JP6247593B2 - アルミニウムクラッド材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、アルミニウムクラッド材の製造方法に係り、特に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl心材の片面若しくは両面に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl皮材を重ね合わせて積層せしめ、その得られた積層物を熱間圧延することにより、それらAl心材とAl皮材とが接合、一体化されてなるアルミニウムクラッド材を有利に製造する方法に関するものである。
アルミニウムクラッド材は、Al心材の片面或いは両面に、かかるAl心材とは材質の異なるAl皮材を重ね合わせ、或いは用途に応じて、それら心材と皮材との間に、それら心材や皮材とは材質の異なるアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl中間材を介在させた形態において、重ね合わせて、多層構造の積層体(積層物)と為し、そしてそのような積層体を所定温度に加熱して、熱間圧延せしめ、更にその後、冷間圧延して、所定の板厚とすることによって、得られた板材である。そして、この種のアルミニウムクラッド材については、従来から、各種の製造方法が提案されてきており、また実際に、航空機や自動車等の輸送機器用の熱交換器におけるブレージングシート等として用いられてきているが、従来のアルミニウムクラッド材の製造法には、未だ解決されるべき多くの問題が残されている。
具体的には、上記した熱間クラッド圧延の施される積層体の界面の接合は、一般的に、圧接と呼称され、高温にて強い圧力を与えて接合することを意味しているが、その際、Al心材やAl皮材等の各積層材の表面は、酸化皮膜で覆われているところから、それらの接合には、かかる酸化皮膜を破壊する必要がある。しかして、熱間クラッド圧延により、接合面に対して垂直方向に強い圧力を加えるだけでは、酸化皮膜を有効に破壊することが出来ず、接合することが困難であるところから、当業者間においては、それら積層材の界面を摺動させて、酸化皮膜を破壊することが必要であることが、一般的には認識されているのである。
実際に、皮材のクラッド率が高いクラッド材においては、心材と皮材の界面で摺動が発生し難く、それらの接合が困難となっているのである。一方、皮材のクラッド率が低いクラッド材にあっては、熱間クラッド圧延前に、皮材に温度低下が生じて、酸化皮膜が破壊され難くなると共に、かかる熱間圧延中に皮材が破れる等して、圧延不良を生じ易い問題がある。このため、そのような製造上の問題から、アルミニウムクラッド材のクラッド率は、一般に、5〜25%の範囲に制限されているのが実情である。さらに、マグネシウム(Mg)を多く含む、JIS呼称の5000系、6000系、或いは7000系のAl合金においては、その表面に、アルミニウム酸化物(Al23)の他に、マグネシウム酸化物(MgO)も形成されており、そのために酸化皮膜が強固なものとなるところから、そのようなアルミニウム材質の心材や皮材を用いたクラッド材の製造は、困難なものと考えられてきているのである。
ところで、従来から、アルミニウムクラッド材の界面の接合性を向上せしめるべく、特開昭62−227504号公報においては、接着性のよい純アルミニウム系材質よりなる接合材層と強度に優れたアルミニウム合金よりなる強化材層とを積層一体化してなる、合わせ圧延用材料が提案され、この合わせ圧延用材料の2枚を、それぞれの接合材層を対向させて、重ね合わせた後、合わせ圧延(クラッド圧延)することにより、接合材層を介して、その両側に強化材層が一体化されてなるクラッド材を、材料相互の接着性を同等に保持しつつ、得ることが出来ることが明らかにされている。また、特開昭62−38782号公報には、Mgの含有量が3.5%以上のAl合金製皮材と他のAl合金製心材とをクラッド圧延するに際して、クラッドされるべき皮材として、心材と対向する面側に皮材板厚の少なくとも5%に相当する純Al層を有するものを使用し、この純Al層を介して、皮材と心材とをクラッド圧延することにより、Al−Mg合金皮材のクラッドを確実に達成し得ることが明らかにされている。
しかしながら、それら従来の接合性向上技術について、本発明者らが種々検討したところ、特に、Mgを多く含むAl皮材やAl心材をクラッド圧延する場合においては、その接合界面が充分に接合され得ず、圧延途中において皮材と心材が剥離してしまう等の問題が、依然として内在し、それらの特許文献に示される効果が充分に得られず、アルミニウムクラッド製品として、実用上満足し得るものではないことが明らかとなったのである。加えて、クラッド圧延が出来た場合にあっても、そこで得られたクラッド材には、フクレが発生する等の問題が内在していることが確認されたのである。
特開昭62−227504号公報 特開昭62−38782号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、アルミニウムクラッド材の界面の接合性を向上させることが出来、その結果、クラッド材の品質向上を実現し、更には従来技術では製造が困難な組合せのクラッド材の製造をも可能とするアルミニウムクラッド材の改良された製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、かかる課題を解決するために、鋭意研究を進めた結果、アルミニウムクラッド材の製造に際して、縦方向と横方向にそれぞれ延びる材料の交差部位に、所定厚さの点状厚肉部が設けられてなる、網目構造のアルミニウム若しくはアルミニウム合金製の接合補助部材を用い、その片側又は両側に、Mgを含有しないか、或いはMg含有量が0.7質量%以下のアルミニウム材質のAlシートを配置した形態において、それら接合補助部材とAlシートとが、Al心材とAl皮材との接合界面に介在するようにして、クラッド圧延することにより、それらAl心材とAl皮材との界面の接合性を効果的に向上せしめることが出来、またクラッド材の品質向上に加えて、従来では製造が困難であったクラッド材の組合せに対しても、安定した製造が可能となることを見出したのである。
