JP6242097B2 - 地下排水ポンプ設備 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、汚水と雨水とを集めて処理する合流式下水道や地下放水路を使用した排水システムにおいて、降雨の初期段階でポンプ設備に流れ込む初期塵芥を吸込水槽の底部に設けた初期塵芥貯槽に貯留することができるので、これらの初期塵芥を吐出側河川に排出することなく適切に処理することが可能となり、また初期塵芥が排水ポンプに流入することがないため、ポンプ、配管、弁類等の各機器類の閉塞や損傷を防止することができる地下排水ポンプ設備を提供することを目的とする。
本発明によれば、汚水と雨水とを集めて処理する合流式下水道や地下放水路を使用した排水システムにおいて、降雨の初期段階にポンプ設備に流れ込む初期塵芥を吸込水槽の底部に設けた初期塵芥貯槽に貯留することができるので、これらの初期塵芥を吐出側河川に排出することなく適切に処理することが可能となり、環境性に優れた地下排水ポンプ設備を構築することが可能となる。
本発明によれば、吸込水槽の前壁と吸込水槽の底版の前面との間に、開口部が形成されており、この開口部は、流入水路から流入する初期塵芥を含む流入水を初期塵芥貯槽内に導入するための導入路として機能する。
本発明によれば、吸込水槽の底面を構成する底版の下方に初期塵芥貯槽を設けている。初期塵芥貯槽は、吸込水槽の底壁、両側壁および底版とによって形成された略直方体状の貯留空間を有しており、初期塵芥を含む流入水の所定量を貯留可能としている。
本発明によれば、吸込水槽の底版の前面に、下方に延びる垂下部を設けている。底版の垂下部は、初期塵芥貯槽内に浮遊する初期塵芥が吸込水槽に戻らないようにするための逆流防止手段として機能する。
本発明によれば、初期塵芥貯槽に隣接して、初期塵芥貯槽内に貯留された初期塵芥を含む水を回収して排出するための残水排水槽を設置している。そのため、初期塵芥を含む流入水を残水排水槽から処理施設へ排出することができ、初期塵芥を吐出側河川に排出することなく適切に処理を行うことが可能となる。
本発明によれば、残水排水槽内には残水排水ポンプが設置されているため、残水排水ポンプにより残水排水槽内に回収された初期塵芥を含む水を処理施設へ排出することができる。残水は処理施設にて適切に処理される。
本発明によれば、初期塵芥貯槽内の残水および残水排水槽内に残留する塵芥を排出した後に、散水栓設備を作動させ、初期塵芥貯槽内に残ったゴミや泥などを清掃することができる。すなわち、散水ポンプから散水用の水を散水配管を介して各散水栓に給水し、各散水栓から水を噴出し、初期塵芥貯槽内を清掃することで異臭を防止することができる。
本発明によれば、初期塵芥貯槽内と残水排水槽とは開口によって連通しており、また、初期塵芥貯槽の底面は、初期塵芥貯槽側から残水排水槽側に向かって下り勾配になっている。残水排水槽の底面は初期塵芥貯槽の底面より下方に位置しているため、残水排水槽内に初期塵芥貯槽から流入した初期塵芥を含む水を効果的に回収することができる。
本発明によれば、開口部の位置において、吸込水槽の前壁および吸込水槽の底版の前面に、上下方向に多段状に複数の減勢板が設置されている。複数の減勢板は、流入水路から落下する流入水が蛇行して下方に流れるように配置される。このように、流入水路から落下した流入水が蛇行して下方に流れるため、流入水路から初期塵芥貯槽へ落下する際の水の勢いが減衰され、開口部を形成している箇所の土木構造物への負担を軽減することができる。また、開口部に多段状に複数の減勢板を設けることにより、初期塵芥貯槽から吸込水槽への初期塵芥の浮遊や逆流を抑制できる。
本発明によれば、吸込水槽の前壁に、該前壁から底版に向かって張り出す張出部を設け、流入水路からの流入水を前記初期塵芥貯槽に導入するための導入路として機能する開口部を前記張出部と底版の前面との間に設けている。
本発明によれば、初期塵芥を含む流入水が流入する場合は、連通ゲートを開とし、初期塵芥を含む流入水を残水排水槽に貯留させる。排水ポンプが運転した後に、吸込水槽水位が所定の水位まで下がった場合に、連通ゲートを閉とし、残水排水槽の貯留水が初期塵芥貯槽内の水を吸込水槽側に逆流させることを助長することを防止する。また、常時連通ゲートを閉にして、排水ポンプ停止後、残水排水を行う時に連通ゲートを開としてもよい。
通常、排水ポンプによる排水終了後(排水ポンプ停止後)、残水排水ポンプの運転を開始するが、本発明によれば、排水ポンプの運転中に残水排水ポンプの運転を開始し、初期塵芥貯槽内の水を早めに排出することにより砂・泥などが初期塵芥貯槽の底面に沈殿することはなくなる。また、排水ポンプの運転中に残水排水ポンプを運転することにより、初めに貯留した一番汚れた初期塵芥を排出することができ、さらに初期塵芥を回収できるようになるため、河川へ排出される水もさらにきれいになる。
