニルメチル基、4−ピリミジニルメチル基、5−ピリミジニルメチル基、2−ピラジニルメチル基、2−トリアジニルメチル基、キノリルメチル基、キノキサリニルメチル基、1,10−フェナントロリニルメチル基、2−ピリジニルエチル基、3−ピリジニルエチル基、4−ピリジニルエチル基、3−ピリダジニルエチル基、4−ピリダジニルエチル基、2−ピリミジニルエチル基、4−ピリミジニルエチル基、5−ピリミジニルエチル基、2−ピラジニルエチル基、2−トリアジニルエチル基、キノリルエチル基、キノキサリニルエチル基及び1,10−フェナントロリニルエチル基等が挙げられる。
1価の複素環基で置換されたアリール基は、炭素原子数9〜30であり、例えば、2−ピリジニルフェニル基、3−ピリジニルフェニル基、4−ピリジニルフェニル基、3−ピリダジニルフェニル基、4−ピリダジニルフェニル基、2−ピリミジニルフェニル基、4−ピリミジニルフェニル基、5−ピリミジニルフェニル基、2−ピラジニルフェニル基、2−トリアジニルフェニル基、キノリルフェニル基、キノキサリニルフェニル基及び1,10−フェナントロリニルフェニル基等が挙げられる。
前記式(II)中、R2で表される(m2+1)価の基としては、前記1価の炭化水素基又は前記1価の複素環基から環を構成する炭素原子に直接結合するm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、式−O−(R’O)m−で表される基(m2=1の場合)が挙げられ、好ましくは、アルキル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、アリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、1価の複素環基の環を構成する炭素原子に直接結合するm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、1価の複素環基で置換されたアルキル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団又は1価の複素環基で置換されたアリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であり、より好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、フェニル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、トリアジニル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、トリアジニル基で置換されたアルキル基からm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団又はトリアジニル基で置換されたアリール基の環を構成する炭素原子に直接結合するm2個の水素原子を取り除いた残りの原子団である。アルキル基、アリール基、1価の複素環基、1価の複素環基で置換されたアルキル基、及び1価の複素環基で置換されたアリール基は上述した通りである。
前記式中、R’及びmの定義、具体例及び好ましい例は、前記の通りである。
本発明に用いられる共役化合物の具体例としては、以下の式(a−1)〜(a−35)、(b−1)〜(b−39)、(c−1)〜(c−37)、(d−1)〜(d−48)、(e−1)〜(e−16)、(f−1)〜(f−35)、(g−1)〜(g−24)で表される繰り返し単位からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を有する共役化合物が挙げられる。これらの式中、n3は2以上の整数を表し、2〜30の整数が好ましく、2〜20の整数がより好ましく、6〜10の整数が更に好ましい。n4は1以上の整数を表し、1〜10の整数が好ましく、2〜6の整数が更に好ましい。これらの式中、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が更に好ましい。
共役化合物としては、銀粒子への吸着性、溶媒への分散性、導電性及び電荷注入性が優れるので、式(a−1)〜(a−7)、(a−10)〜(a−19)、(a−21)〜(a−27)、(a−29)〜(a−35)、(b−1)〜(b−6)、(b−9)、(b−11)〜(b−16)、(b−22)、(b−31)〜(b−39)、(c−1)〜(c−15)、(c−17)、(c−20)〜(c−22)、(c−24)〜(c−27)、(c−29)、(c−30)〜(c−38)、(d−1)〜(d−6)、(d−9)、(d−11)〜(d−16)、(d−22)、(d−31)〜(d−39)、(d−41)〜(d−48)、(e−1)〜(e−3)、(e−5)〜(e−16)、(f−1)〜(f−6)、(f−9)、(f−11)〜(f−16)、(f−22)、(f−31)〜(f−35)、(g−1)〜(g−13)、(g−16)〜(g−24)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物が好ましく、式(a−1)〜(a−3)、(a−5)、(a−7)、(a−10)、(a−12)、(a−14)〜(a−19)、(a−21)〜(a−27)、(a−29)〜(a−33)、(b−1)〜(b−6)、(b−9)、(b−11)、(b−13)、(b−15)、(b−16)、(b−22)、(b−34)〜(b−39)、(c−1)〜(c−15)、(c−17)、(c−20)〜(c−22)、(c−24)〜(c−27)、(c−29)〜(c−37)、(d−1)〜(d−6)、(d−9)、(d−11)、(d−13)、(d−15)、(d−16)、(d−22)、(d−31)〜(d−39)、(d−41)、(d−42)、(d−47)、(d−48)、(e−1)、(e−5)〜(e−8)、(e−11)、(e−12)、(e−15)、(e−16)、(f−1)〜(f−6)、(f−9)、(f−11)、(f−13)、(f−15)、(f−16)、(f−22)、(f−31)、(f−34)、(f−35)、(g−1)〜(g−3)、(g−6)〜(g−13)、(g−16)〜(g−24)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物がより好ましく、式(a−1)、(a−3)、(a−7)、(a−10)、(a−14)、(a−15)、(a−17)、(a−19)、(a−22)、(a−23)、(a−25)〜(a−27)、(a−30)、(a−31)、(b−1)、(b−2)、(b−5)、(b−6)、(b−9)、(b−11)、(b−13)、(b−22)、(b−34)〜(b−39)、(c−1)〜(c−4)、(c−13)(c−15)、(c−20)〜(c−22)、(c−25)〜(c−27)、(c−30)〜(c−33)、(d−1)、(d−2)、(d−5)、(d−6)、(d−9)、(d−11)、(d−13)、(d−22)、(d−31)〜(d−38)、(d−41)、(d−42)、(d−47)、(d−48)、(e−1)、(e−5)、(e−7)、(e−8)、(e−11)、(e−12)、(e−15)、(e−16)、(f−1)、(f−2)、(f−5)、(f−6)、(f−9)、(f−11)、(f−13)、(f−22)、(f−31)、(f−34)、(f−35)、(g−1)〜(g−3)、(g−6)、(g−7)、(g−9)〜(g−13)、(g−18)〜(g−21)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物が更に好ましく、式(a−3)、(a−14)、(a−22)、(a−17)、(a−25)、(a−30)、(a−31)、(b−6)、(b−22)、(b−34)〜(b−37)、(b−39)、(c−1)〜(c−4)、(c−15)、(c−22)、(c−27)、(c−33)、(d−6)、(d−22)、(d−34)〜(d−38)、(d−41)、(d−42)、(d−48)、(e−1)、(e−5)、(e−8)、(e−12)、(e−15)、(f−6)、(f−34)、(g−2)、(g−6)、(g−7)、(g−10)〜(g−12)、(g−18)〜(g−21)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物が特に好ましく、式(b−6)、(b−34)、(b−35)、(b−37)、(c−1)〜(c−4)、(c−33)、(d−6)、(d−34)、(d−36)〜(d−38)、(d−41)、(d−42)、(d−48)、(f−6)、(f−34)、(g−2)、(g−10)〜(g−12)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物がとりわけ好ましく、式(b−6)、(b−34)、(b−37)、(c−1)〜(c−4)、(c−33)、(d−38)、(d−41)、(d−42)及び(d−48)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物が殊更に好ましく、式(c−33)、(d−41)及び(d−48)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する共役化合物が最も好ましい。
式(I)で表される基としては、例えば、前記の繰り返し単位の例において、2つの結合のうちの一つを水素原子に置き換えてなる基が挙げられる。
前記共役化合物は、前記式(I)で表される基、前記式(II)で表される繰り返し単位、又はこれらの両方を有する化合物であるが、更に、前記式(II)で表される繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
別の繰り返し単位としては、例えば、前記式(1)〜(57)及び前記式(n−1)〜(n−13)のいずれか一つで表される芳香族化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団、前記1価の炭化水素基から1個の水素原子を取り除いた残りの原子団、及び前記1価の複素環基の環を構成する炭素原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられ、前記芳香族化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団又は前記1価の炭化水素基から1個の水素原子を取り除いた残りの原子団が好ましく、前記式(1)〜(57)のいずれか一つで表される芳香族化合物から2個の水素原子を取り除いた残りの原子団がより好ましく、式(1)〜(8)、(17)、(24)〜(33)、(36)〜(51)、(55)、(56)のいずれか一つで表される化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団が更に好ましく、式(1)〜(8)、(17)、(30)〜(33)、(36)〜(42)、(48)〜(51)、(55)、(56)のいずれか一つで表される化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団が特に好ましく、式(1)〜(8)のいずれか一つで表される化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団がとりわけ好ましく、式(3)又は(8)で表される化合物の環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団がとりわけ特に好ましい。これらの原子団はハロゲン原子等により置換されていてもよい。式(II)で表される繰り返し単位は、下記式(h−1)〜(h−19)のいずれか一つで表される基により結合していてもよい。下記式(h−1)〜(h−19)で表される基としては、好ましくは式(h−1)、式(h−3)〜(h−6)、式(h−9)、式(h−13)のいずれか一つで表される基であり、より好ましくは式(h−9)又は式(h−13)で表される基である。別の繰り返し単位を有する場合、共役化合物の共役を妨げない範囲で導入することが好ましい。
(式中、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。)
本発明に用いられる共役化合物としては、次の1.〜3.が好ましい。これらの共役化合物は上述の意味において非水溶性である。
1.前記式(I)で表される基を有し、Ar1の結合手が水素原子又はハロゲン原子と結合した化合物。
2.前記式(II)で表される繰り返し単位を有する化合物。
3.前記式(I)で表される基を片末端又は両末端に有し、前記式(II)で表される繰り返し単位を有する化合物。
共役化合物には、ドーパントをドープして使用することができる。このドーパントは、共役化合物100重量部あたり、1〜50重量部の割合で用いることが好ましい。
ドーパントとしては、例えば、ハロゲン、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、ニトリル化合物、有機金属化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等が挙げられる。
ハロゲンとしては、例えば、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素及びフッ化ヨウ素等のハロゲン間化合物が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼素、三臭化硼素及び無水硫酸等が挙げられる。
プロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、硼フッ化水素酸、フッ化水素酸及び過塩素酸等の無機酸;並びにカルボン酸及びスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸及び環式脂肪族カルボン酸のいずれであってもよく、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸及びトリフエニル酢酸が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸及び環式脂肪族スルホン酸のいずれであってもよく、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びアリルスルホン酸等の分子内に1つのスルホ基を有するスルホン酸化合物;並びにエタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸及びエチルナフタレンジスルホン酸等の分子内にスルホ基を複数個有するスルホン酸化合物が挙げられる。
前記ドーパントにおいて、有機酸はポリマー酸であってもよい。ポリマー酸としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びポリイソプレンスルホン酸が挙げられる。
ニトリル化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が挙げられる。
このような化合物としては、例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン及びテトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