そして、本発明にあっては、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl心材の片面若しくは両面に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl皮材を重ね合わせて積層せしめ、その得られた積層物を熱間圧延することにより、それらAl心材とAl皮材とが接合、一体化されてなるアルミニウムクラッド材を製造するに際して、縦横二方向においてそれぞれ0.2〜13mmの間隔で配列された、厚さが0.2〜3.2mmの多数の点状厚肉部と、それら点状厚肉部の隣接するものの間をつなぐ、該点状厚肉部よりも厚さの薄い連結部とから、網目構造が形成されてなるアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる接合補助部材を用い、この接合補助部材の一方の側に又はその両側に、5〜200μmの厚さを有し且つMg含有量を0〜0.7質量%としたアルミニウム材質のAlシートを配置した形態において、それら接合補助部材とAlシートとを、前記Al心材と前記Al皮材との接合界面に介在させて、前記積層物を構成し、かかる積層物に対して熱間圧延を実施するようにしたことを特徴とするアルミニウムクラッド材の製造方法にある。
なお、かかる本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記接合補助部材が、線径:0.1〜1.6mmのAl線材をそれぞれ縦線及び横線として用いて構成され、それら縦線及び横線の交差部において、前記点状厚肉部が形成されている。
また、本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法の好ましい態様の別の一つによれば、前記接合補助部材が、1.5〜6質量%のMgを含有するアルミニウム合金にて形成されている。
さらに、本発明にあっては、有利には、前記Alシートが、純アルミニウム又はアルミニウム含有量が99.0質量%以上のアルミニウム材質にて構成されている。
更にまた、本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法の別の望ましい態様の一つにあっては、前記接合補助部材が、酸溶液又はアルカリ溶液による処理によって、その表面の酸化膜が化学的に破壊、除去せしめられている。
加えて、本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法の更に別の望ましい態様の一つによれば、前記Al心材と前記Al皮材との間に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる板状のAl中間材が、更に介在せしめられると共に、該Al心材と該Al中間材との間及び該Al中間材と該Al皮材との間の少なくとも何れか一方の間に、前記接合補助部材が、その少なくとも一方の側に前記Alシートを配置せしめてなる形態において介在せしめられて、前記積層物が構成されることとなる。
このように、本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法にあっては、所定の点状厚肉部が網目構造の交差部に形成されてなる接合補助部材の片側又は両側に、Mg含有量が0〜0.7質量%のAlシートを配置して、Al心材とAl皮材との界面に介在せしめてなる形態において、クラッド圧延が行われることとなるところから、それら接合補助部材とAlシートの機能に基づいて、接合されるべき材料の表面に形成されている酸化皮膜の破壊を効果的に実現しつつ、Al心材とAl皮材との界面接合を容易と為し、更に、その促進を有利に図り得ることとなったのである。
すなわち、本発明において、所定の点状厚肉部が形成されてなる接合補助部材は、その両側に配されるAl心材やAl皮材及びAlシートの表面に存在する酸化皮膜を破壊する機能を有し、また、そのような接合補助部材の片側又は両側に配されるAlシートは、酸化皮膜が破壊された後のAl心材とAl皮材との界面接合を促進する機能を有しているのである。そして、このような本発明の構成によれば、クラッド圧延の初期において、接合補助部材の点状厚肉部とAlシートを介したAl皮材やAl心材との接触点に荷重が集中して、強烈な圧下力が加えられるようになるために、Mg含有量が多い皮材や心材の場合にあっても、かかる接触点において、皮材や心材の酸化皮膜が効果的に破壊され、更に、当該接触点とそれ以外の部分との境界に生ずる剪断力によって、酸化皮膜の破壊が、かかる接触点を起点として進展するようになるのである。また、これと同時に、接合補助部材の点状厚肉部は、強い荷重によって、Alシートに食い込むようになるために、Alシートは大きく変形し、そしてその変形に伴って、Alシートを覆っている酸化皮膜が破壊されることとなるのである。更に、Alシートは、Mg含有量を0〜0.7質量%とした柔らかいAl材質にて構成されているところから、上述した酸化皮膜の破壊の進展により、露出したAl皮材及びAl心材とAlシートとの金属表面同士が直ちに強く押し当てられ、接合せしめられるようになったのである。加えて、接合補助部材とAlシートとの間においても、上記と同様に、それぞれの露出した金属表面同士が、直ちに強く押し当てられて、接合されることとなるのである。