また、前記残水排水槽に水位計を設け、前記残水排水槽の水位が所定の水位になったら前記残水排水ポンプを運転させてもよい。
本発明によれば、残水排水ポンプにより排水された後に、残水排水ポンプで排水できない大きさの塵芥が残水排水槽内に残留する場合に、塵芥掻き上げ装置を作動させてバケット等により残留した塵芥を掻き上げることができる。また、前記塵芥が残水排水ポンプに流入し、閉塞することを防止するために残水排水ポンプの周囲にスクリーンを設けてもよい。
本発明によれば、残水排水ポンプで排出できない大きさの塵芥が流入してきた場合に、残水排水ポンプをカッター付にすることにより塵芥を破砕することができ、また、残水排水ポンプをボルテックス型とすることにより残水排水ポンプと同口径までの塵芥を排出することができるので、残水排水ポンプが閉塞することを防止できる。
本発明によれば、残水排水ポンプで排出できない大きさの塵芥が流入してきた場合に、破砕機により塵芥を破砕することができるので、残水排水ポンプが閉塞することを防止できる。
本発明によれば、初期塵芥貯槽及び吸込水槽に脱臭設備を設けるため、市街地のポンプ設備において、流入水や残水から発生する悪臭の防臭対策ができ、環境性に優れた設備を構築することができる。また、初期塵芥貯槽内の残水を排出した後に、清掃員が初期塵芥貯槽内や吸込水槽内の清掃をする時の酸欠などの対策もできる。
(2)初期塵芥が排水ポンプに流入することがなくポンプ、配管、弁類等の各機器類の閉塞や損傷を防止することができ、各機器類の長寿命化を図ることができ、また設備運用上の信頼性も向上する。
(3)吸込水槽の底部に初期塵芥貯槽を設けるだけで済み、従来技術(例えば、特許文献1)のように、吐水槽や分離槽を設ける必要がなく、さらに沈砂池も設ける必要がなく、従来の排水ポンプ設備より平面上のスペース拡大を行う必要がなく、経済性にも優れた設備を提供することが可能となる。したがって、敷地スペースに制限がある市街地のポンプ設備に最適である。
図1は、本発明の地下排水ポンプ設備1の第1の実施形態を示す模式的断面図である。図2は、図1に示す地下排水ポンプ設備1の平面図である。図1および図2に示すように、地下排水ポンプ設備1は、家庭や工場から排出される汚水と降雨による雨水とが合流した下水や大雨の時に立坑から地下放水路に供給された雨水を集水する吸込水槽2を備えている。吸込水槽2の前壁2fwには、下水管や地下放水路等の流入水路20が接続されており、この流入水路20を通って下水や雨水が吸込水槽2の内部に流入するようになっている。
図5(a)に示すように、降雨が始まった初期段階において、初期塵芥を含む水を流入水路20を介して吸込水槽2内に流入させる。吸込水槽2の底部には初期塵芥貯槽3が設置されているため、流入水路20から流入した初期塵芥を含む水は、導入路として機能する開口部4を介して初期塵芥貯槽3に流入する。初期塵芥は初期塵芥貯槽3の奥側へ流されて初期塵芥貯槽3内に貯留され、この間に初期塵芥貯槽3内の液面WLは次第に上昇する。
図5(b)に示すように、初期塵芥貯槽3内の液面WLが底版2aの垂下部2adの下面よりも上昇すると、初期塵芥は初期塵芥貯槽3内に滞留する。そして、流入水路20から初期塵芥除去後の水が吸込水槽2に流入する。
図5(c)に示すように、初期塵芥除去後の水が吸込水槽2内に所定量貯まると、排水ポンプ11を起動して吸込水槽2内の水を河川に排水する。排水ポンプ11の運転中、初期塵芥は初期塵芥貯槽3内に滞留し続ける。このとき、底版2aの垂下部2adは、初期塵芥貯槽3内で浮遊する初期塵芥が吸込水槽2に移動しないようにするための手段として機能する。
排水ポンプ11の排水運転では、吸込水槽2内の水を全て排水できるわけではないので、図6(a)に示すように、吸込水槽2内には所定量の水が残る。このとき、初期塵芥は初期塵芥貯槽3内に滞留する。
そこで、図6(b)に示すように、残水排水槽5内の残水排水ポンプ6を運転し、初期塵芥を含む残水を排出する。残水排水ポンプ6によって、残水は処理施設へ排出され、処理施設にて適切に処理される。したがって、初期塵芥貯槽3内の初期塵芥を含む残水は、初期塵芥貯槽3の底面の下り勾配によって残水排水槽5に効果的に流入して排出され、初期塵芥貯槽3内の液面WLは次第に低下していき、吸込水槽2および初期塵芥貯槽3内の残水を完全に排出して、吸込水槽2および初期塵芥貯槽3内をドライ状態にできる。