有機金属化合物の例としては、トリス(4−ブロモフェニル)アンモニウムヘキサクロロアンチモネート、ビス(ジチオベンジル)ニッケル、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛錯体及びテトラブチルアンモニウムビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)ニッケル(III)錯体が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCs等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr及びBa等が挙げられる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、銀−共役化合物複合体の他にイオン性化合物を含む。
イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物であり、水和水、中性配位子を含んでいてもよい。中性配位子とは、配位結合可能な孤立電子対を有する非イオン性の化合物であり、イオン性化合物と結合した場合にイオン性化合物の酸化数を変化させない化合物をいう。中性配位子としては、例えば、ピリジン、2,2’−ビピリジル、フェナントロリン、ターピリジン、トリフェニルホスフィン、一酸化炭素及びクラウンエーテルが挙げられる。
カチオンとしては、例えば、金属カチオン及び有機カチオンが挙げられ、カチオンの安定性が良好であるので、金属カチオンが好ましい。
金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、典型金属カチオン及び遷移金属カチオンが挙げられ、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンが好ましい。
アルカリ金属カチオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+及びFr+が挙げられ、Li+、Na+、K+、Rb+又はCs+が好ましく、Cs+が更に好ましい。
アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+が挙げられる。
典型金属カチオンとしては、例えば、Zn2+、Cd2+、Hg+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Ge4+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Pb4+、Bi3+、Al3+、Tl+及びTl3+が挙げられる。
遷移金属カチオンとしては、例えば、Sc3+、Ti4+、V3+、V5+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu+、Cu2+、Y3+、Zr4+、Nb3+、Nb5+、Mo4+、Mo6+、Ru4+、Rh3+、Pd+、Pd2+、Ag+、Sb3+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Hf4+、Ta5+、W6+、Re6+、Os2+、Os4+、Ir4+、Pt2+及びPt4+が挙げられる。
有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン等の含窒素芳香環を有するオニウムカチオン;アンモニウムカチオン;及びホスホニウムカチオン等が挙げられる。
アニオンとしては、例えば、F−、Cl−、Br−、I−、OH−、CN−、NO3 −、NO2 −、ClO−、ClO2 −、ClO3 −、ClO4 −、CrO4 2−、HSO4 −、SCN−、BF4 −、PF6 −、R3O−(ここで、R3は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、R4COO−(ここで、R4は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、R5SO3 −(ここで、R5は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、R6OCO2 −(ここで、R6は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、R7SO2 −(ここで、R7は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、R8S−(ここで、R8は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、B(R9)4 −(ここで、R9は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。)、CO3 2−、S2−、SO4 2−、S2O3 2−、PO4 3−及びO2−が挙げられ、好ましくは、F−、Cl−、Br−、I−、OH−、NO3 −、BF4 −、PF6 −、R3O−、R4COO−、R5SO3 −、R6CO3 −、R7SO2 −、CO3 2−、SO4 2−又はPO4 3−であり、より好ましくは、F−、Cl−、Br−、I−、OH−、NO3 −、BF4 −、PF6 −、R3O−、R4COO−、R5SO3 −、CO3 2−又はSO4 2−であり、更に好ましくは、F−、Cl−、Br−、I−、OH−、NO3 −、BF4 −、PF6 −、R4COO−、R5SO3 −、CO3 2−又はSO4 2−であり、特に好ましくは、F−、OH−、NO3 −、R4COO−又はCO3 2−である。
R3〜R9で表される置換基を有していてもよい1価の炭化水素基における1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基及びドコシル基等の炭素原子数が1〜50のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基及びアダマンチル基等の炭素原子数が3〜50の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基及び2−ドデセニル基等の炭素原子数が2〜50のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基及び4−フェニルフェニル基等の炭素原子数が6〜50のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基及び6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数が7〜50のアリールアルキル基が挙げられる。中でも、炭素原子数が1〜50のアルキル基又は炭素原子数が6〜50のアリール基が好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基又は炭素原子数が6〜18のアリール基がより好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基又は炭素原子数が6〜12のアリール基が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられ、アミノ基、1価の複素環基、メルカプト基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基が好ましく、アミノ基、ピリジル基、メルカプト基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基がより好ましい。前記置換基が複数個(例えば、1個、2個又は3個)存在する場合には、複数個存在する置換基は同一でも異なっていてもよい。
前記置換基であるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、通常、1〜20(環状アルコキシ基の場合、通常、3〜20)であり、1〜10(環状アルコキシ基の場合、3〜10)が好ましい。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基及びラウリルオキシ基が挙げられる。前記アルコキシ基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメトキシ基及び2−メトキシエトキシ基が挙げられる。
前記置換基であるアリールオキシ基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、6〜48が好ましい。前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、及び、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、例えば、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、sec−ブトキシフェノキシ基、tert−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基及びラウリルオキシフェノキシ基が挙げられる。
C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、例えば、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基及びドデシルフェノキシ基が挙げられる。
前記置換基である置換アミノ基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1種以上の基で置換されたアミノ基が挙げられる。置換アミノ基の炭素原子数は、通常、1〜60であり、2〜48が好ましい。前記置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
前記置換基である1価の複素環基は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子を1個取り除いた残りの原子団である。複素環式化合物の複素環の例としては、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びアザジアゾール環等の単環式複素環;単環式複素環から選ばれる2個以上の環が縮合した縮合多環式複素環;2個の複素環、又は1個の複素環と1個の芳香環とを、2価の基(例えば、メチレン基、エチレン基、カルボニル基等の)で橋かけした構造を有する有橋多環式複素環等が挙げられる。複素環としては、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環又は1,3,5−トリアジン環が好ましく、ピリジン環又は1,3,5−トリアジン環がより好ましい。複素環式化合物が有していてもよい置換基は、R3〜R9で表される1価の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様である。置換基が複数個(例えば、1個、2個又は3個)存在する場合には、複数個存在する置換基は同一でも異なっていてもよい。
イオン性化合物は、下記組成式(hh−1)で表される構造を有することが好ましい。
Mm’+ aX’n’− b (hh−1)
(式中、Mm’+は、金属カチオンを表す。X’n’−はアニオンを表す。a及びbはそれぞれ独立に、1以上の整数である。Mm’+及びX’n’−の各々は複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
前記式(hh−1)で表されるイオン性化合物は、水和水、中性配位子等を含んでいてもよい。
前記式(hh−1)中、a及びbは、それぞれ独立に、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1又は2である。但し、a及びbは、前記式(hh−1)で表される化合物の全体としての電荷の偏りがない組み合わせである。
前記式(hh−1)中、m’は1以上の整数を表す。Mm’+で表される金属カチオンの定義、具体例及び好ましい例は、前記の通りである。
前記式(hh−1)中、n’は1以上の整数を表す。X’n’−で表されるアニオンの定義、具体例及び好ましい例は、前記の通りである。
イオン性化合物が水和水を含む場合、下記式(hh−2)で表される構造を有することが好ましい。
Mm’+ aX'n’− b・n’’(H2O) (hh−2)
前記式(hh−2)中、n’’は、1以上の整数を表す。Mm’+、X’n’−、a及びbの定義、具体例及び好ましい例は、前述の通りである。
前記イオン性化合物としては、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ガリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸銅、炭酸鉄、炭酸銀、炭酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸銀、酢酸銅、酢酸アンモニウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム、硫酸銀、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸鉛、亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸セシウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、硝酸銀、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト、硝酸鉛、亜硝酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、過塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、シアン酸カリウム、チオシアン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸亜鉛、グルタル酸二ナトリウム、グルタル酸二セシウム、6−アミノヘキサン酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、チオリンゴ酸セシウム、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸セシウム、6−アミノヘキサン酸セシウム、4−アミノベンゼンカルボン酸セシウム、リノール酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸セシウム、ピリジンカルボン酸リチウム、ピリジンカルボン酸ナトリウム、ピリジンカルボン酸カリウム、ピリジンカルボン酸セシウム、ピリジンジカルボン酸セシウム、2−2’−ビピリジン−4−4’−ジカルボン酸セシウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウム塩化物、トリメチルブチルアンモニウム塩化物、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム塩化物、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート及びグリシン塩酸塩が挙げられ、
フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ガリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸銅、炭酸鉄、炭酸銀、炭酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸セシウム、ピリジンカルボン酸リチウム、ピリジンカルボン酸ナトリウム、ピリジンカルボン酸カリウム、ピリジンカルボン酸セシウム、1-ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウム塩化物、トリメチルブチルアンモニウム塩化物、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム塩化物又はトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートが好ましく、
フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸セシウム、テレフタル酸セシウム、ピリジンカルボン酸セシウムがより好ましく、フッ化セシウム、水酸化セシウム、酢酸セシウム、安息香酸セシウム又はピリジンカルボン酸セシウムが更に好ましく、
水酸化セシウムが特に好ましい。
これらのイオン性化合物は、水和水及び/又は中性配位子を含んでいてもよい。
前記式(hh−2)で表される化合物としては、例えば、水酸化セシウム1水和物、塩化コバルト6水和物、硫酸銅1水和物、硫酸銅3水和物、硫酸銅5水和物、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム1水和物、硫酸アルミニウム16水和物、塩化ニッケル6水和物、塩化スズ2水和物、ヨウ化コバルト6水和物及び塩化ロジウム3水和物が挙げられ、水酸化セシウム1水和物が好ましい。
前記イオン性化合物は、1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよい。
前記イオン性化合物の分子量は、1000未満が好ましく、800未満がより好ましく、500未満が更に好ましい。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物において、イオン性化合物の添加量は、前記銀−共役化合物複合体100重量部に対して、通常、0.01〜1000重量部であり、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部である。
・銀−共役化合物複合体
銀−共役化合物複合体は、分光学的分析、熱分析、質量分析又は元素分析等により分析を行うことで、吸着している共役化合物を検出することができる。
本発明における分光学的分析としては、例えば、核磁気共鳴スペクトル法、赤外分光法、ラマン分光法、原子吸光分析法、アーク放電発光分析法、スパーク放電発光分析法、誘導結合プラズマ発光分析法、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線分析法、紫外・可視分光法及び蛍光分析法が挙げられ、熱分析としては、例えば、熱重量測定法、示差熱分析及び示差走査熱量測定が挙げられ、質量分析としては、例えば、各種イオン化法を用いた質量分析法が挙げられる。
銀−共役化合物複合体では、X線光電子分光法により求められる該複合体中に存在する全原子の個数を1としたときに、銀原子以外のヘテロ原子の個数の割合は、銀粒子へ吸着した共役化合物の分散性が良好になるので、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、更に好ましくは0.025以上であり、特に好ましくは0.03以上であり、また、通常、上限は0.7である。即ち、銀−共役化合物複合体では、X線光電子分光法により求められる[該複合体中のヘテロ原子(銀原子以外)の個数]/[該複合体中の全原子の個数]の比率が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、更に好ましくは0.025以上であり、特に好ましくは0.03以上であり、また、通常、上限は0.7である。
銀−共役化合物複合体は、共役化合物の特性を銀粒子に付与できるので、X線光電子分光法により、純粋な金属銀では検出されない、共役化合物由来のピークが検出されることが好ましい。即ち、銀−共役化合物複合体では、X線光電子分光法により求められる該複合体のピークが、純粋な金属銀では検出されない、共役化合物由来のピークを含むことが好ましい。
銀−共役化合物複合体をX線光電子分光法による測定に供する場合には、該銀−共役化合物複合体を、その表面に弱く付着している共役化合物が溶解可能な溶媒及び銀粒子に付着した他の化合物が溶解可能な溶媒により、5回以上洗浄した後に用いる。ここで洗浄は、試料である銀−共役化合物複合体を溶媒に添加する等して接触させた後、攪拌、振盪、超音波分散を行い、必要に応じて遠心分離、上澄み除去、再分散、透析、ろ過、加熱等を行うことにより行うことができる。
ヘテロ原子とは、炭素原子及び水素原子以外の元素を意味するが、合成が容易であり、かつ、銀−共役化合物複合体の安定性が良好であるので、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であることがより好ましい。
本発明に用いられる共役化合物は、その安定性と発光性とが良好であるので、バンドギャップが2.10eV以上であることが好ましく、より好ましくは2.20eV以上、更に好ましくは2.40eV以上、特に好ましくは2.60eV以上である。また、大気中において光電子分光法により求めたイオン化ポテンシャルは、好ましくは5.20eV以上であり、より好ましくは5.25eV以上である。上限は特に制限されないが、通常6.50eV以下である。また、最低空軌道のエネルギーレベルは、3.00eV以下が好ましく、より好ましくは2.90eV以下、更に好ましくは2.80eV以下であり、特に好ましくは2.70eV以下である。
前記バンドギャップの値は、紫外・可視・近赤外分光法により得られる吸収スペクトルの長波長側の吸収端から求めることができる。バンドギャップの測定方法は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
銀−共役化合物複合体は粒子状であることが好ましい。銀−共役化合物複合体についていう粒子状とは、銀−共役化合物複合体において、前述したアスペクト比が1.5未満であることを意味する。銀−共役化合物複合体のフェレー径は、通常1100nm以下である。
例えば、フェレー径が1000nmである銀粒子に共役化合物を吸着させ、銀−共役化合物複合体を調製した場合、銀−共役化合物複合体のフェレー径が理論的には1100nmとなり得ることが、銀−共役化合物複合体についての成分分析の結果から明らかとなっている。銀−共役化合物複合体のフェレー径は、700nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましい。銀−共役化合物複合体のフェレー径の下限は特に制限されないが、通常1nm以上である。
銀−共役化合物複合体は、フェレー径1000nm以下の複数の銀粒子が、銀粒子に吸着した共役化合物を介して凝集していてもよい。
<製造方法>
・製法1:
銀−共役化合物複合体は、例えば、フェレー径1000nm以下の銀粒子を予め非共役化合物で被覆した銀粒子(以下、「被覆銀粒子」と言う。)と、重量平均分子量3.0×102以上の共役化合物とを溶媒中で接触させる(例えば混合する)工程を含む方法で製造することができる。
被覆銀粒子を使用すると、フェレー径が1000nm以下の銀粒子を簡便に得ることができる点で有利である。
この製造方法において、被覆銀粒子を用いた場合には、得られる銀−共役化合物複合体は、銀粒子及び共役化合物の他に、非共役化合物を含む。非共役化合物は該製造方法において共役化合物が銀粒子に吸着するのを媒介する役割を果たすと考えられ、非共役化合物のかなりの部分が共役化合物により置き換わる結果、共役化合物の少なくとも一部は銀粒子に直接吸着する。したがって、非共役化合物はこの役割を果たす十分な量存在すればよい。具体的には、該非共役化合物の該複合体中の含有量は0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上が更に好ましい。また、上限は特に制限されないが、99重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、50重量%以下が更に好ましく、30重量%以下が特に好ましく、10重量%以下がとりわけ好ましい。
この製造方法で用いることができる非共役化合物とは、π電子の共役領域、即ち前述した共役化合物の定義における共役π電子の非局在化領域を有しない有機化合物を意味する。
該非共役化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミド及びポリアクリル酸が挙げられ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール又はポリアリルアミドが好ましく、ポリビニルピロリドン又はポリアリルアミドがより好ましく、ポリビニルピロリドンが更に好ましい。
非共役化合物による被覆処理は、例えば、非共役化合物を含む溶液に銀粒子を分散させること、又は、非共役化合物の存在下で銀化合物を還元させることにより、行うことができる。
前記製造工程で用いることができる溶媒は、重量平均分子量3.0×102以上の共役化合物が溶解する溶媒が好ましい。また、被覆銀粒子を用いる場合は、銀粒子に被覆している非共役化合物が溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及び水が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を混合して用いてもよく、異なる溶媒中で(被覆)銀粒子と共役化合物とを繰り返し接触させる工程を行ってもよい。
本製法で用いられる重量平均分子量3.0×102以上の共役化合物の溶液の濃度は、銀粒子と共役化合物の吸着が進みやすくなるので、共役化合物は10μmol/L以上が好ましく、50μmol/L以上がより好ましく、100μmol/L以上が更に好ましく、200μmol/L以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、溶媒に共役化合物が溶解していることが好ましい。
重量平均分子量3.0×102以上の共役化合物の溶液10mL当たり、銀粒子又は被覆銀粒子の量は、0.1mg以上が好ましく、1mg以上がより好ましく、5mg以上が更に好ましく、10mg以上が特に好ましい。上限は、通常10gであり、5g以下が好ましく、1g以下がより好ましく、100mg以下が更に好ましい。
・製法2:
銀−共役化合物複合体は、例えば、銀化合物を、重量平均分子量3.0×102以上の共役化合物の存在下で還元させる工程(以下、「還元工程」と言う。)を含む製造方法によっても得られる。
銀化合物としては、例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硫化銀、酸化銀、硝酸銀、次亜塩素酸銀、亜塩素酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀及びトリフルオロメタンスルホン酸銀等が挙げられ、銀化合物の還元剤に対する溶解性が良好であるので、硝酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀が好ましく、硝酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、炭酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀又はトリフルオロメタンスルホン酸銀がより好ましい。
これらの銀化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
前記還元工程で用いてもよい還元剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等の芳香環を有しない還元剤;フェノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン、アニリン、チオフェノール、フェニルメチルチオール、フェニルエチルチオール、チオフェン、ヒドロキシチオフェン、チオフェンアルデヒド、フルフラール、ピロール及びこれらの誘導体等の芳香環を有する還元剤が挙げられ、それらの中でも、還元剤の安定性と還元性とが良好であるので、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、フェノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アニリン、チオフェノール、フェニルメチルチオール、フェニルエチルチオール又はヒドロキシチオフェンが好ましい。これらの還元剤が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。これらの還元剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
前記還元工程で用いてもよい溶媒として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル及びN−メチルピロリドンが挙げられる。なお、上記の還元剤を溶媒として使用してもよい。
前記還元工程は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化水素、又はこれらの両方の存在下で行われることが好ましい。
前記金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化リチウム、塩化セシウム、塩化タングステン、塩化モリブデン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化スカンジウム、塩化チタン、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化プラチナ、塩化スズ、塩化銀、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化鉄、臭化銅、臭化ニッケル、臭化銀、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム及びヨウ化銀等が挙げられ、溶解性が良好であるので、塩化リチウム、塩化セシウム、塩化タングステン、塩化モリブデン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化スカンジウム、塩化チタン、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化プラチナ、塩化スズ、臭化鉄又は臭化銅が好ましく、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化銀、塩化鉄、塩化ナトリウム又は塩化銅がより好ましい。なお、これらの金属ハロゲン化物は、水和物であってもよい。