これに対して、従来の製造法の如く、AlシートのみをAl皮材とAl心材との接合界面に敷いただけでは、それら皮材や心材の酸化皮膜の破壊を促す機能は得られないため、各部材の金属表面の露出が充分でなく、接合が均等に行われるようにすることが困難となるのであるが、本発明に従って、特定の接合補助部材とAlシートとを用いることにより、上述した機能に基づいて、従来では製造が困難であったMg含有量が多いクラッド材質(Al皮材やAl心材)であっても、容易にクラッド圧延することが出来ることとなるのである。加えて、接合補助部材が、Al心材とAl皮材に食い込むことによって、それら心材と皮材との界面での摺動が抑えられ、心材と皮材が一体となって伸長するようになるために、クラッド率の分布が大きく改善される効果が得られるのである。
そして、本発明によれば、接合の進展が、点状厚肉部を起点として均等に拡大するようになるところから、従来の熱間圧延プロセスにおいては頻繁に問題となる、広域の未接合による皮剥がれや、局部的に生ずる皮材の未接合による膨れ(フクレ)の発生が効果的に抑制され得、従来からのクラッド材質のクラッド材においても、その品質の向上が、効果的に達成され得ることとなるのである。
従って、本発明に係るアルミニウムクラッド材の製造方法の採用によって、アルミニウムクラッド材の各積層材間の界面の接合性を有利に向上させることが出来ることとなり、従来では製造が困難であった組合せのクラッド材質のクラッド材の製造が可能となったことに加え、フクレ発生の抑制やクラッド率分布の改善といったクラッド材の品質向上が、有利に達成され得たのである。
ここにおいて、本発明は、先ず、網目構造の交差部に点状厚肉部が形成されてなる、平坦な形態を呈するアルミニウム若しくはアルミニウム合金製の接合補助部材を用いて、これを、クラッドされるべきAl皮材とAl心材との間に介在させて、クラッド圧延を行うところに、一つの大きな特徴を有している。即ち、そのような構造の接合補助部材の介在によって、クラッド圧延時において、強烈な圧下力が加えられたときに、Al皮材やAl心材等の積層材の表面に形成されている酸化皮膜の破壊が、かかる接合補助部材における点状厚肉部との接触点を起点として進展することとなり、これによって、目的とするアルミニウムクラッド材の積層材間の界面の接合性を、効果的に向上せしめ得ることとなるのである。
これに対して、そのような本発明に従う接合補助部材とは異なり、点状厚肉部を有しない構造の網目部材、例えば、アルミニウム板のパンチングメタル(円形或いは矩形の穴を網の目状にあけてなる板材)のような部材を用い、それを接合されるべきAl皮材とAl心材との間に介在せしめてクラッド圧延すると、そのような網目部材(パンチングメタル)の全体で圧下力を均等に受けるようになるところから、酸化皮膜の破壊が不充分となり、かかる網目部材を介した皮材と心材との接合が確実に行われ得ずに、多くの場合、そのような網目部材を介在させない場合と同様に、Al皮材或いはAl心材が伸長してしまうようになるのである。
ところで、本発明において用いられる、接合補助部材における点状厚肉部の厚さとしては、0.2mm〜3.2mmの範囲内において、主としてAl皮材の積層時の厚さやAl皮材及びAl心材の材質に応じて、適宜に決定されることとなる。なお、かかる点状厚肉部の厚さが0.2mm未満となると、前述の如き点状厚肉部の接触点において、皮材や心材の酸化皮膜、更にはAlシートの酸化皮膜を破壊する効果を充分に発揮させることが困難となるために、接合が充分に行われ得なくなる問題がある。また、かかる点状厚肉部の厚さが3.2mmを超えるようになると、Al皮材への食い込みが大きくなり、得られるクラッド材の表面の平滑性に問題を惹起する恐れがある。
また、本発明に従う接合補助部材における点状厚肉部間の間隔は、主として、Al皮材の積層時の厚さやAl皮材及びAl心材の材質等に応じて、適宜に選定されることとなるが、それらによらず、平面上における縦横二方向において、それぞれ、0.2mm〜13mmの間隔において、点状厚肉部が相互に連結されて、位置固定に保持されていることが望ましく、またその連結部の厚さは、前述した酸化皮膜を破壊する機能を有利に奏せしめる上において、点状厚肉部よりも薄くなるように構成されることとなる。なお、かかる点状厚肉部間の距離が0.2mm未満であると、点状厚肉部への圧下力が弱くなるために、接触点での酸化皮膜の破壊が充分に惹起され得ず、接合が不充分となる恐れがある。また、点状厚肉部間の距離が13mmを超えるようになると、酸化皮膜が破壊される起点が少なくなるために、未接合部が発生する恐れがある。なお、そのような点状厚肉部が連結されずに独立して点在していると、接合補助部材及びAlシートの設置時や、圧延の初期段階において、かかる点状厚肉部の位置が移動し、本発明にて規定される範囲外の間隔となることによって、酸化皮膜の破壊が充分に行い難くなり、未接合部が発生して、皮材にフクレが生じたり、圧延途中において皮材が剥離する等の問題が惹起される恐れがある。このため、接合補助部材の点状厚肉部は、互いに連結されている状態とされ、隣接する点状厚肉部間において、その間隔が容易に変化しないように、構成されている。