このようにして、初期塵芥貯槽3内の残水排水および残水排水槽5内に残留する塵芥を排出した後に、散水栓設備7を作動させ、初期塵芥貯槽3内に残ったゴミや泥などを清掃する。すなわち、散水ポンプから散水用の水を散水配管10を介して各散水栓8に給水し、各散水栓8から水を噴出し、初期塵芥貯槽3内を清掃する。なお、同様に吸込水槽2内に残ったゴミや泥などを清掃するために、吸込水槽2内に散水栓設備7を設置してもよい。
図7(a),(b)は開口部の第1の変形例を示す図であり、図7(a)は吸込水槽2の一部および開口部4を示す平面図であり、図7(b)は図7(a)のA−A線断面図である。図7(a),(b)に示すように、開口部4は、吸込水槽2の前壁2fwからやや離間した位置に設置される。すなわち、吸込水槽2の前壁2fwには、前壁2fwから底版2aに向かって張り出す張出部2prが設けられ、開口部4は張出部2prと底版2aの前面との間に設けられる。したがって、開口部4は、吸込水槽2の前壁2fwの直下の位置でなく、吸込水槽2の前壁2fwから離間した位置と吸込水槽2の底版2aとの間に形成されている。
図7(a)〜(d)に示すように、吸込水槽2から初期塵芥貯槽3内に初期塵芥を含む流入水を導入するための導入路として機能する開口部4は、吸込水槽2の前壁2fwから離間した位置に形成してもよく、また吸込水槽2の両側壁2sw,2sw間の一部に形成してもよい。
図9(a)に示す排水ポンプ11は、立軸渦巻斜流ポンプであり、渦巻ケーシング16内に流入水を揚水する羽根車17を備え、また羽根車17は、駆動装置14(図1)によって駆動軸18を介して回転可能となっている。渦巻ケーシング16には、吸込管12と吐出河川まで伸びる吐出管13が接続されている。
図9(a),(b)に示すように、本発明の地下排水ポンプ設備1には、立軸渦巻斜流ポンプ(図9(a))や立軸斜流ポンプ(図9(b))等の各種ポンプが適用可能である。
2 吸込水槽
2a 底版
2ad 垂下部
2ah 水平部
2as 傾斜部
2bw 底壁
2fw 前壁
2rw 後壁
2pr 張出部
2sw 側壁
3 初期塵芥貯槽
4 開口部
5 残水排水槽
5a 開口
5b 底面
6 残水排水ポンプ(水中ポンプ)
7 散水栓設備
8 散水栓
10 散水配管
11 排水ポンプ
12 吸込管
13 吐出管
15 減勢板
16 渦巻ケーシング
17 羽根車
18 駆動軸
20 流入水路
21 ケーシング
21s ベルマウス
22 羽根車
23 駆動軸
31 掻き上げ装置
100 立坑
101 地下放水路
102 吸込水槽
P ポンプ
Vc 逆止弁
Vd 吐出弁
Claims (7)
- 流入水路からの流入水を受け入れる吸込水槽と該吸込水槽内の水を揚水する排水ポンプとを備えた地下排水ポンプ設備において、
前記吸込水槽の底部に、降雨の初期段階で前記流入水路から前記吸込水槽に流れ込むし渣もしくは塵芥を含む流入水を貯留する初期塵芥貯槽を設け、
前記流入水路を形成した前記吸込水槽の前壁と、前記吸込水槽の底版の前面との間に、前記流入水路からの流入水を前記初期塵芥貯槽に導入するための導入路として機能する開口部を設けたことを特徴とする地下排水ポンプ設備。 - 前記初期塵芥貯槽は、前記吸込水槽の底面を規定する底版の下方に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の地下排水ポンプ設備。
- 流入水路からの流入水を受け入れる吸込水槽と該吸込水槽内の水を揚水する排水ポンプとを備えた地下排水ポンプ設備において、
前記吸込水槽の底部に、降雨の初期段階で前記流入水路から前記吸込水槽に流れ込むし渣もしくは塵芥を含む流入水を貯留する初期塵芥貯槽を設け、
前記吸込水槽の底版の前面に、下方に延びる垂下部を設け、前記初期塵芥貯槽に流入したし渣もしくは塵芥が前記吸込水槽に逆流しないようにしたことを特徴とする地下排水ポンプ設備。 - 前記初期塵芥貯槽に隣接して、前記初期塵芥貯槽に貯留されたし渣もしくは塵芥を含む流入水の一部を回収するための残水排水槽を設置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地下排水ポンプ設備。
- 前記残水排水槽に、該残水排水槽内に回収された流入水を排出するための残水排水ポンプを設けたことを特徴とする請求項4に記載の地下排水ポンプ設備。
- 前記初期塵芥貯槽内に散水して清掃する散水栓設備を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の地下排水ポンプ設備。
- 前記初期塵芥貯槽の底面は、前記残水排水槽に向かって下り勾配になっていることを特徴とする請求項4に記載の地下排水ポンプ設備。
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