前記ハロゲン化水素としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素等が挙げられ、銀化合物との親和性が優れるので、塩化水素が好ましい。
なお、金属ハロゲン化物及びハロゲン化水素は、おのおの、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
銀−共役化合物複合体の製造方法は、前記還元工程のみからなる1工程であっても、その他の工程を含む2以上の工程であってもよい。以下、好ましい実施形態である2以上の工程からなる製造方法を説明する。
このような製造方法としては、具体的には、還元剤の活性化が効率的に行われるので、前記還元工程と、該還元工程の前に前記芳香環を有する還元剤を加熱する加熱工程を有する製造方法が好ましい。なお、この加熱工程では、還元工程と同様の溶媒を用いてもよい。
まず、前記芳香環を有する還元剤を、必要に応じて溶媒に溶解させた後に、加熱(予備加熱)する。その後、加熱された還元剤に銀化合物を添加し、必要に応じて分散剤の存在下、該銀化合物を還元させる。こうして、所望の銀−共役化合物複合体を製造することができる。なお、加熱された還元剤に銀化合物を添加する際には、銀−共役化合物複合体が原料である銀粒子に戻ることを制御するため、金属ハロゲン化物及び/又はハロゲン化水素を添加してもよい。
前記加熱工程は、酸素の存在下で行われることが好ましく、窒素と酸素とを、窒素:酸素=4:1の割合(体積基準)で混合したガス(空気で代用してもよい)の存在下で行われることがより好ましい。
前記還元工程は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気で行われることが好ましい。
前記加熱工程と前記還元工程における温度は、通常、40〜200℃であり、好ましくは、60〜190℃、より好ましくは100〜190℃である。なお、前記加熱工程と前記還元工程では、温度が異なっていてもよい。
前記加熱工程に必要な時間は、通常、5分以上であり、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上であるが、上限は、通常、400分である。
前記還元工程に必要な時間は、通常、5分以上であり、好ましくは10分以上、特に好ましくは15分以上であるが、上限は、通常、400分である。
銀−共役化合物複合体の製造方法は、前記還元工程の後に、還元工程で得られた未精製の銀−共役化合物複合体を精製する精製工程を有していてもよい。この精製工程は、遠心分離、上澄み除去、再分散、洗浄、加熱、乾燥等により行うことができる。
また、前記還元工程、前記精製工程で得られた銀−共役化合物複合体が分散液の状態である場合には、遠心分離、ろ過、蒸留等の方法により、固体の状態の銀−共役化合物複合体を得るための回収工程を有していてもよい。
<分散液>
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、そのまま使用してもよいが、塗布等の際の作業性を高めるために溶媒に分散させて、該複合体及びイオン性化合物を含む分散液として使用することもできる。溶媒としては、非極性及び極性の有機溶媒を使用することができる。非極性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン及びジエチルエーテルが挙げられ、極性有機溶媒としては例えばアセトニトリル;N−メチルピロリドン;メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコールが挙げられる。本発明の銀−共役化合物複合体組成物の分散液において、銀−共役化合物複合体の濃度は、分散液100重量%に対して、好ましくは0.01〜75重量%であり、より好ましくは0.05〜50重量%であり、更に好ましくは0.1〜30重量%である。本発明の銀−共役化合物複合体組成物の分散液において、イオン性化合物の濃度は、分散液100重量%に対して、好ましくは0.0001〜20重量%であり、より好ましくは0.0001〜10重量%であり、更に好ましくは0.0001〜1重量%であり、特に好ましくは0.001〜1重量%であり、殊更好ましくは0.001〜0.1重量%である。なお、この分散液には、本発明の銀−共役化合物複合体組成物のほかに、分散安定剤、界面活性剤、粘度調整剤又は腐食防止剤等を分散又は溶解させてもよい。
本発明の分散液は、導電性塗料、熱伝導性塗料、粘着剤、接着剤又は機能性コーティング材料として有用である。
<積層構造体>
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、積層構造体に用いることにより、電子素子等の製造に有用な材料となる。この積層構造体は、基板と、該基板上に形成された本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層とを有するものである。積層構造体を発光素子に用いる場合、基板としては、例えばガラス基板;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等からなるプラスチック基板が挙げられ、本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、電極として機能する。
<用途>
以下、本発明の銀−共役化合物複合体組成物の代表的な用途について説明する。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、導電性が優れている。そのため、本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、例えば、電極材料として用いることができる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は上述した分散液の状態で導電性塗料として用いることができる。導電性塗料を用いた塗布方法を選択することによって、パターニングされた導電性部位を作製することが可能である。この方法によれば、蒸着、スパッタリング、エッチング、メッキ等の工程を必要とせずに電極等を作製することができる。また、本発明の銀−共役化合物複合体組成物は高い導電性と電荷注入性を有しているため、こうして得られた電極は、導電性と電荷注入性を両立したものである。この電極は、発光素子(例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子等)、有機トランジスタ及び光電変換素子(例えば、太陽電池等)等の有機電子素子に用いることができる。そのほか、本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、発熱体、電磁波遮断フィルム、アンテナ、集積回路又は帯電防止剤等に用いられる。塗布の際には上述した分散液の状態が適する。
発光素子は、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層とを有するものである。本発明の銀−共役化合物複合体組成物は該電極に用いることができる。この発光素子は、基板、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層又は電子輸送層等を更に有していてもよい。
発光素子は、基板側から採光する所謂ボトムエミッションタイプ、基板と反対側から採光する所謂トップエミッションタイプ、両面採光型のいずれのタイプの発光素子であってもよい。
本発明の発光素子は、陰極と発光層との間又は陽極と発光層との間に、さらに他の構成要素を備えることができる。
例えば、陽極と発光層との間には正孔注入層及び正孔輸送層のうちの1層以上を有することができる。正孔注入層が存在する場合は、発光層と正孔注入層との間に正孔輸送層を1層以上有することができる。
一方、陰極と発光層との間には電子注入層及び電子輸送層のうちの1層以上を有することができる。電子注入層が存在する場合は、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を1層以上有することができる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層又は電子輸送層等に用いることもできる。
ここで、陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給する電極であり、陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給する電極である。
発光層とは、電界を印加した際に、陽極又は陽極側に隣接する層より正孔を受け取り、陰極又は陰極側に隣接する層より電子を受け取る機能、受け取った電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する層をいう。
電子注入層とは、陰極に隣接する層であり、陰極から電子を受け取る機能を有する層であり、さらに必要に応じて電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能、発光層へ電子を供給する機能のいずれかを有する層をいう。電子輸送層とは、主に電子を輸送する機能を有する層であり、必要に応じて、陰極から電子を受け取る機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能、発光層へ電子を供給する機能のいずれかを有する層をいう。
正孔注入層とは、陽極に隣接する層であり、陽極から正孔を受け取る機能を有する層であり、さらに必要に応じて正孔を輸送する機能、発光層へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有する層をいう。正孔輸送層とは、主に正孔を輸送する機能を有する層であり、必要に応じて、陽極から正孔を受け取る機能、発光層へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有する層をいう。
なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶことがある。また、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層と呼ぶことがある。
即ち、発光素子は下記の層構成(a)を有することができ、又は層構成(a)から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の1層以上を省略した層構成を有することもできる。層構成(a)において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、陰極に用いることが好ましい。
(a)陽極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−(電子輸送層)−(電子注入層)−陰極
ここで、符号「−」は、これを挟んで両側に記載された各層が隣接して積層されていることを示す。「(正孔注入層)」は、正孔注入層を1層以上含む層構成を示す。「(正孔輸送層)」は、正孔輸送層を1層以上含む層構成を示す。「(電子注入層)」は、電子注入層を1層以上含む層構成を示す。「(電子輸送層)」は、電子輸送層を1層以上含む層構成を示す。以下の層構成の説明においても同様である。
さらに、発光素子は、1つの積層構造中に2層の発光層を有することができる。この場合、発光素子は下記の層構成(b)を有することができ、又は層構成(b)から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層及び電極の1層以上を省略した層構成を有することもできる。層構成(b)において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、陰極に用いることが好ましい。
(b)陽極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−(電子輸送層)−(電子注入層)−電極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−(又は電子輸送層)−(電子注入層)−陰極
さらに、発光素子は、1つの積層構造中に3層以上の発光層を有することができる。この場合、発光素子は下記の層構成(c)を有することができ、又は層構成(c)から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層及び電極の1層以上を省略した層構成を有することもできる。層構成(c)において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物を含む層は陰極に用いることが好ましい。
(c)陽極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−(電子輸送層)−(電子注入層)−繰返し単位A−繰返し単位A・・・−陰極
ここで、「繰返し単位A」は、電極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−(電子輸送層)−(電子注入層)の層構成の単位を示す。
発光素子の好ましい層構成としては、下記の構成が挙げられる。下記層構成において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層及び陰極からなる群から選ばれる1つ以上の層として用いることができる。
(a’)陽極−発光層−陰極
(b’)陽極−正孔注入層−発光層−陰極
(c’)陽極−発光層−電子注入層−陰極
(d’)陽極−正孔注入層−発光層−電子注入層−陰極
(e’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−陰極
(f’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−電子注入層−陰極
(g’)陽極−発光層−電子輸送層−電子注入層−陰極
(h’)陽極−正孔注入層−発光層−電子輸送層−電子注入層−陰極
(i’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−電子輸送層−電子注入層−陰極
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層は、陽極又は陰極であることが好ましく、陰極であることがより好ましい。
発光素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷の注入の改善のために、電極に隣接して絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層(即ち正孔輸送層又は電子輸送層)又は発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して用いることができる。