そして、本発明において、そのような点状厚肉部を有する接合補助部材は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる限りにおいて、その組成は特に限定されるものではないが、前述した酸化皮膜を破壊する機能を有利に高める上において、接合補助部材の強度は、Al心材やAl皮材と同等以上であることが好ましい。一般的に、熱間クラッド圧延は450〜500℃の温度で実施されることとなるところから、接合補助部材には、そのような450〜500℃の温度領域において、Al心材やAl皮材に対して同等以上の強度が求められるのである。ここで、アルミニウムの高温強度を高める添加元素としては、Mgが最も有効であるところから、本発明にあっては、接合補助部材の形成のための材質として、1.5〜6質量%のMgを含有するアルミニウム合金が、好適に用いられることとなる。なお、このMg含有量が1.5質量%に満たない場合には、強度向上の効果が乏しく、また6質量%を超えるようになると、接合補助部材の製造が困難となる問題を生じる。また、接合補助部材を与えるアルミニウム合金には、その他の元素として、Si:0.4質量%以下、Fe:0.6質量%以下、Cu:0.2質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Zn:0.25質量%以下が含有せしめられていても良い。更に、本発明においては、接合補助部材を構成するアルミニウム材質中のMg含有量を、Al心材やAl皮材を構成するアルミニウム若しくはアルミニウム合金中のMg含有量よりも多くすることも、有効である。更にまた、Mg以外の強度向上元素としてCuを添加したJIS 2000系アルミニウム合金やZnを添加したJIS 7000系アルミニウム合金を用いて、接合補助部材を形成することも出来る。
また、そのような本発明に従う点状厚肉部を有する接合補助部材の一つの具体的な形態として、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl線材を縦線及び横線として用いて、それらが碁盤目形態を形成するように交差して配置せしめることにより、構成されるものを挙げることが出来、そこでは、それら縦線と横線の交差部にて、上記の点状厚肉部が形成され、更に、その点状厚肉部が、縦横二方向において所定の間隔で配置されて、連結されてなる構造を呈するものである。ここで用いられるAl線材の線径が0.1mm未満となると、形成される点状厚肉部の厚さが0.2mm未満となり、前述の如き酸化皮膜を破壊する効果が発揮され難くなるために、接合が充分に行われ難くなる問題を惹起する。また、Al線材の線径が1.6mmを超えるようになると、点状厚肉部の厚さが3.2mmを超えるようになるため、先述の如く、点状厚肉部での皮材への食い込みが大きくなって、クラッド材表面の平滑性に問題を惹起する恐れがある。このため、Al線材の線径としては、0.1mm〜1.6mmの範囲において選定されることとなる。
ところで、このようなAl線材を縦線及び横線として用いて構成される接合補助部材の更に具体的な形態としては、例えば、縦横に配するAl線材の上下関係を交互に入れ替えることで形状固定したものや、縦横に配したAl線材の交点を圧着等によって接合したもの等、多数の点状厚肉部をそれらの配設位置が自由に変化しないように、拘束乃至は固定した状態下において、縦方向及び横方向にそれぞれ所定間隔で分布せしめてなる構造のものを挙げることが出来るが、実用的には、アルミニウム線材又はアルミニウム合金線材を用いた平織金網や綾織金網等の織り金網が、有利に用いられることとなる。また、前述せるように、一般的なパンチングメタル構造は、圧下力を均等に受けるために、本発明においては採用の困難なものであるが、アルミニウムパンチングメタルの縦横接続部(縦横二方向において、隣接する四つの穴にて囲まれた部位)に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材質に相当する素材で、所定厚さの肉盛りを設けた構造のものであれば、本発明においても採用することが出来、本発明の効果を発揮させることが可能である。
また、本発明の他の一つの特徴は、Mg含有量が0〜0.7質量%とされたアルミニウム材質からなるAlシートを、上記した接合補助部材の少なくとも一方の側に配置した形態において、Al皮材とAl心材との間に介在せしめて、熱間クラッド圧延を行うことにあり、そしてそのようなAlシートの存在によって、Al皮材とAl心材との間の界面接合が促進せしめられるようにしたことにある。しかも、かかるAlシートの厚さは、5μm〜200μmの範囲内において、Al皮材や後述するAl中間材の積層時の厚さと接合補助部材の形態等に応じて、適宜に決定されることとなる。なお、Alシートの厚さが5μm未満であると、クラッド圧延の初期に、界面に敷いた接合補助部材とAlシートの厚みに相当する圧下量の圧延を行った段階で、接合補助部材における点状厚肉部が、Alシートに食い込んだ際に破れてしまい、Alシートがない領域が生じることによって、一部で未接合が発生する恐れがある。また、その厚さが200μmを超えるようになると、接合補助部材における点状厚肉部による皮材や心材の酸化皮膜破壊の効果が乏しくなり、接合性が低下する恐れがある。
そして、かかるAlシートを構成するアルミニウム材質のMg含有量が0.7質量%を超えるようになると、Alシートの強度が高くなることに加えて、Alシートの酸化皮膜が強固となり、Al皮材やAl心材の接合の妨げとなる。このAlシートを与えるアルミニウム材質のその他の成分としては、特に限定されるものではないが、強度が低い材質の方が、上述の如く、皮材や心材、接合補助部材に対して、クラッド圧延時において直ちに強く押し当てられて、接合されることとなるところから、純アルミニウムや純度(アルミニウム含有量)が99質量%以上であるアルミニウム材質にて構成されていることが、より好ましいのである。