次に、発光素子を構成する各層の材料及び形成方法について、より詳説する。
−基板−
発光素子は、通常、基板を用いて形成される。基板としては、電極を形成し、有機層を形成する際に化学的に変化しないものであればよく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム基板、金属フィルム基板、シリコン基板、及びこれらを積層した基板が挙げられる。前記基板としては、市販のものが入手可能であり、又は公知の方法により製造することができる。
発光素子がディスプレイ装置の画素を構成する際には、当該基板上に画素駆動用の回路が設けられていてもよいし、当該駆動回路上に平坦化膜が設けられていてもよい。平坦化膜が設けられる場合には、該平坦化膜の中心線平均粗さ(Ra)がRa<10nmを満たすことが好ましい。
Raは、日本工業規格JISのJIS−B0601−2001に基づいて、JIS−B0651からJIS−B0656及びJIS−B0671−1等を参考に計測できる。
−陽極−
発光素子を構成する陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等で用いられる有機半導体材料への正孔供給性が良好であるので、かかる陽極の発光層側表面の仕事関数が4.0eV以上であることが好ましい。
発光素子において、本発明の銀−共役化合物複合体組成物以外の陽極の材料には、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物等の電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることができる。具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)及び酸化モリブデン等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム及びニッケル等の金属;及びこれらの導電性金属酸化物と金属との混合物等が挙げられる。
前記陽極は、これら材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。多層構造である場合は、仕事関数が4.0eV以上である材料を発光層側の最表面層に用いることがより好ましい。
陽極の作製方法としては、公知の方法が利用でき、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、及び溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)等が挙げられる。
陽極の厚さは、通常10nm〜10μmであり、好ましくは40nm〜500nmである。
また、短絡等の電気的接続の不良をより有効に防止できるので、陽極の発光層側表面の中心線平均粗さ(Ra)はRa<10nmを満たすことが好ましく、Ra<5nmを満たすことがより好ましい。
さらに、該陽極は上記方法にて作製された後に、UVオゾン、シランカップリング剤、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン等の電子受容性化合物を含む溶液等で表面処理を施してもよい。表面処理によって該陽極に接する層との電気的接続が改善される。
発光素子において陽極を光反射電極として用いる場合には、かかる陽極が、高光反射性金属からなる光反射層と4.0eV以上の仕事関数を有する材料を含む高仕事関数材料層を組み合わせた多層構造が好ましい。
このような陽極の構成としては、例えば、以下の(i)〜(v)が挙げられる。
(i)Ag−MoO3
(ii)(Ag−Pd−Cu合金)−(ITO及び/又はIZO)
(iii)(Al−Nd合金)−(ITO及び/又はIZO)
(iv)(Mo−Cr合金)−(ITO及び/又はIZO)
(v)(Ag−Pd−Cu合金)−(ITO及び/又はIZO)−MoO3
十分な光反射率を得る為に、Al、Ag、Al合金、Ag合金及びCr合金等の高光反射性金属からなる光反射層の厚さは50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましい。ITO、IZO及びMoO3等の高仕事関数材料層の厚さは通常、5nm〜500nmの範囲である。
−正孔注入層−
発光素子において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物以外の正孔注入層を形成する材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、スターバースト型アミン、フタロシアニン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらを含む重合体;酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム及び酸化アルミニウム等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子及びオリゴマー;ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、ポリピロール等の有機導電性材料及びこれらを含む重合体;アモルファスカーボン;テトラシアノキノジメタン誘導体(例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)、1,4−ナフトキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体及びポリニトロ化合物等のアクセプター性有機化合物;オクタデシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が好適に使用できる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記正孔注入層は、前記材料のみからなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、正孔輸送層の材料として例示する材料も正孔注入層の材料として用いることができる。
正孔注入層の作製方法としては、公知の方法が利用できる。正孔注入層に用いられる正孔注入材料が無機材料の場合は、真空蒸着法、スパッタリング法又はイオンプレーティング法等が利用でき、低分子有機材料の場合は、真空蒸着法、レーザー転写や熱転写等の転写法、又は溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)等が利用できる。また、正孔注入材料が高分子有機材料の場合は、溶液からの成膜による方法が利用できる。
正孔注入材料が、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体及びトリフェニルジアミン誘導体等の低分子有機材料の場合には、真空蒸着法を用いて正孔注入層を形成することが好ましい。
また、高分子化合物バインダーと前記低分子有機材料を分散させた混合溶液を用いて正孔注入層を成膜することもできる。
混合する高分子化合物バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くない化合物が好適に用いられる。この高分子化合物バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリシロキサンが例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させることができる溶媒であればよい。該溶媒として、水;クロロホルム、塩化メチレン及びジクロロエタン等の含塩素溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル及びエチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、塗布法が挙げられ、その具体例としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法及びノズルコート法等のコート法;マイクログラビア印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法及びインクジェット印刷法等の印刷法等を用いることができる。
パターン形成が容易であるので、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法及びインクジェット印刷法等の印刷法やノズルコート法が好ましい。
正孔注入層に続いて、正孔輸送層及び発光層等の有機化合物層を形成する場合、特に、両方の層を塗布法によって形成する場合には、先に塗布した層(以下、「下層」という場合がある。)が後から塗布する層(以下、「上層」という場合がある。)の溶液に含まれる溶媒に溶解して積層構造を作製できなくなることがある。この場合には、下層を溶媒不溶化する方法を用いることができる。下層を溶媒不溶化する方法としては、例えば、下層に含まれる高分子化合物に架橋基を付け、架橋させて不溶化する方法;芳香族ビスアジドに代表される芳香環を有する架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;アクリレート基に代表される芳香環を有しない架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;下層を紫外光に感光させて架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法;及び下層を加熱して架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法等が挙げられる。下層を加熱する場合の加熱温度は通常100℃〜300℃であり、加熱時間は通常1分〜1時間である。
また、下層を溶解させずに上層を積層するその他の方法として、隣り合った層の製造に異なる極性の溶液を用いる方法があり、たとえば、下層に水溶性の高分子化合物を用い、上層の溶液として油溶性の高分子化合物を含む油性溶液を用いて、塗布しても下層が溶解しないようにする方法等がある。
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは10nm〜100nmである。
−正孔輸送層−
発光素子において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物以外の正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらの構造を含む重合体;アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子及びオリゴマー;ポリピロール等の有機導電性材料が挙げられる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記正孔輸送層は、前記材料のみからなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、正孔注入層の材料として例示する材料も正孔輸送層の材料として用いることができる。
前記正孔輸送層を構成する材料としては、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報、特開平5−263073号公報、特開平6−1972号公報、WO2005/52027及び特開2006−295203号公報等に開示される化合物も有用である。これらの中でも、繰り返し単位として2価の芳香族アミン残基を含む重合体が、好適に用いられる。
正孔輸送層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。溶液からの成膜方法としては、塗布法が挙げられ、その具体例としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法及びノズルコート法等のコート法;グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びインクジェット印刷法法等の印刷法が挙げられる。昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法又は転写法が挙げられる。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
正孔輸送層に続いて、発光層等の有機層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜100nmである。
−発光層−
発光素子において、発光層が高分子化合物を含む場合、該高分子化合物としては、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール、ポリアルキルチオフェン等の共役高分子化合物を好適に用いることができる。
また、前記高分子化合物を含む発光層は、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子系色素化合物や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子色素化合物を含有してもよい。また、該発光層は、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、並びにテトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等の燐光を発光する金属錯体を含有してもよい。
発光素子が有する発光層は、非共役高分子化合物と前記有機色素や前記金属錯体等の発光性有機化合物との組成物から構成されてもよい。非共役高分子化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂及びシリコン樹脂が挙げられる。前記の非共役高分子化合物は、その側鎖に、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン化合物、ポルフィリン化合物及び有機シラン誘導体からなる群から選ばれる1つ以上の誘導体若しくは化合物の構造を有していてもよい。
発光層が低分子化合物を含む場合、該低分子化合物としては、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、カルバゾール、キナクリドン等の低分子色素化合物、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系、インジゴ系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、フタロシアニン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、並びにテトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられる。