なお、かくの如き接合補助部材やAlシートの機能をより向上させるには、それら接合補助部材やAlシートの表面の酸化皮膜を、Al皮材、Al心材及びAl中間材における酸化皮膜と共に、熱間クラッド圧延に先立って、酸溶液又はアルカリ溶液によって化学的に破壊、除去しておくことが有効である。この酸溶液又はアルカリ溶液による酸化皮膜の破壊・除去は、一般的に、エッチング処理と呼ばれているが、本発明における接合補助部材やAlシート等のエッチング処理には、フッ酸、硫酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の、酸やアルカリの水溶液が代表的に用いられ、またエッチングによって生ずるスマット除去のために、硝酸等も用いられることとなる。そして、このエッチング処理によって、酸化皮膜が破壊、除去された接合補助部材の表面には、そのようなエッチング処理後に、直ちに、自然酸化皮膜が形成されるようになるが、素材製造時に形成された酸化皮膜に比べて、薄く、脆いために、熱間クラッド圧延時の圧下力によって破壊され易く、それ故に、エッチング処理を施していないものに比べて、Alシートとの接合性、更にはAl心材やAl皮材との接合性を向上せしめることが可能となるのである。また、このようなエッチング処理の要否は、クラッド圧延されるべき材料の材質や状態によって適宜に決定され、例えば、アルミニウム含有量が99質量%以上のアルミニウム材質からなる材料の場合の他、一般的に面削が施されるAl心材や、面削が施されたAl皮材及びAl中間材においては、エッチング処理を不要とすることも出来る。
ところで、かかる本発明に従う接合補助部材とAlシートとを用いて、熱間クラッド圧延されるAl皮材やAl心材は、何れも、公知のアルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状形態の材料であって、例えば、JIS呼称の1000系アルミニウムや2000系〜8000系の各種のアルミニウム合金を、その材質とするものであるが、特に、本発明にあっては、従来からクラッド材の製造が困難とされていたJIS呼称の5000系、6000系、或いは7000系のアルミニウム合金からなる心材や皮材を用いて、クラッド材を製造することが可能となるのである。そして、このようなアルミニウム材質において、Al皮材及びAl心材には、異なる材質が選択されることとなる。また、それら心材や皮材の材質として採用されるアルミニウム又はアルミニウム合金は、目的とするアルミニウムクラッド材の用途に応じて適宜に選定されるところであって、例えば、熱交換器等に用いられるブレージングシートにあっては、Al−Si系アルミニウム合金からなるろう材にて構成されるAl皮材が用いられ、これに、Al−Mn系アルミニウム合金等からなるAl心材が組み合わされて、クラッド圧延されることとなる。
また、本発明に従って、アルミニウムクラッド材を製造するに際して、熱間クラッド圧延の施される積層物を構成するAl皮材やAl心材の形態としては、一般に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる所定厚さの板状材料が用いられ、例えば、Al心材としては、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウムスラブ(厚肉の板状ブロック)に面削等の加工を施して、所定厚さとしたものが用いられ、またAl皮材にあっては、上記のアルミニウムスラブを熱間圧延して得られた板材が用いられることとなる。なお、この熱間圧延されたAl皮材用の板材の平坦度が悪い場合には、接合界面に介在させる接合補助部材の点状厚肉部を、所定の範囲内で厚くすることによって、より明確な効果を発揮せしめることが出来る他、熱間圧延されたAl皮材用板材の接合界面を、機械加工によって平滑化するようにすれば、接合補助部材における点状厚肉部を、所定の範囲内で薄くすることも可能である。
さらに、本発明において用いられるAl皮材の他の形態としては、アルミニウムスラブから切り出した厚板で形成されているものであり、また、その接合界面が機械加工によって平滑化されているものも、皮材として使用可能である。
ここで、それらAl皮材とAl心材に共通して、その接合界面の仕上げ方法には、機械加工の他に、金属ブラシによるブラッシングを施して、人工的に凹凸を設ける手法も採用可能であり、また設備上可能であれば、上記した接合補助部材の場合と同様に、エッチング処理を施すようにすることも可能である。何れにしても、Al皮材やAl心材の表面酸化皮膜を、圧延前の加工によって破壊したり、人工的に凹凸を設けて、摺動抵抗を増大させること等は、本発明の効果をより発揮させる上において、有効となるものである。
そして、本発明に従って、上記した接合補助部材とAlシートとを用いて、所定のAl皮材とAl心材とのクラッド圧延を実施するに際しては、かかる接合補助部材の片側又は両側に、Alシートを配置せしめた形態において、それら接合補助部材とAlシートとが、Al皮材とAl心材との接合界面に介在せしめられることとなるのであるが、そのための方法としては、例えば、Al心材の上に、Alシート、接合補助部材、Alシート及びAl皮材の順に順次積層せしめて、積層物を得る手法があり、また、接合補助部材の両側に、Alシートを配置してなる予備積層物を予め準備しておき、この予備積層物を、Al皮材とAl心材との間に敷いて、積層せしめた積層物を得る手法も、採用可能である。なお、Al皮材又はAl心材が、純アルミニウム又はAl含有量が99.0質量%以上である接合性の高いアルミニウム材質にて形成されている場合にあっては、接合補助部材の両側にAlシートを配置する必要はなく、接合補助部材とAl皮材又はAl心材との間へのAlシートの配置を省略することが可能である。また、後述するAl中間材が、純アルミニウム又はAl含有量が99.0質量%以上である接合性の高いアルミニウム材質にて形成されている場合にあっても、同様に、かかるAl中間材と接合補助部材との間やAl皮材若しくはAl心材との間へのAlシートの配置を省略することが出来る。