発光層が燐光を発光する金属錯体を含む場合、該金属錯体としては、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、チエニルピリジン配位子含有イリジウム錯体、フェニルキノリン配位子含有イリジウム錯体、トリアザシクロノナン骨格含有テルビウム錯体等が挙げられる。
発光層に用いられる高分子化合物としては、例えば、WO97/09394、WO98/27136、WO99/54385、WO00/22027、WO01/19834、GB2340304A、GB2348316、US573636、US5741921、US5777070、EP0707020、特開平9−111233号公報、特開平10−324870号公報、特開2000−80167号公報、特開2001−123156号公報、特開2004−168999号公報、特開2007−162009号公報、「有機EL素子の開発と構成材料」(シーエムシー出版、2006年発行)等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
また、低分子化合物としては、特開昭57−51781号公報、「有機薄膜仕事関数データ集[第2版]」(シーエムシー出版、2006年発行)、「有機EL素子の開発と構成材料」(シーエムシー出版、2006年発行)等に記載されている化合物が例示される。
前記材料は単成分であっても或いは複数の成分からなる組成物であってもよい。また、前記発光層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
発光層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。溶液からの成膜方法としては、塗布法が挙げられ、その具体例としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法及びノズルコート法等のコート法;グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びインクジェット印刷法等の印刷法が挙げられる。昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法又は転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
発光層に続いて、電子輸送層等の有機化合物層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、5nm〜1μmであり、好ましくは10nm〜500nmであり、さらに好ましくは30nm〜200nmである。
−電子輸送層−
発光素子において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物以外の電子輸送層を構成する材料としては、公知のものが使用でき、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。これらのうち、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、並びに8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましい。
前記材料は単成分であっても或いは複数の成分からなる組成物であってもよい。また、前記電子輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、電子注入層の材料として例示する材料も電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。溶液からの成膜方法としては、塗布法が挙げられ、その具体例としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法及びノズルコート法等のコート法;グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びインクジェット印刷法等の印刷法が挙げられる。昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法又は転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
電子輸送層に続いて、電子注入層等の有機化合物層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜100nmである。
−電子注入層−
発光素子において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物以外の電子注入層を構成する材料としては、公知の化合物が使用でき、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等が挙げられる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記電子注入層は、前記材料のみからなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、電子輸送層の材料として例示する材料も電子注入層の材料として用いることができる。
電子注入層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。溶液からの成膜方法としては、塗布法が挙げられ、その具体例としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法及びノズルコート法等のコート法;グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びインクジェット印刷法法等印刷法が挙げられる。昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法又は転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
電子注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜100nmである。
−陰極−
発光素子において、陰極は、単一の材料又は複数の材料からなる単層構造であってもよいし、複数層からなる多層構造であってもよい。陰極が単層構造である場合、発光素子において、本発明に用いられる銀−共役化合物複合体組成物以外の陰極の材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、ニッケル、チタン等の低抵抗金属及びこれらを含む合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO、IZO、酸化モリブデン等の導電性金属酸化物;これらの導電性金属酸化物と金属との混合物が挙げられる。多層構造である場合、第1陰極層とカバー陰極層の2層構造、又は第1陰極層、第2陰極層及びカバー陰極層の3層構造が好ましい。ここで、第1陰極層は、陰極の中で最も発光層側にある層をいい、カバー陰極層は2層構造の場合は第1陰極層を、3層構造の場合は第1陰極層と第2陰極層を覆う層をいう。電子供給能が良好であるので、第1陰極層の材料の仕事関数が3.5eV以下であることが好ましい。また、仕事関数が3.5eV以下の金属の酸化物、フッ化物、炭酸塩、複合酸化物等も第1陰極層材料として好適に用いられる。
カバー陰極層の材料には、抵抗率が低く、水分への耐腐食性が高い金属、金属酸化物等が好適に用いられる。
第1陰極層材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を1種類以上含む合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩及び複合酸化物、並びにこれらの混合物からなる群より選択される1つ以上の材料等が挙げられる。アルカリ金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩及び複合酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、モリブデン酸カリウム、チタン酸カリウム、タングステン酸カリウム及びモリブデン酸セシウムが挙げられる。アルカリ土類金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩及び複合酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸化バリウム、モリブデン酸バリウム及びタングステン酸バリウムが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属を1種類以上含む合金の例としては、Li−Al合金、Mg−Ag合金、Al−Ba合金、Mg−Ba合金、Ba−Ag合金及びCa−Bi−Pb−Sn合金が挙げられる。また、第1陰極層材料として例示した材料と電子注入層を構成する材料として例示した材料との組成物も第1陰極層の材料に使用できる。第2陰極層の材料としては、第1陰極層の材料と同様の材料が例示される。
カバー陰極層の材料の例としては、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、ニッケル、チタン等の低抵抗金属及びこれらを含む合金;金属ナノ粒子;金属ナノワイヤー;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO、IZO及び酸化モリブデン等の導電性金属酸化物;これらの導電性金属酸化物と金属との混合物;導電性金属酸化物のナノ粒子;グラフェン、フラーレン及びカーボンナノチューブ等の導電性炭素が挙げられる。
陰極が多層構造である場合の例としては、Mg/Al、Ca/Al、Ba/Al、NaF/Al、KF/Al、RbF/Al、CsF/Al、Na2CO3/Al、K2CO3/Al、Cs2CO3/Al等の第1陰極層とカバー陰極層の2層構造;LiF/Ca/Al、NaF/Ca/Al、KF/Ca/Al、RbF/Ca/Al、CsF/Ca/Al、Ba/Al/Ag、KF/Al/Ag、KF/Ca/Ag、K2CO3/Ca/Ag等の第1陰極層、第2陰極層及びカバー陰極層の3層構造が挙げられる。ここで、符号「/」は、これを挟んで両側に記載された各層が隣接して積層されていることを示す。なお、第2陰極層の材料が第1陰極層の材料に対して還元作用を有することが好ましい。ここで、材料間の還元作用の有無及びその程度は、例えば、化合物間の結合解離エネルギー(ΔrH°)から見積もることができる。即ち、第2陰極層を構成する材料による、第1陰極層を構成する材料に対する還元反応において、結合解離エネルギーが正である組み合わせの場合、第2陰極層の材料が第1陰極層の材料に対して還元作用を有すると言える。結合解離エネルギーは、例えば「電気化学便覧第5版」(丸善、2000年発行)、「熱力学データベースMALT」(科学技術社、1992年発行)で参照できる。
陰極の作製方法としては公知の方法が利用でき、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)が例示される。陰極の材料として金属、金属酸化物、フッ化物、炭酸塩を用いる場合は真空蒸着法が好適に使用され、高沸点の金属酸化物、金属複合酸化物やITO等の導電性金属酸化物を用いる場合は、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好適に使用される。金属、金属酸化物、フッ化物、炭酸塩、高沸点の金属酸化物、金属複合酸化物、導電性金属酸化物を2種以上併用して成膜する場合には、共蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が用いられる。金属ナノ粒子、金属ナノワイヤー、導電性金属酸化物ナノ粒子の場合には、溶液からの成膜による方法が好適に使用される。特に、低分子有機化合物と金属又は金属酸化物、フッ化物、炭酸塩との組成物を成膜する場合には共蒸着法が適する。
陰極の厚さは用いる材料、層構造によって最適値が異なり、駆動電圧、発光効率、素子寿命が適度な値となるように選択すればよいが、通常、第1陰極層の厚さは0.5nm〜20nmであり、カバー陰極層の厚さは10nm〜1μmである。例えば、第1陰極層にBa又はCa、カバー陰極層にAlを用いる場合、Ba又はCaの厚さは2nm〜10nm、Alの厚さは10nm〜500nmであることが好ましく、第1陰極層にNaF又はKF、カバー陰極層にAlを用いる場合、NaF又はKFの厚さは1nm〜8nm、Alの厚さは10nm〜500nmであることが好ましい。
発光素子において陰極を光透過性電極として用いる場合には、カバー陰極層の可視光透過率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。この可視光透過率は、カバー陰極層材料としてITO、IZO、酸化モリブデン等の透明導電性金属酸化物を用いるか、或いは、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛等の低抵抗金属及びこれらを含む合金を用いたカバー陰極層の厚さを30nm以下にすることで達成される。
また、陰極側からの光透過率を向上させることを目的として、陰極のカバー陰極層上に反射防止層を設けることもできる。反射防止層に用いられる材料としては、屈折率が1.8 〜3.0であることが好ましく、この屈折率を満たす材料としては、例えば、ZnS、ZnSe、WO3が挙げられる。反射防止層の厚さは材料の組み合わせによって異なるが、通常10nm〜150nmである。
−絶縁層−
発光素子は、電極との密着性向上、電極からの電荷注入改善、隣接層との混合防止等の機能を有する層として、厚さ5nm以下の絶縁層を備えていてもよい。上記絶縁層の材料としては、例えば、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料(ポリメチルメタクリレート等)等が挙げられる。厚さ5nm以下の絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して厚さ5nm以下の絶縁層を設けた素子、陽極に隣接して厚さ5nm以下の絶縁層を設けた素子が挙げられる。
−その他の構成要素−
発光素子は、さらに、発光層等を挟んで基板と反対側に、封止部材を有していてもよい。発光素子はまた、カラーフィルター、蛍光変換フィルター等のフィルター、画素の駆動に必要な回路及び配線等の、ディスプレイ装置を構成するための任意の構成要素を有することができる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、陰極に使用することが好ましいが、その他の層にも使用することができる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を溶液から成膜する際には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法及びノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