また、本発明にあっては、Al皮材とAl心材との間に、接合補助部材の片側又は両側にAlシートを配置してなるものを介在させて得られる積層物を用いて、熱間クラッド圧延が行われる他、Al皮材とAl心材との間に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなり、それら皮材や心材とは材質の異なる板状のAl中間材の少なくとも一つを介装せしめてなる積層物に対しても、本発明を適用することが可能である。例えば、熱交換器用アルミニウムクラッド材においては、Al皮材とAl心材との間に耐食性を向上させる目的で、犠牲陽極層を与えるAl−Zn系アルミニウム合金からなる板状のAl中間材が介在せしめられているのであるが、そのような構成のアルミニウムクラッド材においても、本発明が、有利に適用されることとなる。このようなAl皮材、Al中間材、Al心材で構成されるアルミニウムクラッド材においては、それら皮材と中間材との接合界面及び中間材と心材との接合界面の少なくとも何れか一方に、本発明に従う接合補助部材が、その少なくとも一方の側にAlシートを配置してなる形態において、介在せしめられて、熱間クラッド圧延されることにより、本発明に従う効果が有利に発揮され得ることとなる。なお、このAl中間材が、純アルミニウムやAl含有量が99.0質量%以上のMg不含のAl合金の如き接合性の高い材質にて構成されている場合には、Al中間材の両側にAlシートを配置することなく、クラッド圧延することも可能である。
そして、本発明に従って、接合補助部材の片側又は両側にAlシートを配してなる形態において、それらをAl皮材とAl心材との間に介在せしめて得られる積層物を、熱間クラッド圧延するに際しては、かかる積層物の重ね合わせ面、換言すれば、接合界面が大気中に連通されている状態となるように、それら皮材とAlシートと接合補助部材とAlシートとAl心材とを、それらの外周部において部分的に固定した後、或いは固定することなく、熱間クラッド圧延が施されることが望ましい。
そこにおいて、例えば、そのような積層物を構成するAl皮材、Alシート、接合補助部材、Alシート及びAl心材を、それらの外周部において部分的に固定するための手段としては、一般に、溶接が有利に採用されるところであるが、これに限られるものではなく、ロウ付けやFSW(摩擦撹拌接合)による固定(接合)方式や、アルミ製金具による締結方式等も適宜に採用可能である。また、そのような外周部における部分的な固定は、Al皮材とAl心材の接合界面に接合補助部材及び2つのAlシートを介在せしめた状態下、それらの外周部の一部において接合界面の周縁部が位置する部位を少なくとも含む部分に対して実施され、これによって、接合界面は、かかる固定部位を除いて、外部の大気中に連通されてなる形態とされている。更に、このような外周部における部分的な固定は、所定のAl中間材がAl皮材とAl心材との間に介在せしめられる場合においても、同様に、Al皮材とAlシートと接合補助部材とAlシートとAl中間材との間や、Al中間材とAlシートと接合補助部材とAlシートとAl心材との間に対して適用され、それぞれの接合界面が外部の大気中に連通せしめられてなる形態において、クラッド圧延が実施されることとなる。
なお、本発明にあっては、上述の如き積層物における部分的な固定に代えて、例えば、かかる積層物を構成するAl皮材、Alシート、接合補助部材、Alシート及びAl心材(又は、Al皮材、Alシート、接合補助部材、Alシート及びAl中間材、或いはAl中間材、Alシート、接合補助部材、Alシート及びAl心材)を相互に固定することなく、それらの接合界面を大気に連通せしめてなる形態下において、積層物をクラッド圧延に供することも可能である。尤も、積層物を構成する各積層材料がバラバラの状態では、加熱工程等での取り扱い性に問題を生じるようになるところから、例えば、積層物を適当な締結バンドにて固定してなる形態において加熱を行い、そしてクラッド圧延の直前に、締結バンドを取り外して、無固定の状態において圧延ロールにセットして、クラッド圧延を開始するようにすることも可能である。
このように、本発明に従って、クラッド材たるAl皮材とAl心材との間に、所定の接合補助部材を、その片側又は両側に所定のAlシートを配してなる形態において、クラッド圧延することにより、圧延時のクラッド材の界面の接合性が、効果的に向上せしめられることとなるのであり、これによって、従来では製造が困難であったクラッド材の製造も可能となり、以て、強度、成型性、耐食性等、両立し難い特性を併せ持った材料の設計が可能となったのである。また、クラッド率分布の改善やフクレの発生の抑制といった品質改善効果も得られることから、クラッド材の歩留まり向上が有利に実現され得て、製造コストを低下せしめることが可能となったのである。そして、本発明に従って得られるクラッド材は、上述の如き特性が付与されていることにより、輸送機器の構体や駆動系及び制御系部品、電子機器用多機能材料、熱交換器用高性能材料等、多分野において、幅広い活用が期待されるものである。
以上、本発明に従うアルミニウムクラッド材の製造方法の実施形態について、種々説明してきたが、本発明が、そのような例示の具体的な態様に係る詳細な記述によって何等限定的に解釈されるものでは決してなく、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが理解されるべきである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことも、また、理解されるべきである。