なお、如何なる用途であっても、本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
−発光素子の製造方法−
一実施形態において、発光素子は、例えば、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。
具体的には、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を設け、さらにその上に、陰極を積層することにより、発光素子を製造することができる。
他の実施形態では、発光素子は、基板上に陰極を設け、その上に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層等の層を設け、さらにその上に、陽極を積層することにより、製造することができる。
更に他の実施形態では、発光素子は、陽極又は陽極上に各層を積層した陽極側基材と陰極又は陰極上に各層を積層させた陰極側基材とを、対向させて接合することにより製造することができる。
−発光素子の応用−
発光素子を用いてディスプレイ装置を製造することができる。該ディスプレイ装置は、発光素子を1画素単位として備える。画素単位の配列の態様は、テレビ等のディスプレイ装置で通常採られる配列とすることができ、多数の画素が共通の基板上に配列された態様とすることができる。前記ディスプレイ装置において、基板上に配列される画素は、バンクで規定される画素領域内に形成することができる。発光素子は平面状や曲面状の照明装置に用いることができる。
前記光電変換素子は、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた有機層とを有するものであって、該電極に本発明の銀−共役化合物複合体組成物が用いられたものである。この光電変換素子は、基板、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電化分離層等を更に有していてもよい。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層を有する光電変換素子の電荷分離層には、電子供与性化合物と電子受容性化合物とが含まれていることが好ましい。
前記電荷分離層は、電子供与性化合物と電子受容性化合物のおのおのを一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
前記電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体及び共役高分子化合物が挙げられ、前記共役高分子化合物としては、例えば、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等が挙げられる。
前記電子受容性化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体、酸化チタン等の金属酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。電子受容性化合物としては、好ましくは酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン又はフラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン又はフラーレン誘導体である。
電荷分離層の厚さは、通常、1nm〜100μmであり、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
<電荷分離層の製造方法>
前記電荷分離層の製造方法は、如何なる方法でもよく、例えば、溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
溶液からの成膜には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法及びキャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スピンコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法又はディスペンサー印刷法が好ましい。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層を有する光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム及びシリコン等が挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
前記透明又は半透明の電極材料としては、例えば、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体(ITO、IZO等)からなる導電性材料、NESA、金、白金、銀、銅等を用いて作製された膜が用いられ、ITO、IZO又は酸化スズを用いて作製された膜が好ましい。電極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びメッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。さらに電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができ、一対の電極のうち一方の電極は仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属;前記金属のうち2つ以上の金属からなる合金;前記金属のうち1つ以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫のうち1つ以上の金属との合金;グラファイト又はグラファイト層間化合物が用いられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金及びカルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
光電変換効率を向上させるための手段として、本発明に用いられる高分子化合物を含む層以外に、電荷分離層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層の材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物等を用いることができる。また、酸化チタン等無機半導体の微粒子、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等が挙げられる。
光電変換素子は、例えば、基板上に上述の各層を順次に積層することにより製造することができる。電荷分離層以外の前記の各層の形成方法については、既に説明した発光素子と同様に実施することができるため、詳細な説明を省略する。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、陰極に使用することが好ましいが、その他の層にも使用することができる。
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を溶液から成膜する際には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法法、キャピラリ−コート法及びノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
なお、如何なる用途であっても、本発明の銀−共役化合物複合体組成物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<素子の用途>
本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む層を有する光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
<太陽電池モジュール>
光電変換素子を有機薄膜太陽電池として用いて太陽電池モジュールを構成する場合、該太陽電池モジュールは、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には、金属及びセラミック等の支持基板の上に太陽電池が構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上に太陽電池を構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。太陽電池モジュールの公知の構造として、例えば、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ及びポッティングタイプ等のモジュール構造、及びアモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体型モジュール構造等が挙げられる。有機薄膜太陽電池を用いた太陽電池モジュールも、使用目的、使用場所及び環境により、これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なモジュール構造であるスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプの太陽電池モジュールでは、一対の支持基板の間に、一定間隔に太陽電池が配置されている。支持基板の一方又は両方は、透明で反射防止処理を施されている。隣り合う太陽電池同士は、金属リード及びフレキシブル配線等の配線によって電気接続されている。モジュールの外縁部には、太陽電池で発生した電力を外部に取り出すための集電電極が配置されている。支持基板と太陽電池の間には、太陽電池の保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で設けてもよい。また、外部からの衝撃が少ない場所等、表面を硬い素材で覆う必要のない場所において太陽電池モジュールを使用する場合には、透明プラスチックフィルムを用いて表面保護層を形成するか、又は上記充填樹脂を硬化させて保護機能を付与することによって、片側の支持基板を省くことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため、通常、金属製のフレームでサンドイッチ状に固定されており、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールされている。また、太陽電池そのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池モジュールを構成することもできる。
支持基板としてポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いて太陽電池モジュールを作製する場合、ロール状のフレキシブル支持体を送り出しながら順次太陽電池を形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより太陽電池モジュール本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells,48,p383−391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池モジュールは曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
−測定方法−
重合体の構造分析は、Varian社製300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた1H−NMR解析によって行った。また、測定は、20mg/mLの濃度になるように試料を可溶な重溶媒に溶解させて行った。
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製:HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量として求めた。また、測定する試料は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。更に、GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.5mL/分の流速で流した。
得られた重合体のイオン化ポテンシャルは、大気中、光電子分光装置(理研計器株式会社製、商品名:AC2)で測定した。測定用の試料は、重合体の1重量%クロロホルム溶液を調製し、該溶液を回転数1000rpmで30秒間、石英基板上にスピンコートし、100℃で15分間乾燥させて作成した。また、得られた重合体のバンドギャップは、イオン化ポテンシャルと同様の測定用の試料を用いて、紫外・可視・近赤外分光光度計(Varian社製:CarySE)を用いて重合体の吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求めた。
実施例で作製した銀−共役化合物複合体は、走査型X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製、商品名:Quantera SXM)を用いてX線光電子分光スペクトルを測定し、表面組成分析を行った。分析手法はX線光電子分光法(以下、「XPS」と言う。)であり、X線源はAlKα線(1486.6eV)、X線のスポット径は100μm、中和条件は中和電子銃・低速Arイオン銃を使用した。サンプルをステンレス製のカップに詰めて測定した。
銀−共役化合物複合体の形状は、日本電子社製の走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−5500)を用いて、倍率20000倍で撮影(この撮影の際に試料台の角度は0°(水平)、撮影箇所は任意の場所であり、試料作成時に配列させる等の操作はしなかった。)して得られた写真を目視で観察し確認した。フェレー径は、倍率20000倍の写真から200個以上の粒子を任意に抽出し、フェレー径を計測し、算術平均した値である。
<合成例1>(被覆銀粒子Aの合成)
500mLフラスコに、2.08g(18.75mmol)のポリビニルピロリドン(以下、「PVP」と言う。)(ポリスチレン換算の重量平均分子量:55000)、200mLのエチレングリコールを加え、PVPが溶けるまで攪拌を行った。次いで、そこに、2.12g(12.50mmol)の硝酸銀を加え、50mLのエチレングリコールでフラスコ壁面に付着した硝酸銀をフラスコ内に流し込んだ。次いで、このフラスコを、165℃のオイルバスに浸漬し、120分間攪拌したところ、銀粒子の分散液が得られた。
得られた分散液を40℃まで冷却した後、遠心分離し、沈殿物を取得した。取得した沈殿物を乾燥し、銀粒子(以下、「被覆銀粒子A」と呼称する。)を得た。
得られた被覆銀粒子Aを導電処理せずにSEMで観察しフェレー径を計測した結果、フェレー径は122nmであった。SEMは、導電処理しないと、有機物を撮影せず、銀のみを撮影できることから、このフェレー径は銀粒子自体のフェレー径である。なお、XPS測定を行った結果、銀粒子の表面にポリビニルピロリドンが吸着しているものであることが明らかとなった。