先ず、下記表1に示される各種のアルミニウム材質(A〜G)からなるAl鋳塊を、それぞれ、連続鋳造法により、従来と同様にして作製した後、その得られたAl鋳塊を用いて、Al心材、Al中間材及びAl皮材を、それぞれ準備した。即ち、Al心材については、かかる連続鋳造により造塊されたAl鋳塊(スラブ)を、従来と同様に面削して、厚さ:160〜198mm×幅:200mm×長さ:300mmのサイズにおいて製造し、またAl皮材やAl中間材については、それぞれのAl鋳塊の鋳造後において、厚さ:2〜20mmまで熱間圧延せしめ、次いで、幅:200mm×長さ:300mmの寸法に切断することにより、製造した。
また、Alシートについては、下記表1に示される各種アルミニウム材質(M〜P)のAl鋳塊を、連続鋳造法により、作製し、その得られた鋳塊の表面を面削した後、厚さ:3mmまで熱間圧延し、そして端部の耳割れ部を削除することにより、幅:250mmの熱延板を作製した。次いで、冷間圧延、中間焼鈍を行い、更に0.3mmまで冷間圧延を実施した。その後、表2乃至表4に記載の厚さ:3〜250μmまで箔圧延を行った。更にその後、焼鈍を行ってから、それぞれの厚さの箔について、幅:200mm、長さ:300mmに切断して、目的とするAlシートを作製した。
さらに、接合補助部材としては、それぞれのAl合金(H〜L)を用いて従来と同様にして得られた、線径が0.07mm〜1.9mmのAl線材を、縦線及び横線として用いて、平織構造において縦横に交差させてなる各種の平織金網を準備した。なお、そのような平織金網は、用いられているAl線材の線径に応じて、点状厚肉部の厚さが0.14mm〜3.8mmとなっており、また、そこでは、点状厚肉部の縦方向及び横方向の間隔が0.14mm〜16mmとなるような網目構造が、採用されている。
Figure 0006247593
そして、それら得られた各材料のうちのAl皮材や接合補助部材(平織金網)については、必要に応じて、その表面処理を、次のようにして実施した。即ち、Al皮材及びAl中間材の接合面については、熱間圧延のまま(但し、アセトンによる脱脂処理を実施。エッチング処理:無)、又は5%水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリエッチング処理(エッチング処理:有)を施した。また、接合補助部材についても、同様に、エッチング処理無し、或いは5%水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリエッチング処理(エッチング処理:有)を実施した。
次いで、かくの如き各種のAl皮材、Al心材、接合補助部材、Alシート及びAl中間材を用いて、それらを下記表2乃至表4に示される組合せにて積層し、その得られた積層物の各角部における幅方向及び長さ方向のそれぞれ長さ30mmずつの部分を溶接して、各積層材料を相互に固定せしめた。なお、この部分的な溶接固定により、各積層材料の接合界面は、それぞれ大気に連通せしめられてなる状態とされている。その後、かかる積層物を、480℃に加熱して、圧延ロール間を複数回パスさせることからなる熱間クラッド圧延を実施した。なお、この熱間クラッド圧延における圧下率は、積層物の厚みに対して0.5%の比率から開始し、圧下量を順次増大させながら、10回目のパスにおいて、圧下率が10%となるようにして実施した。また、圧延は、1パス毎に圧延方向を反転させるリバース圧延方式にて実施した。何れの材料においても、厚さ:3mmまでの熱間圧延を行い、端部の耳割れ部を削除してなる幅:150mmの熱間圧延板を、更に冷間圧延機にて、厚さ:1mmまで冷間圧延を行い、更にその後、400℃×2時間の軟化処理を施すことにより、目的とするクラッド材の製造を行った。なお、このクラッド材の製造過程において、熱間圧延操作の途中で顕著な皮剥がれを生じたものや、接合界面の未接合によって継続不能となったものにあっては、熱間圧延操作を途中で中止した。
Figure 0006247593
Figure 0006247593
Figure 0006247593
そして、このようにして得られた各種のアルミニウムクラッド材について、それぞれ、その外観を検査し、皮剥がれやフクレの発生状況と表面の平滑性を評価し、また皮材のクラッド率を測定し、更に総合評価を行って、それらの結果を下記表5〜表6に示した。なお、表面の平滑性の評価は、表面粗さ計を用いて、軟化処理後のクラッド材の圧延方向に沿って測定範囲を4mm、カットオフ値0.8mmとしたときの、最大高さ:Rmaxを測定し、このRmaxが5.0μm以下の場合に「○」とし、5.0μmを超えるものを「×」とした。また、クラッド材の断面を10点観察し、皮材の厚み及びクラッド材の厚みの測定結果から、クラッド率を計算した。そして、クラッド率分布の判定は、10点のクラッド率のばらつき(クラッド率の最大値−最小値)が、狙いのクラッド率の5%以下のものを「◎」とし、5%を超えて10%以下のものを「○」、10%を超えるものを「×」とした。更に、総合評価としては、圧延時の皮材剥離の有無とフクレ、表面の平滑性及びクラッド率分布の全ての点で問題がないものを「○」とし、一つでも問題があったものは「×」とした。
Figure 0006247593
Figure 0006247593
かかる表2〜表4及び表5〜表6の結果より明らかな如く、本発明に従って得られたアルミニウムクラッド材No.1〜14においては、クラッド率の如何に拘わらず、厚さ1mmに至るまで良好にクラッド圧延することが出来ると共に、何れも、皮剥がれやフクレの発生は認められず、また表面の平滑性及びクラッド率分布において、優れていることを認めた。
これに対して、本発明に従う接合補助部材やAlシートがAl皮材とAl心材との間に介在せしめられていないアルミニウムクラッド材No.15の場合にあっては、Al皮材とAl心材との接合が十分でなく、フクレの発生が確認された。加えて、皮材と心材の界面での摺動を抑えることが出来ず、クラッド率が大きくばらつくことを認めた。また、Al皮材とAl心材との間にAlシートのみが介在せしめられてなるアルミニウムクラッド材No.16の場合にあっては、それら皮材と心材との接合が充分でなく、フクレが一部に見出され、また上記アルミニウムクラッド材No.15と同様に、クラッド率が大きくばらついており、更に接合性が悪い材質の組合せであるアルミニウムクラッド材No.17の場合にあっては、Alシートのみを皮材と心材との間に敷いて圧延しただけであるところから、それら皮材と心材との接合が殆ど出来ず、熱間圧延の途中で大きく剥がれが生じ、最後まで圧延することが出来なかった。
また、AlシートのMg含有量が0.8質量%となるアルミニウムクラッド材No.18の場合にあっては、Alシートの酸化皮膜が強固であって、皮材と心材との接合が殆ど出来ず、熱間圧延の途中で剥がれが生じ、最後まで圧延することが出来なかった。そして、アルミニウムクラッド材No.19の場合にあっては、接合補助部材の点状厚肉部の厚さが厚く、3.8mmもあるために、表面に微少な凹凸の存在が認められ、更に点状厚肉部の間隔が16mmとなっているため、フクレが一部に発生していると共に、クラッド率にも大きなばらつきが見られた。一方、接合補助部材における点状厚肉部の厚さが0.14mmである、アルミニウムクラッド材No.20の場合にあっては、皮材と心材の酸化皮膜の破壊が充分でなく、そのために、それら皮材と心材との接合が出来ず、熱間圧延の途中で剥がれが生じ、最後まで圧延することが出来なかった。
さらに、3μmの厚さのAlシートを用いたアルミニウムクラッド材No.21の場合にあっては、Al皮材とAl心材との界面の一部に未接合部が惹起され、フクレが発生した。これに対して、厚さが250μmであるAlシートを用いたアルミニウムクラッド材No.22の場合にあっては、接合補助部材の点状厚肉部の接点における酸化皮膜破壊の効果が弱く、その結果、圧延方向両端で皮材の剥がれが惹起され、接合されている圧延方向中央部分にも、一部にフクレが生じていることが確認された。

Claims (6)

  1. アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl心材の片面若しくは両面に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるAl皮材を重ね合わせて積層せしめ、その得られた積層物を熱間圧延することにより、それらAl心材とAl皮材とが接合、一体化されてなるアルミニウムクラッド材を製造するに際して、
    縦横二方向においてそれぞれ0.2〜13mmの間隔で配列された、厚さが0.2〜3.2mmの多数の点状厚肉部と、それら点状厚肉部の隣接するものの間をつなぐ、該点状厚肉部よりも厚さの薄い連結部とから、網目構造が形成されてなるアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる接合補助部材を用い、この接合補助部材の一方の側に又はその両側に、5〜200μmの厚さを有し且つMg含有量を0〜0.7質量%としたアルミニウム材質のAlシートを配置した形態において、それら接合補助部材とAlシートとを、前記Al心材と前記Al皮材との接合界面に介在させて、前記積層物を構成し、かかる積層物に対して熱間圧延を実施するようにしたことを特徴とするアルミニウムクラッド材の製造方法。
  2. 前記接合補助部材が、線径:0.1〜1.6mmのAl線材をそれぞれ縦線及び横線として用いて構成され、それら縦線及び横線の交差部において、前記点状厚肉部が形成されている請求項1に記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
  3. 前記接合補助部材が、1.5〜6質量%のMgを含有するアルミニウム合金にて形成されている請求項1又は請求項2に記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
  4. 前記Alシートが、純アルミニウム又はアルミニウム含有量が99.0質量%以上のアルミニウム材質にて構成されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
  5. 前記接合補助部材が、酸溶液又はアルカリ溶液による処理によって、その表面の酸化膜が化学的に破壊、除去せしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
  6. 前記Al心材と前記Al皮材との間に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる板状のAl中間材が、更に介在せしめられると共に、該Al心材と該Al中間材との間及び該Al中間材と該Al皮材との間の少なくとも何れか一方の間に、前記接合補助部材が、その少なくとも一方の側に前記Alシートを配置せしめてなる形態において介在せしめられて、前記積層物が構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
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