<合成例2>(化合物(3)の合成)
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン52.5g(0.16mol)、サリチル酸エチル154.8g(0.93mol)、及びメルカプト酢酸1.4g(0.016mol)を3000mLフラスコに入れ、該フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した。そこに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。その後、混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄された固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(62.7g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ p−トルエンスルホネート86.3g(0.27mmol)、炭酸カリウム62.6g(0.45mmol)、及び1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(「18−クラウン−6」と呼ばれることもある。) 7.2g(0.027mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。その後、反応液にクロロホルムを加えて分液抽出を行い、分離した有機層を濃縮することで、生成物を51.2g得た(収率31%)。生成物は1H−NMRを用いて構造確認した。その結果、下記式で表される化合物(3)と判断した。
<合成例3>(化合物(4)の合成)
1000mLのフラスコ内の気体をアルゴンガスで置換した後に、化合物(3)(15g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.8g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.5g)、酢酸カリウム(9.4g)、及び、ジオキサン(400mL)を入れて混合し、110℃で10時間加熱して還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。反応混合物をメタノールで3回洗浄した。その後、沈殿物をトルエンに溶解させ、溶液に活性炭を加えて攪拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、生成物を11.7g得た。生成物は1H−NMRを用いて構造確認した。その結果、下記式で表される化合物(4)と判断した。
<合成例4>(重合体(P3)の合成)
100mLのフラスコ内の気体をアルゴンガスで置換した後、化合物(3)(0.55g)、化合物(4)(0.61g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を入れて混合し、105℃に加熱した。得られた反応液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液に4−tert−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノールに滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させることにより、重合体(以下、「重合体(P3)」という。)を520mg得た。
1H−NMRの結果から重合体(P3)は、下記式で表される繰り返し単位を有していた。
重合体(P3)のポリスチレン換算の数平均分子量は2.4×104であり、重量平均分子量は4.8×104であった。
<合成例5>(重合体(P4)の合成)
重合体(P3)(200mg)を100mLフラスコに入れ、該フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した。そこに、テトラヒドロフラン(20mL)及びエタノール(20mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去したところ固体が生じた。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで、下記式で表される繰り返し単位を有する重合体(以下、「重合体(P4)」と言う。)を150mg得た。
1H−NMRスペクトルにより、重合体(P3)内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。重合体(P4)のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、重合体(P3)と同様であった。重合体(P4)の最大発光波長は、426nmであった。重合体(P4)のイオン化ポテンシャルは、5.50eVであり、バンドギャップは2.80eVであった。
<合成例6>(正孔輸送材料Bの合成)
フラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした後、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(1.4g、2.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(6.4g、10.0mmol)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N’,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(4.1g、6mmol)、ビス(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブテンアミン(0.6g、1.5mmol)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(1.7g、2.3mmol)、酢酸パラジウム(4.5mg、0.02mmol)、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン(0.03g、0.08mmol)及びトルエン(100mL)を混合し、混合物を100℃で2時間加熱しながら攪拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.06g、0.5mmol)を添加し、得られた混合物を10時間撹拌した。放冷後、水層を除去し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を添加し攪拌した後、水層を除去し、有機層を水、3重量%酢酸水で順次洗浄した。有機層をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた後、濾取したポリマーを再度トルエンに溶解させ、シリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液した。その後、ポリマーを含む溶出トルエン溶液を回収し、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾取後、50℃で真空乾燥させ、正孔輸送材料Bである高分子化合物(12.1g)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた正孔輸送材料Bのポリスチレン換算の重量平均分子量は3.0×105であり、分子量分布指数(Mw/Mn)は3.1であった。
正孔輸送材料Bは、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
で表される繰り返し単位とを62.5:30:7.5のモル比(原料の仕込量からの理論値)にて有する共重合体である。
<合成例7>(発光材料Bの合成)
フラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした後、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(9.0g、16.4mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(1.3g、1.8mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジ(4−ヘキシルフェニル)フルオレン(13.4g、18.0mmol)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(43.0g、58.3mmol)、酢酸パラジウム(8mg、0.04mmol)、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン(0.05g、0.1mmol)、及びトルエン(200mL)を混合し、混合物を90℃で8時間加熱攪拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.22g、1.8mmol)を添加し、得られた混合物を14時間撹拌した。放冷後、水層を除去し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を添加し撹拌した後、水層を除去し、有機層を水、3重量%酢酸水で順次洗浄した。有機層をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた後、濾取したポリマーを再度トルエンに溶解させ、シリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液した。ポリマーを含む溶出トルエン溶液を回収し、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを50℃で真空乾燥し、発光材料Bである高分子化合物(12.5g)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた発光材料Bのポリスチレン換算の重量平均分子量は3.1×105であり、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.9であった。
発光材料Bは、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
で表される繰り返し単位とを50:45:5のモル比(原料の仕込量からの理論値)にて有する共重合体である。
<実施例1>(発光素子k−1の作製)
第一に、陽極としてITOが成膜されたガラス基板のITOの上に、正孔注入材料溶液として、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(H.C.Starck製、PEDOT:PSS溶液、商品名:CLEVIOS(登録商標) P VP Al 4083)0.5mLを塗布し、スピンコート法によって、厚さが70nmになるように成膜した。こうして得られた成膜ガラス基板を空気中で、200℃で10分間加熱した後、基板を室温まで自然に冷却させることにより、正孔注入層が形成されたガラス基板Aを得た。
第二に、正孔輸送材料B 5.2mgとキシレン1mLとを混合し、正孔輸送材料Bが0.6重量%の正孔輸送層用組成物を調製した。
正孔輸送層用組成物を、スピンコート法により、正孔注入層が形成されたガラス基板A中の正孔注入層上に塗布し、厚さ33nmの塗膜を形成させた。この塗膜を形成させたガラス基板を窒素雰囲気下で、200℃で20分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然に冷却させることにより、正孔輸送層が形成されたガラス基板Bを得た。
第三に、発光材料Bとキシレンとを混合し、発光材料Bが1.3重量%の発光層用組成物を調製した。
この発光層用組成物をスピンコート法により、正孔輸送層が形成されたガラス基板B中の正孔輸送層上に塗布し、厚さ99nmの塗膜を形成させた。この塗膜を形成させた基板を窒素雰囲気下で、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然に冷却させることにより、発光層が形成されたガラス基板Cを得た。
第四に、約1.0重量部の被覆銀粒子Aに、約0.2重量部の重合体(P4)、約0.07重量部の水酸化セシウム1水和物、及び約98.73重量部のメタノールを混合し、1時間攪拌を行うことで銀−共役化合物複合体組成物分散液(100重量部)を得た。この分散液には、銀−共役化合物複合体(被覆銀粒子Aに重合体(P4)が吸着した複合体)とイオン性化合物(水酸化セシウム1水和物)が分散している。
この銀−共役化合物複合体組成物分散液をキャスティング法により発光層が形成されたガラス基板C上に塗布し、本発明の銀−共役化合物複合体組成物を含む積層構造体m−1を得た。ここで、銀−共役化合物複合体組成物は陰極として作用する。
最後に、この陰極が形成された積層構造体m−1を、窒素雰囲気下で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂(Robnor resins社製、商品名:PX681C/NC)にて封止することにより、発光素子k−1を作製した。
発光素子k−1に20Vの順方向電圧を印加し発光輝度を測定した結果、発光輝度は920cd/m2であった。
<比較例1>(発光素子k−2の作製)
実施例1において、銀−共役化合物複合体組成物の代わりに被覆銀粒子Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、発光素子(以下、「発光素子k−2」と言う。)を作製した。発光素子k−2に20Vの順方向電圧を印加したが、発光は観測されなかった。
<実施例2>(発光素子k−3の作製)
実施例1において、銀−共役化合物複合体組成物分散液の代わりに、約1.0重量部の被覆銀粒子Aに、約0.2重量部の重合体(P4)、約0.01重量部の酢酸セシウム、約98.79重量部のメタノールを混合し、1時間攪拌を行うことで得た銀−共役化合物複合体組成物分散液(100重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、発光素子(以下、「発光素子k−3」と言う。)を作製した。発光素子k−3に15Vの順方向電圧を印加した結果、発光輝度は194cd/m2であった。
<実施例3>(発光素子k−4の作製)
実施例2において、酢酸セシウムの代わりに安息香酸セシウムを用いた以外は、実施例2と同様にして、発光素子(以下、「発光素子k−4」と言う。)を作製した。発光素子k−4に15Vの順方向電圧を印加した結果、発光輝度は460cd/m2であった。
<実施例4>(発光素子k−5の作製)
実施例2において、酢酸セシウムの代わりに4-ピリジンカルボン酸セシウムを用いた以外は、実施例2と同様にして、発光素子(以下、「発光素子k−5」と言う。)を作製した。発光素子k−5に15Vの順方向電圧を印加した結果、発光輝度は159cd/m2であった。